特許第6574181号(P6574181)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6574181レーザ・ダイオード駆動LCD量子ドット・ハイブリッド表示装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6574181
(24)【登録日】2019年8月23日
(45)【発行日】2019年9月11日
(54)【発明の名称】レーザ・ダイオード駆動LCD量子ドット・ハイブリッド表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/00 20060101AFI20190902BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20190902BHJP
   G09G 3/36 20060101ALI20190902BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20190902BHJP
   G02F 1/13357 20060101ALI20190902BHJP
   H01S 5/022 20060101ALI20190902BHJP
【FI】
   G09F9/00 354
   G09F9/00 336A
   G09F9/30 349D
   G09F9/30 349E
   G09F9/30 349Z
   G09G3/36
   G09G3/20 642E
   G09G3/20 680H
   G02F1/13357
   H01S5/022
【請求項の数】13
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-534647(P2016-534647)
(86)(22)【出願日】2014年12月5日
(65)【公表番号】特表2017-506355(P2017-506355A)
(43)【公表日】2017年3月2日
(86)【国際出願番号】US2014068757
(87)【国際公開番号】WO2015088900
(87)【国際公開日】20150618
【審査請求日】2017年11月15日
(31)【優先権主張番号】61/914,055
(32)【優先日】2013年12月10日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】507236292
【氏名又は名称】ドルビー ラボラトリーズ ライセンシング コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ギルバート、ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ロビンソン、スコット ピー.
(72)【発明者】
【氏名】シンドラー、ケネス
(72)【発明者】
【氏名】リチャーズ、マーティン ジェイ.
【審査官】 石本 努
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2012/0154464(US,A1)
【文献】 国際公開第2013/028900(WO,A1)
【文献】 特開2013−037165(JP,A)
【文献】 国際公開第2004/074739(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/106399(WO,A1)
【文献】 特開2010−066437(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0214282(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0299011(US,A1)
【文献】 特開2006−310303(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F1/1335−1/13363
G09F9/00−9/46
G09G3/00−3/08
3/12
3/16−3/26
3/30
3/34−3/38
H01S5/00−5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置であって、
画像データを受け取ること、および制御信号を送出することができるコントローラと、
第1の周波数セットを含む光であって、第1の共通の偏光方向に偏光されている光を放出することができる光源のセットと、
該光源のセットから光を受け取り、第1の偏光の光を透過する最初の偏光子であって、前記光源のセットの前記第1の共通の偏光方向に実質的に一致する第2の偏光方向を有する、前記最初の偏光子と、
該最初の偏光子から光を受け取り、該光を、前記コントローラから受け取った制御信号にしたがって変調する第1の変調器と、
該第1の変調器からの光を受け取り、第2の偏光の光を透過する中間偏光子と、
該中間偏光子から光を受け取り、該光を、前記コントローラから受け取った制御信号にしたがって変調する第2の変調器と、
該第2の変調器から光を受け取る量子ドットのセットであって、前記第1の周波数セットを含む光がさらに、第2の周波数セットを含む光を放出するように前記量子ドットのセットを励起することができる、前記量子ドットのセットと、
を備え
前記光源のセットに含まれる互いに隣り合う光源は三角格子配列上に配置され、前記表示装置がさらにコリメート要素のセットを備え、前記コリメート要素のセットのうちの各コリメート要素は、前記光源のセットのうちの1つの光源に対応し、前記コリメート要素のセットのうちの少なくとも1つのコリメート要素は、光軸方向から見て、隣接する複数のコリメート要素に重なっている、表示装置。
【請求項2】
前記光源のセットが、実質的に前記第1の偏光である光を放出する光源のセットをさらに備える、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記光源のセットが、レーザ・ダイオード、LEDおよびスーパー・ルミネセント・ダイオードからなる群のうちの1つを備える、請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記表示装置がさらに、レーザ光フィルタおよびホログラフィック拡散器からなる群のうちの1つを備える、請求項2に記載の表示装置。
