特許第6573975号(P6573975)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6573975
(24)【登録日】2019年8月23日
(45)【発行日】2019年9月11日
(54)【発明の名称】電流遮断装置及びこれを備える蓄電装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/34 20060101AFI20190902BHJP
   H01M 2/26 20060101ALI20190902BHJP
【FI】
   H01M2/34 A
   H01M2/26 A
【請求項の数】7
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-521766(P2017-521766)
(86)(22)【出願日】2016年5月11日
(86)【国際出願番号】JP2016064058
(87)【国際公開番号】WO2016194571
(87)【国際公開日】20161208
【審査請求日】2017年11月17日
(31)【優先権主張番号】特願2015-110316(P2015-110316)
(32)【優先日】2015年5月29日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(73)【特許権者】
【識別番号】000101879
【氏名又は名称】イーグル工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】特許業務法人快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】弘瀬 貴之
(72)【発明者】
【氏名】栗田 幹也
(72)【発明者】
【氏名】大井手 竜二
(72)【発明者】
【氏名】岩 俊昭
(72)【発明者】
【氏名】小川 義博
(72)【発明者】
【氏名】光安 淳
(72)【発明者】
【氏名】秋吉 騎慎
【審査官】 小森 重樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−108503(JP,A)
【文献】 特開平11−176417(JP,A)
【文献】 特開2014−002901(JP,A)
【文献】 特開2014−086319(JP,A)
【文献】 特開2015−028882(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/34
H01M 2/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と蓋部を備えるケース内に収容され、
前記ケースに収容される電極組立体と前記ケースの前記蓋部に設けられる電極端子とを電気的に接続された導通状態から、電気的に非接続となる非導通状態にする電流遮断装置であって、
前記電極組立体に電気的に接続される通電板と、
前記通電板と対向して配置され、前記電極端子に電気的に接続される第1変形板と、
前記通電板と前記第1変形板との間に配置される絶縁部材と、
を備えており、
前記通電板は、中央部と、該中央部を取り囲む外周部を有しており、
前記第1変形板は、前記導通状態においては前記通電板と前記中央部において当接して電気的に接続している一方で、前記非導通状態においては前記通電板から離間して前記通電板と電気的に非接続となり、
前記通電板の中央部の上面は、前記導通状態において、前記蓋部の平面方向と平行に広がる平面状に形成されており、
前記通電板の外周部は、前記中央部の境界から外側に広がる傾斜部と、前記傾斜部の外側に配置されており、前記傾斜部の外周端から前記平面方向と平行に広がる水平部と、を有しており、
前記絶縁部材は、環状に形成されており、前記通電板に対して前記水平部のみで接しており、
前記導通状態において前記通電板及び前記第1変形板を前記平面方向に沿って見ると、前記傾斜部の上面は、前記中央部から離れるにしたがって前記第1変形板との距離が長くなるように、前記中央部から前記水平部に向かって傾斜しており、
前記通電板は、前記導通状態から前記非導通状態となるときに、前記通電板の中央部と外周部の間で破断し、前記中央部が前記第1変形板と共に移動する、電流遮断装置。
【請求項2】
前記通電板と前記第1変形板との間には、前記第1変形板に対して付勢力を付与する部材が介在していない、請求項1に記載の電流遮断装置。
【請求項3】
