特許第6574399号(P6574399)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6574399
(24)【登録日】2019年8月23日
(45)【発行日】2019年9月11日
(54)【発明の名称】連結材の取付け構造
(51)【国際特許分類】
   E01C 9/10 20060101AFI20190902BHJP
   E04G 7/32 20060101ALI20190902BHJP
【FI】
   E01C9/10 A
   E04G7/32 A
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-74103(P2016-74103)
(22)【出願日】2016年4月1日
(65)【公開番号】特開2017-186747(P2017-186747A)
(43)【公開日】2017年10月12日
【審査請求日】2018年11月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001373
【氏名又は名称】鹿島建設株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000179915
【氏名又は名称】ジェコス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087491
【弁理士】
【氏名又は名称】久門 享
(74)【代理人】
【識別番号】100104271
【弁理士】
【氏名又は名称】久門 保子
(72)【発明者】
【氏名】森田 大介
(72)【発明者】
【氏名】坂梨 利男
(72)【発明者】
【氏名】藤本 正貴
(72)【発明者】
【氏名】林 良幸
【審査官】 神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−68682(JP,A)
【文献】 実開平1−137303(JP,U)
【文献】 特開2000−273811(JP,A)
【文献】 特開2001−348962(JP,A)
【文献】 特開2014−211052(JP,A)
【文献】 特開2013−83116(JP,A)
【文献】 韓国登録特許第10−0862103(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01C 9/10
E04G 7/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
並列する梁材の上フランジ間に両端を架設した状態で設置して、前記梁材どうしを連結する連結材の取付け構造において、前記連結材の下面側に前記梁材側にスライド自在に垂設された押圧金具と、前記連結材の下面側に前記押圧金具に対して前記梁材の反対側に固定された反力受けと、当該反力受けと前記押圧金具との間に挿入され、前記押圧金具を前記梁材側にスライドさせて前記梁材の上フランジを押圧し得るようにした楔を備えてなることを特徴とする連結材の取付け構造。
【請求項2】
請求項1記載の連結材の取付け構造において、楔の側部にボルト貫通孔、梁材に支持ナットがそれぞれ設けられ、かつ前記ボルト貫通孔を貫通し、前記支持ナットに螺合される楔押込み用ボルトが取り付けられていることを特徴とする連結材の取付け構造。
【請求項3】
請求項1または2記載の連結材の取付け構造において、連結材は、角形鋼管からなることを特徴とする連結材の取付け構造。
【請求項4】
請求項1または2記載の連結材の取付け構造において、連結材は、H形鋼からなることを特徴とする連結材の取付け構造。
【請求項5】
請求項1または2記載の連結材の取付け構造において、連結材は、覆工板からなることを特徴とする連結材の取付け構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、並列する梁材どうしを連結する連結材の取付け構造に関し、例えば、道路工事や桟橋工事などで用いられる覆工板を支持する覆工受け桁間に設置される連結材の両端部を覆工受け桁の上に取り付けるのに利用され、覆工受け桁の上に連結材の両端部を溶接や補剛スティフナー等を使用しなくても容易に固定および取り外しできるようにしたものである。
【0002】
なお、この場合の連結材は、覆工受け桁の横倒れ座屈を防止する横倒れ座屈防止材であり、隣接する覆工受け桁どうしを横倒れ座屈防止材によって連結することにより、覆工受け桁の横倒れ座屈を防止することができる。
