(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6574047
(24)【登録日】2019年8月23日
(45)【発行日】2019年9月11日
(54)【発明の名称】磁気制御式乾式ガスシールのためのデバイス及び方法
(51)【国際特許分類】
F16J 15/34 20060101AFI20190902BHJP
【FI】
F16J15/34 C
F16J15/34 K
【請求項の数】18
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-506566(P2018-506566)
(86)(22)【出願日】2016年8月5日
(65)【公表番号】特表2018-523076(P2018-523076A)
(43)【公表日】2018年8月16日
(86)【国際出願番号】US2016045786
(87)【国際公開番号】WO2017027382
(87)【国際公開日】20170216
【審査請求日】2018年2月8日
(31)【優先権主張番号】62/203,074
(32)【優先日】2015年8月10日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517002476
【氏名又は名称】エクソンモービル アップストリーム リサーチ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(72)【発明者】
【氏名】カイラ ニラン シング
(72)【発明者】
【氏名】ハンティントン リチャード エイ
(72)【発明者】
【氏名】マセイダス マイケル ティー
【審査官】
山田 康孝
(56)【参考文献】
【文献】
特開平05−187264(JP,A)
【文献】
特開昭58−221074(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16J 15/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾式ガスシールが回転デバイスへの又はそこからのガス又は他の流体の漏れを制限する乾式ガスシールの回転リングと静止リング間の軸線方向分離を制御する方法であって、
a)前記ガス又は他の流体の少なくとも1つの特質を検出するステップと、
b)少なくとも1つの検出デバイスを用いて、
i)前記回転リングと前記静止リング間の前記軸線方向分離、及び
ii)前記軸線方向分離の時間変化率、
のうちの少なくとも一方を検出するステップと、
c)ガス又は他の流体を含む前記回転リングと前記静止リング間のフィルムの剛性を推定するステップと、
d)検出された前記軸線方向分離、検出された前記軸線方向分離の時間変化率、及び推定された前記フィルムの剛性のうちの少なくとも2つに基づいて少なくとも1つの磁気デバイスの磁場強度を調節するステップであって、該少なくとも1つの磁気デバイスの該磁場強度の調節が、前記回転リングと前記静止リング間の該軸線方向分離を調節するステップと、を含む、
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記ガス又は他の流体の前記少なくとも1つの特質は、圧力、温度、組成、粘性、密度、流体速度、露点、及び流体蒸発分率から選択される、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ガス又は他の流体の温度が、該ガス又は他の流体の露点よりも低い、
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ガス又は他の流体の温度が、該ガス又は他の流体の露点よりも高いか又はそれに等しい、
請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つの磁気デバイスは、少なくとも1つの電磁石である、
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つの電磁石に外部供給源から給電するステップを更に含む、
請求項5に記載の方法。
【請求項7】
電力を発生するエネルギ収穫システムから前記少なくとも1つの電磁石に給電するステップを更に含む、
請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つの磁気デバイスは、少なくとも1つの受動磁石デバイスである、