前記通電板の前記傾斜部と前記第1変形板との間には、前記ケース内の空気のみが存在する、請求項1に記載の電流遮断装置。
【請求項4】
前記通電板は、前記傾斜部において板厚が一定である、請求項1〜のいずれか一項に記載の電流遮断装置。
【請求項5】
前記通電板に対して前記第1変形板とは反対側に配置されているとともに、前記通電板の中央部に向かって突出している突起が設けられている第2変形板をさらに備えており、
前記第2変形板は、前記導通状態においては前記突起が第1位置に位置して前記通電板と前記第1変形板とが当接している第1状態であり、前記非導通状態においては前記突起が前記第1位置から前記通電板側の第2位置に移動して前記通電板と前記第1変形板とを離間させる第2状態となる、請求項1〜のいずれか一項に記載の電流遮断装置。
【請求項6】
前記第2変形板は、前記導通状態において、前記突起を有する中心部と、前記通電板の傾斜部と対向する第2対向部とを有しており、
前記導通状態において前記通電板及び前記第2変形板を前記平面方向に沿って見ると、前記第2変形板の前記第2対向部の上面は、前記中心部から離れるにしたがって前記通電板の傾斜部との距離が短くなるように傾斜しており、
前記傾斜部の下面と前記中央部の下面とのなす角度は、前記中心部の上面と前記第2対向部の上面とのなす角度よりも小さい、請求項に記載の電流遮断装置。
【請求項7】
請求項1からのいずれか一項に記載の電流遮断装置を備える蓄電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2015年5月29日に出願された日本国特許出願第2015−110316号に基づく優先権を主張する。その出願の全ての内容はこの明細書中に参照により援用される。本明細書に開示の技術は、電流遮断装置およびこれを備える蓄電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
日本国特許公開公報第2011−150966号に開示の密閉型電池は、電池の内圧が上昇したときに、通電経路を遮断する防爆機構を有している。この防爆機構は、ダイアフラムと、ダイアフラムに接続された接続板と、接続板に溶接された接続リードとを有している。電池の内圧が上昇すると、ダイアフラムが変形して、ダイアフラムと接続板とが分離して、電極群と電極端子との電気的接続が遮断される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
日本国特許公開公報第2011−150966号の密閉型電池では、防爆機構が作動することで、電極群と電極端子との電気的接続を遮断するため、過充電等を防止することができる。しかしながら、この密閉型電池では、防爆機構の作動後、ダイアフラムが自重により接続板側に変位し、ダイアフラムと接続板とが接触して、再導通してしまう虞がある。本明細書は、簡易な構造でありながら、電流遮断後の再導通を防止することができる電流遮断装置及びこれを備える蓄電装置を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本明細書に開示する電流遮断装置は、ケース内に収容され、ケースに収容される電極組立体とケースに設けられる電極端子とを電気的に接続された導通状態と、電気的に非接続となる非導通状態とに切換える。電流遮断装置は、電極組立体に電気的に接続される通電板と、通電板と対向して配置され、電極端子に電気的に接続される第1変形板とを備えている。通電板は、中央部と、該中央部を取り囲む外周部を有している。第1変形板は、導通状態においては通電板と中央部において当接して電気的に接続している一方で、非導通状態においては通電板から離間して通電板と電気的に非接続となる。通電板の中央部の上面は、導通状態において、第1方向及び該第1方向に直交する第2方向に広がる平面状に形成されている。通電板の外周部は、中央部の境界から外側に広がる傾斜部を有している。導通状態において通電板及び第1変形板を第1方向又は第2方向に沿って見ると、傾斜部の上面は、中央部から離れるにしたがって第1変形板との距離が長くなるように傾斜している。
【0005】
上記の電流遮断装置では、第1方向又は第2方向に沿って見ると、通電板の傾斜部の上面と、第1変形板との距離が、通電板の中央部から離れるに従って長くなるように形成されている。このため、非導通状態においては、通電板と第1変形板との距離を十分に確保することができ、通電板と第1変形板とが再接触することを抑制できる。これにより、通電板と第1変形板とが再導通してしまうことを抑制することができる。
