(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態(以下、「実施形態」と略記する。)について、詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
【0016】
(抵抗器の製造方法)
本実施形態の抵抗器の製造方法に関し、図面を用いながら以下、製造工程順に説明する。
【0017】
図1A及び、
図1Bに示す工程では、抵抗体2と、複数の電極板3とを用意する。抵抗体2及び電極板3は、平板状や帯状である。
図1Aに示す実施形態では、抵抗体2及び電極板3は、共に帯状で形成されている。
【0018】
図1A及び、
図1Bに示す工程では、抵抗体2の両側に電極板3を、例えば、レーザ溶接にて接合し接合体1を得る。なお、レーザ溶接は、一例であり、既存の接合方法を用いることができる。
図1Aに示すように、抵抗体2及び電極板3を接合してなる接合体1を帯状に形成することができる。このような接合体1を、ロール状に巻回し、生産ライン上に配置することで、以後の製造工程を自動処理して、本実施形態の抵抗器の製造を量産化することができる。
【0019】
本実施形態では、抵抗体2及び電極板3の厚みを限定するものではないが、例えば、抵抗体2を、数十μm〜数百μm程度の厚みで形成することができる。また、抵抗体2と電極板3は、ほぼ同じ厚みであってもよいし、厚みが異なっていてもよい。
【0020】
また、本実施形態では、抵抗体2及び電極板3の材質を限定するものでなく、既存の材質を用いることができる。例えば、抵抗体2には、銅−ニッケル、ニッケル−クロム等の金属抵抗材料や、絶縁基体の表面に金属皮膜を形成した構成、導電性セラミックス基体等を用いることができる。また、電極板3には、例えば、銅、銀、ニッケル、クロム等や、その複合材等を用いることができる。
【0021】
また、抵抗体2の両側に電極板3を接合する際、
図1Bに示すように、抵抗体2の端面と、電極板3の端面とを突き合わせて接合してもよいし、抵抗体2と電極板3の表面同士を一部重ねて接合してもよい。
【0022】
また、抵抗体2と電極板3とを一体形成してもよい。すなわち、抵抗体2と電極板3とを同じ材質として一枚の金属抵抗板で構成してもよい。或いは、金属抵抗板の電極板3となる領域に、低抵抗の金属材料をメッキ等して、金属抵抗板の表面に電極板3を構成してもよい。
【0023】
次に、
図2A及び、
図2Bに示す工程では、抵抗体2の表面に、未硬化の第1熱伝導層4を形成する。第1熱伝導層4は、熱伝導率が高い電気的絶縁性の熱硬化性樹脂であることが好ましい。第1熱伝導層4には、例えば、エポキシやポリイミド等の熱硬化性樹脂を用いることができる。
【0024】
未硬化の第1熱伝導層4は、フィルム状或いはペースト状である。フィルムであれば、未硬化の熱伝導性樹脂フィルムを抵抗体2の表面に貼り合せる。また、ペーストであれば、未硬化の熱伝導性樹脂ペーストを抵抗体2の表面に塗布や印刷する。或いは、インクジェット法を用いて第1熱伝導層4を形成してもよい。
【0025】
本実施形態では、第1熱伝導層4の厚みを限定するものではないが、厚みは、完成品としての抵抗器の熱伝導性及び、抵抗体−電極板間の確実な固着化を考慮して任意に決めることができる。特に、本実施形態では、抵抗体と電極板間に挟まれる熱伝導層は2層以上となるため、層数も考慮して、第1熱伝導層4の厚みを調節することが好ましい。例えば、第1熱伝導層4の厚みは、20μm〜200μm程度であることが好ましい。
【0026】
ここで、「未硬化」とは、完全硬化していない状態のものを指す。より具体的には、硬化反応がほとんど進行しておらず、形成当初と同程度の流動性を有する状態や、購入品であれば出荷状態であって、完全硬化していない状態を指す。「硬化(完全硬化)」とは、分子同士の連結による高分子化の促進により、流動性を失った状態を指す。例えば、第1熱伝導層4が、熱伝導性樹脂フィルムであるとき、
