特許第6573903号(P6573903)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6573903層交差パターンを製作する方法及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6573903
(24)【登録日】2019年8月23日
(45)【発行日】2019年9月11日
(54)【発明の名称】層交差パターンを製作する方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/46 20060101AFI20190902BHJP
   H05K 3/10 20060101ALI20190902BHJP
【FI】
   H05K3/46 B
   H05K3/10 D
   H05K3/46 N
【請求項の数】16
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2016-558572(P2016-558572)
(86)(22)【出願日】2015年3月25日
(65)【公表番号】特表2017-516295(P2017-516295A)
(43)【公表日】2017年6月15日
(86)【国際出願番号】IL2015050316
(87)【国際公開番号】WO2015145439
(87)【国際公開日】20151001
【審査請求日】2018年1月9日
(31)【優先権主張番号】61/969,900
(32)【優先日】2014年3月25日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513131464
【氏名又は名称】ストラタシス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ディコフスキー、ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ユドヴィン−ファーバー、アイラ
(72)【発明者】
【氏名】ドヴァシュ、エフライム
【審査官】 小林 大介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−054620(JP,A)
【文献】 特開2006−032535(JP,A)
【文献】 特開2004−055965(JP,A)
【文献】 特開2006−024768(JP,A)
【文献】 特表2012−521493(JP,A)
【文献】 特開2010−272402(JP,A)
【文献】 特開平07−040445(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 3/10
H05K 3/46
B29C 67/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
層状の物体において層交差パターンを製作する方法であって、前記方法は、付加製造システムによって実行され、
受け媒体の上にパターニング材料を分注して第1のパターン要素を形成する工程と、
前記第1のパターン要素の上に造形材料からなる第1の層と前記第1の層の上に造形材料からなる第2の層を分注する工程であってその工程は、前記第1の層の下方において前記第1のパターン要素の少なくとも一部分を露出させる第1の開放キャビティを形成しながら行われ、前記第1の開放キャビティが段付きのキャビティである、工程と、
前記段付きのキャビティ内において前記第1のパターン要素の露出部分及び前記段付きのキャビティの壁の上にパターニング材料を分注して、前記第1のパターン要素に接触する第2のパターン要素を前記段付きのキャビティの最上層の上面の下方に形成する工程と
前記段付きのキャビティの前記最上層を平らにならす工程と
を含み、それにより、前記パターニング材料の層交差パターンを形成する方法。
【請求項2】
前記第1の開放キャビティは非垂直の壁を備え、前記第1のパターン要素の露出部分の上への前記パターニング材料の分注は、前記非垂直の壁の上にも前記パターニング材料を分注することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1のキャビティの前記最上層の上と前記第1のキャビティの中とに造形材料を分注することを更に含む、請求項1及び2の何れか一項に記載の方法。
【請求項4】
前記第1のキャビティの中への造形材料の分注は、分注された前記造形材料の下方において前記第2のパターン要素の少なくとも一部分を露出したままにすることを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1のキャビティの前記最上層の上への造形材料の分注は、分注された前記造形材料の下方において前記第2のパターン要素の前記一部分を露出させる第2の開放キャビティを形成することを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第2のキャビティは、前記第1のキャビティに対して側方に配置される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第1のパターン要素の上への造形材料の分注及び前記第1のキャビティの前記最上層の上への造形材料の分注は、前記付加製造システムの異なる分注ヘッドで行われ、各ヘッドは異なる造形材料を分注する、請求項〜6の何れか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記パターニング材料の分注と前記造形材料の分注とを交互に複数回繰り返すことにより、造形材料からなる複数の層と複数のパターン要素とを形成する工程を更に含み、前記複数のパターン要素は、相互に接続されて前記複数の層と交差する連続パターンを形成する、請求項1〜7の何れか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記パターニング材料は導電性である、請求項1〜の何れか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の開放キャビティ内に電子デバイス又は電気デバイスを配置する工程を更に含み、前記パターン要素は導電性であり、前記パターン要素は前記デバイスの電気端子に接触している、請求項1〜の何れか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記パターン要素を焼結する工程を更に含む、請求項1〜10の何れか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記造形材料は焼結誘導剤を含み、前記造形材料及び前記パターニング材料の少なくとも一方の分注は、前記焼結誘導剤が前記パターニング材料と反応してパターニング要素を焼結するように行われる、請求項1〜11の何れか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記焼結誘導剤は、遊離基重合性化合物、陽イオン重合性化合物、及び陰イオン重合性化合物からなる群から選択される化合物を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記焼結誘導剤はイオン基及び対イオンを含み、前記イオン基はアクリルモノマー又は誘導体である、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記イオン基は、アクリル酸塩、メタクリル酸塩、アクリルアミド、メタクリルアミド、オリゴマー、及びポリマーからなる群から選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記焼結誘導剤は、一般式:
【化1】
を有する(メタ)アクリレート誘導体であり、式中、
XはO又はNHであり、
Yは、長さが1〜20炭素原子の置換又は非置換炭化水素鎖であり、
はH又はCHであり、
〜Rはそれぞれ独立してアルキルであり、
Zは陰イオンである、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、その幾つかの実施形態において自由造形(freeform fabrication)に関し、排他的ではないがより詳細には、層交差パターン(cross-layer pattern)を自由造形する方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
固体自由造形(SFF)は、付加形成工程(additive formation steps)を通じてコンピュータデータから直接に任意の形状の構造の製作を可能にする技術である。SFFシステムの基本動作は、三次元コンピュータモデルを薄い断面にスライスし、その結果を二次元位置データに変換し、三次元構造を層毎に製作する機器を制御するためのデータを供給することからなる。
【0003】
付加製造(AM:additive manufacturing)は、材料を層毎に分注(dispense)して最終製品を形成する幾つかの製造技法を含む。1つのAM技法は、三次元(3D)インクジェットプリントとして知られている。この技法では、一組のノズルを有する分注ヘッドから構築材料が分注されて、支持構造上に層を堆積する。その後、構築材料に応じ、適切なデバイスを使用して層を硬化又は固化することができる。構築材料は、物体を形成する造形材料と、物体が構築された状態で物体を支持する支持材料とを含むことができる。様々な三次元プリント技法が存在し、例えば、米国特許第6,259,962号明細書、同第6,569,373号明細書、同第6,658,314号明細書、同第6,850,334号明細書、同第7,183,335号明細書、同第7,209,797号明細書、同第7,300,619号明細書、同第7,225,045号明細書、同第7,500,846号明細書、米国特許出願公開第20050104241号明細書、及び同第20060054039号明細書において開示されており、全て同じ譲受人であり、それらの開示は参照により本明細書中に援用される。
【0004】
