【文献】
Techcomp Newsletter,2014年10月,Vol. 1, Issue 1,pp. 1-8
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記加熱部が第1熱量を発熱して運転しているときに前記計測部に吸い込まれる気体の流量が、前記加熱部が前記第1熱量より小さい第2熱量を発熱して運転しているとき又は停止しているときの前記流量よりも多くなるように、前記ポンプを駆動させる制御部を備える
請求項1〜4の何れか一項に記載の気中微粒子計測器。
前記加熱部が第1熱量を発熱して運転しているときに前記計測部に吸い込まれる気体の流量が、前記加熱部が前記第1熱量より小さい第2熱量を発熱して運転しているとき又は停止しているときの前記流量よりも多くなるように、前記ポンプを駆動させる制御部
を備える請求項9〜12の何れか一項に記載の清浄環境機器。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0009】
[第1実施形態]
図1を参照して、第1実施形態における清浄環境機器1を説明する。
図1は、第1実施形態における清浄環境機器1を概略的に示す図である。
【0010】
(清浄環境機器の構成)
図1に示されるように、清浄環境機器1は、チャンバー110と、チャンバー110内の湿度を上げるために、水蒸気又はミスト状の水分を供給する供給部128と、チャンバー110に接続される気中微粒子計測器120と、を有する。
【0011】
チャンバー110は、例えばアイソレータやインキュベータであって、生体試料の作業(例えば細胞の培養)が行われる閉じた作業空間を提供する。本実施形態において、チャンバー110には、供給部128によって水蒸気又はミスト状の水分が供給される。供給部128は、清浄環境機器1の制御部113によって制御される。水蒸気又はミスト状の水分は、チャンバー110内の加湿又は滅菌に用いられる、加湿水、滅菌ガス、及び、滅菌液を噴霧器などで霧状にした微粒子を含む。また、ここでいう水分は、水だけでなく水溶液を含む。
【0012】
チャンバー110内は、供給部128により一時的又は常時的に外気の湿度よりも高湿度に維持される。例えば、アイソレータの場合、供給部128は、滅菌液を気化させた滅菌ガスを供給する。そして、滅菌工程において、内壁に滅菌ガスを結露させる必要があるため、内部の湿度が一時的に100%近くになる。インキュベータの場合、供給部128は、内部に配設された加湿水を貯留する貯水部である。その貯水部がヒーターで加熱されることで、内部の湿度が常時的に95%程度に維持される。これらの清浄環境機器では、内部が90%以上になるため、本開示に係る技術が特に有効であるが、少なくとも一時的又は常時的に外気の湿度よりも高湿度に維持される機器において有効である。かかるチャンバー110では、清浄な作業環境を維持する必要があることから、作業空間内の気体に含まれる微粒子が所定の許容値を超えないように、気体中の微粒子が気中微粒子計測器120によって計測される。なお、チャンバー110は、吸込配管124を接続するための装着部111と、吐出配管125を接続するための装着部112と、を有している。
【0013】
気中微粒子計測器120は、
図1に示されるように、計測部121、ポンプ122、制御部123、吸込配管124、吐出配管125、ヒーター126、及び、除去部127を備えている。計測部121、ポンプ122、及び制御部123は、筐体129に収納されている。なお、吸込配管124、吐出配管125、ヒーター126、及び、除去部127は、チャンバー110に付属する構成要素とされてもよい。
【0014】
計測部121は、吸い込んだ気体中の微粒子を計測する。計測部121は、例えば光散乱式のセンサであって、計測部121に吸い込まれた微粒子にレーザ光を照射し、微粒子からの光の散乱をセンサで捉えることによって微粒子を検出する。
【0015】
計測部121の気体吸込口には流量計121aが設けられている。流量計121aは、計測部121に吸い込まれる気体の流量を測定し、測定信号を制御部123に出力する。かかる測定信号は、制御部123によるポンプ122の吸引量の制御に用いられる。なお、流量計121aは、計測部121の下流側に設けられてもよい。
【0016】
吸込配管124は、チャンバー110の装着部111と計測部121とを接続し、チャンバー110内から吸い込んだ気体を計測部121へ運ぶ。
【0017】
ポンプ122は、例えばダイヤフラムポンプや回転ポンプであって、気体が吸込配管124を通ってチャンバー110から計測部121へ運ばれるように、気体を吸引する。本実施形態では、ポンプ122は、計測部121の下流側に接続されているが、計測部121の上流側に接続されてもよい。なお、ポンプ122の動作は、制御部123との関係で追って説明される。
