【実施例】
【0097】
以下の実施例は、本発明の原理及び実施を説明するものであるが、これらに限定されるものではない。以下の実施例は、本発明の特定の実施形態を示すものであるが、それらは、本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の十分な説明に寄与するものとして解釈されるべきである。
【0098】
(実施例1)
85/15ポリ(L(−)−ラクチド−コ−グリコリド):正規分布の分子量のポリマーの合成
撹拌手段を備える、好適な従来の57リットル(15ガロン)ステンレス鋼オイルジャケット付反応器に、43.778kgのL(−)−ラクチド及び6.222kgのグリコリドを、121.07gのドデカノール及び9.02mLの0.33Mオクタン酸第一錫トルエン溶液と共に添加した。反応器を密閉し、12RPMの回転速度で上向き方向に攪拌しながらパージサイクルを開始した。反応器を、27Pa(200mTorr)未満の圧力まで排気し、次いで、1気圧をわずかに超える圧力まで窒素ガスを導入した。このサイクルを数回繰り返して、確実に乾燥雰囲気とした。
【0099】
窒素の最終導入の終了時に、1気圧をわずかに超えるように圧力を調整した。油温がおよそ130℃に達するまで、容器を180℃/時間の速度で加熱した。モノマーが完全に溶融し、バッチ温度が110℃に達するまで、容器を130℃で保持した。この時点で、撹拌回転を下向き方向に切り替えた。バッチ温度が120℃に達したら、撹拌機の速度を7.5RPMに低下させ、およそ185℃の油温を用いて、およそ60℃/時間の加熱速度で、溶融塊が180℃に達するまで容器を加熱した。2.5時間の間、油温をおよそ185℃で維持した。
【0100】
反応時間の終了時に、撹拌機の速度を5RPMに低下させ、油温を190℃に上昇させ、続くアニーリングのために、ポリマーを容器から好適な容器に排出した。この容器を、105℃に設定した窒素アニーリング炉内におよそ6時間の間導入した。この工程中、炉内への窒素流を維持して、水分による分解を低減した。
【0101】
このアニーリングサイクルが完了したら、ポリマー容器を炉から取り出し、室温まで放冷した。ここで、結晶化したポリマーを容器から取り出し、袋に詰め、約−20℃に設定された冷凍庫に最低24時間入れた。ポリマーを冷凍庫から取り出し、サイジング用篩を備える従来のCumberland造粒機に入れて、およそ0.48センチメートル(3/16インチ)のサイズのポリマー顆粒を生成した。次いで、顆粒を篩にかけて、あらゆる「微粒子」を取り除き、次いで、計量した。粉砕されたポリマーの正味重量は39.46kgであり、次いで、これを85リットル(3平方フィート)の従来のPatterson−Kelleyタンブル乾燥機に入れた。
【0102】
乾燥機を密閉し、圧力を27Pa(200mTorr)未満まで低下させる。圧力が27Pa(200mTorr)を下回ったら、タンブラーの回転を8〜15RPMの回転速度で作動させ、バッチを10時間にわたって真空状態にした。10時間の真空状態の後、32時間の間、油温を120℃の温度に設定した。この加熱時間の終了時、回転及び高真空を維持しながら、少なくとも4時間の間、バッチを放冷した。容器を窒素で加圧することによってポリマーを乾燥機から取り出し、スライドゲートを開け、ポリマー顆粒を長期保管用の待機容器に下ろした。
【0103】
長期保管容器は、樹脂が真空下で保管されるように、気密であり、排気を可能にする弁を装備していた。樹脂の特性評価を行った。樹脂は、ヘキサフルオロイソプロパノール中で25℃及び約0.10g/dLの濃度で測定したとき、1.79dL/gの固有粘度を示した。10℃/分の昇温速度を用いる示差走査熱量測定(DSC)により、ガラス転移温度が59℃、溶融転移が150℃であることが明らかになり、溶融熱は約35J/gであった。核磁気共鳴(NMR)分析により、樹脂が、重合したL(−)−ラクチド及びグリコリドのランダムコポリマーであり、モル基準で約85パーセントの重合L(−)−ラクチド及び約15パーセントの重合グリコリドの組成を有することが確認された。
【0104】
(実施例2)
85/15ポリ(L(−)−ラクチド−コ−グリコリド):低分子量ポリマーの合成
撹拌手段を備える、好適な従来の8リットル(2ガロン)ステンレス鋼オイルジャケット付反応器に、5.253kgのL(−)−ラクチド及び0.747kgのグリコリドを、48.43gのドデカノール及び1.08mLの0.33Mオクタン酸第一錫トルエン溶液と共に添加した。反応器を密閉し、25RPMの回転速度で上向き方向に攪拌しながらパージサイクルを開始した。反応器を、27Pa(200mTorr)未満の圧力まで排気し、次いで、1気圧をわずかに超える圧力まで窒素ガスを導入した。このサイクルを数回繰り返して、確実に乾燥雰囲気とした。
【0105】
窒素の最終導入の終了時に、1気圧をわずかに超えるように圧力を調整した。油温がおよそ130℃に達するまで、容器を180℃/時間の速度で加熱した。モノマーが完全に溶融し、バッチ温度が110℃に達するまで、容器を130℃で保持した。この時点で、撹拌回転を下向き方向に切り替えた。バッチ温度が120℃に達したら、撹拌機の速度を20RPMに低下させ、およそ185℃の油温を用いて、およそ60℃/時間の加熱速度で、溶融塊が180℃に達するまで容器を加熱した。2.5時間の間、油温をおよそ185℃で維持した。
【0106】
反応時間の終了時に、撹拌機の速度を4RPMに低下させ、油温を190℃に上昇させ、続くアニーリングのために、ポリマーを容器から好適な容器(アルミニウムパイ皿)に排出した。実施例1に既に記載したのと同じ手法を用いて、アニーリング、乾燥、及び粉砕手順を実施した。
【0107】
得られた乾燥コポリマー85/15ポリ(L(−)−ラクチド−コ−グリコリド)樹脂は、10℃/分の昇温速度を用いてDSCによって測定したとき、54℃のガラス転移温度、152℃の融点、及び42J/gの溶融エンタルピーを有していた。樹脂は、41,000ダルトンの重量平均分子量を有しており、ヘキサフルオロイソプロパノール中で25℃、約0.10g/dLの濃度で測定したとき、0.83dL/gの固有粘度を示した。核磁気共鳴分析により、樹脂が、重合したL(−)−ラクチド及びグリコリドのランダムコポリマーであり、モル基準で約85パーセントの重合L(−)−ラクチド及び約15パーセントの重合グリコリドの組成を有することが確認された。
【0108】
(実施例3)
ポリ(p−ジオキサノン):標準分子量ポリマーの合成
撹拌手段を備える、好適な従来の246リットル(65ガロン)ステンレス鋼オイルジャケット付反応器に、164.211kgのp−ジオキサノンモノマー(PDO)を、509グラムのドデカノール、164グラムのD&CバイオレットNo.2染料、及び100グラムの0.33Mオクタン酸第一錫トルエン溶液と共に添加した。反応器を密閉し、12RPMの回転速度で上向き方向に攪拌しながらパージサイクルを開始した。反応器を、67Pa(500mTorr)未満の圧力まで真空排気し、続いて、窒素ガスを導入した。このサイクルを数回繰り返して、確実に乾燥雰囲気とした。
【0109】
窒素の最終導入の終了時に、1気圧をわずかに超えるように圧力を調整した。油温がおよそ100℃に達するまで、容器を180℃/時間の速度で加熱した。バッチ温度が50℃に達するまで、油温を100℃で保持し、この時点で、撹拌機の回転を下向き方向に変更した。バッチ温度が90℃に達したら、油温を95℃に再設定した。これら条件を維持し、容器からサンプルを取って、Brookfield粘度を測定した。ポリマーバッチ粘度が少なくとも110センチポアズに達したら、バッチの排出準備が整った。撹拌機の速度を5RPMに低下させ、容器排出口に予熱フィルターを取り付けた。ポリマーを窒素パージ下で容器から好適な容器内に排出し、覆い、80℃に設定した窒素硬化炉に移した。約96時間の間、固体状態重合を開始した。この工程中、炉内への窒素流を維持して、水分による分解を最小化した。
【0110】
