特許第6573923号(P6573923)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6573923風力発電施設および風力発電施設の運転方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6573923
(24)【登録日】2019年8月23日
(45)【発行日】2019年9月11日
(54)【発明の名称】風力発電施設および風力発電施設の運転方法
(51)【国際特許分類】
   F03D 80/30 20160101AFI20190902BHJP
   F03D 1/06 20060101ALI20190902BHJP
   F03D 1/02 20060101ALI20190902BHJP
   H02G 13/00 20060101ALI20190902BHJP
   H05F 3/04 20060101ALN20190902BHJP
【FI】
   F03D80/30
   F03D1/06 A
   F03D1/02
   H02G13/00 060
   !H05F3/04 F
【請求項の数】8
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-22706(P2017-22706)
(22)【出願日】2017年2月10日
(65)【公開番号】特開2018-127986(P2018-127986A)
(43)【公開日】2018年8月16日
【審査請求日】2017年12月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】314008563
【氏名又は名称】エムエイチアイ ヴェスタス オフショア ウィンド エー/エス
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】誠真IP特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】藤岡 秀康
【審査官】 大瀬 円
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/077970(WO,A1)
【文献】 特開2013−148022(JP,A)
【文献】 特開2004−36612(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/099147(WO,A1)
【文献】 特表2014−530988(JP,A)
【文献】 特開2007−100571(JP,A)
【文献】 特開2012−255431(JP,A)
【文献】 特開2005−245190(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0119370(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03D 80/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1台以上の風力発電装置と、
前記風力発電装置の設置エリアにおける雷の発生を検知又は予知するための雷センサと、
前記雷センサの出力信号に基づいて、前記風力発電装置のブレードの意図せぬ箇所への着雷を未然に防止するように、前記風力発電装置の運転モードを定格回転数よりもロータ回転数が低い耐雷モードに切り替えるためのコントローラと、
を備え
前記コントローラは、ロータを固定せずに発電を停止した待機状態である前記耐雷モードに前記風力発電装置を移行させるように構成され、
前記耐雷モードは、前記風力発電装置の前記ロータ回転数が2rpm以下である第1条件、または、前記風力発電装置の翼先端周速が15m/s以下である第2条件の少なくとも一方を満たす
ことを特徴とする風力発電施設。
【請求項2】
前記風力発電装置は、70m以上のロータ直径を有することを特徴とする請求項1に記載の風力発電施設。
【請求項3】
前記雷センサは、前記雷に付随して発生する光を検出するための光学センサ、又は、前記雷に付随して発生する音を検出するための音響センサの少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の風力発電施設。
【請求項4】
前記雷センサは、前記雷に付随して発生する電磁波を検出するための電磁波センサを含むことを特徴とする請求項1乃至の何れか一項に記載の風力発電施設。
【請求項5】
前記雷センサは、雲又は大地に蓄積された電荷を検出するように構成された電荷センサを含むことを特徴とする請求項1乃至の何れか一項に記載の風力発電施設。
【請求項6】
前記雷センサは、コヒーラを含むことを特徴とする請求項1乃至の何れか一項に記載の風力発電施設。
【請求項7】
前記コントローラは、前記雷センサの前記出力信号を受け取り、運転モード切替ロジックに従って前記耐雷モードへの前記運転モードの切替えの可否を判定するように構成されたプロセッサを含む
ことを特徴とする請求項1乃至の何れか一項に記載の風力発電施設。
【請求項8】
1台以上の風力発電装置を含む風力発電施設の運転方法であって、
前記風力発電装置の設置エリアにおける雷の発生の検知情報又は予知情報を取得するステップと、
前記雷の前記検知情報又は前記予知情報に基づいて、前記風力発電装置のブレードの意図せぬ箇所への着雷を未然に防止するように、前記風力発電装置の運転モードを定格回転数よりもロータ回転数が低い耐雷モードに切り替えるステップと、
を備え
前記運転モードを前記耐雷モードに切り替えるステップでは、ロータを固定せずに発電を停止した待機状態前記耐雷モードに前記風力発電装置を移行させ、