【背景技術】
【0003】
道路工事や桟橋工事などでは、路面下での地下工事が一般車両や歩行者の通行の妨げとならないように、路面覆工や作業構台、乗入桟橋等を仮設して路面を一時的に覆工することがある。
【0004】
例えば、道路工事で仮設される路面覆工は、一般車両や歩行者が通る上部工(路面)と当該上部工を支える下部工とから構成され、このうち、上部工は、図7図8に図示するように、構台支持杭20,20の上端部間に桁受け21を架設し、当該桁受け21,21間に複数の覆工受け桁22を並列に架設し、さらに並列する覆工受け桁22,22の上に複数の覆工板23を敷設することにより構築される。
【0005】
覆工受け桁22には主としてH形鋼が使用され、桁受け21の材軸方向に一定間隔おきに並列に架設される。また、覆工受け桁22は過大な荷重を受けて横倒れ座屈を起すことがあるため、並列する覆工受け桁22,22間に横倒れ座屈防止材(横継ぎ材)24が架設される。
【0006】
横倒れ座屈防止材24には主として溝形鋼等が用いられ、並列する覆工受け桁22,22の梁成内に架設される。そして、各横倒れ座屈防止材24の端部は、覆工受け桁22の側部に溶接にて取り付けられたスティフナー25に接合ボルト26によって接合される。
【0007】
このような構成において、上部工(路面)下での地下工事に必要な機材や資材の搬出入、或いは掘削土の搬出は、覆工板23と横倒れ座屈防止材24の一部を一時的に撤去して上方よりクレーン等を用いて行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2015−067978号公報
【特許文献2】特開2015−0212824号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、横倒れ座屈防止材24の両端部は、上記したように覆工受け桁22の側部にスティフナー25と接合ボルト26によって接合されているため、横倒れ座屈防止材24の端部を覆工受け桁22の側部に固定および取り外すことが非常に面倒であった。
【0010】
また、そのための作業足場や高所作業車、墜落防止養生などの設置作業があって非常に煩わしいものであった。さらに、横倒れ座屈防止材(横継ぎ材)24、スティフナー25などの補剛材のスクラップが大量に発生し、その処理に余計なコストが嵩む等の課題があった。
【0011】
本発明は、以上の課題を解決するためになされたもので、並列する梁材間に設置される連結材の両端を梁材の上に容易に固定および取り外しできるようにした連結材の取付け構造を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、並列する梁材の上フランジ間に両端を架設した状態で設置して、前記梁材どうしを連結する連結材の取付け構造の発明であり、前記連結材の下面に前記梁材側にスライド自在に垂設された押圧金具と、前記連結材の下面に前記押圧金具に対して前記梁材の反対側に固定された反力受けと、当該反力受けと前記押圧金具との間に挿入され、前記押圧金具を前記梁材側にスライドさせて前記梁材の上フランジを押圧し得るようにした楔を備えてなることを特徴とする。
【0013】
本発明は、例えば、路面覆工を仮設する場合などに、並列する梁材(以下「覆工受け桁」)間に当該覆工受け桁の横倒れ座屈を防止する目的で架設される連結材(以下「横倒れ座屈防止材」)の両端部を、覆工受け桁の上に溶接や補剛スティフナー等を使用しなくても、楔ひとつで脱着可能に固定できるようにしたもので、横倒れ座屈防止材の設置と撤去が容易で、これにより上部工(路面)下での地下工事に必要な機材や資材の搬出入や掘削土の搬出等が容易になり、作業の効率化を図ることができる。
【0014】
また、楔の側部にボルト貫通孔を形成し、横倒れ座屈防止材に支持ナットを取り付け、かつ前記ボルト貫通孔を貫通し、前記支持ナットに螺合される楔押込み用ボルトを取り付けたことで、反力受けと押圧金具との間に楔を容易にかつ確実に挿入し、また楔を容易に抜き取ることができる。
【0015】