この固体状態硬化サイクルが完了したら、ポリマー容器を炉から取り出し、室温まで放冷した。結晶化したポリマーを容器から取り出して、約−20℃に設定された冷凍庫に最低24時間入れた。次いで、ポリマーを冷凍庫から取り出して、ポリマー顆粒のサイズを約0.48cm(約3/16インチ)まで小さくするために、サイズ調整篩を装備したCumberland造粒機内で粉砕した。次いで、顆粒を篩にかけてあらゆる「微粒子」を除去し、次いで、566リットル(20平方フィート)従来のPatterson−Kelleyタンブル乾燥機に入れた。
【0111】
乾燥機を密閉し、圧力を2mmHg未満まで低下させた。一旦圧力が2mmHgを下回ったら、乾燥機の回転を6RPMの回転速度で作動させ、加熱なしで10時間維持した。10時間の真空時間後、油温を120℃/時の昇温速度で95℃に設定した。32時間の間、油温を95℃で維持した。この加熱時間の終了時、回転及び真空を維持しながら、少なくとも4時間の間、バッチを放冷した。容器を窒素で加圧することによってポリマーを乾燥機から取り出し、排出弁を開け、ポリマー顆粒を長期保管用の待機容器に下ろした。保管容器は、樹脂が真空下で保管されるように、気密であり、排気を可能にする弁を装備していた。
【0112】
樹脂の特性評価を行った。樹脂は、ヘキサフルオロイソプロパノール中で25℃及び約0.10g/dLの濃度で測定したとき、1.90dL/gの固有粘度を示した。10℃/分の昇温速度を用いる示差走査熱量測定(DSC)により、ガラス転移温度が約−8℃(摂氏マイナス8度)、溶融転移が約114℃であることが明らかになり、溶融熱は約88J/gであった。核磁気共鳴分析により、樹脂が、ホモポリマーポリ(p−ジオキサノン)であり、残留モノマー含有率が2パーセント未満であることが確認された。
【0113】
(実施例4)
A)二峰性分子量ポリ(p−ジオキサノン)の調製
他の箇所(米国特許第8,236,904 B2号)に記載されている手順に従って、二峰性分子量ポリマーブレンドを調製した。実施例1の85/15Lac/Glyコポリマー及びポリ(p−ジオキサノン)二峰性分子量ブレンドに基づく、新たな本発明のブレンド組成物の調製について、本明細書の実施例4に記載する。
【0114】
ポリ(p−ジオキサノン)二峰性分子量ブレンドは、80,000ダルトンの重量平均分子量を有する、70重量パーセントのポリ(p−ジオキサノン)と、24,000ダルトンの重量平均分子量を有する、30重量パーセントのポリ(p−ジオキサノン)ポリマーとを含有していた。この乾燥ペレットの形態の70/30ポリ(p−ジオキサノン)二峰性分子量ブレンドにおける熱量測定(DSC)データにより、ガラス転移温度が−5℃、融点が107℃、熱溶融62/J/gであることが明らかになり、これは、約50パーセントの結晶化度レベルに対応している。非等温及び等温静止条件下で、ポリ(p−ジオキサノン)ブレンドは、それぞれ、標準分子量及び低分子量の個々の単峰性ポリ(p−ジオキサノン)成分よりもはるかに速く結晶化した。
【0115】
B)単峰性ラクチド/グリコリドコポリマーと二峰性分子量ポリ(p−ジオキサノン)ブレンドとの乾式ブレンド
分離した(粉砕された)形態の適切な量の85/15ラクチド/グリコリドコポリマー及びポリ(p−ジオキサノン)二峰性分子量ポリマー成分を乾式ブレンドで合わせた。これら乾式ブレンドは、特定の用途及び外科的必要性に応じて、重量基準で生成される。本実施例では、実施例4Aに記載の二峰性分子量ポリ(p−ジオキサノン)ポリマー20重量パーセント、及び実施例1に記載のラクチド/グリコリドコポリマー80重量パーセントを、直後に記載する通り乾式ブレンドした。
【0116】
清浄な従来の85リットル(3立方フィート)のPatterson−Keller乾燥機に、実施例1の85/15ラクチド/グリコリドコポリマーの顆粒4.0kg、及び実施例4Aの70/30ポリ(p−ジオキサノン)二峰性分子量ブレンドのペレット1.0kgを添加した。乾燥機を密閉し、容器の圧力を27Pa(200MTorr)未満まで低下させた。回転を7.5RPMで開始し、最低1時間継続させた。次いで、乾式ブレンドを携帯式真空保存容器に排出し、溶融ブレンド工程の準備が整うまで、これら容器を真空下に置いた。
【0117】
C)単峰性ラクチド/グリコリドコポリマーと二峰性分子量ポリ(p−ジオキサノン)ブレンドとの溶融ブレンド
乾式ブレンドが生成され、少なくとも3日間真空状態にしたら、溶融ブレンド工程を開始した。従来のZSK−30二軸押出成形機に、残留モノマーを揮発させるための二重真空ポートを利用して、溶融ブレンド用に設計されたスクリューを取り付けた。スクリューの設計は、運搬、圧縮、混合、及び密封要素を含む、幾つかの異なる種類の要素を含んでいた。押出成形機に3つ穴ダイプレートを取り付け、40°F〜70°Fに設定した水温の冷水浴を、押出成形機の吐出口付近に置いた。ストランドペレタイザ及びペレット分級機を、水浴の端部に置いた。押出成形機の温度域を160℃〜180℃の温度に加熱し、真空冷却トラップを−20℃に設定した。プレコンディショニングしておいた乾式ブレンド顆粒を真空から取り出し、窒素パージ下で二軸供給ホッパーに入れた。押出成形機のスクリューを175〜225RPMの速度に設定し、フィーダーのスイッチを入れて、乾式ブレンドを押出成形機に供給した。
【0118】
ポリマーの溶融ブレンドを、供給が一定になるまで押出成形機を通じてパージし、その時点で、2つの真空ポートに真空を適用した。ポリマーブレンドの押出ストランドを、水浴を通じてストランドペレタイザに供給した。ペレタイザによって、ストランドを適切なサイズのペレットに切断した。直径1mm及び長さおよそ3mmのペレットで十分であることが見出された。次いで、ペレットを分級機に供給した。分級機により、通常ペレット当たり約10〜15mgの重量である所望のサイズに比べて、実質的に大きすぎる及び小さすぎるペレットを分離した。このプロセスは、ポリマー乾式ブレンド全体が、押出成形機において溶融ブレンドされ、実質的に均一なペレットが形成されるまで継続した。押出成形プロセス全体を通してサンプルを採取し、固有粘度、分子量、及び組成等のポリマー特性について測定した。溶融ブレンドプロセスが完了したら、ペレット化されたポリマーをポリエチレンバッグに入れ、計量し、−20℃未満の冷凍庫で保管して、残留モノマーが脱揮するのを待った。
【0119】
ポリマー溶融ブレンドを従来の85リットル(3立方フィート)のPatterson−Kelley乾燥機に入れ、これを真空下に置いた。乾燥機を密閉し、圧力を27Pa(200mTorr)未満まで低下させた。圧力が27Pa(200mTorr)を下回ったら、乾燥機の回転を10RPMの回転速度で作動させ、加熱なしで6時間維持した。6時間後、油温を120℃/時の昇温速度で85℃に設定した。12時間の間、油温を85℃で維持した。この加熱時間の終了時、回転及び真空を維持しながら、少なくとも4時間の間、バッチを放冷した。容器を窒素で加圧することによってポリマーの溶融ブレンドのペレットを乾燥機から取り出し、排出弁を開け、ポリマーペレットを長期保管用の待機容器に下ろした。保管容器は、本発明の樹脂ブレンドを真空下で保管できるように、気密であり、排気を可能にする弁を装備していた。
【0120】
本発明の樹脂ブレンドの特性評価を行った。得られた20重量パーセントのポリ(p−ジオキサノン)、80重量パーセントのラクチド/グリコリドコポリマー溶融ブレンド組成物は、6,600グラムの標準重量を用いて190℃で測定したとき、0.113g/10分のメルトフローインデックスを示した。示差走査熱量測定により、ガラス転移温度が約58℃であり、2つの溶融転移温度が約106℃及び148℃であることが明らかになった。1回目の昇温(昇温速度10℃/分)中に計算された熱溶融は、27.2J/gであった。
【0121】
(実施例5)
二峰性分子量ラクチド/グリコリドブレンドと単峰性ポリ(p−ジオキサノン)ホモポリマーとの乾式ブレンド
本実施例では、二峰性成分がポリ(p−ジオキサノン)成分ではなくL/Gコポリマーであったことを除いて、実施例4の手順に従って、一連の二峰性分子量ラクチド/グリコリド組成物を、実施例3に記載のポリ(p−ジオキサノン)ホモポリマーと乾式ブレンドした。乾式ブレンドは、2.5、5.0、7.5、10、及び20重量パーセントの最終ブレンド濃度で、単峰性の標準的な分子量のポリ(p−ジオキサノン)成分を用いて作製した。
