特許第6573888号(P6573888)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6573888ヘッドアップディスプレイの輝度を制御するためのシステムおよび方法、ならびに同システムを使用するディスプレイ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6573888
(24)【登録日】2019年8月23日
(45)【発行日】2019年9月11日
(54)【発明の名称】ヘッドアップディスプレイの輝度を制御するためのシステムおよび方法、ならびに同システムを使用するディスプレイ
(51)【国際特許分類】
   B60K 35/00 20060101AFI20190902BHJP
   G02B 27/01 20060101ALI20190902BHJP
   B60R 11/02 20060101ALI20190902BHJP
【FI】
   B60K35/00 A
   G02B27/01
   B60R11/02 C
【請求項の数】9
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-541345(P2016-541345)
(86)(22)【出願日】2014年12月18日
(65)【公表番号】特表2017-504515(P2017-504515A)
(43)【公表日】2017年2月9日
(86)【国際出願番号】FR2014000287
(87)【国際公開番号】WO2015092164
(87)【国際公開日】20150625
【審査請求日】2017年12月18日
(31)【優先権主張番号】1303044
(32)【優先日】2013年12月20日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】516000549
【氏名又は名称】ヴァレオ、コンフォート、アンド、ドライビング、アシスタンス
【氏名又は名称原語表記】VALEO COMFORT AND DRIVING ASSISTANCE
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(72)【発明者】
【氏名】ミッシェル、イジク
【審査官】 櫻田 正紀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−098634(JP,A)
【文献】 実開平06−065055(JP,U)
【文献】 特開2013−015738(JP,A)
【文献】 特開2008−030518(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/088511(WO,A1)
【文献】 特開2008−001182(JP,A)
【文献】 特開2000−284213(JP,A)
【文献】 特開2006−030539(JP,A)
【文献】 特開2013−241035(JP,A)
【文献】 特開平03−227737(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/108031(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 35/00
B60R 11/02
G02B 27/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のヘッドアップディスプレイ用の輝度制御システムであって、前記ヘッドアップディスプレイが、画像を表示するように構成され、前記輝度制御システムが、前記ヘッドアップディスプレイ向けの輝度設定ポイントを決定するための手段にリンクされる、輝度を評価するための手段を備える輝度制御システムにおいて、
輝度を評価するための前記手段が
前記車両の前方および前記ヘッドアップディスプレイに表示される前記画像の向こう側となる外部の輝度を評価する第1の外部輝度センサと、
前記車両に対して上方の外部の輝度を評価する第2の外部輝度センサと、
前記車両の運転手の近傍で前記車両内の光を測定する内部輝度センサと、
前記ヘッドアップディスプレイによって表示される前記画像の輝度を測定するディスプレイ輝度センサと、を備え、
前記第1の外部輝度センサが、前記ヘッドアップディスプレイと同じ視野内に存在し、前記ヘッドアップディスプレイに表示される前記画像の面との交点が画像全体を実質的にカバーする円錐形状での入射光を受光するように配置された、受光ダイオードおよび光学システム、または外部カメラであり、