請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つの磁気デバイスは、第1、第2、及び第3の磁気デバイスを含み、
前記方法が、
前記回転デバイスの回転要素の円周の周りに前記第1、第2、及び第3の磁気デバイスを配置するステップ、を更に含む、
請求項1ないし8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記第1、第2、及び第3の磁気デバイスの各々が、独立に制御可能な電磁デバイスであり、
前記方法が、
1よりも多い角度位置で前記回転リングと前記静止リング間の前記軸線方向分離を制御するために前記第1、第2、及び第3の磁気デバイスのうちの少なくとも1つを独立に調節するステップ、を更に含む、
請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも1つの検出デバイスは、第1、第2、及び第3の検出デバイスを含む、
請求項1ないし10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記磁場強度を調節するステップは、前記回転リングと前記静止リング間の前記軸線方向分離が可変であるように振動様式で該磁場強度を調節するステップを含む、
請求項1ないし11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
回転シャフトの周りに配置された乾式ガスシールを制御するシステムであって、
ガス又は他の流体の少なくとも1つの特質を測定し、かつ
回転リングと静止リング間の軸線方向分離、及び
前記軸線方向分離の時間変化率、
のうちの少なくとも一方を測定する、
ように構成され、シャフトの円周の周りに配置された少なくとも1つのセンサと、
前記少なくとも1つのセンサに接続され、かつ該少なくとも1つのセンサから信号を受信するように構成されたコントローラと、
前記コントローラによって発生された制御信号を増幅する該コントローラに接続された電力増幅器と、
前記電力増幅器からの前記増幅された制御信号を受信する少なくとも1つの電磁石であって、該制御信号が、該少なくとも1つの電磁石を調節して前記乾式ガスシールの前記回転リングと前記静止リング間の前記軸線方向分離を制御するように構成される前記少なくとも1つの電磁石と、備えている、
ことを特徴とするシステム。
【請求項14】
前記少なくとも1つのセンサは、圧力センサ、温度センサ、組成センサ、粘性センサ、密度センサ、流体速度センサ、露点センサ、及び流体蒸発分率センサのうちの1つである、
請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記少なくとも1つのセンサは、前記回転リングと前記静止リング間のクリアランスを検出する、
請求項13又は14に記載のシステム。
【請求項16】
前記コントローラ、前記少なくとも1つのセンサ、前記電力増幅器、及び前記電磁石のうちの少なくとも1つに給電する外部電源を更に含む、
請求項13ないし15のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項17】
前記コントローラ、前記少なくとも1つのセンサ、前記電力増幅器、及び前記電磁石のうちの少なくとも1つのための電力を発生するように構成された1又は2以上のエネルギ収穫デバイスを更に含む、
請求項13ないし16のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項18】
前記コントローラによって発生された出力モニタ信号を更に含む、
請求項13ないし17のいずれか1項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願への相互参照〕
この特許出願は、本明細書に引用によってその開示が全体的に組み込まれている「磁気制御式乾式ガスシールのためのデバイス及び方法」という名称で2015年8月10日出願の米国仮特許出願第62/203074号明細書に関するものである。
【0002】
本発明は、回転機械に関し、より具体的には、乾式ガスシールの故障の発生の低減に関連する。
【背景技術】
【0003】
この節は、本発明の開示に関連付けられる場合がある当業技術の様々な態様を導入するように意図している。ここでの議論は、本発明の開示の特定の態様のより良い理解を容易にする骨組みを提供するように意図している。従って、この節は、この観点で、かつ必ずしも従来技術の承認としてではなく読まれるべきであることを理解しなければならない。
