(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記露光光の光路順において、前記インテグレータの次に配置される前記反射鏡は、前記ミラー曲げ機構を備える他方の反射鏡であることを特徴とする請求項1に記載の露光装置。
前記反射鏡より露光面側から前記反射鏡に向けて指向性を有する光を照射する検出用光源と、前記反射鏡で反射された前記指向性を有する光が投影される反射板と、前記反射鏡を介して、前記反射板に映りこんだ前記指向性を有する光を撮像する撮像手段と、前記反射鏡の曲率を補正した際に撮像される前記指向性を有する光の変位量を検出する制御部と、を有する曲率補正量検出系をさらに備え、
前記ミラー曲げ機構は、前記指向性を有する光の変位量を前記曲率補正量検出系で検出しながら、前記反射鏡の曲率を補正することを特徴とする請求項4に記載の露光装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献2に記載の露光装置では、ワークのひずみに対応して平面ミラーの曲率を補正すると、露光光の照度分布が悪化してしまうため、照度分布の悪化を改善することが求められる。
【0007】
また、反射ミラーの接着に用いられる接着剤は、一般的に乾燥すると剛性が高くなるものの、じん性が低下して接着箇所が脆くなる傾向がある。このため、反射ミラーに振動などの外力が作用すると、反射ミラーがベースから剥がれる可能性がある。ベースからの反射ミラーの剥がれは、反射光の光束の乱れに直結し、露光性能に重大な悪影響を及ぼす虞がある。
【0008】
しかしながら、特許文献3及び特許文献4によると、ミラーベースや梃子手段の作用点などの部材と、反射ミラーとの接着について記載されているが、接着剤の剥がれなど、接着後の管理に関する記載はない。
【0009】
本発明は、前述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、ワークがひずんでいる場合でもワークの被露光領域の形状に応じてマスクのパターンを精度良く露光転写することができるとともに、露光光の照度分布を向上させて露光精度を高めることができる露光装置及び露光方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の上記目的は、下記の構成により達成される。
(1) ワークを支持するワーク支持部と、マスクを支持するマスク支持部と、光源、インテグレータ、及び光源からの露光光を反射する複数の反射鏡を有する照明光学系と、を備え、光源からの露光光をマスクを介してワークに照射してマスクのパターンをワークに転写する露光装置であって、
複数の反射鏡の内の少なくとも2つの反射鏡は、反射鏡の曲率を補正可能なミラー曲げ機構をそれぞれ備え、インテグレータとマスクとの間の光路に配設され、
ミラー曲げ機構を備えるマスク側の一方の反射鏡は、ワークのひずみ量に応じて、ミラー曲げ機構を駆動させることで、その曲率を補正し、
ミラー曲げ機構を備えるインテグレータ側の他方の反射鏡は、一方の反射鏡の曲率を補正した状態で、ミラー曲げ機構を駆動させることで、その曲率を補正することを特徴とする露光装置。
(2) 前記複数の反射鏡で反射された前記露光光の照度を測定する照度測定手段と、
前記露光光の照度を検出する制御部と、
をさらに備え、
前記ミラー曲げ機構を備える前記インテグレータ側の他方の前記反射鏡は、前記一方の反射鏡の曲率を補正した状態で、前記制御部で検出される前記露光光の照度のばらつきが抑制されるように、前記ミラー曲げ機構を駆動させることで、その曲率を補正することを特徴とする請求項1に記載の露光装置。
(3)ワークのアライメントマークとマスクのアライメントマークとを検出するアライメント検出系と、
反射鏡より露光面側から反射鏡に向けて指向性を有する光を照射する検出用光源と、反射鏡で反射された指向性を有する光が投影される反射板と、反射鏡を介して、反射板に映りこんだ指向性を有する光を撮像する撮像手段と、反射鏡の曲率を補正した際に撮像される指向性を有する光の変位量を検出する制御部と、を有する曲率補正量検出系と、
をさらに備え、
前記ミラー曲げ機構を備える前記マスク側の一方の前記反射鏡は、前記反射鏡の曲率を補正した際に前記曲率補正量検出系で検出された前記指向性を有する光の変位量が、前記アライメント検出系で検出された両アライメントマークのずれ量から算出された前記ワークのひずみ量に応じて、前記ミラー曲げ機構を駆動させることで、その曲率を補正することを特徴とする(1)に記載の露光装置。
(4) 露光光の光路順において、インテグレータの次に配置される反射鏡は、ミラー曲げ機構を備える他方の反射鏡であることを特徴とする(1)に記載の露光装置。
(5) ワークを支持するワーク支持部と、
マスクを支持するマスク支持部と、
前記ワークと前記マスクとを水平方向及び上下方向に相対的に移動させる送り機構と、 光源及び該光源からの露光光の光束を反射する反射鏡を有する照明光学系と、
前記反射鏡の曲率を補正可能なミラー曲げ機構と、
前記ワークのアライメントマークと前記マスクのアライメントマークとを検出するアライメント検出系と、
を備え、前記光源からの露光光を前記マスクを介して前記ワークに照射して前記マスクのパターンを前記ワークに転写する露光装置であって、
前記ワークのアライメントマークと前記マスクのアライメントマークとを前記アライメント検出系で検出すると共に、前記露光光を照射して照度測定手段によって前記ワーク支持部に照射される照度を測定し、
前記送り機構は、前記アライメント検出系で検出された前記両アライメントマークのずれ量から算出された前記マスクと前記ワークの位置ずれ量に基づいて、前記ワークと前記マスクとを相対的に移動することで、前記ワークと前記マスクとのアライメントを補正するとともに、
前記算出されたワークのひずみ量に応じて、前記ミラー曲げ機構は、前記反射鏡の曲率を補正するとともに、前記送り機構は、前記マスクと前記ワークとのギャップを補正することを特徴とする露光装置。
(6) 前記反射鏡より露光面側から前記反射鏡に向けて指向性を有する光を照射する検出用光源と、前記反射鏡で反射された前記指向性を有する光が投影される反射板と、前記反射鏡を介して、前記反射板に映りこんだ前記指向性を有する光を撮像する撮像手段と、前記反射鏡の曲率を補正した際に撮像される前記指向性を有する光の変位量を検出する制御部と、を有する曲率補正量検出系をさらに備え、
前記ミラー曲げ機構は、前記指向性を有する光の変位量を前記曲率補正量検出系で検出しながら、前記反射鏡の曲率を補正することを特徴とする(5)に記載の露光装置。
(7) 前記ワーク支持部に設けられ、前記ワーク支持部に照射される照度を測定する照度測定手段をさらに備え、
前記露光光を照射して前記照度測定手段によって前記ワーク支持部に照射される照度を測定し、
前記マスクと前記ワークの位置ずれ量、前記ワークのひずみ補正後のずれ量、及び前記
照度の低下量が許容値以下となるように上記補正を繰り返すことを特徴とする(5)に記載の露光装置。
(8) ワークを支持するワーク支持部と、
マスクを支持するマスク支持部と、
前記ワークと前記マスクとを水平方向及び上下方向に相対的に移動させる送り機構と、 光源及び該光源からの露光光の光束を反射する反射鏡を有する照明光学系と、
前記反射鏡の曲率を補正可能なミラー曲げ機構と、
を備え、前記光源からの露光光を前記マスクを介して前記ワークに照射して前記マスクのパターンを前記ワークに転写する露光装置であって、
前記ワークに転写されたパターンを測定し、
前記測定されたパターンに基づいて、前記送り機構は、前記ワークと前記マスクのギャップ補正を行うとともに、前記ミラー曲げ機構は、前記反射鏡の曲率を補正することを特徴とする露光装置。
(9) 前記測定されたパターンに基づいて、前記送り機構は、前記ワークと前記マスクとのアライメント補正をさらに行うことを特徴とする(8)に記載の露光装置。
