特許第6573885号(P6573885)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6573885プロ触媒粒子及びインパクトコポリマーの重合方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6573885
(24)【登録日】2019年8月23日
(45)【発行日】2019年9月11日
(54)【発明の名称】プロ触媒粒子及びインパクトコポリマーの重合方法
(51)【国際特許分類】
   C08F 210/06 20060101AFI20190902BHJP
   C08F 2/00 20060101ALI20190902BHJP
   C08F 4/654 20060101ALI20190902BHJP
   C08F 4/649 20060101ALI20190902BHJP
【FI】
   C08F210/06
   C08F2/00 Z
   C08F4/654
   C08F4/649
【請求項の数】10
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2016-534668(P2016-534668)
(86)(22)【出願日】2014年11月26日
(65)【公表番号】特表2016-538396(P2016-538396A)
(43)【公表日】2016年12月8日
(86)【国際出願番号】US2014067703
(87)【国際公開番号】WO2015081254
(87)【国際公開日】20150604
【審査請求日】2017年11月27日
(31)【優先権主張番号】61/909,461
(32)【優先日】2013年11月27日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590001706
【氏名又は名称】ダブリュー・アール・グレース・アンド・カンパニー−コーン
【氏名又は名称原語表記】W R GRACE & CO−CONN
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100104374
【弁理士】
【氏名又は名称】野矢 宏彰
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン・エグモンド,ジャン・ダブリュー
【審査官】 山▲崎▼ 真奈
(56)【参考文献】
【文献】 特表2004−527635(JP,A)
【文献】 特開2011−084612(JP,A)
【文献】 特表2012−514082(JP,A)
【文献】 特表2012−514123(JP,A)
【文献】 特表2012−514126(JP,A)
【文献】 特表2014−500390(JP,A)
【文献】 特表2014−529624(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/032651(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0053525(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 2/00 − 2/60
4/60 − 4/70
251/00 − 283/00
291/00 − 297/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
置換1,2−、1,3−または1,4−フェニレン芳香族ジエステルの存在下で、26マイクロメーター〜30マイクロメーターの粒径D50を有するMagTiプロ触媒前駆体の粒子をハロゲン化して、26マイクロメーター〜30マイクロメーターの粒径D50を有するプロ触媒組成物の粒子を形成すること、
第1に、第1の重合条件下で、プロピレンモノマー及び任意に1種以上の第1のコモノマーを、前記プロ触媒組成物の前記粒子を含む触媒組成物と第1の重合反応器内で接触させて、活性プロピレン系ポリマーを形成すること、及び
第2に、第2の重合条件下で、前記活性プロピレン系ポリマーを少なくとも1種の第2のコモノマーと第2の重合反応器内で接触させて、プロピレンインパクトコポリマーを形成すること、
を含む重合方法。
【請求項2】
前記少なくとも1種の第2のコモノマーがオレフィンモノマーである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
3−メチル−5−t−ブチル−1,2−フェニレンジベンゾエートの存在下で、前記MagTiプロ触媒前駆体の前記粒子をハロゲン化することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
10重量%〜55重量%のFcを有するプロピレンインパクトコポリマーを形成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
25重量%〜55重量%のFcを有するプロピレンインパクトコポリマーを形成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
30重量%〜55重量%のFcを有するプロピレンインパクトコポリマーを形成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
272kg/m(17 lb/ft)を超える沈降かさ密度を有するプロピレンインパクトコポリマーの粒子を形成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記置換1,2−フェニレン芳香族ジエステルが以下の構造(I)を有する、請求項1に記載の方法:
【化1】
(式中、R〜R14は同一でも異なっていてもよく、そして各々、独立して、水素、1〜20個の炭素原子を有する置換ヒドロカルビル基、1〜20個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基、1〜20個の炭素原子を有するアルコキシ基、ヘテロ原子、及びそれらの組み合わせから選択されることができるが、ただしR〜R14の少なくとも1つは水素ではない)。
【請求項9】
前記MagTiプロ触媒前駆体のD50粒径が27マイクロメーター〜30マイクロメーターである、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記プロ触媒組成物のD50粒径が27マイクロメーター〜30マイクロメーターである、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]
本発明は、プロ触媒組成物の粒子及びその粒子を用いたインパクトコポリマーの重合方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]
インパクトコポリマー(ICOP)、例えば、プロピレンインパクトコポリマーは、プロピレン系ポリマーである連続相と、その連続相全体に分散した不連続エラストマー又は「ゴム」相を特徴とする異相ポリマーである。従来のプロピレンインパクトコポリマー生成方法は、二段階方法で行われる。第1のポリマー(連続相)は、第1の重合反応器内で生成される。その後、この第1段階の生成物は、第1の反応器から第2の反応器(すなわち、インパクト反応器)に移されて、この第2の反応器内で第2のポリマー(不連続相)が生成される。この不連続相は連続相のマトリックス内に組み込まれ、それによりインパクトコポリマーを形成する。結果として生じる材料は、インパクトコポリマーとして知られており、これは、良好な耐衝撃性等の有益な特性を有する一方で、その剛性率の大半を維持する。最終ICOP生成物中のゴム材料の重量画分は、画分コポリマー又はゴム含量、略称Fcと呼ばれる。
