特許第6573940号(P6573940)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6573940
(24)【登録日】2019年8月23日
(45)【発行日】2019年9月11日
(54)【発明の名称】太陽光発電モジュール及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/048 20140101AFI20190902BHJP
【FI】
   H01L31/04 560
【請求項の数】6
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2017-151358(P2017-151358)
(22)【出願日】2017年8月4日
(65)【公開番号】特開2018-26561(P2018-26561A)
(43)【公開日】2018年2月15日
【審査請求日】2017年8月4日
(31)【優先権主張番号】10-2016-0102423
(32)【優先日】2016年8月11日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】502032105
【氏名又は名称】エルジー エレクトロニクス インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100165191
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 章
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100159259
【弁理士】
【氏名又は名称】竹本 実
(72)【発明者】
【氏名】チョン チュンホ
(72)【発明者】
【氏名】キム チョングン
(72)【発明者】
【氏名】ソン ヨン
(72)【発明者】
【氏名】ウ チョンフン
(72)【発明者】
【氏名】ファン オンチュ
【審査官】 佐竹 政彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−096511(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/099538(WO,A1)
【文献】 特開2014−042009(JP,A)
【文献】 特開平09−092867(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0352764(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/00−31/078、31/18−31/20
H02S 10/00−10/40、30/00−99/00
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに逆方向の第1面と第2面とを備える少なくとも1つの太陽電池、前記第1面を覆うように配置される第1フィルム、前記第2面を覆うように配置される第2フィルム、前記太陽電池と前記第1フィルムとを接着するように前記第1面と前記第1フィルム間に配置される第1封止層、及び前記太陽電池と前記第2フィルムとを接着するように前記第2面と前記第2フィルム間に配置される第2封止層を備える太陽光積層組立体と、
曲面を有するように形成され、前記第1フィルムを覆う第1ガラスと、
前記第2フィルムを覆うバックシート又は第2ガラスと、
前記第1フィルムと前記第1ガラスとを接着するように前記第1フィルムと前記第1ガラス間に配置される第3封止層と、
前記第2フィルムと前記バックシートとを接着するように前記第2フィルムと前記バックシート間に配置されるか、又は前記第2フィルムと前記第2ガラスとを接着するように前記第2フィルムと前記第2ガラス間に配置される第4封止層と、を含み、
前記第3封止層及び前記第4封止層は、それぞれ前記第1封止層及び前記第2封止層より厚い、太陽光発電モジュール。
【請求項2】
前記第1〜第4封止層は、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂からなり、
前記第1フィルムは、透明な材質からなる、請求項1に記載の太陽光発電モジュール。
【請求項3】
前記第1封止層及び前記第2封止層は、450〜1,100μmの厚さを有する熱硬化性樹脂からなる、請求項1に記載の太陽光発電モジュール。
【請求項4】
太陽電池の第1面に第1封止層と第1フィルムが順次積層されると共に前記太陽電池の第2面に第2封止層と第2フィルムが順次積層された構造の太陽光積層組立体を作製する第1段階と、
前記太陽光積層組立体の第1面に曲面を有する第1ガラスを接着し、前記太陽光積層組立体の第2面にバックシート又は曲面を有する第2ガラスを接着する第2段階と、を含み、
前記第1段階は、平面上で行われ、
前記太陽電池の第1面に前記第1封止層と前記第1フィルムを順次積層し、前記太陽電池の第2面に前記第2封止層と前記第2フィルムを順次積層する段階と、
前記第1フィルムと前記第2フィルムとを互いに近づく方向に加圧しながら前記第1封止層及び前記第2封止層に熱を加える1次ラミネーション工程により、前記太陽電池の第1面に前記第1フィルムを接着し、前記太陽電池の第2面に前記第2フィルムを接着する段階と、を含み、
前記第2段階は、前記第1ガラスにより曲面上で行われ、
前記第1フィルムと前記第1ガラス間に第3封止層を配置し、前記第2フィルムと前記バックシート間又は前記第2フィルムと前記第2ガラス間に第4封止層を配置する段階と、
密閉されたチャンバ内で熱と圧力を加える2次ラミネーション工程により、前記太陽光積層組立体の第1面に前記第1ガラスを接着し、前記太陽光積層組立体の第2面に前記バックシート又は前記第2ガラスを接着する段階と、を含み、
前記第3封止層及び前記第4封止層は、それぞれ前記第1封止層及び前記第2封止層より厚い、太陽光発電モジュールの製造方法。
【請求項5】
前記第1〜第4封止層は、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂からなる、請求項4に記載の太陽光発電モジュールの製造方法。
【請求項6】
前記2次ラミネーション工程は、
前記太陽光積層組立体を密閉されたチャンバ内に投入し、その後前記密閉されたチャンバ内を真空にして熱を加えることにより、1)前記第1ガラスに接触する封止層及び2)前記バックシート又は前記第2ガラスに接触する封止層を部分的に溶融する仮接合段階と、
前記密閉されたチャンバ内で前記太陽光積層組立体に熱と圧力を加えることにより、1)前記第1ガラスに接触する封止層及び2)前記バックシート又は前記第2ガラスに接触する封止層を全体的に溶融した後に硬化させる本接合段階と、を含む、請求項に記載の太陽光発電モジュールの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池を備え、曲面を有する太陽光発電モジュール及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池は、光エネルギーを電気エネルギーに変換するように構成される。一般に、太陽電池は、P型半導体とN型半導体とからなり、光が照射されると電荷が移動して電位差が生じる。
【0003】
太陽光発電モジュールとは、太陽電池を備えて光から電力を生産するように構成されたモジュールをいう。モジュールとは、機械やシステムなどの構成単位を意味するものであって、様々な電子部品や機械部品が組み立てられて特定の機能を実行する独立した装置をいう。つまり、太陽光発電モジュールは、太陽電池を備えて光から電力を生産する機能を実行する独立した装置である。
【0004】
太陽光発電モジュールを自動車のルーフや建物の内外装材などに適用した場合、電力ケーブルを接続することなく、1)蛍光灯やLEDから供給される室内光を利用するか、又は2)太陽から供給される自然光を利用して、電力を供給することができる。自動車のルーフや建物の内外装材などに適用された太陽光発電モジュールの最外層にはガラスが配置されるが、ガラスは機能やデザインなどの理由で曲面を有することがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
結晶質からなる太陽電池は、ある程度柔軟性を有することもあるが、曲面ガラスに接着された太陽電池は、角部にクラックが生じるという問題があった。
【0006】
また、太陽光発電モジュールの製造過程で発生した気泡が残留して太陽光発電モジュールに欠陥を生じさせることもある。さらに、太陽光発電モジュールの製造過程で太陽電池のずり落ちが発生し、設計通りのデザインとは異なる製品が生産されることがあるという問題もあった。
【0007】
本発明の目的は、曲面ガラスを有する太陽光発電モジュールにおいて太陽電池のクラックが生じない構造を提供することにある。
【0008】
本発明の他の目的は、曲面ガラスを有する太陽光発電モジュールの製造過程で気泡発生の問題と太陽電池のずり落ちの問題が生じない製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明による太陽光発電モジュールは、太陽光積層組立体と、前記太陽光積層組立体の一面に接着される第1ガラスと、前記太陽光積層組立体の他面に接着されるバックシート又は第2ガラスと、前記第1ガラスを前記太陽光積層組立体に接着し、前記バックシート又は前記第2ガラスを前記太陽光積層組立体に接着する封止層とを含む。
