特許第6574306号(P6574306)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6574306
(24)【登録日】2019年8月23日
(45)【発行日】2019年9月11日
(54)【発明の名称】光ファイバ端子アダプタ
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/42 20060101AFI20190902BHJP
   G02B 6/36 20060101ALI20190902BHJP
【FI】
   G02B6/42
   G02B6/36
【請求項の数】14
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2018-513743(P2018-513743)
(86)(22)【出願日】2016年5月27日
(65)【公表番号】特表2018-520390(P2018-520390A)
(43)【公表日】2018年7月26日
(86)【国際出願番号】US2016034599
(87)【国際公開番号】WO2016191664
(87)【国際公開日】20161201
【審査請求日】2018年1月29日
(31)【優先権主張番号】62/167,672
(32)【優先日】2015年5月28日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517415861
【氏名又は名称】コッツワークス エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ロッシ、ニック
(72)【発明者】
【氏名】アルテミ、オイゲン
(72)【発明者】
【氏名】アップルバウム、ケン
【審査官】 佐藤 宙子
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2014/0334778(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0186934(US,A1)
【文献】 実開昭61−073107(JP,U)
【文献】 実開昭59−189611(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0297725(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/24
G02B 6/255−6/27
G02B 6/30 −6/34
G02B 6/36 −6/43
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングの第1の端部における第1の開口部と前記ハウジングの第2の端部における第2の開口部との間に延伸する長手方向通路を有する前記ハウジングであって、光ファイバレセプタクル内にフィットしたサイズを有する前記ハウジングと;
前記ハウジング内の光ファイバ終端を保持するように構成された、前記ハウジングの前記長手方向通路内の偏向可能な部材と;
前記ハウジングと接続し、前記ハウジングの前記レセプタクルからの分離を防止するために前記光ファイバレセプタクル内の保持ノッチ内にフィットしたサイズを有するロック部材と、
を備え
前記偏向可能な部材は、前記終端によって保持された光ファイバフィラメントの先端を、前記光ファイバレセプタクルによって保持された光学部品と光学的に接触させるために、前記終端の後方停止部として機能する、
光ファイバアダプタ。
【請求項2】
前記偏向可能な部材は、前記終端が前記長手方向通路へ挿入された際、前記終端によって半径方向外向きに付勢されるように構成された1つ以上の内側に偏向された偏向可能なフィンガを含む、請求項1に記載の光ファイバアダプタ。
【請求項3】
前記フィンガは、前記終端が前記長手方向通路を通って移動した際、前記終端が前記アダプタから取り外されるのを防止するように、前記終端の後方レッジと係合するように半径方向内向きに移動するように構成される、請求項に記載の光ファイバアダプタ。
【請求項4】
前記ハウジングは、前記長手方向通路の輪郭を定める内壁と、前記内壁のスロットとを含み、
前記偏向可能な部材は、前記偏向可能な部材を前記長手方向通路に固定するために、前記スロットと接続する、
請求項1〜のいずれか1項に記載の光ファイバアダプタ。
【請求項5】
前記偏向可能な部材は、前記スロット内へスナップ嵌めするC字型クリップである、請求項に記載の光ファイバアダプタ。
【請求項6】
前記ロック部材は、前記ハウジングとは別個の部品である、請求項1〜のいずれか1項に記載の光ファイバアダプタ。
【請求項7】
前記光ファイバ終端と前記光ファイバレセプタクル内の光学部品との間の光路を封止するために、前記ハウジングに固定されたシール部材をさらに含む、請求項1〜のいずれか1項に記載の光ファイバアダプタ。
【請求項8】
