(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
(本発明の一態様にかかる空調用床吹出口の概要)
まず、
図3、
図4を参照しながら、本発明の一態様にかかる空調用床吹出口の概要について説明する。
図3、
図4は、本発明の一態様にかかる空調用床吹出口の構成例を示す。
【0014】
本発明の一態様にかかる空調用床吹出口は、
図3に示すように、通気蓋31と、開閉板32と、を有して構成する。
【0015】
通気蓋31は、二重床構造の床面に設置されるものであり、開口部30を有して構成する。
【0016】
開閉板32は、開口部30を塞ぐように通気蓋31に取り付けられるものであり、
図4(a)に示すように、開口部30を開口した状態と、
図4(b)に示すように、開口部30を閉じた状態と、にする。
【0017】
本発明の一態様にかかる空調用床吹出口3は、通気蓋31の開口部30を塞ぐように通気蓋31に取り付けられた開閉板32により、開口部30を開口した状態と、閉じた状態と、にする。このため、空調用床吹出口3を使用しない場合は、通気蓋31の開口部30を開閉板32で閉じた状態にすることで、開口部30が床面から露呈しないようにすることができる。その結果、空調用床吹出口3を床面から取り外さなくても済むことができる。以下、添付図面を参照しながら、本発明の一態様にかかる空調用床吹出口3について詳細に説明する。
【0018】
(第1の実施形態)
<空調システムの構成例>
まず、
図1、
図2を参照しながら、本実施形態の空調用床吹出口3を設置する空調システムの構成例について説明する。
図1、
図2は、本実施形態の空調用床吹出口3を設置する空調システムの概略を説明するための図である。
【0019】
本実施形態の空調用床吹出口3を設置する空調システムは、データセンターなどの大規模な電算機室に適用され、室内に設置されたラック列1、2のラックに収容される電子機器を冷却する。冷却対象の電子機器としては、例えば、サーバ装置やサーバスイッチ装置などがあげられる。
【0020】
本実施形態の空調システムは、
図1、
図2に示すように、冷気を供給する空調装置19と、冷気を室内に吹き出す空調用床吹出口3と、暖気を発生する電子機器が収容される複数のラックが配列されたラック列1、2と、室内にて冷気及び暖気を分離するための遮蔽体10と、を有して構成する。
【0021】
ラック列1、2と天井6との間には、冷気及び暖気を分離するための遮蔽体10が着脱自在に配置される。
【0022】
空調装置19から供給された冷気は、二重床構造の床下空間4に供給され、床面5に設けられた空調用床吹出口3から矢印P1、P4のように吹き出し、ラック列1、2内のラックに収容された電子機器を冷却するようになっている。電子機器は熱を発するため、その熱により暖気が発生する。電子機器で発生した暖気は、ラック列1、2の背面から矢印P2、P5の方向に排出され、その排出された暖気が矢印P3、P6のようにラック列1、2の前面に回り込むのを遮蔽体10で防止している。このため、床面5と、ラック列1、2と、遮蔽体10と、により囲まれた空間(以下「冷気空間」と呼ぶ)が形成され、冷気空間内の冷気と冷気空間外の暖気とを分離することができる。また、ラック列1、2の端面側には、冷気空間の冷気の放出を防ぐカーテンなどを設置することが望ましい。ただし、空調システムの各要素の構成や配置は一例である。空調用床吹出口3は、ラック列1、2に沿って、床面5に複数設置されても構わない。
【0023】
図1、
図2に示す遮蔽体10は、電算機室の天井6から吊り下げられた複数の吊り下げ部材11(11−1、11−2、・・・)と、各吊り下げ部材11により水平に吊り下げられた梁部材17と、梁部材17の垂線の足Fから離れて配置されたラック列1、2の上面から梁部材17に対して傾斜配置された遮蔽部材としての板状部材12(12−1、12−2、・・・)、13(13−1、13−2、・・・)と、を有して構成されている。ただし、遮蔽体10の構成や配置は一例である。
【0024】
板状部材12、13は、フック等を備え、梁部材17への取り付けと梁部材17からの取り外しが可能に構成されている。ただし、遮蔽体10の構成や配置は一例である。
【0025】
