(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記針ルーメン及びカテーテルが前記針の内壁と前記カテーテルの外側表面との間の間隙を画定するようにサイズ決めされ、前記間隙が前記流体ポートから前記針遠位端への流体連通の経路を提供するように構成されている、請求項1に記載の装置。
前記第1のアクチュエータアセンブリが、前記本体によって回転可能に支持された制御ホイールを備え、前記第1のアクチュエータアセンブリは、前記本体に対する前記制御ホイールの回転に応じて前記針の内部でかつ前記針に対して長手方向に前記カテーテルを移動させるように動作可能である、請求項1に記載の装置。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本技術の特定の実施例に関する以下の説明は、本技術の範囲を限定するために使用されるべきではない。本技術のその他の実施例、特徴、態様、実施形態、及び利点は、実例として、本技術を実施するために企図される最良の形態の1つである以下の説明から、当業者には明らかとなろう。理解されるように、本明細書で説明される本技術は、全て本技術から逸脱することなく、その他種々の明白な態様が可能である。したがって、図面及び説明文は、制限的なものではなく、例示的な性質のものとしてみなされるべきである。
【0009】
本明細書に述べられる教示、表現、実施形態、実施例などの任意の1つ又は2つ以上のものを、本明細書に述べられる他の教示、表現、実施形態、実施例などの任意の1つ又は2つ以上のものと組み合わせることができる点も更に理解されたい。したがって、以下に述べられる教示、表現、実施形態、実施例などは、互いに対して分離して考慮されるべきではない。本明細書の教示を組み合わせることができる様々な好適な方法が、本明細書の教示に照らして当業者には容易に明らかとなろう。かかる改変例及び変形例は、特許請求の範囲内に含まれるものとする。
【0010】
本開示の明瞭さのために、「近位」及び「遠位」という用語は、遠位外科用エンドエフェクタを有する外科用器具を握持する外科医又は他の操作者に対して本明細書で定義される。「近位」という用語は、外科医又は他の操作者により近い要素の位置を指し、「遠位」という用語は、外科用器具の外科用エンドエフェクタにより近く、かつ、外科医又は他の操作者から更に離れた要素の位置を指す。
【0011】
I.スライド関節特徴部を有する例示の器具
図1〜4は、脈絡膜上の入口から患者の眼に治療薬を網膜下投与するための処置で使用するために構成される例示の器具(10)を示す。器具(10)は、可撓性カニューレ(20)、本体(40)、及びスライド可能部(60)を備える。カニューレ(20)は、本体(40)から遠位に延在し、概ね方形の断面を有する。カニューレ(20)は、より詳細に後述するように、カニューレ(20)内でスライド可能である針(30)を支持するように通常構成される。
【0012】
本実施例では、カニューレ(20)は、商標名PEBAXとして製造されることがあるポリエーテルブロックアミド(PEBA)などの可撓性材料を含む。当然ながら、任意の他の好適な材料又は材料の組み合わせを使用することもできる。また本実施例では、カニューレ(20)は、長さが約80mmで約2.0mm×0.8mmの断面外形寸法を有する。あるいは、任意の他の好適な寸法が使用されてよい。
【0013】
より詳細に後述するように、カニューレ(20)は、患者の眼の特定の構造及び輪郭に適合するために十分な可撓性を有し、更にカニューレ(20)は、座屈することなく患者の眼の強膜と脈絡膜との間のカニューレ(20)の前進を可能にするために十分なコラム強度を有する。幾つかの要因が、カニューレ(20)の好適な可撓性に寄与し得る。例えば、カニューレ(20)を構成するのに使用される材料のデュロメータは、カニューレ(20)の可撓性を少なくとも部分的に特性化する。ほんの一例として、カニューレ(20)を形成するのに使用される材料は、約27D、約33D、約42D、約46Dのショア硬度、又は任意のその他好適なショア硬度を有し得る。ショア硬度は、約27D〜約46Dの範囲内、又はより具体的には、約33D〜約46Dの範囲内、又はより具体的には、約40D〜約45Dの範囲内に収まり得ることを理解されたい。カニューレ(20)の特定の断面形状もまた、カニューレ(20)の可撓性を少なくとも部分的に特性化する。加えて、カニューレ(20)内に配設された針(30)の剛性は、カニューレ(20)の可撓性を少なくとも部分的に特性化し得る。
【0014】
本実施例では、カニューレ(20)の可撓性は、カニューレ(20)の曲げ剛性を計算することによって定量化することができる。曲げ剛性は、弾性率と領域慣性モーメントとの積によって計算される。ほんの一例として、カニューレ(20)を形成するために使用され得る1つの例示の材料は、ショア硬度がD27、弾性率(E)が1.2×10
7N/m
2、及び領域慣性モーメント(I
x)が5.52×10
−14m
4であり、算出されたx軸周りの曲げ剛性を0.7×10
−6Nm
2において提供することができる。カニューレ(20)を形成するために使用され得る別の例示の材料は、ショア硬度がD33、弾性率(E)が2.1×10
7N/m
2、及び領域慣性モーメント(I
x)が5.52×10
−14m
4であり、算出されたx軸周りの曲げ剛性を1.2×10
−6Nm
2において提供することができる。カニューレ(20)を形成するために使用され得る別の例示の材料は、ショア硬度がD42、弾性率(E)が7.7×10
7N/m
2、及び領域慣性モーメント(I
x)が5.52×10
−14m
4であり、算出されたx軸周りの曲げ剛性を4.3×10
−6Nm
2において提供することができる。カニューレ(20)を形成するために使用され得る別の例示の材料は、ショア硬度がD46、弾性率(E)が17.0×10
7N/m
2、及び領域慣性モーメント(I
x)が5.52×10
−14m
4であり、算出されたx軸周りの曲げ剛性を9.4×10
−6Nm
2において提供することができる。したがって、ほんの一例として、カニューレ(20)の曲げ剛性は、約0.7×10
−6Nm
2〜約9.4×10
−6Nm
2の範囲内、又はより具体的には、約1.2×10
−6Nm
2〜約9.4×10
−6Nm
2の範囲内、又はより具体的には、約2.0×10
−6Nm
2〜約7.5×10
−6Nm
2の範囲内、又はより具体的には、約2.0×10
−6Nm
2〜約6.0×10
−6Nm
2の範囲内、又はより具体的には、約3.0×10
−6Nm
2〜約5.0×10
−6Nm
2の範囲内、又はより具体的には、約4.0×10
−6Nm
2〜約5.0×10
−6Nm
2の範囲内に収まり得る。
【0015】
本実施例では、カニューレ(20)の可撓性はまた、次の数式で定量化することができる。
【0017】
上の等式で、曲げ剛性(EI)は、一定の長さ(L)を有するカニューレ(20)を、所定の撓み量(δ)を生じさせる設定距離に撓ませることによって実験的に計算される。このような撓みに必要な力の量(F)をその後記録することができる。例えば、そのような方法を使用するとき、カニューレ(20)は、0.06mの長さを有してもよく、所定距離の分だけ撓ませることができる。ほんの一例として、カニューレ(20)を形成するために使用され得る1つの例示の材料は、0.0155mの撓みを得るために0.0188Nの力を必要として、算出されたx軸周りの曲げ剛性5.5×10
−6Nm
2を提供することができる。カニューレ(20)を形成するために使用され得る別の例示の材料では、0.0135mの撓みを得るために0.0205Nの力を必要として、算出されたx軸周りの曲げ剛性6.8×10
−6Nm
2を提供することができる。カニューレ(20)を形成するために使用され得る更に別の例示の材料では、0.0099mの撓みを得るために0.0199Nの力を必要として、算出されたx軸周りの曲げ剛性9.1×10
−6Nm
2を提供することができる。カニューレ(20)を形成するために使用され得る更に別の例示の材料では、0.0061mの撓みを得るために0.0241Nの力を必要として、算出されたx軸周りの曲げ剛性1.8×10
−6Nm
2を提供することができる。カニューレ(20)を形成するために使用され得る更に別の例示の材料では、0.0081mの撓みを得るために0.0190Nの力を必要として、算出されたx軸周りの曲げ剛性1.0×10
−6Nm
2を提供することができる。カニューレ(20)を形成するために使用され得る更に別の例示の材料では、0.0114mの撓みを得るために0.0215Nの力を必要として、算出されたx軸周りの曲げ剛性8.4×10
−6Nm
2を提供することができる。カニューレ(20)を形成するために使用され得る更に別の例示の材料では、0.0170mの撓みを得るために0.0193Nの力を必要として、算出されたx軸周りの曲げ剛性5.1×10
−6Nm
2を提供することができる。カニューレ(20)を形成するために使用され得る更に別の例示の材料では、0.0152mの撓みを得るために0.0224Nの力を必要として、算出されたx軸周りの曲げ剛性6.6×10
−6Nm
2を提供することができる。カニューレ(20)を形成するために使用され得る更に別の例示の材料では、0.0119mの撓みを得るために0.0183Nの力を必要として、算出されたx軸周りの曲げ剛性6.9×10
−6Nm
2を提供することができる。カニューレ(20)を形成するために使用され得る更に別の例示の材料では、0.0147mの撓みを得るために0.0233Nの力を必要として、算出されたx軸周りの曲げ剛性7.1×10
−6Nm
2を提供することができる。カニューレ(20)を形成するために使用され得る更に別の例示の材料では、0.0122の撓みを得るために0.0192Nの力を必要として、算出されたx軸周りの曲げ剛性7.1×10
−6Nm
2を提供することができる。カニューレ(20)を形成するために使用され得る更に別の例示の材料では、0.0201の撓みを得るために0.0201Nの力を必要として、算出されたx軸周りの曲げ剛性4.5×10
−6Nm
2を提供することができる。したがって、ほんの一例として、カニューレ(20)の曲げ剛性は、約1.0×10
−6Nm
2〜約9.1×10
−6Nm
2の範囲内に収まり得る。その他の実施例において、カニューレの曲げ剛性が約0.7×10
−6Nm
2〜約11.1×10
−6Nm
2の範囲内、又はより具体的には約2.0×10
−6Nm
2〜約6.0×10
−6Nm
2の範囲内に収まり得ることを理解されたい。
【0018】
針(30)は、カニューレ(20)の曲げ剛性と異なる曲げ剛性を有してもよい。ほんの一例として、針(30)は、弾性率(E)が7.9×10
10N/m
2、領域慣性モーメント(I
x)が2.12×10
−17m
4であり、算出されたx軸周りの曲げ剛性を1.7×10
−6Nm
2において提供する、ニチノール材料から形成され得る。更なるほんの一例として、針(30)の曲げ剛性は、約0.5×10
−6Nm
2〜約2.5×10
−6Nm
2の範囲内、又はより具体的には約0.75×10
−6Nm
2〜約2.0×10
−6Nm
2の範囲内、又はより具体的には約1.25×10
−6Nm
2〜約1.75×10
−6Nm
2の範囲内に収まり得る。
【0019】
図5及び6に見られるように、カニューレ(20)は、カニューレ(20)を通って長手方向に延在し、非侵襲的な傾斜した遠位端(26)で終端する2つの側部ルーメン(22)と1つの中心ルーメン(24)を備える。傾斜した外側開口部(28)は、傾斜した遠位端(26)に対して近位に位置する。側部ルーメン(22)は、カニューレ(20)の可撓性に寄与する。ルーメン(22、24)は、傾斜した遠位端(26)で開いているように示されるが、幾つかの例において、側部ルーメン(22、24)が傾斜した遠位端(26)で必要に応じて閉じていてもよいことを理解されたい。より詳細に後述するように、中心ルーメン(24)は、針(30)及び針ガイド(80)を受容するように構成される。変形例によっては、光ファイバー(図示せず)もまた針(30)とともに中心ルーメン(24)内に配設される。このような光ファイバーを使用して、照明及び/又は光フィードバックを提供してもよい。
【0020】
傾斜した遠位端(26)は、通常斜角を付けられて、強膜又は脈絡膜層に外傷を負わせないようにしつつカニューレ(20)がそのような層の間を前進できるようにするため強膜と脈絡膜層との間に分離をもたらす。本実施例では、傾斜した遠位端(26)は、本実施例におけるカニューレ(20)の長手方向軸線に対して約15度の角度で斜角を付けられている。その他の実施例では、傾斜した遠位端(26)は、約5度〜約50度の範囲内、又はより具体的には約5度〜約40度の範囲内、又はより具体的には約10度〜約30度の範囲内、又はより具体的には約10度〜約20度の範囲内のベベル角度を有し得る。
【0021】
針ガイド(80)は、針ガイド(80)の遠位端が傾斜した外側開口部(28)に隣接するようにルーメン(24)内部に配設される。針ガイド(80)は、通常、カニューレ(20)の傾斜した開口部(28)を通ってカニューレ(20)の長手方向軸線(LA)に対して斜めに配向される出口軸線(EA)に沿って、針(30)を上向きに方向付けるように構成される。針ガイド(80)は、プラスチック、ステンレス鋼、及び/又は任意のその他好適な生体適合性の材料(複数可)から形成されてよい。針ガイド(80)の形状は、中心ルーメン(24)の中に挿入するように構成される。その他の実施例では、接着剤及び/又は機械的ロック機構を使用して針ガイド(80)を固定する場合があるが、本実施例では、針ガイド(80)は、プレスばめ又は締まりばめによって中心ルーメン(24)内部に固定される。
【0022】
図6に最も良く見られるように、針ガイド(80)は、針(30)をスライド可能に受容するように構成される内部ルーメン(84)を画定する。特に、内部ルーメン(84)は、概ね真っ直ぐな近位部分(86)及び湾曲した遠位部分(88)を含む。真っ直ぐな近位部分(86)は、カニューレ(20)の長手方向軸線(LA)に対応し、同時に湾曲した遠位部分(88)は、カニューレ(20)の長手方向軸線から上方に離れる方向に湾曲する。本実施例の湾曲した遠位部分(88)は、カニューレ(20)の長手方向軸線(LA)に対して約7度〜約9度の角度でカニューレ(20)から遠位に伸長する出口軸線(EA)に沿って針(30)を方向付けるように湾曲している。そのような角度は、脈絡膜(306)への針の侵入を確実にする方向、及び針(30)が(脈絡膜(306)を貫通するのではなく)脈絡膜上腔を通って脈絡膜(306)の下を進み続ける可能性及び網膜の穿孔の可能性を最小にする方向に針(30)を偏向させることが望ましい場合があることを理解されたい。更なるほんの一例として、湾曲した遠位部分(88)は、針(30)に、カニューレ(20)の長手方向軸線(LA)に対して約5度〜約30度の範囲内、又はより具体的には、カニューレ(20)の長手方向軸線(LA)に対して約5度〜約20度の範囲内、又はより具体的には、カニューレ(20)の長手方向軸線(LA)に対して約5度〜約10度の範囲内の所定の角度で配向される出口軸線(EA)に沿ってカニューレ(20)から出るように付勢し得る。
【0023】
