(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6574056
(24)【登録日】2019年8月23日
(45)【発行日】2019年9月11日
(54)【発明の名称】変換器インピーダンスに基づく非線形音響エコー消去
(51)【国際特許分類】
H04M 1/60 20060101AFI20190902BHJP
H04B 3/23 20060101ALI20190902BHJP
H04R 3/02 20060101ALI20190902BHJP
【FI】
H04M1/60 C
H04B3/23
H04R3/02
【請求項の数】20
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2018-512565(P2018-512565)
(86)(22)【出願日】2016年9月9日
(65)【公表番号】特表2018-536307(P2018-536307A)
(43)【公表日】2018年12月6日
(86)【国際出願番号】US2016051064
(87)【国際公開番号】WO2017044819
(87)【国際公開日】20170316
【審査請求日】2018年3月8日
(31)【優先権主張番号】14/852,281
(32)【優先日】2015年9月11日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517401657
【氏名又は名称】シーラス ロジック インターナショナル セミコンダクター リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【弁理士】
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】ラシュカリ, ホスロー
(72)【発明者】
【氏名】アレン, ジャスティン
【審査官】
望月 章俊
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−333550(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0194685(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2014/0135078(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2014/0270208(US,A1)
【文献】
韓国公開特許第10−2005−0088230(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M1/60
H04B3/23
H04R3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
オーディオスピーカの中への測定された電流を示す電流信号を受信するための電流入力ノードと、
前記オーディオスピーカを横断して測定された電圧値を示す電圧信号を受信するための電圧入力ノードと、
前記電流入力ノードおよび前記電圧入力ノードに結合された処理回路であって、前記処理回路は、
適応フィルタを使用することによって、少なくとも部分的に、前記電流入力ノードにおいて受信された前記電流信号および前記電圧入力ノードにおいて受信された前記電圧信号に基づいて、前記オーディオスピーカのインピーダンスを計算するステップと、
少なくとも部分的に、前記オーディオスピーカの前記計算されたインピーダンスに基づいて、音響エコー消去信号を発生させるステップと
を行うように構成されている、処理回路と
を備える、装置。
【請求項2】
前記処理回路は、前記音響エコー消去信号を発生させることにより、前記オーディオスピーカの非線形応答を消去するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記処理回路は、前記オーディオスピーカの逆電磁力(bemf)を計算するステップを行うことによって、前記音響エコー消去信号を発生させるように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記処理回路は、また、少なくとも部分的に、前記計算された逆電磁力(bemf)に基づいて、前記オーディオスピーカと関連付けられた予測されるコイル速度を計算するステップを行うことによって、前記音響エコー消去信号を発生させるように構成され、前記発生された音響エコー消去信号は、前記オーディオスピーカが非線形であるとき、前記オーディオスピーカの非線形応答を消去する、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記処理回路は、コイル位置を積分せずに、前記予測されるコイル速度を計算するステップを行うように構成されている、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記処理回路はさらに、少なくとも部分的に、前記電流入力ノードにおいて受信された前記電流信号および前記電圧入力ノードにおいて受信された前記電圧信号に基づいて、前記オーディオスピーカのインダクタンスを計算するステップを行うように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記処理回路は、前記電圧信号を入力として前記適応フィルタに印加することと、前記電流信号を基準入力として前記適応フィルタに印加することとによって、前記適応フィルタを使用して、前記オーディオスピーカのインピーダンスを計算するステップを行うように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記処理回路は、また、前記適応フィルタによって発生された複数の係数を総和することにより、前記オーディオスピーカのレジスタンスを計算することによって、前記オーディオスピーカのインピーダンスを計算するステップを行うように構成され、前記処理回路は、前記計算されたレジスタンスに基づいて、前記音響エコー消去信号を発生させるように構成されている、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
方法であって、
オーディオスピーカの中への電流入力信号を示す電流信号を受信することと、
前記オーディオスピーカを横断して測定された電圧値を示す電圧信号を受信することと、
適応フィルタを使用することによって、少なくとも部分的に、前記電流信号および前記電圧信号に基づいて、前記オーディオスピーカのインピーダンスを計算することと、
少なくとも部分的に、前記オーディオスピーカの前記計算されたインピーダンスに基づいて、音響エコー消去信号を発生させることと
を含む、方法。
【請求項10】