前記第2の外部輝度センサが、散光を測定する透光性の半球体の下に配置された第2の受光ダイオードであり、
前記内部輝度センサはカメラであり、
前記輝度設定ポイントを決定するための段が自動的に、
前記車両の前方および前記ヘッドアップディスプレイに表示される前記画像の向こう側となる前記評価された外部の輝度、前記車両に対して上方の前記評価された外部の輝度、前記車両内における前記車両の運転手の近傍の前記測定された輝度、前記ヘッドアップディスプレイによって表示される前記画像の前記測定された輝度、および前記車両の環境を特徴づける複数のシステムによって供給されるデータに応じて前記輝度設定ポイントを決定し、
決定した輝度設定ポイントに従って前記ヘッドアップディスプレイの前記輝度設定ポイントを設定する、輝度制御システム。
【請求項2】
前記第1の外部輝度センサが、前記画像の面との交点が前記画像の全体を実質的にカバーする、約10°の円錐形状の入射光を受光するように配置されることを特徴とする、請求項に記載の輝度制御システム。
【請求項3】
輝度を評価するための前記手段が、以下の種類のデータ、即ち、
雨の有無と、
地理位置情報と、
時刻と、
天候状況と、
ビデオ画像と、
車両の速度と
のうち、1つまたは複数を供給するための手段を含む前記複数のシステムにリンクされることを特徴とする、請求項1または2に記載の輝度制御システム。
【請求項4】
異なる照明状況を表すデータを含む、照明シーンデータベースを備えることを特徴とする、請求項1からのいずれかに記載の輝度制御システム。
【請求項5】
前記車両の運転手によって制御されることが可能であり、かつ、前記決定手段によって決定される初期の輝度設定ポイント値の前後で、前記ヘッドアップディスプレイへ送信される前記輝度設定ポイントの、前記運転手による微調整を可能にするように構成された手動輝度調整手段を備えることを特徴とする、請求項1からのいずれかに記載の輝度制御システム。
【請求項6】
前記手動輝度調整手段が、スイッチであって、前記運転手による前記スイッチの起動に続いて、前記輝度設定ポイント値を大幅に低減し、および/または、前記ヘッドアップディスプレイの前記画像に表示される情報量を低減し、かつ、前記スイッチの解除に続いて、前記初期の輝度設定ポイント値と、前記ヘッドアップディスプレイの前記画像に表示される前記情報量とを復元するように構成されたスイッチを備えることを特徴とする、請求項に記載の輝度制御システム。
【請求項7】
請求項1からのいずれかに記載の輝度制御システムを備えることを特徴とする、ヘッドアップディスプレイ。
【請求項8】
車両のヘッドアップディスプレイの輝度を制御するための方法であって、前記ヘッドアップディスプレイが輝度設定ポイントに従って像を表示するように構成された方法において、
部の輝度を評価するステップと、
ヘッドアップディスプレイにおける前記画像の表示向けの前記輝度設定ポイントを決定するステップと、を備え、
前記外部の輝度を評価するステップは、
前記車両の前方および前記ヘッドアップディスプレイに表示される前記画像の向こう側となる外部の輝度を評価する第1の外部輝度センサと、
前記車両に対して上方の外部の輝度を評価する第2の外部輝度センサと、
前記車両の運転手の近傍で前記車両内の光を測定する内部輝度センサと、
前記ヘッドアップディスプレイによって表示される前記画像の輝度を測定するディスプレイ輝度センサと、を備え、
前記第1の外部輝度センサが、前記ヘッドアップディスプレイと同じ視野内に存在し、前記ヘッドアップディスプレイに表示される前記画像の面との交点が画像全体を実質的にカバーする円錐形状での入射光を受光するように配置された、受光ダイオードおよび光学システム、または外部カメラであり、
前記第2の外部輝度センサが、散光を測定する透光性の半球体の下に配置された第2の受光ダイオードであり、
前記内部輝度センサはカメラであり、
前記車両の前方および前記ヘッドアップディスプレイに表示される前記画像の向こう側となる前記評価された外部の輝度、前記車両に対して上方の前記評価された外部の輝度、前記車両内における前記車両の運転手の近傍の前記測定された輝度、前記ヘッドアップディスプレイによって表示される前記画像の前記測定された輝度、および前記車両の環境を特徴づける複数のシステムによって供給されるデータに応じて前記輝度設定ポイントを決定し、
決定した輝度設定ポイントに従って前記ヘッドアップディスプレイの前記輝度設定ポイントを設定する、ことを特徴とする、方法。
【請求項9】