【0122】
(実施例6)
二峰性分子量ラクチド/グリコリドブレンドと単峰性ポリ(p−ジオキサノン)ホモポリマーとの溶融ブレンド
実施例4Cに上記した方法に従って、ラクチド/グリコリド二峰性分子量ブレンド及び単峰性ポリ(p−ジオキサノン)ホモポリマーを含む様々な組成物の溶融ブレンドも作製した。以下の表2に概説するポリマー及び溶融ブレンドを、これら方法を用いて作製した。
【0123】
【表2】
【0124】
(実施例7)
本発明のブレンド組成物の結晶化動力学評価
示差走査熱量測定(DSC)を用いて、本発明のブレンド組成物の結晶化動力学を調べた。以下の方法/条件を用いた。
a)1回目の熱測定−5〜8ミリグラムの対象サンプルを、窒素パージを備えたDSCパン内で−60℃[摂氏マイナス60度]にクエンチし、次いで、10℃/分の一定加熱速度で走査を行った。
b)2回目の熱測定−次いで、185℃のDSCパン内にて溶融させ、次いで、−60℃に急速にクエンチ(−60℃/分)した対象サンプルを、5℃/分の一定の加熱速度で185℃に加熱した。
【0125】
対照及び本発明のブレンドのペレットに関して得られたDSC結果の要約を下の表3に示す。ペレットは、ほぼ最高レベルの結晶化度を発現させるのに十分な高温脱揮を受けた。これは「1回目の昇温」の結果に反映される。「2回目の昇温」の結果は、周知の通り、熱履歴が消去されているため、試験サンプルの固有の結晶化特性を反映する。
【0126】
【表3】
【0127】
2回目の昇温のΔH
m値(表3の最後の列)は、本発明のブレンドの結晶化が対照[20%のPDSホモポリマーを含む標準的な85/15Lac/Gly、サンプル7A]よりも速いことを示すことに留意すべきである。すなわち、本発明のブレンドのΔH
m値は、対照のサンプル7Aのわずか1.0J/gに対して3.3〜19.1J/gであった。
【0128】
更に、本発明のブレンド及び対照のサンプルをほぼ最適な熱加工条件に供して、それぞれの樹脂をその最高実用レベルまで結晶化させたとき、1回目の昇温測定から得られたΔH
m値(表3の5番目の列)から明らかである通り、本発明のブレンドは、対照よりもわずかに高い結晶化度レベルを達成した。
【0129】
驚くべきことに、本発明のブレンド7B(実施例4C)における二峰性PDS部分の存在は、表3における2回目の昇温のDSCデータによって示される通り、結晶化が困難な85/15Lac/Glyコポリマーの結晶化を促進することが観察された。明確化のために言うと、標準的な[単峰性分子量分布]85/15Lac/Glyと20重量パーセントの二峰性ポリ(p−ジオキサノン)とのブレンドから作製されたサンプル7Bは、対照であるサンプル7Aの1.0J/gの値と比べて4.5J/gのΔH
mを有していた。驚くべきことに、4.5J/gの溶融吸熱の大部分は、結晶化が困難な85/15L/G部分に由来していた。対照であるサンプル7Aは、20重量パーセントの単峰性ポリ(p−ジオキサノン)とブレンドされた標準的な[単峰性]85/15Lac/Glyコポリマーであった。
【0130】
本発明のブレンドの結晶化速度と成形部品の寸法安定性との相関を実験で確認した。本願でデータを更に提供する。
【0131】
(実施例8A)
対照ポリマー及びブレンド、並びに本発明の二峰性ブレンドのストラップ及びダンベルへの射出成形
射出成形は、プラスチック工業において周知のプロセスである。射出成形は、プラスチックを溶融させ、混合し、次いで、溶融樹脂を好適に成形された金型に射出することによって、様々な形状及びサイズの部品を生産するように設計されている。本発明の目的のために、2つの射出成形形状(ストラップ及びダンベル)について研究した。これら形状は、それぞれ
図1及び5に示されている。樹脂が固化した後、一般に、部品を金型から排出し、そのプロセスを継続した。本発明の目的のために、従来の30トンの電気的に制御された射出成形機を使用した。実施例1、4、及び6のポリマー及びブレンドを、以下の方法で、射出成形機によって加工した。
【0132】
ポリマーを、窒素パージ下で、ホッパーから重力によって加熱バレルに供給し、溶融させた。このポリマーをスクリュー型プランジャーによってバレル中を前方に移動させ、最終的に、バレルの遠位端におけるスクリューの前方の加熱チャンバに移動させた。次いで、スクリューを並進運動にて前進させ、これにより、金型に接して据え付けられたノズルを通して溶融ポリマーを押し込み、ゲート及びランナーシステムを介して、特別に設計された金型キャビティに前記ポリマーを入れた。ポリマーを金型キャビティ内で部品に成形し、一定期間所与の温度で放冷した。次いで、部品を金型から取り出すか、又は排出し、ランナーから分離した。
【0133】
射出成形サイクルは、プロセス中の一連の事象全体からなっていた。金型を密閉したときに射出成形サイクルを開始し、次いで、溶融ポリマーを金型キャビティ内に射出した。キャビティが充填されたら、保持圧力を維持して、材料の収縮を補った。次に、スクリュー−プランジャーの向きを変え、後退させ、次の「ショット」をスクリューの前方に供給した。バレル内で次のショットを準備しながら、金型内の部品を十分な温度まで冷却し、金型を開放し、部品を排出した。金型の密閉と同時に次のサイクルを開始した。サイクルタイムは、約25秒間〜約75秒間の範囲であり、部品のサイズ及び材料の組成を含む多数の要因に基づいていた。
【0134】
(実施例8B)
成形部品のアニーリング
実施例8Aの物品を射出成形したら、次いで、アニーリングサイクルに供してポリマーの形態を完了させた。物品が歪まないように部品を水平面内で支持するアニーリング用固定具を使用して、実施例8Aの物品をアニールした。このアニーリング用固定具は、アニーリング中の高温における歪みに対する抵抗を支援することを意図したものであるが、寸法的に不安定な部品の反りは防止しない。実施例8Aの物品に用いたアニーリングサイクルは、60℃で8時間、70℃で4時間、次いで80℃で4時間の3つの工程で構成されていた。60℃の工程の目的は、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)相の結晶化温度に達する前に、ブレンド中のポリ(p−ジオキサノン)相を更に結晶化させることである。70℃の工程を開始して、サイクルの最終工程に達する前に、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)相を結晶化させる。最後に、80℃の工程は、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)相を更に結晶化させる。所与の装置及び所与の組成物について、特定の重要な性能特性を最適化するアニーリング条件を見出すことができることに留意すべきである。これら有利なアニーリング条件は、実験、アニーリング温度及びアニーリング時間の変更、並びに応答の測定を通して開発することができる。
【0135】
実施例8Aの射出部品をアニールしたら、それを実施例8Bのアニール部品として同定した。
【0136】
(実施例9)
アニールされたダンベルの熱量測定特性
[5〜8mgのサンプル重量を用いて、昇温速度10℃/分で]示差走査熱量測定(DSC)を用いて、多数のアニールされたダンベルに関する熱量測定データを得た。これらは、正規分布の分子量を有する実施例1の未処理85/15L/Gコポリマーに基づくサンプル[サンプルDB 9B];80重量パーセントの正規分布の分子量の85/15 L/Gコポリマーと、20重量パーセントの同様に正規分布の分子量のPDSとの対照ブレンド[DB 9A];80重量パーセントの正規分布の分子量の85/15L/Gコポリマーと、20重量パーセントの二峰性分子量分布のPDSとの本発明のブレンド[DB 9C];80〜97.5重量パーセントの二峰性分子量分布の85/15L/Gコポリマーと、2.5〜20重量パーセントの正規分布の分子量のPDSとの本発明のブレンド[それぞれ、サンプルDB 9D、DB 9E、DB 9F、DB 9G]を含んでいた。DSCの結果を以下の表4にまとめる。