【0003】
[0003]
不連続相は、典型的には、天然ではエラストマー又はゴム状である。このことが、加工時に多くの困難をもたらす。第2のポリマーの粘性及び粘着性のため、インパクトコポリマー中に存在するエラストマー(不連続相)の量が増加するにつれて、インパクトコポリマーの流動性が低下する。低下した流動性は、例えば30重量パーセント(重量%)以上のFcを有する高インパクトコポリマー生成物(HICOP)を生成する際に、特に問題となる。例えば、30%を超えるFcを有するプロピレンインパクトコポリマーの粒子の粘着性及び不良な流動性は、インパクト反応器壁上での集積、粉末凝集、大きい塊の形成、及び/又は生成物パージビン内での滞留を含むが、これらに限定されない、いくつかの生産上の問題を引き起こす場合があり、結果として工場設備の処理能力の低下、又は更には工場設備の停止につながり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
[0004]
インパクトコポリマーのFcが増加するにつれて(特にインパクトコポリマーのFcが30%を超える場合に)ポリマー粒子の流動性が維持又は改善される、インパクトコポリマーを生成するための方法が望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
[0005]
したがって、本発明の一例は、MagTi(以下に定義される)プロ触媒前駆体及び置換フェニレン芳香族ジエステルから形成されるプロ触媒組成物の粒子であり、このプロ触媒組成物の粒子は、19ミクロン〜30ミクロンの粒径D50を有する。
【0006】
[0006]
本発明の別の例は、置換フェニレン芳香族ジエステルの存在下で、19ミクロン〜30ミクロンの粒径D50を有するMagTiプロ触媒前駆体の粒子をハロゲン化して、19ミクロン〜30ミクロンの粒径D50を有するプロ触媒組成物の粒子を形成することを含む重合方法である。本重合方法は、第1に、第1の重合条件下で、プロピレン及び任意に1種以上の第1のコモノマーを、本プロ触媒組成物の粒子を含む触媒組成物と第1の重合反応器内で接触させて、活性プロピレン系ポリマーを形成すること、及び第2に、第2の重合条件下で、この活性プロピレン系ポリマーを少なくとも1種の第2のコモノマーと第2の重合反応器内で接触させて、プロピレンインパクトコポリマーを形成することを更に含んでもよい。少なくとも1種の第2のコモノマーは、オレフィンであってもよい。
【0007】
[0007]
本発明の一実施形態の利点は、プロピレンインパクトコポリマー、特に30%を超えるFcを有する高ゴム含量プロピレンインパクトコポリマー(HICOP)の流動性を改善するための方法である。
【0008】
[0008]
本発明の一実施形態の別の利点は、置換フェニレン芳香族ジエステルを含有するチーグラー・ナッタ触媒組成物から作製されるプロピレンインパクトコポリマーの流動性を改善するための方法である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[0009]
本発明は、本発明の実施形態に関して記載される。
[0010]
本発明の一実施形態は、MagTiプロ触媒前駆体及び置換フェニレン芳香族ジエステルから形成されるプロ触媒組成物の粒子であり、このプロ触媒組成物の粒子は、19ミクロン〜30ミクロン、好ましくは25ミクロン〜30ミクロンの粒径D50を有する。MagTiプロ触媒前駆体の粒子は、19ミクロン〜30ミクロン、好ましくは25ミクロン〜30ミクロンのD50を有してもよい。置換フェニレン芳香族ジエステルは、3−メチル−5−t−ブチル−1,2−フェニレンジベンゾエートであってもよい。
【0010】
[0011]
プロ触媒組成物及びMagTiプロ触媒前駆体は各々、19ミクロン、又は20ミクロン、又は21ミクロン、又は22ミクロン、又は23ミクロン、又は24ミクロン、又は25ミクロン、又は26ミクロン、又は27ミクロン〜28ミクロン、又は29ミクロン、又は30ミクロンの粒径D50を有する粒子から成り得る。別の実施形態では、プロ触媒組成物の粒子は、25ミクロン、又は26ミクロン、又は27ミクロン〜28ミクロン、又は29ミクロン、又は30ミクロンのD50を有する。
【0011】
[0012]
プロ触媒組成物及びMagTiプロ触媒前駆体は各々、19ミクロン、又は20ミクロン、又は21ミクロン、又は22ミクロン、又は23ミクロン、又は24ミクロン、又は25ミクロン、又は26ミクロン、又は27ミクロン〜28ミクロン、又は29ミクロン、又は30ミクロンのD90を有する複数の粒子であってもよい。別の実施形態では、プロ触媒組成物の粒子は、25ミクロン、又は26ミクロン、又は27ミクロン〜28ミクロン、又は29ミクロン、又は30ミクロンのD90を有する。
【0012】
[0013]
プロ触媒組成物は、3−メチル−5−t−ブチル−1,2−フェニレンジベンゾエートと複合体を形成したMgTi(OEt)Clの複数の粒子であり得、このプロ触媒組成物の粒子は、25又は26ミクロン、又は27ミクロン〜28ミクロン、又は29ミクロン、又は30ミクロンのD50を有し、式中、Etは、エチレンを表す。
【0013】
[0014]
本発明の別の実施形態は、重合方法を提供する。本重合方法は、置換フェニレン芳香族ジエステル(又は「SPAD」)の存在下で、マグネシウム/チタン(又は「MagTi」)プロ触媒前駆体をハロゲン化して、19ミクロン〜30ミクロンの粒径D50を有するプロ触媒組成物の粒子を形成することを含む。MagTiプロ触媒前駆体は、固体粒子形態であり、19ミクロン〜30ミクロンの粒径D50を有する。本重合方法は、第1に、第1の重合条件下で、プロピレン及び任意に1種以上の第1のコモノマーを触媒組成物と接触させて、活性プロピレン系ポリマーを形成することを更に含み得る。触媒組成物は、本プロ触媒組成物の粒子、共触媒、及び任意に外部電子供与体を含み得る。本重合方法は、第2に、第2の重合条件下で、活性プロピレン系ポリマーを少なくとも1種の第2のコモノマーと第2の重合反応器内で接触させて、プロピレンインパクトコポリマーを形成することを更に含み得る。少なくとも1種の第2のコモノマーは、オレフィンであってもよい。
【0014】
[0015]
本重合方法は、本発明の実施形態に従う特定のハロゲン化工程、第1の重合工程、及び第2の重合工程に関して本明細書に更に詳細に記載される。
【0015】
1.ハロゲン化
[0016]
本発明の一実施形態は、内部電子供与体、すなわち、置換フェニレン芳香族ジエステル(SPAD)の存在下で、MagTiプロ触媒前駆体をハロゲン化することを含む重合方法である。「マグネシウム/チタンプロ触媒前駆体」又は「MagTiプロ触媒前駆体」は、式MgTi(ORを有し、式中、Rは、1〜14個の炭素原子を有する脂肪族又は芳香族炭化水素ラジカル又はCOR’であり、式中、R’は、1〜14個の炭素原子を有する脂肪族又は芳香族炭化水素ラジカルであり、各OR基は、同一又は異なり、Xは独立して、塩素、臭素、又はヨウ素、好ましくは塩素であり、dは、0.5〜56、又は2〜4であり、fは、2〜116又は5〜15であり、gは、0.5〜116又は1〜3である。MagTiプロ触媒前駆体は、調製時に使用される前駆体反応媒体からのアルコールの除去による制御沈殿によって調製され得る。この反応媒体は、芳香族液体、例えば、塩素化芳香族化合物、又はクロロベンゼンと、アルカノール、特にエタノールとの混合物を含み得る。好適なハロゲン化剤は、四臭化チタン、四塩化チタン、又は三塩化チタン、特に四塩化チタンを含み得る。ハロゲン化において使用される溶液からのアルカノールの除去は、望ましい形態及び表面積を有する固体前駆体の沈殿をもたらす。