前記シール部材の一部は、前記長手方向通路内に配置され、
前記シール部材の一部は、前記第1の開口部を通って前記ハウジングの前記第1の端部を通過して延伸する、
請求項に記載の光ファイバアダプタ。
【請求項9】
前記シール部材の一部は、前記ハウジングに設けられ前記第1の開口部に対して垂直方向に延伸する第3の開口部へ、前記ハウジングの前記長手方向通路の半径方向外向きに延伸する、請求項に記載の光ファイバアダプタ。
【請求項10】
前記ロック部材を前記ハウジングに固定する固定部材をさらに含む、請求項1〜のいずれか1項に記載の光ファイバアダプタ。
【請求項11】
前記ハウジングと前記ロック部材の各々は、前記ロック部材を前記ハウジングに固定するために、前記固定部材を受け入れる、他と整列するように構成された開口部を含む、請求項10に記載の光ファイバアダプタ。
【請求項12】
前記ロック部材は、前記固定部材のヘッドを収容するための凹部を含む、請求項10又は11に記載の光ファイバアダプタ。
【請求項13】
前記長手方向通路は、前記光ファイバ終端の半径方向外向きに延伸する部材のためのガイドとして機能するために、前記通路の長さに沿って少なくとも部分的に延伸する1つ以上のノッチを含む、請求項1〜12のいずれか1項に記載の光ファイバアダプタ。
【請求項14】
固定部材をさらに備え、
前記ロック部材、前記固定部材、及び前記ハウジングは、互いに拘束されている、請求項1〜のいずれか1項に記載の光ファイバアダプタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2015年5月28日に出願された米国仮特許出願第62/167,672号の利益を主張し、その開示はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
軍用、商業用アビオニクス、及び産業用ネットワーク機器メーカは、様々な通信アプリケーションに光ファイバコンポーネントを採用している。通信アプリケーションに一例としては、制御システムとセンサ又は他のデータ収集デバイスとの間の動作可能な通信リンクを生成することが挙げられる。光ファイバリンクの使用は、既存の電気配線(例えば、「銅」)アーキテクチャを置き換えるためにしばしば行われる。光ファイバリンクは、より高速で、電磁干渉(EMI)性能が向上し、重量が軽く、密度を高くすることができる。光ファイバリンクの他の利点は、複数の光伝播モードを使用するより高いデータ容量を含むことである。さらに、光ファイバケーブル自体はプロトコルに依存しない。従って、光ファイバケーブルを交換することなくシステムのアップグレードを行うことができる。
【背景技術】
【0003】
ほとんどの光ファイバ製品は、通信市場向けに設計されている。しかしながら、これらの製品は、過度の振動、衝撃、破片が存在する過酷な動作環境において、光ファイバシステムに悪影響を与える環境要因に耐えるのに十分に頑丈ではない。
【0004】
光ファイバシステムにおける脆弱な箇所は、光ファイバケーブルと能動的デバイス(例えば、光トランシーバ、光トランスミッタ、光レシーバ、又は光ファイバケーブルと直接的に接続(interface)するセンサ)との間のインタフェースである。このインタフェースを改善するために、光ファイバピグテール(pigtail)が一般的に使用される。ピグテールは、一般的に、接着剤を使用して、光ファイバケーブルの終端部(又は、そのためのコネクタ)を能動的デバイスに永久的に固定することによって達成される。従来のピグテールは、製造上及びサービス上の問題を引き起こす。例えば、従来のピグテールを設置した後、光ファイバケーブル、能動的デバイス、又は能動デバイスと相互接続された電子機器に問題が生じた場合、接着剤に依拠しているピグテールを効果的に切断することができないことから、システム全体を交換しなければならない。
【発明の概要】
【0005】
「LC」レセプタクル(小さなコネクタ又はルーセントコネクタをショート(short)させるLC)と、ARINC801ターミナルのような終端とを光学的及び機械的に結合する光損失を導くことのないインライン組込みアダプタを提供するために、終端の確実な保持を提供しつつ、レセプタクルへの分離可能な機械的接続を提供するアダプタを開示する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、ロック式光ファイバ終端アダプタ(locking fiber optic terminus)及び調整レセプタクルの代表的な実施形態の分解斜視図である。
図2図2は、調整用レセプタクルを用いて組み立てられたロック式光ファイバ終端アダプタの斜視図である。
図3図3は、光ファイバ終端、及び、調整用レセプタクルを用いて組み立てられたロック式光ファイバ終端アダプタの斜視図である。
図4図4は、図3の線4−4に沿った、終端、アダプタ及びレセプタクルの断面図である。
