特許第6573848号(P6573848)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6573848エンテカビルの合成方法及びその中間体化合物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6573848
(24)【登録日】2019年8月23日
(45)【発行日】2019年9月11日
(54)【発明の名称】エンテカビルの合成方法及びその中間体化合物
(51)【国際特許分類】
   C07F 7/18 20060101AFI20190902BHJP
   C07D 309/12 20060101ALI20190902BHJP
   C07D 319/08 20060101ALI20190902BHJP
【FI】
   C07F7/18 Z
   C07F7/18 J
   C07F7/18 S
   C07F7/18 V
   C07D309/12
   C07D319/08CSP
【請求項の数】17
【外国語出願】
【全頁数】83
(21)【出願番号】特願2016-144062(P2016-144062)
(22)【出願日】2016年7月22日
(62)【分割の表示】特願2013-518944(P2013-518944)の分割
【原出願日】2011年7月15日
(65)【公開番号】特開2016-196499(P2016-196499A)
(43)【公開日】2016年11月24日
【審査請求日】2016年8月19日
【審判番号】不服2018-4609(P2018-4609/J1)
【審判請求日】2018年4月5日
(31)【優先権主張番号】201110196709.X
(32)【優先日】2011年7月13日
(33)【優先権主張国】CN
(31)【優先権主張番号】201010230153.7
(32)【優先日】2010年7月15日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】513010837
【氏名又は名称】チェーチャン オーサン ファーマシューティカル カンパニー,リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【弁理士】
【氏名又は名称】武居 良太郎
(72)【発明者】
【氏名】チェン チクォ
【合議体】
【審判長】 佐藤 健史
【審判官】 菅原 洋平
【審判官】 冨永 保
(56)【参考文献】
【文献】 特表2006−509800号公報(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/074534号(WO,A2)
【文献】 特表2013−519669号公報(JP,A)
【文献】 特表2013−507436号公報(JP,A)
【文献】 Ziegler,Frederick E.et al.,Radical cyclization studies directed toward the synthesis of BMS−200475 ’entecavir’:the carbocyclic,Tetrahedron,2003年,59(45),pp.9013−9018
【文献】 Theodora W. Greene et al.,Protecting Groups in Organic Synthesis,米国,1999年,Third Edition,pp. 49−54, 127−144, 173−179, 207−215, 237−238
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式4
【化1】
[上式中、
及びRは、同一であるか又は異なり、及びRはともに、下記(i)〜(iii)の各群におけるヒドロキシ保護基から選ばれ:
(i)R及びRは互いに独立に、アルキル、ハロアルキル、ベンジル、t−BuMeSi、t−BuPhSi、(i−Pr)Si又はEtSiから選ばれる(ただし、R及びRの両方ともがt−BuMeSiであることはない);又は、
(ii)R及びRは互いに独立に、t−BuMeSi、t−BuPhSi、ベンゾイル、テトラヒドロピラン−2−イル、フェニル環が置換基を有するベンゾイル、及びビフェニル−4−ホルミルから選ばれ、ただし、R及びRの両方ともがt−BuMeSiであることはない;又は、
(iii)R及びRはそれらが結合している5員炭素環と一緒になって、下記の縮合環系の1つを形成する:
【化2】
{上式中、
は置換フェニルであり、そのフェニル上の置換基は、メトキシ、エトキシ、ハロ、フェニル及びニトロから選ばれ;
及びRは同一であるか又は異なり、独立にC1−6アルキル又はアリールから選ばれ;
符号*は、縮合環が分子の残りの部分に結合している結合点を表わす}]
で表される化合物4(ただし、(1R,3R,4S)−4−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−3−[(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)メチル]−2−メチレン−シクロペンタノールを除く)の調製方法であって、下記工程:
a)化合物2をCu(II)塩の触媒下に、Pb(OAc)を用いて開環して、シクロペンタン中間体3を得る工程
【化3】
(上式中、R及びRは本請求項に記載されるとおりに定義される);及び、
b)式3の化合物のアルコリシスを、塩基の存在下行い、又は式3の化合物を加水分解して、化合物4を得る工程
【化4】
(上式中、R及びRは本請求項に記載されるとおりに定義される)
を含む、前記方法。
【請求項2】
及びRは互いに独立に、t−BuMeSi、t−BuPhSi、フェニル環が置換基を有するベンゾイル、テトラヒドロピラン−2−イル、ベンゾイル、ビフェニル−4−ホルミルから選ばれ、ただし、R及びRの両方ともがt−BuMeSiであることはない、請求項1記載の方法。
【請求項3】
及びRはそれらが結合している5員炭素環と一緒になって、下記の縮合環系の1つを形成し、
【化5】
上式中、Rは置換フェニルであり、そのフェニル上の置換基は、メトキシ、エトキシ、ハロ、フェニル及びニトロから選ばれ、
及びRは同一であるか又は異なり、独立にC1−6アルキル又はアリールから選ばれ、
符号*は、縮合環が分子の残りの部分に結合している結合点を表す、請求項1記載の方法。
【請求項4】
及びRはそれらが結合している5員炭素環と一緒になって、下記の縮合環系の1つを形成している、請求項3記載の方法。
【化6】
【請求項5】
工程a)において、化合物2の環は、Cu(II)塩の触媒下にPb(OAc)を用いて、有機塩基の存在下で開環されて、シクロペンタン中間体3を得る、請求項1〜4のいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
工程b)において、式3の化合物のアルコリシス又は加水分解は、塩基の存在下に、有機溶媒中で、あるいは、水又は水と有機溶媒との混合物中で行なわれ、化合物4を得る、請求項1〜5のいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
式3
【化7】
[上式中、
及びRは、同一であるか又は異なり、独立に下記の群(i)〜(iii)のヒドロキシ保護基から選ばれ:
(i)R及びRは互いに独立に、アルキル、ハロアルキル、ベンジル、t−BuMeSi、t−BuPhSi、(i−Pr)Si又はEtSiから選ばれる(ただし、R及びRの両方ともがt−BuMeSiであることはない);又は、
(ii)R及びRは互いに独立に、t−BuMeSi、t−BuPhSi、ベンゾイル、テトラヒドロピラン−2−イル、フェニル環が置換基を有するベンゾイル、及びビフェニル−4−ホルミルから選ばれ、ただし、R及びRの両方ともがt−BuMeSiであることはない;又は、
(iii)R及びRはそれらが結合している5員炭素環と一緒になって、下記の縮合環系の1つを形成する:
【化8】
{上式中、
は置換フェニルであり、そのフェニル上の置換基は、メトキシ、エトキシ、ハロ、フェニル及びニトロから選ばれ、
及びRは同一であるか又は異なり、独立にC1−6アルキル又はアリールから選ばれ、
符号*は、縮合環が分子の残りの部分に結合している結合点を表す}]
で表される化合物。
【請求項8】
及びRは互いに独立に、t−BuMeSi、t−BuPhSi、ベンゾイル、テトラヒドロピラン−2−イル、フェニル環が置換基を有するベンゾイル、及びビフェニル−4−ホルミルから選ばれ、ただし、R及びRの両方ともがt−BuMeSiであることはない、請求項7記載の化合物。
【請求項9】
及びRはそれらが結合している5員炭素環と一緒になって、下記の縮合環系の1つを形成し、
【化9】
上式中、Rは置換フェニルであり、そのフェニル上の置換基は、メトキシ、エトキシ、ハロ、フェニル及びニトロから選ばれ、
及びRは同一であるか又は異なり、独立にC1−6アルキル又はアリールから選ばれ、
符号*は、縮合環が分子の残りの部分に結合している結合点を表す、請求項7記載の化合物。
【請求項10】
及びRはそれらが結合している5員炭素環と一緒になって、下記の縮合環系の1つを形成している、請求項9記載の化合物。
【化10】
【請求項11】
(1R,3R,4S)−4−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−3−[(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)メチル]−2−メチレン−シクロペンチルホルメート、
(1R,3R,4S)−4−(テトラヒドロピラン−2−イルオキシ)−3−(tert−ブチルジメチルシリルオキシメチル)−2−メチレン−シクロペンチルホルメート、
(1R,3R,4S)−4−(tert−ブチルジフェニルシリルオキシ)−3−(tert−ブチルジメチルシリルオキシメチル)−2−メチレン−シクロペンチルホルメート、
(1R,3R,4S)−4−(ビフェニル−4−ホルミルオキシ)−3−(tert−ブチルジメチルシリルオキシメチル)−2−メチレン−シクロペンチルホルメート、
(1R,3R,4S)−4−ベンゾイルオキシ−3−(tert−ブチルジメチルシリルオキシメチル)−2−メチレン−シクロペンチルホルメート、
(1R,3R,4S)−4−(テトラヒドロピラン−2−イルオキシ)−3−(tert−ブチルジフェニルシリルオキシメチル)−2−メチレン−シクロペンチルホルメート、
(1R,3R,4S)−4−tert−ブチルジメチルシリルオキシ−3−(tert−ブチル−ジフェニルシリルオキシメチル)−2−メチレン−シクロペンチルホルメート、
(1R,3R,4S)−4−(ビフェニル−4−ホルミルオキシ)−3−(tert−ブチルジフェニルシリルオキシメチル)−2−メチレン−シクロペンチルホルメート、
(1R,3R,4S)−4−(tert−ブチルジフェニルシリルオキシ)−3−(tert−ブチルジフェニルシリルオキシメチル)−2−メチレン−シクロペンチルホルメート、
(1R,3R,4S)−4−ベンゾイルオキシ−3−(tert−ブチルジフェニルシリルオキシメチル)−2−メチレン−シクロペンチルホルメート、
(1R,3R,4S)−4−ベンゾイルオキシ−3−(ベンゾイルオキシメチル)−2−メチレン−シクロペンチルホルメート、
(1R,3R,4S)−4−(テトラヒドロピラン−2−イルオキシ)−3−(ベンゾイルオキシメチル)−2−メチレン−シクロペンチルホルメート、
(1R,3R,4S)−4−tert−ブチルジメチルシリルオキシ−3−(ベンゾイルオキシメチル)−2−メチレン−シクロペンチルホルメート、
(1R,3R,4S)−4−(tert−ブチルジフェニルシリルオキシ)−3−(ベンゾイルオキシメチル)−2−メチレン−シクロペンチルホルメート、
(1R,3R,4S)−4−(ビフェニル−4−ホルミルオキシ)−3−(ベンゾイルオキシメチル)−2−メチレンシクロペンチルホルメート、
(1R,3R,4S)−4−ベンゾイルオキシ−3−(ビフェニル−4−ホルミルオキシメチル)−2−メチレン−シクロペンチルホルメート、
(1R,3R,4S)−4−(テトラヒドロピラン−2−イルオキシ)−3−(ビフェニル−4−ホルミルオキシメチル)−2−メチレン−シクロペンチルホルメート、
(1R,3R,4S)−4−tert−ブチルジメチルシリルオキシ−3−(ビフェニル−4−ホルミルオキシメチル)−2−メチレン−シクロペンチルホルメート、
(1R,3R,4S)−4−(tert−ブチルジフェニルシリルオキシ)−3−(ビフェニル−4−ホルミルオキシメチル)−2−メチレン−シクロペンチルホルメート、
(1R,3R,4S)−4−(ビフェニル−4−ホルミルオキシ)−3−(テトラヒドロピラン−2−イルオキシメチル)−2−メチレン−シクロペンチルホルメート、
(1R,3R,4S)−4−tert−ブチルジメチルシリルオキシ−3−(テトラヒドロピラン−2−イルオキシメチル)−2−メチレン−シクロペンチルホルメート、
(1R,3R,4S)−4−(ビフェニル−4−ホルミルオキシ)−3−(ビフェニル−4−ホルミルオキシメチル)−2−メチレン−シクロペンチルホルメート、
(4aR,6R,7aS)−2,2−ジ−tert−ブチル−5−メチレン−6H−ヘキサヒドロ−シクロペンタ[d][1,3,2]ジオキサシリン−6−イルホルメート、
から選ばれる、請求項7〜10のいずれか1項記載の化合物。
【請求項12】
式3
【化11】
[上式中、
及びRは、同一であるか又は異なり、及びRはともに、下記(i)〜(iii)の各群におけるヒドロキシ保護基から選ばれ:
(i)R及びRは互いに独立に、アルキル、ハロアルキル、ベンジル、t−BuMeSi、t−BuPhSi、(i−Pr)Si又はEtSiから選ばれる(ただし、R及びRの両方ともがt−BuMeSiであることはない);又は、
(ii)R及びRは互いに独立に、t−BuMeSi、t−BuPhSi、ベンゾイル、テトラヒドロピラン−2−イル、フェニル環が置換基を有するベンゾイル、及びビフェニル−4−ホルミルから選ばれ、ただし、R及びRの両方ともがt−BuMeSiであることはない;又は、
(iii)R及びRはそれらが結合している5員炭素環と一緒になって、下記の縮合環系の1つを形成する:
【化12】
{上式中、
は置換フェニルであり、そのフェニル上の置換基は、メトキシ、エトキシ、ハロ、フェニル及びニトロから選ばれ、
及びRは同一であるか又は異なり、独立にC1−6アルキル又はアリールから選ばれ、
符号*は、縮合環が分子の残りの部分に結合している結合点を表す}]
の化合物の調製方法であって、下記工程:
a)化合物2をCu(II)塩の触媒下にPb(OAc)を用いて、有機塩基の存在下で開環し、シクロペンタン中間体3を得る工程
【化13】
(上式中、R及びRは本請求項に記載されるとおりに定義される)
を含む、前記方法。
【請求項13】
及びRは互いに独立に、t−BuMeSi、t−BuPhSi、ベンゾイル、テトラヒドロピラン−2−イル、フェニル環が置換基を有するベンゾイル、及びビフェニル−4−ホルミルから選ばれ、ただし、R及びRの両方ともがt−BuMeSiであることはない、請求項12記載の方法。
【請求項14】
及びRはそれらが結合している5員炭素環と一緒になって、下記の縮合環系の1つを形成し、
【化14】
上式中、Rは置換フェニルであり、そのフェニル上の置換基は、メトキシ、エトキシ、ハロ、フェニル及びニトロから選ばれ、
及びRは同一であるか又は異なり、独立にC1−6アルキル又はアリールから選ばれ、
符号*は、縮合環が分子の残りの部分に結合している結合点を表す、請求項12記載の方法。
