(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
シート状基材の表面に、所定の必要情報が記憶された光学的に読取可能な光学情報コードが、赤外光吸収インキによる印刷またはサーマル層の赤外発色によって形成されてなる光学情報部を備えた光学読取帳票において、
光学情報部の光学情報コードは、可視領域の光で読取可能な赤外光非吸収インキにより印刷される隠蔽層で被覆され、
前記シート状基材の表面の、前記光学情報部と異なる領域に、第一の判定情報が記憶された光学的に読取可能な第一光学判定コードが、透明または可視領域の光で読取不能な淡色の赤外光吸収インキにより印刷され、
さらに、該第一光学判定コード上に、第二の判定情報が記録された光学的に読取可能な第二光学判定コードが、可視領域の光で読取可能な赤外光非吸収インキにより印刷されてなる光学判定部を備えていることを特徴とする光学読取帳票。
【背景技術】
【0002】
近年、個人情報などを記録したカード(光学読取帳票)は、他者による偽造や改ざんを防止できるように、該情報を、光学的に読取可能な光学コードにより記憶し、さらに、該光学コードを視認できないように隠蔽したものが知られている。例えば、特許文献1には、赤外領域の光で読取可能な光学読取コードと判定コードとを夫々備え、さらに、該光学読取コードと判定コードとを、該赤外領域の光を透過する隠蔽層で夫々被覆する構成が提案されている。ここで、光学読取コードは、個人情報等の必要情報が記憶された光学コードからなり、判定コードは、所定の判定情報が記憶された光学コードからなる。
【0003】
かかる従来構成では、赤外領域の光によって判定コードとを読み取り、該判定コードに示された情報で真贋判定を行い得るものである。すなわち、読み取った判定コードの情報が正しいか否か判定し、正しいと判定した場合に、赤外領域の光によって読み取った光学読取コードから、必要情報を取得する。さらに、近年、こうした真贋判定と必要情報の取得とを、読取装置により自動化することが進んでおり、該自動化によって、人間の介在による操作ミスや誤認などを防止でき、高い信頼性が得られる。尚、この読取装置は、光学読取コードと判定コードとを読み取ることができる読取手段と、該判定コードの情報を正否判定する判定手段とを備えている。
【0004】
また、上記の従来構成は、隠蔽層によって光学読取コードと判定コードとを視認できず、該光学読取コードおよび判定コードの存在を隠すことができる。さらに、この従来構成を、コピー機(すなわち、可視領域の光により読み取る機器)により複写したとした場合には、光学読取コードを被覆した隠蔽層と判定コードを被覆した隠蔽層とが複写されるだけで、該光学読取コードと判定コードとが複写されない。そのため、コピー機で複製された物は、上記した読取装置によって偽物と判定できる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記した隠蔽層は、その下の情報を隠すものであるが、該隠蔽層が存在することによって、隠された情報が存在することを暗示させてしまう虞もある。さらに、複製(偽造)しようとする者が、隠蔽層により隠された情報を得るために、赤外領域の光を使用することに思い当たれば、該情報を複写することも可能である。すなわち、上述した従来構成を、赤外領域の光による読取機能を備えた複写機により複写した場合には、隠蔽層を複写できないものの、光学読取コードと判定コードとが複写される。ここで、複写に赤外光吸収インキが使用されると、隠蔽層が無い複写物であっても、上記の読取装置では、本物と判定されてしまう虞がある。これは、読取装置で、赤外領域の光により光学読取コードと判定コードとを読み取ることができることに因る。特に、近年、人件費などの削減を目的として、前記読取装置による自動化が進んでいることから、該読取装置によっても正確に本物と判定できる構成が求められている。
【0007】
本発明は、上述した自動の読取装置で読み取られる場合であっても、正確に真贋判定され得る光学読取帳票と、該光学読取帳票の真贋判定方法とを提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、シート状基材の表面に、所定の必要情報が記憶された光学的に読取可能な光学情報コードが、赤外光吸収インキによる印刷またはサーマル層の赤外発色によって形成されてなる光学情報部を備えた光学読取帳票において、前記シート状基材の表面の、前記光学情報部と異なる領域に、第一の判定情報が記憶された光学的に読取可能な第一光学判定コードが、透明または可視領域の光で読取不能な淡色の赤外光吸収インキにより印刷され、さらに、該第一光学判定コード上に、第二の判定情報が記録された光学的に読取可能な第二光学判定コードが、可視領域の光で読取可能な赤外光非吸収インキにより印刷されてなる光学判定部を備えていることを特徴とする光学読取帳票である。
