(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の利点及び特徴、そして、それらを達成する方法は、後述する実施例を参照すると明らかになるであろう。しかし、本発明は、以下に開示される実施例に限定されるものではなく、互いに異なる様々な形態で実現可能であり、単に本実施例は、本発明の開示が完全になるようにし、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものであり、本発明は、請求項の範疇によって定義されるだけである。明細書全体において同一の参照符号は同一の構成要素を指す。
【0011】
図面において、複数の層及び領域を明確に表現するために厚さを拡大して示した。そして、図面において、説明の便宜のため、一部の層及び領域の厚さを誇張して示した。
【0012】
また、本明細書において、層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「上に」又は「上部に」あるとするとき、これは、他の部分の「真上に」ある場合のみならず、それらの間に他の部分が位置する場合も含む。反対に、ある部分が他の部分の「真上に」あるとするときは、それらの間に他の部分が位置しないことを意味する。なお、層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「下に」又は「下部に」あるとするとき、これは、他の部分の「真下に」ある場合のみならず、それらの間に他の部分が位置する場合も含む。反対に、ある部分が他の部分の「真下に」あるとするときは、それらの間に他の部分が位置しないことを意味する。
【0013】
次に、
図1乃至
図3を参照して、本発明のいくつかの実施例に係る太陽電池100を説明する。
【0014】
図1は、本発明のいくつかの実施例に係る太陽電池の前面図である。
【0015】
図2は、本発明のいくつかの実施例に係る太陽電池の断面図である。具体的には、
図2は、
図1のI−I線に沿って切断された断面図である。
【0016】
図3は、本発明のいくつかの実施例に係る第1電極ラインと第2電極ラインの断面を撮った写真である。具体的には、
図3Aは、第1電極ライン41の断面を撮った写真であり、点線はソルダー物質の侵入時の侵入経路を示したものである。
図3Bは、第2電極ライン42の断面を撮った写真であり、点線はソルダー物質の侵入時の侵入経路を示したものである。
【0017】
図1及び
図2を参照すると、本実施例に係る太陽電池100は、ベース領域10を含む半導体基板160と、半導体基板160の前面上に形成される第1パッシベーション膜52と、半導体基板160の後面上に形成される第2パッシベーション膜54と、半導体基板160の前面側で第1パッシベーション膜52上に形成される第1導電型領域20と、半導体基板160の後面側で第2パッシベーション膜54上に形成される第2導電型領域30と、第1導電型領域20に電気的に接続される第1透明電極層60、第1電極ライン41及び第2電極ライン42と、第2導電型領域30に電気的に接続される第2透明電極層70、第3電極ライン43及び第4電極ライン44とを含むことができる。
【0018】
但し、太陽電池100の構成は、前記記載及び図面に限定されるものではなく、通常の技術者が容易に設計変更できる範囲まで含むことができる。例えば、各膜の積層順序が変更されたり、新たな膜をさらに含んだりしてもよい。
【0019】
本発明の一実施例の場合、第1電極ライン41及び第2電極ライン42のそれぞれに関する説明は、極めて類似の部分である第3電極ライン43及び第4電極ライン44のそれぞれにそのまま適用できるので、第1電極ライン41及び第2電極ライン42を中心に説明する。
【0020】
本発明の一実施例の場合、第1電極ライン41と第2電極ライン42の構成を異ならせ、各構成の組み合わせ比率及び各構成の大きさの差を制御して、優れた太陽電池効率を維持すると同時に、ソルダー物質の侵入を防止して太陽電池100の耐久性及び信頼性を向上させることができる。
【0021】
具体的には、第1方向に延びる第1電極ライン41は、第1平均直径を有する球状の第1粒子411を含み、第2方向に延びる第2電極ライン42は、第1粒子411、及び第1平均直径と異なる第2平均直径を有する非球状の第2粒子422を含む。
【0022】
すなわち、本発明の一実施例に係る太陽電池100は、第1電極ライン41が、相対的に小さい第1平均直径を有する第1粒子411を含むことによって、電気的特性に優れるため、キャリア収集能力を向上させることができ、その結果、優れた太陽電池効率を維持することができる。
