(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記センサは、前記車両(10)の移動中に測定される前記動的変数(MQ)のセットを、ESC(電子安定制御)システムを備える前記車両(10)の動的変数(MQ)を測定するよう構成されるモジュール(12)から受信することを含む、請求項11または請求項12に記載のセンサ。
少なくとも1つのコンピュータのメモリ内にロードされることができ、製品が少なくとも1つのコンピュータ上で実行されると、請求項1から10のうちのいずれか1項の方法のステップを実行可能なソフトウェアコードの部分を備える、コンピュータプログラム製品。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次の記載は、実施形態の詳細な理解を目的とする様々な特定の詳細を示す。実施形態は、特定の詳細の1つ以上を伴わずに、または、他の方法、コンポーネント、材料などを伴って、実施されてよい。他の事例において、実施形態の様々な態様が不明瞭にされないように、既知の構造、材料、または、動作は、詳細に説明または記載されていない。
【0020】
本記載のフレームワークにおける「実施形態」または「1つの実施形態」という記載は、実施形態と関連して記載される特定の構成、構造、または、特徴が、少なくとも1つの実施形態に包含されることを示すように意図されている。同様に、本記載の様々な部分に存在し得る、「実施形態において」または「1つの実施形態において」などの語句は、必ずしも1つの同じ実施形態を指していない。さらに、特定の形態、構造、または、特徴は、1つ以上の実施形態に適切に組み合されてよい。
【0021】
本明細書において使用される記載は、単に利便性を目的としており、したがって、実施形態の保護の領分または範囲を規定しない。
【0022】
図1において、車両の横滑り角のリアルタイム予測のための仮想センサの実施形態を概略的に提示するブロック図が示される。
【0023】
数的な参照10を伴って、測定される横滑り角βが関連付けられる車両を提示するブロックが示される。ESCシステム12は、または、車両10の安定性を車両10の移動中における変数の値の測定に基づいて制御する車両の別のシステムは、本質的に既知の手法において、車両10の以下の測定変数MQ:ステアリング角α、横加速度a
y、4つの車輪速度w
s、ヨーレート
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、縦加速度a
xを移動中に測定する。上述されたように、これらは基本的にESCシステムにより測定される変数であり、本明細書に記載される方法は、リアルタイムで、好ましくは、ESC12により測定される変数にのみ基づいて動作する。そのような変数MQは、横滑り角の仮想センサモジュール11に提供され、この仮想センサモジュール11は、そのような変数に基づいて、リアルタイムで、車両10の横滑り角βの予測
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を供給する。
【0024】
仮想センサ11は、車両の移動に影響を及ぼす変数、特にこの事例においては、横滑り角の予測のための手順DVS
βを実施し、
図2に概略が記載される方法により策定される。方法は、テスト車両10’からの測定により、または、車両シミュレータ10’’を介するシミュレーションにより、または、データの一部を測定してデータの他の部分をシミュレートすることにより、基準データセットD
dを取得するステップ210を含む。基準データの測定による取得に関連して、テスト車両10’は、センサ11が実装される車両10の種類と同じでなければならない。
【0025】
その後、基準データセットD
dは、仮想センサDVS
βを策定する動作220へ渡され、仮想センサDVS
βは、その後、ステップ230において、ソフトウェアモジュール11で実施される。このモジュールは、車両10で利用可能なECUに埋め込まれ、リアルタイムで車両電子安定制御12により測定される測定変数MQに関する信号、すなわち、
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のみを受信し、リアルタイムで、横滑り角βの予測
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を供給する。
【0026】
本明細書に記載される実施形態において、基準サンプルデータD
dのセットは、以下である。
【数1】
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(1)
【0027】
tが取得の時間間隔を示し、ΔtからN*Δtへ変化し、ここで、Δtはサンプリング時間であり、Nは取得サンプルの数である。以下において表記を簡素化するために、サンプリング時間Δt=1と見なす。この基準データセットD
dは、テスト車両で、特に自動車または大型車両で、典型的に測定される、考慮中の車両の動的性能を評価するための実験データを含んでよく、特に車両モデルを構築およびテストする既知の2段階の方法により使用される変数のデータを含んでよい。しかしながら、そのような基準データは、または、この基準データの一部は、さらに、直接的な測定により取得されるだけでなく、シミュレーションにより取得され得る:車両の信頼できるシミュレータが利用可能である場合、方程式(1)の基準データセットD
dのデータは、そのようなシミュレータにより生成され得る。いずれの事例においても、基準データセットD
dのそのようなデータは、実行またはシミュレートされた、速度、ブレーキング、道路−タイヤ摩擦状態、車の負荷、運転スタイル、および、他のパラメータに対する所与の範囲内で行われる運転テストと関連しなければならず、車両10の異なる動作条件OCを規定し、特に対象の動作条件を規定する。
【0028】
方程式(1)の通り、基準データセットD
dは、車両10において車両の移動中に測定された変数MQに対応し、ESCシステム12により仮想センサ11へ供給される取得基準データ
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すなわち、ステアリング角α、横加速度a
y、4つの車輪速度w
s、ヨーレート
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、縦加速度a
xを含む。しかしながら、基準データセットD
dは、さらに、縦速度v
xおよび横速度v
yと関連する、さらに取得された基準データを含む。これらの縦速度v
xおよび横速度v
yデータは、好ましくは、車両シミュレータにより、仮想センサ11のオフライン策定に必要な測定装置を最小に維持するために提供され得る。しかしながら、基準データセットD