【0004】
オイル及びガス業界において圧縮機に対する乾式ガスシールの使用が普及しているが、何十年もの経験及び技術進歩にもかかわらず、乾式ガスシールの故障は、時間と金を消費し続けている。一部の故障は、勿論、圧力要件の増加、より困難なガス配合、及び機能要件に起因する可能性がある。これらの故障の最も大きい割合は、液体、水、固体、逆加圧などで緩衝ガスを汚染する緩衝ガス供給システムの作動上の困難によって引き起こされる。これらの汚染物質は、シール面間のフィルムを妨害してこれらの面を接触させ、これは、摩擦による急速加熱及び故障モードの二重性による結果的な材料故障を誘起する可能性がある。作動的原因の例は、過負荷フィルタ、緩衝ガス加熱器の故障による凝結、誤作動、ガス条件を変えるためにシステム性能を調節する故障などを含む。
【0005】
乾式ガスシール(DGS)故障の主な原因の1つは、回転シール面及び静止シール面間の動的ガスフィルムの損失である。これは、シールガス内の液体形成及び/又は浸入に起因して又はシールガスの逆加圧に起因して発生する場合がある。DGS故障が発生する時に、シール面は、高速機械回転速度で接触状態になり、温度上昇は、回転リングを摩耗及び/又は破砕させる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国仮特許出願第62/203074号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
DGS静止及び回転シール面間に最小クリアランスを維持する機能を有することは、機械が作動している間に動的ガスフィルムが失われる条件中のシールの作動を可能にする。このクリアランスなしでは、シール面は、接触状態になり、潜在的にシールを故障させると考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
或る態様では、乾式ガスシールの回転リングと静止リング間の軸線方向分離を制御する方法を開示する。乾式ガスシールは、回転デバイスへの又はそこからのガス又は他の流体の漏れを制限する。ガス又は他の流体の少なくとも1つの特質が検出される。回転リングと静止リング間の軸線方向分離及び軸線方向分離の時間変化率のうちの少なくとも一方が検出される。回転リングと静止リング間のフィルムの剛性が推定される。少なくとも1つの磁気デバイスの磁場強度が、検出軸線方向分離、分離の検出時間変化率、及び推定フィルム剛性のうちの少なくとも2つに基づいて調節される。回転リングと静止リング間の軸線方向分離が調節される。
【0009】
別の態様では、回転シャフトの周りに配置された乾式ガスシールを制御するシステムを開示する。少なくとも1つが、シャフトの円周の周りに配置されたセンサである。少なくとも1つのセンサは、ガス又は他の流体の少なくとも1つの特質を測定するように構成される。少なくとも1つのセンサは、回転リングと静止リング間の軸線方向分離及び軸線方向分離の時間変化率のうちの少なくとも一方を測定するように更に構成される。コントローラが、少なくとも1つのセンサに接続され、かつ少なくとも1つのセンサから信号を受信するように構成される。電力増幅器が、コントローラに接続される。電力増幅器は、コントローラによって発生された制御信号を増幅する。少なくとも1つの電磁石が、電力増幅器から増幅制御信号を受信する。制御信号は、少なくとも1つの電磁石を調節して乾式ガスシールの回転リングと静止リング間の軸線方向分離を制御するように構成される。
【0010】
別の態様では、乾式ガスシールの回転リングと静止リング間の軸線方向分離を制御する方法を開示する。乾式ガスシールは、回転デバイスへの又はそこからのガス又は他の流体の漏れを制限する。少なくとも1つの検出デバイスを使用して(i)回転リングと静止リング間の軸線方向分離、及び(ii)軸線方向分離の時間変化率を検出する。検出軸線方向分離及び軸線方向分離の検出時間変化率は、少なくとも1つの磁気デバイスの磁場強度を調節するのに使用される。少なくとも1つの磁気デバイスの磁場強度を調節することは、回転リングと静止リング間の軸線方向分離を調節する。
【0011】
本発明の開示のこれら及び他の特徴、態様、及び利点は、以下の説明、添付の特許請求の範囲、及び以下に簡潔に説明する添付図面から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の開示の態様による乾式ガスシールシステムの概略図である。
【