針(30)は、鋭利な遠位端(32)を有し、内部ルーメン(34)を画定する内部カニューレの形状である。本実施例の遠位端(32)は、ランセット形状を有する。幾つかのその他の変形例では、遠位端(32)は、3面刃面形状又は2015年2月11日に出願された「Method and Apparatus for Suprachoroidal Administration of Therapeutic Agent」と題する米国特許出願第14/619,256号に記載されるような任意のその他の形状を有し、この開示は参照により本明細書に援用される。本明細書の教示を考慮することで、遠位端(32)がとり得る尚も他の好適な形態が、当業者に明らかになるであろう。本実施例の針(30)は、より詳細に後述するように、針(30)が患者の眼の組織構造に侵入する際、自己閉鎖創を作製するほど小さいながらも治療薬を送達するようにサイズ決めされるニチノール皮下注射針を備える。ほんの一例として、針(30)は、その他好適なサイズを使用することができるが、100μmの内径を有する35ゲージであり得る。例えば、針(30)の外径は、27ゲージ〜45ゲージの範囲内、又はより具体的には30ゲージ〜42ゲージの範囲内、又はより具体的には32ゲージ〜39ゲージの範囲内に収まり得る。別の単なる例示のための一例として、針(30)の内径は、約50μm〜約200μmの範囲内、又はより具体的には約50μm〜約150μmの範囲内、又はより具体的には約75μm〜約125μmの範囲内に収まり得る。
【0024】
図1〜2に戻って参照すると、本体(40)は、通常、湾曲した遠位端を有する細長い矩形として成形される。示されている本体(40)の個々の形状は、操作者によって把持されるように構成される。あるいは、本体(40)は、2015年2月11日に出願された「Method and Apparatus for Suprachoroidal Administration of Therapeutic Agent」と題する米国特許出願第14/619,256号に記載されるように、器具(10)の位置決めを容易にするための支持装置又はロボットアームに取り付けられてもよく、この開示は参照により本明細書に援用される。
【0025】
作動アセンブリ(60)は、作動部材(62)とロック部材(66)とを含む。ロック部材(66)は、本体(40)と作動部材(62)との間の本体係合部(50)に着脱自在に取り付け可能である。より詳細に後述するように、ロック部材(66)は、本体(40)と作動部材(62)との間の空間を塞いで、作動部材(62)が本体(40)に対して遠位に前進するのを防ぐ。しかしながら、ロック部材(66)を取り外して、選択的に作動部材(62)を本体(40)に対して遠位に前進させることができる。
【0026】
図2〜4は、例示の器具(10)の作動を示す。特に、
図2に見られるように、針(30)は、初めはカニューレ(20)の中に格納されて、ロック部材(66)は、本体(40)と作動部材(62)との間に位置付けられ、したがって作動部材(62)の前進を防ぐ。器具(10)をこの形状にして、カニューレ(20)をより詳細に後述するように患者の眼の内部に位置付けることができる。
【0027】
ひとたびカニューレ(20)を患者の眼の内部に位置付けると、操作者は、カニューレ(20)に対して針(30)を前進させることを所望し得る。針(30)を前進させるために、操作者は、
図3に見られるようにロック部材(66)を器具(10)から引き離すことによって最初にロック部材(66)を取り外してもよい。ひとたびロック部材(66)を取り外せば、作動部材(62)は、2015年2月11日に出願された「Method and Apparatus for Suprachoroidal Administration of Therapeutic Agent」と題する米国特許出願第14/619,256号に記載されるように、本体(40)に対して移動又は並進して、カニューレ(20)に対して針(30)を前進させることができ、この開示は参照により本明細書に援用される。本実施例の作動部材(62)は、針(30)を並進させて針(30)を回転させないようにだけ構成される。その他の実施例では、針(30)を回転させることが所望される場合がある。したがって、代替の実施例は、針(30)を回転及び並進させるために作動部材(62)内に特徴部を含んでもよい。
【0028】
本実施例では、
図4に示すように本体(40)と接触するまでの作動部材(62)の前進は、患者の眼内部への所定量の侵入までのカニューレ(20)の相対位置に対する針(30)の前進と対応する。換言すれば、器具(10)は、操作者が、患者の眼の内部に針(30)を適切に位置付けするために、作動部材(62)を本体(40)と接触するまで前進させるだけでよいように構成される。幾つかの実施例では、カニューレ(20)に対する所定量の針(30)の前進は、約0.25mm〜約10mm、又はより具体的には約0.1mm〜約10mmの範囲内、又はより具体的には約2mm〜約6mmの範囲内、又はより具体的には約4mmである。その他の実施例では、作動部材(62)と本体(40)との間の接触は、カニューレ(20)に対する針(30)の最大限の前進を除いて特定の意義を有さなくてもよい。その代わりとして、器具(10)は、針(30)がカニューレ(20)に対して特定の所定の距離まで前進したときに操作者に示す特定の触覚フィードバック特徴部を備えていてもよい。したがって、操作者は、器具の表示部の直接可視化に基づき、及び/又は器具(10)からの触覚フィードバックに基づき、患者の眼への針(30)の侵入の所望の深さを決定することができる。当然ながら、そのような触覚フィードバック特徴部は、本明細書の教示に照らして当業者には明らかとなるように、本実施例と組み合わせてもよい。
【0029】
II.例示の代替的器具及び特徴部
幾つかの実施例では、本明細書に記載の器具の特定の構成要素又は特徴部を変えることが所望される場合がある。例えば、針(30)を作動させるための代替の機構を有する、器具(10)に類似の器具を利用することが所望される場合がある。更に他の実施例では、異なるカニューレ(20)又は針(30)の形状を備えた、器具(10)に類似の器具を利用することが所望される場合がある。上で参照した変更例を有する器具は、種々の物理特性を有する組織構造を係合するために、異なる外科的処置、又は上述の処置に類似した外科的処置で所望される場合がある。変更例の特定の例が本明細書に記載されるが、本明細書に記載の器具は、本明細書の教示に照らして当業者には明らかとなるように、任意のその他代替的な特徴部を含み得ることを理解されたい。
【0030】
図7は、上述の器具(10)に類似している例示の代替的器具(2010)を示す。器具(2010)の特定の特徴部及び操作性が後述されるが、以下に加えて又は以下の代わりに、2015年2月11日に出願された「Method and Apparatus for Suprachoroidal Administration of Therapeutic Agent」と題する米国特許出願第14/619,256号の教示のいずれかに従って器具(2010)が構成され得る及び/又は動作可能であり得ること、またこの開示は参照により本明細書に援用されることを理解されたい。器具(10)と同様に、本実施例の器具(2010)は、脈絡膜上の入口から患者の眼へと網膜下に治療用流体を送達する本明細書に記載の処置で通常使用可能である。そのため、器具(2010)を器具(10)の代わりに容易に使用して本明細書に記載の医療処置を実行できることを理解されたい。器具(10)のように、この実施例の器具(2010)は、カニューレ(2020)と、本体(2040)と、作動アセンブリ(2100)とを備える。カニューレ(2020)は、そこから伸長するニチノール針(2030)を含み、上述のカニューレ(20)と実質的に同じものである本実施例では、カニューレ(2020)及び針(2030)は、上述のカニューレ(20)及び針(30)と実質的に同一である。
【0031】
器具(10)と器具(2010)との間の主要な相違点は、器具(2010)の作動アセンブリ(2100)がスライド可能である代わりに回転可能であることである。加えて、器具(2010)は、針(2030)の流体状態を変えるように動作可能であるバルブアセンブリ(図示せず)を含む。作動アセンブリ(2100)は、通常、バルブアセンブリを長手方向に並進させて、それによって取手部材(2110)の回転を介しカニューレ(2020)に対して長手方向に針(2030)を並進させるように動作可能である。
【0032】
作動アセンブリ(2100)が近位位置にあるとき、操作者は、時計と反対方向又は時計方向のどちらかに取手部材(2110)を回転させることができる。取手部材(2110)が時計と反対方向に回転する場合、回転部材(2110)は、自由に回転するだけであろう。作動アセンブリ(2100)、バルブアセンブリ、及び針(2030)の前進を開始するために、操作者は取手部材(2110)を時計方向に回転させることができる。取手部材(2110)の時計方向回転は、取手部材(2110)を遠位に並進させるように働き、またバルブアセンブリ及び針(2030)を遠位に並進させるようにも働くであろう。操作者は、取手部材(2110)の時計方向回転を続けてカニューレ(2020)の遠位端から針(2030)を出してもよい。ひとたび針(2030)が、カニューレ(2020)の遠位端に対して最も離れた遠位位置まで前進すると、取手部材(2110)の更なる時計方向回転は、作動アセンブリ(2100)に組み込まれているクラッチ特徴部の滑りによって単に取手部材(2110)の自由な回転をもたらすであろう。針(2030)を遠位位置にした状態で、操作者は、より詳細に後述するようにバルブアセンブリを作動させて針(2030)を介した治療薬の送達を可能にすることができる。
【0033】
治療薬が送達された後で、操作者は次に針(2030)を格納することを希望する場合がある。取手部材(2110)の時計と反対方向の回転は、本体(2040)に対する作動アセンブリ(2100)、バルブアセンブリ、及び針(2030)の近位の並進を引き起こすであろう。作動アセンブリ(2100)がバルブアセンブリ及び針(2030)を作動させるように回転すると、バルブアセンブリ及び針(2030)は、本体(2040)に対して実質的に回転するように固定され続けることを理解されたい。本実施例の回転部材(2110)は、手動で回転しているように記載されるが、回転部材(2110)はモーター及び/又は他の何らかの動力源を介して回転してもよいことも理解されたい。したがって、針(2030)の並進は、サーボモーターを介し機械的/電気的に駆動されてもよいことを理解されたい。サーボモーターの作動は、より詳細に後述するように、サーボ制御装置によって制御され得る。そのようなサーボ制御は、手動で操作され得る。追加的又は代替的に、そのようなサーボ制御装置は、器具(2010)又は本明細書に記載される任意のその他の構成要素からのフィードバックに作用するコンピュータを介して操作されてもよい。
【0034】
III.例示の縫合糸の測定用テンプレート
図8は、より詳細に後述するように、脈絡膜上の入口から治療薬の網膜下送達を提供する処置で使用され得る例示の縫合糸の測定用テンプレート(210)を示す。一般的に、テンプレート(210)は、患者の眼の上に特定のパターンの色素をスタンプするために患者の眼に押圧されるように構成される。患者(patent)の眼に対するテンプレート(210)の押圧への本明細書の言及は、強膜(304)の表面に(例えば、結膜が取り外された、ないしは別の方法で置換された後で)直接テンプレート(210)を押圧することが挙げられるが、必ずしもこれに限定されないことを理解されたい。テンプレート(210)は、剛性の本体(220)及び剛性のシャフト(240)を備える。より詳細に後述するように、本体(220)は、本体(220)が患者の眼の少なくとも一部に押圧又は配置できるように、通常患者の眼の湾曲に対応するように凹凸がある。本体(220)は、上ガイド部(222)と、本体(220)の対眼面(224)から遠位に伸長する複数の突出部(230)とを備える。
【0035】
上ガイド部(222)は、略半円形状であり、本体(220)の上面に配設される。上ガイド部(222)の半円形状は、患者の眼の縁の湾曲に対応する半径を有する。換言すれば、上ガイド部(222)は、患者の眼球の曲率半径に対応する第1の半径に沿って近位に、また患者の眼の縁の曲率半径に対応する第2の半径に沿って下向きに(シャフト(240)の長手方向軸線に向かって)湾曲する。より詳細に後述するように、上ガイド部(222)を使用して患者の眼の縁に対してテンプレート(210)を適切に位置付けることができる。したがって、テンプレートによって患者の眼の上に付着され得る任意の着色は、患者の眼の縁に対して位置付けられ得る。
【0036】
突出部(230)は、上ガイド部(222)から所定の距離をおいて離間される。特に、突出部(230)は、後述の方法の間に使用するための関連するマークに対応し得るパターンを形成する。本実施例の突出部(230)は、4個の縫合糸ループ突出部(230a〜230h)及び2個の強膜切開突出部(230i、230j)を備える。縫合糸ループ突出部(230a〜320h)及び強膜切開突出部(230i、230j)は、突出部(230)が本体(220)によって画定された湾曲を全体的に維持するように本体(220)から外向きに等距離延在する。換言すれば、突出部(230a〜230j)の先端は全て、患者の眼球の曲率半径を相補する曲率半径によって画定される湾曲した平面に沿って存在する。突出部(230a〜230j)の先端は、強膜又は患者の眼の他の部分を損傷することなく、突出部(230a〜230j)を眼に押圧できるように丸みを帯びており非外傷的である。
【0037】
シャフト(240)は、本体(220)から近位に延在する。シャフト(240)は、操作者がテンプレート(210)を把持し、本体(220)を操作することを可能にするように構成される。本実施例において、シャフト(240)は、本体(220)と一体である。その他の実施例では、ねじ付き連結具又は機械的なスナップ嵌めなどの機械的な締結方法によって、シャフト(240)を本体に選択的に取り付けることができる。変形例によっては、操作者には、シャフト(240)及び複数の本体(220)を含むキットが提供される場合がある。本体(220)は、異なる曲率半径を有する異なる眼球と一致するように異なる湾曲を有してもよい。操作者は、したがって操作者の前にいる特定の患者の解剖学的構造に基づいてキットから適切な本体(220)を選択することができ、操作者は次に選択した本体(220)をシャフト(240)に固定することができる。図示されていないが、シャフト(240)の近位端は、T型把持部(t-grip)、取手、又は操作者がより容易にシャフト(240)を把持することを可能にするその他の把持特徴部を追加的に含んでもよいことを理解されたい。
【0038】