【0009】
かかる構成によれば、可視領域の光により読み取った第二光学判定コードの第二の判定情報と、赤外領域の光により読み取った第一光学判定コードの第一の判定情報とを夫々に正否判定し、両者が正しいと判定した場合に本物と判定できる。このように本構成の真贋判定には、第一光学判定コード(第一の判定情報)と第二光学判定コード(第二の判定情報)との二つの正否判定を用いることから、該真贋判定の精度を向上できる。そして、本発明の光学読取帳票を真贋判定する自動読取装置を用いることによっても、該光学読取帳票を高精度で真贋判定できる。
【0010】
すなわち、本発明の光学読取帳票は、目視により第二光学判定コードを視認できるものの、第一光学判定コードを視認できない。同様に、可視領域の光により光学判定部を読み取ると、第二光学判定コードを読み取ることができるものの、第一光学判定コードを読み取ることができない。そのため、例えば、コピー機(可視領域の光を使用するもの)で複写すると、第二光学判定コードが複写され、第一光学判定コードは複写されない。このコピー機による複写物を、上記の自動読取装置で真贋判定すると、第一光学コードを読み取ることができないため、偽物(複写された物)と判定できる。一方、赤外領域の光により光学判定部を読み取ると、第二光学判定コードを読み取ることができずに、第一光学判定コードを読み取ることができる。そのため、例えば、赤外領域の光を用いた複写機(以下、赤外光複写機という)で複写すると、第一光学判定コードが複写され、第二光学判定コードは複写されない。この赤外光複写機による複写物を、前記自動読取装置で真贋判定すると、第二光学判定コードを読み取ることができないため、偽物(複写された物)と判定できる。このように可視領域の光や赤外領域の光により複写したとしても、この複写物を偽物として正確に判定できることから、本発明の光学読取帳票は、自動読取装置により高精度で真贋判定できる。
【0011】
また、光学判定部では、第二光学判定コードを目視でき且つ第一光学判定コードを目視不能であることから、これら二種類の光学コードが印刷されていることを隠蔽する効果が極めて高い。さらに、第一光学判定コードと第二光学判定コードとは、光学的に読取可能な光学コードであることから、いずれか一方のみを視認した場合に、一見して正確に区別することは極めて困難といえる。こうしたことから、上記したコピー機または赤外光複写機で複写することにより、第二光学判定コードと第一光学判定コードとのいずれか一方のみが複写されると、複写した者は、光学判定部の複写に成功したと思い込み易い。そのため、この複写物を上記の自動読取装置により真贋判定することで、偽物として正確に判定できる。
【0012】
ここで、一般的なコピー機や赤外光複写機では、比較的容易に入手可能な黒色(または明度の高いカラー色)の赤外光吸収インキや赤外光非吸収インキが使用される。そのため、上記のように赤外光複写機で複写されると、複写した光学判定部では、複写した第一光学判定コードを目視可能(可視領域の光で読取可能)となることから、上記のように複写する者に、光学判定部の複写に成功したと思い込ませ易い。尚、本構成の第一光学判定コードを印刷する赤外光吸収インキは、透明または可視領域の光で読取不能な淡色の特殊なインキであり、一般的に入手が極めて難しい。そのため、仮に、複製しようとする者が、第一光学判定コードの存在に気付いたとしても、この特殊なインキを解析し、これを入手して複写に用いるという行為に至る可能性は、極めて低い。したがって、本構成の光学判定部が完全に複製されてしまうことを可及的に抑制でき、偽造を抑制する効果も極めて高い。
【0013】
このように、本発明の構成によれば、自動読取装置を用いた真贋判定の精度を飛躍的に向上できると共に、第一光学判定コードと第二光学判定コードとの両方を完全に複写することが極めて困難であることから、複製(および偽造)を防止する効果が極めて高い。これにより、必要情報を記憶した光学情報コードの信頼性を、著しく高めることができる。
【0014】
