(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
用語及び定義
ここで具体的に定義しない用語には、本開示及び文脈に照らして当業者がそれらに与えるであろう意味を与えるべきである。しかしながら、本明細書で使用する場合、反対に指定のない限り、下記用語は指示した意味を有し、下記慣例を順守する。
以下に定義する基(group)、基(radical)、又は部分においては、基に先行して炭素原子数を指定することが多く、例えば、C
1-6-アルキルは、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基を意味する。
一般にHO、H
2N、OS、O
2S、NC(シアノ)、HOOC、F
3C等のような単一基においては、当業者には、基自体のフリーの原子価から分子への付着点が分かる。2つ以上のサブ基を含む組み合わせ基では、終末用語が基の付着点を示し、例えば、置換基「アリール-C
1-3-アルキル」は、C
1-3-アルキル基に結合しているアリール基を意味し、そのC
1-3-アルキル基が、該置換基が付着しているコア又は基に結合している。
本発明の化合物を化学名の形式で、また式としても表現する場合、いずれの場合も式が優先するものとする。
下記用語の多くは式又は基の定義で繰り返し使用されることがあり、いずれの場合も互いに独立に上記意味の1つを有し得る。
【0011】
特に指定のない限り、本発明によれば、所与の化学式又は化学名は、互変異性体及び全ての立体異性体、光学異性体、幾何異性体(例えばエナンチオマー、ジアステレオマー、E/Z異性体等)並びにそのラセミ体のみならず、別々のエナンチオマーの異なる比率の混合物、ジアステレオマーの混合物、又は前述の形態のいずれの混合物をも包含するものとし、該異性体及びエナンチオマーは、その医薬的に許容される塩として及び遊離化合物の溶媒和物又は化合物の塩の溶媒和物を含めたその溶媒和物、例えば水和物としても存在する。
本明細書で使用する用語「置換される」は、指定原子上の任意の1つ以上の水素が指示群からの選択肢で置き換えられることを意味する。但し、指定原子の標準原子価を超えず、かつ置換が安定化合物をもたらすことを条件とする。
【0012】
本明細書で使用する表現「予防(prevention)」、「予防(prophylaxis)」、「予防処置(prophylactic treatment)」又は「予防処置(preventive treatment)」は、同義であり、かつ前述の状態を発症するリスクを、特に前記状態又は対応する既往症の高いリスク、例えば糖尿病若しくは肥満症等の代謝障害又は本明細書に記載の別の障害を発症する高いリスクを有する患者のリスクを低減させるという意味に理解すべきである。従って本明細書で使用する「疾患の予防」という表現は、該疾患の臨床的発症前に該疾患を発症するリスクのある個体を管理及びケアすることを意味する。予防の目的は、疾患、状態又は障害の発生と闘うことであり、症状又は合併症の発症を予防するか又は遅延させるため及び関連疾患、状態又は障害の発生を予防するか又は遅延させるために活性化合物を投与することを含む。前記予防処置の成功は、予防処置を行なわない同等の患者集団に比べて、この状態のリスクがある患者集団における前記状態の発症率低下に統計的に反映される。
「治療」又は「療法」という表現は、顕性、急性又は慢性形態で前記状態の1つ以上を既に発症している患者の治療処置を意味し、特定徴候の症状を緩和するための対症療法或いはその状態及び重症度に応じて、できる限り早く状態を逆転若しくは一部逆転させるため又は徴候の進行を遅延させるための原因療法が含まれる。従って本明細書で使用する「疾患の治療」という表現は、疾患、状態又は障害が発生している患者の管理及びケアを意味する。治療の目的は、疾患、状態又は障害と闘うことである。治療には、疾患、状態又は障害を排除又は制御するため並びに疾患、状態又は障害と関連する症状又は合併症を軽減するための活性化合物の投与が含まれる。
【0013】
本明細書では「医薬的に許容される」という用語を用いて、正当な医学的判断の範囲内で、過剰な毒性、刺激、アレルギー反応、又は他の問題若しくは合併症なしでヒト及び動物の組織と接触して使用するのに適しており、妥当な利益/危険比で釣り合っている当該化合物、材料、組成物、及び/又は剤形を指す。
本明細書で使用する場合、「医薬的に許容される塩」は、親化合物がその酸塩又は塩基塩を作ることによって修飾されている開示化合物の誘導体を指す。医薬的に許容される塩の例としては、限定するものではないが、アミン等の塩基性残基の鉱酸塩又は有機酸塩;カルボン酸等の酸性残基のアルカリ塩又は有機塩等が挙げられる。