(10) 前記マスクと前記ワークの位置ずれ量、前記ワークのひずみ補正後のずれ量、及び照度の低下量が許容値以下となるように上記補正を繰り返すことを特徴とする(8)に記載の露光装置。
(11) ワークを支持するワーク支持部と、マスクを支持するマスク支持部と、光源からの露光光を反射する反射鏡を備えた照明光学系と、を備え、光源からの露光光をマスクを介してワークに照射してマスクのパターンをワークに転写する露光装置であって、反射鏡は、接着剤により接着されたパッドを介して反射鏡を保持する保持部材によって保持され、反射鏡及びパッドに固定して配索され、接着剤による反射鏡とパッドとの接着が剥がれたとき断線可能な検出ワイヤと、検出ワイヤの断線を検出する検出装置と、を備えることを特徴とする露光装置。
(12) (1)に記載の露光装置を用いて、前記光源からの露光光を前記マスクを介して前記ワークに照射して前記マスクのパターンを前記ワークに転写する露光方法であって、
前記ミラー曲げ機構を備える前記マスク側の一方の前記反射鏡を、前記ワークのひずみ量に応じて、前記ミラー曲げ機構を駆動させることで、その曲率を補正する工程と、
前記ミラー曲げ機構を備える前記インテグレータ側の他方の前記反射鏡を、前記一方の反射鏡の曲率を補正した状態で、前記ミラー曲げ機構を駆動させることで、その曲率を補正する工程と、
を有することを特徴とする露光方法。
(13) 前記露光装置は、
前記ワークのアライメントマークと前記マスクのアライメントマークとを検出するアライメント検出系と、
前記反射鏡より露光面側から前記反射鏡に向けて指向性を有する光を照射する検出用光源と、前記反射鏡で反射された前記指向性を有する光が投影される反射板と、前記反射鏡を介して、前記反射板に映りこんだ前記指向性を有する光を撮像する撮像手段と、前記反射鏡の曲率を補正した際に撮像される前記指向性を有する光の変位量を検出する制御部と、を有する曲率補正量検出系と、
をさらに備え、
前記ミラー曲げ機構を備える前記マスク側の一方の前記反射鏡を、前記反射鏡の曲率を補正した際に前記曲率補正量検出系で検出された前記指向性を有する光の変位量が、前記アライメント検出系で検出された両アライメントマークのずれ量から算出されたワークのひずみ量と対応するように、前記ミラー曲げ機構を駆動させることで、その曲率を補正することを特徴とする(12)に記載の露光方法。
(14) ワークを支持するワーク支持部と、
マスクを支持するマスク支持部と、
前記ワークと前記マスクとを水平方向及び上下方向に相対的に移動させる送り機構と、 光源及び該光源からの露光光の光束を反射する反射鏡を有する照明光学系と、
前記反射鏡の曲率を補正可能なミラー曲げ機構と、
前記ワークのアライメントマークと前記マスクのアライメントマークとを検出するアライメント検出系と、
を備える露光装置を用いて、前記光源からの露光光を前記マスクを介して前記ワークに照射して前記マスクのパターンを前記ワークに転写する露光方法であって、
前記ワークのアライメントマークと前記マスクのアライメントマークとを前記アライメント検出系で検出する工程と、
前記アライメント検出系で検出された前記両アライメントマークのずれ量に基づいて、前記マスクと前記ワークの位置ずれ量と前記ワークのひずみ量とを算出する工程と、
前記マスクと前記ワークの位置ずれ量に基づいて、前記送り機構によって、前記ワークと前記マスクとのアライメントを補正する工程と、
前記ワークのひずみ量に応じて、前記ミラー曲げ機構によって、前記反射鏡の曲率を補正するとともに、前記送り機構によって、前記マスクと前記ワークとのギャップを補正する工程と、を備えることを特徴とする露光方法。
(15) ワークを支持するワーク支持部と、
マスクを支持するマスク支持部と、
前記ワークと前記マスクとを水平方向及び上下方向に相対的に移動させる送り機構と、 光源及び該光源からの露光光の光束を反射する反射鏡を有する照明光学系と、
前記反射鏡の曲率を補正可能なミラー曲げ機構と、
を備える露光装置を用いて、前記光源からの露光光を前記マスクを介して前記ワークに照射して前記マスクのパターンを前記ワークに転写する露光方法であって、
前記ワークに転写されたパターンを測定する工程と、
前記測定されたパターンに基づいて、前記ミラー曲げ機構によって、前記反射鏡の曲率を補正するとともに、前記送り機構によって、前記マスクと前記ワークとのギャップを補正する工程と、
を備えることを特徴とする露光方法。
(16) (1)に記載の露光装置に適用されるミラー曲げ機構付き反射鏡であって、
前記ミラー曲げ機構は、前記反射鏡の反射面を変形可能な複数の駆動装置と、前記反射鏡の変位量をセンシングする接触式センサと、を備え、
前記反射鏡は、前記各駆動装置の移動量に関する指令値を前記駆動装置に送り、前記接触式センサによって前記反射鏡の変位量を確認しながら、前記駆動装置を駆動制御して、前記反射鏡の曲率補正が行われることを特徴とするミラー曲げ機構付き反射鏡。
【発明の効果】
【0011】
本発明の露光装置及び露光方法によれば、複数の反射鏡の内の少なくとも2つの反射鏡は、反射鏡の曲率を補正可能なミラー曲げ機構をそれぞれ備え、インテグレータとマスクとの間の光路に配設され、ミラー曲げ機構を備えるマスク側の一方の反射鏡は、ワークのひずみ量に応じて、ミラー曲げ機構を駆動させることで、その曲率を補正し、ミラー曲げ機構を備える他方の反射鏡は、一方の反射鏡の曲率を補正した状態で、ミラー曲げ機構を駆動させることで、その曲率を補正するため、一方の反射鏡の曲率を補正することによりワークがひずんでいる場合でもワークの被露光領域の形状に応じてマスクのパターンを精度良く露光転写することができるとともに、一方の反射鏡の曲率を補正することにより生じる露光光の照度分布の悪化を、他方の反射鏡の曲率を変更することでデクリネーション角を変えることで補正し、照度分布を向上させて高解像度での露光を行うことができる。
【0012】
また、本発明の露光装置及び露光方法によれば、ワークのひずみ量に応じて、ミラー曲げ機構によって、反射鏡の曲率を補正するとともに、送り機構によって、マスクとワークとのギャップを補正する。即ち、ギャップ補正を行うことで、反射鏡の曲率補正量を減らすことができ、反射鏡の曲率を補正することにより生じる露光光の照度分布への影響を減らすことが可能となり、照度分布を向上させて高解像度での露光を行うことができる。
【0013】
また、本発明の露光装置及び露光方法によれば、測定されたパターンに基づいて、ミラー曲げ機構によって、反射鏡の曲率を補正するとともに、送り機構によって、マスクとワークとのギャップを補正する。即ち、ギャップ補正を行うことで、反射鏡の曲率補正量を減らすことができ、反射鏡の曲率を補正することにより生じる露光光の照度分布への影響を減らすことが可能となり、照度分布を向上させて高解像度での露光を行うことができる。
【0014】
さらに、本発明の露光装置によれば、反射鏡は、接着剤により接着されたパッドを介して反射鏡を保持する保持部材によって保持され、反射鏡及びパッドに固定して配索され、接着剤による反射鏡とパッドとの接着が剥がれたとき断線可能な検出ワイヤと、検出ワイヤの断線を検出する検出装置と、を備えるため、検出ワイヤの断線により反射鏡とパッドとの接着剥がれを検出することができる。これにより、反射鏡による反射光の光束の乱れを防止して露光性能を維持することができる。
【0015】
また、本発明のミラー曲げ機構付き反射鏡によれば、ミラー曲げ機構は、反射鏡の反射面を変形可能な複数の駆動装置と、反射鏡の変位量をセンシングする接触式センサと、を備え、反射鏡は、各駆動装置の移動量に関する指令値を駆動装置に送り、接触式センサによって反射鏡の変位量を確認しながら、駆動装置を駆動制御して、反射鏡の曲率補正が行われる。これにより、高精度な反射鏡の曲率補正を行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第1実施形態)