【請求項5】
前記レーザ光フィルタまたは前記ホログラフィック拡散器が、前記中間偏光子と前記第2の変調器との間に配置される、請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】
前記第2の変調器と前記量子ドットのセットとの間に配置された最終偏光子をさらに備える、請求項1に記載の表示装置。
【請求項7】
前記量子ドットのセットが表示画面にわたるパターンとして配置され、さらに、前記第2の周波数セットを含む光が白色のメタマーである、請求項1に記載の表示装置。
【請求項8】
前記表示装置がさらに、前記量子ドットのセットの後に配置されたロー・パス・フィルタまたは反射器を備え、該ロー・パス・フィルタまたは反射器は、前記第1の周波数セットの光を吸収すること、または前記量子ドットのセットに向かって戻るように前記第1の周波数セットの光を反射することができる、請求項1に記載の表示装置。
【請求項9】
前記コリメート要素が、コリメートレンズのセットおよびフレネル・レンズ・シートからなる群のうちの1つを含む、請求項に記載の表示装置。
【請求項10】
前記第1の変調器が、前記コントローラから受け取った前記制御信号にしたがって第1解像度の画像を形成することができる、請求項1に記載の表示装置。
【請求項11】
前記第2の変調器が、前記コントローラから受け取った前記制御信号にしたがって、前記第1解像度よりも高い第2解像度の画像を形成することができる、請求項10に記載の表示装置。
【請求項12】
前記第1の変調器および前記第2の変調器が単色LCDを含む、請求項11に記載の表示装置。
【請求項13】
前記光源のセットが、前記コントローラから受け取った制御信号にしたがって前記光を変調することができる、請求項1に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置システムに関し、より詳細にはハイ・ダイナミック・レンジ(HDR)表示装置システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のLCD表示装置システムは、当技術分野ではよく知られているが、エネルギー効率が非常によいことでは知られていない。従来の表示装置は通常、バックライト、バルク拡散器、任意選択の光整形器、最初の偏光子、液晶表示装置(カラー・フィルタが後に続く液晶層を通常は含む)、最終偏光子、および広角視野を可能にする任意選択の最終拡散層から構成される。LEDは、高効率表示装置に使用される一般的なライトであり、電力の約15%を光に変換する。バルク拡散器は、バックライトからの光をLCDにわたって均一に広げるために使用され得るが、60%もの光を吸収し得る(40%の透過率)。バックライトからの光は通常ランダムに偏光され、ランダムに偏光されていない場合であっても、バルク拡散器を通過する光はバルク拡散器の内部散乱によりランダムに偏光され得る。最初の偏光子は、光の40%しか通過させることができず、残りは吸収される。最初の偏光子の前に反射偏光子を追加すると、適切に偏光されなかった光を再利用することによって、これを約50%にまで改善することができる。「通常の」LCDパネル内部のRGB色フィルタはバンド・パス・フィルタとして機能し、カラー・サブ画素のそれぞれが他の2つの帯域内の光を吸収し、通常は光の25%以下しか通過することができない。
【0003】
図1は、従来の液晶ディスプレイ(LCD)表示装置システム100の一実施形態を示す。光源102は、任意の既知の白色光源のいずれであってもよい(例えば、LED、CCFLなど)。光源102からの光が拡散器104を照明して、表示装置のためのより一様なバックライト照明が得られる。拡散器104からの光は最初の偏光子106を照明することができ、次に、最初の偏光子はLCDスタック108を照明することができる。LCDスタック108はさらに液晶108aを含むことができ、これは、LCDスタック108を通して透過される光の量を、入力画像データを受け取るコントローラ112の制御のもとで変調することができる。
【0004】
液晶108aを通過する光は、所望の画像のカラー・レンダリングの役割を果たすカラー・フィルタ・アレイ108b(例えば、赤色、緑色および青色フィルタ)を照明する。最後に、光は最終偏光子110を通過して最終画像を得ることができる。
【0005】
上記のように、この表示装置システムの各段階において光量は、段階に応じて減衰される。例えば、拡散器および/または最初の偏光子は、それぞれ40%程度の透過率を有し得る。カラー・フィルタ付きLCDスタックは、20%程度の透過率を有し得る。最終偏光子は80%程度の透過率を有し得る。このため、従来のLCD表示装置システムのエネルギー効率はあまり高くない。
【0006】
エネルギー効率は別にして、より新しい新規表示装置システムの別の1つの望ましい特徴は、ハイ・ダイナミック・レンジ(HDR)を提供することにある。HDR表示装置は一般に、800対1より大きいダイナミック・レンジを有するものと定義される。最近の技術の進歩により、1000000対1を超えるコントラスト比を主張する表示装置が製造されている。
【0007】
一般に、これらの高コントラスト比HDR表示装置では、LCDパネルを照明するバックライトのローカルディミングを利用する。この分野の初期の特許、特許文献1(ホワイ
トヘッド(Whitehead)、ワード(Ward)、ステュアーツリンガー(Stuerzlinger)およびシーツェン(Seetzen)、名称「ハイ・ダイナミック・レンジ表示デバイス(HIGH DYNAMIC RANGE DISPLAY DEVICES)」)には、基本的な技術が記載されている。このような技術には、所望の画像の近似によりLCDパネルを照明し、次に、その近似を、所望の画像に近づくようにLCDパネルでさらに変調することが含まれる。
【0008】
