特許第6574186号(P6574186)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ セイジ・エレクトロクロミクス,インコーポレイテッドの特許一覧

<>
  • 特許6574186-光学グレージングにおける演色の改良 図000002
  • 特許6574186-光学グレージングにおける演色の改良 図000003
  • 特許6574186-光学グレージングにおける演色の改良 図000004
  • 特許6574186-光学グレージングにおける演色の改良 図000005
  • 特許6574186-光学グレージングにおける演色の改良 図000006
  • 特許6574186-光学グレージングにおける演色の改良 図000007
  • 特許6574186-光学グレージングにおける演色の改良 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6574186
(24)【登録日】2019年8月23日
(45)【発行日】2019年9月11日
(54)【発明の名称】光学グレージングにおける演色の改良
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/153 20060101AFI20190902BHJP
   G02F 1/15 20190101ALI20190902BHJP
【FI】
   G02F1/153
   G02F1/15 502
【請求項の数】15
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-542849(P2016-542849)
(86)(22)【出願日】2014年9月15日
(65)【公表番号】特表2016-531331(P2016-531331A)
(43)【公表日】2016年10月6日
(86)【国際出願番号】US2014055600
(87)【国際公開番号】WO2015039011
(87)【国際公開日】20150319
【審査請求日】2017年9月6日
(31)【優先権主張番号】14/027,731
(32)【優先日】2013年9月16日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504416080
【氏名又は名称】セイジ・エレクトロクロミクス,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 治
(74)【代理人】
【識別番号】100134175
【弁理士】
【氏名又は名称】永川 行光
(74)【代理人】
【識別番号】100188857
【弁理士】
【氏名又は名称】木下 智文
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン・ディー・グリーア
(72)【発明者】
【氏名】ルイ・ジェイ・ポドベルスキー
【審査官】 磯崎 忠昭
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2011/0260961(US,A1)
【文献】 米国特許第05446577(US,A)
【文献】 特表2007−510939(JP,A)
【文献】 特開2004−252265(JP,A)
【文献】 特開平02−035421(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/15−1/19
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光が色付けされることなく通過することを可能にする複数の開口部を画定するエレクトロクロミックスタックを含むエレクトロクロミックデバイスを含み、
前記複数の開口部は、線を画定し、かつ、前記エレクトロクロミックスタックの厚さ全体を通して延在し、
前記エレクトロクロミックスタックの前記複数の開口部が、均一に離間したドットのパターンで配置された円形孔のセットである、窓
【請求項2】
光が色付けされることなく通過することを可能にする複数の開口部を画定するエレクトロクロミックスタックを含むエレクトロクロミックデバイスを含み、
前記複数の開口部は、線を画定し、かつ、前記エレクトロクロミックスタックの厚さ全体を通して延在し、
前記複数の開口部の少なくともいくつかが、線状パターンで配置された離間した孔である、窓
【請求項3】
前記エレクトロクロミックデバイスの色付き部が、前記線の両側に配され、かつ、実質的に同じ厚さを有する、請求項1または2に記載の窓。
【請求項4】
前記複数の開口部が、第2線を画定し、前記エレクトロクロミックデバイスの色付き部が、前記第2線の両側に配される、請求項1または2に記載の窓。
【請求項5】
光が色付けされることなく通過することを可能にする複数の開口部を画定するエレクトロクロミックスタックを含むエレクトロクロミックデバイスを含み、