前記耐雷モードは、前記風力発電装置の前記ロータ回転数が2rpm以下である第1条件、または、前記風力発電装置の翼先端周速が15m/s以下である第2条件の少なくとも一方を満たす
ことを特徴とする風力発電施設の運転方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、風力発電施設および風力発電施設の運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、風力発電産業においてはブレード(風車翼)への被雷によるダメージが深刻な問題になりつつある。このため、耐雷機能を具備する風車翼が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1は、各ブレードの先端近傍に被雷用のレセプタを備えた構造を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015−132245号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年のブレードの長尺化に起因した周速の増加により、ブレードの先端のみならずブレードのあらゆる部分で被雷するリスクが増大している。また、ロータの回転時に落雷前の初期リーダ捕捉をブレードに受け、第1雷撃の到着前にリーダが短い距離を通過した場合、ブレードの非導電面上にフラッシュオーバーなどが発生する可能性があるため、被雷による損傷が拡大する危険性が増大している。
この点、上記特許文献1の耐雷構造では、ブレードの長翼化に伴う周速増大により、翼先端に設けられたレセプタで雷を捕捉できず、ブレードに大きなダメージをもたらす場合がある。
【0006】
本発明の少なくとも幾つかの実施形態は、雷発生時におけるブレードへのダメージを低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明の少なくとも一実施形態に係る風力発電施設は、
1台以上の風力発電装置と、
前記風力発電装置の設置エリアにおける雷の発生を検知又は予知するための雷センサと、
前記雷センサの出力信号に基づいて、前記風力発電装置の運転モードを定格回転数よりもロータ回転数が低い耐雷モードに切り替えるためのコントローラと、
を備える。
【0008】
ブレードの先端速度が速いほど(または、ロータ回転数が高いほど)、雷をレセプタにより捕捉することが難しくなり、ブレードの損傷の可能性が高まる。
この点、上記(1)の構成によれば、風力発電施設は、雷センサを備えていることにより、風力発電装置の設置エリアにおける雷の発生を検知又は予知することができる。そして、コントローラにより、雷センサの出力信号に基づいて風力発電装置の運転モードを定格回転数よりもロータ回転数が低い耐雷モードに切り替えることができるため、風力発電装置の設置エリアで雷が発生する際のロータ回転数を低い状態に抑制することができる。したがって、ブレードが定格回転数で回転する状態で被雷する場合に比べてブレードの先端速度を抑制することができるため、ブレードの意図せぬ箇所への着雷を防止し、雷発生時におけるブレードへのダメージを低減することができる。
【0009】
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)に記載の構成において、
前記コントローラは、前記耐雷モードへの切替時において、ロータを固定せずに発電を停止した待機状態に前記風力発電装置を移行させるように構成される。
【0010】
上記(2)の構成によれば、コントローラは、耐雷モードへの切替時において、ロータを固定せずに発電を停止した状態に風力発電装置を移行させることができる。つまり、風力発電装置は、コントローラにより待機状態に移行されると、定格回転数よりもロータ回転数は低いがロータが完全に停止しない状態で発電を停止することができる。
【0011】
(3)幾つかの実施形態では、上記(1)又は(2)に記載の構成において、
前記耐雷モードは、前記風力発電装置の前記ロータ回転数が2rpm以下である第1条件、または、前記風力発電装置の翼先端周速が15m/s以下である第2条件の少なくとも一方を満たす。
【0012】
一般に、風車の定格回転数は、風車の大きさ等の条件で異なるが、10〜50rpm程度に設定される。
この点、上記(3)の構成によれば、風力発電装置は、コントローラによって耐雷モードに移行することで、風力発電装置のロータ回転数が2rpm以下である第1条件、または、風力発電装置の翼先端周速が15m/s以下である第2条件の少なくとも一方を満たすことができる。したがって、耐雷モードにおけるロータ回転数を定格回転数に比べて十分に低くすることができるためブレードの意図せぬ箇所への着雷を防止し、雷によるブレードの損傷を低減することができる。したがって、雷発生時におけるブレードへのダメージを低減することができる。
【0013】
(4)幾つかの実施形態では、上記(1)に記載の構成において、
前記コントローラは、前記耐雷モードへの切替時において、ロータを停止するとともに発電を停止した停止状態に前記風力発電装置を移行させるように構成される。
【0014】
上記(4)の構成によれば、風力発電装置は、コントローラによって耐雷モードに移行することで、ロータを停止して発電を停止した停止状態に移行することができる。これにより、ロータの回転数が最も低い停止状態であるため、ロータが定格回転数で回転している状態で被雷する場合に比べてブレードの意図せぬ箇所への着雷を防止し、雷発生時におけるブレードへのダメージを低減することができる。また、例えば、ロータが特定の角度に配置された状態で風力発電装置を停止させた場合には、上記特定の角度にロータが配置された状態のまま、雷の発生可能性が低下するまでロータ及び発電を停止させて待機することができる。
【0015】
