(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
表示パネルの表示領域の画面を複数の分割表示領域に分割して駆動する複数の信号線ドライバを有し、前記複数の信号線ドライバがマスタ信号線ドライバと少なくとも1つのスレーブ信号線ドライバとを含み、前記マスタ信号線ドライバと前記少なくとも1つのスレーブ信号線ドライバのそれぞれが少なくとも1つの前記分割表示領域を駆動する表示装置であって、
前記マスタ信号線ドライバから前記スレーブ信号線ドライバへ直流電圧を出力する往路と、
前記スレーブ信号線ドライバに侵入した前記往路と電気的に接続して連続しており前記マスタ信号線ドライバへ前記直流電圧を戻す復路と、を備え、
前記マスタ信号線ドライバと前記スレーブ信号線ドライバとの間に電気的な接続部材として第1ドライバ間配線及び第2ドライバ間配線が配置され、
前記直流電圧は、前記第1ドライバ間配線を導通して前記スレーブ信号線ドライバへ供給され、前記第2ドライバ間配線を導通して前記マスタ信号線ドライバへ戻る、表示装置。
前記ホスト回路から前記マスタ信号線ドライバ内の前記階調電源へ電圧制御信号が出力される前の補助動作期間には、それぞれの前記信号線ドライバ内の前記階調電源へ補助電圧が供給され、
前記マスタ信号線ドライバ内の前記階調電圧が前記電圧制御信号を基に調整される生成動作期間には、前記マスタ信号線ドライバ内の前記電圧比較器が前記復路を介して戻ってきた前記直流電圧と前記往路に出力した前記直流電圧とを比較する、
請求項3に記載の表示装置。
前記マスタ信号線ドライバ、前記第1スレーブ信号線ドライバ、前記第2スレーブ信号線ドライバ、及び前記第3スレーブ信号線ドライバは、それぞれメイン基板、駆動基板、及び信号線ドライバ回路を備えており、
前記電圧比較器、前記ホスト回路、前記直流電圧生成回路、及び前記階調電源は、前記メイン基板に備えられ、
前記第1ドライバ間配線、前記第2ドライバ間配線、及び前記第3ドライバ間配線は、それぞれの前記駆動基板の間に配置されている、
請求項14に記載の表示装置。
前記マスタ信号線ドライバ、前記第1スレーブ信号線ドライバ、前記第2スレーブ信号線ドライバ、及び前記第3スレーブ信号線ドライバは、アドレスを有し、前記ホスト回路により前記バスラインを介してアドレスを指定され、それぞれに前記電圧制御信号が送信される、請求項14又は15に記載の表示装置。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、開示はあくまで一例に過ぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べて、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同一又は類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する詳細な説明を適宜省略することがある。
【0008】
図1は、表示装置の駆動システムの概要を示すブロック図である。
表示装置DSPは、プロセッサPRO、回路基板(PCB)100、走査線ドライバGD、信号線ドライバSD、及び表示パネルPNLを備えている。プロセッサPROは制御モジュールCM及び電源電圧供給モジュールSMを備えている。走査線ドライバGDは走査線ドライバ回路GICを備えており、信号線ドライバSDは信号線ドライバ回路を備えている。表示パネルPNLは、例えば、画像を表示する表示領域DAに、マトリクス状に並んだ画素PXを備えた、液晶表示パネルである。図示した例では、表示パネルPNLは、画素PXに、走査線G、信号線D、画素スイッチング素子PSW、画素電極PE、液晶層LQ、及び共通電極CE等を備えている。なお、
図3で後述するように、表示装置DSPは、複数の信号線ドライバSDを備えている。また、表示装置DSPは、複数の走査線ドライバGDを備えていてもよい。
【0009】
なお、表示パネルPNLは、液晶表示パネルに限定されるものではなく、例えばMicro Electro Mechanical System(MEMS)シャッターによって各画素の輝度を制御する機械式表示パネル等であってもよく、例えばOrganic Light Emitting Diode(OLED)を用いた自発光型の表示パネルであってもよい。なお、液晶表示パネルの表示モードも、特に限定されるものではなく、横電界を利用する表示モードであってもよく、縦電界を利用する表示モードであってもよい。
【0010】
制御モジュールCMは、走査線ドライバGD及び信号線ドライバSDへ入力信号SINを供給する。入力信号SINは、画像の表示データ、クロック信号、垂直同期信号、水平同期信号、又はディスプレイタイミング信号等を含んでいる。電源電圧供給モジュールSMは、走査線ドライバGD及び信号線ドライバSDへ入力電圧VINを供給する。走査線ドライバ回路GICは、供給された入力信号SIN及び入力電圧VINを基に走査信号SSを生成し、各画素PXへ供給する。信号線ドライバ回路SICも、同様にデータ信号DSを生成し、各画素PXへ供給する。
【0011】
図2は、表示装置の等価回路を示す図である。図示した例において、表示装置DSPは、液晶表示装置である。なお、図中の第1方向Xは、第2方向Yと交差する方向である。
信号線ドライバSDは、第1方向Xに延在し第2方向Yに並んで配置されたi本の信号線D(D1〜Di)に接続している。走査線ドライバGDは、第2方向Yに延在し第1方向Xに並んで配置されたj本の走査線G(G1〜Gj)に接続している。信号線D及び走査線Gは、互いに交差する位置で画素スイッチング素子PSWに接続している。画素電極PEは、画素スイッチング素子PSWに接続し、共通電極CEとの間に液晶容量CLQを形成している。また、画素電極PEと共通電極CEとの間には、保持容量CSTも形成されている。全ての共通電極CEは、互いに電気的に接続し、共通電位VCOMが供給されている。
【0012】
走査線ドライバGDは、第1走査線G1から第j走査線Gjまで順次選択し、1水平走査時間の間、各々の走査線Gへ走査電圧を供給する。正又は負のバイアス電圧である走査電圧は、第1走査線G1に接続された画素スイッチング素子PSWへ供給され、画素スイッチング素子PSWを介した信号線Dと画素電極PEとの電気的接続(オン状態−オフ状態)を制御する。信号線ドライバSDは、第1走査線G1の水平走査時間中、第1走査線G1に接続した画素スイッチング素子PSWへ信号線Dを介してデータ信号を供給する。この画素スイッチング素子PSWがオン状態の場合、階調信号であるデータ信号が、対応する画素スイッチング素子PSWを介して画素電極PEへ書き込まれ、液晶容量CLQ及び保持容量CSTによって保持される。同様に、信号線ドライバSDは、第2走査線G2〜第j走査線Gjのそれぞれの水平走査時間中に、対応する画素電極PEへデータ信号を書き込む。このようにして形成された共通電極CEと画素電極PEとの電位差が、液晶層LQ中の液晶分子の配向を制御する。