さらに、楔を鉛直に挿入するためのガイドを取り付けることにより、反力受けと押圧金具との間に楔をより確実に挿入することができる。なお、横倒れ座屈防止材は、角形鋼管またはH形鋼より形成することができる。また、覆工板の両端部を覆工受け桁の上フランジに固定する手段は特に限定されないが、締付け手段を備えた固定金具を用いれば、現場作業において簡単に接合でき、かつ取り外しも容易になる。また、図6に図示するように、本発明の連結材の取付け構造は覆工板を覆工受け桁の上に取付ける場合にも適用することもできる。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、並列する梁材間に架設され、梁材どうしを連結する連結材の両端部を梁材の上に楔によって脱着可能に取り付けことが可能なことにより、特に路面覆工を仮設する場合に、並列する覆工受け桁間に覆工受け桁の横倒れ座屈を防止する目的で架設される横倒れ座屈防止材の両端部を、覆工受け桁の上に溶接や補剛スティフナーを使用しなくても、楔ひとつで容易に固定および取り外しができ、これにより上部工(路面)下での地下工事に必要な機材や資材の搬出入や掘削土の搬出が容易になり、作業の効率化を図ることができる。
【0017】
また、反力受けと押圧金具間への楔の挿入と引き抜きは、横倒れ座屈防止材の上方より楔押込み用ボルトによって行うことが可能なため、作業足場や墜落防止養生の設置が不要であり、さらに、横倒れ座屈防止材(横継ぎ材)、スティフナー等の補剛材のスクラップが大量に発生することもないので、その処理に余計なコストが嵩むこともない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1(a)は、角形鋼管からなる横倒れ座屈防止材の側面図、図1(b)は並列する覆工受け桁間に設置された横倒れ座屈防止材の側面図、図1(c)は覆工受け桁の上に固定された横倒れ座屈防止材の側面図、図1(d)は図1(c)におけるイ−イ線断面図である。
図2図2(a),(b)は、図1(c)におけるロ部拡大図、図2(c)は図2(b)におけるハ部拡大斜視図である。
図3図3(a)は、図2(a)におけるニ−ニ線断面図、図3(b)は、図2(a)におけるホ−ホ線断面図である。
図4図4は、本発明の他の実施形態を図示したものであり、図4(a),(b)は、図1(c)におけるロ部拡大図、図4(c)は図1(c)におけるイ−イ線断面図である。
図5図5(a)は、図4(a)におけるへ−ヘ線断面図、図5(b)は、図4(a)におけるト−ト線断面図である。
図6図6(a),(b)は、本発明を覆工板に適用した実施形態を図示したものであり、覆工板の断面図である。
図7】従来の横継材による横倒れ座屈防止構造を示したもので、図7(a)は覆工受桁の桁方向と直交する方向からみた概要図、図7(b)はその要部の拡大図である。
図8図7に対応する図であり、図8(a)は覆工受桁の桁方向からみた概要図、図8(b)はその要部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の具体的実施の形態について説明する。但し、本発明は、以下に説明する実施の形態に限定されるものではない。
【0020】
並列する覆工受け桁1,1の上フランジ1a,1a間に両端が架設された状態で、複数の横倒れ座屈防止材2と覆工板3がそれぞれ設置されている。
【0021】
覆工受け桁1はH形鋼より形成されている。また、横倒れ座屈防止材2は、隣接する覆工受け桁1どうしを連結して覆工受け桁1の横倒れ座屈を防止するための梁材であり、角形鋼管より形成されかつ覆工受け桁1の材軸方向に一定間隔おきに並列に設置されている。
【0022】
覆工板3は、隣接する横倒れ座屈防止材2,2間に横倒れ座屈防止材2と同じ方向に設置されている。
【0023】
各横倒れ座屈防止材2の下フランジ2aの両端部に、横倒れ座屈防止材2の材軸方向に長い矩形状の長孔4が形成され、当該長孔4内に押圧金具5が横倒れ座屈防止材2の材軸方向に移動自在に垂設されている。
【0024】
また、横倒れ座屈防止材2の下フランジ2aの下側に、押圧金具5に対して覆工受け桁1の反対側に反力受け6が取り付けられ、当該反力受け6と押圧金具5との間に押圧金具5を覆工受け桁1側に移動させるための楔7が挿入されている。
【0025】
さらに、横倒れ座屈防止材2の下フランジ2aの上側に、楔7に対して覆工受け桁1の反対側と両側に楔7を鉛直にガイドするためのガイド8が取り付けられている。
【0026】
押圧金具5は、横倒れ座屈防止材2の下フランジ2aの上に配置された水平部5aと、当該水平部5aの下側から長孔4を貫通して長孔4の下方に垂設された垂直部5bおよび垂直部5bの両側部に対称に突設された外れ止め5c,5cより一体的に形成されている。
【0027】
水平部5aは板状に形成され、その横方向(横倒れ座屈防止材2の材軸直角方向)の幅は、長孔4の横方向(横倒れ座屈防止材2の材軸直角方向)の幅より大きく形成されている。
【0028】
