(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ケーブルが、前記電気コネクターによって包含されない第2の曲げを更に含み、前記第2の曲げが、前記ケーブルの幅を横切って延在する第2の折り目の周りで少なくとも45°の、最大5mmの内側半径を有する、請求項1又は2に記載のケーブルアセンブリ。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下の説明では、本明細書の一部を構成し、本発明が実施され得るさまざまな実施形態が実例として示される、添付図面を参照する。本発明の範囲から逸脱することなく構造的及び動作的な変更がなされ得ることから、他の実施形態が利用される場合もある点は理解されるべきである。したがって、以下の詳細な説明は限定的な意味で解釈されるべきものではなく、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によって定義されるものである。
【0017】
高速(例えば>1GB/s)の高シグナル・インテグリティ接続を必要とする用途の数は増大している。これらの用途には、企業内コンピューティング、ネットワーク通信、工場オートメーション、医療、検査及び計器等が挙げられ得る。これらの用途には、差動駆動導体の平行ペアを含む2芯同軸(「Twinax」)伝送線が使用され得る。導体の各ペアは、データ伝送チャンネル専用となり得る。これらの目的のために選択される構成体はしばしば、ジャケットで包まれた遮蔽付き導体ペアの緩い束である。このジャケットはしばしば、導体束の周囲を螺旋パターンでラップした遮蔽及び/又は絶縁によって形成される。
【0018】
これらのチャンネルからより高速を、アセンブリ当たり、より多くのチャンネルを、用途が要求するようになっている。その結果、現行のtwinax伝送線にまさる、改善された終端シグナル・インテグリティ、終端コスト、インピーダンス/スキュー制御、及びケーブル価格を備えたケーブルのニーズが求められる。本開示は、とりわけ差動駆動導体セットに好適な、遮蔽付き電気リボンケーブルを全般に目的とする。このケーブルは、そのリボン構造により、類似のピッチのプリント基板コネクターを容易に終端とすることができる。そのような終端は、非常に高い終端シグナル・インテグリティを提供することができる。この種のケーブル構造は一般に、導体の間に特定の隙間をあけて片側又は両側の基材に接着された平行絶縁ワイヤーを含み得る。この基材は、接地面を含んでいても、含んでいなくともよい。そのようなケーブルは、従来の束構造(例えば差動ペア、2芯同軸(twinax)など)の代替として使用することができ、ケーブルコスト、終端コスト、スキュー、及び終端寄生振動が低くなることが期待される。
【0019】
高性能及び高速用途に現在使用されている遮蔽付きケーブルは、曲げ位置でインピーダンスの不連続性が生じ得るため、通常、急角度の曲げは行われない。そのような不連続性は望ましくない反射を生じ、全体的な電気性能を低下させることがある。例えば、ギガビットデータ用途用の従来型平行ペアtwinaxケーブルは、重なり合った遮蔽(螺旋状ラップ)及びポリマーフィルムの外層で構築され、曲げられているときに、ラップ遮蔽を定位置に維持するようにすることが可能である。このラップ層は曲げるケーブルに顕著な剛性をもたらし、曲げ位置のケーブル内で挟まれた及び局所的な幾何学的変化をもたらすこともある。これにより、曲げ位置及び曲げ位置の近接領域でケーブル特性(例えばインピーダンス)が有意に変化する。
【0020】
従来のラップされた平行ペアtwinaxケーブルに比べ、本開示に記述されるリボンケーブル構造は、ケーブルの急角度の曲げが必要な用途において改善された性能を呈し得る。これらの遮蔽付き構造及びケーブル構造は、急角度に曲げた後であっても高いケーブル電気性能を維持し得る。例えば、そのようなリボンケーブルは、コネクター内でケーブルを急角度に曲げる必要があるようなコネクターに使用することができる。この構造はまた、類似の材料を用いた従来型のラップされた構造に比べ、曲げの際に剛性がずっと低く(例えば2分の1までに)なり得る。この低い剛性と、曲げた場合の電気性能に対する影響が最小限であることにより、そのようなケーブルは、従来型のケーブルよりも急角度に曲げることが可能になり、よってスペースの節約になり、所与の用途においてより高い配線可能性を提供する。
【0021】
より良い構成と便宜のためにさまざまなセクション及びセクション見出しが提供されているが、これらは制限的な意味で解釈されるべきものではないことに注意されたい。例えば、セクション及びセクション見出しは、あるセクションの技法、方法、特徴、又は構成要素が、別のセクションの技法、方法、特徴、又は構成要素と共に使用できないことを意味するものと解釈されるべきではない。逆に、任意のセクションで提供されるあらゆる情報は、明確に別途記載のない限り、別の任意のセクションにおける情報にも適用されることが意図されている。
【0022】
セクション1:遮蔽付きケーブル構造と特徴
相互接続されるデバイスの数と速度が増大するにつれて、それらのデバイス間で信号を伝える電気ケーブルは、許容できない干渉又はクロストークを起こさずに、より小さく、かつより高速で信号を伝えることが可能である必要がある。一部の電気ケーブルでは、隣接する導体によって伝達される信号と信号の間の相互作用を低減するため、遮蔽が使用される。本明細書で記述されるケーブルの多くは、一般に平坦な形状を有し、ケーブルの長さに沿って延在する導体セットと、そのケーブルの相対する面上に配置された電気遮蔽フィルムと、を含む。隣接する導体セットの間にある、遮蔽フィルムの挟まれた部分は、導体セットを電気的に互いに分離するのに役立つ。多くのケーブルには更に、遮蔽体に電気的に接続され、ケーブルの長さに沿って延在する、ドレイン線も含まれる。本明細書で記述されるケーブル仕様は、導体セットとドレイン線への接続を単純化し、ケーブル接続部位の大きさを縮小し、及び/又はケーブルのマス終端の機会を提供するのに役立ち得る。
【0023】
図1では、代表的な遮蔽電気ケーブル2が示されており、これには、複数の導体セット4が、ケーブル2の幅wの全幅又は一部に沿って互いに間隔をあけて配置され、ケーブル2の長さLの長さに沿って延在して、含まれている状態が示されている。ケーブル2は、
図1に示すように、概ね平面的形状に配置することができ、又は長さに沿って1か所以上で折り畳んだ形状であってもよい。いくつかの実施において、ケーブル2の一部は平面的形状であり、かつケーブルの別の部分は折り畳まれていてもよい。いくつかの構成において、ケーブル2の導体セット4のうちの少なくとも1つは、ケーブル2の長さLに沿って延在する2本の絶縁導体6を含む。導体セット4のこの2本の絶縁導体6は、ケーブル2の長さL全体又は一部と実質的に平行に配置することができる。絶縁導体6は、絶縁信号線、絶縁電源線、又は絶縁接地線を含み得る。2枚の遮蔽フィルム8が、ケーブル2の相対する面上に配置される。
【0024】
第1及び第2の遮蔽フィルム8が、横断面において、ケーブル2にカバー領域14と挟まれた領域18とが含まれるように配置される。ケーブル2のカバー領域14において、横断面での第1及び第2遮蔽フィルム8のカバー部分7は、各導体セット4を実質的に包囲する。例えば、遮蔽フィルムのカバー部分は、任意の所与の導体セットの外周の少なくとも75%、又は少なくとも80%、85%、又は90%を総じて包含する。第1及び第2遮蔽フィルムの挟まれた部分9は、各導体セット4の各面においてケーブル2の挟まれた領域18を形成する。ケーブル2の挟まれた領域18において、遮蔽フィルム8の片方又は両方を屈曲させて、遮蔽フィルム8の挟まれた部分9をより近づける。いくつかの構成において、
