特許第6573967号(P6573967)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6573967透析器を通る流体流れの方向を検出するための装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6573967
(24)【登録日】2019年8月23日
(45)【発行日】2019年9月11日
(54)【発明の名称】透析器を通る流体流れの方向を検出するための装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/16 20060101AFI20190902BHJP
【FI】
   A61M1/16 111
   A61M1/16 117
【請求項の数】17
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2017-505523(P2017-505523)
(86)(22)【出願日】2015年7月20日
(65)【公表番号】特表2017-522141(P2017-522141A)
(43)【公表日】2017年8月10日
(86)【国際出願番号】EP2015066577
(87)【国際公開番号】WO2016016039
(87)【国際公開日】20160204
【審査請求日】2018年6月14日
(31)【優先権主張番号】102014011250.0
(32)【優先日】2014年8月1日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】501276371
【氏名又は名称】フレセニウス・メディカル・ケア・ドイチュラント・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】マイエルホッファー、アンドレアス
【審査官】 松浦 陽
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−533061(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0298581(US,A1)
【文献】 特表2005−516688(JP,A)
【文献】 特表2009−539440(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/14 − 1/16
A61M 1/34
A61M 1/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半透膜(2)によって互いに分離される、血液が流れる血液チャンバ(4)と、透析液が流れる透析液チャンバ(3)とを備える透析器(1)を通る流体流れの方向を検出するための装置であって、流体流れの方向を検出するための前記装置はクリアランスまたはクリアランスの特性値を測定するための測定ユニットを備え、
測定された前記クリアランスまたは前記クリアランスの特性値が特定の限界値と比較され、前記クリアランスまたは前記クリアランスの特性値が前記特定の限界値よりも大きい場合、前記血液チャンバを通る血流および前記透析液チャンバを通る透析液流の方向が、向流であると判定するように構成される、演算および評価ユニット(13)が備えられることを特徴とする装置。
【請求項2】
半透膜(2)によって互いに分離される、血液が流れる血液チャンバ(4)と、透析液が流れる透析液チャンバ(3)とを備える透析器(1)を通る流体流れの方向を検出するための装置であって、流体流れの方向を検出するための前記装置は、
特定量によって、前記透析器(1)の前記透析液チャンバ(3)を通る透析液の透析液速度を変更するための制御ユニット(14)、および
透析液速度の変化前後における、クリアランスまたはクリアランスの特性値を測定するための測定ユニット(5;14;17A,17B)
を備え、
値が特定量による透析液速度の変化に起因する、クリアランスまたはクリアランスの特性値の変化に基づいて、向流または並流における、前記血液チャンバ(4)を通る血流および前記透析液チャンバ(3)を通る透析液流の方向を判定するように構成される、演算および評価ユニット(14)が備えられることを特徴とする装置。
【請求項3】
前記演算および評価ユニット(14)は、
前記透析液速度の変化に起因する、前記クリアランスまたは前記クリアランスの特性値で予測される変化量は、向流および並流における透析液流についての前記透析液速度に対する前記クリアランスまたは前記クリアランスの特性値の依存性を表す相関関係に基づいて計算され、
クリアランスまたはクリアランスの特性値における実際の変化量は、前記透析液速度の変化前後で測定される前記クリアランスまたは前記クリアランスの特性値から計算され、並びに
向流または並流は、向流および並流に対する、クリアランスまたはクリアランスの特性値における実際の変化量の、クリアランスまたはクリアランスの特性値における変化の予測値との比較に基づいて判定されるように構成されることを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記演算および評価ユニット(14)は、
向流に対する、クリアランスまたはクリアランスの特性値における実際の変化量とクリアランスまたはクリアランスの特性値における変化の予測値との間の差の量、および
並流に対する、クリアランスまたはクリアランスの特性値における実際の変化量とクリアランスまたはクリアランスの特性値における変化の予測値との間の差の量が計算され、
並流に対する前記差の量が向流に対する前記差の量よりも小さい場合、並流であると判定され、並びに
向流に対する前記差の量が並流に対する前記差の量よりも小さい場合、向流であると判定されるように構成されることを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記クリアランスまたは前記クリアランスの特性値を測定するための前記測定ユニット(5;14,17A,17B)は、
前記透析液チャンバ(3)に流入する前記透析液の物理的および/または化学的特性を変更するための手段(5)、および
前記透析液チャンバ(3)から流出する前記透析液の物理的および/または化学的特性を測