コントラストを改善する別の形態もまた提示されており、これには、LCDパネルを使用することによってLCoS投影画像を「暗くすること」、および複数の位置合わせされた変調層または前置変調器を使用することが含まれる(例えば、特許文献2(ブラックハム(Blackham))、特許文献3(ギボン(Gibbon))、その他)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第6891672号明細書
【特許文献2】米国特許第5978142号明細書
【特許文献3】米国特許第7050122号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、市販されているHDR表示装置には、主として視差、バックライト漏洩、および他の問題、ならびにこれらから生じるアーティファクトにより、スターフィールドその他の難しい画像の再生に関して欠陥がある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
光源のセットを含む表示装置システムが開示され、この光源のセットは、量子ドットのセットを励起できる周波数セットを放出する。この表示装置システムはさらにコントローラを含み、これは、表示装置システムによって描画されるべき入力画像データを受け取り、また制御信号を様々な構成要素に向けて送出する。一実施形態では、表示装置システムはさらに、量子ドットのセットを照明して最終描画画像を形成する1つまたは2つ以上の変調器を備える。一実施形態では、光源のセットは任意選択で、実質的に一様な偏光の光を含み(例えばレーザ光源)、また前記コントローラからの制御信号にしたがって変調され得る。他の任意選択の構成要素は、最初の偏光子、中間偏光子、第1のレーザ光フィルタ、最終偏光子および最終レーザ光フィルタ/反射器を含み得る。
【0012】
一実施形態では、表示装置は、画像データを受け取ること、および制御信号を送出することができるコントローラと、第1の周波数セットを含む光を放出することができる光源のセットと、光源のセットから光を受け取り、第1の偏光の光を透過する最初の偏光子と、最初の偏光子から光を受け取り、光を、コントローラから受け取った制御信号にしたがって変調する第1の変調器と、第1の変調器からの光を受け取り、第2の偏光の光を透過する中間偏光子と、中間偏光子から光を受け取り、光を、コントローラから受け取った制御信号にしたがって変調する第2の変調器と、第2の変調器から光を受け取る量子ドットのセットであって、第1の周波数セットがさらに、第2の周波数セットを含む光を放出するように量子ドットのセットを励起することができる、量子ドットのセットとを備えることができる。
【0013】
別の実施形態では、表示装置は、画像データを受け取ること、および制御信号を送出することができるコントローラと、第1の周波数セットを含む光を放出することができる光源のセットであって、コントローラから受け取った制御信号にしたがって光を変調することができる光源のセットと、光源のセットから光を受け取り、第1の偏光の光を透過する
最初の偏光子と、最初の偏光子から光を受け取り、光を、コントローラから受け取った制御信号にしたがって変調する第1の変調器と、第2の変調器から光を受け取る量子ドットのセットであって、第1の周波数セットがさらに、第2の周波数セットを含む光を放出するように量子ドットのセットを励起することができる、量子ドットのセットとを備えることができる。
【0014】
さらに別の実施形態では、表示装置は、画像データを受け取ること、および制御信号を送出することができるコントローラと、第1の周波数セットを含む光を放出することができる光源のセットであって、さらに光源のセットからの光が実質的に一様な第1の偏光を含む光源のセットと、コントローラから受け取った制御信号にしたがって光を変調することができる第1の変調器と、第1の周波数セットの変調された光を受け取る量子ドットのセットであって、第1の周波数セットがさらに、第2の周波数セットを含む光を放出するように量子ドットのセットを励起することができる、量子ドットのセットとを備えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】従来のLCD表示装置の図。
図2】本発明の原理によって製造された表示装置システムの一実施形態の図。
図3A】レーザ・ダイオード・バックライトの代替実施形態の図。
図3B】レーザ・ダイオード・バックライトの代替実施形態の図。
図4】本願の多くの実施形態に使用され得るフレネル・レンズ層の断面図。
図5A】本願の多くの実施形態に使用され得るコリメーティング・レンズ構成の上面図。
図5B】本願の多くの実施形態に使用され得るコリメーティング・レンズ構成の側面図。
図6A】コリメーティング・レンズのない場合における、適切な光源の側面図および上面図。
図6B】コリメーティング・レンズ構成要素がある場合における、適切な光源の側面図および上面図。
図7A】図示のビーム広がりパターンを有する光源の側面図。
図7B】図示のビーム広がりパターンを有する光源の上面図。
図7C図7Aおよび図7Bに示された光源と共に使用され得るコリメーティング・レンズ・シートの実現可能な一実施形態の図。
図8A】図示のビーム広がりパターンを有する光源の側面図。
図8B】図示のビーム広がりパターンを有する光源の上面図。
図8C図8Aおよび図8Bに示された光源と共に使用され得るコリメーティング・レンズ・シートの実現可能な一実施形態の図。
図9】光源のアレイおよび実現可能なコリメーティング・レンズ構成のアレイの実現可能な一実施形態の図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明、およびその付随的な利点の多くについてのより完全な理解が、以下の詳細な説明を添付の図面と併せて参照することによって本発明がよりよく理解されると、より容易に得られよう。
【0017】
序説
いくつかの新規のHDR表示装置が、共有の特許出願に記載されている:
(1)エリンジピュラス(Erinjippurath)らの2011年11月17日に公開された「コントラストおよび解像度向上のためにフィルタなしLCDを使用するハイ・ダイナミック・レンジ表示装置(HIGH DYNAMIC RANGE DISPL
