特許第6574174号(P6574174)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6574174
(24)【登録日】2019年8月23日
(45)【発行日】2019年9月11日
(54)【発明の名称】ターボ機械用補機ギアボックス
(51)【国際特許分類】
   F02C 7/32 20060101AFI20190902BHJP
   F16H 1/14 20060101ALI20190902BHJP
【FI】
   F02C7/32
   F16H1/14
【請求項の数】8
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-521649(P2016-521649)
(86)(22)【出願日】2014年10月7日
(65)【公表番号】特表2016-537545(P2016-537545A)
(43)【公表日】2016年12月1日
(86)【国際出願番号】FR2014052541
(87)【国際公開番号】WO2015052430
(87)【国際公開日】20150416
【審査請求日】2017年9月7日
(31)【優先権主張番号】1359910
(32)【優先日】2013年10月11日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】502150878
【氏名又は名称】イスパノ・シユイザ
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ビエル,ジュリアン
(72)【発明者】
【氏名】プリュネラ−ウサ,ステファーヌ
【審査官】 金田 直之
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2011/0289936(US,A1)
【文献】 国際公開第2012/137843(WO,A1)
【文献】 実公昭44−011201(JP,Y1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0107104(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02C 7/32, 7/36
F16H 1/00− 1/48,
48/00−48/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動シャフトと、
航空機ターボ機械用の補機(10)のギアボックス(1)と
を含むターボ機械であって、ギアボックス(1)は
駆動シャフトに回転運動が付与されたときに入力シャフトに回転運動が付与されるように、歯車によって駆動シャフトに接続された入力シャフトであって、駆動シャフトの方向に交差する方向に延在する入力シャフトと、
入力シャフトに接続された第1円錐歯車(20)と、
第1円錐歯車との角度伝達を形成する第1円錐鋸歯状ホイール(11)であって、第1円錐鋸歯状ホイール(11)は、1つ以上の円錐鋸歯状ホイール(9)によって1つ以上の補機(10)に回転運動を付与することが可能な1つ以上の円錐歯車(8)と結合されたメインシャフト(3)に接続されており、メインシャフトは駆動シャフトの方向と平行な方向に延在し、補機はメインシャフトが延在する方向に交差する方向に延在する、第1円錐鋸歯状ホイール(11)と、
を含み、
メインシャフトが基準軸(5)内に延在し、メインシャフト(3)は、駆動軸内に延在する、追加補機(14)の歯車(13)と噛み合うスパーピニオン(12)を含み、駆動軸はメインシャフト(3)の基準軸(5)と平行である、ターボ機械。
【請求項2】
メインシャフトが基準軸(5)内に延在し、メインシャフト(3)は遠位末端(21)を含み、メインシャフトの遠位末端(21)は遠位駆動軸内に延在する少なくとも1つの遠位補機(22)に接続されており、遠位補機の遠位駆動軸はメインシャフトの基準軸と一致している、請求項1に記載のターボ機械。
【請求項3】
1つ以上の円錐歯車(8)がメインシャフト(3)を包囲する、請求項1または2に記載のターボ機械。
【請求項4】