定するための手段(17B)を備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記物理的および/または化学的特性は、前記透析液中の物質の濃度であり、前記物理的および/または化学的特性を測定するための前記手段(17A,17B)が、前記物質の濃度を測定するための手段であることを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記演算および評価ユニット(14)は、前記流れの方向を決定した後に、前記演算および評価ユニット(14)が、向流における作動状態、または並流における作動状態を示す信号を発生するように構成されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
表示ユニット(18B)は、前記作動状態を表示するために設けられることを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項9】
半透膜(2)によって血液チャンバ(4)と透析液チャンバ(3)とに分けられる、透析器(1)の前記血液チャンバ(4)を含む体外血液回路(II)を備え、さらに前記透析液チャンバ(3)を含む透析液システム(I)を備える体外血液処理装置であって、請求項1〜8のいずれか1項に記載の流体流れの方向を検出するための装置を有することを特徴とする体外血液処理装置。
【請求項10】
半透膜(2)によって互いに分離される、血液が流れる血液チャンバ(4)と、透析液が流れる透析液チャンバ(3)とを有する透析器(1)を通る流体流れの方向を検出するための装置の作動方法であって、
定されたクリアランスまたはクリアランスの特性値が特定の限界値と比較され、前記クリアランスまたは前記クリアランスの特性値が前記特定の限界値より大きい場合、前記血液チャンバ(4)を通る血流および前記透析液チャンバ(3)を通る透析液流の方向が、向流であると判定されることを特徴とする装置の作動方法。
【請求項11】
半透膜(2)によって互いに分離される、血液が流れる血液チャンバ(4)と、透析液が流れる透析液チャンバ(3)とを有する透析器(1)を通る流体流れの方向を検出するための装置の作動方法であって、
前記透析器(1)の前記透析液チャンバ(3)を通る前記透析液の透析液速度は、特定量によって、および特定量による透析液速度の変化に起因するクリアランスまたはクリアランスの特性値の変化に基づいて、変更され、向流または並流における、前記血液チャンバ(4)を通る血流および前記透析液チャンバ(3)を通る透析液流の方向が判定されることを特徴とする装置の作動方法。
【請求項12】
透析液速度の変化に起因する、前記クリアランスまたは前記クリアランスの特性値で予測される変化量は、向流および並流における、透析液流についての透析液速度に対する前記クリアランスまたは前記クリアランスの特性値の依存性を表す相関関係に基づいて計算され、
リアランスまたはクリアランスの特性値における実際の変化量は、透析液速度の変化前後で測定されるクリアランスまたはクリアランスの特性値から計算され、並びに
向流または並流の流れは、向流および並流に対する、クリアランスまたはクリアランスの特性値における実際の変化量の、前記クリアランスまたは前記クリアランスの前記特性値予測値との比較に基づいて判定されることを特徴とする請求項11に記載の装置の作動方法。
【請求項13】
向流に対する、クリアランスまたはクリアランスの特性値における実際の変化量と、クリアランスまたはクリアランスの特性値における変化の予測値との間の差の量、および
並流に対する、クリアランスまたはクリアランスの特性値における実際の変化量と、クリアランスまたはクリアランスの特性値における変化の予測値との間の差の量が計算され、
並流に対する前記差の量が向流に対する前記差の量よりも小さい場合に、並流であると判定され、並びに
向流に対する前記差の量が並流に対する前記差の量よりも小さい場合に、向流であると判定されることを特徴とする請求項12に記載の装置の作動方法。
【請求項14】
前記クリアランスまたは前記クリアランスの前記特性値を測定するために、前記透析液チャンバに流入する前記透析液の物理的および/または化学的特性変更するための手段が作動され、前記透析液チャンバから流出する前記透析液の前記物理的および/または化学的特性測定するための手段が作動されることを特徴とする請求項10〜13のいずれか1項に記載の装置の作動方法。
【請求項15】
前記物理的および/または化学的特性は、前記透析液中の物質濃度であり、前記物質濃度は測定されることを特徴とする請求項14に記載の装置の作動方法。
【請求項16】
前記流れの方向を決定した後に、向流における作動状態、または並流における作動状態を示す信号が発生されることを特徴とする請求項10〜15のいずれか1項に記載の装置の作動方法。
【請求項17】
向流における前記作動状態、または並流における前記作動状態が表示されることを特徴とする請求項16に記載の装置の作動方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の概要】
【0001】
本発明は、半透膜によって互いに分離される、血液が流れる血液チャンバと、透析液が流れる透析液チャンバとを含む透析器を通る流体流れの方向を検出するための装置および方法に関する。さらに、本発明は、半透膜によって血液チャンバと透析液チャンバとに分けられる透析器の血液チャンバを含む体外血液回路、透析器の透析液チャンバを含む流体システム、透析器を通る流体流れの方向を検出するための装置を備える体外血液処理装置を含む体外血液処理装置に関する。
【0002】
様々な種類の血液処理装置が知られている。公知の血液処理装置は、例えば、血液透析、血液ろ過および血液透析ろ過のための装置を含む。血液処理中、患者の血液は、血液処理ユニットを通って体外血液回路内を流れる。血液透析、血液ろ過および血液透析ろ過のための装置の場合、血液処理ユニットは半透膜によって血液チャンバと透析液チャンバに分けられる、透析器またはろ過器である。血液処理中、血液は血液チャンバを通って流れ、一方透析液は透析液チャンバを通って流れる。効果的な血液処理は、透析器またはろ過器の膜に沿って反対方向に流れる血液および透析液を条件とする。血液処理は、同じ流れ方向ではあまり有効ではない。したがって、実際には透析器またはろ過器は並流ではなく、むしろ向流で作動される。しかしながら、個々の場合には、例えば、不均衡症候群を防止するために、低透析効率が望まれる場合もある。透析効率が血流または透析液流の変化によって低下しない場合、作動は並流で行うことができる。また、透析器に関する問題(凝固)の場合、並流接続が有利であり得る。さらに、物質の拡散的および対流的な交換(血液透析ろ過)の組み合わせを用いる処理の場合、並流で作動することによって物質交換の拡散部分を制限する可能性がある。
