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特許6574303モノリシック・フェーズドアレイ・アンテナ・システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6574303
(24)【登録日】2019年8月23日
(45)【発行日】2019年9月11日
(54)【発明の名称】モノリシック・フェーズドアレイ・アンテナ・システム
(51)【国際特許分類】
   H01Q 21/06 20060101AFI20190902BHJP
   H01Q 13/10 20060101ALI20190902BHJP
【FI】
   H01Q21/06
   H01Q13/10
【請求項の数】13
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2018-510348(P2018-510348)
(86)(22)【出願日】2016年8月11日
(65)【公表番号】特表2018-525936(P2018-525936A)
(43)【公表日】2018年9月6日
(86)【国際出願番号】US2016046588
(87)【国際公開番号】WO2017034821
(87)【国際公開日】20170302
【審査請求日】2018年2月23日
(31)【優先権主張番号】14/837,954
(32)【優先日】2015年8月27日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503178185
【氏名又は名称】ノースロップ グラマン システムズ コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】NORTHROP GRUMMAN SYSTEMS CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】サンチェス、ビクター シー.
【審査官】 赤穂 美香
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2013/0214980(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0038495(US,A1)
【文献】 米国特許第06967624(US,B1)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0218251(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0162665(US,A1)
【文献】 特表2014−527474(JP,A)
【文献】 CHURCH,Additive Manufacturing: The Next Frontier for Research, Business and Opportunity,NSF Workshop on Frontiers of Additive manufacturing Research and Education,米国,National Science Foundation,2013年 7月12日,pp.1-27,URL,http://nsfam.mae.ufl.edu/Slides/Church.pdf
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/00−25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
単一導電材料のモノリシック構造として形成されるフェーズドアレイ・アンテナ・システムであって、
グランドプレーンと、
前記グランドプレーンの第1面に導電結合され、アレイ状に形成された複数のアンテナトランス素子と、
前記第1面とは反対側である前記グランドプレーンの第2面に形成されるとともに導電結合され、前記複数のアンテナトランス素子のそれぞれとの間で無線周波数信号を伝搬するように構成された複数のコネクタと、
信号導体であって、前記複数のアンテナトランス素子のうちの関連付けられた1つを貫通して延びるとともに、前記複数のアンテナトランス素子のうちの前記関連付けられた1つと前記複数のアンテナトランス素子のうちの隣接する1つとの間の自由空間内に延びて前記信号導体と前記複数のアンテナトランス素子のうちの前記関連付けられた1つと前記隣接する1つとの間で励振相互作用をもたらすことにより前記無線周波数信号を無線で送受信する前記信号導体と
を備えるフェーズドアレイ・アンテナ・システム。
【請求項2】
前記複数のアンテナトランス素子は、前記グランドプレーンに対して前記複数のアンテナトランス素子のそれぞれの対の間にバラン空洞を形成するとともに、前記複数のアンテナトランス素子のそれぞれの対の間にトランス間隙を形成して自由空間に対するインピーダンスマッチングを提供する寸法を有する、請求項1に記載のフェーズドアレイ・アンテナ・システム。
【請求項3】
前記複数のアンテナトランス素子の各々は、前記グランドプレーンからそれぞれ離間する方向に各々延びる複数の側壁を含み、前記複数の側壁の各々は、それぞれの当該側壁を貫通する複数孔のパターンを含む、請求項1に記載のフェーズドアレイ・アンテナ・システム。
【請求項4】
前記複数のコネクタの各々は、前記複数のアンテナトランス素子のうちの1つに関連付けられており、
前記複数のコネクタの各々は、前記単一導電材料からなる前記信号導体を含み、前記信号導体は、前記複数のアンテナトランス素子のうちの前記関連付けられた1つの下方において前記第1面から前記第2面まで前記グランドプレーンを貫通して延びている、請求項1に記載のフェーズドアレイ・アンテナ・システム。
【請求項5】
前記信号導体は、前記複数のアンテナトランス素子のうちの前記関連付けられた1つと前記複数のアンテナトランス素子のうちの隣接する第1のアンテナトランス素子との間の自由空間内において第1の方向に延びる第1の信号導体であり、
