(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6574096
(24)【登録日】2019年8月23日
(45)【発行日】2019年9月11日
(54)【発明の名称】周期性呼吸を治療するための方法および装置
(51)【国際特許分類】
A61M 16/00 20060101AFI20190902BHJP
【FI】
A61M16/00 320B
A61M16/00 343
A61M16/00 366
【請求項の数】10
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-65946(P2015-65946)
(22)【出願日】2015年3月27日
(65)【公開番号】特開2015-188760(P2015-188760A)
(43)【公開日】2015年11月2日
【審査請求日】2018年2月8日
(31)【優先権主張番号】10 2014 004 447.5
(32)【優先日】2014年3月28日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】517191714
【氏名又は名称】レーヴェンシュタイン メディカル テクノロジー エス.アー.
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(72)【発明者】
【氏名】マティアス シュヴァイボールド
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ シュレーター
【審査官】
川島 徹
(56)【参考文献】
【文献】
特表2007−516751(JP,A)
【文献】
国際公開第2013/172722(WO,A1)
【文献】
特表2004−500969(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 16/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
周期性呼吸の患者への呼吸ガス供給時に換気パラメータを設定するための制御可能な呼吸ガス源、
換気パラメータの現在の値(30’)を算出するための手段(21、22)、
先行する換気パラメータの値(30)を呼び出し可能に備蓄するための記憶手段(22)、
先行する換気パラメータの値(30)と比べた換気パラメータの現在の値(30’)の変化(上昇/降下)に関する値(31)を導き出すための比較手段、
呼吸の現在の値(40’)を算出するための手段(21)、
先行する呼吸の値(40)を呼び出し可能に備蓄するための記憶手段(22)、
先行する呼吸の値(40)と比べた呼吸の現在の値(40’)の変化(上昇/降下)に関する値(41)を導き出すための比較手段、
前記値(31)及び前記値(41)の少なくとも一つから呼吸努力の変化(上昇/降下)に関する値(50)を導き出すための比較手段、
前記値(50)に依存して少なくとも一つの換気パラメータを制御する制御装置を装備し、
前記制御装置が、先行する複数の呼吸の呼吸努力の変化(50)に依存して、続く呼吸のために、少なくともIPAP圧および/またはEPAP圧を制御し、
前記制御装置が、その位相では呼吸努力が呼吸から呼吸へと20%未満だけ異なる、おおかた安定した呼吸を伴う位相において、IPAP圧とEPAP圧との間の差異としての圧力ストロークを徐々に、あらかじめ選択した基本補助へと導き、
患者の自然呼吸の圧力曲線および/または流量曲線および/または呼吸頻度の記録が、少なくとも一時的に、IPAP圧とEPAP圧とからの差異である圧補助の調節に使用されることを特徴とする、人工呼吸器。
【請求項2】
制御装置が、値(50)に関して勾配0を達成することを目的に、その値(50)に依存して少なくとも一つの換気パラメータを制御することを特徴とする、請求項1に記載の人工呼吸器。
【請求項3】
制御装置が、値(30’)に関して勾配0を達成することを目的に、その値(50)に依存して少なくとも一つの換気パラメータを制御することを特徴とする、請求項1または2に記載の人工呼吸器。