【0003】
様々な物理的および/または化学的値は、透析器の性能および/または透析処理の有効性が特定され得ることを用いることが知られている。透析処理の有効性を特定するための既知の値は、クリアランスKである。物質のクリアランスKは、関係する物質が完全に取り除かれた透析器を通る総流量の部分的流量である。KT/Vとして知られているものは、透析処理の有効性にとって決定的に重要であり、尿素のクリアランスKおよび透析処理の有効処理時間Tの積と、患者の尿素の分布容積Vとの商として定義される。
【0004】
体外血液処理中のクリアランスを測定するための方法および装置は、DE3938662A1(US5,100,554)およびDE19747360A1(US6156002)から公知である。クリアランスの決定は、2つの異なる透析液イオン濃度における電解質移動の測定に基づいている。これらの刊行物から、クリアランスは透析液流に依存することが知られている。クリアランスはまた、血流に依存し、正確に有効な血清流(血漿水および細胞内水)のみが決め手になる。
【0005】
公知の透析装置は、異なる透析液速度、例えば300,500および800ml/分の手動調節を可能にする。高いクリアランスを達成するために、原則的に、より高い血流でより高い透析液流が必要とされる。
【0006】
血液処理装置の透析器またはろ過器は、透析装置の流体システムに接続される交換可能なユニットである。既知の血液処理装置の流体システムは、透析器への接続のための第1および第2ライン部を含むラインシステムを備える。透析器を流体システムに接続するために、第1ライン部は透析液チャンバの入口に接続され、第2ライン部は透析器の透析液チャンバの出口に接続される。
【0007】
透析器および血液処理装置の製造業者は、ユーザーに対して向流または並流接続を容易にするために、血液側および透析液側の両方の入口および出口に接続されるライン部の色分けを提供する。しかしながら、この色分けは、すべてのメーカー間で標準ではない。したがって、接続が混乱する虞がある。これは、不正確な接続として以下に説明される。不正確な接続がここでも起き得るため、同様のことは例えば、体外血液回路に設けられた装置を逆流に切り替えることによって、または血液ポンプの搬送方向を逆転することによって、流れ方向の自動反転に適用される。
【0008】
透析器が向流ではなく、むしろ並流で作動される場合、血液処理の有効性は患者に対して不十分である可能性がある。これは、透析器の不正確な接続が気付かれないままである場合に、特に問題となり得る。患者が長期にわたって十分な有効性で治療されない虞がある。
【0009】
接続の混同は、容易にユーザーに認識されない。透析効率の低下は、他の要因、例えば、透析器の凝固または血管アクセスにおける再循環によって引き起こされる可能性があり、かつ透析効率の予測値に対して実際に使用することができる参照値の欠如があるから、向流の代わりに並流での作動中の有効性の予測低下は、並流作動の指標として取ることができない。
【0010】
DE102010032980A1は、物理的および/または化学的特性、例えば透析器の血液チャンバに流入する流体の物質濃度および透析器の血液チャンバから流出する流体の物理的および/または化学的特性の変化の測定、の変化に基づいて、透析器を通る流体の流れ方向を検出するための装置を記載している。透析器の血液チャンバの下流側の流体の物理的および/または化学的特性の変化は、透析器の血液チャンバの上流側の物理的および/または化学的特性の変化に起因する可能性があり、血液チャンバを通る流体の流れ方向の逆転の前後に測定される。
【0011】
体外血液処理装置の作動状態を検出するための装置は、WO2012/159734A1から公知であり、透析有効性(クリアランス)を測定するための測定ユニットを有する。クリアランスの測定は、新鮮な透析液の特性の変化、およびユーザーによって指定された透析条件、例えば特定の血流および透析液流で使用された透析液中で起こった反応に基づく。
【0012】
WO2012/159734A1はまた、透析器の有効性、透析液流Qおよび血流Qのパラメータとしての物質移動係数KAからクリアランスを計算することも開示している。透析液速度に対するクリアランスの依存性を表すこの相関関係は、向流および並流での作動に関してWO2012/159734A1から公知である。しかしながら、物質移動係数は実際には分かっていない。製造者仕様の伝送は、通常、透析装置で発生しない。しかしながら、透析器の物質移動係数KAが分かっていたつもりでも、血液パラメータと患者パラメータが入力される有効な物質移動係数KAは、処理に関連する。
【0013】
WO2012/159734A1において、向流の代わりの並流における透析器の作動は、不正確な作動状態としても記載されている。300ml/分の血流および500ml/分の透析液流において、透析器が向流ではなく並流で作動される場合、クリアランスは既知の透析器を使用するとき、例えば32%減少すべきである。向流における測定されたクリアランスと予測されたクリアランスとの間の偏差が並流における予測された範囲内である場合、透析器のカップリングの混乱が故障の原因であると判定することができる。しかしながら、クリアランスの減少は血管アクセスまたは他の原因における再循環によるものでもあり得るので、並流における作動はクリアランスの減少の場合にのみ、判定することはできない。
【0014】
本発明の目的は、透析器が並流または向流で作動しているかどうかを確認できるようにするために、透析器を通る流体流れの方向を検出するための装置および方法を提供することである。
【0015】
さらに、本発明の目的は、透析の安全が増大されることによって体外血液処理装置を創作することである。