AYS USING FILTERLESS LCD(S) FOR INCREASING CONTRAST AND RESOLUTION)」という名称の米国特許出願第20110279749号、
(2)ギルバート(Gilbert)の2012年9月6日に公開された「コントラストおよび解像度向上のためにフィルタなしLCDを使用するハイ・ダイナミック・レンジ表示装置(HIGH DYNAMIC RANGE DISPLAYS USING FILTERLESS LCD(S) FOR INCREASING CONTRAST AND RESOLUTION)」という名称の米国特許出願第20120224121号、
(3)バスラー(Basler)らの2013年3月14日に公開された「MEMS/IMOD構成要素を備えるハイ・ダイナミック・レンジ表示装置(HIGH DYNAMIC RANGE DISPLAYS COMPRISING MEMS/IMOD COMPONENTS)」という名称の米国特許出願第20130063496号、
(4)エリンジピュラス(Erinjippurath)らの2013年3月14日に公開された「改善されたフィールド順次処理を有するハイ・ダイナミック・レンジ表示装置(HIGH DYNAMIC RANGE DISPLAYS HAVING IMPROVED FIELD SEQUENTIAL PROCESSING)」という名称の米国特許出願第20130063573号、および
(5)シールズ(Shields)らの2013年5月2日に公開された「ハイ・ダイナミック・レンジ表示装置システムに高コントラスト画像を正確に表すためのシステムおよび方法(SYSTEMS AND METHODS FOR ACCURATELY REPRESENTING HIGH CONTRAST IMAGERY ON HIGH DYNAMIC RANGE DISPLAY SYSTEMS)」という名称の米国特許出願第20130106923号、
− これらのすべてをその全体で本明細書に援用する。
【0018】
これらの参照文献に見出される多くの実施形態で、光源からの光は2つの変調器(例えば、所望の画像の低解像度画像を得るための第1の変調器、ならびに最終画像の高解像度画像および所望の色を得るための第2の変調器)によって変調され得る。一実施形態では、第1の変調器は単色LCDパネルとし、第2の変調器はカラー・フィルタリングLCDパネルとしてよい。
【0019】
これらの表示装置ではHDR画像処理を提供するが、それでもなお、そのエネルギー効率を改善することができる。
概説
本願の多くの実施形態では、表示装置システムは、現在の表示装置に見られる効率損失の3つの形を回避する傾向があるような方法で、ならびに他のレーザ駆動表示装置設計で示される「スペックル」問題、および他の多層または多変調表示装置で示される視差問題を回避して、液晶表示装置を駆動するのにレーザ・ダイオード(または他の偏光生成光源)を使用することができる。
【0020】
レーザ・ダイオードを使用する多くの実施形態では、レーザ・ダイオードは、単色光の直線偏光の細い(しかし平行ではない)楕円ビームを生成する傾向がある。レーザ・ポインタに使用される場合、レーザ・ダイオードは、ビームを平行に(かつ円形に)整形するレンズと連結される傾向がある。現在使用されている一般的なものは、約50Hzで、おおよそ2倍の輝度にわたって変調することができる(オフを含めずに)、すなわち(0、1〜2)。これらはまた、LEDよりも効率が高くなる傾向があり、電力の25%から45%を光に変換できるのに対し、LEDでは15%である。
【0021】
多くの実施形態で、本願の原理によって製造される表示装置システムは、以下の構成要
素を層として備えることができる:
(1)(任意選択で輝度変調される)単色の濃青色レーザ・ダイオードの2次元アレイ、または他の偏光生成器
(2)任意選択の光整形層、
(3)任意選択の最初の偏光子、
(4)第1のカラー・フィルタなしLCDパネル(フィールド補正LCD)、
(5)中間偏光子、
(6)第2のカラー・フィルタなしLCDパネル(画像生成LCD)
(6)最終セル偏光子層
(7)セル量子ドット層最終層(光変換層)、
および(8)濃青色ノッチまたはロー・パス・カラー・フィルタ層(レーザ除去フィルタ)(任意選択でセル・カラー・バンド・パス・フィルタ)
上記の構成要素の1つ以上を使用しなくてもよい表示装置システムの他の実施形態が本明細書で説明される。
【0022】
一実施形態では、レーザは、各レーザからの光が最初の偏光子によって共通の方向に偏光され、フィールド補正LCDパネル内の画像要素の既知のセットにわたって広がるように配置することができる。任意選択の光整形層は、レーザからの光をより均一に広げながら偏光を維持し、またはコリメートを増大するように、もしくは光を画像要素のより正確なセットに向けるように偏光を維持する。レーザ・ダイオードは、コストおよび複雑さに対しての細かなコントラストの望ましさに応じて、個々に、または小さいクラスタで、または大きいゾーンで変調することができる。
【0023】
一般に、光源とLCDパネルの間にバルク拡散器(または光損失)が必要とされない可能性があり、生成される光がすでに強く直線偏光されているので、最初の偏光子での光損失は非常に小さくなる傾向がある(40%に対して約80%の透過)。偏光の特性が十分ではない、またはより大きいコントラストが望ましい場合、輝度を少し犠牲にして任意選択の最初の偏光子を追加することができる。
【0024】
この表示装置における偏光層の順序および向きは変わり得るが、(全レーザ要素からの)レーザ偏光が最初の偏光層に対応し、フィールド補正LCD最終偏光子が画像生成LCD偏光子の最初の偏光に対応することが望ましい場合があることを理解されたい。これは、LCDパネルの1つのまわりの偏光膜を反対にすることによって実現することができる。
【0025】
量子ドット・アレイは、固有のカラー・サブ画素要素(例えば、セル)を形成することができる。画素は、小領域上の色を協働して作るために使用されるセルの集まりである。これらのアレイは、任意の既知のパターン(例えばストライプ、ペンタイル、クワッド構成など)を形成することができることを理解されたい。
