特許第6573843号(P6573843)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6573843ルート探索装置、ルート探索方法及びルート探索プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6573843
(24)【登録日】2019年8月23日
(45)【発行日】2019年9月11日
(54)【発明の名称】ルート探索装置、ルート探索方法及びルート探索プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/34 20060101AFI20190902BHJP
   G01C 21/26 20060101ALI20190902BHJP
   G09B 29/00 20060101ALN20190902BHJP
   G09B 29/10 20060101ALN20190902BHJP
【FI】
   G01C21/34
   G01C21/26 P
   !G09B29/00 A
   !G09B29/10 A
【請求項の数】8
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2016-59507(P2016-59507)
(22)【出願日】2016年3月24日
(65)【公開番号】特開2017-173133(P2017-173133A)
(43)【公開日】2017年9月28日
【審査請求日】2018年2月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】500578216
【氏名又は名称】株式会社ゼンリンデータコム
(74)【代理人】
【識別番号】100091546
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 正美
(72)【発明者】
【氏名】大石 尚徳
【審査官】 久保田 創
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−199341(JP,A)
【文献】 特開2002−337689(JP,A)
【文献】 特開2014−041022(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/34
G01C 21/26
G09B 29/00
G09B 29/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
公共交通機関に関する情報を蓄積する記憶手段の蓄積情報に基づいて、出発地を基準とする所定の範囲内に位置する前記公共交通機関の乗降場所である1以上の出発地側乗降ポイントを探索する第1のポイント探索手段と、
公共交通機関に関する情報を蓄積する記憶手段の蓄積情報に基づいて、目的地を基準とする所定の範囲内に位置する前記公共交通機関の乗降場所である1以上の目的地側乗降ポイントを探索する第2のポイント探索手段と、
前記第1のポイント探索手段で探索された前記出発地側乗降ポイントと前記第2のポイント探索手段で探索された前記目的地側乗降ポイントとを比較し、同一路線の前記出発地側乗降ポイントと前記目的地側乗降ポイントとを抽出する抽出手段と、
前記抽出手段で抽出された前記同一路線の前記出発地側乗降ポイントと前記目的地側乗降ポイントとを利用するルートをルート候補に含むように、ルート探索を行うルート探索手段と
を備え、
前記ルート探索手段は、前記公共交通機関の利用可能な便数が多い前記出発地側乗降ポイントを利用するルート候補を優先的に提供することを特徴とするルート探索装置。
【請求項2】
公共交通機関に関する情報を蓄積する記憶手段の蓄積情報に基づいて、出発地を基準とする所定の範囲内に位置する前記公共交通機関の乗降場所である1以上の出発地側乗降ポイントを探索する第1のポイント探索手段と、
公共交通機関に関する情報を蓄積する記憶手段の蓄積情報に基づいて、目的地を基準とする所定の範囲内に位置する前記公共交通機関の乗降場所である1以上の目的地側乗降ポイントを探索する第2のポイント探索手段と、
前記第1のポイント探索手段で探索された前記出発地側乗降ポイントと前記第2のポイント探索手段で探索された前記目的地側乗降ポイントとを比較し、同一路線の前記出発地側乗降ポイントと前記目的地側乗降ポイントとを抽出する抽出手段と、
前記抽出手段で抽出された前記同一路線の前記出発地側乗降ポイントと前記目的地側乗降ポイントとを利用するルートをルート候補に含むように、ルート探索を行うルート探索手段と
を備え、
前記第1のポイント探索手段は、前記出発地を含む地域から前記目的地を含む地域を方面とする路線の出発地側乗降ポイントに絞り込み、
前記第2のポイント探索手段は、前記出発地を含む地域から前記目的地を含む地域を方面とする路線の目的地側乗降ポイントに絞り込む
ことを特徴とするルート探索装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のルート探索装置であって、
前記第1のポイント探索手段で探索された出発地側乗降ポイントについて、同一路線の前記出発地側乗降ポイントが複数探索された場合には、前記出発地からの距離が最も近い前記出発地側乗降ポイントを抽出する第1の絞り込み手段と、
前記第2のポイント探索手段で探索された目的地側乗降ポイントについて、同一路線の前記目的地側乗降ポイントが複数探索された場合には、前記目的地からの距離が最も近い前記目的地側乗降ポイントを抽出する第2の絞り込み手段と
を備えることを特徴とするルート探索装置。
【請求項4】
請求項1、請求項2または請求項3に記載のルート探索装置であって、
前記抽出手段で抽出された同一路線の前記出発地側乗降ポイントと前記目的地側乗降ポイントとのペアごとに、出発地から出発地側乗降ポイントまでの距離と目的地側乗降ポイントから目的地までの距離との合計距離を算出する算出手段と、
前記算出手段で算出された前記合計距離が短い順に、所定件数以内の同一路線の前記出発地側乗降ポイントと目的地側乗降ポイントとを抽出する第2の抽出手段と
を備え、
前記ルート探索手段は、前記第2の抽出手段で抽出された前記同一路線の前記出発地側乗降ポイントと前記目的地側乗降ポイントとを利用するルートをルート候補に含むルートを探索することを特徴とするルート探索装置。
【請求項5】
第1のポイント探索手段が、公共交通機関に関する情報を蓄積する記憶手段の蓄積情報に基づいて、出発地を基準とする所定の範囲内に位置する前記公共交通機関の乗降場所である1以上の出発地側乗降ポイントを探索する第1のポイント探索工程と、
第2のポイント探索手段が、公共交通機関に関する情報を蓄積する記憶手段の蓄積情報に基づいて、目的地を基準とする所定の範囲内に位置する前記公共交通機関の乗降場所である1以上の目的地側乗降ポイントを探索する第2のポイント探索工程と、
抽出手段が、前記第1のポイント探索工程で探索された前記出発地側乗降ポイントと前記第2のポイント探索工程で探索された前記目的地側乗降ポイントとを比較し、同一路線の前記出発地側乗降ポイントと前記目的地側乗降ポイントとを抽出する抽出工程と、
ルート探索手段が、前記抽出工程で抽出した前記同一路線の前記出発地側乗降ポイントと前記目的地側乗降ポイントとを利用するルートをルート候補に含むようにルート探索を行うルート探索工程と
を有し、
前記ルート探索工程においては、前記公共交通機関の利用可能な便数が多い前記出発地側乗降ポイントを利用するルート候補を優先的に提供することを特徴とするルート探索方法。
【請求項6】
第1のポイント探索手段が、公共交通機関に関する情報を蓄積する記憶手段の蓄積情報に基づいて、出発地を基準とする所定の範囲内に位置する前記公共交通機関の乗降場所である1以上の出発地側乗降ポイントを探索する第1のポイント探索工程と、
第2のポイント探索手段が、公共交通機関に関する情報を蓄積する記憶手段の蓄積情報に基づいて、目的地を基準とする所定の範囲内に位置する前記公共交通機関の乗降場所である1以上の目的地側乗降ポイントを探索する第2のポイント探索工程と、
抽出手段が、前記第1のポイント探索工程で探索された前記出発地側乗降ポイントと前記第2のポイント探索工程で探索された前記目的地側乗降ポイントとを比較し、同一路線の前記出発地側乗降ポイントと前記目的地側乗降ポイントとを抽出する抽出工程と、