少なくとも2つの円錐歯車(8)を含み、いずれの円錐歯車も、1つ以上の円錐鋸歯状ホイール(9)によって1つ以上の補機(10)に回転運動を付与することができ、いずれの円錐歯車もメインシャフト(3)に沿ってメインシャフトの周りに配置されている、請求項1から3のいずれか一項に記載のターボ機械。
【請求項5】
一次空気流路および二次空気流路をさらに含み、ギアボックスが一次流路と二次流路との間に位置する、請求項4に記載のターボ機械。
【請求項6】
ターボ機械がファン領域を含み、補機のギアボックス(1)がファン領域内に位置する、請求項3に記載のターボ機械。
【請求項7】
ターボ機械がタービン領域を含み、補機のギアボックス(1)がタービン領域内に位置する、請求項3に記載のターボ機械。
【請求項8】
ターボ機械がコア領域を含み、補機のギアボックス(1)がコア領域内に位置する、請求項3に記載のターボ機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、「AGB」とも称される、ターボ機械用の補機ギアボックスに関する。このような補機ギアボックスは、ターボ機械の元の運動を、そこから出ている径方向のシャフトを通じて伝達し、ポンプ、発電機等、ターボ機械に取り付けられた様々な補機または機器に伝達するように意図されており、これらはこのターボ機械によって推進する航空機のターボ機械またはその他の装置の動作に必要なものである。
【背景技術】
【0002】
欧州特許第2405116号明細書は、従来技術による補機ギアボックスを提示している。このような補機ギアボックスは一般的に、互いに直列に接続して駆動系を形成する歯車を収容する、ケーシングを有する。各歯車はその後駆動シャフトに接続され、これは補機に回転運動を付与する。こうして入力シャフトは最初の歯車に回転運動を付与し、これ自体が、1つ以上の二次歯車に回転運動を付与するためにこれらに接続されており、ここで各二次歯車は、1つ以上の三次歯車に回転運動を付与するためにこれらに接続されるなどする。したがって、従来技術による補機ギアボックスでは、歯車は、最初の歯車が第1補機に回転運動を付与するためにのみ使用されるのではなく、二次および三次歯車などにも回転運動を伝達させられるようにするために、カスケード構成で配置されている。しかしながら、歯車が互いに隣り合って位置しているので、このような補機ギアボックスは非常に嵩張る。
【0003】
この問題を解決するために、仏国特許発明第2981986号明細書は、省スペースを可能にする補機ギアボックスを記載している。しかしながら、このようなギアボックスでは、歯車はいつも互いに直列に接続されているので、歯車のうちの1つが故障した場合には、駆動系全体に不具合を及ぼす可能性がある。最初の歯車はまた、駆動系全体の全トルク力に耐えるが、これは一般的に、本来の要件が必要とするよりも大きくなければならないことを意味する。実際、このようなギアボックスにおいて、上流の歯車は下流の歯車に伝達される力の衝撃を受けるので、他の歯車と無関係に各歯車の寸法決めを最適化することは、困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】欧州特許第2405116号明細書
【特許文献2】仏国特許発明第2981986号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、ターボ機械内への実装のために省スペースを可能にし、その駆動系が、従来技術と比較して、ターボ機械および航空機の補機の動力特性に関して最適化されている、補機ギアボックスアーキテクチャを提案することによって、最新技術の不都合を解決しようと努めるものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
これを実現するために、本発明の第1の態様は、角度伝達を形成する第1円錐歯車および第1円錐鋸歯状ホイールを収容する、航空機ターボ機械用の補機ギアボックスを提案し、第1円錐鋸歯状ホイールは、1つ以上の円錐鋸歯状ホイールによって1つ以上の補機に回転運動を付与することが可能な1つ以上の円錐歯車と結合されたメインシャフトに接続されている。
【0007】