図1に示すように、両方の遮蔽フィルム8を挟まれた領域18において屈曲させて、挟まれた部分9をより近づける。いくつかの構成において、ケーブルが平面的又は折り畳まれていない構成のとき、遮蔽フィルムの一方は挟まれた領域18において比較的平坦なままであり、かつ、ケーブルの反対側にあるもう一方の遮蔽フィルムを屈曲させて、遮蔽フィルムの挟まれた部分をより近づけてもよい。
【0025】
ケーブル2には更に、少なくとも挟まれた部分9の間で、遮蔽フィルム8の間に配置された接着層10も含まれ得る。接着層10は、ケーブル2の挟まれた領域18において遮蔽フィルム8の挟まれた部分9を互いに接着させる。接着層10はケーブル2のカバー領域14内に存在してもしなくてもよい。
【0026】
いくつかの場合において、導体セット4は、横断面において実質的に曲線的形状の被覆又は外周を有し、遮蔽フィルム8は導体セット4の周囲に配置され、これによって、ケーブル6の長さLの少なくとも一部、及び好ましくは実質的に全体に沿って、その断面形状に実質的にぴったり沿い、かつその断面形状を維持する。断面形状を維持することは、導体セット4の設計において意図されるように、導体セット4の電気的特性を維持する。いくつかの従来の遮蔽電気ケーブルでは、導体セットの周囲に伝導性遮蔽体を配置することによって、導体セットの断面形状を変化させるため、これはそのような従来の遮蔽電気ケーブルよりも有利である。
【0027】
図1に示す実施形態において、各導体セット4がどれも正確に2本の絶縁導体6を有しているが、別の実施形態においては、導体セットの一部又はすべてが絶縁導体を1本だけ有していてもよく、又は2本を超える絶縁導体6を有していてもよい。例えば、
図1の設計に類似の別の遮蔽電気ケーブルには、1つの導体セットに8本の絶縁導体6が含まれていてよく、又は、8つの導体セットがそれぞれ、絶縁導体6を1本だけ有していてもよい、1つの導体セットを含んでもよい。導体セット及び絶縁導体の配置におけるこのような柔軟性により、本開示の遮蔽電気ケーブルを、幅広い種類の意図される用途に好適な方法で構成することが可能になる。例えば、導体セット及び絶縁導体は、複数の2芯同軸ケーブル(すなわち、それぞれが2本の絶縁導体を有する複数の導体セット、複数の同軸ケーブル、すなわち、それぞれが1本の絶縁導体を含む複数の導体セット、又はこれらの組み合わせ)を形成するように構成されてもよい。いくつかの実施形態において、導体セットは更に、1つ以上の絶縁導体の外周に配置される伝導性遮蔽体(図示なし)、及び伝導性遮蔽体の外周に配置される絶縁ジャケット(図示なし)を更に含んでもよい。
【0028】
図1に示される実施形態において、遮蔽電気ケーブル2は、所望による接地導体12を更に含む。接地導体12は、接地線又はドレイン線を含んでもよい。接地導体12は、絶縁導体6から離間され、実質的に絶縁導体6と同じ方向に延在し得る。遮蔽フィルム8は接地導体12の周囲に配置できる。接着層10は、接地導体12の両面で、挟まれた部分9において互いに遮蔽フィルム8を接着し得る。接地導体12は遮蔽フィルム8の少なくとも一方と電気的に接触してもよい。
【0029】
図2a〜2gの断面図は、さまざまな遮蔽電気ケーブル、又はケーブルの一部を表わし得る。
図2aにおいて、遮蔽電気ケーブル102aには、単一の導体セット104が含まれる。導体セット104はケーブルの長さに沿って延在し、単一の絶縁導体106のみを有する。望ましい場合は、ケーブル102aは、ケーブル102aの幅を横切って離間され、ケーブルの長さに沿って延在する、複数の導体セット104を含むよう製作することができる。2枚の遮蔽フィルム108が、ケーブルの相対する面上に配置される。ケーブル102aには、カバー領域114及び挟まれた領域118が含まれる。ケーブル102aのカバー領域114において、遮蔽フィルム108には、導体セット104をカバーするカバー部分107が含まれる。横断面において、カバー部分107は、組み合わせることにより、実質的に導体セット104を包囲する。ケーブル102aの挟まれた領域118において、遮蔽フィルム108には、導体セット104のそれぞれの側に、挟まれた部分109が含まれる。
【0030】
所望による接着層110は、遮蔽フィルム108の間に配置され得る。遮蔽電気ケーブル102aには、所望により接地導体112が更に含まれる。接地導体112は、絶縁導体106から離間され、かつ実質的に絶縁導体106と同じ方向に延在する。導体セット104と接地導体112は、
図2aに示すように、概ね単一平面に並ぶように配置することができる。
【0031】
遮蔽フィルム108の第2カバー部分113は、接地導体112の周囲に配置され、接地導体112を覆う。接着層110は、接地導体112の両面で、互いに遮蔽フィルム108を接着し得る。接地導体112は遮蔽フィルム108の少なくとも1つと電気的に接触してもよい。
図2aにおいて、絶縁導体106と遮蔽フィルム108は、同軸ケーブル構成に効果的に配置される。
図2aの同軸ケーブル構成は、単一端回路配置に使用することができる。
【0032】
図2aの横断面図に示されているように、遮蔽フィルム108のカバー部分107の間には最大離間Dがあり、遮蔽フィルム108の挟まれた部分109の間には最小離間d1がある。
【0033】
図2aにおいて、接着層110は、ケーブル102の挟まれた領域118においては遮蔽フィルム108の挟まれた部分109の間に配置されて示され、ケーブル102aのカバー領域114においては遮蔽フィルム108のカバー部分107と絶縁導体106との間に配置されて示されている。この構成において、接着層110は、ケーブルの挟まれた領域118においては遮蔽フィルム108の挟まれた部分109を共に接着し、ケーブル102aのカバー領域114においては遮蔽フィルム108のカバー部分107を絶縁導体106に接着する。
【0034】
図2bの遮蔽付きケーブル102bは、
図2aのケーブル102aと同様であり、同様の参照番号によって類似の構成要素が示されているが、ただし
図2bにおいては、所望による接着層110bが、ケーブル102のカバー領域114において遮蔽フィルム108のカバー部分107と絶縁導体106との間に存在しない。この構成において、接着層110bは、ケーブルの挟まれた領域118においては遮蔽フィルム108の挟まれた部分109を接着しているが、接着層110は、ケーブル102のカバー領域114においては遮蔽フィルム108のカバー部分107を絶縁導体106に接着してはいない。
【0035】
図2cを参照し、遮蔽電気ケーブル102cは、
図2aの遮蔽付きケーブル102aと同様であるが、ただしケーブル102cは、2本の絶縁導体106cを有する単一の導体セット104cを有している。望ましい場合は、ケーブル102cは、ケーブル102cの幅を横切って離間されケーブルの長さ方向に沿って延在する複数の導体セット104cを含むよう製作することができる。絶縁導体106cは、概ね単一平面に、かつ2芯同軸構成に効果的に配置される。
図2cの2芯同軸ケーブル構成は、差動ペア回路構成、又は単一端回路構成に使用することができる。
【0036】
2枚の遮蔽フィルム108cが、導体セット104cの相対する面上に配置される。ケーブル102cには、カバー領域114c及び挟まれた領域118cが含まれる。ケーブル102cのカバー領域114cにおいて、遮蔽フィルム108cには、導体セット104cをカバーするカバー部分107cが含まれる。横断面において、カバー部分107cは、組み合わせることにより、実質的に導体セット104cを包囲する。ケーブル102cの挟まれた領域118cにおいて、遮蔽フィルム108cには、導体セット104cのそれぞれの側に、挟まれた部分109cが含まれる。
【0037】
所望による接着層110cは、遮蔽フィルム108cの間に配置され得る。遮蔽電気ケーブル102cは、前に述べた接地導体112に類似の接地導体112cを更に含む。接地導体112cは、絶縁導体から離間され、実質的に絶縁導体106cと同じ方向に延在する。導体セット104cと接地導体112cは、
