(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2カメラは静止画及び動画を撮影できるように構成され、前記第1撮影モード及び前記第2撮影モードにおいて該第2カメラによって前記眼底を観察する際に動画撮影できる、
ことを特徴とする請求項1に記載の眼底撮影システム。
前記第1フィルタは、500nm〜600nmの波長範囲の光を透過させることができるエキサイタフィルタであり、前記第2フィルタは、640nm〜740nmの波長範囲の光を透過させることができるバリアフィルタである、
ことを特徴とする請求項1に記載の眼底撮影システム。
前記光路分割手段は、50nm〜650nmの波長範囲での光の反射率が98%以上で、800nm〜950nmの波長範囲での光の透過率が90%のダイクロイックミラーであり、
前記光路補正手段は、630nm〜950nmの波長範囲での透過率が98%程度のガラスである、
ことを特徴とする請求項4に記載の眼底撮影システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記ダイクロイックミラー30を光路外に移動させてしまうと、光LBの光路は前記第2カメラC2の光軸Rからずれてしまい(
図4(b)の符号δ参照)、適正な画像を取得できないという問題があった。
【0006】
本発明は、上述の問題を解消することのできる眼底撮影システムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、
図1に例示するものであって、被検眼(E)の眼底に光を照射する照明手段(2)と、
移動可能に構成されると共に前記照明手段(2)により照射されて前記眼底により反射される反射光(LB)の光路(符号PB参照。以下、“反射光路”とする)中に配置された場合に前記反射光(LB)を2つの光路(PB1,PB2)(以下、“第1光路”及び“第2光路”とする)に分割する光路分割手段(30)と、
移動可能に構成されると共に前記反射光路(PB)中に配置された場合に前記反射光(LB)を前記第2光路(PB2)に導く光路補正手段(31)と、
前記第1光路(PB1)を進んできた反射光(LB)を受光できる位置に第1カメラ(C1)を取り付ける第1カメラ取付部(4)と、
前記第2光路(PB2)を進んできた反射光(LB)を受光できる位置に配置される第2カメラ(C2)と、
前記光路分割手段(30)及び前記光路補正手段(31)を移動可能に支持して該光路分割手段(30)及び該光路補正手段(31)の一方を選択的に前記反射光路(PB)中に配置すると共に該光路分割手段(30)及び該光路補正手段(31)の他方を前記反射光路外に配置して光路の切り換えを行う反射光路切換手段(32)と、
第1の波長範囲の光を透過する第1フィルタ(F1)と、
前記照明手段(2)と前記眼底との間の光路(符号PA参照。以下、“照明光路”とする)中の位置(以下、“第1フィルタ挿入位置”とする)と該照明光路外の位置(以下、“第1フィルタ抜去位置”とする)とに前記第1フィルタ(F1)を移動可能に支持する第1フィルタ移動手段(G1)と、
第2の波長範囲の光を透過する第2フィルタ(F2)と、
前記光路補正手段(31)が配置される前記反射光路(PB)中の位置よりも上流側の位置(以下、“第2フィルタ挿入位置”とする)と該反射光路外の位置(以下、“第2フィルタ抜去位置”とする)とに前記第2フィルタ(F2)を移動可能に支持する第2フィルタ移動手段(G2)と、
前記第1フィルタ移動手段(G1)を駆動して前記第1フィルタ(F1)を前記第1フィルタ抜去位置に移動させ、前記第2フィルタ移動手段(G2)を駆動して前記第2フィルタ(F2)を前記第2フィルタ抜去位置に移動させ、前記反射光路切換手段(32)を駆動して前記光路分割手段(30)を前記反射光路(PB)中に配置すると共に前記光路補正手段(31)を前記反射光路外に配置してなるモード(以下、“第1撮影モード”とする)と、前記第1フィルタ移動手段(G1)を駆動して前記第1フィルタ(F1)を前記第1フィルタ挿入位置に移動させ、前記第2フィルタ移動手段(G2)を駆動して前記第2フィルタ(F2)を前記第2フィルタ挿入位置に移動させ、前記反射光路切換手段(32)を駆動して前記光路分割手段(30)を前記反射光路外に配置すると共に前記光路補正手段(31)を前記反射光路(PB)中に配置してなるモード(以下、“第2撮影モード”とする)とに切り換え可能な撮影モード切換手段(5)と、を備えたことを特徴とする眼底撮影システム(1)に関する。