図5図5は、アダプタを用いて組み立てられた光ファイバ終端、及び、調整レセプタクルを用いて組み立てられたアダプタの斜視図である。
図6図6は、図5の線6−6に沿った、終端、アダプタ及びレセプタクルの断面図である。
図7図7は、デフォルト状態の、ロック式光ファイバ終端アダプタの他の代表的な実施形態の斜視図である。
図8図8は、図7の線8−8に沿ったアダプタの断面図である。
図9図9は、ロック状態のロック式光ファイバ終端アダプタの斜視図である。
図10図10は、図9の線10−10に沿ったアダプタの断面図である。
図11図11は、アダプタ及び協調レセプタクルの斜視図である。
図12図12は、調整レセプタクルに挿入された、デフォルト状態のアダプタの斜視図である。
図13図13は、調整レセプタクルを用いて組み立てられたアダプタの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
A.定義
本明細書で使用される場合、用語「光ファイバケーブル」は、緩衝された又はジャケット付きのフィラメントを含むケーブルを指す。フィラメントは、典型的には、プラスチック又はガラスから形成され、典型的にはデータ通信の目的のために、一方の端部から他方の端部へフィラメント内を光が伝搬する。
【0008】
本明細書で使用される「光トランスミッタ」という用語は、典型的には、レーザ又は発光ダイオード(LED)を用いて、電気信号を光信号に変換する能動的デバイスを指す。
【0009】
本明細書で使用される場合、用語「光レシーバ」は、光入力信号を電気出力信号に変換する能動的デバイスを指す。
【0010】
本明細書で使用される場合、用語「光ファイバトランシーバ」は、光トランスミッタ及び光レシーバの両方として機能する能動的なデバイスを指す。
【0011】
本明細書で使用する「プラグで接続可能(pluggable)」という用語は、挿入、及び/又は、引き抜きのためのツール(ユーザの手以外)の使用を伴わない取り外し可能なインタフェースを指す。典型的には、プラグで接続可能なインタフェースは、少なくとも部分的にメス部品に挿入されるオス部品を含む。
【0012】
本明細書で使用する「分離可能」という用語は、挿入、及び/又は、引き抜きのための1つ以上のツールの使用を含む取り外し可能なインタフェースを指す。典型的には、分離可能なインタフェースは、少なくとも部分的にメス部品に挿入されるオス部品を含む。
【0013】
本明細書で使用する「ピグテール」という用語は、取り外し不可能な接着剤等の、能動的な光学部品(例えば、光トランスミッタ又は光レシーバ)に対する受動的な光ファイバケーブルのインタフェースを指す。
【0014】
B.分離可能なロック式光ファイバアダプタ
図1及び図2を参照すると、分離可能なロック式光ファイバアダプタ10及びLCレセプタクル12の代表的な実施形態が示されている。図は、必ずしも実際のスケールで示されていない。1つの実施形態に関して記載、及び/又は、図示される特徴は、1つ以上の他の実施形態において同一の方法又は同様の方法で使用することができ、及び/又は、他の実施形態の特徴と組み合わせて、又はその代わりに使用されることができる。
【0015】
光ファイバアダプタ10は、アダプタ本体20(本明細書ではハウジングとも呼ぶ)、タング(tongue)22(ロック部材とも呼ぶ)、ガスケット24(シール部材とも呼ぶ)、固定部材26(例えば、図示された実施形態では、ねじによって表される締結具)、及び、ばねクリップ28(図4に示す)を含む。
【0016】
当業者であれば、技術者が、光ファイバケーブルの終端接続アセンブリ(terminal end connceting assembly)に用語「終端」を使用し、他の技術者が、同一又は同様の接続アセンブリに用語「コネクタ」を使用することが理解することができる。これは主に用途に依存する(例えば、電気通信の技術者は一般的にコネクタという用語を使用し、軍事分野及び航空分野の技術者は一般に用語終端を使用する)。本明細書においては、用語コネクタと用語終端は同一の意味を持つ。
【0017】
アダプタ10は、LCレセプタクル12の形状と協調し、且つ、フィット(fit)するような大きさ及び形状を有する。従って、アダプタ10は、分離可能なインタフェースのオス部品と考えることができ、レセプタクル12は、分離可能なインタフェースのメス部品と考えることができる。レセプタクル12は、光学部品32(図4に示す)のためのハウジング30によって輪郭が定められる。以下に詳細に説明するように、アダプタ10によって保持された光ファイバ終端36のフェルール(ferrule)34(図3に示す)は、光学部品32と接続(interface)する。光学部品32は、上述したような能動的なデバイス又は受動的な光素子(例えば、別の光ファイバケーブル又は光カプラ)であることができる。