特許第6574060号(P6574060)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6574060
(24)【登録日】2019年8月23日
(45)【発行日】2019年9月11日
(54)【発明の名称】斜歯付き歯車及び歯車のセグメント
(51)【国際特許分類】
   F16H 55/12 20060101AFI20190902BHJP
【FI】
   F16H55/12 Z
【請求項の数】17
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-516046(P2018-516046)
(86)(22)【出願日】2016年8月23日
(65)【公表番号】特表2018-530719(P2018-530719A)
(43)【公表日】2018年10月18日
(86)【国際出願番号】EP2016025091
(87)【国際公開番号】WO2017054931
(87)【国際公開日】20170406
【審査請求日】2018年4月9日
(31)【優先権主張番号】102015012659.8
(32)【優先日】2015年10月1日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】506101997
【氏名又は名称】エスエーヴェー−オイロドライブ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コムパニー コマンディトゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(72)【発明者】
【氏名】ウー ジリ
【審査官】 岡本 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】 中国特許出願公開第103934651(CN,A)
【文献】 特表2014−526024(JP,A)
【文献】 中国実用新案第203209919(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 55/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のセグメント、特に5つ以上のセグメントで構成された斜歯付きの歯車であって、 各セグメントは、斜歯付きの歯区分を有する、斜歯付き歯車において、
各セグメントの前記歯区分は、第1及び第2のウェブならびに連結区分を介して連結領域に連結され、
前記連結区分ならびに前記第1のウェブ及び前記第2のウェブは、それぞれ互いに引き離され、又は少なくとも一部が互いに引き離され、
特に前記セグメントは、複数の軸方向に途切れていない部、特に3つ又は4つ以上の部を有し、
特に前記第1のウェブによって覆われた軸方向領域が前記第2のウェブによって覆われた軸方向領域から引き離されており、特に前記セグメントは、円周方向に途切れていない少なくとも1つの部を有し、
前記第1及び前記第2のウェブは、湾曲した形態で、特に凸状に湾曲した形態で構成され、前記第1のウェブは、特に、前に向かって軸方向に湾曲し、前記第2のウェブは、後に向かって軸方向に湾曲している、歯車。
【請求項2】
複数のセグメント、特に5つ以上のセグメントで構成された斜歯付きの歯車であって、 各セグメントは、斜歯付きの歯区分を有する、斜歯付き歯車において、
各セグメントの前記歯区分は、第1及び第2のウェブならびに連結区分を介して連結領域に連結され、
前記連結区分ならびに前記第1のウェブ及び前記第2のウェブは、それぞれ互いに引き離され、又は少なくとも一部が互いに引き離され、
特に前記セグメントは、複数の軸方向に途切れていない穴部、特に3つ又は4つ以上の穴部を有し、
特に前記第1のウェブによって覆われた軸方向領域が前記第2のウェブによって覆われた軸方向領域から引き離されており、特に前記セグメントは、円周方向に途切れていない少なくとも1つの穴部を有し、
第1の連結区分が円周方向前側に位置した前記セグメントの端領域内に位置し、
特に、第2の連結区分が円周方向後側に位置した前記セグメントの端領域内に位置し、 前記第1の連結区分は、接触フェースを有し、前記セグメントは、前記接触フェースを介して前記最も近位側のセグメントに、特に前記最も近位側のセグメントの前記第2の連結区分の対応の接触フェースに当たり、
前記接触フェースは、段付き設計のものであり、前記接触フェースは、少なくとも3つの平坦な、すなわち、特に平面状のフランジ表面(24,25,26)を有し、