図2cに示すように、概ね単一平面に並ぶように配置することができる。
【0038】
図2cの断面図に示されているように、遮蔽フィルム108cのカバー部分107cの間には最大離間Dがあり、遮蔽フィルム108cの挟まれた部分109cの間には最小離間d1があり、絶縁導体106cの間の遮蔽フィルム108cの間には最小離間d2がある。
【0039】
図2cでは、接着層110cが、ケーブル102cの挟まれた領域118cにおいては遮蔽フィルム108cの挟まれた部分109cの間に配置されて示され、ケーブル102cのカバー領域114cにおいては遮蔽フィルム108cのカバー部分107cと絶縁導体106cとの間に配置されて示されている。この構成において、接着層110cは、ケーブル102cの挟まれた領域118cにおいては遮蔽フィルム108cの挟まれた部分109cを接着し、またケーブル102cのカバー領域114cにおいては遮蔽フィルム108cのカバー部分107cを絶縁導体106cに接着する。
【0040】
図2dの遮蔽付きケーブル102dは、
図2cのケーブル102cと同様であり、同様の参照番号によって類似の構成要素が示されているが、ただしケーブル102dにおいては、所望による接着層110dが、ケーブルのカバー領域114cにおいて遮蔽フィルム108cのカバー部分107cと絶縁導体106cとの間に存在しない。この構成において、接着層110dは、ケーブルの挟まれた領域118cにおいては遮蔽フィルム108cの挟まれた部分109cを接着しているが、ケーブル102dのカバー領域114cにおいては遮蔽フィルム108cのカバー部分107cを絶縁導体106cに接着しない。
【0041】
ここで
図2eを参照し、
図2aの遮蔽電気ケーブル102aに数多くの点で類似の遮蔽電気ケーブル102eの横断面が示されている。しかしながら、ケーブル102aには単一の絶縁導体106のみを有する単一の導体セット104が含まれているが、ケーブル102eには、ケーブル102eの長さに沿って延在する2本の絶縁導体106eを有する単一導体セット104eが含まれている。ケーブル102eは、ケーブル102eの幅を横切って互いに離間されケーブル102eの長さ方向に沿って延在する複数の導体セット104eを含むよう製作することができる。絶縁導体106eは撚線ペアケーブル構成に効果的に配列することができ、ここにおいて絶縁導体106eは、互いの回りを撚り合い、ケーブル102eの長さに沿って延在する。
【0042】
図2fにおいて、別の遮蔽電気ケーブル102fが示されており、これも数多くの点で、
図2aの遮蔽電気ケーブル102aに類似している。ケーブル102aには単一の絶縁導体106のみを有する単一の導体セット104が含まれているが、ケーブル102fには、ケーブル102fの長さに沿って延在する4本の絶縁導体106fを有する単一導体セット104fが含まれている。ケーブル102fは、ケーブル102fの幅を横切って離間されケーブル102fの長さ方向に沿って延在する複数の導体セット104fを含むよう製作することができる。
【0043】
絶縁導体106fは、4本組みケーブル構成に効果的に配置され、ここにおいて絶縁導体106fは、ケーブル102fの長さ方向に沿って絶縁導体106fが延在する際に、互いに撚り合っていてもよく、また撚り合っていなくてもよい。
【0044】
図2a〜2fを再び参照し、遮蔽電気ケーブルの更なる実施形態には、概ね単一平面に配置される複数の離間された導体セット104、104c、104e、又は104f、又はこれらの組み合わせが含まれ得る。所望により、遮蔽電気ケーブルには、導体セットの絶縁導体から離間され、かつ概ねこれと同じ方向に延在する、複数の接地導体112が含まれ得る。いくつかの構成において、この導体セット及び接地導体は、概ね単一平面に配置することができる。
図2gは、このような遮蔽電気ケーブルの代表的な実施形態を図示する。
【0045】
図2gを参照し、遮蔽電気ケーブル102gは、概ね単一平面に配置される複数の離間された導体セット104、104cを含む。遮蔽電気ケーブル102gは、導体セット104、104cの間に、及び遮蔽電気ケーブル102gの両側面又は縁に配置される、所望による接地導体112を更に含む。
【0046】
第1及び第2遮蔽フィルム208は、ケーブル102gの相対する面に配置され、横断面においてケーブル102gがカバー領域224及び挟まれた領域228を含むように配置される。ケーブルのカバー領域224において、横断面での第1及び第2遮蔽フィルム208のカバー部分217は、各導体セット104、104cを実質的に包囲する。第1及び第2遮蔽フィルム208の挟まれた部分219は、各導体セット104、104cの両面において挟まれた領域218を形成する。
【0047】
遮蔽フィルム208は接地導体112の周囲に配置される。所望による接着層210は、遮蔽フィルム208の間に配置されて、各導体セット104、104cの両面において、挟まれた領域228で、遮蔽フィルム208の挟まれた部分219を互いに接着している。遮蔽電気ケーブル102gは、同軸ケーブル構成(導体セット104)及び2芯同軸ケーブル構成(導体セット104c)の組み合わせを含み、したがってハイブリッドケーブル構成と呼ばれることがある。
【0048】
1本、2本、又はそれ以上の遮蔽電気ケーブルが、例えばプリント基板、パドルカード、及び同様物の終端構成要素に終端処理され得る。絶縁導体及び接地導体は概ね単一平面に配置できるため、本開示の遮蔽電気ケーブルは、マスストリッピング(mass-stripping)、すなわち絶縁導体からの遮蔽フィルム及び絶縁の同時ストリッピング、及びマス終端、すなわち絶縁導体及び接地導体のストリッピングされた端部の同時の終端に好適であり、これはより自動化されたケーブル組み立てプロセスを可能にする。これは、少なくとも本開示のいくつかの遮蔽電気ケーブルの利点である。絶縁導体及び接地導体のストリッピングされた端部は例えば、プリント基板などの導電性経路及びその他の構成要素に接触するよう終端処理することができる。別の場合において、絶縁導体及び接地導体のストリッピングされた端部は、任意の好適な終端デバイス、例えば電気コネクターの電気接触などの任意の好適な個々の接触構成要素に終端処理することができる。
【0049】
図3a〜3dにおいて、プリント基板又はその他の終端構成要素314に対する遮蔽電気ケーブル302の代表的な終端プロセスが図示されている。この終端プロセスは、マス終端プロセスであってもよく、ストリッピング(
図3a〜3bに図示される)、位置合わせ(
図3cに図示される)、及び終端処理(
図3dに図示される)の工程を含む。遮蔽電気ケーブル302を形成する際、これは本明細書に示され及び/又は記述される任意のケーブルの形態を概してとっていてよく、遮蔽電気ケーブル302の、導体セット304、絶縁導体306、及び接地導体312の配置は、プリント基板314上の接触エレメント316の配置に一致させることができ、これによって、位置合わせ又は終端処理中に遮蔽電気ケーブル302の端部において顕著な操作を排除するようにできる。
【0050】
図3aに図示されている工程では、遮蔽フィルム308の終端部308aは除去されている。任意の好適な方法、例えば機械的ストリッピング又はレーザーストリッピングが使用されてもよい。この工程は、絶縁導体306及び接地導体312の終端部を露出させる。一態様において、遮蔽フィルム308の終端部308aのマスストリッピングは、それらが、絶縁導体306の絶縁体から別個の一体化されて接続された層を形成するために、可能である。絶縁導体306から遮蔽フィルム308を取り除くことは、これらの位置における短絡に対する保護を可能にし、また、絶縁導体306及び接地導体312の露出した終端部の独立した動きをもたらす。