ハウジング20は、レセプタクル12に対して、ハウジング20の長手方向軸を横断する(例えば、直交する)方向においてほとんど移動することがない又は移動することがないように、レセプタクル12で半径方向において安定している(例えば、アダプタ本体20は、レセプタクル12の横方向及び垂直方向に、レセプタクル12に対してほとんど移動しない又は移動しない)。また、ハウジング20は、レセプタクル12に対してほとんど回転運動することがない又は回転運動することがないように、レセプタクル12に対して回転方向において安定している。ほとんど動かないとは、製造システム、軍用又は民間航空機(飛行機及びヘリコプター)、船舶又は陸上車両、又は同様の環境で経験される振動及び衝撃のような極端な機械的ストレスの間において、光システムの動作を中断させる量よりも少ない動きのことを指す。
【0018】
ロック部材22は、アダプタがレセプタクル12に対して後方移動をしない又はほとんどしないように、アダプタ10に対する軸方向(例えば、ハウジング20の長手方向軸に沿って)の安定性を提供する。少なくとも、ハウジング30のラッチ領域チャンバ(latch area chamber)42にフィットするロック部材22の一部40は、チャンバ42の後方ショルダ壁(rearward shoulder wall)44と接触する。いくつかの場合においては、一部40とチャンバ42との相対的なサイズに応じて、ロック部材22は、アダプタがレセプタクル12に対して前方へ移動しない又はほとんど移動しないように、アダプタ10に対する軸方向の安定性を提供する。
【0019】
シール部材24は、光ファイバ終端36のフェルール34とハウジング30内に位置する光学部品32との間の光路を封止する環境シール部材である。シール部材24は、任意の適切な方法で、アダプタ本体20の終端に固定される。例えば、シール部材24は、図6に良く示されるように、シール部材24の大部分が、本体20内に配置され、シール部材24の一部が本体20の端部を通過して、一部が、本体20内の1つ以上の開口部50へ半径方向外向きに延伸するように、本体20上にオーバーモールドされてもよい。シール部材24は、汚染(例えば、ほこり、湿気、油、作動油等)が光路に入り、光システムの動作を妨げる可能性を最小にする。
【0020】
固定部材26は、ロック部材22をハウジング20に固定し、アダプタ10とレセプタクル12との間の分離可能なインタフェース(接続)を可能にする。固定部材26(図示の実施形態ではねじ)、ロック部材22及びハウジング20のそれぞれは、コネクタ10とレセプタクル12との間のインタフェース(接続)と確立するために組み立てられた分離可能な部品である。別の実施形態では、固定部材26は、ロック部材22と結合された固定ねじ(captive screw)である。他の例示的な固定部材26は、リベットに限定されるものではなく、ハウジング20に締め付け圧入される(interference press fit)部材、スエージされた(swage)素子、接着剤等を含む。一実施形態においては、ロック部材22は、ハウジング20内で調整レセプタクル54によって受け入れられる整列及び強化ポスト52を含む。図示された実施形態では、ハウジング20内のねじ切りされた開口部56が固定部材26を受け入れる。ねじ切りされた開口部56は、ロック部材22に対して係合するアダプタ本体の表面から、ハウジング20をとおって延伸する長手方向通路58(図4に示す)まで延伸する貫通孔として示される。この実施形態においては、固定部材26は、光ファイバ終端36との接触および干渉を回避するのに十分に短い。他の実施形態においては、開口部56は、ブラインド開口部(blind opening)である。
【0021】
図3及び図4に示すように、ARINC801終端であることができる光ファイバ終端36は、1つ以上の、フェルール34、終端本体60(本明細書においてはハウジングとも呼ぶ)、圧着リング(crimp ring)62(圧着スリーブ(crimp sleeve)とも呼ぶ)、ばね64、光ファイバ強度部材(fiber strength member)66、及び光ファイバケーブル68を含むことができる。
【0022】
圧着スリーブ62は、光ファイバ強度部材66に圧着領域を提供する(光ファイバケーブル68の一部であれば)。強度部材66は、例えば、光ファイバケーブル68の光ファイバフィラメント70を取り囲むKEVLARファイバであってもよい。光ファイバケーブル68の典型的な構成においては、光ファイバケーブル68は、コア及びクラッド(cladding)を含み、1つ以上のコーティング層72によって被覆された光ファイバフィラメント70を含む。図示された実施形態においては、コーティング72は、光ファイバフィラメント70から部分的に剥がされている。光ファイバケーブル68の典型的な構成においては、光ファイバケーブル68は、被覆された光ファイバフィラメント70をとり囲む強度部材66と、さらに強度部材66を取り囲む1つ以上のジャケット層74(ジャケットとも呼ぶ)とを含む。
