(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1に記載の埋め込み可能な医療装置において、前記薄窓(4w)は、2000μm以下、好ましくは1000μm以下、より好ましくは500μm以下の厚さを有する前記光要素に面する部分を含み、前記部分は、好ましくは、300〜2200nmに含まれる波長に対して少なくとも75%、好ましくは少なくとも80%の透過率を有することを特徴とする埋め込み可能な医療装置。
請求項1または2に記載の埋め込み可能な医療装置において、前記内部光源によって前記外面の方向に放射されるか、または外部光源によって前記内面の方向および前記光検出器もしくは前記内部光ファイバの方向に放射されるかの何れかである光線の特性を変更するためのマイクロ光学構成要素(4L)を含むことを特徴とする埋め込み可能な医療装置。
請求項3に記載の埋め込み可能な医療装置において、前記マイクロ光学構成要素は、前記薄窓の前記内面もしくは前記外面の一体部であり、かつ/または前記光ユニット、好ましくは前記内部光源に強固に固定されることを特徴とする埋め込み可能な医療装置。
請求項4に記載の埋め込み可能な医療装置において、前記対応する基準点(4r)は、前記薄窓の前記内面または前記外面と一体である前記マイクロ光学構成要素(4L)上に位置することを特徴とする埋め込み可能な医療装置。
請求項1乃至5の何れか1項に記載の埋め込み可能な医療装置において、前記ハウジングは、少なくとも主ハウジング要素(2m)と、2次継手(7s)によって前記主ハウジング要素に封着された2次要素(2s)とによって形成され、
(a)前記光学ユニット(3)は、前記主ハウジング要素(2m)もしくは前記2次要素(2s)の何れかの一体部であるか、または
(b)前記光学ユニット(3)は、前記主ハウジング要素(2m)もしくは前記2次要素(2s)の何れかに設けられた開口部(2o)に密封継手(7)によって封止結合され、
前記密封継手(7)および/または前記2次継手(7s)は、ろう付け、拡散接合、共晶接合、接着(例えば、接着剤接合)、あるいは直接溶接またはチタンもしくは金を含む中間金属の使用の何れかが後に続く、溶接される表面の金属化を含む溶接によって形成されることを特徴とする埋め込み可能な医療装置。
請求項1乃至6の何れか1項に記載の埋め込み可能な医療装置において、前記光要素は、30μm未満、好ましくは10μm未満の公差で、前記薄窓の前記内面または前記外面の前記対応する基準点と整合されることを特徴とする埋め込み可能な医療装置。
請求項1乃至8の何れか1項に記載の埋め込み可能な医療装置において、前記モノリシックブロックユニットを形成する前記透明セラミック材料は、溶融シリカ、ホウケイ酸塩、スピネル、サファイアまたは酸化イットリウムから選択されることを特徴とする埋め込み可能な医療装置。
請求項10に記載の部品キットにおいて、前記光ファイバの前記基端部は、前記内部光源によって前記光ファイバに向けて放射されるか、または前記光ファイバから前記光検出器(5d)もしくは前記内部光ファイバに向けて伝送されるかの何れかである光線の特性を変更するためのマイクロ光学構成要素を設けられることを特徴とする部品キット。
【背景技術】
【0002】
埋め込み可能な医療装置(IMD)は、多くの疾患、特に心疾患および神経疾患を治療する目的で数十年にわたって使用されてきた。1つタイプのIMDは、パーキンソン病、てんかん、慢性疼痛、運動障害などの多数の障害を診断または治療するため、および他の多くの用途のために神経、筋肉または脳組織などの組織に電気パルスを送達する神経刺激器からなる。その最も簡単な形態では、そのような電気パルスを送達する装置は、電気パルス発生器と、刺激電極と、電極を電気パルス発生器に電気的に結合するワイヤとを含む。多くの用途において、電極は、治療される組織に直接取り付けなければならず、埋め込み可能な装置の使用を必要とする。IMDの小型化が極めて重要であることは明らかである。
【0003】
電流を、電子機器と、制御部と、電源とを収容するIMDから、導電体を介して、標的組織に固定された電極に伝導するのではなく、光ファイバを介してIMDから電極にエネルギーを伝達するために光を使用するいくつかの用途が開発されている。国際出願欧州特許出願公開第2015/053585号明細書に例が記載されている。光エネルギーが光電池によって電流に変換され、治療される組織を刺激するための電極に前記電流が送達される。いくつかの用途では、例えば米国特許第8721695号明細書および米国特許第7951181号明細書に記載されているように、標的組織に直接光線を当てることによって組織を刺激することができる。光刺激用途では、光ユニットから光ファイバを介して伝送される光が治療される組織に当てられるため、電極も光電池も必要ではない。
【0004】
光は、情報を伝達するために使用することもできる。情報は、ある電子構成要素から別の電子構成要素に伝達することができ、または人間もしくは動物の身体の生理学的機能を監視して種々の生理学的パラメータを検知するために使用することができる。例えば、標的組織に向けられる光線の光散乱の変化は、前記組織内の構造的事象を示す組織内の電位変動によって引き起こされる可能性がある。
【0005】
IMDを小型化しなければならないため、小さいエネルギー源のみを使用でき、IMDの自律性が抑制される。当然のことながら、充電式バッテリを使用できるが、2つの理由からバッテリを再充電する頻度を低減しなければならない。第1に、新たな充電毎にバッテリの容量が低下するため、充電式バッテリの寿命期間は、充電操作の回数に依存する。バッテリ容量があまりにも少なくなった時点でIMDを新しいものと交換しなければならない。2回の再充電操作間の期間が長いほど、バッテリの寿命期間が長くなる。第2に、バッテリの再充電は、概して、IMDの宿主を妨げて、充電プロセスに必要な時間にわたって宿主がほとんどの静的でない活動を行えないようにする。再充電装置の例は、例えば、国際出願欧州特許出願公開第2016/061722号明細書に記載されている。非充電式バッテリと充電式バッテリとの両方に関して、エネルギーを無駄にできず、かつ放射器から受信器への光の伝達のエネルギー効率が可能な限り高くなければならないことは明らかである。
【0006】