【0023】
第2電極ライン42は、第1粒子411、及び第1平均直径よりも相対的に大きい第2平均直径を有する非球状の第2粒子422を含むことによって、第2電極ライン42は、相対的に小さい球状の第1粒子411と相対的に大きい非球状の第2粒子422とが混合されている形状であり、その結果、ソルダー物質の侵入経路を複雑にすることによって、第2電極の接着力の低下を効果的に防止する。
【0024】
以下で、第1電極及び第2電極のそれぞれについてさらに詳細に説明する。
【0025】
再び
図1及び
図2を参照すると、第1電極ライン41は、第1導電型領域上に配置され、第1方向に延びることができる。
【0026】
具体的には、複数の第1電極ライン41は、均一な幅及びピッチを有して互いに離隔することができ、第1方向に延びる複数個の第1電極ライン41のそれぞれは、途中の断線なしに連続的に第1方向に連結されているか、または途中に一定の間隔で断線されて第1方向に延びることができる。
【0027】
例えば、
図5Aを参照すると、複数個の第1電極ライン41は、途中の断線なしに第1方向に連続的に延びており、第2電極ライン42が、途中の断線なしに延びた第1電極ライン41上に配置され得る。
【0028】
他の例として、
図5Bを参照すると、複数個の第1電極ライン41は、第2電極ライン42が配置される領域に対応して途中で断線されて離隔した状態で配置されてもよく、第2電極ライン42は、第1電極ライン41が断線されて離隔した領域上に配置されてもよい。但し、本願発明の明細書において、第2電極ライン42が、第1電極ライン41が断線されて離隔した領域上に位置することは、厳密には第1電極ライン41とオーバーラップする部分が物理的に全くないというものではなく、第2電極ライン42が配置される部分と第1電極ライン41とのオーバーラップ部分がほとんどなく、工程上、第1電極ライン41の末端と第2電極ライン42の一部とがオーバーラップする場合まで含むものである。
【0029】
さらに、図面では、第1電極ライン41が、第1方向に互いに並んで形成されて、太陽電池100のメイン縁部と平行な場合を例示したが、本発明がこれに限定されるものではなく、通常の技術者が容易に設計変更できる範囲まで含むことができる。
【0030】
第1電極ライン41は、第1平均直径を有する球状の第1粒子411を含む。第1粒子が球状である場合、第1平均直径の具現が容易であり、第1電極の形成時に充填率を高め、接触抵抗を減少させて、キャリア収集効率が増加して第1電極ライン41の電気的特性を向上させることができる。
【0031】
本明細書において、球状の粒子とは、粉砕によって形成された粒子が尖った粒子表面を有することに対比される表現であって、必ずしも完全な球状を意味するものではなく、一般的に粒子の集合体としての粉末の次元で個々の粒子に対して球状と称するときに包括できるレベルをすべて含む概念として理解しなければならない。
【0032】
さらに、第1粒子411の第1平均直径は、約200nm〜約400nmであってもよい。
【0033】
本明細書において、平均直径とは、複数個の粒子に対して各粒子を横切る任意の平面による各粒子の断面において、最も長い長軸の長さの平均を意味する。
【0034】
第1粒子411の第1平均直径が前記範囲を維持することによって接触抵抗を減少させて、キャリア収集効率が増加して優れた電気的特性を効果的に達成することができる。第1粒子411の第1平均直径が200nm未満である場合、生産コストが増加することがある。第1平均直径が400nmを超える場合、第1電極ライン41の充填率が低下し、接触抵抗が増加して太陽電池の効率が減少することがある。
【0035】
第2電極ライン42は、第1導電型領域上に配置され、第1方向と異なる第2方向(例えば、直交)に延びることができる。複数個の第2電極ライン42は、同じ第2方向に延びる後述する配線材が各第2電極ライン42に対応して結合することによって、他の太陽電池と電気的に接続されるようにする。
【0036】
第2電極ライン42は、第1粒子411だけでなく、第1平均直径と異なる第2平均直径を有する非球状の第2粒子422を含むことができる。すなわち、第2電極ライン42は、大きさの異なる2つの粒子を含むことができる。
【0037】