【0018】
吐出配管125は、ポンプ122とチャンバー110の装着部112とを接続し、ポンプ122から吐出された気体をチャンバー110へ運ぶ。したがって、
図1に矢印で示されるように、チャンバー110内の気体は、装着部111から吸い出され、吸込配管124、計測部121、ポンプ122、及び吐出配管125を経て、装着部112からチャンバー110内に戻される。つまり、吸込配管124、計測部121、ポンプ122、及び吐出配管125は、気体が流れる経路を形成している。
【0019】
ヒーター126は、加熱部の一例であって、計測部121よりも上流側の経路内の気体を加熱する。第1実施形態では、ヒーター126は、吸込配管124を実質的に全部覆う構成である。もっとも、ヒーター126は、吸込配管124を部分的に覆う構成でもよい。
【0020】
ヒーター126の温度は、制御部123によって制御される。例えば、ヒーター126の下流側の経路に、気体の温度を測定する温度センサ(不図示)が設けられ、制御部123は、その温度センサで測定された気体の温度と所定の設定温度とに基づいて、ヒーター126の温度を制御する。所定の設定温度は、例えば100℃であり、あるいは、ユーザにより設定されてもよい。
【0021】
除去部127は、加熱部126よりも上流側に設けられ、吸込配管124内の気体中に含まれる水分を凝結させることにより気体中の水分を除去する。第1実施形態では、除去部127は、装着部111とヒーター126との間の経路に設けられている。
【0022】
除去部127は、例えば、吸込配管124における位置Aから鉛直下方に分岐した分岐管124aと、その分岐管124aの下端から滴下する水滴を受ける容器と、から構成されていてもよい。例えば、チャンバー110内の温度が37℃であり、外気が25℃であるとすれば、高湿度であるチャンバー110内の気体は吸込配管124において冷却されて凝結する。このような凝結の結果生じた水分が、分岐管124aから容器に滴下して貯留し、他方で、水分が減少した気体がヒーター126に向かって流れることになる。
【0023】
あるいは、除去部127は、経路内の気体を冷却水と熱交換することで気体中の水分を凝結させる凝縮器でもよい。
【0024】
制御部123は、ポンプ122の駆動を制御して計測部121に吸い込まれる気体の流量を調整する。例えば、制御部123は、ヒーター126が第1熱量を発熱して運転しているときに計測部121に吸い込まれる気体の流量が、ヒーター126が第1熱量より小さい第2熱量を発熱して運転しているとき又は停止しているときの流量よりも多くなるように、ポンプ126を駆動させる。なお、制御部123は、清浄環境機器1の制御部113と独立させてもよいし、連携するようにしてもよい。また、制御部123と制御部113とを一体としてもよい。
【0025】
ポンプ122の吸引量は、気体の状態方程式に基づいて調節される。例えば、ヒーター126による加熱前の気体の圧力、体積、及び温度をそれぞれP
1、V
1、及びT
1とし、加熱後の気体の圧力、体積、及び温度をそれぞれP
2、V
2、及びT
2とすると、気体の状態方程式から、次の(式1)が成立する。
P
1×V
1/T
1 = P
2×V
2/T
2 ・・・ (式1)
【0026】
この(式1)によれば、圧力一定(P
1=P
2)として、25℃で28.32Lの空気は、100℃に加熱されると35.45Lに膨張することになる。したがって、例えば、ヒーター126による加熱の有無に関わらず25℃の気体の所定体積中の微粒子の数に相当する計測値を得ることが求められる場合、吸込配管124を流れる25℃の気体をヒーター126で100℃に加熱するとすれば、ポンプ122の吸引量が、ヒーター126による加熱が行われない場合のポンプ122の吸引量の1.25倍になるように調整されるとよい。あるいは、ポンプ122の吸引量を一定とすれば、計測部121による計測が行われる時間間隔が、ヒーター126による加熱が行われない場合の計測部121による計測が行われる時間間隔の1.25倍になるように調整すればよい。
【0027】
また、制御部123は、供給部128の動作状況を監視することもでき、供給部128の動作に応じて制御部123はポンプ122の吸引量を制御することもできる。具体的には、供給部128から水蒸気又はミスト状の水分が供給されているときに計測部121に吸い込まれる気体の流量が、供給部128から水蒸気又はミスト状の水分が供給されていないときの気体の流量よりも少なくなるように、ポンプ122を駆動させてもよい。例えば、制御部123は、供給部128から滅菌ガスの供給又は加湿水、滅菌液の噴霧が行われているとき、ポンプ122を停止させてもよい。つまり、チャンバー110内で加湿、滅菌が行われているときには、ポンプ122による気体の吸引は停止されてもよい。なお、制御部123は、供給部128の動作を制御する制御部113からの信号に応じてポンプ122の吸引量を制御してもよい。