【請求項15】
及びRはそれらが結合している5員炭素環と一緒になって、下記の縮合環系の1つを形成している、請求項14記載の方法。
【化15】
【請求項16】
式4
【化16】
[上式中、
及びRはそれらが結合している5員炭素環と一緒になって、下記の縮合環系の1つを形成し、
【化17】
上式中、Rは置換フェニルであり、そのフェニル上の置換基は、メトキシ、エトキシ、ハロ、フェニル及びニトロから選ばれ、
及びRは同一であるか又は異なり、独立にC1−6アルキル又はアリールから選ばれ、
符号*は、縮合環が分子の残りの部分に結合している結合点を表化合物。
【請求項17】
及びRはそれらが結合している5員炭素環と一緒になって、下記の縮合環系の1つを形成している、請求項16記載の化合物。
【化18】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は医薬の調製方法及びその中間体化合物に関し、より詳細には、エンテカビルの調製方法、その中間体化合物及びその中間体化合物の合成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
エンテカビル、すなわち、下記式(I)に示すとおりの化合物、2-アミノ-1,9-ジヒドロ-9-[(1S,3R,4S)-4-ヒドロキシ-3-(ヒドロキシメチル)-2-メチレン-シクロペンチル]-6H-プリン-6-オンは新しいヌクレオシド型抗ウイルス剤である。
【0003】
【化1】
【0004】
エンテカビルはラミブジン及びアデフォビルジピボキシルに続いて販売されている第三の抗HBV(B型肝炎ウイルス)薬であり、それは市場に現在ある抗HBV薬の中で最も高い抗HBV活性を有する。エンテカビルの抗HBV効果はラミブジンよりも100倍高く、アデフォビルジピボキシルより30倍以上高い。さらに、その副作用は非常に低く、その選択指数は8000を超え、そしてラミブジン耐性HBVウイルスに良好な治療効果もある。したがって、エンテカビルはB型肝炎を治癒させる理論的な可能性を提供する。
【0005】
これまで、エンテカビルの合成経路としては、主として下記の経路が挙げられる。
【0006】
中国特許ZL91110831.9及び国際公開第98/09964号はエンテカビルの調製方法を開示している。その方法は出発材料としてシクロペンタジエン8を使用する。シクロペンタジエン8をクロロメチルベンジルエーテルと反応させ、次いで、(+)-α-ピネンから調製されるジピネン-ボラン錯体(Ipc2BH)と反応させて、キラル中間体9を得る。その後、アセチルアセトン酸化バナジウム[VO(acac)2]の触媒下に、t−BuO2Hによって中間体9をエポキシ化することで、中間体10を得る。水素化ナトリウム、ヨウ化テトラブチルアンモニウム及び臭化ベンジルと中間体10の反応により、中間体11を得る。水素化リチウム及び6-ベンジルオキシ-2-アミノプリン12と中間体11の反応により、中間体13を得る。(モノ−p−メトキシ-トリフェニル)-メチルクロリド(MMTCl)を用いて中間体13のアミノを保護し、中間体14を得、それを、デス・マーチン(Dess-Martin)試薬で酸化して、ヒドロキシ基をケトン基へと酸化し、中間体15を得る。中間体15をナイステッド(Nysted)試薬及び四塩化チタンで処理してメチレン化を行い、中間体16を得る。その後、中間体16を塩酸と反応させ、プリン環上のアミノ基上のMMT基とベンジル基を除去して、中間体17を得る。最後に中間体17を三塩化ホウ素で処理して、シクロアルキル基のヒドロキシル基上のベンジル基を除去してエンテカビルを得る。その方法を以下のスキームとして示す。
【0007】
【化2】
【0008】
上記の調製方法には幾つかの問題がある。出発材料はキラルホウ素試薬を含み、それは非常に高価であり、最終工程でのベンジルの除去は超毒性の三塩化ホウ素を使用し、中間体の合成工程は困難であり、そして過酷な条件及び高品質の装置を必要として、上記の方法で使用する試薬の幾つかは高価である。
【0009】
さらに、Bristol Meyer Squibb Companyの特許出願(国際公開第2004/052310A2号)は出発材料として化合物2’を用いた合成方法を開示している。それを以下のスキームに示す。
【0010】
【化3】
【0011】
しかしながら、出願人がエンテカビルを合成するために国際公開第2004/052310A2号の上記の方法を使用した際に、上記の方法で記載されるとおりの中間体4と2-アミノプリン化合物23(アミノ基は保護されていなかった)の光延反応は低く不安定な収率となることが判明した。さらに、上記の光延反応のカップリング反応生成物24は、試薬のフェニルホスフィンから生成されるトリフェニルホスフィンオキシドと同様の極性を有し、従って、反応生成物を分離しそして精製することが困難である。さらに、反応生成物24からヒドロキシ保護基を除去することによって得られる中間体25は水溶性が高く、したがって、それは単純な抽出と分離により、中間体25を得ることが困難であり、その収率は低い。それゆえ、国際公開第2004/052310A2号の方法は大規模な工業生産には不向きと考えられていた。
【0012】
さらに、上記の方法は光化学法であり、ここで、出発材料として用いられる化合物2'を酢酸ヨードフェニルで処理し、そしてヨウ素を用いてヨウ化物を得ることができ、そのヨウ化物を除去反応に付し、次いで、アルコリシスにより中間体4を調製するものであると述べているが、その特許出願には、その方法の実現可能性を証明するための具体的な実験例及び実験データが提出されていない。
【0013】
本発明の発明者は、中間体4を調製するために国際公開第2004/052310A2号の上記の方法に従って、報告されている条件(PhI(OAc)2/I2, hv (Tetrahedron Letters, 1987, 28, 3397-3400))を用いた際に、上記の方法の収率は低いことを見いだし、そのため、その方法を工業生産に応用することが困難である。
【0014】
別の方法はChinese Chemical Letters, 2006, 17(7) 907-910及び中国特許出願公開CN1861602Aに開示されており、それは以下のスキームに示される。
【0015】
【化4】
【0016】
しかしながら、上記の方法は合成経路が長く、操作が複雑であり、したがって、その方法を工業生産に応用することが困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
したがって、上記の問題を克服することができ、そして工業生産で使用するのが便利である新規の調製方法を開発することがなおも必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0018】
発明の内容
記載をとおして、以下の用語は以下に示す意味である。
【0019】
用語「アルキル」は単独で使用されても又は他の基との組み合わせで使用されても、直鎖もしくは枝分かれ鎖の一価の炭素原子及び水素原子からなる飽和炭化水素基を表す。用語「C1-6アルキル」は1〜6個の炭素原子を有する直鎖もしくは枝分かれのアルキル基を表し、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル及びn-ヘキシルである。
【0020】
「ハロ」又は「ハロゲン」はフルオロ、クロロ、ブロモ又はヨードを表す。
【0021】
「ハロ-アルキル」は1個以上のハロゲンで置換された上記で定義されるとおりのアルキル基を表し、例えば、トリフルオロメチルである。
【0022】
用語「アルコキシ」は、単独で使用されても又は他の基との組み合わせで使用されても、R'−O−を表し、ここで、R'は上記で定義されたとおりのアルキル基を表す。「C1-6アルコキシ」はR'−O−を表し、ここで、R'は上記で定義されたとおりのC1-6アルキル基を表す。
【0023】
「ハロ-アルコキシ」は1個以上のハロゲンで置換された、上記で定義されたとおりのアルコキシを表し、例えば、トリフルオロメトキシ基である。
【0024】
「アリール」は炭素原子を含む単環式又は縮合二環式芳香環を表す。「C5-10アリール」は5〜10個の炭素原子を有するアリールを表す。例えば、C1-5アリールはフェニル又はナフチルであることができる。
【0025】
「アラルキル」は上記で定義されたとおりのアリール基で置換された、上記で定義されたとおりのアルキル基を表す。
【0026】
「アラルコキシ」は上記で定義されたとおりのアリール基で置換された、上記で定義されたとおりのアルコキシを表す。
【0027】
「アシル」は、基−CO−Rを表し、ここで、Rは上記で定義されたとおりのアルキル、アリール又はアラルキルである。
【0028】
上記のとおりのアリールは、それ自体として使用されても又はアラルキル及びアラルコキシなどのように他の基の一部として使用されても、1つ以上の置換基により場合により置換されていてもよい。置換アリールの場合には、その置換基は好ましくはC1-6アルキル、C1-6アルコキシ、ハロ、アリール及びニトロから選ばれ、より好ましくは、メトキシ、エトキシ、ハロ、フェニル及びニトロから選ばれる。
【0029】
本発明は、より少ない反応工程を含み、操作が容易であり、収率を改良し、そしてコストを低減することができるエンテカビルの合成方法に関する。
【0030】
1つの態様において、本発明は2−保護アミノ−6−置換プリン化合物を出発材料として使用するエンテカビル(式Iの化合物)の合成方法であって、下記の工程を含む方法に関する:
(c)化合物4を2−保護アミノ−6−置換プリン化合物5と光延反応させて、カップリング反応生成物6を得る工程
【0031】
【化5】
【0032】
[上式中、
1及びR2は、同一であるか又は異なり、独立に下記の群(i)〜(iii)のヒドロキシ保護基から選ばれ:
(i)R1及びR2は互いに独立に、アルキル、ハロアルキル、ベンジル、t-BuMe2Si、t-BuPh2Si、(i-Pr)3Si又はEt3Siから選ばれ、好ましくはt-BuMe2Siである;又は、
(ii)R1及びR2は互いに独立に、t-BuMe2Si、t-BuPh2Si、ベンゾイル、テトラヒドロピラン−2−イル、フェニル環が置換基を有するベンゾイル、及びビフェニル−4−ホルミルから選ばれ、ただし、R1及びR2の両方ともがt-BuMe2Siであることはない;又は、
(iii)R1及びR2はそれらが結合している5員炭素環と一緒になって、下記の縮合環系の1つを形成する:
【0033】
【化6】
【0034】
{上式中、
3は水素原子、C1-6アルキル、フェニル又は置換フェニルであり、そのフェニル上の置換基は好ましくは、メトキシ、エトキシ、ハロ、フェニル及びニトロから選ばれ、
4及びR5は同一であるか又は異なり、独立にC1-6アルキル又はアリールから選ばれ、好ましくはtert-ブチル又はフェニルであり、
符号*は縮合環が分子の残りの部分に結合している結合点を表す}
上記複合環は好ましくは、下記縮合環系の1つであり、
【0035】
【化7】
【0036】
R及びR’は同一であるか又は異なり、独立に、水素、アルコキシカルボニル又はアラルコキシカルボニルから選ばれ、例えば、C1-6アルコキシカルボニル又はC5-10アラルコキシカルボニルであり、好ましくはtert-ブチルオキシカルボニルであり、ただし、R及びR’は両方ともが水素であることはなく、
Xはハロ、アルコキシ、ハロアルコキシ又はアラルコキシであり、例えば、C1-6アルコキシ、ハロC1-6アルコキシ又はC5-10アラルコキシであり、好ましくは、クロロ、メトキシ、ベンジルオキシ、tert-ブチルオキシであり、特に好ましくはクロロである];
【0037】
d)R1及びR2が両方ともアシル保護基であるか又は両方ともがアシル保護基でない場合には、化合物6からヒドロキシ保護基を除去して、化合物7を得る工程
【0038】
【化8】
【0039】
(上式中、X、R1、R2、R及びR’は上で定義された通りである);
e)化合物7を加水分解して、式1の化合物(エンテカビル)を得る工程、
【0040】
【化9】
【0041】
(上式中、X、R及びR’は上で定義された通りである)
又は、d’)R1及びR2の両方ともがアシル保護基でない場合には、化合物6をワンポット様式で加水分解しながら、式1の化合物を直接的に生じる工程
【0042】
【化10】
【0043】
(上式中、X、R1、R2、R及びR’は上で定義された通りである);又は、
d”)R1及びR2のいずれかがベンゾイル、フェニル環が置換基を有するベンゾイル、又はビフェニルホルミルなどのアシル保護基である場合には、化合物6を脱保護して、化合物8又は9を得、その後、それを加水分解して化合物1を得る工程、又は、それを化合物7に変換させ、次いで、加水分解して化合物1を得る工程
【0044】
【化11】
【0045】
(上式中、X、R1、R2、R及びR’は上で定義された通りである)。
【発明を実施するための形態】
【0046】
上記の工程c)において、化合物4と化合物5との反応は、非プロトン性溶媒、例えば芳香族炭化水素、ハロゲン化芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素又はエーテル、例えばTHF中で、光延反応試薬、例えばPh3P/EtO2CN=NCO2Et又はPh3P/i-PrO2CN=NCO2i-Prの存在下にて行う。
【0047】
上記の工程d)において、化合物6の脱保護は、酸(例えば、R1及びR2の両方ともがシリル保護基である場合)又は塩基(例えば、R1及びR2の両方がアシル保護基である場合)の存在下に、例えば、ハロゲン化水素酸、例えば、塩酸もしくはフッ化水素酸、ギ酸、又は、フッ素イオンを含有する第四級アンモニウム塩、例えば、テトラブチルアンモニウムフルオリド(TBAF)又はピリジニウムフッ化水素酸塩、又は、炭酸カリウム又はアルコキシド、例えばナトリウムアルコキシドの存在下で行われる。好ましくは、反応はテトラブチルアンモニウムフルオリド(TBAF)又は塩酸の存在下で行われる。上記反応は、適切な溶媒又はかかる溶媒と水の混合物、例えば、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、メタノール又はエタノールあるいはそれらの任意の組み合わせの中で行われる。
【0048】
上記の工程e)において、化合物7の加水分解は酸性又は塩基性条件で行われ、好ましくは、塩酸又はギ酸の存在下に、水中、又は、水と有機溶媒との混合物、例えば、テトラヒドロフラン又はエタノールと水との混合物の中で、好ましくは、テトラヒドロフラン溶媒中で塩酸の存在下に行われる。
【0049】
上記の工程d’)において、化合物6の脱保護及び加水分解は希塩酸などのハロゲン化水素酸の存在下に、例えば0.1N〜3Nの希塩酸の存在下に、適切な有機溶媒又はその溶媒と水との混合物中、例えば、メタノール、エタノールもしくはテトラヒドロフラン、又は、上記の溶媒と水との混合物中で行うことができる。
【0050】
上記の工程d”)において、化合物6から誘導される化合物8又は9は、化合物1を直接的に得るために使用されてもよいし、後に化合物1を得るために使用される化合物7を生成するために使用されてもよい。それは、先にシリル保護基が除去されるか、それとも先にアシル保護基の除去されるかによって決定される。アシル保護基では、例えば、アルカリ加水分解により除去され、反応は炭酸カリウム、アルカリ金属水酸化物、アルコキシド、例えば、ナトリウムアルコキシドの存在下に行われる。
【0051】