図2】本発明の開示の態様による乾式ガスシールシステムの概略図である。
【
図3】本発明の開示の態様による乾式ガスシールシステムの概略図である。
【
図4】本発明の開示の態様による乾式ガスシールシステムの概略図である。
【
図5】開示する態様による方法を示すフローチャートである。
【
図6】開示する態様による方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書に使用される好ましい実施形態及び定義を含む本発明の様々な具体的実施形態及びバージョンをここで以下に説明する。以下の詳細説明は、特定の好ましい実施形態を与えるが、当業者は、これらの実施形態が例示に過ぎないこと、及び本発明を他の方法を使用して実施することができることを認めるであろう。本「発明」へのあらゆる参照は、特許請求の範囲によって定められる実施形態のうちの1又は2以上を指す場合があり、必ずしも全てを指すとは限らない。見出しの使用は、便宜上に過ぎず、本発明の範囲を制限するものではない。明確化及び簡略化のために、いくつかの図内の類似の参照番号は、類似の品目、段階、又は構造を表し、全ての図で詳細に説明されているとは限らない。
【0014】
本発明の開示の原理の理解を容易にするために、図面に示す特徴をここで参照し、特定の言語を使用してそれを以下に説明する。それにも関わらず、それによって本発明の開示の範囲の制限を意図しないことは理解されるであろう。本明細書に説明するような本発明の開示の原理のあらゆる代替物及び更に別の修正、並びにあらゆる更に別の適用は、本発明の開示が関連する当業者に普通に想起されるであろうと考えられている。明確にするために、本発明の開示と関連のない一部の特徴は、図面に示されない場合がある。
【0015】
最初に、参照を簡単にするために、この出願に使用する特定の用語及びそれに関連して使用するようなそれらの意味を列挙する。本明細書に使用する用語が以下で定められない限り、それには、当業者が少なくとも1つの文献又は交付済み特許に反映されるような用語を与えた最も広範な定義を与えるべきである。更に、本発明の技術は、同じか又は類似の目的を果たす全ての均等物、同義語、新しい開発、及び用語又は技術が本発明の特許請求の範囲にあると考えられるので、以下に示す用語の使用方法によって制限されない。
【0016】
当業者が解るように、異なる個人は、異なる名前で同じ特徴又は構成要素を指す場合がある。本文書は、名前だけが異なる構成要素又は特徴を見分けるように意図していない。図は、必ずしも正確な縮尺になっていない。本明細書の特定の特徴及び構成要素は、規模又は図式の形態が誇張されて示されている場合があり、従来の要素の一部の詳細は、明確化及び簡潔さのために示されていない場合がある。本明細書に示す図を参照する時に、同じ参照番号が、簡単にするために複数の図で参照される場合がある。以下の説明及び特許請求の範囲では、用語「including」及び「comprising」は、無制限様式に使用され、従って、「含むが限定ではない」を意味すると解釈しなければならない。
【0017】
単数の名詞は、必ずしも単数だけを意味するとは限らず、むしろ、任意的に、複数のそのような要素を含むように包含的かつ無制限である。
【0018】
本明細書に使用される場合に、用語「近似的に」、「約」、「実質的に」、及び類似の用語は、本発明の開示の主題が関係する当業者によって一般的で受け入れられた使用方法と調和して広い意味を有するように意図している。これらの用語は、特定の特徴の説明をそれらの特徴の範囲を与えられた数値範囲通りに制限することなく説明して特許請求することを可能にするように意図していることを本発明の開示を精査する当業者は理解しなければならない。従って、これらの用語は、説明する主題の非実質的な又は重要でない修正又は変更が開示の範囲にあると考えられることを示すように解釈しなければならない。
【0019】