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記第2カメラ(C2)が静止画及び動画を撮影できるように構成され、前記第1撮影モード及び前記第2撮影モードにおいて該第2カメラ(C2)によって前記眼底を観察する際に動画撮影できることを特徴とする。
【0009】
請求項3に係る発明は、請求項2に係る発明において、前記第2カメラ(C2)中の撮像素子(C2a)にて出力される画像信号を増幅する増幅手段(90)と、
前記第1撮像モードにおいて前記第2カメラ(C2)により前記眼底を観察する場合と、前記第2撮像モードにおいて前記第2カメラ(C2)により前記眼底を観察する場合と、前記第2撮像モードにおいて前記第2カメラ(C2)により前記眼底を撮影する場合とで、前記増幅手段(90)のゲインを調整するゲイン調整手段(91)と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
請求項4に係る発明は、請求項1に記載の発明において、前記第1フィルタ(F1)が、500nm〜600nmの波長範囲の光を透過させることができるエキサイタフィルタであり、前記第2フィルタ(F2)が、640nm〜740nmの波長範囲の光を透過させることができるバリアフィルタである、ことを特徴とする。
【0011】
請求項5に係る発明は、請求項4に記載の発明において、前記光路分割手段(30)が、50nm〜650nmの波長範囲での光の反射率が98%以上で、800nm〜950nmの波長範囲での光の透過率が90%のダイクロイックミラーであり、
前記光路補正手段(31)は、630nm〜950nmの波長範囲での透過率が98%程度のガラスであることを特徴とする。
【0012】
なお、括弧内の番号などは、図面における対応する要素を示す便宜的なものであり、従って、本記述は図面上の記載に限定拘束されるものではない。
【発明の効果】
【0013】
請求項1、2、4及び5に係る発明によれば、前記第1撮影モードにおいては前記反射光は前記光路分割手段によって分割されて前記第1カメラ及び前記第2カメラの両方に受光されるように構成されるので、前記第2カメラで眼底の観察を行いながら、適宜前記第1カメラで眼底の撮影(好ましくはカラー撮影)を行うことができる。また、前記第2撮影モードにおいては前記反射光は前記第1カメラに受光されるので、前記第1フィルタ及び前記第2フィルタとして適切なフィルタを使用することにより、自発蛍光撮影を行うことができる。さらに、前記第2撮影モードを実行する際には前記光路補正手段が配置されて前記反射光を前記第2カメラの方に導くように構成されているため、該第2カメラの光軸と該反射光との間にズレは発生せずに適正な眼底画像を撮影することができる。
【0014】
請求項3に係る発明によれば、いずれの撮影をする場合においても、均一かつ適正な明るさの画像を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、
図1乃至
図4に沿って、本発明の実施の形態について説明する。
【0017】
本発明に係る眼底撮影システムは、
図1に符号1で例示するものであって、少なくとも以下のものを備えている。すなわち、
・ 被検眼Eの眼底に照明光LAを照射する照明手段2
・ 移動可能に構成されると共に前記照明手段2により照射されて前記眼底により反射される反射光LBの光路(以下、“反射光路”とする)PB中に配置された場合に前記反射光LBを2つの光路(以下、“第1光路”及び“第2光路”とする)PB1,PB2に分割する光路分割手段30
・ 移動可能に構成されると共に前記反射光路PB中に配置された場合に前記反射光LBを前記第2光路PB2に導く光路補正手段31