前記フランジ表面(24,25,26)の各々は、それぞれの円周方向角度位置に配置されると共にそれぞれの軸方向領域を覆い、
前記それぞれの軸方向領域は、互いに引き離されており、或いはせいぜい互いに隣接して位置するよう配置され、前記それぞれの軸方向領域は、特に、互いにオーバーラップしておらず、
前記フランジ表面(25,26,24)の円周方向角度位置は、互いに引き離されており、特に前記フランジ表面(24,25,26)の軸方向位置の漸増につれて円周方向に厳密に言って単調に増大する、歯車。
【請求項3】
複数のセグメント、特に5つ以上のセグメントで構成された斜歯付きの歯車であって、 各セグメントは、斜歯付きの歯区分を有する、斜歯付き歯車において、
各セグメントの前記歯区分は、第1及び第2のウェブならびに連結区分を介して連結領域に連結され、
前記連結区分ならびに前記第1のウェブ及び前記第2のウェブは、それぞれ互いに引き離され、又は少なくとも一部が互いに引き離され、
特に前記セグメントは、複数の軸方向に途切れていない穴部、特に3つ又は4つ以上の穴部を有し、
特に前記第1のウェブによって覆われた軸方向領域が前記第2のウェブによって覆われた軸方向領域から引き離されており、特に前記セグメントは、円周方向に途切れていない少なくとも1つの穴部を有し、
段部が軸方向において相互に最も近位側のフランジ表面相互間に設けられ、
軸方向間隙、すなわち、特に空隙が前記セグメントのそれぞれの前記段部とそれぞれの最も近位側のセグメントのそれぞれの段部との間に存在する、歯車。
【請求項4】
各セグメントの第1及び第2のウェブ、歯区分、連結区分、及び連結領域は、一部品の状態で且つ/或いは一体品として構成されている、請求項1乃至3の何れか1項に記載の歯車。
【請求項5】
前記歯は、外歯である、請求項1〜4のうちいずれか一に記載の歯車。
【請求項6】
前記歯区分は、端領域が円周方向に設けられた第1の境界面(40)を有し、前記第1の境界面(40)は、隣接の前記セグメントに向いた状態で前記歯の歯隙間に平行に延び、
前記第1の境界面(40)は、特に、半径方向に且つ螺旋軸線が歯車軸線であり且つねじり角が前記歯のねじり角に一致した螺旋に沿って延びている、請求項1〜5のうちいずれか一に記載の歯車。
【請求項7】
前記歯区分は、前記連結区分を越えて円周方向に突き出ており、特に前記歯区分の円周方向突出区分が、前記第1の境界面(40)の一区分を含、請求項記載の歯車。
【請求項8】
前記連結区分は、第2の境界面(41)を有し、前記第2の境界面(41)は、円周方向に且つ軸方向に延びると共に関連の前記連結区分を越えて円周方向に突き出た前記隣接のセグメントの前記歯区分の前記一区分の半径方向内側から半径方向に横切って位置している、請求項6又は7に記載の歯車。
【請求項9】
第1の間隙が2つの隣り合うセグメントの前記第1の境界面(40)相互間に設けられている、請求項〜8のうちいずれか一に記載の歯車。
【請求項10】
第2の間隙が前記第2の境界面(41)と前記隣接のセグメントの前記歯区分の前記突出区分の前記半径方向内側との間に設けられている、請求項記載の歯車。
【請求項11】
前記連結区分は、それぞれの前記隣接のセグメントの対応の接触フェースが連結ねじの助けにより圧接される接触フェースを有する、請求項〜10のうちいずれか一に記載の歯車。
【請求項12】
前記接触フェースの前記フランジ表面の各々は、半径方向に且つ軸方向に延びるが、特に円周方向には延びず、かくして、特にそれぞれの単一の円周方向位置に配置される、請求項11記載の歯車。
【請求項13】
第2のフランジ表面が第1のフランジ表面と第3のフランジ表面との間で軸方向に位置し、
前記第1及び前記第3のフランジ表面は各々、前記セグメントの相互位置合わせ用のねじのために開けられた穴を有する、請求項2又は3に記載の歯車。
【請求項14】
前記連結区分は、前記歯区分よりも小さい半径方向距離範囲のところに配置されている、請求項1〜13のうちいずれか一に記載の歯車。
【請求項15】
前記連結領域は、ドラム又はシャフトに連結され、前記歯車は、前記ドラム又は前記シャフトよりも長い半径方向距離のところに配置されている、請求項1〜14のうちいずれか一に記載の歯車。
【請求項16】
前記セグメントは、ADI又はGGGスチール鋼鋳物から作られている、請求項1〜15のうちいずれか一に記載の歯車。
【請求項17】
前記第1の間隙と前記歯車の外径との比は、0.0005未満であると共に/或いは