前記複数の開口部は、線を画定し、かつ、前記エレクトロクロミックスタックの厚さ全体を通して延在し、
前記複数の開口部の少なくともいくつかが、第1線状パターンを画定する離間した孔の第1セットおよび第2線状パターンを画定する離間した孔の第2セットであり、離間した孔の前記第1および前記第2セットが、画定された前記第1および前記第2線状パターンが互いから等しく離間するように互いから離間している、複数の開口部である、窓
【請求項6】
前記エレクトロクロミックデバイスの色付き部が、前記第1および前記第2線状パターンの両側に配される、請求項5に記載の窓。
【請求項7】
色付き光の色彩強度をニュートラル化する方法であって:
第1層を(i)透明または半透明基板および(ii)前記基板を覆う第2層のうちの1つに適用することと;次いで
前記第1層を色付けすることと;
前記第1層内の一部分を除去して線を画定する複数の開口部を画定し、光が色付けされることなく通過することを可能にすることと
を含み、
前記第1層がエレクトロクロミックスタックであり、かつ、前記複数の開口部が前記エレクトロクロミックスタックの厚さ全体を通して延在する、方法。
【請求項8】
前記第1層が、前記基板に適用される前に第1色付けレベルに色付けされ、色付けが、前記第1色付けレベルとは異なる第2色付けレベルに前記第1層を色付けする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第1層が、前記エレクトロクロミックスタックを横切って電位を印加することにより色付けされる、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記第1層の除去された部分が、除去される前に色付き層の厚さを通って延在している、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記線が前記第1層の明部に配される、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
前記複数の開口部が、均一に離間したドットのパターンで配置された孔のセットを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項13】
前記複数の開口部のいくつかが、線状パターンで配置された離間した孔である、請求項7に記載の方法。
【請求項14】
前記複数の開口部の少なくともいくつかが、第1線状パターンを画定する離間した孔の第1セットおよび第2線状パターンを画定する離間した孔の第2セットであり、離間した孔の前記第1および前記第2セットが、画定された前記第1および前記第2線状パターンが互いから等しく離間するように互いから離間している、複数の開口部である、請求項7に記載の方法。
【請求項15】
前記エレクトロクロミックスタックが、エレクトロクロミック層の第1側面および対電極層の第1側面の両方に対して適用されかつこれらによって境界付けられた少なくともイオン伝導層を含んでおり、前記エレクトロクロミック層の第2側面が、第1導電層に対して適用されかつこれによって境界付けらており、前記対電極層の第2側面が、第2導電層に対して適用されかつこれによって境界付けらており、前記第1層が、前記エレクトロクロミックスタックを横切って電位を印加することによって色付けされる、請求項7に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
クロスリファレンス
本出願は、2013年9月16日に提出された米国特許出願第14/027,731号の継続であり、その開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
エレクトロクロミック材料およびデバイスは、光および熱の管理のためのパッシブコーティング材料の代替として開発されている。かかる材料およびデバイスは、絶縁または活性グレージングユニットを含めた建築用窓において、ならびにフロントガラスおよびバックミラーを含めた自動車用窓において用いられている。パッシブコーティング材料とは対照的に、エレクトロクロミックデバイスは、印加電位に応じて電気化学的酸化および還元により光学特性を可逆的に変更することが可能である材料を使用している。光変調は、電気化学的材料の格子における電子および電荷補償イオンの同時挿入および抽出の結果である。
【0003】