IMDの別の問題は、IMDの寿命である。埋め込み型医療装置を交換しなければならないことを回避するために、IMDの寿命期間は、可能な限り長いことが望ましい。IMDの故障の主な原因の1つは、劣化した継手からの汚染異物(特に水分)の侵入である。主な問題は、IMDの外部からIMDの内部にかつその逆に電流を伝導するために一般的に使用されるフィードスルーである。フィードスルーは、その名称が示唆するように、IMDの壁を貫通して延び、IMDの内部を外部環境と導通させるピンである。概して、いくつかのフィードスルーが必要であり、人間または動物の身体の過酷な環境への長期にわたる暴露に対して十分に気密である継手を形成することは難しい課題である。当然のように、フィードスルーは、記録された多くの故障の原因であるIMDの弱点を構成する。
【0007】
フィードスルーは、IMDの内部と外部との間で光を搬送するために使用することもできる。例えば、米国特許第7280870号明細書は、IMDに結合された外部光ファイバとIMDの内部との間で光を運ぶための光ファイバを含むIMDを記載している。代替的に、透過させる光波長に対して透明な窓は、光源、光検出器または内部光ファイバを収容するIMDの内部と外部光ファイバとの間に配置することができる。窓は、高感度電子回路を収容するIMDの内部を宿主の身体の過酷な周囲環境から保護する。しかしながら、かかる窓はまた、IMDのハウジングに封着されなければならない。
【0008】
そのため、外部光ファイバとIMDの内部との間の光結合ユニットは、概して、(a)外部光ファイバと、(b)外部光ファイバをIMDに結合するための結合装置と、(c)IMDの壁に封着された窓または内部光ファイバと、(d)IMDの内部に位置する光源または光検出器と、(e)多くの場合、例えば、光線を焦点に集束させるなど、光線の特性を変化させるために外部光ファイバと光源または光検出器との間に位置するレンズとで構成される。外部光ファイバと光源または光検出器との間の光伝達効果は、光結合ユニットの種々の構成要素間の整合に大きく依存する。この整合は、光線の特性を変更するレンズが窓に設けられる場合、より一層不可欠になる。
図1は、(a)結合光ユニットの窓の内面に設けられたレンズに対する光源の位置ずれ、および(b)外部光ファイバに対する前記レンズの位置ずれの関数としてプロットした結合効率(%)を示す。レンズに対する何れかの構成要素の30〜50μm程度の位置ずれは、外部光ファイバとIMDの内部との間の光伝達効果の急激な低下をもたらすことが分かる。IMDを小型化し、したがってバッテリの大きさを小さくしなければならない(これによりIMDの自律性が抑制される)ことと、バッテリの再充電が面倒な操作であることとを考慮すると、光ファイバとIMDの内部との結合効果を最適化しなければならないことは明らかである。この最適化は、光結合ユニットの種々の構成要素の50μm未満、好ましくは30μm未満以内の整合でのみ可能である。
【0009】
溶接による支持構造への要素の接合により、そのような要素の位置決めを約100〜150μmの精密さで制御することが可能となる。
図1のグラフを参照すると、この精密さが外部光ファイバとIMDの内部との間の光エネルギーの効率的な伝達を確実するのに不十分であることは明らかである。
【0010】
本発明は、種々の構成要素が30μm未満以内で整合されて、光ファイバとIMDの内部との間の最も効率的な光エネルギー伝達をもたらす光学ユニットを含むIMDを提案する。従来技術のIMDの継手の数と比較して、継手の数を、好ましい実施形態では単一の外部継手に実質的に低減することができる。本発明のこれらおよび他の利点について、以下のセクションでより詳細に説明する。
【発明の概要】
【0011】
本発明は、添付の独立請求項において定義される。好ましい実施形態は、従属請求項において定義される。特に、本発明は、埋め込み可能な医療装置であって、
(a)外部環境から隔離された内部容積を画定し、かつ電子回路と電源とを内包するハウジング(2)と、
(b)ハウジングに封止結合された光学ユニット(3)であって、
・300〜2200nmに含まれる波長に対して透明である透明セラミック材料で作製され、かつ
○ハウジングの内部容積に面する内面と、外部環境に面する外面とによって画定された薄窓(4w)と、
○薄窓の内面または外面の対応する基準点(4r)と整合するように外部光ファイバ(9)を結合するための、薄窓の外面の側に位置する外嵌合構造(4om)と、
○光ユニット(5)を永久的に結合するための、薄窓の内面の側に位置する内嵌合構造(4im)と
を含むモノリシックブロックユニット(4)と
内部光源(5L)、および/または光検出器(5d)、および/または内部光ファイバの1つまたは複数を含む光要素を含む光ユニット(5)であって、内部光源(5L)、および/または光検出器(5d)、および/または内部光ファイバの1つが薄窓の内面または外面の前記対応する基準点(4r)と整合するように、モノリシックブロックユニットの内嵌合構造(4im)内に強固に装着される光ユニット(5)と
からなる光学ユニット(3)と
を含む埋め込み可能な医療装置に関する。
【0012】
当業者に周知であるように、「透明材料」という用語は、光が散乱されずに材料を通過することを可能にする物理的特性を有する材料を指す。巨視的スケールでは、光子は、スネルの法則に従う。半透明材料は、光の通過を可能にするが、巨視的スケールではスネルの法則に従わず、光子が散乱される点において、透明材料は、半透明材料と異なる。スネルの法則は、水、ガラスまたは空気などの異なる2つの等方性媒質間の境界を通過する光または他の波動について述べるときの入射角と屈折角との関係を表す。スネルの法則は、sin・1/sin・2=n2/n1であるとし、ここで、・は、境界の法線から測定される角度であり、nは、屈折率であり、かつ下付き文字1および2は、第1および第2の光伝播媒質を指す。そのため、透明度は、材料固有の特性であり、かつ光の波長によって決まり、また結晶材料に関して、結晶化度、結晶粒の大きさ、数および配向などの特性の関数として変化する。
【0013】
材料を通る所与の波長の光線の透過率は、試料の体積を透過する入射光線パワーの割合である。透明度などの固有の材料特性の他に、透過率も、光線が通って進む試料の幾何形状、特に厚さ・によって決まる。定義により、透過率Tは、T=e−・として厚さ・と共に指数関数的に減少する。そのため、窓材料に応じて、高い透過率を有する窓は、薄い厚さを必要とし得る。好ましい実施形態において、モノリシックブロックユニットの薄窓は、2000μm以下、好ましくは1000μm以下、より好ましくは500μm以下の厚さを有する光要素に面する部分を含む。光学部分の透過率は、300〜2200nmに含まれる波長に対して好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%である。モノリシックブロックユニットを形成する透明セラミック材料は、好ましくは、溶融シリカ、ホウケイ酸塩、スピネル、サファイアまたは酸化イットリウムから選択される。