以下、本発明に係る露光装置の一実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明の露光装置を示す図である。
図1に示すように、近接露光装置PEは、被露光材としてのワークWより小さいマスクMを用い、マスクMをマスクステージ1で保持すると共に、ワークWをワークステージ(ワーク支持部)2で保持し、マスクMとワークWとを近接させて所定の露光ギャップで対向配置した状態で、照明光学系3からパターン露光用の光をマスクMに向けて照射することにより、マスクMのパターンをワークW上に露光転写する。また、ワークステージ2をマスクMに対してX軸方向とY軸方向の二軸方向(水平方向)にステップ移動させて、ステップ毎に露光転写が行われる。
【0018】
ワークステージ2をX軸方向にステップ移動させるため、装置ベース4上には、X軸送り台5aをX軸方向にステップ移動させるX軸ステージ送り機構5が設置されている。X軸ステージ送り機構5のX軸送り台5a上には、ワークステージ2をY軸方向にステップ移動させるため、Y軸送り台6aをY軸方向にステップ移動させるY軸ステージ送り機構6が設置されている。Y軸ステージ送り機構6のY軸送り台6a上には、ワークステージ2が設置されている。ワークステージ2の上面には、ワークWがワークチャック等で真空吸引された状態で保持される。また、ワークステージ2の側部には、マスクMの下面高さを測定するための基板側変位センサ15が配設されている。従って、基板側変位センサ15は、ワークステージ2と共にX、Y軸方向に移動可能である。
【0019】
装置ベース4上には、複数(図に示す実施形態では4本)のX軸リニアガイドのガイドレール51がX軸方向に配置され、それぞれのガイドレール51には、X軸送り台5aの下面に固定されたスライダ52が跨架されている。これにより、X軸送り台5aは、X軸ステージ送り機構5の第1リニアモータ20で駆動され、ガイドレール51に沿ってX軸方向に往復移動可能である。また、X軸送り台5a上には、複数のY軸リニアガイドのガイドレール53がY軸方向に配置され、それぞれのガイドレール53には、Y軸送り台6aの下面に固定されたスライダ54が跨架されている。これにより、Y軸送り台6aは、Y軸ステージ送り機構6の第2リニアモータ21で駆動され、ガイドレール53に沿ってY軸方向に往復移動可能である。
【0020】
Y軸ステージ送り機構6とワークステージ2の間には、ワークステージ2を上下方向に移動させるため、比較的位置決め分解能は粗いが移動ストローク及び移動速度が大きな上下粗動装置7と、上下粗動装置7と比べて高分解能での位置決めが可能でワークステージ2を上下に微動させてマスクMとワークWとの対向面間のギャップを所定量に微調整する上下微動装置8が設置されている。
【0021】
上下粗動装置7は後述の微動ステージ6bに設けられた適宜の駆動機構によりワークステージ2を微動ステージ6bに対して上下動させる。ワークステージ2の底面の4箇所に固定されたステージ粗動軸14は、微動ステージ6bに固定された直動ベアリング14aに係合し、微動ステージ6bに対し上下方向に案内される。なお、上下粗動装置7は、分解能が低くても、繰り返し位置決め精度が高いことが望ましい。
【0022】
上下微動装置8は、Y軸送り台6aに固定された固定台9と、固定台9にその内端側を斜め下方に傾斜させた状態で取り付けられたリニアガイドの案内レール10とを備えており、該案内レール10に跨架されたスライダ11を介して案内レール10に沿って往復移動するスライド体12にボールねじのナット(図示せず)が連結されると共に、スライド
体12の上端面は微動ステージ6bに固定されたフランジ12aに対して水平方向に摺動自在に接している。
【0023】
そして、固定台9に取り付けられたモータ17によってボールねじのねじ軸を回転駆動させると、ナット、スライダ11及びスライド体12が一体となって案内レール10に沿って斜め方向に移動し、これにより、フランジ12aが上下微動する。
なお、上下微動装置8は、モータ17とボールねじによってスライド体12を駆動する代わりに、リニアモータによってスライド体12を駆動するようにしてもよい。
【0024】
この上下微動装置8は、Z軸送り台6aのY軸方向の一端側(
図1の左端側)に1台、他端側に2台、合計3台設置されてそれぞれが独立に駆動制御されるようになっている。これにより、上下微動装置8は、ギャップセンサ27による複数箇所でのマスクMとワークWとのギャップ量の計測結果に基づき、3箇所のフランジ12aの高さを独立に微調整してワークステージ2の高さ及び傾きを微調整する。
なお、上下微動装置8によってワークステージ2の高さを十分に調整できる場合には、上下粗動装置7を省略してもよい。
従って、本実施形態では、上下粗動装置7及び上下微動装置8が、マスクMとワークWとを上下方向に相対的に駆動する本発明の送り機構を構成する。
【0025】
また、Y軸送り台6a上には、ワークステージ2のY方向の位置を検出するY軸レーザ干渉計18に対向するバーミラー19と、ワークステージ2のX軸方向の位置を検出するX軸レーザ干渉計に対向するバーミラー(共に図示せず)とが設置されている。Y軸レー
ザ干渉計18に対向するバーミラー19は、Y軸送り台6aの一側でX軸方向に沿って配置されており、X軸レーザ干渉計に対向するバーミラーは、Y軸送り台6aの一端側でY軸方向に沿って配置されている。
【0026】
Y軸レーザ干渉計18及びX軸レーザ干渉計は、それぞれ常に対応するバーミラーに対向するように配置されて装置ベース4に支持されている。なお、Y軸レーザ干渉計18は、X軸方向に離間して2台設置されている。2台のY軸レーザ干渉計18により、バーミラー19を介してY軸送り台6a、ひいてはワークステージ2のY軸方向の位置及びヨーイング誤差を検出する。また、X軸レーザ干渉計により、対向するバーミラーを介してX軸送り台5a、ひいてはワークステージ2のX軸方向の位置を検出する。
【0027】
マスクステージ1は、略長方形状の枠体からなるマスク基枠24と、該マスク基枠24の中央部開口にギャップを介して挿入されてX,Y,θ方向(X,Y平面内)に移動可能に支持されたマスクフレーム25とを備えており、マスク基枠24は装置ベース4から突設された支柱4aによってワークステージ2の上方の定位置に保持されている。
【0028】
マスクフレーム25の中央部開口の下面には、枠状のマスクホルダ(マスク支持部)26が設けられている。即ち、マスクフレーム25の下面には、図示しない真空式吸着装置に接続される複数のマスクホルダ吸着溝が設けられており、マスクホルダ26が複数のマスクホルダ吸着溝を介してマスクフレーム25に吸着保持される。
【0029】
マスクホルダ26の下面には、マスクMのマスクパターンが描かれていない周縁部を吸着するための複数のマスク吸着溝(図示せず)が開設されており、マスクMは、マスク吸着溝を介して図示しない真空式吸着装置によりマスクホルダ26の下面に着脱自在に保持される。
【0030】
また、マスクフレーム25には、マスクMのアライメントマークMaと、ワークWのアライメントマークWaとを撮像するアライメント調整用のCCDカメラ30が搭載されている。
さらに、ワークステージ2には、ワークステージ2に照射される露光光の照度を測定する照度測定手段としての複数の照度センサ95が設けられている。
【0031】
図2に示すように、本実施形態の露光装置PEの照明光学系3は、紫外線照射用の光源である例えば高圧水銀ランプ61、及びこの高圧水銀ランプ61から照射された光を集光するリフレクタ62をそれぞれ備えたマルチランプユニット60と、光路ELの向きを変えるための平面ミラー63と、照射光路を開閉制御する露光制御用シャッターユニット64と、露光制御用シャッターユニット64の下流側に配置され、リフレクタ62で集光された光を照射領域においてできるだけ均一な照度分布となるようにして出射するオプティカルインテグレータ65と、オプティカルインテグレータ65から出射された光路ELの向きを変えるための平面ミラー66と、高圧水銀ランプ61からの光を平行光として照射するコリメーションミラー67と、該平行光をマスクMに向けて照射する平面ミラー68と、を備える。なお、オプティカルインテグレータ65と露光面との間には、DUVカットフィルタ、偏光フィルタ、バンドパスフィルタが配置されてもよい。また、光源は、高圧水銀ランプは、単一のランプであってもよく、或いは、LEDによって構成されてもよい。