具体的には、第2粒子422は非球状であってもよい。本明細書において、非球状とは、幾何学的に直径の長さが一定の球を除いた全ての形状を含む概念として理解しなければならない。第2電極は、球状の第1粒子411及び非球状の第2粒子422を含むことによって、充填率を効果的に向上させることができ、第2粒子422の表面積を増加させて、後述するソルダー物質の侵入防止効果を極大化することができる。
【0038】
例えば、本実施例において、非球状の第2粒子422はフレーク(flake)状を含むことができる。
【0039】
第2粒子422の第2平均直径は、約1μm〜約10μmであってもよい。
【0040】
第2粒子422は、非球状であると同時に、前記第2平均直径を維持することによって、第1粒子411と共に第2電極ライン42の充填率を効果的に増加させることができ、第2粒子422の表面積を向上させて、ソルダー物質の侵入を効果的に減少させることができる。第2粒子422の第2平均直径が約1μm未満である場合、ソルダー物質の侵入防止効果が低下することがある。第2粒子422の第2平均直径が約10umを超える場合、第2電極ライン42の充填率が低下することがあり、第2電極ライン42の耐久性及び接着力が減少することがある。
【0041】
以下で、第2電極ライン42のソルダー物質の侵入防止効果について詳細に説明する。
【0042】
前述したように、複数個の第2電極ライン42のそれぞれは、第2電極ライン42と同じ第2方向に延びる複数個の配線材のそれぞれと対応して接合することによって、複数個の太陽電池が電気的に接続され得る。具体的には、配線材は第2電極上に配置され、配線材は導電性のコア層及びコア層を覆うソルダー層を含むことができ、ソルダー層が第2電極ライン42と接合することによって、配線材と太陽電池100が電気的に接続されることになる。但し、ソルダー層を構成するソルダー物質は、第2電極ライン42と接合する過程で、第2電極ライン42に浸透するようになり、第2電極ライン42と他の物質層がなす界面にまでソルダー物質が移動してしまい、第2電極ライン42の接着力を減少させることがある。そこで、本実施例では、第2電極ライン42の構成物質及び構成物質間の比率を制御することによって、ソルダー物質の浸透を効果的に防止することができる。
【0043】
図3A及び
図3Bを参照すると、第1平均直径を有する第1粒子411を含む第1電極ライン41に比べて、第1粒子411及び相対的に大きい第2平均直径を有する第2粒子422を共に含むことによって、ソルダー物質の侵入経路を複雑にして、効果的にソルダー物質の浸透を防止することができる。
【0044】
具体的には、ソルダー層が第2電極ライン42と接合する場合、ソルダー層を構成するソルダー物質は第2電極ライン42に浸透するようになり、このとき、ソルダー物質は、第2電極ライン42に含まれた第1粒子411及び第2粒子422の表面に沿って、外部から第2電極ライン42の界面に向かって浸透するようになる。すなわち、ソルダー物質の浸透経路が直線に近いほど、ソルダー物質の移動経路が短くなり、容易に第2電極ライン42の界面に浸透し得る。
【0045】
再び
図3Aを参照すると、第2電極ライン42が、第1電極ライン41のように相対的に小さい第1平均直径を有する球状の第1粒子411を含み、第2粒子422を含まない場合、球状の各第1粒子411の表面が互いに接しているため、ソルダー物質の浸透経路(点線)が直線に近くなり、ソルダー物質の侵入が容易となり、その結果、第2電極ライン42の接着力は弱くなることがある。
【0046】
これに反して、再び
図3Bを参照すると、第2電極ライン42が、前述したように、第1粒子411、及び相対的に大きい第2平均直径を有する非球状の第2粒子422を共に含む場合、第2粒子422と第1粒子411が第2電極ライン42に適切に充填され、第2粒子422の表面積が大きいため、ソルダー物質の浸透経路(点線)が直線に近くならず、第2粒子422の表面に沿って大小の屈曲を形成して曲線をなすようになるため、ソルダー物質の移動距離が増加し、その結果、第2電極ライン42の接着力の減少を効果的に防止できるようになる。
【0047】
第2電極のソルダー物質の侵入防止効果は、第1粒子411と第2粒子422の混合比率、及び第1粒子411に対し第2粒子422の大きさの制御を通じて極大化することができる。
【0048】
具体的には、第2粒子422の体積は、第1粒子411の体積の約100倍〜約50000であってもよい。
【0049】