【0026】
第1のフィールド補正LCDパネルは、その機能が、より局所的な輝度変調を行うこと、ならびに、例えば局所輝度変調層を設けるための画像生成LCD層にわたって輝度をより一様にすることの両方であるので、レーザ・ダイオード・アレイ解像度よりも非常に高い解像度であり得る。
【0027】
第2の画像生成LCD解像度は、サイズおよび所望の制御に応じて、フィールド補正LCDに1:1のセル、1:1の画素、または多対1の画素で対応させることができる。最終偏光子は、単色光量が、量子ドットによって最終観察光に変換される前に二重変調され得るので、量子ドット層の前に置かれ得ることに留意されたい、
最終偏光子は、LCDの解像度に対応するセルとすることができ、そのため光が隣接セ
ルの中に散乱しない場合がある。任意選択の4分の1波長偏光層をここに追加して、前面から放出される光がLCD層の中に戻ることを抑制することができる。
【0028】
量子ドット最終層は、所望の色域を規定する通常は赤、緑、青の値(または白色のメタマーになり得る他の任意の適切な色)で、固有の色構成のセルとして配置することができる(カラー・フィルタが従来の表示装置にあるのと非常に似ている)。1つの要素を駆動する光が隣接セルに散乱することがないように、各セル間に光バリヤがあってよい。
【0029】
別の実施形態では、周囲光が量子ドットを励起することを抑制するために、各カラー・セルの前面に整合カラー・フィルタ膜を使用することが可能であり得る。さらに別の実施形態では、表示装置の外向きの光を場合により2倍にするために、量子ドット層の後に(例えば、レーザ波長に近い)バンド・パス干渉膜を使用することが可能であり得る。量子ドット層の前のノッチ・フィルタ干渉膜は、表示装置の中に戻る未処理レーザ光を反射することができ、また効率を改善するために使用することもできる。最終カラー・フィルタはまた、表示装置の前面から出る直接レーザ光がなくなるように、レーザ波長未満の低コスト単層ロー・パスとすることもできる。
【0030】
多くの実施形態では、他のレーザ駆動表示装置とは異なり、レーザ光が表示装置から出ないこと(例えば、表示装置から出るすべての光が、量子ドットによってランダムに偏光された広い拡散角の光に実質的に変換されること)が望ましい場合がある。これには、直接見られる単色レーザ光が通常生成するスペックル効果をないようにする傾向があるはずである。
【0031】
これらの表示装置システムの電力対光の効率を考察する際、表示装置の全電力対光の効率は、各層の透過率を乗ずることによって計算することができる。
従来のLCD表示装置では、これは次式になり得る:
0.15(LED効率)×0.4(バルク拡散器)×0.5(最初の偏光)×0.25(カラー・フィルタ)=0.0075
多くの本願の実施形態では、量子ドット効率が80%と仮定された場合(すなわち、QD層に当たる光の80%が適切な色の光に変換され、追加LCDおよび偏光層を透過率70%で計算に入れる)、その効率は次式の通りに計算される:
0.45(レーザ・ダイオード効率)×0.8(最初の偏光)×0.7(第2のLCD)×0.8(量子ドット効率)=0.2016 − すなわち「通常の」表示装置よりも効率がおおよそ25倍高い。
【0032】
これはさらに、ゾーン・レーザ輝度変調を使用することによって改善され得る。別の代替実施形態は、より高い効率を有し得る。
いくつかの実施形態
本明細書に記載の多くの実施形態は、従来の表示装置よりも効率が1桁以上高いばかりでなく、色、輝度、およびコントラストのHDR/VDR限界に達する表示装置を構築する方法に影響を及ぼす。本願の実施形態の多くで、これらの新しい表示装置構成を成す構成要素のほとんどが現在入手可能である。
【0033】
いくつかの実施形態では、電力効率、高輝度、ハイ・ダイナミック・レンジ、広い色域性能などの様々な特徴(またはそのサブセット)に影響を及ぼし得る表示装置システムが説明される。これらの実施形態の多くでは、これらの表示装置システムは、以下の構成要素、すなわちレーザ・ダイオード・バックライトまたはエッジ・ライト、1つまたは複数のカラー・フィルタなし液晶パネル、および量子ドット・フォトルミネセンス膜、のうちの1つ以上を含むことができる。
【0034】
図2は、本願の原理によって製造された表示装置システム200の一実施形態を示す。表示装置システム200は、レーザ・ダイオード202のアレイを含むことができ、このアレイはさらに、レーザ・ダイオード202aを、レーザ・ダイオードからの光を発散させるのに役立つ任意選択のレンズ202b付きで、またはなしで含むことができる。レーザ・ダイオード202からの光は、個々のフレネル・レンズ204aがレーザ光の実質的なコリメートを行う働きができるフレネル・レンズ・シート204を照明することができる。
【0035】
一実施形態では、レーザ・ダイオードは青色から紫外領域(例えば、約400nmなど)にあり得るが、このレーザ・ダイオードは、後で論じられるように、量子ドットのセットを励起して実質的に白色光のメタマーであり得る色のセットを生成できる、任意の可能な色とすることができる。表示装置に量子ドットを使用することは、共有の特許出願に記載されている:
(1)ニナン(Ninan)らの2012年6月21日に公開された「量子ドット照明のための技術(TECHNIQUES FOR QUANTUM DOT ILLUMINATION)」という名称の米国特許出願第20120154417号、および
(2)ニナン(Ninan)らの2012年6月21日に公開された「表示装置のための量子ドット変調(QUANTUM DOT MODULATION FOR DISPLAYS)」という名称の米国特許出願第20120155060号、
− これらのすべてをその全体で本明細書に援用する。
【0036】