【0032】
そして、露光時にその露光制御用シャッターユニット64が開制御されると、マルチランプユニット60から照射された光が、平面ミラー63、オプティカルインテグレータ65、平面ミラー66、コリメーションミラー67、平面ミラー68を介して、マスクホルダ26に保持されるマスクM、ひいてはワークWの表面にパターン露光用の光として照射され、マスクMの露光パターンがワークW上に露光転写される。
【0033】
ここで、
図3に示すように、平面ミラー66,68は、正面視矩形状に形成されたガラス素材からなる。インテグレータ側の平面ミラー66と、マスク側の平面ミラー68は、平面ミラー66,68の裏面側に設けられたミラー曲げ機構である複数のミラー変形ユニット70によりミラー変形ユニット保持枠71に支持されている。ミラー変形ユニット70は、複数のパッド72と、複数の保持部材73と、駆動装置である複数のモータ74と、を備える。ミラー変形ユニット70は、平面ミラー66,68の裏面の中央付近3箇所、及び周縁部16箇所に設けられている。
【0034】
中央付近に設けられたミラー変形ユニット70では、パッド72が平面ミラー66,68の裏面に接着剤で固定されている。周縁部に設けられたミラー変形ユニット70では、平面ミラー66,68の表裏面を挟むように設けられた支持部75にパッド72が接着剤で固定されている。また、一端がパッド72に固定された各保持部材73には、パッド72寄りの位置に、±0・5deg以上の屈曲を許容する屈曲機構としてのボールジョイント76が設けられており、ミラー変形ユニット保持枠71に対して反対側となる他端には、モータ74が取り付けられている。なお、平面ミラー66,68の中央の保持部材73は、ミラー変形ユニット保持枠71に固定される構造であってもよい。
【0035】
また、矩形状のミラー変形ユニット保持枠71には、互いに直交する2辺の位置に案内部材77,78が取り付けられており、これら案内部材77,78に対向する支持部75の側面には、転動部材79が取り付けられている。また、転動部材79を案内する案内部材77,78の案内面77a,78aには、テフロン(登録商標)等の低摩擦機構80が塗布されている。
【0036】
さらに、マスク側のアライメントマーク(図示せず)の位置に露光光を反射する平面ミラー66,68の各位置の裏面には、複数の接触式センサ81が取り付けられている。
【0037】
これにより、平面ミラー66,68は、接触式センサ81によって平面ミラー66,68の変位量をセンシングしながら、各ミラー変形ユニット70のモータ74を駆動することにより、各ミラー変形ユニット70がその長さを変えて支持部75を直線的に移動させる。そして、各ミラー変形ユニット70の長さの違いによって、平面ミラー66,68は支持部75に設けられた転動部材79を介して2つの案内部材77,78によって案内されながら、その曲率を局部的に補正することができる。
【0038】
その際、
図4に示すように、各ミラー変形ユニット70には、ボールジョイント76が設けられているので、支持部側の部分を三次元的に回動可能とすることができ、各パッド72を平面ミラー66,68の表面に沿って傾斜させることができる。このため、各パッド72と平面ミラー66,68との接着剥がれを防止するすると共に、移動量の異なる各パッド72間における平面ミラー66,68の応力が抑制され、平均破壊応力値が小さいガラス素材からなる場合であっても、平面ミラー66,68の曲率を局部的に補正する際、平面ミラー66,68を破損することなく、10mmオーダーで平面ミラー66,68を曲げることができ、曲率を大きく変更することができる。
【0039】
また、本実施形態では、
図2に示すように、平面ミラー66,68の曲率を補正した際に、曲率補正が適正に行われたかどうかを判断するための曲率補正量検出系90が設けられている。曲率補正量検出系90は、露光光の光束の光路ELにおいて平面ミラー68より露光面側(本実施形態では、マスク近傍)から平面ミラー68に向けて指向性を有する光としてレーザ光Lを照射するレーザ光源としての複数(本実施形態では、4つ)のレーザポインタ91と、オプティカルインテグレータ65の近傍に、露光光の光束の光路ELから退避可能に配置された反射板92と、平面ミラー66,68及びコリメーションミラー67を介して、反射板92に映りこんだレーザ光Lを撮像する撮像手段としてのカメラ93と、平面ミラー68よりも露光面側(本実施形態では、マスクMの下方)に配置され、平面ミラー66,68及びコリメーションミラー67で反射された露光光の照度を測定する照度測定手段としての照度センサ95と、カメラ93、照度センサ95、及び平面ミラー66,68のミラー変形ユニット70のモータ74との間に設けられ、平面ミラー68の曲率を補正した際に撮像されるレーザ光Lの変位量S1,S2と、照度センサ95で測定された露光光の照度とを検出し、平面ミラー66,68のミラー変形ユニット70のモータ74を制御する制御部94と、を有する。
【0040】
レーザポインタ91は、アライメントを検出するための、例えばCCDカメラ30の上部に取り付けられ、CCDカメラ30がマスク側のアライメントマークが視認できる位置へ進退するのと同期して移動する。
【0041】
反射板92は、コリメーションミラー67によって反射されることで最も集光された光となるインテグレータ近傍に配置されているので、平面ミラー68、コリメーションミラー67、平面ミラー66で反射された4つのレーザポインタ91からのレーザ光Lを比較的小さな面積の反射板92によって捉えることができる。また、反射板92は、通常の露光時、光源からの露光光の光束をマスクMに照射する際に、図示しない駆動機構によって、該光束の光路ELから退避可能に配置される。さらに、反射板92は、低反射率の反射面とすることで、カメラ93でのレーザ光Lの視認性を上げることができる。
【0042】
カメラ93は、露光光の光束に影響を与えないように、光源からの該光束の光路EL上から離れた位置に配置されている。
【0043】
また、制御部94は、平面ミラー68の曲率を補正した際にカメラ93によって撮像されたレーザ光Lの位置を、曲率補正前と曲率補正後の変位量S1,S2として検出し、該変位量S1,S2が算出されたひずみ量に対して適正かどうかを確認して、平面ミラー68のミラー変形ユニット70のモータ74に制御信号を与える。また、制御部94は、平面ミラー68の曲率を補正した後、照度センサ95で測定された露光光の照度を検出し、露光光の照度のばらつきが抑制されるように、平面ミラー66のミラー変形ユニット70のモータ74に制御信号を与える。
このように、本実施形態の平面ミラー66,68は、ミラー変形ユニット70を備えて、本発明のミラー曲げ機構付き反射鏡を構成している。
【0044】
次に、本実施形態の露光方法について、
図5〜
図9を参照して説明する。ここで、露光時にワークWがひずんで被露光領域が矩形とならず、例えば、平行四辺形となる場合がある(
図6参照。)。以下では、このようなワークWに露光する場合について説明するが、
図7及び
図8では、ワークW及びマスクMのアライメント検出用のCCDカメラ30がワークWの対角位置にあるものとして示す。
【0045】