第2粒子422の体積が第1粒子411の体積に対して前記範囲を維持することによって、適切なレベルの充填率を具現すると同時に、ソルダー物質の侵入を効果的に防止することができる。第2粒子422の体積が第1粒子411の体積の100倍未満である場合、ソルダー物質の浸透経路を増加させる効果が実質的に弱くなることがある。第2粒子422の体積が第1粒子411の体積の50000倍を超える場合、第2粒子422が過度に大きいため、工程上、第2電極ライン42の形成が難しくなることがあり、第2電極ライン42に第2粒子422を適切なレベルで含ませることができないため、ソルダー物質の浸透経路を増加させる効果が低減することがある。
【0050】
さらに、第2電極ライン42に含まれた第1粒子411全体と第2粒子422全体との体積比が約3:7〜約7:3であってもよい。第2電極ライン42に含まれた第1粒子411全体と第2粒子422全体との体積比が前記範囲を維持することによって、第2電極ライン42の充填率が適切なレベルを維持しながら、第2粒子422によるソルダー物質の浸透経路の増加効果を容易に具現することができる。
【0051】
第2電極ライン42に含まれた第1粒子411全体と第2粒子422全体との体積比が前記範囲を外れる場合、充填率が減少して、ソルダーの浸透防止の効果が弱くなることがある。
【0052】
本実施例において、前述したように、第1電極ライン41は、適切なキャリア収集効率を維持して優れた太陽電池効率を具現し、第2電極ライン42は、ソルダー物質の浸透を防止して太陽電池100の優れた耐久性及び信頼性を維持させる。
【0053】
第2電極ライン42は、第1粒子411及び第2粒子422を含む第2組成物を硬化させて形成することができる。具体的には、本実施例において、配線材又はソルダー層に接合される第2金属ラインを形成する第2組成物は、ソルダー物質の浸透を防止すると共に、低温焼成(一例として、300℃以下の工程温度の焼成)によって焼成可能な物質を含むことができる。
【0054】
一例として、第2組成物は、一定の金属化合物(一例として、酸素を含む酸化物、炭素を含む炭化物、硫黄を含む硫化物)などで構成されるガラスフリット(glass frit)を備えず、第1粒子411及び第2粒子422とバインダーBを含み、その他に、他の樹脂(一例として、硬化剤、添加剤)のみを含むことができる。
【0055】
但し、第2組成物の構成は、前記記載に限定されるものではなく、通常の技術者が本発明の目的に合わせて容易に設計変更できる範囲まで含むことができる。
【0056】
本発明のいくつかの実施例では、第2金属ラインが第1透明電極層60に接触して形成され得るので、絶縁膜などを貫通するファイヤースルー(fire−through)が要求されない。これによって、第2金属ラインは、ガラスフリットを除去した第2組成物を塗布(一例として、印刷)した後、これを熱処理によって硬化させて形成することができる。
【0057】
このように、第2組成物がガラスフリットを備えないと、第2金属ラインの金属が焼結(sintering)されるものではなく、互いに接触して凝集(aggregation)して単に硬化(curing)されることによって伝導性を有するようになる。
【0058】
このように、単に硬化されることによって形成された第2金属ラインは、第1粒子411と第2粒子422との間の一部をバインダーBが満たし、残りの一部に空隙vが残存し得る。
【0059】
第1粒子411及び第2粒子422は、導電性を提供する様々な物質を含むことができる。一例として、金属粒子は、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、または銀又は錫(Sn)コーティングされた銀、アルミニウム、銅粒子を単独でまたは2つ以上混合して使用することができ、例えば、第1粒子411及び第2粒子422は、同じ伝導性物質を含むことができる。
【0060】
バインダーBは、金属間の架橋(cross linking)を行って第2金属ラインを形成できるようにすると同時に、ソルダー物質が第2金属ラインの内部に浸透することを防止することができる。本実施例とは異なり、バインダーBを含まないと、ソルダー物質が第2金属ラインの内部に浸透して脆性(brittle)を有するようになり、第2金属ラインが小さな衝撃などによって容易に割れるだけでなく、第2金属ラインの界面にソルダー物質が浸透してしまい、第2金属ラインの接着力を減少させることがある。
【0061】
すなわち、第2組成物に含まれたバインダーBは、第1粒子411と第2粒子422との間を満たし、第1粒子411及び第2粒子422と共に、ソルダー物質の浸透を防止することができる。
【0062】
さらに、第2組成物は、構成物質の比率を制御してソルダー物質の浸透防止効果を極大化することができる。
