(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
さらなるコンポーネントとして、安定剤、重合安定剤、色素、抗菌活性成分、フッ化物イオン放出添加剤、光学的光沢剤、蛍光剤、UV吸収剤、破壊靱性を改善するための物質、および/または効果剤から選択される少なくとも1種の添加剤を含む、請求項1〜11のうちの一項に記載の歯科用材料。
【背景技術】
【0002】
例えば、セメントとして、または直接充填材として使用される歯科用材料は、一般に、重合性有機マトリックス、および通常、重合性接着促進剤で表面改質されている1種または複数のフィラーを含有する。フィラー含有量は、使用目的に決定的に依存し、最大で90wt%であり得、固定セメントは、充填材と比較してより低いレベルの充填物を有する。重合性有機マトリックスは通常、樹脂モノマー、開始剤コンポーネント、安定剤、および顔料の混合物を含有する。重合性マトリックスおよびフィラーを含有する歯科用材料は、コンポジットと呼ばれる。重合性マトリックスは、樹脂とも呼ばれる。
【0003】
ジメタクリレートの混合物が、通常、モノマーとして使用される。これらの広く使用されている例は、高粘性ジメタクリレート、2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシプロピル)フェニル]プロパン(ビス−GMA)、および1,6−ビス−[2−メタクリロイルオキシ−エトキシカルボニルアミノ]−2,2,4−トリメチルヘキサン(UDMA)、ならびに希釈モノマーとして使用されるより低粘度のジメタクリレート、ビス−(3−メタクリロイルオキシメチル)トリシクロ[5.2.1.0
2,6]デカン(TCP)、デカンジオール−1,10−ジメタクリレート(D
3MA)、およびトリエチレングリコールジメタクリレート(TEGDMA)である。重合中に、ジメタクリレートは、形成して、したがって改善された機械的な安定性をもたらすポリマー鎖の3次元架橋を生じさせる。
【0004】
材料は通常、ラジカル重合のための開始剤も含有し、光開始剤を含有する光硬化性材料が今日の歯科充填療法において支配的な位置を占める。
【0005】
光硬化性材料の不利点は、特に、硬化に要求される光が、最大で限られた深さまでしか材料中に透過することができないので、より大きい充填物のフィッティングはかなりの費用を連想させることである。いわゆるインクリメンタル技法では、したがって充填物は、層状にコンポジット材料で構築されており、層は、各場合においておよそ2mmの厚さを有し、個々に硬化される。
【0006】
最近、4〜5mmの層厚を可能にするいわゆる「バルクフィル」コンポジットが、可能な時間節約に起因して大きな関心を引き付けている。大きな全体硬化深さがこれらの材料の臨床的適合性にとって必須である。これはとりわけ、材料の半透明性と相関し、半透明性は、樹脂マトリックスの屈折率およびフィラーの屈折率によって決定的に影響される。コンポジットでは、高い半透明性、およびしたがって良好な全体硬化深さは、使用される有機マトリックスおよびフィラーが整合する屈折率を有するとき実現され得る。
【0007】
現在使用されているバルクフィル充填用コンポジットは、硬化前後の高い半透明性を特徴とする。これは、全体硬化深さに関しては利点であるが、これの不利点は、高い半透明性に起因して、コンポジットがこれらの下にある象牙質を不十分にマスクすることであり、それは、象牙質の色が目に見える歯のエナメル質のものと異なるという美的理由で望ましくない。
【0008】
さらなる問題は、重合中に蓄積し、層厚が増大するにつれて増大する重合収縮応力(PCS)である。さらなる困難は、PCSが光硬化中に特に高いことである(Bragaら、Dent. Mater.、21巻(2005年)、962〜970頁)。
【発明を実施するための形態】
【0016】
ラジカル重合性歯科用材料の調製では、多官能性モノマーが、高い機械的強度を保証するために主に使用される。しかしこれらは、粘度が3次元ネットワークの形成に起因して急速に増大し、重合収縮を材料の粘性流動によってもはや補償することができないという結果を伴うという不利点を有する。これの結果は、高い重合収縮応力(PCS)である。他方では、高粘度は、ラジカル反応の速度に関しては有利であり、その理由は、高粘度が材料の高速硬化を促進するためである。したがって、PCSを低減し、同時に、高い反応速度を実現することは困難である。
【0017】
さらに、歯科用材料の硬化において、重合中の体積縮小は、決定的に重要であり、その理由は、重合収縮が充填用コンポジット中にわずかなギャップを形成し得るためである。しかし、正確には、高い体積縮小を有するモノマーは、重合中の屈折率の大きな増大を示し、それは、半透明性の求められている低減に関しては有利である。
【0018】
モノマーの組合せ、およびモノマー混合物の屈折率のフィラーの屈折率との整合によって、名前を挙げたパラメータに対する理想的な妥協案が実現され得ることが本発明によって判明した。未硬化状態では、材料は、高い半透明性を有し、したがって厚い層の硬化も可能にする。半透明性は、硬化中に低下し、象牙質の固有の色はマスクされ、歯のエナメル質に対する光学適合が実現されるという結果を伴う。
【0019】
本発明による材料は、コンポーネント(b)として、少なくとも1種の単官能性モノマー、または単官能性モノマーと多官能性モノマーとの混合物を好ましくは含有する。単官能性モノマーは、ネットワーク形成に影響する。単官能性モノマーとは、1個のラジカル重合性基を有する化合物を意味し、多官能性モノマーとは、2個またはそれ超、好ましくは2〜4個、特に、2個のラジカル重合性基を有する化合物を意味する。
