(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
手術用プローブの吸引開口部を通した流体および組織断片の外科的吸引の間、体腔の閉塞後の不安定性を防止するためのサイクル式アパーチャ流量調整器システムであって、
a)調節可能な断面積を有する流体アパーチャを有する流量調整弁部分であって、前記流体アパーチャは、前記手術用プローブの前記吸引開口部を真空源と接続する流体経路内に配置される、流量調整弁部分と、
b)前記流体アパーチャの前記断面積を変更するように動作可能な前記流量調整弁部分と接続されたアクチュエータ部分と、
c)前記流体アパーチャの前記断面積の変化のサイクルをもたらすように、前記アクチュエータ部分にサイクルコマンド信号を提供するコントローラであって、前記サイクルのそれぞれは、前記流体アパーチャの前記断面積が実質的に低減または前記流体アパーチャが閉鎖される少なくとも1つのセグメントを含み、前記サイクルは、前記手術用プローブの前記吸引開口部において実質的に一定である流量を生成するのに十分高い周波数で生じる、コントローラとを備え、前記流体および組織断片は、前記手術用プローブの前記吸引開口部の閉塞の解消により引き起こされる前記流体経路への流体サージにより引き起こされる、前記体腔の不安定性が発生することなく、前記流体経路に沿って前記手術用プローブを使用して前記体腔から吸引され、
前記流量調整弁部分は、弁室内で回転しかつ摺動可能に軸方向に変位可能であるように構成された弁ロータを備えており、
前記流量調整弁部分は、調節可能な断面積を有する前記流体アパーチャを画成し、前記流体アパーチャは前記手術用プローブの前記吸引開口部を真空源に接続する通路に配置されており、前記流量調整弁部分は、前記流体アパーチャを画成するロータ蓋を備えており、前記弁ロータは、前記流体アパーチャの断面積を変化させるように回転中に前記弁室内を軸方向に移動させられる、サイクル式アパーチャ流量調整器システム。
部分的に組み立てられる前記流量調整弁部分は、手術用プローブにより提供され、手術用ハンドピースにより提供される移動部材により操作される構造を有する、請求項1に記載のサイクル式アパーチャ流量調整器システム。
前記流量調整弁部分は、手術用プローブ内に組み込まれ、手術用ハンドピースにより提供される移動部材により操作される、請求項1に記載のサイクル式アパーチャ流量調整器システム。
前記アクチュエータ部分は、シャフトを用いて前記流量調整弁部分に機械的に接続された、回転式アクチュエータ、直線アクチュエータ、回転−直線複合アクチュエータ、回転モータ、ボイスコイルアクチュエータ、圧電アクチュエータおよび空気圧式アクチュエータからなる群から選択される少なくとも1つのアクチュエータを含む、請求項1に記載のサイクル式アパーチャ流量調整器システム。
前記アクチュエータ部分は、前記コントローラにアクチュエータ部分シャフトの位置フィードバック信号を提供するように配置される、回転式位置センサおよび直線位置センサからなる群から選択される位置センサをさらに含む、請求項1に記載のサイクル式アパーチャ流量調整器システム。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1A】先行技術の手術用吸引システムの概略図である。
【
図1B】本発明のサイクル式アパーチャ流量調整器システムを組み込んだ外科吸引の概略図である。
【
図1C】先行技術の手術用ハンドピースの外観の斜視図である。
【
図1D】連続吸引経路が露出した
図1Cからのハンドピースの側面図である。
【
図1E】水晶体乳化手術コンソール内に組み込まれた、本発明のサイクル式アパーチャ流量調整器システムの概略図である。
【
図2A】本発明の流量調整器システムの1つの好ましい回転軸実施形態の概略図である。
【
図2B】操作中に生じ得る例示的アパーチャ断面を描写した、
図2Aからの流量調整器システムの概略図である。
【
図2C】操作中に生じ得る例示的アパーチャ断面を描写した、
図2Aからの流量調整器システムの概略図である。
【
図2D】操作中に生じ得る例示的アパーチャ断面を描写した、
図2Aからの流量調整器システムの概略図である。
【
図3A】
図2からの流量調整器システムのモデルの断面図である。
【
図3B】
図2からの流量調整器システムのモデルの断面図である。
【
図3C】
図2からの流量調整器システムのモデルの断面図である。
【
図3D】
図2からの流量調整器システムのモデルの断面図である。
【
図3E】
図2B〜2Dに示される例のそれぞれと一致する、流量調整器システムの1回の回転サイクルに沿った調節可能な流体アパーチャの断面積を示すグラフである。
【
図4A】サイクル式アパーチャ流量調整器システムの
図2に示される回転軸実施形態の手術用ハンドピースにおける1つの実現形態の異なる斜視図、詳細図および断面図である。
【
図4B】サイクル式アパーチャ流量調整器システムの
図2に示される回転軸実施形態の手術用ハンドピースにおける1つの実現形態の異なる斜視図、詳細図および断面図である。
【
図4C】サイクル式アパーチャ流量調整器システムの
図2に示される回転軸実施形態の手術用ハンドピースにおける1つの実現形態の異なる斜視図、詳細図および断面図である。
【
図4D】サイクル式アパーチャ流量調整器システムの
図2に示される回転軸実施形態の手術用ハンドピースにおける1つの実現形態の異なる斜視図、詳細図および断面図である。
【
図4E】サイクル式アパーチャ流量調整器システムの
図2に示される回転軸実施形態の手術用ハンドピースにおける1つの実現形態の異なる斜視図、詳細図および断面図である。
【
図4F】サイクル式アパーチャ流量調整器システムの
図2に示される回転軸実施形態の手術用ハンドピースにおける1つの実現形態の異なる斜視図、詳細図および断面図である。
【
図4G】サイクル式アパーチャ流量調整器システムの
図2に示される回転軸実施形態の手術用ハンドピースにおける1つの実現形態の異なる斜視図、詳細図および断面図である。
【
図4H】サイクル式アパーチャ流量調整器システムの
図2に示される回転軸実施形態の手術用ハンドピースにおける1つの実現形態の異なる斜視図、詳細図および断面図である。
【
図4I】サイクル式アパーチャ流量調整器システムの
図2に示される回転軸実施形態の手術用ハンドピースにおける1つの実現形態の異なる斜視図、詳細図および断面図である。
【
図4J】サイクル式アパーチャ流量調整器システムの
図2に示される回転軸実施形態の手術用ハンドピースにおける1つの実現形態の異なる斜視図、詳細図および断面図である。
【
図4K】サイクル式アパーチャ流量調整器システムの
図2に示される回転軸実施形態の手術用ハンドピースにおける1つの実現形態の異なる斜視図、詳細図および断面図である。
【
図5A】弁部分が手術用プローブの内側に配置された流量調整器システムの追加の回転実施形態を組み込んだ手術用ハンドピースにおける、部品の内部構成を示す図である。
【
図5B】弁部分が手術用プローブの内側に配置された流量調整器システムの追加の回転実施形態を組み込んだ手術用ハンドピースにおける、部品の内部構成を示す図である。
【
図5C】弁部分が手術用プローブの内側に配置された流量調整器システムの追加の回転実施形態を組み込んだ手術用ハンドピースにおける、部品の内部構成を示す図である。
【
図6A】本発明の流量調整器システムの弁部分の構成要素を部分的に提供する、手術用プローブの斜視図および断面図である。
【
図6B】本発明の流量調整器システムの弁部分の構成要素を部分的に提供する、手術用プローブの斜視図および断面図である。
【
図6C】本発明の流量調整器システムの弁部分の構成要素を部分的に提供する、手術用プローブの斜視図および断面図である。
【
図7A】本発明の流量調整器システムの弁部分の構成要素を全て提供する、手術用プローブの斜視図および断面図である。
【
図7B】本発明の流量調整器システムの弁部分の構成要素を全て提供する、手術用プローブの斜視図および断面図である。
【
図7C】本発明の流量調整器システムの弁部分の構成要素を全て提供する、手術用プローブの斜視図および断面図である。
【
図7D】本発明の流量調整器システムの弁部分の構成要素を全て提供する、手術用プローブの斜視図および断面図である。
【
図7E】本発明の流量調整器システムの弁部分の構成要素を全て提供する、手術用プローブの斜視図および断面図である。
【
図8A】本発明の流量調整器システムの完全な弁部分を組み込んだ別の手術用プローブの斜視図および断面図である。
【
図8B】本発明の流量調整器システムの完全な弁部分を組み込んだ別の手術用プローブの斜視図および断面図である。
【
図8C】本発明の流量調整器システムの完全な弁部分を組み込んだ別の手術用プローブの斜視図および断面図である。
【
図8D】本発明の流量調整器システムの完全な弁部分を組み込んだ別の手術用プローブの斜視図および断面図である。
【
図8E】本発明の流量調整器システムの完全な弁部分を組み込んだ別の手術用プローブの斜視図および断面図である。