上述した本発明の光学読取帳票にあって、光学情報部に、光学情報コードを被覆する隠蔽層が、可視領域の光で読取可能な赤外光非吸収インキにより印刷されている構成が提案される。ここで、赤外光非吸収インキにより印刷された隠蔽層は、赤外領域の光を透過し且つ可視領域の光を吸収する。そのため、目視により光学情報コードを視認できない。
【0015】
かかる構成によれば、隠蔽層により光学情報コードを目視不能とすると共に、該光学情報コードを赤外領域の光により読み取ることができる。また、仮に光学情報コードを複写するために上記の赤外光複写機が用いられた場合には、該光学情報コードを複写できるものの、光学判定部では第一光学判定コードのみが複写される。そのため、この複写物は、上述したように自動読取装置により偽物と判定される。
【0016】
尚、隠蔽層の赤外光非吸収インキとしては、光学情報コードの赤外光吸収インキもしくはサーマル層の赤外発色と同色のインキ、または該赤外光吸収インキもしくは該サーマル層の赤外発色よりも濃く且つ可視領域の光で読取可能な色のインキであることが好適である。こうした赤外光非吸収インキにより、光学情報コードを隠す効果が、一層高い。
【0017】
一方、本発明は、上述した光学読取帳票の真贋判定方法であって、赤外領域の光を用いた赤外光読取手段により、第一光学判定コードを読み取る第一読取ステップと、該第一読取ステップで読み取った第一光学判定コードに記憶された第一の判定情報を、所定の第一判定基準に基づいて正否判定する第一判定ステップと、可視領域の光を用いた可視光読取手段により、第二光学判定コードを読み取る第二読取ステップと、該第二読取ステップで読み取った第二光学判定コードに記憶された第二の判定情報を、所定の第二判定基準に基づいて正否判定する第二判定ステップと、前記赤外光読取手段により、光学情報コードを読み取る情報読取ステップと、前記第一判定ステップで第一の判定情報を正しいと判定し且つ前記第二判定ステップで第二の判定情報を正しいと判定した場合に、該情報読取ステップで読み取った光学情報コードに記憶された必要情報を、本物として取得する情報取得ステップとを備えていることを特徴とする光学読取帳票の真贋判定方法である。
【0018】
ここで、第一判定ステップと第二判定ステップとは、どちらを先に実行しても良いし、両者を同時に実行しても良い。同様に、第一読取ステップと第二読取ステップとは、どちらを先に実行しても良い。また、情報読取ステップは、第二読取ステップと同時に実行するようにしても良いし、別々に実行するようにしても良い。
【0019】
かかる方法によれば、上述した本発明の光学読取帳票を、高精度で真贋判定できると共に、正しい必要情報を安定して取得することができる。すなわち、第一読込ステップで読み込んだ第一光学判定コードに記憶された第一の判定情報と、第二読込ステップで読み込んだ第二光学判定コードに記憶された第二の判定情報との両方を正しいを判定した場合にのみ、本物であると判定することから、この真贋判定を高精度で行い得る。こうした本発明の真贋判定方法によれば、上述したようにコピー機や赤外光複写機で複写された場合に、この複写物を偽物であると確実に判定できる。
【0020】
また、本発明の真贋判定方法を備えた自動読取装置を用いることにより、光学読取帳票の真贋判定と必要情報の取得とを自動化できると共に、該真贋判定を高精度で実行でき且つ必要情報の取得を正確かつ安定して実行できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の光学読取帳票によれば、上述したように、コピー機や赤外光複写機で複写された場合にあっても、可視領域の光と赤外領域の光とを用いて読み取る自動読取装置によって正確に本物と偽物とを判定することができる。このように高精度で真贋判定できることから、コピー機や赤外光複写機による複製を防止する効果が高い。
【0022】
また、本発明の光学読取帳票の真贋判定方法によれば、上述したように、上記した本発明の光学読取帳票を高精度で真贋判定でき、正しい必要情報を安定して取得できる。そして、この真贋判定方法を備えた自動読取装置によれば、光学読取帳票の高精度の真贋判定を実現できる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明にかかる実施形態を添付図面に従って以下説明する。
本実施例の光学読取帳票1は、
