特許第6573815号(P6573815)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6573815
(24)【登録日】2019年8月23日
(45)【発行日】2019年9月11日
(54)【発明の名称】リモコン装置
(51)【国際特許分類】
   E03D 9/08 20060101AFI20190902BHJP
   H04Q 9/00 20060101ALI20190902BHJP
【FI】
   E03D9/08 Z
   H04Q9/00 371B
   H04Q9/00 331B
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-205917(P2015-205917)
(22)【出願日】2015年10月19日
(65)【公開番号】特開2017-78272(P2017-78272A)
(43)【公開日】2017年4月27日
【審査請求日】2018年8月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】302045705
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】島崎 浩和
(72)【発明者】
【氏名】立石 美陽子
【審査官】 立澤 正樹
(56)【参考文献】
【文献】 韓国登録特許第10−0622289(KR,B1)
【文献】 特開2005−277557(JP,A)
【文献】 特開2005−064652(JP,A)
【文献】 特開2011−084867(JP,A)
【文献】 特開2001−055774(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03D 9/08
H04Q 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1位置又は第2位置に移動可能な可動部を有するリモコン装置であって、
前記可動部が前記第1位置の場合に露出している第1操作部と、
前記可動部が前記第1位置の場合に遮蔽され、前記第2位置の場合に露出する第2操作部と、
第1方向へ信号を送信する第1送信部と、
第2方向へ信号を送信する第2送信部と、
前記第1操作部又は前記第2操作部のいずれが操作されたかに応じて、前記第1送信部及び/又は前記第2送信部の送信強度を制御する制御部と、を備え
前記第1送信部は、前記可動部に固定されているリモコン装置。
【請求項2】
第1位置又は第2位置に移動可能な可動部を有するリモコン装置であって、
前記可動部が前記第1位置の場合に露出している第1操作部と、
前記可動部が前記第1位置の場合に遮蔽され、前記第2位置の場合に露出する第2操作部と、
第1方向へ信号を送信する第1送信部と、
第2方向へ信号を送信する第2送信部と、
前記第1操作部又は前記第2操作部のいずれが操作されたかに応じて、前記第1送信部及び/又は前記第2送信部の送信強度を制御する制御部と、を備え
前記第1送信部は、前記可動部が前記第2位置の場合に遮蔽されるリモコン装置。
【請求項3】
前記第2送信部は、前記可動部が前記第1位置の場合に遮蔽され、前記第2位置の場合に露出する請求項1又は請求項に記載のリモコン装置。
【請求項4】
第1位置又は第2位置に移動可能な可動部を有するリモコン装置であって、
前記可動部が前記第1位置の場合に露出している第1操作部と、
前記可動部が前記第1位置の場合に遮蔽され、前記第2位置の場合に露出する第2操作部と、
第1方向へ信号を送信する第1送信部と、
第2方向へ信号を送信する第2送信部と、
前記第1操作部又は前記第2操作部のいずれが操作されたかに応じて、前記第1送信部及び/又は前記第2送信部の送信強度を制御する制御部と、を備え
前記第2送信部は、前記可動部が前記第1位置の場合に遮蔽され、前記第2位置の場合に露出するリモコン装置。
【請求項5】
前記第1送信部は、受信部へ直接向かう方向へ信号を送信し、
前記第2送信部は、反射して前記受信部へ向かう方向へ信号を送信し、
前記制御部は、前記第1操作部が操作された場合、前記第2送信部の送信強度を低下させる請求項1から請求項4のいずれかに記載のリモコン装置。
【請求項6】
前記第1送信部は、受信部へ直接向かう方向へ信号を送信し、
前記第2送信部は、反射して前記受信部へ向かう方向へ信号を送信し、
前記制御部は、前記第2操作部が操作された場合、前記第1送信部の送信強度を低下させる請求項1から請求項5のいずれかに記載のリモコン装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可動式のリモコン装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、便器装置を操作するためのリモコンがトイレルームの壁等に設置されている。ヒータ及びシャワー等の各種機能が付加され多機能になるにつれて、これらを設定するためのリモコンの操作ボタンは増加している。このような状況において、利用者による操作の利便性を向上させるため、又は配置スペースの制約によって、多用されないボタン群が配置された副操作部が、通常は見えないように収納し、必要に応じて引き出して操作できるように、設計される場合がある。例えば、トイレルーム内の設備、例えば棚及びペーパーホルダ等と一体になったリモコンの場合には、可動式の副操作部によって省スペース化が図られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような可動式のリモコンを使用する場合、リモコンのボタン操作に応じて、制御信号を送信する発光部も移動するため、発光部、受光部及び利用者の位置関係よっては、受光部で信号を受信できず操作性が低下する場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−55774号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の技術では、副操作部が引き出されたことにより、リモコンの送信部から便器装置の受信部までの赤外光の経路が利用者の体に遮られる場合がある。この場合、リモコンは、受信部まで届かない信号を送信して電池を消耗させてしまう。