一般に、エレクトロクロミックデバイスは、光の透過を調節することができる複合構造を有する。図1Aおよび1Bは、典型的な従来技術のエレクトロクロミックデバイス20の平面および断面図をそれぞれ示す。デバイス20は、ガラスまたは光学グレージングなどの基板34に形成された単離された透明導電層領域26Aおよび26Bを含む。また、デバイス20は、導電層領域26にわたって順に設けられた、対電極層28、イオン伝導層32、エレクトロクロミック層30、および透明導電層24を含む。対電極層、イオン伝導層、エレクトロクロミック層、および2つの透明導電層を、「エレクトロクロミックスタック」と総称する。デバイス20のエレクトロクロミック層および対電極層の相対位置は交換可能であることを理解されたい。さらに、デバイス20は、導電層領域26Aのみと接触するバスバー40と、導電層領域26Bに形成され得、導電層24と接触するバスバー42とを含む。導電層領域26Aは、導電層領域26Bおよびバスバー42から物理的に単離されており、導電層24は、バスバー40から物理的に単離されている。エレクトロクロミックデバイスは、湾曲した側面を含むものなどの種々の形状を有していてよいが、説明的、例示的なデバイス20は、互いに平行に延在し、デバイス20のそれぞれの対向側面25、27に隣接しており、かつ距離Wだけ互いに離間されているバスバー40および42による矩形デバイスである。さらに、バスバー40および42は、低電圧電源22のそれぞれ正および負端子にワイヤによって接続されている(ワイヤおよび電源22が一緒になって「外部回路」を構成している)。
【0004】
図1Aおよび1Bを参照すると、電源22が、バスバー40、42を横切って電位を印加するように操作されるとき、電流を付与する電子は、バスバー42から透明導電層24を横切ってエレクトロクロミック層30内に流れる。また、イオン伝導層32が、多くの薄膜エレクトロクロミックデバイスの場合と同様に不完全な電子絶縁体であるとき、漏れ電流と一般に称される少量の電流が、バスバー42から導電層24およびエレクトロクロミック層30を通ってイオン伝導層32内に流れる。さらに、イオンが、対電極層28からイオン伝導層32を通ってエレクトロクロミック層30に流れ、電荷平衡が、対電極層28から抽出され次いで外部回路を介してエレクトロクロミック層30内に挿入される電子によって維持される。電流がバスバー42から離れて導電層24を横切ってバスバー40に向けて流れるとき、電圧は、典型的には約3から約20Ω/スクエアの間の範囲内である導電層24の有限のシート抵抗に起因して降下する。また、導電層24を横切って流れる電流は、電流が層30、32および28の組み合わせ(「中間スタック」)を通して引き出されてデバイス20においてエレクトロクロミック着色を生じるとき、徐々に減少される。
【0005】
バスバー40、42を横切って電位を印加することは、過剰な光またはグレアが光学グレージングを通って透過されることを防止するのに有益であり得る。しかし、デバイス20が暗化するときには、デバイスを通って透過した光(例えば、日光)が、デバイスのスペクトル特性に従って取り除かれる。
【0006】
図2に示すグラフに示されているように、色付き基板、例えばエレクトロクロミック絶縁グレージングユニット(「EC IGU」)を通した光の透過率は、光の波長に基づいて変動する。したがって、光のいくつかの波長が、他のものよりも吸収または反射され、その結果、エレクトロクロミックガラスを通過する光の色が変更されることになる。結果として、光学グレージングを通して見たとき、多くの場合、不自然または非常套的な色相が呈され、この色相は、この色相を生ずる光波が他の光波よりもガラスを通した透過率が高いとき、多くの場合、青みがかった色相である。例えば、高度に色付けされたガラスを通して見ると、深く青みがかった色相が生じているとき、かかる外観は、通過する光のスペクトルの緑および赤色部分を高度に吸収するガラスに起因している。
【0007】
さらに、グレージングを通って透過する光もまた、かかる不自然な、多くの場合には青みがかった色相を呈することが多い。ビューアーによるかかる不自然な色相の認知は、彩度、すなわち、見られる対象の色の強度、およびビューアーが所与の光源下で色同士を区別する能力の尺度である演色評価数(CRI)によって引き起こされる。
【0008】
いくつかの状況において、かかるデバイス、またはかかるデバイスを備えた車両もしくは建築構造体のいくらかのユーザーは、望ましくない、また、いくつかの例においては不快でさえある、デバイスを通して見られる、内部または外部であり得る環境の不自然な青色付いた外観に出くわす。かかるユーザーは、かかる環境の外観が「ニュートラル」であること(例えば、自然なまたは周囲の光条件下での外観と同様の外観を有する、常套の屋内または屋外の照明基準に対して快適である外観を有する、など)を好む場合が多い。また、いくつかの状況において、内部空間、例えば車両または建造物内部にいるユーザーは、望ましくない、また、いくつかの例においては不快である、グレージングを通過する光によって着色されるような、内部空間の色付き外観に出くわす場合がある。例えば、美術館に設置されているエレクトロクロミックガラスを通過する光によって引き起こされる色付けされた色相は、美術館内でのゲストにとっての芸術の見た目を大幅に変更し、ゲストによっては望ましくないまたは許容されないとされる可能性がある。かかるユーザーまたはゲストは、内部空間の外観、例えば先の例における美術館が、「ニュートラル」であることを好む可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このように、環境の外観を許容されるまたは心地よい色相に、いくつかの例においてはニュートラルな色相に維持しながら、過剰な光またはグレアが光学グレージングを通って通過することを防止するデバイスが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