例示の用途では、縫合糸ループ突出部(232)及び強膜切開突出部(234)はそれぞれ後述の方法の特定の部分に対応する。特に、後述の方法の前、又は間に、操作者は、色素若しくはインクパッド(250)の上に突出部(230)を押圧することによって、突出部(230)の上に色素若しくはインクをブラッシングすることによって、ないしは別の方法で色素若しくはインクを突出部(230)に塗ることによって、生体適合性の色素若しくはインクで突出部(230)を覆うことができる。ひとたび突出部(230)が色素又はインクを受容すると、操作者は、より詳細に後述するように、テンプレート(210)の突出部(230)を患者の眼の上に押圧することによって、患者(patent)の眼にマークを付けることができる。ひとたびテンプレート(210)が患者の眼から取り外されると、より詳細に後述するように、突出部からの色素は、眼に付着したままになって特定の所望の点をマークすることができる。
【0039】
IV.脈絡膜上の入口からの治療薬の網膜下送達のための例示の方法
図9A〜11Cは、上述の器具(10)を使用した脈絡膜上の入口からの治療薬の網膜下送達のための例示の処置を示す。しかしながら、器具(2010)を、後述の処置における器具(10)に加えて又はその代わりに容易に使用できることを理解されたい。ほんの一例として、本明細書に記載の方法を使用して、黄斑変性症及び/又はその他の眼球状態を治療することができる。本明細書に記載の処置は、加齢性黄斑変性症の治療の文脈で論じられているが、そのような制限は意図されない又は暗示されないことを理解されたい。例えば、幾つかの単なる例示の代替的処置では、本明細書に記載された同じ技術を使用して、網膜色素変性、糖尿病性網膜症、及び/又はその他の眼球状態を治療することができる。加えて、本明細書に記載の処置を使用して、ドライ型又はウェット型加齢性黄斑変性症を治療することができることを理解されたい。
【0040】
図9Aに見られるように、処置は、操作者が反射鏡(312)、及び/又は任意のその他固定化に好適な器具を使用して患者の眼(301)を取り巻く組織(例えば、眼瞼)を固定化することによって開始する。本明細書に記載される固定は眼(301)を取り巻く組織に関連しているが、眼(301)自体は自由なままで動くことができることを理解されたい。ひとたび眼(301)を取り巻く組織が固定されると、眼用シャンデリアポート(eye chandelier port)(314)が、眼(301)の中に挿入されて、眼(301)の内部を、瞳孔を通して見るときに眼球内照明を提供する。本実施例において、眼用シャンデリアポート(314)は、上側頭側四分円の強膜切開を予備形成するように、下内側四分円内に位置付けられる。
図10Aに見られるように、眼用シャンデリアポート(314)は、光線を眼(314)の内部に向けて網膜の少なくとも一部(例えば、黄斑の少なくとも一部を含む)を照明するように位置付けられる。当然のことながら、そのような照明は、治療薬の送達の対象とされている眼(301)の領域に対応する。本実施例において、ポート(314)の中に光ファイバー(315)をまだ挿入せずに、この段階ではシャンデリアポート(314)だけが挿入される。幾つかのその他の変形例では、この段階で光ファイバー(315)をシャンデリアポート(314)の中に挿入してもよい。どちらの場合にも、標的部位に対する眼用シャンデリアポート(314)の適切な位置決めを確認するために、顕微鏡を必要に応じて使用して、眼を目視で検査することができる。幾つかの実施例では、網膜色素沈着の相対的欠如によって標的部位を識別することができる。
図9Aは、眼用シャンデリアポート(314)の特定の配置を示すが、眼用シャンデリアポート(314)は、本明細書の教示に照らして当業者には明らかとなるように、任意のその他の配置を有してもよいことを理解されたい。
【0041】
ひとたび眼用シャンデリアポート(314)が位置付けられると、結膜にフラップを切り込み、そのフラップを後側に引っ張って、結膜を切開することによって強膜(304)にアクセスすることができる。そのような切開が完了した後で、強膜(304)の露出面(305)を、出血を最小にするために必要に応じて焼灼用具を使用して止血してもよい。ひとたび結膜切開が完了すると、強膜(304)の露出面(305)を必要に応じてWECK−CEL又はその他の好適な吸収装置を使用して乾燥してもよい。次に上述のテンプレート(210)を、使用して眼(301)にマークを付けてもよい。
図9Bに見られるように、テンプレート(210)は、眼(301)の縁と揃えるように位置付けられる。操作者は、テンプレート(210)に軽い力を加えて、眼(301)に色素を付けることができる。次に、
図9Cに見られるように、操作者に視覚的ガイド(320)を提供するために強膜(304)の露出面(305)に付着した色素を残してテンプレート(210)を取り外す。次に、操作者は、視覚的ガイド(320)を使用して、縫合糸ループアセンブリ(330)を取り付けること及び強膜切開を実行することができる。視覚的ガイド(320)は、1組の縫合糸ループマーカー(321,322,323,324,325,326,327)及び1対の強膜切開マーカー(329)を備える。
【0042】
図9Dは、完了した縫合糸ループアセンブリ(330)を示す。より詳細に後述するように、縫合糸ループアセンブリ(330)は、通常、強膜切開を通って眼(301)の中に器具(10)のカニューレ(20)をガイドするように構成される。
図9Dに示される縫合糸ループアセンブリ(330)を作製するために使用され得る例示の処置は、2015年2月11日に出願された「Method and Apparatus for Suprachoroidal Administration of Therapeutic Agent」と題する米国特許出願第14/619,256号に記載され、この開示は参照により本明細書に援用される。ひとたび縫合糸ループアセンブリ(330)が眼(301)に取り付けられると、強膜切開を眼(301)で実行することができる。
図9Eに見られるように、眼(301)は、従来の外科用メス(313)又はその他の好適な切断用器具を使用して強膜切開マーカー(329)の間で切られる。強膜切開マーカー(329)は、2つの別個の点を備えるように示されているが、その他の実施例では、マーカー(329)は実線、点線、又は破線などの任意のその他の型の標識を備えてもよいことを理解されたい。強膜切開処置は、眼(301)の強膜(304)を通って小さな切開部(316)を形成する。
図10Bに最も良く見られるように、強膜切開は、脈絡膜(306)への侵入を避けるように特別な注意を払って実行される。したがって、強膜切開処置は、強膜(304)と脈絡膜(306)との間の空間へのアクセスを提供する。ひとたび切開部(316)が眼(301)内に作製されると、鈍的切開を必要に応じて実行して、脈絡膜(306)から強膜(304)を局所的に分離することができる。そのような切開は、本明細書の教示に照らして当業者には明らかとなるように、小さな尖っていない細長い器具を使用して実行することができる。
【0043】
強膜切開処置を実行すると、操作者は、切開部(316)を通って強膜(304)と脈絡膜(306)との間の空間に器具(10)のカニューレ(20)を挿入することができる。
図9Fに見られるように、カニューレ(20)は、縫合糸ループアセンブリ(330)のガイドループ(336)を通って切開部(316)の中に向けられる。上述のように、ガイドループ(336)は、カニューレ(20)を安定させることができる。加えて、ガイドループ(336)は、カニューレ(20)を切開部(316)に対して概ね接線方向に維持する。カニューレ(20)を安定させ、周囲の組織への損傷を防ぐように、切開部(316)を通してカニューレ(20)がガイドされるような接線方向は、外傷を低減し得る。カニューレ(20)が、ガイドループ(336)を通って切開部(316)の中に挿入されると、操作者は、鉗子又はその他の器具を使用して、カニューレ(20)を非外傷的な経路に沿って更にガイドすることができる。当然ながら、鉗子又はその他の器具の使用は、単に任意であり、実施例によっては省略されてもよい。示されていないが、幾つかの実施例では、カニューレ(20)は、様々な挿入の深度を示すためにカニューレ(20)の表面上に1つ又は2つ以上のマーカーを有してもよいことを理解されたい。単に任意であるものの、カニューレ(20)を非外傷的な経路に沿ってガイドするようなマーカーは、操作者が適切な挿入の深度を識別する支援を行うために所望される場合がある。例えば、操作者は、ガイドループ(336)と関連させて及び/又は切開部(316)と関連させて、カニューレ(20)が眼(301)に挿入される深度の指標のようなマーカーの位置を目視観察することができる。ほんの一例として、そのような1つのマーカーは、約6mmのカニューレ(20)の挿入の深度に対応し得る。
【0044】
ひとたびカニューレ(20)が眼(301)の中に少なくとも部分的に挿入されると、操作者は眼用シャンデリアポート(314)の中に光ファイバー(315)を挿入することができ、このファイバー(315)はこの段階ではまだ挿入されていなかったものである。眼用シャンデリアポート(314)を正しい位置にして、光ファイバー(315)を組み込むと、操作者は、光ファイバー(315)を通した光を向けることによって眼用シャンデリアポート(314)を作動させて、眼(301)の照明を提供し、それによって眼(301)の内部を可視化することができるカニューレ(20)の位置決めの更なる調整を、この時点で必要に応じて行なって、網膜(308)の地図状萎縮の領域に対する適切な位置決めを確実にすることができる場合によっては、操作者は、縫合糸(334、339)を引っ張ることによってなど眼(301)を回転させて、瞳孔を介した眼(301)の内部の可視化を最適化するために、眼(301)の瞳孔を操作者に向けたい場合がある。
【0045】
図9G及び10C〜10Dは、強膜(304)と脈絡膜(306)との間を治療薬の送達部位へとガイドされるカニューレ(20)を示す。本実施例において、送達部位は、網膜(308)の地図状萎縮の領域に近接する眼(301)の概ね後方領域に対応する。特に、本実施例の送達部位は、黄斑より上の、神経感覚網膜と網膜色素上皮層との間の潜在空隙にある。
図9Gは、照明がファイバー(315)及びポート(314)を通じて提供された状態で、眼(301)の瞳孔を通して向けられた顕微鏡による直接可視化の下の眼(301)を示す。このように、カニューレ(20)は、眼(301)の網膜(308)及び脈絡膜(306)を通して少なくとも部分的に可視である。したがって、操作者は、眼(301)を通って
図10Cに示される位置から10Dに示される位置へ前進するカニューレ(20)を追跡することができる。そのような追跡は、光ファイバー(34)を使用してカニューレ(20)の遠位端を通して可視光線を放射する変形例において強化され得る。
【0046】
ひとたびカニューレ(20)が
図10Dに示されるように送達部位まで前進すると、操作者は、
図3〜4に対して上述のように器具(10)の針(30)を前進させることができる。
図9H〜9I、10E、及び11Aに見られるように、針(30)が網膜(308)に侵入せずに脈絡膜(306)を貫通するように、針(30)は、カニューレ(20)に対して前進する。脈絡膜(306)に侵入する直前に、針(30)は、直接可視化の下で
図9Hに見られるように脈絡膜(306)の表面を「テンティング」するように現れ得る。換言すれば、針(30)は、脈絡膜を上向きに押すことによって脈絡膜(306)を変形させることができ、テントの屋根を変形させるテントの支柱に類似した外観を提供する。操作者はこのような視覚現象を使用して、脈絡膜(306)が貫通されようとしているかどうか、及び任意の最終的な貫通の場所を確認することができる。脈絡膜(306)の「テンティング」及び後続の貫通を開始するのに十分な特定の量の針(30)の前進は、限定するものではないが一般的な患者の解剖学的構造、局所的な患者の解剖学的構造、操作者の選択、及び/又はその他の要因などの多数の要因によって決定され得る任意の好適な量であってもよい。上述のように、針(30)の前進の単なる例示の範囲は、約0.25mm〜約10mm、又はより具合的には約2mm〜約6mmであってもよい。
【0047】
本実施例では、上述のテンティング効果を可視化することによって、針(30)が正しく前進したことを操作者が確認した後で、操作者は、針(30)がカニューレ(20)に対して前進したときに平衡塩類溶液(BSS)又はその他同様の溶液を注入する。そのようなBSS溶液は、針(30)が脈絡膜(306)を通って前進すると、針(30)の前に先行ブレブ(340)を形成し得る。先行ブレブ(340)は、2つの理由で所望される場合がある。第1に、
図9I、10F、及び11Bに示されるように、先行ブレブ(340)は、更なる視覚インジケータを操作者に提供して、針(30)が送達部位に正しく位置付けられたときに示すことができる。第2に、先行ブレブ(340)は、ひとたび針(30)が脈絡膜(306)に侵入すると、針(30)と網膜(308)との間に障壁を提供することができる。そのような障壁は、網膜壁を外側に押すことができ(
図10F及び11Bに最も良く見られるように)、それによって針(30)が送達部位まで前進したときの網膜の穿孔のリスクを最小にする。変形例によっては、フットペダルを、先行ブレブ(340)を針(30)から出すために作動させる。あるいは、本明細書の教示を考慮することで、先行ブレブ(340)を針(30)から出すために使用され得る他の好適な特徴部が、当業者に明らかになるであろう。
【0048】
ひとたび操作者が先行ブレブ(340)を可視化すると、操作者は、
図9I、10F、及び11Bに見られるような流体のポケットを残してBSSの注入を停止してもよい。次に、治療薬(341)を、注射器又は器具(10)について上述したようなその他の流体送達装置を作動させることによって注入してもよい。送達される個々の治療薬(341)は、眼球状態を治療するように構成されている任意の好適な治療薬であってもよい。幾つかの単なる例示の好適な治療薬としては、本明細書の教示に照らして当業者には明らかとなるように、より小さい又は大きな分子を有する薬剤、治療用細胞液、特定の遺伝子治療溶液、及び/又は任意のその他好適な治療薬が挙げられるが、必ずしもこれらに限定されない。ほんの一例として、治療薬(341)は、開示が参照により本明細書に組み入れられる、2008年8月19日発行の「Treatment of Retinitis Pigmentosa with Human Umbilical Cord Cells」と題される米国特許第7,413,734号の教示の少なくとも一部に従って提供することができる。
【0049】
任意のその他好適な量を送達することができるが、本実施例において送達部位に最終的に送達される治療薬(341)の量は、約50μLである。変形例によっては、フットペダルを、薬品(341)を針(30)から出すために作動させる。あるいは、本明細書の教示を考慮することで、薬品(341)を針(30)から出すために使用され得る他の好適な特徴部が、当業者に明らかになるであろう。
図9J、10G、及び11Cに見られるように、流体のポケットの膨張によって治療薬の送達を可視化することができる。示されているように、治療薬(341)が脈絡膜上腔に注入されると、治療薬(341)は、本質的に先行ブレブ(340)の流体と混和する。
【0050】
ひとたび送達が完了すると、針(20)は、作動アセンブリ(60)を本体(40)に対して近位にスライドすることによって格納することができ、次にカニューレ(30)を眼(301)から取り出すことができる。針(20)のサイズのため、針(20)が脈絡膜(306)を貫通した部位は、脈絡膜(306)を通リ抜けて送達部位を封鎖するために更なる工程を実施する必要がないように、自己閉鎖することを理解されたい。縫合糸ループアセンブリ(330)及びシャンデリア(314)を取り外してもよく、強膜(304)における切開部(316)を任意の好適な従来の手技を使用して閉じてもよい。
