(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記車両用表示装置は、目視位置と対向する目視位置対向面と、前記目視位置対向面と交差する方向に沿って前記目視位置対向面から前記目視位置側に向かって突出する立ち面とを有し、
前記高光沢領域は、前記立ち面の前記目視位置側の表面に成型され、
前記低光沢領域は、前記立ち面の前記目視位置対向面側の表面に成型される、
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の樹脂成型品。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0021】
[実施形態1]
図1は、実施形態1に係る樹脂成型品が適用された車両用表示装置の概略構成を示す斜視図である。
図2は、実施形態1に係る樹脂成型品が適用された車両用表示装置の指針を含む部分断面図である。
図3は、実施形態1に係る樹脂成型品が適用された車両用表示装置の指針の正面図(目視位置側から視た図)である。
【0022】
本実施形態に係る樹脂成型品1は、
図1に示すように、車両に搭載される車両用表示装置100の各部に適用される。本実施形態の車両用表示装置100は、いわゆる車載メータを構成するものであり、例えば、車両のダッシュボードに設けられたインストルメントパネルに搭載され、車両の運転に供される情報として当該車両に関する種々の情報を表示する。車両用表示装置100は、車両に搭載され当該車両に関する情報を表示する表示部101と、表示部101の周り、又は、表示部101の一部に設けられた樹脂成型品1とを備える。
【0023】
なお、
図1に示す車両用表示装置100の幅方向とは、典型的には、この車両用表示装置100が適用される車両の車幅方向に相当する。以下の説明では、車両用表示装置100の幅方向において、当該車両用表示装置100の前面に向かって左側(
図1中左側)を幅方向左側、向かって右側(
図1中右側)を幅方向右側という場合がある。また、
図1に示す車両用表示装置100の奥行き方向とは、典型的には、この車両用表示装置100が適用される車両の前後方向に相当する。また、車両用表示装置100の前面側とは、車両の運転席と対面する側であり、典型的には、当該運転席に座った運転者によって視認される側である。後述する目視位置108は、車両用表示装置100の奥行き方向前面側に位置する。一方、車両用表示装置100の背面側とは、奥行き方向において前面側とは反対側であり、典型的には、インストルメントパネルの内部に収容される側である。
【0024】
表示部101は、光源部102を有しており、当該光源部102が出射する光を用いて車両に関する種々の情報を表示するものである。表示部101は、車両に関する情報として、例えば、車速、走行用動力源の出力回転数、積算走行距離、ウォーニング表示(いわゆるテルテール)、シフトポジションインジケータ等、車両の運転に供される種々の情報を表示する。ここでは、表示部101は、一例として、幅方向に沿って間隔をあけて2つ設けられており、それぞれ、光源部102、文字板103、指針104等を含んで構成され、車両に関する種々の計測値を当該指針104によってアナログ式で表示するアナログ計器である。光源部102は、文字板103の奥行き方向背面側に配置される。文字板103は、車両に関する情報として、例えば、速度、出力回転数等の計測値を表し指針104によって指し示される指標部やウォーニング表示用の図柄等が描かれている。文字板103は、例えば、透明生地のポリカーボネイト製シートであり、暗色系のインクによって、上記指標部やウォーニング表示用の図柄等に対応した形状が中抜きされた印刷が施される。光源部102は、LED素子等の光源本体、当該光源本体から照射された光を文字板103側に拡散させる拡散板等を含んで構成される。各表示部101は、光源部102から照射される光が、文字板103において指標部やウォーニング表示用の図柄等が切り抜きされた部分を透過することで当該指標部やウォーニング表示用の図柄等が表示状態となる。指針104によって指し示される指標部は、この指針104の先端の回動軌跡に沿った円弧、当該円弧に沿って等間隔で付された複数の目盛、数字等を含んで構成される。指針104は、表示部101の一部を構成し、車両に関する情報を指し示す。指針104は、文字板103の奥行き方向前面側に位置し、車両に関する種々の計測値(速度、出力回転数等)に応じて指標部の所定の位置を指し示す。各表示部101は、指針104によって現在の速度、出力回転数が指し示される。なお、表示部101は、光源部102を有し、当該光源部102によって車両に関する種々の情報を表示するものであればよく、例えば、液晶表示装置等によって構成されるものであってもよい。
【0025】
樹脂成型品1は、表示部101の周り、又は、表示部101の一部に設けられる。ここでは、樹脂成型品1は、表示部101の周り、及び、表示部101の一部の両方に設けられる。樹脂成型品1は、表面の光沢度が相対的に高い高光沢領域11と表面の光沢度が相対的に低い低光沢領域12とが一体で成型される。高光沢領域11は、低光沢領域12より光沢度が高い領域であり、逆に言えば、低光沢領域12は、高光沢領域11より光沢度が低い領域である。つまり、高光沢領域11は、相対的に高光沢の領域であり、低光沢領域12は、相対的に低光沢の領域である。ここで、光沢度とは、典型的には、正反射光の割合や拡散反射光の方向分布などに注目して、物体表面の光沢の程度を一次元的に表す指標であり、大きくなるほどより光の反射量が多く光沢があることを表す。ここでは、光沢度としては、例えば、いわゆる鏡面光沢度(規定した光源及び受光器の角度にて鏡面方向に対象物から反射する光束と、屈折率1.567のガラスから鏡面方向に反射する光束の比)等を用いることができるがこれに限らない。光沢度は、種々の測定機器を用いて測定することができる。典型的には、同種の測定機器によって光沢度を測定した場合に、高光沢領域11は、当該領域の平均の光沢度が相対的に高い領域であり、低光沢領域12は、当該領域の平均の光沢度が相対的に低い領域である。