前記音響エコー消去信号を発生させるステップは、前記オーディオスピーカの非線形応答を消去する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記音響エコー消去信号を発生させるステップは、前記オーディオスピーカの逆電磁力(bemf)を計算するステップを行うことを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記音響エコー消去信号を発生させるステップは、少なくとも部分的に、前記計算された逆電磁力(bemf)に基づいて、前記オーディオスピーカと関連付けられた予測されるコイル速度を計算することを含み、前記発生された音響エコー消去信号は、前記オーディオスピーカが非線形であるとき、前記オーディオスピーカの非線形応答を消去する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記予測されるコイル速度を計算するステップは、コイル位置を積分せずに行われる、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記電流信号は、電流入力ノードにおいて受信され、前記電圧信号は、電圧入力ノードにおいて受信され、前記方法は、少なくとも部分的に、前記電流入力ノードにおいて受信された前記電流信号および前記電圧入力ノードにおいて受信された前記電圧信号に基づいて、前記オーディオスピーカのインダクタンスを計算するステップをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記適応フィルタを使用して前記オーディオスピーカのインピーダンスを計算するステップは、前記電圧信号を入力として前記適応フィルタに印加することと、前記電流信号を基準入力として前記適応フィルタに印加することとを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
前記オーディオスピーカのインピーダンスを計算するステップは、前記適応フィルタによって発生された複数の係数を総和することによって、前記適応フィルタを使用して、前記オーディオスピーカのレジスタンスを計算するステップを含み、前記音響エコー消去信号を発生させるステップは、前記計算されたレジスタンスに基づく、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記電流信号を受信するステップ、前記電圧信号を受信するステップ、前記オーディオスピーカのインピーダンスを計算するステップ、および前記音響エコー消去信号を発生させるステップは、モバイル電子機器デバイス上でのオーディオの再生の間、繰り返される、請求項9に記載の方法。
【請求項18】
音響エコー消去のためのシステムであって、
オーディオスピーカの中への電流入力信号を示す電流信号を受信するための電流入力ノードと、
前記オーディオスピーカを横断して測定された電圧値を示す電圧信号を受信するための電圧入力ノードと、
前記電流入力ノードおよび前記電圧入力ノードに結合されたインピーダンス計算モジュールであって、前記インピーダンス計算モジュールは、適応フィルタを使用することによって、少なくとも部分的に、前記電流入力ノードにおいて受信された前記電流信号および前記電圧入力ノードにおいて受信された前記電圧信号に基づいて、前記オーディオスピーカのインピーダンスを計算するように構成されている、インピーダンス計算モジュールと、
前記電流入力ノードに結合され、かつ、前記電圧入力ノードに結合され、かつ、前記インピーダンス計算モジュールに結合された逆電磁力(bemf)計算モジュールであって、前記逆電磁力(bemf)計算モジュールは、少なくとも部分的に、前記インピーダンス計算モジュールから受信された前記オーディオスピーカの前記計算されたインピーダンスに基づいて、逆電磁力(bemf)信号を発生させるように構成されている、逆電磁力(bemf)計算モジュールと、
前記逆電磁力(bemf)計算モジュールに結合された速度音響インパルス応答(AIR)計算モジュールであって、前記AIR計算モジュールは、少なくとも部分的に、前記逆電磁力(bemf)計算モジュールから受信された前記逆電磁力(bemf)信号に基づいて、音響エコー消去信号を発生させるように構成されている、AIR計算モジュールと
を備える、システム。
【請求項19】
前記インピーダンス計算モジュールは、
前記電圧信号を入力として受信し、前記電流信号を基準入力として受信するように構成された適応フィルタモジュールであって、前記適応フィルタモジュールは、複数の係数を発生させるように構成されている、適応フィルタモジュールと、
前記適応フィルタモジュールに結合された総和モジュールであって、前記総和モジュールは、前記複数の係数を総和することにより、前記オーディオスピーカのレジスタンスを計算するように構成されている、総和モジュールと
を備え、
前記AIR計算モジュールは、前記計算されたレジスタンスに基づいて、音響エコー消去信号を発生させるように構成されている、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記システムは、前記オーディオスピーカとともにモバイル電子デバイスの中に統合されている、請求項18に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本出願は、2015年9月11日に出願された、Khosrow Lashkariらによる「NONLINEAR ACOUSTIC ECHO CANCELLATION BASED ON TRANSDUCER IMPEDANCE」という題名の米国非仮特許出願第14/852,281号に対して優先権の利益を主張する。上記文献は、その全体として参照することによって本明細書において援用される。
【0002】
(開示の分野)
本開示は、モバイルデバイスのためのスピーカに関する。より具体的には、本開示の一部は、これらのスピーカを使用したエコー消去に関する。
【背景技術】
【0003】
(背景)
ラウドスピーカからの音は、ある有限遅延後、マイクロホンに反射または逆結合され、エコーを産生し得る。多くの現代のオーディオデバイスは、そのようなエコーの影響を低減または排除するために、音響エコー消去装置として公知の回路を含む。理想的場合には、エコーは、ラウドスピーカに音を発生させる電気信号に対応し、オーディオデバイス(ラウドスピーカ、エンクロージャ、およびマイクロホンを含む)は、そのような電気信号に対して線形応答を有すると仮定され得る。しかしながら、実際には、マイクロホンおよびラウドスピーカならびにマイクロホンおよびラウドスピーカを含むデバイス内で使用されるコンポーネント(例えば、ラウドスピーカを駆動させるために使用される電力増幅器)等の大部分のオーディオ変換器は、その最適動作範囲内で動作されるときでさえ非線形である。
【0004】