このように、好ましい実施形態において、式(1)のエンテカビルは、
c)芳香族炭化水素、ハロゲン化芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素又はエーテル、例えば、THFなどの非プロトン性溶媒中で、Ph3P/EtO2CN=NCO2Et又はPh3P/i-PrO2CN=NCO2i-Prの存在下に化合物4を2−保護アミノ−6−置換プリン化合物5と反応させ、カップリング反応生成物6を得る工程;
d)テトラブチルアンモニウムフルオリド(TBAF)又は塩酸の存在下に化合物6からヒドロキシ保護基を除去して、化合物7を得る工程;及び、
e)テトラヒドロフラン中で塩酸の存在下に化合物7を加水分解して、式1の化合物を得る工程、
を含む方法により調製される。
【0052】
上記の工程c)〜e)において、使用する反応条件により、反応時間は数分〜数日、例えば、30分〜14日であることができ、反応温度は約−78℃〜使用する溶媒の還流温度、例えば、0〜150℃であることができ、特に、室温から使用する溶媒の還流温度であることができる。
【0053】
出願人は、上記の工程c)において、2−保護アミノ−6−置換プリン化合物を出発材料として使用する場合に、上記の光延反応の反応速度は加速でき、収量は有意に改善し、それにより、エンテカビルの調製の合計収量を大きく上げる。いかなる理論にも拘束されるつもりはないが、反応速度を加速させそして収量を改良する理由は2−保護アミノ−6−置換プリン化合物5の使用が反応溶媒中での非保護アミノ−プリン化合物の溶解度の低さの問題を克服し、得られるカップリング反応生成物の物理化学的特性を改良し、次いで行う反応及び中間体化合物の精製が容易に行えることによるものと考えられる。本発明の2−保護アミノ−6−置換プリン化合物は2−アミノ−6−置換グアニンを出発材料として用いて、文献(J. Org. Chem. 2000, 65, 7697-7699)中に記載されるとおりの2-tert-ブチルオキシカルボニルアミノ-6-クロロ-グアニンの合成方法にしたがって調製されうる。
【0054】
上記の方法において、式6及び7の中間体化合物は新規の化合物である。
【0055】
このため、1つの態様において、本発明は、また、下記式の化合物に関する。
【0056】
【化12】
【0057】
上式中、R1及びR2は、同一であるか又は異なり、独立に、水素又は下記の群(i)〜(iii)のヒドロキシ保護基から選ばれ:
(i)R1及びR2は互いに独立に、アルキル、ハロアルキル、ベンジル、t-BuMe2Si、t-BuPh2Si、(i-Pr)3Si又はEt3Siから選ばれ、好ましくはt-BuMe2Siである;又は、
(ii)R1及びR2は互いに独立に、t-BuMe2Si、t-BuPh2Si、ベンゾイル、テトラヒドロピラン−2−イル、フェニル環が置換基を有するベンゾイル、及びビフェニル−4−ホルミルから選ばれ、ただし、R1及びR2の両方ともがt-BuMe2Siであることはない;又は、
(iii)R1及びR2はそれらが結合している5員炭素環と一緒になって、下記の縮合環系の1つを形成する:
【0058】
【化13】
【0059】
上式中、R3は水素原子、C1-6アルキル、フェニル又は置換フェニルであり、そのフェニル上の置換基は好ましくは、メトキシ、エトキシ、ハロ、フェニル及びニトロから選ばれ、
4及びR5は同一であるか又は異なり、独立にC1-6アルキル又はアリールから選ばれ、好ましくはtert-ブチル又はフェニルであり、
符号*は縮合環が分子の残りの部分に結合している結合点を表し、
上記複合環は好ましくは、下記縮合環系の1つであり、
【0060】
【化14】
【0061】
R及びR’は同一であるか又は異なり、独立に、水素、アルコキシカルボニル又はアラルコキシカルボニルから選ばれ、例えば、C1-6アルコキシカルボニル又はC5-10アラルコキシカルボニルであり、好ましくはtert-ブチルオキシカルボニルであり、ただし、R及びR’は両方ともが水素であることはなく、
Xはハロ、アルコキシ、ハロアルコキシ又はアラルコキシであり、例えば、C1-6アルコキシ、ハロC1-6アルコキシ又はC5-10アラルコキシであり、好ましくは、クロロ、メトキシ、ベンジルオキシ、tert-ブチルオキシであり、特に好ましくはクロロである。
【0062】
上記の式の化合物において、下記の表の化合物は特に好ましい。
【表1】
【0063】
【表2】
【0064】
【表3】
【0065】
【表4】
【0066】
【表5】
【0067】
【表6】
【0068】
【表7】
【0069】
【表8】
【0070】
別の態様において、本発明は式6の化合物の調製方法に関し、該方法は、化合物4を2−保護アミノ−6−置換プリン化合物5と光延反応試薬の存在下に反応させ、カップリング反応生成物6を得る工程を含む。
【0071】
【化15】
【0072】
[上式中、
1及びR2は、同一であるか又は異なり、独立に下記の群(i)〜(iii)のヒドロキシ保護基から選ばれ:
(i)R1及びR2は互いに独立に、アルキル、ハロアルキル、ベンジル、t-BuMe2Si、t-BuPh2Si、(i-Pr)3Si又はEt3Siから選ばれ、好ましくはt-BuMe2Siである、又は、
(ii)R1及びR2は互いに独立に、t-BuMe2Si、t-BuPh2Si、ベンゾイル、テトラヒドロピラン−2−イル、フェニル環が置換基を有するベンゾイル、及びビフェニル−4−ホルミルから選ばれ、ただし、R1及びR2の両方ともがt-BuMe2Siであることはない、又は、
(iii)R1及びR2はそれらが結合している5員炭素環と一緒になって、下記の縮合環系の1つを形成する
【0073】
【化16】
【0074】
{上式中、R3は水素原子、C1-6アルキル、フェニル又は置換フェニルであり、そのフェニル上の置換基は好ましくは、メトキシ、エトキシ、ハロ、フェニル及びニトロから選ばれ、R4及びR5は同一であるか又は異なり、独立にC1-6アルキル又はアリールから選ばれ、好ましくはtert-ブチル又はフェニルであり、符号*は縮合環が分子の残りの部分に結合している結合点を表し、
上記複合環は好ましくは、下記縮合環系の1つである}
【0075】
【化17】
【0076】
R及びR’は同一であるか又は異なり、独立に、水素、アルコキシカルボニル又はアラルコキシカルボニルから選ばれ、例えば、C1-6アルコキシカルボニル又はC5-10アラルコキシカルボニルであり、好ましくはtert-ブチルオキシカルボニルであり、ただし、R及びR’は両方ともが水素であることはなく、
Xはハロ、アルコキシ、ハロアルコキシ又はアラルコキシであり、例えば、C1-6アルコキシ、ハロC1-6アルコキシ又はC5-10アラルコキシであり、好ましくは、クロロ、メトキシ、ベンジルオキシ、tert-ブチルオキシであり、特に好ましくはクロロである]。その反応の条件は上記のとおりである。
【0077】
別の態様において、本発明は式7の化合物の調製方法に関し、その方法は化合物6からヒドロキシ保護基を除去して、化合物7を得る工程を含む。
【0078】
【化18】
【0079】
[上式中、
1及びR2は、同一であるか又は異なり、独立に下記の群(i)〜(iii)のヒドロキシ保護基から選ばれ:
(i)R1及びR2は互いに独立に、アルキル、ハロアルキル、ベンジル、t-BuMe2Si、t-BuPh2Si、(i-Pr)3Si又はEt3Siから選ばれ、好ましくはt-BuMe2Siである;又は、
(ii)R1及びR2は互いに独立に、t-BuMe2Si、t-BuPh2Si、ベンゾイル、テトラヒドロピラン−2−イル、フェニル環が置換基を有するベンゾイル、及びビフェニル−4−ホルミルから選ばれ、ただし、R1及びR2の両方ともがt-BuMe2Siであることはない;又は、
(iii)R1及びR2はそれらが結合している5員炭素環と一緒になって、下記の縮合環系の1つを形成する:
【0080】
【化19】
【0081】
{上式中、
3は水素原子、C1-6アルキル、フェニル又は置換フェニルであり、そのフェニル上の置換基は好ましくは、メトキシ、エトキシ、ハロ、フェニル及びニトロから選ばれ、
4及びR5は同一であるか又は異なり、独立にC1-6アルキル又はアリールから選ばれ、好ましくはtert-ブチル又はフェニルであり、
符号*は縮合環が分子の残りの部分に結合している結合点を表し、
上記複合環は好ましくは、下記縮合環系の1つである}
【0082】
【化20】
【0083】
R及びR’は同一であるか又は異なり、独立に、水素、アルコキシカルボニル又はアラルコキシカルボニルから選ばれ、例えば、C1-6アルコキシカルボニル又はC5-10アラルコキシカルボニルであり、好ましくはtert-ブチルオキシカルボニルであり、ただし、R及びR’は両方ともが水素であることはなく、
Xはハロ、アルコキシ、ハロアルコキシ又はアラルコキシであり、例えば、C1-6アルコキシ、ハロC1-6アルコキシ又はC5-10アラルコキシであり、好ましくは、クロロ、メトキシ、ベンジルオキシ、tert-ブチルオキシであり、特に好ましくはクロロである]。その反応の条件は上記のとおりである。
【0084】
別の態様において、本発明は式4の化合物に関する。
【0085】
【化21】
【0086】
[上式中、
1及びR2は、同一であるか又は異なり、独立に下記の群(i)〜(iii)のヒドロキシ保護基から選ばれ:
(i)R1及びR2は互いに独立に、アルキル、ハロアルキル、ベンジル、t-BuMe2Si、t-BuPh2Si、(i-Pr)3Si又はEt3Siから選ばれ、好ましくはt-BuMe2Siである;又は、
(ii)R1及びR2は互いに独立に、t-BuMe2Si、t-BuPh2Si、ベンゾイル、テトラヒドロピラン−2−イル、フェニル環が置換基を有するベンゾイル、及びビフェニル−4−ホルミルから選ばれ、ただし、R1及びR2の両方ともがt-BuMe2Siであることはない;又は、
(iii)R1及びR2はそれらが結合している5員炭素環と一緒になって、下記の縮合環系の1つを形成する:
【0087】
【化22】
【0088】
{式中、R3は水素原子、C1-6アルキル、フェニル又は置換フェニルであり、そのフェニル上の置換基は好ましくは、メトキシ、エトキシ、ハロ、フェニル及びニトロから選ばれ、R4及びR5は同一であるか又は異なり、独立にC1-6アルキル又はアリールから選ばれ、好ましくはtert-ブチル又はフェニルであり、
符号*は縮合環が分子の残りの部分に結合している結合点を表し、
上記複合環は好ましくは、下記縮合環系の1つである}]。
【0089】
【化23】
【0090】
上記の式4の化合物において、下記の化合物は好ましい。
【0091】
【表9】
【0092】
【表10】
【0093】
【表11】
【0094】
化合物4は文献中に記載される方法と同様の方法により合成でき、又は、化合物4は、 a)化合物2を開環して、シクロペンタン中間体3を直接的に得る工程;
【0095】
【化24】
【0096】
(上式中、
1及びR2は、同一であるか又は異なり、独立に下記の群(i)〜(iii)のヒドロキシ保護基から選ばれ:
(i)R1及びR2は互いに独立に、アルキル、ハロアルキル、ベンジル、t-BuMe2Si、t-BuPh2Si、(i-Pr)3Si又はEt3Siから選ばれ、好ましくはt-BuMe2Siである;又は、
(ii)R1及びR2は互いに独立に、t-BuMe2Si、t-BuPh2Si、ベンゾイル、テトラヒドロピラン−2−イル、フェニル環が置換基を有するベンゾイル、及びビフェニル−4−ホルミルから選ばれ、ただし、R1及びR2の両方ともがt-BuMe2Siであることはない;又は、
(iii)R1及びR2はそれらが結合している5員炭素環と一緒になって、下記の縮合環系の1つを形成する:
【0097】
【化25】
【0098】
{上式中、
3は水素原子、C1-6アルキル、フェニル又は置換フェニルであり、そのフェニル上の置換基は好ましくは、メトキシ、エトキシ、ハロ、フェニル及びニトロから選ばれ、
4及びR5は同一であるか又は異なり、独立にC1-6アルキル又はアリールから選ばれ、好ましくはtert-ブチル又はフェニルであり、
符号*は縮合環が分子の残りの部分に結合している結合点を表し、
上記複合環は好ましくは、下記縮合環系
【0099】
【化26】
【0100】
の1つである});及び、
b)化合物3をアルコリシス又は加水分解して、化合物4を得る工程;
【0101】
【化27】
【0102】
(上式中、R1及びR2は上記のとおりである)
を含む方法により調製されうる。
【0103】
化合物2はEP134153などの文献に記載される既知の方法又はそれと同様の方法により、あるいは、本願の実施例に記載の方法又はそれと同様の方法により調製されうる。
【0104】
上記の工程a)において、化合物2の環は、Cu (II) 塩の触媒下に、PhI(OAc)2、Mn(OAc)3 又は Pb(OAc)4、好ましくはPb(OAc)4などの、フリーラジカルにより分解を誘導することができる適切な試薬を用いて直接的に開環され、シクロペンタン中間体3が提供される。この反応は、ベンゼン、トルエン、シクロヘキサン、石油エーテル又はn−ヘプタンなどの炭化水素溶媒、アセトニトリル、酢酸エチルなどの非プロトン性極性溶媒、ハロゲン化炭化水素又はトリフルオロトルエンなどのハロゲン化芳香族炭化水素又はそれらの混合物中で、好ましくはトリエチルアミン又はピリジンなどの有機塩基の存在下に行うことができる。
【0105】
上記の工程b)において、式3の化合物のアルコリシス又は加水分解を、アンモニア、トリエチルアミン、K2CO3又はアルコキシドなどの塩基の存在下に、メタノール、エタノール又はそれらの混合物などの有機溶媒、あるいは、水又は水と有機溶媒との混合物、例えば、 EtOH及び水の混合物中で行い、化合物4を得る。好ましくは、K2CO3及びメタノールをこの工程の反応に使用する。
【0106】
このように、好ましい実施形態において、化合物4を、下記工程を含む方法により調製することができる。
a)化合物2をCu (II)塩の触媒下に、Pb(OAc)4を用いて、好ましくはトリエチルアミン又はピリジンなどの有機塩基の存在下に開環し、直接的にシクロペンタン中間体3を得る工程;及び、
b) 式3の化合物のアルコリシスを、K2CO3の存在下に、メタノール中で行い、化合物4を得る工程。
【0107】
上記の方法の各工程において、使用する反応条件により、反応時間は数分から数日と様々であり、例えば、30分〜14日であり、反応温度は約-78°Cから使用する溶媒の還流温度であることができ、例えば、0 °C〜150 °Cであり、特に、室温から使用する溶媒の還流温度である。
【0108】
上記の工程a)において、得られる式3の化合物は新規の化合物である。このように、1つの態様において、本発明は式3の化合物にも関する。
【0109】
【化28】
【0110】
上式中、R1及びR2は、同一であるか又は異なり、独立に下記の群(i)〜(iii)のヒドロキシ保護基から選ばれ:
(i)R1及びR2は互いに独立に、アルキル、ハロアルキル、ベンジル、t-BuMe2Si、t-BuPh2Si、(i-Pr)3Si又はEt3Siから選ばれ、好ましくはt-BuMe2Siであり;又は、
(ii)R1及びR2は互いに独立に、t-BuMe2Si、t-BuPh2Si、ベンゾイル、テトラヒドロピラン−2−イル、フェニル環が置換基を有するベンゾイル、及びビフェニル−4−ホルミルから選ばれ、ただし、R1及びR2の両方ともがt-BuMe2Siであることはなく;又は、
(iii)R1及びR2はそれらが結合している5員炭素環と一緒になって、下記の縮合環系の1つを形成する;