dがテスト車両における測定から取得される事例において、これらのデータは、GPSセンサを加えた実験用の光または慣性センサにより、本質的に既知の手法で提供され得る。縦速度v
xおよび横速度v
yデータは、仮想センサ11により実施される予測手順DVS
βの既定または策定においてのみ使用され、実時間予測には必要とされない。
【0029】
本明細書において、一般的に、車両挙動に影響を及ぼす変数の予測に対する解決策が記載される。以下に記載される実施形態は、主に横滑り角の予測を取得することに向けられているが、これらの実施形態の一部において、本明細書に記載される方法は、車両の移動を表す際に対象となる他の変数を予測するために、必ずしも横滑り角をさらに取得する必要なく活用され得る。
【0030】
本明細書に記載される解決策の実施形態は、一般的に、以下の形式の離散時間型の非線形回帰方程式として、仮想センサDVS
βの実現に基づく。
【数2】
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すなわち、変数MQが測定される時間tを考慮すると、次の時間間隔t+1で予測される横滑り角
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は、所与の整数である各々の時間間隔n
y、n
w、n
Ψ、n
x、および、n
αにおいて測定される、車両10のESCシステム12から取得される変数のベクトルである引数ベクトル
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で評価される非線形回帰関数
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の値により取得される。そのような時間間隔n
y、n
w、n
Ψ、n
x、および、n
αは、仮想センサDVS
βのメモリを規定し、他とは異なるものとして設定され得る。
【0031】
仮想センサDVS
βを策定する動作220は、以下のε−ロバスト設計の問題の解決策である関数
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を見つけることにより取得される:基準データD
dのセットに包含されるデータおよび測定精度の情報を利用すること、すなわち、各々の測定値は、その測定精度またはエラーを伴って考慮され、所望の精度レベルεに対して、
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として有界の予測エラーを与える回帰関数
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を見つけること、すなわち、横滑り角βとその予測
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との間の差のモジュールは、任意の時間tに対する、対象の動作条件OCの範囲全体(動作条件OCは、とりわけ、道路−タイヤ摩擦、車の負荷、タイヤの状態を含み得る)に対して所望の精度レベルε以下であり、テスト車両またはシミュレータは、そのような動作条件OCを受けて、データセットD
dをステップ210で取得する。
【0032】
3つの実施形態の例が、本明細書において提示される。
【0033】
(実施の形態1)
第1の実施形態において、DVS
βとして示される仮想センサに至り、オフライン動作220は、以下の最適化問題の回帰関数
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解決策を見つけることと関連する。
【数3】
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(3)
ここで、基準データセットD
dに包含されるデータは、(3)の右端側を計算するために使用される。
【0034】
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は、以下のように規定される所与のフェージングメモリを伴う関数のクラスである。
【数4】
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すなわち、クラス
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の関数
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は、各時間tに対するリプシッツ条件を順守する。リプシッツ条件の定数は、k番目の出力に対するパラメータγ、ρの生成物であり、ここで、0≦γ<∞、0≦ρ<∞であり、kは1からmへ変化し、ここで、m=max[n
y,n
w,n
Ψ,n
x,n
α]であり、すなわち、変数MQの測定の異なる間隔の中の最大間隔である。
【0035】
規定により、横滑り角が、方程式(2)を参照して、
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および
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であることを考えると、(3)の回帰関数
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の解決策は、任意の時間間隔tに対して、および、基準データセットD
dを取得するために使用される実験的な条件を構成する対象の動作条件OC(道路の乾湿または道路−タイヤ摩擦係数、車の負荷、タイヤの状態など)の範囲全体に対して、最大予測エラー
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を最小にするフェージングメモリ関数の当該クラス
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における関数
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として見つけられる。
【0036】
方程式(3)および(4)におけるρおよびmの値は、予測手順DVS
βの設計パラメータである。すなわち、大きい値が選択されるほど、達成され得る予測エラーεは低くなるが、予測
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の過渡応答時間は大きくなる。
【0037】
基準データD