【0026】
低光沢領域12は、例えば、表面に複数の微細凹凸が形成された粗面領域として成型され、低光沢領域12に入射した光を当該複数の微細凹凸によって散乱させることで、表面の光沢が抑制される。一方、高光沢領域11は、例えば、低光沢領域12よりも表面の平滑度が高く平坦な平滑領域として成型され、高光沢領域11に入射した光を当該平坦な面で反射させることで、低光沢領域12よりも表面の光沢が高い領域として成型される。高光沢領域11と低光沢領域12とは、例えば、樹脂成型品1を成型する共通の樹脂成型用金型における鏡面状成型面の表面パターンと微細凹凸付成型面の表面パターンとが成型時に樹脂成型品1の所定の領域の表面に転写されることによって一体で成型される。樹脂成型品1として使用される材料としては、例えば、種々の合成樹脂を用いることができる。
【0027】
より具体的には、本実施形態の樹脂成型品1は、車両用表示装置100の見返し板105、及び、指針104に適用される。
【0028】
見返し板105は、車両用表示装置100を構成する筐体101aの奥行き方向前面側に組み付けられ、文字板103等の周囲を囲って当該文字板103等を押える枠状の部材である。見返し板105は、車両用表示装置100において、奥行き方向前面側に露出し運転者を含む乗員の視界にはいりうる部分の化粧材となるものである。見返し板105は、各表示部101を囲う目視位置対向面としての囲い面106と、当該囲い面106の縁部から奥行き方向に沿って立設される立ち面107とを含んで構成される。囲い面106は、各表示部101に対応する部分に切り欠きを有し当該切り欠きから各表示部101が露出する面である。立ち面107は、囲い面106の縁部から奥行き方向に沿って突出する面である。つまり、囲い面106は、奥行き方向に対して表示部101が有する光源部102と乗員等の目視位置108との間に位置すると共に、光源部102と目視位置108との並び方向、すなわち、奥行き方向と交差する面、さらに言えば、奥行き方向に沿って目視位置108と対向する面として形成される。一方、立ち面107は、奥行き方向に対して表示部101が有する光源部102と乗員等の目視位置108との間に位置すると共に、光源部102と目視位置108との並び方向、すなわち、奥行き方向に沿って運転者側に突出する。つまり、立ち面107は、囲い面106と交差する方向に沿って囲い面106から目視位置108側に向かって突出する。ここでは、立ち面107は、囲い面106の鉛直方向上下両側に幅方向に沿ってそれぞれ1つずつ、囲い面106の幅方向左右両側に鉛直方向に沿って1つずつ、合計4つ設けられるがこれに限らない。見返し板105は、囲い面106、及び、各立ち面107が一体で成型される。
【0029】
そして、本実施形態の見返し板105を構成する樹脂成型品1において、高光沢領域11は、リング状高光沢領域11Aと枠状高光沢領域11Bとを含んで構成され、低光沢領域12は、正面低光沢領域12Aと側面低光沢領域12Bとを含んで構成される。
【0030】
見返し板105を構成する樹脂成型品1の高光沢領域11のうち、リング状高光沢領域11Aは、囲い面106の目視位置108側の表面であって表示部101の周りの領域の表面に成型される。ここでは、リング状高光沢領域11Aは、各表示部101に対してそれぞれ1つずつ、合計2つが設けられる。各リング状高光沢領域11Aは、各表示部101の周りにリング状(円環状)に形成される。枠状高光沢領域11Bは、立ち面107の目視位置108側の表面に成型される。枠状高光沢領域11Bは、4つの立ち面107の目視位置108側の端面(言い換えれば、奥行き方向前面側の端面)に渡って略ロの字型に形成される。
【0031】
見返し板105を構成する樹脂成型品1の低光沢領域12のうち、正面低光沢領域12Aは、囲い面106の目視位置108側の表面であって表示部101の周りの領域、ここでは、リング状高光沢領域11Aの外側の領域に成型される。ここでは、正面低光沢領域12Aは、囲い面106の目視位置108側の表面において、2つの表示部101が露出する領域、及び、2つのリング状高光沢領域11A以外の領域に成型される。側面低光沢領域12Bは、立ち面107の囲い面106側の表面に成型される。
【0032】
見返し板105を構成する樹脂成型品1は、上述したように囲い面106、及び、各立ち面107が一体で成型され、リング状高光沢領域11A、枠状高光沢領域11B、正面低光沢領域12A、及び、側面低光沢領域12Bが一体で成型される。
【0033】
指針104は、上述したように車両に関する種々の計測値に応じて指標部の所定の位置を指し示すものである。本実施形態の指針104は、
図2、
図3に示すように、指針発光体141と、遮蔽部としての指針キャップ142と、指針基端部カバー143とを有する。
【0034】
指針発光体141は、棒状に形成される指針本体部であり、基端部となる一方の端部側に回動軸部141aが形成される。回動軸部141aは、棒状に形成された指針発光体141の延在方向に対して交差する方向に沿って突出している。指針発光体141は、回動軸部141aが文字板103のボス部103aに挿入され、当該回動軸部141aに駆動モータ109のロータ軸109aが挿入され、当該ロータ軸109aに組み付けられる。駆動モータ109は、車両用表示装置100を構成する筐体101a内に配設された配線板110の奥行き方向背面側の面に組み付けられており、ロータ軸109aは、奥行き方向に沿って配線板110を貫通し前面側に突出する。指針104は、ロータ軸109aの中心軸線が回動軸線Xとなる。また、指針発光体141は、光を透過する透過性の樹脂材料等によって形成され、光源111からの光によって発光する。光源111は、LED素子等によって構成され、配線板110の奥行き方向前面側の面に実装される。光源111は、回動軸線Xの近傍、ここでは、奥行き方向前面側から視た状態でボス部103aの内側に位置するように複数設けられる。回動軸部141aは、光源111から照射された光を、指針発光体141における棒状の部分に導く導光軸としても機能する。