【0111】
【化29】
【0112】
上式中、R3は水素原子、C1-6アルキル、フェニル又は置換フェニルであり、そのフェニル上の置換基は好ましくは、メトキシ、エトキシ、ハロ、フェニル及びニトロから選ばれ、R4及びR5は同一であるか又は異なり、独立にC1-6アルキル又はアリールから選ばれ、好ましくはtert-ブチル又はフェニルであり、符号*は縮合環が分子の残りの部分に結合している結合点を表し、
上記複合環は好ましくは、下記縮合環系
【0113】
【化30】
【0114】
の1つである。特に好ましくは、式3の化合物は(1R,3R,4S)-4-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)-3-[(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)メチル]-2-メチレン-シクロペンチルホルメートであり、下記の構造を有する。
【0115】
【化31】
【0116】
さらに、特に好ましくは、式3の化合物は下記の化合物である。
【0117】
【表12】
【0118】
【表13】
【0119】
【表14】
【0120】
【表15】
【0121】
【表16】
【0122】
別の態様において、本発明は下記の工程を含む式3の化合物の調製方法に関する。
a)化合物2を開環し、シクロペンタン中間体3を直接的に得る工程;
【0123】
【化32】
【0124】
上式中、R1及びR2は、同一であるか又は異なり、独立に下記の群(i)〜(iii)のヒドロキシ保護基から選ばれ:
(i)R1及びR2は互いに独立に、アルキル、ハロアルキル、ベンジル、t-BuMe2Si、t-BuPh2Si、(i-Pr)3Si又はEt3Siから選ばれ、好ましくはt-BuMe2Siであり、又は、
(ii)R1及びR2は互いに独立に、t-BuMe2Si、t-BuPh2Si、ベンゾイル、テトラヒドロピラン−2−イル、フェニル環が置換基を有するベンゾイル、及びビフェニル−4−ホルミルから選ばれ、ただし、R1及びR2の両方ともがt-BuMe2Siであることはなく、又は、
(iii)R1及びR2はそれらが結合している5員炭素環と一緒になって、下記の縮合環系の1つを形成し、
【0125】
【化33】
【0126】
3は水素原子、C1-6アルキル、フェニル又は置換フェニルであり、そのフェニル上の置換基は好ましくは、メトキシ、エトキシ、ハロ、フェニル及びニトロから選ばれ、R4及びR5は同一であるか又は異なり、独立にC1-6アルキル又はアリールから選ばれ、好ましくはtert-ブチル又はフェニルであり、符号*は縮合環が分子の残りの部分に結合している結合点を表し、
上記複合環は好ましくは、下記縮合環系
【0127】
【化34】
【0128】
の1つであり、工程a)の反応条件は上記のとおりである。
【0129】
別の態様において、本発明は下記の工程を含む、出発材料として化合物2を用いた式1の化合物の調製方法に関する。
a)化合物2を開環して、シクロペンタン中間体3を直接的に得る工程;
【0130】
【化35】
【0131】
[上式中、R1及びR2は、同一であるか又は異なり、独立に下記の群(i)〜(iii)のヒドロキシ保護基から選ばれ:
(i)R1及びR2は互いに独立に、アルキル、ハロアルキル、ベンジル、t-BuMe2Si、t-BuPh2Si、(i-Pr)3Si又はEt3Siから選ばれ、好ましくはt-BuMe2Siである;又は、
(ii)R1及びR2は互いに独立に、t-BuMe2Si、t-BuPh2Si、ベンゾイル、テトラヒドロピラン−2−イル、フェニル環が置換基を有するベンゾイル、及びビフェニル−4−ホルミルから選ばれ、ただし、R1及びR2の両方ともがt-BuMe2Siであることはない;又は、
(iii)R1及びR2はそれらが結合している5員炭素環と一緒になって、下記の縮合環系の1つを形成する:
【0132】
【化36】
【0133】
{上式中、R3は水素原子、C1-6アルキル、フェニル又は置換フェニルであり、そのフェニル上の置換基は好ましくは、メトキシ、エトキシ、ハロ、フェニル及びニトロから選ばれ、R4及びR5は同一であるか又は異なり、独立にC1-6アルキル又はアリールから選ばれ、好ましくはtert-ブチル又はフェニルであり、符号*は縮合環が分子の残りの部分に結合している結合点を表し、
上記複合環は好ましくは、下記縮合環系
【0134】
【化37】
【0135】
の1つである}];
b)式3の化合物をアルコリシス又は加水分解させて、化合物4を得る工程
【0136】
【化38】
【0137】
(上式中、R1及びR2は上記のとおりである);
c)化合物4を2−保護アミノ−6−置換プリン化合物5と光延反応させて、カップリング反応生成物6を得る工程
【0138】
【化39】
【0139】
[上式中、
1及びR2は上記のとおりであり、
R及びR’は同一であるか又は異なり、独立に、水素、アルコキシカルボニル又はアラルコキシカルボニルから選ばれ、例えば、C1-6アルコキシカルボニル又はC5-10アラルコキシカルボニル、好ましくは、tert-ブチルオキシカルボニルであり、ただし、R及びR’は両方ともが水素であることはなく、
Xはハロ、アルコキシ、ハロ−アルコキシ又はアラルコキシ、例えば、C1-6アルコキシ、ハロ−C1-6アルコキシ又はC5-10アラルコキシであり、好ましくは、クロロ、メトキシ、ベンジルオキシ、tert-ブチルオキシであり、特に好ましくはクロロである];
d)R1及びR2の両方ともがアシル保護基であるか、又は、その両方ともがアシル保護基でない場合には、化合物6からヒドロキシ保護基を除去して、化合物7を得る工程
【0140】
【化40】
【0141】
(上式中、X、R1、R2、R及びR’は上記のとおりである);
e)化合物7を加水分解して、式1の化合物(エンテカビル)を得る工程
【0142】
【化41】
【0143】
(上式中、X、R及びR’は上記のとおりである);又は、
d’)R1及びR2の両方ともがアシル保護基でない場合には、化合物6を脱保護し、その間に、ワンポット様式で加水分解して、式1の化合物を直接的に得る工程
【0144】
【化42】
【0145】
(上式中、X、R1、R2、R及びR’は上記のとおりである);又は、
d”)R1及びR2のいずれかがアシル保護基、例えば、ベンゾイル、フェニル環が置換基を有するベンゾイル、又は、ビフェニルホルミルである場合には、化合物6を脱保護して、化合物8又は9を得、それを、その後、加水分解して、化合物1を得るか、又は、化合物7に変換し、次いで、加水分解して、化合物1を得る工程
【0146】
【化43】
【0147】
(上式中、X、R1、R2、R及びR’は上記のとおりである)。
【0148】
上記の方法の各工程の反応条件は上記のとおりである。
【0149】
好ましい実施形態において、式1の化合物の調製方法は下記の工程を含む。
a)化合物2を開環して、シクロペンタン中間体3を直接的に得る工程
【0150】
【化44】
【0151】
b)式3の化合物をアルコリシス又は加水分解させて、化合物4を得る工程
【0152】
【化45】
【0153】
c)化合物4を2−保護アミノ−6−置換プリン化合物5と光延反応させて、カップリング反応生成物6を得る工程
【0154】
【化46】
【0155】
d)化合物6からヒドロキシ保護基を除去して、化合物7を得る工程
【0156】
【化47】
【0157】
e)化合物7を加水分解して、式1の化合物を得る工程
【0158】
【化48】
【0159】
又は、d’)化合物6を脱保護し、その間に、ワンポット様式で加水分解して、式1の化合物を直接的に得る工程。
【0160】
【化49】
【0161】
上記の方法の各工程において、R1及びR2は、同一であるか又は異なり、独立に下記のヒドロキシ保護基から選ばれ、例えば、アルキル、ハロアルキル、ベンジル、t-BuMe2Si、t-BuPh2Si、(i-Pr)3Si又はEt3Siであり、好ましくはt-BuMe2Siであり、R及びR’は同一であるか又は異なり、独立に、水素、アルコキシカルボニル又はアラルコキシカルボニルから選ばれ、例えば、C1-6アルコキシカルボニル又はC5-10アラルコキシカルボニル、好ましくは、tert-ブチルオキシカルボニルであり、ただし、R及びR’は両方ともが水素であることはなく、Xはハロ、アルコキシ、ハロ−アルコキシ又はアラルコキシ、例えば、C1-6アルコキシ、ハロ−C1-6アルコキシ又はC5-10アラルコキシであり、好ましくは、クロロ、メトキシ、ベンジルオキシ、tert-ブチルオキシであり、特に好ましくはクロロである。
【0162】
工程a)〜工程e)の反応条件は上記のとおりである。
【0163】
特に好ましい実施形態において、式1のエンテカビルは下記の工程を含む方法により合成される。
a)化合物2をPb(OAc)4を用いることにより、Cu (II)塩の触媒下に、好ましくはトリエチルアミン又はピリジンなどの有機塩基の存在下に開環し、シクロペンタン中間体3を直接的に得る工程;
b)式3の化合物を、メタノール中でK2CO3の存在下にアルコリシスして、化合物4を得る工程;
c)化合物4を2−保護アミノ−6−置換プリン化合物5と、Ph3P/EtO2CN=NCO2Et又はPh3P/i-PrO2CN=NCO2i-Prの存在下に、非プロトン性溶媒、例えば、芳香族炭化水素、ハロゲン化芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素又はエーテル、例えば、THF中で、光延反応させて、カップリング反応生成物6を得る工程;
d)テトラブチルアンモニウムフルオリド (TBAF)又は塩酸の存在下に、化合物6からヒドロキシ保護基を除去して、化合物7を得る工程;
e)化合物7を、塩酸の存在下に、テトラヒドロフラン中で、加水分解して、式1の化合物を得る工程。
【0164】
当業者は、エンテカビルの上記の調製方法において、工程a)〜e)のいずれの反応生成物も、式1の化合物を得るための上記の後続の工程を実施するための出発材料として使用されうることを理解するであろう。例えば、式3の化合物は式1の化合物を得るための上記の工程b)〜e)を行うための出発材料として使用されうる。又は、式6の化合物は式1の化合物を得るための上記の工程d)及びe)を行うための出発材料として使用されうる。又は、式7の化合物は式1の化合物を得るための上記の工程e)を行うための出発材料として使用されうる。
【実施例】
【0165】
実施例
本発明の方法を下記の実施例によりさらに例示されるであろう。下記の実施例は本発明をよりよく理解するために提供され、本発明の範囲をいかなるやり方でも限定することを意図しないことが理解されるべきである。
【0166】
本願中で使用される略語は下記の意味を有する。
略語:
Boc tert−ブチルオキシカルボニル
DEAD ジエチルアゾジカルボキシレート
EtOAc 酢酸エチル
TBAF テトラブチルアンモニウムフルオリド
THF テトラヒドロフラン
t−BuMe2Si tert−ブチルジメチルシリル
【0167】
出発材料の調製:
式2の化合物の合成のための出発材料及び方法は当業者に知られている。式2の化合物は下記の方法又はそれに類似する方法により調製されうる。
(1)R1及びR2が、それらが結合している5員炭素環と一緒に式2の化合物中の縮合環系を形成する場合には、例えば、出発材料の合成は下記のとおりに例示される。
【0168】
下記化合物の合成
(4aR,4bS,7aR,8aS)-2-メチル-オクタヒドロ-フロ[3',2':3,4]シクロペンタ[1,2-d][1,3,2]ジオキサシリン-6(7aH)-オン
【0169】
【化50】
【0170】
N2下で反応瓶に、コーリージオール(Corey Diol) (172g, 1 mol)、2,6-ジメチルピリジン(257 ml, 2.2 mol)及びDMF (1700g)を添加した。混合物に、ジ-tert-ブチルシリルビス(トリフルオロメタンスルホン酸)エステル(400 ml, 1.1 mol)を、室温にて攪拌しながら、滴下して加えた。添加後に、反応が完了するまで室温にて反応を行った。反応混合物を水中にゆっくりと注いだ。固形分を沈殿させ、ろ過し、そして濾過物を乾燥して、所望の生成物を得た。
【0171】
NMR (CDCl3, 500MHz) 1H NMR: δ = 0.98 (s, 9H), 1.03 (s, 9H), 1.83 (m, 2H), 2.29 (m, 1H), 2.39 (m, 1H,), 2.70 (m, 2H), 3.86 (m, 1H), 2.01 (m, 1H), 4.24 (m, 1H), 4.83 (m, 1H);
13CNMR: δ=20.04, 22.92, 27.30, 27.62, 33.20, 37.80, 40.25, 50.52, 68.25, 78.83。
【0172】
下記化合物の合成:
(2R,4aR,4bS,7aR,8aS)-2-メチル-ヘキサヒドロ-フロ[3',2':3,4]シクロペンタ[1,2-d][1,3]ジオキシン-6(7aH)-オン
【0173】
【化51】
【0174】
N2下で反応瓶に、コーリーラクトンジオール(Corey lactone diol) (172g, 1 mol)、無水p−トルエンスルホン酸 (17.2g)、ジクロロメタン (1720 ml)及びアセタール (354g, 3 mol)を添加した。混合物を室温で1時間攪拌し、その後、反応が完了するまで加熱還流した。反応混合物を濃縮して結晶化し、90 gの所望の生成物を得た。
【0175】
NMR (CDCl3, 500MHz) 1HNMR: δ=1.32 (d, 3H), 1.63 (m, 1H), 1.82 (m, 1H), 2.27 (m, 2H), 2.63 (m, 2H,), 3.36 (m, 1H), 3.53(m, 1H), 4.23(m, 1H), 4.64 (m, 1H), 4.85 (m, 1H);
13CNMR: δ=20.70, 32.56, 36.70, 37.07, 45.40, 70.52, 79.84, 80.68, 99.80, 176.18。
【0176】
(2)式2の化合物中のR1及びR2の各々が独立にシリル保護基又はアシル保護基である場合に、例えば、出発材料の合成は下記のとおりに例示される。
【0177】
最初に、下記式の化合物(略称:TCOD) :(3aS,4R,5S,6aR)-ヘキサヒドロ-5-ヒドロキシ-4-(tert-ブチルジメチルシリルオキシメチル)-2H-シクロペンタ[b]フラン-2-オンを合成した。
【0178】
【化52】
【0179】
N2下で反応瓶に、コーリーラクトンジオール(Corey lactone diol) (172g, 1 mol)、イミダゾール(95.2g, 1.4 mol)及びDMF (1000g)を添加し、そして混合物を攪拌した。その混合物に、TBDMCl (150.5g, 1 mol)を、制御された温度下にて部分分けして添加した。添加が完了した後に、反応が完了するまで、混合物を攪拌しながら同一の温度に維持した。後処理後に、220 gの所望の生成物を得た。次いで、下記の出発材料をTCODから合成した。
【0180】
下記式の化合物の合成:(3aS,4R,5S,6aR)-ヘキサヒドロ-5-(tert-ブチルジフェニルシリルオキシ)-4-(tert-ブチルジメチルシリルオキシメチル)-2H-シクロペンタ[b]フラン-2-オン
【0181】
【化53】
【0182】