【0020】
例えば、N−エチルアクリルアミドなどのN−一置換アクリルアミドを単官能性モノマーとして使用することができる。本発明による好適な単官能性モノマーは、モノメタクリレートである。特に好適な単官能性メタクリレートは、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、およびイソボルニルメタクリレート、p−クミル−フェノキシエチレングリコールメタクリレート(CMP−1E)、ならびにこれらの混合物であり、かなり特に好適なのは、ベンジルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、またはイソボルニルメタクリレート、CMP−1E、およびこれらの混合物である。CMP−1Eが最も好適である。
【0021】
例えば、N−二置換アクリルアミド、例えば、N,N−ジメチルアクリルアミドなど、およびビスアクリルアミド、例えば、N,N’−ジエチル−1,3−ビス(アクリルアミド)−プロパン、1,3−ビス(メタクリルアミド)−プロパン、1,4−ビス(アクリルアミド)−ブタン、または1,4−ビス(アクリロイル)−ピペラジンなどを、多官能性モノマー(a)および任意選択で(b)として使用することができる。本発明によれば、多官能性メタクリレート、特に、二官能性メタクリレート、例えば、1,6−ビス−[2−メタクリロイルオキシ−エトキシカルボニルアミノ]−2,2,4−トリメチルヘキサン(UDMA;2−ヒドロキシエチルメタクリレートおよび2,2,4−トリメチル−ヘキサメチレンジイソシアネートの付加生成物)、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、またはテトラエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリトリトールテトラメタクリレート、ならびにグリセロールジメタクリレートおよびグリセロールトリメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,10−デカンジオールジメタクリレート(D
3MA)、1,12−ドデカンジオールジメタクリレート、ならびにこれらの混合物などが好適である。
【0022】
特に好適なジメタクリレートは、ビスフェノール−A−ジメタクリレート、2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシプロピル)フェニル]プロパン(ビス−GMA;メタクリル酸およびビスフェノール−A−ジグリシジルエーテルの付加生成物)、エトキシ化ビスフェノール−A−ジメタクリレートまたはプロポキシ化ビスフェノール−A−ジメタクリレート、例えば、ビスフェノール−A−ジメタクリレート 2−[4−(2−メタクリロイルオキシエトキシエトキシ)フェニル]−2−[4−(2−メタクリロイルオキシエトキシ)フェニル]プロパン)(SR−348c、Sartomer;3個のエトキシ基)、および2,2−ビス[4−(2−メタクリロキシプロポキシ)フェニル]プロパンなど、ビス−(3−メタクリロイルオキシメチル)トリシクロ[5.2.1.0
2,6]デカン(TCP)、ならびにこれらの混合物である。かなり特に好適な多官能性モノマーは、2,2−ビス[4−(2−メタクリロキシプロポキシ)フェニル]プロパン、ビス−GMA、SR−348c、TCP、およびこれらの混合物である。
【0023】
本発明によれば、未硬化状態において、1.50〜1.70、好ましくは1.50〜1.60の屈折率を有するモノマーおよびモノマー混合物が好適であり、モノマー混合物の場合では、1.50〜1.70、特に、1.50〜1.60の屈折率を有するモノマーを排他的に含有するこれらの混合物が特に好適である。本発明によって使用されるフィラーと組み合わされるとき、高い半透明性を有するコンポジットペーストが得られる。好適なモノマーは、これらの重合中に屈折率の大きい変化を示し、それにより半透明性が明らかに低減し、ここで、10vol%未満、特に、5〜9vol%の重合収縮を有するモノマーが好適である。別段に示されていない限り、ここでの重合収縮は、ISO標準17304:2013年に従って判定される。
【0024】
分子がより多くの電子を含有するほど、およびこれらの電子がより分極性であるほど、モノマーの屈折率はより高い。ポリマーの屈折率は、密度とともに、および結晶性の増大とともに増大し、有機ポリマーの場合では、1.29〜1.73である(H.−G. Elias、Makromolekuele − Anwendungen von Polymeren、4巻、6版、Wiley−VCH、Weinheim、2003年、513〜515頁を参照)。純粋に脂肪族のメタクリレートまたは脂環式のメタクリレートは通常、1.50未満の屈折率を有し、ただし、より高い原子番号を有する元素、例えば、硫黄または臭素は、含有されていない。例えば、UDMAは、1.485(ポリマー1.510)の、TEGDMAは、1.461(ポリマー1.508)の屈折率(n
D)を有する。対照的に、芳香族モノマーは、1.50より上のn