【
図8F】本発明の流量調整器システムの完全な弁部分を組み込んだ別の手術用プローブの斜視図および断面図である。
【
図8G】本発明の流量調整器システムの完全な弁部分を組み込んだ別の手術用プローブの斜視図および断面図である。
【
図8H】本発明の流量調整器システムの完全な弁部分を組み込んだ別の手術用プローブの斜視図および断面図である。
【
図8I】本発明の流量調整器システムの完全な弁部分を組み込んだ別の手術用プローブの斜視図および断面図である。
【
図8J】本発明の流量調整器システムの完全な弁部分を組み込んだ別の手術用プローブの斜視図および断面図である。
【
図8K】本発明の流量調整器システムの「管内」弁部分を組み込んだ手術用ハンドピースの拡大図である。
【
図8L】組織破砕アクチュエータよりも手術用プローブに対しより遠い場所において本発明の弁部分を組み込んだハンドピースの、内部構成要素の側面図である。
【
図8M】本発明の流量調整器システムの「プローブ内」弁部分を組み込んだ手術用ハンドピースの拡大図である。
【
図9A】調節可能な流体経路が断面積の固定RMS値で動作する本発明の実施形態を組み込んだハンドピースの側面図である。
【
図9B】調節可能な流体経路が断面積の固定RMS値で動作する本発明の実施形態を組み込んだハンドピースの側面図である。
【
図9C】操作者が断面積のRMS値を手動で調節することができるようにする機構をさらに組み込んだ、
図9Aおよび9Bに示されるものと同様のハンドピースの側面図である。
【
図10A】本発明のサイクル式アパーチャ流量調整器システムの振動実施形態の概略図である。
【
図10B】本発明のサイクル式アパーチャ流量調整器システムの振動実施形態の概略図である。
【
図10C】本発明のサイクル式アパーチャ流量調整器システムの振動実施形態の概略図である。
【
図10D】本発明のサイクル式アパーチャ流量調整器システムの振動実施形態の概略図である。
【
図10E】本発明のサイクル式アパーチャ流量調整器システムの振動実施形態の概略図である。
【
図11A】各フレーム上の最終的な流体アパーチャの断面積を示す2つの流体通路を有する弁本体に対する、1回の完全振動サイクルに沿った窓を有する可動部材の変位を示す一連の図である。
【
図11B】各フレーム上の最終的な流体アパーチャの断面積を示す2つの流体通路を有する弁本体に対する、1回の完全振動サイクルに沿った窓を有する可動部材の変位を示す一連の図である。
【
図11C】各フレーム上の最終的な流体アパーチャの断面積を示す2つの流体通路を有する弁本体に対する、1回の完全振動サイクルに沿った窓を有する可動部材の変位を示す一連の図である。
【
図11D】各フレーム上の最終的な流体アパーチャの断面積を示す2つの流体通路を有する弁本体に対する、1回の完全振動サイクルに沿った窓を有する可動部材の変位を示す一連の図である。
【
図11E】各フレーム上の最終的な流体アパーチャの断面積を示す2つの流体通路を有する弁本体に対する、1回の完全振動サイクルに沿った窓を有する可動部材の変位を示す一連の図である。
【
図11F】各フレーム上の最終的な流体アパーチャの断面積を示す2つの流体通路を有する弁本体に対する、1回の完全振動サイクルに沿った窓を有する可動部材の変位を示す一連の図である。
【
図11G】各フレーム上の最終的な流体アパーチャの断面積を示す2つの流体通路を有する弁本体に対する、1回の完全振動サイクルに沿った窓を有する可動部材の変位を示す一連の図である。
【
図11H】各フレーム上の最終的な流体アパーチャの断面積を示す2つの流体通路を有する弁本体に対する、1回の完全振動サイクルに沿った窓を有する可動部材の変位を示す一連の図である。
【
図11I】各フレーム上の最終的な流体アパーチャの断面積を示す2つの流体通路を有する弁本体に対する、1回の完全振動サイクルに沿った窓を有する可動部材の変位を示す一連の図である。
【
図11J】各フレーム上の最終的な流体アパーチャの断面積を示す2つの流体通路を有する弁本体に対する、1回の完全振動サイクルに沿った窓を有する可動部材の変位を示す一連の図である。
【
図12】3つの異なる直線振動振幅に対して示された
図10Aから10Jからの例からの、1回の完全振動サイクルに沿ったアパーチャ断面積変化を示すグラフである。
【
図13A】サイクル式アパーチャ流量調整器システムの
図10に示される振動実施形態の手術用ハンドピースにおける1つの実現形態の異なる斜視図、詳細図および断面図である。
【
図13B】サイクル式アパーチャ流量調整器システムの
図10に示される振動実施形態の手術用ハンドピースにおける1つの実現形態の異なる斜視図、詳細図および断面図である。
【
図13C】サイクル式アパーチャ流量調整器システムの
図10に示される振動実施形態の手術用ハンドピースにおける1つの実現形態の異なる斜視図、詳細図および断面図である。
【
図13D】サイクル式アパーチャ流量調整器システムの
図10に示される振動実施形態の手術用ハンドピースにおける1つの実現形態の異なる斜視図、詳細図および断面図である。
【
図13E】サイクル式アパーチャ流量調整器システムの
図10に示される振動実施形態の手術用ハンドピースにおける1つの実現形態の異なる斜視図、詳細図および断面図である。
【
図13F】サイクル式アパーチャ流量調整器システムの
図10に示される振動実施形態の手術用ハンドピースにおける1つの実現形態の異なる斜視図、詳細図および断面図である。
【
図13G】サイクル式アパーチャ流量調整器システムの
図10に示される振動実施形態の手術用ハンドピースにおける1つの実現形態の異なる斜視図、詳細図および断面図である。
【
図13H】サイクル式アパーチャ流量調整器システムの
図10に示される振動実施形態の手術用ハンドピースにおける1つの実現形態の異なる斜視図、詳細図および断面図である。
【
図14A】かん流/吸引手術用ハンドピースにおける、本発明の流量調整器システムの1つの実現形態の異なる斜視図、詳細図および断面図である。
【
図14B】かん流/吸引手術用ハンドピースにおける、本発明の流量調整器システムの1つの実現形態の異なる斜視図、詳細図および断面図である。
【
図14C】かん流/吸引手術用ハンドピースにおける、本発明の流量調整器システムの1つの実現形態の異なる斜視図、詳細図および断面図である。
【
図14D】かん流/吸引手術用ハンドピースにおける、本発明の流量調整器システムの1つの実現形態の異なる斜視図、詳細図および断面図である。
【
図15】異なる周波数で動作する本発明のサイクル式アパーチャ流量調整器システムによる、手術用プローブの吸引開口部における流量および圧力測定を示し、流量および圧力リップルが750CPM超で消失し、1500サイクル毎分を超える動作周波数で実質的に一定の流量に変形することを示すグラフである。
【
図16】
アパーチャの開閉の単一サイクル間のスナップショットを描写するシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1Aには、手術用プローブ80の吸引開口部82を調節可能な真空源114と直接接続している流体経路109を示す、先行技術の手術用吸引システムの概略図が示されている。
図1Cは、筐体402、かん流管404、かん流スリーブ104、吸引ラインコネクタ406、およびハンドピース400の遠位端に取り付けられた手術用プローブ80を有する、先行技術の手術用ハンドピース400を示す。ハンドピース400の隠れた態様を示す
図1Dにおいて、流体経路109が、直接的な管状の様式で手術用プローブ80の吸引開口部から、電気機械的超音波アクチュエータ512および超音波運動シフタ514を横切る吸引ラインコネクタ406まで横切っていることが分かる。先行技術において、吸引ラインコネクタ406を真空源140と接続している流体経路は、単一および直接的吸引配管内に含まれる。
【0013】
図1Bは、本発明のサイクル式アパーチャ流量調整器システム60を組み込んだ手術用吸引システムの概略図である。システム60の弁部分64は、吸引開口部82と調節可能な真空源114との間の流体経路内に挿入される。流体経路は、第1の(調整器前)流体経路110および第2の(調整器後)流体経路112に分けられ、流体経路は共に、弁64の内側の調節可能な断面積200を有するアパーチャを通して流体的に接続される。システム60のアクチュエータ部分62は、アパーチャ200の断面積を変更するようにシャフト280を動作させる。コントローラ132は、流体アパーチャ200の断面積の変化のサイクルをもたらすように、アクチュエータケーブル142を通してアクチュエータ部分62にサイクルコマンドを提供する。コントローラ132は、各サイクルの少なくとも1つの部分の間、流体アパーチャ200の断面積を大幅に低減するように、アクチュエータ部分62に命令し、断面積の大幅な低減は、アパーチャ200の一時的な完全閉鎖の選択肢を含む。アクチュエータ部分62における運動センサは、運動センサケーブル144を通してコントローラ132に運動フィードバック信号を提供することができる。
【0014】