ルート探索手段が、前記抽出工程で抽出した前記同一路線の前記出発地側乗降ポイントと前記目的地側乗降ポイントとを利用するルートをルート候補に含むようにルート探索を行うルート探索工程と
を有し、
前記第1のポイント探索工程においては、前記出発地を含む地域から前記目的地を含む地域を方面とする路線の出発地側乗降ポイントに絞り込み、
前記第2のポイント探索工程においては、前記出発地を含む地域から前記目的地を含む地域を方面とする路線の目的地側乗降ポイントに絞り込むことを特徴とするルート探索方法。
【請求項7】
情報処理装置に搭載されたコンピュータを、
公共交通機関に関する情報を蓄積する記憶手段の蓄積情報に基づいて、出発地を基準とする所定の範囲内に位置する前記公共交通機関の乗降場所である1以上の出発地側乗降ポイントを探索する第1のポイント探索手段、
公共交通機関に関する情報を蓄積する記憶手段の蓄積情報に基づいて、目的地を基準とする所定の範囲内に位置する前記公共交通機関の乗降場所である1以上の目的地側乗降ポイントを探索する第2のポイント探索手段、
前記第1のポイント探索手段で探索された前記出発地側乗降ポイントと前記第2のポイント探索手段で探索された前記目的地側乗降ポイントとを比較し、同一路線の前記出発地側乗降ポイントと前記目的地側乗降ポイントとを抽出する抽出手段、
前記抽出手段で抽出された前記同一路線の前記出発地側乗降ポイントと前記目的地側乗降ポイントとを利用するルートをルート候補に含むようにルート探索を行うルート探索手段
として機能させ、
前記コンピュータを前記ルート探索手段として機能させる場合には、前記公共交通機関の利用可能な便数が多い前記出発地側乗降ポイントを利用するルート候補を優先的に提供することを特徴とするルート探索プログラム。
【請求項8】
情報処理装置に搭載されたコンピュータを、
公共交通機関に関する情報を蓄積する記憶手段の蓄積情報に基づいて、出発地を基準とする所定の範囲内に位置する前記公共交通機関の乗降場所である1以上の出発地側乗降ポイントを探索する第1のポイント探索手段、
公共交通機関に関する情報を蓄積する記憶手段の蓄積情報に基づいて、目的地を基準とする所定の範囲内に位置する前記公共交通機関の乗降場所である1以上の目的地側乗降ポイントを探索する第2のポイント探索手段、
前記第1のポイント探索手段で探索された前記出発地側乗降ポイントと前記第2のポイント探索手段で探索された前記目的地側乗降ポイントとを比較し、同一路線の前記出発地側乗降ポイントと前記目的地側乗降ポイントとを抽出する抽出手段、
前記抽出手段で抽出された前記同一路線の前記出発地側乗降ポイントと前記目的地側乗降ポイントとを利用するルートをルート候補に含むようにルート探索を行うルート探索手段
として機能させ、
前記コンピュータを前記第1のポイント探索手段として機能させる場合において、前記出発地を含む地域から前記目的地を含む地域を方面とする路線の出発地側乗降ポイントに絞り込み、
前記コンピュータを前記第2のポイント探索手段として機能させる場合において、前記出発地を含む地域から前記目的地を含む地域を方面とする路線の目的地側乗降ポイントに絞り込むことを特徴とするルート探索プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、電車や路線バスといった種々の公共交通機関を利用して移動するルート(経路)を探索するための装置、方法、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォンなどと呼ばれる高機能携帯電話端末やタブレットPC(Personal Computer)などと呼ばれる携帯型情報端末が、広く一般に利用されている。これらの携帯型の電子機器に例えば歩行者用のナビゲーションアプリ(ナビゲーションソフトウェア)をダウンロードするなどして、歩行者用ナビゲーション機能を利用できるようにしている使用者も多い。歩行者は電車やバスなどの種々の公共交通機関を利用して移動する場合が多いため、歩行者用のナビゲーションアプリでは、公共交通機関を利用したルート(経路)を探索できるようにしている。
【0003】
しかし、出発地や目的地の周辺に利用可能な駅やバス停などが多数存在する場合、ルート候補の数を増やすことができるが、結果として重複するルートが多数探索されたり、また、ルート探索の速度が遅くなったりする可能性がある。このため、後に記す特許文献1には、交通機関を利用する場合に選出(抽出)される出発地付近又は目的地付近の最寄駅が、同一交通路線上に規定数を超えて選出されたときは、当該選出されたものの中から規定数の有効最寄駅を特定する発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−101668号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の発明の場合、出発地付近又は目的地付近の最寄駅が、同一交通路線上に規定数を超えて選出されたときは、その数を制限し、重複したルートの探索やルート探索時間の増加を防止できる。しかし、特許文献1に記載の発明の場合には、出発地や目的地からの距離が近い順に、所定数の駅を選出する。この方法では、出発地と目的地との双方の近傍に、同一交通路線の駅が存在していても、それよりも出発地に近い他の路線の駅や目的地に近い他の路線の駅が所定数存在する場合には、出発地と目的地との双方で同一交通路線の駅が選出できない。
【0006】
このため、特許文献1に記載の方法の場合には、出発地と目的地との双方で同一交通路線の駅が選出できない場合があると考えられ、この場合には乗り換えのない利便性の高いルートが探索できなくなってしまう。しかし、出発地と目的地との双方において、単に選出する駅の数を増やした場合には、出発地側の駅と目的地側の駅との組み合わせが多くなり、ルート探索処理にかかる時間が長くなってしまう。
【0007】
以上のことに鑑み、公共交通機関を利用した移動ルートを探索する場合に、ルート探索の速度を低下させることなく、乗り換えの少ない移動ルートを確実に探索できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明のルート探索装置は、
公共交通機関に関する情報を蓄積する記憶手段の蓄積情報に基づいて、出発地を基準とする所定の範囲内に位置する前記公共交通機関の乗降場所である1以上の出発地側乗降ポイントを探索する第1のポイント探索手段と、
公共交通機関に関する情報を蓄積する記憶手段の蓄積情報に基づいて、目的地を基準とする所定の範囲内に位置する前記公共交通機関の乗降場所である1以上の目的地側乗降ポイントを探索する第2のポイント探索手段と、
前記第1のポイント探索手段で探索された前記出発地側乗降ポイントと前記第2のポイント探索手段で探索された前記目的地側乗降ポイントとを比較し、同一路線の前記出発地側乗降ポイントと前記目的地側乗降ポイントとを抽出する抽出手段と、
前記抽出手段で抽出された前記同一路線の前記出発地側乗降ポイントと前記目的地側乗降ポイントとを利用するルートをルート候補に含むように、ルート探索を行うルート探索手段と
を備え、
前記ルート探索手段は、前記公共交通機関の利用可能な便数が多い前記出発地側乗降ポイントを利用するルート候補を優先的に提供することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、公共交通機関を利用した移動ルートを探索する場合に、同一路線の出発地側乗降ポイントと目的地側乗降ポイントのペア(組合せ)が抽出できる。当該同一路線の出発地側乗降ポイントと目的地側乗降ポイントのペア(組合せ)を考慮してルート探索を行うので、ルート探索の速度を低下させることなく、乗り換えの少ない移動ルートを確実に探索できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施の形態のナビゲーションシステムの概要と、当該ナビゲーションシステムを構成するユーザ端末とルート探索サーバの概略構成を説明するための図である。
図2】ルート探索サーバのポイント探索部の処理の概要を説明するための図である。
図3】ユーザ端末とルート探索サーバとが協働して実行されるナビゲーション処理について説明するためのフローチャートである。
