特許第6574210号(P6574210)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6574210ポリカルボン酸によって架橋したエポキシドエラストマーを含むゴム組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6574210
(24)【登録日】2019年8月23日
(45)【発行日】2019年9月11日
(54)【発明の名称】ポリカルボン酸によって架橋したエポキシドエラストマーを含むゴム組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 15/00 20060101AFI20190902BHJP
   C08K 3/36 20060101ALI20190902BHJP
   C08K 5/092 20060101ALI20190902BHJP
   C08K 5/3445 20060101ALI20190902BHJP
   C08K 5/31 20060101ALI20190902BHJP
   C08K 9/04 20060101ALI20190902BHJP
   B60C 1/00 20060101ALI20190902BHJP
【FI】
   C08L15/00
   C08K3/36
   C08K5/092
   C08K5/3445
   C08K5/31
   C08K9/04
   B60C1/00 Z
【請求項の数】9
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2016-574125(P2016-574125)
(86)(22)【出願日】2015年6月16日
(65)【公表番号】特表2017-519873(P2017-519873A)
(43)【公表日】2017年7月20日
(86)【国際出願番号】EP2015063473
(87)【国際公開番号】WO2015193312
(87)【国際公開日】20151223
【審査請求日】2018年6月15日
(31)【優先権主張番号】1455609
(32)【優先日】2014年6月18日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】514326694
【氏名又は名称】コンパニー ゼネラール デ エタブリッスマン ミシュラン
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100084663
【弁理士】
【氏名又は名称】箱田 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100093300
【弁理士】
【氏名又は名称】浅井 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(72)【発明者】
【氏名】シュネル ブノワ
(72)【発明者】
【氏名】フルーリー エティエンヌ
【審査官】 藤本 保
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−339276(JP,A)
【文献】 特開平02−115258(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L7/00−21/02
C08K3/00−13/08
C08G59/00−59/72
B60C1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エポキシド官能基を含む少なくとも1種の主要エラストマー;主要補強用充填剤としてのシリカ;このシリカを被覆するための薬剤であってジフェニルグアニジンである薬剤;並びに、下記の一般式(I)を有するポリカルボン酸と下記の一般式(II)を有するイミダゾールを含む前記エラストマーを架橋させるための系をベースとするゴム組成物:
一般式(I):
【化1】
(I)

(式中、Aは、共有結合、または少なくとも1個の炭素原子を含み、任意に置換されていてもよく、且つ任意に、1個以上のヘテロ原子によって遮断されていてもよい炭化水素基を示す);
一般式(II):
【化2】
(II)

(式中、・R1は、炭化水素基または水素原子を示し;
・R2は、炭化水素基を示し;
・R3およびR4は、互いに個々に、水素原子または炭化水素基を示し;
・或いは、R3およびR4は、これらR3およびR4が結合している前記イミダゾール環の炭素原子と一緒に環を形成する)。
【請求項2】
エポキシド官能基を含む前記主要ジエンエラストマー30〜100phrであり、0〜70phrの1種以上の小量のエポキシされていないエラストマーとのブレンドである、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
エポキシド官能基を含む前記主要エラストマーが、0.1%〜80%の範囲内のモルエポキシ化度を示す、請求項1または2記載の組成物。
【請求項4】
エポキシ化官能基を含む前記主要エラストマーが、エポキシ化ジエンエラストマー、エポキシ化オレフィンエラストマーおよびこれらの混合物からなる群から選ばれる、請求項1〜3のいずれか1項記載の組成物。
【請求項5】
Aが、共有結合、または1〜1800個の炭素原子を含む2価の炭化水素基を示す、請求項1〜4のいずれか1項記載の組成物。
【請求項6】
ポリ酸の含有量が、0.2〜100phrの範囲内である、請求項1〜5のいずれか1項記載の組成物。
【請求項7】
・R1が、水素原子、或いは1〜20個の炭素原子を有するアルキル基、5〜24個の炭素原子を有するシクロアルキル基6〜30個の炭素原子を有するアリール基または7〜25個の炭素原子を有するアラルキル基を示し、前記の各基は、任意に、1個以上のヘテロ原子によって遮断されていてもよくおよび/または置換されていてもよく;
・R2が、1〜20個の炭素原子を有するアルキル基、5〜24個の炭素原子を有するシクロアルキル基6〜30個の炭素原子を有するアリール基もしくは7〜25個の炭素原子を有するアラルキル基を示し、前記の各基は、任意に、1個以上のヘテロ原子によって遮断されていてもよくおよび/または置換されていてもよく;
・R3およびR4が、個々に、水素または1〜20個の炭素原子を有するアルキル基、5〜24個の炭素原子を有するシクロアルキル基6〜30個の炭素原子を有するアリール基または7〜25個の炭素原子を有するアラルキル基から選ばれる同一または異なる基を示し、これらの基は、任意に、1個以上のヘテロ原子によって遮断されていてもおよび/または置換されていてもよく;或いは、R3およびR4が、これらR3およびR4が結合している前記イミダゾール環の炭素原子と一緒に、5〜12個の炭素原子を含む芳香環、ヘテロ芳香環または脂肪族環から選ばれる環を形成する、請求項1〜6のいずれか1項記載の組成物。
【請求項8】
R1が、2〜12個の炭素原子を有するアルキル基または7〜13個の炭素原子を有するアラルキル基から選ばれる基を示し、これらの基は、任意に、置換されていてもよい、請求項1〜7のいずれか1項記載の組成物。
【請求項9】
請求項1〜のいずれか1項記載の組成物を含むタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴム組成物、特に、エポキシド官能基を含むエラストマーをベースとするゴム組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