【0013】
ところで、表示装置DSPが複数の信号線ドライバSDを備えている場合、各々の信号線ドライバSDの階調電源に供給されるアナログ電圧の差異によって、各々の信号線ドライバSDで生成されるデータ信号の電位レベルに誤差が生じる恐れがある。このような場合、データ信号の電位誤差に応じた容量誤差が各液晶容量CLQに生じ、表示装置DSPの表示ムラとなる恐れがある。そこで、本発明者らは、表示ムラを抑制することができる表示装置DSPとして、以下の実施形態を見出した。この実施形態について、
図3乃至
図8を用いて説明する。
【0014】
図3は、第1実施形態に係る4分割された表示領域を有する分割駆動方式の表示装置を示すブロック図である。
表示パネルPNLは、表示領域DAに、第1分割表示領域DA1、第2分割表示領域DA2、第3分割表示領域DA3、及び第4分割表示領域DA4を有している。図示した例では、表示領域DAは矩形形状であり、各分割表示領域も矩形形状である。第1分割表示領域DA1は、第3分割表示領域DA3の対角に位置し、第2分割表示領域DA2は、第4分割表示領域DA4の対角に位置している。第1分割表示領域DA1及び第4分割表示領域DA4は、共に第2分割表示領域DA2及び第3分割表示領域DA3に隣接している。第1分割表示領域DA1乃至第4分割表示領域DA4は、例えば、協働して1つの画像を表示する。
【0015】
信号線ドライバSDは、第1信号線ドライバ10、第2信号線ドライバ20、第3信号線ドライバ30、及び第4信号線ドライバ40を備えている。走査線ドライバGDは、第1走査線ドライバ1、及び第2走査線ドライバ2を備えている。第1信号線ドライバ10乃至第4信号線ドライバ40は、それぞれ第1信号線ドライバ回路SIC1乃至第4信号線ドライバ回路SIC4を備えている。第1走査線ドライバ1及び第2走査線ドライバ2は、第1走査線ドライバ回路GIC1及び第2走査線ドライバ回路GIC2を備えている。第1信号線ドライバ10は、第1分割表示領域DA1近傍の非表示領域NDAに接続されている。第2信号線ドライバ20乃至第4信号線ドライバ40も同様に、第2分割表示領域DA2乃至第4分割表示領域DA4近傍の非表示領域NDAに接続されている。第1走査線ドライバ1は、第1分割表示領域DA1及び第4分割表示領域DA4近傍の非表示領域NDAに接続され、第2走査線ドライバ2は、第2分割表示領域DA2及び第3分割表示領域DA3近傍の非表示領域NDAに接続されている。
【0016】
例えば、第1分割表示領域DA1及び第4分割表示領域DA4は、第1走査線ドライバ1、第1信号線ドライバ10、及び第4信号線ドライバ40によって駆動される。例えば、第1分割表示領域DA1及び第4分割表示領域DA4で第2方向Yに並んだ画素R、G、及びBは、第1走査線ドライバ1から走査電圧を供給される。また、第2方向Yに並んだ画素R、G、及びBは、交互に第1信号線ドライバ10または第4信号線ドライバ40からデータ信号を供給される。このとき、第2分割表示領域DA2及び第3分割表示領域DA3は、第2走査線ドライバ2、第1信号線ドライバ20、及び第3信号線ドライバ30によって駆動される。なお、それぞれの分割表示領域DA1乃至DA4は、互いに異なる信号線ドライバ10乃至40で駆動されていてもよい。すなわち、第1分割表示領域DA1は第1信号線ドライバ10によって駆動され、第2分割表示領域DA2は第2信号線ドライバ20によって駆動され、第3分割表示領域DA3は第3信号線ドライバ30によって駆動され、第4分割表示領域DA4は第4信号線ドライバ40によって駆動されてもよい。以上の様に、各々の信号線ドライバは、それぞれ少なくとも1つの分割表示領域を駆動する。
なお、分割表示領域及び信号線ドライバの数は、複数であれば特に限定されるものではなく、それぞれ5つ以上であってもよく、3つ以下であってもよい。
【0017】
図4は、
図3で図示した信号線ドライバの構成例を示す図である。
図4に図示した例において、第1信号線ドライバ10はマスタ信号線ドライバ(m−SD)に相当する。また、第2信号線ドライバ20乃至第4信号線ドライバ40は、第1スレーブ信号線ドライバ(s1−SD)乃至第3スレーブ信号線ドライバ(s3−SD)に相当する。
【0018】
信号線ドライバSDは、往路91及び復路92を備えている。往路91は、マスタ信号線ドライバ10から第3スレーブ信号線ドライバ40に亘って形成されている。図示した例では、往路91は、マスタ信号線ドライバ10から、第1スレーブ信号線ドライバ20乃至第3スレーブ信号線ドライバ40へ、直流電圧Vdcを出力する1系統の電気配線である。復路92は、第3スレーブ信号線ドライバ40からマスタ信号線ドライバ10に亘って形成されている。図示した例では、復路92は、第3スレーブ信号線ドライバ40において往路91と電気的に接続し、往路91と連続している1系統の電気配線である。復路92は、第3スレーブ信号線ドライバ40からマスタ信号線ドライバ10へ、直流電圧Vdcを戻す。すなわち、マスタ信号線ドライバ10から出力された直流電圧Vdcは、全てのスレーブ信号線ドライバを経由してマスタ信号線ドライバ10へ戻される。
【0019】
信号線ドライバSDは、ドライバ間配線50、60、及び70を備えている。ドライバ間配線50は、マスタ信号線ドライバ10と第1スレーブ信号線ドライバ20との間に配置されている。ドライバ間配線60は、第1スレーブ信号線ドライバ20と第2スレーブ信号線ドライバ30との間に配置されている。ドライバ間配線70は、第2スレーブ信号線ドライバ30と第3スレーブ信号線ドライバ40との間に配置されている。ドライバ間配線50乃至70は、例えば、Flexible Flat Cable(FFC)である。
図3に図示した例では、ドライバ間配線60は、表示パネルPNLの表示領域DAを基準にして、第2走査線ドライバ2の外側に配置されている。各々の信号線ドライバとドライバ間配線とは、交互に電気的に接続されている。ドライバ間配線50乃至70は、電気的な接続部材であり、往路91及び復路92を構成している。
【0020】