【0028】
また、制御部123は、計測モード、及びリセットモード(エアレーションモード)を有している。計測モードは、計測部121による計測が行われるべく、計測部121に吸い込まれる気体の流量が、ヒーター126の温度に応じた所定の流量(第1流量)になるように、ポンプ122を駆動させるモードであり、第1モードに相当する。また、リセットモードは、計測部121を初期状態に戻すべく、計測モードにおける気体の流量よりも多い流量(第2流量)の気体が計測部121内に流されるように、ポンプ122が駆動されるモードであり、第2モードに相当する。リセットモードは、例えば1日に一回実行される。あるいは、リセットモードは、チャンバー110内の加湿又は滅菌後に加湿水、滅菌液、滅菌ガスを気体の経路内から迅速に除去するために実行されてもよい。
【0029】
(清浄環境機器の動作)
上述した構成を有する清浄環境機器1の動作を説明する。清浄環境機器1の動作は、気体中の微粒子の計測が行われている時の動作、計測部121が初期状態にリセットされる時の動作、及び、チャンバー110内が滅菌される時の動作に大別されるので、以下、順に説明する。
【0030】
・ 微粒子の計測時
上述のように、チャンバー110内の気体は、ポンプ122によって吸込配管124を介して計測部121に吸引され、計測部121において微粒子を計測される。その際、チャンバー110から吸い出された高湿度の気体は、除去部127において水分を除去されるとともに、ヒーター126によって所望の温度に加熱される。そのため、加熱後の気体の湿度は、加熱前の気体の湿度に比べて低下する。したがって、気体が吸込配管124において結露することを防止できるとともに、計測部121が気体中の水分の影響を受けることを抑制することができるから、気体中の微粒子を正確に計測することが可能となる。
【0031】
また、制御部123は、加熱による気体の膨張を上記(式1)に基づいて計算し、計算結果に基づいてポンプ122の吸引量を制御する。これにより、計測部121は、ヒーター126による気体の加熱が行われた場合でも、所定温度(例えば25℃)の気体の所定体積中の微粒子の数に相当する計測結果を得ることができる。
【0032】
・ 計測部121が初期状態にリセットされる時
上述したように、計測部121は、1日に一回、初期状態にリセットされる。その際、制御部123は、ポンプ122の吸引量が、上述した微粒子の計測時におけるポンプ122の吸引量より大きくなるように、ポンプ122を制御する。このとき、ヒーター126は、経路内の気体を所望の温度に加熱する。したがって、加熱されて湿度の低下した高温の気体が計測部121に流入し、これにより計測部121内が乾燥する。よって、計測部121による計測の信頼性が確保される。
【0033】
・ チャンバー110内が加湿、滅菌される時
上述のように、チャンバー110内の汚染を防止等するべく、チャンバー110内は定期的に加湿、滅菌される。チャンバー110内の加湿、滅菌は、供給部128からチャンバー110内に滅菌ガスを供給し、あるいは加湿水、滅菌液を供給部128からチャンバー110内に噴霧することにより行われる。加湿の際、微粒子の計測が行われる必要性はなく、また加湿、滅菌を確実に行うため、制御部123は、ポンプ122による気体の吸引を停止させる。なお、加湿、滅菌後には、加湿水、滅菌ガス及び滅菌液を気体の経路から除去するべく、制御部123は、上述したリセット時と同様に、ポンプ122が計測時より多くの量の気体を吸引するように制御してもよい。なお、本実施形態では、ヒーター126は、吸込配管124を覆う構成として説明したが、これに限定されるものではない。流路全体を加熱するとさらによい。
【0034】
具体的には、例えば、ヒーター126は、吸込配管124を覆うだけでなく、吐出配管125の全体または一部を覆う構成とするとよい。
【0035】
流路の一部だけでなく、流路全体を加熱することによって吸込配管124および吐出配管125などの配管の結露をさらに抑えることができる。
【0036】
また、排気側の流路、例えば吐出配管125は、それを経由して気体をチャンバー110に戻すので、排気側の流路において結露が発生すると、水微粒子をチャンバー110内に戻してしまう可能性がある。したがって、吐出配管125などの排気側の流路も保温したほうが望ましい。
【0037】