図1〜3に示すように、シート状基材2の表面に、光学情報コード11および隠蔽層12が印刷された光学情報部4と、第一光学判定コード15および第二光学判定コード16が印刷された光学判定部5とを夫々に備える。さらに、光学情報部4と光学判定部5とを覆うように、保護層7が設けられている。尚、本実施例にあって、光学情報コード11、第一光学判定コード15、および第二光学判定コード16は、QRコード(登録商標)により構成されており、専用の読取手段(装置)で読み取ることによって該QRコードに記憶された情報を取得できる。また、本実施例では、前記保護層7を備えた構成としたが、該保護層7を備えていない構成としても良い。
【0025】
シート状基材2は、上質紙や中質紙等の普通紙、樹脂製フィルム、または合成紙等から構成される不透明なシートであり、本実施例では、白色の普通紙を用いている。また、保護層7は、赤外領域の光(以下、赤外光という)と可視領域の光(以下、可視光という)とを透過する透明な樹脂フィルムにより形成されたものが適用でき、該樹脂フィルムがシート状基材2の表面全域を覆うように被着されている。
【0026】
上記した光学情報部4には、上記のシート状基材2の表面に、光学情報コード11が印刷され、該光学情報コード11を被覆するように隠蔽層12が印刷されている。これにより、光学情報コード11が隠蔽層12に隠蔽されていることから、該光学情報コード11を視認できない。ここで、光学情報コード11は、個人情報等の必要情報が記憶されたQRコードであり、赤外光吸収インキにより印刷されてなる。この赤外光吸収インキは、照射された赤外光を吸収する特性を有するインキであり、赤外光を吸収する顔料を含有したものである。本実施例では、光学情報コード11を印刷する赤外光吸収インキに、黒色や青色などの有色の前記顔料が含有したものが用いられている。一方、隠蔽層12は、赤外光非吸収インキにより、光学情報コード11の全体を覆うように印刷されてなる。この赤外光非吸収インキは、赤外光を透過可能であり且つ可視光を透過不能とする特性を有するインキであり、さらに、光学情報コード11の赤外光吸収インキよりも濃い有色のインキとしている。こうした赤外光非吸収インキで印刷された隠蔽層12によって、光学情報コード11を視認不能となることから、該光学情報コード11を隠蔽できる。
【0027】
また、上記した光学判定部5には、シート状基材2の表面に、第一光学判定コード15が印刷され、該第一光学判定コード15上に重なるように第二光学判定コード16が印刷されている。ここで、第一光学判定コード15は、第一の判定情報が記憶されたQRコードであり、第二光学判定コード16は、第二の判定情報が記憶されたQRコードである。そして、第一の判定情報と第二の判定情報とは相互に異なる情報であることから、第一光学判定コード15と第二光学判定コード16とは互いにQRコードの形態が異なる。そのため、光学判定部5では、第一光学判定コード15と第二光学判定コード16とが完全に重なっておらず、部分的に重なっている。尚、本実施例にあって、第一の判定情報と第二の判定情報とは、予め設定された内容を含むものであり、例えば、複数の文字や数字を配列した内容が適用できる。
【0028】
第一光学判定コード15は、赤外光を吸収する特性を有する赤外光吸収インキにより印刷されており、本実施例では、該赤外光吸収インキが、可視光下で透明なインキである。そのため、シート状基材2の表面に印刷した第一光学判定コード15は視認不能である。こうした透明な赤外光吸収インキとしては、例えば、トリフェニルメタン系のレーキ顔料、錫ドープ酸化インジウム粉末などを含有するものが適用できる。すなわち、本実施例にあって、第一光学判定コード15の赤外光吸収インキは、上記した光学情報コード11の赤外光吸収インキとは異なる種類のインキである。一方、第二光学判定コード16は、黒色や青色などの有色の赤外光非吸収インキにより印刷されている。この赤外光非吸収インキは、上述の隠蔽層12のインキと同様、赤外光を透過可能であり且つ可視光を透過不能とする特性を有するインキである。
【0029】
こうした光学判定部5は、第一光学判定コード15を視認できず、第二光学判定コード16のみを視認可能となっている。
【0030】
次に、上述した光学読取帳票1を真贋判定して光学情報コード11の必要情報を取得する真贋判定方法と、該真贋判定方法を備えた自動読取装置31とについて説明する。
本実施例の自動読取装置31は、
図4のように、光学読取帳票1を読み込むリーダ装置32と、該リーダ装置32が接続されたパソコン33とから構成されている。リーダ装置32は、そのカード差込口から差し込まれた光学読取帳票1の第一光学判定コード15、第二光学判定コード16、および光学情報コード11を読み取って、そのコードデータをパソコン33に送信するものである。パソコン33は、リーダ装置32から前記コードデータを受信すると、前記した真贋判定と必要情報の取得とを行うものである。