前記第2の間隙と前記歯車の外径の比は、0.0005未満である、請求項10記載の歯車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、斜歯付きの歯車及び歯車用のセグメントに関する。
【背景技術】
【0002】
セグメント化歯車は、特許文献1(国際公開第2013/020639号)から知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2013/020639号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明は、歯が互いに噛み合った状態にあるときのノイズの発生を減少させることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、この目的は、請求項1に記載された特徴を有する歯車で達成される。
【0006】
セグメントで構成されている斜歯付き歯車に関する本発明の重要な特徴は、
各セグメントが斜歯付きの歯区分を有し、
各セグメントの歯区分が第1及び第2のウェブならびに連結区分を介して連結領域に連結され、
連結区分ならびに第1のウェブ及び第2のウェブがそれぞれ互いに引き離され、又は少なくとも一部が互いに引き離され、
特にセグメントは、複数の軸方向に途切れていない凹部、特に3つ又は4つ以上の凹部を有し、
第1のウェブによって覆われた軸方向領域が第2のウェブによって覆われた軸方向領域から引き離されており、特にセグメントは、円周方向に途切れていない少なくとも1つの凹部を有していることにある。
【0007】
これにより、斜歯により、歯車がセグメントで構成されているにもかかわらず、噛み合い状態にある歯付き部分を用いてトルクを低騒音状態で伝えることが可能であるという利点が提供される。
【0008】
本発明の関連技術分野によるセグメント化歯車では、歯車は、円周方向にセグメントで構成され、各セグメントは、円周方向区分、すなわち歯車の円周方向角度領域を表している。換言すると、セグメントは、切断面を用いて歯車から切り取られ、切断面は、螺旋軸線の方向から軸方向及び半径方向に延びる。その結果、関連技術の歯は、まっすぐな歯として具体化されなければならず、というのは、歯は、もしそうでなければ、切削され、かくして、破損した歯が生じる恐れがある。
【0009】
これとは対照的に、本発明は、歯区分に斜歯を提供する。歯区分は、歯隙間に沿って切り取られ又は制限される。これにより、歯車の低騒音動作が可能であるが、歯区分は、歯のねじれ角と一致したねじれ角で延びる境界面を有する。本発明によれば、隣り合うセグメントのかかる境界面は、互いに間隔を置いて配置され、すなわち、力伝達なしで構成され、連結又は関連の動力の流れは、連結区分に設けられた接触フェースの領域でのみ行われる。
【0010】
接触フェースは、それぞれフランジ表面で構成され、フランジ表面は、もっぱら半径方向且つ軸方向に延び、かくして円周方向には延びない。
【0011】
したがって、それぞれセグメントのフランジ表面は、最も近位側のセグメントの対応のフランジ表面に当たって位置する。換言すると、バックラッシュなしの接触が円周方向に実現され、軸方向には表面の相互接触がなく、というのは、フランジ表面相互間に位置する段部がそれぞれ空隙によって互いに引き離されているからである。積極的な接触は、半径方向にも実現されない。したがって、騒音、その振動モードの伝達は、本質的な損失なしに、一セグメントから円周方向に最も近位側のセグメントに起こることができるが、他の振動モードが極めて減衰され、というのは、半径方向及び軸方向にセグメント相互間の積極的な接触が生じないからである。これにより、特に一体品の状態で構成された歯車と比較して騒音発生を最小限に保つことができる。
【0012】
有利な一実施形態では、第1及び第2のウェブ、歯区分、連結区分及び連結領域は、一部品の状態で且つ/或いは一体品として構成されている。これは、セグメントが高い耐荷力を有し且つクランプセットアップで機械加工可能であり、したがって歯に関しても開けた穴の相対的間隔を極めて正確な仕方で生じさせることができるので有利である。
【0013】
有利な一構成例では、第1及び第2のウェブは、湾曲した形態で、特に凸状に湾曲した形態で構成され、第1のウェブは、特に、前に向かって軸方向に湾曲し、第2のウェブは、後に向かって軸方向に湾曲している。これは、セグメントの耐荷力を増大させる一方で、必要な構成材料を少なくし、かくして機械加工を少なくするという利点を有する。
【0014】