例えば、該塩としては、アンモニア、L-アルギニン、ベタイン、ベネタミン、ベンザチン、水酸化カルシウム、コリン、デアノール、ジエタノールアミン(2,2’-イミノビス(エタノール))、ジエチルアミン、2-(ジエチルアミノ)-エタノール、2-アミノエタノール、エチレンジアミン、N-エチル-グルカミン、ヒドラバミン、1H-イミダゾール、リジン、水酸化マグネシウム、4-(2-ヒドロキシエチル)-モルホリン、ピペラジン、水酸化カリウム、1-(2-ヒドロキシエチル)-ピロリジン、水酸化ナトリウム、トリエタノールアミン(2,2’,2"-ニトリロトリス(エタノール))、トロメタミン、水酸化亜鉛、酢酸、2.2-ジクロロ-酢酸、アジピン酸、アルギン酸、アスコルビン酸、L-アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、2,5-ジヒドロキシ安息香酸、4-アセトアミド-安息香酸、(+)-ショウノウ酸、(+)-ショウノウ-10-スルホン酸、炭酸、ケイ皮酸、クエン酸、シクラム酸、デカン酸、ドデシル硫酸、エタン-1,2-ジスルホン酸、エタンスルホン酸、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸、エチレンジアミン四酢酸、ギ酸、フマル酸、ガラクタル酸、ゲンチジン酸、D-グルコヘプトン酸、D-グルコン酸、D-グルクロン酸、グルタミン酸、グルタル酸、2-オキソ-グルタル酸、グリセロリン酸、グリシン、グリコール酸、ヘキサン酸、馬尿酸、臭化水素酸、塩酸、イソ酪酸、DL-乳酸、ラクトビオン酸、ラウリン酸、リジン、マレイン酸、(-)-L-リンゴ酸、マロン酸、DL-マンデル酸、メタンスルホン酸、ガラクタル酸、ナフタレン-1,5-ジスルホン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、ニコチン酸、硝酸、オクタン酸、オレイン酸、オロト酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモ酸(エンボン酸)、リン酸、プロピオン酸、(-)-L-ピログルタミン酸、サリチル酸、4-アミノ-サリチル酸、セバシン酸、ステアリン酸、コハク酸、硫酸、タンニン酸、(+)-L-酒石酸、チオシアン酸、p-トルエンスルホン酸及びウンデシレン酸からの塩が挙げられる。アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、亜鉛等のような金属からのカチオンとさらなる医薬的に許容される塩を形成することができる。(Pharmaceutical salts, Berge, S.M. et al., J.Pharm.Sci., (1977), 66, 1-19をも参照されたい)。
【0014】
本発明の医薬的に許容される塩は、カチオン基及び場合により追加の塩基性又は酸性部分を含有する親化合物から従来の化学的方法によって合成可能である。一般的に、該塩は、水中又はエーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール、若しくはアセトニトリルのような有機希釈剤、又はその混合物中でこれらの化合物の他の塩形態を十分な量の適切な塩基又は酸と反応させることによって調製可能である。さらに、一般的にイオン交換クロマトグラフィーによって対イオンを交換することができる。
上記酸以外の酸の塩、例えば本発明の化合物の精製又は単離に役立つ塩(例えばトリフルオロ酢酸塩)も本発明の一部を構成する。
【0015】
単独又は別の基と組み合わせた用語「C
1-n-アルキル」(nは1〜nの整数である)は、1〜n個のC原子を有する非環式飽和分岐又は直鎖炭化水素基を表す。例えば、本明細書で使用する用語C
1-4-アルキルは、基H
3C-、H
3C-CH
2-、H
3C-CH
2-CH
2-、H
3C-CH(CH
3)-、H
3C-CH
2-CH
2-CH
2-、H
3C-CH
2-CH(CH
3)-、H
3C-CH(CH
3)-CH
2-、及びH
3C-C(CH
3)
2-を包含する。
構造とそれらの呼称に矛盾がある全て場合に構造が優先するものとする。
【0016】
好ましい実施形態
本発明の1つ特定実施形態は、R
1及びR
2が、独立に水素、メチル、イソブチル、2-アミノエチル、3-アミノプロピル、2-(メチルアミノ)エチル、2-(ジメチルアミノ)エチル、3-(メチルアミノ)プロピル、3-(ジメチルアミノ)プロピル、2-(モルホリン-4-イル)エチル、2-(ジメチルホスフィノイルメトキシ)エチル及び2,3,4,5,6-ペンタヒドロキシヘキサ-1-イルから選択される、請求項1に記載の化合物又はその医薬的に許容される塩に関する。
本発明の別の特定実施形態は、R
1及びR
2が、それらが結合している窒素原子と一緒に、下記から選択される部分を形成している、式(I)の化合物又はその医薬的に許容される塩に関する。
【0018】
本発明の別の特定実施形態は、R
1及びR
2の少なくとも1つがC
1-C
6-アルキルから選択され、このC
1-C
6-アルキルは、アミノ、C
1-C
4-アルキルアミノ、ジC
1-C
4-アルキルアミノ及びモルホリン-4-イルから選択される1又は2個の置換基を有する、式(I)の化合物又はその医薬的に許容される塩に関する。
本発明の別の特定実施形態は、R
1及びR
2が、それらが結合している窒素原子と一緒に、ピペリジン、ピペラジン及び1,4-ジアゼパンから選択されるヘテロ環式部分を形成し、ピペリジンは、NR
aR
bから選択される1又は2個の置換基を有し、R
a及びR
bは、独立に水素、C
1-C
4-アルキル及び-C(O)CH
2NR
cR
dから選択され、R
c及びR
dは、独立に水素及びC
1-C
4-アルキルから選択され、かつピペラジン又は1,4-ジアゼパンは、C
1-C
4-アルキル、ジメチルホスフィノイル-C