このため、本発明によれば、入力シャフトの運動はもはや歯車には直接伝達されず、円錐歯車を有するメインシャフトによって、補機の円錐鋸歯状ホイールに伝達される。これらの円錐歯車は、回転運動を補機に直接付与するのではなく、これらは円錐鋸歯状ホイールに回転運動を付与することができ、これらが補機に回転運動を付与する。したがって鋸歯状ホイールは、補機に伝達する動力にのみ関連して寸法決めされることが可能であり、その他の鋸歯状ホイールにはもはや依存しない。歯車はまた、もはや互いに接続されておらず、これによりギアボックスの全体的な信頼性を向上する。加えて、円錐鋸歯状ホイールはメインシャフトの周り周方向に位置決め可能であるので、メインシャフトの存在は省スペースをもたらす。
【0008】
本発明によるギアボックスはまた、個別に、またはすべての可能な技術的組み合わせにおいて考えられる、以下の特徴のうちの1つ以上を有してもよい。
【0009】
・メインシャフトは基準軸に沿って延在し、
・メインシャフトは遠位末端を有し、
・メインシャフトの遠位末端は少なくとも1つの遠位補機に接続されており、
・遠位補機は遠位駆動軸に沿って延在し、
・遠位補機の遠位駆動軸は、メインシャフトの基準軸と一致しており、
・メインシャフトは、駆動軸に沿って延在する追加補機の歯車と噛み合うスパーピニオンを含み、前記駆動軸はメインシャフトの基準軸と平行であり、
・各円錐歯車はメインシャフトを包囲し、
・ギアボックスは少なくとも2つの円錐歯車を含み、いずれの円錐歯車も、1つ以上の円錐鋸歯状ホイールによって1つ以上の補機に回転運動を付与することができ、いずれの円錐歯車もメインシャフトの周りに連続して位置決めされている。
【0010】
本発明の第2の態様はまた、本発明の第1の態様による補機ギアボックスを含むターボ機械に関する。
【0011】
有利なことに、ターボ機械はまた、通常は高圧である一次空気流が流れる一次流路と、通常は低圧である二次空気流が流れる二次流路と、を有する。ギアボックスは好ましくは一次流路と二次流路との間に位置するが、しかしこれはまた、例えば二次流路の周りなどファンの領域内に、または例えば一次流路の周りなどタービン領域内に、またはコア領域に位置することも、可能である。
【0012】
このため、第1の実施形態によれば、タービンはファン領域を有し、補機ギアボックスはファン領域内に位置する。ファン領域は、ファンの近くに位置する領域である。
【0013】
別の第2の実施形態によれば、タービンはタービン領域を有し、補機ギアボックスはタービン領域内に位置する。
【0014】
第3の実施形態によれば、タービンはコア領域を有し、補機ギアボックスはコア領域内に位置する。
【0015】
本発明のその他の特徴および利点は、以下の添付図面を参照して下記の詳細な説明を読むことで、明確になるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態による補機ギアボックスの斜視図である。
図2図1の補機ギアボックスの平面図である。
図3】本発明の別の実施形態による補機ギアボックスの斜視図である。
図4】本発明の一実施形態によるターボ機械の一部の正面図である。
図5図4のターボ機械の一部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
さらなる明確さのため、すべての図において、同一または類似の要素は同一の参照符号によって指定される。
【0018】
図1および図2は、本発明の好適な実施形態による補機ギアボックス1を表す。図4および図5は、ターボ機械のコア領域に組み込まれた、このギアボックスを表す。このギアボックス1は、駆動シャフト23が回転しているときに回転運動が付与されるように、ターボ機械の駆動シャフト23に接続された入力シャフト2を含む。この目的のため、入力シャフト2は歯車26と結合されており、その一方で駆動シャフト23は歯車28と結合されている。入力シャフトと結合された歯車26は、駆動シャフト23と結合された歯車28と噛み合う。歯車26および28は、駆動シャフトが延在する方向と入力シャフトが延在する方向との間で角度伝達を形成するように、好ましくは円錐形である。
【0019】
駆動シャフト23は、具体的には、ターボ機械の高圧体からのシャフトであってもよい。駆動シャフト23は、「駆動軸」と称される軸に沿って延在する。入力シャフト2は、以下「入力軸」4と称される、第1基準軸に沿って延在する。入力軸4は、駆動軸25が延在する方向に交差する方向に延在する。
【0020】