図1Cには、水晶体除去コンソール150の手術用ハンドピース70内に組み込まれた本発明のサイクル式アパーチャ流量調整器システム60の概略図が示されている。
図1Dには、
図1Cからのハンドピース70領域およびその構成要素の拡大概略図が示されている。かん流ライン102は、かん流プローブ104を通して手術部位に加圧流体100の源を接続する。かん流弁90は、眼の中への流体源100とプローブ104との間の流量を調整することができる。手術用プローブ80は、眼の前眼房等の手術部位内に挿入され得る吸引ポート82を有する。吸引ポート82は、中空のプローブシャフト84およびプローブハブ86を通して、手術用ハンドピース70内に位置するサイクル式アパーチャ流量調整器システム60の弁部分64の入力部170と流体的に接続される。ハブ86はまた、水晶体破砕のために組織破砕エネルギーが組織破砕器アクチュエータ68からプローブ80に効果的に伝達され得るように、プローブ80をハンドピース70の内側の組織破砕アクチュエータ68と結合する。第1の流体経路110は、吸引ポート82と、流量調整器システム60の弁部分64の入力部170を含むアパーチャ200との間に適合する。第1の流体経路110の低減された体積が、高い真空レベルを使用する際の流量調整器システム60の最適性能のための鍵である。この観察を考慮して、流量調整器システムの2つの好ましい実施形態は、第1の流体経路110の体積を最小限に低減するために、現実的に吸引ポート82にできるだけ近くに位置する流量調整器システム60の弁部分64を有する。
【0015】
第1の流体経路110は、好ましくは円形である断面を有するように構築される。直径は、栓塞を防止するためにシャフト84の内側の流体チャネルの直径以上であるべきであり、この直径は、典型的には、水晶体切除プローブの場合0.3mmから1.5mmの間の範囲である。流量調整器システム60の弁部分64の出力180は、手術コンソール150内の真空源114に結合する長さで延在する吸引管111に結合される。第2の流体経路112は、流体アパーチャ200と、出力ポート180および吸引管111を含む真空源114との間に適合する。真空源114には、流体廃棄物貯蔵部116が取り付けられている。
【0016】
真空制御弁118は、第2の流体経路112内に挿入されて、出力ポート180で利用可能な真空を有効および無効とする。弁118は、プロセッサ130により命令される。逃がし弁120は、第2の流体経路の側枝を、周囲圧力または周囲より高い圧力に接続する。逃がし弁120は、第2の流体経路112の内側の真空を無効化すると共に、操作者により要求された還流操作を可能とするように、プロセッサ130により作動され得る。かん流ライン圧力センサ106は、かん流ライン102内に設置され得る。吸引ライン圧力センサ140は、吸引ライン111内に設置され得る。サイクル式アパーチャ流量調整器システムコントローラ132は、流量調整器制御ケーブル143を通してプロセッサ130からコマンドを受信し得る。かん流ライン圧力センサ信号ケーブル108は、センサ106をコントローラ130と接続する。かん流弁信号ケーブル92は、コントローラ130を弁90と接続する。コントローラ130は、組織破砕器アクチュエータ駆動部134を動作させる。組織破砕器駆動部134は、ケーブル146を通して組織破砕器アクチュエータ68に駆動信号を提供する。吸引ライン圧力センサ140は、ケーブル148を通してコントローラ130に圧力信号を提供する。
【0017】
好ましい実施形態の記載
軸方向に調節可能なロータおよび「管内」弁部分を有するハンドピース
図2から8は、本発明の好ましい実施形態の異なる態様を示す。
図2Aにおいて見られるように、本発明のサイクル式アパーチャ流量調整器システム60は、アクチュエータ部分62、および弁部分本体166を有する弁部分64で構成される。流量調整器シャフト280は、アクチュエータ部分62から弁部分64に機械的エネルギーを伝達する。アクチュエータ部分62は、回転シャフト262を有する回転モータ260、および軸方向変位シャフト272を有するボイスコイル直線アクチュエータ270で構成される。回転モータ260の速度は、15RPMから15,000RPMの間で調節可能である。ボイスコイルアクチュエータ270は、適切に調整されたPIDコントローラを使用して駆動される場合、50ミリ秒の負荷応答時間を有する。シャフト280は、同軸回転継手276を介して回転モータシャフト262から回転運動を受ける。シャフト280はまた、アクチュエータシャフト272を介して直線アクチュエータ270から軸方向運動を受ける。軸受282および284により、シャフト280は、シャフト280と272との間のいかなる顕著な軸方向の遊びも制限しながら、直線アクチュエータシャフト272の内側で自由に回転することができる。このようにして、線形アクチュエータ270からシャフト280に正確な軸方向運動が伝達され得る。回転位置センサ264は、モータシャフト262の角度位置を検出し、ケーブル144を通してコントローラ132に角度位置信号を提供することができる。軸方向位置センサ274は、流量調整器シャフト280の軸方向位置を検出し、ケーブル144を通してコントローラ130にシャフト軸方向位置信号を提供することができる。シャフト280は、アクチュエータ部分62を弁部分64と機械的に接続する。弁ロータ290は、弁部分64の弁本体166の内側の弁室292内に収納され、ロータ290およびチャンバ292は共に、顕著な摩擦なしに、および同時に最小限の漏出で弁室292の内側のロータ290の軸方向および回転変位を可能とするように、正確に一致した寸法で構築される。
【0018】
弁室292は、弁入力ポート170と流体接続されている。弁室292はまた、少なくとも1つの流体通路172を通して、出力ポート180と流体接続されている。弁ロータ290は、通路172への入口が位置する室292の表面と摺動可能に接触する、少なくとも1つの蓋294および少なくとも1つの窓296を有してもよい。アパーチャ200の断面積は、共にロータ290の一体部分である蓋294および窓296と、通路172の入口との間の重なりにより構成される。
図2Bから2Dに示されるように、本体166に対するロータ292の相対的な軸方向および回転位置に依存して、蓋294は、部分的または完全に流体通路172を閉塞し得る。環状矢印「a」は、シャフト280およびロータ290の回転運動を示す。直線矢印「b」は、シャフト280およびロータ290の軸方向運動を示す。流体アパーチャ200は、ロータ292の蓋294と流体通路172の入口との間の相対的位置により決定される。流体アパーチャ200の断面積は、蓋294が流体通路172の入口のいかなる部分とも重複しない場合最大である。流体アパーチャ200の断面積は、蓋294および/またはロータ290の一部が流体通路172の入口と完全に重複する場合最少であり、ポート170と180との間の流量の実質的な制限をもたらし、最終的に流量なしの状態を決定付ける。蓋294を有するロータ290の異なる軸方向および回転位置により、通路172の部分的閉塞が生じる際、連続的な範囲の中間的なアパーチャ200の寸法が可能である。
図2Bにおいて、弁ロータ290は、別様において任意の回転位置において流体通路172を完全に覆う全長の約3/4だけ本体166内に軸方向に変位される。3つの垂直に配置された円は、ロータ290の3つの異なる回転位置を表し、描写された軸方向位置におけるロータ290の1回転に沿った3つの可能なアパーチャ200の大きさを例示する。
【0019】
上の円内において、ロータ290および蓋294は、一緒に流体通路172を完全に消失させ、アパーチャ200は、実質的に閉鎖している、または存在しない。
図2Bからの中央の円は、ロータ290の別の回転位置を表し、窓296がほとんど通路172と重複してアパーチャ200の中程度の断面積を決定付けるように、蓋294が僅かに存在している。
図2Bからの下の円は、非常に小さいアパーチャ200を決定付けるロータ290の別の例示的回転位置を示す。窓296は、通路172への流入を可能とし、アパーチャ200への適合に寄与する蓋294の補足的シリンダ位置である。
図2Cからの垂直に配置された円において、
図2Bからの対応物と同様のロータ290の回転位置が示されており、この場合、ロータ290の任意の回転位置において通路172の入口の面積の約半分の閉塞を決定付けるロータ290の軸方向位置を有しており、通路172の入口の他の半分は、ロータ290の回転位置に依存して、閉塞が除去されているか、または部分的もしくは完全に蓋294により閉塞されている。ロータ290の1回転の間に達成され得る最大アパーチャ寸法は、
図2Cにおいて
図2Bよりも大きい。
図2Dは、2Bおよび2Cと同様であるが、単に、1回転の間に通路172の入口に重複し得るロータ290の唯一の部分が蓋294であるようにロータ290が軸方向に位置している。この軸方向位置にあるロータ290により、アパーチャ200は、ロータ290の1回転の間、流体通路172の入口の全アパーチャ面積と同等である、可能な最大断面積に到達し得る。