N2下で反応瓶に、TCOD (286g, 1 mol)、イミダゾール(95.2g, 1.4 mol)及びDMF (1144g)を添加し、そして混合物を室温にて透明になるまで攪拌した。その溶液に、tert-ブチルジフェニルクロロシラン (330g, 1.2 mol)を部分分けして添加した。添加が完了した後に、反応が完了するまで、反応混合物を同一の温度に維持した。後処理の後に、混合物をカラムクロマトグラフィーにより精製し、515 gの所望の生成物を得た。
【0183】
NMR (CDCl3, 500MHz) 1HNMR: δ=-0.02 (s, 6H), 0.87 (s, 9H), 1.09 (s, 9H), 2.01 (m, 1H), 2.05 (m, 1H,), 2.14 (m, 1H), 2.64(m, 2H), 2.80 (m, 1H), 3.3. (m, 1H), 3.44 (m, 1H), 4.15 (m, 1H) , 4.84 (m, 1H) 7.39 (m, 6H) 7.69 (m, 4H);
13CNMR: δ=-5.61, 18.10, 18.97, 25.83, 26.75, 35.89, 39.90, 41.05, 57.24, 63.34, 76.36, 84.52, 127.57, 129.72, 133.58,. 135.83, 177.08。
【0184】
下記式の化合物の合成:
(3aS,4R,5S,6aR)-ヘキサヒドロ-5-(ビフェニル-4-ホルミルオキシ)-4-(tert-ブチルジメチルシリルオキシメチル)-2H-シクロペンタ[b]フラン-2-オン
【0185】
【化54】
【0186】
N2下で反応瓶に、TCOD (286g, 1 mol)、イミダゾール(95.2g, 1.4 mol)及びDMF (1144g)を添加し、そして混合物を室温にて透明になるまで攪拌した。その溶液に、ビフェニル-4-ホルミルクロリド(239g, 1.1 mol)を部分分けして添加した。添加が完了した後に、反応が完了するまで、反応混合物を同一の温度に維持した。後処理の後に、343gの所望の生成物を得た。
【0187】
NMR (CDCl3, 500MHz) 1HNMR: δ = 0.08 (s, 6H), 0.91 (s, 9H), 2.35 (m, 2H), 49(m, 1H), 2.59 (m, 1H,), 2.92 (m, 2H), 3.70 (m, 1H), 3.76 (m, 1H), 5.11 (m, 1H), 5.38 (m, 19H), 7.74 (m, 9H);
13CNMR: δ=-5.35, 18.37, 26.05, 36.45, 39.28, 40.74, 55.37, 63.64, 78.99, 85.65, 127.40, 128.34, 128.72, 129.11, 130.36, 140.15, 146.08, 166.10, 177.10。
【0188】
下記式の化合物の合成:
(3aS,4R,5S,6aR)-ヘキサヒドロ-5-ベンゾイルオキシ-4-(tert-ブチルジメチルシリルオキシメチル)-2Hシクロペンタ[b]フラン-2-オン
【0189】
【化55】
【0190】
N2下で反応瓶に、TCOD (286g, 1 mol)、イミダゾール(95.2g, 1.4 mol)及びDMF (1144g)を添加し、そして混合物を室温にて透明になるまで攪拌した。その溶液に、塩化ベンゾイル (239g, 1.1 mol)を滴下して加えた。添加が完了した後に、反応が完了するまで、反応混合物を同一の温度に維持した。後処理の後に、混合物をカラムクロマトグラフィーにより精製し、300 g の所望の生成物を得た。
【0191】
NMR (CDCl3, 500MHz) 1HNMR: δ=0.02 (s, 6H), 0.86 (s, 9H), 2.28 (m, 2H), 2.43(m, 1H), 2.51 (m, 1H,), 2.87 (m, 2H), 3.64 (m, 1H), 3.70 (m, 1H), 5.03 (m, 1H), 5.28 (m, 1H) 7.67 (m, 5H);
13CNMR: δ=-5.53, 18.18, 25.88, 36.21, 39.05, 40.55, 55.12, 63.45, 78.78, 85.38, 128.43, 129.72, 133.05, 165.96, 176.85。
【0192】
実施例1:
(3aS,4R,5S,6aR)-5-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)-4-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ-メチル)-ヘキサヒドロ-シクロペンタ[b]フラン-2-オール(化合物2a; R1=R2=t-BuMe2Si) の調製;
【0193】
EP134153に開示されている参考例1の方法により、7.55 g (94%)の題記化合物を白色固形分として得る合成を行った。MS 402.3。
【0194】
同様の方法により、上記のとおりの化合物2の調製のための出発材料を使用して、R1及びR2が種々のタイプの保護基、例えば、環式エーテル保護基、シリル保護基又はアシル保護基である式2の種々の化合物を調製した。
【0195】
実施例2:
(1R,3R,4S)-4-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)-3-[(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)メチル]-2-メチレン-シクロペンチルホルメート (化合物3a; R1 = R2 = t-BuMe2Si)の調製;
【0196】
【化56】
【0197】
1.23 g (3 mmol)の化合物2a (R1 = R2 = t-BuMe2Si)、2.65 g Pb(OAc)4 (6 mmol)及び0.1 gの無水Cu(OAc)2 (0.2 mmol)を、100 mlのトルエン及び0.5mlのピリジン (6.1 mmol)に添加した。混合物を攪拌しながら1時間、加熱還流し、その後、室温に冷却し、セライトでろ過した。ろ取物を石油エーテル/酢酸エチル (50/1)で洗浄し、そしてろ液を水で洗浄し、その後、Na2SO4により乾燥した。その後、混合物をろ過し、そしてろ液を乾燥まで蒸発させ、1.1 gの残留物を得た。残留物を、10gのシリカゲルを充填した短カラムで、石油エーテル/酢酸エチル (50/1,v/v)で溶離させることにより精製し、0.74 g (62%) の題記化合物を無色の油状物として得た。
【0198】
1HNMR (CDCl3, 300MHz): δ=0.02, 0.03, 0.05, 0.058 (s, 各3H, 4XCH3-), 0.87 (s, 18H), 1.7 (m, 1H), 2.4 (m, 1H), 2.58 (m, 1H), 3.68 (d, J = 4.5Hz, 2H, -CH2-O), 4.12 (m, 1H), 5.19 (t, 1H, J = 1.8Hz), 5.21 (t, 1H, J = 1.8Hz), 5.47 (t, 1H, J = 7.5Hz), 8.11 (s, 1H)。
【0199】
実施例3:
実施例2と同様の方法により、上記のとおりの化合物2の調製のために種々の対応する出発材料を用いて、下記の化合物を調製した。
【0200】
【表17】
【0201】
【表18】
【0202】
【表19】
【0203】
【表20】
【0204】
これらの化合物の中で、化合物3k:
【0205】
【化57】
【0206】
のNMRデータを下記に示す。
【0207】
NMR (CDCl3, 500MHz): 1HNMR: δ=1.34 (d, 3H), 1.76 (m, 1H), 2.51(m, 1H), 2.63 (m, 1H,), 3.23 (m, 1H), 3.59 (m, 1H), 4.36 (m, 1H), 4.67 (m, 1H), 4.90 (s, 1H), 5.22 (d, 1H) , 5.50 (t, 1H), 8.03 (s, 1H);
13CNMR: δ= 20.78, 36.04, 45.16, 68.64, 71.75, 78.59, 100.02, 113.04, 144.77, 160.79。
【0208】
実施例4a:
(1R,3R,4S)-4-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)-3-[(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)メチル]-2-メチレン-シクロペンタノール (化合物 4a; R1 = R2 = t-BuMe2Si)の調製;
【0209】
【化58】
【0210】
490 mg (1.22 mmol)の化合物3a (R1 = R2 = t-BuMe2Si)に、15 mlのメタノール及びメタノール及び250 mgの無水K2CO3を添加した。その混合物を室温で1時間撹拌し、そして減圧下に乾燥まで蒸発させた。残留物に、20 mlの石油エーテル及び15 mlの水を添加し、そして混合物を15分間攪拌した。有機層を分離し、飽和NaCl溶液で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥し、そしてろ過した。ろ液を乾燥まで蒸発させ、440 mg (96%)の題記化合物を白色固形分として得た。mp 64-66 ℃。
1HNMR (CDCl3, 300MHz): δ=0.02 (s, 3H), 0.04 (s, 3H), 0.09 (s, 6H), 0.88 (s,18H), 1.8 (dd, J = 1.8, 12Hz, 1H), 1.99 (m, 1H), 2.75 (m, 1H), 3.30 (dd, 1H, J = 8, 7, 10Hz), 3.56 (dd, 1H, J = 5.1, 10Hz), 4.36 (m, 2H), 5.12 (d, 1H, J = 1Hz), 5.38 (d, 1H,J = 1Hz)。
【0211】
実施例4b:
(1R,3R,4S)-4-ベンジルオキシ-3-(ベンジルオキシメチル)-2-メチレン-シクロペンタノール(化合物 4b; R1 = R2 =ベンジル)の調製;
【0212】
【化59】
【0213】
題記化合物を実施例1〜4aと同様の方法により調製した。
【0214】
1HNMR (CDCl3, 300MHz): δ=1.92 (m, 1H), 2.0-2.1 (m, 1H), 3.07 (m, 1H),3.30 (t, J = 9Hz, 1H), 3.45 (m, 1H), 4.06 (m, 1H), 4.4 (m, 1H), 4.48 (dd, 2H), 4.53 (s,2H), 5.14 (s, 1H), 5.37 (s, 1H), 7.29-7.36 (m, 10H)。
【0215】
実施例4a及び4bと同様の方法によって、下記化合物も調製されうる:
化合物4c:(1R,3R,4S)-4-(tert-ブチルジフェニルシリルオキシ)-3-(tert-ブチルジフェニルシリルオキシメチル)-2-メチレン-1-シクロペンタノール
【0216】
【化60】
【0217】
NMR (CDCl3, 500MHz)
1HNMR: δ = 1.03 (s, 9H), 1.17(s, 9H), 1.94 (m, 1H), 2.05(m, 1H), 2.93 (m, 1H,), 3.02 (m, 1H), 3.51 (m, 2H), 4.43 (m, 1H), 4.49 (m, 1H), 5.22 (m, 1H), 5.48 (m, 1H), 7.49 (m, 20H);
13CNMR: δ = 19.20, 19.29, 26.88, 27.19, 42.99, 54.65, 65.24, 74.96, 76.04, 111.43, 127.75, 127.87, 129.76, 129.94, 133.44, 133.70, 135.74, 135.47, 154.66。
【0218】
化合物4d:
(1R,3R,4S)-4-(tert-ブチルジフェニルシリルオキシ)-3-(tert-ブチルジメチルシリルオキシメチル)-2-メチレン-1-シクロペンタノール
【0219】
【化61】
【0220】
NMR (CDCl3, 500MHz)
1HNMR: δ = -0.01 (s, 6H), 0.85(s, 9H), 1.18 (s, 9H), 1.92(m, 1H), 2.05(m, 1H,), 2.91 (m, 1H), 3.06 (m, 1H), 3.45 (m, 2H), 4.39(m, 2H), 5.21 (m, 1H), 5.43 (m, 1H), 7.60(m, 10H);
13CNMR: δ = -5.44, 18.32, 19.18, 26.00, 27.17, 42.95, 54.68, 64.42, 74.67, 75.48, 110.73, 127.72, 129.87, 133.78, 135.93, 154.65。
【0221】
化合物4e:
(1R,3R,4S)-4-tert-ブチルジメチルシリルオキシ-3-(tert-ブチルジフェニルシリルオキシメチル)-2-メチレン-1-シクロペンタノール
【0222】
【化62】
【0223】
NMR (CDCl3, 500MHz)
1HNMR: δ = 0.20 (s, 6H), 0.97(s, 9H), 1.18 (s, 9H), 1.89(m, 1H), 2.09 (m, 1H,), 2.92 (m, 1H), 3.20(m, 1H), 3.56 (m, 1H), 3.75 (m, 1H), 4.45 (m, 1H), 4.52 (m, 1H), 5.16 (m, 1H), 5.46 (m, 1H), 7.61 (m, 10H);
13CNMR: δ = -4.57, 18.01, 19.32, 25.95, 26.81, 42.56, 54.95, 65.28, 74.76, 77.27, 111.63, 127.80, 129.85, 133.43, 135.72, 154.11。
【0224】
化合物4f:
(1R,3R,4S)-4-tert-ブチルジメチルシリルオキシ-3-(ビフェニル-4-ホルミルオキシメチル)-2-メチレン-1-シクロペンタノール
【0225】
【化63】
【0226】
NMR (CDCl3, 500MHz)
1HNMR: δ = 0.11 (s, 6H), 0.92(s, 9H), 1.88 (m, 1H), 2.22(m, 1H), 3.07 (m, 1H,), 3.10 (m, 1H), 4.30 (m,3H), 4.48 (m, 1H), 5.29 (m, 1H), 5.49 (m, 1H), 7.73 (m, 9H);
13CNMR: δ = -4.75, 17.91, 25.79, 42.58, 51.43, 65.22, 74.12, 112.27, 127.15,
127.23, 128.21, 128.72, 128.94, 130.08, 139.80, 145.75, 152.68, 166.32。
【0227】
化合物 4g:
(4aR,6R,7aS)-2,2-ジ-tert-ブチル-5-メチレン-6-ヒドロキシ-6H-テトラヒドロ-シクロペンタ[d][1,3,2]ジオキサシリン
【0228】
【化64】
【0229】
NMR (CDCl3, 500MHz)
1HNMR: δ = 0.99 (s, 18H), 1.60(s, 1H), 2.11 (m, 1H), 2.59(m, 1H), 2.80 (m, 1H,), 3.86 (m, 2H), 4.48 (m, 2H), 4.84 (m, 1H), 5.18 (m, 1H);
