(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6574048
(24)【登録日】2019年8月23日
(45)【発行日】2019年9月11日
(54)【発明の名称】燃料高圧ポンプ
(51)【国際特許分類】
F02M 63/00 20060101AFI20190902BHJP
F02M 59/46 20060101ALI20190902BHJP
【FI】
F02M63/00 R
F02M59/46 Y
【請求項の数】8
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2018-506827(P2018-506827)
(86)(22)【出願日】2016年6月29日
(65)【公表番号】特表2018-523778(P2018-523778A)
(43)【公表日】2018年8月23日
(86)【国際出願番号】EP2016065163
(87)【国際公開番号】WO2017025241
(87)【国際公開日】20170216
【審査請求日】2018年4月9日
(31)【優先権主張番号】102015215186.7
(32)【優先日】2015年8月10日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】508097870
【氏名又は名称】コンチネンタル オートモーティヴ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Continental Automotive GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】マクス シェラー
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス エレンベアク
(72)【発明者】
【氏名】ユリィ ミハイロフ
【審査官】
稲村 正義
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−156256(JP,A)
【文献】
特開2004−138062(JP,A)
【文献】
独国特許出願公開第102008043217(DE,A1)
【文献】
欧州特許出願公開第02434137(EP,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0068041(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 37/04−37/18,39/00−71/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料高圧ポンプ(10)であって、ハウジング(12)内に配置された圧力室(14)を有しており、該圧力室(14)は、一方の側において、前記圧力室(14)内において運動軸線(18)に沿って並進的に運動するピストン(16)におけるピストン面(20)によって画成され、前記圧力室(14)は、入口側において、前記圧力室(14)に燃料を供給する低圧供給部(22)に接続されていて、かつ出口側において、高圧接続部(24)に接続されており、該高圧接続部(24)は、前記ハウジング(12)と一緒に排出容積室(32)を画成しており、前記低圧供給部(22)内には、前記低圧供給部(22)の供給孔(28)が前記低圧供給部(22)の、前記圧力室(14)に直接液圧的に接続されている供給容積室(30)から切り離されるように、入口弁(26)が配置されており、前記排出容積室(32)内における超過圧力を排出制御する圧力制限弁(38)が、設けられており、該圧力制限弁(38)は、前記排出容積室(32)から前記ハウジング(12)内に延びる孔(36)内に配置されており、該孔(36)は、前記低圧供給部(22)の前記供給容積室(30)内に開口している、燃料高圧ポンプ(10)。
【請求項2】
前記孔(36)は、貫通孔(42)として形成されており、該貫通孔(42)は、前記圧力制限弁(38)を収容する収容領域(44)と、前記供給容積室(30)への液圧接続部を形成する接続領域(46)とを有しており、該接続領域(46)は、前記収容領域(44)よりも小さな横断面を有している、請求項1記載の燃料高圧ポンプ(10)。