平坦な基板上に二次元(2D)導電性要素をプリントする堆積及びプリント方法もすでに知られている。例えば、米国特許第8,534,787号明細書には、物体の上を移動するジェットプリントヘッドを収容したプリントブリッジが開示されている。ジェットプリントヘッドは、第1の種類の物質を物体の表面に噴射する第1のジェットノズルと、第2の種類の物質を物体の表面に噴射する第2のジェットノズルとを備える。第1の種類の物質は、はんだマスクパターンのプリントに利用され、第2の種類の物質は、レジェンドパターンのプリントに利用される。
【0005】
発明の概要
本発明の幾つかの実施形態の態様によれば、層状の物体(layered object)において層交差パターンを製作する方法が提供される。その方法は、付加製造システム(additive manufacturing system)によって実行され、受け媒体の上にパターニング材料を分注して第1のパターン要素を形成する工程と、第1のパターン要素の上に造形材料からなる第1の層を分注する工程であって、その工程は、前記第1の層の下方において前記第1のパターン要素の少なくとも一部分を露出させる第1の開放キャビティを形成しながら行われることと、前記第1のパターン要素の露出部分及び第1の層の上にパターニング材料を分注して、前記第1のパターン要素に接触する第2のパターン要素を形成し、それにより、前記パターニング材料の層交差パターンを形成する工程とを含む。
【0006】
本発明の幾つかの実施形態によれば、前記第1の開放キャビティは非垂直の壁を備え、前記第1のパターン要素の露出部分の上への前記パターニング材料の分注は、前記非垂直の壁の上にも前記パターニング材料を分注することを含む。
【0007】
本発明の幾つかの実施形態によれば、前記方法は、前記第1の層の上に造形材料からなる第2の層を分注することを含む。
本発明の幾つかの実施形態によれば、前記第2の層の分注は、前記第2の層の下方において前記第2のパターン要素の少なくとも一部分を露出したままにすることを含む。
【0008】
本発明の幾つかの実施形態によれば、前記第2の層の分注は、前記第2の層に第2の開放キャビティを形成し、それにより、前記第2の層の下方において前記第2のパターン要素の前記一部分を露出させることを含む。
【0009】
本発明の幾つかの実施形態によれば、前記第2の層の分注は、前記パターニング材料を分注して前記第2のパターン要素を形成する前に行われる。
本発明の幾つかの実施形態によれば、前記第2の層の分注は、前記第1のキャビティを深く広くするように行われる。
【0010】
本発明の幾つかの実施形態によれば、前記第2の層の分注は、前記第1のキャビティに段付きの壁を形成するように行われる。
本発明の幾つかの実施形態によれば、前記第2のパターン要素を形成するための前記パターニング材料の分注は、前記第2のパターン要素が全体的に前記第2の層の上面の下方となるようにして行われる。
【0011】
本発明の幾つかの実施形態によれば、前記第2のパターン要素を形成するための前記パターニング材料の分注は、前記第2のパターン要素が全体的に前記第2の層の上面の下方となるようにして行われる。
【0012】
本発明の幾つかの実施形態によれば、前記方法は、パターニング材料を分注して前記第2のパターンを形成するのに引き続き、前記第2の層を平らにならす工程を含む。
本発明の幾つかの実施形態によれば、前記第2の層の分注は、造形材料によって前記第1のキャビティを充填することを含む。
【0013】
本発明の幾つかの実施形態によれば、第1の層の分注及び第2の層の分注は、前記付加製造システムの異なる分注ヘッドで行われ、各ヘッドは異なる造形材料を分注する。
本発明の幾つかの実施形態によれば、前記方法は、パターニング材料の分注と造形材料からなる前記層の分注とを交互に複数回繰り返すことにより、造形材料からなる複数の層と複数のパターン要素とを形成する工程を含み、前記複数のパターン要素は、相互に接続されて前記複数の層と交差する連続パターンを形成する。
【0014】
本発明の幾つかの実施形態によれば、前記複数の層のうちの少なくとも2つは、前記付加製造システムの異なる分注ヘッドによって分注され、各ヘッドは異なる造形材料を分注する。
【0015】
本発明の幾つかの実施形態によれば、前記パターニング材料は導電性である。
本発明の幾つかの実施形態によれば、前記パターニング材料は導電性インクを含む。
本発明の幾つかの実施形態によれば、前記パターン要素のそれぞれの厚さは、前記層の厚さの少なくとも1/2である。
【0016】
本発明の幾つかの実施形態によれば、前記方法は、前記キャビティ内に電子デバイス又は電気デバイスを配置する工程を含み、前記パターン要素は導電性であり、前記パターン要素はデバイスの電気端子に接触している。
【0017】
本発明の幾つかの実施形態によれば、前記方法は、パターン要素を焼結する工程を含む。
本発明の幾つかの実施形態によれば、前記焼結は、熱焼結、フォトニック焼結、プラズマ焼結、及びマイクロ波焼結からなる群から選択される技法によって行われる。
【0018】
本発明の幾つかの実施形態によれば、前記造形材料は焼結誘導剤を含み、前記造形材料及び/又は前記パターニング材料の分注は、前記焼結誘導剤がパターニング材料と反応してパターニング要素を焼結するように行われる。
【0019】
本発明の幾つかの実施形態によれば、前記焼結誘導剤は、遊離基重合性化合物、陽イオン重合性化合物、及び陰イオン重合性化合物からなる群から選択される化合物を含む。
本発明の幾つかの実施形態によれば、前記焼結誘導剤はイオン基及び対イオンを含み、前記イオン基はアクリルモノマー又は誘導体である。
【0020】
本発明の幾つかの実施形態によれば、前記焼結誘導剤は塩である。
本発明の幾つかの実施形態によれば、前記方法は、前記対イオンが陰イオン性であり、前記イオン基が陽イオン性であることを含む。
【0021】
本発明の幾つかの実施形態によれば、前記対陰イオンは、ハロゲン陰イオン、硫酸塩陰イオン、過塩素酸塩陰イオン、塩素酸塩陰イオン、硝酸塩陰イオン、カルボン酸塩陰イオン、p−トルエンスルホン酸塩陰イオン、及びアルカンスルホン酸塩陰イオンからなる群から選択される。
【0022】
本発明の幾つかの実施形態によれば、前記対陰イオンは、塩化物、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、カルボン酸塩、及びハロゲンからなる群から選択される。
本発明の幾つかの実施形態によれば、前記対陰イオンは塩化物である。
【0023】
本発明の幾つかの実施形態によれば、前記方法は、前記イオン基がアクリル酸塩、メタクリル酸塩、アクリルアミド、メタクリルアミド、オリゴマー、及びポリマーからなる群から選択されることを含む。
【0024】
本発明の幾つかの実施形態によれば、前記陽イオン基は第4級アンモニウム基である。
本発明の幾つかの実施形態によれば、前記陽イオン基は、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)、陽イオン性に帯電したポリイミド、ポリエチレンイミン、及びポリピロールからなる群から選択される。
【0025】
本発明の幾つかの実施形態によれば、前記焼結誘導剤は、一般式:
【0026】
【化1】
を有する(メタ)アクリレート誘導体であり、式中、XはO又はNHであり、Yは、長さが1〜20炭素原子の置換又は非置換炭化水素鎖であり、RはH(この場合、前記塩はアクリル酸塩誘導体である)又はCH(この場合、前記塩はメタクリル酸塩誘導体である)であり、R〜Rはそれぞれ独立してアルキルであって、オプションとしてC1〜4アルキルであり、Zは陰イオンである。本発明の幾つかの実施形態によれば、Yは非置換炭化水素鎖である。本発明の幾つかの実施形態によれば、R〜Rはそれぞれ独立してメチル又はエチルである。本発明の幾つかの実施形態によれば、R〜Rはそれぞれメチルである。
【0027】
本発明の幾つかの実施形態によれば、前記焼結誘導剤は、アクリル酸塩、トリメチルアンモニウムメチルメタクリル塩化物、3−トリメチルアンモニウムプロピルメタクリルアミド塩化物、アクリルアミドからなる群から選択される。
【0028】
本発明の幾つかの実施形態の態様によれば、コンピュータソフトウェア製品が提供される。コンピュータソフトウェア製品は、プログラム命令が記憶されたコンピュータ可読媒体を備え、命令は、付加製造システムのコンピュータ化されたコントローラによって読み出されると、上述した方法及びオプションとして好ましくは以下に更に詳述する方法を前記システムに実行させる。
【0029】
本発明の幾つかの実施形態の態様によれば、付加製造によって層状の物体において層交差パターンを製作するシステムが提供される。そのシステムは、コントローラと複数の分注ヘッドとを備え、少なくとも1つの分注ヘッドは造形材料を分注するように構成され、少なくとも1つの分注ヘッドはパターニング材料を分注するように構成され、前記コントローラは、前記分注ヘッドを動作させることにより、受け媒体の上にパターニング材料を分注して第1のパターン要素を形成し、かつ、造形材料からなる第1の層の下方において前記第1のパターン要素の少なくとも一部分を露出させる第1の開放キャビティを形成しながら前記第1のパターン要素の上に前記第1の層を分注し、かつ、前記第1のパターン要素の露出部分及び前記第1の層の上にパターニング材料を分注して、前記第1のパターン要素に接触する第2のパターン要素を形成するように構成される。
【0030】
本発明の幾つかの実施形態によれば、前記第1の開放キャビティは非垂直の壁を備え、前記コントローラは、前記分注ヘッドを動作させることにより、前記非垂直の壁の上にも前記パターニング材料を分注するように構成される。
【0031】
本発明の幾つかの実施形態によれば、前記非垂直の壁は平坦である。本発明の幾つかの実施形態によれば、前記非垂直の壁は湾曲している。
本発明の幾つかの実施形態によれば、前記コントローラは、前記分注ヘッドを動作させることにより、前記第1の層の上に造形材料からなる第2の層を分注するように構成される。
【0032】
本発明の幾つかの実施形態によれば、前記コントローラは、前記分注ヘッドを動作させることにより、前記第2の層の下方において前記第2のパターン要素の少なくとも一部分を露出したままにしながら前記第2の層を分注するように構成される。
