(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
プライマリプーリ、セカンダリプーリ、及び、これらのプーリ間に架け渡されたベルト、を有する無段変速機構と、エンジンと前記無段変速機構との間に設けられて前記エンジンと一体に回転するポンプインペラ、前記無段変速機構の入力軸と一体に回転するタービンランナ、及び、前記ポンプインペラと前記タービンランナとを連結するロックアップクラッチ、を有するトルクコンバータと、を具備した車両用無段変速機と、
車両の走行状態に応じて前記ロックアップクラッチの係合状態を制御するとともに、前記無段変速機を所定変速比に制御する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、
前記ロックアップクラッチを解放状態から締結状態に移行させる際に、前記エンジンの回転数と前記タービンランナの回転数であるタービン回転数との差回転が所定差回転以下となったら、前記タービン回転数が、車両走行状態に応じて設定される前記無段変速機構の通常変速比の制御を継続した場合のタービン回転数よりも、エンジン回転数に近づく側にオフセットするように、前記無段変速機構の変速比を制御する締結移行制御を行なう締結移行制御部と、
前記締結移行制御を行ないながら前記ロックアップクラッチが締結した後に、前記無段変速機構の変速比を前記通常変速比に復帰させる復帰制御部と、
を有し、
前記復帰制御部は、
前記ロックアップクラッチの締結後に、前記車両のアクセル開度が一定に維持されている場合には、前記無段変速機構の変速比を所定変化率で前記通常変速比に復帰させ、
前記ロックアップクラッチの締結後に、前記アクセル開度が減少された場合には、前記無段変速機構の変速比を前記所定変化率よりも速やかに前記通常変速比に復帰させる、
車両用無段変速機の制御装置。
前記所定変化率は、前記ロックアップクラッチの締結時の前記アクセル開度に応じて可変に設定され、前記アクセル開度が小さいほど大きくなるように、前記アクセル開度が大きいほど小さくなるように設定される、
請求項1〜4の何れか1項に記載の車両用無段変速機の制御装置。
プライマリプーリ、セカンダリプーリ、及び、これらのプーリ間に架け渡されたベルト、を有する無段変速機構と、エンジンと前記無段変速機構との間に設けられて前記エンジンと一体に回転するポンプインペラ、前記無段変速機構の入力軸と一体に回転するタービンランナ、及び、前記ポンプインペラと前記タービンランナとを連結するロックアップクラッチ、を有するトルクコンバータと、を具備した車両用無段変速機の制御方法であって、
前記ロックアップクラッチを解放状態から締結状態に移行させる際に、前記エンジンの回転数と前記タービンランナの回転数であるタービン回転数との差回転が所定差回転以下となったら、前記タービン回転数が、車両走行状態に応じて設定される前記無段変速機構の通常変速比の制御を継続した場合のタービン回転数よりも、エンジン回転数に近づく側にオフセットするように、前記無段変速機構の変速比を制御し、
前記ロックアップクラッチが締結した後に、前記車両のアクセル開度が一定に維持されている場合には、前記無段変速機構の変速比を所定変化率で前記通常変速比に復帰させ、
前記ロックアップクラッチが締結した後に、前記アクセル開度が減少された場合には、前記無段変速機構の変速比を前記所定変化率よりも速やかに前記通常変速比に復帰させる、
車両用無段変速機の制御方法。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
なお、以下に示す実施形態はあくまでも例示に過ぎず、以下の実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。以下の実施形態の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができるとともに、必要に応じて取捨選択することや適宜組み合わせることが可能である。