第2の信号導体が、前記複数のアンテナトランス素子のうちの前記関連付けられた1つと前記複数のアンテナトランス素子のうちの隣接する第2のアンテナトランス素子との間の自由空間内において第2の方向に延びており、
前記第2の方向が、前記無線周波数信号のそれぞれ第1および第2の直交偏波をもたらすように前記第1の方向に対して直交している、請求項4に記載のフェーズドアレイ・アンテナ・システム。
【請求項6】
前記信号導体は、前記複数のアンテナトランス素子のうちのそれぞれ1つと前記複数のアンテナトランス素子のうちの隣接する1つとの間において同軸接続の内側導体として設けられており、前記複数のアンテナトランス素子のうちの前記関連付けられた1つは、前記同軸接続の外側導体として設けられている、請求項4に記載のフェーズドアレイ・アンテナ・システム。
【請求項7】
前記複数のアンテナトランス素子のうちの前記関連付けられた1つは、前記信号導体が前記複数のアンテナトランス素子のうちの前記関連付けられた1つを貫通して延びることにより、前記信号導体を実質的に囲む、前記グランドプレーンに対する導電結合部を含み、前記導電結合部が前記同軸接続の前記外側導体に相当する、請求項6に記載のフェーズドアレイ・アンテナ・システム。
【請求項8】
フェーズドアレイ・アンテナ・システムを形成する方法であって、
前記フェーズドアレイ・アンテナ・システムを形成するように構成された付加製造機に前記フェーズドアレイ・アンテナ・システムに関する寸法データをロードすること、
前記フェーズドアレイ・アンテナ・システムを単一導電材料のモノリシック構造として前記付加製造機により形成することであって、前記フェーズドアレイ・アンテナ・システムが、グランドプレーンと、前記グランドプレーンの第1面上に配置された複数アンテナトランス素子のアレイと、前記第1面とは反対側である前記グランドプレーンの第2面上に形成された複数のコネクタとを含み、前記複数のコネクタが、前記複数アンテナトランス素子のアレイのそれぞれのアンテナトランス素子との間でそれぞれの信号の部分を伝搬するように構成されている、形成すること、
前記複数のコネクタの各々に関連付けられ、前記グランドプレーンと前記複数アンテナトランス素子のうちの関連付けられた1つを貫通して延びるとともに、導電結合される前記複数アンテナトランス素子のうちの前記関連付けられた1つから前記複数アンテナトランス素子のうちの隣接する1つまでの間の自由空間内を延びる信号導体を同軸接続の内側導体として形成すること
を含む方法。
【請求項9】
前記フェーズドアレイ・アンテナ・システムを形成することは、前記付加製造機により誘電体材料から前記フェーズドアレイ・アンテナ・システムを形成することを含み、
金属化プロセスを介して前記誘電体材料上に前記単一導電材料を形成することをさらに備える請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記複数アンテナトランス素子の各々は、前記グランドプレーンからそれぞれ離間する方向に各々延びる複数の側壁を含み、前記複数アンテナトランス素子を形成することは、前記複数アンテナトランス素子の各々の前記複数の側壁の各々を貫通する複数孔のパターンを形成することを含む、請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記フェーズドアレイ・アンテナ・システムを形成することは、前記付加製造機により前記単一導電材料から前記フェーズドアレイ・アンテナ・システムを形成することを含む、請求項に記載の方法。
【請求項12】
前記フェーズドアレイ・アンテナ・システムを形成することは、
前記グランドプレーンに対して前記複数アンテナトランス素子のそれぞれの対の間にバラン空洞を形成すること、
前記複数アンテナトランス素子のそれぞれの対の間にトランス間隙を形成して自由空間に対するインピーダンスマッチングを提供すること、
を含む、請求項に記載の方法。
【請求項13】
前記フェーズドアレイ・アンテナ・システムを形成することは
記複数アンテナトランス素子のうちの前記関連付けられた1つを、前記複数のコネクタのそれぞれ1つから前記複数アンテナトランス素子のうちの前記隣接する1つまでの前記同軸接続の外側導体として形成すること、
を含む、請求項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して通信に関し、具体的には、モノリシック・フェーズドアレイ・アンテナ・システムに関する。
【背景技術】
【0002】
アンテナは電気信号からのエネルギーを自由空間を伝播する波に変換し、それによって無線信号を送受信するために様々な目的のために実装される。アンテナは、様々な方法および様々な用途で製造され得る。アンテナの1つのタイプにフェーズドアレイ・アンテナがある。フェーズドアレイ・アンテナは、アレイの有効放射パターンが所望の方向において強化され不所望の方向において抑制されるようにアンテナに供給されるそれぞれの信号の相対位相が設定されるアンテナアレイを含む。同様に、アンテナのアレイ配置は、アンテナのそれぞれ1つで受信信号が受信される順序に基づいて受信信号の方向を決定するものとされ得る。フェーズドアレイ・アンテナにおけるアンテナ間の位相の関係は、タワーアレイのように一定であってもよく、またはビームステアリングのように調整可能であってもよい。このように、フェーズドアレイ・アンテナは様々な無線通信用途で有用であり得る。
【発明の概要】
【0003】
一実施形態は、フェーズドアレイ・アンテナ・システムを記載する。システムは、単一導電材料からなるグランドプレーンを含む。また、システムは、前記グランドプレーンの第1面上にそれぞれ前記単一導電材料によりアレイ状に形成され、無線で信号を送受信するように構成された複数のアンテナトランス素子を含む。さらに、システムは、前記第1面とは反対側である前記グランドプレーンの第2面上にそれぞれ前記単一導電材料により形成された複数のコネクタを含む。前記複数のコネクタは、前記複数のアンテナトランス素子との間で、前記信号のそれぞれの部分を伝搬するように構成され得る。前記単一導電材料は、フェーズドアレイ・アンテナ・システムが、前記グランドプレーンと前記複数のアンテナトランス素子と前記複数のコネクタとの導電結合を相互にもたらすモノリシック構造として形成されるように、連続的とすることができる。