dにおいて動作するパラメータyの値は、C.Novara、F.Ruiz、M.Milaneseによる論文「Direct Filtering: A New Approach to Optimal Filter Design for Nonlinear Systems(直接フィルタリング:非線形システムの最適なフィルタ設計に対する新しい手法)」(IEEE Trans. on Automatic Control, 58, pp.89−99, 2013)の項Dに記載される手順のステップ5bにしたがって選択され得る。
【0038】
同じ論文の項II.Dにおいて、最適化問題(3)を解決する方法が記載されている。
【0039】
最終的に、ε
*が以下のように計算される。
【数5】
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ここで、基準データセットD
dに包含されるデータは、(5)の右端側を計算するために使用される。
【0040】
関数
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により記載される予測手順DVS
βのエラーは、全ての時間tおよびデータセットD
dに含まれる動作条件OCの範囲全体に対して、
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として境界を示される。その後、
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の場合、導き出された仮想センサDVS
βは、ε−ロバスト設計問題に対する解決策である。
【0041】
(3)から(5)の計算の全ては、オフライン動作220により、基準データセットD
dに包含されるデータを使用して行われる。
【0042】
この実施形態をリアルタイムで車両において実施する仮想センサは、
図1の11により提示され、目下の時間tに横滑り角β(t)の予測β
*(t)を以下のように計算する。
【数6】
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ここで、要求時間における
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の値はESCモジュール12から取得され、
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は、オフラインで(3)の解決策として計算される回帰関数である。
【0043】
したがって、第1の実施形態は、実施形態において横滑り角βである、車両10の挙動に影響を及ぼす少なくとも1つの変数の予測のための方法に関し、方法は、車両10の変数MQを移動中に測定すること、リアルタイムで横滑り角βにより提示される当該変数の予測
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を、そのような測定変数MQに基づいて算出すること、車両10の移動中に各々の時間間隔n
y,n
w,n
Ψ,n
x,n
αにおいて測定される変数MQのセット、すなわち、ESCシステム12から取得される変数のベクトル
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を利用すること、および、そのような測定変数のセットにおいて、そのような横滑り角βに対して算出された最適な非線形回帰関数
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を適用して、そのような予測を取得するために予測することを備える横滑り角βの予測を予測手順DVS
βにより算出するステップ230を行うことを含み、当該の最適な非線形回帰関数
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は、以下を含む、オフラインの最適な算出手順により、すなわち、動作220により取得される:基準データD
dの取得されたセットに基づいて、所望の精度レベルεに対して、当該の所望の予測レベルε以下の予測エラーを動作条件OCの所与のセットにおいて与える回帰関数f
βを見つけることであって、取得された基準データD
dのセットは、動作条件OCの当該所与のセットにおいて、車両10の当該の測定変数MQおよび車両10の横速度v
yおよび縦速度v
xに対応する変数を含む変数の基準データD
dのセットを取得する動作210により取得される、見つけること。
【0044】
(実施の形態2)
車両の横滑り角の仮想センサに至り、DVS
βvとして示される第2の実施形態は、それぞれDVS
vxおよびDVS
vyと示される、縦速度v
xおよび横速度v
yの2つの仮想センサの策定に基づく。
【0045】
これらの2つの仮想センサは、オフラインの動作220により策定され、以下のように基準データD
dを利用する。
−仮想センサDVS
vxは以下の式で取得される。
【数7】
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【0046】
r
xは、測定変数MQのサブセット、すなわち、4つの車輪速度w、縦加速度a
x、および、ステアリング角αからなるベクトルである。様々な実施形態において、ベクトルr
xを構成するサブセットに対する他の選択が可能である。
【0047】
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は、最適化問題の解決策である。
【数8】
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ここで、基準データセットD
dに包含されるデータは、(8)の右端側を計算するために使用される。
【0048】
上記の最適化問題の
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解決策は、任意のtに対する、および、基準データセットD
dを取得するために使用される実験条件を構成する対象の動作条件OC(道路の乾湿、車の負荷、タイヤの状態など)の範囲全体に対する、最大予測エラー
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を最小化する縦速度v
x(t)の予測
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を与える。
−仮想センサDVS
vyは、以下の式で取得される。
【数9】
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【0049】
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は、測定変数MQのサブセット、すなわち、横加速度a
y、ヨーレート