マスタ信号線ドライバ10から出力された往路91の直流電圧Vdcは、ドライバ間配線50を導通して第1スレーブ信号線ドライバ20へ供給され、さらにドライバ間配線60を導通して第2スレーブ信号線ドライバ30へ供給され、さらにドライバ間配線70を導通して第3スレーブ信号線ドライバ40へ供給される。すなわち、往路91の直流電圧Vdcは、ドライバ間配線50を導通して全てのスレーブ信号線ドライバ20、30、及び40へ供給される。第3スレーブ信号線ドライバ40から出力された復路92の直流電圧Vdcは、ドライバ間配線70、第2スレーブ信号線ドライバ30、ドライバ間配線60、第1スレーブ信号線ドライバ20、及びドライバ間配線50をこの順に導通して、マスタ信号線ドライバ10へと戻される。ドライバ間配線50の長さは、ドライバ間配線70の長さと等しく、ドライバ間配線60の長さより短いものとする。なお、それぞれのドライバ間配線50乃至70において、往路91の長さは、復路92の長さと等しいものとする。
【0021】
往路91及び復路92における直流電圧Vdcの電位は、ドライバ間配線50を導通する際に、配線抵抗による電圧降下VF1(VF1f、VF1r)によって低下する。ドライバ間配線60を導通する際も、配線抵抗による電圧降下VF2(VF2f、VF2r)によって低下する。ドライバ間配線70を導通する際も、配線抵抗による電圧降下VF3(VF3f、VF3r)によって低下する。
【0022】
電圧降下の値は、電流値と抵抗値の積で求められる。往路91において、各々のスレーブ信号線ドライバ20乃至40で電流が消費されるため、ドライバ間配線50、60、及び70を流れる電流値は、互いに異なっている。また、復路92において、第2スレーブ信号線ドライバ20及び第3スレーブ信号線ドライバ30で電流が消費されないため、ドライバ間配線50、60、及び70を流れる電流値は、ほぼ等しい。なお、各々の信号線ドライバ10乃至40の消費電流は、ほぼ等しいものとする。ドライバ間配線50の抵抗値は、ドライバ間配線70の抵抗値と等しく、ドライバ間配線60の抵抗値より小さい。従って、それぞれのドライバ間配線60、70、及び80の配線抵抗の値または比率、及びそれぞれの信号線ドライバ10乃至40の消費電流が判明していれば、往路91の電圧降下VF1f乃至VF3f及び復路92の電圧降下VF1r乃至VF3rの値の比率が判明する。すなわち、往路91の電圧降下VF1f乃至VF3fの値は、直流電圧Vdcの差圧から算出することができる。
【0023】
マスタ信号線ドライバ10は、直流電圧生成回路(DC/DC)12、階調電源(GVG)11、電圧比較器(COMP)13、及びホスト回路(HOST)14を備えている。第1スレーブ信号線ドライバ20は階調電源21を備え、第2スレーブ信号線ドライバ30は階調電源31を備え、第3スレーブ信号線ドライバ40は階調電源41を備えている。直流電圧生成回路12は、往路91へ電気的に接続されている。直流電圧生成回路12は、直流電圧Vdcを生成して往路91へ出力する。往路91の直流電圧Vdcは、マスタ信号線ドライバ10において階調電源11へアナログ電圧Va1を分岐させ、第1スレーブ信号線ドライバ20乃至第3スレーブ信号線ドライバ40において階調電源21乃至階調電源41へアナログ電圧Va2乃至アナログ電圧Va4を分岐させる。往路91の電圧降下VF1f乃至VF3fの影響によって、直流電圧Vdcの電位は、それぞれの信号線ドライバ10乃至40において異なっている。従って、アナログ電圧Va1乃至Va4の電位は、それぞれ異なっている。
【0024】
電圧比較器13は、往路91から入力される直流電圧Vdcと、復路92から入力される直流電圧Vdcとの電位差を比較する。ホスト回路14は、電圧比較器13から入力される直流電圧Vdcの比較結果を基に、各スレーブ信号線ドライバ20乃至40における往路91の直流電圧Vdcの電位を算出する。すなわち、ホスト回路14は、アナログ電圧Va1乃至Va4のそれぞれの電位を算出する。ホスト回路14は、アナログ電圧Va1乃至Va4のそれぞれの電位に基づいて、各信号線ドライバ10乃至40で生成される階調電圧Vg1乃至Vg4が等しくなるように制御する電圧制御信号Sc1、Sc2、Sc3、及びSc4を生成する。次に、ホスト回路14は、バスライン93を介して、電圧制御信号Sc1乃至Sc4を対応する階調電源11乃至41へ送信する。なお、バスライン93は、例えば、シリアルデータの通信路(I2C)であり、マスタ信号線ドライバ10から第3スレーブ信号線ドライバ40に亘って形成されている。このとき、マスタ信号線ドライバ10、及び各スレーブ信号線ドライバ20乃至40は、それぞれアドレスが割り振られている。これにより、各信号線ドライバに対応したアドレスデータと、それぞれのアドレスデータに対応した電圧制御信号が、一連のシリアルデータとして、バスライン93へ出力される。
【0025】
マスタ信号線ドライバ10において、階調電源11は、入力されたアナログ電圧Va1及び電圧制御信号Sc1を基に、階調電圧Vg1を出力する。第1スレーブ信号線ドライバ20において、階調電源21は、入力されたアナログ電圧Va2及び電圧制御信号Sc2を基に、階調電圧Vg2を出力する。第2スレーブ信号線ドライバ30において、階調電源31は、入力されたアナログ電圧Va3及び電圧制御信号Sc3を基に、階調電圧Vg3を出力する。第3スレーブ信号線ドライバ40において、階調電源41は、入力されたアナログ電圧Va4及び電圧制御信号Sc4を基に、階調電圧Vg4を出力する。
【0026】
以上の様に、表示装置DSPは、表示パネルPNLの表示領域DAの画面を複数の分割表示領域DA1、DA2、DA3、DA4に分割して駆動する複数の信号線ドライバ10、20、30、40を有し、前記複数の信号線ドライバ10、20、30、40がマスタ信号線ドライバ10と少なくとも1つのスレーブ信号線ドライバ20、30、40とを含み、前記マスタ信号線ドライバ10と前記少なくとも1つのスレーブ信号線ドライバ20、30、40のそれぞれが少なくとも1つの前記分割表示領域DA1、DA2、DA3、DA4を駆動する表示装置であって、前記マスタ信号線ドライバ10から前記スレーブ信号線ドライバ20、30、40へ直流電圧Vdcを出力する往路91と、前記スレーブ信号線ドライバ20、30、40に侵入した往路91と電気的に接続して連続しており前記マスタ信号線ドライバ10へ前記直流電圧Vdcを戻す復路92と、を備えている。
【0027】
表示装置DSPは、さらに、前記マスタ信号線ドライバ10に配置され前記直流電圧Vdcを生成する直流電圧生成回路12と、前記複数の信号線ドライバ10、20、30、40にそれぞれ配置され、前記往路91の前記直流電圧Vdcから分岐されるアナログ電圧Va1、Va2、Va3、Va4を用いて階調電圧Vg1、Vg2、Vg3、Vg4を生成する複数の階調電源11、21、31、41と、を備えている。