これらの非線形効果は、特に、携帯電話および携帯電話のためのハンズフリーキット内の音響エコー消去装置の性能を有意に低減させ得、これは、そのようなデバイスが、多くの場合、オーディオデバイスの残りから不良に隔離され得る、安価で低品質のラウドスピーカを使用し得るためである。そのようなラウドスピーカが、過駆動されると、ラウドスピーカおよびその増幅器と関連付けられた飽和効果は、非線形様式で音を歪曲させる。そのような音の音響エコーは、線形および非線形成分の混合物を含有する。典型的音響エコー消去装置は、ラウドスピーカエンクロージャマイクロホンシステムの線形音響インパルス応答のみを推定する。残りの非線形成分は、特に、高音量時、大きくかつ可聴となり得る。
【0005】
ここで述べられた短所は、代表的にすぎず、特に、携帯電話等の消費者レベルデバイス内で採用されるエコー消去のための改良された電気コンポーネントの必要性が存在することを単に強調するために含まれる。本明細書に説明される実施形態は、ある短所に対処するが、必ずしも、ここで説明される、または当技術分野において公知のあらゆるものに対処するものではない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
(要約)
本開示の教示によると、オーディオデバイス内のエコー消去を行う際のオーディオ変換器非線形性と関連付けられた不利点および問題は、低減または排除され得る。携帯電話等の電子デバイスのオーディオ再生システム内の音響エコー消去システムは、オーディオ再生信号を再現する変換器を説明するパラメータに基づいて、音響エコーの推定値を計算し得る。それらのパラメータは、例えば、変換器のレジスタンスおよび/またはインダクタンスと、変換器を通る電流および/またはそれを横断する電圧とを含み得る。一実施例では、音響エコー消去システムは、変換器インピーダンスに基づいて、変換器のコイル速度を予測し得る。次いで、エコーは、予測されるコイル速度を使用して推定され得る。推定されるエコーは、変換器出力内の非線形性、および非線形挙動を消去するために発生される適切な信号を予測するために使用され得る。エコー信号は、概して、変換器の非線形応答等の一意の特性に起因して、再生されるオーディオと直接相関しない。予測されるコイル速度に基づいて推定されるエコーは、したがって、電子デバイスによって提供される適応雑音消去(ANC)の品質を改良し得る。さらに、インピーダンス、電流、および電圧等の限定数の入力数の使用は、処理の複雑性を低減させ得、音響エコー消去(AEC)または適応雑音消去(ANC)のための処理回路の複雑性の低減をもたらす。
【0007】
一実施形態によると、装置は、オーディオスピーカの中への電流入力信号を示す電流信号を受信するための電流入力ノード、オーディオスピーカを横断して測定された電圧値を示す電圧信号を受信するための電圧入力ノード、および/または電流入力ノードと電圧入力ノードとに結合される処理回路を含んでもよい。処理回路は、適応フィルタを使用することによって、少なくとも部分的に、電流入力ノードにおいて受信された電流信号および電圧入力ノードにおいて受信された電圧信号に基づいて、オーディオスピーカのインピーダンスを計算するステップ、および/または少なくとも部分的に、計算されたオーディオスピーカのインピーダンスに基づいて、音響エコー消去信号を発生させるステップを行うように構成されてもよい。
【0008】
いくつかの実施形態では、処理回路は、音響エコー消去信号を発生させ、オーディオスピーカの非線形応答を消去するように構成されてもよく、処理回路は、オーディオスピーカの逆電磁力(bemf)を計算するステップを行うことによって、音響エコー消去信号を発生させように構成されてもよく、処理回路は、また、少なくとも部分的に、計算された逆電磁力(bemf)に基づいて、オーディオスピーカと関連付けられた予測されるコイル速度を計算するステップを行うことによって、音響エコー消去信号を発生させるように構成されてもよく、発生された音響エコー消去信号は、オーディオスピーカが非線形であるとき、オーディオスピーカの非線形応答を消去する、処理回路は、コイル位置を積分せずに、予測されるコイル速度を計算するステップを行うように構成されてもよく、処理回路は、少なくとも部分的に、電流入力ノードにおいて受信された電流信号および電圧入力ノードにおいて受信された電圧信号に基づいて、オーディオスピーカのインダクタンスを計算するステップを行うように構成されてもよく、処理回路は、適応フィルタを使用して、電圧信号を入力として適応フィルタに印加し、電流信号を基準入力として適応フィルタに印加することによって、オーディオスピーカのインピーダンスを計算するステップを行うように構成されてもよく、および/または処理回路は、また、適応フィルタによって発生された複数の係数を総和し、オーディオスピーカのレジスタンスを計算することによって、オーディオスピーカのインピーダンスを計算するステップを行うように構成されてもよく、処理回路は、計算されたレジスタンスに基づいて、音響エコー消去信号を発生させるように構成される。
【0009】
別の実施形態によると、方法は、オーディオスピーカの中への電流入力信号を示す電流信号を受信するステップ、オーディオスピーカを横断して測定された電圧値を示す電圧信号を受信するステップ、適応フィルタを使用することによって、少なくとも部分的に、電流信号および電圧信号に基づいて、オーディオスピーカのインピーダンスを計算するステップ、および/または少なくとも部分的に、計算されたオーディオスピーカのインピーダンスに基づいて、音響エコー消去信号を発生させるステップを含んでもよい。
【0010】
本方法のある実施形態では、音響エコー消去信号を発生させるステップは、オーディオスピーカの非線形応答を消去してもよく、音響エコー消去信号を発生させるステップは、オーディオスピーカの逆電磁力(bemf)を計算するステップを行うことを含んでもよく、音響エコー消去信号を発生させるステップは、少なくとも部分的に、計算された逆電磁力(bemf)に基づいて、オーディオスピーカと関連付けられた予測されるコイル速度を計算することを含んでもよく、発生された音響エコー消去信号は、オーディオスピーカが非線形であるとき、オーディオスピーカの非線形応答を消去する、予測されるコイル速度を計算するステップは、コイル位置を積分せずに行われてもよく、オーディオスピーカのインダクタンスを計算するステップは、少なくとも部分的に、電流入力ノードにおいて受信された電流信号および電圧入力ノードにおいて受信された電圧信号に基づいてもよく、適応フィルタを使用して、オーディオスピーカのインピーダンスを計算するステップは、電圧信号を入力として適応フィルタに印加し、電流信号を基準入力として適応フィルタに印加することを含んでもよく、オーディオスピーカのインピーダンスを計算するステップは、適応フィルタによって発生された複数の係数を総和することによって、適応フィルタを使用して、オーディオスピーカのレジスタンスを計算するステップを含んでもよく、音響エコー消去信号を発生させるステップは、計算されたレジスタンスに基づく、および/または電流信号を受信するステップ、電圧信号を受信するステップ、オーディオスピーカのインピーダンスを計算するステップ、および音響エコー消去信号を発生させるステップは、モバイル電子機器デバイス上でのオーディオの再生の間、繰り返されてもよい。