構造体を通過する光のレベルを低減しながら、よりニュートラルな色相を有するという目標を達成するために、本発明の一態様により、エレクトロクロミックデバイスのエレクトロクロミックスタックを含むフィルムの部分が除去されて、いくらかの直接光、すなわち、非暗化または非色付き光が、エレクトロクロミックデバイスを通過することを可能にすることができる。いくつかの実施形態において、除去された部分を有するフィルムは、電極層および対電極層のうち少なくとも1つを含むことができる。他の実施形態において、除去された部分を有するフィルムは、電極層、対電極層、イオン伝導体層、または透明導電体層のうち少なくとも1つを含むことができる。かかる構成において、非色付き光は、エレクトロクロミックデバイスを通過する色付き光と混合されて、色彩強度の変化を低減し、かつ、かかるデバイスの色付けまたは暗化の際に常套のエレクトロクロミックデバイスによって引き起こされる青みがかった色相を低減することができる。
【0011】
本発明の別の態様によると、エレクトロクロミックデバイスは、1つまたは複数の開口部を画定することができるエレクトロクロミックスタックを含むことができる。かかる開口部は、光が色付けされることなく開口部を通過することを可能にすることができる。
【0012】
いくつかの配置において、エレクトロクロミックスタックによって画定される開口部または開口部(複数)は、線または複数の線をそれぞれ画定することができる。いくつかの配置において、エレクトロクロミックスタックによって画定される開口部の少なくともいくつかは、平行線のセットを画定することができる。
【0013】
いくつかの配置において、エレクトロクロミックスタックによって画定される複数の開口部の少なくともいくつかは、ランダムパターンで配置されていてよい。いくつかの配置において、エレクトロクロミックスタックによって画定される複数の開口部の少なくともいくつかは、均一に離間したドットのパターンで配置された円形孔のセットであり得る。いくつかの配置において、エレクトロクロミックスタックによって画定される複数の開口部の少なくともいくつかは、線状パターンで配置された離間した孔であり得る。
【0014】
いくつかの配置において、エレクトロクロミックスタックによって画定される複数の開口部の少なくともいくつかは、第1線状パターンを画定する離間した孔の第1セットおよび第2線状パターンを画定する離間した孔の第2セットであってよい。いくつかのかかる配置において、離間した孔の第1および第2セットは、画定された第1および第2線状パターンが互いから等しく離間するように互いから離間していてよい。
【0015】
本発明による別の態様において、色付き光の色彩強度をニュートラル化するための方法を提供することができる。かかるプロセスは、第1層を、(i)透明または半透明基板および(ii)基板を覆う第2層のうちの1つに適用する工程を含むことができる。プロセスは、第1層を色付けする工程をさらに含むことができる。プロセスは、第1層内の少なくとも一部分を除去して1つまたは複数の開口部を画定し、光が色付けされることなく開口部を通過することを可能にする工程をさらに含むことができる。
【0016】
いくつかの配置において、第1層は、第1層の色付けの前に、基板および第2層のうちの1つに適用されてよい。いくつかの配置において、第1層は、基板に適用される前に第1シェードに色付けされてよい。いくつかのかかる配置において、第1層は、基板および第2層のうちの1つに適用された後に、第1シェードとは異なる第2シェードに色付けされてよい。
【0017】
いくつかの配置において、第1層は、エレクトロクロミック層であってよい。いくつかのかかる配置において、第1層は、エレクトロクロミック層を横切って電位を印加することによって色付けされてよい。
【0018】
いくつかの配置において、第1層の除去された部分は、除去される前に、色付き層の厚さを通って延在していてよい。
【0019】
いくつかの配置において、第1層によって画定される開口部または開口部(複数)は、線または複数の線をそれぞれ画定することができる。いくつかの配置において、第1層によって画定される開口部の少なくともいくつかは、平行線のセットを画定することができる。
【0020】