【0004】
別の実施形態は、フェーズドアレイ・アンテナ・システムを形成する方法を記載する。方法は、前記フェーズドアレイ・アンテナ・システムを形成するように構成された付加製造機に前記フェーズドアレイ・アンテナ・システムに関する寸法データをロードすることを含む。また、方法は、前記フェーズドアレイ・アンテナ・システムを単一導電材料のモノリシック構造として前記付加製造機により形成することを含む。前記フェーズドアレイ・アンテナ・システムは、グランドプレーンと、前記グランドプレーンの第1面上に配置された複数アンテナトランス素子のアレイと、前記第1面とは反対側である前記グランドプレーンの第2面上に形成された複数のコネクタとを含み得る。前記複数のコネクタは、前記複数アンテナトランス素子のアレイのそれぞれのアンテナトランス素子との間でそれぞれの信号の部分を伝搬するように構成され得る。
【0005】
別の実施形態は、フェーズドアレイ・アンテナ・システムを記載する。システムは、グランドプレーンと、前記グランドプレーンの第1面に導電結合され、アレイ状に形成された複数のアンテナトランス素子とを含む。前記複数のアンテナトランス素子の各々は、前記グランドプレーンに対して前記複数のアンテナトランス素子のそれぞれの対の間にバラン空洞を形成するとともに、前記複数のアンテナトランス素子のそれぞれの対の間にトランス間隙を形成して自由空間に対するインピーダンスマッチングをもたらす寸法を有し得る。システムは、前記第1面とは反対側である前記グランドプレーンの第2面に形成されるとともに導電結合され、前記複数のアンテナトランス素子のそれぞれとの間で無線周波数信号を伝搬するように構成された複数のコネクタを含む。また、システムは、前記複数のコネクタと前記複数のアンテナトランス素子との間の複数の同軸接続を含む。前記複数のコネクタの各々は、前記複数のアンテナトランス素子のうちの1つに関連付けられ得る。前記複数のコネクタの各々は、単一導電材料からなる信号導体を前記複数の同軸接続のそれぞれの内側導体として含む。前記信号導体は、前記複数の同軸接続のそれぞれの外側導体に相当する前記複数のアンテナトランス素子のうちの前記関連付けられた1つから、前記複数のアンテナトランス素子のうちの隣接する1つまで貫通して延びている。前記フェーズドアレイ・アンテナ・システムは、単一導電材料のモノリシック構造として形成されている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】フェーズドアレイ・アンテナ・システムの例を示す図。
図2】フェーズドアレイ・アンテナ・システムの例示的な概略図。
図3】フェーズドアレイ・アンテナ・システムの一部の例示的な概略図。
図4】フェーズドアレイ・アンテナ・システムの一部の別の例示的な概略図。
図5】フェーズドアレイ・アンテナ・システムを形成する方法の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明は、概して通信に関し、具体的には、モノリシック・フェーズドアレイ・アンテナ・システムに関する。モノリシック・フェーズドアレイ・アンテナ・システムは、後に金属化される金属または誘電体とすることができる単一構造として形成され得る。モノリシック・フェーズドアレイ・アンテナ・システムは、多数の無線通信やレーダー用途での広帯域動作に適用可能である。モノリシック・フェーズドアレイ・アンテナ・システムは、トランス素子群のアレイから構成され得る。トランス素子群は、例えば、トランス素子群に対してバラン空洞を形成するグランドプレーン上のアンテナトランス素子群の付加製造(additive manufacturing)(例えば、三次元印刷)等によって全てモノリシックに製造される。また、フェーズドアレイ・アンテナ・システムは、アンテナトランス素子の下方においてグランドプレーン上に形成される複数のコネクタを含み得る。複数のコネクタは各々、通信信号を伝搬する信号導体を含み得る。フェーズドアレイ・アンテナ・システムは単一導電材料から形成され得るため、完全に連続的に(例えば、DCグランドに)導電結合されるものとされ得る。その結果、フェーズドアレイ・アンテナ・システムは、所与のコネクタからアンテナ放射素子に対してそれぞれの信号を変換して励振するストリップ線路およびバラン部材を組み込んだプリント回路基板(PCB)の使用を省略することができる。
【0008】
各アンテナトランス素子は、通信および/またはレーダー用途において、所与の信号を生成するための特定の波状パラメータを容易にする特定の寸法で製造することができる。また、アンテナトランス素子の1つに関連付けられた各コネクタは、同軸内において少なくとも1つの隣接するアンテナトランス素子に導電結合されている。信号導体は、それぞれ1つのコネクタに結合され得る。そして、信号導体は、関連付けられた1つのアンテナトランス素子の下方から同軸接続の内側導体として延び、同軸接続の外側導体を形成する関連付けられた1つのアンテナトランス素子の側部を通じて、隣接する1つのアンテナトランス素子まで延びることにより、その隣接するアンテナトランス素子の外部に導電結合され得る。関連付けられたアンテナトランス素子を介してそれぞれ隣接するアンテナトランス素子へ接続する各コネクタの接続部の同軸配置は、2つの直交方向がアンテナトランス素子を介して伝搬する信号の偏波成分を形成するように、それら2つの直交方向の双方において提供され得る。
【0009】