【請求項3】
前記圧力制限弁(38)は、戻しばね(48)を有しており、該戻しばね(48)は、その力方向に延びる長手方向軸線(52)を備えており、前記接続領域(46)は、前記戻しばね(48)の長手方向軸線(52)と同軸に配置されている、請求項2記載の燃料高圧ポンプ(10)。
【請求項4】
前記孔(36)の前記収容領域(44)は、前記戻しばね(48)の前記長手方向軸線(52)に対して垂直に前記孔(36)を画成する端壁(50)を有しており、該端壁(50)は、前記排出容積室(32)とは反対側に配置されており、前記戻しばね(48)は前記端壁(50)に支持されており、前記接続領域(46)は、前記端壁(50)内に配置されている、請求項3記載の燃料高圧ポンプ(10)。
【請求項5】
前記孔(36)は、該孔(36)を前記圧力室(14)に液圧接続するために、前記圧力室(14)に通じる接続貫通孔(62)を有している、請求項3または4記載の燃料高圧ポンプ(10)。
【請求項6】
前記接続貫通孔(62)は、前記孔(36)の、前記戻しばね(48)の前記長手方向軸線(52)に対して平行に延びる側壁(64)に配置されている、請求項5記載の燃料高圧ポンプ(10)。
【請求項7】
前記高圧接続部(24)の高圧接続部長手方向軸線(54)は、前記ピストン(16)の前記運動軸線(18)に対してほぼ垂直に延びており、前記孔(36)の孔長手方向軸線(58)は、前記高圧接続部長手方向軸線(54)に対して、1°〜10°の角度で配置されている、請求項1から6までのいずれか1項記載の燃料高圧ポンプ(10)。
【請求項8】
前記孔(36)の孔長手方向軸線(58)は、前記ピストン(16)の前記運動軸線(18)に対して、ほぼ95°〜105°の角度で配置されている、請求項1から7までのいずれか1項記載の燃料高圧ポンプ(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の燃料噴射系用の燃料高圧ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
燃料噴射系における燃料高圧ポンプは、燃料に高圧を加えるために使用される。このとき圧力は、例えばガソリン内燃機関では250バール〜400バールの範囲にあり、ディーゼル内燃機関では2000バール〜2500バールの範囲にある。それぞれの燃料において形成することができる圧力が高ければ高いほど、内燃機関における燃料の燃焼中に発生するエミッションは僅かになり、このことは特に、エミッションの低減が益々強く望まれる背景を鑑みて好ましいことである。
【0003】
それぞれの燃料において高圧を得ることができるようにするために、燃料高圧ポンプは、典型的にピストンポンプとして構成されている。ピストンは、圧力室内において並進的に運動し、これによって圧力室に供給された燃料を周期的に圧縮・緩和させる。
【0004】
圧力を加えられた燃料は、次いで多くの場合、高圧接続部を介して高圧圧力領域に、例えば圧力室に液圧的に後置された蓄圧器に、いわゆるコモンレールに供給され、次いで、燃料を、このコモンレールからインジェクタを介して内燃機関の燃焼室内に噴射することができる。
【0005】
燃料噴射系の、液圧的に圧力室に後置された燃料案内エレメントが、極めて高い超過圧力によって損傷することを回避するために、多くの場合、圧力制限弁が設けられている。この圧力制限弁は、過剰燃料を燃料噴射系の高圧領域から排出制御し、これによって燃料噴射系に対する負荷を軽減することができる。
【0006】
例えば、過剰燃料を、圧力室に接続された、圧力制限弁の接続孔を介して、圧力室自体に排出制御することが公知である。例えば、独国特許出願公開第102004013307号明細書に開示された、燃料高圧ポンプにおける圧力制限弁は、盲孔内に配置されており、この盲孔に対して約90°の角度で配置された孔を介して、圧力室に流体接続されている。
【0007】
しかしながら、このような配置形態には、圧力制限弁が活性化されるまで、盲孔が死水領域および汚れ貯え部として働き、このようなことが有利なことはむしろまれであるという欠点がある。そして、圧力制限弁の作動開始時に初めて、捕集された汚れが圧力室内に運ばれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、このような観点において改善された燃料高圧ポンプを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題は、請求項1に記載された特徴を有する燃料高圧ポンプによって解決される。