D値を示し、したがってコンポーネント(a)および(b)として好適である。例えば、プロポキシ化ビス−GMAの屈折率は、1.54であり、CMPE−1Eの屈折率は、1.5525(ポリマー1.5793)である。重元素、例えば、硫黄、臭素、またはヨウ素などを組み込むことによって、屈折率をさらに増大させることができる。異なる屈折率を有するモノマーを混合することによって、モノマー混合物の屈折率を、使用されるフィラーの屈折率に適合させることができる。
【0025】
さらに、0〜30wt%、特に好ましくは5〜30wt%、かなり特に好ましくは10〜25wt%の量で少なくとも1種の低揮発性モノメタクリレートと、好ましくは5〜50wt%、特に好ましくは10〜35%の量で少なくとも1種の高粘性二官能性メタクリレートと、好ましくは5〜30wt%、特に好ましくは8〜25%の量で少なくとも1種の低粘度ジメタクリレートとを含有するこれらのモノマー混合物が好適である。これらのパーセンテージは、モノマー混合物の全質量に対するものである。名前を挙げたモノマーを排他的に含有するモノマー混合物が特に好適である。ここでも、すべての場合において、1.50〜1.70の屈折率および/または10vol%未満、特に、5〜9vol%の重合収縮(ΔV
p)を有するモノマーが好適である。
【0026】
本発明によれば、低揮発性モノマーとは、標準圧で150℃超の沸点を有する化合物を意味する。沸点は、例えば、蒸留装置を使用して判定することができる。高粘性モノマーとは、5Pa・s以上、好ましくは5〜10,000Pa・s、特に好ましくは5〜2,000Pa・sの粘度を有する物質を意味し、低粘度モノマーとは、3Pa・s以下、好ましくは100〜3,000mPa・s、特に好ましくは500〜2,000mPa・sの粘度を有する物質を意味し、粘度は、25℃の温度で毛細管粘度計(低粘度)または回転式粘度計(高粘性)を使用して判定される。
【0027】
かなり特に好適なのは、モノメタクリレートCMP−1E(ΔV
P=7.3vol%、n
D=1.5525)と、高粘性ビス−GMA(η=およそ800Pa・s、ΔV
P=6.1vol%、n
D=1.549)ならびに低粘度モノマーSR−348c(η=550〜1700mPa・s、ΔV
P=5.9vol%、n
D=1.536)および/またはTCP(η=およそ1200mPa・s、ΔV
P=6.4vol%、n
D=1.501)との混合物である。これらの混合物は、特に低い細胞毒性を特徴とする。
【0028】
本発明による材料は、1種または複数の酸性モノマーもさらに含有し得る。4−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメリット酸などの重合性カルボン酸;ホスホン酸モノマー、例えば、2−メタクリロイルオキシエチルホスホン酸、2−メタクリルアミドエチルホスホン酸、4−メタクリルアミド−4−メチル−ペンチル−ホスホン酸、2−[4−(ジヒドロキシホスホリル)−2−オキサ−ブチル]−アクリル酸、2−[4−(ジヒドロキシルホスホリル)−2−オキサ−ブチル]−アクリル酸エチルおよび2−[4−(ジヒドロキシルホスホリル)−2−オキサ−ブチル]−アクリル酸−2,4,6−トリメチルフェニルエステル;ならびに、重合性リン酸エステル、例えば、2−メタクリロイルオキシエチルジヒドロゲンホスフェート、10−メタクリロイルオキシデシルジヒドロゲンホスフェート、6−(メタクリルアミド)ヘキシルジヒドロゲンホスフェート、および1,3−ビス−(N−アクリロイル−N−プロピル−アミノ)−プロパン−2−イル−ジヒドロゲンホスフェートが、酸性モノマーとして特に適している。特に適当な酸性モノマーは、4−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメリット酸、2−[4−(ジヒドロキシホスホリル)−2−オキサ−ブチル]−アクリル酸エチルまたは2−[4−(ジヒドロキシホスホリル)−2−オキサ−ブチル]−アクリル酸−2,4,6−トリメチルフェニルエステル、および10−メタクリロイルオキシデシルジヒドロゲンホスフェートである。酸性モノマーは、材料の歯への接着を改善し、したがってとりわけ、自己接着性コンポジットセメントを調製するために使用される。酸性モノマー含有量は、好ましくは、0〜15wt%、特に好ましくは1〜15wt%(モノマーの全質量に対して)の範囲内である。
【0029】
屈折率は、使用される光の波長、温度、圧力、および物質の純度に依存する材料定数である。別段に示されていない限り、屈折率とは、黄色Na D線の光(λ=589nm)を用いて20℃で測定される屈折率(n
D20、または略してn
D)をここでは意味する。液体モノマーおよびモノマー混合物の屈折率は、市販のアッベ屈折計を使用して判定することができる。
【0030】
固体物質、例えば、無機フィラー粉末またはポリマー粉末などの屈折率は、浸漬方法に従って判定される。物質は、異なる屈折率を有する液体(いわゆる浸漬液)中に20℃で分散される。液体と固体との間の屈折率の差異が大きいほど、より明らかに固形粒子の輪郭が現れる。液体の屈折率が次に変更され、その結果それが固体の屈折率とより近くなる場合、粒子の輪郭は、より弱くなり、屈折率が等しくされたとき完全に消失する。公知の屈折率を有する液体、例えば、サリチル酸ベンジル(n
D20=1.536)およびトリアセチン(n
D20=1.431)またはブロモナフタレン(n
D20=1.657)の混合物が、浸漬液として適している。これらの物質の量の比を変更することによって、混合物の屈折率を測定される固体の屈折率に適合させることができる。屈折率が整合するとき、浸漬液の屈折率は、屈折計を使用して判定される。
【0031】