(5)幾つかの実施形態では、上記(4)に記載の構成において、
前記風力発電装置は、前記耐雷モードにおいて、80度超100度未満の第1角度範囲および260度超280度未満の第2角度範囲を除くアジマス角範囲に全ての翼が位置するように前記ロータを停止するように構成される。
【0016】
本発明者らの知見によれば、ロータが配置されるアジマス角範囲に応じて、被雷の可能性に差が生じる。本願発明者らによる鋭意検討の結果、上記(5)に記載の第1角度範囲及び第2角度範囲内に翼が配置された状態を回避することで、翼の意図せぬ箇所への着雷の可能性を大幅に低減できることが判明した。
つまり、上記(5)の構成によれば、第1角度範囲及び第2角度範囲を除くアジマス角範囲に全ての翼が位置するようにロータを停止させることができるため、翼に対する被雷の可能性を大幅に低減することができる。したがって、雷発生時におけるブレードへのダメージを低減することができる。
【0017】
(6)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(5)の何れか1つに記載の構成において、
前記風力発電装置は、70m以上のロータ直径を有する。
【0018】
上記(6)の構成によれば、70m以上のロータ直径を有する所謂大型風車においても、雷発生時におけるブレードへのダメージを低減することができる。
【0019】
(7)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(6)の何れか1つに記載の構成において、
前記雷センサは、前記雷に付随して発生する光を検出するための光学センサ、又は、前記雷に付随して発生する音を検出するための音響センサの少なくとも一方を含む。
【0020】
上記(7)の構成によれば、雷センサは、光学センサまたは音響センサの少なくとも一方を含むことにより、雷の発生に付随して発生する光又は音を検出して雷の発生を検知することができる。これにより、コントローラは、例えば、風力発電装置の設置エリアやその近傍で雷が発生した際に、その雷に付随して発生する光又は音をトリガとして風力発電装置を耐雷モードに移行させる処理を実行することができる。
【0021】
(8)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(7)の何れか1つに記載の構成において、
前記雷センサは、前記雷に付随して発生する電磁波を検出するための電磁波センサを含む。
【0022】
上記(8)の構成によれば、雷センサは、電磁波センサを含むことにより、雷に付随して発生する電磁波を検出することで雷の発生を検知することができる。これにより、コントローラは、例えば、風力発電装置の設置エリアやその近傍で雷が発生した際に、その雷に付随して発生する電磁波をトリガとして風力発電装置を耐雷モードに移行させる処理を実行することができる。
【0023】
(9)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(8)の何れか1つに記載の構成において、
前記雷センサは、雲又は大地に蓄積された電荷を検出するように構成された電荷センサを含む。
【0024】
上記(9)の構成によれば、雷センサは、電荷センサを含むことにより、雲又は大地に蓄積された電荷を検出することで雷の発生を予知することができる。すなわち、コントローラは、例えば、風力発電装置の設置エリアやその近傍で雷が発生する前であっても、雲又は大地に蓄積された電荷が所定の閾値を超えたこと等をトリガとして風力発電装置を雷発生前に予め耐雷モードに移行させる処理を実行することができる。
【0025】
(10)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(9)の何れか1つに記載の構成において、
前記雷センサは、コヒーラを含む。
【0026】
電磁波検出素子であるコヒーラは衝撃性電磁波(雷)や静電気に対して高感度である。
上記(10)の構成によれば、コントローラは、例えば、風力発電装置の設置エリアやその近傍で雷が発生した際に、その雷に付随して発生する電磁波をトリガとして風力発電装置を耐雷モードに移行させる処理を実行することができる。さらに、雷センサは、コヒーラによって、例えば、落雷直前の急激な空間一大地間の静電界変化を検知することにより、風力発電装置の設置エリアにおける雷の発生を予知することができる。これにより、コントローラは、例えば、風力発電装置の設置エリアやその近傍で雷が発生する前であっても、空間一大地間の静電界変化をトリガとして風力発電装置を雷発生前に予め耐雷モードに移行させる処理を実行することができる。
【0027】
(11)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(10)の何れか1つに記載の構成において、
前記コントローラは、前記雷センサの前記出力信号を受け取り、運転モード切替ロジックに従って前記耐雷モードへの前記運転モードの切替えの可否を判定するように構成されたプロセッサを含む。
【0028】
上記(11)の構成によれば、コントローラは、プロセッサにより、雷センサからの出力信号に基づき、運転モードを耐雷モードに切替え可能か否かを運転モード切替ロジックに従って判定することができる。つまり、運転モード切替ロジックを種々設定することにより、様々な運転モードの切替条件に対応可能なように風力発電装置を運転することができる。
【0029】
(12)本発明の少なくとも幾つかの実施形態に係る風力発電施設の運転方法は、
1台以上の風力発電装置を含む風力発電施設の運転方法であって、
前記風力発電装置の設置エリアにおける雷の発生の検知情報又は予知情報を取得するステップと、