【0018】
〔車両の駆動系の構成〕
まず、本実施形態に係る車両用無段変速機及びその制御装置を装備した車両の駆動系を説明する。
図1に示すように、車両の駆動系は、内燃機関であるエンジン1と、エンジン1の出力回転を変速する車両用無段変速機(単に、無段変速機とも言う)2と、無段変速機2の出力回転を駆動輪9,9に伝達する動力伝達部7と、を備えている。動力伝達部7には差動装置8が装備される。
【0019】
無段変速機2は、エンジン1の出力軸1aに連結されたトルクコンバータ3と、トルクコンバータ3の出力軸3aに連結された前後進切替機構4と、前後進切替機構4の出力軸4aに連結されたベルト式無段変速機構(バリエータ)5と、を有する無段変速機(CVT)として構成される。トルクコンバータ3にはオイルポンプ6が付設される。
【0020】
トルクコンバータ3は、エンジン1の出力軸1aに連結されると共にオイルポンプ6に駆動連結されたポンプインペラ31と、前後進切替機構4の入力側と接続されるタービンランナ32と、これらポンプインペラ31とタービンランナ32とを一体的に連結可能なロックアップクラッチ30と、を有する。
【0021】
前後進切替機構4は、図示しない遊星歯車機構と複数の摩擦係合要素41とから構成されており、摩擦係合要素41の締結状態によって前進と後進とを切り替える。
【0022】
バリエータ5は、前後進切替機構4の出力側と連結されたプライマリプーリ51と、駆動輪9に駆動連結されたセカンダリプーリ52と、プライマリプーリ51とセカンダリプーリ52との間に巻回され動力伝達を行うベルト53と、を有している。
【0023】
〔無段変速機の制御装置〕
無段変速機2を制御するためにコントロールユニット(制御手段)10が備えられる。
このコントロールユニット10は、運転者の操作によりレンジ位置を選択するシフトレバー11からのレンジ位置信号(以下、レンジ位置信号をそれぞれPレンジ,Rレンジ,Nレンジ,Dレンジと記載する。)と、アクセルペダル開度センサ12からのアクセルペダル開度信号(アクセル開度)APOと、プライマリプーリ51の回転数を検出するプライマリプーリ回転数センサ13からのプライマリ回転数信号Npriと、セカンダリプーリ52の回転数を検出するセカンダリプーリ回転数センサ14からのセカンダリ回転数信号Nsecと、エンジン1の回転数を検出するエンジン回転数センサ15からのエンジン回転数信号Neと、を読み込む。なお、プライマリ回転数信号Npriは、Dレンジの場合、摩擦係合要素41内の前進クラッチの締結によりタービン回転数と一致することから、以下、タービン回転数Ntとも称する。
【0024】
コントロールユニット10は、ロックアップクラッチ30を制御するロックアップ制御部10Aと、前後進切替機構4を制御する前後進制御部10Bと、バリエータ5を制御する変速制御部10Cと、を機能要素として備えている。また、コントロールユニット10は、セカンダリ回転数Nsecに基づいて車速VSPを算出する機能も備えている。さらに、コントロールユニット10には、走行状態に応じて最適な燃費状態を達成可能な変速マップが設定され記憶されている。
【0025】
ロックアップ制御部10Aは、車両の走行中に、車両の走行状態に関する所定のロックアップ条件が成立したらロックアップクラッチ30を係合する。この係合には、完全係合(締結)とスリップ係合とがあるが、後述する本発明に係る変速比制御は、ロックアップクラッチ30の完全係合(締結)に関している。
【0026】
前後進切替制御部10Bは、レンジ位置信号に応じて摩擦係合要素41の締結状態を制御する。具体的にはPレンジもしくはNレンジであれば摩擦係合要素41は解放状態とし、Rレンジであれば前後進切替機構4が逆回転を出力するように後進クラッチ(もしくはブレーキ)を締結し、Dレンジであれば前後進切替機構4が一体回転して正回転を出力するように前進クラッチを締結する。
【0027】