本発明の開示の態様では、磁石は、乾式ガスシールを制御するための手段として使用される。1又は2以上のセンサは、回転シャフト又は他の回転機械の円周周りに配置することができる。コントローラ/コンピュータは、センサに接続することができ、様々な検出した特質を表す信号を提供する。1又は2以上の電力増幅器は、コントローラ/コンピュータの出力に接続することができる。1又は2以上の電磁石は、あらゆる乾式ガスシール構成に対してシャフトの円周周りに配置され、乾式ガスシールリングを操作することができる。電磁石は、1又は2以上の増幅器によって増幅されるようなコントローラ/コンピュータからの信号によって制御することができ、それによって乾式ガスシールの静止リングと回転リング間のクリアランス又はギャップを調節するように制御することができる。上述のデバイスは、外部から給電されるか又はエネルギ収穫ソリューションを使用して電力を導出又は発生することができる。この態様では、従来のDGS1次リング保持器アセンブリに使用するバネは排除することができる。コントローラ/コンピュータは、他の入力を受信してDGSリングに影響を与えることができる。コントローラ/コンピュータは、モニタ/制御に有益である場合がある信号を出力することができる。
【0020】
磁石を使用して乾式ガスシールを制御することができる別の態様では、1又は2以上の受動磁石は、あらゆる乾式ガスシール構成に対して乾式ガスシールリング位置を自己調節し、乾式ガスシールアセンブリの静止リングと回転リング間にクリアランスを維持することができる。上述のこのデバイスを使用して、従来のDGS1次リング保持器アセンブリに使用するバネを排除することができる。
【0021】
乾式ガスシールを制御するための手段として磁石を使用することができる別の態様では、1又は2以上の受動磁石は固定され、それによってあらゆる「乾式ガスシール」構成に対して乾式ガスシールリングの静止リングと回転リング間の最小クリアランスを保つ。
【0022】
図1は、本発明の開示の態様による乾式ガスシール(DGS)システム10の概略図である。シャフト12のような機械要素は、線A−Aと共線又はそれと平行な回転シャフトの周りで回転する。機械要素は、タービン、ポンプ、又は類似のものの一部とすることができる。回転リング14は、シャフト12と共に回転するように構成される。1次リング16は、凹部18内に配置することができ、かつギャップGが2つのリング間に維持されるように回転リング14に面するように構成することができる。1次リングは、リングマウント20上に装着することができ、これは、強磁性又は他の磁気反応材料で作られるか又はそれを含む。1次リング16及びリングマウント20は、回転シャフトの周りで回転しないように構成されるが、本明細書に開示する原理によりギャップGのサイズを修正することができるように回転シャフトに対して実質的に平行な方向に移動可能にすることができる。
【0023】
1次リング16の軸線方向位置は、バネ22とシャフト12の円周周りに配置された電磁石24によって
図1に表された1又は2以上の制御可能な磁石との組合せによって制御することができる。凹部18とリングマウント20の間に位置するバネ22は、1次リング16を回転リング14に向けて付勢してギャップGを縮小する。電磁石24は、磁気反応リングマウント20及び1次リング16を回転リング14から離れる方向に押圧する磁場26を生成し、それによってギャップGを生成する。磁場は、センサ30として
図1に表された1又は2以上のセンサからの信号に応答するコントローラ28を使用して変更することができる。温度センサは、個々に又は上述の態様と組み合わせて使用することができるセンサの例である。他のタイプのセンサは、DGSシステムに関連付けられたガス又は他の流体の他の特質を検出することができるものを含むことができる。そのような特質は、圧力、組成、粘性、密度、流体速度、及び流体蒸発分率を含むことができる。これらの検出した特質を使用して、ギャップG内のガス又は流体フィルム(図示せず)の剛性を推定することができる。ギャップGのサイズは、検出温度、推定フィルム剛性、及び必要な冷却の量に基づいて制御することができる。別のタイプのセンサは、回転リング14と1次リング16の間に必要なクリアランスの最少量に基づいてギャップGクリアランスのサイズの制御を可能にする位置、クリアランス、又はギャップセンサである。更に別のタイプのセンサは、位置、クリアランス、又はギャップの時間変化率を検出するものである。このタイプのセンサは、減衰が、DGSシステム10の要素の速度又は相対速度に関連する力であるので、ギャップGの制御への減衰の追加を可能にする。時間変化率の測定を得る1つの方法は、位置、クリアランス、又はギャップセンサの信号の時間導関数を取るステップを含むことができる。別の方法は、DGSシステム10の構成要素の速度又は相対速度に対して直に敏感なセンサを使用するにことを可能にすることができる。更に別の方法は、DGSシステム10の1又は2以上の構成要素上に装着された加速度感応センサ(例えば、加速度計)の信号を積分することを可能にすることができる。コントローラ28は、他の入力を受信してDGSシステム10に影響を与えることができ、及び/又はモニタ/制御に有益である場合があるモニタ信号のような信号を出力することができる。これらの入力及び出力は、それぞれ参照番号32及び34で