板状部材12、13を梁部材17に取り付けることで、ラック列1、2の背面から矢印P2、P5の方向に排出される暖気が矢印P3、P6のようにラック列1、2の前面に回り込むのを防止することが容易にできる。このように、本実施形態の空調用床吹出口3を設置する空調システムでは、ラック列1、2の増減に合わせて、遮蔽体10の一部もしくは、全部を取り付け、取り外し可能になっていることが好ましい。
【0026】
空調用床吹出口3は、空調装置19から二重床構造の床下空間4に供給された冷気を室内の冷気空間に吹き出すものである。空調用床吹出口3は、
図3に示すように、複数の開口部30を有する通気蓋31と、その開口部30の数に対応した数の開閉板32と、を有して構成する。
図3に示す通気蓋31は、5つの開口部30を有しているため、開閉板32の数は、その開口部30の数に対応した5つとなる。なお、
図3に示す構成は一例であり、開口部30及び開閉板32の数を5つに限定するものではない。通気蓋31は、床面5に設置され、床下空間4の冷気を複数の開口部30から室内の冷気空間に吹き出させる部材である。開閉板32は、通気蓋31に取り付けられ、
図4(a)に示すように、開口部30を開口した状態と、
図4(b)に示すように、開口部30を閉じた状態と、にする部材である。
図4では、開閉板32の開閉状態を見やすくするために、空調用床吹出口3を構成する5つの開閉板32のうち2つの開閉板32のみを示している。なお、複数の開閉板32は、それぞれ独立して開閉しても、それぞれが連動してひとまとまりに開閉しても、構わない。
【0027】
空調用床吹出口3は、
図5(b)、
図6(b)に示すように、空調用床吹出口3を床面5に取り付けた場合に、通気蓋31の上面と、床面5の上面と、で段差がなく平坦な状態となるように構成している。
図5、
図6は、空調用床吹出口3を床面5に取り付ける前の状態(a)と、取り付けた後の状態(b)と、を示している。
図5は、空調用床吹出口3と床面5との断面を示し、
図6は、空調用床吹出口3と床面5とを上方から見た状態を示している。空調用床吹出口3は、床面5に取り付け及び取り外し可能な空調用床吹出口装置として構成されても、床面5に備え付けられていてもよい。
【0028】
床面5には、
図5(a)、
図6(a)に示すように、空調用床吹出口3を取り付ける取付部52を有しており、
図5(b)に示すように、取付部52上に空調用床吹出口3を設置して床面5に空調用床吹出口3を取り付けるようにしている。本実施形態では、床面5の一部に開口領域51を設け、開口領域51の周囲に床面5の上面から下方に窪んだ形状の取付部52を構成している。そして、その取付部52上に空調用床吹出口3を取り付けることで、通気蓋31の上面と、床面5の上面と、で段差がなく平坦な状態としている。本実施形態の空調用床吹出口3は、
図5(b)、
図6(b)に示すように、床面5に空調用床吹出口3を取り付けることで、二重床構造の床下空間4の冷気を通気蓋31の複数の開口部30から室内の冷気空間に吹き出させることができる。なお、空調用床吹出口3を床面5に取り付ける際の取り付け構造は、
図5、
図6に示す構造に限定せず、任意の取付構造で空調用床吹出口3を床面5に取り付けることが可能である。ただし、空調用床吹出口3を床面5に取り付ける際は、通気蓋31の上面と、床面5の上面と、で段差がなく平坦な状態となるようにすることが好ましい。
【0029】
空調用床吹出口3は、
図4(a)に示すように、開閉板32を開くことで、通気蓋31の開口部30を開口した状態にすることになる。これにより、空調装置19から床下空間4に供給された冷気を開口部30から室内の冷気空間に吹き出させるようにすることができる。また、
図4(b)に示すように、開閉板32を閉じることで、通気蓋31の開口部30を閉じた状態にすることになる。これにより、空調装置19から床下空間4に供給された冷気を複数の開口部30から冷気空間以外の室内に吹き出させないようにすることができる。
【0030】
空調用床吹出口3は、
図4(b)に示すように、開閉板32の上面を通気蓋31の上面と平行な状態にすることで、通気蓋31の開口部30を閉じた状態にすることができる。また、