まず、露光位置にワークWが搬送され(ステップS1)、ワークWのアライメントマークWaとマスクMのアライメントマークMaを、4箇所のCCDカメラ30で検出する(ステップS2)。そして、図示しない制御部にて、各CCDカメラ30が検出した両アライメントマークWa、Maのずれ量に基づいて、マスクMの中心とワークWの中心の位置ずれ量と、ワークWのひずみ量が別々に計算される。そして、マスクMの中心とワークWの中心の位置ずれ量と、ワークWのひずみ量が、それぞれ許容値以下であるかどうか判断する(ステップS3)。
【0046】
マスクMの中心とワークWの中心の位置ずれ量が許容値を越えている場合には、不図示のマスクMのアライメント機構による補正量を指令値として算出し、ワークWのひずみ量が許容値を越えている場合には、平面ミラー68の補正量、具体的には、各ミラー変形ユニット70の移動量を指令値として算出する。
【0047】
そして、ステップS4にて、マスクMのアライメント機構を駆動制御することにより、ワークW及びマスクM同士のアライメント(ずれ補正)が行われる。これにより、例えば、
図6に示すように、各CCDカメラ30の中心、即ち、マスクMの各アライメントマークMaと、ワークWの各アライメントマークWaの位置ずれ量の合計が最小となり、マスクMのアライメントマークMaとワークWのアライメントマークWaのずれは主に、ワークWのひずみに起因するものとなる。
【0048】
次に、ステップS5にて、ワークWの被露光領域の形状に対応するため、平面ミラー68の曲率を補正して、露光光のデクリネーション角を補正する。具体的には、
図7に示すようなワークWのひずみ量α、βに基づいて、各ミラー変形ユニット70の移動量に関する指令値を各モータ74へ送り、接触式センサ81によって平面ミラー68の変位量を確認しながら、各モータ74が駆動制御される。
【0049】
また、この曲率補正の際、反射板92を露光光の光束の光路上に進出させると共に、マスクMの上方に位置するレーザポインタ91が、平面ミラー68に向けてレーザ光Lを照射する。これによって、カメラ93は、
図9に示すような、反射板92に映りこんだ曲率補正前のレーザ光L(図中、黒丸)と、曲率補正後のレーザ光L´(図中、白丸)とを撮像する。
【0050】
そして、アライメント機構による補正、及び平面ミラー68による補正が行われた後、再度ステップS2にて、ワークWのアライメントマークWaとマスクMのアライメントマークMaを4箇所のCCDカメラ30で検出する。ここで、
図8(b)及び(c)から明らかなように、CCDカメラ30は、マスクMの光路側に位置するので、平面ミラー68を介した光を受けることができない。このため、CCDカメラ30は、平面ミラー68の曲げ補正によって矯正される両アライメントマークの位置については検出することができず、
図7(b)及び(c)と同様、アライメント機構による補正後のワークWのアライメントマークWaとマスクMのアライメントマークMaを検出する。従って、補正後のステップS3にて、マスクMの中心とワークWの中心の位置ずれ量に基づくアライメント機構による補正量が許容値以下であるかどうかを判断する。
【0051】
また、ステップS3では、制御部94が、カメラ93によって撮像されたレーザ光L、L´の位置を、曲率補正前と曲率補正後の変位量S1,S2として検出し、該変位量S1,S2がワークWのひずみ量α、βに対応しているかどうか、具体的には、レーザ光L、L´の変位量S1,S2がワークWのひずみ量α、βに対応する値に対して許容範囲内であるかを確認する。そして、該変位量S1,S2がワークWのひずみ量α、βに対応する値の許容範囲内となるまで、平面ミラー68のミラー変形ユニット70のモータ74に制御信号を与えて、平面ミラー68による曲率補正が行われる。
【0052】
次に、ステップS3にて計算された位置ずれ量、ひずみ量が許容値以下である場合には、ステップS6へ移行する。平面ミラー68のモータ74により、平面ミラー68の曲率が局部的に曲率補正されると、マスクMに向けて照射される露光光の照度分布が悪化する可能性がある。このため、ステップS6では、まず、露光光を照射して、照度センサ95で露光光の照度を測定する。そして、制御部94は、露光面側での照度分布が均一、具体的には、照度のばらつきが所定の範囲内となるように、平面ミラー66の各ミラー変形ユニット70の移動量に関する指令値を各モータ74へ送り、接触式センサ81によって平面ミラー66の変位量を確認しながら、各モータ74が駆動制御される。これにより、平面ミラー66のミラー変形ユニット70のモータ74を制御して平面ミラー66の曲率を変更することで、露光光のデクリネーション角を変更し、照度分布を向上させることができる。
【0053】
その後、ステップS7へ移行し、照明光学系3からマスクMに向けて露光光を照射し、ワークWの被露光領域A(例えば、下地パターン)に照射される。これにより、マスクMのパターンがワークWの被露光領域Aの形状と一致した状態で、ワークWの表面に露光転写される。
【0054】
上記露光転写が行われた後、ワークステージ2をマスクMに対してX軸方向とY軸方向の二軸方向にステップ移動させ(ステップS8)、ステップ毎に上記と同様の工程を経て新たな露光転写が行われる。
【0055】
なお、平面ミラー66,68の反射面形状は、放物曲線又は楕円曲線の組合せとなるようにミラー変形ユニット70により曲率が局部的に補正される。また、コリメーションミラー67の反射面形状は、放物曲線又は楕円曲線である。これにより、マルチランプユニット60から照射され、複数のミラー66,67,68、及びマスクMを介してワークWに入射する光は、デクリネーション角が補正され、照度分布が調整された平行光となるので、露光精度を高めることができる。
【0056】
また、平面ミラー66,68の反射面形状を、放物曲線又は楕円曲線の組合せとなるようにミラー変形ユニット70により曲率を局部的に補正し、コリメーションミラー67の反射面形状を球面形状(凹面)とすれば、平面ミラー66からの反射光が平行光となってコリメーションミラー67に入射し、コリメーションミラー67からの反射光は、コリメーションミラー67の曲率中心に収束するように進行する。これにより、曲率補正された平面ミラー68の反射光は、デクリネーション角が調整された平行光となってワークWに入射し、露光精度が向上する。このとき、コリメーションミラー67の曲率中心と、平面ミラー68の焦点とを一致させると、更にデクリネーション角を改善することができる。
【0057】
以上説明したように、本実施形態の露光装置PE及び露光方法によれば、複数のミラー66,67,68の内の2つの平面ミラー66,68は、平面ミラー66,68の曲率を補正可能なミラー変形ユニット70を備え、インテグレータ65とマスクMとの間の光路ELに配設される。具体的には、露光光の光路EL順において、インテグレータ65の次に配置される平面ミラー66は、ミラー変形ユニット70を備え、更に、コリメーションミラー67、及びミラー変形ユニット70を備える平面ミラー68が配置される。これにより、ワークWがひずんでいる場合でもワークWの被露光領域の形状に応じて、平面ミラー68のミラー変形ユニット70で曲率を補正することによりマスクMのパターンを精度良く露光転写することができるとともに、平面ミラー68のミラー変形ユニット70で曲率を補正することにより生じる露光光の照度分布の悪化を、平面ミラー66の曲率を変更することでデクリネーション角を変えることで抑制し、照度分布を向上させて高解像度での露光を行うことができる。
【0058】
また、CCDカメラ30で検出されたワークWとマスクMのアライメントマークWa,Maのずれ量に基づいて、ワークWとマスクMとの位置ずれ量とワークWのひずみ量とを算出し、算出された位置ずれ量に基づいて、ワークWとマスクMとのアライメントを調整する。これにより、ワークWがひずんでいる場合のマスクMのパターンをより精度良く露光転写することができる。
【0059】