【0033】
本発明の幾つかの実施形態によれば、前記コントローラは、前記分注ヘッドを動作させることにより、前記第2の層に第2の開放キャビティを形成し、それによって、前記第2の層の下方において前記第2のパターン要素の前記一部分を露出させるように構成される。
【0034】
本発明の幾つかの実施形態によれば、前記コントローラは、前記分注ヘッドを動作させることにより、前記パターニング材料を分注して前記第2のパターン要素を形成する前に前記第2の層を分注するように構成される。
【0035】
本発明の幾つかの実施形態によれば、前記コントローラは、前記分注ヘッドを動作させることにより、前記第2の層を分注して前記第1のキャビティを深く広くするように構成される。
【0036】
本発明の幾つかの実施形態によれば、前記コントローラは、前記分注ヘッドを動作させることにより、前記第2の層を分注して第1のキャビティに段付きの壁を形成するように構成される。
【0037】
本発明の幾つかの実施形態によれば、前記コントローラは、前記分注ヘッドを動作させることにより、前記パターニング材料を分注して前記第2のパターン要素を形成し、前記第2のパターン要素が全体的に前記第2の層の上面の下方となるように構成される。
【0038】
本発明の幾つかの実施形態によれば、前記システムは、前記第2の層を平らにならすように構成される水平化デバイスを備え、前記コントローラは、前記パターニング材料を分注して前記第2のパターンを形成するのに引き続き、前記水平化デバイスを動作させるように構成される。
【0039】
本発明の幾つかの実施形態によれば、前記コントローラは、造形材料によって前記第1のキャビティを充填するように構成される。
本発明の幾つかの実施形態によれば、前記第2のキャビティは、前記第1のキャビティに対して側方に配置される。
【0040】
本発明の幾つかの実施形態によれば、前記第1の層及び前記第2の層は、前記システムの異なる分注ヘッドによって分注され、各ヘッドは異なる造形材料を分注する。
本発明の幾つかの実施形態の態様によれば、付加製造によって製造される物体が提供され、その物体は、造形材料からなる複数の層と複数のパターン要素とを含み、前記複数のパターン要素は、相互に接続されて前記複数の層と交差する。
【0041】
本発明の幾つかの実施形態によれば、前記複数のパターン要素は導電性である。
本発明の幾つかの実施形態によれば、前記複数のパターン要素のうちの少なくとも1つは、造形材料からなる層の端部において周囲環境に露出する。
【0042】
本発明の幾つかの実施形態によれば、前記物体は、前記物体内に埋め込まれる電子デバイス又は電気デバイスを備え、前記パターン要素は導電性であり、前記パターン要素のうちの少なくとも1つは前記デバイスの電気端子に接触する。
【0043】
本発明の幾つかの実施形態によれば、前記物体は、電子回路内の構成要素であるか、あるいは構成要素として機能する。
別に定義される場合を除き、本明細書中使用される全ての技術用語及び/又は科学用語は、本発明が関連する分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書中に記載される方法及び材料と同様又は同等の方法及び材料が、本発明の実施形態の実施又は試験に使用可能であるが、例示的な方法及び/又は材料を以下に説明する。競合する場合には、定義を含めて、本明細書が優先される。なお、材料、方法、及び例は単なる例示であり、必ずしも限定としては意図されない。
【0044】
本発明の実施形態の方法及び/又はシステムの実施態様は、選択されたタスクを手動で、自動的に、又はそれらの組み合わせで実行又は完了することを含むことができる。さらに、本発明の方法及び/又はシステムの実施形態の実際の器具及び機器により、幾つかの選択されたタスクは、ハードウェアにより、ソフトウェアにより、ファームウェアにより、又はオペレーティングシステムを使用してそれらの組み合わせにより、実施することができる。
【0045】
例えば、本発明の実施形態により、選択されたタスクを実行するハードウェアは、チップ又は回路として実施することができる。ソフトウェアとして、本発明の実施形態による、選択されたタスクは、任意の適切なオペレーティングシステムを使用して、コンピュータによって実行される複数のソフトウェア命令として実施することができる。本発明の例示的な実施形態では、本明細書中に記載される方法及び/又はシステムの例示的な実施形態による1つ又は複数のタスクは、複数の命令を実行する計算プラットフォーム等のデータプロセッサによって実行される。オプションとして、データプロセッサは、命令及び/又はデータを記憶する揮発性メモリ及び/又は命令及び/又はデータを記憶する不揮発性ストレージ、例えば、磁気ハードディスク及び/又はリムーバブルメディアを含む。オプションでネットワーク接続も同様に提供される。ディスプレイ及び/又はキーボード又はマウス等のユーザ入力デバイスも同様にオプションとして提供される。
【0046】
本発明の幾つかの実施形態は、添付図面を参照して、単なる例として本明細書中に記載されている。これより特に図面を詳細に参照して、示される詳細が例としてのものであり、本発明の実施形態を説明のために考察することを目的とすることを強調する。これに関して、図面と共に解釈される説明は、本発明の実施形態をいかに実施し得るかを当業者に明らかにするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0047】
【特許文献1】米国特許第6,259,962号明細書
【特許文献2】米国特許第6,569,373号明細書
【特許文献3】米国特許第6,658,314号明細書
【特許文献4】米国特許第6,850,334号明細書
【特許文献5】米国特許第7,183,335号明細書
【特許文献6】米国特許第7,209,797号明細書
【特許文献7】米国特許第7,300,619号明細書
【特許文献8】米国特許第7,225,045号明細書
【特許文献9】米国特許第7,500,846号明細書
【特許文献10】米国特許出願公開第20050104241号明細書
【特許文献11】米国特許出願公開第20060054039号明細書
【特許文献12】米国特許第8,534,787号明細書
【図面の簡単な説明】
【0048】
図1A】本発明の幾つかの実施形態による付加製造システムの高度概略ブロック図。
図1B】本発明の幾つかの実施形態による付加製造システムの高度概略ブロック図。
図2】本発明の幾つかの実施形態による、別個の分注ブロックを有する付加製造システムの高度概略ブロック図。
図3】本発明の幾つかの実施形態による、非導電性物体内に導電性パターンを製作するのに適した方法のフローチャート図。
図4A】本発明の実施形態による、付加製造プロセスの中間製品の概略図。
図4B】本発明の実施形態による、付加製造プロセスの中間製品の概略図。
図4C】本発明の実施形態による、付加製造プロセスの中間製品の概略図。
図4D】本発明の実施形態による、付加製造プロセスの中間製品の概略図。
図4E】本発明の幾つかの実施形態による、内部に埋め込まれた電子デバイスを含む3D物体の概略図。
図5】本発明の幾つかの実施形態による、段付きのキャビティを形成することにより導電性パターンを製作するのに適した方法のフローチャート図。
図6】本発明の幾つかの実施形態による、段付きのキャビティが形成される付加製造プロセスの中間製品の概略図。
【発明を実施するための形態】
【0049】
本発明は、その幾つかの実施形態において、自由造形に関し、排他的ではないがより詳細には、層交差パターンを自由造形する方法及びシステムに関する。
本発明の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、以下の説明に記載され且つ/あるいは図面及び/又は実施例に示される構成要素及び/又は方法の構造及び構成の詳細に本発明の適用が必ずしも限定されるわけではないことを理解されたい。本発明は、他の実施形態が可能であるか、あるいは様々な方法で実施若しくは実行することが可能である。
【0050】
本実施形態の方法及びシステムは、物体の形状に対応する構成パターンで複数の層を形成することにより、層毎のコンピュータ物体データに基づいて三次元物体を製造する。コンピュータ物体データは、限定ではないが、標準テッセレーション言語(STL)若しくはステレオリソグラフィ輪郭線(SLC)形式、仮想現実モデリング言語(VRML)、付加製造ファイル(AMF)形式、図面交換形式(DXF)、ポリゴンファイル形式(PLY)、又はコンピュータ支援設計(CAD)に適した任意の他の形式などの任意の既知の形式であることができる。
【0051】
本明細書中で使用される場合、「物体」という用語は、物体全体又はその部分を指す。
各層は、二次元サーフェスをスキャンしてそれをパターン化する付加製造装置によって形成される。スキャン中、装置は二次元の層すなわちサーフェス上の複数の目標位置を訪れ、目標位置毎又は目標位置のグループ毎に、目標位置又は目標位置のグループが構築材料によって占められるべきか否か、またどの種類の構築材料をそこに送達すべきかを判断する。この判断は、サーフェスのコンピュータ画像に従って行われる。
【0052】
本発明の好ましい実施形態では、AMは、三次元プリント、より好ましくは三次元インクジェットプリントを含む。これらの実施形態では、構築材料は、支持構造体の上に構築材料を層状に堆積させる一組のノズルを有する分注ヘッドから分注される。したがって、AM装置は、占められるべき目標位置に構築材料を分注し、他の目標位置には空洞を残す。装置は通常、複数の分注ヘッドを含み、各分注ヘッドは異なる構築材料を分注するように構成することができる。したがって、異なる目標位置を異なる構築材料で占めることができる。構築材料の種類は、2つの主なカテゴリに分類することができる。造形材料と支持材料である。支持材料は、製作プロセス中、物体又は物体の部分を支持する支持母材又は構造物として、及び/又は他の目的で、例えば、中空又は多孔物体を提供するものとして機能する。支持構造体は、例えば、より一層の支持強度のために、造形材料要素を更に含み得る。
【0053】