【0010】
太陽光積層組立体の概念や封止層の詳細構成は実施形態によって異なる。また、実施形態によっては、太陽光積層組立体を保護するように構成されるフィルムをさらに含むようにしてもよい。
【0011】
本発明による太陽光発電モジュールは、太陽光積層組立体からフィルムを除去するか否かによって第1〜第3実施形態に分けられる。第1実施形態の太陽光発電モジュールは、太陽光積層組立体からフィルムを除去しないので、第1フィルム及び第2フィルムを含む構造を有する。第2実施形態の太陽光発電モジュールは、太陽光積層組立体から第1フィルムと第2フィルムの両方を除去した構造を有する。第3実施形態の太陽光発電モジュールは、太陽光積層組立体から第1フィルムのみ除去した構造を有する。
【0012】
第1実施形態の太陽光発電モジュールは、互いに逆方向の第1面と第2面とを備える少なくとも1つの太陽電池、前記第1面を覆うように配置される第1フィルム、前記第2面を覆うように配置される第2フィルム、前記太陽電池と前記第1フィルムとを接着するように前記第1面と前記第1フィルム間に配置される第1封止層、及び前記太陽電池と前記第2フィルムとを接着するように前記第2面と前記第2フィルム間に配置される第2封止層を備える太陽光積層組立体と、曲面を有するように形成され、前記第1フィルムを覆う第1ガラスと、前記第2フィルムを覆うバックシート又は第2ガラスと、前記第1フィルムと前記第1ガラスとを接着するように前記第1フィルムと前記第1ガラス間に配置される第3封止層と、前記第2フィルムと前記バックシートとを接着するように前記第2フィルムと前記バックシート間に配置されるか、又は前記第2フィルムと前記第2ガラスとを接着するように前記第2フィルムと前記第2ガラス間に配置される第4封止層とを含む。
【0013】
前記第1〜第4封止層は、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂からなるようにしてもよい。
【0014】
前記第3封止層及び前記第4封止層は、それぞれ前記第1封止層及び前記第2封止層より厚い厚さにしてもよい。
【0015】
前記第1フィルムは、透明な材質からなるようにしてもよい。前記透明な材質は、例えばPET(polyethylene terephthalate)であってもよい。
【0016】
太陽光発電モジュールのバックシートが透明な材質からなる場合、又は太陽光発電モジュールが第2ガラスを含む場合、前記第2フィルムは、透明な材質からなるようにしてもよい。前記透明な材質は、前記第1フィルムと同様に、PETであってもよい。太陽光発電モジュールのバックシートが黒色や白色などの色を有する場合、前記第2フィルムは、視認性強化のために、色を有するようにしてもよい。
【0017】
第2実施形態の太陽光発電モジュールは、互いに逆方向の第1面と第2面とを備える少なくとも1つの太陽電池と、曲面を有するように形成され、前記第1面を覆う第1ガラスと、前記第2面を覆うバックシート又は第2ガラスと、前記太陽電池と前記第1ガラスとを接着するように前記第1面と前記第1ガラス間に配置される第1封止層と、前記太陽電池と前記バックシートとを接着するように前記第2面と前記バックシート間に配置されるか、又は前記太陽電池と前記第2ガラスとを接着するように前記第2面と前記第2ガラス間に配置される第2封止層とを含む。
【0018】
前記第1封止層及び前記第2封止層は、それぞれ、二重に積層された熱硬化性樹脂からなるようにしてもよい。前記二重に積層された層のうち、相対的に前記太陽電池から遠い位置に配置されるものは、相対的に前記太陽電池に近い位置に配置されるものより厚い厚さにしてもよい。
【0019】
前記第1封止層及び前記第2封止層は、それぞれ、前記太陽電池に接着される第1層と、前記第1ガラスに接着されるか、又は前記バックシートもしくは前記第2ガラスに接着される第2層とを含んでもよい。前記第1層及び前記第2層は、いずれか一方が熱硬化性樹脂からなり、他方が熱可塑性樹脂からなるようにしてもよい。
【0020】
前記第1封止層及び前記第2封止層は、450〜1,100μmの厚さを有する熱硬化性樹脂からなるようにしてもよい。
【0021】
前記第1封止層及び前記第2封止層は、熱可塑性樹脂からなるようにしてもよい。
【0022】
そして、上記目的を達成するために、本発明は、太陽光発電モジュールの製造方法を提供する。本発明による太陽光発電モジュールは、まず、1次ラミネーションにより太陽光積層組立体を作製し、その後、前記太陽光積層組立体にa)第1ガラスとb)バックシート又は第2ガラスを接着することにより製造される。詳細構成は実施形態によって異なる。
【0023】
第1実施形態の製造方法は、太陽電池の第1面に第1封止層と第1フィルムが順次積層されると共に前記太陽電池の第2面に第2封止層と第2フィルムが順次積層された構造の太陽光積層組立体を作製する第1段階と、前記太陽光積層組立体の第1面に曲面を有する第1ガラスを接着し、前記太陽光積層組立体の第2面にバックシート又は曲面を有する第2ガラスを接着する第2段階とを含み、前記第1段階は、前記太陽電池の第1面に前記第1封止層と前記第1フィルムを順次積層し、前記太陽電池の第2面に前記第2封止層と前記第2フィルムを順次積層する段階と、前記第1フィルムと前記第2フィルムとを互いに近づく方向に加圧しながら前記第1封止層及び前記第2封止層に熱を加える1次ラミネーション工程により、前記太陽電池の第1面に前記第1フィルムを接着し、前記太陽電池の第2面に前記第2フィルムを接着する段階とを含む。
【0024】
前記第2段階は、前記第1フィルムと前記第1ガラス間に第3封止層を配置し、前記第2フィルムと前記バックシート間又は前記第2フィルムと前記第2ガラス間に第4封止層を配置する段階と、密閉されたチャンバ内で熱と圧力を加える2次ラミネーション工程により、前記太陽光積層組立体の第1面に前記第1ガラスを接着し、前記太陽光積層組立体の第2面に前記バックシート又は前記第2ガラスを接着する段階とを含んでもよい。
【0025】
前記第1〜第4封止層は、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂からなるようにしてもよい。
【0026】
前記第1封止層及び前記第2封止層は、それぞれ前記第3封止層及び前記第4封止層より厚い厚さにしてもよい。
【0027】
前記第1フィルム及び前記第2フィルムは、少なくとも一方が透明な材質からなる。
【0028】
第2実施形態の製造方法は、第1段階における1次ラミネーションの後に、第1フィルム及び第2フィルムを除去する段階を含む。その後、第2段階における2次ラミネーションにより太陽光発電モジュールを完成する。
【0029】
前記第1段階においては、太陽光積層組立体を作製する。前記第1段階は、太陽電池の第1面に第1封止層と第1フィルムを順次積層し、前記太陽電池の第2面に第2封止層と第2フィルムを順次積層する段階と、前記第1フィルムと前記第2フィルムとを互いに近づく方向に加圧しながら前記第1封止層及び前記第2封止層に熱を加える1次ラミネーション工程により、前記太陽電池の第1面に前記第1フィルムを接着し、前記太陽電池の第2面に前記第2フィルムを接着する段階とを含む。
【0030】
第2実施形態の製造方法は、前記第1段階の後に、前記太陽光積層組立体から前記第1フィルム及び前記第2フィルムを除去する段階を含む。
【0031】
前記第2段階は、前記第1フィルムを除去して露出した前記第1封止層の1番目の層と前記第1ガラス間に前記第1封止層の2番目の層をさらに配置し、前記第2フィルムを除去して露出した前記第2封止層の1番目の層と前記バックシート間又は前記第2封止層の1番目の層と前記第2ガラス間に前記第2封止層の2番目の層をさらに配置する段階と、密閉されたチャンバ内で熱と圧力を加える2次ラミネーション工程により、前記太陽光積層組立体の第1面に前記第1ガラスを接着し、前記太陽光積層組立体の第2面に前記バックシート又は前記第2ガラスを接着する段階とを含んでもよい。
【0032】
前記第1封止層の1番目の層及び前記第2封止層の1番目の層は、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂からなり、前記第1封止層の2番目の層及び前記第2封止層の2番目の層は、熱硬化性樹脂からなるようにしてもよい。
【0033】
第2実施形態の他の製造方法は、第1段階で作製された太陽光積層組立体に熱可塑性樹脂が含まれるので、第1フィルム及び第2フィルムを除去した後の第2段階において、2次ラミネーション工程のためのさらなる封止層を必要としない。以下、第2実施形態の他の製造方法について説明する。
【0034】
前記第1段階においては、太陽光積層組立体を作製する。前記第1段階は、太陽電池の第1面に第1封止層と第1フィルムを順次積層し、前記太陽電池の第2面に第2封止層と第2フィルムを順次積層する段階と、前記第1フィルムと前記第2フィルムとを互いに近づく方向に加圧しながら前記第1封止層及び前記第2封止層に熱を加える1次ラミネーション工程により、前記太陽電池の第1面に前記第1フィルムを接着し、前記太陽電池の第2面に前記第2フィルムを接着する段階とを含む。ここで、前記第1封止層及び前記第2封止層は、それぞれ熱可塑性樹脂からなり、それぞれ単層からなるようにしてもよい。あるいは、前記第1封止層及び前記第2封止層は、前記太陽電池に接着される第1層と、前記第1ガラスに接着されるか、又は前記バックシートもしくは前記第2ガラスに接着される第2層とを含み、前記第1層及び前記第2層は、いずれか一方が熱硬化性樹脂からなり、他方が熱可塑性樹脂からなるようにしてもよい。