【0020】
図3Aから3Dにおいて、ロータ290の軸方向および回転位置の両方の組み合わせによりどのようにして流体アパーチャ200の大きさが決定されるかを示すために、本体166に対する特定の軸方向回転および軸方向位置にあるロータ290を有する弁部分64の断面図が示されている。平面であるとは限らないが、最も狭いアパーチャ面積は、アパーチャ200の断面積として測定される。
図3Eは、ロータ290の回転位置に対するアパーチャ200の寸法を示すグラフであり、少なくとも1回転(角度はX軸に示される)に沿った弁室292の内側の軸方向回転ロータ290は、半径=1mmの円形流体通路172の入口に対して
図2B(グラフ上の下のトレース)、
図2C(中央のトレース)および
図2D(上のトレース)に示される例に近似的に対応する。
【0021】
図4Aから4Kは、本発明のサイクル式アパーチャ流量調整器システム60を組み込んだ、眼内からの水晶体の除去のための手術用ハンドピース500の図である。筐体502は、ハンドピース500の内部構成要素を収容し、その支持を提供する。かん流ライン102は、かん流管504と流体連通し、次いでかん流管504は同軸かん流スリーブ508の形態でかん流プローブ104と接続する。吸引管506は、吸引管111と流体連通している。超音波により動作する水晶体切除プローブ510は、
図1からのプローブ80と同様に、ハンドピース500に流体的および機械的に取り付けられる。
【0022】
図4Bは、筐体502が取り外された状態で見られるようなハンドピース500の内部構成要素を示す。軸管522には、超音波アクチュエータ512および超音波運動変換器514が取り付けられている。管522の内側に適合する
図1からの弁部分64(弁64の「管内」構成)に対応する弁部分520が管522内に設置される。水晶体切除プローブ510は、ねじ山88を用いて管522の遠位端と流体的かつ機械的に取り外し可能に接続される。管522の近位端は、シャフトシール524と接続される。管522は、軸方向に配置されたシャフト280を内部に含み、シャフト280の外径と管522の内径との間の循環空間523は、プローブ510を通して吸引される流体および組織断片の循環を促進するのに十分なままである。シャフト280は、水密および気密条件でシャフトシール524に交差し、同軸回転ジョイント276を介して回転アクチュエータ260の回転シャフト262と機械的に相互接続する(
図4D)。シャフト262の反対側の端は、回転位置センサ264に取り付けられる。回転位置センサ264は、モータシャフト262の反対側の端に固定された放射状に着磁された円形磁石516、およびホール効果回転位置センサ518(Melexis MLX90316絶対回転位置センサIC)で構成される(
図4C)。
【0023】
線形アクチュエータ270は、シャフト280上に同軸に装着されたシャフト272を有し、シャフト280に、前述のように顕著な軸方向の遊びなしにシャフト272に対して回転する自由度を与える。線形運動センサ274は、線形可変差動変圧器またはLVDT(Measurement Specialties Series MHR+/−0.64mm)内にある。軸方向センサ274は、シャフト280の周りに同軸に装着される中央中空管を有し、シャフト280の軸方向の変位を効果的に測定しながら、センサ274に対してシャフト280の非接触軸方向および回転変位を可能とする。軸方向センサ274を選択するための多くの代替例には、Melexis MLX90292等の直線ホール効果センサおよび直線光直交位相エンコーダがある。アクチュエータ260および270は、センサ264および274と共に、サイクル式アパーチャ流量調整器システム60のアクチュエータ部分62を構成する。
【0024】
シャフトシール524の詳細が、シャフトシール本体526、およびシャフト280の周りで調節されたOリング527(図示せず)を含むシャフトシールカバー525を示す
図4Eおよび4Hに示される。シャフトシール524は、低い抵抗での水密および気密回転、ならびに管522に対するシャフト280の軸方向の変位を可能にする。シャフトシール524はまた、管522の内部を吸引管506と流体的に接続することに寄与し、弁部分520を真空源114と流体連通させる第2の流体経路112に適合するように寄与する。
【0025】
図4Gにおける詳細Gは、管522の内側に実装される「管内」弁部分520を丸で囲んでおり、
図4Jおよび4Kにおいてより良く示されている。
図4Jは、管522のセグメント内に統合される弁部分520の詳細断面図を描写している。弁520の遠位に残される管522の一部は522aと標示され、第1の流体経路110の構成に寄与する。円筒弁室292は、シャフト280に結合され、アクチュエータ260および270により駆動されるようなシャフト280の回転および軸方向移動に従い、軸方向に回転し軸方向に変位できるようにされた、2自由度(2DOF)を有する一致するロータ290を収容する。
【0026】
プローブ80の吸引ポート82は、プローブシャフト84、プローブハブ86を介して、および第1の流体経路110を構成する管522の遠位部分522aを介して弁室292と直接的に閉塞されずに流体連通している。流体通路172および対称的に配置された第2の流体通路174は、バイパスチャネル528aおよび528bならびに貫通返却ポート530aおよび530bを横切って管522の近位内部と直接的に閉塞されずに流体連通しており、これら全ての流体チャネルは、第2の流体経路112の一体部分である。チャネル528および返却ポート530は、流体構造を完全とするためにロータ290の外側表面を使用して、管522の内壁上にエッチングされた1つ以上のチャネルにより機能的に置換され得る。
【0027】
アパーチャ200は、第1の流体経路110と第2の流体経路112との間の接続境界を画定する。弁室292は、ロータ290が、シャフト280により、
図2および3に示されるような本発明のアパーチャ200を可能とする軸方向および回転位置に配置される場合にのみ、第2の流体経路112と流体的に接続され得る。様々なサイズの流体アパーチャ200が、流体通路172および174の入口と、ロータ本体および蓋294を含むロータ290の流体通路閉塞部分との間の重なりの程度により決定付けられる。ロータ290の非遮断部分は、窓296として示される。
図4Kは、ロータ290と室292との間の回転関係をより良く可視化するために
図4Jから抽出された断面図である。ロータ290の1回転の間に、流体アパーチャ200は、最大アパーチャ寸法と最小アパーチャ寸法(断面積)との間で変化し、デバイスにわたるポテンシャル流の実質的な変化をもたらし得ることが理解され得る。アパーチャ200の寸法はまた、ロータ290の軸方向変位に伴って最大アパーチャと最小アパーチャとの間で変化し得る。このようにして、ロータ290の軸方向および回転変位の組み合わせが、最小と最大との間で流体アパーチャ200の断面積を変更し得る。「管内」弁部分520は、これらの図において、より良い理解のために、管522の直径より大きい直径を有するように示される。しかしながら、弁520からの全ての説明された固定流体チャネルは、同様の性能をもって、その外径に影響することなく管522の内側に彫り込まれても、またはエッチングされてもよい。
図8Kは、弁部分520の内側の構成要素、主にシャフト280とロータ290との間の関係をより良く示すための、ハンドピース500の拡大図である。
【0028】
好ましい実施形態の動作
流体アパーチャ200の断面積のサイクル式の低減は、時計の脱進機構が、ガンギ車が徐々に加速するのを回避するのと同じ様式で、また自動車が制御不能で走行するのを防止し得るエンジンブレーキと同様に、閉塞後サージを防止する。低い周波数で動作する弁64により、流体の個別の「スライス」が、各サイクルの間にアパーチャ200を通過させられる。動作の周波数が増加すると、これらのスライスの体積およびそれらの間の時間間隔が低減される。バルブ64のアパーチャサイクルの動作の周波数が十分に高いと、流体「スライス」は連続流に融合する。高い真空レベルを使用する場合、第1の流体経路110の内側のキャビテーションおよび流体経路抵抗は、アパーチャ低減サイクルの周波数が十分に高い限り、圧力および流量波の積分器として動作して一定レベルを生成する流体RC回路に適合する。これが、サイクルの周波数の増加が圧力および流量波形からのリップルを実質的に排除する1つの理由である。各サイクルの間のアパーチャ寸法の実質的な低減を含む流体アパーチャ断面積サイクルは、最大流量を効果的に制限し、閉塞後サージを防止する。第1の流動経路110の内側の合計キャビテーション気泡の全体積は、閉塞後サージの大きさの決定因子である。第1の流体経路110の体積が小さいほど、最大真空レベルにおけるシステム内の最終的な閉塞後サージの大きさは小さい。
【0029】
流体内に含有される粒子は、