・ 前記第1光路PB1を進んできた反射光LBを受光できる位置に第1カメラC1を取り付ける第1カメラ取付部4
・ 前記第2光路PB2を進んできた反射光LBを受光できる位置に配置される第2カメラC2
・ 前記光路分割手段30及び前記光路補正手段31を移動可能に支持して該光路分割手段30及び該光路補正手段31の一方を選択的に前記反射光路PB中に配置すると共に該光路分割手段30及び該光路補正手段31の他方を前記反射光路外に配置して光路の切り換えを行う反射光路切換手段32
・ 第1の波長範囲の光を透過する第1フィルタF1
・ 前記照明手段2と前記眼底との間の光路(以下、“照明光路”とする)PA中の位置(以下、“第1フィルタ挿入位置”とする)と該照明光路外の位置(以下、“第1フィルタ抜去位置”とする)とに前記第1フィルタF1を移動可能に支持する第1フィルタ移動手段G1
・ 第2の波長範囲の光を透過する第2フィルタF2
・ 前記光路補正手段31が配置される前記反射光路PB中の位置よりも上流側の位置(つまり、前記眼底と前記光路補正手段31との間の反射光路PB中の位置であって、以下、“第2フィルタ挿入位置”とする)と該反射光路外の位置(以下、“第2フィルタ抜去位置”とする)とに前記第2フィルタF2を移動可能に支持する第2フィルタ移動手段G2
・ 前記第1フィルタ移動手段G1を駆動して前記第1フィルタF1を前記第1フィルタ抜去位置に移動させ、前記第2フィルタ移動手段G2を駆動して前記第2フィルタF2を前記第2フィルタ抜去位置に移動させ、前記反射光路切換手段32を駆動して前記光路分割手段30を前記反射光路PB中に配置すると共に前記光路補正手段31を前記反射光路外に配置してなるモード(以下、“第1撮影モード”とする)と、前記第1フィルタ移動手段G1を駆動して前記第1フィルタF1を前記第1フィルタ挿入位置に移動させ、前記第2フィルタ移動手段G2を駆動して前記第2フィルタF2を前記第2フィルタ挿入位置に移動させ、前記反射光路切換手段32を駆動して前記光路分割手段30を前記反射光路外に配置すると共に前記光路補正手段31を前記反射光路PB中に配置してなるモード(以下、“第2撮影モード”とする)とに切り換え可能な撮影モード切換手段5
【0018】
なお、本明細書では、
図1で符号Dで示す部分(つまり、前記照明手段2や前記フィルタF1,F2や前記フィルタ移動手段G1,G2や前記光路分割手段30や前記光路補正手段31や前記反射光路切換手段32等を含む部分)を適宜“眼底撮影装置”と称することとする。そして、本発明に係る眼底撮影システム1は、
・ 該眼底撮影装置Dと、
・ 該眼底撮影装置Dの前記第1カメラ取付部4に取り付けられる第1カメラC1と、
により構成すると良い。ここで、HDDやSSDや記録メディア(例えば、SDカードやUSBメモリーやコンパクトフラッシュ(登録商標)カードなど)からなるデータ保存部(不図示)を前記眼底撮影装置Dに配置しておいて、前記第1カメラC1や前記第2カメラC2が撮影した画像は該データ保存部に保存するようにしても良い。また、該眼底撮影装置Dには、画像転送部8を介してパソコンPC(具体的には、デスクトップパソコンやノートパソコンやタブレットPCやスマートフォンなど)を有線又は無線で接続できるようにしておいて、該第1カメラC1や前記第2カメラC2が撮影した画像は該画像転送部8を介して該パソコンPCに取り込めるようにしても良い。さらに、該パソコンPCにはモニターMを接続しておいて、各カメラC1,C2が撮影した画像を該モニターMに表示できるようにしても良い。
【0019】
ところで、前記照明手段2としては、
・ ハロゲンランプ、またはLED等からなる観察用の光源20や、
・ キセノンフラッシュランプまたは高輝度LED等からなる撮影用の光源21、
を挙げることができる。そして、それらの光源20,21からの光が照射される側(つまり、照明光路PAの下流側)には、拡散板22やリングスリット60や第1フィルタF1や照明光学系61,63やリングスリット62や穴あきミラー64を配置し、被検眼Eに対峙する位置には対物レンズ65を配置すると良い。また、該穴あきミラー64の孔部には撮影絞り66を配置し、該撮影絞り66の下流側には、前記反射光路PB上の位置を移動することによりピントを調整するフォーカスレンズ70やハーフミラー71や内部固視灯72などを配置すると良い。