前記雷の前記検知情報又は前記予知情報に基づいて、前記風力発電装置の運転モードを定格回転数よりもロータ回転数が低い耐雷モードに切り替えるステップと、
を備える。
【0030】
上記(12)の方法によれば、風力発電装置の設置エリアにおける雷の発生の検知情報又は予知情報に基づいて、風力発電装置の運転モードを定格回転数よりもロータ回転数が低い耐雷モードに切り替えることができる。これにより、上記(1)で述べたように、ブレードの意図せぬ箇所への着雷を防止し、雷発生時におけるブレードへのダメージを低減することができる。
【0031】
(13)幾つかの実施形態では、上記(12)に記載の方法において、
前記運転モードを前記耐雷モードに切り替えるステップでは、ロータを固定せずに発電を停止した待機状態に前記風力発電装置を移行させる。
【0032】
上記(13)の方法によれば、上記(2)で述べたように、風力発電装置は、耐雷モードへの切替時において、コントローラにより待機状態に移行されると、定格回転数よりもロータ回転数は低いがロータが完全に停止しない状態で発電を停止することができる。これにより、例えば、雷に伴って強風が吹く状況下であっても、ロータに加わる負荷を逃がしながら雷発生の可能性が低下するまで発電を停止した状態で待機することができる。
【0033】
(14)幾つかの実施形態では、上記(12)に記載の方法において、
前記運転モードを前記耐雷モードに切り替えるステップでは、ロータを停止するとともに発電を停止した停止状態に前記風力発電装置を移行させる。
【0034】
上記(14)の方法によれば、上記(4)で述べたように、風力発電装置は、コントローラによって耐雷モードに移行することで、ロータを停止するとともに発電を停止した停止状態に移行することができる。これにより、ロータの回転数が最も低い停止状態となるため、ロータが定格回転数で回転している状態で被雷する場合に比べてブレードの意図せぬ箇所への着雷を防止し、雷発生時におけるブレードへのダメージを低減することができる。また、例えば、ロータが特定の角度に配置された状態で風力発電装置を停止させた場合には、上記特定の角度にロータが配置された状態のまま、雷の発生可能性が低下するまでロータ及び発電を停止させて待機することができる。
【0035】
(15)幾つかの実施形態では、上記(14)に記載の方法において、
前記運転モードを前記耐雷モードに切り替えるステップでは、80度超100度未満の第1角度範囲および260度超280度未満の第2角度範囲を除くアジマス角範囲に前記風力発電装置の全ての翼が位置するように前記ロータを停止させる。
【0036】
上記(15)の方法によれば、上記(5)で述べたように、第1角度範囲及び第2角度範囲を除くアジマス角範囲に全ての翼が位置するようにロータを停止させることができるため、翼に対する被雷の可能性を大幅に低減することができる。したがって、雷発生時におけるブレードへのダメージを低減することができる。
【発明の効果】
【0037】
本発明の少なくとも一実施形態によれば、風力発電装置の設置エリア内で雷が発生する際のロータ回転数を低い状態に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】一実施形態に係る風力発電施設の構成例を示す概略図である。
図2】一実施形態における雷センサの例であるコヒーラを示す模式図である。
図3】一実施形態における風力発電装置の制御系の構成を示す制御ブロック図である。
図4】幾つかの実施形態に係る風力発電施設の運転方法を示すフローチャートである。
図5】一実施形態に係る風力発電施設の運転モードを示す説明図である。
図6】一実施形態に係る風力発電施設の耐雷モードにおけるアジマス角を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【0040】
図1は、一実施形態に係る風力発電施設の構成例を示す概略図である。
図1に示すように、本発明の少なくとも一実施形態に係る風力発電施設100は、1台以上の風力発電装置(以下、風車とする)1と、風車1の設置エリアにおける雷の発生を検知又は予知するための雷センサ34と、雷センサ34の出力信号に基づいて、風車1の運転モードを定格回転数よりもロータ回転数が低い耐雷モードに切り替えるためのコントローラ10と、を備えている。なお、風力発電施設100は、単一の風車1により構成されていてもよいし、複数の風車1を含む所謂ウィンドファーム(ウィンドパーク)であってもよい。同様に、コントローラ10は、単一の風車1に対応して設けられたものでもよいし、ウィンドファームを構成する各風車1を統合的に制御可能な所謂ウィンドファーム・コントローラであってもよい。
【0041】
ここで、風車1が被雷した場合、後述するブレード2の意図せぬ箇所への着雷の可能性は、ブレード2の先端速度が速いほど(又は後述するロータ4の回転数が高いほど)大きなものとなる。この点に関し、上記の風力発電施設100は、雷センサ34を備えているため、風車1の設置エリアにおける雷の発生を検知又は予知することができる。そして、コントローラ10により、雷センサ34の出力信号に基づいて風車1の運転モードを定格回転数よりもロータ回転数が低い耐雷モードに切り替えることができる。したがって、耐雷モードにおいて、ブレード2が定格回転数で回転する状態で被雷する場合に比べてブレード2の先端速度を抑制することができる。このため、雷発生時におけるブレード2の意図せぬ箇所への着雷を防止し、ブレード2へのダメージを低減することができるのである。