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からなる、(7)および(8)から取得される縦速度
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の予測を加えたベクトルである。様々な実施形態において、ベクトルr
yを構成するサブセットに対する他の選択が可能である。
【0050】
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は、最適化問題の解決策である。
【数10】
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ここで、基準データセットD
dに包含されるデータは、(10)の右端側を計算するために使用される。
【0051】
上記の最適化問題の
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解決策は、任意のtに対する、および、基準データセットD
dを取得するために使用される実験条件を構成する対象の動作条件OC(道路の乾湿、タイヤの状態など)の範囲全体に対する、最大予測エラー
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を最小化する縦速度
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の予測
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を与える。
−この第2の実施形態にしたがって策定される仮想センサDVS
βvに提供される横滑り角βの予測
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は、以下のように規定される。
【数11】
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すなわち、縦速度v
xの最適な予測
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に対する横速度v
yの最適な予測
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の比率の逆正接として、規定される。
−量
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は、以下のように計算される。
【数12】
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ここで、基準データセットD
dに包含されるデータは、(11)の右端側を計算するために使用される。
【0052】
この量は、この第2の実施形態にしたがって策定される仮想センサDVS
βvの予測エラーにおいて境界を提供し、すなわち、全ての時間tに対する、および、データセットD
dに含まれる動作条件OCの範囲全体に対する
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を提供する。その後、
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の場合、導き出される予測手順DVS
βvは、ε−ロバスト設計問題に対する解決策である。最適化問題(8)および(10)の
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および
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解決策は、先に引用されたNovara−Ruiz−Milaneseの論文に記載されているアルゴリズムを使用して取得され得る。
【0053】
(7)から(11)までの全ての計算は、オフラインで動作220により、上述されたように、基準データセットD
dに包含されるデータを使用して行われる。
【0054】
この実施形態をリアルタイムで車両において実施する仮想センサDVS
βvは、
図1において11により提示され、目下の時間tに、以下の動作を行う横滑り角
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の予測
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を計算する。
−目下の時間tにおける縦速度
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の予測
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は、以下のように計算される。
【数13】
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ここで、要求時間におけるw
s,a
x,αの値は、オンラインでESCモジュール12から取得され、
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は、オフラインで(8)の解決策として計算される回帰関数である。
−目下の時間tにおける横速度
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の予測
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は、以下のように計算される。
【数14】
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ここで、要求時間における
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の値は、オンラインでESCモジュール12から取得され、要求時間における
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の値は、オンラインで(12)から計算される縦速度の最適な予測であり、
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は、オフラインで(10)の解決策として計算される回帰関数である。
−仮想センサDVS
βvにより提供される目下の時間tにおける横滑り角
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の予測
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は、以下のように計算される。
【数15】
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ここで、