【0006】
本発明は、制御信号を効率的に送信できる可動式のリモコン装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るリモコン装置は、第1位置又は第2位置に移動可能な可動部を有し、前記可動部が前記第1位置の場合に露出している第1操作部と、前記可動部が前記第1位置の場合に遮蔽され、前記第2位置の場合に露出する第2操作部と、第1方向へ信号を送信する第1送信部と、第2方向へ信号を送信する第2送信部と、前記第1操作部又は前記第2操作部のいずれが操作されたかに応じて、前記第1送信部及び/又は前記第2送信部の送信強度を制御する制御部と、を備える。
【0008】
前記第1送信部は、受信部へ直接向かう方向へ信号を送信し、前記第2送信部は、反射して前記受信部へ向かう方向へ信号を送信し、前記制御部は、前記第1操作部が操作された場合、前記第2送信部の送信強度を低下させてもよい。
【0009】
前記第1送信部は、受信部へ直接向かう方向へ信号を送信し、前記第2送信部は、反射して前記受信部へ向かう方向へ信号を送信し、前記制御部は、前記第2操作部が操作された場合、前記第1送信部の送信強度を低下させてもよい。
【0010】
前記第1送信部は、前記可動部に固定されていてもよい。
【0011】
前記第1送信部は、前記可動部が前記第2位置の場合に遮蔽されてもよい。
【0012】
前記第2送信部は、前記可動部が前記第1位置の場合に遮蔽され、前記第2位置の場合に露出してもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、可動式のリモコン装置から制御信号を効率的に送信できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態に係るリモコン及び便器装置の配置例を示す図である。
図2】実施形態に係るリモコンの外観を示す図である。
図3】実施形態に係るリモコンの利用時の様子を示す図である。
図4】実施形態に係るリモコンの機能構成を示す図である。
図5】実施形態に係る制御部を構成する回路を例示する図である。
図6】変形に係るリモコンの外観を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態の一例について説明する。
図1は、本実施形態に係るリモコン1及び便器装置2のトイレルームにおける配置例を示す図である。
【0016】
リモコン1は、便器装置2の各種機能を制御するための信号を赤外光により送信する電子機器であり、壁面の棚及びペーパーホルダ等と一体になったリモコン装置を構成している。
リモコン1から送信された信号は、便器装置2に設けられた1又は複数の受信部によって受信される。
【0017】
このとき、リモコン1からは複数の経路で信号が送信される。複数の経路は、例えば便器装置2の受信部へ直接向かう横方向(第1方向)と、トイレルーム内での赤外光の反射によって受光部へ向かう上方向(第2方向)とを含む。便器装置2は、いずれかの経路が利用者等により遮られた場合にも、他の経路から信号を受信できる。
【0018】
図2は、本実施形態に係るリモコン1の外観を示す図である。
リモコン1は、壁面に固定された棚部3に格納される可動部4を備えている。可動部4には、使用頻度の高い主要なボタン等からなる主操作部11(第1操作部)と、使用頻度の低い副操作部12(第2操作部)とが設けられている。
【0019】
可動部4は、主操作部が露出した状態で副操作部12が棚部3によって遮蔽された第1位置(a)と、副操作部12が棚部3から引き出されて露出した第2位置(b)とを、相互に移動できる。
可動部4には、発光窓20a及び発光窓20bが設けられ、それぞれの内部に1種類ずつ、赤外線の発光体21(第1送信部)及び発光体22(第2送信部)が互いに異なる方向へ信号を送信するように1つ以上固定されており、可動部4の移動に伴って同様に移動する。
本実施形態では、発光体21(第1送信部)が可動部4の底面に配置された発光窓20aの内部に設けられ、便器装置2の受信部へ直接向かう横方向へ信号を送信し、発光体22(第2送信部)が可動部4の正面に配置された発光窓20bの内部に設けられ、トイレルーム内の天井や壁に反射して便器装置2の受信部へ向かう上方向へ信号を送信する。
【0020】
図3は、本実施形態に係るリモコン1の利用時の様子を示す図である。
図中の矢印は、発光体21から便器装置2の受信部へ直接向かう横方向の赤外線の経路を示している。
【0021】
可動部4が第1位置の場合、実線矢印のように、発光体21から送信された信号は遮られることなく受信部へ到達するが、可動部4が第2位置の場合、破線矢印のように、発光体21から送信された信号は利用者の体に遮られ、受信部へ到達し難い。
そこで、リモコン1は、後述の制御部30によって、送信する信号の強度、すなわち赤外線の発光強度を発光体毎に制御し、不要な方向への信号送信を抑制する。
【0022】
図4は、本実施形態に係るリモコン1の機能構成を示す図である。
リモコン1は、主操作部11と、副操作部12と、発光体21(第1送信部)と、発光体22(第2送信部)と、制御部30とを備える。
【0023】