【0028】
また、前記マスタ信号線ドライバ10は、前記復路92を介して戻ってきた前記直流電圧Vdcと前記往路91に出力した前記直流電圧Vdcとを比較する電圧比較器13と、前記電圧比較器13の比較結果に基づき前記スレーブ信号線ドライバ20、30、40における前記直流電圧Vdcを算出するホスト回路14と、を備えている。
【0029】
なお、表示装置DSPにおいて、前記マスタ信号線ドライバ10と前記マスタ信号線ドライバ10に隣接する前記スレーブ信号線ドライバ20との間に前記往路91及び前記復路92を構成する電気的な接続部材としてドライバ間配線50が配置されている。前記直流電圧Vdcは、前記ドライバ間配線50を導通して全ての前記スレーブ信号線ドライバ20、30、40へ供給され、前記ドライバ間配線50を導通して前記マスタ信号線ドライバ10へ戻る。
【0030】
次に、マスタ信号線ドライバ10における電圧や信号の動作について説明する。
図5は、マスタ信号線ドライバを示すブロック図である。
入力電圧VINは、コネクタ101を介してマスタ信号線ドライバ10に入力され、直流電圧生成回路12に供給される。直流電圧生成回路12は、直流である入力電圧VINを、異なる電圧の直流電流に変換する変換回路であり、例えば、ロジック電源111、パネル電源113、及びドライバ電源115を備えている。
【0031】
ロジック電源111は、マスタ信号線ドライバ10のロジック回路に電圧を供給する電源であり、例えばタイミングコントローラ(T−CON)14(このタイミングコントローラは先のホスト回路14に相当する)へ入力されるロジック電圧VL1を生成する。パネル電源113は、表示パネルPNLに供給される電圧を生成する電源であり、例えば、走査線制御電圧VGH及びVGL、共通電位VCOMなどを出力する。ドライバ電源115は、直流電圧Vdcを生成する。
【0032】
外部から供給される映像データの例えば同期信号である入力信号SINは、コネクタ102を介してマスタ信号線ドライバ10に入力され、タイミングコントローラ14へ供給される。なおタイミングコントローラ14は、アプリケーションにより処理機能を切り替え可能なコンピュータ或いは中央演算処理装置(CPU)などが用いられてもよい。タイミングコントローラ14は、各種の制御信号の出力タイミングを制御するためのパルス信号を生成するロジック回路である。タイミングコントローラ14は、例えば、互いに同期した走査線制御信号Sgc及び信号線制御信号Sscを出力する。走査線制御信号Sgcは、コネクタ107を介して走査線ドライバGDへ供給され、
図2で説明した走査電圧の出力タイミングを制御する。信号線制御信号Sscは、コネクタ103乃至106を介して第1信号線ドライバ回路SIC1へ供給され、
図2で説明したデータ信号の出力タイミングを制御する。
【0033】
なお、タイミングコントローラ14は、電圧比較器13から比較結果Sd1を入力され、階調電源11へ電圧制御信号Sc1を出力する。すなわち、タイミングコントローラ14は、ホスト回路に相当する。従って、信号線ドライバ10は、ホスト回路を配置するための回路ブロックを用意しなくともよい。これは、信号線ドライバ10の大型化や回路の複雑化を抑制することができることを意味している。タイミングコントローラ14は、起動時に、書き換え可能なメモリ(EEPROM)120に格納された動作パラメータを読み込んで、動作を開始する。
【0034】
なお、ドライバ間配線50は、コネクタ108を介してマスタ信号線ドライバ10へ電気的に接続しているので、直流電圧Vdc、及び電圧制御信号Sc2乃至Sc4は、コネクタ108を介してドライバ間配線50へ出力される。
【0035】
次に、階調電源の動作について説明する。
図6は、第1信号線ドライバに備えられた階調電源の階調電圧の調整方法の一例を示す図である。
階調電源11は、ディジタルアナログ変換回路3と、バッファアンプ4と、を備えている。バッファアンプ4は、出力電圧の階調数に対応する数の、電圧フォロアとして機能する演算増幅器(オペアンプ)を備えている。ディジタルアナログ変換回路3は、アナログ電圧Va1を基準に、n階調の階調電圧Vg1を出力する。このとき、アナログ電圧Va1とは別系統で入力される電圧制御信号Sc1を基に、ディジタルアナログ変換回路3は、階調電圧Vg1の各階調電位V1乃至Vnを調整する。例えば、電圧制御信号Sc1は、ロジック信号であり、ディジタルアナログ変換回路3内でロジック処理により各階調電位V1乃至Vnを調整する。なお、各階調電位V1乃至Vnは、バッファアンプ4のオペアンプでバッファされて出力される。
【0036】
図7は、
図5に図示した例とは異なる階調電圧の調整方法を示す図である。
階調電源11は、アナログバッファ5を備えている点で、
図6に図示した階調電源11と相違している。
【0037】
アナログバッファ5には、アナログ電圧Va1及び電圧制御信号Sc1が入力される。アナログバッファ5は、電圧増幅回路であり、電圧制御信号Sc1に応じてフィードバックループの抵抗を可変とすることで、アナログ電圧Va1を調整し、異なる電圧のアナログ電圧として出力する。図示した例では、アナログバッファ5は、アナログ電圧Va4をディジタルアナログ変換回路3へ入力する。
【0038】
以上の様に、
図6に図示した階調電源11において、アナログ電圧Va1は、調整されずに直接にディジタルアナログ変換回路3へ入力されて、ディジタルアナログ変換回路3から出力される階調電圧Vg1が調整される。対して、
図7に図示した階調電源11において、アナログ電圧Va1は、ディジタルアナログ変換回路3へ入力される前にアナログバッファ5で調整され、階調電圧Vg1の基準となる。階調電源11は、
図6に図示した調整方法でも
図7に図示した調整方法でもよい。また、階調電源11は、電圧制御信号Sc1で階調電圧Vg1が調整できれば特に限定されるものではなく、その他の図示しない調整方法であってもよい。また、他の信号線ドライバ20乃至40に備えられた階調電源21乃至41も、階調電源11と同様の電圧調整方法を取るものとする。
【0039】
次に、上記の階調電源11乃至41の動作を、タイミングチャートを用いて説明する。
図8は、階調電圧の変化を示したタイミングチャートである。