【0137】
【表4】
【0138】
上記表4に示したDSC結果から、多数の結論が考えられる。PDSのガラス転移温度は、この成分を含有するブレンドで同定した。これは、相分離形態を示している。85/15L/GコポリマーとPDSとのブレンドに基づく物品において、溶融挙動により、重なり合ってはいるが、2つの溶融転移温度、T
m1及びT
m2が観察された。これら溶融転移温度のうちの1つはPDSに対応し、1つはL/Gコポリマーに対応していた。PDSに基づく溶融吸熱は、102℃〜106℃の範囲であり、一方、L/Gに基づく溶融は、147℃〜150℃の範囲であった。これは、相分離形態を更に示すものである。溶融吸熱の重複性に起因する、複合溶融熱ΔH
mを表4の最後の列に報告する。溶融熱が部品の結晶化度レベルに比例することは、十分に確立されている。したがって、本発明者らは、ΔHmに従うことによって、結晶化レベルをモデル化することができる。
【0139】
表4に列挙したL/Gコポリマー及びPDSのブレンドに基づく樹脂から調製されたアニール処理済成形物品は全て、L/Gコポリマー単独[サンプルDB 9B]と比較したとき、より高いΔH
m値を示したことに留意されたい。これらより高いΔH
m値は、より高い結晶化度レベルが予測されることを示す。
【0140】
予想外なことに、80重量パーセントの正規分布の分子量の85/15L/Gコポリマーと20重量パーセントの二峰性分子量分布のPDSとの本発明のブレンドであるサンプルDB 9Cは、正規分布の対照サンプルDB 9Aが示すよりもはるかに高いΔH
m値を示すことが見出された。
【0141】
80重量パーセントの二峰性分子量分布の85/15L/Gコポリマーと20重量パーセントの正規分布の分子量のPDSとの本発明のブレンドに基づくサンプルDB 9Dも、予想外に、正規分布の対照サンプルDB 9Aが示すよりもはるかに高いΔH
m値を示した。これは、ブレンド成分のいずれかが二峰性分子量分布を有するとき、より高いΔH
m値が観察されることを示す。より高いΔH
m値の重要性は、より高い結晶化度値を有することの多数の利点に関連している。これは、より高い剛性及び強度等のより高い機械的特性に加えて、形成される物品のより優れた寸法安定性を含む。
【0142】
ここで、より低いレベルのPDSブレンド成分を含有するサンプルであるサンプルDB 9D、DB 9E、DB 9F、及びDB 9Gにおいて得られた結果に注目する。これら各ブレンドは、二峰性分子量分布を有する85/15L/Gコポリマーを用いて作製された。すなわち、38.3、31.2、29.0、及び29.2J/GのΔH
m値は、それぞれ、20、10、5、及び2.5重量パーセントのPDSブレンド成分レベルで得られた。これら値は全て、未処理の85/15のみ[サンプルDB 9B]について観察されたよりも高く、わずか2.5重量パーセントのPDSブレンド成分しか含まないサンプル[サンプルDB 9G]でさえも、20重量パーセントのPDSを含有する対照ブレンド[サンプルDB 9A]と同等のΔH
m値を示した(前者が、本発明の二峰性組成物に基づく場合)。わずか2.5重量パーセントのPDSしか含有しないブレンドが、20重量パーセントのPDSを含有するブレンドと同等のΔH
m値を有することは、かなり予想外である。ブレンド中のPDSの量を最小化することには利点がある。その利点としては、より剛性及び強度の高い物品の生産が挙げられる。該ブレンドから調製される物品の埋め込み後の機械的強度の保持も、より低いレベルのPDSブレンド成分により延長される。
【0143】
(実施例10)
対照ブレンド及び一連の本発明の二峰性ブレンド組成物から作製されたアニール処理済ダンベルの引っ張り特性
実施例8A及び8Bに記載した通り射出成形によって作製されたダンベルの形態のアニール処理済試験試料(具体的には、サンプルDB 9A、DB 9C、DB 9D、DB 9E、DB 9F、及びDB 9G)を、機械的特性に関して調べた。
【0144】
0.44kN(100lbs.)のロードセルを用い、従来の機械的試験機Instron Model 5544(Norwood,MA,USA)を利用して、アニール処理済ダンベルを試験した。機器は全て、試験時間において較正の範囲内であった。破砕するまで、試料に速度1.3cm/分(0.5インチ/分)の張力を負荷した。最大の力を試料の引っ張り強度として記録した。試験試料の力−伸長曲線の線形領域上に位置する2つの点をつなぐ線の勾配としてヤング率を計算した。下記の式を使用した。
E=(ΔF/A
0)/(ΔL/L
0)
(式中、Eは、計算されるヤング率であり、ΔFは、選択した点において測定された力の変化であり、A0は、試料の初期断面積であり、ΔLは、選択した点におけるクロスヘッド変位の変化であり、L0は、試料のゲージ長である。)計算で考慮した初期断面積及びゲージ長は、それぞれ、1.83cm
2(2.83×10
−3インチ
2)及び0.64センチメートル(0.25インチ)であった。データの要約を表5に示す。
【0145】
【表5】
【0146】
上記表5のデータは、同量のPDS(20%)について、二峰性ブレンドから作製されたアニール処理済ダンベルが、単峰性ポリマーであることを除いて同じ全体組成で作製された対照ブレンドよりも強度及び剛性が高いことを示す。これは、表4から明らかである通り(サンプルDB 9C及び9D)、本発明の二峰性ブレンドから作製されたアニール処理済ダンベルの結晶化度レベルが高いことに起因する可能性がある。
【0147】
また、上記表5のデータは、PDS含量が減少するとともに、本発明の二峰性ブレンドから作製されたダンベルの強度及び剛性が、次第に高くなることを示す。しかし、医療物品の寸法安定性が重要な要件である場合、PDSのレベルを制限なく低下させることはできないことが見出された。
【0148】
(実施例11)
寸法安定性
ストラップの形態の実施例8A及び8Bの成形物品[即ち、アニーリング前及び後の成形物品](別名:タック又はステープル;
図1及び2を参照)を、寸法安定性について試験した。アニーリング前及びアニーリング後に、成形物品の寸法を測定し、更に、写真画像を撮影した[
図6〜
図9を参照]。寸法が正確に一致することは期待しないが、許容できないレベルの歪みが存在することは明らかである。場合によっては、過剰の歪みにより、機能性が低下する。
【0149】
ストラップの形態の実施例8A及び8Bの試験物品は、幾何学的に複雑であり、多数の限界寸法を有する。例えば、成形物品の脚が過剰に歪むと、機器が組織を貫通したり保持したりする能力が低下する。同様に、成形物品のかかりが著しく収縮した場合、組織を保持する能力が低下するため、機能性が低下する。全ての設計は、それ自体の限界寸法を有する。実施例8A及び8Bのストラップの設計は、寸法安定性に関する挑戦的な機器の代表であると考えられ、これは一つには、幾何学的に複雑であるためであると考えられる。具体的には、この微細な部品サイズは、射出成形中に分子配向を増大させる傾向があり、その結果、アニーリング、及び/又は滅菌、及び/又は保管において見られる高温において、排出された部品[すなわち、金型キャビティから取り出した後の物品]の歪みの推進力が増大する。部品を「合格/不合格」方式で評価及び特性評価した。成形物品の性質は、全体的な反りの影響に基づき、過剰な歪みが明らかではない場合、その物品は合格であるとみなす。同様に、過剰な歪みが明らかである場合、部品は不合格であるとする。本来、射出成形物品は全て、成形後にある程度の残留応力を有するので、耐えられるレベルの歪みを示す物品は、寸法安定性試験に合格したものとする。実施例8A及び8Bの物品について、先端間(tip-to-tip)距離は限界寸法である。
図1を参照されたい。
【0150】
図2は、機器の限界寸法を示す、