ベッケ線を観察することによって(ベッケ線試験)、固体および浸漬液の屈折率が整合するか否かを確立することが可能である。これは、境界表面の焦点がぼけるとき現れる光の輝線である。試験される固体は、公知の屈折率を有する液体中に配置され、単色光を用いて顕微鏡下で観察される。試験片および液体が異なる屈折率を有する場合、狭い明るい輪(ベッケ線)が各粒子周辺に現れ、この輪は、焦点を合わせている間移動する。このプロセスは、これ以上ベッケ線が発生せず、したがって試験片および液体の屈折率が整合するまで、異なる屈折率を有する異なる液体中で繰り返される。
【0032】
第1の実施形態によれば、本発明による材料は、フィラー(複数可)(d)であって、フィラーおよびマトリックスの屈折率が上述したように定義される、フィラー(複数可)(d)、ならびに任意選択で可視光を散乱させず、したがって半透明性に影響しないフィラーを排他的に含有する。他のフィラーは、存在しない。
【0033】
第2の実施形態によれば、本発明による材料は、フィラー(d)に加えてさらに、マトリックスの屈折率より0.02〜多くとも0.155、好ましくは0.03〜0.055低い屈折率を有する1種または複数のフィラー(e)を含有する。したがってフィラー(e)は、フィラー(d)より低い屈折率を有する。フィラー混合物を、フィラー(e)として同様に使用することができ、フィラー(e)には、n
Dマトリックス−n
Dフィラー(e)=0.02〜0.155、好ましくは0.03〜0.055の範囲内の屈折率を有するすべてのフィラーが含まれる。
【0034】
同じフィラー含有量でフィラー(d)およびフィラー(e)を組み合わせることによって、重合中の半透明性の低減を強化することができることが判明した。重合中の半透明性の低減は、フィラーの量、および屈折率同士間の差異の増大に依存する。フィラーの量がより多い、または差異の増大がより大きい場合では、半透明性は、より著しく低下する。フィラー(e)の添加は、半透明性の低減を制御するさらなる可能性を開く。主フィラーと比較してその屈折率が低いほど、フィラー(e)の効果が大きい。
【0035】
フィラー(e)の屈折率は、フィラー(d)の屈折率より低いので、未硬化モノマー混合物の屈折率からの差異は、より大きく、フィラー(e)は、未硬化材料の半透明性を低減することができるという結果を伴う。この理由で、フィラーの総量中のフィラー(e)の割合は、15wt%を超えないべきである。フィラー(e)の量は、好ましくは、フィラーの総量に対して0〜15wt%、特に好ましくは0〜10wt%、かなり特に好ましくは0〜5wt%、特に、1〜5wt%の範囲内である。
【0036】
第2の実施形態によれば、フィラー(複数可)(d)および(e)、ならびに任意選択で可視光を散乱させず、したがって半透明性に影響しないフィラーを排他的に含有するこれらの材料が、本発明によって好適である。他のフィラーは、存在しない。
【0037】
フィラー(d)、および任意選択でフィラー(e)、ならびに可視光を散乱させず、したがって半透明性に影響しないフィラーに加えて、さらなる実施形態によれば、本発明による材料は、これらのカテゴリーのいずれの中にも入らない軽微な割合のフィラー(フィラーf)も含有することができる。
【0038】
フィラー(f)として、例えば、X線不透過性などの標的化された様式で材料のある特定の性質に影響するように機能を果たすフィラーが主に使用される。これらは、所望の効果を実現するのに必要な量のみで添加される。
【0039】
このようなフィラーは、硬化中の半透明性の低減に対して不利な効果を有し得る。フィラー(f)の屈折率がマトリックスの屈折率より高い場合、重合中、モノマー混合物の屈折率は、フィラー(d)および(e)の場合と異なって、フィラーの屈折率により近くなり、屈折率同士間の差異がより小さくなるという結果を伴う。この場合、フィラー(f)は、フィラー(d)および(e)の効果を中和する。したがってフィラーの総量におけるフィラー(f)の割合は、好ましくは、0〜15.5wt%、特に好ましくは0〜9.7wt%、かなり特に好ましくは0〜5.1wt%の範囲内である。フィラー(f)は、異なるフィラーの混合物であり得る。フィラー(e)および(f)の総量は、好ましくは、フィラーの総量に対して多くとも35wt%である。
【0040】
フィラー(f)の屈折率は、好ましくは、マトリックスの屈折率より多くとも0.055高い。特に好ましくは、フィラー(f)の屈折率n
Dフィラー(f)は、(n
Dマトリックス−0.02)<n
Dフィラー(f)<(n
Dマトリックス+0.055)の範囲内であり、フィラー(f)は、他のフィラーカテゴリーの1つの中に入らないフィラーのみを含む。
【0041】
すべての実施形態では、各場合において可視光を散乱させず、半透明性に影響しないフィラーの量は、好ましくはフィラーの総量に対して0〜10wt%、特に好ましくは0〜1.8wt%の範囲内である。
【0042】
フィラー(d)、(e)、および(f)は、各場合において、以下で定義される材料から選択される。フィラー群への割り当ては、屈折率、およびマトリックスの屈折率からのその差異に基づく。
【0043】
本発明による歯科用材料は、有機フィラー、または好ましくは無機フィラー、または有機−無機フィラーを含有することができ、粒状フィラーが好適である。好適な無機粒状フィラーは、0.01〜15μm、好ましくは0.10〜5.0μmの平均粒径を有するX線不透過ガラス;0.050〜2.0μm、好ましくは0.10〜1.0μmの平均粒径を有する三フッ化イッテルビウムなどのX線不透過フィラー;5〜500nm、好ましくは20〜200nmの平均粒径を有するSiO