造形材料は一般に、付加製造での使用のために調合された組成物であり、それ自体で、すなわち他の物質と混合したり組み合わせたりしなくても、三次元物体を形成することが可能な組成物である。
【0054】
最終的な三次元物体は、造形材料、複数の造形材料の組み合わせ、造形材料と支持材料との組み合わせ、あるいはそれを改質したもの(例えば、硬化後)で作られている。これら全ての働きは、固体自由造形の分野の当業者にとって周知である。
【0055】
本発明の幾つかの例示的な実施形態では、物体は、2つ以上の異なる造形材料を分注することによって製造され、各材料はAMの異なる分注ヘッドからのものである。それらの材料は、オプションとして、好ましくはプリントヘッドの同じパス中に層状に堆積される。層内の材料及び材料の組み合わせは、物体の所望の特性に従って選択される。
【0056】
本発明の幾つかの実施形態による、物体112のAMに適したシステム110の代表的で非限定的な例を図1A及び図1Bに示す。システム110は、複数の分注ヘッドを含む分注ユニット121を有する付加製造装置114を含む。各ヘッドは、好ましくは、図1Bに示されるように、1つ又は複数のノズル122のアレイを備え、ノズルを通じて液体構築材料124が分注される。
【0057】
拘束するものではないが、好ましくは、装置114は三次元プリント装置であり、その場合、分注ヘッドはプリントヘッドであり、構築材料はインクジェット技術により分注される。用途によっては、付加製造装置が三次元プリント技法を利用する必要のないことがあるため、必ずしもこれに該当する必要はない。本発明の例示的な様々な実施形態により意図される付加製造装置の代表的な例としては、限定ではないが、熱溶解積層装置及び熱溶解材料堆積装置が挙げられる。
【0058】
各分注ヘッドは、オプションとして、好ましくは構築材料リザーバを介して供給を受け、このリザーバは、オプションとして、温度制御ユニット(例えば、温度センサ及び/又は加熱デバイス)及び材料液位センサを含み得る。構築材料を分注するために、分注ヘッドに電圧信号が与えられて、例えば圧電インクジェットプリント技術の場合のように、分注ヘッドノズルにより材料の液滴を選択的に堆積させる。各ヘッドの分注速度は、ノズルの数、ノズルの種類、及び与えられる電圧信号の速度(周波数)に依存する。このような分注ヘッドは、固体自由造形の分野の当業者にとってすでに知られている。
【0059】
拘束するものではないが、好ましくは、分注ノズル又はノズルアレイの全体数は、分注ノズルの半分が支持材料の分注に割り当てられて、分注ノズルの半分が造形材料の分注に割り当てられる。すなわち、造形材料を噴射するノズルの数が、支持材料を噴射するノズルの数と同じであるように選択される。図1Aの代表的な例では、4つの分注ヘッド121a,121b,121c及び121dが示されている。各ヘッド121a,121b,121c及び121dは、ノズルアレイを有する。この例では、ヘッド121a及び121bを造形材料用に割り当てることができ、ヘッド121c及び121dを支持材料用に割り当てることができる。したがって、ヘッド121aは第1の造形材料を分注することができ、ヘッド121bは第2の造形材料を分注することができ、ヘッド121c及び121dは両方とも支持材料を分注することができる。代替の実施形態では、ヘッド121c及び121dを、例えば支持材料を分注する2つのノズルアレイを有する1つのヘッドに組み合わせてもよい。
【0060】
また、本発明の範囲を限定することを意図するものではないが、造形材料分注ヘッド(造形ヘッド)の数と支持材料分注ヘッド(支持ヘッド)の数が異なってもよいことを理解されたい。一般に、造形ヘッドの数、支持ヘッドの数、及び各ヘッド又はヘッドアレイ内のノズルの数は、支持材料の最大分注速度と造形材料の最大分注速度の間の所定の比率aを提供するように選択される。所定の比率aの値は、好ましくは、それぞれの形成された層における造形材料の高さが支持材料の高さに等しいことを保証するように選択される。aの典型的な値は約0.6〜約1.5である。
【0061】
本明細書中で使用される場合、「約」という用語は±10%のことをいう。
例えば、a=1の場合、全ての造形ヘッド及び支持ヘッドが動作するとき、支持材料の全体の分注速度は一般に、造形材料の全体の分注速度と同じである。
【0062】
好ましい実施形態では、p個のノズルからなるm個のアレイをそれぞれ有するM個の造形ヘッドと、q個のノズルからなるs個のアレイをそれぞれ有するS個の支持ヘッドとがあり、M×m×p=S×s×qである。M×m個の造形アレイ及びS×s個の支持アレイのそれぞれは、アレイのグループに対して着脱可能な別個の物理的ユニットとして製造することができる。この実施形態では、そのような各アレイは、オプションとして、好ましくはそれ自体が温度制御ユニット及び材料レベルセンサを備え、その動作を個々に制御する電圧を受け取る。
【0063】
装置114は硬質化デバイス324を更に備えることができ、硬質化デバイス324は、堆積した材料を硬質化させることのできる光、熱等を発するように構成される任意のデバイスを含むことができる。例えば、硬質化デバイス324は1つ又は複数の放射源を含むことができ、放射源は、使用されている造形材料に応じ、例えば紫外線ランプ、可視ランプ、赤外線ランプ、他の電磁放射源、又は電子ビーム源であることができる。本発明の幾つかの実施形態では、硬質化デバイス324は、造形材料を硬化又は固化させるように機能する。
【0064】
分注ヘッド及び放射源は、好ましくは、フレームすなわちブロック128に搭載され、フレームすなわちブロック128は、好ましくは、作業面として機能するトレイ360上で往復運動するように動作可能である。本発明の幾つかの実施形態では、放射源はブロックに搭載されて、分注ヘッドの後を辿り、分注ヘッドによって分注されたばかりの材料を少なくとも部分的に硬化又は固化させる。トレイ360は水平に位置決めされる。一般的に、X−Y平面がトレイ360と平行になるようなX−Y−Zデカルト座標系が選択される。トレイ360は、好ましくは、垂直に(Z方向に沿って)、典型的には下方に移動するように構成される。本発明の例示的な様々な実施形態では、装置114は、1つ又は複数の水平化デバイス132、例えばローラ326を更に備える。水平化デバイス326は、新たに形成された層を、その層の上に後続の層が形成される前に、真っ直ぐにし、平らにならし、且つ/あるいは層の厚さを確定するように機能する。水平化デバイス326は、好ましくは、ならし中に生じる余剰の材料を収集する廃物収集デバイス136を備える。廃物収集デバイス136は、材料を廃物タンク又は廃物カートリッジに送る任意の機構を備えてもよい。
【0065】
使用に当たり、ユニット121の分注ヘッドは、本明細書においてX方向と呼ばれるスキャン方向に移動し、トレイ360上を通過する間の所定の配置において構築材料を選択的に分注する。構築材料は通常、1つ又は複数の種類の支持材料と1つ又は複数の種類の造形材料とを含む。ユニット121の分注ヘッドが通過した後には、放射源126による造形材料の硬化が続く。堆積したばかりの層の開始点に戻るための逆方向のヘッドの通過において、所定の配置に従って構築材料の更なる分注を実行してもよい。分注ヘッドの順方向の通過及び/又は逆方向の通過において、こうして形成される層を水平化デバイス326によって真っ直ぐにしてもよく、水平化デバイス326は、好ましくは、順方向の移動及び/又は逆方向の移動において分注ヘッドのパスを辿る。分注ヘッドは、X方向に沿って開始点に戻ると、本明細書においてY方向と呼ばれる改行方向に沿って別の位置に移動し、X方向に沿った往復運動により、同じ層を引き続き構築し得る。あるいは、分注ヘッドは、前方向移動と逆方向移動との間で、又は2つ以上の順方向−逆方向移動の後に、Y方向に移動し得る。1つの層を完成する分注ヘッドによって実行される一連のスキャンは、本明細書中において1つのスキャンサイクルと呼ばれる。
【0066】
層が完成すると、トレイ360は、続けてプリントすべき層の所望の厚さに従って、所定のZ高さまでZ方向に下降する。この手順が繰り返されて、層毎に三次元物体112を形成する。
【0067】
別の実施形態において、トレイ360は、層内で、ユニット121の分注ヘッドの順方向の通過と逆方向の通過との間においてZ方向に変位し得る。このようなZ変位は、ある方向において水平化デバイスをサーフェスと接触させ、他の方向では接触を回避するように実行される。
【0068】
システム110は、オプションとして、好ましくは構築材料供給システム330を備え、構築材料供給システム330は、構築材料容器すなわちカートリッジを備え、複数の構築材料を製作装置114に供給する。
【0069】
制御ユニット340は製作装置114を制御し、オプションとして、好ましくは供給システム330も制御する。制御ユニット340は通常、制御動作を実行するように構成される電子回路を含む。制御ユニット340は、好ましくはデータプロセッサ154と通信し、データプロセッサ154は、例えば標準テッセレーション言語(STL)形式等の形態でコンピュータ可読媒体上に表されるCAD構成のようなコンピュータ物体データに基づいて、製作命令に関するデジタルデータを送信する。通常、制御ユニット340は、各分注ヘッド又はノズルアレイに印加される電圧と、各プリントヘッド内の構築材料の温度とを制御する。
【0070】
製造データが制御ユニット340にロードされると、ユーザの介入なしで動作することができる。幾つかの実施形態では、制御ユニット340は、例えばデータプロセッサ154を使用して、あるいはユニット340と通信するユーザインターフェース116を使用して、オペレータからの追加の入力を受信する。ユーザインターフェース116は、キーボード、タッチスクリーン等であるが、これらに限定されない、当分野で既知の任意の種類のものであることができる。例えば、制御ユニット340は、追加の入力として、色、特性歪み及び/又は遷移温度、粘度、電気特性、磁気特性等であるが、これらに限定されない1つ又は複数の構築材料の種類及び/又は特性を受信することができる。他の特性及び特性のグループも意図される。
【0071】