図3bに図示された工程では、絶縁導体306の絶縁体の終端部306aが取り除かれている。任意の好適な方法、例えば機械的ストリッピング又はレーザーストリッピングが使用されてもよい。この工程は、絶縁導体306の導体の終端部を露出させる。
図3cに図示される工程では、遮蔽電気ケーブル302は、絶縁導体306の導体の終端部と、遮蔽電気ケーブル302の接地導体312の終端部とが、プリント基板314のコンタクト要素316と位置合わせされるように、プリント基板314と位置合わせされる。
図3dに図示された工程では、絶縁導体306の導体の終端部、及び遮蔽電気ケーブル302の接地導体312の終端部は、プリント基板314のコンタクト要素316に終端される。使用され得る好適な終端方法の例には、いくつかの例を挙げると、はんだ付け、溶接、圧締め、機械的圧締め、接着結合が挙げられる。
【0051】
いくつかの場合において、本開示の遮蔽電気ケーブルは、導体セットの間に配置される1本以上の長手方向のスリット又はその他の開裂を含めて製作することができる。この開裂は、遮蔽付きケーブルの長さの少なくとも一部に沿って、個々の導体セットを分離し、これによってケーブルの少なくとも横方向の可撓性を増加させる。これにより例えば、遮蔽付きケーブルを、曲線状の外側ジャケット内により容易に配置することが可能になり得る。他の実施形態において、この開裂部は、例えば個々の又は複数の導体セット及び接地導体を分離するように配置されてもよい。導体セット及び接地導体の間隔を維持するために、開裂部は、遮蔽電気ケーブルの長さに沿って不連続であってもよい。遮蔽電気ケーブルの少なくとも1つの終端部において、マス終端能力を維持しるよう、導体セットと接地導体の間隔を維持するために、開裂部は終端部の一方又は両方にまで延在しない場合がある。開裂部は任意の好適な方法、例えばレーザー切断又はパンチング等を使用して、遮蔽電気ケーブルに形成できる。長手方向の開裂部の代わりに、又はこれと組み合わせて、開口部の他の好適な形状、例えば穴などが本開示の遮蔽電気ケーブル内に形成され、これによりケーブルの少なくとも横方向の可撓性を増加させてもよい。
【0052】
本開示の遮蔽付きケーブルに使用される遮蔽フィルムは、さまざまな構成のものにすることができ、さまざまな方法で製作できる。いくつかの場合において、1つ以上の遮蔽フィルムには、導電性層と、非導電性高分子層とが含まれ得る。導電性層は、銅、銀、アルミニウム、金、及びこれらの合金を含むが、これらに限定されない任意の好適な導電性材料を含み得る。非導電性高分子層は、ポリエステル、ポリイミド、ポリアミド−イミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、シリコーンゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、ポリウレタン、アクリレート、シリコーン、天然ゴム、エポキシ、及び合成ゴム接着剤を含むが、これらに限定されない任意の好適な高分子材料を含み得る。非導電性高分子層には、対象用途に好適な特性をもたらすために、1つ以上の接着剤及び/又は充填剤を含めてもよい。いくつかの場合において、遮蔽フィルムの少なくとも1つは、導電性層と非導電性高分子層との間に配置される積層接着層を含んでもよい。非導電性層上に配置された導電性層を有するような、あるいは、導電性の一方の主外表面と、実質的に非導電性の相対する主外表面と、を有するような、遮蔽フィルムについては、この遮蔽フィルムを、望むようにいくつかの異なる向きに遮蔽付きケーブル内に組み込むことができる。いくつかの場合において、例えば、導電性表面は絶縁線と接地線の導体セットに面していてよく、またある場合では、非導電性表面がこれら構成要素に面していてよい。2枚の遮蔽フィルムがケーブルの対向する側に使用される場合において、このフィルムは、導電性表面が互いに向き合い、かつそれぞれが導体セット及び接地線に向くような向きにすることができ、あるいは、非導電性表面が互いに向き合い、かつそれぞれが導体セット及び接地線に向くような向きにすることができ、あるいは、一方の遮蔽フィルムの導電性表面が、導体セット及び接地線に向き合い、同時にケーブルの反対側からのもう一方の遮蔽フィルムの非導電性表面が、導体セット及び接地線に向き合うような向きにすることができる。
【0053】
いくつかの場合において、遮蔽フィルムの少なくとも一方が、例えば順応性又は可撓性の金属ホイルなどの、独立型導電性フィルムであるか又はこれを含み得る。遮蔽フィルムの構成体は、例えば、遮蔽電気ケーブルの可撓性、電気性能、及び構成(例えば、接地導体の存在及び位置など)など、対象用途に好適な設計パラメーターの数を基準として選択されてもよい。いくつかの場合において、遮蔽フィルムには、一体成型構成体を有し得る。いくつかの場合において、遮蔽フィルムは0.01mm〜0.05mmの範囲の厚さを有し得る。遮蔽フィルムは、導体セットの間の絶縁、遮蔽、及び精密な間隔を望ましいように提供し、かつより自動化され、より低いコストのケーブル製造プロセスを可能にする。更に、遮蔽フィルムは、「シグナルサックアウト(signalsuck-out)」すなわち、共振(これによって高信号減衰が特定の周波数帯域で生じる)として知られる現象を防ぐ。この現象は一般的に、導電性遮蔽体が導体セットの周囲にラップされている従来の遮蔽電気ケーブルに発生する。
【0054】
本明細書の他の箇所で検討されているように、接着材料をケーブル構成体に使用して、ケーブルのカバー領域で導体セットの1つ、いくつか、若しくはすべてに対して1枚又は2枚の遮蔽フィルムを接着することができ、及び/又は、ケーブルの挟まれた領域で2枚の遮蔽フィルムを合わせて接着するのに使用することができる。接着材料の層は、少なくとも1枚の遮蔽フィルム上に配置することができ、2枚の遮蔽フィルムがケーブルの対向する側に使用されている場合には、接着材料の層を、両方の遮蔽フィルム上に配置することができる。後者の場合、一方の遮蔽フィルム上に使用される接着剤は好ましくは、他方の遮蔽フィルムに使用される接着剤と同じであり、しかしながら望ましい場合には、異なる接着剤であってもよい。所与の接着層に、電気絶縁性接着剤が含まれてもよく、また2枚の遮蔽フィルム間に絶縁性接着を提供してもよい。更に、所与の接着層が、少なくとも一方の遮蔽フィルムと、導体セットのうち1つ、いくつか、若しくはすべての絶縁導体との間に、絶縁性接着を提供することができ、また少なくとも1枚の遮蔽フィルムと、接地導体のうち1つ、いくつか、若しくはすべてとの間に、絶縁性接着を提供することができる。あるいは、所与の接着層に、導電性接着剤が含まれてよく、2枚の遮蔽フィルム間に導電性接着を提供することができる。更に、所与の接着層が、少なくとも1枚の遮蔽フィルムと、接地導体(存在する場合)のうち1つ、いくつか、若しくはすべてとの間に、導電性接着を提供することができる。好適な導電性接着剤は、電流の流れを提供するために導電性粒子を含む。導電性粒子は、現在使用されている任意のタイプの粒子、例えば、球体、フレーク、ロッド、立方体、非晶質、又は他の粒子形状であり得る。それらは、カーボンブラック、カーボンファイバー、ニッケル球体、ニッケルがコーティングされた銅球体、金属がコーティングされた酸化物、金属がコーティングされた高分子繊維、又は他の類似の導電性粒子など、固体又は実質的に固体粒子であってもよい。これらの導電性粒子は、銀、アルミニウム、ニッケル、又は酸化インジウムスズなどの導電材料でめっきされている若しくはコーティングされている電気絶縁材料から作製されてもよい。金属がコーティングされた絶縁材料は、実質的に中空の粒子、例えば中空のガラス球体であってもよく、又はガラスビーズ若しくは金属酸化物など中実材料を含んでもよい。導電性粒子は、カーボンナノチューブなど、約数十マイクロメートルから、ナノメーターサイズの大きさまでの材料であってもよい。好適な導電性接着剤はまた、導電性高分子マトリックスを含んでもよい。