【0006】
また、本明細書は、上記の電流遮断装置を備える蓄電装置を開示する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施例1の蓄電装置の縦断面図。
図2図1の破線部200aの拡大図であり、実施例1の電流遮断装置の導通状態を示す図。
図3】実施例1の電流遮断装置の変形例を示す拡大図。
図4図2の電流遮断装置の作動後の状態(非導通状態)を示す拡大図(図1の破線部200aに対応する図)。
図5】実施例2の蓄電装置に装備される電流遮断装置の拡大図(図1の破線部200aに相当)。
図6】実施例3の蓄電装置の縦断面図。
図7図6の破線部400aの拡大図であり、実施例3の電流遮断装置の導通状態を示す図。
図8】実施例4の蓄電装置に装備される電流遮断装置の拡大図(図6の破線部400aに相当)。
図9】実施例5の蓄電装置に装備される電流遮断装置の拡大図(図6の破線部400aに相当)。
図10】実施例6の蓄電装置に装備される電流遮断装置の拡大図(図2の破線部200aに相当)。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に説明する実施例の主要な特徴を列記しておく。なお、以下に記載する技術要素は、それぞれ独立した技術要素であって、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。
【0009】
(特徴1) 本明細書に開示する電流遮断装置では、第1変形板は、導通状態において通電板の中央部と当接する当接部と、通電板の傾斜部と対向する第1対向部を有しており、導通状態において通電板及び第1変形板を第1方向又は第2方向に沿って見ると、第1変形板の第1対向部の下面は、当接部から離れるにしたがって通電板の傾斜部との距離が長くなるように傾斜していてもよい。このような構成によると、電流遮断装置の作動後に、通電板と第1変形板との距離をさらに確保することができるため、通電板と第1変形板とが再導通することをより抑制することができる。
【0010】
(特徴2) 本明細書に開示する電流遮断装置では、通電板は、傾斜部において板厚が一定であってもよい。このような構成によると、通電板の成形が容易となり、コスト及び成形時間を軽減することができる。
【0011】
(特徴3) 本明細書に開示する電流遮断装置は、通電板に対して第1変形板とは反対側に配置されているとともに、通電板の中央部に向かって突出している突起が設けられている第2変形板をさらに備えていてもよい。第2変形板は、導通状態においては突起が第1位置に位置して通電板と第1変形板とが当接している第1状態と、非導通状態においては突起が第1位置から通電板側の第2位置に移動して通電板と第1変形板とを離間させる第2状態とに切り替えられてもよい。
【0012】
(特徴4) 本明細書に開示する電流遮断装置では、第2変形板は、導通状態において突起を有する第2中央部と、通電板の傾斜部と対向する第2対向部とを有していてもよい。また、導通状態において通電板及び第2変形板を第1方向又は第2方向に沿って見ると、第2変形板の第2対向部の上面は、第2中央部から離れるにしたがって通電板の傾斜部との距離が短くなるように傾斜していてもよい。傾斜部の下面と中央部の下面とのなす角度は、中心部の上面と第2対向部の上面とのなす角度よりも小さくされていてもよい。
【0013】
(特徴5) 本明細書に開示する電流遮断装置では、通電板の外周部は、傾斜部の外周縁から外側に広がる平坦部をさらに有していてもよい。また、通電板の中央部の上面と平坦部の上面とが略平行となっていてもよい。
【0014】
(特徴6) 本明細書に開示する電流遮断装置では、第1変形板の第1対向部は、さらに通電板の平坦部と対向していてもよい。
【実施例1】
【0015】
以下、実施例1の蓄電装置100について説明する。図1に示すように、蓄電装置100は、ケース1と、ケース1に収容された電極組立体3と、ケース1に固定された電極端子としての端子5、7とを備えている。電極組立体3と端子5、7とは電気的に接続されている。また、蓄電装置100は、電極組立体3と端子7との間に配置された電流遮断装置10を備えている。ケース1の内部には、電解液が注入されており、電極組立体3は、電解液に浸漬している。なお、図1で示す断面図は、後述する通電板20及び第1変形板30の中心を通る断面を示すものである。
【0016】