【0010】
本発明の有利な構成は、従属請求項の対象である。
【0011】
燃料高圧ポンプは、ハウジング内に配置された圧力室を有しており、圧力室は、一方の側において、圧力室内において運動軸線に沿って並進的に運動するピストンにおけるピストン面によって画成される。この圧力室は、入口側において、圧力室に燃料を供給する低圧供給部に接続されていて、かつ出口側において、高圧接続部に接続されており、高圧接続部は、ハウジングと一緒に排出容積室を画成している。低圧供給部内には、低圧供給部の供給孔が低圧供給部の、圧力室に直接液圧的に接続されている供給容積室から切り離されるように、入口弁が配置されている。排出容積室内における超過圧力を排出制御する圧力制限弁が設けられており、圧力制限弁は、排出容積室からハウジング内に延びる孔内に配置されている。この孔は、低圧供給部の供給容積室内に開口している。
【0012】
したがって、圧力制限弁が配置されている孔は、もはや、従来公知のように盲孔として形成されておらず、低圧供給部との接続部を、入口弁が位置している領域に有している。これによって、従来存在していた盲孔が、圧力制限弁の活性化まで汚れを貯え、次いで燃料高圧ポンプ内に運ぶということが阻止される。それというのは、圧力制限弁が配置されている孔は、既に燃料高圧ポンプの作動時に常に洗浄されるからである。
【0013】
好ましくは、孔は貫通孔として形成されており、貫通孔は、圧力制限弁を収容する収容領域と、供給容積室への液圧接続部を形成する接続領域とを有している。この接続領域は、収容領域よりも小さな横断面を有している。
【0014】
好ましくは、圧力制限弁は、戻しばねを有しており、戻しばねは、その力方向に延びる長手方向軸線を備えており、接続領域は、戻しばねの長手方向軸線と同軸に配置されている。これによって、圧力制限弁を貫流する燃料を、障害物なしに、供給容積室内に層流状に排出制御することができる。
【0015】
好ましくは、孔の収容領域は、戻しばねの長手方向軸線に対して垂直に孔を画成する端壁を有しており、端壁は、排出容積室とは反対側に配置されている。戻しばねは端壁に支持されており、接続領域は、端壁内に配置されている。したがって、接続流域の横断面が収容領域の横断面よりも小さいと有利である。それというのは、このように構成されていると、戻しばねを支持することができる端壁が自動的に形成されるからである。
【0016】
特に好適な構成では、孔は、この孔を圧力室に液圧接続するために、圧力室に通じる接続貫通孔を有している。接続領域と接続貫通孔とは、例えば端壁の少なくとも1つの部分領域によって互いに切り離されている。
【0017】
接続領域および接続貫通孔の配置形態によって、運転中における燃料の循環が可能になる。これによって、圧力制限弁が配置されている孔の後部領域における粒子の捕集が回避されるかまたは低減される。このとき、接続貫通孔および接続領域は、圧力制限弁による超過圧力の排出制御時に、好適に互いに補足し合う流れ横断面を形成する。
【0018】
接続貫通孔が存在しない実施形態では、超過圧力燃料を排出制御する排出孔は、汎用の配置形態との比較において完全に貫通孔に移される。
【0019】
貫通孔、つまり接続領域は、圧力室内への排出制御自体が行われず、もっぱら接続領域によって供給容積室に排出制御がなされるように、拡大することができる。このことには、圧力制限弁の構成要素が、燃料高圧ポンプの内部における吐出段階と吸込み段階との間の交番によって、もはや作動方向に対して垂直な流れ作用を加えられず、これによって振動させられないという利点がある。
【0020】
好ましくは、接続貫通孔は、孔の、戻しばねの長手方向軸線に対して平行に延びる側壁に配置されている。このように構成されていると、接続領域に対して約90°の角度の配置形態が得られ、これによって、排出制御すべき燃料を、種々異なった空間方向に排出制御することができる。
【0021】
好ましくは、高圧接続部の高圧接続部長手方向軸線は、ピストンの運動軸線に対してほぼ垂直に延びている。圧力制限弁が配置されている孔の孔長手方向軸線は、高圧接続部長手方向軸線に対して、1°〜10°の角度、特に2°〜8°、好ましくは4°〜6°の角度で配置されている。