図4】ルート探索サーバにおいて行われるルート探索処理を説明するためのフローチャートである。
図5】ルート探索処理の他の例の場合のポイント探索部の処理の概要を説明するための図である。
図6】ルート探索サーバにおいて行われるルート探索処理の他の例を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、この発明の装置、方法、プログラムの一実施の形態について説明する。以下に説明する実施の形態においては、ユーザ端末とルート探索サーバとがネットワークを通じて接続されて構成されるナビゲーションシステムに、この発明を適用した場合を例にして説明する。なお、当該ナビゲーションシステムと同様の機能を、例えば、ノート型PC(Personal Computer)やタブレットPCなどの高機能の携帯端末を用いて構成されるナビゲーション装置単体により実現することも可能である。
【0014】
[実施の形態のナビゲーションシステムの構成例]
図1は、この実施の形態のナビゲーションシステムの概要と、当該ナビゲーションシステムを構成するユーザ端末1とルート探索サーバ3の概略構成を説明するための図である。まず、この実施の形態のナビゲーションシステムの概要について説明する。図1に示すように、この実施の形態のナビゲーションシステムは、ユーザ端末1とルート探索サーバ3とがネットワーク2を通じて接続されて構成されている。
【0015】
ユーザ端末1は、使用者(ユーザ)によって持ち運ばれて利用される携帯通信端末であり、例えば、スマートフォンと呼ばれる高機能携帯電話端末、ノート型PC、タブレットPCなどにより実現される。この実施の形態において、ユーザ端末1は、高機能携帯電話端末により実現されているものとする。ネットワーク2は、主にインターネットであるが、各通信機器からインターネットまでを接続する、例えば、携帯電話網、固定電話網、その他、種々のLAN(Local Area Network)などを含む。
【0016】
ルート探索サーバ3は、1つのサーバ装置により構成することもできるし、ネットワーク2上の複数のサーバ装置に、データ処理機能やデータ記憶機能等を分散させるようにした複数の処理装置からなるクラウドシステムとして構成することもできる。この実施の形態においては、説明を簡単にするため、ルート探索サーバ3は、1つのサーバ装置で構成されたものとして説明する。
【0017】
そして、ユーザ端末1は、いわゆるナビゲーションアプリが搭載されることにより、歩行者ナビゲーション機能を利用することができるようにされたものである。そして、詳しくは後述するが、ユーザ端末1の使用者は、公共交通機関を利用して移動する場合に、ルート探索条件をユーザ端末1からルート探索サーバ3に送信する。ルート探索サーバ3は、ユーザ端末1からのルート探索条件に従ってルート探索を行って1以上のルート候補を得て、これをユーザ端末1に提供する。ユーザ端末1の使用者は、ルート探索サーバ3からのルート候補の中から目的とするルートを選択し、そのルートを使用者が辿るようにルート案内を行うことができるようにしている。
【0018】
この実施の形態において、公共交通機関は、電車(鉄道)、バス、モノレール、飛行機、フェリーなどの船舶といった種々のものを含む。なお、バスには、路線バスは、一般的な近距離路線バス、長距離路線バス、高速バスなどを含む。以下においては、説明を簡単にするため、公共交通機関として、電車やバスを利用する場合を例にして説明する。
【0019】
そして、この実施の形態のナビゲーションシステムにおいて、ルート探索サーバ3は、使用者が電車やバスなどの公共交通機関を利用したルートで移動する場合に、乗り換えのない、あるいは、乗り換えの少ないルートを確実に探索できるようにしている。すなわち、ルート探索サーバ3は、単に、出発地からの距離が近い駅やバス停と、目的地に近い駅やバス停を利用するルートを探索するものではない。公共交通機関の路線や方面を考慮して、乗り換えのない、あるいは、乗り換えの少ないルートを確実に探索することができるようにしている。
【0020】
なお、公共交通機関の路線は、出発地点と目的地点とを結ぶ線を意味する。具体的に、電車の場合の路線は、例えば、山手線、京浜東北線、宇都宮線などの鉄道線路の名称に対応する。また、バスの場合の路線は、例えば、上23(上野松坂屋前-平井駅前)[都営バス]などのように、路線を特定する情報「上23」と始点と終点「上野松坂屋前-平井駅前」と、バス会社「都営バス」などを示す情報などにより表される。また、飛行機の場合には、始点空港と終点空港、船舶の場合には、始点港と終点港などにより路線を示し、これにより特定することもできる。
【0021】
また、方面は、その方向の地域を意味する。出発地を含む地域から目的地を含む地域に向う場合に、その目的地を含む地域を方面という。したがって、公共交通機関が電車の場合であって、路線が京浜東北線の場合には、大宮駅に向かう電車の方面は、「大宮方面行」或いは「北行」であり、横浜に向う電車の方面は「横浜方面行」或いは「南行」というように表される。当該「方面」によって、その電車の向かう方向が特定できる。
【0022】
また、バスの場合の方面は、上述の例の「上23(上野松坂屋前-平井駅前)[都営バス]」の場合には、「上野松坂屋前行」、「平井駅前行」などというように表される。当該「方面」によって、そのバスの向かう方向が特定できる。飛行機や船舶の場合にも、目的地側の空港名や目的地側の港湾名などにより方面を表すことができる。
【0023】
また、図1においては、ユーザ端末1は、1つしか示していないが、実際には多数の使用者が所持する多数のユーザ端末1のそれぞれが、ルート探索サーバ3と協働して動作する。以下、この実施のナビゲーションシステムを構成するユーザ端末1とルート探索サーバ3のそれぞれについて説明する。
【0024】
[ユーザ端末1の構成例]
まず、ユーザ端末1の構成例について説明する。図1の下側のブロック図に、ユーザ端末1の基本構成を示す。図1において、送受信アンテナ101A及び無線通信部101は、ネットワーク2を通じた信号の送受信機能(通信機能)を実現する。制御部102は、ユーザ端末1の各部を制御するものであり、図示しないが、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random access Memory)がCPUバスを通じて接続されて構成されたコンピュータ装置である。また、制御部102は、種々のアプリケーションを実行するアプリ実行部としても機能する。
【0025】
記憶装置103は、記録媒体として不揮発性メモリを備え、種々のアプリケーションプログラムや種々の処理により得られたデータ等の当該不揮発性メモリへの書込み/記録保持/読み出し/削除を行う。操作部104は、ユーザ端末1に設けられたハードウェアキーからなり、使用者からの操作入力を受け付けて、受け付けた情報を制御部102に供給する。なお、操作部104に設けられたハードウェアキーは例えば電源のオン/オフキーや基本機能を実行するための幾つかのファンクションキー等である。
【0026】
時間管理部105は、現在年月日、現在曜日、現在時刻を管理する。また、時間管理部105は、いわゆるタイマー機能を実現する。GPS部106およびGPSアンテナ106Aは、自機の現在位置を測位する機能を実現する。表示部107Dは、制御部102の制御により、静止画や動画などの種々の映像情報を表示する機能を実現する。表示部107Dと当該表示部107Dの表示画面に対応して設けられたタッチセンサ107Sとにより、タッチパネル108が構成される。したがって、制御部102は、タッチセンサ107Sからの使用者の指示位置を示す情報と当該指示位置に対応する表示部107Dの表示画面上に表示された情報とに基づいて、使用者からの指示入力を受け付けることができるようになっている。
【0027】
音声出力部109は、これに供給される種々の音声データをアナログ音声信号に変換し、これをスピーカ110に供給する。これにより、音声出力部109に供給された音声データ応じた音声がスピーカ110から放音される。これら音声出力部109およびスピーカ110は、ルート案内メッセージや音声ガイダンスなどを放音する場合などに用いられる。
【0028】