【0035】
前記第1層は、熱硬化性樹脂からなり、前記第1段階において前記太陽電池を覆うように配置されてもよい。前記第2層は、熱可塑性樹脂からなり、前記第2段階において前記第1層を覆うように配置されてもよい。
【0036】
前記第1段階の後に、前記太陽光積層組立体から前記第1フィルム及び前記第2フィルムを除去する。
【0037】
前記第2段階においては、密閉されたチャンバ内で熱と圧力を加える2次ラミネーション工程により、前記太陽光積層組立体の第1面に前記第1ガラスを接着し、前記太陽光積層組立体の第2面に前記バックシート又は前記第2ガラスを接着する。前記太陽光積層組立体の第1封止層及び第2封止層に用いられる熱可塑性樹脂は、前記2次ラミネーション工程で再び溶融した後に硬化するので、前記第2段階においてさらなる封止層を必要としない。
【0038】
第3実施形態の製造方法は、第1段階の後に第1フィルムを除去(第2フィルムは維持)し、その後第2段階を行うという点で、前述した第1実施形態及び第2実施形態とは異なる。以下、第3実施形態の製造方法について説明する。
【0039】
前記第1段階においては、太陽光積層組立体を作製する。前記第1段階は、太陽電池の第1面に第1封止層と第1フィルムを順次積層し、前記太陽電池の第2面に第2封止層と第2フィルムを順次積層する段階と、前記第1フィルムと前記第2フィルムとを互いに近づく方向に加圧しながら前記第1封止層及び前記第2封止層に熱を加える1次ラミネーション工程により、前記太陽電池の第1面に前記第1フィルムを接着し、前記太陽電池の第2面に前記第2フィルムを接着する段階とを含む。ここで、前記第1封止層及び前記第2封止層は、それぞれ熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂からなるようにしてもよい。
【0040】
第3実施形態の製造方法は、前記第1段階の後に、前記太陽光積層組立体から前記第1フィルムを除去する段階を含む。
【0041】
前記第2段階は、前記第1段階で配置される第1封止層及び第2封止層の構成に応じて異なる。
【0042】
一例として、第1封止層は、熱硬化性樹脂からなり、太陽電池に接着される第1層と、熱可塑性樹脂からなり、第2段階で第1ガラスに接着される第2層とを含み、第2封止層は、熱硬化性樹脂からなるようにしてもよい。この場合、前記第2段階は、第2フィルムとバックシート間又は第2フィルムと第2ガラス間に熱硬化性樹脂からなる第3封止層をさらに配置する段階と、密閉されたチャンバ内で熱と圧力を加える2次ラミネーション工程を行う段階とを含む。
【0043】
他の例として、第1封止層及び第2封止層は、両方とも熱硬化性樹脂からなるようにしてもよい。この場合、前記第2段階は、第1封止層と第1ガラス間に前記第1封止層と同じ封止層をさらに配置し、第2フィルムとバックシート間又は第2フィルムと第2ガラス間に熱硬化性樹脂からなる第3封止層をさらに配置する段階と、密閉されたチャンバ内で熱と圧力を加える2次ラミネーション工程を行う段階とを含む。
【0044】
さらに他の例として、第1封止層及び第2封止層は、両方とも熱可塑性樹脂からなるようにしてもよい。この場合、前記第2段階は、第2フィルムとバックシート間又は第2フィルムと第2ガラス間に熱硬化性樹脂からなる第3封止層をさらに配置する段階と、密閉されたチャンバ内で熱と圧力を加える2次ラミネーション工程を行う段階とを含む。
【0045】
各実施形態において、前記2次ラミネーション工程は、前記太陽光積層組立体を密閉されたチャンバ内に投入し、その後前記密閉されたチャンバ内を真空にして熱を加えることにより、1)前記第1ガラスに接触する封止層及び2)前記バックシート又は前記第2ガラスに接触する封止層を部分的に溶融する仮接合段階と、前記密閉されたチャンバ内で前記太陽光積層組立体に熱と圧力を加えることにより、1)前記第1ガラスに接触する封止層及び2)前記バックシート又は前記第2ガラスに接触する封止層を全体的に溶融した後に硬化させる本接合段階とを含んでもよい。前記1次ラミネーション工程と前記2次ラミネーション工程のどちらも熱と圧力を加えて接合を行うようにしてもよい。
【発明の効果】
【0046】
上記構成の本発明によれば、太陽光発電モジュールの最外層が曲面を有するガラスにより形成されても、1次ラミネーションにより太陽電池が保護されて曲面により太陽電池に加わるストレスが緩和されるので、太陽電池のクラックが生じなくなる。よって、デザイン的又は機能的に曲面を必要とする自動車のルーフや建物の内外装材などに太陽光発電モジュールを適用することができる。
【0047】
また、本発明においては、第1ステップにおいて、まず、1次ラミネーションにより太陽光積層組立体を作製し、その後、前記太陽光積層組立体に曲面を有するガラスを接着することにより、1)気泡発生の問題が生じなくなり、2)複数の太陽電池が接続されたストリングの配列がガラスの曲面に沿ってずり落ちて太陽電池アレイが乱れてしまう問題が生じなくなる。よって、本発明においては、設計通りの曲面型太陽光発電モジュールを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
図1】第1実施形態の太陽光発電モジュールを示す概念図である。
図2A】第2実施形態の太陽光発電モジュール(第2−1実施形態)を示す概念図である。
図2B】第2実施形態の太陽光発電モジュール(第2−2実施形態)を示す概念図である。
図3A】第3実施形態の太陽光発電モジュール(第3−1実施形態)を示す概念図である。
図3B】第3実施形態の太陽光発電モジュール(第3−2実施形態)を示す概念図である。
図4】太陽光発電モジュールの共通の製造方法を示すフローチャートである。
図5】第1実施形態の太陽光発電モジュールの製造方法の詳細を示すフローチャートである。
図6A図4及び図5に示すフローチャートに従って太陽光発電モジュールが製造される過程を示す概念図である。
図6B図6Aに続く過程を示す図である。
図7】第2実施形態の太陽光発電モジュールの製造方法の詳細を示すフローチャートである。
図8A図4及び図7に示すフローチャートに従って太陽光発電モジュールが製造される過程を示す概念図である。
図8B図8Aに続く過程を示す図である。
図8C図8Bに続く過程を示す図である。
図9】第2実施形態の太陽光発電モジュールの他の製造方法の詳細を示すフローチャートである。
図10A図4及び図9に示すフローチャートに従って太陽光発電モジュールが製造される過程を示す概念図である。
図10B図10Aに続く過程を示す図である。
図10C図10Bに続く過程を示す図である。
図11A図4及び図9に示すフローチャートに従って他の例の太陽光発電モジュールが製造される過程を示す概念図である。
図11B図11Aに続く過程を示す図である。
図11C図11Bに続く過程を示す図である。
図12】第3実施形態の太陽光発電モジュールの製造方法の詳細を示すフローチャートである。
図13】第3実施形態の太陽光発電モジュールの他の製造方法の詳細を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0049】
以下、本発明の好ましい実施形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
【0050】
図1は第1実施形態の太陽光発電モジュール100を示す概念図である。図1には太陽光発電モジュール100の積層構造が示されている。
【0051】
太陽光発電モジュール100は、太陽光積層組立体100aと、太陽光積層組立体100aの一側を覆う第1ガラス141と、太陽光積層組立体100aの他側を覆うバックシート又は第2ガラス142とを含む。
【0052】
太陽光積層組立体100aとは、太陽光発電モジュール100において最外層であるa)第1ガラス141とb)バックシート又は第2ガラス142を除く構成をいい、太陽電池110と太陽電池110を保護する構成とからなる。本発明において、太陽光積層組立体100aとは、太陽光発電モジュール100の製造過程で先に作製される半製品を意味し、太陽光積層組立体100aの概念は実施形態によって異なる。
【0053】
第1実施形態において、太陽光積層組立体100aは、少なくとも1つの太陽電池110と、太陽電池110の両面を覆うように配置されるフィルム121、122と、フィルム121、122を太陽電池110に接着するための封止層131、132とを含む。
【0054】
太陽光発電モジュール100の設計によって、単数又は複数の太陽電池110が備えられる。太陽電池110が複数備えられる場合、複数の太陽電池110は、互いに離隔して配置されてもよく、互いに直列接続されてストリングを形成するようにしてもよい。また、複数の太陽電池110は、同じ曲面上に配置されてもよい。図1を参照すると、太陽電池110が第1封止層131の曲面と第2封止層132の曲面間に配置されるようにしてもよい。
【0055】