【0011】
さらに別の実施形態によると、音響エコー消去のためのシステムは、オーディオスピーカの中への電流入力信号を示す電流信号を受信するための電流入力ノード、オーディオスピーカを横断して測定された電圧値を示す電圧信号を受信するための電圧入力ノード、電流入力ノードおよび電圧入力ノードに結合される、インピーダンス計算モジュールであって、インピーダンス計算モジュールは、適応フィルタを使用することによって、少なくとも部分的に、電流入力ノードにおいて受信された電流信号および電圧入力ノードにおいて受信された電圧信号に基づいて、オーディオスピーカのインピーダンスを計算するように構成される、インピーダンス計算モジュール、電流入力ノードに結合され、電圧入力ノードに結合され、かつインピーダンス計算モジュールに結合される、逆電磁力(bemf)計算モジュールであって、逆電磁力(bemf)計算モジュールは、少なくとも部分的に、インピーダンス計算モジュールから受信されたオーディオスピーカの計算されたインピーダンスに基づいて、逆電磁力(bemf)信号を発生させるように構成される、逆電磁力(bemf)計算モジュール、および/または、逆電磁力(bemf)計算モジュールに結合される、速度音響インパルス応答(AIR)計算モジュールであって、AIR計算モジュールは、少なくとも部分的に、逆電磁力(bemf)計算モジュールから受信された逆電磁力(bemf)信号に基づいて、音響エコー消去信号を発生させるように構成される、AIR計算モジュール、を含んでもよい。本システムは、オーディオスピーカとともにモバイル電子デバイスの中に統合されてもよい。
【0012】
いくつかの実施形態では、音響エコー消去システムのインピーダンス計算モジュールは、電圧信号を入力として受信し、電流信号を基準入力として受信するように構成される、適応フィルタモジュールであって、適応フィルタモジュールは、複数の係数を発生させるように構成される、適応フィルタモジュール、および/または、適応フィルタモジュールに結合される、総和モジュールであって、総和モジュールは、複数の係数を総和し、オーディオスピーカのレジスタンスを計算するように構成される、総和モジュールを含んでもよく、AIR計算モジュールは、計算されたレジスタンスに基づいて、音響エコー消去信号を発生させるように構成される。
【0013】
前述は、以下の発明を実施するための形態がより深く理解され得るために、本発明の実施形態のある特徴および技術的利点をかなり広義に概略している。本発明の請求項の主題を形成する、付加的特徴および利点は、本明細書に後述されるであろう。開示される概念および具体的実施形態は、同一または類似目的を果たすための他の構造を修正もしくは設計するための基礎として容易に利用され得ることが、当業者によって理解されるはずである。また、そのような均等物構造は、添付の請求項に記載される本発明の精神および範囲から逸脱しないことが、当業者によって認識されるはずである。付加的特徴は、付随の図と併せて検討されるとき、以下の説明からより深く理解されるであろう。しかしながら、図はそれぞれ、例証および説明の目的のためだけに提供されており、本発明を限定することを意図するものではないことは、明示的に理解されたい。
例えば、本願は以下の項目を提供する。
(項目1)
装置であって、
オーディオスピーカの中への測定された電流を示す電流信号を受信するための電流入力ノードと、
前記オーディオスピーカを横断して測定された電圧値を示す電圧信号を受信するための電圧入力ノードと、
前記電流入力ノードおよび前記電圧入力ノードに結合されている、処理回路であって、前記処理回路は、
適応フィルタを使用することによって、少なくとも部分的に、前記電流入力ノードにおいて受信された前記電流信号および前記電圧入力ノードにおいて受信された前記電圧信号に基づいて、前記オーディオスピーカのインピーダンスを計算するステップと、
少なくとも部分的に、前記計算されたオーディオスピーカのインピーダンスに基づいて、音響エコー消去信号を発生させるステップと
を行うように構成されている、処理回路と
を備える、装置。
(項目2)
前記処理回路は、前記音響エコー消去信号を発生させ、前記オーディオスピーカの非線形応答を消去するように構成されている、項目1に記載の装置。
(項目3)
前記処理回路は、前記オーディオスピーカの逆電磁力(bemf)を計算するステップを行うことによって、前記音響エコー消去信号を発生させるように構成されている、項目1に記載の装置。
(項目4)
前記処理回路は、また、少なくとも部分的に、前記計算された逆電磁力(bemf)に基づいて、前記オーディオスピーカと関連付けられた予測されるコイル速度を計算するステップを行うことによって、前記音響エコー消去信号を発生させるように構成され、前記発生された音響エコー消去信号は、前記オーディオスピーカが非線形であるとき、前記オーディオスピーカの非線形応答を消去する、項目3に記載の装置。
(項目5)
前記処理回路は、コイル位置を積分せずに、前記予測されるコイル速度を計算するステップを行うように構成されている、項目4に記載の装置。
(項目6)
前記処理回路はさらに、少なくとも部分的に、前記電流入力ノードにおいて受信された前記電流信号および前記電圧入力ノードにおいて受信された前記電圧信号に基づいて、前記オーディオスピーカのインダクタンスを計算するステップを行うように構成されている、項目1に記載の装置。
(項目7)
前記処理回路は、前記電圧信号を入力として前記適応フィルタに印加し、前記電流信号を基準入力として前記適応フィルタに印加することによって、前記適応フィルタを使用して、前記オーディオスピーカのインピーダンスを計算するステップを行うように構成されている、項目1に記載の装置。
(項目8)
前記処理回路は、また、前記適応フィルタによって発生された複数の係数を総和し、前記オーディオスピーカのレジスタンスを計算することによって、前記オーディオスピーカのインピーダンスを計算するステップを行うように構成され、前記処理回路は、前記計算されたレジスタンスに基づいて、前記音響エコー消去を発生させるように構成されている、項目7に記載の装置。
(項目9)
方法であって、
オーディオスピーカの中への電流入力信号を示す電流信号を受信することと、
前記オーディオスピーカを横断して測定された電圧値を示す電圧信号を受信することと、