有利な別の一構成例では、第1の連結区分が円周方向前側に位置したセグメントの端領域内に位置し、
特に、第2の連結区分が円周方向後側に位置したセグメントの端領域内に位置し、
第1の連結区分は、接触フェースを有し、セグメントは、接触フェースを介して最も近位側のセグメントに、特に最も近位側のセグメントの第2の連結区分の対応の接触フェースに当たり、
接触フェースは、段付き設計のものであり、接触フェースは、平坦であり、すなわち、特に平面形態の少なくとも3つのフランジ表面を有し、
各フランジ表面は、それぞれの円周方向角度位置に配置されると共にそれぞれの軸方向領域を覆い、
これらそれぞれの軸方向領域は、互いに距離を置いて位置し、或いはせいぜい互いに隣接して位置するよう配置され、それぞれの軸方向領域は、特に、互いにオーバーラップしておらず、
フランジ表面の円周方向角度位置は、互いに引き離されており、特にフランジ表面の軸方向位置の漸増につれて円周方向に厳密に言って単調に増大する。これは、セグメントの相互位置合わせを単純化すると共に軸方向における確実な噛み合いをもたらすという利点を提供する。
【0015】
有利な別の一改造例では、歯は、外歯であり、これは、製作が容易であるという利点を有する。
【0016】
有利な一構成例では、歯区分は、端領域が円周方向に設けられた第1の境界面を有し、第1の境界面は、隣接のセグメントに向いた状態で歯の歯隙間に平行に延び、
第1の境界面は、特に、半径方向に且つ螺旋軸線が歯車軸線であり且つねじり角が歯のねじり角に一致した螺旋に沿って延びている。これが有利である理由は、それにより途切れた歯がない状態で延び、かくして高い耐荷力を有する斜歯を歯区分に提供することが可能である。
【0017】
有利な別の一構成例では、歯区分は、連結区分を越えて円周方向に突き出ており、特に歯区分の円周方向突出区分が、第1の境界面の一区分を含み、
歯区分は特に、特に第1の境界面の別の区分を含む別の区分を介して、連結区分よりも円周方向に短い延長部を有する。これにより、連結区分がその端領域が円周方向に位置した歯区分とは異なる切れ目又は境界部を有するという利点が提供される。これがそうである理由は、連結区分が円周方向位置のところで制限され、この場合その半径方向及び軸方向のみの延長部として端フェースが設けられ、これとは対照的に、歯区分は、斜歯によって制限され、すなわち歯区分は、螺旋に従って且つ螺旋軸線の方向から半径方向に延びる。
【0018】
有利な別の一改造例では、連結区分は、第2の境界面を有し、第2の境界面は、円周方向に且つ軸方向に延びると共に関連の連結区分を越えて円周方向に突き出た隣接のセグメントの歯区分の一区分の半径方向内側から半径方向に横切って位置している。これは、連結部を製作するのが特に容易であり、かかる連結部を正確な仕方で具体化できるので有利である。
【0019】
有利な別の改造例では、第1の間隙が2つの隣り合うセグメントの第1の境界面相互間に設けられている。これは、2つの隣り合うセグメントの歯区分相互間で直接的な力の伝達が行われないという利点を有する。
【0020】
有利な別の一改造例では、第2の間隙が第2の境界面と隣接のセグメントの歯区分の突出区分の半径方向内側との間に設けられている。これは、連結区分と隣接のセグメントの歯区分との間で直接的な力の伝達が行われないという利点を提供する。
【0021】
有利な別の一改造例では、連結区分は、隣接のセグメントの対応の接触フェースが連結ねじの助けにより圧接される連結領域を有する。これは、連結区分相互間で力の伝達が行われ、耐荷連結部が円周方向に具体化できるという利点を有する。それぞれのフランジ表面は、互いに接触し且つ力伝達のための連結ねじによって互いに圧接可能である。
【0022】
有利な別の一改造例では、それぞれのフランジ表面は、半径方向に且つ軸方向に延びるが、特に円周方向には延びず、かくして、それぞれ、特に単一の円周方向位置に配置される。これは有利であるが、その理由は、これによりそれぞれのフランジ表面を手が込んでおらずしかも経済的な仕方で製作することができるからである。
【0023】
有利な別の一改造例では、第2のフランジ表面が第1のフランジ表面と第3のフランジ表面との間で軸方向に位置し、
第1及び第3のフランジ表面は各々、セグメントの相互位置合わせ用のねじのために開けられた穴を有する。これは、ねじの正確な位置合わせ及び次の締めが可能であるという利点を提供する。その結果、力の伝達が歯区分相互間ではなく、連結区分相互間で起こることができる。
【0024】