さらにまた、タイヤにおいて、イオウで架橋させているエラストマーを含むゴム組成物を使用することは、極めて長年に亘って知られており、通常のことである;この架橋は、その場合、加硫として知られている。通常の加硫系は、分子状イオウと少なくとも1種の加硫促進剤とを組合せている。しかしながら、そのような系は、硬化前の上記組成物の加工にとってスコーチング現象によって有害であることが知られている。“スコーチング”現象が、上記ゴム組成物の製造中に、生状態において極めて高粘度の早期加硫(“スコーチング”)を、最終的には、工業的に処理し加工するのが実質的に不可能であるゴム組成物を早急にもたらすことを思い起すべきである。
【0003】
従って、加硫系は、上記の欠点を克服するために、ゴム組成物の製造方法と一緒に多年に亘って改良されてきている。そのように、上記組成物は、多くの場合、複雑であり、上記分子状イオウまたは分子状イオウを供与する薬剤以外に、加硫促進剤、活性化剤および任意成分である加硫遅延剤を含む。現在のところ、製造業者にとっては、加硫と同等に有効である架橋系を見出すと同時に上記組成物およびその製造法を簡素化することが有利であろう。
【発明の概要】
【0004】
調査研究の継続中に、本出願法人は、以前に、ポリカルボン酸によって架橋させたタイヤ用の特定の組成物を通常の組成物と対比して簡素化し得ること、並びにこれらの組成物が改良された性質を示し得ることを見出していた。本出願法人は、今回、シリカが主要である組成物と組合せてのシリカを被覆するための薬剤の使用がこれらの組成物の破断特性を改良することを可能にすることを見出した。
【0005】
故に、本発明の主題は、エポキシド官能基を含む少なくとも1種の主要エラストマー;主要補強用充填剤としてのシリカ;このシリカを被覆するための薬剤;並びに、下記の一般式(I)を有するポリカルボン酸と下記の一般式(II)を有するイミダゾールを含む上記エラストマーを架橋させるための系をベースとするゴム組成物である:
一般式(I):
【化1】
(I)

(式中、Aは、共有結合、または少なくとも1個の炭素原子を含み、任意に置換されていてもよく、且つ任意に、1個以上のヘテロ原子によって遮断されていてもよい炭化水素基を示す);

一般式(II):
【化2】
(II)

(式中、・R1は、炭化水素基または水素原子を示し;
・R2は、炭化水素基を示し;
・R3およびR4は、互いに個々に、水素原子または炭化水素基を示し;
・或いは、R3およびR4は、これらR3およびR4が結合している上記イミダゾール環の炭素原子と一緒に環を形成する)。
【0006】
好ましくは、本発明の主題は、エポキシド官能基を含む上記主要ジエンエラストマーが、30〜100phr、好ましくは50〜100phrを、0〜70phr、好ましくは0〜50phrの1種以上の小量のエポキシ化されていないエラストマーとのブレンドとして示す、上記で定義したような組成物である。好ましくは、官能基を含む上記主要エラストマーは、100phrのエラストマーの1全てを示す。好ましくは、エポキシド官能基を含む上記主要エラストマーは、0.1%〜80%の範囲内、好ましくは0.1%〜50%の範囲内、より好ましくは0.3%〜50%の範囲内のモルエポキシ化度を示す。さらに好ましくは、エポキシ化官能基を含む上記主要エラストマーは、エポキシ化ジエンエラストマー、エポキシ化オレフィンエラストマーおよびこれらの混合物からなる群から選ばれる。第1の好ましい実施態様によれば、エポキシド官能基を含む上記主要エラストマーは、エポキシ化ジエンエラストマー、好ましくは、エポキシ化天然ゴム、エポキシ化合成ポリイソプレン、エポキシ化ポリブタジエン、エポキシ化ブタジエン/スチレンコポリマーおよびこれらの混合物からなる群から選ばれるエポキシ化ジエンエラストマーである。また、同様に好ましいもう1つの実施態様によれば、エポキシド官能基を含む上記主要エラストマーは、エポキシド官能基を含むオレフィンエラストマーであり、好ましくは、エポキシド官能基を含む上記オレフィンエラストマーは、50%と95%の間、より好ましくは65%と85%の間の量のオレフィン(モル%)を含む。好ましくは、エポキシド官能基を含む上記オレフィンエラストマーは、エポキシ化エチレンエラストマーである。
【0007】
同様に好ましくは、本発明は、Aが、共有結合、または1〜1800個の炭素原子、好ましくは2〜300個の炭素原子、さらに好ましくは2〜100個の炭素原子、さらに良好には2〜65個の炭素原子を含む2価の炭化水素基を示す、上記で定義したような組成物に関する。好ましくは、Aは、脂肪族または芳香族性の2価の基のタイプ、或いは少なくとも1種の脂肪族成分と少なくとも1種の芳香族成分を含む基である。さらに好ましくは、Aは、脂肪族タイプの2価の基、或いは少なくとも1種の脂肪族成分と少なくとも1種の芳香族成分を含む基であり、さらにより好ましくは、Aは、飽和または不飽和脂肪族タイプの2価の基である;極めて好ましくは、Aは、アルキレン基である。好ましくは、Aは、酸素、窒素およびイオウから選ばれる少なくとも1種のヘテロ原子、好ましくは酸素によって遮断されている。同様に好ましくは、Aは、アルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、アミノおよびカルボニル基から選ばれる少なくとも1種の基によって置換されている。好ましくは、Aは、1種以上のカルボン酸官能基によっておよび/またはアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリールまたはアラルキルから選ばれ、これらの基自体も1種以上のカルボン酸官能基によって置換されている1種以上の炭化水素基によって置換されている、選択的に、また、同様に好ましくは、Aは、別のカルボン酸官能基を含まない。好ましくは、ポリ酸の含有量は、0.2〜100phr、好ましくは0.2〜50phrの範囲内である。
【0008】
好ましくは、本発明は、・R1が、水素原子、或いは1〜20個の炭素原子を有するアルキル基、5〜24個の炭素原子を有するシクロアルキル基6〜30個の炭素原子を有するアリール基または7〜25個の炭素原子を有するアラルキル基を示し、上記の各基は、任意に、1個以上のヘテロ原子によって遮断されていてもよくおよび/または置換されていてもよく;
・R2が、1〜20個の炭素原子を有するアルキル基、5〜24個の炭素原子を有するシクロアルキル基6〜30個の炭素原子を有するアリール基もしくは7〜25個の炭素原子を有するアラルキル基を示し、上記の各基は、任意に、1個以上のヘテロ原子によって遮断されていてもよくおよび/または置換されていてもよく;
・R3およびR4が、個々に、水素または1〜20個の炭素原子を有するアルキル基、5〜24個の炭素原子を有するシクロアルキル基6〜30個の炭素原子を有するアリール基または7〜25個の炭素原子を有するアラルキル基から選ばれる同一または異なる基を示し、これらの基は、任意に、1個以上のヘテロ原子によって遮断されていてもおよび/または置換されていてもよく;或いは、R3およびR4が、これらR3およびR4が結合している上記イミダゾール環の炭素原子と一緒に、5〜12個、好ましくは5個または6個の炭素原子を含む芳香環、ヘテロ芳香環または脂肪族環から選ばれる環を形成する、上記で定義したような組成物に関する。
【0009】
さらに好ましくは、本発明は、R1が、2〜12個の炭素原子を有するアルキル基または7〜13個の炭素原子を有するアラルキル基から選ばれる基を示し、これらの基は、任意に、置換されていてもよい、上記で定義したような組成物に関する。好ましくは、R1が、任意に置換されていてもよい、7〜13個の炭素原子を有するアラルキル基を示し;R2が、1〜12個の炭素原子を有するアルキル基を示す。好ましくは、R1は、任意に置換されていてもよい、7〜9個の炭素原子を有するアラルキル基を示し;R2は、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基を示す。さらに好ましくは、R3およびR4は、個々に、水素または1〜12個の炭素原子を有するアルキル基、5〜8個の炭素原子を有するシクロアルキル基6〜24個の炭素原子を有するアリール基もしくは7〜13個の炭素原子を有するアラルキル基から選ばれる同一または異なる基を示し、これらの基は、任意に、置換されていてもよく、或いは、R3およびR4は、これらR3およびR4が結合している上記イミダゾール環の炭素原子と一緒に、フェニル、シクロヘキセンまたはシクロペンテン環を形成する。