ケース1は金属製であり、略直方体形状の箱型部材である。ケース1は、本体111と、本体111に固定された蓋部112とを備えている。蓋部112は、本体111の上部を覆っている。蓋部112には、開口部81、82が形成されている。端子5は、開口部81を介してケース1の内外に通じており、端子7は、開口部82を介してケース1の内外に通じている。
【0017】
電極組立体3は、正極シートと、負極シートと、正極シートと負極シートとの間に配置されたセパレータとを備えている。電極組立体3は、複数の正極シート、複数の負極シート及び複数のセパレータが積層されて構成されている。正極シート及び負極シートは、集電部材と、集電部材上に形成されている活物質層とを備えている。集電部材としては、正極シートに用いられるものは例えばアルミ箔であり、負極シートに用いられるものは例えば銅箔である。また、電極組立体3は、正極集電タブ41及び負極集電タブ42を備えている。正極集電タブ41は、正極シートの上端部に形成されている。負極集電タブ42は、負極シートの上端部に形成されている。正極集電タブ41及び負極集電タブ42は、電極組立体3の上方に突出している。正極集電タブ41は正極リード43に固定されている。負極集電タブ42は負極リード44に固定されている。
【0018】
正極リード43は、正極集電タブ41と端子5とに接続されている。正極リード43を介して、正極集電タブ41と端子5とが電気的に接続されている。正極リード43とケース1との間には、絶縁部材72が配置されている。絶縁部材72は、正極リード43とケース1の蓋部112とを絶縁している。
【0019】
負極リード44は、負極集電タブ42と接続端子46とに接続されている。接続端子46は、電流遮断装置10を介して端子7に電気的に接続されている。よって、負極リード44、接続端子46及び電流遮断装置10を介して、負極集電タブ42と端子7とが電気的に接続されている。これにより、電極組立体3と端子7とを接続する通電経路が形成されている。電流遮断装置10は、この通電経路を遮断可能である。電流遮断装置10の構成については後述する。負極リード44とケース1との間には、絶縁部材73が配置されている。絶縁部材73は、負極リード44とケース1とを絶縁している。
【0020】
蓋部112の上面には、樹脂製のガスケット62、63が配置されている。ガスケット62は、蓋部112より上方に突出した突出部66と、蓋部112に沿って伸びる平板部68を有する。突出部66は、蓋部112の開口部81より中央側に配置され、平板部68は、蓋部112の開口部81側に配置される。ガスケット62の上面には、外部端子60が、ガスケット62の上面の形状に沿って配置されている。ボルト64の頭部は、突出部66に形成された有底穴62aに配置されている。ボルト64の軸部は、外部端子60の開口を通って上方に突出している。端子5、外部端子60及びボルト64は、互いに電気的に接続されており、正極端子を構成している。ガスケット63、外部端子61及びボルト65の構成は、上述したガスケット62、外部端子60及びボルト64の構成と同様である。端子7、外部端子61及びボルト65は、互いに電気的に接続されており、負極端子を構成している。
【0021】
ここで、図2を参照して端子7について説明する。図2に示すように、端子7は、ケース1にカシメ固定されている。端子7は、円筒部94、基底部95及び固定部96を備えている。円筒部94は開口部82に挿入されている。円筒部94には貫通孔97が形成されている。基底部95は環状に形成されている。基底部95は円筒部94の下端部に固定されている。基底部95はケース1の内部に配置されている。基底部95には、凹所98が形成されている。凹所98は貫通孔97と連通しており、凹所98内は大気圧に保たれる。固定部96は環状に形成されており、円筒部94の上端部に配置されている。固定部96はケース1の外部に配置されている。端子7は、固定部96によりケース1の蓋部112に固定されている。
【0022】