【0016】
[0017]
MagTiプロ触媒前駆体は、粒径が均一の複数の粒子であり得、MagTiプロ触媒前駆体の粒子は、19ミクロン、又は20ミクロン、又は21ミクロン、又は22ミクロン、又は23ミクロン、又は24ミクロン、又は25ミクロン、又は26ミクロン、又は27ミクロン〜28ミクロン、又は29ミクロン、又は30ミクロンのD50を有する。本明細書で使用される場合、「D50」という用語は、試料重量の50%が定められた粒子径を超える中央粒子径である。一実施形態では、MagTiプロ触媒前駆体の粒子は、25ミクロン、又は26ミクロン、又は27ミクロン〜28ミクロン、又は29ミクロン、又は30ミクロンのD50を有する。
【0017】
[0018]
一実施形態では、MagTiプロ触媒前駆体は、19ミクロン、又は20ミクロン、又は21ミクロン、又は22ミクロン、又は23ミクロン、又は24ミクロン、又は25ミクロン、又は26ミクロン、又は27ミクロン〜28ミクロン、又は29ミクロン、又は30ミクロンのD90を有する複数の粒子である。本明細書で使用される場合、「D90」という用語は、試料重量の90%が定められた粒子径を超える中央粒子径である。別の実施形態では、MagTiプロ触媒前駆体の粒子は、25ミクロン、又は26ミクロン、又は27ミクロン〜28ミクロン、又は29ミクロン、又は30ミクロンのD90を有する。
【0018】
[0019]
一実施形態では、MagTiプロ触媒前駆体は、MgTi(OEt)Clの複数の粒子であり、これらの粒子は、25ミクロン〜30ミクロンのD50を有し、式中、Etは、エチレンを表す。
【0019】
[0020]
ハロゲン化(又はハロゲン化すること)は、ハロゲン化剤によって生じ得る。本明細書で使用される場合、「ハロゲン化剤」とは、プロ触媒前駆体(又はプロ触媒中間体)をハロゲン化物形態に変換する化合物である。本明細書で使用される場合、「チタン化剤」とは、触媒活性チタン種を提供する化合物である。ハロゲン化及びチタン化は、プロ触媒前駆体中に存在するマグネシウム部分を、チタン部分(ハロゲン化チタン等)が堆積するハロゲン化マグネシウム担体に変換することができる。
【0020】
[0021]
ハロゲン化剤は、式Ti(ORを有するハロゲン化チタンであり得、式中、R及びXは、上で定義されるとおりであり、fは、0〜3の整数であり、hは、1〜4の整数であり、f+hは、4である。このように、ハロゲン化チタンは、ハロゲン化剤であると同時にチタン化剤でもある。一実施形態では、ハロゲン化チタンは、TiClであり、ハロゲン化は、プロ触媒前駆体のTiClでの塩素化によって生じ得る。塩素化(及びチタン化)は、塩素化又は非塩素化芳香族又は脂肪族液体、例えば、ジクロロベンゼン、o−クロロトルエン、クロロベンゼン、ベンゼン、トルエン、キシレン、オクタン、又は1,1,2−トリクロロエタンの存在下で行われ得る。更に別の実施形態では、ハロゲン化及びチタン化は、40〜60体積パーセントのハロゲン化剤、例えばTiC1を含む、ハロゲン化剤と塩素化芳香族液体との混合物の使用によって行われる。
【0021】
[0022]
一実施形態では、反応混合物は、ハロゲン化(塩素化)中に、約2分間〜約100分間の期間にわたって約30℃〜約150℃の温度まで加熱される。
【0022】
[0023]
ハロゲン化反応は、内部電子供与体であるSPADの存在下で行われ得る。本明細書で使用される場合、「内部電子供与体」(又は「IED」)は、少なくとも1つの電子対を結果として生じるプロ触媒組成物中に存在する1種以上の金属に供与する、プロ触媒組成物の形成中に添加されるか、又はさもなければ形成される化合物である。いかなる特定の理論にも束縛されるものではないが、ハロゲン化(及びチタン化)中に、内部電子供与体が、(1)活性部位の形成を調整し、それにより触媒立体選択性を向上させ、(2)マグネシウム系担体上のチタンの位置を調整し、(3)マグネシウム部分及びチタン部分のそれぞれのハロゲン化物への変換を促進し、(4)変換中にハロゲン化マグネシウム担体の結晶サイズを調整することが考えられる。したがって、内部電子供与体の提供は、立体選択性が向上したプロ触媒組成物をもたらす。
【0023】
[0024]
内部電子供与体(SPAD)は、反応混合物の加熱前、加熱中、又は加熱後に添加され得る。内部電子供与体は、プロ触媒前駆体へのハロゲン化剤の添加前、添加中、又は添加後に添加され得る。MagTiプロ触媒前駆体のハロゲン化は、SPADの存在下で進められる。
【0024】
[0025]
内部電子供与体は、置換フェニレン芳香族ジエステルであり得る。置換フェニレン芳香族ジエステルは、置換1,2−フェニレン芳香族ジエステル、置換1,3−フェニレン芳香族ジエステル、又は置換1,4−フェニレン芳香族ジエステルであり得る。一実施形態では、1,2−フェニレン芳香族ジエステルが提供される。置換1,2−フェニレン芳香族ジエステルは、以下の構造(I)を有し、
【0025】
【化1】
【0026】
式中、R〜R14は、同一又は異なる。R〜R14は各々、独立して、水素、1〜20個の炭素原子を有する置換ヒドロカルビル基、1〜20個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基、1〜20個の炭素原子を有するアルコキシ基、ヘテロ原子、及びそれらの組み合わせから選択され得る。R〜R14のうちの少なくとも1つは、水素ではない。換言すれば、R〜R14のうちの少なくとも1つは、水素以外の置換基である。
【0027】
[0026]
本明細書で使用される場合、「ヒドロカルビル」及び「炭化水素」という用語は、分岐状又は非分岐状、飽和又は不飽和、環状、多環状、縮合、又は非環状種、及びそれらの組み合わせを含む、水素原子及び炭素原子のみを含有する置換基を指す。ヒドロカルビル基の非限定的な例としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルカジエニル基、シクロアルケニル基、シクロアルカジエニル基−、アリール基、アラルキル基、アルキルアリール基、及びアルキニル基が挙げられる。
【0028】
[0027]
本明細書で使用される場合、「置換ヒドロカルビル」及び「置換炭化水素」という用語は、1個以上の非ヒドロカルビル置換基で置換されているヒドロカルビル基を指す。非ヒドロカルビル置換基の非限定的な例は、ヘテロ原子である。本明細書で使用される場合、「ヘテロ原子」とは、炭素又は水素以外の原子を指す。ヘテロ原子は、周期表のIV、V、VI、及びVII族に属する非炭素原子であり得る。ヘテロ原子の非限定的な例としては、ハロゲン(F Cl、Br、I)、N、O、P、B、S、及びSiが挙げられる。置換ヒドロカルビル基は、ハロヒドロカルビル基及びケイ素含有ヒドロカルビル基も含む。本明細書で使用される場合、「ハロヒドロカルビル」基という用語は、1個以上のハロゲン原子で置換されているヒドロカルビル基を指す。本明細書で使用される場合、「ケイ素含有ヒドロカルビル基」という用語は、1個以上のケイ素原子で置換されているヒドロカルビル基である。ケイ素原子(複数可)は、炭素鎖中にある場合もない場合もある。