図1に表されている。
【0024】
1又は2以上のセンサ30から(及び任意的には入力32から)受信された信号に基づいて、コントローラ28は、電力増幅器38を使用して増幅された制御信号36を送信し、電磁石24によって発生する磁場26を変えることができる。磁場26がバネ22の付勢に等しい力を生成する時に、1次リング16は、回転リング14に対して軸線方向に移動しない。磁場26がバネ22の付勢未満又はそれよりも大きい力を生成する時に、1次リング16は、回転リング14に向けて又はそれから離れて軸線方向に移動する。回転リングに対する1次リングの相対位置を制御することにより、ギャップGのサイズを必要に応じて制御することができる。
【0025】
電磁石24は、回転リング14に向けて又はそれから離れてその両方で1次リング16を選択的に移動するほど十分に強力な可逆磁場26を生成することができる。そのような状況において、バネ22の付勢は、1次リングを回転リングに向けて移動するのに必要ではない場合があり、従って、バネは、DGSシステム10から排除することができる。
図2は、
図1に開示する態様と実質的に同一の本発明の開示の別の態様によるDGSシステム40の概略図であり、類似の参照番号は類似の要素を示している。DGSシステム40は、DGSシステム10のバネ22が排除されているということでDGSシステム10とは異なっている。電磁石42は、可逆磁場44を生成して1次リング16の双方向軸線方向移動を達成するように構成することができる。これに代えて、電磁石は、1又は2以上の電磁石要素を含むことができ、ここで電磁要素のうちの一部の極性は、電磁要素のうちの他のものの極性とは逆である。コントローラ28は、1次リング16が移動しようとする方向に応じて電磁要素の選択されたものを起動する。
【0026】
コントローラ28、電力増幅器38、1又は2以上のセンサ30、及び/又は電磁石24を給電するのに必要な電力の一部又は全部は、エネルギ収穫戦略又はデバイスを使用して生成することができる。エネルギ収穫は、シャフト12又は他の回転機械要素の回転移動、リング又は他の軸線方向に移動する部分の軸線方向移動、又は機械又はDGSシステムの1つ又は複数の部分の回転及び軸線方向移動の組合せを利用することによって達成することができる。更に、エネルギ収穫は、機械又はDGSシステムのうちの1又は2以上の部分の熱、圧力、流れ、及び/又は電磁束変動を使用して達成することができる。
【0027】
図3は、本発明の開示の別の態様によるDGSシステム50の概略図である。DGSシステム50は、以前の図に示すように、回転リング52、非回転1次リング54、凹部56、及びリングマウント58を含む。しかし、DGSシステム50の磁力は、1又は2以上の制御可能な電磁石によって提供されず、その代わりにシャフト62又は他の回転要素の円周周りに配置された1又は2以上の受動磁石60によって提供される。受動磁石は、一定磁場64を提供してバネ66の反対付勢を相殺する。受動磁石60の強度が正確に選択される場合に、バネと受動磁石の間の相互作用は、回転リング52と1次リング54の間のギャップGの自己調節維持を提供する。受動磁石は、制御されないように設計されるので、
図3に示す態様は、コントローラ、センサ、又は電力増幅器を含有しない。
【0028】
図4は、
図3に示されているものと類似の本発明の開示の更に別の態様によるDGSシステム70の概略図である。しかし、
図3のバネ66は、DGSシステム70では排除されている。ギャップGは、受動磁石60によって専ら制御される。受動磁石は、磁石の一部が逆極性を有するように向けることができる。この態様では、受動磁石のうちの一部の磁場は、リングマウント58及び1次リング54を線A−Aに対して実質的に平行な方向に回転リング52から離れるように移動し、残りの受動磁石の磁場は、リングマウント58が受動磁石に近づき過ぎるのを防止する。そのような配置は、ギャップGを望むように維持する。
【0029】