1-C
4-アルキルから選択される1又は2個の置換基を有する、式(I)の化合物又はその医薬的に許容される塩に関する。
【0019】
本発明の別の特定実施形態は、R
1及びR
2の少なくとも1つがC
1-C
6-アルキルであり、C
1-C
6-アルキルは、ジC
1-C
4-アルキルアミノ及びモルホリン-4-イルから選択される1又は2個の置換基を有する、式(I)の化合物又はその医薬的に許容される塩に関する。
本発明の別の特定実施形態は、R
1及びR
2が、それらが結合している窒素原子と一緒に、ピペリジン、ピペラジン及び1,4-ジアゼパンから選択されるヘテロ環式部分を形成し、ピペリジンは、NR
aR
bから選択される1又は2個の置換基を有し、R
a及びR
bは、独立にC
1-C
4-アルキル及び-C(O)CH
2NR
cR
dから選択され、R
c及びR
dは、独立にC
1-C
4-アルキルから選択され、ピペラジン又は1,4-ジアゼパンは、C
1-C
4-アルキル、及びジメチルホスフィノイル-C
1-C
4-アルキルから選択される窒素結合置換基を有する、式(I)の化合物又はその医薬的に許容される塩に関する。
本発明の別の特定実施形態は、R
1及びR
2の少なくとも1つが、C
2-C
6-アルキルから選択され、C
2-C
6-アルキルは、ジメチルホスフィノイルメトキシ置換基を有する、式(I)の化合物又はその医薬的に許容される塩に関する。
【0020】
本発明の別の特定実施形態は、R
1及びR
2が、それらが結合している窒素原子と一緒に、ピペリジン、ピペラジン及び1,4-ジアゼパンから選択されるヘテロ環式部分を形成し、ヘテロ環式部分は、ジメチルホスフィノイル-C
1-C
4-アルキル置換基を有する、式(I)の化合物又はその医薬的に許容される塩に関する。
本発明の別の特定実施形態は、Z
-が、塩化物イオン及びトリフルオロ酢酸イオンから選択される、式(I)の化合物又はその医薬的に許容される塩に関する。
本発明の別の特定実施形態は、下記
【0025】
から選択される、式(I)の化合物又はその医薬的に許容される塩に関する。
本発明の別の特定実施形態は、少なくとも150のトポロジカル極性表面積値(TPSA)を特徴とする式(I)の化合物に関する。本明細書で使用する用語「トポロジカル極性表面積」は、Ertl P. et al., J. Med. Chem, 43 (2000), 3714-3717においてフラグメントに基づくPSAについて開示されているように計算される値を指す。式(I)の適切な化合物は、通常150〜250の範囲のTPSA値を有することになる。該化合物は、特に下記から選択される化合物である。
【0027】
上記で定義した置換基のいずれも互いに組み合わせて、上記で具体的に例示していない追加の化合物を形成することができる。本明細書で定義した置換基の少なくとも2、3、又は4個が、本明細書で定義した特定の意味又は好ましい意味の1つを有する、式(I)の化合物又はその医薬的に許容される塩が特に好ましい。
【0028】
調製
一般式(I)の化合物の調製には以下の方法が適している。
本発明の化合物は、当業者に知られ、有機合成の文献に記載されている合成方法を用いて得ることができる。官能基の保護及び脱保護工程の一般的方法は、例えばGreene, T. W. and Wuts, P.G.M.(eds.):Protective Groups in Organic Synthesis, third edition 1999;John Wiley and Sons, Inc.に記載されている。以下にさらに完全に説明する調製方法に類似して、特に実験セクションに記載のように化合物を得るのが好ましい。
【0030】
一般式(I)の化合物は、合成については以下に述べる酸中間体(IV.1)、及び一般式(II)のアミンから、例えばカップリング試薬HATUを適用する標準的アミド化手順によって調製可能である。当業者には明らかなように、(IV.1)及び(I)中の対イオンZ
-は、合成及び精製の条件に応じて異なり得る。さらに、これとは別に化合物(IV.1)を双性イオン形態(すなわち、脱保護されたカルボキシラート基を有し、対イオンZ
-がない)で適用してもよい。
アミン(II)は、当業者に知られ、有機合成の文献に記載されている合成方法を用いて調製可能である。アミン(II)の置換基R
1及びR
2の範囲は、一般式(I)の化合物について請求するものを超えることがある。化合物(II)中のR
1及びR
2は、例えば、アミド化工程に必要であるか又は有利な保護基を有し得る。その後の合成工程において、例えば脱保護及び/又はアミド化反応を介してR
1及びR
2を修飾することができる。
【0031】
上記で定義したように、式(I)の化合物は、アニオンZ
-を含有する塩である。これらのアニオンZ
-は、合成若しくは精製から誘導されるか又は当業者に既知の方法によって、あるアニオン種から別の適切なアニオン種に変更され得る。該方法の例は、イオン交換樹脂又は別の、通常はより強い酸を用いてその塩からの酸の対イオンの置換を利用するイオン交換である。例えば、上記で定義したように、水、メタノール又はジエチルエーテル等の適切な溶媒中で、Z
-がCF
3COO
-である式(I)の化合物をHClで処理すると、上記で定義したように、Z
-がCl
