(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらは互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも良い。
【0015】
さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0017】
(実施の形態1)
《中継システムの概略構成》
図1は、本発明の実施の形態1による中継システムにおいて、全体の構成例およびユーザフレーム中継時の動作例を示す概略図である。
図1に示す中継システムは、PB(Provider Bridges)網10a,10bと、EoE網11a,11bと、PBB網12と、エッジスイッチ装置ESWe1,ESWe2と、ゲートウェイ装置(中継装置)GW1,GW2とを有する。エッジスイッチ装置ESWe1は、PB網10aとEoE網11aの境界に設置され、エッジスイッチ装置ESWe2は、PB網10bとEoE網11bの境界に設置される。ゲートウェイ装置GW1は、EoE網11aとPBB網12の境界に設置され、ゲートウェイ装置GW2は、EoE網11bとPBB網12の境界に設置される。
【0018】
PB網10a,10bは、それぞれ、IEEE802.1adに基づき、S−TAG形式のユーザフレーム(本明細書では、S−TAGフレームと呼ぶ)UF1a,UF1bを転送する。S−TAGフレームUF1a,UF1bのそれぞれは、宛先MACアドレスDAと、送信元MACアドレスSAと、S−TAGと、ペイロードとを含み、S−TAGは、12ビットのSVID(Service provider VLAN ID)を含む。
【0019】
EoE網11a,11bは、それぞれ、EoE形式のユーザフレーム(本明細書では、EoEフレームと呼ぶ)UF2a,UF2bを転送する。EoEフレームUF2a,UF2bのそれぞれは、S−TAGフレームUF1a,UF1b(詳細にはその中の宛先MACアドレスDA、送信元MACアドレスSAおよびペイロード)を、EoEヘッダ15でカプセル化した構造を備える。EoEヘッダ15は、宛先MACアドレス(言い換えればカプセル化用アドレス)EDAと、送信元MACアドレス(カプセル化用アドレス)ESAと、S−TAGと、E−TAGとを含む。
【0020】
EoEヘッダ15のS−TAGは、例えば、S−TAGフレームUF1a,UF1bに含まれるS−TAGと同一内容である。E−TAGは、タイプ識別子TPIDと、EID(Extended ID)とを含む。タイプ識別子TPIDは、EoE形式のユーザフレームかEoE形式の制御フレーム(すなわちECPフレーム)かといったフレームの種別を表し、EoE形式のユーザフレームの場合には“0xE0E0”に定められる。EIDは、S−TAG内の12ビットのSVIDを拡張する8ビットの識別子である。その結果、EoEフレームUF2a,UF2bのそれぞれは、20ビットの識別空間を備える。
【0021】
PBB網12は、PBB形式のユーザフレーム(本明細書では、PBBフレームと呼ぶ)UF3を転送する。PBBフレームUF3は、EoEフレームと同様に、S−TAGフレームUF1a,UF1b(詳細にはその中の宛先MACアドレスDA、送信元MACアドレスSAおよびペイロード)を、PBBヘッダ16でカプセル化した構造を備える。PBBヘッダ16は、宛先MACアドレス(言い換えればカプセル化用アドレス)BDAと、送信元MACアドレス(カプセル化用アドレス)BSAと、B−TAGと、I−TAGとを含む。
【0022】
B−TAGは、12ビットのBVID(Backbone VLAN ID)を含む。BVIDは、PBB網12内でのフレーム転送経路を定める識別子である。PBB網12内の図示しないスイッチ装置(コアスイッチ)は、当該BVIDに基づきフレームを中継する。I−TAGは、フレーム種別を表すタイプ識別子TPIDと、24ビットのISID(backbone Service Instance VLAN ID)とを含む。タイプ識別子TPIDは、I−TAGを含むフレームであることを表す所定の値に定められる。ISIDは、例えば、S−TAGフレームUF1a,UF1bに含まれるSVIDを包含し、SVIDを拡張する識別子である。その結果、PBBフレームUF3は、24ビットの識別空間を備える。
【0023】
《中継システムのユーザフレーム中継動作》
次に、PB網10aからのS−TAGフレームUF1aをPB網10bに向けて転送する場合を想定して、中継システムの概略動作を説明する。エッジスイッチ装置ESWe1は、S−TAGフレームUF1aをEoEヘッダ15でカプセル化することでEoEフレームUF2aを生成する。この際に、エッジスイッチ装置ESWe1は、EoEヘッダ15の送信元MACアドレスESAを自装置のMACアドレス‘MA1’に定め、宛先MACアドレスEDAを、FDB(Forwarding DataBase)の検索結果に基づきエッジスイッチ装置ESWe2のMACアドレス‘MA2’に定める。
【0024】
ゲートウェイ装置GW1は、EoEフレームUF2aに含まれるEoEヘッダ15をPBBヘッダ16に変換することでPBBフレームUF3を生成する。この際に、PBBヘッダ16の宛先MACアドレスBDAおよび送信元MACアドレスBSAには、それぞれ、EoEヘッダ15の宛先MACアドレスEDAおよび送信元MACアドレスESAが引き継がれる。
【0025】
ゲートウェイ装置GW2は、PBBフレームUF3に含まれるPBBヘッダ16をEoEヘッダ15に変換することでEoEフレームUF2bを生成する。この際に、EoEヘッダ15の宛先MACアドレスEDAおよび送信元MACアドレスESAには、それぞれ、PBBヘッダ16の宛先MACアドレスBDAおよび送信元MACアドレスBSAが引き継がれる。必ずしも限定はされないが、EoEフレームUF2bは、EoEフレームUF2aと同一内容のフレームになる。