図16Aから16Eからのアパーチャ200の開閉の単一サイクルの間のスナップショットを描写するシーケンスにおいて示されるように、動作に影響を与えることなくサイクル機構によりセグメント化され得る。回転リム294は、組織断片化を促進するように鋭くあり得る刃295を有する。アパーチャ200を横切る流れと共に移動する組織断片204は、断片204がセグメント化される様式で刃205により切り込まれ得る。組織断片204の一部208は、室292の内側に保持され得、一方で組織断片204の別の部分206は、アパーチャ200を通過して流体通路172内に流入し得る。速いペースでの弁部分64の内側のアパーチャ200の開閉の繰り返しサイクルにより、本発明のサイクル式アパーチャ流量調整器60の動作に悪影響を及ぼすことなく、流体中に懸濁した全ての組織断片の除去が可能となる。
【0030】
動作中、本発明は、眼の前眼房内からの白内障断片等の体腔からの流体および組織断片を除去するために、有利に使用される。手術用プローブ80は、水晶体が除去される眼の前眼房の内側に挿入される。操作者は、まず、ユーザインターフェース154およびフットペダル152を介してコンソール150からプロセッサ130に命令し、かん流プローブ104を通した眼内への流体のかん流を可能とするためにかん流弁90を開く。かん流が有効とされると、操作者は、手術用プローブ80から遠位開口部82を通して眼の内側から流体および粒子を吸引するように命令することができる。
【0031】
本発明の流量調整器システムの操作のために、流量調整器システム60のサイクル式アパーチャ変更機能が、回転アクチュエータ260に電力供給することにより有効とされ、室292の内側のロータ290の軸方向位置により決定付けられるように、ロータ290の回転がロータの回転毎に流体通路200の断面積の少なくとも1つの実質的な低減を生成するように、好ましくは2000RPMを超える速度で弁520の内側のロータ290の連続回転を生成する。弁室292の内側でロータ290が連続的に回転した状態で、流量は、弁室292の内側の回転するロータ290を、較正プロトコルに従う所望の流速を生成する位置に軸方向に変位させるように直線アクチュエータ270に命令することにより調節され得る。室292の内側のロータ290の軸方向位置に関して、アパーチャ200の開放および実質的な閉鎖の両方が、ロータ292の1回転内に存在する操作範囲がある。室292の内側のロータ290の過度の前進は、流体通路172の入口の回転するロータ290の本体との永久的な重なりにより、ロータ290の回転位置に関わらずアパーチャ200の永久的な閉塞を生成し、弁は、永久的に実質的に閉鎖した状態のままとなる。室292の内側のロータ290の過度に少ない変位は、ロータ290の1回転の任意の部分の間、アパーチャ200の寸法を大きく低減することなく、流体通路172の入口上の蓋294の過度に少ない露出を決定付ける。この状態において、ロータ290の回転のそれぞれのサイクルの間、アパーチャ200の一時的な実質的閉塞は生じず、弁は、永久的に開いた位置のままとなり、高い流量調整特性を失う。真空源114の作動により、および逃がし弁120が閉鎖位置にある間に真空制御弁118を開くことにより、大気圧より低い圧力または真空が第2の流体経路112内に提供されなければならない。
【0032】
サイクル式アパーチャ流量調整器システムの動作をより良く理解するために、以下の2つの重要な関係を説明することが適切である。
【0033】
a)所与のロータ290の軸方向位置における、プローブポート82を通して第1の流体経路110内に、および弁520を横切って第2の流体経路112内に循環する非閉塞流量は、第2の流体経路110の内側の真空レベルに依存する。
【0034】
b)プローブポート82を通して第1の流体経路110内に、および弁520を横切って第2の流体経路112内に循環する非閉塞流量は、室292の内側のロータ290の軸方向位置に依存する。ロータ290および流体通過入口172を含む弁室292の所与の形状因子において、ロータ290の異なる軸方向位置が、ロータ290の各回転に沿ったアパーチャ200の周期的に変化する寸法(断面積)の異なる二乗平均平方根(RMS)演算を決定する。第2の流体経路110での所与の真空レベルにおける弁520を横切る流量は、RMSアパーチャ値に依存する。
【0035】
このようにして、本発明のサイクル式アパーチャ流量調整器システムにわたる非閉塞流速は、2つの主要な様式で、すなわち1)第2の流体経路112の内側の真空レベルを決定することにより、および2)ロータ290の軸方向位置を決定することにより調節され得る。第2の流体経路112の内側の真空レベルおよびロータ290の軸方向位置の複数の組み合わせが、非閉塞ポート82内への同様の流速を生成し得る。しかしながら、操作者は、低真空および高真空を使用して同様の吸引流速を得る際に、手術用プローブ510の性能の差に気付くだろう。高真空を使用した場合、組織断片は、低い流速であっても強力に吸引される。
【0036】
低真空を使用した場合、複雑な外科的操作の間、周囲組織を損傷する可能性がより低い。
【0037】
流速は、操作者により、例えばフットペダル152を使用してプロセッサ130に入力信号を提供することによって調節され得る。漸進的なフットペダルの押下は、プロセッサ130に、ロータ290の軸方向位置を変化させて流速を増加または減少させるように直線アクチュエータ270に命令するように指示し得る。また、真空源114により提供される第2の流体経路112内への真空は、プロセッサ130にコマンドを提供することにより変化され得る。ロータ290の軸方向位置および第2の流体経路112の内側の真空レベルの両方のパラメータは、所定の性能プロファイルを得るために同時に調節され得る。本発明のサイクル式流量調整器システムにより有効とされるような異なる真空レベルを使用して所定の流速を選択する可能性は、新規であり有用である。
【0038】
かん流が有効とされ、また吸引が有効とされると、操作者は、最終的には唯一の水晶体破砕エネルギーとして真空の力のみを使用して、吸引により組織断片を把持し、眼からそれらを除去することができる。代替として、白内障断片が単純な吸引には硬過ぎる場合、超音波等の補足的な水晶体破砕エネルギーの源が適用され得る。ハブ86は、手術用プローブ80を、軸方向超音波アクチュエータ512および超音波運動変換器514で構成される組織破砕アクチュエータ68と結合する。アクチュエータ512および変換器514は、一緒に超音波運動を手術用プローブ80に伝達し、水晶体材料を乳化するための効果的方法を提供し得る。組織破砕駆動部134によりアクチュエータ68に提供される駆動周波数に依存して、プローブ80の機械的振動のパターンは、シャフト軸に平行(長手方向)となるように、または代替としてシャフト軸に沿って回転するように(ねじ山方向)プログラムされ得る。本発明のサイクル式アパーチャ流量調整器システムの注目すべき特徴は、室292の内側のロータ290の運動が、組織破砕アクチュエータ68により手術用プローブ80に伝達され得る最終的な変位の軸に一致する回転および軸方向成分を有することである。この特徴は、サイクル式流量調整器システム60および組織破砕アクチュエータ68の同時操作を可能とするため、根本的に重要である。
【0039】
直線変位センサ274から位置フィードバック信号を使用して直線アクチュエータ270を操作することが望ましい。この構成において、アクチュエータコントローラ132は、シャフト280の軸方向位置情報を受信し、ロータ290を所望の軸方向設定点に位置付けるように直線アクチュエータの動作を命令して、メモリ内に保存された較正手順からのデータに従う所望の非閉塞流速を生成する。センサ274により提供される位置フィードバック信号によって、操作者により命令された所望の非閉塞流速設定点に従い、弁室292に対するロータ290の軸方向位置を正確および迅速に調節するために、例えば比例・積分・微分フィルタ(PID)を使用して、制御ループをアクチュエータコントローラ132に組み込むことができる。
【0040】
本発明のサイクル式流量調整器の基本操作モードにおいて、所与の真空レベルに対する流速は、ロータ290に一定の回転を提供して、各サイクルの間のアパーチャ200の断面積の実質的な低減の少なくとも一部を含むアパーチャ200の断面積のサイクル変動を生成しながら、ロータ290の軸方向位置を決定することにより設定される。
【0041】
いくつかの状況において、例えば、回転蓋294と流体通路チャネル172および174との間に所定の軸方向配列が望まれる場合、ロータ290の回転位置の制御を有することが有利となり得る。この動作は、例えば、還流操作中に、または、コントローラ132もしくはプロセッサ130によりいくつかの不具合が検出された場合に永久的に開いたアパーチャ200を確実とするために、興味深いものとなり得る。回転センサ264は、コントローラ132に正確な角度位置信号を提供し得る。コントローラ132は、回転アクチュエータ260に、選択された角度位置において回転シャフト262を能動的に停止するように命令し得る(例えば、この操作を可能とするブラシレスDCモータを使用する場合)。