それぞれの太陽電池110は、互いに逆方向を向いた第1面111と第2面112とを備える。それぞれの太陽電池110は、第1面111と第2面112のいずれかの面でのみ受光(又は集光)が行われるようにしてもよく、両面で受光が行われるようにしてもよい。ここで、第1、第2という序数は、互いを区別するためのものにすぎず、それ自体が技術的に有意性や有用性を有するものではない。
【0056】
フィルム121、122は、太陽電池110を覆うように配置される。フィルム121、122は、太陽電池110の異なる面を覆うように配置される第1フィルム121及び第2フィルム122を含む。第1フィルム121は、太陽電池110の第1面111を覆うように配置され、第2フィルム122は、太陽電池110の第2面112を覆うように配置される。
【0057】
第1フィルム121及び第2フィルム122は、太陽光積層組立体100aの最外郭面を形成し、太陽電池110の両面を保護するように構成される。例えば、物理的衝撃や湿気などが太陽電池110に影響を与えることがあるが、第1フィルム121及び第2フィルム122は、太陽電池110を物理的衝撃や湿気などから保護する。
【0058】
特に、本明細書に開示されている太陽光発電モジュール100の製造方法は、後述するように、第1ステップにおいて、太陽光積層組立体100aを作製し、その後、第2ステップにおいて、太陽光積層組立体100aにa)第1ガラス141とb)バックシート又は第2ガラス142を接着するが、フィルム121、122は、前記第1ステップと前記第2ステップ間で太陽電池110を保護する役割を果たす。
【0059】
第1フィルム121及び第2フィルム122は、少なくとも一方が透明な材質からなる。太陽電池110が十分な電力を生産するためには、太陽電池110に十分な光が供給されなければならないので、太陽電池110の受光面を覆うフィルムは透明な材質にする。例えば、太陽電池110の第1面111及び第2面112の両方で受光が行われる場合は、第1フィルム121及び第2フィルム122の両方とも透明な材質にする。それに対して、太陽電池110の第1面111と第2面112のいずれか一方でのみ受光が行われる場合は、第1フィルム121及び第2フィルム122の両方が必ずしも透明な材質からなるものである必要はない。太陽電池110の第1面111と第2面112のいずれか一方でのみ受光が行われる場合、第1フィルム121と第2フィルム122のいずれか一方は透明な材質からなり、他方は不透明な材質からなるようにしてもよい。一例として、太陽光発電モジュール100が自動車のルーフや建物の内外装材などに適用される場合、第1フィルム121と第2フィルム122のうち受光面の反対面を覆うフィルムは、不透明な材質からなることが好ましい。こうすることにより、太陽光発電モジュール100を通して自動車の室内や建物の室内が視覚的に露出することを防止することができる。
【0060】
太陽電池110の第1面111で受光が行われる場合、第1フィルム121は、透明な材質からなるようにしてもよい。前記透明な材質は、例えばPETであってもよい。太陽光発電モジュール100のバックシートが透明な材質からなる場合、又は太陽光発電モジュール100が第2ガラス142(ガラスは常に透明)を含む場合、第2フィルム122は、透明な材質からなるようにしてもよい。前記透明な材質は、第1フィルム121と同様に、PETであってもよい。太陽光発電モジュール100のバックシートが黒色や白色などの色を有する場合は、第2フィルム122も、視認性強化のために、色を有するようにしてもよい。
【0061】
封止層131、132は、フィルム121、122を太陽電池110に接着し、太陽電池110を保護するように構成される。封止層131、132は、第1封止層131及び第2封止層132を含む。第1封止層131は、第1フィルム121を太陽電池110に接着するように第1面111と第1フィルム121間に配置される。第2封止層132は、第2フィルム122を太陽電池110に接着するように第2面112と第2フィルム122間に配置される。
【0062】
本発明において、封止層131、132、133、134は、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂からなるようにしてもよい。これは、第1実施形態に限定されるものではなく、全ての実施形態に同様に適用することができる。
【0063】
熱可塑性とは、熱を加えて成形した後も再び熱を加えると形状を変形させることができる性質を意味する。これとは異なり、熱硬化性とは、一旦熱を加えて成形すると再び熱を加えても形状を変形させることができない性質を意味する。
【0064】
本発明においては、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂の種類を特に限定しない。透明であり、硬化したときに接着力を有し、熱可塑性又は熱硬化性を有するものであれば、本発明の封止層として用いることができる。例えば、TPO(Thermo Plastic Olefin)、PVB(polyvinyl butyral)又はPC(polycarbonate)は、透明であり、硬化したときに接着力を有し、熱可塑性を有するので、本発明の封止層として用いることができる。また、EVA(Ethylene Vinyl Acetate)は、透明であり、硬化したときに接着力を有し、熱硬化性を有するので、本発明の封止層として用いることができる。
【0065】
第1実施形態の太陽光発電モジュール100において、第1封止層131及び第2封止層132は、熱硬化性樹脂からなることが好ましい。第1実施形態の太陽光発電モジュール100には後述する第3封止層133及び第4封止層134が備えられるが、第3封止層133及び第4封止層134を熱硬化させる過程で第1封止層131及び第2封止層132の形状が任意に変形することは好ましくないからである。しかし、これに限定されるものではなく、第1封止層131及び第2封止層132が必ずしも熱硬化性樹脂からなるものである必要はない。
【0066】
第1ガラス141は、第1フィルム121を覆うように配置される。第1ガラス141は、後述する第3封止層133により第1フィルム121に接着される。第1ガラス141は、太陽光発電モジュール100の一側最外郭面を形成し、よって、第1最外層ともいう。
【0067】
第1ガラス141は、曲面を有するように形成される。必ずしも第1ガラス141全体が曲面からなるようにする必要はなく、第1ガラス141の一部の領域のみ曲面からなるようにしてもよい。
【0068】
バックシート又は第2ガラス142は、第2フィルム122を覆うように配置される。バックシート又は第2ガラス142は、後述する第4封止層134により第2フィルム122に接着される。バックシート又は第2ガラス142は、太陽光発電モジュール100の他側最外郭面を形成し、よって、第2最外層ともいう。
【0069】
太陽光発電モジュール100において、バックシート又は第2ガラス142は、第1ガラス141に対応する曲面を有するように形成される。バックシートは、それ自体が曲面を有するわけではなく、太陽光積層組立体100aに接着されることにより第1ガラス141の曲率に対応する曲面を形成することになる。バックシート又は第2ガラス142の曲率は、第1ガラス141の曲率と誤差範囲内で実質的に同一であってもよい。バックシート又は第2ガラス142も、第1ガラス141と同様に、一部の領域のみ曲面からなるようにしてもよい。
【0070】
太陽光発電モジュール100は、バックシートと第2ガラス142の両方を有しなければならないわけではなく、バックシートと第2ガラス142のいずれか一方のみ有すればよい。例えば、太陽光発電モジュール100が自動車のルーフに適用される場合は、太陽光発電モジュール100がバックシートを有するようにしてもよく、この場合は、太陽電池110の第1面111が受光面となる。
【0071】
太陽光発電モジュール100が第2ガラス142を有する場合は、太陽電池110を基準としてその一側と他側が対称となる。この場合は、特に太陽電池110の第1面111と第2面112とを区別しなくてもよい。
【0072】
第3封止層133は、第1フィルム121と第1ガラス141とを接着するように第1フィルム121と第1ガラス141間に配置される。また、第4封止層134は、第2フィルム122とバックシートとを接着するように第2フィルム122とバックシート間に配置されるか、第2フィルム122と第2ガラス142とを接着するように第2フィルム122と第2ガラス142間に配置される。なお、前述した第1封止層131及び第2封止層132についての説明は第3封止層133及び第4封止層134にも適用することができる。
【0073】
第3封止層133及び第4封止層134は、それぞれ第1封止層131及び第2封止層132より厚い厚さにしてもよい。封止層が厚くなると接着力が強くなり、第3封止層133及び第4封止層134は、それぞれ、相対的にフィルム121、122より重いガラス141、142の接着に用いられるので、第1封止層131及び第2封止層132より厚くすることが好ましい。
【0074】
第1ガラス141及び第2ガラス142が曲面を有するので、その間に配置された太陽電池110、フィルム121、122及び封止層131、132、133、134も曲面を有することになる。これは、第1ガラス141が剛性を有するからである。1つの太陽電池110の大きさがフィルム121、122や第1ガラス141に比べて小さいので、太陽電池110は曲がってもその変形量がフィルム121、122や封止層131、132、133、134に比べて小さい。また、フィルム121、122及び封止層131、132、133、134は、曲げ可能な柔軟性を有する。