ギアボックス1は、補機10を含む。これらの補機は、例えば燃料ポンプ、潤滑ユニット、または電気機械であってもよい。これは、入力シャフト2の運動が補機10に付与されることを可能にする。
【0021】
この目的のため、ギアボックス1は、基準軸5内に延在するメインシャフト3を有する。本明細書において、用語「軸方向」または「縦方向」は、この基準軸5に対して使用される。
【0022】
メインシャフト3は、TGBとも称される、伝達ギアボックス6によって入力シャフト2に接続されている。この伝達ギアボックス6は、メインシャフトの入力軸4と基準軸5との間に角度伝達ができるようにし、これにより、駆動シャフトの回転運動がメインシャフトに付与されることを可能にする。この角度伝達は、第1円錐歯車および第1円錐鋸歯状ホイール11によってなされる。第1円錐歯車および第1円錐鋸歯状ホイール11は、入力軸4と基準軸5との間の所望の角度が調整されることを可能にする。好適な実施形態において、第1円錐鋸歯状ホイール11は、メインシャフト3につながっている。
【0023】
有利なことに、第1角度伝達は駆動シャフト23と入力シャフト2との間でなされ、第2角度伝達は入力シャフト2とメインシャフト3との間でなされる。したがってメインシャフト3は、駆動シャフト23とほぼ平行に延在する。
【0024】
補機ギアボックス1はまた、メインシャフト3に結合された円錐歯車8も有する。回転運動は、補機10に接続されて円錐歯車8と噛み合う、円錐鋸歯状ホイール9を通じて補機に伝達される。好適な実施形態において、円錐歯車8はメインシャフト3の周りに位置決めされる。円錐歯車8は、縦方向に、連続して位置決めされる。
【0025】
有利なことに、少なくとも1つの円錐歯車8は、回転運動が2つの補機に同時に付与されることを可能にする。これを実現するために、前記円錐歯車は、2つの鋸歯状ホイール9と同時に噛み合う。
【0026】
したがって各円錐歯車8は、回転運動が1つ以上の補機10に同時に付与されることを可能にする。単一の円錐歯車8と噛み合う補機10によって形成される角度は、ギアボックスに利用可能な空間に応じて選択可能である。各補機10は、基準軸5に交差する方向に延在する。こうして補機10は、メインシャフト3の周りに放射状に延びる枝状部を形成する。
【0027】
このためギアボックス1は、基準軸に対して放射状に延在する補機の1つ以上の群を収容することができ、これらの群は縦方向に分布する。特定の実施形態において、メインシャフト3は、単一の円錐歯車8および補機の単一の群のみを有することができる。
【0028】
特定の設計において、メインシャフト3の少なくとも1つの末端21には、「遠位補機」22と称される補機が取り付け可能であり、「遠位駆動軸」と称されるその駆動軸は、基準軸5と同一直線上にある。
【0029】
図3は、メインシャフト3がスパーピニオン12を有し、基準軸5と平行な方向に延在するスパーピニオン13を通じて追加補機14に回転運動が付与されることを可能にする、別の実施形態を示す。特定の設計において、平行な軸を有するこれらの歯車12、13は、螺旋状であってもよい。
【0030】
補機と結合された円錐鋸歯状ホイールに入力シャフトの運動を伝達するための中間要素として円錐歯車を有するメインシャフト3を使用することで、ギアボックスのアーキテクチャにさらなる可能性を許容する。実際、メインシャフトの存在は、ギアボックスの形状がターボ機械の中のギアボックスに利用可能な空間に適合するように設計されることを、可能にする。
【0031】
図4は、全体的に円形の壁15および全体的に回転対称形状の壁16を有する、ターボ機械の一部を示す。壁15は、ターボ機械の一次空気流、一般的には高圧空気流が流れる、一次流路を画定する。壁16は、ターボ機械の二次空気流、一般的には低圧空気流が流れる、二次流路を画定する。壁16は壁15を包囲し、これら2つの壁の間に空間17が画定されるようになっている。補機10と歯車8および9の外形との間の角度は、ギアボックスがこの空間17に入るように選択される。
【0032】
本発明は当然ながら図面を参照して記載された実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく変形例が想起されることが可能である。
図1
図2
図3
図4
図5