2、ZrO
2、ZnOおよび/またはTiO
2の混合酸化物;5〜500nm、好ましくは20〜200nmの平均粒径を有するナノ粒子状フィラー、例えば、酸化タンタル(V)、硫酸バリウム、またはSiO
2の酸化イッテルビウム(III)もしくは酸化タンタル(V)との混合酸化物、の粉末である。
【0044】
有機−無機フィラーとは、これらの一部について、無機フィラーで充填されているポリマー粒子を意味する。5〜100μm、好ましくは10〜50μmの平均粒径を有する有機−無機フィラーが好適である。有機−無機フィラーの場合では、硬化されるポリマーマトリックスの屈折率は、好ましくは、それがその中に含有されている無機フィラーの屈折率と整合し、フィラー粒子がマトリックス中で高い半透明性を有するという結果を伴うように選択される。
【0045】
有機−無機フィラーは、好ましくは、ジメタクリレート混合物およびフィラーに基づくコンポジットペーストの熱硬化によって調製される。ビス−GMA、UDMA、およびD
3MAが、ジメタクリレートとして好ましくは使用される。X線不透過ガラスフィラーおよび/または三フッ化イッテルビウムが、好ましくは、フィラーとして機能を果たす。重合されるモノマー混合物の屈折率は、好ましくは、それが、使用される主なフィラーの屈折率に対応するように設定される。次いで熱重合物は、粉砕され、粉末として使用される。
【0046】
すべての粒径は、重量平均である。光散乱は、粒径が低減するにつれて低減するが、小さい粒径を有するフィラーは、より大きい増粘効果を有する。本発明によれば、したがって、100nm〜5μmの範囲内、特に、200nm〜2μmの範囲内の粒径を有するフィラーが好適である。
【0047】
X線不透過ガラスは、好ましくは1.51〜1.55の屈折率を有し、YbF
3は、1.545の屈折率を有し、例えば、有機−無機フィラーなどの残りのフィラーの屈折率は、好ましくは1.48〜1.54の範囲内である。
【0048】
名前を挙げたフィラーに加えて、材料は、好ましくは50nm未満、特に好ましくは40nm未満の粒径を有するフィラーを含有し得る。粒径は、好ましくは、10〜50nm、特に好ましくは10〜40nmの範囲内である。これらの小さい粒径のために、これらのフィラーは、可視光を散乱させず、したがって半透明性に対する影響を有さない。これらのフィラーの好適な例は、焼成シリカおよび沈殿シリカである。これらは、およそ1.46の屈折率を有する。
【0049】
フィラーは、特に、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランを使用して、特に好ましくはシラン化によって好ましくは表面改質されている。シラン化は、フィラーの屈折率に対して測定可能な影響を有さない。
【0050】
本発明による歯科用材料は、重合性マトリックスの屈折率とフィラーの屈折率との間の差異の増大に帰されることになる重合中の半透明性の低減を示す。これは、モノマー(複数可)の屈折率およびフィラーの屈折率が整合されることを必要とする。モノマーの、またはモノマー混合物の、および1種または複数のフィラーの、タイプ、量、および屈折率は、好ましくは、材料が重合前に15〜80%、好ましくは20〜75%の半透明性を有するように選択される。硬化された材料の半透明性を判定するために、ポリマーまたはコンポジットの試験片(20mmの直径および1mmの厚さを有する丸いディスク)が調製され、分光光度計で、比色測定で測定される(透過中の色測定、波長360〜740nm)。未硬化材料の場合では、コンポジットペーストまたはモノマー混合物が、1mmの層厚を有するガラス容器内で、比色測定で測定される。Minolta製のCM−5分光光度計が、半透明性を判定するのに好ましくは使用される。
【0051】
本発明による歯科用材料は、好ましくは、20〜80wt%、特に好ましくは40〜80wt%の1種または複数のX線不透過ガラスを含有する。フッ化イッテルビウムは、0〜40wt%、特に好ましくは0〜30wt%の量で好ましくは使用され、混合酸化物は、好ましくは、0〜70wt%、特に好ましくは0〜40wt%の量で使用される。有機−無機フィラー、いわゆるコンポジットフィラーまたはアイソフィラー(isofueller)は、0〜50wt%、特に好ましくは0〜30wt%の量で好ましくは使用される。49〜61wt%の1種または複数のX線不透過ガラス、2.5〜6wt%のYbF
3、0〜10wt%の混合酸化物(複数可)、および7〜17wt%のアイソフィラーを含有する材料が、かなり特に好適である。すべてのフィラーの総量は、好ましくは、5〜90wt%、特に好ましくは10〜85wt%、かなり特に好ましくは40〜80wt%の範囲内である。すべての量は、材料の全質量に対するものである。
【0052】
好ましくは、名前を挙げたフィラーの混合物が使用されるとき、X線不透過ガラスとフッ化イッテルビウムとの重量比は、10:0〜10:2の範囲内であり、X線不透過ガラスと混合酸化物との重量比は、10:0〜10:5の範囲内であり、X線不透過ガラスと有機−無機フィラーとの重量比は、10:0〜1:1の範囲内である。フィラーの全質量に対して少なくとも50wt%の少なくとも1種のX線不透過ガラスを含有するフィラー混合物が特に好適である。
【0053】
本発明による組成物は、好ましくは、青色光(400〜500nmの波長範囲)を用いた照射によって、好ましくはLEDランプまたはハロゲンランプを用いた照射によって硬化される。このために、材料は、好ましくは、指定波長範囲内で活性である少なくとも1種の光開始剤を含有する。
