(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6574103
(24)【登録日】2019年8月23日
(45)【発行日】2019年9月11日
(54)【発明の名称】シャワー装置
(51)【国際特許分類】
A47K 3/28 20060101AFI20190902BHJP
【FI】
A47K3/28
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-89823(P2015-89823)
(22)【出願日】2015年4月24日
(65)【公開番号】特開2016-202714(P2016-202714A)
(43)【公開日】2016年12月8日
【審査請求日】2018年2月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】515057458
【氏名又は名称】西田 憲正
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】特許業務法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西 田 憲 正
【審査官】
舟木 淳
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−180970(JP,A)
【文献】
実開平02−100588(JP,U)
【文献】
国際公開第2007/049316(WO,A1)
【文献】
特開2002−370052(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 3/20−3/40
B05B 3/04、3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外形が平皿状のシャワーヘッドが取付部材によって浴室の天井パネルの下面に固定されるシャワー装置であって、
前記取付部材は、前記天井パネルの下面に固定される平板状の取付板部と、この取付板部に立ち上がり状に形成され前記天井パネルの取付孔内に挿入される導水管部と、この導水管部の内面に形成されたねじ部とによって形成され、
前記シャワーヘッドは、複数の散水孔が形成された皿状のヘッド本体と、このヘッド本体の上部に被せられて組み付けられる板状の蓋カバーと、この蓋カバーに立ち上がり状に形成され前記導水管部と連通する導水筒部と、この導水筒部の外面に形成されたねじ部とによって形成され、
前記蓋カバーの上面に前記取付板部が入り込む凹部が形成され、
前記取付板部を前記天井パネルの下面に当接させて固定ねじにより固定した状態で前記導水筒部のねじ部を前記導水管部のねじ部に螺合させて前記シャワーヘッドを天井パネルの下面に固定することを特徴とするシャワー装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室内に設けられるシャワー装置に関し、特にシャワーヘッドの下方への突出量を抑制して背の高い使用者であっても好適に使用することができるシャワー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、プール等の施設に設けられる従来のシャワー装置が開示されている。このシャワー装置は複数のシャワーヘッドを配水管に取り付ける構造となっており、それぞれのシャワーヘッドを個々の使用者が使用するようになっている。各シャワーヘッドは配水管から下方に延びており、使用者はそれぞれのシャワーヘッドの下に入ってシャワーを行う。
【0003】
しかしながら、シャワーヘッドが下方に延びていることから、背の高い使用者は頭がシャワーヘッドに干渉し易く、腰を曲げてシャワーを行う必要があり、不便となっている。同様にホテル等の浴室のシャワー装置であっても、シャワーヘッドが下方に延びている場合には、背の高い使用者に対し不便となっている。
【0004】
以上のことから、ホテル等においては、シャワーヘッドを平皿状(ペンダント状)に形成し、このシャワーヘッドを浴室の天井パネルに取り付けることが考えられる。これによりシャワーヘッドの下方への突出量が少なくなり、背の高い使用者が便利に使用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−210242号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、平皿状のシャワーヘッドは取り付けのための面積が大きくなるため、天井パネルへの取り付けの際には多くのねじを使用して天井パネルに固定する必要がある。このため、平皿状のシャワーヘッドの取り付けが面倒であり、取り付けに労力を要する問題がある。
【0007】