要求形成部111は、例えばルート探索要求や地図情報などの提供要求といった、ルート探索サーバ3に対する種々の要求を形成し、これを無線通信部101及び送受信アンテナ101Aを通じてルート探索サーバ3に送信する。提供情報出力制御部112は、ルート探索サーバ3から提供を受けたルート候補を表示部107Dに表示したり、ルート案内のための地図を表示部107Dに表示して、ルート案内用の音声メッセージを、音声出力部109を通じてスピーカ110から放音したりする処理を行う。
【0029】
このように、この実施の形態のユーザ端末1は、後述するルート探索サーバ3と協働することによって、ナビゲーション装置として機能し、ユーザ端末1を持ち歩く使用者に対して、いわゆる徒歩ナビゲーション機能を提供することができるものである。
【0030】
[ルート探索サーバ3の構成例]
次に、ルート探索サーバ3の構成例について説明する。図1の上側のブロック図に、ルート探索サーバ3の基本構成示す。図1において、通信I/F301は、ネットワーク2を通じた信号の送受信機能(通信機能)を実現する。制御部302は、ルート探索サーバ3の各部を制御するものであり、図示しないが、CPU、ROM、RAMがCPUバスを通じて接続されて構成されたコンピュータ装置である。また、制御部302は、種々のアプリケーションを実行するアプリケーション実行部としても機能する。記憶装置303は、記録媒体としてハードディスクを備え、種々のアプリケーションプログラムや種々の処理により得られたデータ等の当該ハードディスクへの書込み/記録保持/読み出し/削除を行う。
【0031】
図DB304、歩行者NWDB305、交通機関NWDB306、道路NWDB307のそれぞれは、ハードディスクなどの大容量記録媒体に形成され、所定のデータを記憶保持する。ここで、地図DB304における文字「DB」は、データベース(Data Base)の略称である。また、歩行者NWDB305等における文字「NWDB」はネットワークデータベース(Network Data Base)の略称である。
【0032】
図DB304は、地図を描画するための例えばベクトルデータやラスタデータ、注記(注釈)データ等の種々の地図情報(地図データ)を緯度・経度情報に対応付けて記憶保持する。具体的に、地図DB304に蓄積されている地図情報は、例えば、道路、鉄道、河川、山岳、施設、住宅、標識などの所定の種別毎(レイヤ毎)に形成されている。
【0033】
歩行者NWDB305は、ノードデータ及びリンクデータからなる歩行者ネットワークデータを記憶保持する。ノードデータは、ランドマーク、建物、施設、交差点、分岐点、屈曲点などの地点を表す。また、リンクデータは、ノードデータを結ぶ線分によって、歩行者が歩行可能なルートを示す。具体的に、リンクデータは、歩行者が通行可能な一般道、種々の道路に付随する歩道、横断歩道、歩道橋、建物内や公園内の通り抜け可能な歩行者用通路など、歩行者が通行可能な種々の道路(通路)を示す。そして、各リンクデータには、そのリンクを構成するノードの番号と、リンクコストと、リンク種別等の情報が対応付けられている。
【0034】
リンクコストは、そのリンクが表す道路を通行する際に使用者(ユーザ)にかかる負荷を表している。この実施の形態においてリンクコストは、そのリンクが表す道路の長さに応じて設定されている。なお、リンクコストは、そのリンクが表す道路を通行するのに要する時間に応じて設定されていてもよい。そして、リンクコストは、いわゆるダイクストラ法により、リンクコストが最小となる経路を探索する場合に参照される。リンク種別は、当該リンク部分が、一般道、種々の道路に付随する歩道、横断歩道、歩道橋、建物内や公園内の通り抜け可能な歩行者用通路などを示す。
【0035】
交通機関NWDB306は、公共交通機関として、電車、バス、モノレール、飛行機、船舶などのネットワークデータ、時刻表、料金表などの情報を記憶保持する。電車ネットワークデータは、各鉄道会社の路線別の駅ノードデータと駅間リンクデータ、路線間の乗り換えリンクデータ、アクセス・イグレスリンクデータなどから構成される。駅ノードデータは、運営主体、路線名、駅名などの情報を持ち、駅間リンクデータは、運営主体、路線名、距離、速度、運賃などの情報を持つ。乗り換えリンクデータは、距離、速度、運賃などの情報を持つ。
【0036】
また、出発地から最寄り駅までのリンクがアクセスリンクであり、下車駅から目的地までのリンクがイグレスリンクである。アクセス・イグレスリンクは、簡単には、駅間リンク以外の駅ノードへの種々のリンクを意味する。また、電車ネットワークデータは、電車の各路線のダイヤ情報などをも備えている。この電車ネットワークデータにより、出発地から目的地まで経路において、使用者が電車で移動すべき経路の探索と案内とを実現できる。
【0037】
また、電車以外のバス、モノレール、飛行機、船舶などの公共交通機関についても、基本的には電車ネットワークデータの場合と同様に、各公共交通機関の運営会社の路線別の乗降点ノードデータと乗降点間リンクデータ、路線間の乗り換えリンクデータ、アクセス・イグレスリンクデータなどから構成される。これらのデータを備えた交通機関NWDB306があることにより、総合ナビゲーションサービスが実現できる。
【0038】
道路NWDB307は、基本的なデータ構成は、歩行者NWDB305と同様である。しかし、道路NWDB307で管理されるリンクデータは、高速道路、国道、県道、市町村道、私道などの自動車が通行可能な経路を示す。各リンクデータには、そのリンクを構成するノードの番号と、リンクコストと、リンク種別等の情報が対応付けられている。
【0039】
そして、要求抽出部308は、通信I/F301を通じて制御部302がユーザ端末1からの要求を受信した場合に、制御部302の制御の下、受信した要求を分解し、必要となる情報を抽出して、抽出した情報を関係する処理部に供給する。例えば、要求抽出部308は、受信した要求の種別を示す情報から当該要求がルート探索要求である場合には、当該要求から探索モード、出発地、目的地の各データを抽出し、これをポイント探索部309、ルート探索部310に供給する。
【0040】
ポイント探索部309は、制御部302の制御の下、要求抽出部308により抽出された探索モード、出発地、目的地に基づいて、交通機関NWDB306を利用し、使用するようにされた公共交通機関の乗降ポイント(乗降ノード)を探索する。ここで、乗降ポイントは、利用する公共交通機関が電車やモノレールなどの場合には駅であり、路線バスの場合にはバス停である。
【0041】
なお、公共交通機関として飛行機やフェリーなどの船を利用する場合もある。そして、利用する公共交通機関が飛行の場合には、乗降ポイントは空港になり、フェリーなどの船の場合には港になる。しかし、空港や港の場合、駅やバス停のように、出発地や目的地の周辺に多数存在する場合はあまりないと考えられるので、上述もしたように、この実施の形態では、公共交通機関として電車やバスを利用する場合を例にして説明する。
【0042】
この実施の形態のポイント探索部309は、公共交通機関として電車やバスを利用することが選択された場合に、出発地周辺の駅やバス停、目的地周辺の駅やバス停を探索する。図2は、ポイント探索部309の処理の概要を説明するための図である。図2(A)、(B)において、文字「A1」、「D1」、「C4」、「D2」、「E1」は、例えば、駅名であり、アルファベットは路線名称であるとする。すなわち、文字「A1」は、路線Aの1番の駅という意味である。
【0043】
そして、図2(A)に示すように、出発地Sの周辺には、2つの駅「A1」、「D1」が存在し、図2(B)に示すように、目的地Gの周辺には、3つの駅「C4」、「D2」、「E1」が存在していたとする。図2(A)に示すように、出発地Sに対して、駅「D1」の方が駅「A1」よりも近くに位置しているとする。また、図2(B)に示すように、目的地Gに対して、駅「E1」が一番近く、次に駅「C4」が近く、駅「D2」は目的地Gに対して一番遠い位置にあるとする。
【0044】
そして、ルート探索のために、出発地Sに近い駅2つと、目的地Gに近い駅2つを抽出して利用するように取決められていたとする。この場合、出発地S側では、駅「A1」、「D1」が抽出され、目的地G側では、駅「E1」、「C4」が抽出される。この場合、図2(C)に示すように、駅「A1」→駅「E1」、駅「A1」→駅「C4」、駅「D1」→駅「E1」、駅「D1」→駅「C4」を通る4つのルートが探索できることになる。