【0031】
リーダ装置32は、赤外光センサを備え、該赤外光センサによりQRコード(光学コード)読み取る赤外光読取手段34と、可視光センサを備え、該可視光センサによりQRコードを読み取る可視光読取手段35と、パソコン33との間でデータやコマンド信号を送受信する送受信手段36とを備えている。赤外光センサは、赤外光を照射する赤外発光部と、照射した赤外光の吸収を検出する機能を持つ赤外受光部とを備え、可視光センサは、可視光を照射する可視発光部と、照射した可視光の吸収を検出する機能を持つ可視受光部とを備える。また、赤外光読取手段34は、赤外光センサにより、第一光学判定コード15に示されたコードデータ(以下、第一判定コードデータという)と、光学情報コード11に示されたコードデータ(以下、情報コードデータという)とを読み取る。また、可視光読取手段35は、可視光センサにより、第二光学判定コード16に示されたコードデータ(以下、第二判定コードデータ)を読み取る。尚、リーダ装置としては、前記構成の他に、赤外光から可視光までを受光する一個のセンサを備えた赤外光・可視光読取手段を備えた構成とすることもできる。
【0032】
パソコン33は、リーダ装置32との間でデータやコマンド信号を送受信する送受信手段39と、第一判定コードデータと第二判定コードデータとの正否判定により真贋判定する判定手段37と、該真贋判定に基づいて情報コードデータから必要情報を取得する情報取得手段38とを備える。前記の判定手段37は、第一判定コードデータを解析して第一の判定情報を取得して、該第一の判定情報が正しいか否かの判定を行う第一判定処理と、第二判定コードデータを解析して第二の判定情報を取得して、該第二の判定情報が正しいか否かの判定を行う第二判定処理と、第一判定処理および第二判定処理の両方で正判定した場合のみ本物であると判定する真贋判定処理とを備える。さらに、この判定手段37は、前記第二判定処理で第二の判定情報を正判定した場合に、第一光学判定コード15および光学情報コード11の読み取りを指示するコマンド信号を、前記送受信手段を介して送信するコマンド送信処理を備えている。ここで、判定手段37は、第一判定処理で第一の判定情報を正否判定するための正しい第一データと、第二判定処理で第二の判定情報を正否判定するための正しい第二データを備える。そして、第一判定処理では、第一の判定情報と第一データとが一致するか否かを調べ、一致の場合に正判定し、不一致の場合に否判定する。同様に、第二判定処理では、第二の判定情報と第二データとの一致または不一致を調べ、一致の場合に正判定し、不一致の場合に否判定する。尚、本実施例では、パソコン33が、前記判定手段の真贋判定の結果と、情報取得手段により取得した必要情報とを、モニタに表示する報知手段(図示せず)を備えている。
【0033】
こうした自動読取装置31は、光学読取帳票1がリーダ装置32のカード差込口から差し込まれると、該リーダ装置32では、可視光読取手段35が、可視光センサにより第二光学判定コード16を読み取る。ここで、光学読取帳票1の光学判定部5では、可視光により、第二光学判定コード16を読み込むことができるが、第一光学判定コード15を読み込むことができない。さらに、光学情報部4では、可視光が隠蔽層12を透過できないことから、光学情報コード11を読み込むことができない。そして、リーダ装置32の送受信手段36により、第二光学判定コード16の第二判定コードデータを、パソコン33に送信する。
【0034】
パソコン33では、リーダ装置32から第二判定コードデータを受信すると、判定手段39の第二判定処理を実行する。第二判定処理では、受信した第二判定コードデータを解析して第二の判定情報を取得し、該第二の判定情報が上記の第二データに一致するか否かにより正否判定する。そして、第二の判定情報を正判定すると、コマンド送信処理により、第一光学判定コード15および光学情報コード11の読み取りを指示するコマンド信号を、リーダ装置32に送信する。
【0035】
リーダ装置32では、パソコン33から上記のコマンド信号を受信すると、赤外光読取手段34が、赤外光センサにより、該光学読取帳票1に印刷された第一光学判定コード15と光学情報コード11とを読み取る。ここで、赤外光センサにより赤外光が照射されると、光学判定部5では、該赤外光が第二光学判定コード16を透過して、第一光学判定コード15により吸収されることから、該赤外光センサにより該第一光学判定コード15を読み込むことができる。同様に、光学情報部4では、赤外光が隠蔽層12を透過して光学情報コード11により吸収されることから、赤外光センサにより該光学情報コード11を読み込むことができる。そして、リーダ装置32の送受信手段36により、第一光学判定コード15の第一判定コードデータと光学情報コードの情報コードデータとを、パソコン33に送信する。