【0026】
エッジスイッチ装置ESWe2は、受信したEoEフレームUF2bの宛先MACアドレスEDAが自装置のMACアドレス‘MA2’であるため、EoEフレームUF2bをデカプセル化することでS−TAGフレームUF1bを生成する。具体的には、エッジスイッチ装置ESWe2は、EoEフレームUF2bからEoEヘッダ15を取り除き、S−TAGを付加することでS−TAGフレームUF1bを生成する。必ずしも限定はされないが、S−TAGフレームUF1bは、S−TAGフレームUF1aと同一内容のフレームになる。
【0027】
《ゲートウェイ装置の概略構成およびユーザフレーム中継動作》
図2は、
図1の中継システムにおいて、ゲートウェイ装置の主要部の概略構成例を示すブロック図である。
図2に示すゲートウェイ装置(中継装置)GWは、例えば、イーサネットスイッチとしての機能も備えたシャーシ型スイッチ装置となっている。当該ゲートウェイ装置GWは、PBB用ラインカードLCpと、EoE用ラインカードLCeと、フレーム中継経路20とを備える。例えば、
図1のゲートウェイ装置GW2を例とすると、PBB用ラインカードLCpは、PBB網12に接続されるPBB用ポートPp1と、フレーム中継経路20に接続される内部ポートPi1とを備える。EoE用ラインカードLCeは、EoE網11bに接続されるEoE用ポートPe1と、フレーム中継経路20に接続される内部ポートPi2とを備える。
【0028】
ここでは、ゲートウェイ装置GWは、PBB用ラインカードLCpおよびEoE用ラインカードLCeをそれぞれ1枚ずつ備えているが、いずれか一方または両方を複数枚備えてもよい。また、PBB用ラインカードLCpおよびEoE用ラインカードLCeのそれぞれは、外部ポート(すなわちPBB用ポートPp1およびEoE用ポートPe1)を1個備えているが、複数個備えてもよい。フレーム中継経路20は、各ラインカード間でのフレームの中継を担う。フレーム中継経路20は、例えば、メッシュ状の通信回線で構成される場合や、ファブリックスイッチで構成される場合がある。
【0029】
図3は、
図2のゲートウェイ装置において、PBB用ラインカードの主要部の概略構成例を示すブロック図である。
図4は、
図2のゲートウェイ装置において、EoE用ラインカードの主要部の概略構成例を示すブロック図である。
図5は、
図3および
図4におけるFDBの構造例を示す概略図である。
図6(a)は、
図3におけるVID変換テーブルの構造例を示す概略図であり、
図6(b)は、
図4におけるVID変換テーブルの構造例を示す概略図であり、
図6(c)は、
図3および
図4におけるMCテーブルの構造例を示す概略図である。
図7は、
図3および
図4の中継処理部が生成する中間フレームの構造例を示す概略図である。
【0030】
図3に示すPBB用ラインカードLCpは、PBB用ポートPp1および内部ポートPi1に加えて、PBB用中継処理部25aと、マルチキャスト(MCと略す)処理部26aとを備える。PBB用中継処理部25aは、FDB(Forwarding DataBase)と、FDB処理部27aと、VID変換テーブル28aと、PBBフレーム変換部29aと、PBB用制御フレーム処理部30aとを備える。MC処理部26aは、MCテーブル31aを備える。
【0031】
同様に、
図4に示すEoE用ラインカードLCeは、EoE用ポートPe1および内部ポートPi2に加えて、EoE用中継処理部25bと、MC処理部26bとを備える。EoE用中継処理部25bは、FDBと、FDB処理部27bと、VID変換テーブル28bと、EoEフレーム変換部29bと、EoE用制御フレーム処理部30bとを備える。MC処理部26bは、MCテーブル31bを備える。
【0032】
図8(a)は、
図2のゲートウェイ装置において、EoE用ポートで受信したユーザフレームをPBB用ポートへ中継する際の概略動作例を示す説明図であり、
図8(b)は、
図2のゲートウェイ装置において、PBB用ポートで受信したユーザフレームをEoE用ポートへ中継する際の概略動作例を示す説明図である。
図8(a)には、
図1におけるゲートウェイ装置GW1の動作例が示され、
図8(b)には、
図1におけるゲートウェイ装置GW2の動作例が示される。
【0033】
例えば、
図8(b)において、PBB用ラインカードLCpのPBB用中継処理部25aは、PBB用ポートPp1でフレームを受信した場合、主に、フレームがユーザフレームUFか制御フレームCFかの種別判定と、VID変換と、FDBの学習および検索と、中間フレームMFの生成とを行う(ステップS201)。ここで、PBB用中継処理部25aは、受信したフレームがユーザフレーム(すなわちPBBフレーム)UF3であると判定した場合、当該PBBフレームを中間フレームMFに変換したのち、MC処理部26aを介して内部ポートPi1へ送信する。
【0034】
この際に、MC処理部26aは、ステップS201でのFDBの検索結果に基づいてフレームの宛先ポートが既に定まっている場合(すなわちユニキャストフレームの場合)には、中間フレームMFをそのまま内部ポートPi1へ送信する。一方、MC処理部26aは、フレームの宛先ポートが定まっていない場合(具体的には後述するマルチキャストフラグ有りの場合)には、宛先ポートを定めたのち、中間フレームMFを内部ポートPi1へ送信する(ステップS202)。
【0035】
