【実施例1】
【0024】
図1(a)は、実施例1に係る弾性波共振器100の平面図、
図1(b)は、
図1(a)の一部を拡大した拡大図、
図1(c)は、
図1(b)のA−A間の断面図である。なお、
図1(a)及び
図1(b)では、誘電体膜28を透視して図示している。
図1(a)から
図1(c)のように、実施例1の弾性波共振器100は、圧電基板10上にIDT12と反射器14が設けられている。圧電基板10は、例えばニオブ酸リチウム基板又はタンタル酸リチウム基板である。IDT12及び反射器14は、金属膜で形成されている。
【0025】
IDT12は、対向する一対の櫛型電極18を有する。一対の櫛型電極18それぞれは、複数の電極指20と、複数の電極指20が接続されたバスバー電極22と、を有する。一対の櫛型電極18は、互いの電極指20がほぼ互い違いになるように、対向して設けられている。一方の櫛型電極18の複数の電極指20の先端と他方の櫛型電極18のバスバー電極22との間の領域が、ギャップ領域24である。
【0026】
一対の櫛型電極18の複数の電極指20が交差する領域が交差領域26である。交差領域26において複数の電極指20が励振する弾性波は、主に複数の電極指20が並んだ方向に伝搬する。すなわち、弾性波の伝搬方向をX方向とし、X方向に交差し、複数の電極指20が延びる方向をY方向とすると、複数の電極指20は、X方向に並んで配置されている。複数の電極指20のピッチλが、ほぼ弾性波の波長となる。なお、X方向及びY方向は、圧電基板10の結晶方位のX軸方向及びY軸方向とは必ずしも対応しない。
【0027】
IDT12及び反射器14を覆って、誘電体膜28が設けられている。誘電体膜28は、例えば二酸化シリコン膜である。二酸化シリコン膜は、圧電基板10の弾性定数の温度係数とは逆符号の温度係数の弾性定数を有する。このため、IDT12を覆って誘電体膜28が設けられることで、温度特性を改善することができる。誘電体膜28は、二酸化シリコン膜の場合に限られず、例えばフッ素などの他の元素がドープされた酸化シリコン膜など、酸化シリコンを主成分とする膜の場合でもよい。この場合でも、温度特性を改善することができる。なお、誘電体膜28は、圧電基板10の弾性定数の温度係数とは逆符号の温度係数の弾性定数を有する誘電体膜ではない場合でもよい。
【0028】
交差領域26内での複数の電極指20の一部分における誘電体膜28上に、誘電体膜28とは異なる材料からなる誘電体膜30が設けられている。誘電体膜30は、例えば酸化アルミニウム膜である。誘電体膜30のY方向の長さは、例えば1μm以上且つ5λ以下である。複数の電極指20において、上部に誘電体膜30が設けられている領域を第1領域32とし、誘電体膜30が設けられていない領域を第2領域34とする。第2領域34は、Y方向で第1領域32を挟んで設けられている。第1領域32での弾性波の速度(第1速度)は、上部に誘電体膜30が設けられているため、第2領域34での弾性波の速度(第2速度)と異なる。例えば、誘電体膜30が酸化アルミニウム膜である場合、第1領域32で弾性波の第1速度は、第2領域34での弾性波の第2速度よりも速くなる。一対の櫛型電極18において、複数の電極指20の第1領域32のY方向における位置は、X方向に対して曲線状に変化している。なお、第1領域32と第2領域34で比較する弾性波の速度は、X方向に伝搬する弾性波の速度でもY方向に伝搬する弾性波の速度でもどちらでもよい。X方向に伝搬する弾性波の速度とY方向に伝搬する弾性波の速度とは比例関係にあるためである。なお、一対の櫛型電極18のうちの少なくとも一方は、交差領域26内において弾性波の速度が第2速度である領域からなる電極指20−1を備えていてもよい。
【0029】
ここで、異方性係数について説明する。
図2(a)は、X方向及びY方向における波数の平面図、
図2(b)は、β
x/β
θに対するβ
y/β
θを示す図である。