【0051】
上述したように、前述の処置を実行して黄斑変性症を有する患者を治療することができる。幾つかのそのような場合において、針(20)によって送達される治療薬(341)は、分娩後の臍及び胎盤に由来する細胞を含むことがある。上述したように、及びほんの一例として、治療薬(341)は、開示が参照により本明細書に組み入れられる、2008年8月19日発行の「Treatment of Retinitis Pigmentosa with Human Umbilical Cord Cells」と題される米国特許第7,413,734号の教示の少なくとも一部に従って提供することができる。あるいは、米国特許第7,413,734号及び/又は本明細書の他の部分に記載されるものに加えて、又はそれらの代わりに、針(20)を使用して任意のその他好適な物質又は複数の物質を送達することができる。ほんの一例として、治療薬(341)は、小さい分子、大きい分子、細胞、及び/又は遺伝子治療が挙げられるがこれらに限定されない様々な種類の薬剤を含むことができる。黄斑変性症は、本明細書に記載の処置によって治療することができる状態の単なる1つの例示の実施例にすぎないことも理解されたい。本明細書に記載の器具及び処置を使用して処理され得る他の生物学的状態は、当業者に明らかになるであろう。
【0052】
V.マイクロカテーテルを有する例示の器具
場合によっては、眼の網膜下腔に治療薬を送達するための手技を変えるために、本明細書に記載の器具の特定の構成要素又は特徴部を変えることが所望される場合がある。幾つかの実施例では、本明細書に記載の外科的処置の特定の工程又は特徴を変えることが更に所望される場合がある。例えば、外科用メス又は上述のようなその他の切断用器具を使用して眼を切る必要性を限定するように構成されている特徴部を有する、器具(10、2010)と同様の器具を利用することによって、本明細書に記載の外科的処置を変えることが所望される場合がある。上で参照した変更例を有する器具は、種々の物理特性を有する組織構造を係合するために、異なる外科的処置、又は上述の処置に類似した外科的処置で所望される場合がある。変更例の特定の例が本明細書に記載されるが、本明細書に記載の器具は、本明細書の教示に照らして当業者には明らかとなるように、任意のその他代替的な特徴部を含み得ることを理解されたい。
【0053】
A.手動でスライドされるマイクロカテーテルを有する例示の器具
図12は、患者の眼に治療薬を網膜下投与するための処置で使用するために構成される例示の器具(400)を示す。器具(400)は、針(420)、本体(440)、及びマイクロカテーテル(460)を備える。針(420)は、本体(440)から遠位に延在する。針(420)は、より詳細に後述するように、マイクロカテーテル(460)を支持するように通常構成される。また、より詳細に後述するように、針(420)は、患者の眼の網膜下腔への強膜及び脈絡膜を通る針(420)の貫通及び前進を座屈することなく可能にするために十分なコラム強度を有する。針(420)は、鋭利な遠位端(422)を有し、針(420)を通って長手方向に延在する内部ルーメン(図示せず)を画定する。より詳細に後述するように、針(420)のルーメンは、マイクロカテーテル(460)をスライド可能に受容するように構成される。
【0054】
鋭利な遠位端(422)は、強膜及び脈絡膜層への貫通及び侵入を提供して、強膜又は脈絡膜層に他の偶発的な外傷を負わせないようにしつつ針(420)がそのような層を通って網膜下腔へ前進することができるように構成される。本実施例の遠位端(422)は、ランセット形状を有する。幾つかのその他の変形例では、遠位端(422)は、三斜角形状又は2015年2月11日に出願された「Method and Apparatus for Suprachoroidal Administration of Therapeutic Agent」と題する米国特許出願第14/619,256号に記載されるような任意のその他の形状を有し、この開示は参照により本明細書に援用される。本明細書の教示を考慮することで、遠位端(422)がとり得る尚も他の好適な形態が、当業者に明らかになるであろう。本実施例の針(420)は、より詳細に後述するように、針(420)が患者の眼の組織構造に侵入する際、偶発的な外傷を最小にするほど小さいながらもマイクロカテーテル(460)を受容するようにサイズ決めされるステンレス鋼皮下注射針を備える。ほんの一例として、針(420)は、その他好適なサイズを使用することができるが、23ゲージであり得る。
【0055】
本体(440)は、外向きに突出する流体ポート(442)を有して概ねT字型である。示されている本体(440)の個々の形状は、操作者によって把持されるように構成される。あるいは、本体(440)は、2015年2月11日に出願された「Method and Apparatus for Suprachoroidal Administration of Therapeutic Agent」と題する米国特許出願第14/619,256号に記載されるように、器具(400)の位置決めを容易にするための支持装置又はアームに取り付けられてもよく、この開示は参照により本明細書に援用される。流体ポート(442)は、本体(440)の内部への流体通路を提供する。本実施例において、流体供給ライン(444)は、流体ポート(442)と連結され、流体を本体(440)の内部に供給するように構成される。より詳細に後述するように、流体供給ライン(444)経由で供給される流体(例えば、Abbott Medical Opticsにより製造されるHealon(登録商標)OVD)が針(420)内部に形成されたルーメンを介して針(420)の遠位端に連通するように、針(420)は、本体(440)の内部と流体連通する。
【0056】
本体(440)の近位部分は、フェルール(446)を含む。フェルール(446)は、本体(440)の内部への通路を提供する。フェルール(446)は、本体(440)の内部へとフェルール(446)にマイクロカテーテル(460)を通すことができるように、マイクロカテーテル(460)をスライド可能に受容するように構成される。マイクロカテーテル(460)の一部は、操作者がマイクロカテーテル(460)を係合させ、手動で並進させることができるように、フェルール(446)に対して露出される。フェルール(446)は、本体(440)の内部からの流体の不用意な漏れを防ぎながら、フェルール(446)内の、及びフェルール(446)に対するマイクロカテーテル(460)の並進を可能にする密封要素(例えば、ワイパーシール又はOリングなど)(図示せず)を含む。針(420)は、マイクロカテーテル(460)をスライド可能に受容するように構成される。マイクロカテーテル(460)は、したがってフェルール(446)を通り抜け、本体(440)の内部を通リ、針(420)のルーメンに入るように構成される。本実施例の針(420)は、マイクロカテーテル(460)を針(420)のルーメン内に位置付けても、それにもかかわらず流体がマイクロカテーテル(460)の周りの針(420)を通り抜けることができるようにサイズ決めされる。マイクロカテーテル(460)は、針(420)内で、及び針(420)に対して手動で並進し得る。例えば、マイクロカテーテル(460)は、マイクロカテーテル(460)が針(420)の遠位端から遠位に延出する先端まで針(420)に対して遠位に並進し得る。
【0057】
より詳細に後述するように、針(420)を、針(420)の遠位端が網膜下腔内にあるように位置付けると、マイクロカテーテル(460)は、針(420)の遠位端から遠位に、患者の眼の脈絡膜と網膜との間を、患者の眼の後側の位置まで前進することができる。このマイクロカテーテル(460)の前進は、操作者が手動でマイクロカテーテル(460)を並進することによって実行される。マイクロカテーテル(460)は、患者の眼の特定の構造及び輪郭に適合するために十分な可撓性を有し、更にマイクロカテーテル(460)は、座屈することなく患者の眼の脈絡膜と網膜との間のマイクロカテーテル(460)の前進を可能にするために十分なコラム強度を有する。針(420)は、通常、針(420)の長手方向軸線に対して角度をなすよう斜めに配向される出口軸線に沿ってマイクロカテーテル(460)を方向付けるように構成される。そのような角度は、マイクロカテーテル(460)が網膜下腔を通って網膜(308)の下を進み続ける(網膜(308)に侵入するのではなく)ことを確実にする方向、及び網膜(308)へのマイクロカテーテル(460)の侵入を防ぐ方向に、マイクロカテーテル(460)を偏向させることが望ましい場合があることを理解されたい。
【0058】
より詳細に後述するように、マイクロカテーテル(460)は、内部ルーメン(図示せず)を画定する。マイクロカテーテル(460)を患者の眼の後側に位置付けた状態で、マイクロカテーテル(460)のルーメンは、患者の眼の後側に流体を送達するためにマイクロカテーテル(460)の遠位端へのマイクロカテーテル(460)を通る流体(例えば、治療薬)の流れを可能にするように構成されている。ひとたび流体が患者の眼の後側に送達されると、マイクロカテーテル(460)は、針(420)の遠位端の中に近位に引き戻され得る。このマイクロカテーテル(460)の近位の並進は、操作者が手動でマイクロカテーテル(460)を並進することによって実行される。また、
図53B〜53Dを参照してより詳細に後述するように、マイクロカテーテル(460)は、患者の眼の内部のマイクロカテーテル(460)の追跡又は位置決めに役立つように構成される照明素子(462)を含む。
【0059】
B.マイクロカテーテルを駆動するギアアセンブリアクチュエータを有する例示の器具
図13〜20Bは、上述の器具(400)に類似している例示の代替的器具(500)を示す。器具(500)の特定の特徴部及び操作性が後述されるが、以下に加えて又は以下の代わりに、2015年2月11日に出願された「Method and Apparatus for Suprachoroidal Administration of Therapeutic Agent」と題する米国特許出願第14/619,256号の教示のいずれかに従って器具(500)が構成され得る及び/又は動作可能であり得ること、またこの開示は参照により本明細書に援用されることを理解されたい。器具(400)と同様に、本実施例の器具(500)は、患者の眼へと網膜下に治療用流体を送達する本明細書に記載の処置で通常使用可能である。そのため、器具(500)を器具(400)の代わりに容易に使用して本明細書に記載の医療処置を実行できることを理解されたい。器具(400)のように、この実施例の器具(500)は、針(520)と、本体(540)と、マイクロカテーテル(560)とを備える。針(520)は、上述の針(420)と実質的に同じであるステンレス鋼皮下注射針を備える。本実施例では、針(520)及びマイクロカテーテル(560)は、上述の針(420)及びマイクロカテーテル(460)と実質的に同一である。
【0060】
針(520)は、本体(540)から遠位に延在する。針(520)は、より詳細に後述するように、マイクロカテーテル(560)を支持するように通常構成される。また、より詳細に後述するように、針(520)は、患者の眼の網膜下腔への強膜及び脈絡膜を通る針(520)の貫通及び前進を座屈することなく可能にするために十分なコラム強度を有する。針(520)は、概ね真っ直ぐな近位部分(520A)及び曲がった遠位部分(520B)を含む。本実施例の曲がった遠位部分(520B)は、器具(500)の人間工学を改善するために曲げられ、操作者が、操作者に対して扱いにくい角度で器具を保持する必要なく針(520)を眼に対して適切な角度で挿入することを可能にする。そのような角度は、マイクロカテーテル(560)が網膜下腔を通って網膜(308)の下を進み続けることを確実にする方向、及び網膜(308)へのマイクロカテーテル(560)の貫通を防ぐ方向に、マイクロカテーテル(560)を偏向させることが望ましい場合があることを理解されたい。
【0061】
図20A〜20Bに最も良く見られるように、針(520)は、鋭利な遠位端(522)を有し、針(520)を通って延在する内部ルーメン(524)を画定する。より詳細に後述するように、針(520)のルーメン(524)は、マイクロカテーテル(560)をスライド可能に受容するように構成される。鋭利な遠位端(522)は、強膜及び脈絡膜層への貫通を提供して、強膜又は脈絡膜層に他の偶発的な外傷を負わせないようにしつつ針(520)がそのような層を通って網膜下腔へ前進することができるように構成される。本実施例の遠位端(522)は、ランセット形状を有する。幾つかのその他の変形例では、遠位端(522)は、三斜角形状又は2015年2月11日に出願された「Method and Apparatus for Suprachoroidal Administration of Therapeutic Agent」と題する米国特許出願第14/619,256号に記載されるような任意のその他の形状を有し、この開示は参照により本明細書に援用される。本明細書の教示を考慮することで、遠位端(522)がとり得る尚も他の好適な形態が、当業者に明らかになるであろう。本実施例の針(520)は、より詳細に後述するように、針(520)が患者の眼の組織構造に侵入する際、偶発的な外傷を最小にするほど小さいながらもマイクロカテーテル(560)を受容するようにサイズ決めされるステンレス鋼皮下注射針を備える。ほんの一例として、針(520)は、その他好適なサイズを使用することができるが、23ゲージであり得る。
【0062】
本体(540)は、概ね細長い形状であり、本体(540)の遠位部分から延在している外向きに突出する流体ポート(542)を含む。示されている本体(540)の個々の形状は、操作者によって把持されるように構成される。あるいは、本体(540)は、2015年2月11日に出願された「Method and Apparatus for Suprachoroidal Administration of Therapeutic Agent」と題する米国特許出願第14/619,256号に記載されるように、器具(500)の位置決めを容易にするための支持装置又はアームに取り付けられてもよく、この開示は参照により本明細書に援用される。
図17及び20A〜20Bに最も良く見られるように、流体ポート(542)は、本体(540)の内部(541)への流体通路を提供する。本実施例において、流体供給ライン(図示せず)は、流体ポート(542)と連結され、流体を本体(540)の内部(541)に供給するように構成され得る。より詳細に後述するように、流体供給ライン経由で供給される流体(例えば、Abbott Medical Opticsにより製造されるHealon(登録商標)OVD)が針(520)内部に形成されたルーメン(524)を介して針(520)の遠位端に連通するように、針(520)は、本体(540)の内部(541)と流体連通する。
【0063】