【0014】
本発明の埋め込み可能な医療装置は、内部光源によって外面の方向に放射されるか、または外部光源によって内面の方向および光検出器もしくは内部光ファイバの方向に放射されるかの何れかである光線の特性を変更するためのマイクロ光学構成要素を含み得る。マイクロ光学構成要素は、好ましくは、薄窓の内面もしくは外面の一体部であり、かつ/または光ユニット、好ましくは内部光源に強固に固定される。マイクロ光学構成要素は、薄窓の一体部であることが好ましい。この実施形態において、対応する基準点は、好ましくは、薄窓の内面または外面と一体であるマイクロ光学構成要素上に位置する。
【0015】
好ましい実施形態において、本発明による埋め込み可能な医療装置のハウジングは、少なくとも主ハウジング要素と、2次継手によって主ハウジング要素に封着された2次要素とによって形成され得る。光学ユニット(3)は、主ハウジング要素または2次要素の何れかの一体部であり得る。代替的に、光学ユニットは、主ハウジング要素または2次要素の何れかに設けられた開口部に密封継手によって封止結合される。密封継手および/または2次継手は、ろう付け、拡散接合、共晶接合、接着(例えば、接着剤接合)、あるいは直接溶接またはチタンもしくは金を含む中間金属の使用の何れかが後に続く、溶接される表面の金属化を含む溶接によって形成され得る。継手の数を減らすために、本発明のIMDは、フィードスルーを含まないことが好ましい。薄窓を通してエネルギーをハウジングの内外に光学的に伝達でき、かつフィードスルー継手がIMDの寿命期間に致命的な影響を及ぼすため、フィードスルーは、IMDの機能に不可欠ではない。
【0016】
本発明による埋め込み可能な医療装置において、光要素は、好ましくは、30μm未満、より好ましくは10μm未満の公差で、薄窓の内面または外面の対応する基準点と整合される。より良好な整合は、IMDのより長期の自律をもたらす。
【0017】
本発明は、部品キットであって、
(a)上で説明した埋め込み可能な医療装置と、
(b)外嵌合構造に接続されたとき、光ファイバが、50μm未満、好ましくは10μm未満の公差で、薄窓の内面または外面の対応する基準点と整合するように、モノリシックブロックの前記外嵌合構造に嵌合するコネクタが設けられた基端部を含む光ファイバと
を含む部品キットにも関する。
【0018】
光ファイバの基端部は、内部光源によって光ファイバに向けて放射されるか、または光ファイバから光検出器もしくは内部光ファイバに向けて伝送されるかの何れかである光線の特性を変更するためのマイクロ光学構成要素を設けられ得る。光ファイバは、好ましくは、
(A)電極ユニットであって、
(a)光ファイバによって運ばれた光エネルギーを電流に変換できる光電池と、
(b)光電池に電気的に接続された少なくとも2つの電極と
を含む電極ユニット、または
(B)放射された光線を標的組織に向けるためのマイクロ光学装置
の何れかが設けられる先端部も含む。
【0019】
本発明は、埋め込み可能な医療用組立体であって、
(a)上で説明した埋め込み可能な医療装置と、
(b)モノリシックブロックの外嵌合構造に嵌合しかつその中に係合されるコネクタが設けられた基端部を含む光ファイバと
を含む埋め込み可能な医療用組立体にも関する。
【0020】
一方では、光ファイバは、50μm未満、好ましくは10μm未満の公差で、薄窓の内面または外面の対応する基準点と整合する。他方では、光要素は、30μm未満、好ましくは10μm未満の公差で、薄窓の内面または外面の前記対応する基準点と整合する。
【0021】
本発明は、上で説明した埋め込み可能な医療用組立体を生産するためのプロセスであって、
(a)モノリシックブロックユニットの3Dコンピュータ支援設計を提供するステップと
(b)300〜2200nmに含まれる波長に対して透明である透明セラミック材料の基本ブロックであって、余分な材料の除去によってモノリシックブロックユニットを形成するのに好適な寸法の基本ブロックを提供するステップと、
(c)レーザ処理されたブロックを得るために、モノリシックブロックユニットを形成するための基本ブロックから除去される余分な材料を選択的にレーザで処理するステップであって、このようにレーザ処理された余分な材料は、エッチング処理の影響をより受け易くされる、ステップと、
(d)レーザ処理された余分な材料を基本ブロックから除去するために、レーザ処理されたブロックを化学組成物でエッチングし、かつこのようにしてモノリシックブロックユニットを得るステップと、
(e)内部光源および/または光検出器もしくは内部光ファイバの1つまたは複数を含む光要素を含む光ユニットをモノリシックブロックユニットの内嵌合構造に強固に装着するステップであって、それにより、内部光源、または光検出器、または内部光ファイバは、薄窓の内面または外面の対応する基準点と整合して光学ユニットを形成する、ステップと
を含むプロセスにも関する。
【0022】
好ましい実施形態において、プロセスは、ハウジング(2)であって、外部環境から隔離された内部容積を画定し、かつ薄窓の内面がハウジングの内部容積に面し、かつ薄窓の外面が外部環境に面する状態で光学ユニットがハウジングに封止結合されるように、電子回路と電源とを内包するハウジング(2)を形成するステップを更に含む。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図2(a)に図示するように、本発明による組立体は、シース(9s)に内包された光ファイバ(9)または光ファイバ束の基端部に結合された埋め込み可能な医療装置(IMD)(1)を含む。続いて、特段の指示のない限り、単数形で使用される「光ファイバ」という用語は、光ファイバ束を内包するシース(9s)を指すこともできる。光ファイバは、
図2(a)に図示するように、IMDの内部に位置する光源(5L)から光ファイバを介して伝送されたエネルギーを、電極(9e)に供給される電気エネルギーに変換するための光電池(9pv)に接続された電極(9e)を含むことができる要素が光ファイバの先端部に設けられる。この種類の組立体は、例えば、国際出願欧州特許出願公開第2015/053585号明細書に記載されているタイプの神経刺激器に特に有用である。
【0026】