本発明は、シャワーヘッドが平皿状であっても、多くのねじを必要とすることなく省労力で天井パネルへの固定を簡単に行うことが可能なシャワー装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、外形が平皿状のシャワーヘッドが取付部材によって浴室の天井パネルの下面に固定されるシャワー装置であって、前記取付部材は、前記天井パネルの下面に固定される平板状の取付板部と、この取付板部に立ち上がり状に形成され前記天井パネルの取付孔内に挿入される導水管部と、この導水管部の内面に形成されたねじ部とによって形成され、前記シャワーヘッドは、複数の散水孔が形成された皿状のヘッド本体と、このヘッド本体の上部に被せられて組み付けられる板状の蓋カバーと、この蓋カバーに立ち上がり状に形成され前記導水管部と連通する導水筒部と、この導水筒部の外面に形成されたねじ部とによって形成され、
前記蓋カバーの上面に前記取付板部が入り込む凹部が形成され、前記取付板部を前記天井パネルの下面に当接させて固定ねじにより固定した状態で前記導水筒部のねじ部を前記導水管部のねじ部に螺合させて前記シャワーヘッドを天井パネルの下面に固定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、取付部材の取付板部を固定ねじによって天井パネルの下面に固定した状態でシャワーヘッドの導水筒部を取付部材の導水管部に螺合させることにより平皿状のシャワーヘッドを天井パネルの下面に固定することができる。この構造では、取付板部を天井パネルの下面に固定し、取付部材にねじ込むことによって平皿状のシャワーヘッドを固定するため、シャワーヘッドを天井パネルにねじ止めする必要がなくなる。このため、平皿状のシャワーヘッドであっても多くのねじを必要とすることなく省労力で天井パネルへ固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態のシャワー装置の分解斜視図である。
【
図2】シャワー装置の組み付け状態の斜視図である。
【
図4】取付部材を天井パネルに固定する状態を示す断面図である。
【
図5】シャワー装置を天井パネルの下面に取り付けた状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1〜
図5は、本発明の一実施形態のシャワー装置1を示す、シャワー装置1は、取付部材2とシャワーヘッド3とを備えており、シャワーヘッド3が取付部材2を介して浴室の天井パネル4に取り付けられる。
【0013】
取付部材2は平板状の取付板部11と、取付板部11から立ち上がり状となって一体に形成された導水管部15とによって形成されている。取付部材2の全体は、青銅やステンレス等の耐錆性金属によって形成される。
【0014】
取付板部11は円形の平板状に形成されており、
図4に示すように、天井パネル4の下面14に当接した状態で同パネル4の下面14に固定される。シャワーヘッド3はこの取付板部11を介して天井パネル4に固定される。取付板部11を天井パネル4に固定するため、取付板部11には、固定ねじ5が貫通するねじ用孔19が複数形成されている。取付板部11の全体はシャワーヘッド3よりも小径となっており、このため、シャワーヘッド3を天井パネル4に取り付けるよりも少ない数のねじによる固定が可能となり、天井パネル4への固定を簡単に行うことができる。
【0015】
導水管部15は取付板部11から立ち上がり状に形成される。導水管部15には、湯水が通過する空洞部18が軸方向に貫通している。かかる導水管部15の内面には、雌ねじからなるねじ部16が形成されており、このねじ部16によってシャワーヘッド3が固定される。導水管部15は天井パネル4に形成された取付孔17内に挿入される。この挿入によって取付板部11が天井パネル4の下面14に当接し、この当接状態で固定ねじ5を天井パネル4にねじ込むことにより取付板部11が天井パネル4の下面14に固定される。なお、導水管部15の外径は天井パネル4の取付孔17内に挿入可能なように設定されるものである。
【0016】
導水管部15には、ノズル部12が取り付けられる。ノズル部12は空洞部13が貫通した樹脂パイプによって形成されている。ノズル部12はその下端部が導水管部15に差し込まれることにより導水管部15に連結され、この連結によって空洞部13が導水管部15の空洞部18と連通して湯水の供給が可能となる。かかるノズル部12は天井パネル4の上方に配管された配水管(図示省略)に接続され、配水管からの湯水が供給される。
【0017】
図2及び
図3に示すように、シャワーヘッド3は外形が円形となった厚みの少ない平皿状に形成されている。
図1及び
図3に示すように、シャワーヘッド3は下側のヘッド本体21と、上側の蓋カバー22とを有している。
【0018】