【0055】
所与のケーブル構成体で使用されるとき、接着層は好ましくは、ケーブルの他の構成要素に対して形状が実質的に順応性であり、ケーブルの曲げ運動に関して順応性である。いくつかの場合において、所与の接着層は実質的に連続であり得、例えば所与の遮蔽フィルムの所与の主表面の実質的に全長及び全幅に沿って延在し得る。いくつかの場合において、この接着層は、実質的に不連続であり得る。例えば、接着層は、所与の遮蔽フィルムの長さ又は幅に沿って一部分においてのみ存在し得る。不連続な接着層は例えば、各導体の両面にある遮蔽フィルムの挟まれた部分の間、及び、接地導体(存在する場合)の傍の遮蔽フィルムの間に配置される、長手方向の複数の接着剤ストライプを含み得る。所与の接着層は、感圧接着剤、ホットメルト接着剤、熱硬化性接着剤、及び硬化性接着材のうちの少なくとも1つであり得、又はそれを含み得る。接着層は、1つ以上の絶縁導体とその遮蔽フィルムとの間の接着よりも実質的に強い接着を、遮蔽フィルム間に提供するよう、構成することができる。これは、例えば接着剤配合の適切な選択により達成できる。この接着剤の構成の利点は、遮蔽フィルムが、絶縁導体の絶縁体から容易にストリップ可能であるということである。他の場合において、接着層は、遮蔽フィルム間に接着を提供するよう、1つ以上の絶縁導体とその遮蔽フィルムとの間の接着が、これと実質的に等しい強さの接着になるよう、構成することができる。この接着剤の構成の利点は、絶縁導体が遮蔽フィルム間に固定されるということである。この構造を有する遮蔽電気ケーブルを折り曲げたとき、相対的な移動をほとんどなくすことができ、よって遮蔽フィルムの座屈の発生を低減させることができる。好適な接着強度は対象用途によって選択されてもよい。いくつかの場合において、厚さが約0.13mm未満の順応性のある接着層を使用することができる。代表的な実施形態において、接着層の厚さは約0.05mm未満である。
【0056】
所与の接着層は、遮蔽電気ケーブルの所望の機械的性能特性及び電気的性能特性を達成するように適合させてもよい。例えば、接着層は、導体セット間のエリアで遮蔽フィルム間が薄くなるよう適合させることができ、これにより遮蔽付きケーブルの少なくとも横方向の柔軟性が増大する。これにより、遮蔽付きケーブルを、曲線状の外側ジャケット内により容易に配置することが可能になり得る。いくつかの場合において、接着層は、すぐ隣接する導体セットのエリアにおいて、より厚くなるよう適合させることができ、実質的に導体セットに適合させることができる。これにより、これらのエリアで機械的強度を高め、遮蔽フィルムを曲線状形状に形成することが可能になり得、これにより例えば、ケーブルを曲げる際の遮蔽付きケーブルの耐久性を高めることが可能になる。加えて、これにより、遮蔽付きケーブルの長さに沿って遮蔽フィルムに対する絶縁導体の位置と間隔を保持するのに役立ち得、これにより、より均一なインピーダンスと優れた信号インテグリティの遮蔽付きケーブルが得られる可能性がある。
【0057】
所与の接着層は、導体セットのエリア(例えばケーブルの挟まれた領域)の遮蔽フィルム間で、効果的に一部又は完全に除去するよう適合させることができる。その結果、遮蔽フィルムはこれらのエリアで互いに電気的に接触でき、これによりケーブルの電気的性能を高めることが可能になる。いくつかの場合において、少なくとも一方の遮蔽フィルムと接地導体との間で、接着層を効果的に一部又は完全に除去するよう適合させることができる。その結果、接地導体はこれらのエリアで遮蔽フィルムの一方と電気的に接触でき、これによりケーブルの電気的性能を高めることが可能になる。少なくとも一方の遮蔽フィルムと所与の接地導体との間に薄い層の接着剤が残っている場合であっても、接地導体の凹凸が、薄い接着剤薄層を破って通過することがあり、これにより意図したように電気接触を確立し得る。
【0058】
図4a〜4cにおいて、代表的な3つの遮蔽電気ケーブルの断面図が示され、これらは、遮蔽電気ケーブル内に接地導体を配置した例である。遮蔽電気ケーブルの一態様では、遮蔽体が適切に接地しており、そのような接地はさまざまな方法で達成可能である。いくつかの場合において、所与の接地導体は、少なくとも一方の遮蔽フィルムに電気的に接触でき、これによって所与の接地導体を接地することによって、遮蔽フィルムを接地させることができる。そのような接地導体は、「ドレイン線」とも呼ばれ得る。遮蔽フィルムと接地導体との間の電気接触は、比較的低いDC抵抗で特徴付けることができ、例えばこのDC抵抗は、10オーム未満、又は2オーム未満、又は実質的に0オーム未満である。いくつかの場合において、所与の接地導体は、遮蔽フィルムに電気的に接触していないが、任意の好適な終端構成要素の任意の好適な個別接触エレメント(例えば、プリント基板、パドルボード、又はその他のデバイスにおける導電性経路及びその他の接触エレメント)に独立して終端処理されたケーブル構成体内の個々のエレメントであり得る。そのような接地導体は、「接地線」とも呼ばれ得る。
図4aは、接地導体が遮蔽フィルムの外側に配置されている、代表的な遮蔽電気ケーブルを示す。
図4b及び4cは、接地導体が、遮蔽フィルムの間に配置され、及び導体セット内に含まれ得る実施形態を示す。1つ以上の接地導体は、遮蔽フィルムの外側に、遮蔽フィルムの間に、又は両方の組み合わせで、任意の好適な位置に配置され得る。
【0059】
図4aを参照して、遮蔽電気ケーブル402aには、ケーブル402aの長さに沿って延在する単一導体セット404aが含まれる。導体セット404aは2本の絶縁導体406、すなわち1ペアの絶縁導体を有する。ケーブル402aは、ケーブルの幅を横切って互いに離間されケーブルの長さに沿って延在する、複数の導体セット404aを有するように製作することができる。ケーブルの対向する側に配置された2枚の遮蔽フィルム408aには、カバー部分407aが含まれる。横断面において、カバー部分407aは、組み合わせることにより、実質的に導体セット404aを包囲する。所望による接着層410aは、遮蔽フィルム408aの挟まれた部分409aの間に配置されて、導体セット404aの両面において、遮蔽フィルム408aを互いに接着している。絶縁導体406は、概して単一平面内に配置され、単一終端回路構成又は差動ペア回路構成に使用できる2芯同軸ケーブル構成に効果的に配置することができる。遮蔽電気ケーブル402aは、遮蔽フィルム408aの外側に配置された複数の接地導体412を更に含む。接地導体412は、導体セット404aの上に、これの下に、又は両面上に配置される。所望により、ケーブル402aは、遮蔽フィルム408a及び接地導体412を包囲する保護フィルム420を含む。保護フィルム420は、保護層421と、保護層421を遮蔽フィルム408a及び接地導体412に接着する接着層422と、を含む。あるいは、遮蔽フィルム408a及び接地導体412は、例えば導電性ブレイドなどの外側の導電性遮蔽部、及び外側の絶縁ジャケット(図示せず)によって包囲されてもよい。
【0060】
図4bを参照して、遮蔽電気ケーブル402bには、ケーブル402bの長さに沿って延在する単一導体セット404bが含まれる。導体セット404bは2本の絶縁導体406、すなわち絶縁導体の1ペアを有する。ケーブル402bは、ケーブルの幅を横切ってに互いに離間されケーブルの長さに沿って延在する、複数の導体セット404bを有するよう製作することができる。2枚の遮蔽フィルム408bは、ケーブル402bの対向する側に配置され、カバー部分407bを含む。横断面において、カバー部分407bは、組み合わせることにより、実質的に導体セット404bを包囲する。所望による接着層410bは、遮蔽フィルム408bの挟まれた部分409bの間に配置されて、導体セットの両面において、遮蔽フィルムを互いに接着している。絶縁導体406は、概ね単一平面に、かつ2芯同軸又は差動ペアケーブル構成に効果的に配置される。遮蔽電気ケーブル402bは、遮蔽フィルム408b間に配置される複数の接地導体412を更に含む。接地導体412の2本は、導体セット404b内に含まれ、接地導体412の2本は、導体セット404bから離間される。