別の実施形態では、光源202はスーパー・ルミネセント・ダイオード、または、好ましくは偏光制御された光源からなる他の任意の既知(または未知)の光源を含み、また場合により、可変であり得る光源を含むことができる。さらに別の実施形態では、光源は、実質的に一様な偏光を有していようと(例えば、レーザ・ダイオード、スーパー・ルミネセント・ダイオード)、有していまいと(例えば、LEDなど)、量子ドットのセットを励起できる周波数セットを放出する任意の光源とすることができる。光源が実質的に一様な偏光を有していない場合、最初の偏光子で一様な偏光を課すことができるが、これはエネルギー効率を犠牲にして影響を及ぼし得る。
【0037】
光源が、最初の偏光子に対応する実質的に一様な偏光を有する場合、結果として得られる表示装置システムは、より良好なエネルギー効率を達成し得る。第1の偏光子または最初の偏光子は、任意選択とすることができる。加えて、第1の偏光子は、光学スタック内の別個の構成要素とすることも、第1の変調器に付加される層とすることもできる。
【0038】
多くの実施形態では、バックライトが平坦にされるようにレーザ・ダイオードから来る光が実質的に発散され、その結果、表示装置システム視聴者が認識できる「ホット・スポット」がなくなる、またはほとんどなくなることが望ましい場合がある。加えて、レーザ・ダイオードから来る光が相対的にコリメートされて、下流の光学構成要素が一様に照明されることが望ましい場合がある。
【0039】
また、偏光維持材料(例えば、特定のプラスチック、ガラスなど)からなるレンズおよびレンズ・シートを選択することが望ましい場合もある。レーザ・ダイオードからの光が実質的に偏光されているので、この当初の偏光を最初の(または第1の)偏光子206に対応させることが望ましい場合がある。この場合、最初の偏光子からの透過率は80〜90%とすることができ、これは従来の表示装置システムの場合に対する改善である。
【0040】
最初の偏光子206からの光は、描画されるべき所望の画像に基づいて低解像度照明をすることができる第1の変調器208(例えば、単色LCD)を照明することができる。この第1の変調器は、所望の画像の輝度を実質的に変調することができる。中間偏光子2
10は、第2の変調器を照明する前に適切な配向をするために使用される。
【0041】
後の光学段から反射して戻るレーザ光が表示装置システムのコントラストに悪影響を及ぼす可能性がないように、任意選択のレーザ光フィルタ212を使用してレーザ・パス・フィルタを設けることができる。
【0042】
別の実施形態に関して、構成要素212は、任意選択の光学中間ホログラフィック拡散器とすることができる。ホログラフィック拡散器212を使用して、液晶(LC)208画像要素からの光をLC214の画像要素上の大きい領域にわたって、例えば制御された角度で偏光を維持するように、広げることができる。これには、2つのLCパネル間のモアレ効果を除去する傾向があり得る。加えて、画像が、実質的に視聴者不変量である(例えば、面変換である)量子ドット(QD)層218で完全に実現されるので(以下で論じるように)、拡散強度は、他の二重変調型表示装置よりもずっと小さくなる傾向があり得る。
【0043】
画素フィーチャ・サイズが表示装置スタック深さと比較して大きい場合、この拡散器は望ましくない場合があり得る。この拡散器を有しないこと(およびLC214での相対的画素輝度変化を補償しないこと)が、少ない層、小さいコスト、および高い効率の表示装置に影響を及ぼし得る。さらに別の実施形態では、構成要素212は、組み合わされた任意選択のレーザ光フィルタとホログラフィック拡散器でよい。
【0044】
図2に示された表示装置は、特定の順序の構成要素(例えば中間偏光子と第2の変調器の間にレーザ光フィルタおよび/またはホログラフィック拡散器)を有するが、異なる順序の構成要素(例えば第1の変調器と中間偏光子の間にレーザ光フィルタおよび/またはホログラフィック拡散器)、または異なる順序の別の構成要素を有する表示装置に影響を及ぼすことが可能であり得ることを理解されたい。
【0045】
次に光が、所望の画像を描画するための高い空間周波数データを描画するように変調ができる第2の変調器214(例えば、単色LCD)を照明することができる。最終偏光子216をその後に設けることができる。
【0046】
量子ドット・アレイ218は、適切な周波数のレーザ光が量子ドットを照明すると量子ドットが励起されて別の周波数の光を再放出するように設けられる。一実施形態では、量子ドットのアレイ(例えば、1080×720ドット、または他のサイズ)を表示装置画面にわたって配置して、フルカラー(例えば、赤色、緑色および青色発光ドットを用いて)画像描画を行うことができる。
【0047】
第2の変調器214、最終偏光子216および量子ドット・アレイ218は、光が効率的に生成されて最終画像を形成できるように慎重に組み立てられることが望ましい場合がある(例えば、適切な許容誤差内で)。
【0048】
任意選択のロー・パス・フィルタ/反射器220は、レーザ光を吸収および/または反射するように端部に配置することができる。これは次の2つの理由、すなわち(1)レーザ光のスペックルが表示装置システムの視聴者に全く気づかれないようにするために、および(2)レーザ光を量子ドット・アレイ中に反射して所望の着色光を生成し、それによってエネルギー効率が高まるようにするために望ましい場合がある。
【0049】
コントローラ222は、表示装置システムによって描画されるべき入力画像データを受け取るのに使用することができる。画像処理アルゴリズムにより、第1の変調器、第2の変調器および/またはレーザ・ダイオードのアレイに加え得る制御信号を生成することが
できる。一実施形態では、レーザ・ダイオードはオンに保持され、コントローラによっては実質的に変調されない。この場合、コントローラは、第1の変調器および第2の変調器を制御することができる。別の実施形態では、全3つの構成要素(例えば、レーザ・ダイオード、第1の変調器および第2の変調器)をコントローラによって制御することができる。さらに別の実施形態では、レーザ・ダイオードだけがコントローラによって制御される表示装置システムを構築することができ、さらにこの表示装置システムは1つの変調器を有するのみである(2つの変調器ではなく)。
【0050】