次に、電流遮断装置10について説明する。図2に示すように電流遮断装置10は、通電板20と、第1変形板30とを備えている。通電板20は、板厚一定の金属製の板材であり、導電性を有している。通電板20は、平面視において(z方向から見ると)円形状に形成されており、第1変形板30の下方に配置されている。通電板20は、外周部21及び中央部22を有している。外周部21には、中央部22に隣接して傾斜部23が形成されている。傾斜部23は、中央部22の上面と平行な方向(x方向又はy方向)に沿って見ると(例えば、図2に示すようにy方向から見ると)、中央部22から離れるに従って、第1変形板30との距離が長くなるように傾斜している。すなわち、傾斜部23は、中央部22から外周方向に向かって下方に傾斜している。中央部22は、x方向及びy方向(水平方向)に広がる平面状に形成されている。なお、通電板20の外周部21は、傾斜部23の外周端において折れ曲がって水平方向(x方向又はy方向)に伸びており、その外周縁に接続端子46が接続されている。通電板20の下面には、溝部20aが形成されている。溝部20aは、中央部22の周囲に形成されており、溝部20aの内側で通電板20と第1変形板30とが接続されている。溝部20aが形成された位置における通電板20の機械的強度は、溝部20a以外の位置における通電板20の機械的強度よりも低い。通電板20には、通気孔20bが形成されており、第1変形板30と通電板20との間の空間50がケース1内の空間と連通している。
【0023】
第1変形板30は、平面視すると(z方向から見ると)円形状の導電性のダイアフラムであり、下方に凸となっている。第1変形板30の板厚は一定であり、通電板20の板厚よりも薄い。第1変形板30は、第1対向部31及び当接部32を有している。当接部32は、通電板20の中央部22と溶接によって接続されている。第1対向部31は、通電板20の傾斜部23に対向する位置に形成されている。すなわち、平面視したときに、第1変形板30の第1対向部31の径方向の長さと、通電板20の傾斜部23の径方向の長さは略同一となる。第1対向部31は、x方向又はy方向に沿って見ると、当接部32から離れるに従って、通電板20との距離が長くなるように傾斜している。すなわち、第1対向部31は、当接部32から外周方向に向かって上方に傾斜している。第1対向部31の外周側は、基底部95の下面の外周部と接続されており、基底部95の凹所98の下端は、第1変形板30により覆われている。凹所98内は、大気圧に保たれているため、第1変形板30の上面には大気圧が作用する。
【0024】
通電板20と、基底部95の外周部との間にはシール部材75が設けられている。シール部材75は、基底部95の下面及び通電板20の上面に接触し、基底部95の外周側を周方向に一巡している。シール部材75は、基底部95と通電板20との間をシールしている。シール部材75は、例えば、エチレン・プロピレン・ジエンゴム(EPDM)などのエチレン−プロピレン系ゴム(EPM)を材料とするOリングである。なお、シール部材75は上記に限られず、シール性、絶縁性、耐電解液性及び弾性を有する材料が用いられてもよい。また、通電板20と第1変形板30との間には、絶縁部材74が配置されている。絶縁部材74は、環状の部材であり、通電板20の傾斜部23より外側の部分と第1変形板30の第1対向部31より外側の部分とに接触している。絶縁部材74は、シール部材75の内側に配置されている。なお、図3に示すように、平面視における通電板20の傾斜部23の外周端の位置が、絶縁部材74の内周端の位置と略同一となるように、傾斜部23が外周側に伸びていてもよい。この場合、通気孔20bは、傾斜部23に形成される。
【0025】
通電板20、第1変形板30及び基底部95は、固定部材70により固定されている。固定部材70は、通電板20、第1変形板30及び基底部95をカシメ固定している。固定部材70の内側には絶縁部材79が配置されている。絶縁部材79は、通電板20、第1変形板30及び端子7(基底部95)を、固定部材70から絶縁している。
【0026】
上述した説明から明らかなように、電流遮断装置10は、接続端子46と、通電板20と、第1変形板30と、端子7とを直列につなぐ通電経路を有している。このため、電極組立体3と端子7は、電流遮断装置10の通電経路を介して電気的に接続されている。
【0027】
ここで、電流遮断装置10の遮断動作について説明する。上述した蓄電装置100においては、端子5と端子7との間が外部機器(例えば、発電機やモータ等)を介して通電可能な導通状態で用いられる。蓄電装置100の過充電等によってケース1内の圧力が上昇すると、通気孔20bを介して第1変形板30の下面に作用する圧力が上昇する。一方、第1変形板30の上面には大気圧が作用する。このため、ケース1の内圧が上昇して所定値に達すると、第1変形板30が反転して、上方に凸の状態に変化する。すると、第1変形板30の当接部32に接続されていた通電板20が、機械的に脆弱な溝部20aを起点に破断する。これによって、通電板20と第1変形板30とを接続する通電経路が遮断され、電極組立体3と端子7とが非導通状態となる。このとき、第1変形板30は接続端子46から絶縁されると共に、通電板20は端子7から絶縁される。