フレーム中継経路20は、内部ポートPi1からの中間フレームMFを、宛先ポート(ここではEoE用ポートPe1)に基づきEoE用ラインカードLCeへ中継する(ステップS203)。EoE用ラインカードLCeのEoE用中継処理部25bは、内部ポートPi2で中間フレームMFを受信した場合で、当該フレームがユーザフレームUFである場合、中間フレームMFの装置内ヘッダ(詳細は後述)をEoEヘッダ15に変換することでEoEフレームUF2bを生成する(ステップS204)。そして、EoE用中継処理部25bは、当該EoEフレームUF2bを宛先ポートとなるEoE用ポートPe1へ中継する。
【0036】
一方、
図8(a)では、
図8(b)におけるPBB用ラインカードLCpとEoE用ラインカードLCeの処理内容を入れ替えたような処理が行われる。すなわち、EoE用ラインカードLCeのEoE用中継処理部25bおよびMC処理部26bは、ステップS101,S102で
図8(b)のステップS201,S202と同様の処理を行い、PBB用ラインカードLCpのPBB用中継処理部25aは、ステップS104で
図8(b)のステップS204と同様の処理を行う。以降、
図8(b)の場合を例として、
図3および
図4の詳細について説明する。
【0037】
図8(b)のステップS201において、
図3のPBB用中継処理部25aは、例えば、受信したフレームのPBBヘッダ16におけるタイプ識別子TPID等を参照することで、ユーザフレームUFであるか制御フレームCFであるかを判定する。PBB用中継処理部25aは、ユーザフレーム(すなわちPBBフレーム)UF3であると判定した場合、VID変換テーブル28aを用いてVID変換を行う。
【0038】
VID変換テーブル28aは、
図6(a)に示されるように、予め設定された、内部VLAN識別子IVIDと、BVIDおよびISIDとの対応関係を保持する。PBB用中継処理部25aは、受信したPBBフレームUF3のBVID(ここでは‘BV1’)およびISID(‘IS1’)に対応する内部VLAN識別子IVID(ここでは‘IV1’)を取得することでVID変換を行う。
【0039】
また、FDB処理部27aは、FDBの学習および検索を行う。FDBは、
図5に示されるように、MACアドレスと、内部VLAN識別子IVIDと、ポート識別子との対応関係を保持する。
図5において、例えば、{Pp1}は、PBB用ポートPp1の識別子を表し、同様にして、本明細書では、{AA}は、「AA」の識別子を表すものとする。
図5の例では、MACアドレス‘MA1’は、内部VLAN識別子IVIDとして‘IV1’が割り当てられ、PBB用ポートPp1の先に存在する。また、MACアドレス‘MA2’は、内部VLAN識別子IVIDとして‘IV1’が割り当てられ、EoE用ポートPe1の先に存在する。
【0040】
FDB処理部27aは、PBBフレームUF3の送信元MACアドレスBSAである‘MA1’を、取得した内部VLAN識別子IVID‘IV1’と、当該フレームの受信ポート識別子(ここでは{Pp1})とに対応付けてFDBに学習する。また、FDB処理部27aは、当該フレームの宛先MACアドレスBDAである‘MA2’と、取得した内部VLAN識別子IVID‘IV1’とを検索キーとしてFDBを検索し、ポート識別子(宛先ポート識別子と呼ぶ)を取得する。
図5の例では、宛先ポート識別子{Pe1}が取得される。
【0041】
これらの情報を用いて、PBB用中継処理部25aは、中間フレームMFを生成する。。中間フレームMFは、
図7に示されるように、PBBフレームUF3に含まれるPBBヘッダ16を装置内ヘッダ35に置き換えたような構造を備える。装置内ヘッダ35は、カプセル化用アドレス(6バイト)となる宛先MACアドレスBEDAおよび送信元MACアドレスBESAと、フレームタイプFTYPと、宛先ポート識別子DPIDと、受信ポート識別子SPIDと、内部VLAN識別子IVIDと、マルチキャストフラグMCFLGとを含む。
【0042】
ここでは、宛先MACアドレスBEDAは、宛先MACアドレスBDAと同じ‘MA2’であり、送信元MACアドレスBESAは、送信元MACアドレスBSAと同じ‘MA1’である。フレームタイプFTYPは、前述したフレームの種別判定の結果(ここでは
ユーザフレーム)を表す所定の識別子である。宛先ポート識別子DPIDは{Pe1}であり、受信ポート識別子SPIDは{Pp1}であり、内部VLAN識別子IVIDは‘IV1’である。マルチキャストフラグMCFLGは、FDBの検索結果がミスヒットであった場合にフラグ有りとなる。具体的には、FDB処理部27aは、例えば、宛先MACアドレスBDAが、FDBで未学習であった場合やマルチキャストまたはブロードキャストアドレスであった場合に、マルチキャストフラグMCFLGをフラグ有りに定める。
【0043】
PBB用中継処理部25aは、PBB用ポートPp1でフレームを受信した場合で、当該フレームがユーザフレームUFの場合には、PBBフレーム変換部29aやPBB用制御フレーム処理部30aの処理を経ずに、中間フレームMFをMC処理部26aへ送信する。なお、PBB用制御フレーム処理部30aは、例えば、受信したフレームがPBB用の制御フレームの場合に所定の処理を行う。PBB用の制御フレームは、例えば、ITU−T Y.1731やIEEE802.1agで規定されるイーサネットOAMに基づくフレーム等である。PBBフレーム変換部29aは、
図8(a)のステップS104のように、内部ポートPi1で中間フレームMFを受信した場合で、当該フレームがユーザフレームの場合に、中間フレームMFをPBBフレームに変換する。
【0044】