図2(a)のように、X方向の弾性波の波数をβ
x、Y方向の弾性波の波数をβ
yとする。X方向からY方向に角度θの方向の弾性波の波数β
θは、角度θに対して放物線近似できるとすると、波数β
θは、異方性係数γを用い、β
θ2=β
x2+γ・β
y2で表される。
【0030】
図2(b)のように、β
x/β
θはX方向の弾性波の位相速度の逆速度(slowness)に相当し、β
y/β
θはY方向の弾性波の位相速度の逆速度に対応する。異方性係数γが正のときの逆速度面70は、原点から見て凸型となる。このため、γ>0のときを凸型ともいう。異方性係数γが負のときの逆速度面72は、原点から見て凹型となる。このため、γ<0のときを凹型ともいう。
【0031】
異方性係数γは、圧電基板10の材料、複数の電極指20の材料、膜厚、及びピッチにより定まる。例えば、圧電基板10として回転YカットX伝搬ニオブ酸リチウム基板を用いると、異方性係数γは正となる。圧電基板10として回転YカットX伝搬タンタル酸リチウム基板を用いると、異方性係数γは負となる。回転YカットX伝搬タンタル酸リチウム基板を用い、複数の電極指20を重い材料とし且つ膜厚を大きくすると、異方性係数γが正となることもある。例えば、複数の電極指20として、複数の金属膜が積層されているとき、複数の金属膜のうち各金属膜の密度をρi、各金属膜のポアソン比をPi、各金属膜の膜厚をhi、銅の密度をρ0、銅のポアソン比をP0、及びピッチをλとしたとき、各金属膜における(hi/λ)×(ρi/ρ0)×(Pi/P0)を複数の金属膜について合計した値が0.08よりも大きくなると、圧電基板10の回転YカットX伝搬タンタル酸リチウム基板を用いた場合でも、弾性波共振器として異方性係数γを正とすることができる。
【0032】
例えば、複数の電極指20がCuを主成分として形成されている場合、h/λが0.08以上になると、異方性係数γが正となる。複数の電極指20がタングステン(W)を主成分として形成されている場合、h/λが0.05以上になると、異方性係数γが正となる。複数の電極指20がRuを主成分として形成されている場合、h/λが0.07より大きくなると、異方性係数γが正となる。複数の電極指20がモリブデン(Mo)を主成分として形成されている場合、h/λが0.08より大きくなると、異方性係数γが正となる。複数の電極指20がアルミニウム(Al)を主成分として形成されている場合、h/λが0.15以上になると、異方性係数γが正となる。複数の電極指20がTiを主成分として形成されている場合、h/λが0.125以上になると、異方性係数γが正となる。
【0033】
次に、発明者が行ったシミュレーションについて説明する。発明者は、実施例1の弾性波共振器100に対してコンダクタンス特性を測定するシミュレーションを行った。シミュレーションは、以下の構造の弾性波共振器100に対して行った。圧電基板10は、128°YカットX伝搬ニオブ酸リチウム基板とした。IDT12及び反射器14は、厚さ26nmのTi、厚さ252nmのCu、及び厚さ9nmのCrの積層金属膜とした。誘電体膜28は、電極上の厚さが1150nmの二酸化シリコン膜とした。誘電体膜30は、厚さ70nm、Y方向の長さ7.8μmの酸化アルミニウム膜とした。ピッチλは3.9μm、デュティ比は50%、IDT電極指対数は60対、交差幅(交差領域26の長さ)は234μmとした。また、比較のために、誘電体膜30が設けられていない点以外は、上記と同じ構造をした比較例1の弾性波共振器のコンダクタンス特性もシミュレーションした。なお、シミュレーションでは、実施例1及び比較例1共に異方性係数γは正であり、実施例1における第1領域32での弾性波の速度V1は第2領域34での弾性波の速度V2よりも速い。
【0034】
図3は、実施例1の弾性波共振器100及び比較例1の弾性波共振器におけるコンダクタンス特性のシミュレーション結果を示す図である。