【0035】
指針キャップ142は、光源111と目視位置108との間に介在し光源111から目視位置108側に向けて照射された光を遮蔽するものである。指針キャップ142は、円筒状に形成される。指針キャップ142は、円筒状の一端側が閉塞し、他端側が開口している。指針キャップ142は、開口側から指針発光体141の基端部、すなわち、回動軸部141aが設けられた端部に装着される。
【0036】
指針基端部カバー143は、指針キャップ142と一体で成型され指針発光体141の基端部を覆うものである。指針基端部カバー143は、指針発光体141の基端部、すなわち、回動軸部141aが設けられた端部を覆う。指針基端部カバー143は、指針発光体141の基端部を覆った状態で、棒状に形成される指針発光体141と連続するようにして棒状に形成される。
【0037】
上記のように構成される指針104は、指針発光体141の棒状の部分が文字板103の奥行き方向前面側に位置し、駆動モータ109が回転駆動することで指針発光体141が回動軸線Xを回動中心として回動し、車両に関する種々の計測値に応じて指標部の所定の位置を指し示す。
【0038】
そして、本実施形態の指針キャップ142と指針基端部カバー143とは、樹脂成型品1が適用され一体で成型され指針フード部144を構成する。指針フード部144は、光源111や導光軸としても機能する回動軸部141a等を目視位置108側から覆う。指針フード部144は、光を透過しない遮光性の樹脂材料等によって形成され、光源111からの光を遮蔽し光漏れを抑制することで目視位置108にて光源111からの光が直接的に視認されることを阻止すると共に、指針発光体141の基端部や回動軸部141a等の横見えを阻止する。
【0039】
そして、指針フード部144を構成する樹脂成型品1において、高光沢領域11は、カバー高光沢領域11Cを含んで構成され、低光沢領域12は、カバー低光沢領域12Cとキャップ低光沢領域12Dとを含んで構成される。
【0040】
指針フード部144を構成する樹脂成型品1の高光沢領域11、すなわち、カバー高光沢領域11Cは、指針基端部カバー143の目視位置108側の表面に成型される。ここでは、指針基端部カバー143は、目視位置108側の面に延在方向に沿って形成される溝部143aと、当該溝部143aの三方を囲うようにして形成される縁部143bとを含んで構成される。縁部143bは、指針基端部カバー143の目視位置108側の面において、指針発光体141が位置する辺を除く三辺に沿って形成される。溝部143aは、縁部143bに挟まれ、かつ、縁部143bに対して面落ちした部分として形成される。本実施形態のカバー高光沢領域11Cは、指針基端部カバー143の目視位置108側の面における縁部143bの表面に成型される。
【0041】
指針フード部144を構成する樹脂成型品1の低光沢領域12のうち、カバー低光沢領域12Cは、指針基端部カバー143の目視位置108側の表面に成型される。本実施形態のカバー低光沢領域12Cは、指針基端部カバー143の目視位置108側の面における溝部143aの表面に成型される。キャップ低光沢領域12Dは、指針キャップ142の目視位置108側の表面に成型される。本実施形態のキャップ低光沢領域12Dは、指針キャップ142の目視位置108側の2つの半円状の領域の表面に成型される。
【0042】
指針フード部144を構成する樹脂成型品1は、上述したように指針キャップ142、及び、指針基端部カバー143が一体で成型され、カバー高光沢領域11C、カバー低光沢領域12C、及び、キャップ低光沢領域12Dが一体で成型される。
【0043】
以上で説明した樹脂成型品1によれば、車両に関する情報を表示する車両用表示装置100に適用され、表面の光沢度が相対的に高い高光沢領域11と表面の光沢度が相対的に低い低光沢領域12とが一体で成型される。以上で説明した車両用表示装置100によれば、車両に搭載され、当該車両に関する情報を表示する表示部101と、上記樹脂成型品1とを備える。
【0044】
したがって、樹脂成型品1、車両用表示装置100は、1つの樹脂成型品1の中で、表面の光沢度が相互に異なる高光沢領域11と低光沢領域12とが一体で成型されるので、低光沢領域12の表面の光沢を抑制する一方、高光沢領域11の表面の光沢を高くすることができ、1つの樹脂成型品1において光沢にメリハリをつけることができる。この結果、樹脂成型品1、車両用表示装置100は、簡易な構成で多様な外観を創出することができ、例えば、簡易な構成で斬新な見栄えを実現することができる。樹脂成型品1、車両用表示装置100は、例えば、車両において運転者を含む乗員の視界領域内の表面の光沢を多様に組み合わせることができるので、1つの樹脂成型品1の中で光沢の違いによってコントラストを発生させることができ、この結果、外観に変化を発生させ、例えば、外観上の高級感を創出することができる。また、樹脂成型品1、車両用表示装置100は、表面の多様な光沢の組み合わせを、例えば、塗装等を用いずに塗装レスで実現することができる。この結果、樹脂成型品1、車両用表示装置100は、例えば、塗装等を行う場合と比較して製造時の作業工数を抑制することができ、製造コストを抑制できる。
【0045】