図1の機器の図面である。これらの寸法は、寸法安定性の欠如により変化した場合、機器の乏しい性能及び/又は故障につながり得る。実施例8A及び8Bのストラップ物品については、0.292センチメートル(0.115インチ)未満の先端間距離は、許容し得るとしたが、0.292センチメートル(0.115インチ)以上の先端間距離は、許容できないとし、「故障モード1」又は「fm1」として示した。同様に、実施例8A及び8Bのストラップのかかり部材の長さも、限界寸法であると考えた。0.345センチメートル(0.136インチ)以下のかかり長さは、許容できないとみなし、「故障モード2」又は「fm2」として示した。写真画像及び寸法は、Keyenceデジタル顕微鏡モデルVHX−600を使用して倍率20倍で撮像した。試験結果の概要を下の表6に示す。
【0151】
【表6】
【0152】
上記表6では、実施例8Bのアニール処理済ストラップの熱量測定特性が、寸法安定性試験の結果と共に提示されている。熱量測定データは、本願で前述したDSC(1回目の昇温)試験の結果であった。「1回目の昇温」DSC測定値を用いて、アニール処理済ストラップの溶融熱ΔHm(J/g)を計算した[実施例8Bを参照]。これら値は、試験物品中に存在する相対的な結晶化度レベルと正比例する。
【0153】
表6に示す物品は、ブレンド成分が単峰性であるブレンドに基づくアニール処理済ストラップ[STR 11−1];単峰性コポリマーである実施例1のラクチド/グリコリドコポリマーのみに基づくアニール処理済ストラップ[STR 11−2];及び二峰性ブレンド成分に基づく2群のアニール処理済ストラップ試験物品である。一方の場合、アニール処理済ストラップは、ラクチド系ブレンド成分が二峰性であるブレンドに基づいており、少量ブレンド成分であるポリ(p−ジオキサノン)のレベルは、2.5、5、又は10重量パーセントであった。他方の場合、アニール処理済ストラップは、ポリ(p−ジオキサノン)ブレンド成分が二峰性であるブレンドに基づいており;少量ブレンド成分である二峰性ポリ(p−ジオキサノン)のレベルは、5、10、又は20重量パーセントであった。
【0154】
85/15ラクチド/グリコリド(単峰性)コポリマーに基づく実施例STR 11−1のストラップ物品(実施例STR 11−1のストラップ物品は、対照群−対照1としての役割を果たした)の実験により、物品はアニーリング後に結晶化度を示すが、成形部品は、このプロセス中に形状を保持できなかったことが明らかになった。すなわち、これらは寸法的に不安定であり、著しい歪みが観察された。
【0155】
実施例STR 11−2の射出成形ストラップは、80%の(単峰性)85/15L/Gコポリマーと20%の(単峰性)PDSとの先行技術のブレンドに基づいており、第2の対照群−対照2を表す。予想通り、これら物品は、寸法安定性を有した。寸法安定性は、20重量パーセントの(単峰性)ポリ(p−ジオキサノン)の存在によってもたらされる。実施例STR 11−2のアニール処理済ストラップは、33.6J/gのΔHmを示し、これは、著しいレベルの結晶化度を示す。しかし、(単峰性)ポリ(p−ジオキサノン)ブレンド成分の存在は、物品の剛性を低下させる。ブレンド中に存在するポリ(p−ジオキサノン)の量を最少化することにより、特定の用途において有利な、より剛性の高い物品が得られる。しかし、超精密な成形物品において寸法安定性を実現するためには、最低約12.4重量パーセントのポリ(p−ジオキサノン)が必要であることが示されている。
【0156】
実施例STR 11−3〜STR 11−5の射出成形ストラップは、ラクチド系ブレンド成分が二峰性であるブレンドに基づく。具体的には、これらは、単峰性PDSとブレンドされた二峰性85/15L/Gコポリマーから作製され、前者のポリマーは、それぞれ、2.5、5、及び10重量パーセントで存在する。実施例STR 11−5の物品は、寸法安定性を示し、これは、PDSが10重量パーセントのレベルで存在する場合に対応している。アニール処理済射出成形ダンベルにおいて得られた結果をまとめた表4の結晶化データに基づいて、80%の二峰性85/15L/Gコポリマー及び20% PDSのブレンドに基づく物品は、寸法的に安定であると予測される。なお、(a)未処理単峰性85/15L/Gコポリマー、(b)80%の単峰性85/15L/Gコポリマー及び20%の単峰性PDSに基づくブレンド、並びに(c)80%の二峰性85/15L/Gコポリマー及び20%の単峰性PDSに基づくブレンドのΔH
m値は、それぞれ、26.5、28.9、及び38.3J/gであった。明らかに、単峰性85/15L/Gコポリマーブレンド成分を二峰性85/15L/Gコポリマー成分に置換することにより、ΔH
mが非常に大きく増大した(9.4J/g、32%の増大)。なお、実施例STR 11−5のアニール処理済ストラップは,わずか10重量パーセントの(単峰性)PDSを用いて作製されたが、2倍の量の20パーセントの(単峰性)PDSブレンド成分を用いて作製された対照2、実施例STR 11−2が示した値33.6に近い32.1J/gのΔHmを示した。
【0157】
実施例STR 11−6〜STR 11−8のアニール処理済射出成形ストラップは、ポリ(p−ジオキサノン)ブレンド成分が二峰性であるブレンドに由来するストラップに基づいていた。具体的には、これらは、二峰性PDSとブレンドされた単峰性85/15 L/Gコポリマーから作製され、前者のポリマーは、それぞれ、5、10、及び20重量パーセントで存在していた。実施例STR 11−8の物品は、寸法安定性を示し、これは、PDSが20重量パーセントのレベルで存在する場合に対応している。この実施例のΔH
m35.4J/gは、対照物品である実施例STR 11−2が示した値である33.6J/gを上回っていた。5及び10重量パーセントの二峰性PDSを用いて作製された対応するストラップは、表6に記す通り寸法安定性を示さなかった。これら両方の場合では、それぞれ、27.1J/g及び28.5J/gとΔHm値が低いことから明らかであるように、結晶化度のレベルがより低かった。寸法安定性は、物品のΔH
m(又は結晶化度)に依存することが見出され、アニール処理済物品が約30J/gを超えるΔHmを示した場合、該物品は、寸法的に安定である傾向を有していた。
【0158】
寸法安定性又は不安定性の更なる証拠は、10又は20重量パーセントのポリ(p−ジオキサノン)ブレンド成分を有する実施例4Cのポリマー組成物から作製された射出成形ストラップが示されている、
図6〜
図9の写真に提示されている。
図6は、10重量パーセントのポリ(p−ジオキサノン)を有する実施例4Cのポリマー組成物から作製された、アニーリング前のサンプルSTR 11−7の射出成形タックの写真であり、
図7は、10重量パーセントのポリ(p−ジオキサノン)を有する実施例4Cのポリマー組成物から作製された、アニーリング後のサンプルSTR 11−7の射出成形タックの写真である。この射出成形タックは、アニーリング後、許容できない反りを示す。
【0159】
図8は、20重量パーセントのポリ(p−ジオキサノン)を有する実施例4Cのポリマー組成物から作製された、アニーリング前のサンプルSTR 11−8の射出成形タックの写真であり、
図9は、20重量パーセントのポリ(p−ジオキサノン)を有する実施例4Cのポリマー組成物から作製された、アニーリング後のサンプルTR 11−8の射出成形タックの写真である。この射出成形タックは、アニーリング後、優れた寸法安定性及び許容し得るレベルの反りを示す。
【0160】
表6に提示したデータに戻って、実施例11−2〜11−9のアニール処理済ストラップの場合、2つの別個のガラス転移現象及び2つの別個の溶融吸熱が観察されたことが分かる。これらは、ポリ(p−ジオキサノン)[PDS]ブレンド成分及びラクチド系ブレンド成分に対応していた。2つのガラス転移温度の観察は、成分の不混和性の証拠として一般に受け入れられている。ポリ(p−ジオキサノン)に基づくガラス転移温度は全て、約−8℃〜約−13℃であったが、ラクチドリッチ系ブレンド成分に関連するガラス転移温度は、約53℃〜約58℃であった。
【0161】
表6に示す様々なブレンドから作製されたアニール処理済射出成形物品では、2つの融点が観察された。2つの融点の観察は、各ブレンド成分が半結晶性である証拠である。ポリ(p−ジオキサノン)に基づく溶融温度は全て、102℃〜105℃であったが、ラクチドリッチ系ブレンド成分に関連する溶融温度は、146℃〜149℃であると観察された。