図3の横軸は、共振周波数で規格化した規格化周波数である。縦軸は、コンダクタンスである。
図3のように、実施例1では、比較例1に比べて、スプリアスが抑制された結果となった。
【0035】
実施例1においてスプリアスが抑制された理由を説明する前に、まず、比較例1においてスプリアスが大きくなった理由を説明する。
図4(a)及び
図4(b)は、比較例1の弾性波共振器でスプリアスが大きくなったメカニズムを説明する図である。
図4(a)では、第1周波数f1において、交差領域26内をY方向に延びる電極指20を伝搬する波の振幅を示している。
図4(b)では、第2周波数f2において、交差領域26内をY方向に延びる電極指20を伝搬する波の振幅を示している。第2周波数f2は、第1周波数f1よりも高い。
【0036】
比較例1では、交差領域26内での複数の電極指20は、一様に誘電体膜28で覆われ且つ誘電体膜30は設けられていない。このため、電極指20をY方向に伝搬する弾性波の速度Viは、交差領域26内で同程度になる。また、弾性波の速度Viは、ギャップ領域24を伝搬する弾性波の速度Vgよりも遅い。異方性係数γが正で且つVi<Vgである場合、Y方向に伝搬する波は交差領域26から外部に漏れ難い状態になる。
【0037】
このような状態では、
図4(a)及び
図4(b)のように、第1周波数f1及び第2周波数f2において、交差領域26内での電極指20のY方向の中心に波の腹が位置し、電極指20のY方向の端に波の節が位置することが生じる。この場合、Y方向に伝搬する弾性波は交差領域26から外部に漏れず、交差領域26内をY方向に反射する。すなわち、定常波が発生するようになる。
【0038】
一方、第1周波数f1と第2周波数f2の間の第3周波数f3では、
図4(a)から
図4(b)に移行する間の状態となり、波の節が交差領域26での電極指20のY方向の端に位置しないことが生じる。この場合、Y方向に伝搬する弾性波は交差領域26から外部に漏れるようになる。すなわち、定常波は発生しないようになる。
【0039】
比較例1では、上述したように、交差領域26内での複数の電極指20は一様に誘電体膜28で覆われ且つ誘電体膜30が設けられていない。このため、X方向で並んだ複数の電極指20において、Y方向に生じる波の振幅が同じようになる。
図5は、比較例1の弾性波共振器における、スプリアス発生周波数での波分布のシミュレーション結果を示している。
図5の交差領域26内での黒い箇所が波の腹の位置に対応し、白い箇所が波の節の位置に対応する。
図5からも、比較例1では、X方向において、Y方向に生じる波の腹と節の位置が揃っていることが分かる。このようなことから、第1周波数f1及び第2周波数f2では、X方向に並んだ複数の電極指20においてY方向に伝搬する波が外部に漏れず、第3周波数f3では、X方向に並んだ複数の電極指20においてY方向に伝搬する波が外部に漏れることになる。すなわち、第1周波数f1及び第2周波数f2では波の外部への漏れ量が少なく、第3周波数f3では波の外部への漏れ量が多くなる。このために、比較例1ではスプリアスが大きくなったと考えられる。
【0040】
図6(a)から
図6(c)は、
図3の点A〜点Cの周波数での波分布のシミュレーション結果を示している。
図6(a)から
図6(c)では、波の振幅が所定値以上に大きい箇所を白抜きにして、振幅があまり大きくない波の腹の位置(黒い箇所)が識別できるようにしている。
図3及び
図6(b)のように、点Bにおける周波数では、バスバー電極22に多くの波が漏れていることが分かる。一方、
図3及び
図6(a)、
図6(c)のように、点A、点Cにおける周波数では、バスバー電極22に波があまり漏れていないことが分かる。これからも、X方向で並んだ複数の電極指20でY方向に伝搬する波の外部への漏れ量が多い周波数と少ない周波数とがあり、これによってスプリアスが大きくなっていることが分かる。
【0041】
図7(a)から