有利な別の一改造例では、ウェブは、歯区分よりも小さい半径方向距離範囲のところに配置されている。これは、ウェブが半径方向に配置された歯区分を支持し、隣り合うセグメントの連結区分を互いに連結する連結ねじが歯車の歯によっては破損せず又はこれを他の何らかの仕方で妨げることがないという利点を有し、というのは、これらもまた、歯区分よりも短い半径方向距離のところに配置され且つ第1のウェブと第2のウェブとの間で軸方向に受け入れ可能だからである。
【0025】
有利な別の一改造例では、セグメントは、ドラム又はシャフトに連結可能な連結領域を有し、歯車は、ドラム又はシャフトよりも長い半径方向距離のところに配置されている。これは、ドラムがその外周に大径の歯車を備えることができ、したがって大きなトルクを伝達することができるという利点を有する。
【0026】
有利な別の一改造例では、それぞれの段部が軸方向において相互に最も近位側のフランジ表面相互間に設けられ、
軸方向間隙、すなわち、特に空隙がセグメントのそれぞれの段部とそれぞれの最も近位側のセグメントのそれぞれの段部との間に存在する。これは有利であるが、というのは、これにより手の込まない製作が可能だからである。
【0027】
有利な別の一改造例では、第1の間隙と歯車の外径との比は、0.0005未満、特に0.00025未満、又はそれどころか0.000125未満であると共に/或いは
第2の間隙と歯車の外径の比は、0.0005未満、特に0.00025未満又はそれどころか0.000125未満である。これは、製造公差の枠組みの範囲内の力の伝達及び熱により生じる膨張を高信頼度で回避すると共に間隙があるにもかかわらず低騒音動作を可能にするという利点を有する。この理由は、間隙が歯の噛み合い領域の外側に配置されているからであり、その理由は、間隙によって得られる歯隙間のスロットがかくして、特に歯隙間の底部に沿って延びるからである。
【0028】
セグメントの重要な特徴は、セグメントがADI又はGGG鋳鋼で作られるということにある。これは、歯が大きな荷重に耐えることができるので有利であり、というのは、ADIは、鋳鉄を主成分とした材料であり、しかも球状黒鉛を含むからである。高い伸び率を有する高い強度及び優れた一定の減衰度を有する高い耐摩耗性が特定の熱処理によって達成される。
【0029】
歯区分の突出領域、すなわち円周方向に連結区分を越えて突き出た領域は、かくして、高い耐荷力を有し、というのは、ADIが高い強度を備えているからである。その結果、この領域における歯は、突出領域にもかかわらず大きな荷重に耐えることができる。
【0030】
追加の利点は、従属形式の請求項に記載された内容の結果として得られる。
【0031】
次に、図面の助けにより本発明を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】円周方向に互いに前後に位置した同一に製作されたセグメントで構成されている斜歯付き歯車を示す図である。
図2】互いに引き離されたセグメントのうちの2つの斜視図である。
図3】2つのセグメントのうちの第1のセグメントを示す図である。
図4】歯車の2つのセグメントの連結領域の接線方法区分の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
かくして、歯車は、同様に製作されたセグメントで構成され、すなわち、同一のセグメント構成されている。
【0034】
各セグメントは、歯区分1を有し、歯区分1は、外歯を備えた筒体エンベロープ区分として構成されている。
【0035】
10個のセグメントが歯車を組み立てるために円周方向に用いられているので、歯区分1は、歯付きラックセグメントに似ており、ラックは、歯車に対応した筒体の筒体エンベロープに従って湾曲した形状を有する。
【0036】
上述の円周方向は、この場合、歯車に関し、かくして歯車の円周方向である。半径方向間隙は、歯車の中心に関し、すなわち、この半径方向間隙を歯車の回転軸線からの距離として定めることができる。軸方向は、回転軸線の方向に平行に差し向けられた方向である。
【0037】
したがって、歯区分1は、中空筒体のエンベロープ区分を作り、そして歯をその外側に設けることによって製造可能である。軸方向で見て、エンベロープ区分は、2つの平面、すなわち、特に歯車の端フェース区分によって画定され、かかる平面の垂線は、歯車の軸方向、すなわち軸方向に平行に向けられている。加うるに、円周方向に見て、歯区分1は、境界表面40及び複数のフランジ区分(24,25,26,27,28,29)を含むフランジ平面によって画定されている。境界表面40に隣接して境界表面41が設けられ、この境界表面の垂線は、半径方向に向けられている。