まず、マスタ信号線ドライバm−SDにおける動作を説明する。時点t1において、マスタ信号線ドライバm−SDの直流電圧Vdcが立ち上がる。同時に、マスタ信号線ドライバm−SDのアナログ電圧Va1が立ち上がる。このとき、アナログ電圧Va1は、直流電圧Vdcと等しい。次に、階調電源11は、時点t1から出力遅延時間TD1経過後に、階調電圧Vg1の出力を開始する。このとき、階調電源11には、補助電圧としてアナログ電圧Va1が入力されている。階調電源11は、全ての階調電圧Vg1乃至Vg4の出力が充分に安定化するまでの補助動作期間TM1の間、補助電圧Va1を基準に階調電圧Vg1を出力する。その後、階調電圧Vg1の出力が安定した時点t2において、電圧制御信号Sc1が入力される。時点t2以降の生成動作期間TM2において、階調電圧Vg1の基準電圧は、補助電圧Va1から調整量VF1f+VF2f+VF3fだけ低下して、アナログ電圧Va4となる。すなわち、Vg1=Va1−(VF1f+VF2f+VF3f)=Va4となる。補助動作期間TM1から生成動作期間TM2へと切り替わる時点t2が、イニシャライズ時に相当する。なお、調整量VF1f+VF2f+VF3fは、マスタ信号線ドライバm−SDから第3スレーブ信号線ドライバs3−SDまでに往路で生じた電圧降下の和である。すなわち、それぞれの信号線ドライバは、複数の信号線ドライバのうち最低のアナログ電圧Va4の電圧値以下に、おのおのの階調電圧を調整している。なお、調整量は、生成動作期間TM2における全ての信号線ドライバの階調電圧が等しく調整されていれば、特に限定されるものではなく、マージンαを含んでもよい。すなわち、Vg1=Va1−(VF1f+VF2f+VF3f+α)=Va4−αとしてもよい。
【0040】
次に、第1スレーブ信号線ドライバs1−SDにおいては、アナログ電圧Va2は、ドライバ間配線50による電圧降下VF1fの影響を受けて、アナログ電圧Va1から低下している。すなわち、Va2=Va1−VF1fとなる。階調電源21は、時点t1から出力遅延時間TD2経過した後、階調電圧Vg2の出力を開始する。補助動作期間TM1において、階調電源21は、アナログ電圧Va2を補助電圧として、階調電圧Vg2を出力する。イニシャライズ時t2に、電圧制御信号Sc2が入力され、階調電圧Vg2が調整量VF2f+VF3f分だけ低下する。すなわち、Vg2=Va1−(VF1f+VF2f+VF3f)=Va4となる。なお、マスタ信号線ドライバm−SD同様、階調電圧Vg2の基準電圧は、マージンαを含んでもよく、Vg2=Va4−αとなってもよい。
【0041】
第2スレーブ信号線ドライバs2−SDにおいては、アナログ電圧Va3は、ドライバ間配線50及び60による電圧降下VF1f+VF2fの影響を受けて、Va3=Va1−(VF1f+VF2f)となる。補助動作期間TM1において、階調電源31は、時点t1から出力遅延時間TD3経過後に出力を開始し、アナログ電圧Va3を補助電圧として、階調電圧Vg3を出力する。その後、イニシャライズ時t2に、電圧制御信号Sc3が入力され、階調電圧Vg3=Va1−(VF1f+VF2f+VF3f)=Va4となる。なお、マスタ信号線ドライバm−SD同様、階調電圧Vg3の基準電圧は、マージンαを含んでもよく、Vg3=Va4−αとなってもよい。
【0042】
第3スレーブ信号線ドライバs3−SDにおいては、アナログ電圧Va4は、ドライバ間配線50乃至70による電圧降下VF1f+VF2f+VF3fの影響を受けて、Va4=Va1−(VF1f+VF2f+VF3f)となる。補助動作期間TM1において、階調電源41は、時点t1から出力遅延時間TD4経過後に出力を開始し、アナログ電圧Va4を補助電圧として、階調電圧Vg4を出力する。その後、イニシャライズ時t2に、電圧制御信号Sc4が入力されるが、図示した例では、階調電圧Vg4は調整されず、Vg4=Va1−(VF1f+VF2f+VF3f)=Va4を維持する。第3スレーブ信号線ドライバs3−SDにおいて、電圧制御信号Sc4は省略されてもよい。なお、マスタ信号線ドライバm−SD同様、階調電圧Vg4の基準電圧は、マージンαを含んでもよく、Vg4=Va4−αとなってもよい。
【0043】
以上のように、マスタ信号線ドライバm−SDは、電源の立ち上げ時点t1に往路91と復路92との直流電圧Vdcの差圧を電圧比較器13で測定し、比較結果Sd1をホスト回路14に入力して電圧降下VF1f乃至VF3fを計算する。そして、イニシャライズ時t2に、電圧制御信号Sc1乃至Sc4が各々の階調電源11乃至41へ供給されていることにより、生成動作期間TM2において、全ての階調電圧Vg1乃至Vg4が等しくなる。なお、それぞれの出力遅延時間TD1乃至TD4は、それぞれの信号線ドライバの性能誤差によって生じるため、バラバラな値を取り得る。ただし、全ての出力遅延時間TD1乃至TD4は、補助動作期間TM1よりも短い。なお、生成動作期間TM2中に定期的に比較結果Sd1が更新されて、ホスト回路14へ入力されてもよい。このとき、更新された比較結果Sd1を基に、電圧制御信号Sc1乃至Sc4が定期的にそれぞれの階調電源11乃至41へ入力され、階調電圧Vg1乃至Vg4が調整されてもよい。こうすることで、表示装置DSPは、配線抵抗の継時変化や環境温度の変化によるアナログ電圧Va2乃至Va4の変化を補正し、それぞれの階調電圧Vg1乃至Vg4が互いに等しくなる様に調整し続けることができる。
【0044】
以上のように、表示装置DSPは、前記ホスト回路14から前記マスタ信号線ドライバ10内の前記階調電源11へ電圧制御信号Sc1が出力される前の補助動作期間TM1には、それぞれの前記信号線ドライバ10、20、30、40内の前記階調電源11、21、31、41へ補助電圧が供給され、前記マスタ信号線ドライバ10内の前記階調電圧Vg1が前記電圧制御信号Sc1を基に調整される生成動作期間TM2には、前記マスタ信号線ドライバ10内の前記電圧比較器13が前記復路92を介して戻ってきた前記直流電圧Vdcと前記往路91に出力した前記直流電圧Vdcとを比較する。
【0045】
本実施形態によれば、表示装置は、直流電圧をマスタ信号線ドライバから出力する往路と、往路と電気的に接続して連続しており直流電圧をマスタ信号線ドライバへと戻す復路と、を備えている。このため、配線抵抗などにより、それぞれの信号線ドライバにおいて往路の直流電圧の電位が異なっていたとしても、往路の直流電圧と復路の直流電圧とを比較することで、それぞれの信号線ドライバにおける往路又は復路の直流電圧の電位を算出することができる。
【0046】
さらに、表示装置は、マスタ信号線ドライバに配置された直流電圧生成回路と、それぞれの信号線ドライバに配置された階調電源と、を備えている。このため、表示装置は、マスタ信号線ドライバから出力される1つの直流電圧で、全ての信号線ドライバの階調電源を駆動することができる。すなわち、全ての信号線ドライバへ入力される基準電圧の入力タイミングを、マスタ信号線ドライバの直流電圧生成回路の出力タイミングで制御することができる。