13CNMR: δ = 20.17, 22.87, 27.42, 27.65, 42.25, 49.65, 67.68, 71.04, 75.03, 110.26, 150.75。
【0230】
化合物 4h:
(1R,3R,4S)-4-(tert-ブチルジフェニルシリルオキシ)-3-(ビフェニル-4-ホルミルオキシメチル)-2-メチレン-1-シクロペンタノール
【0231】
【化65】
【0232】
NMR (CDCl3, 500MHz)
1HNMR: δ = 1.13 (s, 9H), 1.93(s,2H), 2.20 (m, 1H), 3.17(m, 1H), 3.61(m, 1H,), 4.04 (m, 1H), 4.19 (m, 1H), 4.35(m, 1H), 5.23 (m, 1H), 5.44 (m, 1H), 7.59 (m, 19H);
13CNMR: δ = 18.75, 26.71, 42.59, 51.04, 64.23, 72.62, 73.35, 110.73, 126.74, 127.51, 127.90, 128.57, 129.73, 133.10, 135.48, 139.51, 145.19, 152.34, 165.73, 170.57。
【0233】
化合物 4i:(1R,3R,4S)-4-(ビフェニル-4-ホルミルオキシ)-3-(tert-ブチルジメチルシリルオキシメチル)-2-メチレン-1-シクロペンタノール
【0234】
【化66】
【0235】
NMR (CDCl3, 500MHz)
1HNMR: δ = 0.05 (s, 6H), 0.07(s, 6H), 0.90 (s, 9H), 1.94(m, 2H), 2.61 (m, 1H,), 3.01 (m, 1H), 3.71 (m, 1H), 3.88 (m, 1H), 4.58(m, 1H), 5.21(m, 1H), 5.41(m,2H), 7.69(m, 9H);
13CNMR: δ = -5.26, 18.48, 26.10, 41.11, 51.70, 64.97, 74.11, 110.40, 127.28, 27.51, 128.38, 129.16, 129.26, 130.34, 140.22, 145.94, 154.04, 166.27。
【0236】
化合物4j:
(1R,3R,4S)-4-ベンゾイルオキシ-3-(tert-ブチルジメチルシリルオキシメチル)-2-メチレン-1-シクロペンタノール
【0237】
【化67】
【0238】
NMR (CDCl3, 500MHz)
1HNMR: δ = 0.04 (s, 6H), 0.87(s, 9H), 1.89 (m, 1H), 2.22(m, 1H), 2.58(m, 1H,), 2.96 (m, 1H), 3.67 (m, 1H), 3.84 (m, 1H), 4.55 (m, 1H), 5.17(m, 1H), 5.35 (m, 2H), 7.71 (m, 5H);
13CNMR: δ = -5.33, 18.40, 26.03, 40.98, 51.55, 64.88, 73.84, 76.25, 110.18, 128.52, 129.76, 130.47, 133.13, 153.83, 166.36。
【0239】
化合物 4k:
(2R,4aR,6S,7aS)-2-メチル-5-メチレン-6-ヒドロキシ-6H-テトラヒドロ-シクロペンタ[1,3]ジオキサン
【0240】
【化68】
【0241】
NMR (CDCl3, 500MHz)
1HNMR: δ = 1.25 (s, 3H), 1.58 (m, 1H), 2.46(m, 2H), 3.12 (m, 1H,), 3.39 (m, 1H), 3.52 (m, 1H), 4.29 (m, 2H), 4.61 (m, 1H), 4.77 (m, 1H), 5.09 (m, 1H);
13CNMR: δ = 20.71, 38.76, 45.04, 68.77, 70.59, 78.44, 99.87, 109.99, 148.22。
【0242】
化合物 4l:
(1R,3R,4S)-4-(テトラヒドロピラン-2-イルオキシ)-3-(tert-ブチルジメチルシリルオキシメチル)-2-メチレン-1-シクロペンタノール
【0243】
【化69】
【0244】
NMR (CDCl3, 500MHz)
1HNMR: δ = 0.01 (m, 6H), 0.84 (s, 9H), 1.48(m, 3H), 1.51 (m, 1H,), 1.70 (m, 2H), 1.88 (m, 1H), 2.13 (m, 1H), 2.77 (m, 1H), 3.60 (m, 5H), 4.24 (m, 2H), 4.65 (m, 2H), 5.06 (m, 1H), 5.28 (d, 2H);
13CNMR: δ = -5.36, 18.36, 19.62, 25.71, 31.05, 38.46, 41.17, 52.09, 65.16, 62.88, 64.75, 74.62, 78.76, 96.66, 110.44, 154.16。
【0245】
実施例5:
化合物5a〜5eの調製
上述のとおり、式5の化合物は下記一般式を有する。
【0246】
【化70】
【0247】
上式中、化合物 5a: X = Cl、R = H、R’= Boc;
化合物 5b: X = OMe、R = H、R’ = Boc;
化合物 5c: X = OBn、R = H、R’ = Boc;
化合物 5d: X = Cl、R = Boc、R’ = Boc;
化合物 5e: X = OBu-t、R = H、R’ = Boc.
【0248】
化合物5aはJ. Org. Chem. 2000, 65, 7697-7699に記載の方法により調製した。
【0249】
化合物 5a:
【0250】
【化71】
【0251】
化合物5b、5c及び5dは化合物5aの調製方法と類似の方法により調製し、そして化合物5eはOrg. Lett., 2009, 11, 2465に記載の方法により調製した。
【0252】
【化72】
【0253】
得られる化合物5b、5c及び5eの物性を下記に示した。
化合物5b
【0254】
【化73】
【0255】
1HNMR (d6-DMSO, 300MHz): δ = 1.45 (s, 9H), 4.03 (s, 3H), 8.1 (bs, NH), 9.7 (s, 1H), 13.08 (bs, NH)。
【0256】
化合物5c
【0257】
【化74】
【0258】
1HNMR (CDCl3, 300MHz): δ = 1.58 (s, 9H), 5.61 (s, 2H), 7.32-7.53 (m, 5H), 8.28 (s, 1H)。
【0259】
化合物5e
【0260】
【化75】
【0261】
1HNMR (CDCl3, 300MHz): δ = 1.56 (s, 9H), 1.71 (s, 9H), 7.29 (bs, 1H), 8.19 (s, 1H)。
【0262】
実施例 6:
9-[(1S,3R,4S)-4-tert-ブチルジメチルシリルオキシ-3-(tert-ブチルジメチルシリルオキシメチル)-2-メチレン-シクロペンチル]-6-クロロ-9H-プリン-2-カルバミン酸tert-ブチルエステルの調製(化合物6a; R1 = R2 = t-BuMe2Si, R = H, R’ = Boc);
【0263】
【化76】
【0264】
186 mg (0.5 mmol)の化合物4a (R1 = R2 = t-BuMe2Si)、200 mg (0.75 mmol)の化合物5a (R = H, R’ = Boc)及び156 mg Ph3P (0.75 mmol)を50 ml丸底フラスコ中に入れ、それに、8 mlの無水THFを添加した。反応混合物を-23 ℃に冷却し、それに、その後、0.17 mlの DEAD (1.0 mmol)を滴下して加えた。添加が完了した後に、反応混合物を-23℃で3.5時間攪拌した。TLCは出発材料のドットが消失したことを示した。3滴の水を添加した。反応混合物を室温に温め、その後、THFを減圧下に蒸発除去した。5 mlのt-BuOMeを添加し、混合物を5分間攪拌し、そして15 mlのn-ヘキサンを添加した。混合物を5時間維持し、そしてろ過して、不溶性物質を除去した。ろ液を石油エーテル/EtOAc (10/1,v/v)で溶離して、カラムクロマトグラフィーにより精製し、320 mg (約100%)の題記化合物を無色のシロップとして得た。
【0265】
1HNMR (CDCl3, 300MHz): δ = 0.08 (s, 3H), 0.09 (s, 3H), 0.10 (s, 6H), 0.90 (s, 9H), 0.92 (s, 9H), 1.54 (s, 9H), 2.23 (m, 1H), 2.33 (m, 1H), 2.66 (m, 1H), 3.83 (d, 2H, J= 5.4Hz), 4.45 (m, 1H), 4.82 (s, 1H), 5.22 (s, 1H), 5.64 (t, 1H, J = 8.1), 7.38 (s, 1H), 8.03 (s, 1H)。
【0266】
実施例7:
9-[(1S,3R,4S)-4-tert-ブチルジメチルシリルオキシ-3-(tert-ブチルジメチルシリルオキシメチル)-2-メチレン-シクロペンチル]-6-クロロ-N-(tert-ブチルオキシカルボニル)-9H-プリン-2-カルバミン酸 tert-ブチルエステル [化合物 6d; R1 = R2 = t-BuMe2Si, R = Boc, R’ = Boc]の調製;
【0267】
【化77】
【0268】
640 mg (1.72 mmol)の化合物4a (R1 = R2 = t-BuMe2Si)、888 mg (2.4 mmol)の化合物5d [R = Boc, R’ = Boc]及び607 mg Ph3P (2.32 mmol)を50 ml丸底フラスコ中に入れ、それに、20 mlの無水THFを添加した。反応混合物を-23℃に冷却し、それに、その後、0.5 ml (2.75 mmol)のDEADを滴下して加えた。添加を完了した後に、反応混合物を-23℃で2時間攪拌し、室温で12時間攪拌し、その後、THFを減圧下に蒸発除去した。150 mlのn-ヘキサンを添加した。混合物を5時間維持し、そしてろ過して不溶性物質を除去した。ろ液を、石油エーテル/EtOAc (10/1, v/v)で溶離して、カラムクロマトグラフィーにより精製し、1.08 g (87%)の題記化合物を無色のシロップとして得た。
【0269】
1HNMR (CDCl3, 300MHz): δ = 0.07 (s, 3H), 0.08 (s, 3H), 0.10 (s, 6H), - 0.89- (s, 9H), 0.93 (s, 9H), 1.43 (s, 18H), 2.30 (m, 2H), 2.70 (m, 1H), 3.83 (m, 2H), 4.50 (m, 1H), 4.85 (s, 1H), 5.25 (s, 1S), 5.70 (t, 1H), 8.24 (s, 1H)。
【0270】
実施例8:
実施例6と同様の方法により、出発材料として化合物5b、5c及び5eを用いて、化合物4aとカップリング反応を行うことにより、化合物6b、6c及び6eを調製した。実施例6と同様の方法により、化合物5aを用いて化合物4bとカップリング反応を行うことにより化合物6fを調製した。
【0271】
化合物 6b:
9-[(1S,3R,4S)-4-tert-ブチルジメチルシリルオキシ-3-(tert-ブチルジメチルシリルオキシメチル)-2-メチレン-シクロペンチル]-6-メトキシ-9H-プリン-2-カルバミン酸 tert-ブチルエステル;
【0272】
【化78】
【0273】
1HNMR (CDCl3, 300MHz): δ = 0.001 (s, 12H), 0.11 (s, 3H), 0.19 (s, 6H), 0.90 (s, 6H), 0.92 (s, 6H), 1.54 (s, 6H), 2.27 (m, 2H), 2.65 (m, 1H), 3.81 (d, J = 6Hz, 2H), 4.16 (s, 3H), 4.45 (m, 1H), 4.84 (s, 1H), 5.21 (s, 1H), 5.63 (t, 1H), 7.97 (s, 1H)。
【0274】
化合物6c:
6-ベンジルオキシ-9-[(1S,3R,4S)-4-tert-ブチルジメチルシリルオキシ-3-(tert-ブチルジメチルシリルオキシメチル)-2-メチレン-シクロペンチル]-9H-プリン-2-カルバミン酸 tert-ブチルエステル;
【0275】
【化79】
【0276】
1HNMR (CDCl3, 300MHz): δ = 0 (s, 9H), 0.067 (s, 3H), 0.078 (s, 3H), 0.195 (s, 3H), 0.89 (s, 6H), 0.92 (s, 6H), 1.40 (s, 9H), 2.0-2.26 (m, 2H), 2.68 (m, 1H), 3.8 (d, J =4.8Hz, 2H), 4.44 (bs, 1H), 4.84 (s, 1H), 5.22 (s, 1H), 5.64 (s, 2H), 7.32-7.35 (m, 3H), 7.51-7.53 (m, 2H), 8.1 (s, 1H)。
【0277】
化合物 6e:
6-tert-ブチルオキシ-9-[(1S,3R,4S)-4-tert-ブチルジメチルシリルオキシ-3-(tert-ブチルジメチルシリルオキシメチル)-2-メチレン-シクロペンチル]-9H-プリン-2-カルバミン酸 tert-ブチルエステル;
【0278】
【化80】
【0279】
1HNMR (CDCl3, 300MHz): δ = 0.01 (s, 6H), 0.09 (s, 6H) 0.86 (s, 12H), 0.88 (s, 12H), 1.54 (s, 6H), 1.63 (s, 6H), 2.19 (m, 2H), 2.68 (m, 1H), 3.77 (m, 2H), 4.43 (bs, 1H), 4.81 (s, 1H), 5.18 (s, 1H), 5.41 (m, 1H), 7.68 (s, 1H)。
【0280】
化合物6f:
9-[(1S,3R,4S)-4-ベンジルオキシ-3-(ベンジルオキシメチル)-2-メチレン-シクロペンチル]-6-クロロ-9H-プリン-2-カルバミン酸 tert-ブチルエステル
【0281】
【化81】
【0282】
1HNMR(CDCl3, 300MHz): δ = 1.53 (s, 9H), 2.52 (m, 2H), 3.0 (bs, 1H), 3.74 (m, 2H), 4.22 (dd, 2H), 4.35 (m, 1H), 4.56 (d, J = 6Hz, 2H), 4.81 (s, 1H), 5.23 (s, 1H), 5.66 (t, 1H), 7.18-7.42 (m, 10H), 8.0 (s, 1H)。
【0283】
実施例6と同様の方法により、対応する出発材料として化合物4c〜4lを用いて、化合物5aと反応させて、下記の化合物を調製した:
【0284】
化合物 6g:
9-[(1S,3R,4S)-4-(tert-ブチルジフェニルシリルオキシ)-3-(tert-ブチルジフェニルシリルオキシメチル)-2-メチレン-シクロペンチル]-6-クロロ-9H-プリン-2-カルバミン酸 tert-ブチルエステル
【0285】
【化82】
【0286】
NMR (CDCl3, 500MHz)