【0054】
好適な光開始剤は、とりわけα−ジケトン、例えば、9,10−フェナントレンキノン、1−フェニル−プロパン−1,2−ジオン、ジアセチルもしくは4,4’−ジクロロベンジル、またはこれらの誘導体、特に好ましくはカンファーキノン(CQ)およびその誘導体、ならびにこれらの混合物の光増感剤である。
【0055】
光開始剤は、好ましくは、促進剤と組み合わせて使用される。第三級アミン、例えば、第三級芳香族アミン、特に、N,N−ジアルキルアニリン、N,N−ジアルキル−p−トルイジン、またはN,N−ジアルキル−3,5−キシリジン、p−(N,N−ジアルキルアミノ−フェニルエタノール、p−(N,N−ジアルキルアミノ−安息香酸誘導体、p−(N,N−ジアルキルアミノ−ベンズアルデヒド、p−(N,N−ジアルキルアミノ−フェニル酢酸エステル、およびp−(N,N−ジアルキルアミノ−フェニルプロピオン酸エステルなどが、促進剤として特に適している。これらの具体例は、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−3,5−テトラメチルアニリン、N,N−ジメチルアミノ−p−ベンズアルデヒド、p−(ジメチルアミノ)−安息香酸エチルエステル、またはp−(ジメチルアミノ)ベンゾニトリルである。第三級脂肪族アミン、例えば、トリ−n−ブチルアミン、ジメチルアミノエタン−2−オール、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジメチルベンジルアミンなど、または複素環式アミン、例えば、1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジンなど、およびアミノ酸誘導体、例えば、N−フェニルグリシンなども適している。
【0056】
例えば、自己接着性コンポジットなどの酸性モノマーを含有する組成物では、例えば、スルフィン酸およびスルフィネート、ボレート、エノレート、ホスフィン、または活性水素原子を含有する他の化合物、例えば、モルホリン誘導体もしくは1,3−ジオキソランなどの複素環式化合物などのアミンフリー促進剤が好ましくは使用される。
【0057】
特に好適な光開始剤は、アシルゲルマニウム化合物またはビスアシルゲルマニウム化合物、特に、EP1905413A1に開示されたモノアシルトリアルキルゲルマニウム化合物およびビスアシルジアルキルゲルマニウム化合物、例えば、ベンゾイルトリメチルゲルマニウム、ビスベンゾイルジエチルゲルマニウム、またはビス−(4−メトキシベンゾイル)ジエチルゲルマニウムなどである。アシルゲルマニウム化合物およびビスアシルゲルマニウム化合物は、これらが照射後にこれらの色を失い(漂白効果)、したがって硬化された材料の透明性を損なわないという利点を有する。さらに、これらは、単分子光開始剤であり、すなわち、これらは、これらの完全な活性を実現するために促進剤を必要としない。
【0058】
さらなる特に好適な光開始剤は、アシルホスフィンオキシドまたはビスアシルホスフィンオキシド、特に、EP0007505、EP0073413、EP0184095、およびEP0615980に記載の化合物である。好適な例は、市販の化合物2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド(Lucirin(登録商標)TPO、BASF)およびビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(Irgacure(登録商標)819、Ciba)である。アシルホスフィンオキシドおよびビスアシルホスフィンオキシドは同様に、単分子光開始剤の群に属し、低自己吸収を特徴とする。
【0059】
任意選択で、本発明によって使用される組成物は、さらなる添加剤、とりわけ安定剤、例えば、重合安定剤、色素、抗菌活性成分、フッ化物イオン放出添加剤、光学的光沢剤、蛍光剤、UV吸収剤、破壊靱性を改善するための物質、および/または効果剤などを含有し得る。
【0060】
本発明による歯科用材料は、好ましくは、60秒超、特に好ましくは80秒〜300秒の光感受性を有する。光感受性とは、材料が、例えば、歯科医の手術用光などの周囲光による早すぎる硬化を伴うことなく処理され得る時間を意味する。光感受性は、ISO4049:2000年:「Dentistry − Polymer−based filling, restorative and luting materials」に従って判定される。このために、材料試料は、重合の開始まで8000lxでキセノンランプを使用して照射される。光感受性は、重合の開始までの秒での時間である。60秒の光感受性で、材料は、キセノンランプ下で60秒後に硬化し始める。光感受性は、重合防止剤、好ましくは嫌気性阻害剤の添加を介して設定することができる。
【0061】
さらに、本発明による歯科用材料は、好ましくは、100%〜500%Al、特に好ましくは150%〜300%AlのX線不透過性を有する。X線不透過性は、上記に名前を挙げたISO標準4049に従って同様に判定される。重合された歯科用材料からの試験片が、1mmのステップ高さを有するアルミニウムステップウェッジと一緒に、X線カメラを使用して撮影される。画像の黒化の程度が比較され、X線不透過性が%Alで示され、100%のX線不透過性は、1mmのアルミニウムの黒化に対応する。X線不透過性は、X線不透過フィラー、例えば、X線不透過ガラスまたはフッ化イッテルビウム(III)の量を介して設定することができる。X線不透過性は、歯科医が、例えば、X線写真上の充填物を検出することを可能にする充填用コンポジットの重要な臨床的性質である。