【請求項4】
夜間の換気変化時に、圧補助が、呼吸から呼吸へと20%未満で適合されることを特徴とする、請求項1に記載の人工呼吸器。
【請求項5】
2〜15cmH2Oまでの終末呼気圧(EPAP)が調整可能であることを特徴とする、請求項1〜4の少なくともいずれか一項に記載の人工呼吸器。
【請求項6】
吸気および呼気に関して、様々な圧力プロファイルが適用可能であることを特徴とする、請求項1〜5の少なくともいずれか一項に記載の人工呼吸器。
【請求項7】
閉塞症が、FOT(強制オシレーション)、および/またはフラットニング、および/またはいびき、および/または無呼吸、および/または強制換気へのフロー応答(Flowantwort)によって認識されることを特徴とする、請求項1〜6の少なくともいずれか一項に記載の人工呼吸器。
【請求項8】
心拍出量または血圧または心拍数またはSpO2(酸素飽和度)またはCO2が、適応可能モジュールを介して算出され、心拍出量または血圧または心拍数またはSpO2またはCO2の測定量が圧補助の算出に使用されることを特徴とする、請求項1〜7の少なくともいずれか一項に記載の人工呼吸器。
【請求項9】
人工呼吸器と接続された加湿器の出力調節が、圧補助の値に依存して行われることを特徴とする、請求項1〜8の少なくともいずれか一項に記載の人工呼吸器。
【請求項10】
初期の適応段階において、最適と算出された圧補助よりもわずかな圧補助が加えられることを特徴とする、請求項1〜9の少なくともいずれか一項に記載の人工呼吸器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チェーンストークス呼吸、周期性呼吸、および中枢性無呼吸または混合性無呼吸を治療するための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
呼吸が周期的に増加および減少するように自身の呼吸ドライブが乱されている患者がいる。一般的な補助法は、周期性呼吸の位相において換気圧を高める。
【0003】
欧州特許第1083953号は、チェーンストークス呼吸を治療するための方法を記載する。その際、最近数分間の換気量が連続的に測定および算出され、これが平均される。その上、先行する換気のうちのかなり長期的な換気からもたらされる、典型的には90%の目標体積が設定される。目標体積と現在の体積(aktuelles Volumen)との間に差異がある場合は、人工呼吸器による圧補助が高まる。その結果として、患者の現在の呼吸が、圧力ストロークによって、目標体積に達成するように補助されることになる。
この方法の不利点は、このアプローチが、呼吸状態は変化することがあり、全体として呼吸はむしろ無秩序であるということを考慮していないことである。呼吸状態の変化は、ここでは、目標換気の変化を引き起こす。
例えば、目標体積が、患者が集中的に呼吸した期間にわたって、例えば覚醒状態において算出され、この目標体積が、現在のあまり顕著でない、患者の睡眠中の呼吸と比較されると、欧州特許第1083953号のアルゴリズムは、圧補助を、患者の睡眠中の自然呼吸の程度を超えて高めるであろうが、なぜなら、前もって算出された目標体積が、覚醒状態の集中的な呼吸に基づいているからである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
それゆえ、患者の呼吸ドライブにおける変動を調整するための、ただし患者の現在の自然呼吸を合わせて考慮する適応性圧補助を提示することが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
周期性呼吸の患者への呼吸ガス供給時に換気パラメータを設定するための制御可能な呼吸ガス源、
換気パラメータの現在の値(Maβ)を算出するための手段、
先行する換気パラメータの値を呼び出し可能に備蓄するための記憶手段、
先行する換気パラメータと比べた現在の換気パラメータの変化(上昇/降下)に関する値を導き出すための比較手段、
呼吸の現在の値を算出するための手段、
先行する呼吸の値を呼び出し可能に備蓄するための記憶手段、