図4(a)に示すように、開閉板32の一端を回転軸として当該開閉板32を下方に動かし、開閉板32の上面を通気蓋31の上面と非平行な状態にすることで、通気蓋31の開口部30を開口した状態にすることができる。開閉板32は、開閉板32の上面が通気蓋31の上面と平行な状態から90度の範囲で下方に角度を任意に調整して回動することができる。なお、開閉板32の角度は、通気蓋31の開口部30をほぼ閉じた状態にすることができれば、通気蓋31の上面と平行な状態でなくてもよく、通気蓋31の開口部30を開いた状態にすることができれば、90度でなくてもよいので、平行な状態から90度の範囲は一例である。他の実施形態での説明でも同様である。
【0031】
また、開閉板32は、
図7に示すように、2枚構造になっており、第1の開閉板32−1と、移動可能な第2の開閉板32−2と、を有している。
図7は、開閉板32の構成例を示す。(a)は、第1の開閉板32−1と、第2の開閉板32−2と、が重なった状態を示す。(b)、(c)は、第2の開閉板32−2を第1の開閉板32−1に対してスライドさせて引き出した状態を示す。開閉板32は、
図7(c)に示すように、第1の開閉板32−1が通気蓋31に取り付けられており、移動可能な第2の開閉板32−2を第1の開閉板32−1に対してスライドさせることで、開閉板32の長さを調整することが可能になっている。例えば、
図7(c)に示すように、第2の開閉板32−2を第1の開閉板32−1に対して引き出し、開閉板32の短手方向の長さを長くすることで、開閉板32に当接する冷気の面積を大きくし、多くの冷気を開閉板32で取り込むことができる。その結果、多くの冷気を開口部30から室内の冷気空間に吹き出させることができる。
【0032】
<開閉板32のスライド機構の構成例>
次に、
図8を参照しながら、本実施形態の開閉板32のスライド機構の構成例について説明する。
図8は、開閉板32のスライド機構の構成例を示す図である。(a)は、開閉板32を側面から見たときの断面図を示し、(b)は、開閉板32の分解図を示し、(c)は、開閉板32を前方から見たときの断面図を示す。
【0033】
開閉板32は、第1の開閉板32−1と、移動可能な第2の開閉板32−2と、ガイド板34と、を有して構成する。
図8に示す開閉板32は、第1の開閉板32−1の上に第2の開閉板32−2を重ねて構成しており、第1の開閉板32−1が開閉板32の下側を構成し、第2の開閉板32−2が開閉板32の上側を構成している。ガイド板34は、
図8(c)に示すように、第1の開閉板32−1と、第2の開閉板32−2と、の端部を挟み込むように、第1の開閉板32−1と、第2の開閉板32−2と、の両側に設けられており、第2の開閉板32−2を第1の開閉板32−1に沿ってスライドさせることを可能にしている。ガイド板34は、開閉板32の移動を案内する部材であり、後述する
図9に示すように、通気蓋31に取り付けられており、第1の開閉板32−1は、ガイド板34と連結し、ガイド板34を介して通気蓋31に取り付けられる。ガイド板34を通気蓋31に取り付ける際の構造については後述する。
【0034】
図8に示す開閉板32は、第1の開閉板32−1の上面にガイド溝35が設けられており、第2の開閉板32−2の下面に突起部36が設けられており、突起部36をガイド溝35に沿って移動することで、突起部36が設けられている第2の開閉板32−2が第1の開閉板32−1に対してスライドするようになっている。ガイド溝35は、第1の開閉板32−1の上面から下方に窪んだ形状で構成する。突起部36は、第2の開閉板32−2の下面から下方に突出した形状で構成する。
図8に示す開閉板32は、突起部36をガイド溝35に挿入することで、第2の開閉板32−2を引き出した際に、突起部36がガイド溝35の端部に接触し、第2の開閉板32−2の引き出しを停止させることになる。なお、第1の開閉板32−1の上面に突起部36を設け、第2の開閉板32−2の下面にガイド溝35を設け、そのガイド溝35に沿って第2の開閉板32−2が第1の開閉板32−1に対してスライドするようにすることも可能である。また、
図8では、
図8(c)に示すように、ガイド溝35と、突起部36と、を開閉板32の中央の位置に設けるようにしている。しかし、ガイド溝35と、突起部36と、を設ける位置は、
図8(c)に示す位置に限定せず、任意の位置に設けるようにすることも可能である。また、
図8では、
図8(c)に示すように、ガイド溝35と、突起部36と、の一対を開閉板32に1つだけ設けて構成している。しかし、ガイド溝35と、突起部36と、の一対を開閉板32に複数設けて構成することも可能である。
【0035】