【0022】
液圧的に圧力室と排出容積室との間には、通常のように排出弁が配置されており、この排出弁の長手方向軸線は、多くの場合同様に、ピストンの運動軸線に対して垂直に配置されている。この排出弁は、多くの場合、燃料高圧ポンプのハウジング内の孔内に位置している。内部に圧力制限弁が位置している孔が、排出弁の孔に対して、ひいては高圧接続部長手方向軸線に対して角度を成して配置されていると、作用が同じ場合に、高圧接続部の排出容積室を、ひいては高圧接続部を、全体として小さく構成することができる。
【0023】
これによって、例えば高圧接続部の溶接シームに対して作用する力が、明らかに減少し、かつ高圧接続部は、明らかにより安定する。
【0024】
好ましくは、孔の孔長手方向軸線は、ピストンの運動軸線に対してほぼ、95°〜105°の角度、特に98°〜102°の角度を有している。内部に圧力制限弁が配置されている孔が、別の空間方向においても屈曲していることによって、高圧接続部をなおさらに小さくすることができ、ひいては力を低減することができる。
【0025】
次に添付の図面を参照しながら、本発明の有利な構成について詳説する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】孔内に配置された圧力制限弁を備えた燃料高圧ポンプを示す縦断面図である。
【
図2】
図1のII−IIに沿って切断して、圧力制限弁を備えた燃料高圧ポンプを上から見た図である。
【
図3】
図1に示された燃料高圧ポンプの縦断面図であって、圧力制限弁の領域を詳細に示す図である。
【
図4】
図1に示された燃料高圧ポンプの縦断面図であって、燃料高圧ポンプの圧力室の領域を詳細に示す別の図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1には、燃料高圧ポンプ10の縦断面図が示されている。燃料高圧ポンプ10のハウジング12には、圧力室14が配置されており、この圧力室14内においてピストン16が、運動軸線18に沿って並進的に昇降運動し、これにより、圧力室14内に配置された燃料を周期的に圧縮・緩和させる。圧力室14内において運動するピストン16は、ピストン面20を有しており、このピストン面20は、圧力室14を下方に向かって画成している。圧力室14内に燃料を供給するために、圧力室14は入口側において低圧供給部22に接続されている。
【0028】
圧力を加えられた燃料は、出口側において高圧接続部24を介して高圧領域25に案内される。高圧接続部24は、圧力を加えられた燃料を、次いでさらに、例えば後置されたコモンレールに案内する。
【0029】
低圧供給部22には入口弁26が配置されており、この入口弁26は、供給孔28を供給容積室30から切り離しており、供給容積室30は、液圧的に直接圧力室14に接続されている。しかしながら、供給容積室30は、圧力室14の一部ではない。
【0030】
高圧接続部24は、この高圧接続部24がハウジング12と一緒に排出容積室32を画成するように形成されており、排出容積室32内には、圧力を加えられた燃料が出口弁34を介して達する。この排出容積室32からは、孔36がハウジング12内に延びている。孔36内には圧力制限弁38が配置されており、この圧力制限弁38は、高圧領域25内に高すぎる超過圧力が形成されている場合に、高圧接続部24から燃料を排出制御する。
【0031】
図2には、
図1のII−II線に沿って切断して上から見た、燃料高圧ポンプ10の横断面図が示されている。この
図2から分かるように、内部に圧力制限弁38が配置されている孔36は、高圧接続部24または排出容積室32から供給容積室30に到るまで完全に延びている。したがって、孔36は貫通孔42として形成されている。
【0032】
孔36は、内部に圧力制限弁38が収容されている収容領域44を有しており、さらに、収容領域44と低圧供給部22の供給容積室30との間の接続部を形成する接続領域46を有している。接続領域46は、収容領域44よりも小さな横断面を有しているので、圧力制限弁38の戻しばね48を、孔36のこれによって生じる端壁50に支持することができる。それゆえ、接続領域46は端壁50内に配置されている。