図8(b)のステップS202において、MC処理部26aは、PBB用中継処理部25aからの中間フレームMFを受け、マルチキャストフラグMCFLGがフラグ無しの場合(すなわちユニキャストフレームの場合)には、当該中間フレームMFを内部ポートPi1へ送信する。一方、MC処理部26aは、マルチキャストフラグMCFLGがフラグ有りの場合には、MCテーブル31aに基づいて宛先ポートを定めたのちに、中間フレームMFを内部ポートPi1へ送信する。
【0045】
MCテーブル31aには、
図6(c)に示されるように、内部VLAN識別子IVIDと、ポート識別子との対応関係が保持される。MC処理部26aは、MCテーブル31aに基づき、中間フレームMFに含まれる内部VLAN識別子IVIDに対応する単数または複数のポート識別子を取得し、その中から受信ポートを除いた各ポート識別子をそれぞれ装置内ヘッダ35の宛先ポート識別子DPIDとする。
【0046】
図8(b)のステップS203において、フレーム中継経路20は、内部ポートPi1からの中間フレームMFを、宛先ポート識別子DPID(ここでは{Pe1})に基づくラインカード(ここではEoE用ラインカードLCe)へ中継する。
図8(b)のステップS204において、EoE用中継処理部25bのEoEフレーム変換部29bは、内部ポートPi2で受信した中間フレームMFの装置内ヘッダ35を、VID変換テーブル28bに基づきEoEヘッダ15に変換することでEoEフレームを生成する。
【0047】
VID変換テーブル28bは、
図6(b)に示されるように、予め設定された、内部VLAN識別子IVIDと、SVIDおよびEIDとの対応関係を保持する。EoEフレーム変換部29bは、当該VID変換テーブル28bに基づき、中間フレームMFの内部VLAN識別子IVID‘IV1’に対応するSVID‘SV1’およびEID‘EI1’を取得する。そして、これらの情報を用いて、EoEフレーム変換部29bは、装置内ヘッダ35を、
図1のEoEフレームUF2bのEoEヘッダ15に変換するヘッダ変換を行う。
【0048】
具体的には、EoEヘッダ15の宛先MACアドレスEDAおよび送信元MACアドレスESAは、それぞれ、装置内ヘッダ35の宛先MACアドレスBEDA‘MA2’および送信元MACアドレスBESA‘MA1’に定められる。また、EoEヘッダ15のSVIDおよびEIDは、VID変換テーブル28bに基づき取得された値(ここでは‘SV1’および‘EI1’)に定められる。EoE用中継処理部25bは、このようにして生成したEoEフレームUF2bを、中間フレームMFの宛先ポート識別子DPIDが表すEoE用ポートPe1を介してEoE網11bへ送信する。
【0049】
なお、
図8(b)と同様にして
図8(a)の場合、EoE用中継処理部25bは、ステップS101において、VID変換テーブル28bに基づいてSVIDおよびEIDを内部VLAN識別子IVIDに変換するVID変換を行うこと等で中間フレームMFを生成する。また、PBB用中継処理部25aのPBBフレーム変換部29aは、ステップS104において、VID変換テーブル28aに基づいて装置内ヘッダ35の内部VLAN識別子IVIDをPBBヘッダ16のBVIDおよびISIDに変換するヘッダ変換を行うこと等でPBBフレームを生成する。
【0050】
以上のように、
図2のゲートウェイ装置(中継装置)GWは、概略的には、BVIDおよびISIDと、SVIDおよびEIDとを内部VLAN識別子IVIDを介して相互に変換する仕組みを備えている。これにより、ゲートウェイ装置GWは、EoE用ポートPe1で受信したフレームがユーザフレーム(EoEフレーム)である場合、当該フレームに含まれるEoEヘッダ15をPBBヘッダ16に変換することでPBBフレームを生成することができる。同様に、ゲートウェイ装置GWは、PBB用ポートPp1で受信したフレームがユーザフレーム(PBBフレーム)である場合、当該フレームに含まれるPBBヘッダ16をEoEヘッダ15に変換することでEoEフレームを生成することができる。
【0051】
なお、
図3および
図4において、PBB用中継処理部25aおよびEoE用中継処理部25bのそれぞれは、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)またはFPGA(Field Programmable Gate Array)に、CAM(Content Addressable Memory)や、RAM(Random Access Memory)およびROM(Read Only Memory)等を組み合わせることで構成される。具体的には、FDBは、CAMに実装され、VID変換テーブル28a,28bは、RAMおよびROMに実装され、その他の処理部は、FPGAに実装される。ただし、PBBフレーム変換部29aおよびPBB用制御フレーム処理部30aの一部や、EoEフレーム変換部29bおよびEoE用制御フレーム処理部30bの一部は、CPUを用いたプログラム処理で実装されてもよい。
【0052】
また、MC処理部26a,26bのそれぞれは、例えば、ASICまたはFPGAに、RAMおよびROM等を組み合わせることで構成される。MCテーブル31a,31bのそれぞれは、RAMおよびROM等に実装される。ただし、各部の具体的な実装形態は、勿論、これらに限定されるものではなく、ハードウェアまたはソフトウェアあるいはその組合せを用いて適宜実装されればよい。
【0053】
《中継システム(比較例[1])におけるECPフレーム中継時の問題点》
図14は、本発明の比較例となる中継システムにおいて、ECPフレームを中継する際の概略動作例と、その際の問題点の一例を示す説明図である。