図1は、フェーズドアレイ・アンテナ・システム10の一例を示す。フェーズドアレイ・アンテナ・システム10は、様々な無線通信および/またはレーダー用途において実装され得る。フェーズドアレイ・アンテナ・システム10は、グランドプレーン12を含み、このグランドプレーン12上には、図1の例ではXZアレイで示されるアレイ状に複数のアンテナトランス素子14が形成されている。アンテナトランス素子14は、グランドプレーン12の第1側に形成され、その第1側とは反対側であるグランドプレーン12の第2側に形成された複数のコネクタ(図示せず)と関連付けられ得る。これらコネクタは、フェーズドアレイ・アンテナ・システム10で送受信される無線信号に関連付けられ得る電気信号を伝搬するように構成され得る。本明細書で詳細に説明されるように、コネクタは、同軸接続でアンテナトランス素子14に接続され、アンテナトランス素子14の励振を提供することによりフェーズドアレイ・アンテナ・システム10との間で信号の送受信を可能とする。
【0010】
一例として、フェーズドアレイ・アンテナ・システム10は、モノリシック構造として製造され得る。例えば、フェーズドアレイ・アンテナ・システム10は、グランドプレーン12、アンテナトランス素子14、およびコネクタが全て単一導電材料から形成されるように付加製造プロセス(例えば、3次元印刷)により形成され得る。例えば、グランドプレーン12、アンテナトランス素子14、およびコネクタは、付加製造プロセスを介して単一導電材料から形成され得る。別の例として、グランドプレーン12、アンテナトランス素子14、およびコネクタは、付加製造プロセスを介して誘電体材料から形成され、それらグランドプレーン12、アンテナトランス素子14、およびコネクタ、すなわち、フェーズドアレイ・アンテナ・システム10全体を単一導電材料で被膜するように金属化(metalized)される。代替的な例として、フェーズドアレイ・アンテナ・システム10のモノリシック構成は、圧縮成形、射出成形などの他のプロセスにより製造でき、あるいはバルク成形、シート成形化合物、または熱可塑性プリプレグ複合部品および構造を使用するなどの任意の他の所望の方法で形成することができる。
【0011】
その結果、フェーズドアレイ・アンテナ・システム10のモノリシック構成は、グランドプレーン12、アンテナトランス素子14、およびコネクタが全て互いに導電結合され得るものとなり得る。本明細書で詳細に説明されるように、アンテナトランス素子14に対するグランドプレーン12のモノリシック構成は、アンテナトランス素子14がグランドプレーン12に対してバランを形成し得るものとすることができる。したがって、フェーズドアレイ・アンテナ・システム10は、典型的なフェーズドアレイ・アンテナ・システムとは対照的に、所与のコネクタからアンテナ放射素子14に対してそれぞれの信号を変換して励振するストリップ線路およびバラン部材を組み込んだプリント回路基板(PCB)の使用を省略することができる。
【0012】
図2は、フェーズドアレイ・アンテナ・システム50の例示的な概略図を示す。一例として、フェーズドアレイ・アンテナ・システム50は、図1の例におけるフェーズドアレイ・アンテナ・システム10に対応し得る。このフェーズドアレイ・アンテナ・システム50は、XZアレイに配置された複数のアンテナトランス素子52を示している。図2の例では、フェーズドアレイ・アンテナ・システム50は、アンテナトランス素子52のX行およびY列を含み、各アンテナトランス素子52は「行_列」の命名規則によって指定される。図1の例におけるフェーズドアレイ・アンテナ・システム10は、36個のアンテナトランス素子14の6×6アレイを示しているが、フェーズドアレイ・アンテナ・システム50は、アンテナトランス素子52の任意のX×Y配置を含むことができる。ここで、XおよびYは各々正の整数であり、同じでもよいし異なっていてもよい。
【0013】
フェーズドアレイ・アンテナ・システム50は、各アンテナトランス素子52に関連付けられ、フェーズドアレイ・アンテナ・システム50によって受信されるかまたは送信される信号を伝播するように構成された少なくとも1つのコネクタ54を含む。例えば、コネクタ54は、フェーズドアレイ・アンテナ・システム50から送信されるRF周波数で変調された電気信号を提供するように構成された信号送信機に結合されるか、またはフェーズドアレイ・アンテナ・システム50を介して受信した電気信号を復調するように構成された信号受信機に導電結合され得る。各コネクタ54は、信号が伝搬する信号導体56を含み得る。信号導体56は、複数のアンテナトランス素子52が形成されたグランドプレーン(例えば、グランドプレーン12)および関連付けられた1つのアンテナトランス素子52を貫通している。また、信号導体56は、関連付けられた1つのアンテナトランス素子52から、隣接するアンテナトランス素子52と結合するべくX方向およびY方向の各々に延びて、その隣接するアンテナトランス素子52と導電結合している。
【0014】
各アンテナトランス素子52に関連付けられた少なくとも1つのコネクタ54に関して、フェーズドアレイ・アンテナ・システム50は、それぞれのアンテナトランス素子52から延びる各信号導体56に対して単一のコネクタまたは別個のコネクタ54を含み得ることが理解され得る。例として、各アンテナトランス素子52は、X方向に延びる信号導体56に関連付けられた第1のコネクタ54と、Z方向に延びる信号導体56に関連付けられた別個のコネクタ54とを含み得る。本明細書で詳細に説明されるように、信号導体56は、それぞれの信号導体56の間で隣接するアンテナトランス素子52の共振を介して送信または受信される信号を伝搬し得る。X方向に延びる信号導体56は、X方向に偏波される無線送信信号の励振を提供したり、受信した無線信号のX方向偏波成分を受信したりすることができる。同様に、Z方向に延びる信号導体56は、Z方向に偏波される無線送信信号の励振を提供したり、受信した無線信号のZ方向偏波成分を受信したりすることができる。
【0015】