【0020】
一方、前記光路分割手段30としては、ダイクロイックミラー(好ましくは、
図2に符号H1で例示するように、カラー撮影に使用される波長範囲である450nm〜650nmの波長範囲での光の反射率が98%以上で、撮影前の赤外光での観察時に使用される波長範囲である800nm〜950nmの波長範囲での光の透過率が90%のもの)を挙げることができ、前記光路補正手段31としては、所定の波長範囲に関して前記第1光路PB1へ進む反射光の光量を減らして前記第2光路PB2へ進む反射光の光量を増やすことができるようなもの(例えば、自発蛍光撮影に使用される波長範囲である630nm〜950nmの波長範囲での透過率が98%程度の透明なガラス)を挙げることができる。なお、本発明においては、前記光路補正手段31により反射光LBが導かれる光路が、前記光路分割手段30により分割される2つの光路PB1,PB2の内の1つの光路PB2と略一致するように構成されているが、そのような構成にする方法としては種々の方法が考えられる。すなわち、
・ 前記光路分割手段30及び前記光路補正手段31の形状(厚み)や屈折率などを略等しくし、それらの手段30,31を配置する位置(反射光路中の位置)や角度(姿勢)を略等しくして該光路分割手段30を透過した後の光の光路と該光路補正手段31を透過した後の光の光路とが略等しくなるようにする方法
・ 前記光路分割手段30及び前記光路補正手段31の形状及び/又は屈折率は略等しくないが、それらの手段30,31を配置する位置(反射光路中の位置)や角度(姿勢)を適正なものにして該光路分割手段30を透過した後の光の光路と該光路補正手段31を透過した後の光の光路とが略等しくなるようにする方法
【0021】
そして、前記反射光路切換手段32としては、駆動モータや種々のアクチュエータを挙げることができる。
【0022】
また一方、上述した第1カメラC1としては、カラー撮影用の市販のカメラ(好ましくは、カラー撮影が可能なデジタルカメラ)を挙げることができ、前記第2カメラC2としては、自発蛍光撮影や赤外光による観察及び撮影もできる白黒カメラを挙げることができ、静止画だけでなく動画も撮影できるように構成されていると良い。また、この第2カメラC2は、前記第1カメラC1と同様に前記眼底撮影装置Dに対して着脱できるようにしておいても良い。
【0023】
さらに一方、前記第1フィルタF1としては、前記第1の波長範囲が500nm〜600nmの波長範囲であるエキサイタフィルタ(つまり、500nm〜600nmの波長範囲の光を透過させることができるエキサイタフィルタ)を挙げることができ(
図2の符号H2参照)、前記第2フィルタF2としては、前記第2の波長範囲が640nm〜740nmの波長範囲であるバリアフィルタ(つまり、640nm〜740nmの波長範囲の光を透過させることができるバリアフィルタ)を挙げることができる(
図2の符号H3参照)。また、前記第1フィルタ移動手段G1や前記第2フィルタ移動手段G2としては、駆動モータや種々のアクチュエータを挙げることができる。
【0024】
ところで、前記第1撮影モードにおいては、前記第1フィルタF1及び前記第2フィルタF2は光路外の位置(つまり、第1フィルタ抜去位置及び第2フィルタ抜去位置)に退避した状態となり、反射光LBは前記光路分割手段30によって前記第1光路PB1と前記第2光路PB2とに分割されることとなる。したがって、前記第2カメラC2を使ってアライメントを行った上で前記第1カメラC1を使ってカラー撮影をすることが可能となる。このとき、該第1カメラC1のシャッタを押下することにより前記撮影用の光源21から光が出射されるようにすると良い。また、前記第2撮影モードにおいては、反射光LBは前記第2光路PB2に進入することとなる。したがって、アライメント及び撮影は前記第2カメラC2によって行うこととなる。なお、前記第1フィルタF1及び前記第2フィルタF2の光路内への挿入は撮影と同時、すなわちシャッターボタンが押されると、フィルターF1,F2が挿入され、その後フラッシュランプ(つまり、撮影用の光源21)が発光し、該第2カメラC2により画像が取り込まれるようにすると良い。また、前記第2フィルタF2として、前記第2の波長範囲が640nm〜740nmのバリアフィルタを用い、前記光路補正手段31として、630nm〜950nmの波長範囲での透過率が98%程度の透明なガラスを用いた場合には、反射光LBのほとんどの光が前記第2カメラC2に導かれることとなり、明るい画像を取得することができる。