先行する呼吸と比べた現在の呼吸の変化(上昇/降下)に関する値を導き出すための比較手段、
それらの値の少なくとも一つから呼吸努力の変化(上昇/降下)に関する値を導き出すための比較手段、
その値に依存して少なくとも一つの換気パラメータを制御する制御装置
を装備した人工呼吸器。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図2】上図に患者の呼吸曲線、下図に人工呼吸器による圧補助(27)曲線を示す。
【
図3】周期性呼吸の患者への呼吸ガス供給時に換気パラメータを設定するための制御可能な呼吸ガス源、換気パラメータの現在の値(30’)を算出するための手段(21、22)、先行する換気パラメータの値(30)を呼び出し可能に備蓄するための記憶手段(22)、先行する換気パラメータと比べた現在の換気パラメータの変化(上昇/降下)に関する値(31)を導き出すための比較手段、呼吸の現在の値(40’)を算出するための手段(21)、先行する呼吸の値(40)を呼び出し可能に備蓄するための記憶手段(22)、先行する呼吸と比べた現在の呼吸の変化(上昇/降下)に関する値(41)を導き出すための比較手段、それらの値(31、41)の少なくとも一つから呼吸努力の変化(上昇/降下)に関する値(50)を導き出すための比較手段、その値(50)に依存して少なくとも一つの換気パラメータを制御する制御装置を装備した人工呼吸器を示す。
【
図4】人工呼吸器が、流量センサを利用して患者の呼吸を記録することにより、現在の呼吸に関する値を算出することを示す(「患者の流量」、32)。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1は、人工呼吸用装置の基本的な構造を示す。呼吸ガス源を機器内部空間に備えた、人工呼吸器(20)の機器ケーシング(1)の領域には、操作部(2)と、ディスプレイ(13)、少なくとも一つの操作パネル(14)を含むタッチパネル入力ユニット(15)からなる操作・情報システム(3)とが配置されている。制御ユニット(19)が、人工呼吸器のリアルタイム処理を制御するために利用される。連結部(4)を介して、接続ホース(5)が接続される。接続ホース(5)に沿ってさらに別の圧力測定ホース(6)が延在してもよく、この圧力測定ホースは、圧力インレットポート(7)を介して機器ケーシング(1)と接続可能である。データ転送を可能にするために、機器ケーシング(1)は、少なくとも一つのインタフェース(8)を有する。その上、加湿器(30)を適応させてもよい。接続ホース(5)の、機器ケーシング(1)から見て外方を向いた延長部の領域には、呼気エレメント(9)が配置されている。同じく、呼気弁が使用されてもよい。
【0008】
図1は、さらに、人工呼吸用マスク(10)として形成された、鼻マスクとして実現されている患者インタフェースを示す。患者の頭部領域での固定は、頭部カバー(11)を介して行うことが可能である。患者インタフェース(10)は、その、接続ホース(5)の側を向いた延長部の領域に、連結エレメント(12)を有する。インタフェース(8)を介して、データ、例えば、死腔量の入力および/または出力を行うことができる。インタフェースは、ケーブル接続、赤外線インタフェースとして、ブルートゥースインタフェースとして、またはUSBで実現されていてもよい。好ましくは、カードスロットも想定されている。インタフェース(8)は、LANインタフェースとして、またはインターネットに接続するためのその他のインタフェースとしても実施可能である。機器ケーシングの領域では、酸素供給弁(Sauerstoffzuschaltventil)を人工呼吸用装置に適応させてもよい。患者のケアを改善するために、呼吸ガスにさらに酸素を添加することが可能である。例えば、カードスロットまたはUSBとして実施されているインタフェース(8)を介して、治療とは異質のデータも、本発明による人工呼吸器にロードすること、ないしはその人工呼吸器によって実行することが可能である。つまり、例えば、写真またはビデオを、記憶媒体を利用し、インターフェース(8)を介してディスプレイの領域で表示することが意図されている。