本明細書の説明において「関連付けられたアンテナトランス素子」または「複数のアンテナトランス素子のうちの関連付けられた1つ」とは、それぞれのコネクタ54の上方(例えば、Y方向)に配置されたアンテナトランス素子52の1つを指し、信号導体56は、そのアンテナトランス素子52を通じて、単一導電材料によるフェーズドアレイ・アンテナ・システム50のモノリシック構成に基づく間接的な導電結合にもかかわらず、直接的な導電結合なしに延在する。従って、「隣接するアンテナトランス素子」または「複数のアンテナトランス素子のうちの隣接する1つ」とは、関連付けられたアンテナトランス素子52に隣接するアンテナトランス素子52の1つを指す。本明細書で詳細に説明されるように、アンテナトランス素子52のうちの関連付けられた1つは、それぞれのコネクタ54と隣接するアンテナトランス素子52との間における同軸接続の外側導体に対応し得る一方、信号導体56はその同軸接続の内側導体に対応する。また、本明細書で詳細に説明されるように、複数のアンテナトランス素子52のそれぞれの対の間における信号導体56の延長部分は、そのアンテナトランス素子52の対に関連付けられたトランス間隙に関して、そのアンテナトランス素子52の対の励振を提供して、信号導体56と自由空間との間のインピーダンスマッチングを提供する。
【0016】
図3は、フェーズドアレイ・アンテナ・システムの一部の例示的な概略図100を示す。その一部が概略図100に示されたフェーズドアレイ・アンテナ・システムは、図1および図2のそれぞれの例におけるフェーズドアレイ・アンテナ・システム10,50に対応し得る。概略図100は、第1のアンテナトランス素子102、および図3の例では破線の輪郭でのみ示される第2のアンテナトランス素子104を示している。また、概略図100は、X方向とZ方向の双方に延在し得るグランドプレーン106の一部も示し、このグランドプレーン106は、第2のアンテナトランス素子104の下方においては破線の輪郭で示されている。また、この概略図100は、第1のアンテナトランス素子102に関連付けられた第1のコネクタ108と、第2のアンテナトランス素子104に関連付けられた第2のコネクタ110とを含む。このため、第1のコネクタ108に対しては、第1のアンテナトランス素子102が、関連付けられたアンテナトランス素子であり、第2のアンテナトランス素子104が、隣接するアンテナトランス素子である。また、第2のコネクタ110に対しては、第1のアンテナトランス102が、隣接するアンテナトランス素子であり、第2のアンテナトランス104が、関連付けられたアンテナトランス素子である。
【0017】
第1のアンテナトランス素子102は、グランドプレーン106から離れて種々の方向に延びる複数の側壁を有するものとして示されており、各側壁は、第1のアンテナトランス素子102の側壁を貫通して延びる複数孔112のパターンを含む。一例として、第1のアンテナトランス素子102がメッシュの壁からなる鳥かごのような構造として構成されるように、複数孔112は第1のアンテナトランス素子102の側壁の全体を貫通するミシン目であってもよい。上述したように、その一部が概略図100に示される関連するフェーズドアレイ・アンテナ・システムは、付加製造プロセスにより形成され得る。一例として、付加製造プロセスは、単一導電材料を形成するように金属化される誘電体材料により、関連するフェーズドアレイ・アンテナ・システムを形成するように構築され得る。従って、複数孔112は、第1のアンテナトランス素子102の内部へのアクセスを提供することにより、関連するフェーズドアレイ・アンテナ・システムの金属化を容易にし、金属化プロセスにより第1のアンテナトランス素子102の形状に形成される誘電体材料の実質的に全面に単一導電材料を形成することができる。また、第1のアンテナトランス素子102の側壁に複数孔112を形成することにより、関連するフェーズドアレイ・アンテナ・システムを形成するための単一導電材料がより少なくなり、その結果、関連するフェーズドアレイ・アンテナ・システムの重量が減少する。なお、概略図100は、第1のアンテナトランス素子102が複数孔112を含むように形成されることを示しているが、関連するフェーズドアレイ・アンテナ・システムの全てのアンテナトランス素子を実質的に同様に形成することができ、図1の例におけるフェーズドアレイ・アンテナ・システム10において示されるものと同様に、全てのアンテナトランス素子が複数孔112を含むことができる。
【0018】
図3の例では、アンテナトランス素子102,104の各々は、アンテナトランス素子102,104の間における同軸接続の相互接続に関連付けられた給電部116を含む。図3の例では、この同軸接続は、第2のコネクタ110と第1のアンテナトランス素子102との間に示されている。この同軸接続は信号導体118を含む。この信号導体118は、第2のコネクタ110と、グランドプレーン106と、第2のアンテナトランス素子104とを貫通して延在することにより、第2のアンテナトランス素子104の側壁から出て、第1のアンテナトランス素子102の側壁に導電結合されるように延在している。このため、信号導体118は、第1のアンテナトランス素子102を除いて、フェーズドアレイ・アンテナ・システムの他のどの部分にも直接的には導電結合されていない。むしろ、信号導体118は、同軸接続の内側導体に対応し、第2のアンテナトランス素子104とともに第2のコネクタ110およびグランドプレーン106は、同軸接続の外側導体に対応する。
【0019】
概略図100は、第2のアンテナトランス素子104を貫通する同軸接続の分解図120を示す。第2のアンテナトランス素子104は、信号導体118が第2のアンテナトランス104を貫通して延びることにより、その信号導体118を実質的に囲む導電部122を含み得る。この導電部122は、グランドプレーン106および第2のアンテナトランス素子104の側壁に導電結合されている。図3の例では、導電部122は、上述したように、金属化を容易にするための複数孔124を導電部122の長さに沿って有するものとして同様に示されている。従って、導電部122、すなわち第2のアンテナトランス素子104は、第2のコネクタ110と第1のアンテナトランス素子102との間の同軸接続の外側導体を提供する。本明細書で詳細に説明されるように、第1および第2のアンテナトランス102,104の間に延在する信号導体118は、第1および第2のアンテナトランス102,104の間でスロットライン状の伝送線路モードを励振し得る。