【0061】
図4cを参照して、遮蔽電気ケーブル402cには、ケーブル402cの長さに沿って延在する単一導体セット404cが含まれる。導体セット404cは2本の絶縁導体406、すなわち1ペアの絶縁導体を有する。ケーブル402cは、ケーブルの幅を横切って互いに離間されケーブルの長さに沿って延在する複数の導体セット404cを含むよう製作することができる。2枚の遮蔽フィルム408cは、ケーブル402cの対向する側に配置され、カバー部分407cを含む。横断面において、カバー部分407cは、組み合わせることにより、実質的に導体セット404cを包囲する。所望による接着層410cは、遮蔽フィルム408cの挟まれた部分409cの間に配置されて、導体セット404cの両面において、遮蔽フィルム408cを互いに接着している。絶縁導体406は、概ね単一平面に、かつ2芯同軸又は差動ペアケーブル構成に効果的に配置される。遮蔽電気ケーブル402cは、遮蔽フィルム408c間に配置される複数の接地導体412を更に含む。接地導体412のすべてが、導体セット404c内に含まれる。接地導体412の2本、及び絶縁導体406は、概ね単一平面に配置される。
【0062】
本開示の遮蔽付きケーブルは、望ましい場合、1つ以上の導電性ケーブルクリップを用いて、回路基板又はその他の終端構成要素に接続することができる。例えば、遮蔽電気ケーブルには、概して単一平面内に配置された複数の離間して配置された導体セットが含まれ、このそれぞれの導体セットには、ケーブルの長さに沿って延在する2本の絶縁導体が含まれ得る。2枚の遮蔽フィルムを、ケーブルの対向する側に配置することができ、横断面において、導体セットそれぞれを実質的に包囲することができる。ケーブルクリップは、遮蔽フィルムの少なくとも一方を、ケーブルクリップに電気的に接触するようにクランプされるか、ないしは別の方法で、遮蔽電気ケーブルの終端部に取り付けることができる。ケーブルクリップは、例えば、プリント基板の導電性トレース又はその他の接触エレメントの接地参照終端のために構成することができ、これにより遮蔽電気ケーブルと接地参照との間の接地接続を確立できる。ケーブルクリップは、いくつかの例を挙げると、はんだ付け、溶接、圧締め、機械的圧締め、及び接着結合を含む任意の好適な方法を使用して接地基準に終端されてもよい。終端処理時に、ケーブルクリップは、終端ポイントの接触エレメント(例えば、プリント基板上の接触エレメントなど)への、遮蔽電気ケーブルの絶縁導体の導体の終端部の終端処理を促進し得る。遮蔽電気ケーブルには、少なくとも1枚の遮蔽フィルムに加えて、又はこの代わりに、ケーブルクリップに電気的に接触し得るような、本明細書で開示される1本以上の接地導体が含まれ得る。
【0063】
図5a〜5cにおいて、遮蔽電気ケーブル製作の代表的方法が図示されている。具体的には、これらの図には、
図1に示すものと実質的に同じであり得る遮蔽電気ケーブル製作の代表的な方法が図示されている。
図5aに図示されている工程において、絶縁導体506が、例えば押出成型などの任意の好適な方法を用いて形成され、又は他の方法で提供される。絶縁導体506は、任意の好適な長さで形成されてもよい。絶縁導体506は次いで、そのように提供されてもよく、又は所望の長さに切断されてもよい。接地導体512(
図5cを参照)は、同様な方式で形成され、提供されてもよい。
【0064】
図5bに図示されている工程において、遮蔽フィルム508が形成される。任意の好適な方法、例えば連続ワイドウェブプロセスなどを使用して、単一層又は多層ウェブが形成されてもよい。遮蔽フィルム508は、任意の好適な長さで形成されてもよい。遮蔽フィルム508は次いで、そのように提供されてもよく、又は所望の長さ及び/又は幅に切断されてもよい。遮蔽フィルム508は、横断する部分的な折れ目を有するように事前に形成されて、長手方向の可撓性を増加させてもよい。遮蔽フィルムの一方又は両方は順応性接着層510を含み得、これは任意の好適な方法(例えば積層又はスパッタリング)を使用して、遮蔽フィルム508上に形成され得る。
【0065】
図5cに図示されている工程では、複数の絶縁導体506、接地導体512、及び遮蔽フィルム508が提供される。形成ツール524が提供される。形成ツール524には、完成した遮蔽電気ケーブルの望ましい断面形状に対応した形状を有する一組の形成ロール526a、526bが含まれ、この形成ツールには更に噛み合い部528が含まれる。絶縁導体506、接地導体512、及び遮蔽フィルム508が、望ましい遮蔽付きケーブル(例えば本明細書に示され及び/又は記述されている任意のケーブル)の構成に従って配置され、形成ロール526a、526bの近くに配置された後、形成ロール526a、526bの噛み合い部528へと順に送り込まれ、形成ロール526a、526bの間に配置される。形成ツール524は、導体セット504及び接地導体512の周囲に遮蔽フィルム508を形成し、各導体セット504及び接地導体512の両面上で、遮蔽フィルム508を互いに接着させる。結合を促進するために熱が適用されてもよい。この実施形態では、導体セット504及び接地導体512の周囲に遮蔽フィルム508を形成すること、並びに各導体セット504及び接地導体512の両面上で遮蔽フィルム508を互いに接着することは、単一操作で行われるが、他の実施形態では、これらの工程は別個の操作で行われてもよい。
【0066】
この後の製造操作において、望ましい場合は、導体セットの間に長手方向の開裂が形成され得る。そのような開裂部は任意の好適な方法、例えばレーザー切断又はパンチング等を使用して、遮蔽付きケーブルに形成できる。別の所望による製造操作において、遮蔽電気ケーブルは、挟まれた領域に沿って長さ方向に複数回折り畳んで束にすることができ、好適な方法を用いてその折り畳んだ束の周囲に外側導電性遮蔽を提供することができる。任意の好適な方法(例えば押出成型)を用いて、外側導電性遮蔽体の周囲に外側ジャケットを提供することもできる。他の実施形態において、外側導電性遮蔽を省略することができ、折り畳んだ遮蔽付きケーブルの周囲に外側ジャケットだけを提供することができる。
【0067】
図6a〜6cにおいて、遮蔽電気ケーブルを製作する代表的な方法の詳細が図示されている。特にこれらの図は、1層以上の接着層が、遮蔽フィルムの形成及び接着中に柔軟に形成され得ることを図示している。
図6aに示される工程において、絶縁導体606、絶縁導体606から離間して配置された接地導体612、及び2枚の遮蔽フィルム608が提供される。遮蔽フィルム608はそれぞれ順応性接着層610を含む。
図6b〜6cに図示される工程において、遮蔽フィルム608は、絶縁導体606及び接地導体612の周辺に形成され、互いに接着される。最初は、
図6bに示されるように、接着層610は、その元の厚さをまだ有している。遮蔽フィルム608の形成及び接着が進むとき、その接着層610は、遮蔽電気ケーブル602(
図6c)の所望の機械的性能特性及び電気的性能特性を達成するように適合する。
【0068】
とりわけ、
図6c(11c)に図示されるように、接着層610は、絶縁導体606及び接地導体612の両面上の遮蔽フィルム608間で、より薄く適合され、接着層610の一部分は、これらのエリアから移動して離れる。更に、接着層610は、絶縁導体606及び接地導体612に直接隣接するエリアにおいてより厚く適合され、絶縁導体606及び接地導体612に実質的に適合され、接着層610の一部分はこれらのエリア内に移動する。更に、接着層610は適合され、遮蔽フィルム608と接地導体612との間で効果的に除去され、その接着層610は、接地導体612が遮蔽フィルム608に電気的に接触するように、これらのエリアから移動して離れる。
