【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、この目的は、請求項1に記載された特徴を有する歯車で達成される。
【0006】
セグメントで構成されている斜歯付き歯車に関する本発明の重要な特徴は、
各セグメントが斜歯付きの歯区分を有し、
各セグメントの歯区分が第1及び第2のウェブならびに連結区分を介して連結領域に連結され、
連結区分ならびに第1のウェブ及び第2のウェブがそれぞれ互いに引き離され、又は少なくとも一部が互いに引き離され、
特にセグメントは、複数の軸方向に途切れていない凹部、特に3つ又は4つ以上の凹部を有し、
第1のウェブによって覆われた軸方向領域が第2のウェブによって覆われた軸方向領域から引き離されており、特にセグメントは、円周方向に途切れていない少なくとも1つの凹部を有していることにある。
【0007】
これにより、斜歯により、歯車がセグメントで構成されているにもかかわらず、噛み合い状態にある歯付き部分を用いてトルクを低騒音状態で伝えることが可能であるという利点が提供される。
【0008】
本発明の関連技術分野によるセグメント化歯車では、歯車は、円周方向にセグメントで構成され、各セグメントは、円周方向区分、すなわち歯車の円周方向角度領域を表している。換言すると、セグメントは、切断面を用いて歯車から切り取られ、切断面は、螺旋軸線の方向から軸方向及び半径方向に延びる。その結果、関連技術の歯は、まっすぐな歯として具体化されなければならず、というのは、歯は、もしそうでなければ、切削され、かくして、破損した歯が生じる恐れがある。
【0009】
これとは対照的に、本発明は、歯区分に斜歯を提供する。歯区分は、歯隙間に沿って切り取られ又は制限される。これにより、歯車の低騒音動作が可能であるが、歯区分は、歯のねじれ角と一致したねじれ角で延びる境界面を有する。本発明によれば、隣り合うセグメントのかかる境界面は、互いに間隔を置いて配置され、すなわち、力伝達なしで構成され、連結又は関連の動力の流れは、連結区分に設けられた接触フェースの領域でのみ行われる。
【0010】
接触フェースは、それぞれフランジ表面で構成され、フランジ表面は、もっぱら半径方向且つ軸方向に延び、かくして円周方向には延びない。
【0011】
したがって、それぞれセグメントのフランジ表面は、最も近位側のセグメントの対応のフランジ表面に当たって位置する。換言すると、バックラッシュなしの接触が円周方向に実現され、軸方向には表面の相互接触がなく、というのは、フランジ表面相互間に位置する段部がそれぞれ空隙によって互いに引き離されているからである。積極的な接触は、半径方向にも実現されない。したがって、騒音、その振動モードの伝達は、本質的な損失なしに、一セグメントから円周方向に最も近位側のセグメントに起こることができるが、他の振動モードが極めて減衰され、というのは、半径方向及び軸方向にセグメント相互間の積極的な接触が生じないからである。これにより、特に一体品の状態で構成された歯車と比較して騒音発生を最小限に保つことができる。
【0012】
有利な一実施形態では、第1及び第2のウェブ、歯区分、連結区分及び連結領域は、一部品の状態で且つ/或いは一体品として構成されている。これは、セグメントが高い耐荷力を有し且つクランプセットアップで機械加工可能であり、したがって歯に関しても開けた穴の相対的間隔を極めて正確な仕方で生じさせることができるので有利である。
【0013】
有利な一構成例では、第1及び第2のウェブは、湾曲した形態で、特に凸状に湾曲した形態で構成され、第1のウェブは、特に、前に向かって軸方向に湾曲し、第2のウェブは、後に向かって軸方向に湾曲している。これは、セグメントの耐荷力を増大させる一方で、必要な構成材料を少なくし、かくして機械加工を少なくするという利点を有する。
【0014】
有利な別の一構成例では、第1の連結区分が円周方向前側に位置したセグメントの端領域内に位置し、
特に、第2の連結区分が円周方向後側に位置したセグメントの端領域内に位置し、
第1の連結区分は、接触フェースを有し、セグメントは、接触フェースを介して最も近位側のセグメントに、特に最も近位側のセグメントの第2の連結区分の対応の接触フェースに当たり、
接触フェースは、段付き設計のものであり、接触フェースは、平坦であり、すなわち、特に平面形態の少なくとも3つのフランジ表面を有し、
各フランジ表面は、それぞれの円周方向角度位置に配置されると共にそれぞれの軸方向領域を覆い、
これらそれぞれの軸方向領域は、互いに距離を置いて位置し、或いはせいぜい互いに隣接して位置するよう配置され、それぞれの軸方向領域は、特に、互いにオーバーラップしておらず、
フランジ表面の円周方向角度位置は、互いに引き離されており、特にフランジ表面の軸方向位置の漸増につれて円周方向に厳密に言って単調に増大する。これは、セグメントの相互位置合わせを単純化すると共に軸方向における確実な噛み合いをもたらすという利点を提供する。
【0015】
有利な別の一改造例では、歯は、外歯であり、これは、製作が容易であるという利点を有する。
【0016】
有利な一構成例では、歯区分は、端領域が円周方向に設けられた第1の境界面を有し、第1の境界面は、隣接のセグメントに向いた状態で歯の歯隙間に平行に延び、
第1の境界面は、特に、半径方向に且つ螺旋軸線が歯車軸線であり且つねじり角が歯のねじり角に一致した螺旋に沿って延びている。これが有利である理由は、それにより途切れた歯がない状態で延び、かくして高い耐荷力を有する斜歯を歯区分に提供することが可能である。