【0016】
これらの目的は、本発明によれば、独立請求項の特徴によって達成される。本発明の有利な実施形態は、従属請求項の主題である。
【0017】
本発明の第1の態様は、透析器を通る流体流れの方向を検出するために、クリアランスまたはクリアランスの特性値を測定し、測定されたクリアランスまたは測定されたクリアランスの特性値を特定の限界値とそれぞれ比較し、クリアランスまたはクリアランスの特性値が特定の限界値よりも大きいとき、向流における血液チャンバを通る血流および透析液チャンバを通る透析液流の流れ方向が判定される。この態様は、透析器の並流作動での実際の血液処理の場合、一定の限界値を超えるクリアランス値はもはや達成できないことの発見に基づいている。それ故、向流での作動は特定の限界値を超えるクリアランス値に対して直ちに判定することができる。したがって、透析器が向流で作動するように実際に設定されているかどうかが直ちに分かり、それは実際に主に通例である。その結果、血液処理の安全性は高められる。
【0018】
特定の限界値は、透析液流および/または血流の変化が実際に予測される特定の範囲について決定することができる。そのプロセスにおいて、実際に使用される透析器の物質移動係数は考慮に入れ得る。
【0019】
クリアランスまたはクリアランスの特性値を測定するために、本発明に係る装置は測定ユニットを有し、測定されたクリアランスと特定の限界値を比較し、評価および演算ユニットを有する。測定ユニットと評価および演算ユニットは、独立したユニットを形成することができ、あるいは、血液処理装置の、測定装置および/または中央制御ユニットおよび/または演算および評価ユニット(マイクロプロセッサ)の構成要素であることができる。
【0020】
本発明の第2の態様は、流れ方向を検出するために、クリアランスまたはクリアランスの特性値を測定し、透析液の流量を変更することである。この目的のために、本発明に係る装置は、透析液速度における変化前後のクリアランスまたはクリアランスの特性値を測定するための測定ユニットと、特定量によって透析器の透析液チャンバを通る透析液の流量を変更するための制御ユニットとを有する。
【0021】
本発明に係る装置および本発明の第2の態様に係る本発明による方法は、向流および並流の両方での透析器の作動のため、測定されたクリアランスまたはクリアランスの特性値の変化の、クリアランスまたはクリアランスの特性値の変化の、計算され、予測された値との比較に基づく。続いて、クリアランスまたはクリアランスの特性値における変化の測定値が、並流作動より向流作動におけるクリアランスまたはクリアランスの特性値における変化の予測値に近い場合、向流における透析器の実際の作動が判定され、一方、クリアランスまたはクリアランスの特性値における変化の測定値が、向流作動より並流作動におけるクリアランスまたはクリアランスの特性値における予測値に近い場合、向流における透析器の実際の作動が判定される。第2の態様に係る発明は、並流における作動中の透析液速度の変化の場合にはクリアランスにおける相対変化量は、向流より常に大きいという発見に基づく。
【0022】
クリアランスの現在の値がどのように測定されるかは本発明にとって重要ではない。この目的のために、従来技術から知られている全ての方法を使用することができる。これに関連して、クリアランスが測定値から計算される場合、クリアランスの測定は、クリアランスの決定を意味するものとしても理解される。
【0023】
本発明に係る装置の演算および評価ユニットは、特定量による透析液速度の変化に起因する、クリアランスまたはクリアランスの特性値の変化に基づくように構成され、判定は向流または並流における血液チャンバを通る血流および透析液チャンバを通る透析液流の方向についてなされる。
【0024】
本発明の好ましい実施形態では、透析液速度の変化に起因するクリアランスまたはクリアランスの特性値で予測される変化量は、向流および並流における、透析液の透析液速度の、クリアランスまたはクリアランスの特性値の依存性に表される相関関係に基づいて計算され、そしてクリアランスまたはクリアランスの特性値における実際の変化量は、透析液速度の変化前後で測定されるクリアランスまたはクリアランスの特性値から計算される。向流および並流における、クリアランスまたはクリアランスの特性値における実際の変化量と、クリアランスまたはクリアランスの特性値における変化の予測値との比較に基づいて、続いて判定は向流または並流についてなされる。様々な評価方法は、クリアランスにおける実際の変化と計算された変化とを比較するために使用することができる。
【0025】
好ましい実施形態では、向流に対する、クリアランスまたはクリアランスの特性値における実際の変化量と、クリアランスまたはクリアランスの特性値における変化の予測値との間の差の量、および並流に対する、クリアランスまたはクリアランスの特性値における実際の変化量と、クリアランスまたはクリアランスの特性値における変化の予測値との間の差の量が計算される。続いて、並流に対する差の量が向流に対する差の量よりも小さい場合、並流であると判定され、一方、向流に対する差の量が並流に対する差の量よりも小さい場合、向流であると判定される。その結果、クリアランスで測定された変化が、並流作動または向流作動の予測値に近いかどうかが確認される。
【0026】
クリアランスまたはクリアランスの特性値を測定するための測定ユニットは、好ましくは、透析液チャンバに流入する透析液の物理的および/または化学的特性を変更する手段と、透析液チャンバから流出する透析液の物理的および/または化学的特性を測定する手段とを有する。物理的および/または化学的特性は、好ましくは、透析液中の物質の濃度であり、物理的および/または化学的特性を測定する手段は、物質濃度を測定するための手段である。透析器の流れ方向を検出するためには、原則的にどの物理的および/または化学的特性が変更されるかは重要ではない。好ましくは、Na濃度が変更される。
【0027】
物質量は、体外血液処理装置の透析液調製において容易に変更されることができる。物質の濃度は、いずれの場合においても、既知の血液処理装置に一般的に存在する既知のセンサを用いて測定されることができる。したがって、本発明に係る方法および本発明に係る装置は、公知の血液処理装置において容易に実施することができる。