【0036】
パソコン33では、リーダ装置32から第一判定コードデータと情報コードデータとを受信すると、判定手段37の第一判定処理を実行する。第一判定処理では、受信した第一判定コードデータを解析して第一の判定情報を取得し、該第一の判定情報が上記の第一データに一致するか否かにより正否判定する。そして、第一の判定情報を正判定すると、真贋判定処理により、リーダ装置32に挿入された光学読取帳票1を本物と判定する(
図6参照)。こうして本物と判定した場合には、情報取得手段38により、情報コードデータを解析して必要情報を取得する。さらに、報知手段により、本物であること、および取得した必要情報をモニタに表示する。
【0037】
尚、上記の判定手段37の第二判定処理で、第二の判定情報を否判定した場合には、真贋判定処理が光学読取帳票1を偽物(複写物)と判定する。この場合には、コマンド信号を送信しないことから、第一光学判定コード15と光学情報コード11との読み取りは実行されない。同様に、上記の第一判定判定処理で、第一の判定情報を否判定した場合には、真贋判定処理が光学読取帳票1を偽物(複写物)と判定する。このように真贋判定処理で偽物と判定した場合には、情報取得手段により必要情報が取得されない。そして、モニタに、偽物であることを表示する。
【0038】
このように自動読取装置31によれば、光学読取帳票1の真贋判定と必要情報の取得とを自動で行うことができる。尚、本実施例にあって、リーダ装置32の可視光読取手段35により第二光学判定コード16を読み取ることが、本発明にかかる第二読取ステップであり、パソコン33の判定手段37の第二判定処理により第二の判定情報を正否判定することが、本発明にかかる第二判定ステップである。そして、第二判定処理の正否判定に用いる第二データが、本発明にかかる第二判定基準に相当する。また、リーダ装置32の赤外光読取手段35により第一光学判定コード15と光学情報コードとを読み取ることが、本発明にかかる第一読取ステップと情報読取ステップであり、パソコン33の判定手段37の第一判定処理により第一の判定情報を正否判定することが、本発明にかかる第一判定ステップである。そして、第一判定処理の正否判定に用いる第一データが、本発明にかかる第一判定基準に相当する。さらに、判定手段の真贋判定処理で本物と判定した場合に情報取得手段38により必要情報を取得することが、本発明にかかる情報取得ステップである。
【0039】
次に、上述した本発明の光学読取帳票1が不正に複写された場合について説明する。
不正な複写として、下記の四パターンを想定した。
(1)複写物A:コピー機(可視光による複写)を用いて、赤外光非吸収インキにより複写された場合
(2)複写物B:コピー機を用いて、赤外光吸収インキにより複写された場合
(3)複写物C:赤外光複写機(赤外光による複写)を用いて、赤外光非吸収インキにより複写された場合
(4)複写物D:同じく赤外光複写機を用いて、赤外光吸収インキにより複写された場合
尚、いずれのパターンであっても、赤外光非吸収インキと赤外光吸収インキとは、一般的な黒や青等の有色インキとする。
【0040】
上記(1)の複写物Aは、
図5(a)の複写物41となる。すなわち、光学情報部4に相当する部位(以下、複写情報部という)42に、隠蔽層12を複写した複写隠蔽層44が印刷され、光学判定部5に相当する部位(以下、複写判定部という)43に、第二光学判定コード16を複写した複写第二コード45が印刷される。この複写物Aは、見た目上、本物の光学情報部4と同じ複写情報部42と、本物の光学判定部5と同じ複写判定部43とを備えるものの、光学情報コード11と第一光学判定コード15とは複写されていない。この複写物Aを上記の自動読取装置31で読み取る場合、可視光読取手段35により複写第二コード45を読み取ることから、上記判定手段37の第二判定処理により第二の判定情報を取得して正判定できるものの、赤外光読取手段34により第一光学判定コード15を読み取ることができないことから、上記の第一判定処理でエラー(否判定)となり、真贋判定処理が偽物と判定する(
図6参照)。
【0041】
また、上記(2)の複写物Bは、(1)の複写物Aと同様に、