別の実施形態では、表示装置システムが光源のセットを備えることができ、この光源は、光路下流の量子ドットのセットを励起する周波数または周波数セットを放出する。光源は、任意選択でコントローラによって変調することができ、実質的に一様な偏光であってもよい。その場合には、最初の偏光子は任意選択でよい。表示装置システムはさらに、1つ、2つまたは複数の変調器を光路の下流に備えることができる。1つの変調器しかない場合、光源からの変調光は、コントローラから受け取った制御信号にしたがって低解像度画像を含むことができ、単一の変調器からの画像は、コントローラから受け取った制御信号にしたがって高解像度画像を含むことができる。
【0051】
バックライトの実施形態
図3Aおよび図3Bはそれぞれ、レーザ・ダイオード・バックライト302aおよび302bの実現可能な2つの実施形態を示す。図3Aでは、バックライト302aは、レーザ・ダイオード304の実質的に長方形の、かつ下流の光学構成要素に対し一様な照明ができるように十分な密度で配置された、アレイを含むことができる。この実施形態では、フレネル・レンズ308が光のいかなる所望のコリメートもできるように、フレネル・レンズ・シート306をレーザ・ダイオードの上に配置することができる。図3Bは、レーザ・ダイオード・バックライト302bの別の実施形態を示し、レーザ・ダイオードが3つ組パターンで配置されている。他の任意のパターンも本願の目的に十分であることを理解されたい。
【0052】
図4は、フレネル・レンズが別々のレーザ・ゾーン(例えば、図示のN−1、N、N+1)に影響を及ぼし得るバックライト構造の一実施形態を示す。レーザ・ダイオード402はレーザ光を放出することができ、また何らかのさらなる光の発散が望まれるかどうかに応じて、任意選択の負レンズ404を使用することができる。
【0053】
発散光がフレネル・レンズ406を照明することができ、またレンズにわたる望ましい勾配の変化により、下流の光学構成要素に対する光408のコリメートに役立つ働きをすることができる。
【0054】
コリメートの実施形態
図5Aおよび図5Bはそれぞれ、レーザ光のコリメートに役立つのに使用できるレンズ構成の上面図および側面図である。図で分かるように、レーザ・ダイオード502は、正円柱レンズ504、およびその後の球面レンズ506に向けてレーザ光を放出し得る。このレンズ構成は、前述の任意のフレネル・レンズ構成の代わりに、またはそれとともに、使用することができる。
【0055】
図4図6Aおよび図6Bを連続して参照すると、それぞれ、フレネル・レンズ・シートがない場合、およびフレネル・レンズ・シート606がある場合の光パターンの側面図および上面図を示している。図6Aでは、光源602が、側面図でも上面図でも、実質的に発散する光のビーム(ビーム604で示す)に影響を及ぼすことが分かる。図6Bでは、フレネル・レンズ・シート606が、側面図でも上面図でも、実質的にコリメートされたビーム(ビーム608で示す)をもたらすことが分かる。
【0056】
図7Aおよび図7Bはそれぞれ、1つの特定の光源702のビーム・パターンを側面図および上面図で示す。図7Cでは、上面方向でも側面方向でもより一様な照明に影響を及ぼすために、重なり合うフレネル・レンズ構成(704aおよび704b)のセットを使用することが望ましい場合がある。
【0057】
図8Aおよび図8Bはそれぞれ、別の光源802のビーム・パターンを側面図および上面図で示す。図8Cでは、望ましい一様な照明を実現するために、実質的により同心のフレネル・レンズ構成(804)のセットを使用することが望ましい場合がある。
【0058】
図9は、図示のように格子配列904上に配置できる光源902のアレイの一実施形態を示す。図で分かるように、フレネル・レンズ・シートは、交差同心円のセット(光源902に対して図示)に影響を及ぼすことができる。光源は、シート上のフレネル・レンズの異なるセットに影響を及ぼし得る異なるパターンに配置できることを理解されたい。
【0059】
コントラスト
ダイナミック・バックライトがない従来の表示装置は、パネル構造に応じて600:1から1000:1である。通常、コントラストが大きければ大きいほど、効率が小さくなる。
【0060】
非変調レーザ・バックライト、および最初の偏光子なしを仮定して、画素クラスタ(3〜5画素直径)輝度制御ごとに100:1とサブ画素画像要素制御ごとに1000:1を乗じると、本明細書のいくつかの実施形態では50k:1の測定コントラストを得ることができる。
【0061】
最初の偏光子を追加することによって、これは10倍に増大し得る。これは、妥当な視聴距離では眼の通常の光ハロー直径をはるかに下回り得る画素クラスタごとであることに留意されたい。
【0062】
視野角
表示装置からの光は、前面量子ドット層だけから到来し、この層の幾何学的に後方の表示要素には依存していない。
【0063】
輝度
ビーク輝度は、量子ドット・フォトルミネセンス飽和限界、およびそのレーザ光除去フィルタの透過率によってのみ限定される傾向がある。
【0064】
色域
従来の表示装置の色域は、バックライト・スペクトル、セルごとのコントラスト、およびLCDパネル内のカラー・フィルタによって決定される。これは通常、効率とは逆の関係にある。というのは、色域が大きいと小さいバンド・パス・フィルタが必要になり、したがって光がより少なくなるからである。本明細書の多くの実施形態では、大きい色域が、バックライト・カラー・スペクトルを変調することによって(例えば、バックライト色混合)、また特に、大きい画面領域を用いた機能のために、到達可能であり得る。これらの表示装置システムの色域は、セルごとのコントラストと、量子ドット(色ごとに非常に狭いスペクトルを有するように生成される)の選択とによって決まり得る。これにより、画素ごとベースで非常に大きい色域が可能になり得る。
【0065】
これらの新規の表示装置システムの広い色域態様をさらによく評価するために、従来のLCD表示装置は通常、3つのカラー・フィルタ(通常は赤、緑および青)の画素ごとに