【0038】
円周方向に延びる連結領域3がドラムの外面に取り付け可能にセグメントの半径方向内側に設けられている。
【0039】
歯区分1は、各セグメントのウェブ(22,23)を介して連結領域3に連結されている。第1のウェブ22は、軸方向前側に設けられ、第2のウェブ23は、軸方向後側に位置し、又は換言すると、第1のウェブ22は、第2のウェブ23から軸方向に引き離されている。正確に言って1つのウェブ23が好ましくは各第1のウェブ22に割り当てられ、第1のウェブ22及びそれぞれの割り当てられた第2のウェブ23は、いずれの場合においても、同一の円周方向角度領域内に位置している。
【0040】
第1のウェブ22は、円周方向に、すなわち歯車の円周方向に見て互いに一定間隔を置いて配置されている。その結果、第2のウェブ23は、円周方向に、すなわち歯車の円周方向に互いに一定間隔を置いて配置されている。
【0041】
軸方向に見て途切れていない形態で構成された別個の凹部がそれぞれ2つの最も近位側の第1のウェブ22相互間に位置している。
【0042】
軸方向に見て途切れていない形態で構成された別個の凹部がそれぞれ2つの最も近位側の第2のウェブ23相互間に位置している。
【0043】
加うるに、第1のウェブ22及び第2のウェブ23は、それぞれ曲がり領域を有し、その結果、これらウェブは、軸方向外側に曲げられた形態で構成され、かくして凸状構造を有するようになっている。これにより、第1のウェブ(22)と第2のウェブ(23)との間で軸方向にセグメントに設けられた中空空間が拡大され、したがって、大径の連結ねじを受け入れると共に十分に寸法決めされた自由空間領域を提供するのに適するようになっており、これはまた、例えば連結ねじにより実現されるべきねじ連結部を具体化するよう適切に構成されている。
【0044】
中空空間は、これが円周方向にも途切れていない形態でセグメントを貫通するような仕方で構成されている。第1及び第2のウェブ(22,23)の上述の構成に起因して、中空空間もまた、軸方向に、すなわちウェブ(22,23)及び連結区分2によって覆われていない角度位置領域において途切れていない。
【0045】
円周方向前側に位置した第1のセグメント連結区分2は、円周方向後側に配置された別のセグメントの連結区分2に当たって位置する。
【0046】
円周方向前側に配置された接触フェースは、段付き設計を有し、その結果、この接触フェースは、それぞれ平坦な、すなわち平らな形態で構成された3つのフランジ表面(24,25,26)で構成されている。各フランジ表面(24,25,26)は、それぞれの円周方向角度位置に配置され且つそれぞれの軸方向領域を覆っている。これらそれぞれの軸方向領域は、互いに引き離され又はせいぜい互いに隣接して配置されている。その結果、それぞれの軸方向領域は、互いにオーバーラップしない。フランジ表面(24,25,26)の円周方向角度位置は、互いに引き離されており、且つフランジ表面(24,25,26)の漸増する軸方向位置につれて円周方向に増大している。
【0047】
円周方向に後側に配置された接触フェースは、したがって段付きであり、その結果、その平坦な、すなわち平らなフランジ表面(27,28,29)は、それぞれ最も近位側のセグメントのそれぞれのフランジ表面(24,25,26)に当たって位置するようになっている。
【0048】
フランジ表面(24,25,26,27,28,29)は、連結ねじのための開けられた穴(以下、単に「穴」という)20を備え、軸方向外側のフランジ表面(24,26,27,29)は、心出しねじ又はセグメントを互いに対して位置合わせするねじのための少なくとも1つの開けられた穴(以下、単に「穴」という)21を有している。
【0049】
その結果、フランジ表面24は、フランジ表面29に当たって位置し、フランジ表面25は、フランジ表面28に当たって位置し、フランジ表面26は、フランジ表面27に当たって位置し、これらセグメントを心出しねじの助けにより互いに対して位置合わせすることができるということが可能である。次に、セグメントは、連結ねじを導入することによって互いに連結される。
【0050】
円周方向に見て且つ少なくとも部分的に軸方向に見ても途切れていない上述の中空空間は、ねじによる連結を実行するため、すなわちツールの助けによりねじ頭を配置して操作するのに十分な空間を提供する。また、ウェブ22の球状、すなわち凸状の構成がこの空間を拡大する。
【0051】