1HNMR: δ = 0.99 (s, 9H), 1.12 (s, 9H), 1.55 (s, 9H), 2.04(m, 1H), 2.10 (m, 1H,), 2.91 (m, 1H), 3.61 (m, 2H), 4.51 (m, 1H), 4.78 (m, 1H), 5.17 (m, 1H), 5.83 (m, 1H) , 7.49(m, 21H), 7.81(s, 1H);
13CNMR: δ = 19.23, 19.30, 27.01, 27.14, 28.34, 40.39, 54.47, 56.84, 65.18, 73.86, 81.57, 111.54, 127.88, 127.99, 129.95, 133.02, 133.17, 133.68, 133.80, 133.65, 135.87, 143.47, 149.18, 150.29, 151.23, 152.39, 153.15。
【0287】
化合物 6h:
9-[(1S,3R,4S)-3-(tert-ブチルジメチルシリルオキシメチル)-4-(tert-ブチルジフェニルシリルオキシ)-2-メチレン-シクロペンチル]-6-クロロ-9H-プリン-2-カルバミン酸 tert-ブチルエステル
【0288】
【化83】
【0289】
NMR (CDCl3, 500MHz)
1HNMR: δ = -0.04 (s, 6H), 0.83(s, 9H), 1.11 (s, 9H), 1.55(m, 9H), 2.12 (m, 1H,), 2.28 (m, 1H), 2.77(m, 1H), 3.55 (m, 1H), 3.66 (m, 1H), 4.40 (m, 1H),4.84 (m, 1H) , 5.22(m, 1H), 5.77(m, 1H), 7.48(m, 1H), 7.92(s, 1H);
13CNMR: δ = -5.31, 18.58, 19.38, 26.16, 27.23, 28.46, 41.13, 84.60, 56.90, 64.62, 74.39, 84.75, 111.88, 127.96, 130.05, 133.87, 133.98, 135.97, 143.87, 149.68, 150.39, 151.25, 152.42, 153.26。
【0290】
化合物 6i:
9-[(1S,3R,4S)-4-tert-ブチルジメチルシリルオキシ-3-(tert-ブチルジフェニルシリルオキシメチル)-2-メチレン-シクロペンチル]-6-クロロ-9H-プリン-2-カルバミン酸 tert-ブチルエステル
【0291】
【化84】
【0292】
NMR (CDCl3, 500MHz)
1HNMR: δ = 0.08 (s, 6H), 0.90(s, 9H), 1.10 (s, 9H), 1.53(m, 9H), 2.25(m, 2H,), 2.77 (m, 1H), 3.80(m, 2H), 4.52 (m, 1H), 4.72 (m, 1H), 5.12 (m, 1H),5.67 (m, 1H) , 7.49(m, 11H), 7.87(s, 1H);
13CNMR: δ = -4.43, 18.21, 19.48, 26.04, 27.20, 28.43, 40.43, 54.99, 56.98, 65.16, 72.47, 81.75, 111.68, 128.13, 130.14, 133.32, 135.81, 135.93, 143.75, 148.98, 150.32, 151.41, 152.40, 153.16。
【0293】
化合物6j:
9-[(1S,3R,4S)-4-tert-ブチルジメチルシリルオキシ-3-(ビフェニル-4-ホルミルオキシメチル)-2-メチレン-シクロペンチル]-6-クロロ-9H-プリン-2-カルバミン酸 tert-ブチルエステル
【0294】
【化85】
【0295】
NMR (CDCl3, 500MHz)
1HNMR: δ = 0.11(s, 6H), 0.91(s, 9H), 1.52 (s, 9H), 2.22(m, 1H), 2.76(m, 1H,), 3.08(m, 1H), 4.60(m, 2H), 4.72 (m, 1H), 4.83 (m, 1H), 5.33 (m, 1H), 5.63 (m, 1H) , 7.49(m, 8H), 8.01(s, 1H), 8.12(m, 2H);
13CNMR: δ = -4.52, 18.24, 26.01, 28.40, 39.34, 52.16, 57.68, 65.16, 72.63, 81.65, 112.72, 127.38, 127.50, 128.46, 128.63, 128.83, 129.16, 130.28, 140.06, 144.28, 146.16, 147.82, 150.30, 151.58, 152.35, 152.61, 166.67。
【0296】
化合物6k:
(4aR,6S,7aS)-6-クロロ-9-(2,2-ジ-tert-ブチル-5-メチレン-ヘキサヒドロ-シクロペンタ[1,3,2]ジオキサシリン-6-イル)-9H-プリン-2-カルバミン酸 tert-ブチルエステル
【0297】
【化86】
【0298】
NMR (CDCl3, 500MHz)
1HNMR: δ = 1.04(s, 9H), 1.08(s, 9H), 1.54 (s, 9H), 2.37(m, 2H), 2.72(m, 1H,), 4.12(m, 1H), 4.50(m, 2H), 4.69(m, 1H), 4.89(m, 1H), 5.64 (m, 1H),7.53 (m, 1H) , 7.88(s, 1H);
13CNMR: δ = 20.16, 22.95, 27.39, 27.66, 28.45, 40.01, 50.38, 53.81, 67.19, 76.73, 81.87, 110.65, 127.96, 143.36, 146.27, 150.22, 151.57, 152.64, 153.03。
【0299】
化合物 6l:
9-[(1S,3R,4S)-4-(tert-ブチルジフェニルシリルオキシ)-3-(ビフェニル-4-ホルミルオキシメチル)-2-メチレン-シクロペンチル]-6-クロロ-9H-プリン-2-カルバミン酸 tert-ブチルエステル
【0300】
【化87】
【0301】
NMR (CDCl3, 500MHz)
1HNMR: δ = 1.11(s, 9H), 1.51(s, 9H), 2.15 (m, 1H), 2.58(m, 1H), 3.22(m, 1H,), 4.46(m, 1H), 4.58(m, 2H), 4.91(m, 1H), 5.34(m, 1H), 5.74(m, 1H),7.50(m, 21H);
13CNMR: δ = 19.23, 27.06, 28.27, 38.86, 51.84, 57.49, 64.79, 73.59, 81.40, 113.08, 127.13, 127.34, 127.91, 128.31, 128.42, 128.59, 129.05, 130.02, 130.06, 130.18, 133.42, 135.76, 139.96, 144.06, 145.90, 147.59, 150.28, 151.37, 152.27, 152.51。
【0302】
化合物 6m:
9-[(1S,3R,4S)-3-(tert-ブチルジメチルシリルオキシメチル)-4-(ビフェニル-4-ホルミルオキシ)-2-メチレン-シクロペンチル]-6-クロロ-9H-プリン-2-カルバミン酸 tert-ブチルエステル
【0303】
【化88】
【0304】
NMR (CDCl3, 500MHz)
1HNMR: δ = 0.14(s, 6H), 0.95(s, 9H), 1.54 (s, 9H), 2.63(m, 1H), 3.02(m, 1H), 3.99(m, 1H), 4.14(m, 1H), 4.91(m, 1H), 5.33(m, 1H), 5.60 (m, 1H), 5.84 (m, 1H) , 7.71(s,11H);
13CNMR: δ = -5.13, 18.69, 26.26, 28.48, 38.92, 51.56, 56.83, 65.26, 76.68, 81.88, 112.13, 127.38, 127.53, 128.00, 128.49, 128.91, 129.21, 130.50, 140.18, 143.61, 146.25, 149.13, 150.44, 151.52, 152.60, 153.43, 166.15。
【0305】
化合物 6n:
9-[(1S,3R,4S)-3-(tert-ブチルジメチルシリルオキシメチル)-4-ベンゾイルオキシ-2-メチレン-シクロペンチル]-6-クロロ-9H-プリン-2-カルバミン酸 tert-ブチルエステル
【0306】
【化89】
【0307】
NMR (CDCl3, 500MHz)
1HNMR: δ = -0.05(s, 6H), 0.75(s, 9H), 1.34 (s, 9H), 2.47(m, 2H), 2.84(m, 1H,), 3.82(m, 1H),3.92(m,1H), 4.73(m, 1H), 5.15(m, 1H), 5.42(m, 1H),5.66 (m, 1H), 7.58(m, 6H),7.98(s, 1H);
13CNMR: δ = -5.53, 18.28, 25.88, 28.09, 38.27, 51.22, 56.56, 64.80, 76.20, 81.22, 111.73, 127.61, 128.30, 129.56, 129.95, 133.07, 143.35, 148.71, 150.30, 151.00, 152.41, 153.03, 165.78。
【0308】
化合物 6o:
(2R,4aR,6S,7aS)-6-クロロ-9-(2-メチル-5-メチレン-ヘキサヒドロ-シクロペンタ[1,3]ジオキシン-6-イル)-9H-プリン-2-カルバミン酸 tert-ブチルエステル
【0309】
【化90】
【0310】
NMR (CDCl3, 500MHz)
1HNMR: δ = 1.41(d, 3H), 1.52(s, 9H), 2.33(m, 1H), 2.46(m, 2H,), 3.93(m, 1H), 4.44(m, 1H), 4.56(m, 2H), 4.88(s, 1H), 5.00 (m, 1H), 5.50 (d, 1H), 7.65(s, 1H), 7.94(s, 1H);
13CNMR: δ = 20.84, 28.41, 36.69, 46.21, 54.33, 68.53, 79.28, 81.72, 99.99, 109.48, 128.21, 144.01, 145.69, 150.06, 151.51, 152.44, 152.49。
【0311】
実施例9:
6-クロロ-9-[(1S,3R,4S)-4-ヒドロキシ-3-ヒドロキシメチル-2-メチレン-シクロペンチル]-9H-プリン-2-カルバミン酸 tert-ブチルエステル (化合物 7a; R = H, R’ = Boc)の調製;
【0312】
【化91】
【0313】
312 mg (0.5 mmol)の化合物6a (R1 = R2 = t-BuMe2Si, R = H, R’ = Boc)を10 mlのTHF中に溶解させ、それに、780 mgのTBAF (テトラブチルアンモニウムフルオリド) (3 mmol)を、その後に添加した。混合物を室温にて2時間攪拌した。TLCは出発材料のドットが消失したことを示した。THFを減圧下に蒸発除去した。30 mlのEtOAcを残留物に添加した。混合物を水 (20 ml X 2)及び飽和NaCl溶液で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥し、そしてろ過した。ろ液を減圧下に乾燥まで蒸発させ、ゲルを得、そのゲルを、その後、吸引ろ過に付し、190 mg (96%)の題記化合物を固形分として得た。
【0314】
1HNMR (CDCl3, 300MHz): δ = 1.53 (s, 9H), 2.29 (m, 1H), 2.66 (m, 1), 2.75 (m, 1H), 4.03 (dd, 2H, J = 1.8, 3.3Hz), 4.75 (m, 1H), 4.87 (s, 1H), 5.27 (s, 1H), 5.60 (t, 1H,J = 8Hz), 7.41 (s, 1H), 8.16 (s, 1H)。
【0315】
実施例10:
6-クロロ-9-[(1S,3R,4S)-4-ヒドロキシ-3-ヒドロキシメチル-2-メチレン-シクロペンチル]-9H-プリン-2-カルバミン酸 tert-ブチルエステル (化合物 7a; R = H, R’ = Boc)の調製;
【0316】
【化92】
【0317】
312 mg (0.5 mmol)の化合物6a (R1 = R2 = t-BuMe2Si, R = H, R’ = Boc)を10 mlのTHF中に溶解させ、それに、3 mlのメタノール、そして塩酸 (3 mmol)を逐次的に添加した。混合物を室温にて2時間攪拌した。TLCは出発材料のドットが消失したことを示した。THFを減圧下に蒸発除去した。30 mlのEtOAcを残留物に添加した。混合物を水 (20 ml x 2)及び飽和NaCl溶液で洗浄し、無水Na2SO4で洗浄し、そしてろ過した。ろ液を減圧下に乾燥まで蒸発させ、題記化合物を固形分として得た。収率: 95.7%。
【0318】
1HNMR (CDCl3, 300MHz): δ = 1.53 (s, 9H), 2.29 (m, 1H), 2.66 (m, 1), 2.75 (m, 1H), 4.03 (dd, J = 1.8, 3.3Hz), 4.75 (m, 1H), 4.87 (s, 1H), 5.27 (s, 1H), 5.60 (t, 1H, J = 8Hz), 7.41 (s, 1H), 8.16 (s, 1H)。
【0319】
実施例 11:
6-クロロ-9-[(1S,3R,4S)-4-ヒドロキシ-3-ヒドロキシメチル-2-メチレン-シクロペンチル]-N-(tert-ブチルオキシカルボニル)-9H-プリン-2-カルバミン酸tert-ブチルエステル [化合物 7d; R =Boc, R’ = Boc]の調製;
【0320】
【化93】
【0321】
2.16 g (3 mmol)の化合物6d [R1 = R2 = t-BuMe2Si, R = Boc, R’ = Boc]を50 ml THF中に溶解させ、それに、その後、4.6 g TBAF (テトラブチルアンモニウムフルオリド) (17 mmol)を添加した。混合物を室温にて2時間攪拌した。TLCは出発材料のドットが消失したことを示した。THFを減圧下に蒸発除去した。100 mlのEtOAcを残留物に添加した。混合物を水 (70 ml x 2)及び飽和NaCl溶液で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥し、そしてろ過した。ろ液を減圧下に乾燥まで蒸発させ、ゲルを得、そのゲルを吸引ろ過に付し、1.47g (約100%)の題記化合物を固形分として得た。
【0322】
1HNMR (CDCl3, 300MHz): δ = 1.43 (s, 18H), 2.34 (m, 1H), 2.61 (m, 1H), 2.77 (m, 1H), 3.90 (dd, 1H, J = 5.4, 10.8Hz), 4.01 (dd, 1H, J = 4.5, 10.8Hz), 4.58 (bs, 1H), 4.84 (s, 1H), 5.26 (s, 1H), 5.65 (t, 1H, J = 8.1Hz), 8.27 (s, 1H)。
【0323】
実施例12:
実施例9と同様の方法により、化合物6b, 6c及び6eを出発材料として用い、化合物7b、7c及び7eを調製した。