いくつかの配置において、第1層によって画定される複数の開口部の少なくともいくつかは、ランダムパターンで配置されていてよい。いくつかの配置において、第1層によって画定される複数の開口部の少なくともいくつかは、均一に離間したドットのパターンで配置された円形孔のセットであってよい。いくつかの配置において、第1層によって画定される複数の開口部の少なくともいくつかは、線状パターンで配置された離間した孔であってよい。
【0021】
いくつかの配置において、第1層によって画定される複数の開口部の少なくともいくつかは、第1線状パターンを画定する離間した孔の第1セットおよび第2線状パターンを画定する離間した孔の第2セットであってよい。いくつかのかかる配置において、離間した孔の第1および第2セットは、画定された第1および第2線状パターンが互いから等しく離間するように互いから離間していてよい。
【0022】
いくつかの配置において、第1層は、基板より暗いシェードに色付けされてよい。
【0023】
いくつかの配置において、第1層は、エレクトロクロミックスタックであってよい。いくつかのかかる配置において、エレクトロクロミックスタックは、エレクトロクロミック層の第1側面および対電極層の第1側面の両方に対して適用されかつこれらによって境界付けられていてよい少なくともイオン伝導層を含むことができる。いくつかのかかる配置において、エレクトロクロミック層の第2側面は、第1導電層に対して適用されかつこれによって境界付けられてよい。いくつかのかかる配置において、対電極層の第2側面は、第2導電層に対して適用されかつこれによって境界付けられてよい。いくつかのかかる配置において、第1層は、エレクトロクロミックスタックを横切って電位を印加することによって色付けされていてよい。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1A図1Aは、エレクトロクロミックデバイスの平面図である。
図1B図1Bは、断面線1B−1Bにおける図1Aのエレクトロクロミックデバイスの断面図である。
図2図2は、種々の波長を有するEC IGUを通る光波の透過率を示すグラフである。
図3図3は、実施形態による、エレクトロクロミックスタックの部分が、連続的なストライプ状に除去されている、エレクトロクロミックデバイスの部分の高倍率の写真である。
図4図4は、実施形態による、エレクトロクロミックスタックの部分が、間にオフセット孔を有する離間した非連続線のセットにおいて除去されている、エレクトロクロミックデバイスの部分の高倍率の写真である。
図5図5は、実施形態による、エレクトロクロミックスタックの部分が、ガラスの異なる部分において異なる量だけ除去されていて、いくつかのエリアでは全く除去されていない、エレクトロクロミックガラス枠の写真である。
図6図6は、フィルムが完全に無色な状態と完全に色付けされた状態との間で変更されるとき種々のフィルム除去度を有するエレクトロクロミックフィルムを通過する光の色の強度を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図3を参照すると、実施形態によるエレクトロクロミックデバイス120は、図1Aおよび1Bに示されているエレクトロクロミックデバイス20と実質的に同様であってよい。図3において、エレクトロクロミックデバイス120のエレクトロクロミックスタック130は、基板に設けられているとき、図1に関して特定されたフィルムのセットを含むことができる。図3に示されているように、エレクトロクロミックスタック130は、エレクトロクロミックスタック130の厚さ全体を通して、または、いくつかの配置においては、スタックの処理の際にエレクトロクロミックスタック130を画定するいくつかのフィルムのみを通して延在することができる複数の開口部150を画定することができる。このように、エレクトロクロミックスタック130は、光が、該光がエレクトロクロミックスタックを画定するフィルムによって妨げられ得ないエレクトロクロミックスタック130によって画定される開口部150を通過することを可能にすることができる。
【0026】
開口部150により、エレクトロクロミックデバイス120は、かかる開口部を有さないエレクトロクロミックデバイス、例えばデバイス20よりも多い合計量の光が通過することを可能にすることができる。したがって、エレクトロクロミックデバイス120の完全に色付けされた状態は、エレクトロクロミックデバイス20の完全に色付けされた状態ほど多く、デバイスを通過する光を暗化し得ない。しかし、エレクトロクロミックデバイス120は、開口部を有さないエレクトロクロミックデバイスよりも、色彩強度およびビューアーの認知のいずれかまたは両方においてニュートラルであり得る。
【0027】