【0028】
物質濃度の変化の代わりに、クリアランスはクリアランスの特性値を測定する測定ユニット、例えば血液中の電磁放射線の吸収(UV範囲、可視範囲内、またはIR範囲内であり得る)を用いて測定することもできる。
【0029】
さらに好ましい実施形態では、流れ方向を決定した後、演算および評価ユニットは向流における作動状態または並流における作動状態を示す信号(データ)を発生する。この信号(データ)は、外部ユニットに送信することができる。特に好ましい実施形態では、信号は作動状態を表示する表示ユニットに送信される。しかしながら、信号は機械制御システムへの介入を実行するために、血液処理装置の中央制御ユニットが受信する制御信号であってもよい。機械制御システムへの介入は、血液処理が実行されないようにし得る。それにより、透析器の適切な接続の場合にのみ血液処理が可能であることが保証される。しかしながら、機械制御システムへの介入は透析器が正しく作動できるように流れ方向を逆転させることも可能である。また、信号は透析器の誤った接続の場合に警報を発するために警報信号であってもよい。
【0030】
本発明の第1および第2の態様は、流れの方向を確認するために独立した基準、または組み合わせ、として使用することができる。好ましくは、両方の態様は流れ方向を確認するために互いに組み合わされる。まず、クリアランスが特定の限界値を上回っているかどうかを第1の態様に従って、確認することができる。この場合には、第2の態様に係る確認を省略することができる。しかしながら、第2の態様に係る確認は第1の態様に係る確認の検証またはその逆の動作として働くことができる。
【0031】
本発明の実施形態は、図面を参照して以下に記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1図1は、体外血液処理装置の必須の構成要素の非常に簡略化した概略図である。
図2図2は、並流および向流における透析器の作動のための透析液速度の変更の場合におけるクリアランスの相対的変化を示す。
【0033】
図1は、本発明の体外血液処理装置に必須の構成要素のみの非常に単純化された概略図である。この実施形態では、体外血液処理装置の透析器を通る流体流れの方向を検出するための装置は、血液処理装置の構成要素である。しかしながら、透析器を通る流れの方向を検出するための装置は、別個のユニットを構成することもできる。
【0034】
本実施形態に係る血液透析装置である体外血液処理装置は、半透膜2によって血液チャンバ4と透析液チャンバ3に分離された透析器1を有する。血液チャンバ4は、第1ポート4Aおよび第2ポート4Bを有し、一方透析液チャンバ3は、第1ポート3Aおよび第2ポート3Bを有する。
【0035】
この流体システムは、模式的にのみ示されている装置5を有しており、それによって、新鮮な透析液が水および濃縮物から生成される。新鮮な透析液を調製するための装置5は、特に濃縮組成物の増加において、濃縮ボーラスを生成するために、迅速な変更を許容する。
【0036】
新鮮な透析液を調製するための装置5は、第1透析液ライン6を経由して透析液チャンバ3の第1ポート3Aに接続される。透析液ポンプ8が接続される第2透析液ライン7は、透析液チャンバ3の第2ポート3Bから出口9へ導く。血液処理装置のこの部分は、透析液システムIを構成する。
【0037】
血液ポンプ11が接続された動脈血ライン10は、患者から血液チャンバ4の第1ポート4Aに至り、一方、患者に戻る静脈血ライン12は、血液チャンバ4の第2ポート4Bから出る。血液処理装置のこの部分は、体外血液回路IIを構成する。
【0038】
体外血液処理中、透析液は透析液チャンバ3を通って流れ、血液は血液チャンバ4を通って流れる。このプロセスでは、透析液および血液は透析器1の膜2に沿って流れる。処理の有効性を上げるために、透析器1は、一般に向流で作動される。そのプロセスにおいて、透析液および血液は膜に沿って反対方向に流れる。しかしながら、透析器は原理的に並流で作動されることもできる。
【0039】
血液処理装置は、制御ライン8’,11’を経由して透析液ポンプ8および血液ポンプ11に接続される中央制御ユニット13を有する。
【0040】
第1および第2透析液ライン6,7は、透析器1が接続されるホースラインである。図示されていないコネクタ、特に、一般に色分けされたハンセンカップリングは、ホースライン6,7を透析器1のポート3A,3Bに接続する役割を果たす。
【0041】
本実施形態における透析器1を通る流れの方向を検出するための装置は、データライン15を経由して血液処理装置の中央制御ユニット13に接続される、演算および評価ユニット14を有する血液処理装置の構成要素である。しかしながら、演算および評価ユニット14は、中央制御ユニット13の構成要素であってもよい。また、流れ方向を検出するための装置は、特定量によって透析液速度を変更するための制御ユニットを有しており、この実施形態では血液処理装置の中央制御ユニット13の構成要素であるが、別個のユニットであってもよい。
【0042】
透析液システムIは、バルブ16A,16B,16C,16Dの配置を有する流れ方向を逆転させるための装置16を備えることができる。バルブは、血液処理装置の中央制御ユニット13によって制御ライン16A’,16B’,16C’,16D’を経由して制御される電磁気的または空気圧的に動作されるバルブであることが好ましい。
【0043】
バルブ16Aは、第1透析液ライン6に配置され、第2バルブ16Bは第2透析液ライン7に配置される。第1ライン分岐6Aは、第1バルブ16Aの上流で、第1透析液ライン6から分岐し、第2バルブ16Bの上流側の第2透析液ライン7に接続される。第3バルブ16Cは、第1ライン分岐6Aに接続される。第2ライン分岐6Bは、第1バルブ16Aの下流で、第1透析液ライン6から分岐し、第2バルブ16Bの下流側の第2透析液ライン7に接続される。第4バルブ16Dは、第2ライン分岐6Bに接続される。このプロセスでは、バルブの「上流」および「下流」という用語は、流体流れが反転していないときの流れの方向に関する。
【0044】