図2Bに示すように、抵抗体2上に第1熱伝導層4を配置した後、前処理(仮圧着)を行うが、前処理した後の状態は、「未硬化」の状態であると定義される。すなわち、前処理では、短時間(例えば、数分程度)の加熱(印加温度以下)を行い、第1熱伝導層4を抵抗体2に接着(仮圧着)するが、この前処理における加熱後の状態は、依然として「未硬化」の状態である。
【0027】
また、第1熱伝導層4に、熱伝導性樹脂フィルムを用いた場合、第1熱伝導層4は、未硬化且つ固化した状態である。「固化」とは固体化した状態である。
【0028】
一方、第1熱伝導層4に、熱伝導性樹脂ペーストを用いた場合、第1熱伝導層4は、未硬化で未固化の状態である。「未固化」とは、固体成分の一部、或いは全部が溶媒に分散した状態で、いわゆるスラリーやインクを含む。
【0029】
本実施形態では、
図2Bのように、抵抗体2の表面にのみ第1熱伝導層4を形成してもよいが、
図2Cに示すように、抵抗体2の表面から電極板3の表面の全域にかけて第1熱伝導層4を形成してもよい。或いは、図示していないが、抵抗体2の表面から電極板3の表面の一部にかけて第1熱伝導層4を形成してもよい。又は、後述する製造工程で、電極板3を折り曲げるが、折り曲げ部以外の部分に第1熱伝導層4を形成することも出来る。すなわち、第1熱伝導層4を、抵抗体2と電極板3との境界位置を除いて、抵抗体2、及び電極板3の各表面に3分割して設けることも可能である。
【0030】
図2Cに示すように、抵抗体2の表面のみならず、電極板3の表面にも第1熱伝導層4を形成することで、第1熱伝導層4の形成を容易化することができる。例えば、第1熱伝導層4に、熱伝導性樹脂フィルムを用いた場合、
図2Cでは、抵抗体2に対する熱伝導性樹脂フィルムの位置決めが必要なく、抵抗体2及び電極板3を含む大きさの熱伝導性樹脂フィルムを、抵抗体2及び電極板3の表面に貼り合せればよい。或いは、第1熱伝導層4を熱伝導性樹脂ペーストとした場合、第1熱伝導層4を、抵抗体2及び電極板3の表面全域に塗布等すればよい。このように、抵抗体2の表面のみならず、電極板3の表面にも第1熱伝導層4を形成することで、製造工程を容易化することができる。
【0031】
次に、未硬化の第1熱伝導層4を加熱処理して完全に硬化させる。このとき、第1熱伝導層4が熱伝導性樹脂ペーストであれば固化及び硬化が促進される。完全硬化したか否かは、硬化度、粘度、熱処理条件等で判断することができる。硬化度は、例えば、示差走査熱量計を用いて測定したときの発熱量から算出される硬化度を用いることができる。完全硬化は、例えば、硬化度が70%以上、或いは、一般的にCステージと呼ばれる状態を指す。
【0032】
このように、未硬化の第1熱伝導層4を硬化させることで、後工程で電極板3を折り曲げる前に、第1熱伝導層4を抵抗体2の表面、或いは抵抗体2及び電極板3の表面に、膜厚変動しない状態の熱伝導層を確保することができる。
【0033】
第1熱伝導層4を完全硬化させるための熱処理条件を限定するものではないが、例えば、第1熱伝導層4に対して、150℃〜250℃程度の印加温度を、0.5時間〜2時間程度施すことが好ましい。なお、硬化に必要な印加温度及び印加時間は、第1熱伝導層4の材質にもよるため、例えば、第1熱伝導層4が購入品であれば、メーカで規定した印加温度及び印加時間に準じて、硬化条件を規定する。例えば、後述する実験の樹脂では、印加温度を、160℃から200℃程度とし、印加時間を70分から30分程度(印加温度が低いほど印加時間を長くする)として、適宜調節することができる。
【0034】
本実施形態では、
図2Bの次に、
図3Aに示すように、第1熱伝導層4の表面に、未硬化の第2熱伝導層5を積層する。或いは、
図2Cの次に、
図3Bに示すように、第1熱伝導層4の表面に、未硬化の第2熱伝導層5を積層する。