【0063】
具体的には、第2組成物は、第2組成物100重量部に対して、バインダーBを約15重量部〜40重量部含むことができる。第2組成物に含まれたバインダーBが前記範囲を維持することによって、ソルダー物質の浸透を減少させると同時に、第2電極ライン42が優れた接着力を具現することができ、適切なレベルの機械的物性を満足させることができる。
【0064】
第2組成物に含まれたバインダーBが約15重量部未満である場合、第2電極ライン42の接着力及びソルダー物質の浸透防止効果が減少することがある。第2組成物に含まれたバインダーBが約40重量部を超える場合、第2電極ライン42の機械的物性及び電気的特性が低下することがある。
【0065】
それだけでなく、第2組成物は、第2組成物100重量部に対して、第2組成物に含まれた第1粒子411及び第2粒子422が約60重量部〜約85重量部であってもよい。第2組成物に含まれた第1粒子411及び第2粒子422が前記範囲を維持することによって、適切なレベルの充填率及びソルダー物質の浸透防止効果を具現することができる。第2組成物に含まれた第1粒子411及び第2粒子422が約60重量部未満である場合、第2電極ライン42の機械的物性及び電気的特性が低下することがあり、目的としたレベルのソルダー物質の浸透防止効果を具現しにくい。第2組成物に含まれた第1粒子411及び第2粒子422が約85重量部を超える場合、第2電極ライン42の接着力及び充填率が減少することがある。
【0066】
さらに、第2組成物は、粘度が約200Pa・s〜約300Pa・sであってもよい。第2組成物の粘度が前記範囲を維持することによって、後述するパッド部420の形成が容易であり、第2組成物に含まれた第1粒子411及び第2粒子422の分散性を向上させることができる。
【0067】
すなわち、第2組成物に含まれたバインダーBと第1粒子411及び第2粒子422、及び第2組成物の粘度を共に制御することによって、適切な電気的特性及び機械的物性を維持すると同時に、優れたソルダー物質の浸透防止効果を具現することができる。
【0068】
第1電極ライン41は、第1粒子411を含む第1組成物を硬化させて形成することができ、後述する第1組成物の特徴以外には、第2組成物の説明をそのまま適用できるので、相違点を中心に説明する。
【0069】
第1組成物は、第2組成物とは異なり、第2粒子422を含まずに第1粒子411を含み、第1組成物は、第1組成物100重量部に対して、第1組成物に含まれた第1粒子411を約85重量部〜約95重量部含むことができる。第1組成物が第1粒子411を前記範囲だけ含むことによって、優れた電気的特性を具現することができる。第1組成物に含まれた第1粒子411が約85重量部未満である場合、電気的特性が低下し、機械的物性が減少することがある。第1組成物に含まれた第1粒子411が約95重量部を超える場合、第1電極の接着力が低下することがある。
【0070】
さらに、第1組成物は、第1組成物100重量部に対して、第1組成物に含まれたバインダーBが約5重量部〜15重量部であってもよい。第1組成物に含まれたバインダーBが前記範囲を維持することによって、第1電極ライン41が適切なレベルの接着力、機械的物性及び電気的特性を具現することができる。第1組成物に含まれたバインダーBが約5重量部未満である場合、第1電極ライン41の接着力が低下することがある。第1組成物に含まれたバインダーBが約15重量部を超える場合、第1電極ライン41の電気的特性及び機械的物性が低下することがある。
【0071】
それだけでなく、第1組成物は、粘度が約500Pa・s〜約700Pa・sであってもよい。第1組成物の粘度が第2組成物の粘度よりも相対的に高い前記範囲を維持することによって、狭い幅の第1電極ライン41を容易に形成して、受光面積の減少を最小化することができる。
【0072】
すなわち、第1組成物に含まれたバインダーBと第1粒子411の比率及び第1組成物の粘度を共に制御することによって、優れた電気的特性を具現すると同時に、適切なレベルの機械的物性を維持することができる。
【0073】
第2組成物が硬化して形成された第2電極ライン42は、複数個のパッド部420、及び複数個のパッド部420の間でパッド部420の幅W1よりも小さい幅を有するライン部421を含むことができる。ライン部421によって、パッド部420が切れずに連続的に形成され得る。
【0074】
前記パッド部420及びライン部421についての説明は、これと類似の第4電極ライン44に含まれた後面パッド部440及び後面ライン部441のそれぞれにそのまま適用することができる。