変速制御部10Cは、アクセル開度APOと車速VSPとから上記変速マップに基づいてバリエータ5の目標変速比(後述の通常変速比に相当)を設定する。そして、目標変速比に基づいて各プーリの油圧をフィードフォワード制御により制御すると共に、プライマリ回転数信号Npriとセカンダリ回転数信号Nsecとから実変速比を検出し、設定された目標変速比と実変速比とが一致するように、各プーリの油圧をフィードバック制御する。
【0028】
〔締結移行制御,復帰制御〕
変速制御部10Cは、本発明特有の制御機能として、ロックアップクラッチ30を解放状態から締結状態に移行させる際に、ロックアップ変速制御処理を行なう。このロックアップ変速制御処理には、ロックアップクラッチ30が締結するまで変速比を制御する締結移行制御と、ロックアップクラッチ30の締結後に変速比を通常変速比に復帰させる復帰制御とがある。このため、変速制御部10Cは、ロックアップ変速制御部として、締結移行制御を行なう締結移行制御部10dと、復帰制御を行なう復帰制御部10eと、を有している。
【0029】
締結移行制御部10dによる締結移行制御では、ロックアップクラッチ30を解放状態から締結状態に移行させる際に、エンジン回転数Neとタービン回転数Ntとの差回転(ΔN=Ne−Nt)が所定差回転ΔN1以下となったら、タービン回転数Ntが、車両走行状態に応じて設定されるバリエータ5の通常変速比の制御を継続した場合のタービン回転数Ntよりも、エンジン回転数Neに近づく側にオフセットするように、バリエータ5の変速比を制御する。つまり、バリエータ5の変速比を、通常変速比から、その時点の車速VSPとオフセットしたタービン回転数Ntとから算出されるロックアップ変速制御用の変速比G0に目標値を替えて制御する。
【0030】
ここで、締結移行制御についてさらに説明する。ロックアップクラッチ30を解放状態から締結状態に移行させるのは、例えば車両の発進時である。発進時に運転者がアクセルペダル12を踏み込むと、エンジン回転数Neが上昇すると共に、エンジントルクが増幅されてタービンランナ32に伝達され、タービン回転数Ntも増大することで車両が発進する。
【0031】
車速VSPが上昇して所定車速VSP1に到達すると、燃費改善の目的からロックアップクラッチ30の締結指令が出力される。これに応じたロックアップクラッチ30の解放状態から締結状態への移行に伴い、ロックアップクラッチ30のスリップ係合状態においてエンジン回転数Neとタービン回転数Ntとの差回転ΔNが徐々に小さくなる。なお、発進時はベルト式無段変速機構CVTの変速比が最Low変速比として設定され、車速VSPの上昇に伴って徐々にHigh側にアップシフトを行う。タービン回転数Ntの上昇はアップシフトを行うほど抑制される。
【0032】
したがって、エンジン回転数制御や変速比制御を行わずにロックアップクラッチ30を解放状態からスリップ係合状態に移行させると、エンジン回転数Neがタービンランナ32の回転に接近するように引き下げられながら、ロックアップクラッチ30の締結(完全係合)が完了する。このときエンジン回転数Neの挙動が、ジャダー振動と呼ばれる車両の前後方向の振動(前後加速度Gの変動)を増大させる原因となる。
【0033】
つまり、ロックアップクラッチ30の摩擦材における静止摩擦係数と動摩擦係数の間の差にバラつきがあると、ロックアップクラッチ30の締結時に、ロックアップクラッチ30が伝達するトルクに変動が生じ、ジャダー振動が発生する。バリエータ(ベルト式無段変速機構)5のアップシフトによってタービン回転数Ntの上昇が抑制されている場面でのロックアップクラッチ30の締結は、エンジン回転数Neをタービン回転数Ntに向けて引き下げることとなり、トルクコンバータ3のトルク増幅作用が大きく変動し、かつ、エンジン負荷が増大するためジャダー振動の振幅が大きくなる。
【0034】