【0035】
本実施形態では、第2熱伝導層5には、第1熱伝導層4と同じ材質のものを用いてもよいし、異なる材質のものを用いてもよい。また、第2熱伝導層5は、熱伝導性樹脂フィルムであってもよいし、熱伝導性樹脂ペーストであってもよい。よって、第2熱伝導層5が、熱伝導性樹脂フィルムであるとき、第2熱伝導層5は、未硬化で固化した状態である。一方、第2熱伝導層5が、熱伝導性樹脂ペーストであるとき、第2熱伝導層5は、未硬化且つ未固化の状態である。
【0036】
一例であるが、第1熱伝導層4には、熱伝導性樹脂フィルムを用い、第2熱伝導層5には、熱伝導性樹脂フィルム、或いは熱伝導性樹脂ペーストを用いることができる。例えば、第1熱伝導層4と第2熱伝導層5とに同じ熱伝導性樹脂フィルムを用いることが、抵抗器の生産性を向上させることができ好適である。
【0037】
第1熱伝導層4と第2熱伝導層5とを重ねたときの合計厚みは、後述する工程で、電極板3を折り曲げた後、抵抗体2と電極板3間の間隔を所定範囲に収めるために、適切に調整される。
【0038】
第2熱伝導層5に熱伝導性樹脂フィルムを用いる場合、上記した前処理を施して、第2熱伝導層5を、第1熱伝導層4に固着する。
【0039】
完全硬化した第1熱伝導層4と、未硬化の第2熱伝導層5を有する接合体1から
図4Aに示すように、抵抗器中間体10を切り抜く。切り抜かれた抵抗器中間体10の斜視図を
図4Bに示す。
【0040】
図4Aに示す帯状の接合体1を長手方向に送り出しながら、長手方向に沿って、複数の抵抗器中間体10を連続的にプレス機にて切り抜くことができる。これにより、抵抗器中間体10を短時間の間に多く形成でき、量産化を図ることができる。
【0041】
抵抗器中間体10は、外形が矩形状の抵抗体2と、その両側に外形が矩形状の電極板3とを有して構成される。なお、
図4Bに示す抵抗器中間体10の外形は、あくまでも一例である。抵抗器中間体10の外形は、
図4B以外の形状であってもよい。
【0042】
次に、
図5では、抵抗調整のために、抵抗体2に複数の切欠き6を入れて、抵抗体2をミアンダパターンに形成する。切欠き6の長さ、位置、本数に関しては、抵抗体2が所定の抵抗値となるように適宜調節することができる。
図5の工程は、必要に応じて行われる。
【0043】
次に、
図6Aに示すように、電極板3を抵抗体2の第1熱伝導層4及び第2熱伝導層5が積層された側に折り曲げる。
図6Aでは、抵抗体2の下面側に第1熱伝導層4及び第2熱伝導層5が形成されているので、電極板3を下方に折り曲げている。なお、
図6B及び
図6Cは、抵抗器11の断面を示しているが、
図6B及び
図6Cの抵抗体2に現れる切欠き6は不図示とした。また、抵抗体2、電極板3及び熱伝導層4の厚み、長さの寸法比について、
図3A及び
図3Bと、
図6B及び
図6Cでは異なるが、互いに誇張して図示しているだけであり、物としては同じものである。
【0044】
図6A及び
図6Bに示すように、折り曲げられた電極板3は、抵抗体2の下方で、第1熱伝導層4及び第2熱伝導層5を介して対向する。
図6Bは、
図3Aのように、抵抗体2の表面に第1熱伝導層4及び第2熱伝導層5を積層した抵抗器中間体を用いて、電極板3を折り曲げた構成である。したがって、抵抗体2と、折り曲げられた電極板3との間には、第1熱伝導層4と第2熱伝導層5とが一層ずつ介在する。
【0045】
一方、
図6Cは、
図3Bに示すように、抵抗体2の表面から電極板3の表面にかけて第1熱伝導層4及び第2熱伝導層5を積層した抵抗器中間体を用いて、電極板3を折り曲げた構成である。したがって、抵抗体2と、折り曲げられた電極板3との間には、第1熱伝導層4と第2熱伝導層5とが二層ずつ介在する。
図6Cでは、電極板3が対向しない抵抗体2の中央部分では、第1熱伝導層4と第2熱伝導層5とが一層ずつ積層されている。
【0046】