【0010】
好ましくは、本発明は、上記イミダゾール含有量が、一般式(I)の上記ポリカルボン酸上に存在するカルボン酸官能基に対して、0.01〜4モル当量、好ましくは0.01〜3モル当量の範囲内である、上記で定義したような組成物に関する。
【0011】
好ましくは、本発明は、補強用充填剤の総含有量が、5〜200phrの範囲内である、上記で定義したような組成物に関する。好ましくは、上記シリカの含有量は、5〜200phr、好ましくは10〜150phrの範囲内である。好ましくは、上記補強用充填剤は、カーボンブラックを、小量で、好ましくは、0.1〜100phr、好ましくは0.1〜30phrの含有量で含む。選択的に、また、同様に好ましくは、シリカは、上記補強用充填剤の全体を示す。
【0012】
好ましくは、本発明は、上記シリカを被覆するための薬剤が、ヒドロキシル化または加水分解性シラン、ポリオール、ポリエーテル、アミン、ヒドロキシル化または加水分解性ポリシロキサン、グアニジン誘導体、アルカリ金属またはアルカリ土類金属水酸化物、およびそのような化合物の混合物からなる群から選ばれる、上記で定義したような組成物に関する。好ましくは、上記シリカを被覆するための薬剤は、アミン、グアニジン誘導体、アルカリ金属またはアルカリ土類金属水酸化物およびそのような化合物の混合物からなる群から、さらに好ましくは、第一級アミン、グアニジン誘導体、アルカリ金属またはアルカリ土類金属水酸化物およびそのような化合物の混合物からなる群から選ばれる。極めて好ましくは、上記シリカを被覆するための薬剤は、ジフェニルグアニジンまたはオクタデシルアミン、特に、ジフェニルグアニジンである。好ましくは、上記シリカを被覆するための薬剤は、0.5〜30phr、好ましくは1〜15phrの範囲内の含有量で存在する。
【0013】
また、本発明は、好ましくはトレッド組成物として、上記で定義したような組成物を含むタイヤにも関する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
I. 試験
上記ゴム組成物は、下記で示すように、硬化後に特性決定する。
【0015】
引張試験
これらの引張試験は、弾性応力および破断点諸性質を測定するのを可能にする。特に断らない限り、これらの試験は、1988年のフランス規格NF T 46−002に従って実施する。また、引張記録値を処理することによって、伸びの関数としてのモジュラス曲線をプロットすることを可能である;使用するモジュラスは、この場合、1回目伸びにおいて測定し、試験標本の初期断面まで減じることによって算出した公称(または見掛け)割線モジュラスである。2回目の伸びにおいて(即ち、測定自体において用いた伸長速度においての順応サイクル後に)、公称割線モジュラス(即ち、MPaでの見掛け応力)を10%の伸び(ASM10で示す)においてまたは50%の伸び(ASM50で示す)において測定する。破断応力(MPaでの)および破断点伸び(%での)および順応割線モジュラスを判定するための引張測定は、所定の温度(通常、23℃または40℃±2℃)において、さらに、標準湿度測定条件(50±5%相対湿度)下に実施する。これらの値は、結果の容易な比較のための基本点100に変換し得る。
【0016】
II. 本発明の組成物
本発明に従う組成物は、エポキシド官能基を含む少なくとも1種の主要エラストマー、少なくとも1種の補強用充填剤このシリカを被覆するための薬剤、および一般式(I)を有する特定ポリカルボン酸と一般式(II)を有するイミダゾールを含む上記ポリマーを架橋させるための系をベースとするゴム組成物である。
【0017】
“ベースとする”組成物なる表現は、使用する各種構成成分の混合物および/または反応生成物を含む組成物を意味するものと理解すべきである;これら基本構成成分のある種のものは、上記組成物の種々の製造段階において、特に、その架橋または加硫中に、少なくとも部分的に互いに反応し得るか或いは反応するように意図する。
【0018】
“モル当量”なる表現は、当業者にとって周知であって、参照化合物のモル数に関連する化合物のモル数の割合を意味するものと理解すべきである。従って、化合物Aに対する化合物Bの2当量は、1モルの化合物Aを使用した場合の2モルの化合物Bを表す。
【0019】
“主要”化合物に言及する場合、この用語は、本発明の意義の範囲内において、この化合物がその組成物において同じタイプの化合物のうちで主要であること、即ち、この化合物が同じタイプの化合物のうちで最大の質量を示す化合物であることを意味するものと理解されたい。従って、例えば、主要ポリマーは、その組成物中のポリマー類の総質量に対する最大質量を示すポリマーである。同様に、“主要”充填剤は、その組成物の充填剤のうちで最大質量を示す充填剤である。例えば、1種のみのポリマーを含む系においては、そのポリマーは、本発明の意義の範囲内において主要であり、2種のポリマーを含む系においては、その主要ポリマーは、半分よりも多くの質量のポリマーを示す。
【0020】
対照的に、“小量”化合物は、同じタイプの化合物のうちで最大質量画分を示さない化合物である。
【0021】
本説明においては、特に明確に断らない限り、パーセント(%)は、全て質量%である。さらにまた、“aとbの間”なる表現によって示される値の間隔は、いずれも、aよりも大きくからbよりも小さいまでに及ぶ値の範囲を示し(即ち、限界値aとbを除く)、一方、“a〜b”なる表現によって示される値の間隔は、いずれも、aからbまでに及ぶ値の範囲を意味する(即ち、厳格な限定値aおよびbを含む)。
【0022】
II. 1. エポキシド官能基を含むエラストマー(即ち、エポキシ化エラストマー)
エポキシド官能基を含むエラストマーまたはゴム(これら2つの用語は、知られている通り、同義であって互換的である)は、ホモポリマーまたはブロック、ランダムもしくは他のコポリマーのいずれであれ、弾力性を有し、エポキシド官能化(即ち、エポキシ化)された、即ち、エポキシド官能基を担持する、当業者にとって既知の意味の範囲内の任意のタイプのエラストマーを意味するものと理解されたい。
【0023】
上記エポキシ化エラストマーのエポキシ化の度合(モル%)は、本発明の特定の実施態様に応じて大きく、好ましくは0.1%〜80%の範囲内、好ましくは0.1%〜50%の範囲内、さらに好ましくは0.3%〜50%の範囲内で変動し得る。エポキシ化の度合が0.1%よりも低い場合、目標とする技術的効果が不十分であるリスクが存在し、一方、80%よりも高いと、ポリマーの固有特性が損なわれる。これら全ての理由により、官能化、特に、エポキシ化の度合は、より好ましくは0.3%〜30%の範囲内、さらに良好には0.3%〜20%の範囲内である。
【0024】
上記エポキシ化エラストマーは、知られている通り、周囲温度(20℃)において固体である;固体とは、少なくとも24時間後において、単に重力の作用下および周囲温度(20℃)においてそのエラストマーが存在する容器の形を最終的に取る能力を有さない任意の物質を意味するものと理解されたい。
【0025】
以下で説明するエラストマーのTgは、例えば、また、他で明確に断らない限り、1,999年の規格ASTM D3418に従い、DSC (示差走査熱量測定法)によって既知の方法で測定する。