【0029】
[0028]
一実施形態では、構造(I)を有するSPADは、独立して、水素、1〜20個の炭素原子を有する置換ヒドロカルビル基、1〜20個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基、1〜20個の炭素原子を有するアルコキシ基、ヘテロ原子、及びそれらの組み合わせから選択されるR〜R14の各々を含む。R〜Rのうちの少なくとも1つは、1〜20個の炭素原子を有するヒドロカルビル基、1〜20個の炭素原子を有するアルコキシ基、ヘテロ原子、及びそれらの組み合わせである。更なる実施形態では、R〜Rのうちの少なくとも1つは、1〜6個の炭素原子を有するヒドロカルビル基である。
【0030】
[0029]
一実施形態では、構造(I)を有するSPADは、独立して、水素、1〜20個の炭素原子を有する置換ヒドロカルビル基、1〜20個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基、1〜20個の炭素原子を有するアルコキシ基、ヘテロ原子、及びそれらの組み合わせから選択されるR〜R14の各々を含む。R〜Rのうちの少なくとも2つは、1〜20個の炭素原子を有するヒドロカルビル基、1〜20個の炭素原子を有するアルコキシ基、ヘテロ原子、及びそれらの組み合わせである。更なる実施形態では、R〜Rのうちの少なくとも2つは、1〜6個の炭素原子を有するヒドロカルビル基である。
【0031】
[0030]
内部電子供与体に好適なSPADの非限定的な例は、以下の表1に提供される。
【0032】
【表1-1】
【0033】
【表1-2】
【0034】
[0031]
一実施形態では、置換フェニレン芳香族ジエステルは、3−メチル−5−t−ブチル−1,2−フェニレンジベンゾエートである。
【0035】
[0032]
ハロゲン化工程の反応生成物は、プロ触媒組成物である。プロ触媒組成物は、チーグラー・ナッタ触媒組成物であり得る。プロ触媒組成物は、MagTiプロ触媒前駆体及びSPAD内部電子供与体から形成され得る。プロ触媒組成物は、置換フェニレン芳香族ジエステル(すなわち、内部電子供与体)と複合体を形成したマグネシウム部分、チタン部分の組み合わせであり得る。プロ触媒組成物は、19ミクロン、又は20ミクロン、又は21ミクロン、又は22ミクロン、又は23ミクロン、又は24ミクロン、又は25ミクロン、又は26ミクロン、又は27ミクロン〜28ミクロン、又は29ミクロン、又は30ミクロンの粒径D50を有する粒子から成り得る。一実施形態では、プロ触媒組成物の粒子は、25ミクロン、又は26ミクロン、又は27ミクロン〜28ミクロン、又は29ミクロン、又は30ミクロンのD50を有する。
【0036】
[0033]
一実施形態では、プロ触媒組成物は、19ミクロン、又は20ミクロン、又は21ミクロン、又は22ミクロン、又は23ミクロン、又は24ミクロン、又は25ミクロン、又は26ミクロン、又は27ミクロン〜28ミクロン、又は29ミクロン、又は30ミクロンのD90を有する複数の粒子である。別の実施形態では、プロ触媒組成物の粒子は、25ミクロン、又は26ミクロン、又は27ミクロン〜28ミクロン、又は29ミクロン、又は30ミクロンのD90を有する。
【0037】
[0034]
一実施形態では、プロ触媒組成物は、3−メチル−5−t−ブチル−1,2−フェニレンジベンゾエートと複合体を形成したMgTi(OEt)Clの複数の粒子であり、プロ触媒組成物の粒子は、25又は26ミクロン、又は27ミクロン〜28ミクロン、又は29ミクロン、又は30ミクロンのD50を有する。
【0038】
2.第1の重合
[0035]
本発明の一実施形態は、第1に、第1の重合条件下で、プロピレン及び任意に1種以上の第1のコモノマーを、本プロ触媒組成物の粒子を含む触媒組成物と第1の重合反応器内で接触させて、活性プロピレン系ポリマーを形成することを含む重合方法である。触媒組成物は、本プロ触媒組成物の粒子(上で開示される、19〜30ミクロンの粒径D50を有するMagTiプロ触媒前駆体及びSPADから形成されたもの)、共触媒、及び任意に外部電子供与体を含み得る。
【0039】
[0036]
本明細書で使用される場合、「活性プロピレン系ポリマー」は、重合条件下でオレフィンに曝露されたときに更に重合することができるある量の活性触媒を含有するプロピレン系ポリマーである。
【0040】
[0037]
触媒組成物は、共触媒を含み得る。共触媒は、有機アルミニウム化合物、例えば、各アルキル基又はアルコキシド基に1〜10個、好ましくは1〜6個の炭素原子を含有する、トリアルキルアルミニウム化合物、ジアルキルアルミニウムヒドリド化合物、アルキルアルミニウムジヒドリド化合物、ジアルキルアルミニウムハライド化合物、アルキルアルミニウムジハライド化合物、ジアルキルアルミニウムアルコキシド化合物、及びアルキルアルミニウムジアルコキシド化合物であり得る。一実施形態では、共触媒は、トリエチルアルミニウム(TEA)等のC1〜4トリアルキルアルミニウム化合物である。
【0041】
[0038]
触媒組成物は、外部電子供与体を任意に含む。一実施形態では、触媒組成物は、1種以上の選択性制御剤(SCA)及び1種以上の活性制限剤(ALA)から成る混合外部電子供与体(MEED)を含む。SCAは、一般式SiR(OR’)4〜m(I)を有するアルコキシシランであり、式中、Rは、独立して、各出現時に、水素、又は1個以上の14、15、16、若しくは17族のヘテロ原子を含有する1個以上の置換基で任意に置換されているヒドロカルビル基若しくはアミノ基であり、Rは、水素及びハロゲン以外の原子を最大20個含有し、R’は、C1〜20アルキル基であり、mは、0、1、2、又は3である。一実施形態では、Rは、C6〜12アリール、アルキル、又はアラルキル、C3〜12シクロアリル、C3〜12分岐状アルキル、又はC3〜12環状アミノ基であり、及びR’は、C1〜4アリルであり、mは、1又は2である。
【0042】
[0039]
好適なアルコキシシラン組成物の非限定的な例としては、ジシクロペンチルジメトキシシラン、ジ−tert−ブチルジメトキシシラン、メチルシクロヘキシルジメトキシシラン、メチルシクロヘキシルジエトキシシラン、ジ−n−ブチルジメトキシシラン、エチルシクロヘキシルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、ジ−n−プロピルジメトキシシラン、ジイソブチルジメトキシシラン、ジイソブチルジエトキシシラン、ジ−n−ブチルジメトキシシラン、シクロペンチルトリメトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、シクロペンチルピロリジノジメトキシシラン、ビス(ピロリジノ)ジメトキシシラン、ビス(ペルヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、及びジメチルジメトキシシランが挙げられる。
【0043】
[0040]
SCAは、ジシクロペンチルジメトキシシラン、メチルシクロヘキシルジメトキシシラン、及びn−プロピルトリメトキシシラン、及びそれらの組み合わせから選択され得る。