【0047】
表示装置は、マスタ信号線ドライバ内に電圧比較器とホスト回路を備えているため、マスタ信号線ドライバ内で各階調電源へ入力されるアナログ電圧の差異を算出することができる。すなわち、表示装置は、アナログ電圧を用いて生成される階調電圧の差異を算出することができる。階調電圧は分割表示領域を駆動するデータ信号の生成に使われるため、表示装置は、算出した階調電圧の差異を補正することで、異なる分割駆動領域の間で生じる輝度段差や表示ムラを抑制することができる。
【0048】
表示装置は、往路と復路との直流電圧を比較する生成動作期間の前に、それぞれの信号線ドライバの階調電源へ補助電圧が供給される補助動作期間を有している。表示装置は、過電流が流れる恐れのある過渡期が補助動作期間と重なり、生成動作期間にはそれぞれの階調電源の出力が安定するため、ラッチアップの発生を抑制することができる。
【0049】
以上の様に、本実施形態によれば、表示装置は、表示品位の改善が可能な表示装置を提供することができる。
【0050】
なお、表示装置は、例えば、マスタ信号線ドライバと、少なくとも1つのスレーブ信号線ドライと、が1つのドライバ間配線で電気的に接続されている。すなわち、表示装置は、全ての信号線ドライバに亘って形成された1系統の往路及び復路で電気的に接続されている。このような構成例は、それぞれのスレーブ信号線ドライバが個別の往路及び復路でマスタ信号線ドライバと電気的に接続される構成に比べて、往路及び復路のトータルの配線長を抑制することができ、配線抵抗による電圧ロスを抑制することができる。
【0051】
次に、本実施形態の変形例について説明する。なお、以下に説明する種々の変形例においても、上記したのと同様の効果が得られる。
図9は、各々のスレーブ信号線ドライバの構造が
図4で図示した構成例と異なる変形例を示す図である。
本変形例は、全ての信号線ドライバ10乃至40が同じ構造を有している点で、
図4に図示した構成例と相違している。
【0052】
本変形例において、それぞれの信号線ドライバ10乃至40は、直流電圧生成回路DC/DC、階調電源GVG、電圧比較器COMP、ホスト回路HOST、第1スイッチSW1、第2スイッチSW2、及び第3スイッチSW3を備えている。第1スイッチSW1は、往路91と復路92との電気的な接続を制御している。第2スイッチSW2は、復路92から電圧比較器COMPへの入力を制御している。第3スイッチSW3は、直流電圧生成回路DC/DCから往路91への出力を制御している。すなわち、どの信号線ドライバをマスタ信号線ドライバm−SDとするかは、スイッチSW1乃至スイッチSW3の制御によって設定される。なお、それぞれのスイッチSW1、SW2、及びSW3の制御方法及び制御タイミングは、特に限定されるものではなく、ディジタル制御であってもよく、アナログ制御であってもよい。アナログ制御の場合、それぞれのスイッチSW1乃至SW3は、信号線ドライバSDの動作の前にON/OFFの制御が完了していてもよい。例えば、それぞれのスイッチSW1乃至SW3は、リップスイッチであり、表示装置DSPへの信号線ドライバSDの組み込み時にON又はOFFに固定され、以降ON/OFFの切り替えは実施されない。ディジタル制御の場合、それぞれのスイッチSW1乃至SW3は、例えば、表示装置DSPの電源立ち上げ時に、プロセッサからの信号によりON/OFFの制御が実施されてもよい。
【0053】
先に
図5で説明した時点t2以降の生成動作期間TM2における各信号線ドライバの状態について説明する。
マスタ信号線ドライバ10において、第1スイッチ15はOFFである。また、第2スイッチ16はONであり、電圧比較器13は、往路91及び復路92の直流電圧Vdcが入力され、比較結果Sd1をホスト回路14へ入力している。また、第3スイッチ17はONであり、直流電圧生成回路12は、往路91へ直流電圧Vdcを出力している。
【0054】
第1スレーブ信号線ドライバ20及び第2スレーブ信号線ドライバ30において、第1スイッチ25及び35はOFFである。また、第2スイッチ26及び36はOFFであり、電圧比較器23及び33は、復路92の直流電圧Vdcが入力されておらず、機能していない。ホスト回路24及び34も、機能していない。第3スイッチ27及び37はOFFであり、直流電圧生成回路22及び32は、往路91へ直流電圧を入力していない。
【0055】
第3スレーブ信号線ドライバ40において、第1スイッチ45はONであり、往路91と復路92とが電気的に接続されている。なお、第2スイッチ46及び第3スイッチ47は、他のスレーブ信号線ドライバ20及び30と同様に、OFFである。従って、電圧比較器43及びホスト回路44は、機能していない。
【0056】
以上の様に、前記マスタ信号線ドライバ10及び前記スレーブ信号線ドライバ20、30、40は、それぞれ電圧比較器(COMP)13、23、33、43、直流電圧生成回路(DC/DC)12、22、32、42、及び階調電源(GVG)11、21、31、41を備えていてもよい。
【0057】
また、本変形例において、前記マスタ信号線ドライバ10及び前記スレーブ信号線ドライバ20、30、40は、それぞれホスト回路(HOST)14、24、34、44、電圧比較器(COMP)13、23、33、43、直流電圧生成回路(DC/DC)12、22、32、42、及び階調電源(GVG)11、21、31、41を備え、前記マスタ信号線ドライバ10内の前記電圧比較器13は、前記復路92を介して戻ってきた前記直流電圧Vdcと前記往路91に出力した前記直流電圧Vdcとを比較し、前記マスタ信号線ドライバ10内の前記ホスト回路14は、前記電圧比較器13の比較結果Sd1に基づき、前記信号線ドライバ10、20、30、40へそれぞれの前記階調電源11、21、31、41で生成される階調電圧Vg1、Vg2、Vg3、Vg4を制御するための電圧制御信号Sc1、Sc2、Sc3、Sc4を送信する。
【0058】
さらに、それぞれの前記信号線ドライバ10、20、30、40内の前記ホスト回路(HOST)14、24、34、44は、それぞれの前記信号線ドライバ10、20、30、40内の前記電圧比較器(COMP)13、23、33、43への入力及び前記直流電圧生成回路(DC/DC)12、22、32、42からの出力を制御してもよい。
【0059】