【0023】
終端本体60は、ばね64の機械的停止部として機能し、光ファイバフィラメント70に対する弾性力の発生を容易にする、内側ショルダ(inner shoulder)76を有する。また、終端本体60は、圧着スリーブ62が圧着される面を提供する。強度部材66は、存在する場合には、終端本体60と圧着スリーブ62との間に結合されてもよい。
【0024】
ばね64は、フェルール34を前方向(forward)に付勢する。前方向とは、光ファイバケーブル68の長手方向軸に沿って光学部品32に向かう方向を指す。フェルール34は、フィラメント70、及び/又は、コーティング72に接続される(例えば、接着剤によって)。従って、ばね64の作用により、フィラメント70の先端が前方へ負性され、ハウジング30内にある光学部品32と動作可能に接触する。ばね64は、これらの部品の確実な動作可能な接続のための適切な力を提供する。ばね64は、終端本体62のそれぞれのスロット82を通って移動する1つ以上の半径方向外向きに延伸する部材80の後方表面となることができる、フェルール34の後方表面78に対して作用する。1つの実施形態においては、フェルール34は、フィラメント70を取り囲むスリーブ部分84と、半径方向外向きに延在する部材80を有するリング部分86とを有する一体構造である。他の実施形態においては、リング部分86は、スリーブ部分84とは別個の構成部品である。
【0025】
ばねクリップ28は、長手方向通路58内に固定され、光ファイバ終端36が長手方向通路58を通って挿入された際に、終端本体60によって半径方向外向きに付勢されるように構成された、1つ以上の内側に偏向された偏向可能なフィンガ90を含む。本体60が通路58を通って移動すると、フィンガ90は、半径方向内向きに移動して、終端本体60の後方レッジ(rearward ledge)92と係合する。レッジ92は、光ファイバ終端36がアダプタ10から取り外されるのを防止する停止部(stop)ストップとして機能する。さらに、ツールを使用して、フィンガ90をレッジ92から外すことができ、終端本体60をアダプタ10から取り外すことを可能にする。ばねクリップ28は、通路58内にばねクリップを固定するために、通路58の輪郭を定めるハウジング20の内壁の、スロット94にスナップ嵌めするC字形クリップであることができる。
【0026】
図3〜6を参照すると、アダプタ10及びLCレセプタクル12のための例示的な組み立てプロセスは、ハウジング20をハウジング30内に配置することを含むことができる。次に、ロック部材22をハウジング30の保持ノッチ100に挿入する。ロック部材22は、固定部材26を使用してハウジング20に固定される(例えば、固定部材26を開口部56内にねじ込む)。次いで、光ファイバ終端36は、終端36がばねクリップ28によって通路58内に固定され、フェルール34が光学部品32の穴(bore)に受け入れられるまで、ハウジング20の長手方向通路58を通って供給される。フェルール34は、ばね64に抗して移動され、光学部品32と動作可能に接触する。
【0027】
組み立ての結果は、光損失を導くことのないインライン組込みアダプタ(in−line embedded adapter)を確立し、アダプタ10とレセプタクル12との間の分離可能な機械的接続を確立することである。典型的なメス−メスアダプタ、オス−オスアダプタ、オス−メスアダプタ、及び、コネクタ/終端のタイプを変えるアダプタは、少なくとも1つの受動的な追加光学部品(例えば、ファイバ又はカップラ)と、光ファイバケーブルと光学部品32との間の光路内の関係するインタフェースとに組み込むことにより、光損失を導く。光ファイバ終端36とレセプタクル12との間の光学的及び機械的なインタフェースは、工業規格部品(例えば、LCレセプタクル及びARINC801終端)に基づいて、耐久化(ruggedize)される。加えて、組み立てプロセスは、光ファイバの結合において訓練された者にとって理解可能である。開示されたアダプタ10の態様は、LCレセプタクルとして説明されているが、限定されることはなく、MTコネクタ、SCコネクタ、FCコネクタ、又はSTコネクタ等の他の形態で用いられるものであってもよい。また、開示されたアダプタ10の態様は、二重アダプタ又は高次アダプタに拡張することができる。
【0028】
次に、アダプタ10の追加の態様及び詳細を説明する。アダプタ10は、ハウジングの第1の端部112における第1の開口部110とハウジングの第2の端部116における第2の開口部114との間に延伸する長手方向通路58を有するハウジング20を含む。通路58は、通路の長さに沿って少なくとも部分的に延伸する1つ以上のノッチ(notch)118を含み、終端が通路58を通って移動するとき、光ファイバ終端36の半径方向外向きに延伸する部材80のためのガイドとして機能する。ハウジング20は、光ファイバレセプタクル内にフィットしたサイズを有し、一実施形態においては、工業規格の光ファイバレセプタクル12である。ロック部材22は、ハウジング20とは別個の部品である。ロック部材22は、光ファイバレセプタクル12内の保持ノッチ100内にフィットしたサイズを有する。ロック部材22は、ハウジング20に固定された際、ハウジング20のレセプタクル12からの分離を防止するために保持ノッチ100と係合する。