【0026】
上記エポキシ化エラストマーは、エポキシ化ジエンエラストマー、エポキシ化オレフィンエラストマーおよびこれらの混合物からなる群から選択し得る。好ましくは、上記エポキシ化エラストマーは、エポキシ化オレフィンエラストマー類およびこれらの混合物から選択する。本発明のもう1つの好ましい別の形態によれば、上記エポキシ化エラストマーは、エポキシ化ジエンエラストマー類およびこれらの混合物から選択する。
【0027】
上記エポキシ化ジエンタイプのエラストマーは、ジエンモノマー(2個の共役型または非共役型炭素・炭素二重結合を担持するモノマー)から少なくとも部分的に由来するエラストマー(即ち、ホモポリマーまたはコポリマー)であって、このポリマーが官能化されていることを意味するものと理解すべきこと、即ち、上記エラストマーエがポキシド官能基を担持することを思い起すべきである。
【0028】
エポキシ化ジエンエラストマーの第1の特徴は、ジエンエラストマーであるという特徴である。これらのジエンエラストマーは、定義によれば、本特許出願においては熱可塑性ではなく、極めて大多数の場合において負である(即ち、0℃よりも低い) Tgを示し、知られている通り、2つのカテゴリー、即ち、“本質的に不飽和”と称するカテゴリーおよび“本質的に飽和”と称するカテゴリーに分類し得る。例えば、EPDMタイプのジエンとα‐オレフィンとのコポリマーのようなブチルゴムは、本質的に飽和のジエンエラストマーのカテゴリーに属し、低いまたは極めて低い、常に15% (モル%)よりも低いジエン由来の単位含有量を有する。対照的に、本質的に不飽和のジエンエラストマーとは、15%(モル%)よりも多いジエン由来の単位(共役ジエン)含有量を有する共役ジエンモノマーに少なくとも部分的に由来するジエンエラストマーを意味するものと理解されたい。“本質的に不飽和”のジエンエラストマーのカテゴリーにおいては、“高不飽和”ジエンエラストマーは、特に、50%よりも多いジエン由来の単位(共役ジエン)含有量を有するジエンエラストマーを意味するものと理解されたい。
【0029】
好ましくは、高不飽和タイプの少なくとも1種のジエンエラストマー、特に、天然ゴム(NR)、合成ポリイソプレン(IR)、ポリブタジエン(BR)、ブタジエンコポリマー、イソプレンコポリマーおよびこれらのエラストマーの混合物からなる群から選ばれるジエンエラストマーを使用する。そのようなコポリマーは、さらに好ましくは、ブタジエン/スチレンコポリマー(SBR)、イソプレン/ブタジエンコポリマー(BIR)、イソプレン/スチレンコポリマー(SIR)、イソプレン/ブタジエン/スチレンコポリマー(SBIR)およびそのようなコポリマーの混合物からなる群から選択する。
【0030】
上記ジエンエラストマーは、例えば、ブロック、ランダム、序列または微細序列エラストマーであり得、分散液中または溶液中で調製し得る;これらのジエンエラストマーは、カップリング剤および/または星型枝分れ剤(star−branching agent)或いは官能化剤によってカップリングし得および/または星型枝分れ化し得或いは官能化し得る。
【0031】
以下は、好ましく適している:ポリブタジエン、特に、4%と80%の間の1,2−単位含有量(モル%)を有するポリブジエンまたは80%よりも多いシス−1,4−単位含有量(モル%)を有するポリブタジエン;ポリイソプレン;ブタジエン/スチレンコポリマー、特に、5質量%と50質量%の間、特に20質量%と40質量%の間のスチレン含有量、4%と65%の間のブタジエン成分1,2−結合含有量および20%と80%の間のトランス−1,4−結合含有量を有するコポリマー;ブタジエン/イソプレンコポリマー、特に、5質量%と90質量%の間のイソプレン含有量および−40℃〜−80℃のTgを有するコポリマー;または、イソプレン/スチレンコポリマー、特に、5質量%と50質量%の間のスチレン含有量および−25℃と−50℃の間のTgを有するコポリマー。
【0032】
ブタジエン/スチレン/イソプレンコポリマーの場合は、5質量%と50質量%の間、特に10質量%と40質量%の間のスチレン含有量、15質量%と60質量%の間、特に20質量%と50質量%の間のイソプレン含有量、5質量%と50質量%の間、特に20質量%と40質量%の間のブタジエン含有量、4%と85%の間のブタジエン成分1,2−単位含有量、6%と80%の間のブタジエン成分トランス−1,4−単位含有量、5%と70%の間のイソプレン成分1,2−プラス3,4−単位含有量および10%と50%の間のイソプレン成分トランス−1,4−単位含有量を有するコポリマー、さらに一般的には、−20℃と−70℃の間のTgを有する任意のブタジエン/スチレン/イソプレンコポリマーが特に適している。
【0033】
本発明の前提条件において使用するエポキシ化ジエンエラストマーの第2の本質的な特徴は、上記ジエンエラストマーが官能化されて、エポキシド官能基を担持していることである。
【0034】
上記ジエンエラストマー中に存在するエポキシド官能基は、共重合によってまたは重合後変性によって得られ、調製方法74に応じて、例えば、共重合後のエラストマー鎖中に存在するジエン官能基のエポキシ化または任意の他の変性によって連鎖の主鎖が担持するかまたは側基が担持するかのいずれかである。
【0035】
上記エポキシ化ジエンエラストマーは、例えば、知られている通り、等価のエポキシ化されていないジエンエラストマーのエポキシ化によって、例えば、クロロヒドリンまたはブロモヒドリンをベースとする方法或いは過酸化水素、アルキルヒドロペルオキシドまたは過酸(過酢酸または過ギ酸のような)をベースとする方法によって得ることができる;特に、Kautsch.Gummi Kunstst., 2004, 57(3), 82を参照されたい。エポキシド官能基は、その場合、ポリマー鎖中に存在する。特に、エポキシ化天然ゴム(“ENR”と略記する)を挙げることができる:そのようなENRは、例えば、Guthrie Polymer社から品名"ENR-25"および"ENR-50" (それぞれ、25%および50%のエポキシ化度)として販売されている。また、エポキシ化BR、それ自体も、例えば、Sartomer社から品名"Poly Bd" (例えば、 "Poly Bd 605E")として販売されている。エポキシ化SBRは、当業者にとって周知のエポキシ化技法によって調製し得る。
【0036】
そのようなエポキシ化ジエンエラストマーおよびそれらエポキシ化ジエンエラストマーの調製方法は、当業者にとって周知であって、商業的に入手可能である。エポキシ基を担持するジエンエラストマーは、例えば、US 2003/120007号またはEP 0 763 564号およびUS 6 903 165号またはEP 1 403 287号に記載されている。
【0037】
好ましくは、上記エポキシ化ジエンエラストマーは、エポキシ化天然ゴム(NR) (“ENR”と略記する)、エポキシ化合成ポリイソプレン(IR)、好ましくは90%よりも多いシス−1,4−結合を有するエポキシ化ポリブタジエン(BR)、エポキシ化ブタジエン/スチレンコポリマー(SBR) およびこれらのエラストマーの混合物からなる群から選ばれる。
【0038】
また、上記エポキシ化ジエンエラストマーは、ペンダントエポキシド官能基を示し得る。この場合、これらのエポキシ化ジエンエラストマーは、重合後変性(例えば、J.Appl.Polym.Sci., 1999, 73, 1733参照)、またはジエンモノマーとエポキシド官能基を担持するモノマー、特に、例えば、グリシジルメタクリレートのようなエポキシド官能基を含むメタクリレートエステルとのラジカル共重合(塊状、溶液中または分散媒中(特に、分散液、エマルジョンまたは懸濁液中)でのこのラジカル重合は、ポリマー合成技術の熟練者にとって周知である;例えば、以下の文献:Macromolecules, 1998, 31, 2822を挙げることができる)のいずれかによって得ることができる。例えば、文献US20110098404号は、1,3−ブタジエン、スチレンおよびグリシジルメタクリレートのエマルジョン共重合を記載している。