【0020】
また、アンテナトランス素子102,104は、バラン部126およびスロットラインインピーダンストランス部128を含むように寸法決めされている。一例として、バラン部126に関するアンテナトランス素子102,104の寸法形状および配置は、それらアンテナトランス素子102,104が協働して、グランドプレーン106に対してアンテナトランス素子102,104の間にバラン空洞130を形成するように決定される。従って、バラン空洞130は、同軸接続(例えば、第2のコネクタ110とアンテナトランス素子104との間の同軸接続)と、信号導体118に対するそれぞれの信号エネルギーのスロットライン伝搬との間の信号エネルギーの遷移をもたらし得る。加えて、スロットラインインピーダンストランス部128に関するアンテナトランス素子102,104の寸法形状および配置は、それらアンテナトランス素子102,104が協働して、それらアンテナトランス素子102,104の間にトランス間隙132を形成するように決定される。このトランス間隙132は、自由空間のインピーダンス(例えば、約377Ω)に対して、信号導体118のスロットラインインピーダンス(例えば、約90Ω)のインピーダンスマッチングを提供するように構成される。このため、トランス間隙132は、信号導体118に供給される送信信号の信号エネルギーが第1および第2のアンテナトランス素子102に対して共振してフェーズドアレイ・アンテナ・システムから無線送信されるように、フェーズドアレイ・アンテナ・システムのフィードホーンとして機能することができる。同様に、第1および第2のアンテナトランス素子102,104は、受信した無線信号のエネルギーに関して共振させることにより、信号導体118に信号エネルギーを供給して受信信号を(例えば、復調器に)伝搬することができる。
【0021】
図4は、フェーズドアレイ・アンテナ・システムの一部の別の例示的な概略図150を示す。この概略図150は、第1のアンテナトランス素子102や第2のアンテナトランス素子104とともに、グランドプレーン106の一部、第1のコネクタ108、および第2のコネクタ110を示す。図4の例では、第2のコネクタ110には信号SIGΦ1が供給される。信号SIGΦ1は、それぞれフェーズドアレイ・アンテナ・システムから送信するための所与の位相を有する変調信号とすることができる。信号SIGΦ1は、信号導体118、すなわち第2のコネクタ110と第1のアンテナトランス素子102との間の同軸接続を介して信号導体118内を伝搬する。このため、第1および第2のアンテナトランス素子102,104の間のバラン空洞130は、それら第1および第2のアンテナトランス素子102,104の間に延在する信号導体118の部分で、その同軸接続と信号SIGΦ1のスロットライン伝搬との間の信号エネルギーの遷移をもたらす。また、トランス間隙132は、信号SIGΦ1の信号エネルギーが第1および第2のアンテナトランス素子102,104に対して共振してフェーズドアレイ・アンテナ・システムから無線信号152として無線送信されるように、自由空間のインピーダンスに対して信号導体118の部分で伝搬する信号SIGΦ1のスロットラインインピーダンスのインピーダンスマッチングをもたらす。
【0022】
また、概略図150は、第1のコネクタ108に供給される信号SIGΦ2も示す。一例として、信号SIGΦ2は、それぞれフェーズドアレイ・アンテナ・システムから送信するための所与の位相を有する変調信号とすることができる。信号SIGΦ2の所与の位相は、信号SIGΦ1の位相とは異なり得る。このため、信号SIGΦ2は、第1のアンテナトランス素子102に関連付けられた信号導体154を伝搬して、第1のアンテナトランス素子102と、その第1のアンテナトランス素子102に隣接する他のアンテナトランス素子(図示せず)との間のトランス間隙から同様にして送信される。
【0023】
概略図100,150では、それぞれの信号導体118,154がX方向に沿って延在するものとして示されているが、第1および第2のアンテナトランス素子102,104はアレイ内の単に2つのアンテナトランス素子に過ぎないことが理解され得る。従って、それぞれフェーズドアレイ・アンテナ・システムは、グランドプレーン106の面上においてXZアレイ内に配置された更なるアンテナトランス素子を含み得るものであり、それぞれのコネクタはアレイ内の各アンテナトランス素子に関連付けられる。一例として、第1および第2のアンテナトランス素子102,104の各々は、第1および第2のアンテナトランス素子102,104と、+/−Z方向に隣接する追加のアンテナトランス素子との間において、Z方向に延在する追加の信号導体を含み得る。このため、無線信号152は、X方向における信号導体118の延長部分に基づいてX方向に偏波される一方、Z方向に延在する更なる信号導体は、図2の例で上述した説明と同様に、Z方向におけるそれぞれの無線信号の偏波を同様にもたらし得る。また、図2の例で上述したように、第1および第2のアンテナトランス素子102,104は、それぞれ第1および第2のコネクタ108,110のみを含むものとして示されているが、第1および第2のアンテナトランス素子102,104は各々、Z方向に延びる信号導体のための別個のコネクタを含み得ることが理解され得る。あるいは、コネクタ108,110は、信号導体118,154がZ方向に延びる信号導体と導電結合され得るように、Z方向に延びる信号導体に関連付けられ得る。
【0024】