車両のヘッドアップディスプレイ用の輝度制御システムであって、前記ヘッドアップディスプレイが、輝度設定ポイントに従って画像を表示し、
前記輝度制御システムは、
輝度を評価するための手段と、
前記輝度を評価するための手段にリンクされる、前記ヘッドアップディスプレイにおける前記画像の表示向けの前記輝度設定ポイントを決定するための手段と、を備え、
前記輝度を評価するための手段が、
前記車両の前方および前記ヘッドアップディスプレイに表示される前記画像の向こう側となる外部の輝度を評価する第1の外部輝度センサと、
前記車両に対して上方の外部の輝度を評価する第2の外部輝度センサと、
前記車両の運転手の近傍で前記車両内の光を測定する内部輝度センサと、
前記ヘッドアップディスプレイによって表示される前記画像の輝度を測定するディスプレイ輝度センサと、
前記車両のフロントガラスに設置され、多数のデータを復元するビデオ画像を取得するカメラと、を備え、
前記第1の外部輝度センサが、前記ヘッドアップディスプレイと同じ視野内に存在し、前記ヘッドアップディスプレイに表示される前記画像の面との交点が画像全体を実質的にカバーする円錐形状での入射光を受光するように配置された、受光ダイオードおよび光学システム、または外部カメラであり、
前記第2の外部輝度センサが、散光を測定する透光性の半球体の下に配置された第2の受光ダイオードであり、
前記内部輝度センサは他のカメラであり、
前記輝度設定ポイントを決定するための手段が、自動的に、
前記車両の前方および前記ヘッドアップディスプレイに表示される前記画像の向こう側となる前記評価された外部の輝度、前記車両に対して上方の前記評価された外部の輝度、前記車両内における前記車両の運転手の近傍の前記測定された輝度、前記ヘッドアップディスプレイによって表示される前記画像の前記測定された輝度、および前記車両のフロントガラスに設置された前記カメラによって復元された前記多数のデータに応じて前記輝度設定ポイントを決定し、決定した輝度設定ポイントに従って前記ヘッドアップディスプレイの前記輝度設定ポイントを設定する、輝度制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘッドアップディスプレイ用の輝度制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、例えば自動車において、その車両のユーザ、特にその運転手に情報を提供するために、適用可能なものとなろう。
【0003】
自動車に、ヘッドアップディスプレイと呼ばれる、ディスプレイシステムを搭載する手法が知られている。こうしたシステムは、自動車の運転手の視野内に配置され、その自動車や交通量などの状態に関する情報を表示する。
【0004】
運転の妨げとなることを回避するために、投射画像の輝度が、周囲の輝度に適応することが不可欠である。特に、投射画像の光強度が、昼間の走行と、夜間の走行またはトンネル進入時とで、大きく異なる必要がある。よって、投射画像の輝度は、どちらの場合も特に安全上の理由から、あらゆる環境において可視であり、なおかつ、不快でないものでなくてはならない。さらに、これらの制約を順守するために必要な、大幅な輝度のダイナミックレンジを考慮すると、輝度の管理は、運転手のみによって行われてはならず、したがって、車両の現況に適応するように、自動化されなくてはならない。
【0005】
よって、車両に装備された輝度センサを使用して、周囲の輝度を検知することが提案されている。このとき、この輝度の測定は、ディスプレイの輝度を適応させるために使用される。このようなシステムは、例えば、韓国特許出願第20120123833号に提示されている。それにもかかわらず、この解決法は、センサによって記録される情報が不正確であり、外乱光(対向車のヘッドライト、街灯、など)により簡単に誤ったものになり得るので、安全面で不十分である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、既知のヘッドアップディスプレイ輝度制御システムの欠点のうち、少なくとも幾つかを緩和することを目的とする。
【0007】
特に、本発明は、同発明の少なくとも一実施形態において、車両の運転手の安全性を向上させる、ヘッドアップディスプレイ輝度制御システムを提供することを目的とする。
【0008】
本発明はまた、同発明の少なくとも一実施形態において、車両の運転手の快適性を向上させる、ヘッドアップディスプレイ輝度制御システムを提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