【0025】
ところで、上述した撮影モード切換手段5は、
・ オペレータが操作する操作部51と、
・ 該操作部51からの信号を前記フィルタ移動手段G1,G2や前記光路切換手段32に送ってそれらの駆動を制御する駆動制御部52と、
によって構成すると良い。なお、
図1では、前記眼底撮影装置Dの側にスイッチやボタンやタッチパネル等を配置して前記撮影モード切換手段5の操作部51とし、該眼底撮影装置Dの側に専用の回路基板を設けて該撮影モード切換手段5の駆動制御部52としているが、前記パソコンPCに専用のアプリケーションソフトをインストールしておいて該パソコンPCを前記駆動制御部52として機能させると共に、パソコンPCに接続されたキーボードやマウスなどを前記操作部51として機能させるようにしても良い。その他の操作(つまり、眼底画像を撮影するときに必要な種々の操作)についても同様であって、該操作に必要な操作部や制御部はパソコンPCの側に設けるようにしても、或いは、前記眼底撮影装置Dの側に設けるようにしても、どちらでも良い。
【0026】
本発明によれば、前記第1撮影モードにおいては前記反射光LBは前記光路分割手段30によって分割されて前記第1カメラC1及び前記第2カメラC2の両方に受光されるように構成されるので(
図4(a)参照)、前記第2カメラC2で眼底の観察を行いながら、適宜前記第1カメラC1で眼底の撮影(好ましくはカラー撮影)を行うことができる。また、前記第2撮影モードにおいては前記反射光LBは前記第1カメラC1に受光されるので、前記第1フィルタF1及び前記第2フィルタF2として適切なフィルタを使用することにより、自発蛍光撮影を行うことができる。
【0027】
ところで、前記第1撮影モード(カラー撮影モード)を前記第2撮影モード(自発蛍光撮影モード)に変更する場合に前記光路分割手段30を単に光路外に移動させただけでは、
図4(b)に示したように反射光LBの光路が前記第2カメラC2の光軸Rからずれてしまうこととなるが、本発明によれば、前記光路補正手段31が配置されて前記反射光LBを前記第2カメラC2の方に導くように構成されているため、そのようなズレは発生せずに適正な眼底画像を撮影することができる。
【0028】
なお、前記光路分割手段30や前記光路補正手段31の切り換えは、シャッタ操作と同時に行わずに、撮影モードの切り換えと同時に行うようにすると良い。
【0029】
ところで、前記第2カメラC2を、静止画及び動画を撮影できるように構成されたものとした場合には、前記第1撮影モード及び前記第2撮影モードにおいて該第2カメラC2によって前記眼底を観察する際に動画撮影できることとなり、結局、
(1) 前記第1撮影モードの観察時における前記第2カメラC2による動画撮影
(2) 前記第2撮影モードの観察時における該第2カメラC2による動画撮影
(3) 該第2撮影モードにおける該第2カメラC2による静止画撮影
が可能となる。しかしながら、前記第1撮影モードでは前記光路分割手段30が使用されているのに対して前記第2撮影モードでは前記光路補正手段31が使用されており、該第2撮影モードの撮影時にはさらにフィルタF1,F2が使用されることとなり、前記第2カメラC2の受光量が異なってしまうこととなる。そこで、
・ 前記第2カメラC2(正確には、その撮像素子C2a)にて出力される画像信号を増幅する増幅手段90と、
・ 前記第1撮像モードにおいて前記第2カメラC2により前記眼底を観察する場合と、前記第2撮像モードにおいて前記第2カメラC2により前記眼底を観察する場合と、前記第2撮像モードにおいて前記第2カメラC2により前記眼底を撮影する場合とで、眼底画像の明るさが略一定となるように前記増幅手段90のゲインを調整するゲイン調整手段91と、