幾つかの実施形態は、異なる材料を異なる分注ヘッドから分注することによる物体の製作を意図する。これらの実施形態は、とりわけ、所与の数の材料から材料を選択する能力を提供し、選択された材料とそれらの特性との所望の組み合わせを定義する。本実施形態によれば、層を用いての各材料の堆積の空間的ロケーションは、異なる材料による異なる三次元空間ロケーションの占有を行うか、又は堆積後、層内で材料を空間的に結合することができ、それにより、各ロケーション又は複数のロケーションで複合材料を形成するように、2つ以上の異なる材料による略同じ三次元ロケーション若しくは隣接する三次元ロケーションの占有を行うように、定義される。
【0072】
造形材料を堆積させた後に結合又は混合することが意図されている。例えば、特定の材料は、堆積した後、元の特性を維持し得る。しかし、別の造形材料又は同じ若しくは付近のロケーションに分注される他の分注材料と同時に分注した場合、分注された材料とは異なる1つ又は複数の特性を有する複合材料が形成される。
【0073】
したがって、本実施形態は、広範囲の材料の組み合わせを堆積させることと、材料の複数の異なる組み合わせからなる物体を、その物体の各部分を特徴付けるのに望ましい特性に従ってその物体の異なる部分ごとに製作することとが可能である。
【0074】
システム110等のAMシステムの原理及び動作についての更なる詳細は、米国特許出願公開第20100191360号明細書に見出され、この米国特許出願公開の内容は参照により本明細書中に援用される。
【0075】
本発明の幾つかの実施形態では、AMシステムは、造形材料及びパターニング材料を選択的に分注して、層交差パターンを形成するように動作する。造形材料は、好ましくは非導電性材料(例えば、硬化性ポリマー)であり、パターニング材料は、好ましくは導電性材料である。この好ましい実施形態では、AMシステムは、層の堆積中に形成される導電性パターンを有する層状の3D物体を形成するように動作する。幾つかの実施形態では、パターニング材料は熱伝導性材料であり、その場合、熱伝導性の接続が3D物体内に形成される。本実施形態の方法は、水平方向(水平面内又は水平面に平行)、水平面に対して傾斜した方向、及び垂直方向(水平方向に垂直)を含め、任意の方向に沿ったパターニング材料のセグメント(例えば、導電性セグメント)の形成に使用することができる。
【0076】
幾つかの実施形態では、マイクロチップ、電池、ランプ、又はPCB等の電気的又は電子的構成要素は、構築材料の堆積中に電気接点を形成する導電性材料を選択的に堆積させることにより、電気デバイス又は電子構成要素への電気的接続を作成しながら、堆積プロセス中に3D物体内部に挿入することができる。
【0077】
パターニング材料は、好ましくは断続的に分注されて、相互に接続された複数のパターン要素(例えば、相互に接続された複数の導電性要素)を形成する。各パターン要素の厚さは、好ましくは構築材料の堆積層の厚さとは異なる。通常、パターン要素の厚さは、上又は下にパターン要素が分注される造形材料層の厚さの少なくとも1/2、少なくとも1/3、少なくとも1/5、少なくとも1/10、少なくとも1/50、少なくとも1/100、少なくとも1/500、あるいは少なくとも1/1000である。例えば、構築(造形又は支持)材料の層は、厚さ5〜1000μm、より好ましくは10〜100μm、より好ましくは10〜50μmを有し、一方、パターン要素は、厚さ0.1〜100μm、より好ましくは0.1〜10μm、より好ましくは0.1〜5μm、より好ましくは0.1〜3μmを有する。
【0078】
分注された造形材料(例えば、非導電性領域を形成するための)は、パターニング材料(例えば、導電性パターンの形成に使用される)とは異なる。造形材料は、好ましくはAMシステムの作業温度(必ずしもそうであるわけではないが、通常、約40℃〜約100℃、例えば約75℃)で約10cPs〜約15cPsの粘度を有する。パターニング材料は、オプションとして、好ましくは液体溶媒中に分散した導電性粒子を含む導電性インクである。溶媒が蒸発すると、このインクが占める領域の厚さは低減し、例えば、0.1〜3μmの上述した厚さ範囲にまで低減する。
【0079】
本発明の好ましい様々な実施形態において、構築材料の堆積後プロセスは、パターニング材料の堆積後プロセスとは異なる。例えば、構築(造形、支持)材料は通常、更に詳細に上述したように、分注後に硬質化又は硬化される。パターニング材料は、乾燥させて溶媒を蒸発させることができる。パターニング材料が、液体溶媒中に分散した導電性粒子を含む導電性インクである場合、乾燥すると導電性が低下することがあり、それは、粒子間に絶縁層を形成する導電性インク中の安定剤等の様々な成分の存在に起因する。これらの場合、導電性インクは、好ましくは焼結もして内部の導電性粒子を固化する。
【0080】
パターニング材料及び構築材料に異なる堆積後分注プロセスが利用される場合、AMシステムは、好ましくは、図2を参照して以下に説明するように、別個の分注ブロックを含む。あるいは、構築材料及びパターニング材料は、同じ分注ブロック(異なる分注ヘッドからにもかかわらず)を使用して分注することができ、その場合、分注ブロックは、好ましくは、非導電性領域を硬化させる硬質化デバイス324及び導電性領域から液体を蒸発させる乾燥デバイス325の両方を含む。これらの実施形態では、硬質化デバイス324及び乾燥デバイス325は、分注されている材料の種類に応じて、制御ユニット340によって選択的に操作される。
【0081】
図2は、オプションとして、好ましくは第1のプリントブロック310、第2のプリントブロック320、供給システム330、1つ又は複数のコントローラ340、ユーザインターフェース350、及び製作プラットフォームすなわちトレイ360を含んだAMシステム300を示す。1つ又は複数のコントローラ340は、システム300の他の全ての要素を制御するように構成し得る。
【0082】
第1のブロック310は、パターニング材料(例えば、導電性インク)を分注してパターンを形成する1つ又は複数の分注ヘッド312を含み得る。分注ヘッド312の原理及び動作は、構築材料の代わりにパターニング材料を分注するように構成された分注ヘッド112a〜112dに関して上述したものと同様であり得る。ブロック312は、導電性インクを乾燥させて溶媒を蒸発させる乾燥デバイス314を更に含み得る。乾燥デバイス314は、レーザビーム、紫外線(UV)ランプ、加熱板等を含み得る。オプションとして、ブロック312は、導電性インクを焼結する焼結デバイス313を含み得る。デバイス313は、熱焼結、フォトニック焼結、プラズマ焼結、及びマイクロ波焼結を含むが、これらに限定されない任意の種類の放射線ベース又は熱ベースの焼結を適用するように構成することができる。特に、熱焼結の適用が望ましい場合には、デバイス313は、加熱器(例えば、赤外線放射源)を含むことができ、フォトニック焼結の適用が望ましい場合には、デバイス313は光源を含み、プラズマ焼結の適用が望ましい場合には、デバイス313はプラズマ源を含み、マイクロ波焼結の適用が望ましい場合には、デバイス313はマイクロ波源を含む。以下に更に詳述するように、化学的焼結が利用される実施形態も意図されており、その場合、ブロック310が焼結デバイスを含む必要はない。
【0083】
第2のブロック320は、1つ又は複数のプリントヘッド322と、1つ又は複数の硬質化、固化、又は硬化デバイス324と、1つ又は複数の水平化デバイス326とを含み得る。分注ヘッド322の原理及び動作は、分注ヘッド112a〜112dに関連して上述したものと同様であることができる。
【0084】
供給システム330は、構築材料をヘッド322に提供し、パターニング材料をヘッド312に提供するように構成される2つ以上の材料容器すなわちカートリッジを含み得る。幾つかの実施形態では、供給システム330に含まれる異なる容器からの2つ以上の材料が、重複し得るが混合はしないトレイ上で互いに隣接する異なるヘッド312及び/又は322からそれぞれ堆積され得る。
【0085】
1つ又は複数のコントローラ340のそれぞれは、例えば、中央演算処理装置(CPU)、チップ、又は任意の適切な計算デバイス若しくは計算的デバイスであり得るプロセッサ342と、メモリ344と、記憶ユニット346とを含み得る。例えば、プロセッサ342は、所望の方向のブロック310及び/又は320の移動を制御し得る。メモリ344は、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、ダイナミックRAM(DRAM)、同期DRAM(SD−RAM)、ダブルデータレート(DDR)メモリチップ、フラッシュメモリ、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、キャッシュメモリ、バッファ、短期メモリユニット、長期メモリユニット、又は他の適切なメモリユニット若しくは記憶ユニットを含み得る。メモリ344は、複数のメモリユニット、場合によっては複数の異なるメモリユニットであってもよく、あるいは、複数のメモリユニット、場合によっては複数の異なるメモリユニットを含むものであってもよい。
【0086】
1つ又は複数のメモリ媒体344は、実行可能な符号、例えば、アプリケーション、プログラム、プロセス、タスク、又はスクリプトを含み得る。実行可能な符号は、本明細書中に記載される実施形態により3D物体を製作するようにシステム300を制御する符号又は命令を含み得る。例えば、メモリ344は、例えば、第1の組のプリントヘッド322を使用して、複数の造形材料層内に埋め込まれた層交差パターンを作成し、例えば、硬質化デバイス324を使用して、第1の非導電層内の材料を硬質化する符号を含み得る。符号は、ヘッド312を使用して、パターニング材料のパターン要素を、前に分注された非導電層内に形成されるキャビティ内に分注することを更に含み得る。
【0087】
記憶ユニット346は、システム300によって製作される3D物体の設計パラメータを含むファイルを記憶し得る。例えば、3D物体の設計を含む3Dコンピュータ支援設計(CAD)ファイルを記憶ユニット346に記憶し得る。ファイルは、3D物体に含まれ得る異なる層及び要素(例えば、キャビティ及び電気デバイス)の寸法及びロケーションを含み得る。