通常の作動では、透析器1は向流で作動される。この目的のために、中央制御ユニット13は、第1および第2バルブ16A,16Bを開き、第3および第4バルブ16C,16Dを閉じる。従って、第1ポート3Aが入口であり、第2ポート3Bが透析液チャンバ3の出口である。流れ方向を逆転するために、制御ユニット13は、第1および第2バルブ16A,16Bを閉じ、第3および第4バルブ16C,16Dを開く。続いて、第1ポート3Aが出口であり、第2ポート3Bが透析液チャンバ3の入口である。
【0045】
透析器の流れ方向を検出するための装置は、クリアランスを測定するための測定ユニットを有し、その測定ユニットは透析液の物理的および/または化学的特性を測定する手段を有する。本実施形態において、透析液の物理的および/または化学的特性は、透析液中の物質の濃度、例えばナトリウム濃度である。物理的および/または化学的特性を測定するために、第1センサ17Aおよび第2センサ17Bを含む手段17が設けられる。Na濃度を決定するために、第1センサ17Aは透析器1の上流側の第1透析液ライン6の透析液の導電率を測定し、第2センサ17Bは透析器1の下流側の第2透析液ライン7の透析液の導電率を測定する。センサ17A,17Bは、データライン17A’,17B’を経由して演算および評価ユニット14に接続される。
【0046】
また、表示ユニット18Aおよび警報ユニット18Bが設けられ、データ線19Aおよび19Bを経由して演算および評価ユニット14に接続される。表示ユニット18Aは、並流または向流における透析器の作動を表示する。警報ユニット18は、透析器1の不正確な作動が確認された場合に警報を発する。
【0047】
最初に、透析器を通る流れの方向の検出の理論的原理を説明する。
【0048】
向流作動において、有効な透析器パラメータ(物質移動係数)KAは、透析液流Qd,0および血液(水)流Qbwが分かっているときの拡散クリアランスKdiff,1の第1測定値から計算することができる(Sargent/Gotch “Principlies and Biophysics of Dialysis” in “Replacement of Renal Function by Dialysis”):
【数1】
【0049】
並流作動では、対応する相関関係は、
【数2】
【0050】
である。
【0051】
物質移動係数KAは、透析液流Qの変化した場合に一定に維持すると仮定すると、ΔQによる透析液流における変化の場合、拡散クリアランス
【数3】
【0052】
の予測値は、向流作動および並流作動の両方が直ちに計算される:
【数4】
【0053】
【数5】
【0054】
本発明に係る装置および本発明に係る方法は、血液透析(HD)のための流れ方向を検出するためだけでなく、血液透析ろ過(HDF)のためにも使用することができる。希釈前または希釈後を有するHDF処理の場合、測定から決定される全クリアランスKからクリアランスの拡散割合が抽出される。これは、下記式を用いることが可能であり、式(1)から(4)は、HDF手順にも適用することができる。
【数6】
【0055】
bwは血液水流、Qは血流、Qは透析液流、Qはろ液流、Qは置換物流を意味する。
【0056】
血液透析ろ過(HDF)の一般的なケースは、Gross, Maierhofer et al. “Online clearance measurement in high-efficiency hemodiafiltration” (Kidney International (2007) 72, 1550-1553)に詳細に記載されている。
【0057】
下記透析液速度Qd,0+ΔQにおける拡散クリアランスKdiff,2の第2の決定、並流作動および向流作動のための拡散クリアランスΔKdiff=Kdiff,2−Kdiff,1の実際の変化は、並流作動および向流作動のための予測される変化
【数7】
【0058】
と直ちに比較される。
【数8】
【0059】
図2は、血液透析処理(HD)のための、並流↑↑における作動および向流↓↑における透析器1の作動に関する、特定の500ml/分の元の透析液速度Qおよび300ml/分の特定の血流量Qから−200ml/分、−100ml/分(減少)および+300ml/分(増加)による、透析液速度における変化の場合のクリアランスにおける相対的変化を示す。元の透析液速度500ml/分でのクリアランスKが、x軸に入力される。クリアランスKの決定された値は、60〜200ml/分である。並流での透析器の作動に関する実際の血液処理の場合、185ml/分の限界値以上のクリアランス値はもはや達成できないことが分かる。さらに、並流での作動に関する透析液速度の変化の場合におけるクリアランスの相対的変化量は、常に向流よりも大きいことが分かる。
【0060】
300−1200ml/分の物質移動係数KAを有する、血液透析において典型的に使用される透析器において、少なくとも150ml/分のクリアランスKもまた、透析液速度Qの変更前に並流に予想される。したがって、この例では、−200および+300ml/分(300および800ml/分に)の透析液速度Qの変化の場合、並流と向流の間のクリアランス変化の差異は、導電率に基づくクリアランス決定の許容誤差外である。
【0061】
中央制御ユニット13と演算および評価ユニット14は、流れの方向を検出するための本発明に係る方法の個々のステップが実行されるように構成される。
【0062】
本実施形態では、透析器1が向流で作動されるようにすることを想定している。従って、向流作動は通常の作動である。これは、本実施形態において確認されるべきである。
【0063】
血液処理のために特定される、特定の血流量Qおよび特定の透析液速度Qd,0の場合、測定ユニットは拡散クリアランスKdiff,1を測定する。この目的のために、透析器の透析液回路Iの上流側における新鮮な透析液を準備するために、装置5における濃度組成物の短期変化によって、濃縮液ボーラスが生成され、これは透析器1の測定ユニットの上流側および下流側のセンサ17Aおよび17Bによって測定される。ボーラスの値が既知である場合、透析器1の上流側のセンサ17Aは省略することもできる。続いて、測定ユニットは、確認された測定値からクリアランスKdiff,1を計算する。測定値からのクリアランスの計算は、従来技術の一部(DE3938662A1、DE19747360A1)を形成する。
【0064】