さらに、以上で説明した樹脂成型品1によれば、車両用表示装置100は、車両に関する情報を指し示す指針104を有し、指針104は、光源111からの光によって発光する指針発光体141と、光源111と目視位置108との間に介在し光源111から目視位置108側に向けて照射された光を遮蔽する指針キャップ142と、指針キャップ142と一体で成型され指針発光体141の基端部を覆う指針基端部カバー143とを有し、高光沢領域11は、指針基端部カバー143の目視位置108側の表面に成型され、低光沢領域12は、指針キャップ142の目視位置108側の表面に成型される。したがって、樹脂成型品1、車両用表示装置100は、指針基端部カバー143側に成型された高光沢領域11と指針キャップ142側に成型された低光沢領域12とのコントラストによって、指針発光体141と連続して棒状に形成される指針基端部カバー143側をより高光沢として目立たせ、遮光のための付加的な部分である指針キャップ142側をより低光沢とし艶消しして目立たなくすることができる。そして、樹脂成型品1、車両用表示装置100は、例えば、塗装やホットスタンプ等を用いずに、上記のように光沢の違いによるコントラストによって指針キャップ142側を目立たなくすることができるので、安っぽいイメージを与えやすい傾向にあるプラスチック感を低減しつつ、製造時の作業工数を抑制することができ、製造コストを抑制できる。
【0046】
さらに、以上で説明した樹脂成型品1によれば、車両用表示装置100は、車両に関する情報を表示する表示部101と、目視位置108と対向し表示部101が露出する囲い面106とを有し、高光沢領域11は、囲い面106の目視位置108側の表面であって表示部101の周りの領域の表面に成型され、低光沢領域12は、囲い面106の目視位置108側の表面であって表示部101の周りの領域の外側の領域に成型される。したがって、樹脂成型品1、車両用表示装置100は、囲い面106において表示部101の周りの領域に成型された高光沢領域11と当該高光沢領域11の外側に成型された低光沢領域12とのコントラストによって、表示部101の周りの領域を浮かび上がらせて別部品のリング状部材を組み込んだような視覚効果を奏することができる。この結果、樹脂成型品1、車両用表示装置100は、例えば、実際に別部品のリング状部材を用いなくても外観上の高級感を創出することができ、これにより、製造時の作業工数を抑制することができ、製造コストを抑制できる。
【0047】
さらに、以上で説明した樹脂成型品1によれば、車両用表示装置100は、目視位置108と対向する囲い面106と、囲い面106と交差する方向に沿って囲い面106から目視位置108側に向かって突出する立ち面107とを有し、高光沢領域11は、立ち面107の目視位置108側の表面に成型され、低光沢領域12は、立ち面107の囲い面106側の表面に成型される。したがって、樹脂成型品1、車両用表示装置100は、立ち面107において目視位置108側の端面に成型された高光沢領域11と囲い面106側の面に成型された低光沢領域12とのコントラストによって、立ち面107の目視位置108側の端面を浮かび上がらせて別部品の枠状部材を組み込んだような視覚効果を奏することができる。この結果、樹脂成型品1、車両用表示装置100は、例えば、実際に別部品の枠状部材を用いなくても外観上の高級感を創出することができ、これにより、製造時の作業工数を抑制することができ、製造コストを抑制できる。
【0048】
[実施形態2]
図4は、実施形態2に係る樹脂成型品の概略構成を示す正面図である。
図5は、実施形態2に係る樹脂成型品の概略構成を示す斜視図である。
図6、
図7、
図8は、段差境界面と基準視線方向線とがなす角度について説明する模式的な断面図である。実施形態2に係る樹脂成型品、車両用表示装置は、樹脂成型品の適用対象が実施形態1とは異なる。以下では、上述した実施形態と同様の構成要素には共通の符号が付されるとともに、共通する構成、作用、効果については、重複した説明はできるだけ省略する。
【0049】
本実施形態に係る樹脂成型品201は、
図4、
図5に示すように、車両に搭載される車両用表示装置200の文字板203に適用される。車両用表示装置200の文字板203以外の構成は、上述した車両用表示装置100とほぼ同様の構成である。文字板203は、上述の文字板103にかわって表示部101の一部を構成するものである。
【0050】
本実施形態の樹脂成型品201として構成される文字板203は、奥行き方向前面側の表面、すなわち、車両の運転席と対面し運転席に座った運転者等によって視認される側の面が表示面を構成する。ここでは、文字板203は、全体として、略円形状に形成される。文字板203は、略円形の中心軸線C1を含む領域に軸孔204が形成される。軸孔204は、指針104の回動軸部141aが貫通する孔であり、文字板203を奥行き方向に貫通する。軸孔204は、中心軸線C1を中心とした略円形状に形成される。そして、文字板203は、中心軸線C1を中心として同心円状に、軸孔204側から径方向外側に向かって順に中央円板部205、境界立ち面部206、傾斜部207、文字表示部208、目盛部209、枠状部210、環状角部211、円筒端面部212、取り付け部213が略円環状に形成される。
【0051】
中央円板部205は、軸孔204の径方向外側に略円環状に形成される。中央円板部205は、表面に形成された複数の溝205aによって放射目付模様205bが施されると共に、例えば、車両に関する物理量の単位、ここでは、「km/h」等の文字列が設けられる。放射目付模様205bは、複数の溝205aが予め設定される基準点(例えば、中心軸線C1上の点)、あるいはその近傍から外側に向けて放射状に延在することで形成される模様であり、旭光模様とも呼ばれる場合がある。ここでは、中央円板部205は、複数の溝205aの各頂点を含む仮想平面P1(