機器が外部記憶媒体を認識すると、ユーザは、操作パネル内の問い合わせを確認する必要があり、それに続いて、データが、選択により、人工呼吸器の領域において保存されるか、または実行される。本発明による人工呼吸器(20)は、換気を供給するために、ホースおよび患者インタフェースを介して、患者と接続可能であるように設計されている。この人工呼吸器は、例えば、ブロアホイールを備え付けた電気モータとして形成されている呼吸ガス源、および呼吸ガスの圧力および/または流量および/または体積を算出するための少なくとも一つのセンサ装置(21)、ならびに各呼吸周期を対象に、あらかじめ定められた患者用値に基づいて、および/またはパラメータ(圧力および/またはフローおよび/または体積)用の測定信号に基づいて呼吸ガス圧を定め、その呼吸ガス圧が産生されるように呼吸ガス源を調節するというように設計されている制御ユニット(19)を含む。
さらに、制御ユニット(19)は、呼吸ガスの現在の圧力および/またはフローおよび/または体積を特定し、その現在値を、制御ユニットと接続されている操作・情報システム(3)を介して表示するように設計されている。その上、制御ユニット(19)は、一つまたは複数のパラメータに関して、統計モジュール(23)を利用して、ある期間にわたる傾向変化を特定するように設計されており、ただし、その傾向変化は、記憶装置(22)に記憶可能であるか、またはディスプレイ上で表示可能である。
さらに、制御ユニット(19)は、ユーザが設定したようなパラメータ値、例えば、圧力上限値および圧力下限値、または時間単位当たりの最大限許容無呼吸回数、または最大限許容リーク量を、現在値と比較し、設定値からの逸脱に関するユーザ情報を生成する。このユーザ情報は、好ましくは、操作・情報システム(3)を介して、ディスプレイ(14)の領域で、図表により視覚化される。
こうして、例えば、測定された呼吸流量から、少なくとも3秒という期間の呼吸量(毎分換気量)の低下を介して、無呼吸および低呼吸が認識される。さらに、圧力変動およびフロー変動を介して、いびきが認識され、ならびに吸気フローコンターを介してフラットニングが認識される。その結果から、統計モジュール(23)により、各々の、十分に長時間の夜間治療のために、指標、つまり、AHI(=アーティファクトのない治療期間ごとの無呼吸+低呼吸の回数)、RDI(=アーティファクトのない治療期間ごとの全呼吸イベントの回数)、フラットニングを伴う呼吸の割合、いびきを伴う呼吸の割合が算出される。好ましくは、患者による機器の利用挙動または利用期間を推論させるデータも算出される。これらのデータは、毎日、毎週、または毎月、統計モジュールによって算出され保存される。需要に応じて、これらの利用データが、場合によっては機器識別、機器に関するデータ、および/または患者データないしは患者識別と共に保存される。
【0009】
機器に関するデータは、例えば、機種、シリアル番号、ファームウエアバージョン、電子機器バージョン、一つまたは複数の構成要素の運転時間、ならびにエラー記憶装置(Fehlerspeicher)であり得る。患者に関するデータは、例えば、氏名、識別番号、生年月日、保険番号、処方箋番号(Verordnungsnummer)または滞在地を含有し得る。
患者入力、例えば、主観的感覚、治療副作用、疾患の重度、または投薬も同様に、保存および表示可能である。さらに、機器設定、例えば、圧力(限界)、頻度、Ti/T、目標体積、トリガレベル、コンフォートセッティング(快適性設定)、気温および大気湿度に関する値、ならびに加湿器レベル、同じく利用データ、例えば、日ごとの時間数、または特定の期間内の時間数、平均時間、最短/最長時間、閾値よりも多く利用した日数の割合、加湿器に関する利用情報等々もまた保存および表示可能である。