【0044】
[0041]
MEEDは、1種以上の活性制限剤を含み得る。本明細書で使用される場合、「活性制限剤」(「ALA」)は、高温(すなわち、約85℃を超える温度)で触媒活性を低下させる材料である。ALAは、重合反応器の不調を抑制又はさもなければ阻止し、重合方法の継続を確実にする。典型的には、チーグラー・ナッタ触媒の活性は、反応器の温度が上昇するにつれて増大する。チーグラー・ナッタ触媒はまた、典型的には、生成されたポリマーの融点に近い温度で高い活性を維持する。発熱重合反応によって生じた熱は、ポリマー粒子凝集体を形成させる場合があり、最終的にはポリマー生成方法を中断させ得る。ALAは、高温で触媒活性を低下させ、それにより反応器の不調を阻止し、粒子の凝集を低減(又は阻止)し、重合方法の継続を確実にする。
【0045】
[0042]
ALAは、脂肪族カルボン酸エステルであり得る。脂肪族カルボン酸エステルは、C〜C30脂肪族酸エステルであってもよく、モノ又はポリ(2種以上の)エステルであってもよく、直鎖又は分岐状であってもよく、飽和又は不飽和であってもよく、それらの任意の組み合わせであってもよい。C〜C30脂肪族酸エステルはまた、1個以上の14、15、又は16族のヘテロ原子を含有する置換基で置換されてもよい。好適なC〜C30脂肪族酸エステルの非限定的な例としては、脂肪族C4〜30モノカルボン酸C1〜20アルキルエステル、脂肪族C8〜20モノカルボン酸C1〜20アルキルエステル、脂肪族C4〜20モノカルボン酸及びジカルボン酸C1〜4アリルモノ及びジエステル、脂肪族C8〜20モノカルボン酸及びジカルボン酸C1〜4アルキルエステル、並びにC2〜100(ポリ)グリコール又はC2〜100(ポリ)グリコールエーテルC4〜20モノ又はポリカルボキシレート誘導体が挙げられる。一実施形態では、C〜C30脂肪族酸エステルは、ラウリン酸塩、ミリスチン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、オレイン酸塩、セバシン酸塩、モノ又はジ酢酸(ポリ)(アルキレングリコール)、モノ又はジミリスチン酸(ポリ)(アルキレングリコール)、モノ又はジラウリン酸(ポリ)(アルキレングリコール)、モノ又はジオレイン酸(ポリ)(アルキレングリコール)、トリ(酢酸)グリセリル、C2〜40脂肪族カルボン酸グリセリルトリ−エステル、及びそれらの混合物であり得る。別の実施形態では、C〜C30脂肪族エステルは、ミリスチン酸イソプロピル又はセバシン酸ジ−n−ブチルである。
【0046】
[0043]
一実施形態では、ALAは、ミリスチン酸イソプロピルである。
[0044]
一実施形態では、ALAは、セバシン酸ジ−n−ブチルである。
【0047】
[0045]
一実施形態では、MEEDは、(i)n−プロピルトリメトキシシラン、メチルシクロヘキシルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、及び/又はジイソプロピルジメトキシシランと、(ii)ミリスチン酸イソプロピル及び/又はセバシン酸ジ−n−ブチルの任意の組み合わせとの任意の組み合わせである。
【0048】
[0046]
一実施形態では、MEEDは、n−プロピルトリメトキシシラン及びミリスチン酸イソプロピルである。
【0049】
[0047]
一実施形態では、MEEDは、n−プロピルトリメトキシシラン及びセバシン酸ジ−n−ブチルである。
【0050】
[0048]
一実施形態では、MEEDは、メチルシクロヘキシルジメトキシシラン及びセバシン酸ジ−n−ブチルである。
【0051】
[0049]
一実施形態では、MEEDは、メチルシクロヘキシルジメトキシシラン及びミリスチン酸イソプロピルである。
【0052】
[0050]
一実施形態では、MEEDは、ジシクロペンチルジメトキシシラン及びミリスチン酸イソプロピルである。
【0053】
[0051]
一実施形態では、MEEDは、ジシクロペンチルジメトキシシラン及びセバシン酸ジ−n−ブチルである。
【0054】
[0052]
一実施形態では、MEEDは、ジイソプロピルジメトキシシラン及びミリスチン酸イソプロピルである。
【0055】
[0053]
一実施形態では、MEEDは、ジイソプロピルジメトキシシラン及びセバシン酸ジ−n−ブチルである。
【0056】
[0054]
触媒組成物は、本明細書に開示される2つ以上の実施形態を含んでもよい。
[0055]
本発明の一実施形態では、本重合方法は、第1の重合条件下で、プロピレンを触媒組成物と第1の重合反応器内で接触させて、活性プロピレン系ポリマーを形成することを含む。本明細書で使用される場合、「重合条件」とは、触媒組成物とオレフィンとの間の重合を促進して所望のポリマーを形成するのに好適な、重合反応器内の温度及び圧力パラメータである。本重合方法は、1つの反応器又は2つ以上の反応器内で動作するガス相重合方法、スラリー重合方法、又はバルク重合方法であり得る。したがって、重合反応器は、ガス相重合反応器、液相重合反応器、又はそれらの組み合わせであり得る。
【0057】
[0056]
重合は、直列に接続された2つのガス相重合反応器内で行われ得る。本明細書で使用される場合、「ガス相重合」(又は「ガス相重合条件」)とは、触媒の存在下での流動化媒体によって流動状態で維持されるポリマー粒子の流動床を通る1種以上のモノマーを含有する、上行する流動化媒体の通路である。プロピレンモノマーとチーグラー・ナッタ触媒組成物との間の接触は、反応器の反応域内で生じる。
【0058】
[0057]
ガス相重合反応器は、ガス相流動床重合反応器であってもよい。「流動化」、「流動化された」、又は「流動化する」とは、微粉化ポリマー粒子の床が上昇ガス流によって持ち上げられ、撹拌される、ガス−固体接触方法である。流動化は、粒子の床の隙間を通る流体の上方流が粒子重量を超える圧力差及び摩擦抵抗増分に達したときに、粒子の床で生じる。したがって、「流動床」とは、流動化媒体流によって流動状態で浮遊した複数のポリマー粒子である。「流動化媒体」とは、1種以上のオレフィンガス、任意にキャリアガス(N等)、及び任意に液体(炭化水素等)であり、これはガス相反応器を通って上行するものである。
【0059】
[0058]
典型的なガス相流動床重合反応器(又はガス相反応器)は、容器(すなわち、反応器)、流動床、分配器プレート、入口及び出口、パイプ類、圧縮器、循環ガス冷却器又は熱交換器、並びに生成物排出系を含み得る。容器は、反応域及び速度減少域を含んでもよく、これらは各々、分配器プレートの上に位置する。流動床は、反応域内に位置してもよい。流動化媒体は、浮遊条件下で固体粒子の床を維持するのに十分な速度でガス相重合反応器を通過してもよい。未反応ガス状モノマーを含有するガス状流は、反応器から連続して引き出され、圧縮され、冷却され、反応器内で再循環し得る。生成物が反応器から引き出され得、作製されたモノマーが再循環流に添加される。
【0060】
[0059]
流動化媒体は、プロピレンモノマーガス並びに少なくとも1種の他のガス(オレフィン等)及び/又はキャリアガス(窒素等)を含み得る。流動化媒体は、水素ガスも含み得る。重合中、水素は、連鎖移動剤であり得、結果として生じるポリマーの分子量(それに対応してメルトフローレート)に影響を及ぼし得る。
【0061】
[0060]