なお、被雷によるブレード2への最も深刻なダメージは、ブレード2の表面の保護されていない部分が被雷することで、ブレード2の内側に高エネルギーのアークが形成される際に起きる。このようなブレード2内部のアークにより生ずる高圧衝撃波は、端部に沿ってブレード2内部の円材から該ブレード2の表面を引き剥がしてブレード2を爆発させることもあり、被雷したブレード2からハブ3(後述)を通って残りのブレード2へ圧力が伝搬すると、これらのブレード2の圧損を引き起こすこともある。このように、被雷によるブレード2の被害にはブレード2表面のひび割れからブレード2の全壊まで様々な程度のダメージがあり、被雷によるトラブルに対して何も手を打たないままでは、雷によって年間発電量増加の機会を失うという問題がある。
【0042】
以下、風力発電施設100の各部について詳説する。
図1に示すように、幾つかの実施形態において、各々の風車1は、複数(図1に示す例では3枚)のブレード2(翼)及び該ブレード2が取り付けられるハブ3で構成されるロータ4と、ロータ4を図示しない主軸及び主軸受を介して回転自在に支持するナセル5と、主軸の回転力を受けて駆動される発電機(図示省略)と、ナセル5を水平旋回可能に支持するタワー6と、タワー6が設置されるベース7と、備えている。
【0043】
ブレード2は、その翼根部において該ブレード2の長手方向に沿う軸を中心に回転可能な状態でハブ3に取り付けられるとともに、ピッチ駆動アクチュエータ42(図3参照)によってピッチ角を調節可能に構成されている。なお、ブレード2は、3枚より多くてもよいし少なくても良い。また、上記のピッチ駆動アクチュエータ42を含め、風車1の各部を駆動する駆動部としてのヨーモータ40、ヨーブレーキ駆動アクチュエータ41及びピッチブレーキ駆動アクチュエータ43等の各アクチュエータ(図3参照)は、有線又は無線の信号線50を介してコントローラ10と電気的に接続されている。
【0044】
幾つかの実施形態において、ロータ4は、その直径が70m以上であってもよい。ブレード2の長尺化に伴い、ロータ4の直径が大型化するにつれてブレード2の先端速度が増加し、被雷した際のブレード2へのダメージが大きくなる。この点、本明細書に開示する少なくとも一つの実施形態の構成を備えることにより、例えば、70m以上のロータ直径を有する所謂大型風車においても、雷発生時におけるブレード2へのダメージを低減することができる。
【0045】
次に、幾つかの実施形態における雷センサ34について説明する。
雷センサ34は、風車1の設置エリアにおける雷の発生を、現に発生した稲妻に伴う物理的な各種パラメータの変化に基づき検知したり、或いは、稲妻の発生前に上記設置エリア又はその近傍の気象情報や物理的な各種パラメータの変化に基づき予知したりするように構成される。そして、雷センサ34は、雷の発生を検知した際、又は、雷の発生を予知した際に、その検知又は予知したことを示す検出信号を、コントローラ10に送信するように構成される。幾つかの実施形態において、雷センサ34は、風車1に搭載されてもよい。他の実施形態では、風車1の設置エリア内またはその近傍のうち、各種存在する雷センサ34のタイプに応じて、各々の検出対象を検出するのに適切な位置に配置されていてもよい。
【0046】
幾つかの実施形態において、雷センサ34は、雷に付随して発生する光を検出するための光学センサ、又は、雷に付随して発生する音を検出するための音響センサの少なくとも一方を含んでいてもよい。
光学センサは、大気中で生じる放電である稲妻から放出される光(雷光)を検出することにより、雷の発生を検知するように構成される。音響センサは、稲妻から放出される音(雷鳴)を検出することにより、雷の発生を検知するように構成される。幾つかの実施形態において、光学センサと音響センサとは、雷の発生に伴って発生する稲妻の光又は音の少なくとも一方を検出可能な光音検出センサとして一体に構成されていてもよい。
上記の構成によれば、コントローラ10は、例えば、風車1の設置エリアやその近傍で雷が発生した際に、その雷に付随して発生する光又は音を検出したことを示す検出信号をトリガとして、風車1を耐雷モードに移行させる処理を実行することができる。
【0047】
幾つかの実施形態において、雷センサ34は、雷に付随して発生する電磁波を検出するための電磁波センサを含んでもよい。
電磁波センサは、大気中で生じる放電である稲妻から放出される電磁波を検出することにより、雷の発生を検知するように構成される。稲妻から放出される電磁波は主としてノイズとして検出されるが、例えば、電磁波センサとして、稲妻から放出される電磁波の特徴をもとに、落雷時に放出される電磁波のみを検出可能な雷電磁方向探知システム(LLS:lightning location system)を用いてもよい。
なお、上記の光学センサや音響センサは、雷光や雷鳴の到達範囲に起因して、遠方で発生する雷の検出が難しく、主として雷センサ34の設置点近辺で発生する雷の検知に用いられる。これに対し、電磁波センサは、遠方で発生する稲妻の検出が可能であり、稲妻の発生位置などから、雷雲の接近・離間なども計算により予測することができる。
上記の構成によれば、電磁波センサを含むことにより、雷センサ34は、雷に付随して発生する電磁波を検出することで雷の発生を検知することができる。これにより、コントローラ10は、例えば、風車1の設置エリアやその近傍で雷が発生した際に、その雷に付随して発生する電磁波を検出したことを示す検出信号をトリガとして風車1を耐雷モードに移行させる処理を実行することができる。
【0048】
幾つかの実施形態において、雷センサ34は、雲又は大地に蓄積された電荷を検出するように構成された電荷センサを含んでもよい。