上述の構造的および機能的特徴を考慮して、本発明の様々な態様による方法は、図5を参照することによってより良く理解され得る。説明の簡略化のために、図5の方法は、連続的に実行されるものとして示され記載されているが、本発明は、図示された順序によって限定されるものではなく、本発明によれば、いくつかの態様は、異なる順序で生じ得ること、および/または図示され記載された態様とは別の態様と同時に生じ得ることが理解され得る。さらに、本発明の一態様による方法を実施するために図示された特徴の全てが必要とされるわけではない。
【0025】
図5は、フェーズドアレイ・アンテナ・システム(例えば、フェーズドアレイ・アンテナ・システム10)を形成する方法200の一例を示す。202では、付加製造プロセスでグランドプレーン(例えば、グランドプレーン12)が形成される。204では、付加製造プロセスにより、グランドプレーンの第1面上に複数のアンテナトランス素子(例えば、アンテナトランス素子14)がアレイ状に形成される。206では、付加製造プロセスにより、第1面とは反対側であるグランドプレーンの第2面上に複数のコネクタ(例えば、コネクタ56)が形成される。各コネクタは、信号(例えば、信号SIGΦ1)を伝搬するように構成された信号導体(例えば、信号導体56)を含み得る。付加製造プロセスにより、グランドプレーン、複数のアンテナトランス素子、および複数のコネクタを、フェーズドアレイ・アンテナ・システムに対応する単一のモノリシック構造として形成可能であり、このフェーズドアレイ・アンテナ・システムは、グランドプレーンと、複数のアンテナトランス素子と、複数のコネクタとの間に導電接続性をもたらす単一導電材料からなる。
【0026】
上記説明は本発明の例示であり、当然のことながら、本発明を説明する目的で構成要素または方法の考えられるすべての組み合わせを説明することは不可能であって、当業者であれば、本発明の多くのさらなる組み合わせや置換が可能であることを認識し得る。従って、本発明は、添付の特許請求の範囲を含む本出願の範囲内に含まれるそのような変更、修正、および変形をすべて包含することが意図されている。
本開示に含まれる技術的思想を以下に記載する。
(付記1)
単一導電材料のモノリシック構造として形成されるフェーズドアレイ・アンテナ・システムであって、
グランドプレーンと、
前記グランドプレーンの第1面に導電結合され、アレイ状に形成された複数のアンテナトランス素子と、
前記第1面とは反対側である前記グランドプレーンの第2面に形成されるとともに導電結合され、前記複数のアンテナトランス素子のそれぞれとの間で無線周波数信号を伝搬するように構成された複数のコネクタと、
を備えるフェーズドアレイ・アンテナ・システム。
(付記2)
前記複数のアンテナトランス素子は、前記グランドプレーンに対して前記複数のアンテナトランス素子のそれぞれの対の間にバラン空洞を形成するとともに、前記複数のアンテナトランス素子のそれぞれの対の間にトランス間隙を形成して自由空間に対するインピーダンスマッチングを提供する寸法を有する、付記1に記載のフェーズドアレイ・アンテナ・システム。
(付記3)
前記複数のアンテナトランス素子の各々は、前記グランドプレーンからそれぞれ離間する方向に各々延びる複数の側壁を含み、前記複数の側壁の各々は、それぞれの当該側壁を貫通する複数孔のパターンを含む、付記1に記載のフェーズドアレイ・アンテナ・システム。
(付記4)
前記複数のコネクタの各々は、前記複数のアンテナトランス素子のうちの1つに関連付けられており、
前記複数のコネクタの各々は、前記単一導電材料からなる信号導体を含み、前記信号導体は、前記複数のアンテナトランス素子のうちの前記関連付けられた1つの下方において前記第1面から前記第2面まで前記グランドプレーンを貫通して延びている、付記1に記載のフェーズドアレイ・アンテナ・システム。
(付記5)
前記信号導体は、前記複数のアンテナトランス素子のうちの前記関連付けられた1つを貫通して延びるとともに、前記複数のアンテナトランス素子のうちの前記関連付けられた1つと前記複数のアンテナトランス素子のうちの隣接する1つとの間の自由空間内に延びて前記信号導体と前記複数のアンテナトランス素子のうちの前記関連付けられた1つと前記隣接する1つとの間で励振相互作用をもたらすことにより前記無線周波数信号を無線で送受信する、付記4に記載のフェーズドアレイ・アンテナ・システム。
(付記6)
前記信号導体は、前記複数のアンテナトランス素子のうちの前記関連付けられた1つと前記複数のアンテナトランス素子のうちの隣接する第1のアンテナトランス素子との間の自由空間内において第1の方向に延びる第1の信号導体であり、
第2の信号導体が、前記複数のアンテナトランス素子のうちの前記関連付けられた1つと前記複数のアンテナトランス素子のうちの隣接する第2のアンテナトランス素子との間の自由空間内において第2の方向に延びており、
前記第2の方向が、前記無線周波数信号のそれぞれ第1および第2の直交偏波をもたらすように前記第1の方向に対して直交している、付記5に記載のフェーズドアレイ・アンテナ・システム。
(付記7)
前記信号導体は、前記複数のアンテナトランス素子のうちのそれぞれ1つと前記複数のアンテナトランス素子のうちの隣接する1つとの間において同軸接続の内側導体として設けられており、前記複数のアンテナトランス素子のうちの前記関連付けられた1つは、前記同軸接続の外側導体として設けられている、付記5に記載のフェーズドアレイ・アンテナ・システム。
(付記8)
前記複数のアンテナトランス素子のうちの前記関連付けられた1つは、前記信号導体が前記複数のアンテナトランス素子のうちの前記関連付けられた1つを貫通して延びることにより、前記信号導体を実質的に囲む、前記グランドプレーンに対する導電結合部を含み、前記導電結合部が前記同軸接続の前記外側導体に相当する、付記7に記載のフェーズドアレイ・アンテナ・システム。
(付記9)
前記グランドプレーン、前記複数のアンテナトランス素子、および前記複数のコネクタは、前記グランドプレーン、前記複数のアンテナトランス素子、および前記複数のコネクタを前記モノリシック構造として形成するための付加製造プロセスからなる、付記1に記載のフェーズドアレイ・アンテナ・システム。