このような構成とすることによって、気体が吐出配管125において結露することを防止できるとともに、計測部121が気体中の水分の影響を受けることをさらに抑制することができるから、気体中の微粒子をさらに正確に計測することが可能となる。
【0038】
また、ヒーター126によって吸込配管124および吐出配管125などの配管を加熱する場合、温度は約40℃より高くしないようにするとさらによい。
【0039】
このようにすることによって、計測部121に用いているセンサ、特にレーザに対して高温による悪影響を及ぼさないようにできるので、計測部121の安定性および寿命を確保できる。
【0040】
[第2実施形態]
図2を参照して、第2実施形態における清浄環境機器2の全体構成を説明する。
図2は、第2実施形態における清浄環境機器2を概略的に示す図である。
図2において、清浄環境機器1と同様の構成には同様の符号が付されている。
【0041】
図2に示されるように、清浄環境機器2は、第1実施形態における清浄環境機器1と同様に、チャンバー210と供給部228と気中微粒子計測器220とを有する。ただし、第1実施形態における除去部127に相当する構成は含まれない。
【0042】
また、気中微粒子計測器220に含まれるヒーター226は、吸込配管224における筐体229の外側を部分的に覆っている。したがって、吸込配管224においてヒーター226によって覆われている区間は、第1実施形態における吸込配管124より短い。そこで、ヒーター226は、例えば、第1実施形態におけるヒーター126よりも高温で気体を加熱したり、ヒーター226の内部で配管を巻き回して表面積を増したりして、短い区間でも十分な加熱を可能にしている。
【0043】
このような第2実施形態における清浄環境機器2の動作は、第1実施形態と同様に、気体中の微粒子の計測が行われている時の動作、計測部221が初期状態にリセットされる時の動作、及び、チャンバー210内が加湿、滅菌される時の動作に大別される。これらの各動作の詳細は省略される。
【0044】
なお、本実施形態において、吸込配管224または吐出配管225の少なくとも一方は吸湿性の樹脂膜によって構成してもよい。吸湿性の樹脂膜としては、例えばナフィオンチューブなどが、広く知られている部材であり、詳細の説明は省略するが、水分がチューブの内側から外側へ排出され水分を除去できる作用を有するものである。なお、「NAFION」は登録商標である。
【0045】
具体的には、吸込配管224の全体または一部にナフィオンチューブを使用してもよい。つまり、ナフィオンチューブを装着部211とヒーター226との間の経路に設けてもよい。
【0046】
このような構成とすることによって、ナフィオンチューブを設けた装着部211とヒーター226との間の経路において、ナフィオンチューブから水分が排出され、装着部211から入ってきた高湿度であるチャンバー210内の気体は、水分が減少してヒーター226に向かって流れることになる。
【0047】
したがって、気体が吸込配管224において結露することを防止できるとともに、計測部221が気体中の水分の影響を受けることを抑制することができるから、気体中の微粒子を正確に計測することが可能となる。
【0048】
また、吐出配管225の全体または一部にナフィオンチューブを使用してもよい。つまり、ナフィオンチューブを装着部212とポンプ222との間の経路に設けてもよい。
【0049】
このような構成とすることによって、ナフィオンチューブを設けた装着部212とポンプ222との間の経路において、ナフィオンチューブから水分が排出され、水分が減少した気体が装着部212からチャンバー210内に向かって流れることになる。
【0050】
したがって、気体が吐出配管225において結露することを防止できるとともに、計測部221が気体中の水分の影響を受けることを抑制することができるから、気体中の微粒子を正確に計測することが可能となる。
【0051】
ナフィオンチューブによって十分に水分を除去できる場合には、ヒーター226を省略する構成とすることも可能であり、装置を簡素な構成とすることができる。なお、ここで十分に水分を除去できる場合とは、所望の気体中の微粒子を計測する正確さにおいて計測部221が気体中の水分の影響を受けない程度の状態に水分を除去できる場合のことである。
【0052】
[第3実施形態]
図3を参照して、第3実施形態における清浄環境機器の全体構成を説明する。
図3は、第3実施形態における清浄環境機器を概略的に示す図である。
図3において、清浄環境機器1と同様の構成には同様の符号が付されている。
【0053】
図3に示されるように、清浄環境機器3は、チャンバー310と供給部328と気中微粒子計測器320とを有する。ただし、第2実施形態と同様に、第1実施形態における除去部127に相当する構成は含まれない。