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および
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は、(12)および(13)を介して事前に計算された最適な予測である。
【0055】
この第2の実施形態は、第1の実施形態により与えられる仮想センサDVS
βより精度が高くあり得る横滑り角βの仮想センサDVS
βvを与えることに加えて、さらに、仮想センサDVS
vxおよびDVS
vyを提供し、それぞれが車両の縦速度および横速度の予測を与える。これらの変数の信頼できる予測を取得することは、本質的に関連する技術の態様を提示し、トラクションおよびブレーキング制御システム、衝突回避システムなどを最適化するのに良好な値である
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および
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の知識であることに、留意されたい。
【0056】
横速度
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および縦速度
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の予測を与える(12)および(13)の計算は、横滑り角
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を予測する方程式(14)の算出の前に起こるので、本明細書に記載される第2の実施形態により、横速度および/または縦速度のみを予測する仮想センサDVS
vxおよびDVS
vyを、必ずしも横滑り角をさらに予測する必要なく策定できる。
【0057】
(実施の形態3)
方法の第3の実施形態は、DVS
βμとして示される横滑り角の仮想センサの策定に至り、ステップ210で、基準データセットD
dをL個の基準サブセットD
d1,D
d2,..,D
dLに分割するように動作することを想定する。動作条件OCの当該の所与のセットにおける対象の判定された動作条件により特定される当該サブセットの各々は、対象の動作条件の同じ値(または、値の範囲)に対して取得されるデータを包含する。本明細書に記載される実施形態において、分割は車両挙動に影響を及ぼす最も関連性の高い動作条件OCであると見なされ得る道路−タイヤ摩擦係数μ
1,μ
2,..,μ
Lにしたがって行われると見なされる。説明の簡易化を目的として、L=2サブセットにおける分割が考慮されるが、方法は、以下に示されるように、より大きいLの値へ容易に拡張され得る。基準データセットD
dにおいてt=1,..,Mに対するデータが摩擦係数μ≒μ1を伴って取得され、t=M+1,..,Nに対するデータがμ≒μ2を伴って取得されると仮定すると、2つの基準サブセットは以下である。
【数16】
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【0058】
そのような分割ステップの後、オフラインの動作220において、以下の予測器が、ε−ロバスト設計問題の解決策である関数を見つけることにより評価される。すなわち、
−横滑り角の第1の予測器は、以下の式で評価される。
【数17】
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ここで、r
β(t)は方程式(2)において与えられ、
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は以下の最適化問題の解決策である。
【数18】
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ここで、第1の基準データセット
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に包含されるデータは、(16)の右端側を計算するために使用される。
−横滑り角の第2の予測器は、以下の式で評価される。
【数19】
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ここで、
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は、以下の最適化問題の解決策である。
【数20】
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ここで、第2の基準データセット
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に包含されるデータは、(17)の右端側を計算するために使用される。
−動作220により、以下の式のヨーレートの第1の予測器が評価される。
【数21】
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ここで、
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は、測定変数MQのサブセット、すなわち、4つの車輪速度w
s、横加速度a
y、および、ステアリング角αからなるベクトルであり、
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は、以下の最適化問題の解決策である。
【数22】
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ここで、第1の基準データセット
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に包含されるデータは、(18)の右端側を計算するために使用される。
−ヨーレートの第2の予測器は、以下の式により評価される。
【数23】
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ここで、
[この文献は図面を表示できません]
は、以下の最適化問題の解決策である。
【数24】
[この文献は図面を表示できません]
ここで、第2の基準データセット
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に包含されるデータは、(19)の右端側を計算するために使用される。
【0059】
(16)から(19)の全ての計算は、オフラインの動作220により、上述されたように、基準データセットD
d1およびD
d2に包含されるデータを使用して行われる。最適化問題(16)(17)(18)(19)の