図3にさらに示されているように、複数の開口部150は、エレクトロクロミック層120の少なくとも一部分を横切って線またはストライプとして形成されていてよい。ストライプは、限定されないが、エレクトロクロミックスタック130の予め定められていてよい領域に適用されるレーザーアブレーションによって形成されてよい。例えば、かかるレーザーのパルスは、開口部を集合的に形成する、例えば図3におけるような高倍率で見ることができる一連の小さな孔を製造することができる。しかし、かかる一連の小さな孔は、拡大することなしに、連続線、すなわち、開口部として見える。複数の開口部150は、レーザーアブレーションによって形成されるとき、およそ0.001インチ幅であってよい。
【0028】
いくつかの配置において、レーザーまたは他のプロセスを用いて、エレクトロクロミックスタックの各フィルムを貫通するようにエレクトロクロミックスタック130全体を通って開口部を作り出すことができる。このように、光が、色付けされるまたは暗化されることなく、エレクトロクロミックスタック130によって画定される開口部を通過することができると同時に、エレクトロクロミックスタック130の残りの部分を通過する光が色付けされ得る。好ましい実施形態において、開口部の各々は、互いから電気的に単離されていてよい。
【0029】
好ましい配置において、追加の層を通る開口部の寸法は、先に作製された層、この例においては透明導電層およびエレクトロクロミック層の平面を用いて測定された開口部の寸法に非常に厳密に相当することができる。エレクトロクロミックスタックの層の中で一貫した開口部を維持することで、短絡または他の電気漏れの問題を防止することができる。
【0030】
図4をここで参照すると、エレクトロクロミックデバイス220は、いくつかの明らかな例外があるが、図3に関して示して説明したエレクトロクロミックデバイス120と実質的に同様であり得る。図4の例において、エレクトロクロミックデバイス220は、第1線状パターンを画定する離間した孔250Aの第1セットおよび第2線状パターンを画定する離間した孔250Bの第2セットを有することができるエレクトロクロミックスタック230を含むことができる。離間した孔の第1および第2セットは、画定された第1および第2線状パターンが互いから等しく離間するように互いから離間していてよい。さらに、いくつかの配置において、示されているように、第1および第2線状パターンは、エレクトロクロミックスタック230の他の領域において繰り返されていてよい。さらに示されているように、全体として繰り返されている第1および第2線状パターンは、第1および第2線状パターンが互いから離間しているよりもさらに遠位に他の第1および第2線状パターンから離間していてよい。
【0031】
図3の例において明らかに分かるように、また、図5においてより明らかに分かるように、複数の開口部によって形成されるストライプは、異なる幅だけ離間されて異なるパターンを作り出すことにより、多かれ少なかれ光をエレクトロクロミック層の種々のそれぞれの領域に通させることができる。図5に示すように、特に、エレクトロクロミックガラスの枠組みシートであってよいエレクトロクロミックデバイス320は、図3および4に関して本明細書に先に記載されているように、ドットまたは孔パターンにおけるストライプまたは離間した孔であってよい、開口部350A〜350Fを画定するエレクトロクロミックスタック330を含むことができる。示されている配置におけるように、開口部350A〜350Fは、エレクトロクロミック層330のレーザーアブレーションによって形成され得る。
【0032】
いくつかの配置において、開口部350A〜350Fは、フィルムの部分を同時に除去することによって作り出され得るが、一方で、他の配置において、開口部は、これらが基板または基板を覆う層に設けられているときフィルムのいくらかのみの部分を除去することによって作り出され得る。いくつかの配置において、当業者に知られているレーザー機器によって、エレクトロクロミックスタックの部分が、エレクトロクロミックデバイスの特定のゾーンのみであり得るまたはエレクトロクロミックデバイス全体を通してのゾーンであり得る種々の所定の位置でレーザーアブレーションによって除去され得る。いくつかの配置において、単一のエレクトロクロミックデバイスは、独立して制御可能な複数のゾーンを含有することができ、ここで、1つのゾーンが本明細書に記載のエレクトロクロミックスタックにおいて開口部を含むことにより、いくらかの光が色付けまたは暗化されることなく通過することを可能にする一方で、第2ゾーンは、いずれの開口部も含まないため、色付き光のみが通過することを可能にする。このように、任意の制御されたゾーンは、開口部を有しても有さなくても、任意の他の制御されたゾーンと異なる量だけ、また、異なる期間の間だけ、一方または両方が色付けされてよい。
【0033】