【0075】
従って、太陽光積層組立体100aに第1ガラス141及びバックシート又は第2ガラス142が接着された構造を有する太陽光発電モジュール100においては、太陽電池110の角部にクラックが生じなくなる。
【0076】
以下、本発明の第2実施形態について説明する。ただし、第1実施形態と重複する説明は省略する。
【0077】
図2A及び図2Bは第2実施形態の太陽光発電モジュール200、200’を示す概念図である。図2Aには太陽光発電モジュール200の積層構造が示され、図2Bには太陽光発電モジュール200’の積層構造が示されている。
【0078】
第2実施形態の太陽光発電モジュール200、200’は、フィルム(図1の符号121、122参照)、第3封止層(図1の符号133参照)及び第4封止層(図1の符号134参照)を含まないという点で、前述した第1実施形態とは異なる。
【0079】
第2実施形態の太陽光発電モジュール200、200’において、第1封止層231は、太陽電池210と第1ガラス241とを接着するように、太陽電池210と第1ガラス241間に配置される。第2封止層232は、太陽電池210とバックシートとを接着するように、太陽電池210とバックシート間に配置されるか、又は太陽電池210と第2ガラス242とを接着するように、太陽電池210と第2ガラス242間に配置される。
【0080】
第2実施形態は、さらに第2−1実施形態と第2−2実施形態に分けられる。第2−1実施形態の太陽光発電モジュール200は、それぞれ二重層からなる第1封止層及び第2封止層を有し、第2−2実施形態の太陽光発電モジュール200’は、それぞれ単層からなる第1封止層及び第2封止層を有する。
【0081】
図2Aに示す第2−1実施形態の太陽光発電モジュール200において、第1封止層231及び第2封止層232は、それぞれ二重層からなる。第1封止層231の両層を区別するために、太陽電池210に接着される層を第1層231aといい、第1ガラス241に接着される層を第2層231bという。同様に、第2封止層232の両層を区別するために、太陽電池210に接着される層を第1層232aといい、バックシート又は第2ガラス242に接着される層を第2層232bという。
【0082】
第1層231a、232a及び第2層231b、232bは、いずれか一方が熱硬化性樹脂からなり、他方が熱可塑性樹脂からなるようにしてもよい。
【0083】
例えば、第1層231a、232aが熱硬化性樹脂からなり、第2層231b、232bが熱可塑性樹脂からなるようにしてもよい。逆に、第1層231a、232aが熱可塑性樹脂からなり、第2層231b、232bが熱硬化性樹脂からなるようにしてもよい。この場合、第2層231b、232bが接着力を強化する役割を果たす。
【0084】
また、第1層231a、232a及び第2層231b、232bは、両方とも熱硬化性樹脂からなるようにしてもよい。この場合、第2層231b、232bの厚さが第1層231a、232aの厚さより厚くなるようにしてもよい。第1層231a、232aと第2層231b、232bが両方とも熱硬化性樹脂からなる場合、第1層231a、232aと第2層231b、232bが視覚的に区別されないこともあるが、単層からなる封止層より厚く形成される。例えば、第1実施形態における第1封止層(図1の符号131参照)〜第4封止層(図1の符号134参照)の厚さが約450〜550μmである場合、第2−2実施形態における第1封止層231及び第2封止層232の厚さは、450μmよりは厚く、1100μmよりは薄い。
【0085】
図2Bに示す第2−2実施形態の太陽光発電モジュール200’において、第1封止層231及び第2封止層232は、それぞれ単層からなり、熱可塑性樹脂からなる。第1封止層231及び第2封止層232は、熱可塑性を有するので、太陽光発電モジュール200’の製造過程で熱処理が行われる度に溶融と硬化を繰り返すことにより、太陽光発電モジュール200’の構成品を接着することになる。
【0086】
図3A及び図3Bは第3実施形態の太陽光発電モジュール300、300’を示す概念図である。図3Aには太陽光発電モジュール300の積層構造が示され、図3Bには太陽光発電モジュール300’の積層構造が示されている。
【0087】
第3実施形態の太陽光発電モジュール300、300’は、第1フィルムを含まず、第2フィルム322を含むという点で、前述した第1及び第2実施形態とは異なる。以下では、第2フィルム322の序数を省略し、フィルム322とする。
【0088】
第3実施形態の太陽光発電モジュール300、300’において、第1封止層331は、太陽電池310と第1ガラス341とを接着するように、太陽電池310と第1ガラス341間に配置される。第2封止層332は、太陽電池310とフィルム322とを接着するように、太陽電池310とフィルム322間に配置される。第3封止層333は、フィルム322とバックシートとを接着するように、フィルム322とバックシート間に配置されるか、又はフィルム322と第2ガラス342とを接着するように、フィルム322と第2ガラス342間に配置される。
【0089】
第3実施形態は、さらに第3−1実施形態と第3−2実施形態に分けられる。第3−1実施形態の太陽光発電モジュール300は、二重層からなる第1封止層331を有し、第3−2実施形態の太陽光発電モジュール300’は、単層からなる第1封止層331を有する。
【0090】
図3Aに示す第3−1実施形態の太陽光発電モジュール300において、第1封止層331は、二重層からなる。第1封止層331の第1層331aは熱硬化性樹脂からなり、第1封止層331の第2層331bは熱可塑性樹脂からなるようにしてもよい。また、第2封止層332及び第3封止層333は熱可塑性樹脂からなるようにしてもよい。
【0091】
他の例として、第1封止層331の第1層331a及び第2層331bは両方とも熱硬化性樹脂からなり、第2封止層332及び第3封止層333は熱可塑性樹脂からなるようにしてもよい。この場合、第2層331bの厚さが第1層331aの厚さより厚くなるようにしてもよく、また、第3封止層333の厚さが第2封止層332の厚さより厚くなるようにしてもよい。これは、第2層331bと第3封止層333は、それぞれ強い接着力を必要とする第1ガラス341と第2ガラス342に接着されるからである。
【0092】
図3Bに示す第3−2実施形態の太陽光発電モジュール300’において、第1封止層331は、単層からなり、熱可塑性樹脂からなる。また、第2封止層332は熱可塑性樹脂からなり、第3封止層333は熱硬化性樹脂からなるようにしてもよい。
【0093】
上記構造を有する太陽光発電モジュール300、300’においては、太陽電池310の角部にクラックが生じなくなる。
【0094】
図4は太陽光発電モジュール100、200、200’、300、300’の共通の製造方法を示すフローチャートである。
【0095】
本発明による太陽光発電モジュール100、200、200’、300、300’は、第1ステップ(S100)と第2ステップ(S200)とにより製造される。また、第1ステップ(S100)と第2ステップ(S200)間に第1及び/又は第2フィルムを除去するステップ(S150)を行うようにしてもよいが、第1及び/又は第2フィルムを除去するステップ(S150)は、必須のステップではなく、実施形態によって選択的に行われるステップである。
【0096】
第1ステップ(S100)においては、太陽光積層組立体を作製する。太陽光積層組立体とは、太陽光発電モジュール100、200、200’、300、300’の製造過程で先に作製される半製品を意味し、具体的な概念は実施形態によって異なる。
【0097】
太陽光積層組立体を作製するために、まず、太陽電池の第1面に第1封止層と第1フィルムを順次積層し、太陽電池の第2面に第2封止層と第2フィルムを順次積層する(S110)。本発明においては、前述したように、封止層は熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂からなり、第1フィルムと第2フィルムの少なくとも一方は透明な材質からなる。
【0098】
ここで、順次積層するとは、太陽電池の第1面に第1封止層が積層され、第1封止層上に第1フィルムが積層された構造にすることを意味するものであって、積層の順序を意味するものではない。例えば、第1封止層上に第1フィルムが積層された状態で、前記第1封止層と前記第1フィルムが前記太陽電池の第1面に時間的に同時に積層されることを排除するものではない。これは第2封止層と第2フィルムにも同様に適用される。
【0099】
その後、1次ラミネーションにより、太陽電池の第1面に第1フィルムを接着し、太陽電池の第2面に第2フィルムを接着する(S120)。ラミネーションとは、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂からなる封止層に熱と圧力を加えて熱硬化させることにより、封止層の一側と他側に配置された2つの接着対象物を互いに接着する工程をいう。ただし、ラミネーションの詳細工程は1次ラミネーションと2次ラミネーションとで異なる。
【0100】