【0029】
図示されるように、光ファイバアダプタ10は、固定部材26を含む。固定部材26は、一実施形態においては、ロック部材22をハウジング20に固定する締結具(fastener)の形態を持つ。固定部材26は、例えば、ハウジング20内のねじ切りされた調整開口部(coordinating threaded opening)と係合するねじ切りされた締結具であることができる。他の実施形態においては、ロック部材22は、ロック部材22をハウジング20に固定するために、ハウジング20内の調整受入れ開口部(coordinating receiveing opening)内に圧入(press fit)される固定部材26を含む。
【0030】
いくつかの実施形態においては、ロック部材22は、ハウジング20の調整開口部54内にフィットしたポスト(post)(例えば、整列及び強化ポスト52)を含む。ポスト52は、ロック部材22をハウジング20に固定する固定部材26に追加される。ロック部材22は、固定部材9の上面は、ロック部材22の上面を実質的に超えて半径方向に延伸しないように、固定部材26のヘッド(head)を収容するための凹部120(例えば、カウンターシンク(countersink))を含んでもよい。
【0031】
ある実施形態においては、レセプタクル12がLCレセプタクルであるものとして限定されるものではないが、保持ノッチ100は「T」字形である。「T」字型保持ノッチ100は、脚部122と、脚部122よりも広い矩形のヘッドチャンバ(head camber)42とを含む。脚部122は、レセプタクル12の開口部124からヘッドチャンバ42を離す間隔をあけ、当該間隔にはハウジング20が収まる。レセプタクル12の開口部124の近傍のヘッドチャンバ42の後方境界壁(rearward boundary wall)44は、ロック部材22と係合するショルダをみなすことができる。例えば、ロック部材22は、ヘッドチャンバ42内にフィットしたサイズを有し、ショルダ44と係合する。一実施形態においては、ロック部材22は、脚部122内にフィットした部分を有する必要はない。他の実施形態においては、ロック部材22は、ヘッドチャンバ42内にフィットし、且つ、ショルダ44と係合する第1の部分と、脚部122内にフィットする第2の部分とを含む。ショルダ44が、レセプタクル12に対してロック部材22の後方への移動を防止するために、ロック部材22のための機械的な停止部として機能することが理解される。ロック部材22がハウジング20に固定されているため、ショルダ44は、レセプタクル12に対して光ファイバアダプタ10の後方への移動を完全に防止するために、光ファイバアダプタ10のための機械的な停止部としてさらにみなすことができる。
【0032】
ハウジング20は、レセプタクル12と協調(coodinate)する断面の大きさ及び形状を有する。例えば、図示された実施形態においては、ハウジングは概して断面が矩形であり、その一側面側にメサ(mesa)130を含む。この実施形態においては、ロック部材22は、ハウジング20に固定された際、メサ130に係合する。メサ130の側面は、レセプタクル12内の光ファイバフィラメント70の光学アライメントがフェルール34を用いて達成されるように、挿入中にガイドされるようにレセプタクル12のアライメントガイド132に当接(abut)するように構成されている。一実施形態においては、メサ130は、アライメントガイド132と協調するスロットの輪郭を定め、ガイドは、スロットに緩くフィットする。
【0033】
図示されているように、光ファイバ終端36は、光ファイバケーブル68の光ファイバフィラメント70に固定されたフェルール34を含むことができる。ばねクリップ28を介して光ファイバアダプタ10に接続されると、フェルール34は、長手方向通路58内に部分に配置され、第1の端部112における第1の開口部110を通ってハウジング20から延伸する。
【0034】
光ファイバ終端36はさらに圧着スリーブ62を有してもよい。一実施形態においては、光ファイバケーブル68の強度部材66は、ジャケット層74、ハウジング20及び圧着スリーブ62の間に結合されている。光ファイバ終端36は、フェルール34の後方表面78と終端本体60の内側ショルダ76との間に挿入されたばね64を備える。この構成においては、ばね64は、光ファイバフィラメント70の先端を、第2の端部116から第1の端部112までのハウジング20の長手方向軸線に沿って、光学部品32へ向いた方向である前方向に付勢する。一実施形態においては、ハウジング20は、フェルール34の前方移動を制限しない。