-である式Iの化合物を生成することができる。
上記で定義したように、式(I)の特定化合物は、医薬用途のためにその塩に、特に無機又は有機酸及び塩基との医薬的に許容される塩にさらに変換できる基を含有し得る。この目的に使用できる酸としては、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、メタンスルホン酸、リン酸、フマル酸、コハク酸、乳酸、クエン酸、酒石酸又はマレイン酸が挙げられる。対応するプロセスは当業者に知られている。
【0032】
さらに、1つ以上の立体異性体が存在し得る場合、一般式(I)の化合物又は一般式(I)の化合物合成の中間体を混合物として得てからそれらの立体異性体、例えばエナンチオマー及び/又はジアステレオマーに分割することができる。従って、例えば、シス/トランス混合物をそれらのシス及びトランス異性体に分割することができ、ラセミ化合物をそれらのエナンチオマーに分離することができる。
従って、例えば、クロマトグラフィーによってシス/トランス混合物をそのシス及びトランス異性体に分割することができる。ラセミ体として存在する一般式(I)の化合物又は一般式(I)の化合物合成の中間体は、それ自体既知の方法(Allinger N.L. and Eliel E.L.の"Topics in Stereochemistry", Vol.6, Wiley Interscience, 1971参照)でそれらの光学対掌体に分離可能であり、少なくとも2つの不斉炭素原子を有する一般式(I)の化合物又は一般式(I)の化合物合成の中間体は、それ自体既知の方法を用いて、例えばクロマトグラフィー及び/又は分別結晶によって、それらの物理化学的差異に基づいてそれらのジアステレオマーに分離可能であり、かつ、これらの化合物がラセミ形で得られる場合、それらは引き続き、上述したようにエナンチオマーに分割可能である。
【0033】
キラル相上のカラムクロマトグラフィーによって或いは光学活性溶媒からの結晶化によって或いは塩又はエステル若しくはアミド等の誘導体をラセミ化合物と形成する光学活性物質と反応させることによってラセミ体を分割するのが好ましい。塩基性化合物では鏡像異性的に純粋な酸を用いて、また酸性化合物では鏡像異性的に純粋な塩基を用いて塩を形成し得る。ジアステレオマー誘導体は、鏡像異性的に純粋な補助化合物、例えば酸、それらの活性化誘導体、又はアルコールを用いて形成される。このようにして得られる塩又は誘導体のジアステレオマー混合物の分離は、それらの異なる物理化学的性質、例えば溶解度の差を利用して達成可能であり;適切な薬剤の作用によって純粋なジアステレオマー塩又は誘導体から遊離対掌体が遊離され得る。このような目的に一般的に用いる光学活性酸は、例えば酒石酸、ジベンゾイル酒石酸、ジトロイル酒石酸、リンゴ酸、マンデル酸、ショウノウスルホン酸、グルタミン酸、アスパラギン酸、又はキナ酸のD型及びL型である。補助残基として適用可能な光学活性アルコールは、例えば、(+)又は(-)-メントールり得、アミド中の光学活性アシル基は、例えば、(+)-又は(-)-メンチルオキシカルボニルであり得る。
【0034】
本発明の物質は、それ自体既知のやり方で、例えば減圧下で溶媒から蒸留し、得られた残渣を適切な溶媒から再結晶化するか又は例えば、適切な担体材料上のカラムクロマトグラフィー等の通例の精製法の1つを残渣に施すことによって単離及び精製される。
本発明の化合物は、この目的で当業者には自らの専門知識から分かる方法と組み合わせてもよい下記実施例に記載の方法を用いて有利に得ることができる。同様に、その調製について下記実施例に明示的に記載していない本発明のさらなる化合物は、実施例に類似して又は実施例と同様に調製可能である。
【実施例】
【0035】
実施例
下記実施例は、本発明の範囲を限定することなく本発明を説明する。
本発明の他の特徴及び利点は、例として、本発明の原理を説明する下記のさらに詳細な実施例から明らかになる。
化合物の塩形態を特定していない場合、化合物は、化学構造、合成条件及び適用する仕上げ又は精製プロセスに応じて、遊離塩基又は塩又は双性イオンとして存在し得る。当業者は、化合物が特定の塩形態に限定されないことを認めるであろう。化合物の塩形態を特定している場合、対イオンの化学量論は通常省略してある。複数の荷電対イオンの場合、当業者は、結果として生じる塩形態は無電荷であり、対応する化学量論をもたらすことを認めるであろう。当業者は、化合物は単塩形態に限定されず、化合物は二塩、三塩又は他の化合物:対イオン化学量論として存在し得ることを認めるであろう。さらに、当業者は、合成条件並びに適用する仕上げ及び精製プロセスによっては、該化合物が予想外に異なる対イオンとの塩として存在し得ることを認めるであろう。単に収率を決定するという目的で、対イオンの性質及び化合物:対イオン化学量論の性質を評価する(与えた式によって示すように)。
【0036】
中間体の合成
下記中間体Iは、下表に示す文献に記載どおりに調製可能である。
【0037】
【0038】
中間体II.1
【0039】
【化10】
II.1
【0040】
中間体I.1(6.00g;19.6mmol)、中間体I.2(6.46g;19.6mmol)及びDMF(20ml)の混合物を周囲温度で一晩撹拌する。混合物を蒸発させ、残渣をDCMに溶かし、ブラインで抽出する。有機層を乾燥させ(Na