【0162】
本願の発明の概念は、様々な方法で実施できると考えられる。更なる実施の例を以下に提供する。実施例12〜14は、ケースI、ケースII及びケースIIIの3つの実施分類を支持する。
【0163】
ケースIは、第1の吸収性ポリマータイプが、より高分子量のラクチドリッチなL/Gコポリマーと、より低分子量のラクチドリッチなL/Gオリゴマーとの混合物で構成されている状況を指す。より高分子量及びより低分子量の結晶化可能なポリラクチドホモポリマーの混合物を、本願の他の箇所に記載した通り、この第1の吸収性ポリマータイプのために使用できることに留意する。ケースIでは、第2の吸収性ポリマータイプは、単峰性ポリ(p−ジオキサノン)である。
【0164】
ケースIIは、第1の吸収性ポリマータイプが、単峰性のラクチドリッチなL/Gコポリマー(又は結晶化可能なポリラクチドホモポリマー)で構成され、第2の吸収性ポリマータイプが、より高分子量及びより低分子量のポリ(p−ジオキサノン)の混合物で構成されている状況を指す。
【0165】
ケースIIIは、第1の吸収性ポリマータイプが、より高分子量のラクチドリッチなL/Gコポリマー(又は結晶化可能なポリラクチドホモポリマー)及びより低分子量のラクチドリッチなL/Gコポリマーの混合物で構成され、第2の吸収性ポリマータイプが、より高分子量及びより低分子量のポリ(p−ジオキサノン)の混合物で構成されている状況を指す。
【0166】
本明細書に記載する実施形態を下の表7にまとめることができる。
【0167】
【表7】
【0168】
ケースI(二峰性分子量分布を有するラクチド/グリコリドコポリマー成分)
ラクチド/グリコリドコポリマーブレンド成分を、ラクチド/グリコリドコポリマー及びより低分子量のラクチド/グリコリドコポリマーの混合物に置換し得ることを理解されたい。特に有用なのは、重量平均分子量が2倍以上異なるラクチド/グリコリドコポリマー混合物である。更に、より低分子量のラクチド/グリコリドコポリマー成分の重量平均分子量は、少なくとも10,000ダルトンでなければならない。特に有利なのは、より低分子量のラクチド/グリコリドコポリマー成分が、本発明のブレンド中に存在する全ラクチド/グリコリドコポリマーの5〜40重量パーセントを占めるときであると理解されたい。
【0169】
以下の実施例は、本発明の原理及び実施を説明するものであるが、これらに限定されるものではない。以下の実施例は、本発明の特定の実施形態を示すものであるが、本発明の範囲を限定するとして解釈されるべきではなく、本発明の十分な説明に寄与するものとして解釈されるべきである。
【0170】
(実施例12)
ケースI(二峰性分子量分布を有するポリ(ラクチド−コ−グリコリド)成分)
80,000ダルトンの重量平均分子量を有するラクチド/グリコリドコポリマーのペレット又は粉砕材料65キログラムを、30,000ダルトンの重量平均分子量を有するラクチド/グリコリドコポリマーのペレット又は粉砕材料16キログラムと乾燥混合する。この混合物を配合すると、ラクチド/グリコリドコポリマーの二峰性ブレンドが得られる。このブレンドを、更に、ポリ(p−ジオキサノン)が最終ブレンドの約20重量パーセントを占めるように、およそ72,000ダルトンの重量平均分子量を有するポリ(p−ジオキサノン)と配合する。
【0171】
あるいは、原材料が、80,000ダルトンの重量平均分子量を有するラクチド/グリコリドコポリマー64キログラム、30,000ダルトンの重量平均分子量を有するラクチド/グリコリドコポリマー16キログラム、及びおよそ72,000ダルトンの重量平均分子量を有するポリ(p−ジオキサノン)20キログラムに基づく、単一の溶融配合を実施してもよい。したがって、ポリ(p−ジオキサノン)の量は、最終ブレンドの約20重量パーセントを占め、ラクチド/グリコリドコポリマーは、より高分子量のラクチド/グリコリドコポリマーの分子量の、より低分子量のラクチド/グリコリドコポリマーの分子量に対する比が(64/16=)4である二峰性ブレンドを用いて作製される。
【0172】
組成が異なる類似のブレンドを同様の方法で作製できることが当業者には明らかなはずである。
【0173】
ケースII(二峰性分子量分布を有するポリ(p−ジオキサノン)成分)
更に、ポリ(p−ジオキサノン)をポリ(p−ジオキサノン)とより低分子量のポリ(p−ジオキサノン)との混合物に置換してよいことが理解される。特に有用なのは、重量平均分子量が2倍以上異なるポリ(p−ジオキサノン)混合物である。更に、より低分子量のポリ(p−ジオキサノン)成分の重量平均分子量は、少なくとも10,000ダルトンでなければならない。特に有利なのは、より低分子量のポリ(p−ジオキサノン)成分が、本発明のブレンド中に存在する全ポリ(p−ジオキサノン)の5〜40重量パーセントを占めるときであると理解されたい。
【0174】
(実施例13)
ケースII(二峰性分子量分布を有するポリ(p−ジオキサノン)成分)
75,000ダルトンの重量平均分子量を有するポリ(p−ジオキサノン)のペレット又は粉砕材料14キログラムを、25,000ダルトンの重量平均分子量を有するポリ(p−ジオキサノン)のペレット又は粉砕材料4キログラムと乾燥混合する。この混合物を配合すると、ポリ(p−ジオキサノン)の二峰性ブレンドが得られる。このブレンドを更に、ポリ(p−ジオキサノン)が最終ブレンドの約18重量パーセントを占めるように、82,000ダルトンの重量平均分子量を有するラクチド/グリコリドコポリマーと配合する。
【0175】
あるいは、原材料が、82,000ダルトンの重量平均分子量を有するラクチド/グリコリドコポリマー82キログラム、75,000ダルトンの重量平均分子量を有するポリ(p−ジオキサノン)14キログラム、及びおよそ25,000ダルトンの重量平均分子量を有するポリ(p−ジオキサノン)4キログラムに基づく、単一の溶融配合を実施してもよい。
【0176】
組成が異なる類似のブレンドを同様の方法で作製できることが当業者には明らかなはずである。
【0177】
ケースIII(両成分が二峰性分子量分布を有する)
ラクチド/グリコリドコポリマーブレンド成分をラクチド/グリコリドコポリマーとより低分子量のラクチド/グリコリドコポリマーとの混合物に置換してもよいこと、及びポリ(p−ジオキサノン)をポリ(p−ジオキサノン)とより低分子量のポリ(p−ジオキサノン)との混合物に置換してもよいことを理解されたい。特に有用なのは、重量平均分子量が2倍以上異なるラクチド/グリコリドコポリマー混合物である。更に、より低分子量のラクチド/グリコリドコポリマー成分の重量平均分子量は、少なくとも10,000ダルトンでなければならない。特に有利なのは、より低分子量のラクチド/グリコリドコポリマー成分が、本発明のブレンド中に存在する全ラクチド/グリコリドコポリマーの5〜40重量パーセントを占めるときであると理解されたい。同様に、特に有用なのは、重量平均分子量が2倍以上異なるポリ(p−ジオキサノン)混合物である。更に、より低分子量のポリ(p−ジオキサノン)成分の重量平均分子量は、少なくとも10,000ダルトンでなければならない。特に有利なのは、より低分子量のポリ(p−ジオキサノン)成分が、本発明のブレンド中に存在する全ポリ(p−ジオキサノン)の5〜40重量パーセントを占めるときであると理解されたい。
【0178】
(実施例14)
ケースIII(両成分が二峰性分子量分布を有する)
90,000ダルトンの重量平均分子量を有するラクチド/グリコリドコポリマーのペレット又は粉砕材料、合計77.4キログラムを、10,000ダルトンの重量平均分子量を有するラクチド/グリコリドコポリマーのペレット又は粉砕材料8.6キログラムと乾燥混合する。この混合物を配合すると、ラクチド/グリコリドコポリマーの二峰性ブレンドが得られる。85,000ダルトンの重量平均分子量を有するポリ(p−ジオキサノン)のペレット又は粉砕材料、合計12.6キログラムを、10,000ダルトンの重量平均分子量を有するポリ(p−ジオキサノン)のペレット又は粉砕材料1.4キログラムと乾燥混合する。この混合物を配合すると、ポリ(p−ジオキサノン)の二峰性ブレンドが得られる。