図5(a)の複写物41となる。すなわち、複写情報部42に複写隠蔽層44が印刷され、複写判定部43に複写第二コード45が印刷される。これら複写隠蔽層45と複写第二コード45とは、赤外光吸収インキにより複写される。この複写物Bを自動読取装置31で読み取る場合、可視光読取手段35は、黒色等の赤外光吸収インキで印刷された複写第二コード45を、読み取ることができるため、上記判定手段37の第二判定処理では、第二の判定情報を取得して正判定する。しかし、赤外光読取手段34によっても複写第二コード45を読み取ることから、上記判定手段37の第一判定処理では、該複写第二コード45から第二の判定情報を取得してしまい、第一データと不一致となって否判定する。これにより、真贋判定処理が偽物と判定する(
図6参照)。
【0042】
また、上記(3)の複写物Cは、
図5(b)の複写物46となる。すなわち、複写情報部42に、光学情報コード11を複写した複写情報コード47が印刷され、複写判定部43に、第一光学判定コード15を複写した複写第一コード48が印刷される。この複写物Cは、複写情報部42に、隠蔽層12が複写されていないものの、複写判定部42に複写第一コード48が複写されており、該複写第一コード48と第二光学判定コード16とを一見して見分けることができない。そのため、光学情報部4を複写情報部42に、光学判定部5を複写判定部43に正確に複写できたとして、複写した者が思い込み易い。この複写物Cを上記の自動読取装置31で読み取る場合、可視光読取手段35は、赤外光非吸収インキで印刷された複写第一コード48を読み取ってしまうことから、上記判定手段37の第二判定処理では、該複写第一コード48から第一の判定情報を取得し、第二データと不一致となって否判定する。これにより、真贋判定処理が偽物と判定する(
図6参照)。
【0043】
また、上記(4)の複写物Dは、(3)の複写物Cと同様に、
図5(b)の複写物46となる。すなわち、複写情報部42に複写情報コード47が印刷され、複写判定部43に複写第一コード48が印刷される。これら複写情報コード48と複写第一コード47とは、赤外光吸収インキにより複写される。この複写物Dにあっても、上記の複写物Cと同様に、複写する者が、正確に複写できたと思い込み易い。この複写物Dを自動読取装置31で読み取る場合、可視光読取手段35は、黒色等の赤外光吸収インキで印刷された複写第一コード47を、読み取ってしまうことから、上記判定手段37の第二判定処理では、該複写第一コード48から第一の判定情報を取得し、第二データと不一致となって否判定する。これにより、真贋判定処理が偽物と判定する(
図6参照)。
【0044】
このように本実施例の光学読取帳票1によれば、自動読取装置31により高精度で真贋判定でき、正しい必要情報を安定して取得することができる。そして、不正に複写された場合には、自動読取装置31によって偽物と確実に判定できることから、複写による偽造を可及的に防止することができる。
ここで、光学読取帳票1は、光学判定部5に、目視可能な第二光学判定コード16と目視不能な第一光学判定コード15とを重ねて印刷したものであることから、コピー機や赤外光複写機により複写された場合に、該第二光学判定コード16と第一光学判定コード15とのいずれか一方のみが複写されるだけであり、複写した者に、正確に複写できとと思い込ませる効果が高い。そのため、こうした複写物を自動読取装置31で読み取ることで、前記のように偽物と判定できる。
さらに、第一光学判定コード15を印刷する透明な赤外光吸収インキは、一般的に入手困難な特殊なインキであることから、これが使用される可能性は極めて低い。したがって、光学判定部5が完全に複製されてしまうことを可及的に抑制でき、上記した偽造防止効果が一層向上する。
【0045】
また、上述した本実施例の光学読取帳票は、光学判定部に印刷する第一光学判定コードを、透明な赤外光吸収インキにより印刷したものであるが、この他の構成として、可視光で読取不能な淡色の赤外光吸収インキにより印刷したものとしても良い。この構成であっても、第一光学判定コードを視認できないことから、上述した本実施例と同様の作用効果を奏し得る。
【0046】
また、上述した本実施例の自動読取装置は、可視光読取手段により第二光学判定コードを読み取って第二の判定情報を正判定すると、次に赤外光読取手段により第一光学判定コードと光学情報コードとを読み取って真贋判定するようにしたものであるが、これら読取ステップと判定ステップとの実行順序は適宜変更可能である。例えば、赤外光読取手段と可視光読取手段とにより光学情報コードと第一光学判定コードと第二光学判定コードとを読み取ってから、該第一光学判定コードおよび第二光学判定コードの正否判定と真贋判定とを実行するようにしても良い。