なお、ワークWのひずみ量は、本実施形態では、曲率補正量検出系90を用いて、CCDカメラ30で検出されたワークWとマスクMのアライメントマークWa,Maのずれ量に基づいて計算しているが、本発明は、これに限定されない。例えば、後述の第3実施形態のように、一度、ワークWにマスクMのパターンを露光転写し、図示しない測長機によって、ワークWに転写されたパターンを測定することで、ワークWのひずみ量を計算してもよい。
【0060】
(第2実施形態)
次に、
図10を参照して、本発明に係る露光装置の第2実施形態について説明する。なお、本実施形態の照明光学系3は、第1実施形態の照明光学系と同様の構成を有するので、第1実施形態と同一又は同等部分については、図面に同一符号を付してその説明を省略或いは簡略化する。
【0061】
本実施形態の照明光学系3は、
図10に示すように、露光光の光路EL順において、オプティカルインテグレータ65の下流側に、平面ミラー66、コリメーションミラー67、及び平面ミラー68が配置されており、コリメーションミラー67、及びコリメーションミラー67の次に配置される平面ミラー68の裏面側に、複数のミラー変形ユニット70が配設されて、コリメーションミラー67及び平面ミラー68の曲率が局部的に補正可能となっている。
【0062】
このような構成を有する本実施形態の照明光学系3においても、平面ミラー68の曲率が局部的に曲率補正されることにより、露光光の照度分布が悪化する可能性がある場合であっても、コリメーションミラー67の曲率を変更することで、露光光のデクリネーション角を変更し、照度分布を向上させることができる。
【0063】
また、コリメーションミラー67の反射面形状を球面形状(凹面)とし、平面ミラー68の反射面形状を、放物曲線又は楕円曲線となるようにミラー変形ユニット70により曲率を局部的に補正すれば、平面ミラー66からの反射光がコリメーションミラー67に入射すると、その反射光は、コリメーションミラー67の曲率中心に収束するように進行する。そして、曲率補正された平面ミラー68の反射光は、デクリネーション角及び照度分布が調整された平行光となってワークWに入射し、露光精度が向上する。このとき、コリメーションミラー67の曲率中心と、平面ミラー68の焦点とを一致させると、更にデク
リネーション角を改善することができる。
【0064】
以上説明したように、本実施形態の本実施形態の露光装置PE及び露光方法によれば、露光光の光路EL順において、インテグレータ65の次に平面ミラー66、ミラー変形ユニット70を備えるコリメーションミラー67、及びミラー変形ユニット70を備える平面ミラー68が、この順で配置される。この場合にも、ワークWの被露光領域の形状に応じてマスクMのパターンを精度良く露光転写することができるとともに、露光光の照度分布を向上させて露光精度を高めることができる。
その他の構成及び作用効果については、上記第1実施形態と同様である。
【0065】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態の露光装置及び露光方法について、
図11及び12を参照して説明する。第1及び第2実施形態の露光装置PEでは、ミラー変形ユニット70が2つの平面ミラー66,68、または、コリメーションミラー67と平面ミラー68に設けられた場合について説明したが、本実施形態では、
図11に示すように、ミラー変形ユニット70が平面ミラー68に設けられた場合について説明する。
ただし、本実施形態の露光方法は、第1及び第2実施形態の露光装置PEにも適用可能であり、その場合には、ミラー曲げ機構を備えるマスク側の反射鏡の制御に適用することができる。
【0066】
ここで、本実施形態の露光方法においても、第1実施形態と同様に、露光時にワークWがひずんで被露光領域が矩形とならず、例えば、平行四辺形となる場合(
図5参照。)を例に説明する。
【0067】
まず、露光位置にワークWが搬送され(ステップS1)、ワークWのアライメントマークWaとマスクMのアライメントマークMaを、4箇所のCCDカメラ30で検出する(ステップS2)。そして、図示しない制御部にて、各CCDカメラ30が検出した両アライメントマークWa、Maのずれ量に基づいて、マスクMの中心とワークWの中心の位置ずれ量と、ワークWのひずみ量が別々に計算される。そして、マスクMの中心とワークWの中心の位置ずれ量と、ワークWのひずみ量が、それぞれ許容値以下であるかどうか判断する(ステップS3)。
【0068】
マスクMの中心とワークWの中心の位置ずれ量が許容値を越えている場合には、不図示のマスクMのアライメント機構による補正量を指令値として算出し、ワークWのひずみ量が許容値を越えている場合には、平面ミラー68の補正量、具体的には、各ミラー変形ユニット70の移動量と、マスクMとワークWのギャップ量、即ち、上下微動装置8の駆動量を指令値として算出する。
【0069】
そして、ステップS4にて、マスクMのアライメント機構を駆動制御することにより、ワークW及びマスクM同士のアライメント(ずれ補正)が行われる。これにより、例えば、
図6に示すように、各CCDカメラ30の中心、即ち、マスクMの各アライメントマークMaと、ワークWの各アライメントマークWaの位置ずれ量の合計が最小となり、マスクMのアライメントマークMaとワークWのアライメントマークWaのずれは主に、ワークWのひずみに起因するものとなる。
【0070】
次に、ステップS5にて、ワークWの被露光領域の形状に対応するため、平面ミラー68の曲率を補正して、露光光のデクリネーション角を補正するとともに、ステップS9にて、上下微動装置8によって、マスクMとワークWのギャップ量を補正する。具体的には、
図7に示すようなワークWのひずみ量α、βに基づいて、各ミラー変形ユニット70の移動量に関する指令値が各モータ74へ送られ、また、ワークステージ2の移動量に関する指令値が上下微動装置8に送られる。
【0071】
ここで、ワークWのひずみ量α、βは、平面ミラー68の曲率を補正するのみでも補正することができるが、その場合、平面ミラー68の曲率補正量が大きくなってしまい、平面ミラー68の曲率を補正することにより生じる露光光の照度分布への影響が大きくなってしまう。このため、本実施形態のように、ワークWのひずみ量α、βに応じて、平面ミラー68の曲率補正と、ギャップ補正とを行うことで、平面ミラー68の曲率補正量を減らすことが可能となり、照度分布を向上させて高解像度での露光を行うことができる。
【0072】
各モータ74は、接触式センサ81によって平面ミラー68の変位量を確認しながら、駆動制御される。また、この曲率補正の際、反射板92を露光光の光束の光路上に進出させると共に、マスクMの上方に位置するレーザポインタ91が、平面ミラー68に向けてレーザ光Lを照射する。これによって、カメラ93は、
図9に示すような、反射板92に映りこんだ曲率補正前のレーザ光L(図中、黒丸)と、曲率補正後のレーザ光L´(図中、白丸)とを撮像する。
【0073】
そして、アライメント機構による補正、平面ミラー68による補正、及びギャップ補正が行われた後、再度ステップS2にて、ワークWのアライメントマークWaとマスクMのアライメントマークMaを4箇所のCCDカメラ30で検出する。また、2回目以降のステップS2では、併せて、露光光を照射して、照度センサ95で露光光の照度を測定する。ここで、
図8(b)及び(c)から明らかなように、CCDカメラ30は、マスクMの光路側に位置するので、平面ミラー68を介した光を受けることができない。このため、CCDカメラ30は、平面ミラー68の曲げ補正によって矯正される両アライメントマークの位置については検出することができず、
図7(b)及び(c)と同様、アライメント機構による補正後のワークWのアライメントマークWaとマスクMのアライメントマークMaを検出する。従って、補正後のステップS3にて、マスクMの中心とワークWの中心の位置ずれ量に基づくアライメント機構による補正量が許容値以下であるかどうかを判断する。
【0074】