【0062】
本発明によれば、
(1)1〜50wt%、好ましくは5〜40wt%、かなり特に好ましくは5〜25wt%の多官能性ラジカル重合性モノマー(複数可)、
(2)1〜20wt%、好ましくは2〜15wt%、かなり特に好ましくは3〜10wt%のさらなるラジカル重合性モノマー(複数可)、
(3)0.01〜5.0wt%、好ましくは0.1〜3.0wt%、かなり特に好ましくは0.1〜2.0wt%の光開始剤、
(4)5〜90wt%、好ましくは10〜85wt%、かなり特に好ましくは40〜80wt%のフィラー(複数可)、および任意選択で
(5)0.1〜5.0wt%、好ましくは0.1〜2.0wt%、かなり特に好ましくは0.2〜1.5wt%の添加剤(複数可)
を含有するこれらの歯科用材料が特に好適である。
【0063】
別段に示されていない限り、ここでのすべての値は、歯科用材料の全質量に対するものである。フィラーの量は、すべてのフィラーの総量を含み、個々のフィラーコンポーネントの量は、上記に定義した通りである。
【0064】
名前を挙げた物質からなるこれらの歯科用材料が特に好適である。さらに好適なのは、各場合における個々の物質が上記で名前を挙げた好適な物質および特に好適な物質から選択されるこれらの材料である。
【0065】
本発明による歯科用材料は、歯科用セメント、充填用コンポジット、コーティング材料、およびベニアリング材料として、ならびにインレー、アンレー、クラウン、およびブリッジを製造するための材料として、かなり特にいわゆるバルクフィルコンポジットとして特に適している。バルクフィルコンポジットとは、3mm超、好ましくは4mm超、特に、4〜5mmの層厚でさえ光で硬化され得る歯科用充填材を意味する。これらも、1〜2層のみを有するより大きい歯の充填物の調製を可能にする。
【0066】
歯科用材料は、主に、損傷した歯を修復するための歯科医による口腔内用途に適している(臨床的材料)。しかしこれらは、口腔外で、例えば、歯科修復物の製造または修理において使用することもできる(技術的材料)。
【0067】
本発明を、実施例を参照して以下でさらに詳細に記載する。
【実施例】
【0068】
(実施例1〜3)
光硬化性コンポジット材料の調製
表1に記載したモノマー混合物を有するコンポジットを調製した。コンポジットの組成を表2に示す。コンポーネントを、混練機(Linden)またはミキサー(Speedmixer、FlackTek Inc.)を使用して互いに混合した。コンポジットの半透明性を判定するために、各場合において、硬化した試験片を調製し(丸形、φ20mm、h=1mm)、分光光度計(CM−5分光光度計、Minolta)を使用して比色測定で測定した。重合を、LEDランプ(Bluephase、Ivoclar Vivadent AG、1000mW/cm
2で10秒)を使用して実施した。曲げ強さおよび全体硬化深さをISO4049:2009年:Dentistry − polymer−based restorative materialsに従って測定した。重合収縮(vol%)は、ISO17304:2013年に従って判定した。曲げ率を、曲げ強さの測定曲線の勾配から公知の様式で計算した。コンポジットペーストの判定された性質を表3に示す。
【0069】
実施例1は、低半透明性(高不透過度)を有する硬化したコンポジットを、高い半透明性を有するコンポジットペーストから、大きい全体硬化深さで調製することができることを示す。実施例2は、重合中の半透明性の低減の効果を、低屈折率ガラスフィラー(G018−090)を添加することによって明らかに強化することができることを示す。実施例3のコンポジットは、性質の有利な組合せを有する。
【表1】
【表2】
【表3】
本発明の実施形態は例えば以下を含む。
(項目1)
ラジカル重合性歯科用材料であって、
(a)少なくとも1種の多官能性ラジカル重合性モノマー、
(b)単官能性であっても多官能性であってもよい少なくとも1種のさらなるラジカル重合性モノマー、
(c)ラジカル重合のための少なくとも1種の光開始剤、および
(d)少なくとも1種のフィラー
を含み、
前記モノマー(a)および前記モノマー(b)の混合物が、1.50〜1.70の屈折率を有すること、ならびに硬化前の前記モノマー混合物の屈折率が、使用される前記フィラーの屈折率に対応するか、または最大で0.013、より高く、および硬化後に、前記フィラー(d)の屈折率より少なくとも0.02高いことを特徴とする、
ラジカル重合性歯科用材料。
(項目2)
コンポーネント(b)として、少なくとも1種の単官能性モノマー、好ましくはメタクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、もしくはイソボルニルメタクリレート、p−クミル−フェノキシエチレングリコールメタクリレート(CMP−1E)、またはこれらの混合物を含む、項目1に記載の歯科用材料。
(項目3)