【0028】
図4に示すように、電流遮断装置10が作動して非導通状態となると、第1変形板30は、基底部95との接続部分と、当接部32との中間点付近で座屈することがある。すなわち、第1変形板30の板厚は薄く、その機械的強度が低い。このため、通電板20が破断して、第1変形板30に瞬間的に大きな力が作用すると、第1変形板30がその中間点近傍で座屈することがある。このとき、図4に示すように、第1変形板30の座屈部34は、第1変形板30の他の部分より下方に突出する。上記の蓄電装置100では、通電板20の傾斜部23と第1変形板30の第1対向部31のそれぞれが下方と上方に傾斜しているため、両者の距離が、通電板20の外周端に向かうに従って長くなるように形成されている。このため、電流遮断装置10の作動後、座屈部34と通電板20との距離を十分に確保することができ、第1変形板30の座屈部34と通電板20とが接触することを抑制することができる。これによって、第1変形板30と通電板20とが再導通してしまうことを抑制することができる。
【0029】
また、本実施例の電流遮断装置10では、通電板20は板厚が一定の板材を用いて形成されている。このため、従来の技術と比較して通電板20の成形が容易となり、さらに材料費、加工費を低減することができる。
【実施例2】
【0030】
次に、図5を参照して実施例2の蓄電装置について説明する。以下では、実施例1と相違する点についてのみ説明し、実施例1と同一の構成についてはその詳細な説明を省略する。本実施例の蓄電装置では、電流遮断装置の構成が実施例1のそれと異なっており、それ以外の構成は実施例1と同様である。
【0031】
図5に示すように、電流遮断装置10aは、通電板20と、第1変形板30と、金属製の第2変形板40を備えている。
【0032】
第2変形板40は、円形状のダイアフラムである。第2変形板40の中心位置は、平面視すると(z方向から見ると)、第1変形板30の中心位置及び通電板20の中心位置と略一致している。第2変形板40は、第2対向部47及び中心部48を有している。第2変形板40は、通電板20の下方に配置されており、その中心部48が下方に突出している。第2対向部47は、通電板20の傾斜部23に対向する位置に形成されている。すなわち、平面視したときに、第2変形板40の第2対向部47の径方向の長さと、通電板20の傾斜部23の径方向の長さは略同一となる。第2対向部47は、x方向又はy方向に沿って見ると、中心部48から離れるに従って、通電板20との距離が短くなるように傾斜している。すなわち、第2対向部47は、中心部48から外周方向に向かって上方に傾斜している。中心部48は、x方向及びy方向(水平方向)に広がる平面状に形成されているため、中心部48の上面と第2対向部47の上面とのなす角度はθとなっている。本実施例では、傾斜部23の下面と中央部22の下面とのなす角度θは、中心部48の上面と第2対向部47の上面とのなす角度θよりも小さくなっている。第2変形板40の第2対向部47の外周側の上面は、通電板20の外周部の下面に溶接により固定されている。また、第2変形板40の中心部48の上面には、上方に突出する突出部40aが設けられている。突出部40aの上方には通電板20の中央部22が位置している。第2変形板40の下面にはケース1内の空間130の圧力が作用する(後述)。空間130はケース1内の空間からシールされている。
【0033】
通電板20は、第2変形板40と第1変形板30との間に配置されており、通電板20には、通気孔20bが形成されている。空間130は、通気孔20bを介して第1変形板30と通電板20との間の空間132と連通している。第1変形板30は、通電板20の上方に配置されている。第1変形板30の上面には、空間134が形成されている。空間134は、大気圧に保たれている。
【0034】
第2変形板40、通電板20、第1変形板30及び基底部95は、固定部材80により固定されている。固定部材80は、第2変形板40、通電板20、第1変形板30及び基底部95をカシメ固定している。固定部材80の内側には絶縁部材89が配置されている。絶縁部材89は、第2変形板40、通電板20、第1変形板30及び端子7(基底部95)を、固定部材80から絶縁している。