【0047】
一方、上述した本実施例の別例として、下記の別例1〜4の光学読取帳票51,61,71,81が提案される。尚、いずれの別例も、光学判定部5以外は該実施例と同じ構成であることから、同じ構成要素には同じ符号を記し、その説明を省略する。また、各別例にあって、第一光学判定コードは、上記の実施例と同じ赤外光吸収インキにより印刷され、第二光学判定コードは、該実施例と同じ赤外光非吸収インキにより印刷される。
【0048】
別例1の光学読取帳票51は、
図7のように、光学判定部5に、第二光学判定コード16と異なるサイズの第一光学判定コード55が印刷されたものである。かかる別例1の構成にあっても、上述の実施例と同様に、自動読取装置31により正確かつ安定して真贋判定することができ、必要情報を取得できる。さらに、赤外光複写機により複写された場合(上記した複写物C,Dの場合)に、自動読取機31で偽物と判定できることに加え、この複写物は、第一光学判定コード55を複写したコードのサイズが、第二光学判定コード16と異なることから、目視による判定を行う場合でも容易に偽物と判断できる。また、複写する者も、複写物が本物と異なることを容易に知り得る。そのため、複写する者に、複写を思いとどまらせる効果も生じ、複写を抑制することができる。
【0049】
別例2の光学読取帳票61は、
図8のように、光学判定部5に、第二光学判定コード16と異なる角度で第一光学判定コード65が印刷されたものである。かかる別例2の構成にあっても、上述した別例1と同様の作用効果を奏する。
【0050】
別例3の光学読取帳票71は、
図9のように、光学判定部5に、第一光学判定コード
15と同じ透明(又は可視光で読取不能な淡色)の赤外光吸収インキで所定の文字図柄77が印刷されたものである。かかる別例3の構成にあっても、上述の実施例と同様に、自動読取装置31により正確かつ安定して真贋判定することができ、必要情報を取得できる。さらに、赤外光複写機により複写された場合(上記した不正な複写物C,Dの場合)に、この複写物は、その複写判定部に前記文字図柄77が複写されることから、目視による判定を行う場合でも容易に偽物と判断できる。また、複写する者も、複写物に、本物で視認できない文字図柄77が複写されることから、本物と異なることを容易に知り得る。そのため、上記の別例1,2と同様に、複写を抑制する効果を奏し得る。尚、この別例3にあって、文字図柄に変えて所定の絵図柄が印刷された構成としても良いし、該文字図柄と絵図柄との両方が印刷された構成とすることもできる。
【0051】
別例4の光学読取帳票81は、
図10のように、光学判定部5に、実施例と同様のQRコードからなる第二光学判定コード
16と、バーコードからなる第一光学判定コード
85とを備えたものである。すなわち、別例4は、第一光学判定コード
85と第二光学判定コード
16とを、相互に異なる種類の光学コードとしたものである。かかる別例4の構成にあっても、上述の実施例と同様に、自動読取装置31により正確かつ安定して真贋判定することができ、必要情報を取得できる。さらに、赤外光複写機により複写された場合(上記した不正な複写物C,Dの場合)に、この複写物は、その複写判定部に、バーコードの第一光学判定コード
85が複写されることから、目視による判定を行う場合でも容易に偽物と判断できる。また、複写する者も、複写物が本物と異なることを容易に知り得る。そのため、上記の別例1〜3と同様に、複写を抑制する効果を奏し得る。
【0052】
本発明にあっては、上述した実施例や別例1〜4に限定されるものではなく、上述の実施例以外の構成についても本発明の趣旨の範囲内で適宜変更して実施可能である。例えば、実施例や別例1〜3にあって、光学情報コード、第一光学判定コード、第二光学判定コードを、バーコードとしても良い。
また、実施例や別例1〜4にあって、光学情報コードをサーマル層の赤外発色により形成した構成としても良い。この構成では、シート状基材に、表面にサーマル層を備えたサーマル紙を用いる。そして、光学情報部に、サーマル層の赤外発色によって光学情報コードを形成し、他の隠蔽層、第一光学判定コード、および第二光学判定コードは、実施例や別例1〜4と同様に形成する。かかる構成にあっても、上述した実施例や別例1〜4と同様の作用効果を奏し得る。