【0045】
図2(A)、(B)、(C)を見ると分かるように、駅「A1」→駅「D2」を通るルートと駅「D1」→駅「D2」を通るルートは、駅「D2」が目的地Gから遠いために抽出されない。この場合、同一路線Dの駅である駅「D1」→駅「D2」を通る乗り換えのないルートが抽出されない。すなわち、乗り換えのないルートの探索ができない。しかし、抽出する駅の数を増やせば、その分、出発地側の駅と目的地側の駅の組合せが増え、探索するルートの数も増える。この場合、ルート探索時間の増加を招くことなる。
【0046】
このため、この実施の形態のルート探索サーバ3のポイント探索部309は、従来通り、出発地Sに近い駅2つと、目的地Gに近い駅2つを抽出し、これらを用いるルートを探索できるようにする。さらに、ポイント探索部309は、出発地S周辺に位置する駅と目的地G周辺に位置する駅との路線を比較し、同じ路線の駅の組合せを抽出する。具体的に、図2(A)、(B)に示した状態の場合、出発地S周辺にある駅「D1」と目的地G周辺にある駅「D2」とは、いずれも路線Dの駅である。このため、図2(D)に示すように、出発地S周辺にある駅「D1」と、目的地G周辺にある駅「D2」とを抽出し、駅「D1」→駅「D2」を通るルートも探索できるようにする。
【0047】
この場合、単に抽出する駅の数を増やし、駅「A1」→駅「D2」を通るルートと駅「D1」→駅「D2」を通るルートとを探索できるようにするものではない。同じ路線Dの駅である出発地S側の駅「D1」と目的地G側の駅「D2」とのペア(組合せ)をルート探索に用いることができるようにするにとどめ、ルート探索のために係る時間が不必要に長くなることを防止している。このように、この実施の形態のルート探索サーバ3のポイント探索部309は、同一路線の利用候補駅のペア(組合せ)を考慮して、出発地側と目的地側において、利用可能な駅を抽出するようにしている。
【0048】
ルート探索部310は、制御部302の制御の下、ユーザ端末1からのルート探索要求に応じたルート探索を行う。この場合、ルート探索部310は、要求抽出部308により抽出された探索モード、出発地、目的地と、ポイント探索部309で抽出された出発地周辺と目的地周辺の乗降ポイント(駅やバス停など)とに基づいてルート探索を行う。この場合、ルート探索部310は、歩行者NWDB305、交通機関NWDB306、道路NWDB307を利用し、ルート探索を行って、当該出発地から当該目的地までのルート(経路)を探索する。なお、ルート探索部310は、探索した各ルート候補の所要時間、徒歩時間、公共交通機関の利用時間(乗車時間等)、待ち時間、乗り換え回数、運賃なども、交通機関NWDB306の情報に基づいて特定できる。
【0049】
情報提供部311は、制御部302の制御の下、ルート探索部310で探索されたルート候補を、通信I/F301を通じてルート探索要求元のユーザ端末1に提供する。また、情報提供部311は、ユーザ端末1からの要求に応じて、ルート案内に必要になる地図情報やネットワークデータを地図DB304や歩行者NWDB305などから抽出して、当該ユーザ端末1に提供する処理も行う。このように、情報提供部311は、ユーザ端末1からの要求に応じて、必要となる情報を集め、これを要求元のユーザ端末1に提供する処理を行う。
【0050】
このような構成を有するユーザ端末1とルート探索サーバ3とが協働することにより、ユーザ端末1を通じて使用者がナビゲーション機能を利用することができるようにしている。
[ナビゲーション処理の概要]
次に、図1を用いて構成例を説明したこの実施の形態のユーザ端末1とルート探索サーバ3とにより実現されるナビゲーションシステムでのナビゲーション機能の概要を説明する。その後、この実施の形態のルート探索サーバ3の主にポイント探索部309とルート探索部310で行われるルート探索処理の詳細について説明する。
【0051】
図3は、ユーザ端末1とルート探索サーバ3とが協働して実行されるナビゲーション処理について説明するためのフローチャートである。ユーザ端末1の制御部102は、タッチパネル108を通じて、所定のメニューから例えば歩行者ナビゲーション機能に対応する項目が使用者により選択されると、歩行者ナビゲーション機能を実行させるようにする(ステップS11)。すなわち、ステップS11において、ユーザ端末1の制御部102は、歩行者ナビゲーションを行うためのナビゲーションアプリを実行させる。
【0052】
そして、制御部102は、URL(Uniform Resource Locator)が設定されているルート探索サーバ3にアクセスし(ステップS12)、ナビゲーション機能の実行に必要になる入力画面などの必要情報の提供を要求する。ルート探索サーバ3の制御部302は、ユーザ端末1からアクセスがあると、これを受け付け(ステップS21)、情報提供部311を制御し、入力画面などの必要情報をユーザ端末1に提供する(ステップS22)。
【0053】
ユーザ端末1の制御部102は、ルート探索サーバ3からの入力画面などの必要情報の提供を受け付け(ステップS13)、これを表示部107Dに表示する(ステップS14)。この後、ユーザ端末1の制御部102は、タッチパネル108を通じてルート探索条件などの入力を受け付け、受け付けた情報を基に、ルート探索要求を形成し、これをルート探索サーバ3に送信する(ステップS15)。ルート探索要求は、例えば、種別、探索モード、出発地、目的地などの情報を含むものである。ここで、種別は、当該データがどのようなデータかを示す情報である。したがって、この例の場合、種別により、当該要求が、ルート探索要求であることが示される。
【0054】
探索モードは、使用する公共交通機関の種類を示す情報、「距離優先」、「時間優先」、「交通費の安いルート優先」、「乗り換えの少ないルート優先」といった優先モードを示す情報などからなる。また、出発地、目的地は、それらに対応する場所の緯度、経度である。具体的に、出発地は、GPS部106を通じて取得したユーザ端末1の現在位置(緯度、経度)である。なお、出発地にある施設の名称や住所を入力し、それらの情報に対応する場所の緯度、経度をルート探索サーバ3から取得し、この取得した緯度、経度を用いることもできる。また、目的地は、目的地である施設の名称や住所を入力し、その名称や住所に対応する場所の緯度、経度をルート探索サーバ3から取得して、これを用いる。
【0055】
このように、入力した名称や住所に対応する場所の緯度、経度をルート探索サーバ3から取得するのは、入力した名称や住所が誤っているなどして、目的地の特定をルート探索サーバ3でできないことを防止するためである。すなわち、入力した名称や住所が誤っている場合には、対応する緯度、経度が取得できない。そこで、ルート探索サーバ3と協働することによって、ユーザ端末1において、ルート探索要求を形成する前に、入力に誤りがあることが検知でき、入力をし直すことができるようにしている。
【0056】
ルート探索サーバ3の制御部302は、ユーザ端末1からのルート探索要求を受け付け(ステップS23)、ポイント探索部309及びルート探索部310を制御し、ルート探索処理を実行する(ステップS24)。このステップS24で行われるルート探索処理の詳細については後述する。そして、ルート探索サーバ3の制御部302は、情報提供部311を制御して、ステップS24のルート探索処理により得られたルート候補を示す情報をユーザ端末1に提供する(ステップS25)。
【0057】
ユーザ端末1の制御部102は、ルート探索サーバ3からのルート候補を示す情報を受信して、これを表示部107Dに表示する(ステップS16)。そして、ユーザ端末1の制御部102は、タッチパネル108を通じて、使用者からのルート候補の選択入力を受け付け、使用者により選択されたルートをルート探索サーバ3に通知する(ステップS17)。
【0058】
ルート探索サーバ3の制御部302は、ユーザ端末1からの選択されたルートの通知を受け付ける(ステップS26)。そして、制御部302は、情報提供部311を制御し、当該選択されたルートを辿るようにルート案内するための地図情報やネットワークデータを地図DB304、歩行者NWDB305などから抽出し、これをユーザ端末1に提供する。
【0059】