乾式ガスシール内のリング間のギャップ又はクリアランスを制御するように1又は2以上の磁石を使用することは、乾式ガスシールの設計及び作動において他の改善の機会を提供する。例えば、開示するDGSシステムは、例えば機械始動前の制御された状況では、DGSをエクササイズ/ストローク/パルス駆動するのに使用することができる。開示するDGSシステムは、付随する機械が停止して減圧された後でDGSを開いたままに留めるのに使用することができる。開示するDGSシステムは、必要に応じてDGS動的密封要素「ハングアップ」を自由にするのに使用することができる。開示するDGSシステムは、汚染物質と共に捕捉された時にDGSシール面を自由にするのに使用することができる。開示するDGSシステムは、要素の平行度を最適化して設計又は組立公差を補償するのに使用することができる。これに加えて、開示するDGSシステムは、リングが単独又は一緒に軸線方向「スウォシュ」/ミスアラインメントを受ける場合に、密封要素が回転毎に軸線方向に動かないようにする(すなわち、リングの面をシャフトに対して垂直なままに留める)のに使用することができる。開示するDGSシステムはまた、液体貯留又は汚染物質の他の影響を補償するために不均一方式で(すなわち、シール面は互いに対して平行ではない)シール面ギャップクリアランスを修正するのに使用することができる。同じく、開示するDGSシステムは、ギャップ内に振動変動を生成して静止及び回転リング間にポンピング作用を生成するのに使用することができる。
【0030】
図5は、乾式ガスシールの回転リングと静止リング間の軸線方向分離を制御する方法のフローチャート500であり、乾式ガスシールは、本発明の開示の態様により回転デバイスへの又はそこからのガス又は他の流体の漏れを制限するものである。ブロック502において、ガス又は他の流体の少なくとも1つの特質が検出される。ブロック504において、(i)回転リングと静止リング間の軸線方向分離、及び(ii)軸線方向分離の時間変化率のうちの少なくとも一方が測定される。ブロック506において、回転リングと静止リング間のフィルムの剛性が推定される。フィルムは、ガス又は他の流体を含む。ブロック508において、少なくとも1つの磁気デバイスの磁場強度が、検出軸線方向分離、軸線方向分離の検出時間変化率、及び推定フィルム剛性のうちの少なくとも2つに基づいて調節される。少なくとも1つの磁気デバイスの磁場強度を調節することは、回転リングと静止リング間の軸線方向分離を調節かつ制御する。
【0031】
図6は、乾式ガスシールの回転リングと静止リング間の軸線方向分離を制御する方法のフローチャート600であり、乾式ガスシールは、開示する態様により回転デバイスへの又はそこからのガス又は他の流体の漏れを制限するものである。ブロック602において、少なくとも1つの検出デバイスを使用して(i)回転リングと静止リング間の軸線方向分離、及び(ii)軸線方向分離の時間変化率を検出する。ブロック604において、少なくとも1つの磁気デバイスの磁場強度が、検出した軸線方向分離及び軸線方向分離の時間変化率を使用して調節される。少なくとも1つの磁気デバイスの磁場強度を調節することは、回転リングと静止リング間の軸線方向分離を調節かつ制御する。
【0032】
図5及び
図6に示すステップは、例示的な目的だけに提供されており、特定のステップは、開示する方法を実施するのに必要でない場合がある。更に、
図5及び6は、実施することができるステップの全てを示すとは限らない。特許請求の範囲かつ特許請求の範囲だけが、開示するシステム及び方法を定めるものである。
【0033】
本発明の実施形態は、以下の付番した段落に示す方法及びシステムのあらゆる組合せを含むことができる。あらゆる数の変形を上述の説明から想起することができるので、これは、全ての可能な実施形態の完全なリストと考えないものとする。
1.a)ガス又は他の流体の少なくとも1つの特質を検出するステップと、b)少なくとも1つの検出デバイスを用いて、i)回転リングと静止リング間の軸線方向分離、及びii)軸線方向分離の時間変化率のうちの少なくとも一方を検出するステップと、c)ガス又は他の流体を含む回転リングと静止リング間のフィルムの剛性を推定するステップと、d)検出軸線方向分離、軸線方向分離の検出時間変化率、及び推定フィルム剛性のうちの少なくとも2つに基づいて少なくとも1つの磁気デバイスの磁場強度を調節し、少なくとも1つの磁気デバイスの磁場強度の調節が回転リングと静止リング間の軸線方向分離を調節するステップとを含む乾式ガスシールの回転リングと静止リング間の軸線方向分離を制御する方法であって、乾式ガスシールが、回転デバイスへの又はそこからのガス又は他の流体の漏れを制限する上記方法。
2.ガス又は他の流体の少なくとも1つの特質が、圧力、温度、組成、粘性、密度、速度、露点、及び蒸発分率から選択される段落1の方法。