図14では、EoE網11aのエッジスイッチ装置ESWe1は、PBB網12を介して、EoE網11bのエッジスイッチ装置ESWe2に向けて制御フレームとなるECPフレームCF1aを送信している。ECPフレームCF1aは、各種制御情報等が格納されるペイロードに、
図1の場合と同様のEoEヘッダ15aが付加されたような構造となっている。
【0054】
EoEヘッダ15aにおいて、宛先MACアドレスEDAは、‘MA2’であり、送信元MACアドレスESAは、‘MA1’である。タイプ識別子TPIDは、
図1のユーザフレーム(EoEフレーム)の場合と異なり‘0xE0EC’である。SVIDおよびEIDは、例えば、ユーザフレームとは重複しない制御フレーム専用の値に定められる。
【0055】
ここで、ゲートウェイ装置GW1’は、EoE網11aからのECPフレームCF1aをEoEヘッダ15aを用いたフレーム形式(すなわちEoE形式)のままPBB網12へ中継することができる。この場合、ECPフレームCF1aは、PBB網12では、一般的なVLANタグフレームとみなされ、PBB網12内の図示しないコアスイッチは、
図1に示した12ビットのBVIDの代わりに12ビットのSVIDに基づいて中継経路を定めることができる。また、ゲートウェイ装置GW2’も、PBB網12からのECPフレームCF1aをEoE形式のままEoE網11bへ中継することができる。
【0056】
ただし、このような方式を用いると、ゲートウェイ装置GW2’は、PBB用ポートPp1で、
図1の場合のようなPBBヘッダ16ではなく、EoEヘッダ15aを用いたECPフレームCF1aを受信することになる。この場合、ゲートウェイ装置GW2’は、EoEヘッダ15aに含まれる12ビットのSVIDをBVIDとみなして認識することはできるが、8ビットのEIDを認識することはできない。その結果、ゲートウェイ装置GW2’は、前述したようなVID変換に際し、12ビットのSVID(BVID)に基づいて内部VLAN識別子IVIDを定める必要があり、実用上のECPフレームCF1aの識別空間は、12ビットに限定されることになる。
【0057】
EoE網11a,11bには、実際には、多くのエッジスイッチ装置が設けられ、その各エッジスイッチ装置間で、VLANの値を様々に区別しながら互いの疎通性確認を行いたいような場合がある。ただし、実際上、VLANの値の大部分はユーザフレームで使用されるため、残りの値でこのような要求を満たすことは困難となり得る。すなわち、12ビットでは、実用上のECPフレームの識別空間が不足する恐れがある。
【0058】
《中継システム(本実施の形態1)におけるECPフレームの中継動作》
図9は、
図1の中継システムにおいて、ECPフレームを中継する際の概略動作例を示す説明図である。
図9において、ゲートウェイ装置(中継装置)GW1は、
図14の場合と異なり、EoE網11aを介してEoE用ポートPe1で受信したフレームがECPフレームCF1aである場合、当該ECPフレームCF1aをPBBヘッダ16でカプセル化することでカプセル化ECPフレームCF2を生成する。この際に、ゲートウェイ装置GW1は、E−TAGのタイプ識別子TPIDを参照することでECPフレームであるか否かを判定する。
【0059】
また、ゲートウェイ装置GW1は、例えば、カプセル化ECPフレームCF2におけるPBBヘッダ16の宛先MACアドレスBDAおよび送信元MACアドレスBSAを、それぞれ、EoEヘッダ15aの宛先MACアドレスEDAおよび送信元MACアドレスESAに定める。また、ゲートウェイ装置GW1は、PBBヘッダ16のBVIDおよびISIDを、前述したユーザフレームの場合と同様にして定める。すなわち、ゲートウェイ装置GW1は、EoEヘッダ15aのSVIDおよびEIDを内部VLAN識別子IVIDを介してBVIDおよびISIDに変換する。
【0060】
さらに、ゲートウェイ装置GW1は、カプセル化ECPフレームCF2の中に、カプセル化される前のECPフレームCF1aに含まれる宛先MACアドレスEDA、送信元MACアドレスESAおよびペイロードに加えてE−TAGも残す。そして、ゲートウェイ装置GW1は、このようにして生成したカプセル化ECPフレームCF2をPBB用ポートPp1(PBB網12)へ中継する。
【0061】
一方、ゲートウェイ装置(中継装置)GW2は、
図14の場合と異なり、PBB網12を介してPBB用ポートPp1で受信したフレームがカプセル化ECPフレームCF2である場合、当該カプセル化ECPフレームCF2をデカプセル化することでECPフレームCF1bを生成する。この際に、ゲートウェイ装置GW2は、カプセル化ECPフレームCF2の中に残されるE−TAGのタイプ識別子TPIDを参照することでECPフレームであるか否かを判定する。
【0062】
また、ゲートウェイ装置GW2は、EoEヘッダ15aのSVIDおよびEIDを、前述したユーザフレームの場合と同様にして定める。すなわち、ゲートウェイ装置GW2は、PBBヘッダ16のBVIDおよびISIDを内部VLAN識別子IVIDを介してSVIDおよびEIDに変換する。また、ゲートウェイ装置GW2は、EoEヘッダ15aにおけるE−TAGのタイプ識別子TPIDを、ECPフレームを表す‘0xE0EC’に定める。その結果、ECPフレームCF1bは、必ずしも限定はされないが、ECPフレームCF1aと同一内容のフレームとなる。そして、ゲートウェイ装置GW2は、当該ECPフレームCF1bをEoE用ポートPe1(EoE網11b)へ中継する。
【0063】