【0088】
システム300は、ユーザインターフェース350を更に含み得る。ユーザインターフェース350は、マウス、キーボード、タッチスクリーン、タッチパッド、又は任意の適切な入力デバイス等の入力デバイスであり得るか、又は入力デバイスを含み得る。任意の適切な数の入力デバイスがユーザインターフェース350に含まれ得ることが認識される。ユーザインターフェース350は、1つ又は複数のディスプレイ、スピーカ、及び/又は任意の他の適切な出力デバイス等の出力デバイスを更に含み得る。任意の適切な数の出力デバイスがユーザインターフェース350に含まれ得ることが認識される。任意の該当する入/出力(I/O)デバイスがコントローラ340に接続され得る。例えば、有線若しくは無線ネットワークインターフェースカード(NIC)、モデム、プリンタ、ファクシミリ機、ユニバーサルシリアルバス(USB)デバイス、又は外付けハードドライブが、ユーザインターフェース350に含まれ得る。ユーザインターフェース350により、ユーザは、本発明の幾つかの実施形態により、3D物体の堆積を制御する命令をアップロードし、且つ/又は堆積される物体の設計を含むファイル(例えば、コンピュータ支援設計(CAD)ファイル)を記憶ユニット346にアップロードし、更新することが可能であり得る。
【0089】
コントローラ340は、ブロック320、310、及び/又はトレイ360を制御して、ヘッド312又は322のそれぞれが、X−Y平面での所定のロケーションで、且つZ方向における所定の高さで材料(例えば、硬化性ポリマー又は導電性インク)の液滴を堆積し得るように、ブロック320及び310と、トレイ360又はトレイに既に堆積した物体の部分とを相対的に移動させ得る。
【0090】
図3及び図4A図4Dは、本発明の幾つかの実施形態による、フローチャート図(図3)及びAMプロセスの中間製品(図4A図4D)である。
別に定義される場合を除き、後述する動作が、実行の多くの組み合わせ又は順序で同時に又は順次実行可能なことを理解されたい。特に、フローチャート図の順序は、限定として意図されるべきではない。例えば、特定の順序で以下の説明又はフローチャート図に見られる2つ以上の動作は、異なる順序(例えば、逆順)又は略同時に実行することもできる。さらに、後述される幾つかの動作はオプションであり、実行されなくてもよい。
【0091】
製造中、パターニング材料及び造形材料は、オプションとして、好ましくは基板上に堆積する。基板は、複数の層を堆積して、3D物体を形成するのに適する任意の基板であり得る。基板は、最終的な製品に含まれ得る。あるいは、基板は最終的な製品に含まれなくてもよく、3D物体の堆積後に除去し得る。
【0092】
以下の実施形態は、導電性パターン要素(例えば、導電性インクで作られる)を特に強調して説明されるが、パターン要素が必ずしも導電性であるわけではない実施形態も意図されることを理解されたい。
【0093】
図3を参照すると、方法は、オプションとして、好ましくは以下の動作を含む。11において、受け媒体の上に導電性要素が分注される。受け媒体は、AMシステムのトレイ、トレイ上に配置された基板、あるいはAMシステムの分注ヘッドのうちの1つ又は複数によって先に分注された層であることができる。12において、キャビティが形成されるとともに導電性要素の一部分が露出されたまま残るように、導電性要素の上に非導電層が分注される。13において、別の導電性要素をキャビティの壁の上に分注し、前の導電性要素との電気的接続が確立され、14において、別の非導電層を分注して、好ましくは先に形成されたキャビティを充填する。方法は、オプションとして、好ましくは12にループして戻り、三次元物体が完成するまで、動作12、13、及び14を繰り返し実行することができる。これらの動作について、図4A図4Dを参照して更に詳細にこれより説明する。
【0094】
図4Aを参照すると、S1において、第1の導電性要素すなわち層20が基板10の上に塗布される。例えば、要素20は、システム110又はシステム300のようなAMシステムから堆積される導電線であり得る。要素20の厚さ、すなわち、Z方向に沿った層の高さは、約0.1μm〜約3μmであることができる。幾つかの実施形態では、要素20は、基板10に接続、接着、又は配置し得、より大きな厚さを有し得る。例えば、層の厚さは5μm超であってもよく、層の厚さは5μm〜50μmであってもよく、層の厚さは50μm〜100μmであってもよく、あるいは層の厚さは100μm超であってもよい。
【0095】
S2において、非導電性の造形材料からなる第1の層30は、オプションとして、好ましくは基板10及び層20上に堆積する。第1の層30は、オプションとして、好ましくは第1のキャビティ25を含み、第1のキャビティ25は、非導電性材料によって占有されないが、要素20の一部分がキャビティ25において露出されるように導電性要素20の一部分の上にある。第1のキャビティ25は、例えば、非導電性材料の1つ又は複数の液滴をそのスポットに分注しないことによって形成し得る。キャビティ25は、矩形、円形、楕円形等であるが、これらに限定されない任意の形状であり得る。キャビティ25の典型的なサイズは、約0.05mm〜約2mm、例えば約0.4mmである。キャビティ25の壁はほぼ垂直であり得るが、好ましい実施形態では、壁の少なくとも一部分は、水平方向に対して傾斜し、且つ/又はキャビティ25から外側に湾曲している。この実施形態は、以下に更に詳述するように、層と交差する導電路の確立をより容易にすることから好ましい。
【0096】
本発明の幾つかの実施形態では、例えば、構築中の構造の周縁領域における要素20の別の一部分は、覆われないまま残り、要素20を外部デバイス(図示せず)に電気的に接続できるようにする。層30は、オプションとして、好ましくは任意の追加の層を分注する前に硬質化(例えば、硬化、固化)される。層30の非導電性材料は任意の硬化性ポリマーであり得る。層30の典型的な厚さは、約10μm〜約100μmであるが、他の厚さも意図される。
【0097】
S3において、導電性要素35は、オプションとして、好ましくはキャビティ25の壁に沿って、オプションとして、好ましくはキャビティ25に分注される。要素35は、オプションとして、好ましくは線形形状(例えば、直線若しくは曲線のライン又は直線若しくは曲線のストリップ)を有し、要素35と先に分注された要素20との間の接続を確立し、それにより、導電性層交差パターンを形成するように分注される。図4Aに示されるように、要素35を形成する導電性材料は、少なくとも、キャビティ25の下部の一部分、キャビティ25の壁の一部分、及びキャビティ25の近傍での層30の水平の領域を覆い得る。
【0098】
導電性要素35を形成するように分注される材料は、例えば、上記で更に詳述したように、導電性インクであり得る。分注された材料は、オプションとして、好ましくは分注後に乾燥されて、内部の溶媒を蒸発させる。垂直方向に沿った要素35の厚さと、層30の厚さとの関係は、オプションとして、好ましくはパターン要素の厚さと構築材料の層の厚さとの関係に関連して上記で更に詳述したようなものである。垂直方向に沿った要素35の厚さは、オプションとして、好ましくはパターン要素の厚さに関連して上記で更に詳述したようなものである。
【0099】
層35は、上記で更に詳述したように、AMシステムの分注ヘッドを使用して分注し得る。
幾つかの実施形態では、要素35は焼結もして導電性粒子を更に固化する。焼結は、限定ではないが、熱焼結、フォトニック焼結、プラズマ焼結、マイクロ波焼結、及び化学的焼結を含めて、当分野で既知の任意の技法を使用して達成することができる。放射線ベースの焼結が意図されているが、化学的焼結が有利であることが本発明者らにより予期せず見出された。化学的焼結の一つの利点は、分注ブロック内で焼結デバイスを使用する必要がないことである。化学的焼結の別の利点は、構築材料が露出され、構築材料層の形状変形を生じさせるおそれがある不必要な放射線量を低減することである。
【0100】
化学的焼結は、オプションとして、好ましくは焼結を誘導するように選択された物質を、分注された導電性要素(本例では要素35であるが、同じ技法は、後述する任意の導電性要素45、55、65、及び75を含め、任意の他の導電性要素に適用することもできる)に接触させることにより達成される。物質は、オプションとして、好ましくは遊離基重合性化合物、陽イオン重合性化合物、及び陰イオン重合性化合物からなる群から選択される化合物を含むことができる。物質は、AMシステムの別個の分注ヘッドから分注される別個の組成物として提供することができる。代替的又は追加的に、物質は、非導電性材料に含まれる(例えば、混合される)焼結剤として提供することができる。
【0101】
焼結誘導剤が非導電性材料に含まれる場合、導電性材料(例えば、導電性インク)は、オプションとして、好ましくは造形材料の硬化が完了する前に、造形材料層の上に分注されて、導電性材料中の粒子を造形材料中の焼結誘導剤に接触させる。あるいは、又はより好ましくは追加として、焼結誘導剤を含む非導電性材料を導電性パターン要素の上に塗布することができる。これは、導電性材料(例えば、導電性インク)が乾燥した後か、導電性材料が部分的に乾燥した後(例えば、約10%〜90%の溶媒が、導電性材料から蒸発した後)か、あるいは導電性材料が分注された直後且つ乾燥する前に行うことができる。
【0102】
好ましくは、非導電性の造形材料中の焼結誘導剤は非硬化性である。本発明者らにより、非硬化性成分が、導電性材料(例えば、導電性インク)と非硬化性剤とを反応させることにより、よりよい化学的焼結を促進するため、硬化性造形材料への非硬化性成分の組み込みが有利であることが見出された。
【0103】
本実施形態は、UV反応性である焼結誘導剤及び非UV反応性である焼結誘導剤の両方を意図する。
本発明の例示的な様々な実施形態では、焼結誘導組成物又は薬剤はイオン性部位を含む。これにより、電荷交換反応による導電性材料中の導電性粒子の静電安定化を低減させることができる。好ましくは、焼結誘導組成物又は薬剤は、オプションとして、好ましくはアクリルモノマー又は誘導体であるイオン基と、対イオンとを含み、イオン基はキャリアとして機能し、対イオンは、導電性粒子への分散分子の結合をデカップリング又は抑制するように機能し、それにより、分散分子と導電性粒子とを固められるようにする。