多くの動作パラメータがガス相重合中に監視及び制御され得る。1つのパラメータは、流動化かさ密度である。「流動化かさ密度」(又は「FBD」)とは、流動床内の単位体積当たりの固体(すなわち、ポリマー粒子)の重量である。FBDとは、固定反応器部分内の任意の地点での局所的かさ密度を上回り得るか、又は下回り得る平均値である。FBDとは、ガス相反応器の正常な動作状態の直接的な指標である。FBDの予期せぬ変化は、多くの場合、反応器に問題が生じている場合があることを示す。FBDは、上限流動化かさ密度(UFBD)及び下限流動化かさ密度(LFBD)を含み得る。別のパラメータは、沈降かさ密度である。
【0062】
[0061]
ガス相流動床重合反応器は、商業規模の反応器であってもよい。「商業規模の反応器」とは、40ギガグラム(Gg)(40キロトン/年(KTA))又は5メガグラム/時(5メートルトン/時)を超えるプロピレン系ポリマーを生成することができる重合反応器である。商業規模のガス相重合反応器の非限定的な例は、UNIPOL(商標)反応器である。
【0063】
[0062]
触媒組成物は、反応器の下方区分内に供給され得る。反応は、触媒組成物と流動化媒体との間の接触時に生じ得、成長ポリマー粒子をもたらすことができる。流動化媒体は、流動床を通って上方に進み、媒体に熱伝達及び流動化を提供することができる。反応器は、反応域の上に位置する拡張区分を含み得る。この拡張区分では、流動化媒体の速度を超える終端速度を有する粒子は、流動化媒体流から分流し得る。反応器から出た後、流動化媒体は、圧縮器及び1つ以上の熱交換器を通過して重合熱を除去した後に、反応器の反応区分内に再導入され得る。流動化媒体は、冷却及び凝縮後にある量の液体を含有する場合も含有しない場合もある。
【0064】
[0063]
任意に、1種以上のオレフィンモノマーは、プロピレンとともに重合反応器内に導入されて、プロ触媒、共触媒、及びEEDと反応し、ポリマー又はポリマー粒子の流動床を形成することができる。好適なオレフィンモノマーの非限定的な例としては、エチレン(本開示の目的のために、エチレンはα−オレフィンと見なされる)、C4〜20 α−オレフィン、例えば、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン等が挙げられる。一実施形態では、プロピレンは、唯一のα−オレフィンとして第1の重合反応器内に導入されて、プロピレンホモポリマーを形成する。
【0065】
[0064]
一実施形態では、本重合方法は、第1の反応器内で、0.1重量%、又は0.5重量%、又は1.0重量%、又は1.5重量%、又は2.0重量%、又は2.5重量%、又は3.0重量%、又は3.5重量%〜4.0重量%、又は5.0重量%〜6.0重量%未満のキシレン可溶物(XS)を有するプロピレン系ポリマーを形成することを含む。XSの重量パーセントは、ポリマーの全重量に基づく。
【0066】
[0065]
重合反応は、プロピレンホモポリマー又はプロピレンコポリマーを形成することができる。一実施形態では、重合反応は、プロピレンホモポリマーを形成する。
【0067】
[0066]
一実施形態では、本方法は、第1の反応器内で、以下の特性:(i)ASTM D 1238(2.16kg、230℃)に従って測定される、100g/10分を超えるか、若しくは100g/10分〜200g/10分のMFR、(ii)3%重量%未満、若しくは約0.1重量%〜2.0重量%未満のキシレン可溶物含量、及び/又は(iii)約165℃を超えるか、若しくは170℃を超えるTMFのうちの1つ以上を有する活性プロピレン系ポリマーを形成することを含む。更なる実施形態では、1つ以上の特性(i)〜(iii)を有するプロピレン系ポリマーは、プロピレンホモポリマーである。
【0068】
3.第2の重合
[0067]
本発明の一実施形態では、第1の重合反応器からの活性プロピレン系ポリマーは、第2の重合反応器内に導入され、第2の重合条件下で、少なくとも1種の第2のコモノマーと第2の反応器内で接触して、プロピレンインパクトコポリマーを形成する。少なくとも1種の第2のコモノマーは、オレフィンであってもよい。本明細書で使用される場合、「活性プロピレン系ポリマー」は、重合条件下でオレフィンに曝露されたときに更に重合することができるある量の活性触媒を含有するプロピレン系ポリマーである。第2の重合反応器は、第2のガス相重合反応器であってもよい。
【0069】
[0068]
一実施形態では、本方法は、重合条件下で、活性プロピレン系ポリマーをプロピレン及びエチレンと第2の重合反応器内で接触させること、プロピレン/エチレンコポリマーの不連続相を形成すること、及びASTM D1238(2.16kg、230℃)に従って測定される、40g/10分、又は60g/10分、又は80g/10分〜100g/10分のメルトフローを有するプロピレンインパクトコポリマーを更に形成することを含む。
【0070】
[0069]
一実施形態では、本方法は、5重量%、又は10重量%、又は20重量%、又は25重量%、又は30重量%〜35重量%、又は40重量%、又は45重量%〜50重量%、又は55重量%のFc値を有するプロピレンインパクトコポリマーを形成することを含む。本明細書で使用される場合、「画分コポリマー」(「Fc」)とは、異相コポリマー中に存在する不連続相の重量パーセントである。Fc値は、プロピレンインパクトコポリマーの全重量に基づく。
【0071】
[0070]
一実施形態では、本方法は、30重量%を超えるか、又は35重量%〜40重量%、又は45重量%、又は50重量%、又は55重量%のFc値を有するプロピレンインパクトコポリマーを形成することを含む。
【0072】
[0071]
一実施形態では、本方法は、10重量%、又は20重量%、又は30重量%、又は40重量%、又は50重量%〜60重量%、又は70重量%、又は80重量%、又は90重量%のEc値を有するプロピレンインパクトコポリマーを形成することを含む。本明細書で使用される場合、「エチレン含量」(「Ec」)は、プロピレンインパクトコポリマーの不連続相中に存在するエチレンの重量パーセントである。Ec値は、不連続(又はエラストマー)相の全重量に基づく。
【0073】
[0072]
一実施形態では、本方法は、(i)5重量%、又は10重量%、又は20重量%、又は25重量%、又は30重量%〜35重量%、又は40重量%、又は45重量%、又は50重量%、又は55重量%のFc値、及び(ii)10重量%、又は20重量%、又は30重量%、又は40重量%、又は50重量%〜60重量%、又は70重量%、又は80重量%、又は90重量%のEc値を有するプロピレンインパクトコポリマーを形成することを含む。
【0074】
[0073]
一実施形態では、本方法は、(i)30重量%を超えるか、又は35重量%〜40重量%、又は45重量%、又は50重量%、又は55重量%のFc値を有し、(ii)0.2メートル(m)、又は0.30m〜0.46m、又は0.61m、又は0.76m、又は0.91m(0.5フィート(ft)、又は1.0ft〜1.5ft、又は2.0ft、又は2.5ft、又は3.0ft)の自由流動用の最小ビン開口の流動性(貯蔵時間ゼロ)も有するか、又は(iii)0.3m、又は0.6m、又は0.9m、又は1m、又は1.5m〜1.8m、又は2.1m、又は2.4m、又は2.7m、又は3m(1ft、又は2ft、又は3ft、又は4ft、又は5ft〜6ft、又は7ft、又は8ft、又は9ft、又は10ft)の自由流動用の最小ビン開口の流動性(貯蔵時間5分間)を有し、(iv)272kg/mを超えるか、又は288kg/m、又は304kg/m、又は320kg/m〜336kg/m、又は352kg/m、又は368kg/m(17 lb/ft、又は18 lb/ft、又は19 lb/ft、又は20 lb/ft〜21 lb/ft、又は22 lb/ft、又は23 lb/ft)の沈降かさ密度も有し、かつ(v)(i)、(ii)、(iii)、及び(iv)の任意の組み合わせを有する、プロピレンインパクトコポリマーを形成することを含む。