【0075】
狭い幅のライン部421によって、太陽電池100に入射する光を防ぐ面積を最小化することができ、ライン部421は、複数の第1電極ライン41が接続されて、一部の第1電極ライン41が断線される場合にキャリアが迂回できる経路を提供することができる。
【0076】
具体的には、一例として、第2電極ライン42と配線材が互いに接続又は接合する部分であるパッド部420は、配線材の直径よりも広い幅を有することができる。パッド部420は、ライン部421及び配線材に比べて相対的に広い幅を有することで、配線材が安定に付着できるようにし、接触抵抗を低減することができる。
【0077】
再び
図1及び
図2を参照すると、第2電極ライン42は、第1方向に延びている第1電極ライン41と交差して第2方向に延びることができる。
【0078】
例えば、第1電極ライン41と第2電極ライン42は互いに直交して配置されてもよく、さらに、第2電極ライン42の一部が第1電極ライン41上に配置されてもよく、第2電極ライン42の幅W1,W2は、第1電極ライン41の幅W3よりも大きくてもよい。したがって、第1電極ライン41と第2電極ライン42が互いにオーバーラップ(overlap)する部分は、第1電極ライン41上に第2電極ライン42が積層されている形状であってもよく、第1電極ライン41は、連続した形状又は一定の間隔で離隔した形状であってもよい。
【0079】
したがって、第2電極ライン42の一部は第1電極ライン41上に配置され、他の一部は第1電極ライン41上に配置されなくてもよいが、第2電極ライン42の上面は同一平面上に配置され得る。すなわち、第1電極ライン41上に配置された第2電極ライン42の部分の厚さが、第1電極ライン41上に配置されていない第2電極ライン42の部分の厚さよりも薄くてもよい。
【0080】
第2電極ライン42の上面が同一平面上に配置されることによって、配線材が第2電極ライン42と接合する場合にも安定に同一平面上で接合されて、配線材と太陽電池100との信頼度の高い優れた接着力を具現することができる。
【0081】
以下で、本実施例に係る太陽電池100に含まれる他の構成についてさらに詳細に説明する。
【0082】
再び
図2を参照すると、半導体基板160は、ベースドーパントである第1又は第2導電型ドーパントが低いドーピング濃度でドープされて第1又は第2導電型を有する結晶質半導体で構成され得る。一例として、半導体基板160は、単結晶又は多結晶半導体(一例として、単結晶又は多結晶シリコン)で構成されてもよい。特に、半導体基板160は、単結晶半導体(例えば、単結晶半導体ウエハ、より具体的には、単結晶シリコンウエハ)で構成され得る。このように、高い結晶性を有し、欠陥の少ない半導体基板160をベースとするため、太陽電池100が優れた電気的特性を有することができる。このとき、本実施例では、半導体基板160は、追加的なドーピングなどによって形成されるドーピング領域を備えないベース領域10のみで構成され得る。これによって、ドーピング領域による半導体基板160のパッシベーション特性の低下を防止することができる。
【0083】
半導体基板160の前面及び/又は後面は、反射を防止できるように、テクスチャリング(texturing)による凹凸を有することができる。一例として、凹凸は、特定の結晶面で構成されてもよい。例えば、(111)面である4つの外面によって形成される略ピラミッド形状を有することができる。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、半導体基板160の表面に凹凸が形成されなくてもよい。
【0084】
半導体基板160の前面上には第1パッシベーション膜52が形成(一例として、接触)され、半導体基板160の後面上には第2パッシベーション膜54が形成(一例として、接触)される。これによって、パッシベーション特性を向上させることができる。一例として、第1及び第2パッシベーション膜52,54が真性非晶質半導体(例えば、真性非晶質シリコン(i−a−Si))層からなることができる。すると、第1及び第2パッシベーション膜52,54が半導体基板160と同じ半導体物質を含むことで、類似の特性を有するため、パッシベーション特性をさらに効果的に向上させることができる。これによって、パッシベーション特性を大幅に向上させることができる。しかし、本発明がこれに限定されるものではない。したがって、第1及び/又は第2パッシベーション膜52,54が真性非晶質シリコン炭化物(i−a−SiCx)層又は真性非晶質シリコン酸化物(i−a−SiOx)層を含むこともできる。これによれば、広いエネルギーバンドギャップによる効果が向上することができるが、パッシベーション特性は、真性非晶質シリコン(i−a−Si)層を含む場合よりも多少低くなり得る。