コンポーネント(a)および/または(b)として、少なくとも1種の多官能性メタクリレート、1,6−ビス−[2−メタクリロイルオキシ−エトキシカルボニルアミノ]−2,2,4−トリメチルヘキサン(2−ヒドロキシエチルメタクリレートおよび2,2,4−トリメチル−ヘキサメチレンジイソシアネートの付加生成物)、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、もしくはテトラエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリトリトールテトラメタクリレート、グリセロールジメタクリレートおよびグリセロールトリメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,10−デカンジオールジメタクリレート(D3MA)、1,12−ドデカンジオールジメタクリレート、ならびにこれらの混合物、ビスフェノール−A−ジメタクリレート、2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシプロピル)フェニル]プロパン(メタクリル酸およびビスフェノール−A−ジグリシジルエーテルの付加生成物)、エトキシ化ビスフェノール−A−ジメタクリレートもしくはプロポキシ化ビスフェノール−A−ジメタクリレート、2−[4−(2−メタクリロイルオキシエトキシエトキシ)フェニル]−2−[4−(2−メタクリロイルオキシエトキシ)フェニル]プロパン)、2,2−ビス[4−(2−メタクリロキシプロポキシ)フェニル]プロパン、もしくはビス−(3−メタクリロイルオキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、またはこれらの混合物を含む、項目1または2に記載の歯科用材料。
(項目4)
コンポーネント(a)および/またはコンポーネント(b)として、1.50〜1.70の屈折率を有するモノマーを排他的に含む、前記項目の一項に記載の歯科用材料。
(項目5)
好ましくは5〜30wt%の量で少なくとも1種の低揮発性モノメタクリレートと、好ましくは5〜50wt%の量で少なくとも1種の高粘性二官能性メタクリレートと、好ましくは5〜30wt%の量で少なくとも1種の低粘度ジメタクリレートとを含み、これらのパーセンテージは、各場合における前記モノマー混合物の全質量に対するものである、前記項目の一項に記載の歯科用材料。
(項目6)
前記フィラー(d)に加えて、さらなるフィラー(e)を含み、その屈折率は、前記モノマー(a)および(b)の前記混合物の前記屈折率より、0.02〜多くとも0.155、好ましくは0.03〜0.055低い、前記項目の一項に記載の歯科用材料。
(項目7)
フィラーの総量における前記フィラー(e)の割合が、0〜15wt%である、項目6に記載の歯科用材料。
(項目8)
前記フィラー(d)および任意選択でフィラー(e)、ならびに可視光を散乱させず、半透明性に影響しないフィラーに加えて、フィラーの総量に対して多くとも15.5wt%の、これらのカテゴリーのいずれの中にも入らないフィラーを含む、前記項目の一項に記載の歯科用材料。
(項目9)
前記さらなるフィラーの屈折率が、前記モノマー(a)および(b)の前記混合物の前記屈折率より多くとも0.055高い、項目8に記載の歯科用材料。
(項目10)
フィラーとして、0.01〜15μmの平均粒径を有する粉状X線不透過ガラス、X線不透過フィラー、三フッ化イッテルビウム、混合酸化物であって、SiO2、ZrO2、ZnO、および/もしくはTiO2の混合酸化物、ナノ粒子状酸化タンタル(V)、硫酸バリウム、SiO2の酸化イッテルビウム(III)もしくは酸化タンタル(V)との混合酸化物、焼成シリカもしくは沈殿シリカ、有機ポリマー粉末、有機−無機フィラー、またはこれらの混合物を含む、前記項目の一項に記載の歯科用材料。
(項目11)
コンポーネント(c)として
− 任意選択で促進剤と組み合わせて、α−ジケトン、9,10−フェナントレンキノン、1−フェニル−プロパン−1,2−ジオン、ジアセチルもしくは4,4’−ジクロロベンジル、またはこれらの誘導体、カンファーキノン(CQ)またはその誘導体、あるいはこれらの混合物、および/あるいは
− アシルゲルマニウム化合物またはビスアシルゲルマニウム化合物、および/あるいは
− アシルホスフィンオキシドまたはビスアシルホスフィンオキシド
を含む、前記項目の一項に記載の歯科用材料。
(項目12)
さらなるコンポーネントとして、安定剤、重合安定剤、色素、抗菌活性成分、フッ化物イオン放出添加剤、光学的光沢剤、蛍光剤、UV吸収剤、破壊靱性を改善するための物質、および/または効果剤から選択される少なくとも1種の添加剤を含む、前記項目の一項に記載の歯科用材料。
(項目13)
(1)1〜50wt%、好ましくは5〜40wt%、かなり特に好ましくは5〜25wt%の多官能性ラジカル重合性モノマー(複数可)、
(2)1〜20wt%、好ましくは2〜15wt%、かなり特に好ましくは3〜10wt%のさらなるラジカル重合性モノマー(複数可)、
(3)0.01〜5.0wt%、好ましくは0.1〜3.0wt%、かなり特に好ましくは0.1〜2.0wt%の光開始剤、
(4)5〜90wt%、好ましくは10〜85wt%、かなり特に好ましくは40〜80wt%のフィラー(複数可)、および任意選択で
(5)0.1〜5.0wt%、好ましくは0.1〜2.0wt%、かなり特に好ましくは0.2〜1.5wt%の添加剤(複数可)
を含む、前記項目の一項に記載の歯科用材料。
(項目14)
歯科用セメント、充填用コンポジット、コーティング材料、ベニアリング材料、またはバルクフィルコンポジットとして使用するための、前記項目の一項に記載の歯科用材料。
(項目15)
インレー、アンレー、クラウン、またはブリッジを製造するための、項目1から13の一項に記載の歯科用材料の使用。