すでに記載したAHIおよびRHI(反応性充血指数)のような指標に加えて、さらに別の治療品質指標、例えば、いびき指数、RERA(呼吸努力関連覚醒反応)指数、oAHI(閉塞性無呼吸低呼吸指数)、zAHI(中枢性無呼吸低呼吸指数)、周期性呼吸/CS呼吸に関する指数、体積指数、睡眠品質指数、酸素指数、CO2指数、呼吸仕事量指数、トリガ品質指数、自発呼吸を伴う/伴わない呼吸の割合ないしは特定の圧力限界での呼吸の割合、圧力のパーセンタイル、頻度、体積、閉塞度、Ti/Tまたは類似のパラメータ、血圧指数、血糖指数、心拍数指数が、統計モジュールを利用して、算出、保存および表示可能である。
【0010】
操作パネル(14)またはユーザ用情報を表示するための、照明付きまたはバックライト付きディスプレイ(13)、および例えば、機械的入力ユニットとして形成されていることも可能な、表示される操作パネル(14)に対して空間的に近くにあるタッチパネル入力ユニット(15)を装備した人工呼吸器(20)用操作・情報システム(3)。具体的な一実施形態では、例えば、いわゆるタッチスクリーンの形態のマンマシンインタフェースであって、ただし、当業者は異なる型を知っており、そのすべてが、本発明による操作・情報システム(3)の構成要素として考慮の対象になる。ディスプレイの領域には、少なくとも一つの第一の操作パネルおよび第二の操作パネルが表示される。制御ユニット(19)は、ディスプレイ(13)上にメニューを表示するために形成されている。ディスプレイ(13)およびタッチパネル入力ユニット(15)と連結されている処理ユニット(18)は、入力ユニット(15)を介した操作パネル(14)の操作を把握するため、およびそれに依存して、制御ユニット(19)を介してメニューの機能を制御するために形成されている。
【0011】
現在の設定、システム状況、患者データ、および制御ユニットが実行する換気制御ソフトウェアを保存するために、記憶装置(22)を使用してもよい。その上、制御ユニットは、患者データおよび帰属の人工呼吸器操作パラメータを保存するために、記憶用装置、例えば、電池を用いる緩衝記憶装置(mittels einer Batterie gepufferter Speicher)、メモリカード、ハードディスク、ディスクドライブ、テープドライブ、またはその他の任意の記憶媒体と接続されていてもよい。制御ユニットは、人工呼吸器(20)を制御するために、操作システムによって受信される入力を受け入れる。その上、人工呼吸器は、状況標識、患者データおよび人工呼吸器設定を保存するためのディスプレイ、ならびに人工呼吸器の状況に関して聞き取り可能なデータを提供するオーディオジェネレータを有してもよい。
【0012】
図2は、上図に患者の呼吸曲線を示す。ここでは、流量センサを利用して、流量が算出され記録された。吸気のおよそ中央にあるピーク流量(25)、および患者がその吸気で吸い込む一回換気量(26)が記入されている。毎分換気量は、一分当たりの吸気量であって、
図2によると、あらゆる時点において算出可能である。
図2は、下図に人工呼吸器による圧補助(27)曲線を示す。ここでは、圧力センサを利用して、圧力が算出され記録された。吸気のおよそ中央で達成されるIPAP(吸気気道陽圧)(28)が記入されている。その上、呼気圧EPAP(呼気気道陽圧)(29)が記入されている。IPAPとEPAPからの差異が、圧補助(27)である。圧補助による換気(PDIFF(圧力差))が、圧力の呼吸位相同調印加によって、患者の呼吸の一回換気量および/または毎分換気量を高め、それゆえ肺の換気を改善する。
【0013】
図3は、周期性呼吸の患者への呼吸ガス供給時に換気パラメータを設定するための制御可能な呼吸ガス源、換気パラメータの現在の値(30’)を算出するための手段(21、22)、先行する換気パラメータの値(30)を呼び出し可能に備蓄するための記憶手段(22)、先行する換気パラメータと比べた現在の換気パラメータの変化(上昇/降下)に関する値(31)を導き出すための比較手段、呼吸の現在の値(40’)を算出するための手段(21)、先行する呼吸の値(40)を呼び出し可能に備蓄するための記憶手段(22)、先行する呼吸と比べた現在の呼吸の変化(上昇/降下)に関する値(41)を導き出すための比較手段、それらの値(31、41)の少なくとも一つから呼吸努力の変化(上昇/降下)に関する値(50)を導き出すための比較手段、その値(50)に依存して少なくとも一つの換気パラメータを制御する制御装置を装備した人工呼吸器を示す。