1次ラミネーションにおける接着対象物は太陽電池とフィルムである。1次ラミネーションは平面上で行われる。第1フィルムと第2フィルムとを互いに近づく方向に加圧しながら第1封止層及び第2封止層に熱を加えると、第1封止層及び第2封止層が溶融し、その後硬化することにより、太陽電池の第1面に第1フィルムが接着されると共に、太陽電池の第2面に第2フィルムが接着される。
【0101】
1次ラミネーション工程で加わる圧力は面圧力である。ここで、面圧力とは、平坦な第1及び第2フィルム全体に均一に加わる圧力を意味するものであり、ある一部の領域にのみ加わる圧力とは区別される。
【0102】
1次ラミネーションを行うことにより太陽光積層組立体が作製される。太陽光積層組立体の概念は、図1を参照して説明した通りであり、実施形態によって異なる。太陽光積層組立体は、面圧力を加える1次ラミネーションにより作製されるので、平面構造を有する。第1及び第2封止層と第1及び第2フィルムは柔軟性を有し、複数の太陽電池は互いに離隔していて太陽電池間に間隔が存在する。よって、太陽光積層組立体は、第2ステップ(S200)で加わる外力により、凹状又は凸状に曲がることになる。
【0103】
第1ステップ(S100)で太陽光積層組立体を作製した後、直ちに第2ステップ(S200)を行うようにしてもよいが、その前に第1及び/又は第2フィルムを除去するステップ(S150)を行うようにしてもよい。
【0104】
第1ステップ(S100)と第2ステップ(S200)間に時間的間隔が存在するので、第1ステップ(S100)で作製された太陽光積層組立体は、外部の影響から保護されなければならない。外部の影響とは、物理的衝撃や湿気などのように太陽電池の性能に及ぼす影響を意味する。第1フィルム及び第2フィルムは、太陽光積層組立体の最外層を形成するので、第1ステップ(S100)と第2ステップ(S200)間で太陽光積層組立体を保護する。
【0105】
第2ステップ(S200)が開始されると太陽光積層組立体を保護する第1フィルム及び第2フィルムの役割は終了するので、第1フィルムと第2フィルムの少なくとも一方は第2ステップ(S200)が開始される直前に除去するようにしてもよい。例えば、第1フィルム及び第2フィルムが離型フィルム(リリースフィルム)からなる場合は、それぞれ第1封止層及び第2封止層から分離及び除去することができる。
【0106】
ただし、第1及び/又は第2フィルムを除去するステップ(S150)が必須であるわけではない。第1フィルムと第2フィルムを除去しない場合、完成品の太陽光発電モジュール100、200、200’、300、300’に第1フィルムと第2フィルムが存在する。よって、太陽光発電モジュール100、200、200’、300、300’に存在する第1フィルムと第2フィルムの少なくとも一方は透明な材質にしなければならず、これは太陽電池に十分な光を供給するためである。
【0107】
太陽光積層組立体の最外層は、第1フィルムと第2フィルムが存在する状態では第1フィルムと第2フィルムにより形成されるが、第1フィルムと第2フィルムが除去されると、第1封止層と第2封止層が露出する。
【0108】
第2ステップ(S200)においては、2次ラミネーション(S220)を行う前に、選択的に封止層をさらに配置するようにしてもよい。ただし、封止層をさらに配置するか否かは実施形態によって異なるので、その詳細については後述する各実施形態において説明する。
【0109】
次に、第2ステップ(S200)においては、2次ラミネーション(S220)により、太陽光積層組立体の第1面に第1ガラスを接着し、太陽光積層組立体の第2面にバックシート又は第2ガラスを接着する。第1ガラスは、曲面を有するように形成される。バックシートは、本来は平坦であっても、太陽光積層組立体の第2面に接着されると第1ガラスに対応する曲率を有するように曲がる。第2ガラスは、バックシートとは異なり、それ自体が第1ガラスに対応する曲面を有するように形成される。
【0110】
第1ガラス及び第2ガラスが曲面を有するように形成されるので、2次ラミネーション(S220)は平面上で行うことができない。よって、2次ラミネーション(S220)は1次ラミネーション(S120)とは異なる方式で行われる。
【0111】
2次ラミネーション(S220)は、仮接合ステップ(S221)と本接合ステップ(S222)とを含む。
【0112】
仮接合ステップ(S221)においては、密閉されたチャンバ内に太陽光積層組立体を投入し、その後チャンバ内を真空にして熱を加えることにより、封止層を部分的に溶融する。また、後続の本接合ステップ(S222)においては、密閉されたチャンバ内で熱と圧力を加えることにより、封止層を全体的に溶融した後に硬化させる。ただし、1次ラミネーション工程で熱により溶融した後に硬化した熱可塑性樹脂は、2次ラミネーション工程で再び溶融しない。
【0113】
第1実施形態の太陽光発電モジュール100において、第1ガラス141を太陽光積層組立体100aに接着する構成は第3封止層133であり、バックシート又は第2ガラス142を太陽光積層組立体100aに接着する構成は第4封止層134である。よって、2次ラミネーションの仮接合ステップ(S221)で部分的に溶融し、2次ラミネーションの本接合ステップ(S222)で全体的に溶融した後に硬化するのは、第3封止層133及び第4封止層134である。
【0114】
これとは異なり、第2実施形態の太陽光発電モジュール200、200’において、第1ガラス241を太陽光積層組立体に接着する構成は第1封止層231であり、バックシート又は第2ガラス242を太陽光積層組立体に接着する構成は第2封止層232である。よって、2次ラミネーションの仮接合ステップ(S221)で部分的に溶融し、2次ラミネーションの本接合ステップ(S222)で全体的に溶融した後に硬化するのは、第1封止層231及び第2封止層232である。
【0115】
また、第3実施形態の太陽光発電モジュール300、300’において、第1ガラス341を太陽光積層組立体に接着する構成は第1封止層331であり、バックシート又は第2ガラス342を太陽光積層組立体に接着する構成は第3封止層333である。よって、2次ラミネーションの仮接合ステップ(S221)で部分的に溶融し、2次ラミネーションの本接合ステップ(S222)で全体的に溶融した後に硬化するのは、第1封止層331及び第3封止層333である。
【0116】
仮接合ステップ(S221)と本接合ステップ(S222)とからなる2次ラミネーション(S220)工程で、太陽光積層組立体に曲面を有する第1ガラス141、241、341を接着し、前記太陽光積層組立体にバックシート又は曲面を有する第2ガラス142、242、342を接着することにより、太陽光発電モジュール100、200、200’、300、300’が製造される。このように製造された太陽光発電モジュール100、200、200’、300、300’は、全体として曲がった形状を有する。太陽光発電モジュール100、200、200’、300、300’の曲率は、第1ガラス141、241、341及び第2ガラス142、242、342の曲率によって決定される。
【0117】
1次ラミネーションのみを行い、1次ラミネーション工程で太陽電池に曲面を有するガラスを直接接着した場合は、太陽電池のクラックが生じることがある。それに対して、本発明においては、まず、平面上で行われる1次ラミネーション(S120)工程で太陽光積層組立体を作製し、その後、2次ラミネーション(S220)工程で太陽光発電モジュール100、200、200’、300、300’を製造する。よって、曲がった形状の太陽光発電モジュール100、200、200’、300、300’を製造しても、太陽電池のクラックが生じることがない。
【0118】
また、1次ラミネーションのみを行い、1次ラミネーション工程で太陽電池に曲面を有するガラスを直接接着した場合は、複数の太陽電池が接続されたストリングがガラスの曲面に沿ってずり落ち、設計通りに製造されない恐れがある。それに対して、本発明においては、平面上で行われる1次ラミネーション(S120)工程で太陽光積層組立体を先に作製するので、2次ラミネーション(S220)工程で太陽光積層組立体に曲面を有する第1ガラス141、241、341を接着しても太陽電池のずり落ちが発生しなくなる。
【0119】
さらに、太陽光発電モジュールの両最外層がどちらもガラスからなる場合、太陽電池とリボン構造の段差により太陽光発電モジュールの内部に気泡が発生する恐れがある。それに対して、本発明においては、1次ラミネーション(S120)工程で太陽光積層組立体を先に作製するので、曲面を有する第1ガラス141、241、341と曲面を有する第2ガラス142、242、342とが太陽光発電モジュール100、200、200’、300、300’の最外層を構成しても気泡が発生しなくなる。
【0120】
以下、第1〜第3実施形態の太陽光発電モジュール100、200、200’、300、300’を製造する詳細工程について説明する。共通の方法については図4を参照して説明したのでその説明を省略し、実施形態毎に異なる構成について説明する。
【0121】
図5は第1実施形態の太陽光発電モジュール100の製造方法の詳細を示すフローチャートである。また、図6A及び図6B図4及び図5に示すフローチャートに従って太陽光発電モジュール100が製造される過程を示す概念図である。
【0122】
図6Aには第1ステップ(S100)の1次ラミネーション(S120)工程が示されている。第1封止層131が熱硬化することにより、太陽電池110の第1面111に第1フィルム121が接着され、第2封止層132が熱硬化することにより、太陽電池110の第2面112に第2フィルム122が接着される。