【0324】
化合物7b:
9-[(1S,3R,4S)-4-ヒドロキシ-3-ヒドロキシメチル-2-メチレン-シクロペンチル]-6-メトキシ-9Hプリン-2-カルバミン酸 tert-ブチルエステル;
【0325】
【化94】
【0326】
1HNMR (CDCl3, 300MHz): δ = 1.53 (s, 9H), 2.25 (m, 1H), 2.26-2.80 (m, 2H), 3.39 (m, 1H), 4.0 (dd, 2H), 4.15 (s, 3H), 4.65 (m, 1H), 4.90 (s, 1H), 5.27 (s, 1H), 5.56 (t, 1H), 8.14 (s, 1H)。
【0327】
化合物7c:
6-ベンジルオキシ-9-[(1S,3R,4S)-4-ヒドロキシ-3-ヒドロキシメチル-2-メチレン-シクロペンチル]-9H-プリン-2-カルバミン酸 tert-ブチルエステル
【0328】
【化95】
【0329】
1HNMR (CDCl3, 300MHz): δ = 1.35 (s, 9H), 2.26 (m, 1H), 2.61-2.74 (m, 2H), 3.88 (dd, 1H), 3.93 (dd, 1H), 4.56 (bs, 1H), 4.80 (s, 1H), 5.21 (s, 1H), 5.60 (s, 2H), 7.29-7.35 (m, 3H), 7.48-7.50 (m, 2H), 8.05 (s, 1H)。
【0330】
化合物7e:
6-tert-ブチルオキシ-9-[(1S,3R,4S)-4-ヒドロキシ-3-ヒドロキシメチル-2-メチレン-シクロペンチル]-9H-プリン-2-カルバミン酸 tert-ブチルエステル;
【0331】
【化96】
【0332】
1HNMR (CDCl3, 300MHz): δ = 1.52 (s, 9H), 1.73 (s, 9H), 2.25 (m, 1H), 2.6-2.8 (m, 2H), 4.0 (d, J = 6Hz, 2H), 4.66 (bs, 1H), 4.83 (s, 1H)5.29 (s, 1H), 5.45 (m, 1H), 7.83 (s, 1H)。
【0333】
実施例13:
9-[(1S,3R,4S)-4-ヒドロキシ-3-(tert-ブチルジメチルシリルオキシメチル)-2-メチレン-シクロペンチル]-6-クロロ-9H-プリン-2-カルバミン酸 tert-ブチルエステル(化合物8a)の調製
【0334】
【化97】
【0335】
11 gの化合物6mを155 mlの無水メタノール中に溶解させ、それに、2gの炭酸カリウムを添加した。反応混合物を、出発材料が完全に消費されるまで攪拌した。混合物をろ過し、そして減圧下に濃縮した。後処理の後に、化合物8aを得た。収率: 95%。
【0336】
NMR (CDCl3, 500MHz):
1HNMR: δ = 0.07 (s, 6H), 0.86 (s, 9H), 1.50 (s, 9H), 2.28(m, 1H), 2.43 (m, 1H), 2.71 (s, 1H), 3.81 (m, 1H), 3.95 (m, 1H), 4.47 (m, 1H), 4.79 (m, 1H), 5.11 (m, 1H), 5.87 (m, 1H) , 7.4(m, 1H), 7.82(s, 1H); 13CNMR: δ = -5.29, 18.53, 26.13, 28.46, 53.36, 54.39, 56.00, 65.36, 73.42, 81.35, 111.15, 117.85, 140.88, 150.18, 150.94, 152.32, 153.45, 161.37。
【0337】
実施例14:
9-[(1S,3R,4S)-4-tert-ブチルジメチルシリルオキシ-3-ヒドロキシメチル-2-メチレン-シクロペンチル]-6-クロロ-9H-プリン-2-カルバミン酸 tert-ブチルエステル (化合物 9a) の調製
【0338】
【化98】
【0339】
11 gの化合物6jを155 mlの無水メタノール中に溶解させ、それに、2gの炭酸カリウムを添加した。反応混合物を出発材料が完全に消費されるまで攪拌した。混合物をろ過し、そして減圧下に濃縮した。後処理の後、化合物9aを得た。収率: 94%。
【0340】
NMR (CDCl3, 500MHz):
1HNMR: δ = 0.03 (s, 6H), 0.83 (s, 9H), 1.45 (s, 9H), 2.10(m, 1H), 2.55 (m, 1H), 2.62 (s, 1H), 3.89 (m, 2H), 4.00 (m, 1H), 4.53 (m, 1H), 4.70 (m, 1H),5.14 (m, 1H), 5.43 (m, 1H) , 7.38(m, 1H), 7.84(s, 1H); 13CNMR: δ = -4.66, 18.08, 25.90, 28.31, 54.36, 54.92, 58.26, 63.83, 73.76, 81.20, 111.33, 118.85, 141.99, 148.82, 150.72, 151.77, 152.04, 161.46。
【0341】
実施例15:
化合物 7aの調製 (化合物 8aを出発材料として使用)
9 gの化合物 8aを100 mlのTHF中に溶解させた。25 gのテトラブチルアンモニウムフルオリドを室温にて添加し、そして一晩反応を維持した。反応混合物を減圧下に、ほとんど乾燥するまで濃縮した。100 mlの酢酸エチルを添加して、残留物を完全に溶解させた。得られた溶液を5%塩化ナトリウム溶液で3回洗浄し、乾燥し、そして乾燥まで濃縮した。カラムクロマトグラフィーの後に、題記化合物を白色固形分として得た。収率: 96%。得られた題記化合物の1H-NMRデータは例10で得られた化合物7aのデータと同一である。
【0342】
実施例16:
化合物7aの調製 (化合物9aを出発材料として使用)
9 gの化合物9aを100 ml THF中に溶解させた。25 gのテトラブチルアンモニウムフルオリドを室温にて添加し、そして一晩反応を維持した。反応混合物を減圧下に、ほとんど乾燥するまで濃縮した。100 mlの酢酸エチルを添加して、残留物を完全に溶解させた。得られた溶液を5%塩化ナトリウム溶液で3回洗浄し、乾燥し、そして乾燥まで濃縮した。カラムクロマトグラフィーの後に、題記化合物を白色固形分として得た。収率: 95%。得られた題記化合物の1H-NMRデータは例10で得られた化合物7aのデータと同一である。
【0343】
実施例17:
2-アミノ-1,9-ジヒドロ-9-[(1S,3R,4S)-4-ヒドロキシ-3-(ヒドロキシメチル)-2-メチレン-シクロペンチル]-6H-プリン-6-オン (化合物 1)の調製;
【0344】
【化99】
【0345】
(1)化合物7aを出発材料として用いた化合物1の調製:
150 mg (0.38 mmol)の化合物7a (R = H, R’ = Boc)に、3 mlの2N HCl及び3 mlのTHFを添加した。反応混合物を6時間攪拌しながら、加熱還流した。THFの一部を減圧下に蒸発除去させた。残留溶液を2.5N NaOHでpH 7に調節し、室温で20分間維持し、その後、結晶が沈殿し始めた。溶液を室温で一晩維持し、そしてろ過した。少量の水で洗浄した後に、オフホワイト色の固形分を得た。その固形分を2 mlの水から再結晶し、73 mg (69%)の無色の結晶を得た。
【0346】
(2) 化合物7dを出発材料として用いた化合物1の調製:
1.2 g (2.42 mmol)の化合物 7d (R = Boc, R’ = Boc)に、20 mlの 2N HCl及び20ml のTHFを添加した。反応混合物を8時間攪拌しながら、加熱還流した。THFの一部を減圧下に蒸発除去させた。残留溶液を20mlのエチルエーテルで抽出した。水層を2.5N NaOHでpH 7に調節し、室温で一晩維持し、そしてろ過した。少量の水で洗浄した後に、オフホワイト色の固形分を得た。その固形分を2 mlの水から再結晶し、360 mg (54%) の無色の結晶を得た。
【0347】
1HNMR (d6-DMSO, 300MHz): δ = 2.03 (m, 1H), 2.20 (m, 1H), 3.51 (t, 2H, J =6Hz), 4.21 (bs, 1H), 4.54 (s, 1H), 4.80-4.86 (m, 2H, D2Oと交換可能), 5.08 (s,1), 7.64 (s, 1H, D2Oの交換のために広くなっている), 10.54 (s, 1H)。
【0348】
実施例18:
2-アミノ-1,9-ジヒドロ-9-[(1S,3R,4S)-4-ヒドロキシ-3-(ヒドロキシメチル)-2-メチレン-シクロペンチル]-6H-プリン-6-オン (化合物 1)の調製;
【0349】
【化100】
【0350】
312 mg (0.5 mmol)の化合物6a (R1 = R2 = t-BuMe2Si, R = H, R’ = Boc)を15 mlのテトラヒドロフラン中に溶解させ、それに、その後、15 mlの希塩酸を添加した。反応混合物を、TLCが、出発材料のドットが消失したことを示すまで攪拌しながら加熱した。テトラヒドロフランを減圧下に蒸発除去させた。30 mlのEtOAcを残留物に添加した。水相をアルカリ溶液により中性に調節し、冷却して結晶を沈殿させた。混合物をろ過した。得られた固形分を再結晶化させ、そして乾燥して、題記化合物を白色固形分として得た。収率: 75%。得られた題記化合物の1H-NMRデータは実施例17で得られた化合物1のデータと同一である。
【0351】
実施例19:
化合物1の調製 (化合物8aを出発材料として使用)
9 gの化合物8aを200 mlのTHF中に溶解させ、それに、100 mlの2N HClを添加した。反応混合物を反応が完了するまで加熱還流した。混合物を濃縮した。水相を塩基性pHに調節し、結晶を沈殿させた。得られた固形分を乾燥して、題記化合物を白色固形分として得た。収率: 80%。得られた題記化合物の1H-NMRデータは実施例17で得られた化合物1のデータと同一である。
【0352】
実施例 20:
化合物1の調製(化合物9aを出発材料として使用)
9 gの化合物9aを200 mlのTHF中に溶解させ、それに、100 mlの2N HClを添加した。反応混合物を反応が完了するまで加熱還流した。混合物を濃縮した。水相を塩基性pHに調節し、結晶を沈殿させた。得られた固形分を乾燥して、題記化合物を白色固形分として得た。収率: 78%。得られた題記化合物の1H-NMRデータは実施例17で得られた化合物1のデータと同一である。
【0353】
参考例:
国際公開第2004/052310A2号に記載されている方法により、中間体化合物4及びアミノが保護されていない2-アミノプリン化合物を出発材料として用いて、光延反応を行った。得られた化合物をTBAFにより脱保護し、その後、得られた化合物を加水分解して、エンテカビルを得た。上記反応の反応条件は本発明の方法で使用した条件と実質的に同一であったが、本発明の方法に記載される2-保護アミノ-6-置換プリンの代わりに、アミノが保護されていない2-アミノプリン化合物を用いた。
【0354】
参考例1:
9-[(1S,3R,4S)-4-tert-ブチルジメチルシリルオキシ-3-(tert-ブチルジメチルシリルオキシメチル)-2-メチレン-シクロペンチル]-6-クロロ-9H-プリン-2-アミン(化合物24) の調製;
【0355】
【化101】
【0356】
370 mg (1.0 mmol)の(1R,3R,4S)-4-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)-3-[(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)メチル]-2-メチレン-シクロペンタノール (化合物 4a, R1 = R2 = t-BuMe2Si)、338 mg (2.0 mmol)の6-クロロ-2-アミノプリン (化合物 23)及び524 mgのPh3P (2.0 mmol)を20 ml丸底フラスコに入れ、それに、5 mlの無水THFを、その後添加した。混合物を-23℃に冷却し、それに、350 mgのDEAD (1.0 mmol) / 5 mlのTHFの溶液を滴下して加えた。添加の完了後に、反応混合物を-23℃で3.5時間攪拌し、室温に温め、そして室温で一晩攪拌した。次いで、THFを減圧下に蒸発除去させた。10 mlのt-BuOMeを残留物に添加した。混合物を5分間攪拌し、それに、15 mlのn-ヘキサンを添加した。混合物を5時間維持し、そしてろ過して、不溶性物質を除去した。ろ液を石油エーテル/EtOAc (3/1 (v/v))で溶離してカラムクロマトグラフィーにより精製し、305 mg (59%)の題記化合物を淡黄色油状物として得た。
【0357】
参考例 2:
6-クロロ-9-[(1S,3R,4S)-4-ヒドロキシ-3-(ヒドロキシメチル)-2-メチレン-シクロペンチル]-9Hプリン-2-アミン(化合物25)の調製:
【0358】
【化102】
【0359】
200 mg (0.38 mmol)の化合物24を10 mlのTHF中に溶解させ、それに、720mg TBAF (テトラブチルアンモニウムフルオリド) (6 mmol)を添加した。混合物を室温にて1時間攪拌した。TLCは出発材料のドットが消失したことを示した。THFを減圧下に蒸発除去させた。40 mlのEtOAcを残留物に添加した。混合物を順次に20 mlの水及び飽和NaCl溶液で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥し、そしてろ過した。ろ液を減圧下に乾燥まで蒸発させ、52 mg (47%)の題記化合物を淡黄色固形分として得た。
【0360】
参考例3:
2-アミノ-1,9-ジヒドロ-9-[(1S,3R,4S)-4-ヒドロキシ-3-(ヒドロキシメチル)-2-メチレン-シクロペンチル]-6H-プリン-6-オン(化合物 1)の調製;
【0361】
【化103】
【0362】
148 mg (0.5 mmol)の化合物25に、5 mlの2N HCl及び5 mlのTHFを添加した。混合物を攪拌しながら6時間加熱還流した。THFの一部を減圧下に蒸発除去させた。残りの溶液を2.5NのNaOH溶液でpHを7に調節し、そして室温に20分間維持した。結晶が沈殿し始めた。混合物を室温に一晩維持し、そしてろ過した。少量の水で洗浄した後に、オフホワイト色の固形分を得た。その固形分を2 mlの水から再結晶し、85 mg (61%)の無色の結晶を得た。
【0363】
上記の参考例に記載されるとおり、中間体化合物4及びアミノが保護されていない2−アミノプリン化合物を出発材料として用いて光延反応を国際公開第2004/052310A2号に記載の方法により行った。得られた化合物を、その後、TBAFにより脱保護し、次いで、加水分解して、エンテカビルを得た。これらの3つの工程の合計収率はわずか17% (中間体化合物4の量を基準として計算)であった。
【0364】
対照的に、中間体化合物4及び2−保護アミノ−6−置換プリン化合物を出発材料として用いた、本発明に記載の光延反応は高収率を得ることができ(約100%)、そして上記のカップリング反応の得られる生成物は続く反応工程で単純に精製することができ、それにより、続いて行う反応の収率も増加される。同様に、中間体化合物4の量を基準として、本発明の3つの工程の合計収率は52%を超える。それゆえ、本発明の方法は調製プロセス及び操作を単純化し、有意に収率を改良し、そして顕著にコストを低減することができる。