3.ガス又は他の流体の温度が、ガス又は流体の露点よりも低い段落1の方法。
4.ガス又は他の流体の温度が、ガス又は流体の露点よりも高いか又はそれに等しい段落1の方法。
5.少なくとも1つの磁気デバイスが、少なくとも1つの電磁石である段落1〜4のうちのいずれか1つの方法。
6.少なくとも1つの電磁石を外部供給源から給電するステップを更に含む段落5の方法。
7.電力を発生するエネルギ収穫システムから少なくとも1つの電磁石を給電するステップを更に含む段落5の方法。
8.少なくとも1つの磁気デバイスが、少なくとも1つの受動磁石デバイスである段落1の方法。
9.少なくとも1つの磁気デバイスが、第1、第2、及び第3の磁気デバイスを含み、方法が、回転デバイスの回転要素の円周周りに第1、第2、及び第3の磁気デバイスを配置するステップを更に含む段落1〜8のうちのいずれか1つの方法。
10.第1、第2、及び第3の磁気デバイスの各々が、独立に制御可能な電磁デバイスであり、方法が、1よりも多い角度位置で回転リングと静止リング間の軸線方向分離を制御するために第1、第2、及び第3の磁気デバイスのうちの少なくとも1つを独立に調節するステップを更に含む段落9の方法。
11.少なくとも1つの検出デバイスが、第1、第2、及び第3の検出デバイスを含む段落1〜10のうちのいずれか1つの方法。
12.磁場強度を調節するステップが、回転リングと静止リング間の軸線方向分離が密封要素の円周周りで可変であるように振動様式で磁場強度を調節するステップを含む段落1〜11のうちのいずれか1つの方法。
13.シャフトの円周周りに配置され、ガス又は他の流体の少なくとも1つの特質を測定し、及び/又は回転リングと静止リング間の軸線方向分離及び軸線方向分離の時間変化率のうちの少なくとも一方を測定するように構成された少なくとも1つのセンサと、少なくとも1つのセンサに接続され、かつ少なくとも1つのセンサから信号を受信するように構成されたコントローラと、コントローラに接続されてコントローラによって発生された制御信号を増幅する電力増幅器と、電力増幅器からの増幅された制御信号を受信する少なくとも1つの電磁石であって、制御信号が、少なくとも1つの電磁石を調節して乾式ガスシールの回転リングと静止リング間の軸線方向分離を制御するように構成される上記少なくとも1つの電磁石とを含む、回転シャフトの周りに配置された乾式ガスシールを制御するシステム。
14.少なくとも1つのセンサが、圧力センサ、温度センサ、組成センサ、粘性センサ、密度センサ、速度センサ、露点センサ、及びガス蒸発分率センサのうちの1つである段落13のシステム。
15.少なくとも1つのセンサが、回転リングと静止リング間のクリアランスを検出する位置センサである段落13又は14のシステム。
16.コントローラ、少なくとも1つのセンサ、電力増幅器、及び電磁石のうちの少なくとも1つを給電する外部電源を更に含む段落13〜15のうちのいずれか1つのシステム。
17.コントローラ、少なくとも1つのセンサ、電力増幅器、及び電磁石のうちの少なくとも1つのための電力を発生するように構成された1又は2以上のエネルギ収穫デバイスを更に含む段落13〜16のうちのいずれか1つのシステム。
18.コントローラによって発生された出力モニタ信号を更に含む段落13〜17のうちのいずれか1つのシステム。
19.a)少なくとも1つの検出デバイスを用いて、i.回転リングと静止リング間の軸線方向分離及びii.軸線方向分離の時間変化率を検出するステップと、b)少なくとも1つの磁気デバイスの磁場強度を調節するために検出軸線方向分離及び軸線方向分離の検出時間変化率を使用するステップであって、少なくとも1つの磁気デバイスの磁場強度の調節が、回転リングと静止リング間の軸線方向分離を調節する上記ステップとを含む乾式ガスシールの回転リングと静止リング間の軸線方向分離を制御する方法であって、乾式ガスシールが、回転デバイスへの又はそこからのガス又は他の流体の漏れを制限する上記方法。
【0034】
上述の開示の多くの変形、修正、及び変更を本発明の開示の範囲から逸脱することなく行うことができることを理解しなければならない。以上の説明は、従って、本発明の開示の範囲を制限することを意味しない。むしろ、本発明の開示の範囲は、添付の特許請求の範囲及びそれらの均等物によってのみ決定されるものとする。本発明の例における構造及び特徴は、互いに変更、再配置、置換、削除、複製、組み合わせる、又は追加することができることも同じく考えられている。