代替的に、標的組織は、放射された光線を前記標的組織に向けることによって治療され得る。したがって、光ファイバの先端部は、小さい点に集中させるか、または軟らかい部位に送達されるか、または更に組織の広い領域に散乱させるように、前記放射された光線を標的組織の所望の領域に送達するのに好適でなければならない。この目的で、光ファイバの先端部は、特定の幾何形状を有さなければならない。先端部の断面は、平面であり得るか、または先端部の断面は、放射された光線を、所望の特性を備えた標的組織に向けるためのマイクロ光学装置を設けられ得る。マイクロ光学装置は、レンズ、プリズム、偏光子、ビームスプリッタ、ミラー、フィルタなどを含み得る。
【0027】
更に代替の用途において、標的組織は、放射された光線を前記標的組織に向けることにより、かつ前記標的組織で反射したまたは前記標的組織を透過した光の特性の変動の特性評価を行うことにより監視され得る。したがって、光ファイバの先端部は、標的組織の生理学的変化を表す反射光または透過光の特性の変動を検知するのに好適なセンサを設けられ得る。センサは、光信号を処理するプロセッサを収容し得るIMDの内部に位置する光検出器(5d)に対し、光ファイバを介して前記光信号を送信し得る。代替的に、IMD内の光検出器(5d)は、光ファイバの先端部におけるセンサを必要とせずに、標的組織で反射してまたは標的組織を透過して、光ファイバを介してIMDに搬送された光の特性を評価するのに好適なものであり得る。
【0028】
本発明の要点は、IMD自体、特に
図3〜
図8に図示する新しい概念の光学ユニット(3)にある。本発明によるIMD(1)は、電子回路と、電源と、アンテナ、コイルなどを含む、IMDで使用される他の任意の要素とを内包するハウジング(2)を含む。ハウジングは、外部環境から密封隔離された内部容積を画定する。IMDは、ハウジングに封止結合された光学ユニット(3)を更に含む。光学ユニット(3)は、透明セラミック材料で作製されたモノリシックブロック(4)と、モノリシックブロックに強固に結合された光ユニット(5)とからなる。
【0029】
図3〜
図7に図示するように、モノリシックブロック(4)は、
(a)ハウジングの内部容積に面する内面と、外部環境に面する外面とによって画定された薄窓と、
(b)薄窓の内面または外面の対応する基準点(4r)と整合するように光ファイバ(9)を結合するための、薄窓の外面側に位置する外嵌合構造(4om)と、
(c)光ユニット(5)を永久的に結合するための、薄窓の内面側に位置する内嵌合構造(4im)と
を含む。
【0030】
従来技術のIMDとは対照的に、薄窓(4w)は、モノリシックブロックの一体部であり、追加の継手によってヘッダに組み付けられた別個の窓ではない。薄窓(4w)は、先行技術の構造を上回る2つの大きい利点を有する。第1に、薄窓は、IMDの故障の主な原因とみなされる、形成するのにコストがかかりかつ限られた寿命期間を有する継手の数を低減する。第2に、薄窓の位置は、50μm未満、好ましくは30μm未満、より好ましくは20μm未満以内で制御することができる。これは、
図1に示すように光源または外部光ファイバの50μm未満の位置ずれが光エネルギー伝達効果の実質的な喪失をもたらすため、マイクロ光学構成要素が薄窓の内面または外面に設けられる場合に特に重要である。
【0031】
外嵌合構造(4om)もモノリシックブロックの一体部であり、そのため、外嵌合構造と薄窓との両方は、モノリシックブロックと一体であるため、薄窓とほぼ完全に整合するように形成することができる。外嵌合構造と薄窓との整合公差は、外嵌合構造内に係合された光ファイバ(9)を50μm未満、好ましくは10μm未満以内で薄窓の内面または外面上の対応する基準点(4r)と整合できるようなものである。
【0032】
ハウジングによって画定された内部容積内に収納される全ての構成要素の装填を可能にするために、ハウジングは、概して、2次継手(7s)によって主ハウジング要素に封止結合されるように2次要素(2s)によって封止されたとき、ハウジングの内部容積を形成する空洞を画定する少なくとも主ハウジング要素(2m)で構成される。例えば、2次要素(2s)は、
図3〜
図6に図示するヘッダ(2h)または
図8に示す蓋(2L)であり得る。ヘッダ(2h)は、開口部を封止する他に、多数の電気フィードスルーおよび/または光学ユニットを備えることにより、ハウジングの内部容積と外部環境との間の電気的および/または光学的インターフェースとしての機能を果たす点において簡単な蓋(2L)と異なる。フィードスルーを安定させるかまたはアンテナを埋設するために、ヘッダの外側をエポキシ塗料で覆うことができる。蓋と同じように、ヘッダは、ガスおよび液体に対して不透過性でなければならない。
【0033】
第1の実施形態において、光学ユニット(3)は、主ハウジング要素(2m)または2次要素(2s)の一体部であり得る。例えば、
図3〜
図5は、光学ユニット(3)がハウジングのヘッダ(2h)を形成する実施形態を図示する。光学ユニット(3)の一部をなし、かつ光ユニット(5)を支持することに加えて、モノリシックブロックユニット(4)は、主ハウジング構成要素に設けられた開口部(2o)に嵌るヘッダを形成するような形状とされ、かつ2次継手(7s)によって主ハウジング構成要素に封着される。この実施形態において、ヘッダと主ハウジング要素との間の2次継手(7s)は、有利には、外部環境から内部容積を隔離する唯一の外部継手であり得る。IMDが単一の外部継手として2次継手(7s)を含むことが好ましい。これは、漏れの可能性が低減される点で有利である。ハウジング内の外部継手は、ハウジング内部容積と外部環境との両方に露出される2つの要素間の任意の継手である。寸法がより小さく、かつ概していくつかのフィードスルーが狭い領域に存在するため、取り扱いの余地がほとんどなく、形成がより複雑である、従来技術のIMDで必要とされるフィードスルーの周囲の継手と異なり、2次継手は、大きい寸法を有しかつ形成が容易であるため、単一の外部継手を有することが有利である。光学ユニットは、ヘッダの一体部ではなく、蓋の一体部であり得ることは明らかである。
【0034】
図8に図示する別の例において、光学ユニット(3)は、主ハウジング要素(2m)の一体部であり得る。したがって、主ハウジング要素は、光学ユニットの一部を形成し、光ユニットを支持し、かつIMDの内部容積内に収容される全ての構成要素を受け入れる空洞を画定するモノリシックブロックユニットを形成する。2次要素(2s)は、2次継手によって外部環境から内部容積を封止する蓋(2L)であり得る。ここでもまた、2次継手は、有利には、IMDの唯一の外部継手である。