図7(c)は、実施例1の弾性波共振器100でスプリアスが抑制されるメカニズムを説明する図である。
図7(a)は、スプリアス発生周波数での波分布のシミュレーション結果を示していて、交差領域26内での黒い箇所が波の腹の位置に対応し、白い箇所が波の節の位置に対応している。
図7(b)は、所定周波数fにおいて、複数の電極指20のうちの第1電極指20aの第2領域34を伝搬する波の振幅を表し、
図7(c)は、所定周波数fにおいて、複数の電極指20のうちの第2電極指20bの第2領域34を伝搬する波の振幅を表している。
【0042】
実施例1では、複数の電極指20は、弾性波の速度がV1である第1領域32と、第1領域32の両側に位置し、弾性波の速度がV1よりも遅いV2である第2領域34と、を有する。異方性係数γが正で且つV1>V2であることから、Y方向に伝搬する波は第2領域34から外部に漏れ難い状態にある。また、第1領域32のY方向における位置はX方向に対して変化しているため、第1電極指20aの第2領域34のY方向の長さと第2電極指20bの第2領域34のY方向の長さとは異なっている。すなわち、第1電極指20aと第2電極指20bとで第2領域34の交差幅は異なっている。このため、所定周波数fにおいて、第1電極指20aでは、
図7(b)のように、第1電極指20aの端に波の節が位置しなくなり、第2電極指20bでは、
図7(c)のように、第2電極指20bの端に波の節が位置することが生じる。
図7(b)では、Y方向に伝搬する波が第2領域34から外部に漏れることが生じ、
図7(c)では、Y方向に伝搬する波は外部に漏れずに反射して定常波が発生することが生じる。
【0043】
このように、所定周波数fにおいて、Y方向に伝搬する波が外部に漏れる第1電極指20aと外部に漏れない第2電極指20bとが存在するため、X方向に並んだ複数の電極指20においてY方向に伝搬する波の外部への漏れ量が平均化される。このために、実施例1ではスプリアスが抑制されたと考えられる。
【0044】
図7(a)から
図7(c)では、異方性係数γが正で且つV1>V2である場合について説明したが、異方性係数γが正で且つV1<V2である場合でもスプリアスが抑制される。このことを、
図8(a)から
図9(c)を用いて説明する。
図8(a)から
図9(c)は、実施例1の弾性波共振器100でスプリアスが抑制されるメカニズムを説明する図である。
図8(a)及び
図9(a)は、スプリアス発生周波数での波分布のシミュレーション結果を示していて、交差領域26内での黒い箇所が波の腹の位置に対応し、白い箇所が波の節の位置に対応している。
図8(b)及び
図8(c)は、第1周波数f1において、複数の電極指20のうちの第3電極指20c及び第4電極指20dを伝搬する波の振幅を表している。
図9(b)及び
図9(c)は、第3周波数f3において、第3電極指20c及び第4電極指20dを伝搬する波の振幅を表している。なお、第1周波数f1と第3周波数f3は、比較例1でのメカニズムを説明した
図4(a)及び
図4(b)での第1周波数f1と第3周波数f3とに対応している。
【0045】
異方性係数γが正で且つV1>V2である場合、Y方向に伝搬する波は第1領域32から外部に漏れ難い状態にある。このような状態では、
図8(b)、
図8(c)、
図9(b)、及び
図9(c)のように、第1領域32の中心に波の腹が位置するようになる。
【0046】
この場合に、
図8(b)のように、第1周波数f1において、第3電極指20cでは、第3電極指20cの端に波の節が位置して、Y方向に伝搬する波が外部に漏れずに反射して定常波が発生することが生じる。一方、
図8(c)のように、第4電極指20dでは、第3電極指20cとY方向における第1領域32の位置が異なるため、第1周波数f1において、第4電極指20dの端に波の節が位置しなくなり、Y方向に伝搬する波が交差領域26から外部に漏れることが生じる。
【0047】