【0039】
上記のエポキシ化ジエンエラストマーのエポキシ化度(モル%)は、本発明の特定の実施態様仁応じて、高い度合で、好ましくは0.1%〜80%の範囲内、好ましくは0.1%〜50%の範囲内、 より好ましくは0.3%〜50%の範囲内で変動し得る。エポキシ化度が0.1%よりも低い場合、目的とする技術的効果が不十分であるリスクが存在し、一方、80%よりも高いと、上記ポリマーの固有特性が劣化する。これらの理由全てによって、官能化の、特に、エポキシ化の度合は、さらに好ましくは、0.3%〜30%の範囲内である。
【0040】
エポキシ化オレフィンタイプのエラストマーはエポキシド官能化エラストマーを意味するものと理解すべきであること、即ち、上記エポキシ化オレフィンタイプのエラストマーはエポキシド官能基を担持し、そのエラストマー鎖は、Oで示すオレフィンモノマー単位を主として(50%よりも高いモル含有量で)含む炭素鎖であることを思い起すべきである。さらに詳細には、Oのモル含有量は、50%と95%の間、好ましくは65%と85%の間の量である。そのように、このオレフィンエラストマーは、5〜50モル%の非オレフィン単位、即ち、O以外の単位も含むコポリマーでもある。これらの非オレフィン単位は、部分的にまたは完全に、本発明の前提条件にとって必要なエポキシド官能基を担持し、Rで示す単位からなる。全ての非オレフィンがR単位ではない場合、A’で示す他の単位は上記炭素鎖中に、R+A’のモル含有量が厳格に50%未満であるような形で存在する。
【0041】
上記モノマーOは、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレンまたはイソブチレンのような当業者にとって既知の任意のオレフィンに由来し得る;これらのモノマーは、任意に、線状または枝分れアルキル基によって置換されていてもよい。
【0042】
好ましくは、Oはエチレン [−CH2−CH2−]単位であり、この好ましい例においては、エポキシかオレフィンエラストマーは、エポキシ化エチレンエラストマーであって、上記タイヤ組成物における剛性とヒステリシス性能間の妥協点をさらにもっと改良することを可能にする。
【0043】
本発明の前提条件において使用する上記エポキシ化オレフィンエラストマーの本質的な特徴は、上記エポキシ化オレフィンエラストマーが官能化され、エポキシド官能基を担持することである。
【0044】
上記エポキシド官能基は、上記炭素鎖によって直接担持され得、その場合、主として、共重合後の初期から存在する炭素・炭素二重結合のエポキシ化によって得られる。不飽和ポリマーのこのエポキシ化は、当業者にとって周知であって、例えば、クロロヒドリンまたはブロモヒドリンをベースとする方法、直接酸化法、或いは過酸化水素、アルキルペルオキシド過酸(過酢酸または過ギ酸のような)をベースとする方法によって実施し得る。
【0045】
また、上記エポキシド官能基は、ペンダントであり得、その場合、上記オレフィンとの共重合に関わるモノマー(このモノマーは、例えば、グリシジルメタクリレート、アルキルグリシジルエーテルまたはビニルグリシジルエーテルであり得る)中に既に存在するか或いはペンダント官能基の重合後変性によって得られるかのいずれかである。
【0046】
上記エポキシ化オレフィンエラストマーのR単位の含有量(モル%)は、本発明の特定の実施態様仁応じて、高い度合で、好ましくは0.1%〜50%の範囲内、好ましくは0.3%〜50%の範囲内、 より好ましくは0.3%〜30%の範囲内、さらに良好には0.3%〜20%の範囲内で変動し得る。R単位の含有量が0.1%よりも低い場合、目的とする技術的効果が不十分であるリスクが存在し、一方、50%よりも高いと、上記エラストマーは、もはや、主としてオレフィン系ではない。
【0047】
上記非オレフィン単位が、エポキシド官能基を担持するR単位から全体的にならない場合、他の非オレフィン単位A’は、鎖中に、モノマーO、RおよびA’が示す総モル含有量が100%に等しいように存在する。上記エポキシ化オレフィンエラストマーの調製において使用する上記非オレフィンモノマーは、不飽和をもたらさない非オレフィンモノマーおよび重合させると上記エラストマー鎖が担持する不飽和をもたらすモノマー(ジエンモノマー以外の)から選択する。
【0048】
不飽和をもたらさない上記非オレフィンモノマーは、本質的にビニルおよびアクリル/メタクリルモノマーである。例えば、そのようなモノマーは、スチレン、酢酸ビニル、ビニルアルコール、アクリロニトリル、メチルアクリレートまたはメチルメタクリレートから選択し得る。これらのモノマーは、任意に、アルキルもしくはアリール基または他の官能化基によって置換されていてもよい。
【0049】
また、例えば、不飽和を担持するオレフィンエラストマータイプのエラストマーの共重合による調製において使用する上記非オレフィンモノマーは、例えばジシクロペンタジエニルオキシエチルメタクリレートのような、不飽和エラストマーの調製技術における熟練者にとって既知の全ての非ジエンモノマーでもある。
【0050】
上記エポキシ貨オレフィンエラストマーは、極めて大多数の例において負の(即ち、0℃よりも低い) Tgを示す。
【0051】
上記エポキシ化オレフィンエラストマーは、少なくとも10 000g/モルの、好ましくは少なくとも15 000g/モルの、また、多くとも1 500 000g/モルの数平均分子量(Mn)を有する。Mw/Mn (Mwは質量平均モル質量である)に等しい多分散性指数PIは、1.05と11.00の間である。
【0052】
好ましくは、また、要約するに、エポキシド官能基を含む上記オレフィンエラストマーは、そのように、オレフィンモノマー単位を含み、且つ2種以上、好ましくは2〜5種、さらに好ましくは2種または3種の複数種の異なるモノマー単位とのコポリマーである。このコポリマーは、エラストマーの共重合によってまたは重合後変性によって得ることができる。共重合によってまたは重合後変性によって得られた上記オレフィンコポリマー中に存在するエポキシド官能基は、ポリマー鎖の主鎖が直接担持するか、或いは、調製方法に応じて、例えば、共重合後のエラストマー鎖中に存在するジエン官能基のエポキシ化または他の任意の変性によって側基が担持するであろう。
【0053】
エポキシ化オレフィンエラストマーおよびその調製方法は、当業者にとっては周知であり、商業的に入手可能である。エポキシド基を担持するオレフィンエラストマーは、例えば、文献EP 0 247 580号およびUS 5 576 080号に記載されている。また、Arkema社は、エポキシ化ポリエチレンを、商品名 Lotader AX8840およびLotader AX8900で商業的に提供している。
【0054】
本発明の組成物は、1種のみのエポキシ化エラストマーまたは数種のエポキシ化エラストマーの混合物(この混合物は、その場合、上記組成物のエポキシ化エラストマーの総和を示すための“上記エポキシ化エラストマー”であるとして単数で表す)を含み得る。
【0055】
上記エポキシ化エラストマーは、本発明のゴム組成物中で主要である、即ち、上記エラストマーは唯一のエラストマーであるか或いは上記エラストマーは、上記組成物のエラストマーのうちで最大質量を示すエラストマーである。
【0056】