この人工呼吸器は、流量センサおよび/または圧力センサ(21)を利用して患者の呼吸を記録することにより、現在の呼吸の値を算出する。現在の呼吸に関する値(40’)は、圧力および/または流量曲線から、例えば、ピーク流量(25)、および/または体積、および/または一定時間当たり体積、および/または現在の流量、および/または一回換気量(26)、および/または相対体積、および/または毎分換気量として算出される。その際、現在の呼吸に関する値(40’)は、好ましくは、たった一回の呼吸、つまり最後の呼吸のみに関する。人工呼吸器は、現在の呼吸のこの値を、記憶装置(22)に保存する。人工呼吸器は、運転中それゆえ連続的に、つまり呼吸ごとに、現在の呼吸の値(40’)を記録するため、記憶装置中には最後の呼吸の値および最後から二番目の呼吸の値が時間順に存在する。最後の呼吸の呼吸(40’)および最後から二番目の呼吸の呼吸(40)の程度の値から、人工呼吸器が、差引勘定により、呼吸の変化(上昇/下降)に関する値(41)を算出する。
人工呼吸器は、流量センサおよび/圧力センサを利用して、機器による換気を記録するか、または適用された値を使用することにより、現在の換気(例えば、圧補助、圧力ストローク、または頻度)に関する値を算出する。現在の換気に関する値(30’)は、例えば、圧力および/または流量曲線から、ピーク流量、および/または体積、および/または一定時間当たり体積、および/または現在の流量、および/または一回換気量、および/または相対体積、および/または毎分換気量として算出される。その際、現在の換気に関する値(30’)は、好ましくは、たった一回の呼吸、つまり最後の呼吸のみに関する。
人工呼吸器は、現在の換気のこの値を、記憶装置(22)に保存する。人工呼吸器は、運転中それゆえ連続的に、つまり呼吸ごとに、現在の換気の値(30’)を記録するため、記憶装置中には最後の呼吸の値および最後から二番目の呼吸の値が時間順に存在する。
最後の呼吸の換気(30’)および最後から二番目の呼吸の換気(30)の程度の値から、人工呼吸器が、差引勘定により、換気(圧補助)の変化(上昇/下降)に関する値(31)を算出する。
【0014】
換気の変化(上昇/下降)(31)および呼吸の変化(上昇/下降)(41)という尺度の値から、人工呼吸器は、差引勘定により、患者の呼吸努力の変化(上昇/下降)に関する値(50)を算出する。そのようにして、例えば、人工呼吸器は、最後から二番目の呼吸に関する呼吸努力(50)および最後の呼吸に関する呼吸努力を算出し、それらを比較する。患者の呼吸努力(50)が、第一の基準値(R1)として利用される。例えば、患者の不変の呼吸努力(50)が、第一の基準値(R1)として利用される。
患者の換気(31、例えば、一定の圧補助として)が、第二の基準値(R2)として利用される。例えば、患者の不変の換気(31)が、第二の基準値(R2)として利用される。呼吸努力が変化せず、換気が変化しなければ、次の呼吸のための圧補助は不変のままである。人工呼吸器は、両方ともの基準値(R1およびR2)を、次の呼吸を対象とした圧補助を調節するために考慮することができる。対案として、人工呼吸器が、R1のみを考慮することも可能である。患者の呼吸努力(50)の値の変化に対して、人工呼吸器は、換気の変化、つまり、例えば、圧補助の変化で反応する。典型的には、圧補助を、好ましくは、呼吸努力の変化に比例して適合させる。
患者の呼吸努力(50)が下がると、人工呼吸器は、圧補助の引き上げで反応する。例えば、IPAPおよびEPAPが変化する結果、圧力ストロークが大きくなる。対案として、IPAPのみを引き上げることも可能である。同じく、EPAPのみを下げることも可能である。典型的には、圧補助を、好ましくは、呼吸努力の変化に比例して適合させる。
【0015】
換気(例えば、圧力ストロークまたは頻度)は、例えば、患者の呼吸努力の値に対して反周期的に制御される。例えば、0.5〜4hPaの範囲において、呼吸が20%だけ低下すると、換気圧が高くなる。