制御部30は、主操作部11又は副操作部12への操作入力を受け取り、入力に対応した信号を決定し、発光体21及び発光体22を制御して信号を送信する。このとき、制御部30は、主操作部11又は副操作部12のいずれが操作されたかを判定し、判定結果に応じて、発光体21及び発光体22の発光強度を制御する。
【0024】
図5は、本実施形態に係る制御部30を構成する、発光体21及び発光体22を制御するための回路を例示する図である。
横向きの発光体21と上向きの発光体22とは、それぞれFET(Field Effect Transistor)スイッチ(31又は32)を介して電流が調整される発光ダイオードである。FETをONにすると、抵抗がバイパスされ、発光ダイオードに流れる電流が大きくなることにより、発光強度が大きくなる。
【0025】
ここで、発光体21(第1送信部)は、便器装置2の受信部へ直接向かう横方向へ信号を送信し、発光体22(第2送信部)は、反射して便器装置2の受信部へ向かう上方向へ信号を送信する。
制御部30は、主操作部11が操作された場合、横方向への信号の送信が効率的であるため、発光体22(第2送信部)の送信強度を低下させる。一方、副操作部12が操作された場合、横方向へ送信された信号が遮られる可能性が高いため、制御部30は、発光体21(第1送信部)の送信強度を低下させる。
【0026】
本実施形態によれば、リモコン1は、主操作部11又は副操作部12のいずれが操作されたかに応じて送信部が固定された可動部4の位置(第1位置又は第2位置)を判断し、送信部の位置に応じた最適な信号の経路を選択して、それぞれの信号の強度を調整する。
これにより、リモコン1は、着脱又は姿勢等の状態検知のための部品を追加で設けることなく、コストアップを抑えて、制御信号を効率的に送信できる。
【0027】
リモコン1は、主操作部11が操作された場合、受信部へ最も効率良く信号を送信できる横方向の発光体21を主に用い、上方向の発光体22の強度を低下させる。また、リモコン1は、副操作部12が操作された場合、横方向の経路は利用者によって遮られるため、反射光によって受信部へ信号を送信できる上方向の発光体22を主に用い、横方向の発光体21の強度を低下させる。
これにより、リモコン1は、複数の信号経路のうち効率の良い側の経路を選択し、他の経路の強度を低下させることにより電力消費を抑えられる。特に、上方向の経路は、反射を利用するため、通常は横方向よりも発光強度を強くしてある。したがって、使用頻度の高い第1位置において上方向の発光体22の強度を低下させることにより、リモコン1は、電力消費を大幅に抑えられ、電池の消耗を抑制できる。
【0028】
リモコン1は、発光体21(第1送信部)が可動部4に固定されているため、第1位置から第2位置へ可動部4が移動すると信号の送信元の位置も移動する。そこで、リモコン1は、第2位置で副操作部12が操作された場合に、信号の経路が遮られると判断し、信号の送信経路を切り替えることにより、複数の経路で電力を消費することを抑制できる。
【0029】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に限るものではない。また、本実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【0030】
発光体21(第1送信部)は、可動部4が第2位置に移動した場合に、向きが変わる、又はこの可動部4に覆われて遮蔽される場所に設けられてもよい。この場合にも、前述の実施形態と同様に、可動部4が第2位置であれば発光体22により信号を送信する方が便器装置2における受信確度が高まる。したがって、制御部30は、第1位置において発光体22の発光強度を低下させて発光体21により信号を送信し、第2位置において発光体21の発光強度を低下させて発光体22により信号を送信する制御により、電力消費を抑えて効率的に信号を送信できる。
【0031】
また、発光体22(第2送信部)は、図6に示すように、可動部4が第1位置の場合に遮蔽され、第2位置の場合に露出する場所に設けられてもよい。具体的には、可動部4が第1位置において、発光体22が収められた発光窓20bは、副操作部12と同様に棚部3に隠蔽されてもよい。この場合、可動部4が第1位置のとき発光体22から送信される信号は遮られる。したがって、制御部30は、第1位置において発光体22の発光強度を低下させて発光体21により信号を送信し、第2位置において発光体21の発光強度を低下させて発光体22により信号を送信する制御により、電力消費を抑えて効率的に信号を送信できる。
【0032】
制御部30は、いずれかの経路における信号の強度を低下させることにより信号送信の効率化を図ったが、より確実に信号を便器装置2の受信部へ届けるために、強度を低下させない経路における信号の強度を高めるように制御してもよい。
【0033】
また、制御部30は、主操作部11又は副操作部12のいずれが操作されたかに応じて、信号の強度を切り替えたが、この切り替えの設定は、個々の操作ボタン毎に記憶されてもよい。
さらに、前述の制御回路(図5)は一例であり、信号の強弱又は有無を切り替え可能であればよい。
【0034】
リモコン1は、赤外光により信号を送信することとしたが、これには限られない。リモコン1と便器装置2との間の通信プロトコルには、種々の既存の無線通信規格が適用可能である。
【符号の説明】
【0035】
1 リモコン
2 便器装置
3 棚部
4 可動部
11 主操作部(第1操作部)
12 副操作部(第2操作部)
21 発光体(第1送信部)
22 発光体(第2送信部)
30 制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6