第2熱伝導層5は未硬化の状態であるため、加熱処理して、第2熱伝導層5を完全に硬化させる。「完全硬化」については、上述したので、そちらを参照されたい。
【0047】
本実施形態では、折り曲げた電極板3に抵抗体2方向への圧力を加えながら、第2熱伝導層5を完全に硬化させることが好ましい。すなわち、
図6Bでは、折り曲げた電極板3を第2熱伝導層5に接触させた状態で圧力を加えつつ、加熱処理して、第2熱伝導層5を硬化させる。
図6Cでは、折り曲げた電極板3の内側に位置する第1熱伝導層4及び第2熱伝導層5を、抵抗体2の下面に位置する第1熱伝導層4及び第2熱伝導層5と重ねた状態で圧力を加えつつ、加熱処理して、第2熱伝導層5を完全に硬化させる。これにより、抵抗体2と電極板3との間を確実に、第1熱伝導層4及び第2熱伝導層5を介して接着固定することができる。
【0048】
続いて、
図7Aの工程では、抵抗体2の表面に保護層7をモールド成形する。保護層7は、耐熱性及び電気的絶縁性に優れる材質で形成されることが好ましい。保護層7の材質を限定するものではないが、樹脂、ガラス、無機材等を用いて保護層7をモールド成形することができる。
図7Bや
図7Cに示すように、保護層7は、抵抗体2の表面を覆う表面保護層7aと、抵抗体2の下面側で折り曲げられた電極板3間の空間を埋める底面保護層7bと、を有して構成される。
図7B及び
図7Cに示すように、底面保護層7bと電極板3とはほぼ同一底面を形成している。なお、
図7Bは、
図6Bの次の工程を示し、
図7Cは、
図6Cの次の工程を示す。
【0049】
なお、表面保護層の表面には、捺印等を施すことができる。
【0050】
次に、
図8A、
図8B及び
図8Cに示すように、電極板3の表面にメッキを施す。メッキ層8の材質を限定するものではないが、メッキ層8を、例えば、Cuメッキ層やNiメッキ層で形成することができる。メッキ層8は、抵抗器11を設置する基材表面への接触面積を広げ、また基材表面に抵抗器11を半田付けした際の電極板3の半田食われを抑制する役割を担う。なお、
図8Bは、
図7Bの次の工程を示し、
図8Cは、
図7Cの次の工程を示す。メッキ工程は必要に応じて行われる。
【0051】
(抵抗器)
以上の製造工程を経て製造された抵抗器11は、
図8Bや
図8Cに示すように、抵抗体2と、抵抗体2の両側に配置され、抵抗体2の下面側に折り曲げられた電極板3と、抵抗体2と電極板3との間に介在する硬化された複数の熱伝導層4、5と、を有することを特徴とする。
【0052】
抵抗体2と電極板3との間に介在する複数の熱伝導層4、5の合計厚さは、50μm〜150μm程度である。この程度の合計厚みとなるよう各熱伝導層4、5の厚みを調節することで、抵抗体2から熱伝導層4、5を介して電極板3へ伝導する放熱性を適切に向上させることができる。すなわち、本実施形態では、複数の熱伝導層4、5を有することで、熱伝導層を一層とするよりも、抵抗体2と電極板3との間の厚みをより均一化でき、放熱性のばらつきを抑制でき、放熱性に優れた抵抗器11とすることができる。また、複数の熱伝導層4、5の合計厚さを上記範囲に調節することで、抵抗体2と電極板3間の密着性を向上させることができ、電極板3が熱伝導層から剥離したり、或いは熱伝導層にクラックが生じる等の不具合を適切に抑制することができる。
【0053】
本実施形態の抵抗器の製造方法では、第1熱伝導層4を完全硬化させた後、未硬化の第2熱伝導層5を第1熱伝導層に重ねて形成し、その後、電極板3を折り曲げて第2熱伝導層5を硬化させる製造プロセスに特徴的部分がある。
【0054】
このような製造プロセスを経ることで、抵抗体2と電極板3間の熱伝導層4、5の厚みのばらつきを従来に比べて抑制することができる。すなわち、電極板3を折り曲げて加熱処理した際には、熱伝導層のうち、第1熱伝導層4は既に硬化しており膜厚変動を生じにくい。このとき、第2熱伝導層5は未硬化であるが、第2熱伝導層5は、抵抗体2と電極板3間の厚みの一部を担うだけであるため、第2熱伝導層5の流動性に伴う、熱伝導層の厚みのばらつきは、抵抗体2と電極板3間に位置する熱伝導層全体が未硬化の状態より小さくすることができる。