これを行うために、本発明は、車両のヘッドアップディスプレイ用の輝度制御システムに関し、前記ディスプレイが、画像を表示するように構成され、前記システムが、ディスプレイ向けの輝度設定ポイントを決定するための手段にリンクされる、輝度を評価するための手段を備える輝度制御システムにおいて、輝度を評価するための前記手段が、車両の前方および前記ディスプレイに表示される画像の向こう側となる外部の輝度を評価することが可能であり、前記決定手段が、評価された外部の輝度に応じて輝度設定ポイントを決定し、かつ、決定した輝度設定ポイントをディスプレイへ送信することが可能であることを特徴とする。
【0010】
したがって、本発明によるシステムは、移動する車両ではありふれた輝度の変化を予想することを可能にする。これらの輝度の変化は、輝度設定ポイントの変更の遅延を生じるので、ディスプレイへ送信される輝度設定ポイントを、現在の状況ではなく、次の状況に適用するために、可能な限り早期に、システムによって考慮に入れられなければならない。輝度を評価するための手段は、決定手段が輝度設定ポイントを前もって決定し、その輝度設定ポイントをディスプレイのレベルで輝度が変化した瞬間に適用することを可能にするために、車両の前方およびディスプレイに表示される画像の向こう側の輝度を検知する。
【0011】
例えば、夜間の運転中、評価手段が、車両の前方およびディスプレイに表示された画像の向こう側で、照明されたトンネルに対応する輝度を検知し、輝度制御システムが、照明されたトンネルに適した輝度設定ポイント(この場合、夜間の運転中よりも輝度値が強い)をディスプレイへ送信し、車両が、照明されたトンネルに進入するとすぐに、この輝度設定ポイントを適用する。
【0012】
好適には、本発明によれば、輝度を評価するための手段は、少なくとも1つの輝度センサを備える。
【0013】
本発明のこの態様によれば、輝度は、特に1つまたは複数の輝度センサによって、直接的に測定される。
【0014】
好適には、本発明のこの前述の態様によれば、輝度を評価するための手段が、車両の前方およびディスプレイに表示される画像の向こう側の輝度を評価可能な外部輝度センサを備え、前記センサが、ディスプレイと同じ視野内になるように配置される。
【0015】
本発明のこの態様によれば、センサは、ディスプレイの向こう側の運転手の視野内の輝度を取得し、ディスプレイの輝度を同ディスプレイの向こう側の外部の輝度に適応させることが可能となるように、車両の外側へと直接向けられる。
【0016】
好適には、本発明のこの前述の態様によれば、外部輝度センサが、画像の面との交点がこの画像の全体を実質的にカバーする円錐形状の入射光を受光するように配置される。この円錐形状は、約10°の角度を有することが好ましい。
【0017】
好適には、本発明によれば、輝度を評価するための手段は、
− 車両の外側の輝度を測定する、外部輝度センサと、
− 車両の内側の輝度を測定する、輝度センサと、
− ディスプレイの輝度を測定する、輝度センサと
を少なくとも備えている。
【0018】
本発明のこの態様によれば、これら3つの輝度は、輝度設定ポイントの決定のために使用される。ディスプレイの輝度センサは、ディスプレイの現在の輝度を決定し、車両の内側の輝度センサは、運転手のレベルで現在の周囲の輝度を測定することを可能にし、車両の外側の輝度センサは、車両が受けることになる輝度を前もって測定することを可能にする。
【0019】
好適には、本発明によれば、輝度を評価するための手段は、以下の種類のデータ、即ち、
− 雨の有無と、
− 地理位置情報と、
− 時刻と、
− 天候状況と、
− ビデオ画像と、
− 車両の速度と
のうち、1つまたは複数を供給する手段にリンクされる。
【0020】
本発明のこの態様によれば、輝度は、データを測定または取得するための多数のシステムによって供給されたデータに応じて評価される。これらのデータは、輝度の評価、およびディスプレイへ送信される輝度設定ポイントの決定に影響する。特に、雨の有無、天候状況、および時刻は、外側の輝度に影響する。地理位置情報は、特に、トンネルおよび街灯の存在を予測することを可能にする。ビデオ画像は、特に、運転手の幾つかの視野のポイントや、交通量などの状態の輝度に関する情報を提供する。最後に、車両の速度は、特に、予想される状況の変化から車両が離れる時間を評価することを可能にする。
【0021】
好適には、本発明によれば、システムは、照明シーンデータベースを備え、前記ベースは、異なる照明状況を表すデータを含んでいる。好適には、システムが、学習を通じて、前記データベースを入力することができる。