これにより、水平部5aが長孔4の長軸方向とほぼ直交する方向に配置されている限り、押圧金具5は水平部5aと左右外れ止め5c,5c間に長孔4の長軸方向の左右縁端部が係合して長孔4から外れることはない。
【0029】
また、水平部5aには、垂直部5bに対して覆工受け桁1の反対側に、T形スリット9が長孔4に連通して形成されている。T形スリット9は、水平部5aの横方向に長軸を有する横スリット9aと水平部5aの縦方向に長軸を有する縦スリット9bより平面に視てT形状に形成され、縦スリット9bの端部は楔7側に解放している(図2(c)参照)。
【0030】
垂直部5bは、水平部5aの縦方向(横倒れ座屈防止材2の材軸方向)に幅広な矩形ブロック状に形成され、当該垂直部5bの反力受け6側の端部5dは下方に移行するに従って反力受け6側に徐々に上り勾配となるように斜めに形成されている(図2参照)。
【0031】
また、垂直部5bの覆工受け桁1側の端部に覆工受け桁1の上フランジ1aの縁端部に係合するL字状の浮上り防止フック5eが形成されている。
【0032】
楔7は、押圧金具5と反力受け6との間に挿入されることにより、押圧金具5を覆工受け桁1側に移動させて、垂直部5aを覆工受け桁1の上フランジ1aの縁端部に強く押し付けるための部材である。
【0033】
楔7の反力受け6側の端部7aは、反力受け6の側面に沿って鉛直に形成され、また、楔7の押圧金具5側の端部7bは、垂直部5bの端部5dに沿って斜めに形成されている。さらに、押圧金具5側の端部にはT形スリット9を貫通するT型リブ7bが上下斜め方向に連続して形成されている。また、楔7は押圧金具5と反力受け6との間に脱着可能に挿入されている。
【0034】
このような構成において、押圧金具5と反力受け6との間に楔7を強く押し込むことにより、押圧金具5が楔7に押されて覆工受け桁1側に移動し、覆工受け桁1の上フランジ1aの縁端部を強く押圧することで、横倒れ座屈防止材2の端部は覆工受け桁1の上に固定される。また、L字状の浮上り防止フック5eが覆工受け桁1の上フランジ1aの縁端部に係合することで、横倒れ座屈防止材2の浮き上がり防止される。
【0035】
さらに、押圧金具5が、横倒れ座屈防止材2の材軸方向の両端部に取り付けられていることで、両端の押圧金具5,5がそれぞれ覆工受け桁1の上フランジ1aを強く押圧することにより、横倒れ座屈防止材2は並列する覆工受け桁1,1間に強く固定される。
【0036】
なお、押圧金具5と反力受け6間に楔7を挿入し、また押圧金具5と反力受け6間から楔7を抜き取るには、横倒れ座屈防止材2の上フランジに形成された開口部2b内に、図1(c),(d)および図2(a),(b)に図示するような上端部がT字状をなす棒状冶具10を挿入、当該棒状冶具10を介して楔7をハンマーで叩く。
【0037】
さらに詳しく説明すると、棒状冶具10を楔7の上端部に連結し、ハンマーで棒状冶具10の上端部を上から叩くことにより押圧金具5と反力受け6との間に楔7を容易に挿入することができる。また、棒状冶具10の上端部を上向きに叩くことにより楔7は容易に抜き取ることができる。
【0038】
なお、楔7の上端部と棒状冶具10の下端部に互いに螺合し合う雄ねじとねじ孔11が形成してあれば、棒状冶具10は楔7に脱着自在に連結することができる。
【0039】
楔7を引き抜くことにより、押圧金具5は楔7側に引き寄せられ、先端のフック5eが覆工受け桁1の上フランジ1aの縁端部から外れるため、横倒れ座屈防止材2の端部を覆工受け桁1より取り外すことができる。
【0040】
なお、並列する複数の覆工受け桁のうち、一番外側に位置する覆工受け桁1の上フランジ1aの上に架設された横倒れ座屈防止材2の端部は、図2に図示するように、覆工受け桁1の上フランジ1aの上に押圧金具5によって固定され、さらに固定金具12とアングルピース13によって固定されている。
【0041】
説明すると、固定金具12の一端側に形成されたフック12aが覆工受け桁1の上フランジ1aの外側縁端部に係止され、他端側に形成されたフランジ12bが横倒れ座屈防止材2の端部に取り付けられたアングルピース13に固定ボルト14によってボルト締結されている。
【0042】
以上の構成により、並列する複数の覆工受け桁のうち、一番外側に位置する覆工受け桁1の上フランジ1aの上に架設された各横倒れ座屈防止材2の端部は、覆工受け桁1の上に固定されている。
【0043】