【0179】
これら2つのブレンドを、(二峰性)ポリ(p−ジオキサノン)が最終ブレンドの約14重量パーセントを占めるように、更に配合する。
【0180】
あるいは、原材料が、90,000ダルトンの重量平均分子量を有するラクチド/グリコリドコポリマー77.4キログラム、10,000ダルトンの重量平均分子量を有するラクチド/グリコリドコポリマー8.6キログラム、及びおよそ85,000ダルトンの重量平均分子量を有するポリ(p−ジオキサノン)12.6キログラム、及びおよそ10,000ダルトンの重量平均分子量を有するポリ(p−ジオキサノン)1.4キログラムに基づく、単一の溶融配合を実施する。したがって、(二峰性)ポリ(p−ジオキサノン)の量は、最終ブレンドの約14重量パーセントを占め、(二峰性)ラクチド/グリコリドコポリマーは、最終ブレンドの約86重量パーセントを占める。
【0181】
より高分子量のラクチド/グリコリドコポリマーの分子量の、より低分子量のラクチド/グリコリドコポリマーの分子量に対する比は、(77.4/8.6=)9であり、より高分子量のポリ(p−ジオキサノン)ポリマーの分子量の、より低分子量のポリ(p−ジオキサノン)ポリマーの分子量に対する比は、(12.6/1.4=)9である。
【0182】
組成が異なる類似のブレンドを同様の方法で作製できることが当業者には明らかなはずである。
【0183】
二峰性分子量分布を有する本発明の新規ポリマーブレンドは、多くの利点を有する。利点は多く、例えば、以下を含む。吸収性樹脂の結晶化速度を増大させると、成形部品における寸法安定性の発現に役立つ。
【0184】
吸収性樹脂の結晶化速度を増大させると、適切な部品を形成するための射出成形中に必要なサイクルタイムを短縮することができる。このより速い生産速度は、経済的利点をもたらす。吸収性樹脂の結晶化速度を増大させると、成形部品を形成するための射出成形中のサイクルタイムが減少し、バレルにおける樹脂の滞留時間を減少させ、それによって、不所望の熱分解を避けることができる。これにより、より高い性能特性を有する、より高分子量の部品が得られると予測される。また、成形中の分解を最小化すると、よりロバストな製造プロセスが得られる。
【0185】
成形部品において実現される、より高い予測結晶化度レベルでは、部品の剛性を増大させることができる。
【0186】
より速い予測結晶化速度、及び成形部品において実現されるより高い百分率の結晶化度の発現により、更に、ブレンドの組成をより低レベルのポリ(p−ジオキサノン)にシフトさせることができることに留意すべきである。低T
gポリマー成分であるポリ(p−ジオキサノン)を低減すると、剛性が更に高まる。
【0187】
新規ポリマーブレンドは、結晶化速度、及び成形部品において発現する全体結晶化度を増大させるという理由で、既に入手可能な吸収性ブレンドよりも高い弾性率を有する、成形部品における寸法安定性が依然として良好な埋め込み型医療機器を作製するのに好適である。
【0188】
二峰性分子量分布を有するブレンド成分を提供することにより、更なるインハウス加工、滅菌、パッケージング、輸送、保管等の間の反り及び寸法不安定性を避けるために加工されるように成形部品を適切に安定化させながら、好ましい本発明のブレンドを、単峰性分子量ポリマーに基づくブレンド成分で作製された対応するブレンドよりも速く、埋め込み後に分解させることができる。
【0189】
(実施例15)
ラクチドリッチなポリマーが単峰性分子量分布を有する場合の、本発明における二峰性ポリ(p−ジオキサノン)の最低重量パーセントの計算
既に記載した通り、ポリ(p−ジオキサノン)の最低レベルは、ブレンド中に存在するラクチド系ポリマー中に存在する重合ラクチドのモル量に依存する。単峰性分子量分布を有するラクチド系ポリマー及び二峰性分子量分布を有するポリ(p−ジオキサノン)の場合、二峰性ポリ(p−ジオキサノン)の重量パーセントは、下記等式を用いて計算することができる。
ポリ(p−ジオキサノン)の重量パーセント=
(215.6212/重合ラクチドのモルパーセント)
2.7027−1.177
【0190】
例えば、単峰性ラクチド−コ−グリコリドコポリマーの組成が82/8(モル基準)であったとき、ブレンド中の二峰性ポリ(p−ジオキサノン)の最低重量パーセントは、12.5パーセントであると計算され、最高量は50であった。同様に、単峰性ラクチド−コ−グリコリドコポリマーの組成が86/14(モル基準)であった場合、ブレンド中の二峰性ポリ(p−ジオキサノン)の最低重量パーセントは、10.8パーセントであると計算され、最高量は50であった。表8は、本発明のブレンド中の最低及び最高重量パーセントとして表される、二峰性ポリ(p−ジオキサノン)の範囲のチャートを含む。
【0191】
【表8】
【0192】
(実施例16)
ラクチドリッチなポリマーが二峰性分子量分布を有する場合の、本発明における単峰性又は二峰性ポリ(p−ジオキサノン)の最低重量パーセントの計算
二峰性分子量分布を有するラクチド系ポリマー及び単峰性又は二峰性の分子量分布を有するポリ(p−ジオキサノン)の場合、ポリ(p−ジオキサノン)の重量パーセントは、下記等式を用いて計算することができる。
ポリ(p−ジオキサノン)の重量パーセント=
(215.6212/重合ラクチドのモルパーセント)
2.7027−4.877
ここで、ラクチド系ポリマーは、
二峰性分子量分布を有する。
【0193】
例えば、二峰性ラクチド−コ−グリコリドコポリマーの組成が82/8(モル基準)であったとき、ブレンド中の単峰性又は二峰性のポリ(p−ジオキサノン)の最低重量パーセントは、8.8パーセントであると計算され、最高量は50であった。同様に、二峰性ラクチド−コ−グリコリドコポリマーの組成が86/14(モル基準)であった場合、ブレンド中の単峰性又は二峰性のポリ(p−ジオキサノン)の最低重量パーセントは、7.1パーセントであると計算され、最高量は50であった。表9は、本発明のブレンド中の最低及び最高重量パーセントとして表される、ポリ(p−ジオキサノン)の範囲のチャートを含む。この場合のポリ(p−ジオキサノン)は、単峰性ポリマー又は二峰性ポリマーであり得ることに留意すべきである。
【0194】
【表9】
【0195】
以上、本発明をその詳細な実施形態について図示及び説明してきたが、当業者であれば、特許請求される発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく本発明の形態及び詳細に様々な変更を行い得る点は理解されるであろう。
【0196】
〔実施の態様〕
(1) 吸収性ポリマーブレンドであって、
約100モルパーセント〜約70モルパーセントの重合ラクチド及び約0モルパーセント〜約30モルパーセントの重合グリコリドを含む、少なくとも50重量パーセントのラクチドリッチなポリマーを含む第1の吸収性ポリマーと、
ポリ(p−ジオキサノン)を含む第2の吸収性ポリマーと、を含み、
前記ブレンド中のポリ(p−ジオキサノン)の最高重量パーセントが50重量パーセントであり、前記ブレンド中のポリ(p−ジオキサノン)の最低重量パーセントは、前記ポリマーブレンドが製品に寸法安定性を有効に与えるのに十分であり、更に、前記第1の吸収性ポリマー及び前記第2の吸収性ポリマーのうちの一方又は両方が、二峰性分子量分布ポリマーであり、各二峰性分子量分布ポリマーが、
(a)約50,000〜約500,000ダルトンの第1の重量平均分子量を有する、約60〜95重量%の第1の成分ポリマーと、
(b)約10,000〜約50,000ダルトンの第2の重量平均分子量を有する、約5〜40重量%の第2の成分ポリマーと、のブレンドを含み、前記第1の分子量の前記第2の分子量に対する重量平均分子量比が、少なくとも約2:1である、吸収性ポリマーブレンド。
(2) 前記第1のポリマーが、ポリ(L(−)−ラクチド)、ポリ(D(+)−ラクチド)、ポリ(L(−)−ラクチド)/ポリ(D(+)−ラクチド)ステレオコンプレックス、及びラクチドリッチなラクチド/グリコリドコポリマーからなる群から選択されるポリマーを含む、実施態様1に記載のブレンド。