【0035】
第2の実施形態では、ハウジングに設けられた開口部(2o)に光学ユニット(3)を密封継手(7)によって封止結合することができる。
図6に図示する一例において、光学ユニットは、ヘッダ(2h)を形成する2次要素(2s)に設けられた開口部に密封継手(7)によって封止結合される。モノリシックブロックユニット(4)と異なり、この実施形態では、ヘッダ(2h)が透明である必要はない。ヘッダは、2次継手(7s)によって主ハウジング要素に封着される。
【0036】
図7に図示する更に別の例では、主ハウジング要素(2m)に設けられた開口部(2o)に光学ユニット(3)を密封継手(7)によって封止結合することができる。この場合も、主ハウジング要素は、透明である必要はない。2次要素(2s)は、ヘッダ(2h)または蓋(2L)であり得、かつ2次継手(7s)によって2次要素(2s)を主ハウジング要素に封止結合され得る。
【0037】
光学ユニット(3)がヘッダまたはIMDのハウジングの主ハウジング要素の何れかの一体部である第1の実施形態において、光学ユニット(3)は、外嵌合構造内に係合された光ファイバをモノリシックブロックに固定するための固定手段(6)も含むことが好ましい。例えば、
図3および
図5〜
図7に図示するように、固定手段は、ねじ(6s)を受け入れるねじ山付き空洞を含むことができる。コネクタ(9c)を適所に確実に固定するための固定手段に板(6p)を螺着することができる。以下に述べる他の固定手段も使用することができる。
【0038】
光学ユニットがIMDのハウジングの要素の一体部であるかどうかにかかわらず、本発明によるIMDは、フィードスルーを含まないことが最も好ましい。あらゆる場合において、IMDは、2つ以上の光学ユニットを含むことができる。IMDは、電極の2つの対を用いて左右両方の脳半球を刺激する必要がある、例えばパーキンソン病の神経学的治療に使用することができる。このような用途では、単一のモノリシックブロックユニット(4)と、2つ以上の光ユニット(5)とで作製された光学ユニット(3)を含むIMDを使用することも可能である。
【0039】
光ユニットは、内部光源(5L)、および/または光検出器(5d)、および/または内部光ファイバの1つまたは複数を含む光要素を含む。
図3は、例として、プリント回路基板(5p)に装着された2つの内部光源(5L)および1つの光検出器(5d)を含む光ユニットを図示する。薄窓(4w)は、3つのマイクロ光学構成要素を含み、各マイクロ光学構成要素は、対応する内部光源(5L)および光検出器(5d)と整合する。マイクロ光学構成要素の中心点は、対応する内部光源(5L)および光検出器(5d)の各々に対して対応する基準点(4r)を形成する。このような構成では、3つの別個の光ファイバ(9)が必要であり、これらの光ファイバ(9)の基端部が上述の対応する基準点(4r)ならびに対応する内部光源(5L)および光検出器(5d)と整合しなければならないことは明らかである。3つの光ファイバ(9)は、好ましくは、光ファイバ(9)をまとめて外部環境から保護するシース(9s)内に束ねられる。
図3は、2つの内部光源(5L)と、1つの光検出器(5d)と、対応する3つの基準点(4r)を形成する3つのマイクロ光学構成要素(4L)と、3つの光ファイバ(9)とを含む実施形態を図示する。光ファイバ(9)と、基準点(4r)と、内部光源(5L)、および/または光検出器(5d)、および/または内部光ファイバの総数Nとが同数Nである限り、構成要素の数Nを変更できることは明らかである。一実施形態では、N=1である。
図3に図示する実施形態では、N=3である。代替の実施形態では、N=2であり、好ましくは1つの内部光源と1つの光検出器(5d)とを含む。Nは、用途に応じて任意の整数値をとることができ、光学ユニット内の利用可能な空間によってのみ制限される。
【0040】
内部光源から薄窓に向けてまたは薄窓から光検出器に向けて光線を導くために、対応する基準点(4r)と整合する内部光ファイバまたは他の導波路(例えば、プリズム)(図示せず)を使用することができ、ここで、内部光源または光検出器は、対応する基準点(4r)と整合しない。異なる構成要素、すなわち光ファイバ(9)と、薄窓(4w)と、マイクロ光学構成要素(4L)と、内部光ファイバとの整合は、50μm未満、好ましくは30μm未満、より好ましくは20μm未満の公差で可能な限り完全なものでなければならないため、原理は同じままである。
【0041】
内部光源(5L)および/または光検出器(5d)は、好ましくは、プリント回路基板(PCB)に装着された電子構成要素である。特に、光源は、好ましくは、LEDまたはVCSELである。PCB内の内部光源または光検出器の位置のみならず、PCBの外周の幾何形状も極めて正確に制御することができる。有利には、PCBの基板は、窒化アルミニウムなどのセラミックで作製され、μm程度の精度でレーザ切断することができる。セラミックPCBの別の利点は、モノリシックブロックユニットのセラミック材料との熱膨張係数(CTE)の類似性である。したがって、内部光源または光検出器が薄窓の内面または外面の対応する基準点(4r)と整合されるように、PCBをモノリシックブロックユニットの内嵌合構造(4im)に結合することができる。
図1(a)に図示するように、高い光エネルギー伝達効果を確保するために、整合公差は、30μm未満、好ましくは10μm未満であるべきである。
図3(a)、
図4(a)および
図4(d)は、内部光源および光検出器を保持するPCBの外周よりも僅かに大きい外周を有する、モノリシックブロックにおける凹部の形状の内嵌合構造(4im)を示す。PCBを凹部内に位置決めし、PCBを凹部の基準隅部に押し付けることにより、対応する基準点との内部光源または光検出器の最適な整合を達成することができる。
【0042】
内嵌合構造の他の幾何形状も使用することができる。例えば、
図5に図示するように、内嵌合構造(4im)は、ピンに密に嵌る対応する数の孔が設けられたPCBを受けるのに好適な多くのピン(モノリシックブロックと一体である)によって形成することができる。ピンは、薄窓の内面からのPCBの距離を制御するための、PCBの孔よりも大きい直径の肩部を含み得る。
【0043】