図8に示す開閉板32は、第2の開閉板32−2の上面に突形状の持手部33が設けられており、その持手部33を使用者が持って第2の開閉板32−2を第1の開閉板32−1に対して容易にスライドさせることを可能にしている。
図8に示す持手部33は、第2の開閉板32−2の上面から突出した形状になっているため、
図10(a)に示すように、持手部33の頂点の位置αが通気蓋31の上面の位置βよりも上方に位置しないように、開閉板32を通気蓋31に取り付ける必要がある。これは、持手部33の頂点の位置αが通気蓋31の上面の位置βよりも上方に位置してしまうと、通気蓋31の上面を人などが歩いて通気蓋31に負荷を加えた場合に、通気蓋31の上面よりも上方に位置する持手部33に負荷が加わり、開閉板32が下方に動いてしまうためである。また、
図10(b)に示すように、持手部33の頂点の位置αよりもガイド板34の上面の位置γが上方に位置する場合は、ガイド板34の上面の位置γが通気蓋31の上面の位置βよりも上方に位置しないように、開閉板32を通気蓋31に取り付ける必要がある。即ち、通気蓋31の上面の位置βよりも上方に位置する部材が存在しないように開閉板32を通気蓋31に取り付ける必要がある。これにより、通気蓋31の上面を人などが歩いて通気蓋31に負荷を加えても、開閉板32に直接負荷が加わることがないようにすることができる。
【0036】
なお、
図8に示す開閉板32は、第2の開閉板32−2の上面に突形状の持手部33を設けるようにしている。しかし、持手部33の形状は特に限定せず、任意の形状で構成することも可能である。例えば、第2の開閉板32−2の上面から下方に窪んだ形状で構成することも可能である。また、持手部33を設けないようにすることも可能である。
【0037】
また、本実施形態の空調用床吹出口3は、
図8に示すように、開閉板32を構成する第2の開閉板32−2を第1の開閉板32−1に対してスライドさせて引き出し、開閉板32で多くの冷気を取り込むようにしている。この場合、第2の開閉板32−2は、冷気が当接しても、その冷気の力によって第2の開閉板32−2が第1の開閉板32−1に対して引き戻されないようになっている。例えば、第2の開閉板32−2の下面側は、第1の開閉板32−1の上面側と当接しており、その当接した面の摩擦抵抗により、第2の開閉板32−2が冷気の力によって第1の開閉板32−1に対して引き戻されないようになっている。また、第2の開閉板32−2の両側面は、ガイド板34の内面側と当接しており、その当接した面の摩擦抵抗により、第2の開閉板32−2が冷気の力によって第1の開閉板32−1に対して引き戻されないようになっている。これにより、第2の開閉板32−2は、冷気が当接しても、その冷気の力によって第2の開閉板32−2が第1の開閉板32−1に対して引き戻されないようになっている。
【0038】
<開閉板32の開閉機構の構成例>
次に、
図9を参照しながら、開閉板32の開閉機構の構成例について説明する。
【0039】
本実施形態の開閉板32は、
図8に示すようにガイド板34を有しており、そのガイド板34は、
図9(a)に示すように通気蓋31に取り付けられている。
図9(a)に示すガイド板34は、ガイド板34の背面がヒンジ40を介して通気蓋31に取り付けられている。ヒンジ40としては、例えば、
図9(b)に示すトルクヒンジがあげられる。
【0040】
図9(a)に示すガイド板34は、ガイド板34の背面がヒンジ40を介して通気蓋31に取り付けられているため、ヒンジ40を軸としてガイド板34を下方に動かすことができる。ガイド板34は、
図8に示すように、第1の開閉板32−1と、第2の開閉板32−2と、の端部を挟み込むように、第1の開閉板32−1と、第2の開閉板32−2と、の両側に設けられているため、開閉板32は、ヒンジ40を軸としてガイド板34と共に下方に動かすことができる。また、開閉板32を下方に動かしたり、上方に動かしたりして、開閉を行うために使用者が持つ取っ手又は窪みが、開閉板32に設けられても構わないし、
図8に示す持手部33でこの機能を共用しても構わない。
【0041】
本実施形態の開閉板32は、開閉板32の下側を構成する第1の開閉板32−1がガイド板34と連結し、開閉板32の上側を構成する第2の開閉板32−2がスライドし、第1の開閉板32−1に対して前方に引き出すことができるようになっている。これにより、