2SO
4)、蒸発させる。結果として生じる固体をジエチルエーテルと摩砕し、濾別して乾燥させる。
【0041】
中間体III.1
【0042】
【化11】
III.1
【0043】
中間体II.1(7.57g;16.7mmol)及びACN(70ml)の混合物にヨードエタン(66.7ml;835mmol)を少しずつ加える。混合物を90℃に一晩加熱してから蒸発乾固させる。残渣をトルエンに懸濁させて再び蒸発乾固させる。
【0044】
中間体IV.1
【0045】
【化12】
IV.1
【0046】
中間体III.1(6.00g;10.0mmol)及び塩酸(ジオキサン中4M;75ml;300mmol)の混合物を90℃で一晩撹拌してから蒸発乾固させる。残渣をトルエンに懸濁させて再び蒸発乾固させる。
【0047】
中間体V.1
【0048】
【化13】
V.1
【0049】
工程1:
酸中間体IV.1(100mg;0.455mmol)、アミン4-tert-ブトキシカルボニルアミノ-ピペリジン(110mg;0.549mmol)、トリエチルアミン(170μl;1.23mmol)及びDMF(4.0ml)の混合物にHATU(215mg;0.565mmol)を加える。混合物を周囲温度で2時間撹拌してから蒸発させる。残渣をRP-HPLC(C18;水-ACN-TFA)で精製する。
工程2:
工程1から得られる中間体をDCM/TFA(3:1)中で周囲温度にて1時間撹拌してから蒸発させる。
工程3:
工程2から得られる中間体をメタノールHClに取って蒸発乾固させる。
C
23H
30ClN
8O
2×HCl×Cl ESI質量スペクトル:m/z=485 [M]
+
HPLC分析:RT=0.51分(HPLC法A)
【0050】
実施例の合成
中間体V.1の合成について述べた手順に従って、以下に示すそれぞれの酸及びアミンから下記実施例化合物を調製する。適用する条件によっては、合成が予想外に他の対イオン化学量論又は他の塩形態をもたらすことがある。
【0051】
【化14】
【0052】
分析方法及び分取クロマトグラフィー
原則として、調製した化合物について
1H-NMR及び質量スペクトルを得た。与えた質量ピーク(例えば(M)+、(M+H)+、(M+HCOO)-)は、モノアイソトピック分子量を指す。
分取HPLC:
固定相(特に指定のない限り):XBridge C18;10μm又はSunFire C18;10μm(両方ともwaters, www.waters.comから)
分析HPLC/MS法
与えたHPLC保持時間は、下記パラメーターの下で測定される。
【0053】
HPLC法A
【0054】
HPLC法B
【0055】
HPLC法C
カラム:Atlantis dC18 5μm 4,6×50mm, 温度35℃
移動相:A = H2O 90% + 10% CH3CN + CF3COOH 0,05%
B = CH3CN 90% + 10% H2O
時間(分) %A %B 流量(ml/分)
0.00 100 0 1.3
0.70 100 0 1.3
4.5 0 100 1.3
5.80 0 100 1.3
6.00 100 0 1.3
【0056】
HPLC法D
【0057】
HPLC法E
【0058】
HPLC法F
【0059】
上記及び下記で以下の略語を使用する:
【0060】
薬理学的試験方法
上記実施例化合物のIC
50値をウッシングチャンバーアッセイで決定した。
ウッシングチャンバー:5%FCS及び5μMデキサメタゾンを含有するDMEM中でマウス腎臓M-1細胞を10〜12日間ポリエステルトランスウェルフィルター上で培養した。フィルターをテフロンコートウェルプレートに挿入してウッシングチャンバーシステムに収めた。測定前にM-1細胞の培地をCaco-2輸送バッファー(Invitrogen, Germany)と交換した。測定中、ウッシングチャンバー温度を37℃で維持した。短絡電流(I_sc)を電位固定モードで測定し、データの取得及び解析にはソフトウェアパッケージLab Viewを用いた。5秒毎に±5mVの電圧ステップを適用して経上皮電気抵抗(TEER)を決定した。3μMの最終濃度で又は頂膜側(apical)溶液に対して濃度を増やして(1-3-10μM)化合物を投与した。各実験の最後に頂膜側区画に3μMのアミロライドを添加することによってアミロライド感受性I_SCを測定した。アミロライド効果のパーセント阻害として又はIC
50として結果を表す。
【0061】
上記実施例化合物を用いて、ウッシングチャンバーアッセイで下記IC
50値を決定した:
【0062】
【0063】
CALU-3細胞の透過性:
透過性フィルター担体上で成長させた極性化したコンフルエントなCALU-3細胞の単層を横切る透過性測定値を用いて、化合物が肺上皮を通過する可能性に関する情報を提供する。CALU-3細胞の単層を横切る化合物の見掛けの透過係数(Apparent permeability coefficient)(Papp)を頂膜側→基底膜側(apical-to-basal)(AB)及び基底膜側→頂膜側(basal-to-apical)(BA)輸送方向に測定した(pH7.4、37℃)。AB透過性(Papp, AB)は、肺管腔から血液への薬物吸収を表し、BA透過性(Papp, BA)は、血液から肺管腔への薬物輸送を表し、これは、Calu-3細胞も肺上皮細胞も取込みトランスポーターは発現し得るが、P-gpのような排出トランスポーターを発現しないので、主に受動的透過性による。