【0123】
第1実施形態の太陽光発電モジュール100は、第1フィルム121及び第2フィルム122を含むので、第1ステップ(S100)の後に第1フィルム121及び第2フィルム122が除去されない。
【0124】
第1実施形態の太陽光発電モジュール100において、第1〜第4封止層131、132、133、134は、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂からなるようにしてもよい。
【0125】
熱硬化性樹脂は一旦熱硬化すると再び熱を加えても変形しないので、第1ステップ(S100)の1次ラミネーション(S120)工程で熱硬化した第1封止層131及び第2封止層132は、後述する第2ステップ(S200)の2次ラミネーション(S220)工程で熱を加えても変形しない。それに対して、熱可塑性樹脂は1次ラミネーション(S120)工程で熱硬化しても2次ラミネーション(S220)で熱を加えると再び溶融した後に熱硬化する。
【0126】
図5を参照すると、第2ステップ(S200)においては、まず、第1フィルム121と第1ガラス141間に第3封止層133を配置し、第2フィルム122とバックシート間又は第2フィルム122と第2ガラス142間に第4封止層134を配置する(S211)。こうすることにより、太陽電池110の第1面111に第1封止層131、第1フィルム121、第3封止層133及び第1ガラス141が順次積層された構造が形成される。また、太陽電池110の第2面112に第2封止層132、第2フィルム122、第4封止層134及びバックシート又は第2ガラス142が順次積層された構造が形成される。
【0127】
その後、2次ラミネーション(S220)により、第1フィルム121に第1ガラス141を接着し、第2フィルム122にバックシート又は第2ガラス142を接着する。2次ラミネーション(S220)の詳細工程は図4を参照して説明した通りである。第3封止層133が熱硬化することにより、太陽光積層組立体100aの第1面に第1ガラス141が接着され、第4封止層134が熱硬化することにより、太陽光積層組立体100aの第2面にバックシート又は第2ガラス142が接着される。本実施形態において、太陽光積層組立体100aの第1面とは第1フィルム121を意味し、太陽光積層組立体100aの第2面とは第2フィルム122を意味する。
【0128】
図6Bには第1フィルム121に第1ガラス141が接着され、第2フィルム122にバックシート又は第2ガラス142が接着される2次ラミネーション(S220)工程が示されている。
【0129】
第1ガラス141が曲面を有するように形成されるので、太陽光積層組立体100aに第1ガラス141が接着されると、太陽光積層組立体100aは自然に第1ガラス141と同じ曲率を有するように曲がる。同様に、バックシートも、太陽光積層組立体100aに接着されると、第1ガラス141と同じ曲率を有するように曲がる。
【0130】
図7は第2実施形態の太陽光発電モジュール200の製造方法の詳細を示すフローチャートである。また、図8A図8C図4及び図7に示すフローチャートに従って太陽光発電モジュール200が製造される過程を示す概念図である。
【0131】
図8Aには第1ステップ(S100)の1次ラミネーション(S120)工程が示されている。第1封止層231の第1層231aが熱硬化することにより、太陽電池210の第1面211に第1フィルム221が接着され、第2封止層232の第1層232aが熱硬化することにより、太陽電池210の第2面212に第2フィルム222が接着される。
【0132】
第1フィルム221及び第2フィルム222は離型フィルムからなり、第2実施形態の太陽光発電モジュール200は第1フィルム221及び第2フィルム222を含まない。よって、第1ステップ(S100)の後に、第1フィルム221及び第2フィルム222を除去する(S150)。なお、図8Bには太陽光積層組立体200aから第1フィルム221及び第2フィルム222が除去された状態が示されている。
【0133】
図7を参照すると、第2ステップ(S200)においては、第1フィルム221と第1ガラス241間に第1封止層231の第2層231bをさらに配置し、第2フィルム222とバックシート間又は第2フィルム222と第2ガラス242間に第2封止層232の第2層232bをさらに配置する(S211)。
【0134】
第2実施形態の太陽光発電モジュール200において、第1封止層231は、第1層231aと第2層231bの二重層からなり、第2封止層232は、第1層232aと第2層232bの二重層からなる。第1層231a、232aは、第1ステップ(S100)で太陽電池210に接着され、第2層231b、232bは、第2ステップ(S200)で第1ガラス241及びバックシート又は第2ガラス242に接着される。第1層231a、232aは、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂からなり、第2層231b、232bは、熱硬化性樹脂からなるようにしてもよい。
【0135】
第1層231a、232aが熱可塑性樹脂からなり、第2層231b、232bが熱硬化性樹脂からなる場合、第2層231b、232bは、接着力向上のために第2ステップ(S200)で追加される。
【0136】
第1層231a、232aと第2層231b、232bが両方とも熱硬化性樹脂からなる場合は、第2層231b、232bの厚さが第1層231a、232aの厚さより厚くなるようにしてもよい。これは、第2層231b、232bは、それぞれ強い接着力を必要とする第1ガラス241、バックシート又は第2ガラス242に接着されるからである。第1層231a、232aと第2層231b、232bが両方とも熱硬化性樹脂からなる場合は、前述したように、単層の熱硬化性樹脂より厚く形成される。
【0137】
第1封止層231の第2層231bと第2封止層232の第2層232bとをさらに配置することにより、太陽電池210の第1面211に第1封止層231の第1層231a及び第2層231b、並びに第1ガラス241が順次積層された構造が形成される。また、太陽電池210の第2面212に第2封止層232の第1層232a及び第2層232b、並びにバックシート又は第2ガラス242が順次積層された構造が形成される。
【0138】
その後、2次ラミネーション(S220)により、太陽光積層組立体200aに第1ガラス241及びバックシート又は第2ガラス242を接着する。2次ラミネーション(S220)の詳細工程は図4を参照して説明した通りである。
【0139】
第1封止層231の第2層231bが熱硬化することにより、太陽光積層組立体200aの第1面に第1ガラス241が接着され、第2封止層232の第2層232bが熱硬化することにより、太陽光積層組立体200aの第2面にバックシート又は第2ガラス242が接着される。本実施形態においては、第1フィルム及び第2フィルムが既に除去されているので、太陽光積層組立体200aの第1面とは第1封止層231の第1層231aを意味し、太陽光積層組立体200aの第2面とは第2封止層232の第1層232aを意味する。
【0140】
図8Cには第1封止層231の第1層231aに第1ガラス241が接着され、第2封止層232の第1層232aにバックシート又は第2ガラス242が接着される2次ラミネーション(S220)工程が示されている。
【0141】
図9は第2実施形態の太陽光発電モジュール200、200’の他の製造方法の詳細を示すフローチャートである。図10A図10C図4及び図9に示すフローチャートに従って太陽光発電モジュール200が製造される過程を示す概念図である。図11A図11C図4及び図9に示すフローチャートに従って他の例の太陽光発電モジュール200’が製造される過程を示す概念図である。
【0142】
本実施形態においては、第2ステップで封止層が追加されないという点で、図7を参照して説明した実施形態とは異なる。第1封止層及び第2封止層は、二重層からなるようにしてもよく、単層からなるようにしてもよい。いずれの場合であっても、第1封止層及び第2封止層は、太陽光積層組立体を構成するために第1ステップで追加され、第2ステップでは追加されない。
【0143】
二重層からなる第1封止層及び第2封止層が追加される構成は図9のステップS112に示されており、それによる製造過程は図10A図10Cに示されている。また、単層からなる第1封止層及び第2封止層が追加される構成は図9のステップS113に示されており、それによる製造過程は図11A図11Cに示されている。
【0144】
図10Aには第1ステップ(S100)の1次ラミネーション(S120)工程が示されている。第1封止層231が熱硬化することにより、太陽電池210の第1面211に第1フィルム221が接着され、第2封止層232が熱硬化することにより、太陽電池210の第2面212に第2フィルム222が接着される。
【0145】
本実施形態において、第1層231a、232aは熱硬化性樹脂からなり、第2層231b、232bは熱可塑性樹脂からなる。1次ラミネーション工程により、第1封止層231の第1層231a及び第2層231bがどちらも熱硬化すると共に、第2封止層232の第1層232a及び第2層232bがどちらも熱硬化する。ただし、第1封止層231の第2層231b及び第2封止層232の第2層232bは、熱可塑性樹脂からなるので、2次ラミネーション工程で再加熱すると再び変形する。