【0017】
有利な別の一構成例では、歯区分は、連結区分を越えて円周方向に突き出ており、特に歯区分の円周方向突出区分が、第1の境界面の一区分を含み、
歯区分は特に、特に第1の境界面の別の区分を含む別の区分を介して、連結区分よりも円周方向に短い延長部を有する。これにより、連結区分がその端領域が円周方向に位置した歯区分とは異なる切れ目又は境界部を有するという利点が提供される。これがそうである理由は、連結区分が円周方向位置のところで制限され、この場合その半径方向及び軸方向のみの延長部として端フェースが設けられ、これとは対照的に、歯区分は、斜歯によって制限され、すなわち歯区分は、螺旋に従って且つ螺旋軸線の方向から半径方向に延びる。
【0018】
有利な別の一改造例では、連結区分は、第2の境界面を有し、第2の境界面は、円周方向に且つ軸方向に延びると共に関連の連結区分を越えて円周方向に突き出た隣接のセグメントの歯区分の一区分の半径方向内側から半径方向に横切って位置している。これは、連結部を製作するのが特に容易であり、かかる連結部を正確な仕方で具体化できるので有利である。
【0019】
有利な別の改造例では、第1の間隙が2つの隣り合うセグメントの第1の境界面相互間に設けられている。これは、2つの隣り合うセグメントの歯区分相互間で直接的な力の伝達が行われないという利点を有する。
【0020】
有利な別の一改造例では、第2の間隙が第2の境界面と隣接のセグメントの歯区分の突出区分の半径方向内側との間に設けられている。これは、連結区分と隣接のセグメントの歯区分との間で直接的な力の伝達が行われないという利点を提供する。
【0021】
有利な別の一改造例では、連結区分は、隣接のセグメントの対応の接触フェースが連結ねじの助けにより圧接される連結領域を有する。これは、連結区分相互間で力の伝達が行われ、耐荷連結部が円周方向に具体化できるという利点を有する。それぞれのフランジ表面は、互いに接触し且つ力伝達のための連結ねじによって互いに圧接可能である。
【0022】
有利な別の一改造例では、それぞれのフランジ表面は、半径方向に且つ軸方向に延びるが、特に円周方向には延びず、かくして、それぞれ、特に単一の円周方向位置に配置される。これは有利であるが、その理由は、これによりそれぞれのフランジ表面を手が込んでおらずしかも経済的な仕方で製作することができるからである。
【0023】
有利な別の一改造例では、第2のフランジ表面が第1のフランジ表面と第3のフランジ表面との間で軸方向に位置し、
第1及び第3のフランジ表面は各々、セグメントの相互位置合わせ用のねじのために開けられた穴を有する。これは、ねじの正確な位置合わせ及び次の締めが可能であるという利点を提供する。その結果、力の伝達が歯区分相互間ではなく、連結区分相互間で起こることができる。
【0024】
有利な別の一改造例では、ウェブは、歯区分よりも小さい半径方向距離範囲のところに配置されている。これは、ウェブが半径方向に配置された歯区分を支持し、隣り合うセグメントの連結区分を互いに連結する連結ねじが歯車の歯によっては破損せず又はこれを他の何らかの仕方で妨げることがないという利点を有し、というのは、これらもまた、歯区分よりも短い半径方向距離のところに配置され且つ第1のウェブと第2のウェブとの間で軸方向に受け入れ可能だからである。
【0025】
有利な別の一改造例では、セグメントは、ドラム又はシャフトに連結可能な連結領域を有し、歯車は、ドラム又はシャフトよりも長い半径方向距離のところに配置されている。これは、ドラムがその外周に大径の歯車を備えることができ、したがって大きなトルクを伝達することができるという利点を有する。
【0026】
有利な別の一改造例では、それぞれの段部が軸方向において相互に最も近位側のフランジ表面相互間に設けられ、
軸方向間隙、すなわち、特に空隙がセグメントのそれぞれの段部とそれぞれの最も近位側のセグメントのそれぞれの段部との間に存在する。これは有利であるが、というのは、これにより手の込まない製作が可能だからである。
【0027】
有利な別の一改造例では、第1の間隙と歯車の外径との比は、0.0005未満、特に0.00025未満、又はそれどころか0.000125未満であると共に/或いは
第2の間隙と歯車の外径の比は、0.0005未満、特に0.00025未満又はそれどころか0.000125未満である。これは、製造公差の枠組みの範囲内の力の伝達及び熱により生じる膨張を高信頼度で回避すると共に間隙があるにもかかわらず低騒音動作を可能にするという利点を有する。この理由は、間隙が歯の噛み合い領域の外側に配置されているからであり、その理由は、間隙によって得られる歯隙間のスロットがかくして、特に歯隙間の底部に沿って延びるからである。
【0028】
セグメントの重要な特徴は、セグメントがADI又はGGG鋳鋼で作られるということにある。これは、歯が大きな荷重に耐えることができるので有利であり、というのは、ADIは、鋳鉄を主成分とした材料であり、しかも球状黒鉛を含むからである。高い伸び率を有する高い強度及び優れた一定の減衰度を有する高い耐摩耗性が特定の熱処理によって達成される。
【0029】
歯区分の突出領域、すなわち円周方向に連結区分を越えて突き出た領域は、かくして、高い耐荷力を有し、というのは、ADIが高い強度を備えているからである。その結果、この領域における歯は、突出領域にもかかわらず大きな荷重に耐えることができる。
【0030】
追加の利点は、従属形式の請求項に記載された内容の結果として得られる。
【0031】
次に、図面の助けにより本発明を詳細に説明する。