(3) 前記第1又は第2のポリマーのうちの少なくとも1つが、酸末端封鎖末端基(acid-capped end groups)を更に含む、実施態様1に記載の吸収性ポリマーブレンド。
(4) 前記第1の吸収性ポリマーが、二峰性分子量分布ポリマーである、実施態様1に記載の吸収性ポリマーブレンド。
(5) 前記第2の吸収性ポリマーが、単峰性分子量分布ポリマーである、実施態様4に記載の吸収性ポリマーブレンド。
【0197】
(6) 前記第1のポリマーが、約50,000〜約500,000ダルトンの第1の重量平均分子量を有する、第1の量のポリラクチド又はラクチドリッチなラクチド/グリコリドコポリマーと;約10,000〜約50,000ダルトンの第2の重量平均分子量を有する、第2の量のポリラクチド又はラクチドリッチなラクチド/グリコリドコポリマーと、を含み、前記第1の分子量分布の前記第2の分子量分布に対する重量平均分子量比が、少なくとも約2:1であり、前記第1及び第2の量の前記吸収性ポリマーの実質的に均質なブレンドが、約60/40〜95/5重量/重量パーセントの比で形成されている、実施態様4に記載のブレンド。
(7) 前記第1の吸収性ポリマーが、単峰性分子量分布ポリマーである、実施態様1に記載の吸収性ポリマーブレンド。
(8) 前記第1のポリマーが、ポリ(L(−)−ラクチド)、ポリ(D(+)−ラクチド)、ポリ(L(−)−ラクチド)/ポリ(D(+)−ラクチド)ステレオコンプレックス、及びラクチドリッチなラクチド/グリコリドコポリマーからなる群から選択されるポリマーを含み、前記ブレンドが、約50,000〜約500,000ダルトンの第1の重量平均分子量を有する、実施態様7に記載のブレンド。
(9) 前記第2の吸収性ポリマーが、二峰性分子量分布ポリマーである、実施態様7に記載の吸収性ポリマーブレンド。
(10) 前記第2のポリマーが、約50,000〜約500,000ダルトンの第1の重量平均分子量を有する、第1の量のポリ(p−ジオキサノン)ポリマーと;約10,000〜約50,000ダルトンの第2の重量平均分子量を有する、第2の量のポリ(p−ジオキサノン)ポリマーと、を含み、前記第1の分子量分布の前記第2の分子量分布に対する重量平均分子量比が、少なくとも約2:1であり、前記第1及び第2の量の前記吸収性ポリマーの実質的に均質なブレンドが、約60/40〜95/5重量/重量パーセントの比で形成されている、実施態様9に記載のブレンド。
【0198】
(11) 前記第1及び第2のポリマーが、それぞれ、二峰性分子量分布ポリマーである、実施態様1に記載の吸収性ポリマーブレンド。
(12) 前記第1のポリマーが、約50,000〜約500,000ダルトンの第1の重量平均分子量を有する、第1の量のポリラクチド又はラクチドリッチなラクチド/グリコリドコポリマーと;約10,000〜約50,000ダルトンの第2の重量平均分子量を有する、第2の量のポリラクチド又はラクチドリッチなラクチド/グリコリドコポリマーと、を含み、前記第1の分子量分布の前記第2の分子量分布に対する重量平均分子量比が、少なくとも約2:1であり、前記第1及び第2の量の前記吸収性ポリマーの実質的に均質なブレンドが、約60/40〜95/5重量/重量パーセントの比で形成され、前記第2のポリマーが、約50,000〜約500,000ダルトンの第1の重量平均分子量を有する、第1の量のポリ(p−ジオキサノン)ポリマーと;約10,000〜約50,000ダルトンの第2の重量平均分子量を有する、第2の量のポリ(p−ジオキサノン)ポリマーと、を含み、前記第1の分子量分布の前記第2の分子量分布に対する重量平均分子量比が、少なくとも約2:1であり、前記第1及び第2の量の前記吸収性ポリマーの実質的に均質なブレンドが、約60/40〜95/5重量/重量パーセントの比で形成されている、実施態様11に記載のブレンド。
(13) 吸収性ポリマーブレンドであって、
約100モルパーセント〜約70モルパーセントの重合ラクチド及び約0モルパーセント〜約30モルパーセントの重合グリコリドを含む、少なくとも50重量パーセントのラクチドリッチなポリマーを含む第1の吸収性ポリマーと、
ポリ(p−ジオキサノン)を含む第2の吸収性ポリマーと、を含み、
前記ブレンド中のポリ(p−ジオキサノン)の最高重量パーセントが50重量パーセントであり、前記ブレンド中のポリ(p−ジオキサノン)の最低重量パーセントは、前記ポリマーブレンドが製品に寸法安定性を有効に与えるのに十分であり、更に、前記第1の吸収性ポリマー及び前記第2の吸収性ポリマーのうちの一方又は両方が、二峰性分子量分布ポリマーであり、各二峰性分子量分布ポリマーが、
(a)約50,000〜約500,000ダルトンの第1の重量平均分子量を有する、約60〜95重量%の第1の成分ポリマーと、
(b)約10,000〜約50,000ダルトンの第2の重量平均分子量を有する、約5〜40重量%の第2の成分ポリマーと、のブレンドを含み、前記第1の分子量の前記第2の分子量に対する重量平均分子量比が、少なくとも約2:1であり、
更に、前記ブレンド中の前記ポリ(p−ジオキサノン)の最低重量パーセントは、前記ラクチドリッチなポリマー中の重合ラクチドのモル量に依存し、
前記ラクチドリッチなポリマーが単峰性分子量分布を有し、前記ポリ(p−ジオキサノン)が二峰性分子量分布を有するとき、式:
ポリ(p−ジオキサノン)の重量パーセント=(215.6212/重合ラクチドのモルパーセント)
2.7027−1.177
によって計算され、前記ポリマーブレンドが製品に寸法安定性を与える、吸収性ポリマーブレンド。
(14) 吸収性ポリマーブレンドであって、
約100モルパーセント〜約70モルパーセントの重合ラクチド及び約0モルパーセント〜約30モルパーセントの重合グリコリドを含む、少なくとも50重量パーセントのラクチドリッチなポリマーを含む第1の吸収性ポリマーと、
ポリ(p−ジオキサノン)を含む第2の吸収性ポリマーと、を含み、
前記ブレンド中のポリ(p−ジオキサノン)の最高重量パーセントが50重量パーセントであり、前記ブレンド中のポリ(p−ジオキサノン)の最低重量パーセントは、前記ポリマーブレンドが製品に寸法安定性を有効に与えるのに十分であり、更に、前記第1の吸収性ポリマー及び前記第2の吸収性ポリマーのうちの一方又は両方が、二峰性分子量分布ポリマーであり、各二峰性分子量分布ポリマーが、
(a)約50,000〜約500,000ダルトンの第1の重量平均分子量を有する、約60〜95重量%の第1の成分ポリマーと、
(b)約10,000〜約50,000ダルトンの第2の重量平均分子量を有する、約5〜40重量%の第2の成分ポリマーと、のブレンドを含み、前記第1の分子量の前記第2の分子量に対する重量平均分子量比が、少なくとも約2:1であり、
前記ブレンド中の前記ポリ(p−ジオキサノン)の最低重量パーセントは、前記ラクチドリッチなポリマー中の重合ラクチドのモル量に依存し、
前記ラクチドリッチなポリマーが二峰性分子量分布を有し、前記ポリ(p−ジオキサノン)が単峰性又は二峰性の分子量分布を有するとき、式:
ポリ(p−ジオキサノン)の重量パーセント=(215.6212/重合ラクチドのモルパーセント)
2.7027−4.877
によって計算され、前記ポリマーブレンドが製品に寸法安定性を与える、吸収性ポリマーブレンド。
(15) 実施態様1に記載の吸収性ポリマーブレンドを含む医療機器。
【0199】
(16) 実施態様13に記載の吸収性ポリマーブレンドを含む医療機器。
(17) 実施態様14に記載の吸収性ポリマーブレンドを含む医療機器。
(18) 実施態様1に記載の吸収性ポリマーブレンドを医療機器に加工する工程を含む、医療機器の製造方法。
(19) 実施態様13に記載の吸収性ポリマーブレンドを医療機器に加工する工程を含む、医療機器の製造方法。
(20) 実施態様14に記載の吸収性ポリマーブレンドを医療機器に加工する工程を含む、医療機器の製造方法。
【0200】
(21) 前記方法が溶融加工を含む、実施態様18に記載の方法。
(22) 前記方法が溶融加工を含む、実施態様19に記載の方法。
(23) 前記方法が溶融加工を含む、実施態様20に記載の方法。