【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明の少なくとも一実施形態に係る風力発電施設は、
1台以上の風力発電装置と、
前記風力発電装置の設置エリアにおける雷の発生を検知又は予知するための雷センサと、
前記雷センサの出力信号に基づいて、前記風力発電装置の運転モードを定格回転数よりもロータ回転数が低い耐雷モードに切り替えるためのコントローラと、
を備える。
【0008】
ブレードの先端速度が速いほど(または、ロータ回転数が高いほど)、雷をレセプタにより捕捉することが難しくなり、ブレードの損傷の可能性が高まる。
この点、上記(1)の構成によれば、風力発電施設は、雷センサを備えていることにより、風力発電装置の設置エリアにおける雷の発生を検知又は予知することができる。そして、コントローラにより、雷センサの出力信号に基づいて風力発電装置の運転モードを定格回転数よりもロータ回転数が低い耐雷モードに切り替えることができるため、風力発電装置の設置エリアで雷が発生する際のロータ回転数を低い状態に抑制することができる。したがって、ブレードが定格回転数で回転する状態で被雷する場合に比べてブレードの先端速度を抑制することができるため、ブレードの意図せぬ箇所への着雷を防止し、雷発生時におけるブレードへのダメージを低減することができる。
【0009】
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)に記載の構成において、
前記コントローラは、前記耐雷モードへの切替時において、ロータを固定せずに発電を停止した待機状態に前記風力発電装置を移行させるように構成される。
【0010】
上記(2)の構成によれば、コントローラは、耐雷モードへの切替時において、ロータを固定せずに発電を停止した状態に風力発電装置を移行させることができる。つまり、風力発電装置は、コントローラにより待機状態に移行されると、定格回転数よりもロータ回転数は低いがロータが完全に停止しない状態で発電を停止することができる。
【0011】
(3)幾つかの実施形態では、上記(1)又は(2)に記載の構成において、
前記耐雷モードは、前記風力発電装置の前記ロータ回転数が2rpm以下である第1条件、または、前記風力発電装置の翼先端周速が15m/s以下である第2条件の少なくとも一方を満たす。
【0012】
一般に、風車の定格回転数は、風車の大きさ等の条件で異なるが、10〜50rpm程度に設定される。
この点、上記(3)の構成によれば、風力発電装置は、コントローラによって耐雷モードに移行することで、風力発電装置のロータ回転数が2rpm以下である第1条件、または、風力発電装置の翼先端周速が15m/s以下である第2条件の少なくとも一方を満たすことができる。したがって、耐雷モードにおけるロータ回転数を定格回転数に比べて十分に低くすることができるためブレードの意図せぬ箇所への着雷を防止し、雷によるブレードの損傷を低減することができる。したがって、雷発生時におけるブレードへのダメージを低減することができる。
【0013】
(4)幾つかの実施形態では、上記(1)に記載の構成において、
前記コントローラは、前記耐雷モードへの切替時において、ロータを停止するとともに発電を停止した停止状態に前記風力発電装置を移行させるように構成される。
【0014】
上記(4)の構成によれば、風力発電装置は、コントローラによって耐雷モードに移行することで、ロータを停止して発電を停止した停止状態に移行することができる。これにより、ロータの回転数が最も低い停止状態であるため、ロータが定格回転数で回転している状態で被雷する場合に比べてブレードの意図せぬ箇所への着雷を防止し、雷発生時におけるブレードへのダメージを低減することができる。また、例えば、ロータが特定の角度に配置された状態で風力発電装置を停止させた場合には、上記特定の角度にロータが配置された状態のまま、雷の発生可能性が低下するまでロータ及び発電を停止させて待機することができる。
【0015】
(5)幾つかの実施形態では、上記(4)に記載の構成において、
前記風力発電装置は、前記耐雷モードにおいて、80度超100度未満の第1角度範囲および260度超280度未満の第2角度範囲を除くアジマス角範囲に全ての翼が位置するように前記ロータを停止するように構成される。
【0016】
本発明者らの知見によれば、ロータが配置されるアジマス角範囲に応じて、被雷の可能性に差が生じる。本願発明者らによる鋭意検討の結果、上記(5)に記載の第1角度範囲及び第2角度範囲内に翼が配置された状態を回避することで、翼の意図せぬ箇所への着雷の可能性を大幅に低減できることが判明した。
つまり、上記(5)の構成によれば、第1角度範囲及び第2角度範囲を除くアジマス角範囲に全ての翼が位置するようにロータを停止させることができるため、翼に対する被雷の可能性を大幅に低減することができる。したがって、雷発生時におけるブレードへのダメージを低減することができる。
【0017】
(6)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(5)の何れか1つに記載の構成において、
前記風力発電装置は、70m以上のロータ直径を有する。
【0018】
上記(6)の構成によれば、70m以上のロータ直径を有する所謂大型風車においても、雷発生時におけるブレードへのダメージを低減することができる。
【0019】
(7)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(6)の何れか1つに記載の構成において、
前記雷センサは、前記雷に付随して発生する光を検出するための光学センサ、又は、前記雷に付随して発生する音を検出するための音響センサの少なくとも一方を含む。
【0020】
上記(7)の構成によれば、雷センサは、光学センサまたは音響センサの少なくとも一方を含むことにより、雷の発生に付随して発生する光又は音を検出して雷の発生を検知することができる。これにより、コントローラは、例えば、風力発電装置の設置エリアやその近傍で雷が発生した際に、その雷に付随して発生する光又は音をトリガとして風力発電装置を耐雷モードに移行させる処理を実行することができる。
【0021】
(8)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(7)の何れか1つに記載の構成において、