以上のような方式を用いると、ゲートウェイ装置GW2は、PBB用ポートPp1で、PBBヘッダ16でカプセル化されたECPフレーム(すなわちカプセル化ECPフレームCF2)を受信することができる。このため、ゲートウェイ装置GW2は、ユーザフレームの場合と同様に、ECPフレームに対して12ビットを超える認識空間を設けることが可能になる。例えば、最大で、SVIDおよびEIDからなる20ビットの識別空間を設けることができ、内部VLAN識別子IVIDのビット数が12ビットよりも多く20ビットよりも少ない場合(例えば15ビット等の場合)には、当該ビット数の識別空間を設けることができる。その結果、
図14の場合と比較して、ECPフレームに対して十分な識別空間を設けることが可能になる。
【0064】
図10(a)は、
図2のゲートウェイ装置において、EoE用ポートで受信したECPフレームをPBB用ポートへ中継する際の概略動作例を示す説明図であり、
図10(b)は、
図2のゲートウェイ装置において、PBB用ポートで受信したECPフレームをEoE用ポートへ中継する際の概略動作例を示す説明図である。
図10(a)には、
図9におけるゲートウェイ装置GW1の動作例が示され、
図10(b)には、
図9におけるゲートウェイ装置GW2の動作例が示される。
【0065】
図10(a)において、EoE用ラインカードLCeのEoE用中継処理部25bは、EoE用ポートPe1でフレームを受信した場合、
図8(a)の場合と同様に、主に、受信したフレームの種別判定と、VID変換と、FDBの学習および検索と、中間フレームMFの生成とを行う(ステップS301)。ステップS301において、EoE用中継処理部25bは、ここでは、受信したフレームは制御フレーム(すなわちECPフレーム)CF1aであると判定する。
【0066】
この場合、EoE用中継処理部25bは、
図8(a)の場合と同様に、
図6(b)のVID変換テーブル28bに基づいてECPフレームCF1aのSVIDおよびEIDを内部VLAN識別子IVIDに変換し、当該内部VLAN識別子IVIDを用いてFDBの学習および検索を行う。そして、EoE用中継処理部25bは、
図8(a)の場合とは異なる方法で中間フレームMFの生成を行う。
【0067】
具体的には、EoE用中継処理部25bは、
図8(a)の場合には、ユーザフレームのEoEヘッダ15を装置内ヘッダ35に置き換えたような中間フレームMFを生成したが、
図10(a)の場合には、ECPフレームCF1aに装置内ヘッダ35を付加したような中間フレームMFを生成する。言い換えれば、EoE用中継処理部25bは、ECPフレームCF1aを装置内ヘッダ35でカプセル化することで中間フレームMFを生成する。
【0068】
このカプセル化の際に、EoE用中継処理部25bは、例えば、装置内ヘッダ35の宛先MACアドレスBEDAおよび送信元MACアドレスBESAを、それぞれ、ECPフレームCF1aの宛先MACアドレスEDAおよび送信元MACアドレスESAに定める。また、EoE用中継処理部25bは、装置内ヘッダ35のフレームタイプFTYPをECPフレームを表す所定の識別子に定める。さらに、EoE用中継処理部25bは、装置内ヘッダ35のマルチキャストフラグMCFLG、内部VLAN識別子IVID、受信ポート識別子SPIDおよび宛先ポート識別子DPIDに関しては、前述したユーザフレームの場合と同様にして定める。
【0069】
その後、
図10(a)のステップS302,S303において、
図8(a)のステップS102,S103と同様の処理を経たのち、PBB用ラインカードLCpは、内部ポートPi1で中間フレームMFを受信する。この場合、PBB用中継処理部25aは、ステップS304において、
図8(a)のステップS104の場合と同様にして中間フレームMFの装置内ヘッダ35をPBBヘッダ16に変換することで、
図9に示したカプセル化ECPフレームCF2を生成する。
【0070】
一方、
図10(b)において、PBB用ラインカードLCpのPBB用中継処理部25aは、PBB用ポートPp1でフレームを受信した場合、
図8(b)の場合と同様に、主に、受信したフレームの種別判定と、VID変換と、FDBの学習および検索と、中間フレームMFの生成とを行う(ステップS401)。ステップS401において、PBB用中継処理部25aは、受信したフレームは制御フレーム(すなわちカプセル化ECPフレーム)CF2であると判定する。
【0071】
この場合、PBB用中継処理部25aは、
図8(b)の場合と同様に、
図6(a)のVID変換テーブル28aに基づいてカプセル化ECPフレームCF2のBVIDおよびISIDを内部VLAN識別子IVIDに変換し、当該内部VLAN識別子IVIDを用いてFDBの学習および検索を行う。そして、PBB用中継処理部25aは、
図8(b)の場合と同様にして中間フレームMFを生成する。ただし、この際に、PBB用中継処理部25aは、装置内ヘッダ35のフレームタイプFTYPをECPフレームを表す所定の識別子に定める。
【0072】
その後、
図10(b)のステップS402,S403において、
図8(b)のステップS202,S203と同様の処理を経たのち、EoE用ラインカードLCeは、内部ポートPi2で中間フレームMFを受信する。EoE用中継処理部25bは、装置内ヘッダ35のフレームタイプFTYPに基づき、中間フレームMFがECPフレームであることを認識する。この場合、EoE用中継処理部25bは、ステップS404において、
図8(b)のステップS204の場合とは異なる方法で中間フレームMFを変換する。
【0073】
具体的には、EoE用中継処理部25bは、
図8(b)の場合には、中間フレームMFの装置内ヘッダ35をEoEヘッダ15に変換することでEoEフレームを生成したが、