以上の様な変形例は、全ての信号線ドライバが同じ構造を有しているため、マスタ信号線ドライバとスレーブ信号線ドライバとで同じ部材を使用することができる。従って、表示装置DSPは、部材調達を簡略化することができる。また、マスタ信号線ドライバとスレーブ信号線ドライバとを製造工程時に取り違える恐れがない。すなわち、製造工程時の実装ミスを抑制することができる。
【0060】
図10は、マスタ信号線ドライバの配置が
図4で図示した構成例と異なる変形例を示す図である。
本変形例は、マスタ信号線ドライバm−SDが第2信号線ドライバ20に相当する点で、
図4に図示した構成例と相違している。すなわち、マスタ信号線ドライバ20は、直流電圧生成回路22、電圧比較器23、及びホスト回路24を備えている。
【0061】
第2スレーブ信号線ドライバ30及び第3スレーブ信号線ドライバ40は、第1系統を構成している。ドライバ間配線60及び70は、第1系統のドライバ間配線に相当する。第1スレーブ信号線ドライバ10は、第2系統を構成している。ドライバ間配線50は、第2系統のドライバ間配線に相当する。第1系統の往路91は、第1系統のドライバ間配線60、第1系統のスレーブ信号線ドライバ30、第1系統のドライバ間配線70、及び第1系統のスレーブ信号線ドライバ40に亘って形成され、第1系統のスレーブ信号線ドライバ40において第1系統の復路92と電気的に接続されている。第1系統の復路92は、第1系統のスレーブ信号線ドライバ40、第1系統のドライバ間配線70、及び第1系統のスレーブ信号線ドライバ30に亘って形成されている。第2系統の往路94は、第2系統のドライバ間配線50及び第2系統のスレーブ信号線ドライバ10に亘って形成され、第2系統のスレーブ信号線ドライバ10において第2系統の復路95と電気的に接続している。第2系統の復路95は、第2系統のスレーブ信号線ドライバ10及び第2系統のドライバ間配線50に亘って形成されている。なお、バスラインも、第1系統のバスライン93及び第2系統のバスライン96に分かれている。
【0062】
直流電圧生成回路22は、第1系統の往路91へ第1系統の直流電圧Vdc1を出力する。また、直流電圧生成回路22は、第2系統の往路94へ第2系統の直流電圧Vdc2を出力する。アナログ電圧Va2乃至Va4は、第1系統の直流電圧Vdc1から供給されている。アナログ電圧Va1は、第2系統の直流電圧Vdc2から供給されている。電圧比較器23は、第1系統の往路91及び復路92における直流電圧Vdc1の比較と、第2系統の往路94及び復路95における直流電圧Vdc2の比較と、を順次行い、それぞれの比較結果をホスト回路24へ入力する。ホスト回路24は、第1系統のバスライン93を介して電圧制御信号Sc2乃至Sc4を送信する。ホスト回路24は、第2系統のバスライン96を介して電圧制御信号Sc1を送信する。図示した例では、マスタ信号線ドライバ20の階調電源21は、第1系統に電気的に接続されているが、第2系統に電気的に接続されていてもよい。
【0063】
以上の様に、前記スレーブ信号線ドライバ10、30、40は複数個であり第1系統と第2系統を構成し、前記マスタ信号線ドライバ20と前記第1系統に属する前記スレーブ信号線ドライバ30、40との間に電気的な接続部材として第1系統ドライバ間配線60が配置され、前記マスタ信号線ドライバ20と前記第2系統に属する前記スレーブ信号線ドライバ10との間に電気的な接続部材として第2系統ドライバ間配線50が配置され、前記マスタ信号線ドライバ20から前記第1系統へ出力される第1系統直流電圧Vdc1は、前記第1系統ドライバ間配線60を導通して前記第1系統に属する全ての前記スレーブ信号線ドライバ30、40へ供給され、前記第1系統ドライバ間配線60を導通して前記マスタ信号線ドライバ20へ戻り、前記マスタ信号線ドライバ20から前記第2系統へ出力される第2系統直流電圧Vdc2は、前記第2系統ドライバ間配線50を導通して前記第2系統に属する全ての前記スレーブ信号線ドライバ10へ供給され、前記第2系統ドライバ間配線50を導通して前記マスタ信号線ドライバ20へ戻されてもよい。
【0064】
以上の様な変形例において、第1系統の往路及び第2系統の往路は、
図4に図示した構成例における往路に比べて短い。このため、本変形例は、往路と復路とが電気的に接続する末端のスレーブ信号線ドライバにおいて、直流電圧の電圧降下を抑制することができ、電力ロスが少ない。
【0065】
図11は、ドライバ間配線の構造が
図3で図示した構成例と異なる変形例を示す図である。
本変形例は、第1信号線ドライバ10と第4信号線ドライバ40との電気的な接続部材としてドライバ間配線80を備えている点で、
図3に図示した構成例と相違している。ドライバ間配線80は、第1信号線ドライバ10と第4信号線ドライバ40との間に位置している。
図12で後述する様に、ドライバ間配線80は、他のドライバ間配線と同様に、往路91又は復路92を構成している。
【0066】
本変形例において、ドライバ間配線80は、表示領域DAを基準にして第1走査線ドライバ1の外側に配置されている。ドライバ間配線80は、例えば、表示パネルPNLの法線方向で第1走査線ドライバ1に対向し、かつ表示領域DAを基準にして第1走査線ドライバ回路GIC1の外側に配置されてもよい。ドライバ間配線60も、例えば、第2走査線ドライバ2に対向し、第2走査線ドライバ回路GIC2の外側に配置されてもよい。
【0067】
以上の様に、前記表示パネルPNLは、前記表示領域DAの外側に走査線ドライバ回路GIC1、GIC2を備え、前記往路91又は前記復路92は、前記走査線ドライバ回路GIC1、GIC2の外側に配置されてもよい。
【0068】
図12は、
図11に図示した表示装置の信号線ドライバを示す図である。
本変形例において、復路92は、ドライバ間配線80によって構成されている。すなわち、復路92は、第3スレーブ信号線ドライバ40において往路91と電気的に接続し、第3スレーブ信号線ドライバ40、ドライバ間配線80、及びマスタ信号線ドライバ10に亘って形成されている。このように、復路92は、往路91とは異なる経路でマスタ信号線ドライバ10へ戻されてもよい。
【0069】
以上の様に、前記マスタ信号線ドライバ10と前記スレーブ信号線ドライバ20、30、40との間に電気的な接続部材として第1ドライバ間配線50及び第2ドライバ間配線80が配置され、前記直流電圧Vdcは、前記第1ドライバ間配線50を導通して全ての前記スレーブ信号線ドライバ20、30、40へ供給され、前記第2ドライバ間配線80を導通して前記マスタ信号線ドライバ10へ戻されてもよい。
【0070】
図13は、ドライバ間配線の配置が