雷雲が発生すると、雷雲と大地との間に電荷が蓄積される。この雷雲と大地との間の帯電を検出することにより、稲妻や落雷の発生を予知することができる。具体的に、電荷センサは、例えば、雷雲と大地との間に発生する電界を検出し、この電界のエネルギー、変位量、変化の状態などを検出することにより、雷雲の発生や接近を探知したり稲妻の発生を予知したりすることができる。また、電荷センサは、雷雲が発生した際に地表の突出物からコロナ放電が生じることを利用して、このコロナ電流を検出することで雷の発生を予知するように構成されていてもよい。この電荷センサは、帯電を利用することから、遠方で発生する雷の予知には不向きであるが、雷センサ34の設置点の比較的近辺で発生する雷の予知するために好適に用いられる。なお、このような電荷検出型の電荷センサと上述した電磁波検出型の電磁波センサと組み合わせてシステムとしたものを雷センサ34として用いてもよい。
上記の構成によれば、電荷センサを含むことにより、雷センサ34は、雲又は大地に蓄積された電荷を検出することで雷の発生を予知することができる。すなわち、コントローラ10は、例えば、風車1の設置エリアやその近傍で雷が発生する前であっても、雲又は大地に蓄積された電荷が所定の閾値を超えたこと等を示す検出信号をトリガとして、風車1を雷発生前に予め耐雷モードに移行させる処理を実行することができる。
【0049】
幾つかの実施形態において、雷センサ34は、コヒーラを含んでもよい。
コヒーラは、衝撃性電磁波(雷)や静電気に対して高感度な電磁波検出素子である。具体的に、コヒーラは、図2に示すように、一対の電極61,61と、該一対の電極61,61間にゆるく挟持された金属粉62と、これら一対の電極61,61及び金属粉62を内部に封入する絶縁体63(例えば、ガラス管など)と、一対の電極61,61にそれぞれ接続されるリード線64とを備えて構成される。このコヒーラは、電磁波を受けると上記一対の電極61,61間の電気抵抗が急激に減少する特性を有しており、この特性を用いて電磁波を検出することができる。このコヒーラは、インパルス動作スイッチであり、該コヒーラを雷センサ34として用いることにより、雷(稲妻)の発生検知及び発生予知の両方をひとつのコヒーラで行うことが可能となる。
なお、コヒーラは、その感度限界より、遠方で発生する落雷の予知には不向きだが、特に電気・通信設備などに影響を及ぼす1000メートル圏内程度での落雷を予知することができる。また、稲妻からの電磁波を検出可能であるため、雷の発生検知に関してはさらに広域について可能である。コヒーラは、それ自体が避雷素子であるため頑強であり、簡単なアナログ回路構成により、稲妻からの電磁波に加えて落雷発生前の急激な対地電位変動(電荷量変動)を直接検出することができる。このため、コヒーラは、外乱排除のための大規模演算回路を必要とせず、雷センサ34の設置点近辺での落雷の危険性判断を随時、高精度に行うことができる。
上記の構成によれば、コントローラ10は、例えば、風車1の設置エリアやその近傍で雷が発生した際に、その雷に付随して発生する電磁波を検出したことを示す検出信号をトリガとして、風車1を耐雷モードに移行させる処理を実行することができる。さらに、雷センサ34は、コヒーラによって、例えば、落雷直前の急激な空間一大地間の静電界変化を検知することにより、風車1の設置エリアにおける雷の発生を予知することができる。これにより、コントローラ10は、例えば、風車1の設置エリアやその近傍で雷が発生する前であっても、空間一大地間の静電界変化を検出したことを示す検出信号をトリガとして、雷発生前に風車1を予め耐雷モードに移行させる処理を実行することができる。
【0050】
続いて、コントローラ10(ウィンドファーム・コントローラ)の詳細について説明する。
図3は、幾つかの実施形態に係るコントローラ10(ウィンドファームの制御装置)における制御系の構成を示す制御ブロック図である。
図3に示すように、幾つかの実施形態において、コントローラ10は、例えば、コンピュータであり、CPU12(プロセッサ)、該CPU12が実行する各種プログラムやテーブル等のデータを記憶するための記憶部としてのROM(Read Only Memory)14、各プログラムを実行する際の展開領域や演算領域等のワーク領域として機能するRAM(Random Access Memory)16の他、図示しない大容量記憶装置としての不揮発性の磁気ディスク記憶装置、通信ネットワークに接続するための通信インターフェース、及び外部記憶装置が装着されるアクセス部などを備えていてもよい。これらは全て、バス18を介して接続されており、バス18は信号線50(図1参照)を介して風力発電施設100の各風車1の駆動部と電気的に接続されている。更に、コントローラ10は、例えば、キーボードやマウス等からなる入力部(図示省略)及びデータを表示する液晶表示装置等からなる表示部(図示省略)等と接続されていてもよい。
【0051】
図3に示すように、幾つかの実施形態において、コントローラ10には、各風車1に設けられた風向センサ31、風速センサ32、荷重センサ33及び雷センサ34の各々から、それぞれ風向、風速、荷重及び雷発生状況に関する検知信号が送信されるように構成されてもよい。上記の荷重センサ33は、例えば、主軸軸受(図示省略)やタワー6等、装置荷重や風による負荷が作用する場所に1つ以上設置されていてもよい。幾つかの実施形態において、コントローラ10は、バス18及び信号線50を介してヨーモータ40、ヨーブレーキ駆動アクチュエータ41、ピッチ駆動アクチュエータ42及びピッチブレーキ駆動アクチュエータ43と電気的に接続されていてもよい。
【0052】
幾つかの実施形態において、CPU12(プロセッサ)は、雷センサ34の出力信号を受け取り、運転モード切替ロジックに従って耐雷モードへの運転モードの切替えの可否を判定するように構成されていてもよい。この構成によれば、コントローラ10は、CPU12により、雷センサ34からの出力信号に基づき、運転モードを耐雷モードに切替え可能か否かを運転モード切替ロジックに従って判定することができる。つまり、運転モード切替ロジックを種々設定することにより、様々な運転モードの切替条件に対応可能なように風車1を運転することができる。