そこで、ロックアップクラッチ30が解放状態から締結状態に移行するときには、通常の変速比制御で変速比を制御するよりも、タービン回転数Ntがエンジン回転数Neに近づくようにバリエータ5の変速比を制御する締結移行制御を適用する。タービン回転数Ntをエンジン回転数Neに近づけていくことにより、ロックアップクラッチ30が完全締結状態に向けて高くなったトルク伝達容量でスリップしている状態を早期に抜けることができ、ロックアップクラッチ30の締結時のエンジン回転数Neの低下によるエンジン負荷の増大も抑えられる。これにより、ジャダーの発生が抑制され、ジャダー振動が発生してもその振幅の増大が抑制される。
【0035】
一方、復帰制御部10eによる復帰制御は、締結移行制御を行ないながらロックアップクラッチ30が締結した後に、バリエータ5の変速比を通常変速比(アクセル開度APOと車速VSPとから変速マップに基づいて設定される目標変速比)に復帰させる制御である。この復帰制御では、変速比の復帰に際し、即ち、ロックアップクラッチ30の締結完了後に変速比の復帰を開始する時点から復帰が完了する時点までの間に、アクセル開度APOに応じた態様で変速比の復帰を行なう。
【0036】
つまり、復帰制御では、ロックアップクラッチの締結後のアクセル開度APOに応じて、アクセル開度APOが一定に維持されている場合には、バリエータ5の変速比を所定変化率(以下、基準変化率とも言う)で通常変速比に復帰させる。また、アクセル開度APOが減少された場合には、バリエータ5の変速比を基準変化率よりも速やかに、即ち、基準変化率よりも大きな第1修正変化率で、通常変速比に復帰させる。さらに、アクセル開度APOが増加された場合には、バリエータ5の変速比を基準変化率よりも緩やかに、即ち、基準変化率よりも小さな第2修正変化率で、通常変速比に復帰させる。
【0037】
特に、アクセル開度APOが一定に維持されている場合の復帰制御において、急激に通常変速比に復帰させると、変速比がハイ側に変化するためエンジン回転数Neが一瞬低下する。そして、そこから車速の上昇に応じてエンジン回転数Neが再び上昇することになるため、このエンジン回転数Neの変動がドライバに違和感を与える。これを回避するため、変速比を通常変速比に復帰させる際に、所定変化率を与えて徐々に復帰させるようにしている。
【0038】
アクセル開度APOが一定に維持されている場合には、本来エンジン回転数Neの変動は小さい状況にあるので、エンジン回転数Neの変動がドライバに違和感を与え易い。そこで、
図2に示すように、バリエータ5の変速比を、基準変化率を用いて比較的緩やかに通常変速比に復帰させる。
【0039】
図2は、ロックアップクラッチ30の締結指令が出力されてからロックアップ変速制御処理が終了するまでの間のエンジン回転数Neとタービン回転数Ntとの関係を示す。
図2(a)はエンジン回転数Ne,本制御によるタービン回転数Nt,バリエータ5の目標変速比(通常変速比)に応じたタービン回転数Nt1を示す。
図2(b)はエンジン回転数Neと本制御によるタービン回転数Ntとの差回転ΔNを示し、
図2(c)はロックアップクラッチ30の締結指令フラグを示し、
図2(d)はアクセル開度APOを示す。フェーズP1〜P3は締結移行制御を示し、フェーズP4は復帰制御を示す。
【0040】
時点t0でロックアップクラッチ30の締結判定がオンとされ締結指令が出力されると、差回転ΔNの判定を行なうフェーズP1となり、ここでは、時点t1で差回転ΔNが所定差回転ΔN1に到達する。この所定差回転ΔN1は、差回転ΔNの変化速度d(ΔN)/dtに応じて決定される。変化速度d(ΔN)/dtの大きさが小さいほど、即ち、差回転ΔNの変化が遅いほど、ロックアップクラッチ30の締結完了に時間がかかるので、所定差回転ΔN1を小さく設定して、ロックアップ変速制御処理を開始してから終了するまでの時間が長くなり過ぎないようにする。
【0041】