【0055】
以上のように、本実施形態では、抵抗体2と電極板3間の熱伝導層の厚みのばらつきを抑制することができることで、抵抗体2と電極板3間の厚みをより均一化でき、放熱性のばらつきを抑制でき、放熱性に優れた抵抗器11を製造することができる。また、抵抗体2と電極板3間の厚みをより均一化できることで、抵抗体2と電極板3間に空隙等が生じるのを抑制でき、接着強度を向上させることができる。
【0056】
また、第1熱伝導層4及び第2熱伝導層5の少なくともいずれか一方には、未硬化で固化した状態のもの、具体的には、熱伝導性樹脂フィルムを用いることが好ましい。
【0057】
第1熱伝導層4及び第2熱伝導層5の双方に、未硬化で未固化のもの、具体的には、熱伝導性樹脂ペーストを用いると、抵抗体2と電極板3との間の厚みに、ばらつきが生じやすくなる。すなわち、熱伝導性樹脂ペーストを用いた場合、塗布した状態で、そもそも厚みにばらつきが生じやすい。このため、第1熱伝導層4及び第2熱伝導層5の少なくともいずれか一方に、未硬化で固化した状態の熱伝導性樹脂フィルムを用いることで、抵抗体2と電極板3との間の厚みのばらつきをより効果的に抑制することができる。第1熱伝導層4及び第2熱伝導層5の双方に、熱伝導性樹脂フィルムを用いることで、抵抗体2と電極板3との間の厚みをより均一になるよう調節することができる。
【0058】
また、例えば、第1熱伝導層4を、熱伝導性樹脂フィルムで形成して、抵抗体2と電極板3との間の厚みが所定範囲内となるように調節する。一方、第2熱伝導層5には、熱伝導性樹脂ペーストを用い、電極板3の接着用としての熱伝導性樹脂ペーストを薄く形成する。これにより、抵抗体2と電極板3との間の厚みのばらつきを抑制しつつ、厚みを所定範囲内に容易に収めることができ、且つ、電極板3を確実に接着することが可能になる。
【0059】
図6A、
図6B及び
図6Cの工程では、折り曲げた電極板3に圧力を加えながら第2熱伝導層5を硬化させることが好適である。これにより、電極板3を確実に接着することができる。
【実施例】
【0060】
以下、本発明の効果を明確に行った実施例をもとに本発明をより詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
【0061】
実験では、以下の樹脂を用い、示差走査型熱量計(DSC)により、熱分析を行った。
【0062】
[樹脂]
ポリイミド・エポキシ樹脂
[示差走査型熱量計]
株式会社リガク製のDSC8231
【0063】
まず実験では、昇温速度を10℃/minとしたときに得られるDSC曲線及びDDSC曲線を得た。
【0064】
図9に示すように、硬化開始温度は、150℃で、硬化終了温度が220℃で、230℃以降は燃焼反応に移行することがわかった。
【0065】
この実験結果により、印加温度は、160℃〜220℃の範囲であるとした。
【0066】
次に、170℃で固定して、保持時間による硬化開始温度と、硬化終了温度とをDSC曲線から求めた。そのときの実験結果が
図10に示されている。
【0067】
図10に示すように、硬化開始が約42分後、硬化終了が約61分後であることがわかった。
【0068】
上記の実験結果より、上記樹脂を用いたときの硬化条件は、170℃で60分程度であることがわかった。ちなみに、この硬化条件は樹脂のメーカが推奨する硬化条件とも一致した。
【0069】
硬化条件が170℃で60分であるため、
図9の温度範囲で考えると、160℃で70分、170℃で60分、180℃で50分、190℃で40分、200℃で30分程度が硬化条件に該当するものと考えられる。