図6等参照)が中心軸線C1とほぼ直交する。当該仮想平面P1は、複数の溝205aの各頂点のうちの大部分を含むように設計上、任意に設定されればよい。境界立ち面部206は、中央円板部205の径方向外側に接続され、略円環状に形成される。ここでは、境界立ち面部206は、中央円板部205から中心軸線C1に沿って奥行き方向前面側に突出する略円筒状の立ち面として形成される。傾斜部207は、境界立ち面部206の奥行き方向前面側端部の径方向外側に接続され、略円環状に形成され、文字表示部208側から中央円板部205側に向かって徐々に目視位置108側から離間するような傾斜を有している。文字表示部208は、傾斜部207の径方向外側に接続され、略円環状に形成される。文字表示部208は、車両に関する物理量を表す複数の文字列、ここでは車速を表す「0」、「20」等の複数の文字列208aが設けられている。ここでは、文字表示部208は、表面を含む仮想平面P2(
図6等参照)が中心軸線C1とほぼ直交する。当該仮想平面P2は、文字表示部208の表面を含むように設計上、任意に設定されればよい。目盛部209は、文字表示部208の径方向外側に接続され、略円環状に形成される。目盛部209は、文字表示部208に対してやや傾斜させて形成される。目盛部209は、枠状部210側から文字表示部208側に向かって徐々に目視位置108側から離間するような傾斜を有している。目盛部209は、車両に関する物理量、ここでは車速に対応して設けられ、指針104によって指し示される複数の主目盛209a、及び、複数の補助目盛209bが設けられている。複数の主目盛209aは、文字表示部208の周方向に沿って等間隔で突起状に形成される。またここでは、複数の主目盛209aは、径方向外側の端部が枠状部210まで突出し延在している。複数の補助目盛209bは、目盛部209の周方向に沿って等間隔で、ここでは、複数の主目盛209aの間に主目盛209aの当該間隔よりも狭い間隔で突起状に形成される。枠状部210は、目盛部209の径方向外側に接続され、略円環状に形成される。枠状部210は、表面に複数の主目盛209aの径方向外側の端部が位置する。ここでは、枠状部210は、表面を含む仮想平面(不図示)が中心軸線C1とほぼ直交する。当該仮想平面(不図示)は、枠状部210の表面を含むように設計上、任意に設定されればよい。環状角部211は、枠状部210の径方向外側に接続され、略円環状に形成される。環状角部211は、枠状部210に対して目盛部209とは逆側に傾斜させて形成される。環状角部211は、枠状部210側から円筒端面部212側に向かって徐々に目視位置108側から離間するような傾斜を有している。円筒端面部212は、環状角部211の径方向外側に接続され、略円環状に形成される。ここでは、円筒端面部212は、環状角部211から中心軸線C1に沿って奥行き方向背面側に折り返す略円筒状の立ち面として形成される。取り付け部213は、円筒端面部212の奥行き方向背面側端部の径方向外側に接続され、略円環状に形成される。取り付け部213は、文字板203を筐体101a等に設置する際に用いられる部分であり、ブラケット部213a等を含んで構成される。
【0052】
そして、本実施形態の樹脂成型品201として構成される文字板203は、表面の光沢度が相対的に高い高光沢領域214と表面の光沢度が相対的に低い低光沢領域215とが一体で成型される。本実施形態の高光沢領域214は、中央円板部205の表面によって形成される。一方、本実施形態の低光沢領域215は、傾斜部207、文字表示部208、目盛部209、及び、枠状部210の表面によって形成される。つまり、低光沢領域215は、高光沢領域214を囲うように円環状の領域として形成され、高光沢領域214は、当該低光沢領域215の内側の領域として形成される。
【0053】
ここで、以上で説明した樹脂成型品1は、低光沢領域12を表面に複数の微細凹凸が形成された粗面領域とする一方、高光沢領域11を表面の平滑度が高く平坦な平滑領域とすることで光沢度に差を付与する構成、すなわち、表面の粗さの差によって光沢度に差を付与する構成であったが、樹脂成型品201は、これに加えて、あるいは、これにかえて、表面に付する模様等に応じて光沢度に差を付与する構成であってもよい。つまり、高光沢領域214と低光沢領域215とは、表面の粗さを異ならせることで光沢度に差が付与されてもよいし、表面に異なる模様が付されることによって表面のテクスチャに相異を付与し光沢度に差が付与されてもよいし、両者の組み合わせによって光沢度が異ならされてもよい。要は上述したように、典型的には、同種の測定機器によって光沢度を測定した場合に、高光沢領域214は、当該領域の平均の光沢度が相対的に高い領域であり、低光沢領域215は、当該領域の平均の光沢度が相対的に低い領域であればよい。本実施形態の高光沢領域214は、中央円板部205の表面の平滑度が高く平坦な平滑領域とされ、かつ、中央円板部205の表面に複数の溝205aによって放射目付模様205bが施されることで表面の光沢度が相対的に高い領域とされる。一方、低光沢領域215は、傾斜部207、文字表示部208、目盛部209、及び、枠状部210の表面に複数の微細凹凸が形成された粗面領域とされ、かつ、無模様とされることで表面の光沢度が相対的に低い領域とされる。高光沢領域214と低光沢領域215とは、例えば、樹脂成型品201を成型する共通の樹脂成型用金型における鏡面状成型面に放射目付模様205bに相当する模様が形成された表面パターンと微細凹凸付成型面の表面パターンとが成型時に樹脂成型品201の所定の領域の表面に転写されることによって一体で成型される。樹脂成型品201として使用される材料としては、例えば、種々の合成樹脂を用いることができる。
【0054】
そして、本実施形態の樹脂成型品201として構成される文字板203は、
図5、