まず、演算および評価ユニット14は、測定されたクリアランスKdiff,1と特定の限界値とを比較し、それは160ml/分以上、好ましくは175ml/分以上、最も好ましくは185ml/分以上である。クリアランスKdiff,1が限界値を超える場合、このようなクリアランスの高い値は並流作動で達成することができないので、演算および評価ユニット14は向流での作動と判定するが、続いて再び確認し得る。さもなければ、並流作動が判定され、同様に再び確認し得る。
【0065】
透析液速度Qが直ちに特定量だけ変更され、すなわち透析液速度Qが増減され、血流量Qが維持される。透析液速度Qの変更後、クリアランスKdiff,2が測定ユニットによって再び測定される。
【0066】
測定値Kdiff,1およびKdiff,2は、演算および評価ユニット14のメモリ(図示せず)に保存される。測定値Kdiff,1およびKdiff,2から、演算および評価ユニット14は、向流における透析器1の作動を想定した場合の血流量Qを維持しながら、特定量ΔQからQd,0+ΔQによって、Qの透析液速度の変化による、クリアランスΔ(Kdiff↓↑における変化量を計算する:
【数9】
【0067】
透析液速度Qの変化前後のクリアランス測定に基づいて、クリアランスの変化量Δ(Kdiff↓↑を決定した後、クリアランス変化の予測値は、向流
【数10】
【0068】
の場合と並流
【数11】
【0069】
の場合の両方が計算される。
【0070】
この目的のために、まず、透析器1の物質移動係数KAが、事前に測定されたクリアランスKdiff,1、調整された透析液速度Qd,0と血流量Q、および血液水流Qbwから、向流の式(1)および並流の式(2)によって計算される。
【0071】
次いで、透析液流の変更後の向流のクリアランス
【数12】
【0072】
の予測値は、特定量ΔQからQd,0+ΔQへ増加された透析液速度、未変更の血流量Q、血液水流Qbw、および式(3)による事前に決定された物質移動係数KAから計算され、透析液流の変更後の並流のクリアランス
【数13】
【0073】
の予測値は、特定量ΔQからQd,0+ΔQへ増加された透析液速度、未変更の血流量Q、血液水流Qbw、および式(4)による事前に決定された物質移動係数KAから計算される。
【0074】
次いで、演算および評価ユニット14は、向流でのクリアランスにおける予測された変化量を決定するために、透析液速度の変更後の向流のクリアランス
【数14】
【0075】
の予測値と、透析液速度の変更前の測定されたクリアランスとの差の量を計算し、そして並流でのクリアランスにおける予測された変化量を決定するために、透析液速度の変更後の並流のクリアランス
【数15】
【0076】
の予測値と、透析液速度の変更前の測定されたクリアランスとの差の量を計算する。
【0077】
次いで、演算および評価ユニット14は、向流の場合の、クリアランスにおける測定された変化とクリアランスにおける変化の予測値との間の差の量を計算し、そして並流の場合の、クリアランスにおける測定された変化とクリアランスにおける変化の予測値との間の差の量を計算する。
【0078】
次いで、2つの差分値が互いに比較される。もし、向流の差の量が並流の差の量よりも小さい場合、演算および評価ユニット14は、向流における作動であると判定し、それは、本実施形態において所望の作動である。一方、もし並流の差の量が向流の差の量よりも小さい場合、並流における作動であると判定され、それは、本実施形態において所望の作動でなく、すなわち、それは誤った状態だろう。
【0079】
さらに、演算および評価ユニット14は、作動状態を示す制御信号を発生させ、表示ユニット18Aが受信し、向流または並流における作動を表示する。
【0080】
透析器1が透析液ライン6,7に正しく接続されていない場合、すなわち、ポートが混在している場合、演算および評価ユニット14は制御信号を発生し、警報ユニット18Bが受信する。そして、警報ユニット18Bは警報を発する。また、演算および評価ユニット14は制御信号を発生し、中央制御部13が受信する。続いて、制御ユニット13は、
機械制御システムへの介入を実行する。この介入は、血液処理の実行が中断されることがある。あるいは、対応するバルブ16A-16Dを動作させることによって流れの方向を反転させることが可能であり、そのため透析器は実際には向流で作動される。
以下に、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[C1]
半透膜(2)によって互いに分離される、血液が流れる血液チャンバ(4)と、透析液が流れる透析液チャンバ(3)とを備える透析器(1)を通る流体流れの方向を検出するための装置であって、流体流れの方向を検出するための前記装置はクリアランスまたはクリアランスの特性値を測定するための測定ユニットを備え、
測定されたクリアランスまたはクリアランスの特性値が特定の限界値と比較され、クリアランスまたはクリアランスの特性値が特定の限界値よりも大きい場合、血液チャンバを通る血流および透析液チャンバを通る透析液流の方向が、向流であると判定するように構成される、演算および評価ユニット(13)が備えられることを特徴とする装置。
[C2]
半透膜(2)によって互いに分離される、血液が流れる血液チャンバ(4)と、透析液が流れる透析液チャンバ(3)とを備える透析器(1)を通る流体流れの方向を検出するための装置であって、流体流れの方向を検出するための前記装置は、
特定量によって、透析器(1)の透析液チャンバ(3)を通る透析液の流量を変更するための制御ユニット(14)、および
透析液速度の変化前後における、クリアランスまたはクリアランスの特性値を測定するための測定ユニット(5;14;17A,17B)
を備え、
値が特定量による透析液速度の変化に起因する、クリアランスまたはクリアランスの特性値の変化に基づいて、向流または並流における、血液チャンバ(4)を通る血流および透析液チャンバ(3)を通る透析液流の方向を判定するように構成される、演算および評価ユニット(14)が備えられることを特徴とする装置。
[C3]
前記演算および評価ユニット(14)は、
透析液速度の変化に起因する、クリアランスまたはクリアランスの特性値で予測される変化量は、向流および並流における透析液流に対する透析液速度の、クリアランスまたはクリアランスの特性値の依存性を表す相関関係に基づいて計算され、