【0022】
本発明のこの態様によれば、輝度を決定するための手段は、適切な輝度設定ポイントを推定するために、記録されたデータを、既知の照明状況と関連付けることができる。システムは、自身のデータベースのデータを改良するために、既存の状況から学習することもできる。
【0023】
好適には、本発明によれば、システムは、車両の運転手によって制御されることが可能であり、決定手段によって送信される初期の輝度設定ポイント値の前後で、ディスプレイへ送信される輝度設定ポイントの、運転手による微調整を可能にするように構成された手動輝度調整手段を備える。
【0024】
本発明のこの態様によれば、輝度設定ポイントの自動決定には、運転手による手動調整が追加されており、運転手が快適となるポイント、即ち、各運転手に固有の光学的/視覚的反応により良く対応する輝度を変化させることを可能にする。この調整は、微調整、即ち、自動的に決定された設定ポイントから少しだけ離れるという調整である。換言すれば、ディスプレイへ送信される輝度設定ポイントLは、L=Lauto+Δlの形式となる。
【0025】
autoは、決定手段によって自動的に決定された輝度であり、Δlは、運転手による微調整の値である。微調整値Δlは、好適には、Lautoに比例できる。
【0026】
好適には、本発明のこの前述の態様によれば、手動調整手段が、スイッチであって、運転手によるスイッチの起動に続いて、輝度設定ポイント値を大幅に低減し、および/または、ディスプレイの画像に表示される情報量を低減し、かつ、スイッチの解除に続いて、初期の輝度設定ポイント値と、初期のディスプレイの画像に表示される情報量とを復元するように構成されたスイッチを備える。
【0027】
本発明のこの態様によれば、このスイッチにより、運転手は、輝度の観点および表示される情報量の観点の両方から、運転手の視野内での画像の重要性を低減するために、ディスプレイによって表示される画像に対するディスクリートプレゼンスモードを使用することが可能となる。
【0028】
本発明はまた、本発明による輝度制御システムを備える、ヘッドアップディスプレイに関する。
【0029】
本発明はまた、車両のヘッドアップディスプレイの輝度を制御するための方法に関し、前記ディスプレイが、画像を表示するように構成された法において、前記方法が、車両の前方および前記ディスプレイに表示される画像の向こう側となる外部の輝度を評価するステップと、評価するステップにおいて評価された外部の輝度に応じてディスプレイ向けの輝度設定ポイントを決定するステップと、前記設定点を前記ディスプレイへ送信するステップとを含むことを特徴とする。
【0030】
本発明によるシステムは、好適には、本発明による方法を実施する。本発明による方法は、好適には、本発明によるシステムによって実施される。
【0031】
本発明のその他の目的、特徴、および利点は、単に非限定的なものとして与えられたものであり、添付図面を参照する、以下の説明を理解することにより、明瞭になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明による制御システムおよびディスプレイが搭載された車両内部の概略図である。
図2】本発明による制御システムの概略的な説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1は、本発明による制御システムおよびディスプレイが搭載された車両内部の光景を、概略的に示している。示された内部の光景は、車両の運転手の視野の一部、特に、車両内部の一部、ダッシュボード10、ハンドル12、およびフロントガラス14を示している。フロントガラス14への反射により、画像16が、ヘッドアップディスプレイ型の本発明によるディスプレイによって表示され、この画像16は、例えば、車両の速度、GPS案内情報、ならびに車両の製造業者および/または運転手によって有用とみなされる、その他の情報を含んでいる。画像16は、例えば、半反射板などの光学システムによって形成される、バーチャル画像である。この実施形態では、画像16はフロントガラス14上に直接形成されるが、ディスプレイは、既知のように、フロントガラス14と運転手との間の、その運転手の視野内に設置されて画像16が形成される、半反射板を備えることもできる。
【0034】