図6に示すように、高光沢領域214と低光沢領域215とが隣接し当該高光沢領域214と当該低光沢領域215との間に段差による段差境界面216が形成される。段差境界面216は、境界立ち面部206の表面によって構成される。つまり、樹脂成型品201として構成される文字板203は、境界立ち面部206の表面が段差境界面216を構成することで、合成樹脂による一体成型品でありながら高光沢領域214の部分と低光沢領域215の部分とが別部材であるかのような視覚効果の実現を図っている。
【0055】
ここでは、高光沢領域214を構成する部分(中央円板部205)、及び、低光沢領域215を構成する部分(傾斜部207、文字表示部208、目盛部209、及び、枠状部210)は、上述の囲い面106と同様に、奥行き方向に対して表示部101が有する光源部102と乗員等の目視位置108との間に位置すると共に、光源部102と目視位置108との並び方向、すなわち、奥行き方向と交差する面、さらに言えば、奥行き方向に沿って目視位置108と対向する面として形成される。一方、高光沢領域214と低光沢領域215との境界として機能する段差境界面216は、上述の立ち面107と同様に、奥行き方向に対して表示部101が有する光源部102と乗員等の目視位置108との間に位置すると共に、光源部102と目視位置108との並び方向、すなわち、奥行き方向に沿って運転者側に突出する面として形成される。
【0056】
そして、本実施形態の高光沢領域214と低光沢領域215とは、高光沢領域214が上述の中央円板部205によって構成される一方、低光沢領域215が上述の傾斜部207、文字表示部208、目盛部209、及び、枠状部210によって構成されることで、目視位置108に対して高光沢領域214が低光沢領域215より離れて位置するように構成される。つまり、樹脂成型品201として構成される文字板203は、低光沢領域215が高光沢領域214より目視位置108側に位置し、高光沢領域214が低光沢領域215より目視位置108とは反対側に位置する。さらに言えば、高光沢領域214と低光沢領域215とは、目視位置108からの距離が相互に異なり、目視位置108と高光沢領域214との距離D1が相対的に長く、目視位置108と低光沢領域215の主たる部分との距離D2が相対的に短くなるように構成されている。
【0057】
ここで、距離D1、D2の基準となる目視位置108についてより詳細に説明しておく。当該目視位置108は、典型的には、車両用表示装置100、200等が適用される車両におけるいわゆるアイレンジ内に位置するものとして予め想定される。ここで、アイレンジとは、「自動車の運転者アイレンジ」であり、車両に応じて予め定まる運転者の視点が位置する領域に相当する。アイレンジは、典型的には、車両において運転者の目の位置の分布を統計的に表したものであり、例えば、運転者が運転席に座った状態で所定割合(例えば、95%)の運転者の目の位置が含まれる領域に相当する。つまり、高光沢領域214、低光沢領域215は、当該目視位置108に対して奥行き方向にほぼ正対して目視される領域であり、段差境界面216は、当該目視位置108からの視線方向に沿って見込み面として認識される面となる。
【0058】
ここで、目視位置108からの視線方向に沿った線を基準視線方向線L1とした場合、当該基準視線方向線L1は、上記中心軸線C1と略平行となる。目視位置108からの視線方向とは、この車両用表示装置200の使用状態において想定される運転者等の視線の方向等に応じて予め任意に設定される想定視線方向であり、例えば、ここでは、奥行き方向に沿った方向である。そして、高光沢領域214、低光沢領域215は、当該基準視線方向線L1と交差する面であり、上述した中央円板部205の仮想平面P1、文字表示部208の仮想平面P2、枠状部210の仮想平面(不図示)等は、当該基準視線方向線L1とほぼ直交する面として定義することができる。そして、上述の高光沢領域214と目視位置108との距離D1は、典型的には、この仮想平面P1と目視位置108との距離に相当し、低光沢領域215の主たる部分(面積が最も広い部分)である文字表示部208と目視位置108との距離D2は、典型的には、この仮想平面P2と目視位置108との距離に相当する。高光沢領域214と低光沢領域215とは、少なくともこのように規定される距離D1が距離D2より長くなるように構成される。つまり、樹脂成型品201として構成される文字板203において、高光沢領域214は、目視位置側108側から離間し窪んだ凹状部として構成される一方、低光沢領域215は、目視位置側108側に突出し近接した凸状部として構成される。
【0059】
なお、
図6に示した段差境界面216は、目視位置108からの視線方向、さらに言えば、基準視線方向線L1と略平行であり、当該段差境界面216と基準視線方向線L1とがなす角度θ(
図7、
図8等参照)がほぼ0(θ≒0)であるものとして図示しているがこれに限らない。段差境界面216と基準視線方向線L1とがなす角度θは、
図7、
図8に示すように、予め設定される所定の範囲内であってもよい。ここで、段差境界面216と基準視線方向線L1とがなす角度θは、より詳細には、段差境界面216と基準視線方向線L1との交点に対して、目視位置108側でかつ低光沢領域215(傾斜部207)側の角度、又は、目視位置108とは反対側でかつ高光沢領域214(中央円板部205)側の角度である。そして、予め設定される所定の範囲は、例えば、基準視線方向線L1を基準として両側に5°程度の範囲である。例えば、基準視線方向線L1を基準として、段差境界面216の目視位置108側の端部が低光沢領域215側に倒れる側(
図6、
図7、
図8に示す断面視にて段差境界面216と基準視線方向線L1との交点を中心に左回り側)の角度を正とし、段差境界面216の目視位置108側の端部が高光沢領域214側に倒れる側(
図6、
図7、