【0104】
本発明の例示的な様々な実施形態では、対イオンは陰イオン性であり、イオン基は陽イオン性である。焼結誘導剤は、オプションとして、好ましくは塩の中から選択し得る。
対陰イオンは、例えば、ハロゲン陰イオン(F、Cl、Br、及び/又はI)、硫酸塩陰イオン(SO2−及び/又はHSO)、過塩素酸塩陰イオン(ClO)、塩素酸塩陰イオン(ClO)、硝酸塩陰イオン(NO)、カルボン酸塩陰イオン(例えば、RCO、ここで、Rはアルキル)、p−トルエンスルホン酸塩陰イオン、及びアルカンスルホン酸塩(例えば、メタンスルホン酸塩)陰イオンであり得る。本発明の幾つかの実施形態では、対陰イオンは、塩化物、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、カルボン酸塩(例えば、酢酸塩)、及びハロゲンからなる群から選択される。幾つかの実施形態では、対陰イオンは塩化物である。
【0105】
本実施形態は、荷電群を含む様々なアクリル酸塩、メタクリル酸塩、アクリルアミド、メタクリルアミド、オリゴマー、及びポリマーを意図する。本実施形態に適する陽イオン基の代表的な例としては、限定ではないが、第4級アンモニウム基が挙げられる。例えば、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)、陽イオン性に帯電したポリイミド、ポリエチレンイミン、及びポリピロールである。
【0106】
陰イオンを含む塩は、オプションとして、一般式:
【0107】
【化2】
を有する(メタ)アクリレート誘導体であり、式中、
XはO又はNHであり、
Yは、長さが1〜20炭素原子の置換又は非置換炭化水素鎖であり、
はH又はCHであり、
〜Rはそれぞれ独立してアルキルであり、
Zは、本明細書中に記載される陰イオンである。
【0108】
幾つかの実施形態では、Yは非置換炭化水素鎖(アルキレン)である。
幾つかの実施形態では、Yは、1〜10炭素原子の長さである。幾つかの実施形態では、Yは、1〜4炭素原子の長さである。幾つかの実施形態では、Yは、2又は3炭素原子の長さである(例えば、−CHCH−又は−CHCHCH−)。
【0109】
幾つかの実施形態では、RはCHである。
幾つかの実施形態では、R〜Rはそれぞれ独立してメチル又はエチルである。幾つかの実施形態では、R〜Rはそれぞれメチルである。
【0110】
焼結誘導剤として使用することができる特定の物質の代表的な例としては、限定ではないが、アクリル酸塩(例えば、アダムクアト(Adamquat)MQ 80)、トリメチルアンモニウムメチルメタクリル塩化物(例えば、ビジオマー(Visiomer)TMAEMC)、3−トリメチルアンモニウムプロピルメタクリルアミド塩化物(例えば、ビジオマー(Visiomer)MAPTAC 30)、及びアクリルアミド(例えば、DMAPAAQ、例えば、Rahn、RCX−14/705)が挙げられる。
【0111】
遊離基重合性化合物は、重合性反応官能基、(メタ)アクリル及びメタ(アクリル)アミド官能基の中から選択し得る。
「(メタ)アクリル」又は「(メタ)アクリル酸」という用語は、アクリレート類及びメタクリレート類の両方を指す。
【0112】
遊離基重合性化合物は、(メタ)アクリル又はメタ(アクリル)アミドモノマー、(メタ)アクリル又は(メタ)アクリルアミドオリゴマー、及びそれらの任意の組み合わせを含み得る。
【0113】
焼結誘導剤として使用することができる物質は、例えば、エポキシド化合物、オキセタン、ビニルエーテル、及び/又はオリゴマーに基づくカチオン重合性モノマーを含み得、陽イオン性部位を担持するモノマーは、例えば、第4級アンモニウム塩であることができる。エポキシ化合物の非限定的な例としては、グリシジルトリメチルアンモニウムクロリドが挙げられる。
【0114】
代替的又は追加的に、焼結誘導剤として使用することができる物質は、オプションとして、好ましくはポリウレタン化学的構造に第4級アンモニウム基を用いるアレイソシアン酸塩化合物及び/又はオプションとして、好ましくはアニオン重合に第4級アンモニウム基を用いるカプロラクタム系化合物を含み得る。
【0115】
焼結誘導剤が非UV反応性である場合、それはKCl、NaCl、MgCl、AlCl、LiCl、CaCl、有機又は無機酸、例えば、HCl、HSO、HNO、HPO、並びに有機又は無機塩基、例えば、アンモニア、有機アミン(例えば、アミノメチルプロパノール(AMP))、NaOH、及びKOH等であるが、これらに限定されない塩からなる群から選択し得る。
【0116】
幾つかの実施形態では、焼結は室温(例えば、約25℃)であり、本発明の幾つかの実施形態では、焼結はAMシステムの動作温度、例えば、約40℃〜約50℃である。より高い温度も意図される。
【0117】
再び図4Aを参照すると、S4において、第2の非導電層40は、オプションとして、好ましくは例えば先に形成された非導電層30及びキャビティ25を少なくとも部分的に覆うように分注される。本発明の例示的な様々な実施形態では、層40は、要素35の一部分が第2のキャビティ32において露出されるよう、要素35の一部分の上に第2のキャビティ32を形成するように分注される。層40は、オプションとして、好ましくはキャビティ25を非導電性材料で充填する。層40は、層30と同じ又は異なる材料で作られ得る。層40は、オプションとして、好ましくは追加の材料を分注する前に硬質化(例えば、硬化、固化)される。
【0118】
上述したプロセスは、任意の回数、繰り返すことができる。例えば、S5〜S7に示されるように、追加の導電性要素45をキャビティ32に分注することができ(S5参照)、非導電層50を分注して、先に形成されたキャビティ32を充填し、要素45の上に別のキャビティ34を形成することができ(S6参照)、追加の導電性要素55をキャビティ34に分注することができる。非導電層60、70、及び80並びに導電性要素65の追加の分注段階S8〜S11が図4Bに示されており、図4Aの上記説明が提供された当業者には容易に理解されるであろう。
【0119】
最終的な物体において、導電性要素のうちの1つ又は複数、好ましくは少なくとも2つは、少なくともその一部分に沿って露出されたまま残り得る。これらの実施形態は、露出した要素を外部電子又は電気デバイスに接続できるようにするために特に有用である。好ましくは、これらの要素は、物体の周縁において露出される。これらの実施形態を図4Cに示す。図示されるように、非導電層80は、要素75の端部77が層80によって覆われず、周囲環境に露出したままであるように、導電性要素材料75上に分注される。図Cに示される代表的な図では、導電性要素75を担持する非導電層60は、最終的な物体から外側に向けて水平に突出するように分注され、要素75は、これもまた最終的な物体から外側に向けて水平に突出するように分注される。しかし、幾つかの実施形態では、そのような突出部なしの導電性要素75を作ることが望ましい場合があるため、これが必ずしも該当する必要はない。代表的な例を図4Dに示しており、図4Dでは、層80は内側に向かって集中し、それにより、要素75の端部77を露出したままにする。
【0120】
最終的な3D物体は、オプションとして、好ましくは非導電性材料の複数の層(例えば、層30、40、50、60、70、80)と、3D物体内部の非導電性材料の層内に埋め込まれて導電性パターンを物体内に形成する複数の導電性要素(例えば、層35、45、55、65、75)とを含む。パターンの2つの導電性端部は、任意の電子若しくは電気デバイス又は他の導電線若しくは要素に更に接続することができる。
【0121】
図4Eを参照すると、図4Eは、内部に埋め込まれた電子デバイス100を含む3D物体を概略的に示す。電子デバイス100は、先に形成された非導電層又は先に形成された導電性要素の上に配置し得る。デバイス100は、オプションとして、好ましくは少なくとも1つの非導電層がデバイス100の上にあり、少なくとも1つの非導電層がデバイス100の下方となるように、AMにより製作される(例えば、3Dプリントにより)物体内に埋められる。
【0122】
電子デバイス100は、限定ではないが、マイクロチップ、電池、PCB、発光デバイス(例えば、発光ダイオード又はランプ)、無線周波数識別(RFID)タグ、トランジスタ等を含めて、任意の種類であり得る。外部電子又は電気デバイスとの電気通信は、本発明の実施形態により配置される導電性要素により確立することができる。限定として見なされるべきではない図4Eに示される代表的な図では、デバイス100は、1つ又は複数の非導電層(本例では、層50)に形成されるキャビティ内に配置される。デバイス100と電気通信する1つの導電性パターンは、層50の下の導電性要素(本例では、要素20、35、及び45)によって形成され、デバイス100と電気通信する別の導電性パターンは、層50の上の導電性要素(本例では、要素55、57、及び58)によって形成される。デバイス100は、外部電気又は電子デバイス(図示せず)に要素58及び20を接続することによって利用することができる。代表的な例として、デバイス100が電圧駆動家電(例えば、発光デバイス)である場合、電圧を要素58と要素20との間に印加して、デバイス100をアクティブ化することができる。
【0123】
図4Eは、デバイス100が、デバイス100のほぼ下方の1つのパターン及びデバイス100のほぼ上方の別のパターンに接続される特定の構成を示すが、他の構成も意図される。例えば、幾つかの実施形態では、デバイス100は、デバイス100の下方にある2つのパターンに接続することができ、幾つかの実施形態では、デバイス100は、デバイス100の上にある2つのパターンに接続することができる。デバイス100が3つ以上のパターンに接続される実施形態も意図される。これらの実施形態は、デバイス100が3つ以上の端子を有する場合に特に有用である。代表的な例はトランジスタであり、その場合、1つのパターンが、デバイス100をソース電極に接続するのに使用され、1つのパターンが、デバイス100をドレイン電極に接続するのに使用され、1つのパターンが、デバイス100をゲート電極に接続するのに使用される。別の例は多端子マイクロチップであり、マイクロチップの3つ以上の端子がマイクロチップの異なる端子に接続される。