器具(400)と器具(500)との間の主要な相違点は、器具(500)が、針(520)に対するマイクロカテーテル(560)の並進を駆動するように構成されるギアアセンブリ(580)を含むことである。本体(540)は、本体(540)の近位部分に形成された円筒穴(546)内にスライド可能に配設されるスレッド(550)を含む。スレッド(550)は、円筒穴(546)内で近位長手方向位置(
図20A)と遠位長手方向位置(
図20B)との間で長手方向に並進するように動作可能である。本体(540)は、スレッド(550)の下面に形成される細長いスロット(552)内に位置付けられたピン(548)を含む(
図19)。ピン(548)は、スロット(552)の長手方向の長さに基づきスレッド(550)の長手方向の並進を制限するように動作可能である。
【0064】
ギアアセンブリ(580)は、1対の回転可能部材(582、584)を含む。回転可能部材(582)は、回転可能部材(582)の両端に位置付けられた1対のギア(586、588)を含む。回転可能部材(582)は、操作者が彼又は彼女の指又は親指を使用して回転可能部材(582)をはめ込んで、それによって回転可能部材(582)の回転を引き起こすことができるように、本体(540)に対して部分的に露出される。回転可能部材(584)は、回転可能部材(584)の長さを実質的に伸ばす細長いギア(583)を含む。回転可能部材(582)のギア(586、588)の歯は、回転可能部材(582)の回転が回転可能部材(584)の同時回転を引き起こすように回転可能部材(584)のギア(583)の歯を係合する。回転可能部材(582)は、本体(540)の長手方向軸線に垂直である軸線の周りに回転可能である。
【0065】
図18に最も良く見られるように、スレッド(550)は、スレッド(550)の長さに沿って長手方向に延在する複数のギア歯(558)を含む。スレッド(550)の歯(558)は、ラックとピニオンとの関係にある回転可能部材(584)のギア(583)の歯を係合する。したがって、回転可能部材(584)の回転は、スレッド(550)の長手方向の並進を近位長手方向位置(
図20A)と遠位長手方向位置(
図20B)との間で引き起こす。第1の方向への回転可能部材(582)の回転が、本体(540)に対するスレッド(550)の遠位長手方向の並進を引き起こすであろうこと、及び第2の方向への回転可能部材(582)の回転が、本体(540)に対するスレッド(550)の近位長手方向の並進を引き起こすであろうことを理解されたい。
【0066】
図17に最も良く見られるように、マイクロカテーテル(560)は、スレッド(550)の並進がマイクロカテーテル(560)の同時並進を引き起こすようにスレッド(550)と連結される。マイクロカテーテル(560)は、スレッド(550)内に形成される穴(554)を通って遠位に延在し、そこから遠位に延在する。そのため、第1の方向への回転可能部材(582)の回転が、針(520)に対するマイクロカテーテル(560)の遠位長手方向の並進を引き起こすであろうこと、及び第2の方向への回転可能部材(582)の回転が、針(520)に対するマイクロカテーテル(560)の近位長手方向の並進を引き起こすであろうことを理解されたい。
【0067】
マイクロカテーテル(560)は、本体(540)内に形成された穴(549)を通り抜け、本体(540)の内部(541)を通り、針(520)のルーメン(524)に入る。本体(540)の穴(549)は、本体(540)の内部(541)からの流体の不用意な漏れを防ぎながら、穴(549)内の、及び穴(549)に対するマイクロカテーテル(560)の並進を可能にする密封要素(例えば、ワイパーシール又はOリングなど)(図示せず)を含み得る。本実施例の針(520)は、マイクロカテーテル(560)を針(520)のルーメン内に位置付けても、それにもかかわらず流体がマイクロカテーテル(560)の周りの針(520)を通り抜けることができるようにサイズ決めされる。マイクロカテーテル(560)は、スレッド(550)の並進によって針(520)内で、及び針(520)に対して並進し得る。例えば、マイクロカテーテル(560)は、マイクロカテーテル(560)が針(520)の遠位端から遠位に延出する先端まで針(520)に対して遠位に並進し得る。
【0068】
より詳細に後述するように、針(520)を、針(520)の遠位端が網膜下腔内にあるように位置付けると、マイクロカテーテル(560)は、針(520)の遠位端から遠位に、患者の眼の脈絡膜と網膜との間を、患者の眼の後側の位置まで前進することができる。このマイクロカテーテル(560)の前進は、
図20A及び20Bで示される第1の方向への回転可能部材(582)の回転によって実行される。マイクロカテーテル(560)は、患者の眼の特定の構造及び輪郭に適合するために十分な可撓性を有し、更にマイクロカテーテル(560)は、座屈することなく患者の眼の脈絡膜と網膜との間のマイクロカテーテル(560)の前進を可能にするために十分なコラム強度を有する。針(520)は、通常、針(520)の長手方向軸線に対して角度をなすよう斜めに配向される出口軸線に沿ってマイクロカテーテル(560)を方向付けるように構成される。そのような角度は、マイクロカテーテル(560)が網膜下腔を通って網膜(308)の下を進み続けることを確実にする方向、及び網膜(308)へのマイクロカテーテル(560)の貫通を防ぐ方向に、マイクロカテーテル(560)を偏向させることが望ましい場合があることを理解されたい。
【0069】
より詳細に後述するように、マイクロカテーテル(560)は、内部ルーメンを画定する。マイクロカテーテル(560)を患者の眼の後側に位置付けた状態で、マイクロカテーテル(560)のルーメンは、患者の眼の後側に流体を送達するためにマイクロカテーテル(560)の遠位端へのマイクロカテーテル(560)を通る流体(例えば、治療薬)の流れを可能にするように構成されている。ひとたび流体が患者の眼の後側に送達されると、マイクロカテーテル(560)は、針(520)の遠位端の中に近位に引き戻され得る。このマイクロカテーテル(560)の近位の並進は、第2の方向への回転可能部材(582)の回転によって実行される。また、より詳細に後述するように、マイクロカテーテル(560)は、患者の眼の内部のマイクロカテーテル(560)の追跡又は位置決めに役立つように構成される照明素子を含み得る。
【0070】
C.マイクロカテーテルを駆動するねじ付きアセンブリアクチュエータを有する例示の器具
図21〜27Bは、上述の器具(400、500)に類似している例示の代替的器具(600)を示す。器具(600)の特定の特徴部及び操作性が後述されるが、以下に加えて又は以下の代わりに、2015年2月11日に出願された「Method and Apparatus for Suprachoroidal Administration of Therapeutic Agent」と題する米国特許出願第14/619,256号の教示のいずれかに従って器具(600)が構成され得る及び/又は動作可能であり得ること、またこの開示は参照により本明細書に援用されることを理解されたい。器具(400、500)と同様に、本実施例の器具(600)は、患者の眼へと網膜下に治療用流体を送達する本明細書に記載の処置で通常使用可能である。そのため、器具(600)を器具(400、500)の代わりに容易に使用して本明細書に記載の医療処置を実行できることを理解されたい。器具(400、500)のように、この実施例の器具(600)は、針(620)と、本体(640)と、マイクロカテーテル(660)とを備える。針(620)は、上述の針(420、520)と実質的に同じであるステンレス鋼皮下注射針を備える。本実施例では、針(620)及びマイクロカテーテル(660)は、上述の針(420、520)及びマイクロカテーテル(460、560)と実質的に同一である。
【0071】
針(620)は、本体(640)から遠位に延在する。針(620)は、より詳細に後述するように、マイクロカテーテル(660)を支持するように通常構成される。また、より詳細に後述するように、針(620)は、患者の眼の網膜下腔への強膜及び脈絡膜を通る針(620)の貫通及び前進を座屈することなく可能にするために十分なコラム強度を有する。針(620)は、鋭利な遠位端(622)を有し、針(620)を通って延在する内部ルーメン(624)を画定する。より詳細に後述するように、針(620)のルーメン(624)は、マイクロカテーテル(660)をスライド可能に受容するように構成される。鋭利な遠位端(622)は、強膜及び脈絡膜層への貫通を提供して、強膜又は脈絡膜層に他の偶発的な外傷を負わせないようにしつつ針(620)がそのような層を通って網膜下腔へ前進することができるように構成される。本実施例の遠位端(622)は、ランセット形状を有する。幾つかのその他の変形例では、遠位端(622)は、三斜角形状又は2015年2月11日に出願された「Method and Apparatus for Suprachoroidal Administration of Therapeutic Agent」と題する米国特許出願第14/619,256号に記載されるような任意のその他の形状を有し、この開示は参照により本明細書に援用される。本明細書の教示を考慮することで、遠位端(622)がとり得る尚も他の好適な形態が、当業者に明らかになるであろう。本実施例の針(620)は、より詳細に後述するように、針(620)が患者の眼の組織構造に侵入する際、偶発的な外傷を最小にするほど小さいながらもマイクロカテーテル(660)を受容するようにサイズ決めされるステンレス鋼皮下注射針を備える。ほんの一例として、針(620)は、その他好適なサイズを使用することができるが、23ゲージであり得る。
【0072】
本体(640)は、概ね細長い形状であり、外向きに延在する流体供給ライン(642)を含む。示されている本体(640)の個々の形状は、操作者によって把持されるように構成される。あるいは、本体(640)は、2015年2月11日に出願された「Method and Apparatus for Suprachoroidal Administration of Therapeutic Agent」と題する米国特許出願第14/619,256号に記載されるように、器具(600)の位置決めを容易にするための支持装置又はアームに取り付けられてもよく、この開示は参照により本明細書に援用される。
【0073】
器具(400、500)と器具(600)との間の主要な相違点は、器具(600)がトーイボースト(Tuohy-Borst)バルブを制御するように動作可能であるダンベル形状の回転可能部材(652)と、マイクロカテーテル(660)の並進を引き起こすように構成されるプランジャアセンブリ(690)とを含むことである。
図25に示すように、回転可能部材(652)は、本体(640)に形成された同様の形状の穴(646)内に回転可能に配設される。回転可能部材(652)は、穴(646)内で回転するように動作可能である。回転可能部材(652)の近位部分は、操作者が彼又は彼女の指又は親指を使用して回転可能部材(652)をはめ込んで、それによって回転可能部材(652)の回転を引き起こすことができるように、本体(640)の上面に形成された開口部(644)によって本体(640)に対して露出される。回転可能部材(652)の遠位部分(654)は、遠位部分(654)の円筒穴(656)内に形成された内側のねじ山(655)を含む。針(620)の近位端は、外向きに延在するフランジ(651)を含む円錐ハブ(623)と連結される。フランジ(651)は、ねじ山(655)と連結されてルアー付属品を形成し、それによって回転可能部材(652)に対して液密に針(620)をしっかり固定する。当然ながら、針(620)は、任意のその他好適な方法により、回転可能部材(652)に固定され得る。
【0074】
チューブ(659)は、Oリングの形状の内部シール(657)を含むフェルール部材(645)で終端する前に、回転可能部材(650)の円筒穴(656)を通って延在する。シール(657)は、チューブ(659)の内部からの流体の不用意な漏れを選択的に防ぎながら、チューブ(659)内の、及びチューブ(659)に対するマイクロカテーテル(660)の並進を可能にする。特に、回転可能部材(652)、フェルール部材(645)、及びシール(657)は協働して、本明細書の教示に照らして当業者には明らかとなるような方法でトーイボースト(Tuohy-Borst)バルブを形成する。即ち、回転可能部材(652)は、チューブ(659)、フェルール部材(645)、及びシール(657)のアセンブリを確実に締め付け、それによってチューブ(659)、フェルール部材(645)、及びシール(657)のアセンブリの近位端を通したチューブ(659)の内部との流体連通を阻止するように動作可能である。
【0075】
回転可能部材(652)は、本体(640)に対して回転可能である。針(620)は、回転可能部材(652)にしっかり固定されるので、したがって針(620)もまた本体(640)に対して回転可能である。換言すれば、操作者は、本体(640)に対して回転可能部材(652)を回転させて、それによって本体(640)に対して針(620)を回転させることができる。そのような針の回転は、患者の眼に対して針(620)の長手方向軸線の周りの所望の角度位置に、遠位端(622)を位置付けるために望ましい場合がある。針(620)のそのような回転が針(620)で強膜(304)を貫通するのに必要な長手方向の力を低減し得るので、追加的に又は選択的に、操作者は、強膜(304)を通して針(620)を駆動させながら本体(640)に対して針(620)を回転させたい場合がある。
【0076】
流体供給ライン(642)は、回転可能部材(652)の円筒穴(656)への流体通路を提供する。より詳細に後述するように、流体供給ライン(642)経由で供給される流体(例えば、Abbott Medical Opticsにより製造されるHealon(登録商標)OVD)が針(620)内部に形成されたルーメン(624)を介して針(620)の遠位端に連通するように、針(620)は、ハブ(623)経由で回転可能部材(652)の円筒穴(656)と流体連通する。
【0077】
プランジャアセンブリ(690)は、本体(640)の近位部分内にスライド可能に配設されるプランジャ(692)を含む。プランジャ(692)は、近位長手方向位置(
図26A)と遠位長手方向位置(
図26B)との間で本体(640)に対して長手方向に並進するように動作可能である。プランジャ(692)は、本体(640)の上面に形成される細長いスロット(646)内に位置付けられたピン(694)を含む。ピン(694)は、スロット(646)の長手方向の長さに基づきプランジャ(692)の長手方向の並進を制限するように動作可能である。
図23に最も良く見られるように、プランジャ(692)は、プランジャ(692)の外面の両側に配設され、プランジャ(692)の外面から延在する1対の細長い突起部(696)を含む。突起部(696)は、本体(640)に対するプランジャ(692)の並進を可能にしながらプランジャ(692)の回転を妨げるように、本体(640)の内面に形成される1対の嵌合する細長いスロット(648)内にスライド可能に配設される。
【0078】