【0069】
図7a及び7bに示されているのは、代表的な遮蔽電気ケーブルの製造中の、挟まれた領域に関する詳細である。遮蔽電気ケーブル702(
図7b参照)は、2枚の遮蔽フィルム708を使用して製作され、挟まれた領域718(
図7b参照)を含み、遮蔽フィルム708は実質的に平行であり得る。遮蔽フィルム708は、非導電性高分子層708b、その非導電性高分子層708b上に配置される導電性層708a、及びその導電性層708a上に配置される停止層708dを含む。順応性接着層710は、停止層708d上に配置される。挟まれた領域718は、遮蔽フィルム708間に配置される長手方向の接地導体712を含む。遮蔽フィルムが一緒に接地導体周囲へと押しつけられ、接地導体712は、遮蔽フィルム708の導電性層708aと間接的な電気接触を形成する。この間接的な電気接触は、導電性層708a及び接地導体712の、停止層708dによる制御された分離によって可能にされる。いくつかの場合において、停止層708dは、非導電性高分子層であるか、非導電性高分子層を含み得る。図に示されるように、外圧(
図17aを参照)が使用されて、導電性層708aを一緒に押圧し、接着層710を接地導体712の周囲に適合させる(
図17b)。停止層708dは少なくとも同じ処理条件では適合されないため、接地導体712と遮蔽フィルム708の導電性層708aとの間の直接電気接触を防ぐが、間接的な電気接触は達成する。停止層708dの厚さ及び絶縁特性は、低い目標DC抵抗、すなわち間接タイプの電気接触を達成するよう選択され得る。いくつかの実施形態において、接地導体と遮蔽フィルムとの間の特徴的なDC抵抗は、望ましい間接的電気接触を達成するためには、10オーム未満、又は5オーム未満であるが、例えば0オームより大である。いくつかの場合において、所与の接地導体と1枚又は2枚の遮蔽フィルムとの間に直接的電気接触を形成することが望ましく、そのような接地導体とそのような遮蔽フィルムとの間のDC抵抗は、実質的に0オームであり得る。
【0070】
代表的な実施形態において、遮蔽電気ケーブルのカバー領域には、同軸領域と、所与の導体セットの片側又は両側に配置された移行領域とが含まれる。同軸領域にある所与の遮蔽フィルムの位置は、遮蔽フィルムの同軸部分に対して参照され、移行領域にある遮蔽フィルムの位置は、遮蔽フィルムの移行部分に対して参照される。この移行領域は、遮蔽電気ケーブルの高い製造性、並びに歪み及び応力緩和を提供するように構成できる。遮蔽電気ケーブルの長さに沿って実質的に一定の構成(寸法、形状、内容、及び曲率半径などの点を含む)で移行領域を維持することにより、遮蔽電気ケーブルが実質的に均一な電気的特性(例えば、高周波数分離、インピーダンス、スキュー、挿入損失、反射、モード転換、アイオープニング(eye opening)、ジッターなど)を有するようにするのに役立つ。
【0071】
更に、例えば、導体セットが、概ね単一平面に、かつ効果的に2芯同軸ケーブル(差動ペア回路配置に接続することができる)として、ケーブルの長さに沿って延在する2本の絶縁導体を含む実施形態などの特定の実施形態では、この移行部分を、遮蔽付きの電気ケーブルの長さに沿った実質的に一定の構成で維持することは、導体セットにおける両方の導体にとって、実質的に同じ、理想的な同軸状態からの電磁場の偏差を提供する。よって、遮蔽電気ケーブルの長さに沿ってこの移行部分の構成を注意深く制御することによって、ケーブルの有利な電気的性能及び特性に寄与することができる。
図8a〜10は、導体セットの片側又は両側に配置された遮蔽フィルムの移行領域を含む、遮蔽電気ケーブルのさまざまな代表的実施形態を示す。
【0072】
断面図が
図8a及び
図8bに示されている遮蔽電気ケーブル802は、ケーブルの長さに沿って延在する単一の導体セット804を含む。このケーブル802は、ケーブルの幅方向に沿って互いに離間され、ケーブルの長さ方向に沿って延在する、複数の導体セット804を含むよう製作することができる。
図8aには1本だけの絶縁導体806が示されているが、望ましい場合は、導体セット804内に複数の絶縁導体を含めることができる。
【0073】
ケーブルの挟まれた領域の近くに配置されている導体セットの絶縁導体は、導体セットの末端導体と見なされる。図示されている導体セット804は、単一の絶縁導体806を有し、また、遮蔽電気ケーブル802の挟まれた領域818に最も近い位置にあるため末端導体とも見なされる。
【0074】
第1及び第2の遮蔽フィルム808は、ケーブルの対向する側に配置され、カバー部分807を含む。横断面において、カバー部分807は、実質的に導体セット804を包囲する。所望による接着層810は、遮蔽フィルム808の挟まれた部分809の間に配置されて、導体セット804の両面において、ケーブル802の挟まれた領域818で、遮蔽フィルム808を互いに接着している。所望による接着層810は、遮蔽フィルム808のカバー部分807の一部又は全体にわたって延在していてよく、例えば、導体セット804の片側での遮蔽フィルム808の挟まれた部分809から、導体セット804の反対側での遮蔽フィルム808の挟まれた部分809までであり得る。
【0075】
絶縁導体806は、単一端回路配置に使用可能な同軸ケーブルとして効果的に配置される。遮蔽フィルム808は、導電性層808a及び非導電性高分子層808bを含み得る。いくつかの実施形態において、
図8a及び8bに示すように、両方の遮蔽フィルムの導電性層808aが絶縁導体側に向いている。あるいは、本明細書の他の場所で検討されているように、遮蔽フィルム808の一方又は両方の導電性層の向きを逆にすることができる。
【0076】
遮蔽フィルム808には、導体セット804の末端導体806内で実質的に同軸である同軸部分が含まれる。この遮蔽電気ケーブル802には、移行領域836が含まれる。ケーブル802の移行領域836における遮蔽フィルム808の部分は、遮蔽フィルム808の移行部分834である。いくつかの実施形態において、遮蔽電気ケーブル802には、導体セット804の両側に配置された移行領域836が含まれ、いくつかの実施形態において、この移行領域836は、導体セット804の片側のみに配置され得る。
【0077】
移行領域836は、遮蔽フィルム808と導体セット804によって画定される。移行領域836の遮蔽フィルム808の移行部分834は、遮蔽フィルム808の同軸部分811と挟まれた部分809との間に、漸進的な移行を提供する。例えば直角の移行又は移行ポイント(移行部分なしで)などの急な移行の場合とは違って、漸進的又はスムーズな移行(例えば実質的にS字状の移行)は、遮蔽フィルム808に、移行部分836における歪みと応力の緩和を提供し、遮蔽電気ケーブル802が使用中である場合に、例えば遮蔽電気ケーブル802を横方向若しくは軸方向に曲げるときに、遮蔽フィルム808に対する損傷を防ぐ。この損傷には、例えば導電性層808aにおける破壊、及び/又は導電性層808aと非導電性高分子層808bとの間の剥離が含まれ得る。更に、漸進的な移行は、遮蔽電気ケーブル802の製造における遮蔽フィルム808への損傷(導電性層808a及び/又は非導電性高分子層808bの亀裂若しくは剪断が含まれ得る)を防ぐ。遮蔽付き電気リボンケーブルの導体セットのうち1つ、いくつか、又は全部の片面又は両面に、本開示の漸進的な移行の使用をすることによって、従来型のケーブル構成(例えば典型的な同軸ケーブルで、ここにおいて遮蔽は、単独の絶縁導体の周囲に、概して連続的に配置される)、又は、典型的な従来型2芯同軸ケーブル(ここにおいて遮蔽は1ペアの絶縁導体の周囲に連続的に配置される)から離脱することを意味する。これらの従来型の遮蔽構成は、モデルの電磁プロファイルを呈し得るが、そのようなプロファイルは、所与の用途において許容できる電気的特性を必ずしも達成してはいない。