【0016】
反周期的換気は、先行する過換気に応じて強化または減衰される。過換気が高まれば高まるほど、強化が著しくなる。
【0017】
過換気の尺度と見なされるのは、相次いで起こる、体積の高まった呼吸である。サーチウィンドウは、例えばCS呼吸周期の期間(つまり、過ぎたおよそ90秒間)であり、その後は強化の程度が、大幅に減衰する。
【0018】
結果として生じる換気の変化は、患者に適用される前に、なおも、例えば、2回の呼吸間で最大限4hPaの差異へと制限される。
【0019】
換気は、2回の呼吸間で、最後の呼吸の評価を手がかりに起こり得るか、または現在の呼吸内において、瞬時の呼吸曲線を評価しながら直接に起こり得る。
現在の体積と基準体積からの商(rAMV(相対毎分換気量))(2分ごとにアップデートされる))が低下すると、PDIFFが高まり、逆もまた同様である。その際、PDIFF変化の程度は、rAMV変化の程度のみならず、付加的に、先行する過換気レベルにも依存する。つまり、過換気レベルが高ければ高いほど、反応はより動的になる。
【0020】
過換気は、CS患者においては、呼吸不安定の解発因と見なされ得る。それゆえ、過換気の際には、rAMVが下がり始めると、患者のrAMVが、その「目標体積」(およそ100%rAMVであろう)を下回るまで待つのではなく、PDIFFの上昇を介して、始まりつつある過換気を受け止める。過換気ピークの程度は、CS呼吸の著しさの尺度と見なすことができる。それゆえ、この値は、強化係数として利用される。その結果、周期性への反応が、適応性PDIFF動力学によって達成される。これは、例えば、入眠期において、体積がまったく生理学的に、連続的にいくぶん低下すると、患者のPDIFF引き上げにより再び起こされることがないことにもつながるが、なぜなら、体積減少に過換気が先立たないからである。
【0021】
(E)EPAP、圧力ストローク、および頻度に関しては、管理限界が調整可能である。圧力ストロークに関しては、好ましくは、付加的に、呼吸筋の基本補助に関する値が選択可能である(正常呼吸における圧力ストローク)。
おおかた安定した呼吸(わずかな変化)を伴う位相では、調節器が、圧力ストロークを徐々に、あらかじめ選択した基本補助へと向かって変化させる。おおかた安定した呼吸(わずかな変化)を伴う位相は、呼吸努力が、呼吸から呼吸へと、20%未満、好ましくは10%未満、特に好ましくは5%未満だけ異なることを特徴とする。おおかた安定した呼吸(わずかな変化)を伴う位相は、対案として、圧補助が、呼吸から呼吸へと、20%未満、好ましくは10%未満、特に好ましくは5%未満だけ異なることも特徴とする。
【0022】
図4は、人工呼吸器が、流量センサを利用して患者の呼吸を記録することにより、現在の呼吸に関する値を算出することを示す(「患者の流量」、32)。
さらに、人工呼吸器は、圧力および/または流量曲線および/または体積および/または一定時間当たり体積および/または一回換気量および/または毎分換気量から、現在の呼吸に関する「呼吸ごとの換気」の値(35)を算出する。
人工呼吸器は、この、「呼吸ごとの換気」の値(35)を、記憶装置(22)に保存する。例えば、「呼吸ごとの換気」(35)は、100%に対する指標値と見なされて保存され、ただし、100%(36)とは、値が長期的に安定であったことを意味する。
【0023】
中央の曲線「患者の流量」(32)と下方の曲線「呼吸ごとの換気」(35)との比較から、患者の流量が低下すると(34)呼吸ごとの換気(37)も低下することが見て取れる。この例では、100%から50%である。
図3に対する記載で説明した方法により、人工呼吸器は、換気が一定の場合(36)は、一定の圧補助(38)で反応する。例えば、患者の流量が低下したため換気が低下すると(37)、人工呼吸器は、長期的に(少なくとも2回の呼吸にわたり)安定した換気が算出されるまでの間、IPAPおよび/またはEPAPを適合させることにより、圧補助(39)を高める。換気が再び安定したら、人工呼吸器は、IPAPおよび/またはEPAPを適合させることにより、圧補助(42)を弱める。