【0085】
第1パッシベーション膜52上には、第1導電型ドーパントを含むか又は第1導電型を有し、半導体基板160よりも高いドーピング濃度を有する第1導電型領域20が位置(一例として、接触)し得る。そして、第2パッシベーション膜54上には、第1導電型と反対の第2導電型を有する第2導電型ドーパントを含むか又は第2導電型を有する第2導電型領域30が位置(一例として、接触)し得る。第1及び第2パッシベーション膜52,54がそれぞれ第1及び第2導電型領域20,30に接触すると、キャリア伝達経路を短縮し、構造を単純化することができる。
【0086】
第1導電型領域20及び第2導電型領域30が半導体基板160と別個に形成されるため、半導体基板160上で容易に形成され得るように、半導体基板160と異なる物質及び/又は結晶構造を有することができる。
【0087】
例えば、第1導電型領域20及び第2導電型領域30のそれぞれは、蒸着などの様々な方法により容易に製造できる非晶質半導体などに第1又は第2導電型ドーパントをドープして形成されてもよい。すると、第1導電型領域20及び第2導電型領域30を簡単な工程により容易に形成することができる。
【0088】
このとき、半導体基板160が第1導電型を有することができる。すると、第1導電型領域20が、半導体基板160と同じ導電型を有しながら、高いドーピング濃度を有する前面電界領域を構成し、第2導電型領域30が、半導体基板160と反対の導電型を有してエミッタ領域を構成することができる。すると、エミッタ領域である第2導電型領域30が半導体基板160の後面に位置して、前面への光吸収を妨げずに位置するため、相対的に厚く形成することができる。そして、前面電界領域である第1導電型領域20は、光電変換に直接関与せず、半導体基板160の前面に位置して前面への光吸収に関係するため、相対的に薄く形成することができる。これによって、第1導電型領域20による光損失を最小化することができる。
【0089】
第1又は第2導電型ドーパントとして使用されるp型ドーパントとしては、ボロン(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)などの3族元素を挙げることができ、n型ドーパントとしては、リン(P)、ヒ素(As)、ビスマス(Bi)、アンチモン(Sb)などの5族元素を挙げることができる。その他にも、様々なドーパントが第1又は第2導電型ドーパントとして使用されてもよい。
【0090】
一例として、半導体基板160及び第1導電型領域20がn型を有することができ、第2導電型領域30がp型を有することができる。これによれば、半導体基板160がn型を有することによって、キャリアの寿命(life time)に優れる。一例として、半導体基板160及び第1導電型領域20がn型ドーパントとしてリン(P)を含むことができ、第2導電型領域30がp型ドーパントとしてボロン(B)を含むことができる。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、第1導電型がp型であり、第2導電型がn型であってもよい。
【0091】
本実施例において、第1導電型領域20及び第2導電型領域30は、それぞれ非晶質シリコン(a−Si)層、非晶質シリコン酸化物(a−SiOx)層、非晶質シリコン炭化物(a−SiCx)層、インジウム−ガリウム−亜鉛酸化物(indium−gallium−zinc oxide、IGZO)層、チタン酸化物(TiOx)層、及びモリブデン酸化物(MoOx)層のうち少なくとも1つを含むことができる。このとき、非晶質シリコン(a−Si)層、非晶質シリコン酸化物(a−SiOx)層、非晶質シリコン炭化物(a−SiCx)層は、第1又は第2導電型ドーパントでドープされてもよい。インジウム−ガリウム−亜鉛酸化物層、チタン酸化物層及びモリブデン酸化物層は、ドーパントなしに、それ自体で電子又は正孔を選択的に収集してn型又はp型導電型領域と同じ役割を果たすことができる。一例として、第1及び第2導電型領域20,30が非晶質シリコン層を含むことができる。これによれば、第1及び第2導電型領域20,30が半導体基板160と同じ半導体物質(すなわち、シリコン)を含むことによって、半導体基板160と類似の特性を有することができる。これによって、キャリアの移動がさらに効果的に行われ、安定した構造を具現することができる。