また、差回転ΔNがゆっくりと減少しているときには、エンジン回転数Neが低下する変化速度も比較的小さいので、締結移行制御により、タービン回転数Ntがエンジン回転数Neに近づくようにバリエータ5の変速比をオフセットする量が少なくても、トルクコンバータ3のトルク増幅作用の大きな変動やエンジン負荷の増大は小さく、車両の振動の振幅が大きくなり難い。
【0042】
一方、差回転ΔNが素早く減少している場合に、差回転ΔNの減少速度が遅い場合と同じ所定差回転ΔN1に設定すると、ロックアップ変速制御処理を開始してから終了するまでの時間が短くなってしまうので、所定差回転ΔN1を差回転ΔNの減少速度が遅い場合より大きく設定して、ロックアップ変速制御処理を開始してから終了するまでの時間を確保できるようにしている。
【0043】
これにより、素早く差回転ΔNが減少しているときでも、ロックアップ変速制御処理変速比により、十分にタービン回転数Ntがエンジン回転数Neに近づくようにバリエータ5の変速比を制御することができ、トルクコンバータ3のトルク増幅作用の大きな変動やエンジン負荷の増大を少なくすることができ、車両の振動の振幅を抑制することができる。
【0044】
そして、時点t1で差回転ΔNが所定差回転ΔN1に到達すると締結移行制御の変速比制御を行なうフェーズP2となる。フェーズP2では、通常の変速比制御で変速比を制御するよりも、タービン回転数Ntがエンジン回転数Neに近づくようにバリエータ5の変速比を制御する。時点t2で差回転ΔNが所定差回転ΔN2未満となるとフェーズP3に移行する。フェーズP3では、差回転ΔNが所定差回転ΔN2未満となり、ロックアップクラッチ30が完全に締結する直前であると判断された後、差回転ΔNの変化率を低下させる。これにより、完全締結時におけるバリエータ5の回転数の急変によるイナーシャショックを抑制できる。なお、所定差回転ΔN2は固定値でもよいし、変化速度d(ΔN)/dtが大きいほど大きな値に設定することで、完全締結に伴う締結ショックを抑制する構成としてもよい。
【0045】
時点t3で完全締結が確認されるとフェーズP4に移行する。この復帰制御のフェーズP4では、完全締結が確認された後、現在のタービン回転数Ntが現時点の車速VSPとアクセル開度APOによって決定される所定変速比に対応する基準タービン回転数Nt1に復帰するように変速比を制御する。ここでは、時点t5でタービン回転数Ntが基準タービン回転数Nt1に復帰する。このとき、現在のタービン回転数Ntと基準タービン回転数Nt1との差ΔNtの変化率が予め設定された所定変化率(基準変化率)となるように変速比を制御する。これにより、エンジン回転数Neやタービン回転数Ntの急変を抑制し、安定した加速状態を達成する。
【0046】
これに対して、アクセル開度APOが減少された場合には、エンジン回転数Neの低下は当然生じる状況なので、バリエータ5の変速比を速やかに通常変速比に復帰させても、ドライバに違和感を与え難い。そこで、例えば
図3に示すように、時点4でアクセル開度APOがAPO1からAPO2に減少されると、この場合には変化率を基準変化率よりも大きくして、即ち、基準変化率よりも大きな第1修正変化率を用いて、変速比を比較的速く通常変速比に復帰させることにより、復帰制御中のエンジン回転数Neの低下分(白抜き矢印参照)だけ燃費向上効果が得られるようにしている。
【0047】
図3と
図2との相違は、復帰制御のフェーズP4のみである。
図3に示すように、この例では、完全締結が確認された後、アクセル開度APOが減少されている。
図3では、所定変化率でバリエータ5の変速比を通常変速比に復帰させた場合のエンジン回転数Neおよびタービン回転数Ntを仮想線(二点鎖線)で示し、本復帰制御によってバリエータ5の変速比を速やかに通常変速比に復帰させた場合のエンジン回転数Neをおよびタービン回転数Ntを実線で示す。エンジン回転数Neが低下される分だけ燃費向上効果が得られる。
【0048】