【0054】
また、ヒーター326は、チャンバー310の装着部331に取り付けられ、装着部311及び吸込配管324(接続部)を流れる気体を加熱する。ヒーター326は、第2実施形態におけるヒーター226と同様に、例えば、第1実施形態におけるヒーター126よりも高温で気体を加熱したり、ヒーター326の内部で配管を巻き回して表面積を増したりすることで、十分な加熱を可能にしている。
【0055】
このような第3実施形態における清浄環境機器3の動作は、第1実施形態と同様に、気体中の微粒子の計測が行われている時の動作、計測部321が初期状態にリセットされる時の動作、及び、チャンバー310内が加湿、滅菌される時の動作に大別される。これらの各動作の詳細は省略される。
【0056】
前述したとおり、気中微粒子計測器120(220,320)は、一時的又は常時的に外気の湿度よりも高湿度に維持されるチャンバー110(210,310)に接続される気中微粒子計測器120(220,320)であって、吸い込んだ気体中の微粒子を計測する計測部121(221,321)と、チャンバー110(210,310)の装着部111(211,311)と計測部121(221,321)とを接続し、チャンバー110(210,310)内から吸い込んだ気体を計測部121(221,321)へ運ぶ吸込配管124(224,324)と、気体が吸込配管124(224,324)を通ってチャンバー110(210,310)から計測部121(221,321)へ運ばれるように、気体を吸引するポンプ122(222,322)と、計測部121(221,321)よりも上流側の経路内の気体を加熱する加熱部126(226,326)と、を備える。かかる実施形態によれば、チャンバー110(210,310)から吸い出された高湿度の気体はヒーター126(226,326)によって加熱され、加熱後の気体における湿度が低下する。これにより、気体が吸込配管124(224,324)及び計測部121(221,321)において結露することを防止することができる。よって、高湿度の気体中の微粒子を測定する場合でも正確な計測を行うことができる気中微粒子計測器を提供することが可能となる。
【0057】
また、加熱部126(226,326)が吸込配管124(224,324)を覆う構成であることにより、吸込配管124(224,324)を流れる気体を効率よく加熱することが可能となる。
【0058】
また、加熱部126(226,326)が第1熱量を発熱して運転しているときに計測部121(221,321)に吸い込まれる気体の流量が、加熱部126(226,326)が第1熱量より小さい第2熱量を発熱して運転しているとき又は停止しているときの流量よりも多くなるように、ポンプ122(222,322)を駆動させる制御部123(223,323)を備えてもよい。かかる実施形態によれば、加熱部126(226,326)の発熱量にかかわらず、気体の所定体積中に含まれる微粒子の数に相当する計測結果を得ることができる。よって、計測結果の比較が容易である。
【0059】
また、ポンプ122(222,322)の駆動を制御して計測部121(221,321)に吸い込まれる気体の流量を調整する制御部123(223,323)を備え、制御部123(223,323)は、前記流量が第1流量になるように、ポンプ122(222,322)を駆動させる計測モードと、前記流量が第1流量より多い第2流量になるように、ポンプ122(222,322)を駆動させるリセットモードと、を有してもよい。かかる実施形態によれば、制御部123(223,323)がリセットモードであるときでも、ヒーター126(226,326)は、経路内の気体を所望の温度に加熱する。したがって、相対的に湿度の低い高温の気体が計測部121(221,321)に流入し、計測部121(221,321)内が乾燥する。よって、計測部121(221,321)による計測の信頼性が確保される。
【0060】
また、吸込配管124内の気体中に含まれる水分を凝結させることにより気体中の水分を除去する除去部127を備えてもよい。この除去部127は、加熱部126よりも上流側に設けられることが好ましい。かかる実施形態によれば、気体が吸込配管124において結露することを防止し、計測部121が気体中の水分の影響を受けることを抑制するので、微粒子を正確に計測することが可能となる。
【0061】