【0035】
一実施形態においては、ロック部材22は、軍事又は産業環境での使用に起因する高レベルの衝撃及び振動を含む通常の条件下では変形しない。例えば、ロック部材22は、非弾性(例えば、変形可能なプラスチックラッチが従来のLCコネクタ用であるように、以前の位置又は形状に自由に戻ることができない)である。一実施形態においては、ロック部材22、及び/又は、ハウジング20は、アルミニウム、ステンレス鋼又は他の適切な金属のような金属で形成される。他の実施形態においては、ロック部材22、及び/又は、ハウジング20は、高密度プラスチックから形成される。
【0036】
一実施形態においては、アダプタ10は、ロック部材22をハウジング20から外し、ハウジング20をレセプタクル12からスライドさせることによって、レセプタクル12から分離することができる。このようにして、レセプタクル12(光学部品32を有する光ファイバケーブル68)を有するアダプタ10のインタフェース(接続)は、典型的には従来のLCレセプタクル内での接着剤による従来のピグテールのような永久的なものではない。
【0037】
レセプタクル12からのハウジング20の分離の防止は、弾性ラッチ部材なしに達成される。例えば、ハウジング20は、レセプタクル12と相互作用する、レセプタクル12に固定された、又はレセプタクル12に一体化された弾性ラッチ部材を含まない。
【0038】
一実施形態においては、光ファイバアダプタ10は、ハウジング20の第1の端部112と光学部品32との間、及び、フェルール34と光学部品32との間に環境封止を形成するシール部材24を含む。光学部品32は、例えば、能動的光学サブアセンブリ(例えば、送信光サブアセンブリ(TOSA)又は受信光サブアセンブリ(ROSA))、又は、受動的な光学部品(例えば、別の光ファイバケーブル)であることができる。
【0039】
デュプレックスアダプタは、光ファイバケーブル68ための2つの長手方向通路58を有するハウジング20と、関連する終端本体60と、少なくとも1つのロック部材22と、少なくとも1つの固定部材26とを含むことが理解されよう。
【0040】
図7図13を参照すると、アダプタ210の第2の例示的な実施形態が示されている。第1の例示的な実施形態の特徴に類似する第2の例示的な実施形態の特徴は、200番台の同一の参照番号が付されている。また、簡潔にするために、両方の例示的な実施形態において同一である様々な特徴の機能的及び構造的な態様の詳細は繰り返さない。
【0041】
図7及び図8に示すように、光ファイバアダプタ210は、アダプタ本体220(ここではハウジングとも呼ぶ)、タング22(ロック部材とも呼ぶ)、固定部材226(締結具とも呼ぶ)、及び、ばねクリップ228を含む。図示されていないが、上述のようにガスケットが設けられてもよい。ハウジング220は、ハウジングの第1の端部312における第1の開口部310とハウジングの第2の端部316における第2の開口部314との間に延伸する長手方向通路258を有する。通路258は、通路の長さに沿って少なくとも部分的に延伸する1つ以上のノッチ318を含む。
【0042】
ロック部材222、固定部材226、及びハウジング220は、互いに拘束されている。このようにして、ロック部材222、固定部材226、及びハウジング220は、固定部材226及びロック部材222の一方または両方を本体220から取り外すための意図的な努力なしには、互いに分解又は分離することができない。部品を分離するための意図的な努力は、アダプタ210が図11から図13に示された各段階の通常の動作条件において経験するものと比べて、はるかに異なる操作、及び/又は、はるかに大きな力を必要とすることが考えられる。
【0043】
図示した実施形態においては、メサ330は、ねじ切りされた開口部256の後方に、レセプタクル254と、メサ330の側面にスリップフィットチャネルのような1つ以上のチャネル340とを有する。レセプタクル254は、メサ330のトップで開口しており、ロック部材222のポスト252は、レセプタクル254内にフィットしている。ポスト252は、ポスト252がレセプタクル254にはめ込まれた後に、ピン342を受け入れる開口部を含み、ピン342は、係留アセンブリ(captive assembly)を形成するためにレセプタクル254内のポスト252を保持するような締まり嵌め(interference fit)によって、ポスト252内の開口部に保持される。ポスト252がレセプタクル254から外れるのを防止することは、固定部材226と開口部256の上部との相互作用である。
【0044】