【0064】
CALU-3細胞(1-2×10
5個の細胞/1cm
2面積)をフィルターインサート(Costarトランスウェルポリカーボネートフィルター、0.4μm孔径)上に播種し、タイトな単層が形成されるまで培養した(10〜12日間DMEM)。興味ある化合物を適切な溶媒(DMSO、10mMのストック溶液)に溶かす。ストック溶液をHTP-4バッファー(128.13mM NaCl、5.36mM KCl、1mM MgSO4、1.8mM CaCl2、4.17mM NaHCO3、1.19mM Na2HPO4×7H2O、0.41mM NaH2PO4×H2O、15mM HEPES、20mMグルコース、0.25%BSA、pH7.4)で希釈して輸送溶液(10μMの化合物、最終DMSO≦0.5%)を調製した。輸送溶液(TL)を頂膜側又は基底膜側のドナー側に適用してそれぞれA-B又はB-A透過性を測定する(3リットルの反復実験)。レシーバー側は、ドナー側と同じバッファーを含有する。30分の順応後、実験の開始t0=0分及び終了tn=90分にドナーチャンバーからサンプルを収集し、レシーバーチャンバーからも0、30、60、及び90分にサンプルを収集する。除去した体積をHTP-4バッファーで補充する。HPLC-MS/MS又はシンチレーション計数によってサンプル中の化合物濃度を測定する。透過係数(Papp)及び排出比を以下のように計算する:Papp[cm/s]=(レシーバー濃度[nM]
*レシーバー体積[mL]/時間間隔[秒])
*(1/フィルター面積)
*(1/ドナー濃度[nM])。
【0065】
上記実施例化合物を用いて、CALU-3細胞アッセイで下記透過性値を決定した:
【0066】
【0067】
適応症
明らかなように、式(I)の化合物は、治療分野におけるそれらの広範な用途を特徴とする。特に式(I)の本発明の化合物が、ENaC阻害薬としてのそれらの医薬品効力のために好ましく適している当該用途に言及すべきである。例としては、呼吸器の疾患若しくは愁訴、気道のアレルギー性疾患、又はドライアイが挙げられる。
特に、粘液産生増加、気道の炎症及び/又は閉塞性疾患を伴う気道及び肺の疾患の予防及び治療に言及すべきである。例としては、急性アレルギー性若しくは慢性気管支炎、慢性閉塞性気管支炎(COPD)、咳、肺気腫、アレルギー性若しくは非アレルギー性鼻炎又は副鼻腔炎、慢性鼻炎又は副鼻腔炎、喘息、肺胞炎、農夫肺、過敏性気道、感染性気管支炎又は肺臓炎、小児喘息、気管支拡張症、肺線維症、ARDS(急性成人呼吸促迫症候群)、気管支浮腫、肺浮腫、例えば誤嚥、毒ガス吸入等の種々の原因によって引き起こされる気管支炎、肺炎若しくは間質性肺炎、又は心不全、刺激、化学療法の結果としての気管支炎、肺炎若しくは間質性肺炎、嚢胞性線維症若しくはムコビシドーシス、又はα1-アンチトリプシン欠乏症が挙げられる。
【0068】
特に好ましくは、本発明は、肺を含めた上気道及び下気道の炎症性又は閉塞性疾患、例えばアレルギー性鼻炎、慢性鼻炎、気管支拡張症、嚢胞性線維症、COPD、慢性気管支炎、慢性副鼻腔炎及び喘息等の治療用医薬組成物を調製するための式(I)の化合物の使用に関する。
COPD、慢性気管支炎、慢性副鼻腔炎、喘息、嚢胞性線維症、特にCOPD、慢性気管支炎、喘息及び嚢胞性線維症等の炎症性及び閉塞性疾患の治療のために式(I)の化合物を使用することが最も好ましい。
実際の医薬的に有効な量又は治療用量は、当然に、患者の年齢と体重、投与経路及び疾患の重症度等の当業者に既知の因子によって決まることになる。いずれの場合も、患者特有の状態に基づいて医薬的に有効な量を送達できるようにする用量及びやり方で組み合わせを投与することになる。
【0069】
組み合わせ
式(I)の化合物は、単独で又は本発明の式(I)の他の活性物質と共に使用してよい。必要に応じて式(I)の化合物を他の薬理学的に活性な物質と併用してもよい。
従って本発明はさらに、好ましくは式(I)の1種以上の化合物又はその塩に加えて、さらなる活性物質として、さらなるENaC阻害薬、β模倣薬、抗コリン薬、コルチコステロイド、PDE4阻害薬、LTD4拮抗薬、EGFR阻害薬、ドーパミン作動薬、H1抗ヒスタミン薬、PAF拮抗薬、MAPキナーゼ阻害薬、MPR4阻害薬、iNOS阻害薬、SYK阻害薬、嚢胞性線維症膜貫通調節因子(CFTR)の補正薬及びCFTR増強薬の分類の中から選択される1種以上の化合物、又はその二重若しくは三重の組み合わせを含有する薬物組み合わせに関する。
【0070】
製剤
投与に適した形態は、例えば吸入可能散剤又はエアロゾルである。いずれの場合も医薬的に有効な化合物の含量は、組成物全体の0.2〜50wt%、好ましくは0.5〜25wt%の範囲内であるべき、すなわち、以下に特定する用量範囲を達成するのに十分な量でなければならない。
吸入により投与する場合、活性物質組み合わせを散剤として、水溶液若しくはエタノール水溶液として又は噴霧ガス製剤を用いて与えてよい。
従って、好ましくは、医薬製剤は、それらが上記好ましい実施形態の式(I)の1種以上の化合物を含有することを特徴とする。