本発明の好ましい実施態様によれば、上記ゴム組成物は、例えば、30〜100phr、特に50〜100phr、好ましくは70〜100phrの主要エポキシ化エラストマーを、0〜70phr、特に0〜50phr、好ましくは0〜30phrの1種以上の他のエポキシ化していない小量エラストマーとのブレンドとして含む。
【0057】
本発明のもう1つの好ましい実施態様によれば、上記組成物は、100phrのエラストマー全体において、1種以上のエポキシ化エラストマーを含む。
【0058】
II. 2. 補強用充填剤
本発明に従うゴム組成物は、シリカを主要補強用充填剤として含む。さらに、他の補強用充填剤、例えば、カーボンブラックも使用し得る。
【0059】
シリカを供給する物理的状態は、粉末、微細真珠様物、顆粒、ビーズまたは任意の他の適切な高密度化形のいずれの形状であれ重要ではない。使用するシリカは、当業者にとって既知の任意の補強用シリカ、特に、共に450m2/g未満、好ましくは30〜400m2/gであるBET比表面積とCTAB比表面積を示す任意の沈降またはヒュームドシリカであり得る。高分散性沈降シリカ(“HDS”)としては、例えば、Degussa社からのUltrasil 7000およびUltrasil 7005シリカ類;Rhodia 社からのZeosil 1165MP、1135MPおよび1115MPシリカ類;PPG社からのHi‐Sil EZ150Gシリカ;Huber社からのZeopol 8715、8745または8755シリカ類;または、出願 WO 03/16837号に記載されているような高比表面積を有するシリカ類が挙げられる。上記シリカは、好ましくは45m2/gと400m2/gの間、より好ましくは60m2/gと300m2/gの間のBET比表面積を有する。
【0060】
タイヤにおいて通常使用する全てのカーボンブラック類、特にHAF、ISAFまたはSAFタイプのブラック類(“タイヤ級”ブラック類)は、カーボンブラックとして適している。さらに詳細には、後者のうちでは、例えば、N115、N134、N234、N326、N330、N339、N347またはN375ブラック類のような100、200または300シリーズの補強用カーボンブラック類(ASTM級)、或いは、目標とする用途次第では、より高級シリーズのブラック類(例えば、N660、N683またはN772)が挙げられる。カーボンブラックは、例えば、マスターバッチの形で、既にイソプレンエラストマー中に既に混和させていてもよい(例えば、出願WO 97/36724号またはWO 99/16600号を参照されたい)。
【0061】
カーボンブラック以外の有機充填剤の例としては、WO−A−2006/089792号、WO−A−2006/089793号、WO−A−2008/003434号およびWO−A−2008/003435号に記載されているような官能化ポリビニル有機充填剤を挙げることができる。
【0062】
好ましくは、補強用充填剤全体(シリカおよび任意成分であるカーボンブラックおよび/または別の補強用充填剤)の含有量は、5〜200phr、より好ましくは10〜150phrの範囲内であり、最適量は、知られている通り、目標とする特定の用途に応じて異なる;例えば、自転車タイヤに関して期待される補強レベルは、勿論、継続的に高速度で走行することのできるタイヤ、例えば、オートバイタイヤ、乗用車用タイヤ、または大型車両のような実用車用のタイヤに関して要求される補強レベルよりも低い。
【0063】
好ましくは、常に主要であり、5〜200phr、より好ましくは10〜150phrの含有量のシリカを、そして、任意成分であるカーボンブラックを使用する。カーボンブラックは、存在する場合、好ましくは100phr未満、より好ましくは0.1〜100phr、さらに好ましくは0.1〜30phr、特に0.1〜10phr、さらに良好には0.1〜5phrの範囲内の含有量で使用する。
【0064】
補強用無機充填剤を上記エラストマーにカップリングさせるためには、知られている通り、無機充填剤(その粒子表面)とジエンエラストマー間に化学的および/または物理的性質の満足な結合をもたらすことを意図する少なくとも二官能性のカップリング剤(または結合剤)、特に、二官能性オルガノシランまたはポリオルガノシロキサン類を使用する。
【0065】
本発明の組成物においては、カップリング剤の含有量は、好ましくは0〜20phr、より好ましくは0〜16phr、さらにより好ましくは0〜12phrの範囲内である。
【0066】
当業者であれば、この項において説明した補強用無機充填剤と等価の充填剤として、もう1つの性質、特に、有機性を有する補強用充填剤を、この補強用充填剤がシリカのような無機層で被覆されているか、或いは、その表面上に、充填剤とエラストマー間の結合を形成させるためにカップリング剤の使用を必要とする官能部位、特にヒドロキシル部位を含むかを条件として使用し得ることを理解されたい。
【0067】
II. 3. シリカを被覆するための薬剤
本発明の組成物は、当業者にとって既知の薬剤のような、シリカを被覆するための少なくとも1種の薬剤を含む。好ましくは、シリカを被覆するための上記薬剤は、ヒドロキシル化または加水分解性シラン、ポリオール、ポリエーテル、アミン、ヒドロキシル化または加水分解性ポリシロキサン、グアニジン誘導体、アルカリ金属またはアルキル土類金属酸化物およびそのような化合物の混合物からなる群から、さらに好ましくは、アミン、グアニジン誘導体、アルカリ金属またはアルキル土類金属酸化物およびそのような化合物の混合物からなる群から選ばれる;さらに、極めて好ましくは、シリカを被覆するための薬剤は、ジフェニルグアニジンまたはオクタデシルアミン、特に、ジフェニルグアニジンである。
【0068】
好ましくは、シリカを被覆するための上記薬剤は、0.5〜30phr、好ましくは1〜15phrの含有量で存在する。
【0069】
II. 4. 上記エポキシ化ポリマーを架橋させるための系
上記で説明したエポキシ化ポリマーと補強用充填剤は、上記ポリマーを架橋させ得るまたは本発明の組成物を硬化させ得る架橋系によって結合させる。この架橋系は、一般式(I)を有する少なくとも1種の特定のポリ化合物と一般式(II)の少なくとも1種のイミダゾールを含む。
【0070】
II.4. a. ポリ酸
本発明の前提条件として使用するポリ酸は、下記の一般式(I)を有するポリカルボン酸すぁる:
一般式(I):
【化3】
(I)

(式中、Aは、共有結合、または少なくとも1個の炭素原子を含み、任意に置換されていてもよく、且つ任意に、1個以上のヘテロ原子によって遮断されていてもよい炭化水素基を示す)。
【0071】
好ましくは、一般式(I)のポリ酸においては、Aは、共有結合、または1〜1800個の炭素原子、好ましくは2〜300個の炭素原子、さらに好ましくは2〜100個の炭素原子、極めて好ましくは2〜65個の炭素原子を含む2価の炭化水素基を示す。1800個の炭素原子よりも多いと、上記ポリ酸は、あまり有効な架橋剤ではない。従って、Aは、好ましくは、3〜65個の炭素原子、好ましくは5〜65個、さらに好ましくは8〜65個の炭素原子、さらにより好ましくは10〜65個の炭素原子を含む2価の炭化水素基を示す。
【0072】
好ましくは、一般式(I)のポリ酸においては、Aは、脂肪族または芳香族タイプの2価の基の、或いは少なくとも1種の脂肪族成分と少なくとも1種の芳香族成分を含む基である。好ましくは、Aは、脂肪族タイプの2価の基、または少なくとも1種の脂肪族成分と少なくとも1種の芳香族成分を含む基であり得る。選択的に、また、同様に好ましくは、Aは、飽和または不飽和脂肪族タイプの2価の基、例えば、アルキレン基であり得る。
【0073】
一般式(I)のポリ酸の基Aは、酸素、窒素およびイオウから選ばれる少なくとも1種のヘテロ原子、好ましくは酸素によって遮断されている。
【0074】