モノリシックブロックを形成する材料は、IMDのハウジング内に含まれるあらゆる汚染物質に対してのみならず、宿主体の内部に存在する流体およびガスに対して不透過性でなければならない。シリコーン、エポキシまたはフルオロカーボンなどのポリマーは、IMDの内部に収容される電子機器の有効な長期保護(数年)を確実にするには透過性が高すぎるために有効でない。事実上、セラミック(ガラスと結晶との両方)および金属のみが、IMDの外部から内部を隔離するIMDの構成要素に使用される十分に低い透過性を有する。有意な値の透過性を有する液晶ポリマーが現在開発されている。薄窓は、光線に対して透明でなければならず、かつモノリシックブロックユニットの一体部であるため、モノリシックブロックユニットは、必然的に光線に対して透明な材料で作製されなければならない。事実上全ての金属が光に対して不透明である一方、結晶質と非晶質(=ガラス)との両方のいくつかのセラミック材料は、光に対して透明である。そのため、本発明で使用されるモノリシックブロックユニットは、透明セラミック材料で作製される。十分に低い値の透過性を有する液晶ポリマーが利用可能である場合、本発明では、透明セラミック材料の代わりにそれらポリマーを考慮に入れることができる。
【0044】
モノリシックブロックユニットを形成する透明セラミック材料は、300〜2200nmに含まれる波長に対して透明でなければならず、これらの波長は、センサによって身体から情報を受け取るためのみならず、電極(9e)に電流パルスを供給するための光電池(9pv)に光エネルギーを送るために従来使用されている波長である。透明セラミック材料は、例えば、溶融シリカ、ホウケイ酸塩、スピネル、サファイアまたは酸化イットリウムから選択することができる。
【0045】
薄窓は、光学ユニットの重要な部分である。薄窓は、最小限のエネルギー吸収で光が薄窓を通過することを可能にしなければならない。薄窓(4w)は、好ましくは、光要素に面する光学部分であって、2000μm以下、好ましくは1500μm以下、より好ましくは1000μm以下、より好ましくは500μm以下の厚さを有する光学部分を含む。前記光学部分の厚さは、300〜2200nmに含まれる波長に対して75%、好ましくは少なくとも少なくとも80%の前記光学部分の透過率を確保することが好ましい。窓の光学部分は、平行な内面と外面とによって画定することができ、これらの内面および外面は、平面または曲面であり得る。代替的に、光学部分は、凸面または凹面であり得るレンズなどのマイクロ光学構成要素(4L)を含み得る。
【0046】
主ハウジング要素(2m)および2次要素(2s)は、2次継手(7s)によって互いに封止結合される。上述のいくつかの実施形態では、密封継手(7)によって光学ユニット(3)をハウジングの開口部(2o)に結合することができる(
図2(b)を参照されたい)。上述のように、光学ユニットは、好ましくは、主ハウジング要素または2次要素の一体部を形成し、概して、光ファイバ(9)を光学ユニットに固定するための固定手段を含む。この実施形態は、外部環境からIMDの内部容積を封止するのに単一の外部継手(=2次継手(7s))があれば十分であるために好ましい。光学ユニットとハウジングとの間の2次継手(7s)および密封継手(7)は、ろう付け、拡散接合、共晶接合、接着(例えば、セラミックセメントでの接着剤接合)、あるいは直接溶接またはチタンもしくは金を含む中間金属の使用の何れかが後に続く、溶接される表面の金属化を含む溶接(レーザ溶接など)の何れか1つによって形成することができる。これらの技術は、当業者に知られており、これらの技術によって気密密封継手(7)が確保される。
【0047】
2次継手(7s)およびハウジングが2つ以上の継手(例えば、密封継手(7))を含む場合にはハウジングの全ての継手は、用途に固有の規格に従って密封性でなければならない。例えば、人工内耳の分野では、標準EN45502−2−3が適用され、19.6条では「通常の使用で体液に接触するように意図されたインプラントシステムの埋め込み可能な刺激器のケースは、流体が刺激器のケースに浸入できないように十分な密封性を提供するものとする」と規定されている。EN13185およびEN1593に従って密封性を微小漏れおよび大きい漏れに関して検査することができる。微小漏れに関して装置の漏れ率が5×10
−9Pa・m
3/sを超えない場合および気泡流が明確に検出できない場合、規格EN45502−2−3への準拠が確認されるものとする。
【0048】
前述の接合技術は、所要の密封性をもたらし得るが、これら接合技術は、IMDの内部と外部との間の光エネルギーの効率的な伝達に必要とされる50μm未満、好ましくは30μm未満の公差を与えず、これは、エネルギー源または情報源として光を使用する従来技術のIMDにおいて頻発する問題であった。本発明において、密封継手によって与えられる位置決め精度は、(継手が実際に密封性である限り)光学ユニットを形成する異なる光学構成要素の整合とは無関係である。実際に、光源(5L)または光検出器(5d)と、薄窓(4w)と、マイクロ光学構成要素(4L)と、光ファイバ(9)とを含む光学ユニット(3)の全ての構成要素が光学ユニット内に全て良好に整合され、ハウジングに対する光学ユニット自体の整合がもはや問題でなくなり、従来の接合技術を、位置決め精度が不十分であっても使用することができる。
【0049】
治療される組織の箇所は、概して、埋め込み型医療装置の位置から離れているため、光ファイバ(9)をその場でIMDの光学ユニットに結合できることが好ましい。光ファイバは、光ファイバの全長にわたって身体を切開する必要なしに光ファイバを皮下に設置することによって身体内に位置決めすることができる。光ファイバは、概して、IMDとは別個に位置決めされ、その後、光ファイバをIMDに接続しなければならない。そのため、外科医によってその場でIMDに高度な精度で容易に接続されるのに好適なコネクタを光ファイバに設けることが有利である。その接続は、光ファイバを取り外す必要なしにIMDを新しいものと交換できるように、正確であり、かつ好ましくは可逆的でなければならない。そのため、本発明によれば、光ファイバは、モノリシックブロックユニットの外嵌合構造(4om)に嵌合するコネクタ(9c)が設けられた基端部を含む。外科医がコネクタを外嵌合構造に挿入したとき、光ファイバは、50μm未満、好ましくは10μm未満の公差で薄窓の内面または外面の対応する基準点(4r)と整合する。このような公差は、ヘッダに組み付けられた窓の位置、したがって対応する基準点の位置を十分な精度で制御できないため、従来のIMDでは達成することができない。かかる挿入されたコネクタをIMDに締結するための固定手段(6)を更に設けることができる。固定手段(6)は、ねじ、バヨネット部、リベット、スナップ留め具、接着剤、溶接などを含むことができる。ねじ、バヨネット部およびスナップ留め具を含む可逆的固定手段が上述の理由から好ましい。