適応フィルタを使用することによって、少なくとも部分的に、前記電流信号および前記電圧信号に基づいて、前記オーディオスピーカのインピーダンスを計算することと、
少なくとも部分的に、前記計算されたオーディオスピーカのインピーダンスに基づいて、音響エコー消去信号を発生させることと
を含む、方法。
(項目10)
前記音響エコー消去信号を発生させるステップは、前記オーディオスピーカの非線形応答を消去する、項目9に記載の方法。
(項目11)
前記音響エコー消去信号を発生させるステップは、前記オーディオスピーカの逆電磁力(bemf)を計算するステップを行うことを含む、項目9に記載の方法。
(項目12)
前記音響エコー消去信号を発生させるステップは、少なくとも部分的に、前記計算された逆電磁力(bemf)に基づいて、前記オーディオスピーカと関連付けられた予測されるコイル速度を計算することを含み、前記発生された音響エコー消去信号は、前記オーディオスピーカが非線形であるとき、前記オーディオスピーカの非線形応答を消去する、項目11に記載の方法。
(項目13)
前記予測されるコイル速度を計算するステップは、コイル位置を積分せずに行われる、項目12に記載の方法。
(項目14)
少なくとも部分的に、前記電流入力ノードにおいて受信された前記電流信号および前記電圧入力ノードにおいて受信された前記電圧信号に基づいて、前記オーディオスピーカのインダクタンスを計算するステップをさらに含む、項目9に記載の方法。
(項目15)
前記適応フィルタを使用して前記オーディオスピーカのインピーダンスを計算するステップは、前記電圧信号を入力として前記適応フィルタに印加し、前記電流信号を基準入力として前記適応フィルタに印加することを含む、項目9に記載の方法。
(項目16)
前記オーディオスピーカのインピーダンスを計算するステップは、前記適応フィルタによって発生された複数の係数を総和することによって、前記適応フィルタを使用して、前記オーディオスピーカのレジスタンスを計算するステップを含み、前記音響エコー消去信号を発生させるステップは、前記計算されたレジスタンスに基づく、項目15に記載の方法。
(項目17)
前記電流信号を受信するステップ、前記電圧信号を受信するステップ、前記オーディオスピーカのインピーダンスを計算するステップ、および前記音響エコー消去信号を発生させるステップは、モバイル電子機器デバイス上でのオーディオの再生の間、繰り返される、項目9に記載の方法。
(項目18)
音響エコー消去のためのシステムであって、
オーディオスピーカの中への電流入力信号を示す電流信号を受信するための電流入力ノードと、
前記オーディオスピーカを横断して測定された電圧値を示す電圧信号を受信するための電圧入力ノードと、
前記電流入力ノードおよび前記電圧入力ノードに結合されている、インピーダンス計算モジュールであって、前記インピーダンス計算モジュールは、適応フィルタを使用することによって、少なくとも部分的に、前記電流入力ノードにおいて受信された前記電流信号および前記電圧入力ノードにおいて受信された前記電圧信号に基づいて、前記オーディオスピーカのインピーダンスを計算するように構成されている、インピーダンス計算モジュールと、
前記電流入力ノードに結合され、前記電圧入力ノードに結合され、かつ前記インピーダンス計算モジュールに結合されている、逆電磁力(bemf)計算モジュールであって、前記逆電磁力(bemf)計算モジュールは、少なくとも部分的に、前記インピーダンス計算モジュールから受信された前記オーディオスピーカの前記計算されたインピーダンスに基づいて、逆電磁力(bemf)信号を発生させるように構成されている、逆電磁力(bemf)計算モジュールと、
前記逆電磁力(bemf)計算モジュールに結合された速度音響インパルス応答(AIR)計算モジュールであって、前記AIR計算モジュールは、少なくとも部分的に、前記逆電磁力(bemf)計算モジュールから受信された前記逆電磁力(bemf)信号に基づいて、音響エコー消去信号を発生させるように構成されている、AIR計算モジュールと
を備える、システム。
(項目19)
前記インピーダンス計算モジュールは、
前記電圧信号を入力として受信し、前記電流信号を基準入力として受信するように構成されている、適応フィルタモジュールであって、前記適応フィルタモジュールは、複数の係数を発生させるように構成されている、適応フィルタモジュールと、
前記適応フィルタモジュールに結合された総和モジュールであって、前記総和モジュールは、前記複数の係数を総和し、前記オーディオスピーカのレジスタンスを計算するように構成されている、総和モジュールと
を備え、
前記AIR計算モジュールは、前記計算されたレジスタンスに基づいて、音響エコー消去信号を発生させるように構成されている、項目18に記載のシステム。
(項目20)
前記システムは、前記オーディオスピーカとともにモバイル電子デバイスの中に統合されている、項目18に記載のシステム。
【0014】
開示されるシステムおよび方法のより完全な理解のために、ここで、添付の図面と併せて検討される、以下の説明を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、本開示の一実施形態による、インピーダンス消去を伴う、適応エコー消去(AEC)処理回路を図示する、例示的ブロック図である。
【
図2】
図2は、本開示の一実施形態による、スピーカインピーダンスに基づいて音響エコー消去信号を発生させる方法を図示する、例示的フローチャートである。
【
図3】
図3は、本開示の一実施形態による、コイル速度予測を使用したエコー消去のためのシステムを図示する、例示的ブロック図である。
【
図4】
図4は、本開示の一実施形態による、変換器のための適応フィルタベースインピーダンス計算器を図示する、例示的ブロック図である。
【
図5】
図5は、本開示の一実施形態による、コーン速度予測器を図示する、例示的ブロック図である。
【
図6】
図6は、本開示の一実施形態による、エコー消去を伴うスピーカフォンを示す、例証である。
【
図7】
図7は、本開示の一実施形態による、エコー消去を伴うハンズフリーキットを示す、例証である。
【
図8】
図8は、本開示の一実施形態による、エコー消去を伴う携帯電話を示す、例証である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(詳細な説明)
音響エコー消去は、携帯電話内のスピーカ等のオーディオ出力を産生する変換器のインピーダンスに基づいて行われてもよい。携帯電話のスピーカは、増幅器によって産生される電流i(n)によって駆動される。本電流i(n)は、電圧v(n)差をスピーカに生成する。スピーカを通る電流i(n)は、スピーカを横断する電圧v(n)とともに監視されてもよい。電流i(n)信号および電圧v(n)信号をほぼ同時tに相関させることによって、スピーカのインピーダンスが判定され、音響エコー消去信号が産生され得る。音響エコー消去信号を産生するためのシステムのブロック図が、