図4に示されているように、接線方向に区分化されたセグメントによって、2つのセグメントの連結区分2相互間の接触領域は、軸方向に単調に延びるが、厳密に言って円周方向に、特に図4の記載の断面平面内で単調には延びていない。隙間、特に空隙が、段部相互間に設けられている。その結果、フランジ表面24とフランジ表面25との間に位置する段部と、フランジ表面29とフランジ表面28との間に位置する段部との間には空隙が存在し、その結果、2つの段部は、軸方向に互いに僅かに引き離されている。
【0052】
セグメントの歯区分1の境界表面40もまた、最も近位側セグメントの歯区分1の対応の境界表面40に当たって位置した状態でこれに接触している。
【0053】
かくして、隣接のセグメントは、その対応の連結区分2によりそれぞれのセグメントの連結区分2に螺着される。連結区分2は、半径方向且つ軸方向に延びている。したがって、連結区分2全体は、円周方向角度領域内に配置されている。
【0054】
円周方向に差し向けられた穴(20,21)は、連結表面に設けられている。穴20は、それぞれの隣り合うセグメントを互いに圧接させるねじの導入のために設けられている。加うるに、セグメントの相対的相互位置合わせのためのねじの導入のための少なくとも1つの穴21もまた設けられており、このことは、連結ねじを締める前にセグメントを位置合わせすることができるということを意味している。位置合わせを実施した後、連結ねじをしっかりとねじ込み、そしてセグメントの相対的位置をこのようにして永続的に固定する。
【0055】
歯区分1は、その半径方向外側に歯を有し、この歯は、斜歯として構成されている。セグメントに歯区分1を対応の隣接のセグメントに隣接させる境界表面40が歯の隙間に沿って設けられている。その結果、境界表面は、歯のどれにも食い込むことはない。かくして、境界表面40は、斜歯、すなわち螺旋区分に従って且つ半径方向に延びている。この境界表面は、第一近似で平坦であると見なされる場合がある。
【0056】
しかしながら、連結区分2のフランジ表面(24,25,26,27,28,29)は、純粋に半径方向且つ軸方向に差し向けられているので、歯区分1は、一部が連結区分2を越えて延びている。したがって、歯区分1は、少なくとも第1の軸方向領域においてフランジ表面26を越えて円周方向に突き出ており、歯区分1は、第2の軸方向領域において円周方向に引っ込められ、その結果、境界表面41が見えるようになっている。境界表面41は、軸方向に且つ円周方向に延び、かくして、単一の半径方向間隙を有する。
【0057】
セグメントを2つの隣り合うセグメントがこれらのフランジ表面(24,25,26,27,28,29)のところで接触関係をなすが、間隙が境界表面40,41の付近で存在するような仕方で許容誤差を有すると共に具体化されている。セグメントで構成された歯車の外径が2メートルを超える場合、特に4メートルを超える場合、1mm未満、特に0.5mm未満の間隙が好ましくはここに維持され、したがって、この間隙と外径の比は、0.0005未満、特に0.00025未満又はそれどころか0.000125未満である。
【0058】
間隙に熱により引き起こされると共に/或いは設置に関連した変化もまた、このように許容することができ、というのは、力伝達フランジ表面(24,25,26,27,28,29)が隣り合うセグメント相互間で伝達されるべき力を完全に吸収するからである。
【0059】
歯区分1の突出部は、隣接のセグメントの境界表面41を特に半径方向に覆う。
【0060】
同じように、2つの隣り合うセグメントのそれぞれの境界表面40は、円周方向でしかも更に軸方向に見て、互いに反対側に位置している。
【0061】
本発明の別の例示の実施形態では、歯車は、斜歯として具体化されずに直歯として具体化され、この場合、境界表面41は、好ましくは省かれる。それにもかかわらず、この場合もまた空隙、ただし、極めて狭い空隙であるが、これがそれぞれの最も近位側のセグメントの互いに向いた境界表面40相互間に残る。
【符号の説明】
【0062】
1 歯区分
2 連結区分
3 ドラムのための連結領域
4 凹部
20 連結ねじのために開けられた穴
21 心出しねじ又は位置合わせ用ねじのために開けられた穴
22 特に軸方向前側のウェブ
23 特に軸方向後側のウェブ
24 平坦なフランジ表面
25 平坦なフランジ表面
26 平坦なフランジ表面
27 平坦なフランジ表面
28 平坦なフランジ表面
29 平坦なフランジ表面
40 境界面
41 境界面
図1
図2
図3
図4