【0075】
[0074]
特定の理論に束縛されることなく、定められたD50粒径(19〜30ミクロン)を有するMagTi前駆体が、改善された形態を有するプロ触媒組成物を生成することができると考えられる。形態は、18ミクロン未満のD50を有するMagTi前駆体で調製されたプロ触媒組成物と比較して増大した多孔度の点で改善される。改善された多孔度を有するプロ触媒は、プロピレンインパクトコポリマーの流動性を改善し得る。更に、改善された多孔度は、形成されたプロピレンインパクトコポリマーの沈降かさ密度に悪影響を及ぼさない。
【0076】
[0075]
前述の方法のうちのいずれも、本明細書に開示される2つ以上の実施形態を含んでもよい。
【0077】
[0076]
プロピレンインパクトコポリマーポリマーは、本明細書に開示される2つ以上の実施形態を含んでもよい。
【0078】
定義
[0077]
本明細書における元素周期表への全ての言及は、CRC Press,Inc.(2003)により公開され、かつPress,Inc.が著作権を有する元素周期表を参照するものとする。また、1つ又は複数の族へのいかなる言及も、族を番号付けするためのIUPACシステムを使用して本元素周期表に反映されるその1つ又は複数の族に対するものとする。反対の記述がない限り、文脈から暗示されない限り、又は当該技術分野において慣例でない限り、全ての部及びパーセントは、重量に基づく。米国特許実施の目的のために、本明細書で参照されるいかなる特許、特許出願、又は刊行物の内容も、特に合成技法、定義(本明細書に提供されるいかなる定義とも矛盾しない範囲で)、及び当該技術分野の一般知識の開示に関して、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる(又はその同等の米国版が参照によりそのように組み込まれる)。
【0079】
[0078]
本明細書における数値及び範囲は近似値であり、したがって、別途記載のない限り、その範囲外の値を含み得る。数値範囲(例えば、「X〜Y」、又は「X以上」若しくは「Y以下」)は、下限値及び上限値からそれらを含む全ての値を1単位の増分で含むが、但し、任意の下限値と任意の上限値との間に少なくとも2つの単位の分離が存在することを条件とする。一例として、組成特性、物理的特性、又は他の特性、例えば、温度等が100〜1,000である場合、100、101、102等の全ての個別の値、及び100〜144、155〜170、197〜200等の部分範囲が、明示的に列挙される。1未満の値を含むか、又は1を超える分数(例えば、1.1、1.5等)を含む範囲の場合、1単位は、必要に応じて、0.0001、0.001、0.01、又は0.1であると見なされる。10未満の一桁の数(例えば、1〜5)を含む範囲の場合、1単位は、典型的には、0.1であると見なされる。明示的な値(例えば、1若しくは2、又は3〜5、又は6、又は7)を含む範囲の場合、任意の2つの明示的な値間のいかなる部分範囲(例えば、1〜2、2〜6、5〜7、3〜7、5〜6等)も含まれる。
【0080】
[0079]
本明細書で使用される場合、「アルキル」という用語は、分岐状又は非分岐状、飽和又は不飽和非環状炭化水素ラジカルを指す。好適なアルキルラジカルの非限定的な例としては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、t−ブチル、i−ブチル(又は2−メチルプロピル)等が挙げられる。これらのアルキルは、1〜20個の炭素原子を有する。
【0081】
[0080]
本明細書で使用される場合、「アリール」という用語は、芳香族置換基を指し、これは、単一の芳香族環であり得るか、あるいは一緒に縮合している、共有結合している、又はメチレン部分若しくはエチレン部分等の共通の基に結合している複数の芳香族環であり得る。芳香族環(複数可)としては、とりわけ、フェニル、ナフチル、アントラセニル、及びビフェニルが挙げられ得る。これらのアリールは、1〜20個の炭素原子を有する。
【0082】
[0081]
本明細書で使用される場合、「かさ密度」(又は「BD」)という用語は、生成されるポリマーの密度である。かさ密度は、標準粉末漏斗を通してポリマー樹脂をステンレス製標準シリンダ内に注ぎ、ASTM D 1895B又は同等の方法に従って充填されたシリンダの所与の体積に対する樹脂の重量を決定することによって決定される。
【0083】
[0082]
本明細書で使用される場合、「組成物」という用語は、その組成物を含む材料の混合物、並びにその組成物の材料から形成された反応生成物及び分解生成物を含む。
【0084】
[0083]
「を含む」という用語及びその派生語は、いかなる追加の成分、工程、又は手順の存在も除外すると本明細書に開示されているか否かにかかわらず、それを除外するようには意図されていない。誤解を避けるために、「を含む」という用語を用いて本明細書で特許請求される全ての組成物は、反対の記述がない限り、任意の追加の添加物、補助剤、又は化合物(ポリマー化合物か否かにかかわらず)を含み得る。対照的に、「から本質的になる」という用語は、動作性に不可欠ではないものを除いて、いかなる他の成分、工程、又は手順も以降の列挙の範囲から除外する。「からなる」という用語は、明確に描写又は列記されていないいかなる成分、工程、又は手順も除外する。「又は」という用語は、特に明記しない限り、個別に、かつ任意の組み合わせで列記される構成員を指す。
【0085】
[0084]
本明細書で使用される場合、「エチレン系ポリマー」という用語は、(重合可能なモノマーの全重量に基づいて)重合エチレンモノマーが重量パーセントの大部分を占め、かつ任意に少なくとも1種の重合コモノマーも含み得るポリマーを指す。
【0086】
[0085]
本明細書で使用される場合、「インターポリマー」という用語は、異なる少なくとも2種類のモノマーの重合によって調製されたポリマーを指す。したがって、「インターポリマー」という一般用語は、異なる2種のモノマーから調製されたポリマー、及び異なる3種類以上のモノマーから調製されたポリマーを指すために通常用いられるコポリマーを含む。
【0087】
[0086]
「オレフィン系ポリマー」という用語は、ポリマーの全重量に基づいて、重合形態で、オレフィン、例えば、エチレン又はプロピレンが重量パーセントの大部分を占めるポリマーである。オレフィン系ポリマーの非限定的な例としては、エチレン系ポリマー及びプロピレン系ポリマーが挙げられる。
【0088】
[0087]
「ポリマー」という用語は、同一又は異なる種類のモノマーの重合によって調製された高分子化合物である。「ポリマー」には、ホモポリマー、コポリマー、ターポリマー、インターポリマー等が挙げられる。「インターポリマー」という用語は、少なくとも2種類のモノマー又はコモノマーの重合によって調製されたポリマーを意味する。これには、コポリマー(通常、異なる2種類のモノマー又はコモノマーから調製されたポリマーを指す)、ターポリマー(通常、異なる3種類のモノマー又はコモノマーから調製されたポリマーを指す)、テトラポリマー(通常、異なる4種類のモノマー又はコモノマーから調製されたポリマーを指す)等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0089】