図7(c)に示すように、第2の開閉板32−2を第1の開閉板32−1に対して引き出し、開閉板32の短手方向の長さを長くすることで、開閉板32に当接する冷気の面積を大きくし、多くの冷気を開閉板32で取り込むことができる。なお、第1の開閉板32−1とガイド板34との連結構造は第1の開閉板32−1がガイド板34に固定されていればその連結構造は特に限定せず、任意の構造で連結することが可能である。また、第2の開閉板32−2は、第1の開閉板32−1に対してスライドすることが可能であればそのスライド機構の構造は特に限定せず、任意の構造で構成することが可能である。
【0042】
図2に示すラック列1、2は8台のラックからなるが、ラック列1、2のラックの台数を増設する場合には、電算機室内のラック列1、2に増設可能な台数の長さに、吊り下げ部材11及び梁部材17を予め設置しておき、増設されたラックの分だけ、梁部材17に各板状部材12、13を取り付けるだけで工事が完了する。また、ラック列1、2のラックの台数を減設する場合には、減設されたラックの分だけ、梁部材17から各板状部材12、13を取り外すだけで工事が完了する。このようなレイアウト変更にて、ラック列1、2を減設する場合でも空調用床吹出口3を床面5から取り外す必要はなく、通気蓋31の開口部30を開閉板32で閉じた状態にするだけで、通気蓋31の開口部30から冷気空間以外の室内に冷気を吹き出させないようにすると共に、床面5を平坦な状態にすることができる。また、レイアウト変更にて、ラック列1、2を増設する場合でも空調用床吹出口3を床面5に取り付ける必要はなく、通気蓋31の開口部30を開閉板32で開いた状態にするだけで、通気蓋31の開口部30から室内の冷気空間に冷気を吹き出すことができる。その結果、空調用床吹出口3を床面5から取り外さなくても済むため、レイアウト変更に伴う工期を短縮することができる。
【0043】
<本実施形態の空調システムの作用・効果>
本実施形態の空調システムは、床面5に空調用床吹出口3を取り付けて構成する。そして、空調用床吹出口3を使用しない場合は、通気蓋31の開口部30を開閉板32で閉じた状態にする。これにより、通気蓋31の開口部30から冷気空間以外の室内に冷気を吹き出させないようにすることができる。その結果、空調システムのレイアウト変更に伴って空調用床吹出口3を使用しない場合は、通気蓋31の開口部30を開閉板32で閉じた状態にすることで、空調用床吹出口3を床面5から取り外さなくても済むことができる。
【0044】
また、空調用床吹出口3を使用する場合は、通気蓋31の開口部30を開閉板32で開いた状態にする。これにより、通気蓋31の開口部30から室内の冷気空間に冷気を吹き出させることができる。また、開閉板32を構成する第2の開閉板32−2を第1の開閉板32−1に対してスライドさせて引き出すことで、開閉板32全体の長さを長くし、開閉板32で多くの冷気を取り込み、開口部30から室内の冷気空間に吹き出させることができる。
【0045】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。
【0046】
第1の実施形態の空調用床吹出口3は、
図8に示す2枚構造の開閉板32を有して構成している。しかし、
図11に示す2枚構造の開閉板32を有して構成することも可能である。
図11は、開閉板32のスライド機構の構成例を示す図である。(a)は、開閉板32を側面から見たときの断面図を示し、(b)は、開閉板32の分解図を示し、(c)は、開閉板32を前方から見たときの断面図を示す。
【0047】
開閉板32は、第1の開閉板32−1と、移動可能な第2の開閉板32−2と、ガイド板34と、を有して構成する。
図11に示す開閉板32は、第2の開閉板32−2の上に第1の開閉板32−1を重ねて構成しており、第2の開閉板32−2が開閉板32の下側を構成し、第1の開閉板32−1が開閉板32の上側を構成している。ガイド板34は、
図11(c)に示すように、第1の開閉板32−1と、第2の開閉板32−2と、の端部を挟み込むように、第1の開閉板32−1と、第2の開閉板32−2と、の両側に設けられており、移動可能な第2の開閉板32−2を第1の開閉板32−1に沿ってスライドさせることを可能にしている。ガイド板34は、
図9に示すように、ガイド板34の背面が通気蓋31に取り付けられており、第1の開閉板32−1は、ガイド板34と連結し、ガイド板34を介して通気蓋31に取り付けられる。