清浄環境機器1(2,3)は、一時的又は常時的に外気の湿度よりも高湿度に維持されるチャンバー110(210,310)と、チャンバー110(210,310)に接続される気中微粒子計測器120(220,320)と、を備え、気中微粒子計測器120(220,320)は、吸い込んだ気体中の微粒子を計測する計測部121(221,321)と、チャンバー110(210,310)の装着部111(211,311)と計測部121(221,321)とを接続し、チャンバー110(210,310)内から吸い込んだ気体を計測部121(221,321)へ運ぶ吸込配管124(224,324)と、気体が吸込配管124(224,324)を通ってチャンバー110(210,310)から計測部121(221,321)へ運ばれるように気体を吸引するポンプ122(222,322)と、計測部121(221,321)よりも上流側の経路内の気体を加熱する加熱部126(226,326)と、を有する。かかる実施形態によれば、チャンバー110(210,310)から吸い出された高湿度の気体はヒーター126(226,326)によって加熱され、加熱後の気体における湿度が低下する。これにより、気体が吸込配管124(224,324)及び計測部121(221,321)において結露することを防止することができる。よって、高湿度の気体中の微粒子を測定する場合でも正確な計測を行うことができる清浄環境機器を提供することが可能となる。
【0062】
また、加熱部126(226,326)は、吸込配管124(224,324)を覆う構成、又は、チャンバー110(210,310)の装着部111(211,311)に設けられる構成でもよい。かかる実施形態によれば、吸込配管124(224,324)を流れる気体を効率よく加熱することが可能となる。
【0063】
また、加熱部126(226,326)が第1熱量を発熱して運転しているときに計測部121(221,321)に吸い込まれる気体の流量が、加熱部126(226,326)が第1熱量より小さい第2熱量を発熱して運転しているとき又は停止しているときの流量よりも多くなるように、ポンプ122(222,322)を駆動させる制御部113(213,313)を備えてもよい。かかる実施形態によれば、加熱部126(226,326)の発熱量にかかわらず、気体の所定体積中に含まれる微粒子の数に相当する計測結果を得ることができる。よって、計測結果の比較が容易である。なお、制御部113(213,313)は、気中微粒子計測器120(220,320)の制御部123(223,323)と連携するようにしてもよいし、一体としてもよい。
【0064】
また、制御部113(213,313)は、チャンバー110(210,310)内の湿度を上げるために、水蒸気又はミスト状の水分を供給する供給部128(228,328)と、供給部128(228,328)から水蒸気又はミスト状の水分が供給されているときに計測部121(221,321)に吸い込まれる気体の流量が、供給部128(228,328)から水蒸気又はミスト状の水分が供給されていないときの流量よりも少なくなるように、ポンプ122(222,322)を駆動させてもよい。例えば、制御部113(213,313)は、供給部から水蒸気又はミスト状の水分が供給されているとき、ポンプ122(222,322)を停止させることが好ましい。かかる実施形態によれば、計測部121(221,321)が水蒸気又はミスト状の水分の影響を受けることを抑制し、微粒子を正確に計測することができる。
【0065】
気体中の微粒子を計測する気中微粒子計測器320を着脱自在な清浄環境機器3であって、一時的又は常時的に外気の湿度よりも高湿度に維持されるチャンバー310と、チャンバー310と気中微粒子計測器320とを着脱自在に接続する接続部(装着部311及び吸込配管324と、この接続部を流れる気体を加熱する加熱部326)と、を備える。かかる実施形態によれば、チャンバー310から吸い出された高湿度の気体はヒーター326によって加熱され、加熱後の気体における湿度が低下する。これにより、気体が接続部において結露することを防止することができる。よって、高湿度の気体中の微粒子を測定する場合でも正確な計測を行うことができる清浄環境機器を提供することが可能となる。
【0066】
前述した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明はその趣旨を逸脱することなく変更や改良等が可能であり、また、本発明はその等価物も含む。
【0067】
例えば、清浄環境機器は、再生医療用途に限定されず、無菌製剤、粉末充填、無菌試験、ケミカルハザードなどの用途に用いられてもよい。
【0068】
また、吐出配管125,225,325は設けられなくてもよい。この場合、ポンプ122,222,322から吐出された気体は清浄環境機器1,2,3の外部に排出されることになる。また、チャンバー110,210,310内の気体が例えばCO
2を多く含む場合には、チャンバー110,210,310内にCO
2を補充する必要がある。