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解決策は、先に引用されたNovara−Ruiz−Milaneseの論文に記載されるアルゴリズムを使用して取得され得る。
【0060】
この実施形態をリアルタイムで車両において実施する仮想センサは、
図1において11により提示され、目下の時間tに、以下の動作を行う。
−目下の時間tにおけるヨーレート
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の2つの予測
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および
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は、以下のように計算される。
【数25】
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【数26】
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ここで、要求時間における
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の値はESCモジュール12から取得され、
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および
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は、オフラインで(18)および(19)において計算される回帰関数であり、実際の動作条件が、それぞれμ=μ
1またはμ=μ
2であると見なす。
−以下の最適化問題の解決策
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が計算される。
【数27】
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すなわち、リアルタイムでESCモジュール12において測定される、目下の時間tにおけるヨーレート
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と、パラメータλの係数関数を有する第1のヨーレート予測
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および第2のヨーレート予測
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の線形的な組み合わせとの間の差の絶対値を考慮して、0から1の中に包含されるパラメータλの値を見つけ、そのような差を最小化する。この最適化問題は、オンラインで既知の線形検索方法を使用して効率的に解決され得る。
−目下の時間tにおける横滑り角
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の2つの予測
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および
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は、以下のように計算される。
【数28】
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【数29】
[この文献は図面を表示できません]
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ここで、要求時間における
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の値は、ESCモジュール122から取得され、
[この文献は図面を表示できません]
および
[この文献は図面を表示できません]
は、オフラインで(16)および(17)において計算される回帰関数であり、実際の動作条件は、それぞれμ=μ
1またはμ=μ
2であると見なす。
−最終的に、目下の時間tでの横滑り角
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の予測
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は、以下のように計算される。
【数30】
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すなわち、最適なパラメータ
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の係数関数として有する横滑り角の第1および第2の予測の線形的な組み合わせとして、要するに、最適なパラメータ
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、および、それを補完する負の値として計算される。
【0061】
したがって、先ほど記載された第3の実施形態は、横滑り角βの予測
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を、ヨーレートの予測を介して取得する。この実施形態の論拠は、以下の通りである。
【0062】
方程式(20)および(21)は、リアルタイムでヨーレートの予測を与える2つの仮想センサを規定する。
【0063】
しかしながら、ヨーレートは、リアルタイムでESCシステム12により実際に測定されるため、予測される必要はない。ヨーレート予測は、2つのヨーレート予測をESCシステム12により実際に測定される値と比較することにより最適化問題(22)の解決策として取得される、最適なパラメータ
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を使用して、タイヤ−道路摩擦係数μの値をリアルタイムで検出するために実際に利用される。
【0064】
車両10が、例えば、道路上で実際の摩擦係数μ
1を伴って動作している場合、第1のヨーレート予測
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は、(18)を参照すると、同じ摩擦係数μ
1の条件で測定されるデータから策定される
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であり、(19)を参照すると、実際のものとは異なる摩擦係数μ
2に対して策定される
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である第2のヨーレート予測