図27A及び27Bに最も良く見られるように、マイクロカテーテル(660)は、本体(640)に対するプランジャ(692)の並進が本体(640)に対するマイクロカテーテル(660)の同時並進を引き起こすようにプランジャ(692)と連結される。マイクロカテーテル(660)は、プランジャ(692)内に形成される穴(698)を通って遠位に延在し、そこから遠位に延在する。マイクロカテーテル(660)は次に、チューブ(659)を通り抜けて針(620)のルーメン(624)に入る。シール(657)は、チューブ(659)の内部からの流体の不用意な漏れを防ぎながら、チューブ(659)内の、及びチューブ(659)に対するマイクロカテーテル(660)の並進を可能にする。
【0079】
本実施例の針(620)は、マイクロカテーテル(660)を針(620)のルーメン(624)内に位置付けても、それにもかかわらず流体がマイクロカテーテル(660)の周りの針(620)を通り抜けることができるようにサイズ決めされる。マイクロカテーテル(660)は、プランジャ(692)の並進によって針(620)内で、及び針(620)に対して並進し得る。例えば、マイクロカテーテル(660)は、マイクロカテーテル(660)が針(620)の遠位端から遠位に延出する先端まで針(620)に対して遠位に並進し得る。
【0080】
より詳細に後述するように、針(620)を、眼の中に針(620)の遠位端(622)が網膜下腔内にあるような位置まで挿入すると、マイクロカテーテル(660)は、針(620)の遠位端(622)から遠位に、患者の眼の脈絡膜(306)と網膜(308)との間を、患者の眼の後側の位置まで前進することができる。針(620)の挿入は、マイクロカテーテル(660)の前進が本体(640)に対するプランジャ(692)の遠位の並進によって実行される間に、器具(600)全体を遠位に前進させることによって実行される。マイクロカテーテル(660)は、患者の眼の特定の構造及び輪郭に適合するために十分な可撓性を有し、更にマイクロカテーテル(660)は、座屈することなく患者の眼の脈絡膜と網膜との間のマイクロカテーテル(660)の前進を可能にするために十分なコラム強度を有する。針(620)は、通常、針(620)の長手方向軸線に対して角度をなすよう斜めに配向される出口軸線に沿ってマイクロカテーテル(660)を方向付けるように構成される。そのような角度は、マイクロカテーテル(660)が網膜下腔を通って網膜(308)の下を進み続ける(網膜(308)に侵入するのではなく)ことを確実にする方向、及び網膜(308)へのマイクロカテーテル(660)の侵入を最小にする方向に、マイクロカテーテル(660)を偏向させることが望ましい場合があることを理解されたい。
【0081】
また、より詳細に後述するように、マイクロカテーテル(660)は、内部ルーメンを画定する。マイクロカテーテル(660)を患者の眼の後側に位置付けた状態で、マイクロカテーテル(660)のルーメンは、患者の眼の後側に流体を送達するためにマイクロカテーテル(660)の遠位端へのマイクロカテーテル(660)を通る流体(例えば、治療薬)の流れを可能にするように構成されている。ひとたび流体が患者の眼の後側に送達されると、マイクロカテーテル(660)は、針(620)の遠位端の中に近位に引き戻され得る。このマイクロカテーテル(660)の近位の並進は、プランジャ(692)の近位の並進によって実行される。針(620)は次に、器具(600)全体を近位に引っ張ることによって患者の眼内から取り出される。また、より詳細に後述するように、マイクロカテーテル(660)は、患者の眼の内部のマイクロカテーテル(660)の追跡又は位置決めに役立つように構成される照明素子を含み得る。
【0082】
D.例示の針誘導装置
場合によっては、操作者が患者の眼(301)に対して器具(400、500、600)の針(420、520、620)を適切に位置合わせするのを支援するように動作可能である誘導装置を提供することが、望ましい場合がある。例えば、そのような誘導装置は、患者の眼(301)への侵入時に針(420、520、620)の遠位端が眼(301)の網膜下腔まで強膜(304)及び脈絡膜(306)を通って進むような経路に沿って針(420、520、620)が前進するように、網膜(308)の接線となる経路に沿って患者の眼(301)の中に針(420、520、620)をガイドするように構成され得る。そのような誘導装置は、異なるサイズ及び寸法であってもよく、それぞれの患者の眼(301)における解剖学的差異を吸収するために異なる前進経路を提供してもよい。変更例の特定の例が本明細書に記載されるが、本明細書に記載の器具は、本明細書の教示に照らして当業者には明らかとなるように、任意のその他代替的な特徴部を含み得ることを理解されたい。
【0083】
図28〜39は、例示の誘導装置(700)を示す。誘導装置(700)は、下面(712)が患者の眼(301)の辺縁領域の輪郭を補完するように構成される環状ベース部(710)を備える。
図39に示されるように縫合糸ループ(714)に通した縫合糸(715)によって誘導装置(700)を患者の眼(301)に固定できるように、環状ベース部(710)は、複数の縫合糸ループ(714)を含む。追加的又は代替的に、接着剤、吸引、マイクロバーブ、テクスチャ表面によって、又は操作者による接触圧及び安定化によって誘導装置(700)を患者の眼(301)に固定してもよい。環状ベース部(710)は、下面(717)が同様に、患者の眼(301)の輪郭を補完するように構成される誘導アンカー(716)を更に含む。誘導装置(700)は患者の眼(301)に固定されるので、誘導アンカー(716)は、
図39〜40Cに最も良く見られるように患者の眼(301)の側部領域に沿って延在するように形成される。
図39に示されるように縫合糸ループ(718)に通される縫合糸(715)によって誘導アンカー(716)を患者の眼(301)に固定できるように、誘導アンカー(716)は、1対の縫合糸ループ(718)を含む。追加的又は代替的に、接着剤、吸引、マイクロバーブ、テクスチャ表面によって、又は操作者による接触圧及び安定化によって誘導アンカー(716)を患者の眼(301)に固定してもよい。
【0084】
図34〜36に最も良く見られるように、誘導アンカー(716)は、誘導アンカー(716)を完全に貫通して延びる複数の貫通孔(740A、740B、740C、740D)を含む。所定の角度で患者の眼(301)と接触するまで針(420、520、620)をガイドするために、貫通孔(740A、740B、740C、740D)は、器具(400、500、600)の針(420、520、620)を受容するように構成される。
図34に最も良く見られるように、各貫通孔(740A、740B、740C、740D)は、誘導アンカー(716)の上面(719)に形成されたフィレット開口部(742)を含む。フィレット開口部(742)は、操作者が貫通孔(740A、740B、740C、740D)の中に針(420、520、620)をガイドするのを支援するように構成される。
図36に最も良く見られるように、各貫通孔(740A、740B、740C、740D)は、各貫通孔(740A、740B、740C、740D)によって提供される入口の位置及び角度に基づいて固有の誘導経路を画定する。このようにして、各貫通孔(740A、740B、740C、740D)が貫通孔(740A、740B、740C、740D)の内面と針(420、520、620)の外面との間の接触による固有の経路に沿って患者の眼(301)と接触するように針(420、520、620)を向かわせることを理解されたい。操作者は、各患者の眼(301)の個々の特性(輪郭、湾曲、厚さ、強靱性など)に基づいてどの固有の経路が最適であるかを決定することができる。例えば、より詳細に後述するように、操作者は、患者の眼(301)の網膜下腔へと強膜(304)及び脈絡膜(306)を通って針(420、520、620)を向かわせるための最適な経路を決定することができる。
【0085】
誘導装置(700)は、環状ベース部(710)から上向きに延在する切頭円錐の突起部(720)を更に含む。より詳細に後述するように、切頭円錐の突起部(720)は、
図33に最も良く見られるように切頭円錐の突起部(720)及び環状ベース部(710)を通り形成された開口部(722)経由で眼(301)の瞳孔を通じて患者の眼(301)の内部の観察を提供するように動作可能である観察用レンズ(750)を受容するように構成される。支持フレーム(730)は、切頭円錐の突起部(720)から上向きに延在する。より詳細に後述するように、支持フレーム(730)は、観察用レンズ(750)を誘導装置(700)に選択的に固定するように、かつ使用中に観察用レンズ(750)に支持及び安定性を更に提供するように構成される。支持フレーム(730)は、半円形の支持部材(732)を含む。支持部材(732)は、
図28及び29に最も良く見られる形状に弾性的に付勢される。支持部材(732)は、観察用レンズ(750)を受容するように動作可能なフレア形状の開口部を有する支持部材(732)を提供する1対の湾曲したフランジ(734)を含む。
【0086】
図37及び38に示されるように、観察用レンズ(750)は、誘導装置(700)内に固定され得る。観察用レンズ(750)は、例えば、Volk(登録商標)によって製造された幾つかの眼用レンズの1つ又は任意のその他適切な種類の観察用レンズであり得る。この例では、観察用レンズ(750)は、切頭円錐の突起部(720)及び支持フレーム(730)の支持部材(732)との係合によって、誘導装置(700)内に固定される。特に、観察用レンズ(750)は、切頭円錐の突起部(720)内に係合し、締まりばめ又はスナップばめによって固定されてもよい。追加的又は代替的に、観察用レンズ(750)を接着剤で又は任意のその他適切な方法で切頭円錐の突起部(720)内に固定してもよい。加えて、操作者が観察用レンズ(750)を安定させもよい。観察用レンズ(750)が切頭円錐の突起部(720)と接触するまで駆動されると、観察用レンズ(750)と支持部材(732)のフランジ(734)との間の接触は、観察用レンズ(750)を支持部材(732)内に受容することができるように、支持部材(732)を外向きに開放させる。観察用レンズ(750)を支持部材(732)内で
図37及び38に示される位置まで更に位置付けると、支持部材(732)は、元の形に戻って、それにより観察用レンズ(750)を支持部材(750)に選択的に固定する。
【0087】
観察用レンズ(750)を誘導装置(700)内に固定した状態で、かつ誘導装置(700)を患者の眼(301)に固定した状態で、操作者は、観察用レンズ(750)を使用して、切頭円錐の突起部(720)及び環状ベース部(710)を通り形成された開口部(722)経由で眼の瞳孔を通じて患者の眼(301)の内部を見ることができる。より詳細に後述されるように、観察用レンズ(750)の使用は、操作者による患者の眼(301)内の針(420、520、620)及び/又はマイクロカテーテル(460、560、660)の追跡又は配置を支援し得る。外科的処置の前又は間に、観察用レンズ(750)を取り除き、恐らく操作者の必要性に応じその他の観察用レンズで置き換えることができることを理解されたい。
【0088】
図40〜44に示されるように、誘導装置(700)の幾つかの変形例では、支持フレーム(730)を誘導装置(700)から省略してもよい。誘導装置(700)のそのような変形例では、
図43及び44に示されるように切頭円錐の突起部(720)との係合によって観察用レンズ(750)を誘導装置(700)内に固定してもよい。特に、観察用レンズ(750)は、切頭円錐の突起部(720)内に係合し、締まりばめ又は摩擦ばめによって固定されてもよい。追加的又は代替的に、観察用レンズ(750)を接着剤で又は任意のその他適切な方法で切頭円錐の突起部(720)内に固定してもよい。加えて、操作者が観察用レンズ(750)を安定させもよい。
【0089】
図45〜49に示されるように、誘導装置(700)の幾つかのその他の変形例では、支持フレーム(730)に加えて、切頭円錐の突起部(720)を誘導装置(700)から省略してもよい。誘導装置(700)のそのような変形例では、
図48及び49に示されるように環状ベース部(710)との係合によって観察用レンズ(750)を誘導装置(700)に固定してもよい。特に、観察用レンズ(750)は、環状ベース部(710)に係合し、締まりばめ又は摩擦ばめによって固定されてもよい。追加的又は代替的に、観察用レンズ(750)を接着剤で又は任意のその他適切な方法で環状ベース部(710)内に固定してもよい。加えて、操作者が観察用レンズ(750)を安定させもよい。
【0090】
図50及び51に示されるように、誘導装置(700)の更に幾つかのその他の変形例では、誘導アンカー(716)は、誘導アンカー(716)から上向きに延在する誘導チューブ(760)を含んでもよい。誘導チューブ(760)の長さに沿って延在するルーメン(762)は、1つ又は2つ以上の貫通孔(740A、740B、740C、740D)の延長として働く。この1つ又は2つ以上の貫通孔(740A、740B、740C、740D)の延長された長さは、貫通孔(740A、740B、740C、740D)の内面と針(420、520、620)の外面との間の更なる接触をもたらす。この増大された接触は、針(420、520、620)が患者の眼(301)の網膜下腔へと強膜(304)及び脈絡膜(306)を通って前進する際に、針(420、520、620)のより正確な誘導を提供する。
【0091】
VI.治療薬の網膜下送達のための例示の代替的方法
図52A〜53Dは、上述の器具(400)を使用した治療薬の網膜下送達のための例示の処置を示す。しかしながら、器具(500、600)を、後述の処置における器具(400)に加えて又はその代わりに容易に使用できることを理解されたい。また器具(10、2010)を、後述の処置を実行するように改善してもよい。
図9A〜11Cを参照して上述のように、たとえ器具(10、2010)が、脈絡膜上の入口からの治療薬の網膜下投与の処置にのみ使用されるとしても、器具(10、2010)を容易に改善して、上述の器具(400、500、600)の特徴部の少なくとも幾つかを含むことができることも理解されたい。本明細書の教示を互換し組み合わせることができる他の適切な方法が当業者に明らかになるであろう。
【0092】
ほんの一例として、本明細書に記載の方法を使用して、黄斑変性症及び/又はその他の眼球状態を治療することができる。本明細書に記載の処置は、加齢性黄斑変性症の治療の文脈で論じられているが、そのような制限は意図されない又は暗示されないことを理解されたい。例えば、幾つかの単なる例示の代替的処置では、本明細書に記載された同じ技術を使用して、網膜色素変性、糖尿病性網膜症、及び/又はその他の眼球状態を治療することができる。加えて、本明細書に記載の処置を使用して、ドライ型又はウェット型加齢性黄斑変性症を治療することができることを理解されたい。
【0093】
図52A〜53Dに示されないが、