【0035】
電流遮断装置10aは、接続端子46と、通電板20と、第1変形板30と、端子7とを直列につなぐ通電経路を有している。このため、電極組立体3と端子7は、電流遮断装置10aの通電経路を介して電気的に接続されている。
【0036】
ここで、電流遮断装置10aの遮断動作について説明する。上述した蓄電装置では、ケース1の内圧が上昇すると、第2変形板40の下面に作用する圧力が上昇する。一方、第2変形板40の上面には、ケース1内の空間からシールされた空間130の圧力が作用する。このため、ケース1内の圧力が所定値を超えると、第2変形板40が反転して、下方に凸の状態から上方に凸の状態に変化する。このとき、空間130内の空気は通気孔20bを通って空間132に移動し、空間132内の圧力が上昇する。また、第2変形板40が反転すると、第2変形板40の突出部40aが通電板20の中央部22に衝突し、通電板20が溝部20aで破断する。これにより、第1変形板30が反転し、第1変形板30及び通電板20の中央部22が上方に変位する。このため、通電板20と第1変形板30を接続する通電経路が遮断され、電極組立体3と端子7との間の導通が遮断される。このとき、第1変形板30は接続端子46から絶縁されると共に、通電板20は端子7から絶縁されている。実施例2の蓄電装置においても、通電板20と第1変形板30が実施例1のそれらと同様に傾斜しているため、実施例1の蓄電装置100と同様の作用効果を奏することができる。
【0037】
また、本実施例の電流遮断装置10aでは、傾斜部23の下面と中央部22の下面とのなす角度θは、中心部48の上面と第2対向部47の上面とのなす角度θよりも小さくなっている。すなわち、通電板20と第2変形板40とで囲まれる空間においては、通電板20と第2変形板40とが当接する位置より上方に形成される空間は、通電板20と第2変形板40とが当接する位置より下方に形成される空間よりも大きくなる。これによって、電流遮断装置10aの作動時に、第2変形板40が反転するスペースを確保することができ、第2変形板40が好適に反転することができる。
【実施例3】
【0038】
次に、図6及び7を参照して実施例3の蓄電装置について説明する。実施例3の蓄電装置は、実施例1における蓋部112の上面に配置される各部材(162,163,164,165等)の構成及び通電板120の構成が異なっている。それ以外の構成については実施例1と同様であるため、その詳細な説明は省略する。
【0039】
図6に示すように、蓋部112の上面には、樹脂製のガスケット162,163が配置されている。ガスケット162の上面には、外部端子60が配置されている。外部端子60には、貫通孔60aが形成されている。貫通孔60aは、外部端子60の上面側に比べ、下面側のサイズが大きくなっている。ガスケット162は、蓋部112と外部端子60とを絶縁している。ボルト164は、貫通孔60aを通過している。具体的には、ボルト164の頭部は、貫通孔60a内に収容されている。また、ボルト164の軸部は、貫通孔60aを通って外部端子60の上方に突出している。端子5、外部端子60及びボルト164は、互いに電気的に接続されており、正極端子を構成している。ガスケット163、外部端子61及びボルト165の構成は、上述したガスケット162、外部端子60及びボルト164の構成と同様である。端子7、外部端子61及びボルト165は、互いに電気的に接続されており、負極端子を構成している。
【0040】
図7に示すように、通電板120は、外周部121及び中央部122を有している。通電板120の外周部121には、傾斜部123と平坦部124が形成されている。傾斜部123は、中央部122の外周端に隣接して形成されている。平坦部124は、傾斜部123の外周端に隣接して形成されている。平坦部124は、傾斜部123の外周端において折れ曲がって水平方向に伸びており、その外周縁に接続端子46が接続されている。平面視したときの傾斜部123と平坦部124の境界の位置は、絶縁部材74の内周端の位置よりも径方向において内側に位置している。
【0041】
実施例3の蓄電装置では、実施例1と比較して、傾斜部123がxy平面に対して鋭角に形成される。このため、第1変形板30が座屈した際(図4参照)に、第1変形板30と通電板120との距離をより確保することができる。すなわち、第1変形板30と通電板120とが再導通してしまうことをより抑制することができる。なお、ガスケット162,163、ボルト164,165等の構成は、上述した他の実施例に用いてもよい。