また、ステップS3では、制御部94が、カメラ93によって撮像されたレーザ光L、L´の位置を、曲率補正前と曲率補正後の変位量S1,S2として検出し、該変位量S1,S2がワークWのひずみ量α、βに対応しているかどうか、具体的には、レーザ光L、L´の変位量S1,S2がワークWのひずみ量α、βに対応する値に対して許容範囲内であるかを確認する。また、併せて、照度センサ95で測定された照度の低下量が許容値以下であるかどうかを確認する。そして、該変位量S1,S2がワークWのひずみ量α、β
に対応する値の許容範囲内、また、照度センサ95で測定された照度の低下量が許容値以下となるまで、平面ミラー68のミラー変形ユニット70のモータ74に制御信号を与えて、平面ミラー68による曲率補正、及びギャップ補正が行われる。
【0075】
次に、ステップS3にて計算された位置ずれ量、ひずみ量、及び照度の低下量が許容値以下である場合には、ステップS7へ移行する。そして、照明光学系3からマスクMに向けて露光光を照射し、ワークWの被露光領域A(例えば、下地パターン)に照射される。これにより、マスクMのパターンがワークWの被露光領域Aの形状と一致した状態で、ワークWの表面に露光転写される。
【0076】
上記露光転写が行われた後、ワークステージ2をマスクMに対してX軸方向とY軸方向の二軸方向にステップ移動させ(ステップS8)、ステップ毎に上記と同様の工程を経て新たな露光転写が行われる。
【0077】
以上説明したように、本実施形態の露光装置PE及び露光方法によれば、ワークのひずみ量に応じて、ミラー変形ユニット70によって、平面ミラー68の曲率を補正するとともに、送り機構によって、マスクとワークとのギャップを補正する。即ち、ギャップ補正を行うことで、平面ミラー68の曲率補正量を減らすことができ、平面ミラー68の曲率を補正することにより生じる露光光の照度分布への影響を減らすことが可能となり、照度分布を向上させて高解像度での露光を行うことができる。
【0078】
また、平面ミラー68より露光面側から平面ミラー68に向けてレーザ光Lを照射するレーザポインタ91と、平面ミラー68で反射されたレーザ光Lが投影される反射板92と、平面ミラー68を介して、反射板92に映りこんだレーザ光Lを撮像するカメラ93と、平面ミラー68の曲率を補正した際に撮像されるレーザ光Lの変位量を検出する制御部94と、を有する曲率補正量検出系90をさらに備え、ミラー変形ユニット70は、レーザ光Lの変位量を曲率補正量検出系90で検出しながら、平面ミラー68の曲率を補正する。これにより、レーザ光Lの変位量を撮像しながら、ワークWのひずみ量に応じて平面ミラー68の曲率補正を確実に行うことができる。
【0079】
ワークステージ2に設けられ、ワークステージ2に照射される照度を測定する照度センサ95をさらに備え、露光光を照射して照度センサ95によってワークステージ2に照射される照度を測定し、マスクMとワークWの位置ずれ量、ワークWのひずみ補正後のずれ量、及び照度の低下量が許容値以下となるように上記補正を繰り返すことで、より確実に照度分布を向上させて高解像度での露光を行うことができる。
【0080】
(第4実施形態)
次に、
図13を参照して、本発明に係る露光装置及び露光方法の第4実施形態について説明する。なお、本実施形態の露光方法では、
図13に示すように、第3実施形態の
図12と異なる方法で、マスクとワークの位置ずれ量、及びワークのひずみ量の補正を行っており、本実施形態の露光装置では、第1〜第3実施形態のものと比較して曲率補正検出系を備えない構成である。その他の構成については、第1〜第3実施形態と同様であり、第1〜第3実施形態と同一又は同等部分については、図面に同一符号を付してその説明を省略或いは簡略化する。
【0081】
以下、本実施形態の露光方法についても、露光時にワークWがひずんで被露光領域が矩形とならない場合を例に説明する。
この実施形態では、まず一度、ワークWにマスクMのパターンを露光転写し、図示しない測長機によって、ワークWに転写されたパターンを測定する(ステップS11)。そして、測定されたパターンに基づいて、マスクMの中心とワークWの中心の位置ずれ量と、ワークWのひずみ量が別々に計算される。そして、マスクMの中心とワークWの中心の位置ずれ量と、ワークWのひずみ量が、それぞれ許容値以下であるかどうか判断する(ステップS12)。
【0082】
そして、マスクMの中心とワークWの中心の位置ずれ量が許容値を越えている場合には、マスクMのアライメント機構による補正量を指令値として算出し、ステップS13にて、マスクMのアライメント機構を駆動制御することにより、ワークW及びマスクM同士のアライメント(ずれ補正)が行われる。
【0083】
また、ワークWのひずみ量が許容値を越えている場合には、平面ミラー68の補正量、具体的には、各ミラー変形ユニット70の移動量と、マスクMとワークWのギャップ量、即ち、ワークステージ2の移動量を指令値として算出する。
【0084】
そして、ステップS14にて、ワークWの被露光領域の形状に対応するため、平面ミラー68の曲率を補正して、露光光のデクリネーション角を補正するとともに、ステップS15にて、上下微動装置8によって、マスクMとワークWのギャップ量を補正する。
【0085】
ここで、本実施形態においても、ワークWのひずみ量は、平面ミラー68の曲率を補正するのみでも補正することができるが、その場合、平面ミラー68の曲率補正量が大きくなってしまい、平面ミラー68の曲率を補正することにより生じる露光光の照度分布への影響が大きくなってしまう。このため、本実施形態のように、ワークWのひずみ量に応じて、平面ミラー68の曲率補正と、ギャップ補正とを行うことで、平面ミラー68の曲率補正量を減らすことが可能となり、照度分布を向上させて高解像度での露光を行うことができる。
【0086】
そして、アライメント機構による補正、平面ミラー68による補正、及びギャップ補正が行われた後、再度試し露光が行われ(ステップS16)、露光結果を測長する(ステップS17)。そして、ステップS12に戻り、ここでは、マスクMの中心とワークWの中心の位置ずれ量と、ワークWのひずみ量に加え、測定されたパターンから照度も判断する。なお、照度は、試し露光の際に、照度センサ95によって測定した照度を用いてもよい。
【0087】
そして、マスクMとワークWの位置ずれ量、ワークWのひずみ補正後のずれ量、及び照度の低下量が許容値以下となったかどうか判断し、ステップS12にて計算された位置ずれ量、ひずみ量、及び照度の低下量が許容値以下である場合には、ステップS18へ移行する。そして、照明光学系3からマスクMに向けて露光光を照射し、ワークWの被露光領域A(例えば、下地パターン)に照射される。これにより、マスクMのパターンがワークWの被露光領域Aの形状と一致した状態で、ワークWの表面に露光転写される。
【0088】
上記露光転写が行われた後、ワークステージ2をマスクMに対してX軸方向とY軸方向の二軸方向にステップ移動させ(ステップS19)、ステップ毎に上記と同様の工程を経て新たな露光転写が行われる。
【0089】
以上説明したように、本実施形態の本実施形態の露光装置PE及び露光方法によれば、ワークWに転写されたパターンを測定し、測定されたパターンに基づいて、ミラー変形ユニット70によって、平面ミラー68の曲率を補正するとともに、上下微動装置8によって、マスクMとワークWとのギャップを補正する。即ち、ギャップ補正を行うことで、平面ミラー68の曲率補正量を減らすことができ、平面ミラー68の曲率を補正することにより生じる露光光の照度分布への影響を減らすことが可能となり、照度分布を向上させて高解像度での露光を行うことができる。
【0090】
また、本実施形態によれば、測定されたパターンに基づいて、マスクMのアライメント機構は、ワークWとマスクMとのアライメント補正をさらに行うので、高解像度での露光を行うことができる。