ピン342は、チャネル340のうちの1つを介してポスト252内の開口部に挿入され、ピンは、ポスト252の移動中にチャネル340内を移動する。チャネル340の下端は、ピン342(従ってポスト252)をロック状態にする停止部として機能し、チャネル340の上端は、通常状態におけるピン342のための停止部として機能する。このようにして、ピン342は、ハウジング220に対するロック部材222の半径方向(例えば、上方及び下方)の動きを制限する。1つ以上のばね、図示された実施形態では、2つのばね344及び346は、ロック部材22を上方へ、ピン342がチャネル340の上端と係合する点までバイアスする。各ばね344、346の下端は、ばね344、346をレセプタクル254内に保持するために、レセプタクル254内の各ポスト348、350を囲むことができる。各ばね344、346の上端は、ポスト252のポケット352、354内のそれぞれに保持されてもよい。
【0045】
一実施形態においては、固定部材226を収容するロック部材222内の開口部360がねじ止めされている。また、固定部材226の下部はねじ切りされ、固定部材226のヘッドとねじ切りされた部分との間の固定部材226の上部は、ねじ切りされていない。従って、ポスト252がレセプタクル254内へスライドされ、ばね344及び346の端部がポスト348及び350の周囲、ならびにそれぞれのポケット352及び354内に配置されると、固定部材226は開口部256を通ってねじ込まれ得る。固定部材226は、固定部材226のねじ切りのない部分が、ロック部材222内に固定部材をトラップする開口部256に隣接するまで、開口部256を通ってねじ込まれてもよい。ロック部材222に対する固定部材226の更なる拘束は、ねじ切りされた開口部256から固定部材226の反転を制限するために存在してもよい。
【0046】
固定部材226をロック部材222と組み立てる手順は、ロック部材222がハウジング220の上方に(例えば、ねじ344及び346の力によって)上昇した際に、上方停止部として機能するチャネル240の上端によって制限されるように、実行されてもよい。このようにして、固定部材226の下端部は、固定部材226、ロック部材222、ばね344及び346、及びハウジング220のそれぞれが互いに対して拘束されるように、十分な相互作用によって、開口部256の上部に部分的に挿入される。また、ロック部材222は、アダプタ210が、図11から図13によって説明され図示されたレセプタクル212に挿入されることを許可するように位置する。アダプタ210がレセプタクル212に挿入されると、固定部材226は、開口部256内により深く挿入され、ばね344及び346の力に抗して下方に移動し、ばねを圧縮し、図13に示すようなチャンバ242内の位置に部分240を導くことを実行する。
【0047】
図11〜13を参照すると、アダプタ210とレセプタクル212とのアセンブリの進行が示されている。図11においては、アダプタ210がレセプタクル212から切り離されている。図12においては、アダプタ210は、部分的にレセプタクル212に挿入されている。図13においては、アダプタ210は、レセプタクル212と完全に組み立てられている。図示されているように、アダプタ210をレセプタクル212に組み立てる際、レセプタクル212内のアダプタ210を動作可能に固定するためにラッチ領域チャンバ242にフィットする、ロック部材222の部分240は、レセプタクル212のハウジング230の上部外面362上を移動する。上部外面362は、ラッチ領域チャンバ242が位置するハウジング230の上部壁364上にある。このようにして、ハウジング230の上部壁364は、部分240がラッチ領域チャンバ242と整列される前に、ロック部材222の部分240とアダプタ210のハウジング220との間に挿入され、部分240が、ラッチ領域チャンバ242に配置され、固定されるように、ハウジング220へ移動する。
【0048】
他の実施形態も可能である。例えば、ポスト252は、レセプタクル256にスナップ嵌め(snap fit)することができる。スナップ嵌めは、ハウジング220に対してロック部材222をトラップするように容易に反転されることはない。固定部材226は、ロック部材222によって拘束されてもよい。ハウジング220に対するロック部材222の垂直方向の動きの自由度は、図示された実施形態について説明したような、アダプタ210とレセプタクル212との同様の組み立ての行うことを可能にする。スナップ嵌めの関係は、ハウジング220とロック部材222の両方の一方を弾性材料で作ることによって容易にすることができる。
【0049】
図7図13を参照して説明した実施形態においては、ロック部材222は、それらが拘束された関係を有していても、ハウジング229とは別個の構成部品であると考えられる。
【0050】
本開示のさらなる態様は、本明細書の一部を形成する添付の特許請求の範囲から理解されるであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13