また、アクセル開度APOが増加された場合には、エンジン回転数Neは上昇すべき状況であり、バリエータ5の変速比を緩やかに通常変速比に復帰させ、エンジン回転数Neの上昇を促進する方が、ドライバの加速要求に答えることになる。そこで、例えば
図4に示すように、時点t4´でアクセル開度APOがAPO1からAPO3に増加されると、この場合には変化率を基準変化率よりも小さくして、即ち、基準変化率よりも小さな第2修正変化率を用いて、変速比を比較的緩やかに通常変速比に復帰させることにより、上昇したエンジン回転数Neが高い回転数で維持され(白抜き矢印参照)、ドライバの要求に答えるように加速を実現する。
【0049】
図4と
図2との相違は、復帰制御のフェーズP4のみである。
図4に示すように、この例では、完全締結が確認された後、アクセル開度APOが増加されている。
図4では、所定変化率でバリエータ5の変速比を通常変速比に復帰させた場合のエンジン回転数Neおよびタービン回転数Ntを仮想線(二点鎖線)で示し、本復帰制御によってバリエータ5の変速比を緩やかに通常変速比に復帰させた場合のエンジン回転数Neおよびタービン回転数Ntを実線で示す。上昇したエンジン回転数Neが維持され加速感が得られる。
【0050】
さらに、本実施形態では、復帰制御における変速比の所定変化率(基準変化率)が、ロックアップクラッチ30の締結時点のアクセル開度APOに応じて可変に設定される。つまり、ロックアップクラッチ30の締結時点で、アクセル開度APOが小さいほど所定変化率は大きくなるように設定され、アクセル開度APOが大きいほど所定変化率は小さくなるように設定される。
【0051】
アクセル開度APOが小さければ、復帰制御後にエンジン回転数Neが上昇することは殆どないため、バリエータ5の変速比を比較的速く通常変速比に復帰させても、エンジン回転数Neの変動はあまり大きくならずドライバに違和感を与え難い。そこで、アクセル開度APOが小さいほど所定変化率を大きくして、変速比を比較的速く通常変速比に復帰させることにより、復帰制御中のエンジン回転数Neの低下分だけ燃費向上効果が得られるようにしている。
【0052】
アクセル開度APOが大きければ、復帰制御後にエンジン回転数Neが上昇することがあるため、バリエータ5の変速比を速く通常変速比に復帰させると、エンジン回転数Neの変動が大きくなりドライバに違和感を与え易い。そこで、アクセル開度APOが大きいほど所定変化率を小さく設定し、エンジン回転数Neの変動を抑えてドライバに違和感を与え難くしている。
【0053】
〔作用及び効果〕
本発明の一実施形態に係る車両用無段変速機の制御装置は、上述のように構成されているので、ロックアップクラッチを解放状態から締結状態に移行する際に、例えば
図5のフローチャートに示すように制御が行なわれる。なお、
図5のフローチャートは所定の制御周期で実行される。
【0054】
図5に示すように、まず、ステップS10では、フラグF1が0であるか否かを判断する。フラグF1はロックアップ変速制御(締結移行制御及び復帰制御)を実施する条件下で1とされ、それ以外の場合0とされる。フラグF1が0から1に切り替えられる条件は、ロックアップクラッチ30の締結要求があることであり、フラグF1が1から0に切り替えられる条件は、ロックアップ変速制御(締結移行制御及び復帰制御)が終了したことである。フラグF1が0であればステップS20に進み、フラグF1が1であればステップS32に進む。
ステップS20では、ロックアップクラッチ締結制御開始判定に基づき、ロックアップクラッチ30の締結要求があるか否かを判断する。このロックアップクラッチ30の締結要求は、車速VSPとアクセルペダル開度APOとに基づいて判定される。締結要求ありの場合はステップS30に進み、締結要求なしの場合は本制御周期のフローを終了する。
【0055】
ステップS30では、フラグF1を0から1に切り替え、ステップS32に進む。