【0146】
第1フィルム221及び第2フィルム222は離型フィルムからなり、第2実施形態の太陽光発電モジュール200は第1フィルム221及び第2フィルム222を含まない。よって、第1ステップ(S100)の後に、第1フィルム221及び第2フィルム222を除去する(S150)。すると、第1封止層231の第2層231b及び第2封止層232の第2層232bが露出する。なお、図10Bには太陽光積層組立体200aから第1フィルム221及び第2フィルム222が除去された状態が示されている。
【0147】
本実施形態の太陽光発電モジュール200において、第1封止層231の第2層231b及び第2封止層232の第2層232bは、熱可塑性樹脂からなるので、1次ラミネーションにより熱硬化しても再び熱を加えると変形する。よって、第1ガラス241及びバックシート又は第2ガラス242を接着するためにさらなる封止層を必要としない。
【0148】
第2ステップ(S200)においては、さらなる封止層を追加するのではなく、2次ラミネーション(S220)により、第1フィルム221に第1ガラス241を接着し、第2フィルム222にバックシート又は第2ガラス242を接着する。2次ラミネーション(S220)の詳細工程は図4を参照して説明した通りである。第1封止層231の第2層231bが熱硬化することにより、太陽光積層組立体200aの第1面に第1ガラス241が接着され、第2封止層232の第2層232bが熱硬化することにより、太陽光積層組立体200aの第2面にバックシート又は第2ガラス242が接着される。
【0149】
図10Cには第1封止層231の第2層231bに第1ガラス241が接着され、第2封止層232の第2層232bにバックシート又は第2ガラス242が接着される2次ラミネーション(S220)工程が示されている。
【0150】
図11Aには第1ステップ(S100)の1次ラミネーション(S120)工程が示されている。第1封止層231が熱硬化することにより、太陽電池210の第1面211に第1フィルム221が接着され、第2封止層232が熱硬化することにより、太陽電池210の第2面212に第2フィルム222が接着される。
【0151】
第1フィルム221及び第2フィルム222は離型フィルムからなり、第2実施形態の太陽光発電モジュール200’は第1フィルム221及び第2フィルム222を含まない。よって、第1ステップ(S100)の後に、第1フィルム221及び第2フィルム222を除去する(S150)。なお、図11Bには太陽光積層組立体200a’から第1フィルム221及び第2フィルム222が除去された状態が示されている。
【0152】
本実施形態の太陽光発電モジュール200’において、第1封止層231及び第2封止層232は、単層の熱可塑性樹脂からなる。熱可塑性樹脂は、1次ラミネーションにより熱硬化しても再び熱を加えると変形する。よって、第1ガラス241及びバックシート又は第2ガラス242を接着するためにさらなる封止層を必要としない。
【0153】
第2ステップ(S200)においては、さらなる封止層を追加するのではなく、2次ラミネーション(S220)により、太陽光積層組立体200a’の第1面に第1ガラス241を接着し、太陽光積層組立体200a’の第2面にバックシート又は第2ガラス242を接着する。2次ラミネーション(S220)の詳細工程は図4を参照して説明した通りである。第1封止層231が再び熱硬化することにより、太陽光積層組立体200a’の第1面に第1ガラス241が接着され、第2封止層232が再び熱硬化することにより、太陽光積層組立体200a’の第2面にバックシート又は第2ガラス242が接着される。第1封止層231及び第2封止層232は、第1ステップ(S100)と第2ステップ(S200)で2回熱処理される。
【0154】
図11Cには第1封止層231に第1ガラス241が接着され、第2封止層232にバックシート又は第2ガラス242が接着される2次ラミネーション(S220)工程が示されている。
【0155】
図12は第3実施形態の太陽光発電モジュール300の製造方法の詳細を示すフローチャートである。図面符号は図3Aを参照する。
【0156】
第1ステップ(S100)においては、まず、太陽電池310の第1面311に第1封止層331の第1層331aを配置し、太陽電池310の第2面312に単層からなる第2封止層332を配置する。そして、1次ラミネーションにより、太陽電池310の第1面311に第1フィルム(図示せず)を接着し、太陽電池310の第2面312に第2フィルム322を接着する。このようにして太陽光積層組立体が作製される。
【0157】
第1封止層331の第1層331a及び第2封止層332は、熱硬化性樹脂からなるようにしてもよい。
【0158】
第3実施形態の太陽光発電モジュール300は、第1フィルムを含まず、第1フィルムは、第1ステップ(S100)と第2ステップ(S200)間で除去される(S150’)。太陽光積層組立体から第1フィルムが除去され、第1封止層331の第1層331aが露出する。
【0159】
次に、第2ステップ(S200)においては、第1封止層331の第1層331aと第1ガラス341間に第1封止層331の第2層331bをさらに配置し、第2フィルム322とバックシート間又は第2フィルム322と第2ガラス342間に第3封止層333をさらに配置する(S212)。第2層331b及び第3封止層333は、熱硬化性樹脂からなるようにしてもよい。また、接着力強化のために、第1封止層331は、第2層331bの方が第1層331aより厚くなるようにし、第3封止層333は、第2封止層332より厚くなるようにしてもよい。
【0160】
最後に、2次ラミネーション(S220)により、太陽光積層組立体の第1面に第1ガラス341を接着し、太陽光積層組立体の第2面にバックシート又は第2ガラス342を接着する。
【0161】
図13は第3実施形態の太陽光発電モジュール300、300’の他の製造方法の詳細を示すフローチャートである。図13に示す製造方法は、ステップS115を行う方法とステップS116を行う方法に分けられる。第3実施形態の太陽光発電モジュール300、300’は、第1フィルムを含まず、第2フィルム322を含み、第1ステップ(S100)と第2ステップ(S200)間で第1フィルムを除去するステップ(S150’)を前述したように行う。
【0162】
まず、ステップS115を行う方法を説明すると、第1封止層331は、第1層331a及び第2層331bからなり、第1層331a及び第2層331bが両方とも第1ステップ(S100)で太陽電池310の第1面311に配置され、また、単層からなる第2封止層332は、太陽電池310の第2面312に配置される。本実施形態は、第1ステップ(S100)では、第1封止層331の第1層331a及び第2層331bが太陽電池310の第1面311に配置され、第2ステップ(S200)では、第3封止層333のみ追加される(S213)という点で、図12の実施形態とは区別される。
【0163】
第1封止層331は、第1層331aが熱硬化性樹脂からなり、第2層331bが熱可塑性樹脂からなるようにしてもよい。また、第2封止層332及び第3封止層333は、両方とも熱硬化性樹脂からなるようにしてもよい。本実施形態によると、図3Aに示す太陽光発電モジュール300が製造される。その他は前述した通りであるのでその説明を省略する。
【0164】
次に、ステップS116を行う方法を説明すると、第1封止層331及び第2封止層332は両方とも単層からなり、第1ステップ(S100)では、第1封止層331が太陽電池310の第1面311に配置され、第2ステップ(S200)では、第2封止層332が太陽電池310の第2面312に配置される。第1封止層331及び第2封止層332は、両方とも熱可塑性樹脂からなるようにしてもよい。第3封止層333は、熱硬化性樹脂からなるようにしてもよい。
【0165】
また、第2ステップ(S200)では、第3封止層333のみ追加される(S213)。本実施形態によると、図3Bに示す太陽光発電モジュール300’が製造される。その他は前述した通りであるのでその説明を省略する。
【0166】
前述した太陽光発電モジュール及びその製造方法は、上記実施形態の構成や方法に限定されるものではなく、各実施形態の全部又は一部を選択的に組み合わせて構成することで様々に変形することができる。
【符号の説明】
【0167】
100、200、200’、300、300’ 太陽光発電モジュール
100a、200a、200a’ 太陽光積層組立体
110、210、310 太陽電池
111、211、311 第1面
112、212、312 第2面
121、221 第1フィルム
122、222、322 第2フィルム
131、231、331 第1封止層
132、232、332 第2封止層
133、333 第3封止層
134 第4封止層
141、241、341 第1ガラス
142、242、342 第2ガラス
231a、232a、331a 第1層
231b、232b、331b 第2層
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8A
図8B
図8C
図9
図10A
図10B
図10C
図11A
図11B
図11C
図12
図13