【0033】
戻しばね48は、長手方向軸線52を有しており、この長手方向軸線52は、戻しばね48の力方向に沿って延びている。孔36は、この長手方向軸線52と同軸に延びていて、つまり接続領域46もまた戻しばね48の長手方向軸線52と同軸に配置されるように延びている。これによって、圧力制限弁38を介して排出制御された燃料を、層流状(laminar)に直接、供給容積室30内に排出制御することができる。
【0034】
図1および
図2からさらに分かるように、高圧接続部24の高圧接続部長手方向軸線54は、ピストン16の運動軸線18に対して垂直に配置されている。出口弁34の長手方向軸線56もまた、ピストン16の運動軸線18に対して垂直に配置されている。これに対して孔36の孔長手方向軸線58は、従来公知のように、同様にピストン16の運動軸線18に対して垂直に配置されているのではなく、高圧接続部長手方向軸線54に対して角度αを成して配置されている。この角度αは、1°〜10°の範囲において、特に2°〜8°、好ましくは4°〜6°の範囲内で変動する。これによって、孔長手方向軸線58が運動軸線18に対して垂直に配置されている場合に比べて、高圧接続部24の排出容積室32を小さく構成することができ、これによって例えば高圧接続部24の溶接シーム60に対する作用力も小さくなる。
【0035】
図3には、
図1に示された燃料高圧ポンプ10の、圧力制限弁38または孔36の領域が縦断面図で詳細に示されている。この
図3から分かるように、孔36は、高圧接続部長手方向軸線54に対して水平方向において角度を成して(
図2参照)配置されているのみならず、鉛直方向においても角度を成して配置されているので、孔長手方向軸線58と運動軸線18との間には角度βが生じており、この角度βは、95°〜105°の範囲において、特に98°〜102°の範囲内で変動する。これによってもまた、排出容積室32を小さく構成することができるので、作用力は小さくなる。
【0036】
図4には、別の縦断面図で、圧力室14の領域が詳細に示されている。この
図4から分かるように、孔36は、好適な構成では、供給容積室30に通じる接続領域46を有するのみならず、孔36を圧力室14に直接接続する接続貫通孔62をも有している。接続貫通孔62は、孔36の側壁64に配置されており、この側壁64は、戻しばね48の長手方向軸線52に対して平行に延びており、ひいては圧力制限弁38のための収容領域44を一緒に画成している。
【0037】
接続貫通孔62が接続領域46に加えて設けられていることによって、燃料高圧ポンプ10の運転時に、燃料を所望のように循環させることができ、これによって孔36を持続的に貫流洗浄することができ、かつ汚れを除去することができる。
【0038】
燃料高圧ポンプ10の製造時にも、接続領域46が存在することには大きな利点がある。それというのは、孔36から圧力室14内へと延びる、通常設けられている排出孔は、通常は、圧力室14の穿孔によって形成されるからである。これによって、画成されていない輪郭が生じ、この輪郭は、一方では誤差変動によってバリ取りすることが困難であり、他方では、例えばホーニングのような、構造曲線のさらなる加工時に、部材を損傷させることがある。孔36が盲孔として形成されている場合には、追加的に、後部領域において特に製造プロセス(ホーニング)時に粒子が集まることがあり、かつ孔36を閉塞し得るという欠点がある。従来、例えば、ホーニングスラムを高圧によって除去する特殊に製造された洗浄ランスによって、孔36を完全に洗浄することが公知である。しかしながら、圧力制限弁38は、製造プロセスにおいて多くの場合既に孔36内に存在しているので、戻しばね48がホーニングプロセス時にまたはランス洗浄時に損傷するおそれが、常に存在する。このことは、好ましくは単に、接続貫通孔62を省くことができるように構成された接続領域48を設けることによってしか阻止することができない。有利な構成では、それどころかランス洗浄を省くことができ、これによって、プロセス確実性およびプロセス簡単化を高めることができる。
【0039】
これに対して、接続貫通孔62が設けられていると、製造プロセスにおいても、クリーニング懸濁液を洗浄時に循環させることができ、これによって孔36をより良好に洗浄することができる。