図3および
図5〜
図7は、ワッシャをIMDのヘッダに固定し、したがって光ファイバを締結するための、対応するねじ山に嵌るねじからなる固定手段(6)を図示する。固定手段は、対応する基準点に対する光ファイバの整合に寄与せず、外嵌合構造によって確保される整合位置に光ファイバを単に安定させるのみである。
【0050】
マイクロ光学構成要素は、有利には、光線の光学特性を変更する必要がある場合に光ファイバ基端部と光ユニット(5)との間に位置決めされる。マイクロ光学構成要素は、レンズ、例えば光線を焦点に集束させるための集束レンズ、光線を偏向させるためのプリズム、光線を散乱させるためのファンアウト格子、偏光子、ビームスプリッタ、ミラー、フィルタなどの1つであり得る。かかるマイクロ光学構成要素と光学ユニット(3)の他の要素との相対的な整合が最も重要である。マイクロ光学構成要素は、200〜400μm程度の典型的な直径を有し、かつ1〜100μm、好ましくは5〜50μmに含まれる高さの凸部または深さの凹部を形成することができる。光線がマイクロ光学構成要素と良好に整合されない場合、効果の実質的な喪失が観察される(
図1を参照されたい)。光源または検出器および光ファイバに対するマイクロ光学構成要素(4L)の最良の可能な整合を確実にするために、以下の構成:
(a)マイクロ光学構成要素(4L)が薄窓(4w)の内面または外面の一体部であるか、または
(b)マイクロ光学構成要素(4L)が、光ユニット(5L)、好ましくは内部光源(5L)、光検出器(5d)もしくは内部光ファイバに強固に固定されるか、または
(c)マイクロ光学構成要素(4L)が光ファイバ(9)の基端部に強固に固定される
ことの1つが好ましい。
【0051】
これらの構成の何れも光学ユニット内のマイクロ光学構成要素および光ファイバの正確な位置決めを可能にする。
図3〜
図5に図示するように、マイクロ光学構成要素(4L)が薄窓(4w)の内面または外面の一体部であることが好ましい。
【0052】
光ファイバは、基端部の反対側に先端部を含む。いくつかの用途において、組織は、光線にさらされることによって治療され得る。この場合、光ファイバの先端部は、単に、前記光線を標的組織に照射するのに好適な位置に前記先端部を固定するための手段を含むことができる。また、先端部は、上述のマイクロ光学構成要素(4L)に関して述べたのと同じ構成要素の中から選択できるマイクロ光学装置を設けられ得る。
図2(a)に図示するように、神経刺激器の光ファイバの先端部は、(b)光ファイバによって運ばれた光エネルギーを電流に変換できる光電池(9pv)と、(c)光電池に電気的に接続された少なくとも2つの電極(9e)とを含む電極ユニットを設けられ得る。
【0053】
神経刺激器では、電気パルスを送り、したがって組織を刺激するために、神経または筋肉などの宿主患者の組織に電極を結合することができる。代替的に、光ファイバの先端部は、心臓、血管、脳などの宿主患者の特定の臓器の生理学的信号を検知して、例えば血中の特定の成分の濃度の特性評価を行うのに好適な検知機器を設けられ得る。放射された光線または光パルスが標的組織に向けられ、前記標的組織から反射したまたは前記標的組織を透過した光が取り込まれ、その特性評価が行われる。標的組織の生理学的変化は、光強度、光散乱などの反射光または透過光の特定の特性に変動をもたらすことがある。反射光線または透過光線の特性評価は、光ファイバの先端部においてまたは先端部に隣接して位置決めされた光検出器またはセンサによって行うことができる。しかしながら、
図3に図示するように、概して、かかる光検出器(5d)またはセンサは、IMD内に収納され、反射光または透過光は、光ファイバを介して前記光検出器に送られる。IMD内に収容される電子機器に応じて、反射光または透過光のいかなる変動も、標的組織もしくは関連組織の瞬間的な電気刺激などの更なる作用に関してCPUによってその場で解析できるか、または情報は、内部メモリに記憶されて、標的組織の進化を監視するかもしくは更なる作用に関してその場以外で変動を解析するための外部の通信機器によって後に読み出され得る。
【0054】
対応する数のマイクロ光学構成要素(必要に応じて)、および内部光源(5L)、および光検出器(5d)が全て互いにほぼ完全に整合した状態で、シース(9s)内にまとめられたいくつかの光ファイバ(9)がIMDに結合される場合、刺激と情報交換との両方を同じIMDによって保証することができる。パーキンソン病の治療などのいくつかの用途では、一方が右脳半球用であり、他方が左脳半球用である電極の別個の2つの組が必要である。そのような場合、IMDは、2つの別個の光ファイバの一方が右脳半球に、他方が左脳半球に達する、上で説明した2つの別個の光学ユニットを含み得る。代替的に、IMDは、2つの対応する基準点と整合する少なくとも2つの光ファイバ(一方の光ファイバが右脳半球に位置決めされ、他方の光ファイバが左脳半球に位置決めされる)を接続するための単一の外嵌合構造を備えた、1つまたは好ましくは2つの光源(5L)を含む単一の光学ユニットを含み得る。
【0055】
光ファイバが本発明によるIMDに結合されて固定されたとき、光ファイバは、50μm未満、好ましくは10μm未満の公差で薄窓の内面または外面の対応する基準点と整合することができる。同様に、内部光源(5L)、または光検出器(5d)、または内部光ファイバの1つまたは複数を含む光要素は、30μm未満、好ましくは10μm未満の公差で薄窓の内面または外面の前記対応する基準点と整合することができる。対応する基準点は、好ましくは、薄窓の内面または外面と一体であるマイクロ光学構成要素の中心点である。本発明の極めて重要な点の1つは、継手のない、モノリシックブロックユニットの一体部である薄窓(4w)を形成し、したがって全体的な密封と、モノリシックブロックユニットおよび任意のマイクロ光学構成要素の位置決めの高い精度との両方を可能にすることである。
【0056】
このような構成では、IMDでこれまで実現されなかった光伝送効果を達成することができる。この光伝送効果の達成は、電力損失の抑制によってIMDの自律性を高める上で重要である。充電式バッテリに関して、この光伝送効果の達成により、IMD内に収容された小型バッテリの2回の充電操作間に必要とされる時間間隔の延長が可能となる。非充電式バッテリに関して、これにより、IMDの交換が必要となる前にIMDを長期間にわたって使用することが可能となる。再充電操作は、面倒であり、かつ宿主患者にとって極めて不都合である。光学ユニットとハウジングとの間の(肉眼で見える)単一の密封継手(7)を用いて、かつフィードスルーなしに、IMDの内部が宿主患者の身体の外部環境から確実に封止され、このようにしてIMDの寿命が延び、かつ治療効果および宿主患者の安全性が確保される。