図9Aに見られるように、処置は、操作者が反射鏡(312)、及び/又は任意のその他固定化に好適な器具を使用して患者の眼(301)を取り巻く組織(例えば、眼瞼)を固定化することによって開始する。操作者が適切な誘導装置(700)及び観察用レンズ(750)を選択した後で、観察用レンズ(750)は、上述の誘導装置(700)内に固定される。誘導装置(700)及び観察用レンズ(750)は、次に患者の眼(301)の辺縁領域に位置付けられ、そこに環状ベース部(710)の縫合糸ループ(714)及び縫合糸(715)で固定される。変形例によっては、操作者は、誘導装置(700)を患者の眼(301)に縫合糸(715)を使用してまず固定し、次に誘導装置(700)が患者の眼(301)に固定された後でレンズ(750)を誘導装置(700)に固定する。
【0094】
操作者が、適切な貫通孔(740A、740B、740C、740D)を決定した後で、針(420)を
図52Aに示されるように貫通孔(740A、740B、740C、740D)の中に挿入する。
図52Bに示されるように、針(420)の鋭利な遠位端(422)を使用して、操作者は次に強膜(304)を貫通し、針(420)が網膜(308)に対して侵入せずに脈絡膜(306)を貫通するように針(420)を誘導装置(700)に対して前進させる。脈絡膜(306)に侵入する直前に、針(420)は、直接可視化の下で脈絡膜(306)の表面を「テンティング」するように現れ得る。換言すれば、針(420)は、脈絡膜(306)を上向きに押すことによって脈絡膜(306)を変形させることができ、上述のようにテントの屋根を変形させるテントの支柱に類似した外観を提供する。操作者はこのような視覚現象を使用して、脈絡膜(306)が貫通されようとしているかどうか、及び任意の最終的な貫通の場所を確認することができる。脈絡膜(306)の「テンティング」及び後続の貫通を開始するのに十分な特定の量の針(420)の前進は、限定するものではないが一般的な患者の解剖学的構造、局所的な患者の解剖学的構造、操作者の選択、及び/又はその他の要因などの多数の要因によって決定され得る任意の好適な量であってもよい。上述のように、針(420)の前進の単なる例示の範囲は、約0.25mm〜約10mm、又はより具合的には約2mm〜約6mmであってもよい。
【0095】
示されていないが、幾つかの実施例では、針(400、500、600)は、様々な挿入の深度を示すために針(400、500、600)の外面上に1つ又は2つ以上のマーカーを有してもよいことを理解されたい。単に任意であるものの、針(400、500、600)を患者の眼(301)の中にガイドするようなマーカーは、操作者が適切な挿入の深度を識別する支援を行うために所望される場合がある。例えば、操作者は、誘導アンカー(716)と関連させて及び/又は誘導チューブ(760)と関連させて、針(400、500、600)が眼(301)に挿入される深度の指標のようなマーカーの位置を目視観察することができる。ほんの一例として、そのような1つのマーカーは、約6mmの針(400、500、600)の挿入の深度に対応し得る。
【0096】
本実施例では、上述のテンティング効果を可視化することによって、針(420)が正しく前進したことを操作者が確認した後で、操作者は、針(420)によって患者の眼(301)の網膜下腔にHealon(登録商標)OVD、平衡塩類溶液(BSS)、又はその他同様の溶液を注入して針(420)の前に先行ブレブ(770)を形成する。先行ブレブ(770)は、2つの理由で所望される場合がある。第1に、先行ブレブ(770)は、更なる視覚インジケータを操作者に提供して、針(420)が正しく位置付けられたときに示すことができる。第2に、先行ブレブ(770)は、ひとたび針(420)が脈絡膜(306)に侵入すると、針(420)と網膜(308)との間に障壁を提供することができる。より詳細に後述するように、そのような障壁は、網膜壁を外側に押すことができ(
図52Cに最も良く見られるように)、それによってマイクロカテーテル(460)が送達部位まで前進したときの網膜の穿孔のリスクを最小にする。変形例によっては、フットペダルを、先行ブレブ(770)を針(420)から出すために作動させる。あるいは、本明細書の教示を考慮することで、先行ブレブ(770)を針(420)から出すために使用され得る他の好適な特徴部が、当業者に明らかになるであろう。
【0097】
図53A〜53Dは、脈絡膜(306)と網膜(308)との間を治療薬(774)の送達部位へとガイドされるマイクロカテーテル(460)を示す。本実施例において、送達部位は、網膜(308)の地図状萎縮の領域に近接する眼(301)の概ね後方領域に対応する。特に、本実施例の送達部位は、黄斑より上の、神経感覚網膜と網膜色素上皮層との間の潜在空隙にある。
図53Bに示されるように、マイクロカテーテル(460)は、先行ブレブ(770)によって提供される空間の中に針(420)の遠位端から遠位に前進する。マイクロカテーテル(460)は、眼(301)の網膜(308)を通して少なくとも部分的に可視である。マイクロカテーテル(460)の可視性を向上するために、マイクロカテーテル(460)は、観察用レンズ(750)経由で見ることのできる照明素子(462)を含み得る。マイクロカテーテル(460)は、
図53Cに示されるように、脈絡膜(306)と網膜(308)との間を送達部位へと遠位に更に前進する。マイクロカテーテル(460)が患者の眼(301)の内部で前進すると、マイクロカテーテル(460)は、直接可視化の下で網膜(308)の表面を「テンティング」するように現れ得る。操作者はこのような視覚現象を使用して、マイクロカテーテル(460)が送達部位まで前進したかどうかを確認することができる。更に、照明素子(462)を使用して、マイクロカテーテル(460)の可視性を向上させ、マイクロカテーテル(460)が送達部位まで前進したかどうかを確認することができる。
【0098】
マイクロカテーテル(460)が送達部位まで正しく前進したことを操作者が確認した後で、治療薬(774)を、注射器又はその他の流体送達装置を作動させることによってマイクロカテーテル(460)を介し注入することができる。送達される個々の治療薬(774)は、眼球状態を治療するように構成されている任意の好適な治療薬であってもよい。幾つかの単なる例示の好適な治療薬としては、本明細書の教示に照らして当業者には明らかとなるように、より小さい又は大きな分子を有する薬剤、治療用細胞の溶液、特定の遺伝子治療溶液、及び/又は任意のその他好適な治療薬が挙げられるが、必ずしもこれらに限定されない。ほんの一例として、治療薬(774)は、開示が参照により本明細書に組み入れられる、2008年8月19日発行の「Treatment of Retinitis Pigmentosa with Human Umbilical Cord Cells」と題される米国特許第7,413,734号の教示の少なくとも一部に従って提供することができる。
【0099】
任意のその他好適な量を送達することができるが、本実施例において送達部位に最終的に送達される治療薬(774)の量は、約50μLである。変形例によっては、フットペダルを、薬品(774)をマイクロカテーテル(460)から出すために作動させる。あるいは、本明細書の教示を考慮することで、薬品(774)をマイクロカテーテル(460)から出すために使用され得る他の好適な特徴部が、当業者に明らかになるであろう。治療薬の送達を、別のブレブとして可視化することができる。ひとたび送達が完了すると、マイクロカテーテル(460)は、マイクロカテーテル(460)をスライドすることによって針(420)の中に再び格納することができ、次に針(420)を眼(301)から取り出すことができる。針(420)のサイズのため、針(420)が強膜(304)及び脈絡膜(306)を貫通した部位は、脈絡膜(306)を通リ抜けて送達部位を封鎖するために更なる工程を実施する必要がないように、自己閉鎖することを理解されたい。ことを理解されたい。縫合糸(715)を更に除去することができる。
【0100】
上述したように、前述の処置を実行して黄斑変性症を有する患者を治療することができる。幾つかのそのような場合において、マイクロカテーテル(460)によって送達される治療薬(774)は、分娩後の臍及び胎盤に由来する細胞を含むことがある。上述したように、及びほんの一例として、治療薬(774)は、開示が参照により本明細書に組み入れられる、2008年8月19日発行の「Treatment of Retinitis Pigmentosa with Human Umbilical Cord Cells」と題される米国特許第7,413,734号の教示の少なくとも一部に従って提供することができる。あるいは、米国特許第7,413,734号及び/又は本明細書の他の部分に記載されるものに加えて、又はそれらの代わりに、マイクロカテーテル(460)を使用して任意のその他好適な物質又は複数の物質を送達することができる。ほんの一例として、治療薬(774)は、低分子、高分子、細胞、及び/又は遺伝子治療が挙げられるがこれらに限定されない様々な種類の薬剤を含むことができる。黄斑変性症は、本明細書に記載の処置によって治療することができる状態の単なる1つの例示の実施例にすぎないことも理解されたい。本明細書に記載の器具及び処置を使用して処理され得る他の生物学的状態は、当業者に明らかになるであろう。
【0101】
VII.例示の組み合わせ
次の実施例は、本明細書の教示を組み合わせる又は適用することができる様々な完全に網羅されていない方法に関連する。次の実施例は、本出願において又は本出願の後の出願において、いかなる時も提示され得るいかなる特許請求の適用範囲も制限することを意図するものではないことを理解されたい。権利放棄を意図するものではない。次の実施例は、単なる例示の目的で提供されているにすぎない。本明細書の様々な教示は、多数の他の方法で配置及び適用され得ることが企図される。幾つかの変更例は、下の実施例で述べた特定の特徴を省略し得ることも企図される。そのため、後述の態様又は特徴のいずれも、後日、本発明者又は本発明者の承継人によってそのように別途明確に記載のない限り、必須と見なされるべきではない。特許請求が、本出願において又は本出願に関する下で述べた特徴以外の追加の特徴を含む後の出願において提示される場合、それらの追加の特徴は、特許性に関する何らかの理由で追加されたものとは推定されない。
【実施例】
【0102】
(実施例1)
装置であって、(a)(i)本体遠位端と、(ii)本体近位端と、(iii)流体ポートと、を備える本体と、(b)本体遠位端から遠位に突出する針であって、(i)針遠位端と、(ii)針近位端と、(iii)針ルーメンを画定する内壁であって、針ルーメンが流体ポートと流体連通する内壁と、を備える針と、(c)針ルーメンにスライド可能に配設されたカテーテルであって、(i)カテーテル遠位端と、(ii)カテーテル近位端と、(iii)カテーテルルーメンと、を備えるカテーテルと、(d)針の内部でかつ針に対してカテーテルを並進させるように構成されている第1のアクチュエータアセンブリと、を備える装置。
【0103】
(実施例2)
流体ポートが、本体遠位端と本体近位端との間の本体の中間領域に位置する、実施例1に記載の装置。
【0104】
(実施例3)
本体がチャンバを画定し、流体ポートがチャンバで終端し、針近位端がチャンバで終端する、実施例2に記載の装置。
【0105】
(実施例4)
カテーテルがチャンバを通り抜ける、実施例3に記載の装置。
【0106】
(実施例5)
針ルーメン及びカテーテルが針の内壁とカテーテルの外側表面との間の間隙を画定するようにサイズ決めされ、間隙が流体ポートから針遠位端への流体連通の経路を提供するように構成されている、実施例1〜4のいずれか一例に記載の装置。
【0107】
(実施例6)
針が、予備形成された屈曲部を有する、実施例1〜5のいずれか一例に記載の装置。
【0108】
(実施例7)
カテーテルが可撓性である、実施例1〜6のいずれか一例に記載の装置。
【0109】
(実施例8)
第1のアクチュエータアセンブリが、本体によって回転可能に支持された制御ホイールを備え、第1のアクチュエータアセンブリは、本体に対する制御ホイールの回転に応じて針の内部でかつ針に対して長手方向にカテーテルを並進させるように動作可能である、実施例1〜7のいずれか一例に記載の装置。
【0110】
(実施例9)
本体が長手方向軸線を画定し、制御ホイールが本体の長手方向軸線に垂直である軸線の周りで本体に対して回転可能である、実施例8に記載の装置。
【0111】
(実施例10)
第1のアクチュエータアセンブリが、(i)制御ホイールと連結されたピニオンであって、制御ホイールの回転に応じて回転するように構成されているピニオンと、(ii)カテーテルと連結されたラックであって、ラックがピニオンの回転に応じて並進するように構成されるようにピニオンと係合されている、ラックと、を備える、実施例8に記載の装置。
【0112】
(実施例11)
第1のアクチュエータアセンブリが、本体内にスライド可能に配設されたプランジャを備え、プランジャは、カテーテルが本体に対するプランジャの並進に応じて本体に対して並進するように構成されるようにカテーテルに固定される、実施例1〜10のいずれか一例に記載の装置。
【0113】
(実施例12)
針が、本体に対して回転するように構成されている、実施例1〜11に記載の装置。
【0114】
(実施例13)
第2のアクチュエータアセンブリを更に備え、第2のアクチュエータアセンブリが本体に対して長手方向に針を回転させるように動作可能である、実施例12に記載の装置。
【0115】
(実施例14)
第2のアクチュエータアセンブリが回転可能部材を備え、回転可能部材が本体に対して回転可能であり、針が本体に対する回転可能部材の回転に応じて本体に対して回転するように構成されている、実施例13に記載の装置。
【0116】
(実施例15)
回転可能部材が、トーイボースト(Tuohy-Borst)バルブを形成するように構成されている、実施例14に記載の装置。
【0117】
(実施例16)
誘導装置を更に備え、誘導装置が、(i)患者の眼に係合するように構成されているベース部と、(ii)患者の眼に対して針を受容しガイドするように構成されている少なくとも1つのガイド通路と、を備える、実施例1〜15のいずれか一例に記載の装置。
【0118】
(実施例17)
誘導装置が、観察用レンズと着脱自在に連結するように構成されているレンズ係合特徴部を更に備える、実施例16に記載の装置。
【0119】
(実施例18)
治療薬の網膜下投与の方法であって、(a)患者の眼の強膜及び脈絡膜を通して、眼の第1の領域の脈絡膜と網膜との間の位置まで針を挿入する工程と、(b)第1の流体を脈絡膜と網膜との間に注入して、脈絡膜と網膜との間に先行ブレブを形成する工程であって、第1の流体が針によって注入される、工程と、(c)針の遠位端から先行ブレブの中にカテーテルを延出する工程と、(d)カテーテルを、更に脈絡膜と網膜との間を眼の第2の領域まで延出する工程と、(e)第2の流体を患者の眼の脈絡膜と網膜との間に注入して、脈絡膜と網膜との間に別のブレブを形成する工程であって、第2の流体がカテーテルによって注入される、工程と、を含む方法。
【0120】
(実施例19)
誘導装置を眼に固定する工程を更に含み、誘導装置がガイド通路を画定し、強膜及び脈絡膜を通して針を挿入する行為が誘導装置のガイド通路を通して針を挿入する工程を更に含み、ガイド通路が針を経路に沿ってガイドして、強膜及び脈絡膜を通して針を位置付ける、実施例18に記載の方法。
【0121】