ユーザ端末1の制御部102は、ルート探索サーバ3からのルート案内を行うために必要となる地図情報などの提供を受け付けて、記憶装置103に記憶する(ステップS18)。そして、制御部102は、提供情報出力制御部112を制御し、ルート案内処置を開始する(ステップS19)。このステップS19では、ルート探索サーバ3からの地図情報を表示部107Dに表示し、GPS部106を通じて取得する自機の現在位置を示すマークを表示部107Dに表示した地図上に重畳して表示する。さらに、ルート探索サーバ3からの案内用の音声メッセージがある場合には、当該音声メッセージに付加されている出力位置に到達した場合に、当該音声メッセージを音声出力部109及びスピーカ110を通じて放音する処理を開始する。
【0060】
このように、この実施の形態においては、ユーザ端末1とルート探索サーバ3とが協働することにより、ユーザ端末1を通じて使用者が歩行者ナビゲーション機能を利用することができるようにしている。
【0061】
[ルート探索処理]
図4は、図3に示したステップS24において、ルート探索サーバ3の制御部302の制御の下、主にポイント探索部309及びルート探索部310によって行われるルート探索処理の詳細について説明するためのフローチャートである。ルート探索サーバ3の制御部302は、ユーザ端末1からのルート探索要求の探索モードが、電車やバスなどの公共交通機関を利用することを示す情報を含んでいる場合に、図3に示したステップS24において、図4に示す処理を実行する。
【0062】
この場合、制御部302は、まず、ポイント探索部309を制御し、交通機関NWDB306を用いて、出発地と目的地のそれぞれについて、周辺に位置する目的とする公共交通機関の乗降ポイントを探索する処理を行う(ステップS101)。具体的に、ステップS101において、ポイント探索部309は、出発地から半径Xkmの範囲内にある、ユーザ端末1の使用者が利用しようとしている例えば電車やバスなどの公共交通機関の乗降ポイント(駅やバス停など)を探索する。また、ステップS101において、ポイント探索部309は、目的地から半径Xkmの範囲内にある、ユーザ端末1の使用者が利用しようとしている例えば電車やバスなどの公共交通機関の乗降ポイント(駅やバス停など)を探索する。なお、半径Xkmの範囲は、例えば、半径1kmの範囲、半径1.5kmの範囲、…などというように予め定められる。
【0063】
次に、ポイント探索部309は、制御部302の制御の下、出発地と目的地のそれぞれについて、ステップS101で探索した乗降ポイントを、出発地からの距離の近い順、目的地からの距離の近い順にソート(並べ替え)する(ステップS102)。そして、ポイント探索部309は、出発地と目的地のそれぞれについて、上位Y件(例えば2件)の乗降ポイントを抽出する。このステップS101〜ステップS103の処理により、出発地側と目的地側とにおいて、最低限考慮すべき乗降ポイントが取得される。
【0064】
さらに、ポイント探索部309は、ステップS101の処理で探索した出発地周辺の乗降ポイントについて、路線名と方面とで絞り込み、出発地からの距離が最も近いものを抽出(採用)し、他は候補から除外する処理を行う(ステップS104)。このステップS104の処理は、路線名+方面が完全に一致するものは、出発地からの距離が最も近いものを残し、他は除外する処理である。同一路線で同一方向の駅やバス停が複数あると、駅やバス停が異なる(前後にずれる)だけで、重複するルートが探索されることになるためである。
【0065】
また、ポイント探索部309は、ステップS101の処理で探索した目的地周辺の乗降ポイントについて、路線名と方面とで絞り込み、目的地からの距離が最も近いものを抽出(採用)し、他は候補から除外する処理を行う(ステップS105)。このステップS105の処理もステップS104の処理と同様に、路線名+方面が完全に一致するものは、目的地からの距離が近いものを残し、他は除外する処理である。すなわち、同一路線で同一方向の駅やバス停が複数あると、上述もしたように、駅やバス停が異なる(前後にずれる)だけで、重複するルートが探索されることになるためである。
【0066】
そして、ポイント探索部309は、ステップS104において絞り込んだ出発地周辺の乗降ポイントと、ステップS105において絞り込んだ目的地周辺の乗降ポイントとを比較し、同一路線の乗降ポイントを抽出する(ステップS106)。このステップS104〜ステップS106の処理により、乗り換えのないルートを探索できるようにするための乗降ポイントが取得される。
【0067】
この後、制御部302は、ルート探索部310を制御し、ステップS103とステップS106で抽出した乗降ポイントの組合せを考慮して、出発地から目的地までのルート探索を実施する(ステップS107)。この場合、ステップS107では、出発地周辺の目的とする公共交通機関の抽出された乗降ポイントと目的地周辺の目的とする公共交通機関の抽出された乗降ポイントとを利用する複数のルートを探索することができる。
【0068】
すなわち、図2を用いて説明した例の場合、従来のルート探索処理の場合、図4のステップS101〜103の処理の直後にステップS107の処理が行われていた。このため、図2を用いて説明したように、出発地からの距離が近い2つの乗降ポイントと、目的地からの距離が近い2つの乗降ポイントを抽出して利用する場合、図2(C)を用いて説明したように、同一路線の乗降ポイントが漏れてしまう場合があった。
【0069】
しかし、この例のルート探索処理の場合には、図4のステップS104〜ステップS106の処理を行うことにより、出発地周辺と目的地周辺の同一路線の乗降ポイントを考慮することができるようにされる。これにより、出発地周辺と目的地周辺の双方に、同一路線の乗降ポイントが存在する場合には、当該同一路線の乗降ポイントを考慮し、乗り換えのないルートを確実に探索できるようになる。
【0070】
また、ステップS104〜ステップS106の処理は、同一路線のペアとなる乗降ポイントを一義的に特定し、出発地側と目的地側の乗降ポイントの組合せを増やすことが無いようにしている。すなわち、図2(C)を用いて説明したように、出発地側の乗降ポイントや目的地側の乗降ポイントを単に増やして、出発地側の乗降ポイントと目的地側の乗降ポイントの組合せを多くすることがないようにしている。これにより、探索するルートの数を不必要に多くすることがなく、ルート探索処理に掛かる時間が必要以上に長くならないようにできる。
【0071】
このようにして探索されたルートが、図3に示したステップS25の処理を通じて、ユーザ端末1の使用者が選択可能なルート候補として、ユーザ端末1の使用者からの要求に応じた順番に並べ替えられて、ユーザ端末1に提供される。この場合、並べ替えは、例えば、「距離優先」、「時間優先」、「交通費の安いルート優先」、「乗り換えの少ないルート優先」などといったユーザ端末1からのルート探索要求に含まれる指示に応じた順番で並べ替えられる。
【0072】
そして、ユーザ端末1の使用者は、ルート探索サーバ3におけるルート探索の結果得られたルート候補の中から、自分が辿るべきルートを選択し、そのルートを辿れるように案内するための地図情報の提供をルート探索サーバ3から受ける。この地図をユーザ端末1の表示部107Dに表示し、また、当該地図上にユーザ端末1の現在位置を表示して、徒歩ナビゲーションアプリの機能により、当該ルートを辿って目的地に向かうようにルート案内が行われる。
【0073】
このように、この例の場合には、乗り換えのないルートが存在する場合には、その乗り換えのないルートを確実に探索し、ユーザ端末1を通じてユーザに提供し、使用者の選択に応じて、当該ルートをルート案内のルートとして用いることができる。
【0074】
[ルート探索処理の他の例]
図4を用いて説明したルート探索処理の場合、同一路線の乗降ポイントのペアが複数抽出できた場合には、抽出できた同一路線の乗降ポイントのペア(組合せ)の全てを考慮したルート探索が行われる。しかし、同一路線の乗降ポイントのペアが複数抽出できた場合であっても、その内、歩行距離の短いルートだけを考慮すればよい場合もある。そこで、以下に説明するルート探索処理の他の例は、同一路線の乗降ポイントのペアが複数抽出できた場合に、その乗降ポイントのペアを、出発地から出発地側の乗降ポイントまでの距離と目的地側の乗降ポイントから目的地までの距離とを考慮して絞り込むようにしている。