図8に示す断面視にて段差境界面216と基準視線方向線L1との交点を中心に右回り側)の角度を負とした場合に、段差境界面216は、当該角度θが[−5°≦θ≦+5°]を満たすように形成されることが好ましい。段差境界面216は、[θ=0°]の場合、
図6に示すように、基準視線方向線L1と略平行に形成される。段差境界面216は、[0°<θ≦+5°]の場合、
図7に示すように、段差境界面216の目視位置108側の端部が低光沢領域215側に倒れる側に傾斜して形成され、目視位置108から視線方向に視て高光沢領域214と低光沢領域215とが重ならないように形成される。段差境界面216は、[−5°≦θ<0°]の場合、
図8に示すように、段差境界面216の目視位置108側の端部が高光沢領域214側に倒れる側に傾斜して形成され、目視位置108から視線方向に視て高光沢領域214と低光沢領域215とが重なりえぐるようにしてつづら折り状に形成される。
【0060】
以上で説明した樹脂成型品201、車両用表示装置200は、1つの樹脂成型品201の中で、表面の光沢度が相互に異なる高光沢領域214と低光沢領域215とが一体で成型されるので、簡易な構成で多様な外観を創出することができ、例えば、簡易な構成で斬新な見栄えを実現することができる。
【0061】
さらに、以上で説明した樹脂成型品201、車両用表示装置200によれば、高光沢領域214と低光沢領域215とが隣接し当該高光沢領域214と当該低光沢領域215との間に段差による段差境界面216が形成される。したがって、樹脂成型品201、車両用表示装置200は、段差による段差境界面216が高光沢領域214と低光沢領域215との間の見切り面となることで、当該樹脂成型品201が合成樹脂による一体成型品でありながら高光沢領域214の部分と低光沢領域215の部分とが別部材であるかのような視覚効果を奏することができる。つまり、樹脂成型品201、車両用表示装置200は、当該樹脂成型品201が合成樹脂による一体成型品でありながら複数部品を組み込んだような見栄えを実現することができる。
【0062】
この場合、以上で説明した樹脂成型品201、車両用表示装置200によれば、段差境界面216は、高光沢領域214と同様に、表面の平滑度が高く平坦な平滑領域とされることで表面の光沢度が低光沢領域215より相対的に高い面とされることが好ましい。この場合、樹脂成型品201、車両用表示装置200は、段差境界面216の表面で反射する光が散乱することを抑制することができ、目視位置108側への反射光を抑制することができる。これにより、樹脂成型品201、車両用表示装置200は、段差境界面216による高光沢領域214と低光沢領域215との段差をより深い段差に見せ強調することができるので、高光沢領域214の部分と低光沢領域215の部分とが別部材であるかのような視覚効果をより効果的に奏することができる。
【0063】
さらに、以上で説明した樹脂成型品201、車両用表示装置200によれば、高光沢領域214は、目視位置108に対して低光沢領域215より離れて位置する。したがって、樹脂成型品201、車両用表示装置200は、高光沢領域214が目視位置側108側から離間し窪んだ凹状部として構成される一方、低光沢領域215が目視位置側108側に突出し近接した凸状部として構成されるので、目視位置側108から視て当該目視位置108側にマットな低光沢領域215が位置し、当該低光沢領域215の奥側により高光沢な高光沢領域214が位置する幾何学的な配置とすることができる。この結果、樹脂成型品201、車両用表示装置200は、高光沢領域214における奥行き感を向上することができ、高光沢領域214と低光沢領域215とのコントラストを強調することができるので、高光沢領域214の部分と低光沢領域215の部分とが別部材であるかのような視覚効果をより効果的に奏することができる。
【0064】
さらに、以上で説明した樹脂成型品201、車両用表示装置200によれば、高光沢領域214と低光沢領域215とは、表面の模様(テクスチャ)が異なるように形成される。ここでは、樹脂成型品201、車両用表示装置200は、高光沢領域214の表面に放射目付模様205bが施される一方、低光沢領域215の表面が無模様で形成される。したがって、樹脂成型品201、車両用表示装置200は、樹脂成型品201の表面に形成される模様によって高光沢領域214と低光沢領域215とのコントラストを強調することができるので、高光沢領域214の部分と低光沢領域215の部分とが別部材であるかのような視覚効果をより効果的に奏することができる。
【0065】
さらに、以上で説明した樹脂成型品201、車両用表示装置200によれば、低光沢領域215は、高光沢領域214を囲うように環状の領域として形成され、高光沢領域214は、当該低光沢領域215の内側の領域として形成される。したがって、樹脂成型品201、車両用表示装置200は、高光沢領域214の周りを低光沢領域215によって環状に囲うことで、高光沢領域214と低光沢領域215とのコントラストを強調することができるので、高光沢領域214の部分と低光沢領域215の部分とが別部材であるかのような視覚効果をより効果的に奏することができる。またここでは、樹脂成型品201、車両用表示装置200は、目視位置108側に対して内側の高光沢領域214が凹状部、外側の低光沢領域215が凸状部に形成されるので、この点でも高光沢領域214の部分と低光沢領域215の部分とが別部材であるかのような視覚効果をより効果的に奏することができる。
【0066】
さらに、以上で説明した樹脂成型品201、車両用表示装置200によれば、段差境界面216は、当該段差境界面216と、予め設定される目視位置108からの視線方向に沿った基準視線方向線L1とがなす角度θが基準視線方向線L1を基準として両側にそれぞれ5°程度、合計10°程度の範囲となるように形成される。したがって、樹脂成型品201、車両用表示装置200は、高光沢領域214と低光沢領域215との間の境界として機能する段差境界面216自体を確実に視認しやすくすることができるので、高光沢領域214の部分と低光沢領域215の部分とが別部材であるかのような視覚効果をより効果的に奏することができる。