式(I)の化合物を吸入により投与しても好ましく、それらを1日1回又は2回投与すれば特に好ましい。この目的では、式(I)の化合物は、吸入に適した形態で利用しなければならない。吸入可能製剤としては、吸入可能散剤、噴霧剤含有定量噴霧式エアロゾル又は無噴霧剤吸入可能溶液が挙げられ、それらは、場合により通常の生理学的に許容される賦形剤との混合物で存在する。
本発明の範囲内では、無噴霧剤吸入可能溶液という用語には、濃縮物又は無菌のすぐに使える吸入可能溶液も含まれる。本発明に従って使用し得る製剤については、本明細書の次のパートでさらに詳細に述べる。
【0071】
吸入可能散剤
式(I)の活性物質が生理学的に許容される賦形剤との混合物で存在する場合、以下の生理学的に許容される賦形剤を用いて本発明の吸入可能散剤を調製することができる:単糖(例えばグルコース又はアラビノース)、二糖(例えばラクトース、サッカロース、マルトース)、オリゴ糖及び多糖(例えばデキストラン)、ポリアルコール(例えばソルビトール、マンニトール、キシリトール)、塩(例えば塩化ナトリウム、炭酸カルシウム)又はこれらの賦形剤相互の混合物。単糖又は二糖の使用が好ましく、排他的ではないが、ラクトース又はグルコースをそれらの水和物の形態で使用するのが特に好ましい。本発明の目的では、ラクトースが特に好ましい賦形剤であり、さらにラクトース一水和物が最も特に好ましい。成分を粉砕及び微粒子化し、最後に一緒に混合することによって本発明の吸入可能散剤を調製する方法は、従来技術で知られている。
【0072】
噴霧剤含有吸入可能エアロゾル
本発明に従って使用し得る噴霧剤含有吸入可能エアロゾルは、噴霧ガスに溶解しているか又は分散形態の式(I)の化合物を含有し得る。本発明の吸入エアロゾルを調製するために使用し得る噴霧ガスは従来技術で知られている。適切な噴霧ガスは、n-プロパン、n-ブタン又はイソブタン等の炭化水素及びハロ炭化水素、例えばメタン、エタン、プロパン、ブタン、シクロプロパン又はシクロブタンの好ましくはフッ素化誘導体の中から選択される。上記噴霧ガスは、単独又はその混合物で使用可能である。特に好ましい噴霧ガスは、TG134a(1,1,1,2-テトラフルオロエタン)、TG227(1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン)及びその混合物から選択されるフッ素化アルカン誘導体である。本発明の使用の範囲内で使用する噴霧剤駆動型エアロゾルは、共溶媒、安定剤、界面活性剤、抗酸化剤、潤沢剤及びpH調整剤等の他の成分を含有してもよい。全てのこれらの成分は技術上周知である。
【0073】
無噴霧剤吸入可能溶液
本発明の式(I)の化合物を用いて無噴霧剤吸入可能溶液及び吸入可能懸濁液を調製するのが好ましい。この目的に用いる溶媒としては、水溶液又はアルコール溶液、好ましくはエタノール溶液が挙げられる。溶媒は水単独又は水とアルコールの混合物であってよい。適切な酸を用いて溶液又は懸濁液を3〜7のpHに調整する。無機酸及び有機酸から選択される酸を用いてpHを調整することができる。特に適切な無機酸の例としては、塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸及び/又はリン酸が挙げられる。特に適切な有機酸の例としては、アスコルビン酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、マレイン酸、コハク酸、フマル酸、酢酸、ギ酸及び/又はプロピオン酸等が挙げられる。好ましい無機酸は、塩酸及び硫酸である。既に活性物質の1つと酸付加塩を形成している酸を使用することもできる。有機酸のうち、アスコルビン酸、フマル酸及びクエン酸が好ましい。必要に応じて、特にそれらの酸性にする品質に加えて、例えば、クエン酸又はアスコルビン酸のように、例えば香味剤、抗酸化剤又は錯化剤としての他の特性を有する酸の場合、上記酸の混合物を使用してもよい。本発明によれば、塩酸を用いてpHを調整するのが特に好ましい。
【0074】
本発明の目的で使用する無噴霧剤吸入可能溶液に共溶媒及び/又は他の賦形剤を添加してよい。好ましい共溶媒は、ヒドロキシル基又は他の極性基を含有するもの、例えばアルコール、特にイソプロピルアルコール、グリコール、特にプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリコールエーテル、グリセロール、ポリオキシエチレンアルコール及びポリオキシエチレン脂肪酸エステルである。この文脈の賦形剤及び添加剤という用語は、活性物質ではないが、活性物質製剤の品質特性を改善するために薬理学的に適切な溶媒中で活性物質(複数可)と調合できるいずれの薬理学的に許容される物質をも意味する。好ましくは、これらの物質は薬理作用を持たないか、或いは望ましい療法に関連して、認識できる薬理作用又は少なくとも望ましくない薬理作用を持たない。賦形剤及び添加剤としては、例えば、界面活性剤、例えば大豆レシチン、オレイン酸、ソルビタンエステル、例えばポリソルベート、ポリビニルピロリドン、他の安定剤、錯化剤、抗酸化剤及び/又は完成医薬製剤の有効期限を保証若しくは延長する保存料、香味料、ビタミン及び/又は技術上周知の他の添加剤が挙げられる。添加剤には、等張剤としての塩化ナトリウムのような薬理学的に許容される塩も含まれる。好ましい賦形剤としては、例えば、pHを調整するために既に使用されていないという条件で、アスコルビン酸等の抗酸化剤、ビタミンA、ビタミンE、トコフェロール及び人体内に存在する同様のビタミン又はプロビタミンが挙げられる。保存料を用いて、病原による汚染から製剤を保護することができる。適切な保存料は、技術上周知のもの、特に従来技術で知られる濃度の塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウ又は安息香酸若しくは安息香酸塩、例えば安息香酸ナトリウムである。