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より精度の高い予測を与える。したがって、最適化問題(22)の解決策は、
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に至り、したがって、実際に車両10は摩擦係数μ
1で動作していることを検出する。その後、方程式(25)から、横滑り予測
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が提供される。方程式(16)および(25)から確認され得るように、横滑り角の予測
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は、動作条件μ
1に対する予測エラーを最小化する回帰関数
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により記載される仮想センサにより取得される。したがって、この予測は、基準データの分割をμの値にしたがって利用し、リアルタイムでタイヤ−道路摩擦係数の値を検出せずに、データセットD
dが構成するμの値の範囲に対する予測性能のバランスを取る必要がある第1の実施形態の仮想センサDVS
βおよび第2の実施形態の仮想センサDVS
βvにより達成可能な精度より良好な(または、最大限でも同等の)精度を達成する。
【0065】
仮想センサDVS
βおよびDVS
βvと比べて上述された予測精度の向上とは別に、この第3の仮想センサDVS
βμの追加的な興味深い特性は、この第3の実施形態が、DVS
μと示される、リアルタイムで目下の時間tにおけるタイヤ−道路摩擦係数
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の予測
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を提供する仮想センサの取得を可能とすることであり、以下のように計算される。
【数31】
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【0066】
リアルタイムでのタイヤ−道路摩擦係数の予測は、本質的に関連する技術態様を提示する。この情報は、実際に、多くの車両挙動の問題に対する、例えば、トラクションおよびブレーキング制御、車両挙動制御、衝突回避などに対する関連値であるが、現段階で、通常の生産車において利用可能となっていない。タイヤ−道路摩擦係数のみを予測する仮想センサDVS
μの策定は、最適化問題(18)および(19)のみのオフライン解決策、および、動作(20)(21)(22)および(26)のみのオンラインの実行を必要とする。
【0067】
上述されたように、L=2サブセットへの分割に対して先ほど記載された動作は、より大きいL個の基準サブセットの値へ容易に拡張され得る。オフラインの動作220において、L個の関数
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およびL個の
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は、方程式(16)(17)および(18)(19)と類似のL個の方程式から計算され、各々が対応する基準サブセットD
d1,D
d2,..,D
dLに基づく。リアルタイムで車両において動作する仮想センサ11は、目下の時間tにおいて、方程式(20)(21)と類似するL個の方程式により取得されるヨーレート
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のL個の予測
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および、方程式(23)(24)と類似するL個の方程式により取得される、横滑り角
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のL個の予測
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を計算する。ヨーレートの予測は、方程式(22)のベクトルのバージョンにおいて使用され、ヨーレート
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と、そのような予測
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の線形的な組み合わせとの間の差を最小化する合計を有する正の係数のベクトル
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の値を判定し、係数として当該ベクトル
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のコンポーネントを有する。最終的に、横滑り角は、方程式(25)のベクトルのバージョンを使用して、すなわち、横滑り予測の線形的な組み合わせ
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を使用して取得され、係数として当該ベクトル
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のコンポーネントを有する。
【0068】
目下の実施形態は、値がリアルタイムで車両(10)において測定され、予測される対象の条件に、例えば、道路−摩擦係数μに依存する変数の特定の例としてヨーレート(
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)に関して示されている。
【0069】
しかしながら、第3の実施形態に関して記載される動作は、より一般的に、対象の動作条件OCの実時間値を係数の当該ベクトル
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に基づいて検出するために使用され得ることが明白であり、以下のために使用され得ることが明白である。
基準データセットD
dを複数のL個の基準サブセットD
d1,D
d2,..,D
dLに、動作条件OCの所与のセットにおける対象の動作条件の値にしたがって分割すること、
当該の基準サブセット(D
d1,D
d2,..,D
dL)に対応して、その値がリアルタイムで車両10において測定され対象の当該条件OCに依存する、車両挙動に影響を及ぼす変数の複数の予測を、最適な非線形回帰関数を取得する当該動作220により取得すること、
測定変数と、係数の当該ベクトルにより判定される係数を有する車両挙動に影響を及ぼす変数の該当予測の線形的な組み合わせとの間の差を最小化する最適化問題の係数解決策のベクトルΛ
*を取得すること。