【0048】
図11に示す開閉板32は、第2の開閉板32−2の上面にガイド溝35が設けられており、第1の開閉板32−1の下面に突起部36が設けられており、ガイド溝35に沿って第2の開閉板32−2が第1の開閉板32−1に対してスライドするようになっている。なお、第2の開閉板32−2の上面に突起部36を設け、第1の開閉板32−1の下面にガイド溝35を設け、突起部36を設けた第2の開閉板32−2が第1の開閉板32−1に対してスライドするようにすることも可能である。また、
図11では、
図11(c)に示すように、ガイド溝35と、突起部36と、を開閉板32の中央の位置に設けるようにしている。しかし、ガイド溝35と、突起部36と、を設ける位置は、
図11(c)に示す位置に限定せず、任意の位置に設けるようにすることも可能である。また、
図11では、
図11(c)に示すように、ガイド溝35と、突起部36と、の一対を開閉板32に1つだけ設けて構成している。しかし、ガイド溝35と、突起部36と、の一対を開閉板32に複数設けて構成することも可能である。
【0049】
図11に示す開閉板32は、第2の開閉板32−2の上面に突形状の持手部33が設けられており、その持手部33を使用者が持って第2の開閉板32−2を第1の開閉板32−1に対して容易にスライドさせることを可能にしている。
図11に示す持手部33は、第2の開閉板32−2の上面から突出した形状になっているため、
図12に示すように、第2の開閉板32−2を第1の開閉板32−1に対して引き戻した状態の場合でも、第2の開閉板32−2が第1の開閉板32−1よりも前方に位置することになる。また、
図11に示す開閉板32は、開閉板32の上面側を構成する第1の開閉板32−1がガイド板34と連結するため、
図12に示すように、ガイド板34の上面の位置γが通気蓋31の上面の位置βよりも上方に位置しないように、開閉板32を通気蓋31に取り付ける必要がある。
【0050】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について説明する。
【0051】
第3の実施形態の空調用吹出口3は、
図13に示す2枚構造の開閉板32を有して構成する。
図13は、開閉板32のスライド機構の構成例を示す図である。(a)は、開閉板32を側面から見たときの断面図を示し、(b)は、開閉板32の分解図を示し、(c)は、開閉板32を前方から見たときの断面図を示す。
【0052】
開閉板32は、第1の開閉板32−1と、移動可能な第2の開閉板32−2と、ガイド板34と、を有して構成する。
図13に示す開閉板32は、第2の開閉板32−2の上に第1の開閉板32−1を重ねて構成しており、第2の開閉板32−2が開閉板32の下側を構成し、第1の開閉板32−1が開閉板32の上側を構成している。ガイド板34は、
図13(c)に示すように、第1の開閉板32−1と、第2の開閉板32−2と、の端部を挟み込むように、第1の開閉板32−1と、第2の開閉板32−2と、の両側に設けられており、移動可能な第2の開閉板32−2を第1の開閉板32−1に沿ってスライドさせることを可能にしている。ガイド板34は、
図9に示すように、ガイド板34の背面が通気蓋31に取り付けられており、第1の開閉板32−1は、ガイド板34と連結し、ガイド板34を介して通気蓋31に取り付けられる。
【0053】
図13に示す開閉板32は、第2の開閉板32−2の両側面に突起部50が設けられており、ガイド板34に貫通穴51が設けられており、第2の開閉板32−2の両側面に設けられた突起部50をガイド板34に設けられた貫通穴51に挿入し、貫通穴51に挿入された突起部50の頂に第2の開閉板32−2とガイド板34とが分離しないようにするための抑え部52が取り付けられている。これにより、第2の開閉板32−2とガイド板34とが分離せず、第2の開閉板32−2をガイド板34に対してスライドさせることができる。また、第1の開閉板32−1は、ガイド板34に連結して固定されているため、第2の開閉板32−2は、ガイド板34に連結して固定されている第1の開閉板32−1に対してスライドさせることができる。
【0054】
なお、
図13に示す開閉板32は、ガイド板34に貫通穴51を設け、第2の開閉板32−2の両側面に突起部50と抑え部52とを設けるようにしている。しかし、