また、一般式(I)のポリ酸の基Aは、アルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、アミノおよびカルボニル基から選ばれる少なくとも1種の基によって置換し得る。
【0075】
一般式(I)のポリ酸は、2個よりも多いカルボン酸反応基を含み得る;この場合、基Aは、1種以上のカルボン酸官能基によっておよび/またはアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリールまたはアラルキルから選ばれ、これらの基自体も1種以上のカルボン酸官能基によって置換されている1種以上の炭化水素基によって置換されている。
【0076】
本発明の好ましい形態によれば、Aは、別のカルボン酸官能基を含まない;従って、上記ポリ酸は、二酸である。
ポリ酸の含有量は、好ましくは、0.2〜100phr、好ましくは0.2〜50phr、より好ましくは0.4〜27phr、さらにより好ましくは0.9〜25phrの範囲内である。0.2phのポリ酸よりも少ないと、架橋効果が実質的でなく、一方、100phrのポリ酸よりも多いと、ポリ酸、即ち、架橋剤が上記重合体マトリックスに対して質量的に主要となる。
【0077】
本発明の前提条件において使用する上記ポリ酸は、商業的に入手可能であり、或いは、当業者であれば、例えば文献US 7 534号において、さらに、この文献に引用されている参照文献において化学的経路または文献US 3 843 466号に記載されている発酵のような生物学的経路のような周知の方法に従って容易に調製し得る。
【0078】
例えば、商業的に入手可能であり且つ本発明の前提条件において使用するポリ酸としては、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テレフタル酸、或いはトリメシン酸または3,4−ビス(カルボキシメチル)シクロペンタンカルボン酸のようなポリ酸を挙げることができる。より高分子量の二酸のうちでは、ジカルボキシ末端化ポリブタジエン(Aldrich社、CAS 68891−79−2)、ジカルボキシ末端化ポリ(アクリロニトリル−コ−ブタジエン) (Aldrich社、CAS 68891−46−3)、4本アームカルボン酸末端化ポリ(エチレンオキシド) (Aldrich社)、ポリ(エチレングリコール)ビス(カルボキシメチル)エーテル (Aldrich、CAS 39927−08−7)、ジカルボキシ末端化ポリブタジエン (Sartomer社、“Krasol LBM32”)或いは以下の文献: JP05062890号、CN1247198号またはJ.Polym.Sci.Part A, 1993, 31, 1825に記載されているポリエステルのような市販ポリエステルを挙げることができる。
【0079】
II. 4. b. イミダゾール
本発明に従う架橋系において使用するイミダゾールは、下記の一般式(II)を有するイミダゾールである:
一般式(II):
【化4】
(II)

(式中、・R1は、炭化水素基または水素原子を示し;
・R2は、炭化水素基を示し;
・R3およびR4は、互いに個々に、水素原子または炭化水素基を示し;
・或いは、R3およびR4は、これらR3およびR4が結合している前記イミダゾール環の炭素原子と一緒に環を形成する)。
【0080】
好ましくは、一般式(II)のイミダゾールは、下記であるような基を有する:
・R1は、水素原子、或いは1〜20個の炭素原子を有するアルキル基、5〜24個の炭素原子を有するシクロアルキル基6〜30個の炭素原子を有するアリール基または7〜25個の炭素原子を有するアラルキル基を示し、上記の各基は、任意に、1個以上のヘテロ原子によって遮断されていてもよくおよび/または置換されていてもよく;
・R2は、1〜20個の炭素原子を有するアルキル基、5〜24個の炭素原子を有するシクロアルキル基6〜30個の炭素原子を有するアリール基もしくは7〜25個の炭素原子を有するアラルキル基を示し、上記の各基は、任意に、1個以上のヘテロ原子によって遮断されていてもよくおよび/または置換されていてもよく;
・R3およびR4は、個々に、水素または1〜20個の炭素原子を有するアルキル基、5〜24個の炭素原子を有するシクロアルキル基6〜30個の炭素原子を有するアリール基または7〜25個の炭素原子を有するアラルキル基から選ばれる同一または異なる基を示し、これらの基は、任意に、1個以上のヘテロ原子によって遮断されていてもおよび/または置換されていてもよく;或いは、R3およびR4は、これらR3およびR4が結合している上記イミダゾール環の炭素原子と一緒に、5〜12個、好ましくは5個または6個の炭素原子を含む芳香環、ヘテロ芳香環または脂肪族環から選ばれる環を形成する。
【0081】
好ましくは、R1は、2〜12個の炭素原子を有するアルキル基または7〜13個の炭素原子を有するアラルキル基から選ばれる基を示し、これらの基は、任意に、置換されていてもよい。さらに好ましくは、R1は、任意に置換されていてもよい、7〜13個の炭素原子を有するアラルキル基を示し;R2は、1〜12個の炭素原子を有するアルキル基を示す。さらにより好ましくは、R1は、任意に置換されていてもよい、7〜9個の炭素原子を有するアラルキル基を示し;R2は、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基を示す。
【0082】
好ましくは、R3およびR4は、個々に、水素または1〜12個の炭素原子を有するアルキル基、5〜8個の炭素原子を有するシクロアルキル基、6〜24個の炭素原子を有するアリール基もしくは7〜13個の炭素原子を有するアラルキル基から選ばれる同一または異なる基を示し、これらの基は、任意に、置換されていてもよい。選択的に、また、同様に好ましくは、R3およびR4は、これらR3およびR4が結合している上記イミダゾール環の炭素原子と一緒に、フェニル、シクロヘキセンまたはシクロペンテン環を形成する。
【0083】
本発明を満足裏に実施するためには、上記イミダゾールの含有量は、一般式(I)の上記ポリカルボン酸上に存在するカルボン酸官能基に対して、0.01〜4モル当量、好ましくは0.01〜3モル当量の範囲内である。0.01モル当量よりも少ないと、上記イミダゾール協力剤の効果が上記ポリ酸を単独で使用する場合と比較して観察されず、一方、4モル当量の値よりも多いと、より低い含有量と比較してさらなる利点は観察されない。従って、上記イミダゾール含有量は、さらに好ましくは、一般式(I)の上記ポリカルボン酸上に存在するカルボン酸官能基に対して、0.01〜2.5モル当量、好ましくは0.01〜2モル当量、さらにより好ましくは0.01〜1.5モル当量の範囲内である。
【0084】
本発明の前提条件において使用する上記イミダゾールは、商業的に入手可能であり、或いは、当業者であれば、例えばJP2012211122号およびJP2007269658号またはScience of Synthesis, 2002, 12, 325−528に記載されているような周知の方法に従って容易に調製し得る。
【0085】
例えば、商業的に入手可能であり且つ本発明の前提条件において使用するイミダゾールとしては、1,2−ジメチルイミダゾール、1−デシル−2−メチルイミダゾールまたは1−ベンジル−2−メチルイミダゾールを挙げることができる。
【0086】
II. 4. c. ポリ酸とイミダゾール
明白に、また、本発明における“ベースとする”なる表現の定義によれば、上記で提示した一般式(I)のポリ酸と一般式(II)のイミダゾールをベースとする組成物は、上記ポリ酸と上記イミダゾールが一緒に前以って反応して上記ポリ酸の1個以上の酸官能基とそれぞれ1個以上のイミダゾール核との間で塩を形成している組成物であり得る。
【0087】
II. 5. 各種添加剤