【0067】
さらに、以上で説明した樹脂成型品201、車両用表示装置200によれば、段差境界面216は、目視位置108から視線方向に視て高光沢領域214と低光沢領域215とが重なりつづら折り状に形成されるように基準視線方向線L1に対して傾斜して形成される。したがって、樹脂成型品201、車両用表示装置200は、高光沢領域214と低光沢領域215とのうちの一方に対して他方が食い込み、一方が他方にオーバーハングしたような形状にすることができ、高光沢領域214と低光沢領域215との間の見切りをより強調することができるので、高光沢領域214の部分と低光沢領域215の部分とが別部材であるかのような視覚効果をより効果的に奏することができる。
【0068】
なお、上述した本発明の実施形態に係る樹脂成型品、及び、車両用表示装置は、上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。本実施形態に係る樹脂成型品、及び、車両用表示装置は、以上で説明した各実施形態、変形例の構成要素を適宜組み合わせることで構成してもよい。
【0069】
以上の説明では、樹脂成型品1は、車両用表示装置100の見返し板105や指針104に適用されるものとして説明したがこれに限らず、車両用表示装置100の他の部分に適用されてもよい。
【0070】
以上の説明では、表示部101は、車両に関する種々の計測値を立体物である指針104によってアナログ式で表示するアナログ計器であるものとして説明したがこれに限らず、TFT液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ等の薄型のディスプレイ等を用いたものであってもよい。
【0071】
以上の説明では、高光沢領域11は、リング状高光沢領域11A、枠状高光沢領域11B、カバー高光沢領域11Cを含んで構成され、低光沢領域12は、正面低光沢領域12A、側面低光沢領域12B、カバー低光沢領域12C、キャップ低光沢領域12Dを含んで構成されるものとして説明したがこの組み合わせに限らず、1つの樹脂成型品1において高光沢領域11と低光沢領域12とが一体で成型されていればよい。例えば、カバー高光沢領域11Cとカバー低光沢領域12Cとは、逆の関係でもよく、すなわち、溝部143aの表面に高光沢領域11が成型され、縁部143bの表面に低光沢領域12が成型されてもよい。
【0072】
以上の説明では、高光沢領域11は、例えば、平滑度が高く平坦な平滑領域として成型され、低光沢領域12は、例えば、表面に複数の微細凹凸が形成された粗面領域として成型されるものとして説明したが、これに限らず、高光沢領域11と低光沢領域12とにおいて光の反射量が相互に異なり、光沢度が相互に異なっていればよい。例えば、高光沢領域11、低光沢領域12は、ともに表面に複数の微細凹凸が形成された領域として成型された上で、微細凹凸の密度等を相互に異ならせることで、高光沢領域11が艶有りの凹凸領域、低光沢領域12が艶無しの凹凸領域として成型されてもよい。また、高光沢領域214と低光沢領域215とのように模様の有無や模様の種類によって光沢度が相互に異なる構成であってもよい。
【0073】
以上の説明では、樹脂成型品201、車両用表示装置200は、高光沢領域214の表面に放射目付模様205bが施される一方、低光沢領域215の表面が無模様で形成されるものとしたがこれに限らない。高光沢領域214、低光沢領域215は、表面に複数の溝が予め設定される基準点(例えば、中心軸線C1上の点)を中心として同心円環状、あるいは、渦巻き環状に延在することで形成されるスピン目付模様が施されていてもよい。この他、高光沢領域214、低光沢領域215は、織目模様(カーボン調模様)、ローレット模様、溝形状を規則的に組み合わせた模様、ハニカム構造等幾何学模様、ヘアライン調等の金属切削痕や仕上げ痕を模した模様、ギロッシュ模様、皮シボ等の素材感を模した模様等、表面に他の模様が施されていてもよい。また、高光沢領域214は、表面がピアノブラック調に形成されてもよい。さらに、以上の説明では、高光沢領域214と低光沢領域215とは、表面の模様(テクスチャ)が異なるように形成されるものとして説明したがこれに限らず、同様の模様であってもよいし双方ともに無模様であってもよい。
【0074】
以上の説明では、高光沢領域214と低光沢領域215とは、目視位置108に対して高光沢領域214が低光沢領域215より離れて位置するように構成され、低光沢領域215が高光沢領域214より目視位置108側に位置し、高光沢領域214が低光沢領域215より目視位置108とは反対側に位置するものとして説明したがこれに限らない。高光沢領域214と低光沢領域215とは、目視位置108に対して低光沢領域215が高光沢領域214より離れて位置するように構成され、高光沢領域214が低光沢領域215より目視位置108側に位置し、低光沢領域215が高光沢領域214より目視位置108とは反対側に位置する構成であってもよい。
【0075】
また、以上の説明では、低光沢領域215は、高光沢領域214を囲うように円環状の領域として形成され、高光沢領域214は、当該低光沢領域215の内側の領域として形成されるものとして説明したがこれに限らない。高光沢領域214と低光沢領域215とは、位置関係がこの逆であってもよいし、それぞれ環状領域や当該環状領域に囲われた領域でなくてもよい。
【0076】
また、以上で説明した段差境界面216は、樹脂成型品1に適用されてもよく、例えば、指針104のカバー高光沢領域11Cとカバー低光沢領域12Cとの間に設けられてもよい。