図1に示される。
【0017】
図1は、本開示の一実施形態による、インピーダンス計算を伴う適応エコー消去(AEC)処理回路を図示する、例示的ブロック図である。AEC処理回路110は、したがって、電流入力ノード102から、電流信号i(n)を受信し、電圧入力ノード104から、電圧信号v(n)を受信してもよい。AEC処理回路110のインピーダンス計算器112は、入力ノード102および104において受信された信号を処理し、インピーダンス値を産生してもよい。そのインピーダンス値は、スピーカ予測モジュール113、次いで、音響エコー消去モジュール114に提供されてもよく、これは、出力106を介してさらにAEC処理回路に提供され得る、出力信号を発生させ、これは、その信号を使用して、スピーカによって産生された非線形エコーを消去する。一実施形態では、音響エコー消去モジュール114は、計算されたインピーダンスを使用して、推定されるエコーq
est(n)を産生してもよい。その推定されるエコーq
est(n)は、他のAEC処理モジュールに出力され、適応エコー消去アルゴリズムに適合するために使用されてもよい。
【0018】
AEC処理回路によって行われる方法は、
図2にさらに詳細に示される。
図2は、本開示の一実施形態による、スピーカインピーダンスに基づいて音響エコー消去信号を発生させる方法を図示する、例示的フローチャートである。方法200は、ブロック202から開始し、変換器を通る電流を示す電流i(n)信号を受信する。電流i(n)信号は、
図1の入力ノード102を通して受信されてもよい。方法200は、ブロック204に継続し、変換器を横断する電圧を示す電圧v(n)信号を受信する。電圧v(n)信号は、
図1の入力ノード104を通して受信されてもよい。ブロック206では、変換器のインピーダンスは、ブロック202および204において受信された電圧v(n)および電流i(n)信号に基づいて計算される。計算は、
図1のインピーダンス計算器112によって行われてもよい。一実施形態では、インピーダンス計算は、電圧v(n)信号を入力として適応フィルタに印加し、電流i(n)信号を基準入力として適応フィルタに印加する、および/または適応フィルタによって発生された複数の係数を総和し、オーディオスピーカのレジスタンスを計算することによって、適応フィルタを使用して行われる。
【0019】
次いで、ブロック208では、音響エコー消去信号が、ブロック206の計算されたインピーダンスに基づいて発生されてもよい。音響エコー消去信号は、
図1の消去モジュール114によって産生されてもよい。ある実施形態では、音響エコー消去信号は、オーディオスピーカの逆電磁力(bemf)を計算する、および/または少なくとも部分的に、計算された逆電磁力(bemf)に基づいて、オーディオスピーカと関連付けられた予測されるコイル速度を計算することを含む、ステップを行うことによって発生されてもよい。次いで、ブロック210では、音響エコー消去信号は、AECまたは他の回路に出力され、スピーカおよび/または増幅器によって産生される非線形エコーを消去するために使用されてもよい。
【0020】
図1の図示されるAEC処理回路110の一例示的実施形態は、
図3にさらに詳細に示される。
図3は、本開示の一実施形態による、コイル速度予測を使用したエコー消去のためのシステムを図示する、例示的ブロック図である。AEC処理回路110は、インピーダンス計算器320と、速度予測器310とを含んでもよく、両方とも、それぞれ、入力ノード102および104から電流i(n)および電圧v(n)信号を受信する。インピーダンス計算器320は、レジスタンスR値および/またはインダクタンスL値を発生させてもよい。インピーダンス計算器320の一実施形態は、
図4に示される。
【0021】
図4は、本開示の一実施形態による、変換器のための適応フィルタベースインピーダンス計算器を図示する、例示的ブロック図である。
図4のインピーダンス計算器320は、適応フィルタ422と、コンバイナ424とを含んでもよい。電流i(n)信号は、適応フィルタのための基準信号として適応フィルタ422に提供されてもよい。電圧v(n)信号は、電圧v(n)信号と適応フィルタ422の出力を組み合わせるコンバイナ424を通して、適応フィルタ422に提供されてもよい。適応フィルタ422の係数は、N個の係数として総和モジュール426に出力されてもよく、これは、係数を総和し、レジスタンスR値を発生させる。そのレジスタンスR値は、
図3の速度予測器310に提供され、以下にさらに詳細に説明されるように処理されてもよい。レジスタンスR値の計算のみが示されるが、インダクタンスL値も、同様に計算される、もしくは別の公知の方法に従って計算されてもよく、または所定の値が、使用されてもよい。
【0022】
図3に戻って参照すると、速度予測器310は、電流i(n)、電圧v(n)、R、および/またはL信号を処理し、変換器の予測されるコーン速度u(t)を産生してもよい。一実施形態では、速度u(t)は、BEMF計算器312内の変換器に関する逆起電力bemf(t)を計算し、速度計算器310内のbemf(t)信号を処理することによって予測されてもよい。速度u(t)が、速度予測器310によって発生された後、速度は、速度音響インパルス応答(AIR)計算器330に入力され、推定されるエコーq
est(t)を計算してもよい。その推定されるエコーq
est(t)は、コンバイナ340においてマイクロホンによって受信された実際のエコーq(t)と組み合わせられてもよい。実際のエコーq(t)は、スピーカを通したオーディオ信号の再生から生じるエコーであり、電話の会話または効果音もしくは音楽であり得る、その再生オーディオの一部は、マイクロホンによって受信され得る。そのマイクロホン信号が再生されると、エコーが、エコー信号q(t)によって生成される。スピーカのコイル速度u(t)を予測することによって、エコーが、q
est(t)として推定され、エコーq(t)を消去するために使用されることができる。コンバイナ340における推定されるエコーq
est(t)とエコーq(t)の組み合わせは、速度AIR計算器330へのフィードバックとして使用される、エラー信号e(t)を産生する。残留エコーと称され得る、エラー信号e(t)は、エコー消去後に残るものである。AECが、正しく機能しているとき、残留エコーe(t)は、オリジナルエコーq(t)より小さい。本残留エコーに加えて、近端発話が、遠端と呼ばれる他端に伝送され得る。
【0023】
速度予測器310の一例示的実施形態は、
図5にさらに詳細に示される。
図5は、本開示の一実施形態による、コーン速度予測器を図示する、例示的ブロック図である。