【0053】
図3に示すように、幾つかの実施形態において、ROM14には、雷センサ34の出力信号に基づいて、コントローラ10が風車1の運転モードを定格回転数よりもロータ回転数が低い耐雷モードに切り替えるための運転モード切替プログラム20と、雷センサ34の出力信号に基づいて、コントローラ10が風車1の運転モードを第1耐雷モード(第1待機状態)に切り替えるための第1待機モード実行プログラム21と、雷センサ34の出力信号に基づいて、コントローラ10が風車1の運転モードを第2耐雷モード(第2待機状態)に切り替えるための第2待機モード実行プログラム22と、雷センサ34の出力信号に基づいて、コントローラ10が風車1の運転モードを第3耐雷モード(停止状態)に移行させるための停止モード実行プログラム23と、が格納されていてもよい。以下、これらのプログラム20、21、22及び23について順に説明する。
なお、幾つかの実施形態に係る風力発電施設100の運転方法は、コントローラ10が以下のプログラム20,21,22及び23を実行することにより実現される。
【0054】
図4は、幾つかの実施形態に係る風力発電施設の運転方法を示すフローチャートである。
図4に示すように、コントローラ10(具体的には、CPU12)は、ROM16に格納された運転モード切替プログラム20を読み出してRAM14に展開し、該運転モード切替プログラム20を実行する。
具体的には、コントローラ10は、雷センサ34から送信される検出信号の有無又は該検出信号の内容に基づき、風車1の設置エリアにおける雷の発生の検知情報又は予知情報が検出されたか否かを判断(ステップS1)する。上記検知情報又は予知情報が検出されない場合(ステップS1:NO)、コントローラ10は、上記検知情報又は予知情報が検出されたか否かを繰り返し判断する。上記検知情報又は予知情報が検出された場合(ステップS1:YES)、コントローラ10は、風車1の設置エリアにおける雷の発生の検知情報又は予知情報を取得し(ステップS2)、風車1の運転モードを耐雷モードに切り替える処理を実行する(ステップS3)。
なお、幾つかの実施形態において「雷の検知情報又は予知情報」は、風力発電施設100が所有する雷センサ34による検出結果だけでなく、各国ごとに確立されているLDN(lightning detection network)と称される商業的な雷観測ネットワークから取得した雷予報情報等も含み得る。また、耐雷モードは、以下の第1待機モード、第2待機モード及び停止モードを含み得る。
【0055】
図5は、一実施形態に係る風力発電施設の運転モードを示す説明図である。図5に示すように、幾つかの実施形態において、コントローラ10は、耐雷モードへの切替時(ステップS3)において、ロータ4を固定せずに発電を停止した待機状態(第1待機モード)に風車1を移行させるように構成されてもよい。すなわち、コントローラ10は、ROM16に格納された第1待機モード実行プログラム21を読み出してRAM14に展開し、該第1待機モード実行プログラム21を実行するように構成されてもよい。
第1待機モード実行プログラム21の実行により、コントローラ10は、風車1を、定格回転数よりもロータ回転数が低い状態とする処理を実行する。
上記のように構成すれば、コントローラ10は、耐雷モードへの切替時において、ロータ4を固定せずに発電を停止した状態に風車1を移行させることができる。つまり、風車1は、コントローラ10により待機状態に移行されると、定格回転数よりもロータ4の回転数は低いがロータ4が完全に停止しない状態で発電を停止することができる。これにより、例えば、雷に伴って強風が吹く状況下であっても、ロータ4に加わる負荷を逃がしながら雷発生の可能性が低下するまで発電を停止した状態で待機することが可能となる。
上記の待機状態は、例えば、風車1の設置エリアにおける雷の発生確率が十分に低下した際に、風車1が発電可能な状態に短時間で復帰可能な所謂アイドル状態を含み得る。
【0056】
幾つかの実施形態において、耐雷モードは、例えば、風車1のロータ回転数が2rpm以下である第1条件、または、風車1のブレード(翼)2の先端周速が15m/s以下である第2条件の少なくとも一方を満たすように設定されてもよい(第2待機モード)。すなわち、コントローラ10は、ROM16に格納された第2待機モード実行プログラム22を読み出してRAM14に展開し、該第2待機モード実行プログラム22を実行するように構成されていてもよい。
ここで、風車の定格回転数は、風車の大きさその他の条件で異なるが、一般に、10〜50rpm程度に設定される。
この点、上記の構成によれば、風車1は、コントローラ10によって耐雷モードに移行することで、風車1のロータ回転数が2rpm以下である第1条件、または、風車1のブレード2の先端周速が15m/s以下である第2条件の少なくとも一方を満たすこととなる。したがって、耐雷モードにおけるロータ4の回転数を定格回転数に比べて十分に低くすることができるため、ブレード2の意図せぬ箇所への着雷を防止し、雷によるブレード2の損傷を低減することができる。これにより、雷発生時におけるブレード2へのダメージを低減することができる。
【0057】
本明細書において「定格回転数よりもロータ回転数が低い耐雷モード」は、アイドル状態だけでなく、ロータ4が完全に停止した状態も含み得る。
すなわち、図5に示すように、幾つかの実施形態において、コントローラ10は、耐雷モードへの切替時において、ロータ4を停止するとともに発電を停止した停止状態(停止モード)に風車1を移行させるように構成されてもよい。