本発明によるディスプレイは、以下で図2を参照しながらより詳細に説明される、本発明による輝度制御システムを備えている。この制御システムは、特に、輝度を評価するための手段を備えている。図1は、輝度を評価するための手段のうち、一例として、第1の外部輝度センサ18、第2の外部輝度センサ19、内部輝度センサ20、およびカメラ22を示している。このディスプレイは、表示された画像16の輝度のセンサ50も備えている。
【0035】
内部輝度センサ20は、運転手の近傍で、車両内の光を測定する。内部輝度センサ20は、フロントガラス14のペリメータ24に据え付けられ、運転手の方へと向けられると好都合である。この内部輝度センサ20は、例えば内部カメラを備えた、運転手を監視する組立品の部分を成すことができる。
【0036】
第1の外部輝度センサ18の機能は、車両の前方の、ヘッドアップディスプレイに表示された画像16の向こう側の輝度を評価することを可能にすることである。第1の外部輝度センサ18は、ディスプレイと同じ視野内に存在するように、そして例えば、画像16の面との交点が同画像全体を実質的にカバーする、例えば約10°の円錐形状での入射光を受光することが可能となるように配置された、例えば、受光ダイオードおよび光学システムを備えている。このセンサ18は、カメラとすることも可能であり、必要であれば、他の機能(歩行者、車両などの検知)のために使用されてもよい。
【0037】
第2の外部輝度センサ19は、好適には、車両のダッシュボード10の上に配置され、外側、例えば上方に向けられる。この外部輝度センサ19は、例えば、透光性の半球体の下に設置された受光ダイオードの形態をとることができ、それにより、散乱光を測定することを可能にする。こうした半球体は、実行された測定を誤らせる単発的な外乱光に起因する、輝度の変化の影響を受けないようにすることを可能にする。
【0038】
フロントガラス14に設置され、外側に向けられたカメラ22は、ビデオ画像を取得することを可能にし、このビデオ画像は、例えば、輝度、交通量の状態など、多数のデータを復元することを可能にし得る。
【0039】
図1は、車両の運転手用に、手動調整手段26も示している。この手動調整手段26は好適には、例えば、ここではハンドル12の傍など、運転手の近傍に設置される。図1に示された手動調整手段26は、輝度を手動で調整するための回転型サムホイール28と、スイッチ30とを備えており、この回転型サムホイール28は、ここでは押しボタンの形態をとっているスイッチ30を取り囲んでいる。
【0040】
図2は、本発明による制御システムを概略的に示している。示された制御システムは、輝度を評価するための手段32、輝度設定ポイントを決定するための手段34、手動調整手段26、およびディスプレイ36を備えている。図2は、運転手38との相互作用も示している。
【0041】
輝度を評価するための手段32は、例えば、図1を参照しながら説明した、第1の外部輝度センサ18と、第2の外部輝度センサ19と、内部輝度センサ20と、ディスプレイ36によって表示される輝度を測定する輝度センサ50と、カメラ22とを備えている。また、この実施形態によれば、輝度を評価するための手段32は、以下の種類のデータのうち、1つまたは複数を供給する手段とリンクされる。
【0042】
− 例えば、雨−光−気温(Rain−light−temperature:RLT)型のセンサによる、雨の有無、
− 例えば、GPS(全地球測位システム)システムなどの地理位置情報システムを使用することによる、地理位置情報、
− 例えば、内部時計、または精度を高めるために、GPSなどのシステムによって同期された時計を使用することによる、時刻、
− 例えば、RLTセンサによる、または、例えばインターネットによる外部通信経由の天候データを復元することによる、天候状況、
− 例えば、車両の前方向きのカメラ22による、ビデオ画像、
− 例えば、従来の内蔵型速度測定システムによる、またはGPSシステムによる、車両の速度。
【0043】
これらのデータは、例えば、例として予め示されたもののような、センサ、内部または外部測定システムなど、符号40の下に図2で共にグループ化されるような手段によって供給される。このデータのリストは非限定的であり、システムは、車両の前方およびディスプレイ36によって表示される画像16の向こう側となる、外部の輝度を評価するのに有用な、他の種類のデータを復元することができる。
【0044】
これらのデータの全てまたは一部を使用することにより、輝度を評価するための手段32は、車両の前方および表示された画像16の向こう側の輝度を評価する。収集された様々なデータは、表示されることになる輝度設定ポイントを決定するための手段34へと送信される。決定手段34は、輝度を評価するための様々な手段32(センサ、測定器など)からデータを復元するマイクロコントローラ42を備えている。このとき、このデータは、ディスプレイ36へと送信されることになる輝度設定ポイントを、同データから推定するために、マイクロコントローラ42のプログラムによって処理される。