また、
図9(b)のように、第3周波数f3において、第3電極指20cでは、第3電極指20cの端に波の節が位置しなくなり、Y方向に伝搬する波が交差領域26から外部に漏れることが生じる。一方、
図9(c)のように、第3周波数f3において、第4電極指20dでは、第4電極指20dの端に波の節が位置して、Y方向に伝搬する波が外部に漏れずに反射して定常波が発生することが生じる。
【0048】
このように、第1周波数f1において、Y方向に伝搬する波が外部に漏れない第3電極指20cと、外部に漏れる第4電極指20dと、が存在する。第3周波数f3において、Y方向に伝搬する波が外部に漏れる第3電極指20cと、外部に漏れない第4電極指20dと、が存在する。このため、第1周波数f1と第3周波数f3とで、X方向に並んだ複数の電極指20においてY方向に伝搬する波の外部への漏れ量が平均化される。したがって、この場合にもスプリアスが抑制されると考えられる。
【0049】
以上のように、実施例1によれば、複数の電極指20は、弾性波の速度が第1速度である第1領域32と、第1速度とは異なる第2速度であってY方向で第1領域32を挟んで位置する第2領域34と、を有する。そして、第1領域32のY方向における位置は、X方向に対して変化している。これにより、
図7(a)から
図9(c)で説明したように、X方向に並んだ複数の電極指20においてY方向に伝搬する波の外部への漏れ量が平均化され、その結果、スプリアスが抑制される。また、交差領域26は矩形形状を維持したままとすることができるため、弾性波共振器100が大型化することを抑制できる。
【0050】
なお、実施例1では、誘電体膜30が酸化アルミニウム膜である場合を例に示したが、その他の場合でもよく、例えば窒化アルミニウム膜、炭化シリコン膜、又は酸化タンタル膜などの場合でもよい。誘電体膜30に窒化アルミニウム膜、又は炭化シリコン膜を用いた場合、第1領域32の弾性波の速度は速くなり、誘電体膜30に酸化タンタル膜を用いた場合、第1領域32の弾性波の速度は遅くなる。また、実施例1では、第1領域32上に誘電体膜30が設けられている場合を例に示しているが、第2領域34上に誘電体膜30が設けられている場合でもよい。
【0051】
なお、実施例1では、誘電体膜30の有無によって弾性波の速度が異なる第1領域32と第2領域34を形成しているが、その他の方法によって第1領域32と第2領域34を形成してもよい。
図10(a)及び
図10(b)は、弾性波の速度が異なる第1領域32と第2領域34を形成する第1の例を示す平面図である。
図10(a)及び
図10(b)のように、電極指20の幅を変えることで、弾性波の速度が異なる第1領域32と第2領域34を形成してもよい。電極指20の幅が広い領域は狭い領域に比べて、弾性波の速度が遅くなる。第1領域32での電極指20の幅は、第2領域34での電極指20の幅に対して、±5%程度の範囲で異なっていればよく、1%〜2%程度異なっている場合でもよい。
【0052】
図11(a)から
図11(d)は、弾性波の速度が異なる第1領域32と第2領域34を形成する第2の例を示す図である。
図11(a)及び
図11(b)は平面図であり、
図11(c)及び
図11(d)は、
図11(a)及び
図11(b)のA−A間の断面図である。
図11(a)から
図11(d)のように、電極指20の厚さを変えることで、弾性波の速度が異なる第1領域32と第2領域34を形成してもよい。電極指20が厚い領域は薄い領域に比べて、弾性波の速度が遅くなる。第1領域32での電極指20の厚さは、第2領域34での電極指20の厚さに対して、±10%程度の範囲で異なっていればよい。
【0053】
図12(a)及び
図12(b)は、弾性波の速度が異なる第1領域32と第2領域34を形成する第3の例を示す図である。
図12(a)は平面図であり、
図12(b)は、
図12(a)のA−A間の断面図である。
図12(a)及び