(実施例20)
装置であって、(a)患者の眼の輪郭を補完するように構成されている下面を有する環状ベース部と、(b)環状ベース部に関連する複数の縫合糸開口部であって、縫合糸を受容するように構成されて、それにより環状ベース部を患者の眼に固定する縫合糸開口部と、(c)環状ベース部から下向きに延在する誘導部材であって、誘導部材が少なくとも1つのガイド通路を画定し、ガイド通路が、患者の眼に対する既定の経路に沿って針を受容し、かつガイドするように構成されている、誘導部材と、(d)環状ベース部に対してレンズを着脱自在に固定するように構成されているレンズ連結特徴部と、を備える装置。
【0122】
(実施例21)
治療薬の網膜下投与の方法であって、患者の眼の強膜及び脈絡膜を通して、眼の第1の領域の脈絡膜と網膜との間の位置まで針を挿入する工程と、第1の流体を脈絡膜と網膜との間に注入して、脈絡膜と網膜との間に先行ブレブを形成する工程と、針の遠位端から先行ブレブの中にカテーテルを延出する工程と、カテーテルを、脈絡膜と網膜との間を眼の第2の領域まで延出する工程と、第2の流体を患者の眼の脈絡膜と網膜との間に注入して、脈絡膜と網膜との間に別のブレブを形成する工程と、を含む方法。
【0123】
(実施例22)
眼の第2の領域が眼の第1の領域の後方にある、実施例21に記載の方法。
【0124】
(実施例23)
第2の流体が治療薬である、実施例21〜22のいずれか一例に記載の方法。
【0125】
(実施例24)
方法が、脈絡膜のテンティングについて眼の内部を監視する工程を更に含む、実施例21〜23のいずれか一例に記載の方法。
【0126】
(実施例25)
方法が、網膜のテンティングについて眼の内部を監視する工程を更に含む、実施例21〜24のいずれか一例に記載の方法。
【0127】
(実施例26)
カテーテルが、照明部分を備える、実施例21〜25のいずれか一例に記載の方法。
【0128】
(実施例27)
方法が、誘導装置を眼に固定する工程を更に含む、実施例21〜26のいずれか一例に記載の方法。
【0129】
(実施例28)
誘導装置を眼に固定する工程が、縫合糸を使用して達成される、実施例27に記載の方法。
【0130】
(実施例29)
誘導装置が、少なくとも1つの誘導穴を備える、実施例27〜28のいずれか一例に記載の方法。
【0131】
(実施例30)
方法が、誘導装置の少なくとも1つの誘導穴を通して針を挿入する工程を更に含む、実施例29に記載の方法。
【0132】
(実施例31)
少なくとも1つの誘導穴が、複数の誘導穴を備え、複数の誘導穴のそれぞれの誘導穴が固有の経路を画定する、実施例29〜30のいずれか一例に記載の方法。
【0133】
(実施例32)
誘導装置が、観察用レンズと選択的に固定されるように構成されている、実施例27〜31のいずれか一例に記載の方法。
【0134】
(実施例33)
方法が、観察用レンズを通して眼の内部を監視する工程を更に含む、実施例32に記載の方法。
【0135】
(実施例34)
誘導装置が、観察用レンズに選択的に対応する支持フレームを備える、実施例32〜33のいずれか一例に記載の方法。
【0136】
(実施例35)
第1の流体が、Healon(登録商標)OVDである、実施例21〜34のいずれか一例に記載の方法。
【0137】
(実施例36)
治療薬の網膜下投与中に使用するための誘導装置であって、ベース部の下面が患者の眼の輪郭を映し、患者の眼に固定されるように構成されているベース部と、ベース部から延在する誘導アンカーであって、誘導アンカーの下面が、患者の眼の輪郭を映し、誘導アンカーは、誘導アンカーを通って延在する少なくとも1つの誘導穴を備え、誘導穴が、患者の眼に対して経路に沿って針を向かわせるために針を受容するように構成され、経路が患者の眼の内部へと針を向かわせる、誘導アンカーと、を備える誘導装置。
【0138】
(実施例37)
ベース部が、少なくとも1つの縫合糸ループを備える、実施例36又は次の実施例のいずれか一例に記載の誘導装置。
【0139】
(実施例38)
少なくとも1つの誘導穴が、複数の誘導穴を備え、複数の誘導穴のそれぞれの誘導穴が固有の、針が向けられ得る経路を画定する、実施例36又は次の実施例のいずれか一例に記載の誘導装置。
【0140】
(実施例39)
治療薬の網膜下投与中に使用するための器具であって、遠位端と近位端とを備える本体と、遠位端と近位端とを備える針であって、針が本体から遠位に延出し、針がルーメンを画定し、針が、流体供給源と流体連結され、流体供給源が、針の遠位端に流体を供給するように構成されている、針と、遠位端と近位端とを備えるカテーテルであって、カテーテルが針のルーメン内にスライド可能に配設され、カテーテルが、針の内部でかつ針に対して並進可能であり、カテーテルがルーメンを画定し、カテーテルが流体供給源と流体連結され、流体供給源がカテーテルの遠位端に流体を供給するように構成されている、カテーテルと、針の内部でかつ針に対してカテーテルを並進させるように構成されている第1のアクチュエータアセンブリと、を備える器具装置。
【0141】
(実施例40)
針が、本体に対して並進するように構成され、器具が、本体に対して針を並進させるように構成されている第2のアクチュエータアセンブリを更に備える、実施例39に記載の誘導装置。
【0142】
VIII.その他
明細書に記載される器具のいずれの変形例も、本明細書で上述されるものに加えて、又はそれらの代わりに、様々な他の特徴部を含んでもよいことを理解されたい。あくまで一例として、本明細書で説明する装置のどれでも、参照により本明細書に組み入れられる様々な参考文献のいずれかで開示されている様々な機構の1つ以上を含むこともできる。
【0143】
本明細書で説明した教示、表現、実施形態、実施例などの任意の1つ以上を、本明細書で説明される他の教示、表現、実施形態、実施例などの任意の1つ以上と組み合わせることができることが理解されるべきである。したがって、上記の教示、表現、実施形態、例などは、互いに対して分離して考慮されるべきではない。本明細書の教示を組み合わせることができる様々な好適な方法が、本明細書の教示に照らして当業者には容易に明らかとなろう。かかる改変例及び変形例は、特許請求の範囲内に含まれるものとする。
【0144】
参照により本明細書に組み込まれると述べられた任意の特許、公報、又は他の開示資料は、部分的に又は全体的に、その組み込まれた資料が既存の定義、記載内容、又は本開示に示した他の開示資料と矛盾しない範囲で本明細書に組み込まれることを理解されたい。そのため、また必要な範囲で、本明細書に明瞭に記載される開示内容は、参照により本明細書に組み込まれるあらゆる矛盾する記載に優先するものとする。参照により本明細書に組み込まれるとされるが、既存の定義、記載、又は本明細書に記載される他の開示資料と矛盾する任意の資料、又はそれらの部分は、組み込まれる資料と既存の開示資料との間に矛盾が生じない範囲においてのみ組み込まれるものとする。
【0145】
上述の変形例は、1回の使用後に廃棄されるように設計されてもよく、あるいは、それらは、複数回使用されるように設計されることもできる。いずれか一方の場合であれ、両方の場合であれ、各形態は、少なくとも1回の使用後に再利用のために再調整を行うことができる。かかる再調整には、装置の分解工程、それに続く特定の部品の洗浄又は交換工程、並びにその後の再組み立て工程の任意の組み合わせが含まれ得る。特に、装置の特定の形態は分解することができ、また、装置の任意の数の特定の部材又は部品を、任意の組み合わせで選択的に交換するか取り外してもよい。特定の部品の洗浄及び/又は交換の際、装置の幾つかの変形例は、再調整用の施設で、又は手術の直前にオペレータによって、その後の使用のために再組み立てされてもよい。当業者であれば、装置の再調整において、分解、洗浄/交換、及び再組み立てのための様々な技術を使用できる点は認識するであろう。このような技術、及び結果として得られる再調整された装置の使用は、全て本発明の範囲内にある。
【0146】
単なる例として、本明細書に記載される各形態は、手術の前及び/又は後で滅菌されてもよい。1つの滅菌法では、装置をプラスチック製又はTYVEK製のバックなどの閉鎖かつ密封された容器に入れる。次いで、容器及び装置を、γ線、X線、又は高エネルギー電子線などの、容器を透過する放射線場に置くことができる。かかる放射線は、装置の表面及び容器内の細菌を死滅させることができる。この後、滅菌された装置を、後の使用のために、滅菌容器中で保管することができる。装置はまた、限定されるものではないが、β若しくはγ放射線、エチレンオキシド、又は水蒸気を含め、当該技術分野で既知の任意の他の技術を使用して滅菌されてもよい。
【0147】
以上、本発明の様々な実施形態を図示及び説明したが、本発明の範囲から逸脱することなく、当業者による適切な改変により、本明細書に記載される方法及びシステムの更なる適合化を実現することができる。そのような可能な改変の幾つかについて述べたが、その他の改変も当業者には明らかとなろう。例えば、上記で考察した実施例、実施形態、形状、材料、寸法、比率、工程などは、例示的なものであって必須のものではない。したがって、本発明の範囲は以下の特許請求の範囲の観点から考慮されるべきものであり、本明細書及び図面において図示、説明した構造及び動作の細部に限定されないものとして理解される。
【0148】
〔実施の態様〕
(1) 装置であって、
(a)本体であって、
(i)本体遠位端と、
(ii)本体近位端と、
(iii)流体ポートと、を備える、本体と、
(b)針であって、前記本体遠位端から遠位に突出し、
(i)針遠位端と、
(ii)針近位端と、
(iii)針ルーメンを画定する内壁であって、前記針ルーメンが前記流体ポートと流体連通する、内壁と、を備える、針と、
(c)カテーテルであって、前記針ルーメンにスライド可能に配設され、
(i)カテーテル遠位端と、
(ii)カテーテル近位端と、
(iii)カテーテルルーメンと、を備える、カテーテルと、
(d)第1のアクチュエータアセンブリであって、前記針の内部でかつ前記針に対して前記カテーテルを並進させるように構成されている、第1のアクチュエータアセンブリと、を備える、装置。
(2) 前記流体ポートが、前記本体遠位端と前記本体近位端との間の前記本体の中間領域に位置している、実施態様1に記載の装置。
(3) 前記本体がチャンバを画定し、前記流体ポートが前記チャンバで終端し、前記針近位端が前記チャンバで終端している、実施態様2に記載の装置。
(4) 前記カテーテルが前記チャンバを通り抜けている、実施態様3に記載の装置。
(5) 前記針ルーメン及びカテーテルが前記針の内壁と前記カテーテルの外側表面との間の間隙を画定するようにサイズ決めされ、前記間隙が前記流体ポートから前記針遠位端への流体連通の経路を提供するように構成されている、実施態様1に記載の装置。
【0149】
(6) 前記針が、予備形成された屈曲部を有する、実施態様1に記載の装置。
(7) 前記カテーテルが可撓性である、実施態様1に記載の装置。
(8) 前記第1のアクチュエータアセンブリが、前記本体によって回転可能に支持された制御ホイールを備え、前記第1のアクチュエータアセンブリは、前記本体に対する前記制御ホイールの回転に応じて前記針の内部でかつ前記針に対して長手方向に前記カテーテルを並進させるように動作可能である、実施態様1に記載の装置。
(9) 前記本体が長手方向軸線を画定し、前記制御ホイールが前記本体の前記長手方向軸線に垂直である軸線の周りで前記本体に対して回転可能である、実施態様8に記載の装置。
(10) 前記第1のアクチュエータアセンブリが、
(i)前記制御ホイールと連結されたピニオンであって、前記制御ホイールの回転に応じて回転するように構成されている、ピニオンと、
(ii)前記カテーテルと連結されたラックであって、前記ラックが前記ピニオンの回転に応じて並進するように構成されるように、前記ピニオンと係合されている、ラックと、を備える、実施態様8に記載の装置。
【0150】
(11) 前記第1のアクチュエータアセンブリが、前記本体内にスライド可能に配設されたプランジャを備え、前記プランジャは、前記カテーテルが前記本体に対する前記プランジャの並進に応じて前記本体に対して並進するように構成されるように前記カテーテルに固定されている、実施態様1に記載の装置。
(12) 前記針が、前記本体に対して回転するように構成されている、実施態様1に記載の装置。
(13) 第2のアクチュエータアセンブリを更に備え、前記第2のアクチュエータアセンブリが前記本体に対して前記針を回転させるように動作可能である、実施態様12に記載の装置。
(14) 前記第2のアクチュエータアセンブリが回転可能部材を備え、前記回転可能部材が前記本体に対して回転可能であり、前記針が前記本体に対する前記回転可能部材の回転に応じて前記本体に対して回転するように構成されている、実施態様13に記載の装置。
(15) 前記回転可能部材が、トーイボースト(Tuohy-Borst)バルブを形成するように構成されている、実施態様14に記載の装置。
【0151】
(16) 誘導装置を更に備え、前記誘導装置が、
(i)患者の眼に係合するように構成されているベース部と、
(ii)前記患者の眼に対して前記針を受容しガイドするように構成されている少なくとも1つのガイド通路と、を備える、実施態様1に記載の装置。
(17) 前記誘導装置が、観察用レンズと着脱自在に連結するように構成されているレンズ係合特徴部を更に備える、実施態様16に記載の装置。
(18) 治療薬の網膜下投与の方法であって、
(a)患者の眼の強膜及び脈絡膜を通して、前記眼の第1の領域の前記脈絡膜と前記網膜との間の位置まで針を挿入する工程と、
(b)第1の流体を前記脈絡膜と前記網膜との間に注入して、前記脈絡膜と前記網膜との間に先行ブレブを形成する工程であって、前記第1の流体が前記針によって注入される、工程と、
(c)前記針の遠位端から前記先行ブレブの中にカテーテルを延出する工程と、
(d)前記カテーテルを、更に前記脈絡膜と前記網膜との間を前記眼の第2の領域まで延出する工程と、
(e)第2の流体を前記患者の眼の前記脈絡膜と前記網膜との間に注入して、前記脈絡膜と前記網膜との間に別のブレブを形成する工程であって、前記第2の流体が前記カテーテルによって注入される、工程と、を含む方法。
(19) 誘導装置を前記眼に固定することを更に含み、前記誘導装置がガイド通路を画定し、前記強膜及び前記脈絡膜を通して前記針を挿入する前記行為が前記誘導装置の前記ガイド通路を通して前記針を挿入することを更に含み、前記ガイド通路が前記針を経路に沿ってガイドして、前記強膜及び前記脈絡膜を通して前記針を位置付ける、実施態様18に記載の方法。
(20) 装置であって、
(a)環状ベース部であって、患者の眼の輪郭を補完するように構成されている下面を有する、環状ベース部と、
(b)前記環状ベース部に関連する複数の縫合糸開口部であって、縫合糸を受容するように構成されて、それにより前記環状ベース部を前記患者の眼に固定する、縫合糸開口部と、
(c)前記環状ベース部から下向きに延在する誘導部材であって、前記誘導部材が少なくとも1つのガイド通路を画定し、前記ガイド通路が、前記患者の眼に対する既定の経路に沿って針を受容し、かつガイドするように構成されている、誘導部材と、
(d)レンズ連結特徴部であって、前記環状ベース部に対してレンズを着脱自在に固定するように構成されている、レンズ連結特徴部と、を備える、装置。