[0088]
「一級アルキル基」は、構造−CHを有し、式中、Rは、水素又は置換/非置換ヒドロカルビル基である。
【0090】
[0089]
本明細書で使用される場合、「プロピレン系ポリマー」という用語は、プロピレンホモポリマーを含むか、又は(重合可能なモノマーの全量に基づいて)重合プロピレンモノマーが重量パーセントの大部分を占め、かつ任意に少なくとも1種の重合コモノマーも含み得るポリマーを指す。
【0091】
[0090]
「二級アルキル基」は、構造−CHRを有し、式中、R及びRは各々、置換/非置換ヒドロカルビル基である。
【0092】
[0091]
本明細書で使用される場合、「置換アルキル」という用語は、そのアルキルの任意の炭素に結合した1個以上の水素原子が、別の基、例えば、ハロゲン、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、ハロゲン、ハロアルキル、ヒドロキシ、アミノ、ホスフィド、アルコキシ、アミノ、チオ、ニトロ、及びそれらの組み合わせで置換される前述のアルキルを指す。好適な置換アルキルとしては、例えば、ベンジル、トリフルオロメチル等が挙げられる。
【0093】
[0092]
「三級アルキル基」は、構造−CRを有し、式中、R、R、及びRは各々、置換/非置換ヒドロカルビル基である。
【0094】
[0093]
以下、本発明について、実施例を参照により詳細に述べる。但し、本発明の範囲は以下の実施例に限定されない。
【実施例】
【0095】
試験方法
[0094]
メルトフローレート(MFR)を、ASTM D 1238−01試験方法に従って230℃で2.16kgの重量のプロピン系ポリマーを用いて測定する。
【0096】
[0095]
キシレン可溶部分をASTM D5492−06から適応させた方法によって決定する。手順は、試料を2g秤量すること、及びそれを24/40ジョイントを有する400mLのフラスコ中の200mLのo−キシレン中に溶解させることからなる。このフラスコを水冷コンデンサに接続し、内容物を撹拌し、N下で加熱還流し、その後、更に30分間還流を維持する。次いで、この溶液を温度制御された水浴内で25℃で最低45分間冷却して、キシレン不溶画分を結晶化させる。溶液が冷却し、不溶画分が溶液から沈殿した時点で、キシレン可溶部分(XS)のキシレン不溶部分(XI)からの分離を、25ミクロン濾紙を通して濾過することによって達成する。100mLの濾液を予め秤量したアルミニウムパン内に収集し、o−キシレンを窒素流下でこの100mLの濾液から蒸発させる。溶媒が蒸発した時点で、アルミニウムパン及び内容物を100℃の真空オーブン内に30分間又は乾燥するまで設置する。その後、アルミニウムパンを室温に冷却させ、秤量する。キシレン可溶部分を、XS(重量%)=[(m−m2/m100で計算し、式中、mは、使用される試料の初期重量であり、mは、空のアルミニウムパンの重量であり、mは、アルミニウムパン及び残渣の重量である。
【0097】
[0096]
カップ試験指数を、高ゴム含量ポリプロピレンインパクトコポリマー粉末の粉末流動性を測定するための社内で開発された方法によって決定する。これは、樹脂が粘着性になる傾向があり、かつ安息角法が困難である場合に特に有用である。この方法手順は、ポリスチレンカップ(典型的には、コーヒー用のカップ)に樹脂粉末を充填することからなる。その後、このカップを平面上で10分間反転させる。次いで、カップを除去した後に、試験装置は、粉末の形状及び変形して最初のカップ形状から崩壊するまでの時間を観察する。カップ試験結果は、W.R.Grace & Co.−Conn及び/又はその関連会社の使用許諾により利用可能なUNIPOL(登録商標)ポリプロピレン方法を動作させる典型的な市販のガス相重合装置での動作上の問題とも相関性がある。表2は、カップ指数及び典型的な動作上の問題を列記する。
【0098】
【表2】
【0099】
[0097]
全ての実施例は、(1)支持チーグラー・ナッタ触媒、(2)共触媒、及び(3)外部電子供与体から成る触媒系を含む。以下のプロ触媒、触媒、共触媒、及び外部電子供与体をこれらの実施例で用いた。
【0100】
・プロ触媒は、米国特許第8788,826号の実施例4、及び米国特許第8,536,372号に詳述されるチーグラー・ナッタ触媒である。この触媒を、平均粒径12ミクロン(触媒A)及び27ミクロン(触媒B)を有する2バージョンで生成した。
【0101】
・共触媒は、TEAl(トリエチルアルミニウム)である。
・外部電子供与体は、選択性制御剤(SCA)と活性制限剤(ALA)が混合された外部電子供与体(MEED)系である。以下に列記される全ての実施例において、MEEDは、SCAとして20% DCPDMS(ジシクロペンチルジメトキシシラン)及びALAとして80% IPM(ミリスチン酸イソプロピル)である。
【0102】
[0098]
ポリプロピレンインパクトコポリマー(ICOP)を以下の比較例及び実施例において生成した。比較例及び実施例に列記される全ての重合反応を、W.R.Grace & Co.−Conn及び/又はその関連会社の使用許諾により利用可能な米国特許第4,882,380号(全内容が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されるもの等の直列に連結された2つのガス相流動床UNIPOL(登録商標)ポリプロピレン反応器のシステム内で行った。ホモポリマーマトリックスを第1の反応器内で生成し、エチレン−プロピレンインパクトコポリマーを第2の反応器で生成する。インパクトコポリマー(ICOP)生成物を第2の反応器から排出する。
【0103】
[0099]
全ての比較例及び実施例の詳細な動作条件及び生成物情報を、以下の表3に列記する。
【0104】
【表3】
【0105】
(登録商標)は、W.R.Grace & Co.−Connの登録商標を示す。
[00100]
比較例1において、より小さい12ミクロンバージョンのプロ触媒を使用して、33.7重量%のゴム含量(Fc)を有するICOP粉末を生成する。プロピレン及びエチレンの分圧及び他の条件を表2に示す。反応器動作は概ね円滑であったが、33.7重量%の高ゴム含量を有する比較例1では、カップ試験は、粉末粘着性を示す5の値を示した。加えて、大きな塊及び凝集体が本実施例中に生成されたことが分かった。
【0106】
[00101]
実施例2及び3において、より大きい27ミクロンバージョンのプロ触媒を使用して、それぞれ、30.3及び33.0のゴム含量(Fc)を有するICOP粉末を生成する。プロピレン及びエチレンの分圧及び他の条件を表2に示す。反応器は概ね円滑であり、カップ試験値は、12ミクロンの触媒で生成されたものよりも低かった。更に比較例1と同様のゴム含量を有する実施例3でも、カップ試験値はたった3であり、動作上の問題に直面することも樹脂粘着性を示すこともなかった。
【0107】
[00102]
本開示が本明細書に含まれる実施形態及び例証に限定されることなく、それらの実施形態の一部、及び以下の特許請求の範囲内に収まる様々な実施形態の要素の組み合わせを含む、それらの実施形態の修正された形態を含むように具体的に意図されている。