図5は、勾配降下に基づくロバストな最適化およびパラメータ推定(ROPE)アルゴリズムを使用して予測されるスピーカ基準(PSR)の上位アーキテクチャを示す。PSRブロックは、ラウドスピーカのコイルインダクタンスLおよび/またはレジスタンスRの推定値と、測定された電流i(n)および電圧v(n)からの力係数パラメータBl(x)とを使用し、それらを使用して、ラウドスピーカの音響出力を予測する。ラウドスピーカのコイルインダクタンスLおよびレジスタンスR値は、
図4に図示されるインピーダンス計算器等の別個のブロックから得られてもよく、またはコーン速度予測器内で発生されてもよい。予測されるラウドスピーカ出力は、次いで、線形音響エコー消去(AEC)のための基準として使用されてもよい。低周波数に関して、ラウドスピーカの音響出力は、コイル加速に比例し得る。本予測器310は、コーン速度u(n)を出力してもよく、加速が、そのコーン速度u(n)の時間微分に基づいて計算されてもよい。電流および電圧の両方を使用することによって、いくつかのラウドスピーカパラメータのみが、その出力を予測するために必要とされる。PSRブロックは、ラウドスピーカのコイル電流、電圧、インダクタンス、および/またはレジスタンスを組み合わせ、コイル速度に起因して誘発される逆EMF(bemf)を算出する。コイル速度u(n)が、次いで、逆EMFを力係数Bl(n)で除算することによって算出される。
【0024】
ラウドスピーカの実際の出力は、デバイスの音声マイクロホンによって測定されてもよい。PSRブロックは、勾配降下アルゴリズムと、測定および予測されるラウドスピーカ出力とを使用して、コイルインダクタンス、コイルレジスタンス、および力係数の係数値を推定してもよい。一実施形態では、ラウドスピーカパラメータは、フレーム毎に1回更新されてもよいが、他の更新率が、構成されてもよい。コーン速度予測器310によって使用され得るパラメータは、表1に示される。表1におけるパラメータのうち、L
e(x)は、インダクタンスであり、R
eは、音声コイルのレジスタンスであり、力係数Bl(x)は、電気機械的量である。これらの量のうちの1つ以上は、コーン速度予測器310内で実行するROPEアルゴリズムへの入力として使用されてもよい。以下に説明される算出は、直接、コーン速度を計算するため、コイル位置の別個の計算または測定は、必要なく、さらに、そのコイル位置の積分も、必要ない。
【表1】
【0025】
コーン速度予測器310のROPEアルゴリズムの一実施形態は、以下の方程式から時間nにおいて力係数Blおよび電気インダクタンスL
eを算出することから開始し得る。
【数1】
【0026】
4次テイラー級数が、力係数Blおよび電気インダクタンスL
eを計算するために示されるが、他の表現が、ROPEアルゴリズムにおけるさらなる処理に影響を及ぼすことなく、計算に使用されてもよい。時間nでは、コーンx(n)の現在の位置は、まだ既知ではないため、最後の位置x(n−1)における力係数BlおよびインダクタンスL
eの値が、代わりに使用されてもよい。次に、逆EMF(bemf)が、以下のように、測定されたコイル電流i(n)および電圧v(n)ならびにコイルインダクタンスL
eおよびレジスタンスR
eから計算されてもよい。
【数2】
式中、F
sは、サンプリング周波数である。次いで、コイル速度v(n)が、以下の方程式からの逆EMF(bemf)および力係数Bl(x)から算出される。
【数3】
【0027】
次に、コーン変位x(n)が、以下の方程式を使用して、ブロック510においてコーン速度u(n)を積分することによって算出されてもよい。
【数4】
x(n)値は、ブロック520において保存されてもよい。次に、速度u(n)を基準として使用して、エコーインパルス応答が、以下の方程式に従って、正規化最小2乗平均(NLMS)アルゴリズムを使用して更新されてもよい。
【数5】
式中、Mは、サンプル中のインパルス応答の長さであり、δは、正則化係数であり、μ
hは、NLMSアルゴリズムのステップサイズである。次いで、力係数の係数値が、以下の方程式に従って、勾配降下アルゴリズムを使用してブロック530において更新されてもよい。
【数6】
式中、μ
b(j)は、j番目の力係数の係数値を更新するためのステップサイズであり、e(n)は、AECブロックによって発生される音響エコー消去(AEC)出力である。いくつかの実施形態では、線形インパルス応答h(n)の一部のみが、計算において使用されてもよい。次に、インダクタンス係数が、以下の方程式に従って、勾配降下アルゴリズムを使用してブロック540において更新されてもよい。
【数7】
式中、F
sは、Hz単位におけるサンプリング周波数である。最後に、コイルレジスタンスが、以下の方程式に従って、勾配降下アルゴリズムを使用してブロック550において更新されてもよい。
【数8】
代替として、レジスタンスは、正規化最小2乗平均(NLMS)アルゴリズムを使用して計算されてもよく、レジスタンスは、インピーダンスのDC値であり、インピーダンスは、コイル電流を基準として、コイル電圧を所望の信号として用いて、NLMSフィルタを使用して推定される。
【数9】
式中、R
tapsは、レジスタンスの計算のために使用される適応フィルタ係数の数である(16kHzサンプリング周波数に関して32タップ等)。アルゴリズムを単純化し、処理電力を節約するために(例えば、MIPS)、符号付きLMSアルゴリズムが、使用され、その符号のみが、勾配の値の代わりに使用されてもよい。
【0028】
ブロック530、540、および550における更新は、4ms間隔または8kHzで32サンプル間隔等において、全てのフレーム毎に1回、行われてもよい。上記に説明されるROPEアルゴリズムは、これらの間隔において更新されるとき、DSPまたは本アルゴリズムを実行する他のプロセッサに低処理負担をもたらす。しかしながら、更新は、非線形最適化が行われる頻度に関するユーザ規定パラメータ等、他の間隔で生じてもよい。
図1のモジュール114等のAECブロックにおけるAEC更新は、サンプル毎に行われてもよい。
【0029】
図3、
図4、および/または
図5に図示される実施形態のいずれかに説明されるように構成される、
図1のAEC処理回路110は、電子デバイスの中に組み込まれてもよい。例えば、AEC処理回路110は、スピーカフォン、ハンズフリーオーディオデバイス、携帯電話、タブレットコンピュータ、パーソナルコンピュータ、エンターテインメントデバイス、遠隔制御装置、セットトップボックス、または音声レコーダ内に含まれてもよい。本AEC機能性を含む、いくつかの例示的デバイスは、
図6、
図7、および
図8においてさらに図示される。
【0030】