【0042】
システムプライミングの間、各手順の開始時に較正ルーチンを行うことができる。較正ルーチンの例は、以下に存在し得る:a)かん流プローブ104を吸引ポート82と流体的に接続するための、先行技術の試験チャンバの設置、b)弁90が閉鎖された状態で圧力センサ106を使用した加圧流体源100における静的かん流圧力の検出、c)加圧流体源100から流体経路110および112内への流動を可能とするための、弁90の開放。d)真空源114の作動による所定の真空レベルの提供、e)所望のRPMでロータ290を一定に回転させるための回転アクチュエータ260の作動、f)ロータ290の軸方向位置の一連の段階的調節に沿ったデータ取得シーケンスの実行に続く、各ステップにおけるロータ290の軸方向位置、センサ106からのかん流圧力読み取り値、およびセンサ140からの真空読み取り値のメモリへの保存、g)その目的のためにかん流ライン102抵抗および静的圧力と定常状態圧力との間で測定された圧力降下を組み込んだ、ロータ290の軸方向位置の測定ステップにおける非閉塞流速の計算、h)回転するロータ290の軸方向位置および真空源114からの真空レベルを調節することによって、操作者により命令される設定点に流速を調節するために、コントローラ132により使用される伝達関数の構築。較正ルーチンはまた、異なる回転モータ速度での段階的測定を組み込んでもよい。ロータ290の回転速度の変更は、例えば、ポート82内の真空/流量波におけるより多くのリップルが、水晶体断片の引き込みまたは破砕を補助し得るいくつかの状況において、利点をもたらし得る。流量調整器システム60の較正ルーチンはまた、両方のシステムが手術中に同時に操作される場合に生じ得る流量ドリフトに対して調節するための、組織破砕アクチュエータ68が異なる出力設定で作動している状態での流速の決定を含んでもよい。
【0043】
還流操作:操作者は、例えば、組織の望ましくない部分がプローブ80から遠位開口部82により捕捉された場合に、フットペダルスイッチを押下することにより、還流操作を要求することができる。還流は、弁64の回転アクチュエータ260の動作を維持しながら、弁118を短時間閉鎖し弁120を開放することによって、第2の流体経路112の内側の圧力の一時的増加を提供することにより提供され得る。還流操作の流速(還流速度)は、還流中にロータ290を所望の軸方向位置に同時に位置付けることにより調節され得る。還流操作の代替の方法は、還流期間の間アパーチャ200が連続的に開いたままとなるように、ロータ290を停止させることを考慮し得る。
【0044】
本発明のサイクル式アパーチャ流量調整器システムの動作は、先行技術のシステムに勝るいくつかの利点を提供する。最も妥当なものには、閉塞後サージが事実上排除され、合併症のリスクが低減されることが含まれる。閉塞後サージなしに最大限に高い真空レベルを使用して、水晶体組織断片を吸引する効率を増加させ、超音波乳化等の補足的な水晶体破砕エネルギーの必要性を低減することができる。
【0045】
別の妥当な利点は、本システムが、非閉塞流速が吸引ライン真空レベルから独立して調整され得るように動作するという点である。これにより、水晶体材料のゆっくりでありながら効率的な除去のために、高真空と共に低い流速を設定することができ、患者の回復時間および手術室の患者の回転率を改善することができる。
【0046】
吸引ライン真空設定および非閉塞流速設定の異なる組み合わせを、ユーザインターフェース154のパネルまたはフットペダル152を使用してプログラムおよび調節することができる。これらの調節は、ユーザインターフェースで一定に設定されてもよく、または、例えばフットペダルの押下のレベルに応答して連続的に変化してもよい。
図15中のグラフにおいて見られるように、本発明のサイクル式アパーチャ流量調整器システムにより生成される吸引ポート82で検出される圧力および流量リップル効果は、アパーチャ断面積変動のサイクルの周波数を、変動が僅かとなる程度(この例では毎分2000サイクル超)まで増加させることにより、徐々に低減される。
【0047】
弁520は、第1の流体経路110の体積が設計により低く維持される限り、管522のより近位の位置に位置してもよい。また、より厳しくない仕様の用途において、または比較的低い真空レベルを使用する予定である場合には、弁のより近位の場所を考慮することができる。弁520のより近位の場所の図が、
図8Lに示されている。
【0048】
安全性に関する考慮点:動作中、本発明のサイクル式アパーチャ流量調整器システム60は、流体アパーチャ200の断続的な大幅低減を高い周波数で生成する。この動作モードは、ほぼ流量ゼロから最大流量の間で調節可能な、手術用プローブ80を通る吸引ラインへの実質的に一定の流量を生成する。例えば超音波水晶体乳化により熱を発生し得る組織破砕器アクチュエータと組み合わせて流量調整器システム60を操作する場合、安全対策が実施されなければならない。低い流量は、超音波水晶体乳化中に手術用プローブにより生成される角膜熱傷(切開熱損傷としても知られる)の既知のリスク因子である。調整器60からのコントローラ132が、コンソール150からのプロセッサ130と通信して、角膜熱傷等の外科合併症を促進するリスクとみなされ得る操作条件を回避することが望ましい。例えば、その操作が潜在的に有害な発熱を含む場合、組織破砕器アクチュエータ68の作動の前に、調整器60のアパーチャ設定により、および真空源114設定により、最低一定流速が決定され得る。また、弁64の内側の流量対する予想外の連続的な著しい制約を生成する不具合が生じ得る。この状態は、例えば、1つのアクチュエータが動作を停止し、ロータ290が流体通路遮断位置に永久的に残された場合に生じ得る。コントローラ132は、センサ264および274からの信号からそのような状態を検出し、超音波エネルギーをオフにする等の、合併症を回避するための予防策をとるための対策をとるために、プロセッサ130または操作者に故障アラーム信号を伝達することができる。フェイルセーフアクチュエータもまた、永久的な流体通路遮断のリスクの低減に寄与し得る。例えば、モータ260は、モータの回転速度が安全性限界を下回る場合にシャフト262の軸方向の引き込みをもたらす遠心機構を組み込んでもよい。この状態において、シャフト262の引き込みは、シャフト280を介してロータ290をチャンバ292の内側の「安全モード」位置に変位させ、流体通路174または174の入口を遮断し得るロータ290の部分はなく、流量調整弁は、開いた状態に維持される。
【0049】
追加の実施形態(1)
軸方向に調節可能なロータおよび「プローブ内」弁部分を有するハンドピース:手術用プローブは、弁部分64の一部を含む。
図5Aから5Gは、最大真空レベルでの使用のために第1の流体経路110の体積を最小まで低減しながら、依然として高い流量安定性を提供するための代替のアプローチとして、本発明のサイクル式アパーチャ流量調整器システム60の弁部分64が手術用プローブ610内に組み込まれた、追加の実施形態の態様を示す。手術用プローブ610が取り付けられたハンドピース600が、
図5Aに示されている。筐体502が取り外されたハンドピース600が、
図5Bに示されており、流量調整器システム60のアクチュエータ部分62が、以前に
図4において詳細に示されたのと同様に配置されているのが示されている。
図5Cにおいて、組織破砕アクチュエータ部分68および管522が共に取り外され、その下のシャフト280および手術用プローブ610が露出したハンドピース600が示されている。この実施形態において、シャフト280は、シャフト280の遠位端が、弁部分64を含む手術用プローブ610のハブ領域86と作用可能に接触するように延在している。
図5Dは、管522と操作上結合された手術用プローブ610を示す。
図5Eから5Gは、
図5Dからの詳細領域Gの断面図を示す。ロータ290は、シャフト280の遠位端で組み込まれ、管522へのプローブ610の取り付けにより、室壁630により囲まれた弁室292内に機能的に配置され、完全な弁部分64に適合する。この実施形態において、ロータ290は、2つの窓296aおよび296b(
図8Fにおいても見られる)に適合する2つの円形開口部を有する管形状の蓋294を有する。プローブ610は、流体通路172および174に組み込まれる。通路172および174の入口と、蓋294における窓296aおよび296bとの間の重なりの拡張は、アパーチャ200の断面積を決定付ける。
図5Eにおいて、ロータ290は、窓296aおよび296bが流体通路チャネル172および174の入口に実質的に一致し、ほぼ最大寸法のアパーチャ200を決定付けるような軸方向および回転位置に位置しているように示されている。
図5Fにおいて、ロータ290は、窓296aおよび296bが流体通路チャネル172および174の入口に部分的に一致し、中間的な寸法のアパーチャ200を決定付けるような軸方向および回転位置に位置しているように示されている。