具体的に、コントローラ10は、ROM16に格納された停止モード実行プログラム23を読み出してRAM14に展開し、該停止モード実行プログラム23を実行するように構成されていてもよい。
このように構成すれば、風車1は、コントローラ10によって耐雷モードに移行することで、ロータ4を停止するとともに発電を停止した停止状態に移行することができる。これにより、ブレード2の意図せぬ箇所への着雷を防止し、ロータ4の回転数が最も低い停止状態とされているため、ロータ4が定格回転数で回転している状態で被雷する場合に比べて雷発生時におけるブレード2へのダメージを低減することができる。また、例えば、ロータ4が特定の角度に配置された状態で風車1を停止させた場合には、上記特定の角度にロータ4が配置された状態のまま、雷の発生可能性が低下するまでロータ4を停止させて待機することができる。
【0058】
なお、コントローラ10は、風車1の運転モードを耐雷モードに切り替える際に、上述した停止状態に風車1を移行させる処理(具体的には、シャットダウン)を実行した上で、風の影響、或いは、耐雷に伴う風車1の姿勢制御等にともなって、ロータ4が僅かに回転することを許容するが、ロータ回転数が定格回転数未満(又は、カットイン回転数未満)となるように制御することで、上記の待機状態を実現するように構成されていてもよい。
【0059】
ここで、ロータ4が配置されるアジマス角範囲に応じて、被雷の可能性に差がある。この点につき、本願発明者らによる鋭意検討の結果、ロータ4の正面視にて12時となる頂部を0度とした場合に、時計回りで80度超100度未満の第1角度範囲および260度超280度未満の第2角度範囲内にブレード2が配置された状態を回避することで、ブレード2に対する被雷の可能性を大幅に低減できることが判明した。
図7は、一実施形態に係る風力発電施設の耐雷モードにおけるアジマス角を示す模式図である。
図7に示すように、幾つかの実施形態において、風車1は、耐雷モードにおいて、ロータ4の正面視にて12時となる頂部を0度とした場合に、時計回りで80度超100度未満の第1角度範囲および260度超280度未満の第2角度範囲を除くアジマス角範囲に全てのブレード2が位置するようにロータ4を停止するように構成されてもよい。
例えば、風車1がブレード2を3枚具備する場合、各ブレード2は互いに120度の角度をなして配置される。したがって、この場合、ロータ4の正面視にて12時となる頂部を0度とした場合に、時計回りで100度以上140度以下の第3角度範囲、220度以上260度以下の第4角度範囲および340度以上20度以下の第5角度範囲となるアジマス角範囲に全てのブレード2が位置するようにロータ4を停止するように構成されることが好ましい。より好ましくは、ロータ4の正面視にて12時となる頂部を0度とした場合に、時計回りで40度以上80度以下の第6角度範囲、160度以上200度以下の第7角度範囲および280度以上320度以下の第8角度範囲となるアジマス角範囲に全てのブレード2が位置するようにロータ4を停止するように構成されることが望ましい。
この構成によれば、第1角度範囲及び第2角度範囲を除くアジマス角範囲に全てのブレード2が位置するようにロータ4を停止させることができるため、ブレード2に対する被雷の可能性を大幅に低減することができる。したがって、雷発生時におけるブレード2へのダメージを低減することができる。
【0060】
なお、上述した幾つかの実施形態に係るコントローラ10は、複数の情報処理装置を備えてもよい。これらの情報処理装置は、それらの各処理を分散して行ってもよい。
また、上述した幾つかの実施形態の各処理を実行するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、当該記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより、上述した種々の処理を行ってもよい。
【0061】
なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OS(Operating System)や周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。また、「コンピュータシステム」は、WWW(World Wide Web)システムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM(Read−only Memory)、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、CD(Compact Disc)−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
【0062】
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0063】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
【符号の説明】
【0064】
1 風車(風力発電装置)
2 ブレード(風車翼、翼)
3 ハブ
4 ロータ
5 ナセル
6 タワー
7 ベース
10 コントローラ
12 CPU(プロセッサ)
14 RAM
16 ROM(記憶部)
18 バス
20 運転モード切替プログラム
21 第1待機モード実行プログラム
22 第2待機モード実行プログラム
23 停止モード実行プログラム
31 風向センサ
32 風速センサ
33 荷重センサ
34 雷センサ
40 ヨーモータ
41 ヨーブレーキ駆動アクチュエータ
42 ピッチ駆動アクチュエータ
43 ピッチブレーキ駆動アクチュエータ
50 信号線
61 電極
62 金属粉
63 絶縁体
64 リード線
100 風力発電施設
図1
図2
図3
図4
図5
図6