ステップS32では、フラグF2が0であるか否かを判断する。フラグF2はロックアップ変速制御のうち復帰制御を実施しているときに1とされ、それ以外の場合0とされる。フラグF2が0から1に切り替えられる条件は、復帰制御が開始されたことであり、フラグF1が1から0に切り替えられる条件は、ロックアップ変速制御(締結移行制御及び復帰制御)が終了したことである。
フラグF2が0であればステップS40に進み、フラグF2が1であればステップS70に進む。ステップS40では、エンジン回転数Neとタービン回転数Ntとの差回転ΔN(=Ne−Nt)が所定回転数ΔN1以下か否かを判断し、所定回転数ΔN1以下の場合はステップS50に進み、それ以外の場合は本制御周期のフローを終了する。
【0056】
ステップS50では、締結移行制御部10dによってロックアップ変速制御の締結移行制御を実行する。この締結移行制御では、タービン回転数Ntが、車両走行状態に応じて設定されるバリエータ5の通常変速比の制御を継続した場合のタービン回転数Ntよりも、エンジン回転数Neに近づく側にオフセットするように、バリエータ5の変速比を制御する。その後、ステップS60に進む。
【0057】
ステップS60では、ロックアップクラッチ30の締結が完了したか否かを判断する。この判断は、エンジン回転数Neとタービン回転数Ntとの差回転ΔNが0に近い微小値ΔN0以下か否かで行なうことができる。ロックアップクラッチ30の締結が完了した場合はステップS70に進み、それ以外の場合は本制御周期のフローを終了する。
【0058】
ステップS70では、ロックアップ変速制御の復帰制御を実行する。この復帰制御では、ロックアップクラッチ30の締結完了後に変速比の復帰を開始する時点から復帰が完了する時点までの間に、アクセル開度APOに応じた態様で変速比の復帰を行なう。その後、ステップS72に進み、フラグF2を0から1に切り替えて、ステップS80に進む。
【0059】
ステップS80では、変速比の復帰が完了したか否かを判断する。この判断は、現在のタービン回転数Ntを、対応する基準タービン回転数Nt1と比較して、タービン回転数Ntと基準タービン回転数Nt1との差が微小な所定値以下か否かで行なうことができ、差が微小な所定値以下になったら変速比の復帰が完了したと判断することができる。ロックアップクラッチ30の締結が完了した場合はステップS90に進み、それ以外の場合は本制御周期のフローを終了する。ステップS90では、フラグF1及びフラグF2を何れも1から0に切り替えて本制御周期のフローを終了する。
【0060】
ステップS70の復帰制御では、
図6に示すように、まず、ステップS71で、フラグFFが0であるか否かを判断する。フラグFFはバリエータ5の変速比を制御するための所定変化率(基準変化率)が設定されたら1とされ、それ以外の場合0とされる。ステップS70の復帰制御が開始された段階では、フラグFFは0であり、ステップS72に進み、フラグFFが1であればステップS74に進む。
【0061】
ステップS72では、復帰制御における変速比の変化目標となる所定変化率(基準変化率)を、ロックアップクラッチ30の締結時点のアクセル開度APOに応じて可変に設定する。ここで、アクセル開度APOが小さいほど所定変化率は大きくなるように設定され、アクセル開度APOが大きいほど所定変化率は小さくなるように設定する。その後、ステップS73に進みフラグFFを1にセットして、ステップS76に進む。
【0062】
ステップS74では、アクセル開度APOが減少したか否かを、アクセル開度APOの増加量ΔAPOで判断する。アクセル開度増加量ΔAPOが負であれば(ΔAPO<0)ステップS77に進み、アクセル開度増加量ΔAPOが負でなければ(ΔAPO≧0)ステップS75に進む。
【0063】
ステップS75では、アクセル開度APOが増加したか否かを、アクセル開度APOの増加量ΔAPOで判断する。アクセル開度増加量ΔAPOが正であれば(ΔAPO>0)ステップS78に進み、アクセル開度増加量ΔAPOが正でなければ(ΔAPO=0)ステップS76に進む。
【0064】