図5Fにおいて、ロータ290は、窓296aおよび296bが流体通路チャネル172および174の入口に一致せず、アパーチャ200の大幅な低減を決定付けるような軸方向および回転位置に位置しているように示されている。
図6Aから6Cは、さらに詳細に、単一の流体通路172を有するチャンバ292を含む弁部分64を組み込んだ手術用プローブ710の、斜視図、正面図および断面図を示す。手術用プローブ710は、ハブ領域86内に弁部分64の固定された構成部品を提供する。これらの部品は、本質的に、1つの流体通路172を有する室壁730により限られた弁室292である。
図6Cにおいて見られるように、弁排出チャネル738は、管522の内部壁と組み合わせて(
図5E)、ハブ86からの切り出し体積740により通常適合される。弁排出チャネル738は、流体通路172を管522の内側の循環空間523と流体的に接続するが、これらは全て、第2の流体チャネル112への寄与部分である。ハブのリム632は、動作中に管522の遠位端とハブ86との間の密閉を提供するように配置され、両方ともねじ山88の締まりばめにより圧縮される。ロータ290は、ハンドピース600の一体部分であり、プローブ710が操作上ハンドピース600に取り付けられる場合、室292の内側に機能的に配置される。この実施形態は、弁部分64の弁室292の磨耗によりシステム60の性能が低下する前に、手術用プローブ710を交換することにより弁64の固定部分を頻繁に交換することを可能にする。ロータ290は、より拡張された用途にわたり磨耗に耐えることができるように、セラミック、ステンレススチールまたはチタン等の耐摩耗性の材料で製造され得る。
図8Mは、部品の相補的動作をより良く例示するための、1)アクチュエータ部分62、シャフト280およびロータ290を少なくとも提供するハンドピース600、ならびに2)弁部分64の弁室292を提供する手術用プローブ610(全ての部品は、本発明のサイクル式アパーチャ流量調整器システム60に適合するように連動する)からの、ハンドピース600および手術用プローブ610の拡大図である。
【0050】
追加の実施形態(2)
軸方向に調節可能なロータおよび「プローブ内」弁部分を有するハンドピース:手術用プローブは、完全な弁部分64を含む。
別の追加の実施形態を、
図7Aから7Eに示すが、流量調整水晶体切除プローブ910が提供され、ロータ窓928を有する一致するロータ924を含む完全弁部分64を備える。室292の内側にすでに挿入されたロータ924が供給されている。ロータ924は、ロータを適所に維持するためにプローブ910により提供される蓋と組み合わせて、ロータ保持具として動作する円形狭窄932を有する。弁室292の内側で部分的に圧縮され、使用可能な軸方向変位範囲の外側端に向けてロータ924を押すばね930が、軸方向に配置されている。ばね930は、回転および圧縮の間、室292内で、およびロータ290と共に摩擦なしで摺動し得る。ハンドピース600内に組み込まれたシャフト280は、ロータ924の相補的機能926に一致するように設計される遠位端機能922を有し、弁動作のために回転運動をロータ924に同軸で伝達するのに効果的な回転インターロックをもたらす。シャフト280は、ばね930に対してロータ924にわたり制御された押出し動作を負荷し得る。このようにして、ロータ924は、コントローラ132により命令されるように回転および軸方向の力を伝達するシャフト280の動作により、正確に回転され、軸方向に位置付けられ得る。流量調整動作は、前に説明した実施形態と同様である。流量調整器システム60の完全弁部分64が各プローブ910の交換により改修され、反復的使用によりもたらされる劣化が回避される本実施形態を有する本発明のサイクル式流量調整器システムを提供することが有利となり得る。
【0051】
追加の実施形態(3)
向上した組織断片化機能を有する「プローブ内」弁部分
図7からの実施形態の変形例を
図8Aから8Jに示すが、手術用プローブ950は、弁室292の底部と一体化した内部拍車状構造952をさらに含む完全弁部分64を有する。保持された弁ロータ954は、遠心力により周縁部に引き寄せられる室292の内側のロータ954の回転中に組織を圧縮および断片化するために、プローブ950からの拍車状構造952と組み合わせて動作する鋭いリブ等の組織断片化機能をさらに組み込んでもよい。鋭いリブ956をさらに組み込んだ従来のロータを、
図8Fに示す。弁室292の内側の拍車状構造の組み込みは、ばね930のためにほとんど空間を残さない。したがって、シャフト280とロータ954との間のより精巧な回転−軸方向インターロックが、この実施形態により提供される。この代替のインターロックは、シャフト280によるロータ954の回転および軸方向駆動を可能とし、ばねを必要とせずに、回転と共に軸方向の引き込みおよび押し出し動作を可能とする。向上した組織断片化能力を有するこの実施形態の使用は、懸濁した組織断片のサイズをさらに低減することにより、流量安定性を高めることができ、特に断片が極めて硬くなり得る場合に、弁動作および流量安定性を高めることができる。
【0052】
追加の実施形態(4)
サイクル式アパーチャ流量調整器システムを有するかん流−吸引(I/A)ハンドピース:
図13Aから13Dは、本発明のサイクル式アパーチャ流量調整器システムを備えるかん流−吸引手術用ハンドピース970における使用のための、本発明の一実施形態を示す。近位筐体976は、少なくとも、流量制御動作に必要なアクチュエータ部分62に適合する回転および直線アクチュエータを含み、またコントローラ132(図示せず)を含んでもよい。より小さい直径の遠位筐体974は、かん流プローブ104と流体連通したかん流ライン102の遠位部分を含む。筐体974はまた、内蔵された「管内」流量調整弁部分520を有する軸管522を含む。吸引ポート978を有する吸引プローブ972は、管522の遠位端に結合される。第1の流体経路110は、プローブ972の吸引ポート978と弁部分520の内側のアパーチャ200との間に適合される。本実施形態は、制御された流量での非常に高い真空の使用を可能とする利点と共に、従来のかん流/吸引ハンドピースを置き換えるために、有利に使用され得る。ハンドピース970は、追加的な水晶体破砕エネルギーの使用の大幅な低減を伴い、軟質から中程度の密度の水晶体断片を、ポート978を通して吸引することを可能にし得る。同様に、これは、例えば、水晶体を軟化するためのフェムト秒LASERの使用後に、軟化した水晶体からより効率的に水晶体断片を除去するために使用され得る。
【0053】
追加の実施形態(5)
断面積RMSが固定された流量調整器システムを有するハンドピース:
図9Aには、筐体242を有する手術用ハンドピース240の側面図が示されている。
図9Bは、筐体242が取り外されたハンドピース240の内部部品を描写している。回転アクチュエータ260は、その軸の周りにシャフト280を回転させるように動作可能である。この実施形態は、室292に対するシャフト280およびロータ290の軸方向位置の調節を補助するための構造を有さない。動作中、本実施形態は、固定された軸方向位置において室292の内側のロータ290の回転をもたらし、アパーチャ200の断面積の変化のサイクルをもたらす。ロータ290の各回転サイクル中、アパーチャ200の断面積が大幅に低減または閉鎖されるサイクルの少なくとも1つの部分が存在する。本実施形態において、アパーチャ200の断面積のRMS値は、決められた通りに固定され、調節できない。本実施形態を使用する場合、吸引流量は、真空源114により提供される真空レベルを変化させることにより調節され得る。
【0054】
図9Aおよび9Bに示される実施形態の変形例を
図9Cに示すが、そこでは雄ねじ山247を有するねじ258が、ハンドピース筐体242内の雌ねじ山248を通過して提供されている。ねじ258は、センサ264およびモータ260を含むアクチュエータ部分62の筐体249に内部で取り付けられる。ねじ258の回転は、モータ260の軸方向の変位をもたらし、また間接的にシャフト280およびロータ290の軸方向の変位をもたらす。操作者は、ねじ258を回転させることにより、室292の内側のロータ290の軸方向位置を手動で調節することができ、このようにしてアパーチャ200の断面積RMS値を変更することができる。この動作は、流量調整ユニット真空−流量関係を変更し、動作性能を変化させる。
【0055】
代替の実施形態(1)
振動アクチュエータにより駆動されるサイクル式アパーチャ流量調整器システム:
図10Aは、シャフト162により相互接続された弁部分64およびアクチュエータ部分を有する流量調整器システム60の斜視図である。本実施形態において、弁部分64は、振動運動を伝達するシャフト162を介して、単一の振動アクチュエータ160により機械的に操作される。
図10Cから10Dは、