図6は、本開示の一実施形態による、エコー消去を伴うスピーカフォンを示す、例証である。通信デバイス610は、本開示の実施形態を実装し得る、エコー消去システムを含んでもよい。通信デバイス610は、ビジネスオフィス、自宅、車、および他の場所に見出されるもの等の会議用電話またはスピーカフォンであってもよい。通信デバイス610は、自由曲面ケース内に、複数のマイクロホン611、612、および613と、スピーカ615とを含んでもよい。デジタル信号プロセッサ(DSP)またはオーディオコーデック等のプロセッサ620が、自由曲面ケース内に含有され、インピーダンス計算、コーン速度予測、bemf計算、および/またはエコー消去に関する前述のアルゴリズムを行うためのハードウェア、ファームウェア、ならびに/もしくはソフトウェアを含んでもよい。プロセッサ620は、マイクロホン611、612、および/または613と、スピーカ615とに結合されてもよい。エコー消去を行うことによって、プロセッサ620は、遠端に伝送されるオーディオの品質を改良することができる。
【0031】
図7は、本開示の一実施形態による、エコー消去を伴うハンズフリーキットを示す、例証である。ハンズフリーキット700は、本開示の実施形態を実装し得る、エコー消去システムを含んでもよい。ハンズフリーキット700は、オーディオ結合を携帯電話等のセルラー電話に提供してもよい。ハンズフリーキットは、種々の実装をとり得るが、概して、ケース716と、給電式スピーカ717と、付属電源コンセントまたは車両内のシガレットライタソケットに結合し得る、プラグ718とを含む。ケース716は、1つを上回るマイクロホンを含んでもよく、またはマイクロホン(図示せず)のうちの1つは、ケース716と別個であってもよく、その中にプラグが差し込まれてもよい。外部マイクロホンは、車両内のサンバイザにクリップ留めされる等、可能な限りユーザに近接して設置するためのものであり得る。ハンズフリーキット700はまた、セルラー電話への接続のためのケーブを含む、またはセルラー電話に接続するためのBLUETOOTH(登録商標)インターフェース等の無線接続を有してもよい。ハンドセットの形態におけるハンズフリーキットは、内部バッテリによって給電されてもよいが、
図7に図示される装置に電気的に類似してもよい。ハンズフリーキット700はまた、本開示の実施形態に開示されるアルゴリズムを実行し、スピーカ717のための出力オーディオ信号を産生するためのプロセッサ620を含んでもよい。
【0032】
図8は、本開示の一実施形態による、エコー消去を伴う携帯電話を示す、例証である。携帯電話822は、種々の実装で販売され得るが、概して、ユーザの声等の音を捕捉するためのマイクロホン821と、音を発生させるための給電式スピーカ823とを含む。携帯電話822はまた、本開示の実施形態に開示されるアルゴリズムを実行し、スピーカ823のための出力オーディオ信号を産生するためのプロセッサ620を含んでもよい。前述のそれらのデバイスに加え、本明細書のシステムおよび方法はまた、コンピュータ、スマートフォン、タブレット、および/または通信デバイスとして使用され得る任意の他のデバイスと併用され、それらに適用されてもよい。
【0033】
図2および
図5の概略フローチャートは、概して、論理フローチャート図として記載される。したがって、描写される順序および標識化されるステップは、開示される方法の側面を示す。図示される方法の1つ以上のステップまたはその一部と機能、論理、もしくは効果において同等である、他のステップおよび方法も、想起され得る。加えて、採用されるフォーマットおよび記号は、方法の論理ステップを説明するために提供され、方法の範囲を限定するように理解されない。種々の矢印タイプおよび線タイプが、フローチャート図において採用され得るが、それらは、対応する方法の範囲を限定するように理解されない。実際には、いくつかの矢印または他のコネクタは、方法の論理フローのみを示すために使用され得る。例えば、矢印は、描写される方法の列挙されたステップ間の規定されていない持続時間の待機または監視周期を示し得る。加えて、特定の方法が生じる順序は、示される対応するステップの順序に厳密に従い得る、または従わない場合がある。
【0034】
ファームウェアおよび/またはソフトウェア内に実装される場合、前述の機能は、コンピュータ可読媒体上の1つ以上の命令またはコードとして記憶されてもよい。実施例として、データ構造でエンコードされた非一過性コンピュータ可読媒体およびコンピュータプログラムでエンコードされたコンピュータ可読媒体が挙げられる。コンピュータ可読媒体は、物理的コンピュータ記憶媒体を含む。記憶媒体は、コンピュータによってアクセスされ得る、任意の利用可能な媒体であってもよい。限定ではないが、一例として、そのようなコンピュータ可読媒体として、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読取専用メモリ(ROM)、電気的に消去可能なプログラマブル読取専用メモリ(EEPROM)、コンパクトディスク読取専用メモリ(CD−ROM)もしくは他の光ディスク記憶、磁気ディスク記憶もしくは他の磁気記憶デバイス、または所望のプログラムコードを命令もしくはデータ構造の形態で記憶するために使用され得、コンピュータによってアクセスされ得る、任意の他の媒体が挙げられ得る。ディスク(diskおよびdisc)は、コンパクトディスク(CD)、レーザディスク、光学ディスク、デジタル多用途ディスク(DVD)、フロッピー(登録商標)ディスク、およびBlu−ray(登録商標)ディスクを含む。概して、ディスク(disk)は、データを磁気的に再生し、ディスク(disc)は、データを光学的に再生する。前述の組み合わせもまた、コンピュータ可読媒体の範囲内に含まれるべきである。
【0035】
コンピュータ可読媒体上の記憶に加え、命令および/またはデータは、通信装置内に含まれる伝送媒体上の信号として提供されてもよい。例えば、通信装置は、命令およびデータを示す信号を有する、送受信機を含んでもよい。命令およびデータは、1つ以上のプロセッサに、請求項に概略された機能を実装させるように構成される。
【0036】
本開示およびある代表的利点が詳細に説明されたが、種々の変更、代用、ならびに改変が、添付の請求項によって定義される本開示の精神および範囲から逸脱することなく、本明細書に成され得ることを理解されたい。さらに、本願の範囲は、明細書に説明されるプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法、およびステップの特定の実施形態に限定されるものと意図されない。当業者が本開示から容易に理解するであろうように、本明細書に説明される対応する実施形態と実質的に同一機能を行う、または実質的に同一結果を達成する、現在既存である、もしくは後に開発される、プロセス、機械、製造、組成物、手段、方法、およびステップが、利用されてもよい。故に、添付の請求項は、その範囲内に、そのようなプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法、およびステップを含むことが意図される。