(付記10)
前記モノリシック構造は、前記付加製造プロセスを介して誘電体材料により形成され、前記単一導電材料が、金属化プロセスを介して前記誘電体材料上に形成される、付記9に記載のフェーズドアレイ・アンテナ・システム。
(付記11)
フェーズドアレイ・アンテナ・システムを形成する方法であって、
前記フェーズドアレイ・アンテナ・システムを形成するように構成された付加製造機に前記フェーズドアレイ・アンテナ・システムに関する寸法データをロードすること、
前記フェーズドアレイ・アンテナ・システムを単一導電材料のモノリシック構造として前記付加製造機により形成すること、
を備え、前記フェーズドアレイ・アンテナ・システムが、グランドプレーンと、前記グランドプレーンの第1面上に配置された複数アンテナトランス素子のアレイと、前記第1面とは反対側である前記グランドプレーンの第2面上に形成された複数のコネクタとを含み、前記複数のコネクタが、前記複数アンテナトランス素子のアレイのそれぞれのアンテナトランス素子との間でそれぞれの信号の部分を伝搬するように構成されている、方法。
(付記12)
前記フェーズドアレイ・アンテナ・システムを形成することは、前記付加製造機により誘電体材料から前記フェーズドアレイ・アンテナ・システムを形成することを含み、
金属化プロセスを介して前記誘電体材料上に前記単一導電材料を形成することをさらに備える付記11に記載の方法。
(付記13)
前記複数アンテナトランス素子の各々は、前記グランドプレーンからそれぞれ離間する方向に各々延びる複数の側壁を含み、前記複数アンテナトランス素子を形成することは、前記複数アンテナトランス素子の各々の前記複数の側壁の各々を貫通する複数孔のパターンを形成することを含む、付記12に記載の方法。
(付記14)
前記フェーズドアレイ・アンテナ・システムを形成することは、前記付加製造機により前記単一導電材料から前記フェーズドアレイ・アンテナ・システムを形成することを含む、付記11に記載の方法。
(付記15)
前記フェーズドアレイ・アンテナ・システムを形成することは、
前記グランドプレーンに対して前記複数アンテナトランス素子のそれぞれの対の間にバラン空洞を形成すること、
前記複数アンテナトランス素子のそれぞれの対の間にトランス間隙を形成して自由空間に対するインピーダンスマッチングを提供すること、
を含む、付記11に記載の方法。
(付記16)
前記フェーズドアレイ・アンテナ・システムを形成することは、
前記複数のコネクタの各々に関連付けられ、前記グランドプレーンと前記複数アンテナトランス素子のうちの関連付けられた1つを貫通して延びるとともに、導電結合される前記複数アンテナトランス素子のうちの前記関連付けられた1つから前記複数アンテナトランス素子のうちの隣接する1つまでの間の自由空間内を延びる信号導体を形成することを含む、付記11に記載の方法。
(付記17)
前記フェーズドアレイ・アンテナ・システムを形成することは、
前記複数アンテナトランス素子のうちの前記関連付けられた1つを、前記複数のコネクタのそれぞれ1つから前記複数アンテナトランス素子のうちの前記隣接する1つまでの同軸接続の外側導体として形成することを含み、前記信号導体は、前記同軸接続の内側導体として形成されている、付記16に記載の方法。
(付記18)
フェーズドアレイ・アンテナ・システムであって、
グランドプレーンと、
前記グランドプレーンの第1面に導電結合され、アレイ状に形成された複数のアンテナトランス素子であって、前記複数のアンテナトランス素子の各々は、前記グランドプレーンに対して前記複数のアンテナトランス素子のそれぞれの対の間にバラン空洞を形成するとともに、前記複数のアンテナトランス素子のそれぞれの対の間にトランス間隙を形成して自由空間に対するインピーダンスマッチングを提供するような寸法を有する、前記複数のアンテナトランス素子と、
前記第1面とは反対側である前記グランドプレーンの第2面に形成されるとともに導電結合され、前記複数のアンテナトランス素子のそれぞれとの間で無線周波数信号を伝搬するように構成された複数のコネクタと、
前記複数のコネクタと前記複数のアンテナトランス素子との間の複数の同軸接続であって、前記複数のコネクタの各々は、前記複数のアンテナトランス素子のうちの1つに関連付けられており、単一導電材料からなる信号導体を前記複数の同軸接続のそれぞれの内側導体として含み、前記信号導体は、前記複数の同軸接続のそれぞれの外側導体に相当する前記複数のアンテナトランス素子のうちの前記関連付けられた1つから、前記複数のアンテナトランス素子のうちの隣接する1つまで貫通して延びている、前記複数の同軸接続と、
を備え、
前記フェーズドアレイ・アンテナ・システムは、単一導電材料のモノリシック構造として形成されている、フェーズドアレイ・アンテナ・システム。
(付記19)
前記複数の同軸接続のそれぞれ1つに関連付けられた前記信号導体は、前記複数のアンテナトランス素子のうちの前記関連付けられた1つと、前記複数のアンテナトランス素子のうちの前記隣接する1つとの間の自由空間内に延びて、前記信号導体と前記複数のアンテナトランス素子のうちの前記関連付けられた1つと前記隣接する1つとの間で励振相互作用をもたらすことにより前記無線周波数信号を無線で送受信する、付記18に記載のフェーズドアレイ・アンテナ・システム。
(付記20)
前記信号導体は、前記複数のアンテナトランス素子のうちの前記関連付けられた1つと前記複数のアンテナトランス素子のうちの隣接する第1のアンテナトランス素子との間の自由空間内において第1の方向に延びる第1の信号導体であり、
第2の信号導体が、前記複数のアンテナトランス素子のうちの前記関連付けられた1つと前記複数のアンテナトランス素子のうちの隣接する第2のアンテナトランス素子との間の自由空間内において第2の方向に延びており、
前記第2の方向が、前記無線周波数信号のそれぞれ第1および第2の直交偏波をもたらすように前記第1の方向に対して直交している、付記19に記載のフェーズドアレイ・アンテナ・システム。
図1
図2
図3
図4
図5