図14(a)に示すように、ガイド板34の内側にガイド溝60を設け、第2の開閉板32−2の両側面に突起部61を設け、突起部61をガイド溝60に沿ってスライドさせることで、第2の開閉板32−2をガイド板34に対してスライドさせるようにすることも可能である。また、
図14(b)に示すように、ガイド板34の内側に突起部71を設け、第2の開閉板32−2の両側面にガイド溝70を設け、ガイド溝70を突起部71に対してスライドさせるようにすることも可能である。
【0055】
また、
図13に示す開閉板32は、第2の開閉板32−2が開閉板32の下側を構成し、第1の開閉板32−1が開閉板32の上側を構成するようにしている。しかし、
図8に示すように、第1の開閉板32−1が開閉板32の下側を構成し、移動可能な第2の開閉板32−2が開閉板32の上側を構成するようにすることも可能である。
【0056】
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態について説明する。
【0057】
第1の実施形態の空調用吹出口3の開閉板32は、
図9に示すようにガイド板34を有し、そのガイド板34の背面をヒンジ40を介して通気蓋31に取り付け、ガイド板34が下方に回動することを可能にしている。これにより、第1の実施形態の空調用吹出口3は、開閉板32の背面を通気蓋31に取り付ける軸部となるヒンジ40を有し、その軸部となるヒンジ40が軸となり、開閉板32を回動可能にし、開口部30を開口した状態と、閉じた状態と、にしている。しかし、
図15に示すように、ガイド板34の両側面に回転用軸機構80を設け、その回転用軸機構80を通気蓋31の内側に設けられた軸受機構81に取り付け、ガイド板34が回転用軸機構80及び軸受機構81により下方に回動するようにすることも可能である。これにより、本実施形態の空調用吹出口3は、開閉板32の両側面を通気蓋31に取り付ける軸部となる回転用軸機構80と軸受機構81とを有し、その軸部となる回転用軸機構80と軸受機構81とが軸となり、開閉板32を回動可能にし、開口部30を開口した状態と、閉じた状態と、にすることができる。
図15では、軸受機構81に板バネ等の弾性部材82を設け、その弾性部材82で回転用軸機構80に対して圧力を加えるようにしている。
図15では、回転用軸機構80は、ガイド板34の側面に円柱状の突起部を設けて構成している。また、軸受機構81は、通気蓋31の内側に円柱状の凹部83を設け、その凹部83の外周面に弾性部材82を設けて構成している。そして、回転用軸機構80を構成する円柱状の突起部を、軸受機構81を構成する円柱状の凹部83に挿入し、その挿入した円柱状の突起部の外周に、凹部83に取り付けた弾性部材82が所定の圧力を加えて当接するようになっている。これにより、通気蓋31に取り付けたガイド板34を通気蓋31の上面と平行な状態から90度の範囲で下方に角度を任意に調整して動かすことができる。
【0058】
なお、回転用軸機構と軸受機構とは、例えば、
図16に示す構成にすることも可能である。
図16では、回転用軸機構90に弾性部材92を設け、その弾性部材92の頂に突起部93を設けている。そして、軸受機構91に複数の凹部95を設けている。軸受機構91は、通気蓋31の内側に円柱状の凹部94を設け、その凹部94の外周面に複数の凹部95を設けて構成している。そして、弾性部材92の頂に設けた突起部93が軸受機構91の凹部95に挿入されることでガイド板34の回転を停止させるようにしている。これにより、通気蓋31に取り付けたガイド板34を通気蓋31の上面と平行な状態から90度の範囲で下方に角度を任意に調整して動かすことができる。
【0059】
なお、上述する実施形態は、本発明の好適な実施形態であり、上記実施形態のみに本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更を施した形態での実施が可能である。
【0060】
例えば、上述する実施形態では、開閉板32を2枚構造で構成し、開閉板32の長さを調整することを可能にしている。しかし、開閉板32は、開閉板32の長さを調整することが可能であれば、2枚構造に限定せず、3枚以上の構造で構成することも可能である。
【0061】
また、上述する各実施形態の構造を適宜組み合わせて空調用床吹出口3を構成することも可能である。