【実施例4】
【0042】
次に、図8を参照して実施例4の蓄電装置について説明する。実施例4では、実施例3の構成に加えて、実施例2で説明した第2変形板40を備えている。図8に示すように、第2変形板40の第2対向部47は、通電板120の傾斜部123及び平坦部124に対向する位置に形成されている。すなわち、平面視したときに、第2変形板40の第2対向部47の径方向の長さと、通電板120の傾斜部123と平坦部124の径方向の長さを足し合わせた長さは略同一となる。本実施例では、傾斜部123の下面と中央部122の下面とのなす角度θは、中心部48の上面と第2対向部47の上面とのなす角度θよりも小さくなっている。
【0043】
実施例4の蓄電装置においても、通電板120と第1変形板30が実施例1のそれらと同様に傾斜しているため、実施例1の蓄電装置100と同様の作用効果を奏することができる。
【実施例5】
【0044】
次に、図9を参照して実施例5の蓄電装置について説明する。実施例5では、実施例4と第2変形板の構成が異なっており、それ以外の構成は実施例4と同様である。図9に示すように、第2変形板140は、第2対向部147及び中心部148を有している。第2変形板140の第2対向部147は、通電板120の傾斜部123に対向する位置に形成されている。第2変形板140は、第2対向部147の外周側において、通電板120と接続されている。すなわち、平面視したときに、第2変形板140の第2対向部147の径方向の長さと、通電板120の傾斜部123の径方向の長さは略同一となっており、第2変形板140の第2対向部147の外周端の位置は、絶縁部材74の内周端の位置よりも径方向において内側に位置している。本実施例では、傾斜部123の下面と中央部122の下面とのなす角度θは、中心部148の上面と第2対向部147の上面とのなす角度θよりも小さくなっている。
【0045】
実施例5の蓄電装置においても、通電板120と第1変形板30が実施例1のそれらと同様に傾斜しているため、実施例1の蓄電装置100と同様の作用効果を奏することができる。
【実施例6】
【0046】
次に、図10を参照して実施例6の蓄電装置について説明する。実施例6では、実施例1と通電板20の溝部の位置が相違している。実施例1では、溝部20aが、通電板20の中央部21と傾斜部23の境界に設けられていたが、実施例6の通電板20の溝部20cは、通電板20の中央部21に設けられている。すなわち、平面視すると、通電板20の径方向において、中央部21と傾斜部23の境界より内側に溝部20cが形成されている。
【0047】
通電板は、板状部材に溝部を形成した後に図面に示す形状に成形されることがある。また、破断荷重(ケース内の圧力により通電板20が破断する荷重)は、溝の形状と深さで決まるものである。したがって、実施例6の蓄電装置では、溝部20cを中央部21と傾斜部23の境界となる位置に形成する場合と比較して、通電板20の成型時において、溝部20cに加わる応力や溝部20cの変形が抑制されるため、破断荷重を安定させることができる。すなわち、蓄電装置の製造ばらつきを低減することができる。
【0048】
以上、本明細書が開示する技術の実施例について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。例えば、実施例2において、第1変形板30に、空間132と空間134とを連通する連通孔を形成し、空間130、132を大気圧に維持してもよい。
【0049】
また、電流遮断装置10は、端子5側に設けられてもよいし、端子5と端子7の双方に設けられてもよい。端子5側に電流遮断装置10が設けられる場合は、端子5と蓋部112との間に、上記の実施例の構成と同様に絶縁部材を配置することができる。また、上記の実施例では、第1変形板30が反転することで通電板20との導通が遮断される。しかしながら、第1変形板30の変形の態様は反転に限られない。例えば、第1変形板30の当接部32が上方に撓むことで通電板20が溝部20aを起点に破断し、第1変形板30と通電板20との導通が遮断される構成であってもよい。第1変形板30は、第1変形板30と通電板20との導通が遮断されるのであればどのように変形してもよい。第2変形板40についても同様である。
【0050】
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10