図12(b)のように、電極指20の上面に誘電体膜40が設けられているか否かで、弾性波の速度が異なる第1領域32と第2領域34を形成してもよい。誘電体膜40としては、例えば酸化アルミニウム膜、窒化アルミニウム膜、炭化シリコン膜、酸化シリコン膜、又は酸化タンタル膜などを用いることができる。誘電体膜40に酸化アルミニウム膜、窒化アルミニウム、炭化シリコン膜、又は酸化シリコン膜を用いた場合、誘電体膜40が設けられた第1領域32の弾性波の速度は速くなる。一方、誘電体膜40に酸化タンタル膜を用いた場合には、誘電体膜40が設けられた第1領域32の弾性波の速度は遅くなる。なお、
図12(a)及び
図12(b)では、誘電体膜40が設けられた領域を第1領域32とし、誘電体膜40が設けられていない領域を第2領域34としているが、反対の場合でもよい。
【0054】
図13(a)及び
図13(b)は、弾性波の速度が異なる第1領域32と第2領域34を形成する第4の例を示す図である。
図13(a)は平面図であり、
図13(b)は、
図13(a)のA−A間の断面図である。
図12(a)及び
図12(b)では、電極指20上にのみ誘電体膜40が設けられていたが、
図13(a)及び
図13(b)のように、誘電体膜40は複数の電極指20にわたって延びている場合でもよい。
【0055】
図14(a)及び
図14(b)は、弾性波の速度が異なる第1領域32と第2領域34を形成する第5の例を示す図である。
図14(a)は平面図であり、
図14(b)は、
図14(a)のA−A間の断面図である。
図14(a)及び
図14(b)のように、複数の電極指20を覆って設けられた例えば酸化シリコン膜である誘電体膜28の厚さが異なることで、弾性波の速度が異なる第1領域32と第2領域34を形成してもよい。
【0056】
図15(a)及び
図15(b)は、弾性波の速度が異なる第1領域32と第2領域34を形成する第6の例を示す図である。
図15(a)は平面図であり、
図15(b)は、
図15(a)のA−A間の断面図である。
図14(a)及び
図14(b)では、電極指20上でのみ誘電体膜28が厚くなっていたが、
図15(a)及び
図15(b)のように、複数の電極指20にわたって誘電体膜28の厚い部分が延びている場合でもよい。
【0057】
図16(a)から
図17(f)は、一対の櫛型電極18において、複数の電極指20の第1領域32のY方向における位置のバリエーションを示す図である。複数の電極指20の第1領域32のY方向における位置は、X方向に対して、
図16(a)のように直線状に変化してもよいし、
図16(b)のように曲線状に変化してもよいし、
図16(c)のように途中で折り返すように変化してもよい。曲線はどのような形をしていてもよい。折り返し点は1つの場合に限らず、
図16(d)のように複数ある場合でもよい。複数の電極指20の第1領域32のY方向における位置は、X方向に対して1本の線状に変化する場合に限られず、
図16(e)のように、複数本の線状に変化してもよい。
【0058】
図16(f)のように、1つの電極指20に複数の第1領域32が設けられ、それぞれのY方向における位置が、X方向に対して並行して直線状に変化してもよいし、
図16(g)から
図17(a)のように、並行せずに直線状に変化してもよい。
図17(b)及び
図17(c)のように、複数の電極指20の全てに第1領域32が形成される場合に限られず、1本おき又は複数本おきに第1領域32が形成されていてもよい。
図17(d)のように、X方向に並んだ複数の電極指20の全てに必ずしも第1領域32が形成されてなくてもよいし、
図17(e)のように、Y方向全体に第1領域32が形成されてなくてもよい。
図17(f)のように、第1領域32のY方向における位置がX方向に対してランダムに変化してもよい。なお、第1領域32のY方向の位置は、一部分において、X方向に対して変化してなくてもよい。