また、特に図示しないが、材軸方向に隣接する横倒れ座屈防止材1は、覆工受け桁1の上フランジ1aの上で端部が互いに突き合せられ、かつ双方の端部に取り付けられたプレートどうしを締結ボルトによってボルト締結することにより互いに連結されている。
【0044】
図4図5は、本発明の他の実施形態を図示したもので、特に楔7の挿入と引き抜きを楔挿入用ボルトによって簡単に行えるようにしたものである。
【0045】
説明すると、楔7の反力受け6側の端部に楔挿入用ボルト15が鉛直に取り付けられている。楔挿入用ボルト15は、楔7の反力受け6側の端部7aに水平に突設された水平ブラケット7cおよび横倒れ座屈防止材2の下フランジ2aを貫通し、かつ下フランジ2aの下側に取り付けられた支持ナット16に螺合されている。水平ブラケット7cと下フランジ2aには楔挿入用ボルト15が貫通する貫通孔(図省略)が形成されている。
【0046】
このような構成において、楔挿入用ボルト15を締め付けて押圧金具5と反力受け6との間に楔7を押し込むことにより、押圧金具5が楔7に押されて覆工受け桁1側に移動して、覆工受け桁1の上フランジ1aの縁端部を強く押圧する。
【0047】
また、押圧金具5は、横倒れ座屈防止材2の材軸方向の両端部に取り付けられていることで、両端の押圧金具5,5がそれぞれ覆工受け桁1の上フランジ1aを強く押圧することにより、横倒れ座屈防止材2は並列する覆工受け桁1,1間に強く固定される。
【0048】
横倒れ座屈防止材2の端部を覆工受け桁1より取り外すには、楔挿入用ボルト15を緩めて押圧金具5と反力受け6との間から楔7を引き抜けばよい。楔7を引き抜くことにより押圧金具5は楔7側に引き寄せられ、先端のフック5eが覆工受け桁1の上フランジ1aの縁端部から外れるため、横倒れ座屈防止材2の端部を覆工受け桁1より取り外すことができる。なお、楔挿入用ボルト15は、横倒れ座屈防止材の2の上フランジに形成された開口部2bにレンチ19を挿入して締め付けたり緩めたりすることができる。
【0049】
図6(a),(b)は、本発明の横倒れ座屈防止材の取付け構造が覆工板に適用された例を図示したものであり、覆工板3を構成するH形鋼17の下フランジ17aに矩形状の長孔(図省略)が形成され、当該長孔内に押圧金具5がH形鋼17の材軸方向に移動自在に垂設されている。長孔は隣接するH形鋼17の下フランジ17a,17a間に双方の縁端部を矩形状に切り欠いて形成されている。
【0050】
また、H形鋼17の下フランジ17aの下側に、押圧金具5に対して覆工受け桁1の反対側に反力受け(図省略)が取り付けられ、当該反力受けと押圧金具5との間に押圧金具5を覆工受け桁1側に移動させるための楔7が挿入されている。
【0051】
さらに、H形鋼17の下フランジ17aの上側に、楔7に対して覆工受け桁1の反対側と両側に楔7を鉛直にガイドするためのガイド8が取り付けられている。また、楔7の反力受け側の端部に楔挿入用ボルト15が鉛直に取り付けられている。
【0052】
これら押圧金具5、反力受け、楔7、ガイド8および楔挿入用ボルト15の構成および作用は、図1図5の実施形態で説明した通りである。
【0053】
なお、覆工板3は、複数のH形鋼17を覆工受桁1の材軸方向と直交する方向に並設すると共に、隣接する各H形鋼17,17の上下フランジどうしを互いに溶接し、かつ両側部と両端部を平鋼板18て補強することにより長方形板状に一体的に形成されている。
【0054】
特に、図6(a)は2本のH形鋼からなる覆工板を、図6(b)は4本のH形鋼からなる覆工板を図示したものである。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、並列する受け桁間に設置される横倒れ座屈防止材を覆工受け桁の上に容易に固定および取り外すことができ、これにより上部工(路面)下での地下工事に必要な資材の搬出入や掘削土の搬出作業等をきわめて効率的に行うことができる。
【符号の説明】
【0056】
1 覆工受け桁(梁材)
1a 覆工受け桁の上フランジ
2 横倒れ座屈防止材(連結材)
2a 下フランジ
3 覆工板
4 長孔
5 押圧金具
5a 水平部
5b 垂直部
5c 外れ止め
5d フック
6 反力受け
7 楔
8 ガイド
9 T型スリット
9a 横スリット
9b 縦スリット
10棒状冶具
11 雄ねじまたはねじ孔
12 固定金具
13 アングルピース
14 固定ボルト
15 楔挿入用ボルト
16 支持ナット
17 H形鋼
18 平鋼板
19 レンチ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8