【0075】
図5は、このルート探索処理の他の例の場合のポイント探索部309の処理の概要を説明するための図である。図5において、文字「A1」、「D1」、「C4」、「D2」、「E1」、「A2」のそれぞれは、図2の場合と同様に、例えば、駅名であり、アルファベットは路線名であるとする。すなわち、文字「A1」は、路線Aの1番の駅という意味である。
【0076】
そして、図5(A)、(B)と図2(A)、(B)とを比較すると分かるように、図5の例の場合には、目的地G側に路線Aの駅A2が存在している場合を示している。すなわち、図5(A)に示すように、出発地Sの周辺には、2つの駅「A1」、「D1」が存在し、図5(B)に示すように、目的地Gの周辺には、4つの駅「C4」、「D2」、「E1」、「A2」が存在しているものとする。図5(A)に示すように、出発地Sに対して、駅「D1」の方が駅「A1」よりも近くに位置しているとする。また、目的地Gに対して、駅「E1」が一番近く、次に駅「C4」が近く、駅「D2」、駅「A2」は目的地Gに対して一番遠い位置にあるとする。
【0077】
そして、ルート探索のために、出発地Sに近い駅2つと、目的地Gに近い駅2つを抽出して利用するように取決められていたとする。この場合、出発地S側では、駅「A1」、「D1」が抽出され、目的地G側では、駅「E1」、「C4」が抽出される。したがって、図5(C)に示すように、駅「A1」→駅「E1」、駅「A1」→駅「C4」、駅「D1」→駅「E1」、駅「D1」→駅「C4」を通る4つのルートが探索できることになる。ここまでは、図2(A)、(B)、(C)を用いて説明した場合と同じである。
【0078】
したがって、図5(A)、(B)、(C)を見ると分かるように、駅「A1」→駅「D2」を通るルートと駅「D1」→駅「D2」を通るルートは、駅「D2」が目的地Gから遠いために抽出されない。同様に、駅「A1」→駅「A2」を通るルートと駅「D1」→駅「A2」を通るルートは、駅「A2」が目的地Gから遠いために抽出されない。したがって、この例の場合、最初の乗降ポイントの抽出処理では、同一路線Dの駅である駅「D1」→駅「D2」を通る乗り換えのないルートと、同一路線Aの駅である駅「A1」→駅「A2」を通る乗り換えのないルートは抽出されない。
【0079】
このため、図4を用いて説明したルート探索処理を実行すれば、図5(D)に示すように、乗り換えを生じさせない同一路線の駅である駅「A1」→駅「A2」のペアと、駅「D1」→駅「D2」のペアが抽出できる。しかし、このように複数の乗り換えを生じさせない同一路線の乗降ポイントのペアが探索できても、ユーザ端末1の使用者からは、できるだけ徒歩区間の少ない乗降ポイントを用いたいとする要求がある。
【0080】
そこで、この例のルート探索処理では、乗り換えのない、同一路線の乗降ポイントのペアが複数存在する場合には、出発地Sから出発地S側の乗降ポイントまでの距離と目的地G側の乗降ポイントから目的地までの距離との合計距離を求める。そして、この求めた合計距離が一番短い乗降ポイントのペアをルート探索に用いる乗降ポイントのペアとする。
【0081】
例えば、図5(D)に示すように、乗り換えを生じさせない同一路線の駅である、駅「A1」→駅「A2」のペアと、駅「D1」→駅「D2」のペアとが抽出ができたとする。そして、説明を簡単にするため、図5(A)、(B)において、点線で示した円の間の間隔と、出発地Sから一番近い点線で示した円までの間隔と、出発地Sから一番近い点線で示した円までの間隔は、いずれも100mであるとする。
【0082】
この場合、出発地Sから駅「A1」までの距離は「200m」であり、駅「A2」から目的地Gまでの距離は「300m」であるので、その合計距離は図5(D)に示すように「500m」となる。一方、出発地Sから駅「D1」までの距離は「100m」であり、駅「D2」から目的地Gまでの距離は「300m」であるので、その合計距離は図5(D)に示すように「400m」となる。したがって、合計距離の一番短くなる同一路線の駅のペア(組み合わせ)を1つだけ抽出するものとすれば、路線Dの駅「D1」→駅「D2」のペアが、ルート探索に用いられるペアとして抽出できる。
【0083】
このようにすれば、同一路線の駅のペア(組み合わせ)が複数抽出できた場合であっても、その全てについてルートを探索することはない。出発地から出発地側の乗降ポイントまでの距離と目的地側の乗降ポイントから目的地までの距離との合計距離が短い所定数の乗降ポイントをルート探索に用いるペアとして、ルート探索を行う前に絞り込むことができる。
【0084】
[ルート探索処理の他の例の具体的な処理]
図6は、図3のステップS24において、ルート探索サーバ3の制御部302の制御の下、主にポイント探索部309及びルート探索部310によって行われるルート探索処理の他の例の詳細について説明するためのフローチャートである。すなわち、ルート探索サーバ3の制御部302は、ユーザ端末1からのルート探索要求の探索モードが、電車やバスなどの公共交通機関を利用することを示す情報を含んでいる場合に、図3に示したステップS24において、図6に示す処理を実行する。
【0085】
図6に示す処理において、ステップS101からステップS106の処理は、図4を用いて説明したステップS101〜ステップS106と同じ処理である。すなわち、ステップS101〜ステップS103の処理は、出発地側と目的地側とにおいて、最低限考慮すべき乗降ポイントを取得するための処理である。そして、ステップS104の処理が、ステップS101で探索した出発地S側の乗降ポイントについて、路線名と方面とで絞り込むことにより、路線+方面ごとに1つの乗降ポイントを抽出する処理である。
【0086】
また、ステップS105の処理が、ステップS101で探索した目的地G側の乗降ポイントについて、路線名と方面とで絞り込むことにより、路線+方面ごとに1つの乗降ポイントを抽出する処理である。ステップS106の処理が、ステップS104で絞り込んだ出発地S周辺の乗降ポイントと、ステップS105で絞り込んだ目的地G周辺の乗降ポイントと、を比較し、同一路線の乗降ポイントを抽出する処理である。
【0087】
ステップS105の処理の後、ルート探索サーバ3のポイント探索部309は、制御部302の制御の下、同一路線の乗降ポイントの組合せの一覧リストを作成する(ステップS201)。ステップS201においてポイント探索部309は、ステップS104において絞り込んだ出発地周辺の乗降ポイントと、ステップS105において絞り込んだ目的地周辺の乗降ポイントとを比較する。そして、ポイント探索部309は、同一路線の乗降ポイントの組合せを特定し、同一路線の乗降ポイントの組合せ一覧を作成する。この同一路線の乗降ポイントの組合せ一覧は、例えば、図5(D)に示したように、同一路線の出発地側の乗降ポイントと目的地側の乗降ポイントのペア(組合せ)の一覧リストである。
【0088】
この後、ポイント探索部309は、ステップS201において作成した同一路線の乗降ポイントの組合せ一覧の各組合せについて、徒歩で移動することになる部分の距離の合計を計算し、合計距離が少ない順にソートする(ステップS202)。具体的に、ステップS202において、ポイント探索部309は、交通機関NWDB306の情報に基づいて、出発地から出発地側の乗降ポイントまでの距離と、目的地側の乗降ポイントから目的地までの距離を求め、これらの合計距離を計算する。そして、ポイント探索部309は、同一路線の乗降ポイントの組合せ一覧を構成する各組合せデータを、合計距離が少ない順(短い順)にソートする。これにより、図5(D)に示した同一路線の乗降ポイントの組合せ一覧においては、路線Dの駅「D1」→駅「D2」のペア(組合せ)が上位に位置し、路線Aの駅「A1」→駅「A2」のペア(組合せ)が下位に位置する。
【0089】
次に、ポイント探索部309は、ステップS202においてソートした同一路線の乗降ポイントの組合せ一覧において、上位N(Nは以上の整数)件の同一路線の乗降ポイントの組合せを抽出する(ステップS203)。例えば、上位1件の同一路線の乗降ポイントの組合せを抽出するものとすれば、図5(D)に示した例の場合、合計距離が一番短い、路線Dの駅D1→駅D2のペア(組合せ)が抽出される。
【0090】