前記雷センサは、前記雷に付随して発生する電磁波を検出するための電磁波センサを含む。
【0022】
上記(8)の構成によれば、雷センサは、電磁波センサを含むことにより、雷に付随して発生する電磁波を検出することで雷の発生を検知することができる。これにより、コントローラは、例えば、風力発電装置の設置エリアやその近傍で雷が発生した際に、その雷に付随して発生する電磁波をトリガとして風力発電装置を耐雷モードに移行させる処理を実行することができる。
【0023】
(9)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(8)の何れか1つに記載の構成において、
前記雷センサは、雲又は大地に蓄積された電荷を検出するように構成された電荷センサを含む。
【0024】
上記(9)の構成によれば、雷センサは、電荷センサを含むことにより、雲又は大地に蓄積された電荷を検出することで雷の発生を予知することができる。すなわち、コントローラは、例えば、風力発電装置の設置エリアやその近傍で雷が発生する前であっても、雲又は大地に蓄積された電荷が所定の閾値を超えたこと等をトリガとして風力発電装置を雷発生前に予め耐雷モードに移行させる処理を実行することができる。
【0025】
(10)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(9)の何れか1つに記載の構成において、
前記雷センサは、コヒーラを含む。
【0026】
電磁波検出素子であるコヒーラは衝撃性電磁波(雷)や静電気に対して高感度である。
上記(10)の構成によれば、コントローラは、例えば、風力発電装置の設置エリアやその近傍で雷が発生した際に、その雷に付随して発生する電磁波をトリガとして風力発電装置を耐雷モードに移行させる処理を実行することができる。さらに、雷センサは、コヒーラによって、例えば、落雷直前の急激な空間一大地間の静電界変化を検知することにより、風力発電装置の設置エリアにおける雷の発生を予知することができる。これにより、コントローラは、例えば、風力発電装置の設置エリアやその近傍で雷が発生する前であっても、空間一大地間の静電界変化をトリガとして風力発電装置を雷発生前に予め耐雷モードに移行させる処理を実行することができる。
【0027】
(11)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(10)の何れか1つに記載の構成において、
前記コントローラは、前記雷センサの前記出力信号を受け取り、運転モード切替ロジックに従って前記耐雷モードへの前記運転モードの切替えの可否を判定するように構成されたプロセッサを含む。
【0028】
上記(11)の構成によれば、コントローラは、プロセッサにより、雷センサからの出力信号に基づき、運転モードを耐雷モードに切替え可能か否かを運転モード切替ロジックに従って判定することができる。つまり、運転モード切替ロジックを種々設定することにより、様々な運転モードの切替条件に対応可能なように風力発電装置を運転することができる。
【0029】
(12)本発明の少なくとも幾つかの実施形態に係る風力発電施設の運転方法は、
1台以上の風力発電装置を含む風力発電施設の運転方法であって、
前記風力発電装置の設置エリアにおける雷の発生の検知情報又は予知情報を取得するステップと、
前記雷の前記検知情報又は前記予知情報に基づいて、前記風力発電装置の運転モードを定格回転数よりもロータ回転数が低い耐雷モードに切り替えるステップと、
を備える。
【0030】
上記(12)の方法によれば、風力発電装置の設置エリアにおける雷の発生の検知情報又は予知情報に基づいて、風力発電装置の運転モードを定格回転数よりもロータ回転数が低い耐雷モードに切り替えることができる。これにより、上記(1)で述べたように、ブレードの意図せぬ箇所への着雷を防止し、雷発生時におけるブレードへのダメージを低減することができる。
【0031】
(13)幾つかの実施形態では、上記(12)に記載の方法において、
前記運転モードを前記耐雷モードに切り替えるステップでは、ロータを固定せずに発電を停止した待機状態に前記風力発電装置を移行させる。
【0032】
上記(13)の方法によれば、上記(2)で述べたように、風力発電装置は、耐雷モードへの切替時において、コントローラにより待機状態に移行されると、定格回転数よりもロータ回転数は低いがロータが完全に停止しない状態で発電を停止することができる。これにより、例えば、雷に伴って強風が吹く状況下であっても、ロータに加わる負荷を逃がしながら雷発生の可能性が低下するまで発電を停止した状態で待機することができる。
【0033】
(14)幾つかの実施形態では、上記(12)に記載の方法において、
前記運転モードを前記耐雷モードに切り替えるステップでは、ロータを停止するとともに発電を停止した停止状態に前記風力発電装置を移行させる。
【0034】
上記(14)の方法によれば、上記(4)で述べたように、風力発電装置は、コントローラによって耐雷モードに移行することで、ロータを停止するとともに発電を停止した停止状態に移行することができる。これにより、ロータの回転数が最も低い停止状態となるため、ロータが定格回転数で回転している状態で被雷する場合に比べてブレードの意図せぬ箇所への着雷を防止し、雷発生時におけるブレードへのダメージを低減することができる。また、例えば、ロータが特定の角度に配置された状態で風力発電装置を停止させた場合には、上記特定の角度にロータが配置された状態のまま、雷の発生可能性が低下するまでロータ及び発電を停止させて待機することができる。
【0035】
(15)幾つかの実施形態では、上記(14)に記載の方法において、
前記運転モードを前記耐雷モードに切り替えるステップでは、80度超100度未満の第1角度範囲および260度超280度未満の第2角度範囲を除くアジマス角範囲に前記風力発電装置の全ての翼が位置するように前記ロータを停止させる。
【0036】
上記(15)の方法によれば、上記(5)で述べたように、第1角度範囲及び第2角度範囲を除くアジマス角範囲に全ての翼が位置するようにロータを停止させることができるため、翼に対する被雷の可能性を大幅に低減することができる。したがって、雷発生時におけるブレードへのダメージを低減することができる。