図10Bからの断面図である。弁本体166は、入力ポート170および出力ポート180を有する。入力ポート170および出力ポート180は、2つの流体通路172および174を通して本体166内で流体的に接続されている。スリット178は、両方の流体通路を垂直に横切る。スリット178は、窓176を有する振動ブレード164を内部で受容する。ブレード164は、シャフト162と機械的に接続され、アクチュエータ160からの軸方向変位を受ける。シャフト162は、水密および気密シール163を有する。ブレード164における窓176は、アクチュエータ160、シャフト162およびブレード164が中央位置にある場合、ブレード164が流体通路172および174の両方を完全に消失させるように位置付けられる(
図10C)。ブレード164の近位の変位をもたらすようなシャフト162に対するアクチュエータ160の操作は、窓176を流体通路174の上に位置付け、第1の流体アパーチャ200aを形成する(
図10D)。ブレード164の遠位の変位をもたらすようなアクチュエータ160によるシャフト162に対する操作は、窓176を流体通路172の上に位置付け、第2の流体アパーチャ200bを形成する(
図10E)。弁64の設計において「ブレークビフォーメーク(brake before make)」概念を考慮することができ、これは、1つの流体アパーチャの断面積の大幅な低減が、反対の流体アパーチャが開き始める前に生じなければならないことを意味する。
図11Aから11Jに示されるように、
図10Cからの中央位置の周りで振動する窓176を有するブレード164は、第1および第2の流体アパーチャ200aおよび200bの間で交代し、振動の各サイクルの間に中央位置を2回通過する。本実施形態の動作は、回転の実施形態と同様に、アクチュエータ160が、ブレード164に、一定流量および最小限のリップルを生成するのに十分に速い周波数で振動するように動力供給することにより生じる。振動の典型的な周波数は、50ヘルツ超である。本実施形態において、流速は、振動の振幅の増加がアパーチャ寸法を増加させ、その後流量を増加させるように、ブレード164の振動の振幅を変化させることにより調節され得る。流量は、アパーチャ200および201の断面積の合計のRMS値に依存する。基本実施形態と同様に、流速はまた、第2の流体経路112での真空レベルに依存する。したがって、手術用プローブ内への非閉塞流量を調整するための第2の様式は、真空を増加させて流量を増加させることである。
図12におけるグラフは、1.5正弦波振動中の相に沿った全アパーチャ(アパーチャ200a+200bの合計断面積)を示す。例は、流体通路172、174および窓176に関して等しいサイズの円形開口部を有するように設計された試作弁に対応する。3つのトレースが示されている。上のトレースは、最大振動振幅に対応する。中央のトレースは、最大振幅の2/3に対応し、下のトレースは、最大振幅の1/3に対応する。水平の点線は、上のトレースにおける波形の断面積のRMS値を表す。
【0056】
図13Aから13Fには、振動直線アクチュエータで構成されるアクチュエータ部分62を有する本発明のサイクル式アパーチャ流量調整器システム60の一実施形態を有するハンドピース800が描写されている。筐体502が取り外された
図13Bに示されるハンドピース800は、単一の流量調整アクチュエータ機構としての直線アクチュエータ270を露出している。直線アクチュエータ270は、好ましくは、ボイスコイルアクチュエータである。「管内」弁部分820は、弁室292の内側の振動弁ピストン824を収容する。シャフト822は、回転安定性であり、回転なしで管522の内側で、同軸で変位する単一の自由度を有するように構成され得る。ピストン824が取り付けられたシャフト822の回転安定性は、ピストン824と室292との間の配列に寄与し得る。ピストン824は、改善された最小限の漏出のために、ピストンリング828をさらに組み込むことができる。シャフト822が軸方向中央位置にある場合、窓826と流体通路172および174の入口との間に重複が存在しないように、少なくとも1つのピストン窓826が配置される。この位置において、アパーチャ200の断面積は、大幅に低減され、流量を制限または最終的には無効化する。アクチュエータ270の動作は、窓826が交互に通路172および174の入口に重複するように、軸方向の振動運動をピストン824に伝達する直線アクチュエータ270のシャフトの振動をもたらす。この動作は、流体アパーチャ200の断面積が大幅に低減または閉鎖される中央位置を通る遷移を含む、アパーチャ200(200a+200b)の断面積の振動のサイクルをもたらす。ピストン824の振動のサイクルの周波数は、手術用プローブ80を通る実質的に一定の流量を生成するのに十分に高い周波数で動作するように、アクチュエータ270を駆動するコントローラ132により決定される。
図13Cには、
図13Bからの断面詳細図が示されており、部分的アパーチャ200が適合されるような位置に窓826が位置しているピストン824のスナップショット図が示されている。ピストン824の振動振幅の増加は、アパーチャ200の断面積のRMS値を増加させ、流体経路112内の所与の真空に対して流量を増加させる。振動の振幅は、コントローラ132に接続された直線運動センサ274を使用して監視され得る。好ましい実施形態と同様に、この振動形式のサイクル式アパーチャ流量調整器60は、
図13Aから13Fにおいて描写されるような「管内」弁位置64、または「プローブ内」弁位置の両方で実装され得る。
図13Gは、「プローブ内」振動動作のための、
図13Hに示される手術用プローブ610と一致するように設計されたピストン840を示す。手術用プローブ610は、ピストン840を作用可能に受容するための一致する弁室を有するように設計される。流体通路634およびプローブ610からの流出チャネル638は、
図13Gからのピストン840の窓826と連動し、弁部分64を完成させる。
【0057】
代替の実施形態(2)
独立型流量調整器システム実施形態:
好ましい実施形態において説明されるサイクル式アパーチャ流量調整器システムは、手術コンソール150に配置された流量調整器コントローラ132により駆動されるセンサおよびアクチュエータを有するアクチュエータ部分62を有する。この動作モードは、複数の変数を統合してシステム動作を改善することを可能にするが、本発明の実施のための厳密な要件ではない。プロセッサおよびデータ保存メモリを含むコントローラ132は、アクチュエータ部分62を含む同じユニット内に組み込まれ、最終的には独立モードで動作するためにDC電源等の外部電力のみを必要とし得る。フットペダル152等のユーザインターフェースは、操作者が動作を命令するために、この独立型流量調整器システムユニットに直接接続され得る。ユニットは、さらに、第2の流体経路112に流体接続され、例えば流量調整器システム60の弁部分64内に配置され、動作の改善された制御のためにコントローラ132に接続された、真空センサ140を組み込んでもよい。流量制御システム60は、手術用ハンドピースとは独立して動作することができ、手術用ハンドピースと真空源との間の吸引経路内にインラインで配置され得る。
【0058】
利点:
本発明のサイクル式流量調整器システムは、調節可能な流量と共に高真空を使用した、眼の内部等の体腔からの流体および組織断片の安定した吸引を可能とする。このようにして、外科的処置は、より速く、より安全に行うことができ、超音波またはLASER等の補助的な水晶体破砕エネルギーの必要性を低減する。
【0059】
結論、分岐および範囲:
読者には、本明細書に記載のサイクル式アパーチャ変調流量調整器システムが、流量を制御し、手術用吸引ライン内側の真空の安全な使用の範囲を増加させることによって、より効率的でより安全な外科的処置を行うことを可能とすることが分かるだろう。記載された説明は、多くの具体性を含むが、これらは、範囲に対する限定として解釈されるべきではなく、むしろそのいくつかの実施形態の例示として解釈されるべきである。多くの他の変形例が可能である。システムは、主に眼科手術用に、より具体的には、白内障等の水晶体除去手術および屈折率のための水晶体除去処置用に考えられている。手術用プローブを通して流体および組織断片を除去する必要がある他の外科的処置、例えば内視鏡関節手術が、本発明の実践から利益を受けることができる。設計は、幅広く変動し得る。例えば、弁室の内側の単一または複数のアパーチャが使用されてもよい。可変流体アパーチャに適合するように関与する流体通路の入口に、多様な形状が使用されてもよい。流体窓、ポートおよび蓋に対して異なる数および形状が組み込まれてもよい。弁構成に関与する流体チャネルは、閉鎖されても開放されてもよく、そのような場合、隣接部品により完成される。異なる種類の直線および回転アクチュエータが使用されてもよい。異なる種類の運動センサが使用されてもよく、これらは全て、本発明の範囲から逸脱せずに行うことができる。したがって、範囲は、例示された実施形態(複数を含む)によってではなく、添付の特許請求の範囲およびそれらの法的な均等物によって決定されるべきである。