【0057】
上述の埋め込み可能な医療用組立体は、以下のステップ:
(a)光学ユニット(3)を形成するステップであって、
(i)上述のようにモノリシックブロックユニット(4)および光ユニット(5)を形成することと、
(ii)光要素が薄窓の内面または外面の対応する基準点と整合して光学ユニットを形成するように光ユニットをモノリシックブロックユニットの内嵌合構造に強固に装着することと
により、光学ユニット(3)を形成するステップと、
(b)2次継手(7s)によって2次要素(2s)を主ハウジング要素(2m)に封止結合することによって形成されたハウジング(2)の内部容積に構成要素を内包することにより、IMDを形成するステップであって、
(i)光学ユニットは、主ハウジング要素(2m)もしくは2次要素(2s)の何れかの一体部であるか、または
(ii)光学ユニットは、何れのハウジング要素(2m、2s)の一体部でもなく、かつ主ハウジング要素および2次要素の一方は、開口部(2o)を含み、かつ光学ユニットは、密封継手(7)によって前記開口部に封止結合される、ステップと、
(c)光ファイバ(9)のコネクタ(9c)をモノリシックブロックユニット(4)の外嵌合構造(4om)に結合するステップと
を含むプロセスによって製造することができる。
【0058】
2次継手(7s)および任意選択的に密封継手(7)は、好ましくは、ろう付け、拡散接合、共晶接合、接着(例えば、セラミックセメントでの接着剤接合)、あるいは直接溶接を含む溶接またはチタンもしくは金を含む中間金属を使用する溶接、例えばレーザ溶接によって達成される。
【0059】
明らかに、最も重要なステップは、高い精度を要するモノリシックブロックユニットの製造である。一実施形態において、本明細書で定義されるモノリシックブロックユニットは、透明セラミック材料を使用して3D印刷によって製造することができる。3D印刷技術は、セラミック材料で作製される複雑形状の部品を生産するために現在では容易に利用できる。
【0060】
代替の実施形態において、モノリシックブロックユニットは、以下のステップ:
・モノリシックブロックユニットの3Dコンピュータ支援設計を提供するステップと、
・300〜2200nmに含まれる波長に対して透明である透明セラミック材料の基本ブロックであって、余分な材料の除去によってモノリシックブロックユニットを形成するのに好適な寸法の基本ブロックを提供するステップと、
・レーザ処理されたブロックを得るために、モノリシックブロックユニットを形成するための基本ブロックから除去される余分な材料を選択的にレーザで処理するステップであって、このようにしてレーザ処理された余分な材料は、未処理材料よりもエッチング処理の影響を受け易くされる、ステップと、
・レーザ処理された余分な材料を基本ブロックから除去するために、レーザ処理されたブロックを化学組成物でエッチングし、かつこのようにしてモノリシックブロックユニットを得るステップと
を含むプロセスによって製造することができる。
【0061】
IMDは、ハウジング(2)であって、外部環境から隔離された内部容積を画定し、かつ薄窓の内面がハウジングの内部容積に面し、および薄窓の外面が外部環境に面する状態で光学ユニットがハウジングに封止結合されるように、電子回路と電源とを内包するハウジング(2)を形成することによって完成される。
【0062】
市場で入手できるエッチングキットを使用して優れた結果を得ることができ、マイクロ光学構成要素(4L)が薄窓の表面に一体に形成された。例えば、
図3に図示するモノリシックブロックユニットは、約450μmのマイクロ光学構成要素を除いた領域の平均厚さと約3.2mmの直径とを有する薄窓を備えた溶融シリカの基本ブロックから製造された。薄窓は、それぞれ200および400μmの直径の一体型マイクロ光学構成要素を含み、100μmの最大高さだけ薄窓の表面から突出していた。
【0063】
本発明は、以下の利点をもたらす、添付の特許請求の範囲で定義される上述の埋め込み可能な医療装置に関する:
(a)本発明のIMDの光学ユニットの種々の構成要素と光ファイバとの整合の水準は、溶接によって種々の構成要素を組み付けた従来技術のIMDで可能な水準よりも精密であり、その結果、IMDの内部と外部との間の光エネルギーの伝達がより高度になり、したがってハウジングの内部に位置するバッテリの低消費電力および長期にわたる自律性を可能にする。
(b)外部環境に露出される外部密封継手(7)の数が実質的に低減され、単一の密封継手がハウジング開口部と光学ユニットとの間にあれば十分である。フィードスルーがない場合、巨視的寸法を有しかつ形成が容易なこの単一の密封継手は、光学ユニットとハウジングとの気密接触を確実にする。モノリシックブロックユニットを伴う光学ユニットは、窓がモノリシックブロックユニットの一体部であるため、外部継手を含まない。
(c)モノリシックブロックユニットに透明セラミック材料を使用することにより、薄窓の高さにおける高い光透過率と、宿主患者に埋め込まれたときのIMDの外部環境に存在する汚染物質に対する低透過性との両方が確保される。
(d)外嵌合構造は、単にコネクタを外嵌合構造に挿入することにより、50μm以内、好ましくは10μm以内の精度で、外科医がその場で光ファイバをIMDに容易に接続することを可能にする。光ファイバを適所に確実に固定するために、ねじ、バヨネット部またはスナップ留め具のような固定手段を使用することができる。
本発明は、埋め込み可能な医療装置(1)であって、電子回路と電源とを内包するハウジング(2)と、ハウジングに封止結合された光学ユニット(3)であって、・透明セラミック材料で作製され、かつ○内面と外面とによって画定された薄窓(4w)と、○光ファイバをモノリシックブロックに結合するための外嵌合構造(4om)と、○光ユニットを永久的に結合するための内嵌合構造(4im)とを含むモノリシックブロックユニット(4)と、・モノリシックブロックユニットの内嵌合構造(4im)内に強固に装着され、かつ内部光源(5L)および/または光検出器(5d)の1つまたは複数を含む光要素を含む光ユニット(5)とからなる光学ユニット(3)とを含み、光要素および外嵌合構造内に係合された光ファイバは、薄窓上に位置する対応する基準点(4r)と整合する、埋め込み可能な医療装置(1)に関する。