を設けておくと良い。そのようにした場合には、前記(1)〜(3)のいずれの撮影をする場合においても、均一かつ適正な明るさの画像を得ることができる。なお、前記第2カメラC2についてのゲインだけではなく、前記第1撮影モードにおける前記第1カメラC1(撮像素子C1a)についてのゲインも調整するようにすると良い。なお、前記ゲイン調整手段91は、
・
図1に例示するように本体内(つまり、前記眼底撮影装置Dの内部)に設けてもよいし、
・ 本体外部(つまり、前記眼底撮影装置Dの外部)に接続するように設けてもよいし、
・ 前記パソコンPCに専用のアプリケーションソフトをインストールしておいて該パソコンPCを前記増幅手段90や前記ゲイン調整手段91として機能させるようにしても良い。
【0030】
ここで、前記ゲインの大きさを決める一例を述べる。まず前記(1)の場合(つまり、前記第1撮影モードの観察時において前記第2カメラC2による動画撮影を行う場合)と前記(2)の場合(つまり、前記第2撮影モードの観察時において該第2カメラC2による動画撮影を行う場合)では、ダイクロイックミラーの影響で前記(1)の場合のほうが光量が少なくなるので、前記(1)の場合の時のゲインを前記(2)の場合の時のゲインに比べて大きくする。一方、前記(3)の場合(つまり、該第2撮影モードにおいて該第2カメラC2による静止画撮影を行う場合)は、被検者の負担を少なくするため、なるべく低光量で撮影しようとするのであればゲインを大きく設定すればよいが、逆によい画質の画像を得ようとするのであれば、画像のノイズ低減の為にゲインを小さくして撮影光量を大きくすることも考えられるので、検者が任意にゲインと撮影光量とをそれぞれ設定できるようにしておくと便利であるし、よく使用されるゲインと撮影光量の組み合わせを選択できるようにしておいてもよい。
【0031】
ところで、眼底画像を観察する際は眼底の中の比較的広い範囲(観察範囲)を観察できるようにした方が良い反面、眼底画像の縁部分(周辺部分)にはフレアが生じやすいことから 撮影時にはその周辺部分を除去してフレアが映り込まないようにすることが望まれる。一つの方法としては、前記ハーフミラー71の光路下流側(図示の下側)に金属製等の視野マスク73を配置しておいて、前記フレアを除去する方法が考えられる。しかしながら、自発蛍光撮影を行う前記第2カメラC2には高感度であることが優先されるがためにかなり低い解像度のものが使用されることが多々あるため、円形に切り抜かれた視野マスク73の縁の部分は真円とはならずにジグザグの線になってしまい見栄えに欠けてしまうという問題がある。そこで、前記第2カメラC2で撮影された静止画像には電子マスクを自動的に施すようにして、撮影した画像の範囲を前記観察範囲よりも狭くし、前記フレアを除去するようにすると良い。
【0032】
また一方、前記第2フィルタF2には絞りを一体化させておくと良い。そのようにした場合には、前記第2撮影モード(自発蛍光撮影)において撮影光(反射光)の光量調整(絞り径変更)を同時に行うことができる。
【0033】
ところで、無散瞳の自発蛍光撮影を行う場合においては、被検者の縮瞳の具合によっては前記照明手段2からの光が眼底に十分に届かずに撮影画像が暗くなる場合がある。そこで、その対策としては、
図3(b)に示すように、前記穴あきミラー64の孔部の直径をbとし、傾斜角をθとした場合に、前記リングスリット62の径a(同図(c)参照)は、a=b・cosθとなるようにすると良い。そのようにすることで、眼底に届く光量を可能な範囲で増加させて撮影画像を明るくすることができる。リングスリット62のこのサイズは、穴あきミラー64の傾斜角を考慮したものであって、余計なフレアが入らない最適なサイズである。しかしながら、光まわりの問題もあるので、現実には種々の要素のバランスを考慮して、このサイズより少し大きなサイズに設計される場合が多い。このようになるべく照明光量を効率的に使用することで、大型で出射光量が多い照明手段を用いる必要も無いので、発熱量の増加や、眼底撮影装置の大型化を防止することができる。