【0124】
図4Eに示される物体等の物体を形成する手順は、図4Aに関連して上述した手順と同様であることができるが、AMプロセスは、非導電性材料の1つ又は複数の層及びオプションで導電性要素が堆積した後に、一時的に停止される。好ましい実施形態では、停止前に、サイズ及び形状が電子デバイスと互換性を有するキャビティすなわちニッチが物体に形成される。一時的な停止中、電子デバイスは、非導電層及び/又は導電性要素の上(例えば、準備されたニッチ内)に配置される。その後、AMプロセスは、上記で更に詳述したように再開される。
【0125】
本明細書中に記載される任意の実施形態において、非導電性材料の分注された層は、オプションとして、好ましくは平らにならされて、分注された余剰材料を低減し、層の厚さを所望の厚さに維持する。このようなならしは、硬質化プロセスの前に、水平化デバイス326(例えば、ローラ)によって実行し得る。水平化デバイス326は、余剰材料を拡散させたりあるいはプレスするのではなく、例えば、形成されたキャビティを余剰材料で覆わないように、その余剰材料を層から離して持ち上げることにより、層内の余剰材料を低減することができる。
【0126】
本発明者らにより、非導電層の上に分注される導電性要素の厚さが比較的薄いことに起因して、導電性要素がならし動作によって潜在的に破損し得ることが見出された。そのような破損は、導電性パターンの導電性を低減し得るために望ましくない。本実施形態は、図5及び図6を参照してこれより説明するように、階段様の構造を有するキャビティを形成し、次に、導電層を分注することにより、この問題に解決策を提供する。

【0127】
図5及び図6は、本発明の幾つかの実施形態によるフローチャート図(図5)及びAMプロセスの中間製品(図6)である。
図5を参照すると、方法は、オプションとして、好ましくは以下の動作を含む。21において、導電性要素が基板の上に分注される。22において、キャビティが形成されるとともに導電性要素の一部分が露出したまま残るように、導電性要素の上に非導電層が分注される。23において、非導電層は平らにならされる。24において、先に形成されたキャビティが深く広くなるように、先に分注された非導電層の上に別の非導層が分注される。25において、広くなったキャビティの壁の上に別の導電性要素を分注し、先の導電性要素との電気的接続を確立し、26において、24において分注された非導電層が平らにならされる。これらの動作について、図6を参照して更に詳細にこれより説明する。
【0128】
図6に示されるように、導電性要素20は、上記で更に詳述したように、基板10の上に分注される(S1参照)。S2において、非導電層30が、オプションとして、好ましくは要素20及び基板10の上に分注される。層30は、好ましくは、上記で更に詳述したように、キャビティ25を含む。層30は、上記で更に詳述したように、オプションとして、好ましくは平らにならされ、次に硬質化される。S3において、非導電性材料の別の層40は、オプションとして、好ましくは層30の上に分注される。層40の分注は、好ましくは、非導電性材料がキャビティ25内に分注されず、オプションとして、キャビティ25の少なくとも周縁27にも分注されず(S2参照)、したがって、より大きなキャビティ26を形成するようなものであり、キャビティ26の壁は層30及び40の両方によって画定され、キャビティ26のベースは要素20及び/又は基板10によって画定される。キャビティ26は、キャビティ25の断面よりも大きな断面を有する。キャビティ26は、オプションとして、好ましくは層30に対する層40のオフセットにより形成される段付きの内部構造を有する。段付きの構造は、所望に応じて非対称(示されるように)又は対称であり得る。
【0129】
S4において、導電性要素35は、オプションとして、好ましくは導電性材料が少なくとも、キャビティ26の下部の一部及び壁の一部を覆うように、キャビティ26に分注される。好ましくは、要素35は、層30によって形成されるキャビティ26の壁の一部分に分注されるが、層40によって形成されるキャビティ26の壁の一部分には分注されない。したがって、要素35は、オプションとして、好ましくは最も新しく分注された層40の上面の下方にある。
【0130】
要素35の分注の後、追加の非導電性材料を分注して(S5参照)、層40をキャビティ26内に更に拡張し得る。追加の分注は、好ましくは、要素35の一部が露出したままであるようなものである。追加の分注の完了後、非導電層40を平らにならしてもよい。要素35は層40の上面の高さの下方にあるため、水平化プロセスは、要素35内の導電性材料を破損させない。
【0131】
プロセスは、S7及びS6に概略的に示されるように、繰り返すことができる。特に、S6において、非導電性材料がキャビティ26の周囲の領域の上方及び層40によって覆われない要素35の一部分の上方に分注されるように、非導電層50を層40の上に分注する。これは、別の段付きのキャビティを形成し、段付きのキャビティの壁は層40及び50によって画定され、段付きキャビティのベースは要素35及び/又は層30によって画定される。S7において、導電性要素45は、少なくとも、追加のキャビティの下部の一部分及び壁の一部分に分注されるが、好ましくは、層50には分注されず、要素45を層50の上面の下方に維持する。分注シーケンスは、上記で更に詳述したように、追加の非導電性材料を分注して、層50を段付きのキャビティ内に拡張することにより、続け得る。次に、層50は、上記で更に詳述したように、要素45を破損せずに安全にならすことができる。
【0132】
本明細書中で使用される場合、「約」という用語は±10%のことをいう。
「例示的な」という言葉は、本明細書において、「例、事例、又は例示として機能する」ことを意味するために使用される。「例示的な」として説明される任意の実施形態は、必ずしも、他の実施形態よりも好ましい又は有利なものとして、且つ/又は他の実施形態からの特徴の組み込みを除外するものとして解釈される必要はない。
【0133】
「オプションとして」という言葉は、本明細書において、「幾つかの実施形態では提供され、他の実施形態では提供されない」ことを意味するために使用される。本発明の任意の特定の実施形態は、複数の「オプションとして」の特徴が競合しない限り、そのような特徴を含み得る。
【0134】
「備える」、「備えている」、「含む」、「含んでいる」、「有する」という用語及びそれらの同根語は、「〜を含むが、それ(ら)に限定されない」ことを意味する。
「からなる」という用語は、「〜を含み、〜に限定される」ことを意味する。
【0135】
「基本的に、〜からなる」という用語は、組成物、方法、又は構造が、追加の材料、工程、及び/又は部品を含み得るが、追加の材料、工程、及び/又は部品が、請求項による組成物、方法、又は構造の基本で新規の特徴を実質的に変更しない場合のみであることを意味する。
【0136】
本明細書中で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が明らかに別のことを示す場合を除き、複数の参照を含む。例えば、「化合物(a compound)」又は「少なくとも1つの化合物」は、化合物の混合物を含め、複数の化合物を含み得る。
【0137】
本願全体を通して、本発明の様々な実施形態は、範囲形式で提示し得る。範囲形式での説明が、単に便宜及び簡潔にするためのものであり、本発明の範囲への柔軟性のない限定として解釈されるべきではないことを理解されたい。したがって、範囲の記載は、特に開示される可能な全ての下位範囲及びその範囲内の個々の数値を有するものとして見なされるべきである。例えば、1〜6等の範囲の記載は、1〜3、1〜4、1〜5、2〜4、2〜6、3〜6等の特に開示される下位範囲及びその範囲内の個々の数、例えば、1、2、3、4、5、及び6を有するものと見なされるべきである。これは、範囲の幅に関係なく当てはまる。
【0138】
本明細書において、数値範囲が示されるときは常に、示される範囲内の任意の記載される数値(小数又は整数)の包含が意味される。第1の示す数と第2の示す数との「幅/範囲」及び第1の示す数「から」第2の示す数「までの幅/範囲」という語句は、本明細書において同義で使用され、第1の示される数及び第2の示される数並びにそれらの間の小数及び整数の包含が意味される。
【0139】
明確にするために、別個の実施形態の文脈の中で説明される本発明の特定の特徴が、単一の実施形態において組み合わせて提供されてもよいことが理解される。逆に、簡潔にするために、単一の実施形態の文脈の中で説明される本発明の様々な特徴は、別個に提供してもよく、任意の適切なサブコンビネーションで提供してもよく、又は本発明の記載される任意の他の実施形態において適切なように提供してもよい。様々な実施形態の文脈の中で説明される特定の特徴は、実施形態が、それらの要素なしでは動作不能な場合を除き、それらの実施形態の必須の特徴であると見なされるべきではない。
【0140】
本発明は、本発明の特定の実施形態と併せて説明されたが、多くの代替、変更、及び変形が当業者に明らかになることは明らかである。したがって、添付の特許請求の範囲の趣旨及び広い範囲内にあるそのような代替、変更、及び変形を全て包含することが意図される。
【0141】
本明細書において言及される全ての公開物、特許、及び特許出願は、まるで個々の各公開物、特許、又は特許出願が特に且つ個々に参照により本明細書中に援用されると示されているかのような程度と同じ程度まで、全体的に参照により本明細書中に援用される。加えて、本願での任意の参照の引用又は識別は、そのような参照が本発明にとっての従来技術として利用可能であることを認めるものとして解釈されるものではない。セクション見出しが使用される限りでは、必ずしも限定として解釈されるべきではない。
図1A
図1B
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図5
図6