【0092】
第1導電型領域20上には、これに電気的に接続される第1透明電極層60、第1電極ライン41及び第2電極ライン42が位置(一例として、接触)し、第2導電型領域30上には、これに電気的に接続される第2透明電極層70、第3電極ライン43及び第4電極ライン44が位置(一例として、接触)する。
【0093】
ここで、第1透明電極層60は、第1導電型領域20上で全体的に形成(一例として、接触)され得る。全体的に形成されるということは、空き空間又は空き領域なしに第1導電型領域20の全体を覆う場合だけでなく、不可避的に一部の領域には形成されない場合も含むことができる。
【0094】
このように、第1透明電極層60が第1導電型領域20上に全体的に形成されるため、光を透過できる物質(透過性物質)で構成され得る。一例として、第1透明電極層60は、インジウムスズ酸化物(indium tin oxide、ITO)、アルミニウム亜鉛酸化物(aluminum zinc oxide、AZO)、ボロン亜鉛酸化物(boron zinc oxide、BZO)、インジウムタングステン酸化物(indium tungsten oxide、IWO)、チタンタンタルドープされたインジウム酸化物(Titanium−Tantalum−doped indium oxide)及びインジウムセシウム酸化物(indium cesium oxide、ICO)のうち少なくとも1つを含むことができる。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、第1透明電極層60は、その他の様々な物質を含むことができる。
【0095】
このとき、本実施例の第1透明電極層60は、上述した物質を主要物質としながら、水素を含むことができる。このように、第1透明電極層60が水素を含むと、電子又は正孔の移動度(mobility)を改善することができ、透過度を向上させることができる。
【0096】
さらに、第1透明電極層60上に、パターンを有する第1電極ライン41及び第2電極ライン42が形成されてもよい。しかし、本発明がこれに限定されるものではない。
【0097】
次いで、
図4を参照して、本発明のいくつかの実施例に係る太陽電池200を詳細に説明する。本実施例に係る太陽電池200は、
図1乃至
図3を通じて説明した太陽電池100と比較して、第2電極ライン242が多層構造であることを除いては、実質的に同一である。したがって、詳細な説明を省略し、互いに異なる部分についてのみ詳細に説明する。そして、上述した実施例又はそれを変形した例と、以下の実施例又はそれを変形した例とを互いに結合したものもまた、本発明の範囲に属する。
【0098】
図4は、本発明のいくつかの実施例に係る太陽電池200の断面を示した断面図である。
図4を参照すると、第2電極ライン242は多層構造であり、各層別に第1粒子411対第2粒子422の構成比が異なっていてもよい。第4電極ライン244は、第2電極ライン242の説明をそのまま適用することができる。
【0099】
具体的には、第2電極ライン242の多層構造において、第1導電型領域から遠ざかるほど第2粒子422の比率が高くなってもよい。すなわち、第2電極ライン242の下層部に比べて第2電極ライン242の上層部に、相対的に大きい第2平均直径を有する非球状の第2粒子422がさらに多く含まれて、ソルダー物質の浸透経路を効果的に増加させることができるので、ソルダー物質の浸透防止効果を極大化することができる。
【0100】
本実施例において、第2電極ライン242は、複数のプリンティングを通じて多層構造を形成することができる。例えば、第2組成物を1次、2次及び3次に亘ってプリンティングすることができ、各次数が高くなるほど、第1粒子411に対する第2粒子422の体積比が増加するように制御して、第1導電型領域から遠ざかるほど第2粒子422の構成比が増加する多層構造の第2電極ライン42を形成することができる。
【0101】
上述したような特徴、構造、効果などは、本発明の少なくとも一つの実施例に含まれ、必ずしも一つの実施例にのみ限定されるものではない。さらに、各実施例で例示した特徴、構造、効果などは、実施例の属する分野における通常の知識を有する者によって、他の実施例に対しても組み合わせ又は変形して実施可能である。したがって、このような組み合わせ及び変形に係わる内容は、本発明の範囲に含まれるものと解釈されるべきである。