図10(a)の場合には、中間フレームMFから装置内ヘッダ35を削除し、S−TAGおよびE−TAGを付加することで、
図9に示したECPフレームCF1bを生成する。言い換えれば、EoE用中継処理部25bは、中間フレームMFをデカプセル化することでECPフレームCF1bを生成する。この際に、EoE用中継処理部25bは、ユーザフレームの場合と同様に、SVIDおよびEIDを、
図6(b)のVID変換テーブル28bに基づいて定める。
【0074】
《EoE用中継処理部の処理内容》
図11は、
図4のEoE用ラインカードにおいて、EoE用中継処理部の主要な処理内容の一例を示すフロー図である。
図11において、EoE用中継処理部25bは、フレームを受信したか否かを判定し(ステップS501)、受信した場合には、当該フレームがECPフレームであるか否かを判定する(ステップS502)。具体的には、EoE用中継処理部25bは、
図10(a)の場合のようにEoE用ポートPe1でフレームを受信した場合には、EoEヘッダ15aに含まれるタイプ識別子TPIDを参照し、
図10(b)の場合のように、内部ポートPi2でフレームを受信した場合には、装置内ヘッダ35に含まれるフレームタイプFTYPを参照する。
【0075】
ステップS502の判定結果がECPフレームの場合、EoE用中継処理部25bは、当該フレームを外部ポート(すなわちEoE用ポートPe1)で受信したか、内部ポートPi2で受信したかに応じて処理を変更する。外部ポートで受信した場合、EoE用中継処理部25bは、
図10(a)のステップS301に示したように、VID変換と、FDBの学習および検索とを行い(ステップS301a)、カプセル化によって中間フレームMFを生成し(ステップS301b)、それを宛先ポートへ中継する(ステップS301c)。ステップS301bにおけるカプセル化の処理は、
図4のEoE用中継処理部25bのEoE用制御フレーム処理部30bによって行われる。
【0076】
一方、内部ポートPi2で受信した場合、EoE用中継処理部25bは、
図10(b)のステップS404に示したように、デカプセル化によってECPフレームを生成し(ステップS404a)、それを宛先ポート(すなわちEoE用ポートPe1)へ中継する(ステップS404b)。ステップS404aにおけるデカプセル化の処理は、
図4のEoE用中継処理部25bのEoE用制御フレーム処理部30bによって行われる。
【0077】
また、ステップS502の判定結果がECPフレームでない場合(すなわちユーザフレーム(EoEフレーム)の場合)、EoE用中継処理部25bは、当該フレームを外部ポート(すなわちEoE用ポートPe1)で受信したか、内部ポートPi2で受信したかに応じて処理を変更する。外部ポートで受信した場合、EoE用中継処理部25bは、
図8(a)のステップS101に示したように、VID変換と、FDBの学習および検索とを行い(ステップS101a)、カプセル化ではなくヘッダ変換によって中間フレームMFを生成し(ステップS101b)、それを宛先ポートへ中継する(ステップS101c)。
【0078】
一方、内部ポートPi2で受信した場合、EoE用中継処理部25bは、
図8(b)のステップS204に示したように、デカプセル化ではなくヘッダ変換によってEoEフレームを生成し(ステップS204a)、それを宛先ポート(すなわちEoE用ポートPe1)へ中継する(ステップS204b)。ステップS204aにおけるヘッダ変換の処理は、
図4のEoE用中継処理部25bのEoE用フレーム変換部29bによって行われる。
【0079】
以上、本実施の形態1の中継装置および中継システムを用いることで、代表的には、PBB網を挟んで接続される複数のEoE網間でECPフレームを通信する際に、十分な識別空間を設けることが可能になる。また、ECPフレームの中継に際して、ユーザフレームを中継する際に行われるVID変換をそのまま流用することができるため、装置構成や処理の効率化も図れる。
【0080】
(実施の形態2)
《中継システム(比較例[2])におけるECPフレーム中継時の問題点》
図12は、本発明の比較例となる中継システムにおいて、ECPフレームを中継する際の問題点の一例を示す説明図である。
図12に示す中継システムは、
図9等に示したEoE網11a,11b、PBB網12、エッジスイッチ装置ESWe1,ESWe2、およびゲートウェイ装置(中継装置)GW1,GW2に加えて、PB網10cと、エッジスイッチ装置ESWe3,ESWp1とを備える。
【0081】
エッジスイッチ装置ESWe3は、エッジスイッチ装置ESWe1と同様に、EoE網11aと図示しないPB網との境界に設置される。エッジスイッチ装置ESWp1は、PB網10cとPBB網12の境界に設置され、
図1に示したようなS−TAGフレームとPBBフレームとの間の変換を担う。ゲートウェイ装置GW1,GW2のそれぞれは、実施の形態1で述べたような方式を用いてECPフレームの中継を行う。
【0082】
ここで、
図12の例では、EoE用となるエッジスイッチ装置ESWe1は、同じくEoE用となるエッジスイッチ装置ESWe2,ESWe3のそれぞれと、EoEに対応するゲートウェイ装置GW1,GW2のそれぞれとを相手としてECPフレームCF1aを用いて疎通性確認を行っている。このため、ECPフレームCF1aの宛先MACアドレスEDAは、マルチキャスト(MC)アドレスに定められる。その結果、実施の形態1の方式を用いた場合、ゲートウェイ装置GW1からのカプセル化ECPフレームCF2の宛先MACアドレスBDAはMCアドレスとなり、送信元MACアドレスBSAは‘MA1’となる。
【0083】