図6のグラフに示すように、エレクトロクロミックフィルムを通過する光の色彩強度は、エレクトロクロミックフィルム、例えばエレクトロクロミックデバイス20、120、220、および320のフィルムの暗化または色付けのレベルによって、ならびに、エレクトロクロミックデバイスからのフィルム除去度または量によって変動する。特に、グラフは、完全に無色な状態と完全に色付けされた状態との間でのエレクトロクロミックフィルムに関する、特に、フィルム除去の無い通常のフィルム480、軽度にストライプ状のフィルム482、中程度にストライプ状のフィルム484、および極度にストライプ状のフィルム486に関する相対的な平均色彩強度を示す。
【0034】
例えば、通常のフィルム480は、完全に無色な状態におけるおよそ13.0から完全に色付けされた状態におけるおよそ6.0までの色彩強度の降下を有し得る一方で、極度にストライプ状のフィルム486は、完全に無色な状態におけるおよそ4.0から完全に色付けされた状態におけるおよそ7.0までの色彩強度の増加を有し得る。極度にストライプ状のフィルム486の完全に無色な状態と完全に色付けされた状態との間の差が通常のフィルム480のものよりも実質的に小さいとき、極度にストライプ状のフィルム486は、通常のフィルム480よりも実質的に「ニュートラル」であると言うことができる。
【0035】
図6にさらに示されているように、およそ30%超の色付けレベルでは、軽度にストライプ状のフィルム482および中程度にストライプ状のフィルム484の各々が、およそ6.0の一定の色彩強度を付与する。したがって、これらの色付けレベルでは、フィルム482、484が、最もニュートラルな色相を付与することができる。
【0036】
図6をさらに参照すると、フィルム除去度は、より低い光レベルで色付け能を制限し得る。例えば、示すように、極度にストライプ状のフィルム486は、該フィルムが、およそ20%の光透過を超えるレベルで色付けするように設定されるときのみ光の色付けを付与することができる。対照的に、通常のフィルム480は、およそ5%の光透過を超えるレベルで色付けするように設定されるとき、光の色付けを付与することができる。したがって、エレクトロクロミックデバイスから除去される望ましいフィルム量は、光および太陽熱のさらなる低減のいずれかまたは両方を必要とする用途において、かかる要件を有さない用途よりも少なくてよい。
【0037】
フィルム除去プロセスをレーザーアブレーションについて本明細書において先に記載しているが、エレクトロクロミック層内を含めた、エレクトロクロミックデバイスの層内に開口部を形成するのに他のプロセスが用いられ得ることを理解されたい。これらの開口部を形成するのに用いられ得るかかる他のプロセスとして、限定されないが、酸エッチング、スタンピング、または当業者に知られている他のプロセスを挙げることができる。
【0038】
本明細書において先に記載したエレクトロクロミックデバイスの層によって画定される開口部をある特定の寸法およびパターンについて記載しているが、開口部は、本発明の目的が達成されることを条件として、任意の他の寸法およびパターンを有していてよいことを理解されたい。このように、開口部の量、開口部の寸法、および開口部間の間隔は、全て、本明細書において先に記載されているように、かかる開口部を有さずに作り出され得る望ましくない色相を補償するためのデバイスを多かれ少なかれ光が通過することを可能にするように変更され得る可変値である。例えば、開口部の他の形状として、限定されないが、円形、楕円形、星形、三日月形、および矩形、ならびにこれらの任意の組み合わせを挙げることができる。他のパターンとして、限定されないが、線またはストライプ、平行線またはストライプ、孔またはドット、およびランダムに置かれた形状を挙げることができる。
【0039】
代替の実施形態において、エレクトロクロミックスタック以外の色付き層が、透明または半透明基板に適用されてよい。いくつかのかかる配置において、色付き層は、色付き層の開口部、次いで基板を通過する光が色付きにならないように、開口部、例えば、本明細書において先に記載した開口部を画定することができる。
【0040】
本明細書において本発明を特定の実施形態に関して記載しているが、これらの実施形態は、単に説明目的であって、本発明の原理および用途を網羅するものではないことを理解されたい。したがって、1つの実施形態、構成、配置または例の種々の特徴は、本明細書において先に開示している別の実施形態、構成、配置または例の特徴と交換されてよい。例えば、1つの図に関して示され記載されているエレクトロクロミックスタックの開口部は、本発明によって完全に包含される代替の配置において別の図に関して示され記載されているエレクトロクロミック層の開口部に置き換えられてよい。したがって、添付の特許請求の範囲に定義されている本発明の精神および範囲から逸脱することなく、説明的な実施形態に対する多くの変更がなされ得ることおよび他の配置が考案され得ることを理解されたい。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6