この後、制御部302は、ルート探索部310を制御し、ステップS103とステップS203で抽出した乗降ポイントの組合せを考慮して、出発地から目的地までのルート探索を実施する(ステップS204)。この場合、ステップS204では、出発地周辺の目的とする公共交通機関の抽出された乗降ポイントと目的地周辺の目的とする公共交通機関の抽出された乗降ポイントとを利用する複数のルートを探索することができる。
【0091】
図5に示した例の場合、ステップS201の処理では、図5(D)に示したように、同一路線の乗降ポイントのペア(組合せ)は、2つ抽出でき、これらがリスト化される。しかし、ステップS202及びステップS203の処理を通じて、ルート探索処理に用いられる出発地側と目的地側の乗降ポイントのペアは、合計距離が短い路線Dの駅「D1」→駅「D2」のペアが抽出される。したがって、合計距離が長い路線Aの駅「A1」→駅「A2」のペアは、ルート探索で用いられないようにされる。
【0092】
これにより、出発地から目的地に至るルートとして、同一路線の乗降ポイントのペアが複数存在しても、その内、歩行で移動することになる区間の合計距離が短い順にN件の同一路線の乗降ポイントのペアをルート探索に用いるように絞り込める。したがって、出発地周辺と目的地周辺とに、同一路線の乗降ポイントのペア(組合せ)が多数存在しても、それらすべての組合せを考慮してルート探索を行うのではなく、必要な範囲において、同一路線の乗降ポイントの組合せを考慮できる。換言すれば、ルート探索を行う前に、同一路線の乗降ポイントのペアを必要な範囲に絞り込むことができ、不必要なルート探索処理を行わないようにできる。
【0093】
なお、上述した実施の形態においては、公共交通機関を利用して移動する場合に、出発地周辺と目的地周辺とで、同じ路線の乗降ポイントを探索することにより、乗り換えのないルートを確実に探索できるようにした。しかし、これに限るものではない。例えば、出発地と目的地とが比較的に離れている場合には、出発地周辺と目的地周辺との双方に同じ路線の乗降ポイントが存在しない場合ももちろんある。
【0094】
しかし、そのような場合であっても、出発地と経由地との間には、1以上の経由地が設定される。このため、出発地周辺と経由地周辺において、また、出発地から目的地に至る間に存在する2つの経由地周辺で、同じ路線の乗降ポイントのペアを探索するようにすることで、乗り換えの少ないルートを確実に探索できる。すなわち、設定される経由地を、出発地あるいは目的地とみなして、上述した実施の形態で説明したように、同一路線の乗降ポイントのペアを探索すれば、乗り換えの少ないルートを確実に探索できる。また、同一路線の乗降ポイントのペアが多数存在する場合には、実際のルート探索処理の前に絞り込み、ルート探索時間が長くなることを防止することもできる。
【0095】
[実施の形態の効果]
同一路線の乗降ポイントを用いる乗り換えのない、あるいは、乗り換えの少ないルートを確実に探索することができる。また、最低限考慮すべき乗降ポイントの他には、同一路線の乗降ポイントのペア(組合せ)を探索して、その乗降ポイントのペアを用いるルートを探索する。このため、同一路線の乗降ポイントのペアを構成する乗降ポイントと、別の乗降ポイントとの組み合わせを考慮したルートを探索しないようにできるので、ルート探索処理に掛かる時間を必要以上に長くすることもない。
【0096】
また、ルート探索部310では、探索された各ルート候補の所要時間、徒歩時間、乗車時間、待ち時間、乗り換え回数、運賃なども、交通機関NWDB306の情報に基づいて特定される。このため、同一路線で繋がるルートの所要時間が短ければ、当該ルートはルート候補の上位に位置付けることができる。また、徒歩時間や待ち時間が長い場合には、ソート条件により、優先順位が落ちるので、使用者が求めるルートを上位に位置付けることが可能であり、使用者に不利益を与えることもない。
【0097】
すなわち、ルート探索の結果の並べ替えは、使用者からの指示に応じて行うことができる。この使用者からの指示は、ルート探索要求に含めることもできるし、ルート探索サーバ3からルート探索結果を得て、これをユーザ端末1の表示部107Dに表示した段階で、タッチパネル108からソート条件の指示を与え、これに応じてソートすることもできる。
【0098】
[変形例]
図4図5に示したステップS101においては、出発地から半径Xkmの範囲内にある目的とする公共交通機関の全ての乗降ポイントを抽出するようにした。しかし、これに限るものではない、ステップS101の段階で、同一路線で同一方面の乗降ポイントについては、出発地に一番近いもの1つだけを抽出するようにしてもよい。同様に、図4図5に示したステップS102においては、目的地から半径Xkmの範囲内にある目的とする公共交通機関の全ての乗降ポイントを抽出するようにした。しかし、これに限るものではない、ステップS102の段階で、同一路線で同一方面の乗降ポイントについては、目的地に一番近いもの1つだけを抽出するようにしてもよい。このようにすれば、ステップS103の段階で、重複するルートを探索しないようにできる。
【0099】
また、出発地から乗降ポイントまでの距離と、目的地から乗降ポイントまでの距離とは、直線距離であってもよいし、実際の道路を移動する場合の実際の歩行距離であってもよい。実際の歩行距離は、出発地や目的地から乗降ポイントまでのリンクデータに基づいて特定することができる。
【0100】
図5図6を用いて説明したルート探索処理の他の例の場合、出発地から出発地側の乗降ポイントまでの距離と、目的地側の乗降ポイントと目的地までの距離の合計距離を用いて、同一路線の乗降ポイントのペアを絞り込むようにした。しかし、これに限るものではない。例えば、出発地側の乗降ポイントにおける、公共交通機関の便数を考慮し、より便数の多い路線の乗降ポイントのペアを優先的に用いるようにしてもよい。例えば、1時間当たりに5便ある路線の乗降ポイントのペアと1時間に2便しかない乗降ポイントのペアが存在する場合には、上述した合計距離にかかわらず、1時間当たりに5便ある路線の乗降ポイントのペアを抽出して採用するようにしてもよい。すなわち、便数の多くない乗降ポイントについては、抽出の優先度を下げることができる。
また、ユーザ端末1においては、タッチパネル108を通じて、ルート探索の条件として、出発時間や到着時間を指定することもできる。この場合には、実際に乗降ポイントを利用する時間帯における当該乗降ポイントにおける便数に応じて、乗降ポイントの抽出のための優先度を特定することもできる。
【0101】
また、ユーザ端末1の使用者により、上述した「時間優先」、「距離優先」、「交通費の安いルート優先」といった探索モードの他にも、探索のための希望条件を設定することもできる。例えば、使用する公共交通機関が電車の場合、「快速優先」、「急行優先」、「普通優先」といった希望条件を設定したり、使用する公共交通機関がバスの場合であって、複数のバス会社が競合しているエリアの場合には、希望条件として乗車したい「バス会社」を設定したりできる。このような希望条件がある場合、ポイント探索部309において、当該希望条件に合致した乗降ポイントを優先的に抽出するようにすればよい。
【0102】
[その他]
上述した実施の形態の説明からも分かるように、第1、第2のポイント探索手段の機能と、抽出手段の機能は、ルート探索サーバ3の主にポイント探索部309が実現し、ルート探索手段の機能は、ルート探索サーバ3の主にルート探索部310が実現している。また、第1、第2の絞り込み手段と、算出手段と、第2の抽出手段の機能は、ルート探索サーバ3の主にポイント探索部309が実現している。
【符号の説明】
【0103】
1…ユーザ端末、101…無線通信部、101A…送受信アンテナ、102…制御部、103…記憶手段、104…操作部、105…時間管理部、106…GPS部、106A…GPSアンテナ、107D…表示部、107S…タッチセンサ、108…タッチパネル、109…音声出力部、110…スピーカ、111…要求形成部、112…提供情報出力制御部、2…ネットワーク、3…ルート探索サーバ、301…通信I/F、302…制御部、303…記憶装置、304…地図DB、305…歩行者NWDB、306…交通機関NWDB、307…道路NWDB、308…要求抽出部、309…ポイント探索部、310…ルート探索部、311…情報提供部
図1
図2
図3
図4
図5
図6