しかし、この場合、2つの問題が生じ得る。1つ目の問題は、宛先MACアドレスBDAがMCアドレスであるカプセル化ECPフレームCF2を、PBB用のエッジスイッチ装置ESWp1が受信する点にある。この場合、PBB用のエッジスイッチ装置ESWp1は、宛先MACアドレスBDAに自装置が含まれるため、デカプセル化を実行し、デカプセル化されたフレームをPB網10cにフラッディングする。その結果、PB網10cでは、本来、不必要となるECPフレームの転送が行われるため、PB網10cの通信帯域が不必要に圧迫される恐れがある。
【0084】
2つ目の問題は、カプセル化される前の送信元MACアドレスESAとPBBヘッダの送信元MACアドレスBSAが共に‘MA1’であるカプセル化ECPフレームCF2を、PBB用のエッジスイッチ装置ESWp1が受信する点にある。この場合、PBB用のエッジスイッチ装置ESWp1は、送信元MACアドレスESAである‘MA1’を送信元MACアドレスBSAである‘MA1’に対応付けて自装置のFDBに学習する。当該FDBのエントリは、本来不要なエントリであるため、FDBのエントリが無駄に消費される恐れがある。
【0085】
《EoE用中継処理部(応用例)の処理内容》
図13は、本発明の実施の形態2によるゲートウェイ装置において、EoE用中継処理部の主要な処理内容の一例を示すフロー図である。
図13に示すフローは、前述した
図11のフローの中から、ステップS501〜S503およびステップS301の処理を抽出したフローとなっている。ただし、
図13と
図11では、ステップS301の処理内容が異なっている。
【0086】
図13のステップS301では、ステップS301bとステップS301cの間に、ステップS301d,S301e,S301fが追加されている。ステップS301dにおいて、例えば、
図12のゲートウェイ装置GW1のEoE用中継処理部25b(具体的には、EoE用制御フレーム処理部30b)は、EoE用ポートPe1で受信したECPフレームCF1aの宛先MACアドレスEDAがマルチキャストアドレスか否かを判定する。当該判定に際し、具体的には、EoE用制御フレーム処理部30bは、宛先MACアドレスEDAの中のマルチキャストか否かを表すI/Gビットを参照する。
【0087】
ステップS301dで宛先MACアドレスEDAがマルチキャストアドレスの場合、EoE用制御フレーム処理部30bは、中間フレームMFの宛先MACアドレスBEDAを規定のアンノウンユニキャストとなるMACアドレスに定める(ステップS301e)。その結果として、EoE用制御フレーム処理部30bは、カプセル化ECPフレームCF2のPBBヘッダ16の宛先MACアドレスBDAを、アンノウンユニキャストとなるMACアドレスに定める。
【0088】
当該アンノウンユニキャストとなるMACアドレスは、例えば、中継システムに設置されるEoE網11a,11bおよびPBB網12で未使用のアドレスであり、予めユーザによって設定されるアドレスである。なお、EoE用ポートPe1で受信したECPフレームCF1aの宛先MACアドレスEDAがマルチキャストアドレスの場合には、前述したように、
図4のMC処理部26bによって単数または複数の宛先ポートが定められる。
【0089】
ステップS301eの処理の後、EoE用制御フレーム処理部30bは、ステップS301fの処理を実行する。また、EoE用制御フレーム処理部30bは、ステップS301dで宛先MACアドレスEDAがユニキャストアドレスの場合は、ステップS301eの処理を経ずにステップS301fの処理を実行する。ステップS301fにおいて、EoE用制御フレーム処理部30bは、中間フレームMFの送信元MACアドレスBESAをブロードキャストアドレスまたはマルチキャストアドレスに定める。その結果として、EoE用制御フレーム処理部30bは、カプセル化ECPフレームCF2のPBBヘッダ16の送信元MACアドレスBSAを、ブロードキャストアドレスまたはマルチキャストアドレスに定める。
【0090】
以上のように、ステップS301eの処理によって、
図12に示した1つ目の問題を解決できる。すなわち、PBB用のエッジスイッチ装置ESWp1は、受信したカプセル化ECPフレームCF2の宛先MACアドレスBDAがアンノウンユニキャストの場合、当該フレームをデカプセル化せずに、PBB網12のみにフラッディングする。また、ステップS301fの処理によって、
図12に示した2つ目の問題を解決できる。すなわち、PBB用のエッジスイッチ装置ESWp1は、受信したカプセル化ECPフレームCF2の送信元MACアドレスBSAがブロードキャストアドレスまたはマルチキャストアドレスの場合、FDBの学習を行わない。
【0091】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、前述した実施の形態は、本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施の形態の構成の一部を他の実施の形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施の形態の構成に他の実施の形態の構成を加えることも可能である。また、各実施の形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0092】
例えば、
図2では、シャーシ型のゲートウェイ装置を例としたが、勿論、ボックス型のゲートウェイ装置であってもよい。この場合、例えば、
図3のPBB用中継処理部25aおよび
図4のEoE用中継処理部25bとを1個の中継処理部として構成し、
図3のMC処理部26aおよび
図4のMC処理部26bとを1個のMC処理部として構成すればよい。