従って、アクセル開度APOが一定であれば、ステップS76に進み、バリエータ5の変速比を所定変化率(基準変化率)で通常変速比に復帰させる。また、アクセル開度APOが減少したら、ステップS77に進み、バリエータ5の変速比を基準変化率よりも速やかに、即ち、基準変化率よりも大きな第1修正変化率で、通常変速比に復帰させる。さらに、アクセル開度APOが増加したら、ステップS78に進み、バリエータ5の変速比を基準変化率よりも緩やかに、即ち、基準変化率よりも小さな第2修正変化率で、通常変速比に復帰させる。
【0065】
このように本制御装置によれば、ロックアップクラッチ30を解放状態から締結状態に移行させる際に、締結移行制御部10dによってタービン回転数Ntがエンジン回転数Neに近づけられるため、ロックアップクラッチ30が締結するときにエンジン回転数Neが過度に押し下げられなくなる。これにより、ロックアップクラッチ30が完全締結状態に向けて高くなったトルク伝達容量でスリップしている状態を早期に抜けることができ、ロックアップクラッチ30の締結時のエンジン回転数Neの低下によるエンジン負荷の増大も抑えられる。これにより、ジャダー振動の発生が抑制され、ジャダー振動が発生してもその振幅の増大が抑制される。
【0066】
そして、ロックアップクラッチの締結後には、復帰制御部10eが、車両のアクセル開度APOが一定に維持されている場合には、バリエータ5の変速比を所定変化率(基準変化率)で通常変速比に復帰させる一方で、アクセル開度APOが減少された場合には、バリエータ5の変速比を所定変化率(基準変化率)よりも速やかに通常変速比に復帰させるので、エンジン回転数Neが高い状態で維持されることが回避され、燃費の低下を抑制することができる。
【0067】
また、アクセル開度APOが増加された場合には、バリエータ5の変速比を所定変化率(基準変化率)よりも緩やかに通常変速比に復帰させるので、エンジン回転数Neの上昇が速やかに行われ、ドライバの要求に答えるように滑らかな加速を実現する。
【0068】
また、アクセル開度APOが一定の場合の変速比の復帰制御に用いる変速比の所定変化率(基準変化率)を、ロックアップクラッチ30の締結時点のアクセル開度APOに応じて可変に設定しており、アクセル開度APOが小さいほど所定変化率は大きくなるように、アクセル開度APOが大きいほど所定変化率は小さくなるように設定していることによる効果も得られる。
【0069】
つまり、アクセル開度APOが小さい場合、ドライバに違和感を与え難いため、バリエータ5の変速比を速く通常変速比に復帰させる。このため、エンジン回転数Neが高い状態で維持されることが回避され、燃費の低下を抑制することができる。アクセル開度APOが大きい場合、エンジン回転数Neの変動を抑えてドライバに違和感を与え難くすることができる。
【0070】
〔その他〕
以上、実施形態を説明したが、上記実施形態の変形例として以下の構成も適用できる。
例えば、上記実施形態では、ロックアップクラッチ30の締結後に、アクセル開度APOが減少された場合には、バリエータ5の変速比を所定変化率よりも速やかに通常変速比に復帰させているが、ロックアップクラッチ30の締結後に、アクセル開度APOが所定減少速度以上で減少又は所定減少量以上減少された場合には、バリエータ5のの変速比を瞬時に通常変速比に復帰させるように制御してもよい。
【0071】
また、上記実施形態では、ロックアップクラッチ30の締結後に、アクセル開度APOが増加された場合には、バリエータ5の変速比を所定変化率よりも緩やかに通常変速比に復帰させているが、例えば、ロックアップクラッチ30の締結後に、アクセル開度APOが所定増加速度以上で増加又は所定増加量以上増加された場合には、バリエータ5の変速比を一定の期間だけオフセットした状態に保持するように制御してもよい。
【0072】
また、制御をよりシンプルにするために、変速比の所定変化率(基準変化率)を、一定に設定してもよい。