制御し、それぞれが、広いスペクトルの白色光源の非常に広いカラー・フィルタを開閉する。対照的に、これらの新しい表示装置システムでは、所与の画面領域からどれだけの光が放出され得るかを、加えて、どれだけの光が非常に狭帯域の原色に変換され得るかを、非常にうまく制御する。これにより、これらの新しい表示装置が、拡張色空間により(例えば、Adobe Wide−Gamut RGB色空間をRec.709と比較されたい)、および/または拡張ダイナミック・レンジにより、通常の表示装置では得られない色を出すことが可能になる(例えば、暗飽和青色は通常の表示装置の黒レベルのかなり下になる)。
【0066】
実現可能な改善
以下は、潜在的な改善点を有する実現可能な実施形態である。
二集団変調ゾーン、またはエラー拡散変調ゾーン
通常、レーザはオフ、最小でオン、または最大輝度に達しているオンの場合がある。最小のオンは、オフと比べて相対的に明るい。オフから全ゾーンでオンすることは、全オフから変化し過ぎることになり得る。
【0067】
一実施形態では、市松模様でレーザの半分をオフにすることによって、輝度LCDによって平坦にされたフィールドで、必要に応じて全ゾーンをオンにする前にレーザの半分だけ「オン」の輝度に上げることによって上向きに制御できる、半分の最小通常輝度レベルを可能にすることができる。レーザごとの光広がりに応じて、他のパターンを使用することもできる。
【0068】
光源による二集団変調ゾーン
この実施形態では、レーザ・ダイオードとパルス幅変調LEDを、完全点灯から完全オフに至るまで連続輝度制御を可能にし得るように混合することが可能であり得る。
【0069】
図面に示された本発明の好ましい実施形態を説明するに際して、分かりやすくするために特定の専門用語が使用される。しかし、本発明は、そのように選択された特定の専門用語に限定されるものではなく、それぞれの特定の要素が、同様に動作するすべての技術的均等物を含むことを理解されたい。さらに、本発明者らは、知られていない新たに開発される技術もまた、説明された部分と置き換えることができ、かつそれでもなお本発明の範囲から逸脱しないことを認識している。それだけには限らないが、パネル、LCD、偏光子、制御可能パネル、表示装置、フィルタ、ガラス、ソフトウェア、および/またはアルゴリズムなどを含む、他のすべての説明されたものもまた、任意およびすべての使用可能な均等物に照らして考慮されるべきである。
【0070】
本発明の一部分は、コンピュータ技術分野の当業者には明らかになるように、本開示の教示に従ってプログラムされた従来の汎用または専用のデジタルコンピュータまたはマイクロプロセッサを使用して、都合よく実施することができる。
【0071】
適切なソフトウェア・コーディングは、ソフトウェア技術分野の当業者には明らかになるように、本開示の教示に基づいて当業者のプログラマが容易に用意することができる。本発明はまた、本開示に基づいて当業者には容易に明らかになるように、特定用途向け集積回路を用意することによって、または従来の構成要素回路の適切な回路網を相互接続することによって、実施することもできる。
【0072】
本発明はまた、命令が格納された記憶媒体である/本発明の方法のいずれかを実行するようにコンピュータを制御するために、またはコンピュータに実行させるために、使用できるコンピュータ・プログラム製品を含むことができる。記憶媒体は、それだけには限らないが、フロッピー(登録商標)ディスク、ミニディスク(MD)、光ディスク、DVD
、HD−DVD、ブルーレイ、CD−ROM、CDもしくはDVD RW+/−、マイクロドライブおよび光磁気ディスクを含む任意のタイプのディスク、ROM、RAM、EPROM、EEPROM、DRAM、VRAM、フラッシュ・メモリ・デバイス(フラッシュ・カード、メモリ・スティックを含む)、磁気カードもしくは光カード、SIMカード、MEMS、ナノシステム(分子メモリICを含む)、RAIDデバイス、遠隔データ記憶装置/アーカイブ/ウェアハウジング、または命令および/またはデータを格納するのに適している任意のタイプの媒体もしくはデバイスを含むことができる。
【0073】
本発明は、コンピュータ可読媒体のいずれか1つに格納されている、汎用/専用コンピュータまたはマイクロプロセッサ両方のハードウェアを制御するためのソフトウェアと、コンピュータまたはマイクロプロセッサが本発明の結果を利用して人間のユーザまたは他の機構と対話することを可能にするためのソフトウェアとを含む。このようなソフトウェアは、それだけには限らないが、デバイス・ドライバ、オペレーティング・システム、およびユーザ・アプリケーションを含むことができる。最終的に、このようなコンピュータ可読媒体はさらに、上述のように、本発明を実施するためのソフトウェアを含む。
【0074】
汎用/専用コンピュータまたはマイクロプロセッサのプログラミング(ソフトウェア)には、本発明の教示を実施するためのソフトウェアモジュールが含まれ、これには、それだけには限らないが、ローカルディミングパネルの画素/サブ画素ぼけを計算すること、色補正または色特性評価を計算すること、画像信号を用意し、これをドライバおよび/または他の電子回路に加えてバックライト、パネル、または表示装置の他のデバイスを作動させること、輝度値を計算すること、表示されるべき画像の画素または領域の所望の輝度を含む、本明細書に記載の要素のいずれかに基づいて輝度を補間、平均または調整すること、ならびに本発明の方法による結果の表示、記憶または伝達が含まれる。
【0075】
本発明は、本明細書に記載の要素(本発明の様々な部材または機能)およびその均等物のいずれかを適切に含み、それで構成され、または本質的にそれで構成されることが可能である。さらに、本明細書で説明的に開示された本発明は、どの要素がなくても、本明細書に具体的に開示されていようといまいと、実施することができる。明らかに、本発明の多数の修正形態および変形形態が、上記の教示に照らして実現可能である。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲内で、上記で具体的に説明したのとは異なる方法でも実施できることを理解されたい。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図8C
図9