なお、本実施形態では、測定されたパターンに基づいて、アライメント補正を行っているが、第1実施形態と同様に、試し露光の前に、ワークWのアライメントマークWaとマスクMのアライメントマークMaを4箇所のCCDカメラ30で検出して、マスクMの中心とワークWの中心の位置ずれ量を補正してもよい。
【0091】
さらに、マスクMとワークWの位置ずれ量、ワークWのひずみ補正後のずれ量、及び照度の低下量が許容値以下となるように上記補正を繰り返すことで、より確実に照度分布を向上させて高解像度での露光を行うことができる。
その他の構成及び作用効果については、上記第3実施形態と同様である。
【0092】
(第5実施形態)
次に、
図14を参照して、本発明に係る露光装置及び露光方法の第5実施形態について説明する。なお、本実施形態の露光方法では、第3実施形態の露光方法と第4実施形態の露光方法を実質的に組み合わせたものである。
【0093】
即ち、まず、第3実施形態と同様に、ステップS1〜S3にて、各CCDカメラ30が検出した両アライメントマークWa、Maのずれ量に基づいて、マスクMの中心とワークWの中心の位置ずれ量と、ワークWのひずみ量を別々に計算する。そして、ステップS4、S5、S9にて、ワークW及びマスクMのアライメント、平面ミラー68の曲率補正、及び、マスクMとワークWのギャップ量の補正を行う。
【0094】
次に、ステップS6には、露光光を照射して、照度センサ95で露光光の照度を測定し、露光面側での照度のばらつきが所定の範囲内となるように、平面ミラー66の曲率補正を行う。
【0095】
その後、ステップS10にて、試し露光を行い、露光結果が良好かどうか判断し、良好な場合には、ステップS18にて、露光転写が行われ、さらにステップS19にて、ステップ露光が行われる。
【0096】
一方、ステップS10にて、試し露光の結果が良好でない場合には、さらに、ステップS13〜S15にて、ワークW及びマスクMのアライメント、平面ミラー68の曲率補正、及び、マスクMとワークWのギャップ量の補正を行う。
【0097】
そして、さらに、ステップS16にて試し露光を行い、露光結果を測定(ステップS17)し、測定器より露光結果を入力して、ステップS3に戻し、ステップS10における試し露光が良好な露光結果となるまで繰り返す。
【0098】
したがって、本実施形態によれば、曲率補正量検出系90によるワークのひずみ量の補正と照度分布の補正、及び、実際の露光パターンによるワークのひずみ量の補正と照度分布の補正を行うことができるので、より高精度な露光を実現することができる。
【0099】
(第6実施形態)
次に、
図15及び
図16を参照して、本発明に係る露光装置の第6実施形態について説明する。なお、本実施形態では、平面ミラー68にミラー変形ユニット70が設けられた場合を例に説明する。
【0100】
本実施形態では、
図15及び
図16に示すように、平面ミラー68の裏面と、平面ミラー68に接着されたパッド72とを連結するように、検出ワイヤ85が、接着剤により固定されている。接着剤は、パッド72を平面ミラー68に接着する接着剤と同一のものが使用されている。検出ワイヤ85は、1つのパッド72に対して複数個所(図に示す実施形態では3ヶ所)において、パッド72上に設定されたパッド側固定部85aと、パッド72の周縁部72aに近接した平面ミラー68上のミラー側固定部85bとの間に架け渡され、且つ、複数(
図15に示す実施形態では19か所)のパッド72が1本の検出ワイヤ85で連結されて配索される。
【0101】
1つのパッド72に対して複数個所で固定されて、複数のパッド72に配索された1本の検出ワイヤ85の両端部間には、検出ワイヤ85の導通、非導通、即ち、検出ワイヤ85の断線の有無を検出可能な検出装置86が接続されている。
【0102】
パッド72上のパッド側固定部85aと、平面ミラー68上のミラー側固定部85bと、の間を繋ぐ検出ワイヤ85の接続部85cには、僅かな弛みが設けられている。これにより、モータ74により平面ミラー68の曲率が補正されて平面ミラー68の形状が変化しても、検出ワイヤ85がよじれなどの影響によって断線するのが防止される。
【0103】
なお、検出ワイヤ85が固定されるパッド72のパッド側固定部85a及び平面ミラー68のミラー側固定部85b近傍の検出ワイヤ85は、太くしたり、あるいは別部材で保護して、パッド側固定部85a、ミラー側固定部85bでの断線を抑制するようにしてもよい。
【0104】
このように構成された照明光学系3において、接着剤によるパッド72と平面ミラー68との接着が剥がれ、平面ミラー68からパッド72が離間すると、パッド72と平面ミラー68との間に配索されている検出ワイヤ85が断線する。この断線は、検出装置86により電気的に検出されて、作業者に警告が送信される。
【0105】
また、複数のパッド72は、1本の検出ワイヤ85により連結して配索されているので、複数のパッド72のうち、どのパッド72が剥がれても直ちに検出することができる。また、各パッド72には、検出ワイヤ85が3ヶ所で固定されているので、あらゆる方向の平面ミラー68の剥がれを検出することができる。これにより、平面ミラー68からの反射光の光束の乱れを防止することができ、精度の高い露光性能を維持することができる。
【0106】
以上説明したように、本実施形態の露光装置PEによれば、平面ミラー68は、接着剤により接着されたパッド72を介して平面ミラー68を保持する保持部材73によって保持され、平面ミラー68及びパッド72に固定して配索され、接着剤による平面ミラー68とパッド72との接着が剥がれたとき断線可能な検出ワイヤ85と、検出ワイヤ85の断線を検出する検出装置86と、を備えるため、検出ワイヤ85の断線により平面ミラー68とパッド72との接着剥がれを検出することができる。これにより、平面ミラー68による反射光の光束の乱れを防止して露光性能を維持することができる。
【0107】
また、検出ワイヤ85は、1つのパッド72に対して複数(図に示す実施形態では3ヶ所)の位置で、パッド72と平面ミラー68との間に配索されるため、平面ミラー68とパッド72との接着剥がれを確実に検出することができる。
【0108】
更に、平面ミラー68は、接着剤により接着された複数のパッド72により保持部材73に保持され、複数のパッド72及び平面ミラー68には、連続する1本の検出ワイヤ85が固定されて配索されるため、複数(図に示す実施形態では19ヶ所)のパッド72の接着剥がれを、1本の検出ワイヤ85で監視して検出することができる。
【0109】
また、検出ワイヤ85は、平面ミラー68とのミラー側固定部85bと、パッド72とのパッド側固定部85aとの間に、平面ミラー68の姿勢変化を許容する弛みを有するため、平面ミラー68の姿勢変化による検出性能への影響を防止することができ、接着剥が
れ検出の信頼性が向上する。
【0110】
更に、平面ミラー68の反射面を変形可能なモータ74を更に備えるため、平面ミラー68の曲率補正を行うことができ、更に曲率補正による接着剥がれを検出することができる。
【0111】
なお、本実施形態では、平面ミラー68の表裏面を挟む支持部75にパッド72が取り付けられている場合でも、検出ワイヤ85は、平面ミラー68とパッド72とに接着されていたが、これに限らず、支持部75とパッド72とに接着されてもよい。
また、本実施形態では、検出ワイヤ85は、モータ74によって曲率補正を行う平面ミラー68に適用されているが、これに限らず、パッド72を反射鏡に接着して、反射鏡を
保持部材に保持させる構成であれば、駆動手段を有しない構成に適用可能である。
また、保持部材も、パッドを介して反射鏡を保持する構成であれば、任意の構成とすることができる。
さらに、本実施形態の反射鏡は、平面ミラーに限定されず、凸面ミラーや凹面ミラーであってもよい。
【0112】
尚、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。