ヘッド本体21は円形の皿状に形成されており、そのフェイス面(下面)23には、湯水を散水するための散水孔24が複数形成されている。蓋カバー22はヘッド本体21の上部を覆うものであり、円形の板状に形成されてヘッド本体21の上部に被せられるようにヘッド本体21に組み付けられる。蓋カバー22をヘッド本体21に被せることによりヘッド本体21内に供給された湯水の漏れ出しを防止することができる。
【0019】
この実施形態において、シャワーヘッド3の内部には、緩衝板25が配置される(
図1参照)。緩衝板25はヘッド本体21の内部に挿入可能な円形の板材によって形成されており、ヘッド本体21の散水孔24よりも小径孔部26が複数形成されている。緩衝板25はヘッド本体21の上面に形成された小凸部27(
図1参照)に支持されることによりヘッド本体21の内部で浮き上がり状となって支持される。このような緩衝板25をヘッド本体21内に配置することにより、シャワーヘッド3内に導入された湯水をヘッド本体21の全体に分散させることができる。これにより湯水が偏在することなく、ヘッド本体21の全面に分散するため湯水を均一に散水することができる。なお、蓋カバー22は組付けねじ28によってヘッド本体21に組み付けられる。
【0020】
蓋カバー22には、導水筒部31が形成される。導水筒部31は蓋カバー22のほぼ中心部分から立ち上がった空洞の筒体によって形成されており、その外面には、雄ねじからなるねじ部32が形成されている。導水筒部31は取付部材2の導水管部15の内部に挿入可能な径に形成されており、導水筒部31が導水管部15に挿入されることにより内部が導水管部15の空洞部18と連通する(
図3参照)。この連通によって導水筒部31内に湯水が供給される。これにより導水筒部31を介してシャワーヘッド3内に湯水が供給される。雄ねじからなる導水筒部31のねじ部32は、雌ねじからなる導水管部15のねじ部16に螺合し、この螺合によってシャワーヘッド3が取付部材2に取り付けられる。ここで、導水筒部31のねじ部32には、シールテープ巻きが施されており、これにより導水管部15のねじ部16との間のシールがなされ、ねじ部32、16の螺合部分からの水漏れが防止されている。
【0021】
以上に加えて、蓋カバー22の上面には、凹部35が形成されている。凹部35は蓋カバー22の上面における導水筒部31の周囲を円形に窪ませることにより形成されるものであり、その径は取付部材2の取付板部11とほぼ同等となっている。シャワーヘッド3を取付部材2に取り付ける際に、取付部材2の取付板部11がこの凹部35に入り込む。これにより、取付板部11の厚さを吸収することができ、シャワーヘッド3の下方への突出量を削減することができ、美観が向上する。
【0022】
次に、この実施形態のシャワー装置1の天井パネル4への取り付け操作を説明する。取付部材2及びシャワーヘッド3の各部材を組み付けて取付部材2及びシャワーヘッド3を形成する。その後、
図4に示すように、取付部材2の導水管部15を天井パネル4の取付孔17に下方から挿入し、取付板部11を天井パネル4の下面14に当接させる。そして、固定ねじ5を取付板部11のねじ用孔19から天井パネル4にねじ込んで取付部材2を天井パネル4の下面14に固定する。
【0023】
図4はこの状態を示し、この取付部材2に対してシャワーヘッド3を取り付ける。この取り付けは、導水筒部31のねじ部32を取付部材2の導水管部15のねじ部16に螺合させるだけで簡単に行うことができる。そして、導水筒部31を導水管部15にねじ込むことにより、湯水がノズル部12、導水管部15及び導水筒部31を介してシャワーヘッド3に流入することができ、シャワー散水が可能となる。
図5は以上により天井パネル4の下面14にシャワー装置1を固定した状態を示す。平皿状のシャワーヘッド3を用いるため、下方への延び量が少なく、背の高い使用者であってもシャワーを使用し易くなっている。
【0024】
このような実施形態では、固定ねじ5によって取付部材2の取付板部11天井パネル4の下面14に固定し、その後、シャワーヘッド3の導水筒部31を取付部材2の導水管部15に螺合させることにより平皿状のシャワーヘッド3を天井パネル4の下面14に固定することができる。この構造では、取付板部11を天井パネル4の下面14に固定し、取付部材2の導水管部15に導水筒部31をねじ込むことによって平皿状のシャワーヘッド3を固定するため、シャワーヘッド3を天井パネル4にねじ止めする必要がなくなる。このため、平皿状のシャワーヘッド3であっても多くのねじを必要とすることなく省労力で天井パネル4へ固定することができる。
【符号の説明】
【0025】
1 シャワー装置
2 取付部材
3 シャワーヘッド
4 天井パネル
5 固定ねじ
11 取付板部
15 導水管部
16 ねじ部
21 ヘッド本体
22 蓋カバー
24 散水孔
31 導水筒部
32 ねじ部
35 凹部