また、本発明のゴム組成物は、例えば、顔料;オゾン劣化防止ワックス、化学オゾン劣化防止剤、酸化防止剤のような保護剤;疲労防止剤;上記で説明した架橋剤以外の架橋剤、補強用樹脂または可塑剤のような、トレッドの製造を意図するエラストマー組成物において一般的に使用する通常の添加剤の全部または1部も含み得る。好ましくは、この可塑剤は、固形炭化水素樹脂(即ち、可塑化用樹脂)、増量剤オイル(または可塑化用オイル)または上記2つの混合物である。
【0088】
好ましくは、本発明の組成物は、上記で説明し且つ少なくとも1種のポリ酸と少なくとも1種のイミダゾールを含む架橋剤以外の架橋剤を含まない。換言すれば、少なくとも1種のポリ酸と少なくとも1種のイミダゾールをベースとする架橋系は、好ましくは、本発明の組成物における唯一の架橋系である。好ましくは、本発明の組成物は、加硫系を含まないか、或いは、1phr未満、好ましくは0.5phr未満、より好ましくは0.2phr未満の加硫系を含む。同様に、上記組成物は、好ましくは、当業者にとって既知であるような何らの加硫促進剤も含まないか、或いは、1phr未満、好ましくは0.5phr未満、さらに好ましくは0.2phr未満の上記加硫促進剤を含む。
【0089】
II. 6. 本発明の組成物の製造方法
上記ゴム組成物は、適切なミキサー内で、当業者にとって周知の2つの連続する製造段階、即ち、90℃と190℃の間、好ましくは100℃と135℃の間の最高温度までの高温で熱機械的に加工または混練する第1段階(“非生産”段階)、および、その後の、任意に存在する、典型的には110℃よりも低い、例えば40℃と100℃の間の低めの温度に低めた機械的加工の第2の段階(“生産”段階)を使用して製造し得、この仕上げ段階において、上記架橋系を混入する。
【0090】
上記組成物は、そのように、少なくとも、上記エポキシ化エラストマー、上記補強用充填剤、上記ポリ酸および上記イミダゾール以外の任意成分である添加剤並びに任意成分である上記ポリ酸および上記イミダゾールを、90℃と190℃の間の、好ましくは100℃~135℃の範囲内の最高温度まで導入する熱機械的に加工または混練する段階(または工程)を含み、この温度において混練を停止する方法によって製造する。
【0091】
好ましくは、本発明の上記製造方法は、135℃よりも高い温度で熱機械的に混練する段階を何ら含まない。
【0092】
好ましい第1の実施態様によれば、上記ポリ酸およびイミダゾールは、上記組成物に、上記の第1加工段階において添加する;この場合、本発明の組成物の製造方法は、1回の配合段階での方法であり得る。
【0093】
同様に好ましい第2の実施態様によれば、上記ポリ酸または上記イミダゾールの一方のみを上記組成物に上記第1の混練段階において添加する場合、或いは上記2つのいずれもこの段階では添加しない場合、その一方または両者は、後の段階で添加する。
【0094】
従って、第2の実施態様によれば、上記の製造法は、架橋系を、低めの温度、即ち、110℃よりも低く、好ましくは40℃と100℃の間まで低めて、完成させるか(上記ポリ酸または上記イミダゾールの一方のみを上記第1の加工段階において添加した場合)、或いは混入し(ポリ酸またはイミダゾールのいずれも上記第1加工段階において添加しなかった場合)、混練する、後の機械的段階(“生産”段階)を含む。
【0095】
上記第2の実施態様は上記架橋系の各成分の添加時機において3通りの選択的形態を含むことを理解されたい:上記ポリ酸を上記第1加工段階において導入し、上記イミダゾールをその後の“生産”加工段階において導入する場合;上記イミダゾールを上記第1加工段階において導入し、上記ポリ酸をその後の加工段階において導入する場合;および、最後に、上記ポリ酸と上記イミダゾールを上記“生産”加工段階において導入する場合。
【0096】
そのようにして得られた組成物は、その後、例えば、特に研究室での特性決定用のシートまたはプラグの」形にカレンダー加工するか、或いは、押出加工して、例えば、タイヤの製造において使用することのできる、例えばトレッドのようなゴム形状要素を形成し得る。
【0097】
II. 7. タイヤでの使用
得られたゴム組成物は、例えば、上記タイヤの種々の部品において、特にクラウン、ビード領域、側壁領域およびトレッド(特に、トレッドの下地層において)において使用することができる。
【0098】
本発明の好ましい実施態様によれば、上記ゴム組成物は、上記タイヤにおいて、上記タイヤの少なくとも1種の部品におけるエラストマー層として使用し得る。
【0099】
エラストマー“層”とは、任意の形状および任意の厚さを有するゴム(または、“エラストマー”、2つの用語は同義とみなす)組成物製の任意の三次元コンポーネント、特に、任意の断面、例えば、矩形または三角形を有するシート、ストリップまたは他のコンポーネントを意味するものと理解されたい。
【0100】
まず第一に、上記エラストマー層は、一方のトレッド、即ち走行中に道路と接触することを意図する部分と他方の上記クラウンを補強するベルトとの間に位置するトレッド下地層として使用し得る。このエラストマー層の厚さは、好ましくは0.5〜10mmの範囲内、特に1〜5mmの範囲内である。
【0101】
本発明のもう1つの好ましい実施態様によれば、本発明のゴム組成物は、カーカスプライ、ビードワイヤーおよびカーカスプライの上返りの半径方向間のタイヤのビード領域に位置するエラストマー層を形成するのに使用し得る。
【0102】
同様に、本発明の組成物は、上記クラウン(タイヤベルト)のプライにおいてまたは上記クラウンのプライ末端と上記カーカスプライの間の量基において使用し得る。
【0103】
もう1つの好ましい実施態様は、タイヤの側壁領域内に位置するエラストマー層を形成するための本の組成物の使用であり得る。
また、本発明の組成物は、タイヤのトレッドにおいて有利に使用し得る。
【0104】
本発明の組成物を使用することのできるタイヤは、特に、乗用車用;並びに、二輪車(オートバイ、自転車)用;バン類、“大型車”、即ち、地下鉄、バス、大型道路輸送車(トラック、トラクター、トレーラー)または道路外車両、大型農業用車両または地ならし機、航空機、および他の輸送または操作車両から選ばれる産業用車両用を意図する。本発明およびその利点は、以下の説明および実施例に照らせば容易に理解し得るであろう。
【実施例】
【0105】
III. 本発明の実施例
本発明の組成物 (C2およびC3)および対照組成物 (C3)を、上記で示したようにして製造し、下記の表1に提示している。
【0106】
表 1
(1) EPOXPE::エポキシ化ポリエチレン、8%のグリシジルメタクリレート、24%のメチルアクリレートおよび68%のエチレンを含むArkema社からのLotader AX8900;
(2) シリカ 160 MP、Rhodia社からのZeosil 1165MP;
(3) Aldrich社からのジカルボキシ末端化ポリ(アクリロニトリル−コ−ブタジエン、CAS 68891−46−3、M = 3800 g/モル;
(4) Sigma−Aldrich社からの1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、CAS = 13750−62−4;
(5) ジフェニルグアニジン、Flexsys社からのPerkacit DPG。
【0107】
組成物C1〜C3の性質を上記で示したようにして測定し、下記の表2に示している。

表 2
【0108】
破断特性における極めて顕著な改良は、被覆剤無しで製造した同じ組成物と比較して本発明の各組成物において特筆される;本発明において処方したようなポリ酸とイミダゾールとの架橋系による通常の加硫系の置換えがイオウを含む系の既知の欠点を免れることを可能にしていることも注目し得る。