図3で図示した構成例と異なる変形例を示す図である。
本変形例は、ドライバ間配線60が第2走査線ドライバ回路GIC2の上側に配置されている点で、
図3に図示した構成例と相違している。なお、ここでいう上とは、表示パネルPNLの法線方向において、表示パネルPNLが映像を表示する方向であるものとする。図示を省略しているが、
図3及び
図4に図示した構成例と同様に、ドライバ間配線60は、往路91及び復路92を構成している。
【0071】
以上の様に、前記表示パネルPNLは、前記表示領域DAの外側に走査線ドライバ回路GIC2を備え、前記往路91又は前記復路92は、前記走査線ドライバ回路CIC2の上側に配置されてもよい。
【0072】
図14は、ドライバ間配線の配置が
図3で図示した構成例と異なる変形例を示す図である。
本変形例は、ドライバ間配線50乃至70が表示パネルPNL上に形成されている点で、
図3に図示した構成例と相違している。往路91及び復路92は、例えば、
図2に図示した走査線Gや信号線Dなどと同じ材料で、表示パネルPNLを構成する基板上に形成されている。なお、ドライバ間配線60は、第2走査線ドライバ回路GIC2内に存在する空の回路を経由している。
【0073】
以上の様に、前記表示パネルPNLは、前記表示領域DAの外側に走査線ドライバ回路GIC2を備え、前記往路91又は前記復路92は、前記走査線ドライバ回路GIC2の内部を経由していてもよい。
【0074】
また、前記往路91又は前記復路92は、前記表示パネルPNLを構成する基板上に形成されていてもよい。
【0075】
このような変形例によれば、往路及び復路は、例えば走査線や信号線などの、表示パネルの他の配線と同時に形成することができる。また、往路及び復路を構成する配線基板やケーブルが不要となるため、部材の削減及び製造工数の減少によって表示装置の製造コストを抑制することができる。
【0076】
図15は、各々の信号線ドライバの構造が
図3で図示した構成例と異なる変形例を示す図である。
それぞれの信号線ドライバ10乃至40は、メイン基板MB、駆動基板DB、及びフレキシブル配線基板FPCを備えている。メイン基板MBは駆動基板DBに接続され、駆動基板DBはフレキシブル配線基板FPCに接続され、フレキシブル配線基板FPCは表示パネルPNLに接続されている。メイン基板MBには、直流電圧生成回路DC/DC及びタイミングコントローラT−CONが配置されている。第1信号線ドライバ回路SIC1乃至第4信号線ドライバ回路SIC4は、それぞれ対応するフレキシブル配線基板FPC上に実装されている。ドライバ間配線50乃至70は、それぞれの駆動基板DB間に配置されている。
【0077】
図16は、
図15で図示した信号線ドライバの構造を示す図である。
ここでは、マスタ信号線ドライバに相当する第1信号線ドライバ10を例に挙げて、本変形例における信号線ドライバの構造を説明する。
【0078】
第1信号線ドライバ10は、メイン基板130に、階調電源11、直流電圧生成回路12、電圧比較器13、及びタイミングコントローラ(ホスト回路)14を備えている。階調電源11は、駆動基板140を通して、階調電圧Vg1を、フレキシブル配線基板150に備えられた第1信号線ドライバ回路SIC1へ入力する。ホスト回路14は、第1信号線ドライバ10に割り振られたアドレスデータ及び電圧制御信号Sc1を、バスライン93を介して、第1信号線ドライバ回路SIC1へ出力する。往路91、復路92、及びバスライン93は、駆動基板140及びドライバ間配線50を経由し、他の信号線ドライバへ延出している。
【0079】
以上の構成例及びその変形例から、以下のことが言える。すなわち、表示装置DSPにおいて、例えば、前記マスタ信号線ドライバ10は、電圧比較器13、前記電圧比較器13の比較結果Sd1を受け取るホスト回路14、直流電圧生成回路12、及び階調電源11を備え、前記スレーブ信号線ドライバは、第1スレーブ信号線ドライバ20、第2スレーブ信号線ドライバ30、及び第3スレーブ信号線ドライバ40を備え、前記第1スレーブ信号線ドライバ20、前記第2スレーブ信号線ドライバ30、及び前記第3スレーブ信号線ドライバ40は、それぞれ少なくとも階調電源21、31、41を備え、前記マスタ信号線ドライバ10と前記第1スレーブ信号線ドライバ20との間に電気的な接続部材として第1ドライバ間配線50が備えられ、前記第1スレーブ信号線ドライバ20と前記第2スレーブ信号線ドライバ30との間に電気的な接続部材として第2ドライバ間配線60が備えられ、前記第2スレーブ信号線ドライバ30と前記第3スレーブ信号線ドライバ40との間に電気的な接続部材として第3ドライバ間配線70が備えられ、前記第1ドライバ間配線50、前記第2ドライバ間配線60、及び前記第3ドライバ間配線70は、前記往路91及び前記復路92を構成し、前記第1ドライバ間配線50、前記第2ドライバ間配線60、及び前記第3ドライバ間配線70は、前記ホスト回路14が前記第1スレーブ信号線ドライバ20、前記第2スレーブ信号線ドライバ30、及び前記第3スレーブ信号線ドライバ40の前記階調電源21、31、41に電圧制御信号Sc2、Sc3、Sc4を送信するためのバスライン93も構成している。
【0080】
さらに、例えば、前記マスタ信号線ドライバ10、前記第1スレーブ信号線ドライバ20、前記第2スレーブ信号線ドライバ30、及び前記第3スレーブ信号線ドライバ40は、それぞれメイン基板MB、駆動基板DB、及び信号線ドライバ回路SIC1、SIC2、SIC3、SIC4を備えており、前記電圧比較器13、前記ホスト回路14、前記直流電圧生成回路12、及び前記階調電源11は、前記メイン基板MBに備えられ、前記第1ドライバ間配線50、前記第2ドライバ間配線60、及び前記第3ドライバ間配線70は、それぞれの前記駆動基板DBの間に配置されている。
【0081】
さらに、例えば、前記マスタ信号線ドライバ10、前記第1スレーブ信号線ドライバ20、前記第2スレーブ信号線ドライバ30、及び前記第3スレーブ信号線ドライバ40は、アドレスを有し、前記ホスト回路14により前記バスライン93を介してアドレスを指定され、それぞれに前記電圧制御信号Sc1、Sc2、Sc3、Sc4が送信される。
【0082】
さらに、例えば、前記第2ドライバ間配線60は、前記第1ドライバ間配線50及び前記第2ドライバ間配線70よりも長い。
【0083】
以上説明したように、本実施形態によれば、表示品位の改善が可能な表示装置を提供することができる。
【0084】
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。