【0045】
輝度設定ポイントの決定を改善するために、決定手段34は、照明状況を表すデータを含む、照明シーンデータベース44を備えている。よって、システムは、輝度を評価するための手段32によって評価された現在の状況と、データベース44に予め記憶された既存の状況との比較を行う。その結果、システムは、学習により、新たな状況を記憶することができる。データベース44は、例えば、運転手による通常および平常の移動に関して、車両が遭遇する状況を含む、地理位置情報のデータを含むこともできる。
【0046】
一例として、制御システムは、前述のリストおよび前述の輝度センサからのデータの組合せにより、以下の照明状況を予想することを可能にし得る。
【0047】
− 地理位置情報データが、車両がトンネルに将来進入する通行路、またはそのトンネルからの将来の出口を示し、また、車両の速度を認識することにより、システムが、車両がいつトンネルへと進入することになるかを把握し、その通過の瞬間に、ディスプレイ36へと送信されることになる輝度設定ポイントを決定する。トンネルの到着は、外部輝度センサ18および/またはカメラ22によって確認/否定され、
− 天候データ(RLTセンサおよび外部データ)が雪の存在を示し、輝度設定ポイントの値が、ディスプレイ36上の画像16の表示の視認性を高めるために引き上げられる、
− その他。
【0048】
輝度設定ポイントが決定手段34によってひとたび決定されると、前記輝度設定ポイントはディスプレイ36へと送信され、したがってディスプレイ36は、それに応じて、表示された画像16の輝度を変更する。これにより、画像16は、決定手段34によって自動的に決定された輝度で、運転手38によって見られ得る。この相互作用は、点線矢印46によって示されている。
【0049】
それにもかかわらず、この自動的に決定された輝度は、運転手38にとっての快適な状態に全体的に対応してない可能性がある。したがって、車両の運転手38の快適性を向上させるために、システムは、運転手38が作動させることのできる、前述された、輝度を手動で調整するための手段26を含んでいる。この調整動作は、点線矢印48によって示されている。この手動調整手段26は、異なる2つの機能のために2つの要素を備えている。
【0050】
回転型サムホイール28は、決定手段34によって初期に決定された輝度設定ポイント値の前後で、輝度の微調整を実行することを可能にする。よって、手動設定点は、輝度設定ポイントの自動決定に置き換わるものではない。この調整は単純に、可変の時間と共に、日によって、または、例えば運転手38の眼精疲労などに応じて変化し得る、当人の視覚反応や当人の快適性に従って、運転手38が、その輝度を少し適応させることを可能にする。換言すれば、この手動の微調整により、快適となる点を、輝度設定ポイントからシフトすることが可能となる。運転手38が再度手動設定を変更するか、この設定が何らかの他の理由でゼロにリセットされるまで、運転手38の視覚反応とのマッチを保持するために、このシフトは経時的に記録され、遭遇される全ての輝度設定ポイント値に適用される。
【0051】
ここでは、押しボタンの形態であるスイッチ30は、運転手38が、ディスプレイ36の動作のノーマルモードを、ディスクリートモードへと切り替えることができる。
【0052】
ディスプレイ36の動作のノーマルモードは、評価手段32によって評価された輝度に応じて、決定手段34によって(必要であれば、前述された手動の微調整を考慮に入れて)決定された、輝度設定ポイントに対応する通常の輝度を提示する。ディスプレイ36は、車両の運転手によって統合され、必要であれば、運転手38による様々なパラメータ化の対象となり得る、速度、GPS情報、走行距離などの多数の情報を含む、画像16を表示する。
【0053】
ディスプレイ36の動作のディスクリートモードは、ノーマルモードよりも低い輝度、および/または、例えば速度と緊急メッセージだけというように、画像16上に表示される情報量を低減したものを提示する。これにより、運転手38が画像16によって妨げられる場合、または運転手38がこの表示された画像16を見る必要を感じない場合、この運転手38が、最重要情報を保持しながらも、ディスプレイ36の機能の多くをすぐに解除することが可能となる。
図1
図2