上記治療形態のために、例えば呼吸器疾患、COPD又は喘息という言葉を含む同封の説明書、本発明の化合物及び上記併用相手から選択される1種以上の併用相手を含有する、呼吸器愁訴の治療用薬物のすぐに使えるパックを提供する。
本発明としては、以下の態様も好ましい。
〔1〕 下記式(I)
(式中、
R1及びR2は、独立に水素及びC1-C6-アルキルから選択され、C1-C6-アルキルは、ヒドロキシル、アミノ、C1-C4-アルキルアミノ、ジC1-C4-アルキルアミノ、モルホリン-4-イル及びジメチルホスフィノイルメトキシから選択される1〜5個の置換基を有してよく、但し、R1及びR2の少なくとも1つは、水素、非置換C1-C6-アルキル及び1個のヒドロキシル置換基を有するC1-C6-アルキルとは異なり;又は
R1及びR2は、それらが結合している窒素原子と一緒に、ピペリジン、ピペラジン及び1,4-ジアゼパンから選択されるヘテロ環式部分を形成し、このヘテロ環式部分は、C1-C4-アルキル、ジメチルホスフィノイル-C1-C4-アルキル及びNRaRbから選択される1又は2個の置換基を有してよく、Ra及びRbは、独立に水素、C1-C4-アルキル及び-C(O)CH2NRcRdから選択され、Rc及びRdは、独立に水素及びC1-C4-アルキルから選択され;かつ
Z-は、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、水酸化物イオン、硫酸水素イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、リン酸イオン、ギ酸イオン、酢酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、フマル酸イオン、クエン酸イオン、酒石酸イオン、シュウ酸イオン、コハク酸イオン、マンデル酸イオン、メタンスルホン酸イオン及びp-トルエンスルホン酸イオンから選択される)
の化合物又はその医薬的に許容される塩。
〔2〕 R1及びR2が、独立に水素、メチル、イソブチル、2-アミノエチル、3-アミノプロピル、2-(メチルアミノ)エチル、2-(ジメチルアミノ)エチル、3-(メチルアミノ)プロピル、3-(ジメチルアミノ)プロピル、2-(モルホリン-4-イル)エチル、2-(ジメチルホスフィノイルメトキシ)エチル及び2,3,4,5,6-ペンタヒドロキシヘキサ-1-イルから選択される、〔1〕に記載の化合物又はその医薬的に許容される塩。
〔3〕 R1及びR2が、それらが結合している窒素原子と一緒に、下記
から選択される部分を形成している、
〔1〕に記載の化合物又はその医薬的に許容される塩。
〔4〕 Z-が、塩化物イオン及びトリフルオロ酢酸イオンから選択される、
〔1〕〜〔3〕の1又は複数に記載の化合物又はその医薬的に許容される塩。
〔5〕 下記
から選択される、
〔1〕に記載の化合物又はその医薬的に許容される塩。
〔6〕 薬物として使用するための、〔1〕〜〔5〕の1又は複数に記載の化合物又はその医薬的に許容される塩。
〔7〕 呼吸器疾患又は愁訴及び気道のアレルギー性疾患の中から選択される疾患の治療に使用するための、〔1〕〜〔5〕の1又は複数に記載の化合物又はその医薬的に許容される塩。
〔8〕 慢性気管支炎、急性気管支炎、細菌若しくはウイルス感染又は真菌若しくは蠕虫に起因する気管支炎、アレルギー性気管支炎、毒性気管支炎、慢性閉塞性気管支炎(COPD)、喘息、小児喘息、気管支拡張症、アレルギー性肺胞炎、アレルギー性若しくは非アレルギー性鼻炎、慢性副鼻腔炎、特発性肺線維症、嚢胞性線維症若しくはムコビシドーシス、α1-アンチトリプシン欠乏症、咳、肺気腫、間質性肺疾患、肺胞炎、過敏性気道、鼻ポリープ、肺浮腫及び様々な起源の肺臓炎、並びにドライアイの中から選択される疾患の治療に使用するための、〔1〕〜〔5〕の1又は複数に記載の化合物又はその医薬的に許容される塩。
〔9〕 〔1〕〜〔5〕の1又は複数に記載の少なくとも1種の化合物又はその医薬的に許容される塩及び医薬的に許容される担体を含む医薬組成物。
〔10〕 〔1〕〜〔5〕の1又は複数に記載の1種以上の化合物又はその医薬的に許容される塩に加えて、さらなる活性物質として、さらなるENaC阻害薬、β模倣薬、抗コリン薬、コルチコステロイド、PDE4阻害薬、LTD4拮抗薬、EGFR阻害薬、ドーパミン作動薬、H1抗ヒスタミン薬、PAF拮抗薬、MAPキナーゼ阻害薬、MPR4阻害薬、iNOS阻害薬、SYK阻害薬、嚢胞性線維症膜貫通調節因子(CFTR)の補正薬及びCFTR増強薬の分類の中から選択される1種以上の化合物又はその二重若しくは三重の組み合わせを含有する薬物組み合わせ。