クリアランスまたはクリアランスの特性値における実際の変化量は、透析液速度の変化前後で測定されるクリアランスまたはクリアランスの特性値から計算され、並びに
向流または並流は、向流および並流におけるクリアランスまたはクリアランスの特性値における実際の変化量の、クリアランスまたはクリアランスの特性値における変化の予測値との比較に基づいて判定されるように構成されることを特徴とするC2に記載の装置。
[C4]
前記演算および評価ユニット(14)は、
向流に対する、クリアランスまたはクリアランスの特性値における実際の変化量とクリアランスまたはクリアランスの特性値における変化の予測値との間の差の量、および
並流に対する、クリアランスまたはクリアランスの特性値における実際の変化量とクリアランスまたはクリアランスの特性値における変化の予測値との間の差の量が計算され、
並流に対する前記差の量が向流に対する前記差の量よりも小さい場合、並流であると判定され、並びに
向流に対する前記差の量が並流に対する前記差の量よりも小さい場合、向流であると判定されるように構成されることを特徴とするC3に記載の装置。
[C5]
前記クリアランスまたは前記クリアランスの特性値を測定するための前記測定ユニット(5;14,17A,17B)は、
前記透析液チャンバ(3)に流入する透析液の物理的および/または化学的特性を変更するための手段(5)、および
前記透析液チャンバ(3)から流出する透析液の物理的および/または化学的特性を測
定するための手段(17B)を備えることを特徴とするC1〜4のいずれか1項に記載の装置。
[C6]
前記物理的および/または化学的特性は、前記透析液中の物質の濃度であり、前記物理的および/または化学的特性を測定するための前記手段(17A,17B)が、前記物質の濃度を測定するための手段であることを特徴とするC5に記載の装置。
[C7]
前記演算および評価ユニット(14)は、前記流れの方向を決定した後に、前記演算および評価ユニット(14)が、向流における作動状態、または並流における作動状態を示す信号を発生するように構成されることを特徴とするC1〜6のいずれか1項に記載の装置。
[C8]
表示ユニット(18B)は、前記作動状態を表示するために設けられることを特徴とするC7に記載の装置。
[C9]
半透膜(2)によって血液チャンバ(4)と透析液チャンバ(3)とに分けられる、透析器(1)の血液チャンバ(4)を含む体外血液回路(II)を備え、さらに前記透析液チャンバ(3)を含む透析液システム(I)を備える体外血液処理装置であって、C1〜8のいずれか1項に記載の流体流れの方向を検出するための装置を有することを特徴とする体外血液処理装置。
[C10]
半透膜(2)によって互いに分離される、血液が流れる血液チャンバ(4)と、透析液が流れる透析液チャンバ(3)とを有する透析器(1)を通る流体流れの方向を検出するための方法であって、
クリアランスまたはクリアランスの特性値が測定され、そして測定されたクリアランスまたはクリアランスの特性値が特定の限界値と比較され、クリアランスまたはクリアランスの特性値が特定の限界値より大きい場合、前記血液チャンバ(4)を通る血流および前記透析液チャンバ(3)を通る透析液流の方向が、向流であると判定されることを特徴とする方法。
[C11]
半透膜(2)によって互いに分離される、血液が流れる血液チャンバ(4)と、透析液が流れる透析液チャンバ(3)とを有する透析器(1)を通る流体流れの方向を検出するための方法であって、
前記透析器(1)の前記透析液チャンバ(3)を通る前記透析液の流量は、特定量によって、および特定量による透析液速度の変化に起因するクリアランスまたはクリアランスの特性値の変化に基づいて、変更され、向流または並流における、前記血液チャンバ(4)を通る血流および前記透析液チャンバ(3)を通る透析液流の方向が判定されることを特徴とする方法。
[C12]
透析液速度の変化に起因する、クリアランスまたはクリアランスの特性値で予測される変化量は、向流および並流における、透析液流のための透析液速度の、クリアランスまたはクリアランスの特性値の依存性を表す相関関係に基づいて計算され、
クリアランスまたはクリアランスの特性値は、透析液速度の変化前後で測定され、そしてクリアランスまたはクリアランスの特性値における実際の変化量は、透析液速度の変化前後で測定されるクリアランスまたはクリアランスの特性値から計算され、並びに
向流または並流の流れは、向流および並流における、クリアランスまたはクリアランスの特性値における実際の変化量の、前記クリアランスまたは前記クリアランスの前記特性値における予測値との比較に基づいて判定されることを特徴とするC11に記載の方法。
[C13]
向流に対する、クリアランスまたはクリアランスの特性値における実際の変化量と、クリアランスまたはクリアランスの特性値における変化の予測値との間の差の量、および
並流に対する、クリアランスまたはクリアランスの特性値における実際の変化量と、クリアランスまたはクリアランスの特性値における変化の予測値との間の差の量が計算され、
並流に対する前記差の量が向流に対する前記差の量よりも小さい場合に、並流であると判定され、並びに
向流に対する前記差の量が並流に対する前記差の量よりも小さい場合に、向流であると判定されることを特徴とするC12に記載の方法。
[C14]
前記クリアランスまたは前記クリアランスの前記特性値を測定するために、前記透析液チャンバに流入する前記透析液の物理的および/または化学的特性が変更され、前記透析液チャンバから流出する前記透析液の前記物理的および/または化学的特性が測定されることを特徴とするC10〜13のいずれか1項に記載の方法。
[C15]
前記物理的および/または化学的特性は、前記透析液中の物質濃度であり、前記物質濃度は測定されることを特徴とするC14に記載の方法。
[C16]
前記流れの方向を決定した後に、向流における作動状態、または並流における作動状態を示す信号が発生されることを特徴とするC10〜15のいずれか1項に記載の方法。
[C17]
向流における前記作動状態、または並流における前記作動状態が表示されることを特徴とするC16に記載の方法。
図1
図2