【0078】
本開示の遮蔽電気ケーブルの少なくともいくつかのうち一態様により、許容できる電気的特性は、移行領域の電気的衝撃を低減することによって(例えば、移行領域の寸法を小さくすること、及び/又は遮蔽電気ケーブルの長さに沿って移行領域の形状を注意深く制御することによって)、達成することができる。移行領域の寸法を縮小することは、キャパシタンス偏差を縮小し、複数の導体セット間で必要とされる間隔を最小限にし、これによって、導体セットのピッチを減少させ、及び/又は導体セット間の電気的絶縁を増加させる。遮蔽電気ケーブルの長さに沿った、移行領域の形状の注意深い制御は、予測可能な電気的挙動及び不変性を得ることに寄与し、これは、電気的データがより確実に送信されるように、高速伝送線に提供される。遮蔽電気ケーブルの長さに沿った、移行領域の形状の注意深い制御は、移行部分の寸法が寸法下限に近づく際の因子となる。
【0079】
検討されることが多い電気的特性は、伝送線の特性インピーダンスである伝送線の長さに沿ったインピーダンスの変動により、電力が標的に伝送されずに、反射してソースに戻される場合がある。理想的には、伝送線は、その長さに沿ってインピーダンスの変動は有しないが、対象用途によって、5〜10%の変動は許容可能である場合がある。2芯同軸ケーブル(差動駆動)で検討されることが多い別の電気的特性は、それらの長さの少なくとも一部分に沿って、1つのペアの2本の伝送ラインの、スキュー、すなわち同等でない転送速度である。スキューは、差動信号のコモンモード信号への変換を生じさせ、これはソースに反射して戻される場合があり、伝送された信号強度を減少させ、電磁放射線を生じさせ、特定のジッターにおいてビット誤り率を著しく増大させる。理想的には、一対の伝送線はスキューを有さないが、対象用途によって−25〜−30dB未満から、対象の周波数まで(例えば6GHz)の差動モードのSパラメーター(differential S-parameter)SCD21若しくはSCD12値(伝送ラインの1つの端部から他方へと、差動モードからコモンモードへの変換を表す)が許容可能であり得る。あるいは、スキューは時間領域で測定され、要求される仕様と比較することができる。対象用途によって、約20ピコ秒/メートル(ps/m)未満、好ましくは約10ps/m未満が許容可能であり得る。
【0080】
図8a及び8bを再び参照し、許容できる電気的特性を達成するのに一部役立つものとして、遮蔽電気ケーブル802の移行領域836のそれぞれに、断面移行面積836aが含まれ得る。移行面積836aは好ましくは、導体806の断面積806aより小さい。
図8bに示されているように、移行領域836の断面移行面積836aは、移行点834’及び834”で画定される。
【0081】
遮蔽フィルムが、導体セット804の末端絶縁導体806に対して実質的に同軸であることからは外れたところで、移行点834’が発生する。移行点834’は、遮蔽フィルム808の曲率の符号が変わる、遮蔽フィルム808の変曲点である。例えば、
図8bを参照して、上側遮蔽フィルム808の曲率は、変曲点で下向き凹部から上向き凹部へと移行し、この変曲点は、図ではこの上側の移行点834’である。下側遮蔽フィルム808の曲率は、変曲点で上向き凹部から下向き凹部へと移行し、この変曲点は、図ではこの下側の移行点834’である。遮蔽フィルム808の挟まれた部分809間の分離が、挟まれた部分809の最小分離距離d1を、所定の因子(例えば1.2又は1.5)上回ったとき、その他の移行点834”が発生する。
【0082】
加えて、各移行面積836aには、空隙面積836bが含まれ得る。導体セット804のいずれの側の空隙面積836bも、実質的に同じであり得る。更に、接着層810は、遮蔽フィルム808の同軸部分811で厚さTacを有し得、遮蔽フィルム808の移行部分834での厚さは、厚さTacよりも大きい。同様に、接着層810は、遮蔽フィルム808の挟まれた部分809間の厚さTapを有し得、遮蔽フィルム808の移行部分834での厚さは、厚さTapよりも大きい。接着層810は、移行部分断面積836aの少なくとも25%となり得る。特に厚さTac又は厚さTapよりも大きい厚い部分での、移行部分面積836aにおける接着層810の存在は、移行領域836におけるケーブル802の強度に貢献する。
【0083】
遮蔽電気ケーブル802のさまざまなエレメントの製造プロセス及び材料特性を綿密に制御することは、移行領域836における空隙面積836b及び順応性接着層810の厚さにおける変動を低減することができ、これは断面移行面積836aのキャパシタンスにおける変動を低減し得る。遮蔽電気ケーブル802は、導体806の断面積806aと実質的に等しい、又はこれよりも小さい断面移行面積836aを含む、導体セット804の一方の側又は両側に配置される移行領域836を含み得る。遮蔽電気ケーブル802は、導体806の長さに沿って実質的に同じである断面移行面積836aを含む、導体セット804の一方の側又は両側に配置される移行領域836を含み得る。例えば、断面移行面積836aは、1メートルの長さにわたって50%未満変化し得る。遮蔽電気ケーブル802は、それぞれが断面移行面積を含む導体セット804の両側に配置される移行領域836を含む場合があり、断面積834aの合計は導体806の長さに沿って実質的に同じである。例えば、断面積834aの合計は、1mの長さにわたって50%未満変化する場合がある。遮蔽電気ケーブル802は、それぞれが断面移行面積836aを含む導体セット804の両側に配置される移行領域836を含む場合があり、断面移行面積836aは実質的に同じである。遮蔽電気ケーブル802は、移行領域836が実質的に同一である、導体セット804の両側に配置される移行領域836を含み得る。絶縁導体806は、絶縁厚さTiを有し、移行領域836は絶縁厚さTiより小さい横方向長さLtを有し得る。絶縁導体806の中央導体は直径Dcを有し、移行領域836は、直径Dcより小さい横方向長さLtを有し得る。上記のさまざまな構成は、所望の範囲に留まる特性インピーダンス、例えば、ターゲットインピーダンス値の5〜10%以内(例えば50オーム)を所望の長さ(例えば1メートル)にわたって提供し得る。
【0084】
遮蔽電気ケーブル802の長さに沿って移行領域836の構成に影響を与える要因には、いくつかの例を挙げると、製造プロセス、導電性層808a及び非導電性高分子層808bの厚さ、接着層810、並びに絶縁導体806と遮蔽フィルム808との間の接着強度が挙げられる。
【0085】
一態様において、導体セット804、遮蔽フィルム808、及び移行領域836は協働してインピーダンス制御関係に構成され得る。インピーダンス制御関係とは、導体セット804、遮蔽フィルム808、及び移行領域836が協働して遮蔽電気ケーブルの特性インピーダンスを制御するように構成されることである。
【0086】
図9において、代表的な遮蔽電気ケーブル902の断面図が示されており、これには導体セット(connector set)904における2本の絶縁導体が含まれ、絶縁導体906は、ケーブル902の長さに沿ってそれぞれ延在し個々に絶縁されている。2本の遮蔽フィルム908はケーブル902の相対する面に配置され、組み合わせて、導体セット904を実質的に包含する。所望による接着層910は、遮蔽フィルム908の挟まれた部分909の間に配置されて、ケーブルの挟まれた領域918で、導体セット904の両面において、遮蔽フィルム908を互いに接着している。絶縁導体906は、概ね単一平面に、かつ2芯同軸構成に効果的に配置され得る。2芯同軸ケーブル構成は、差動ペア回路構成、又は単一端回路構成に使用することができる。遮蔽フィルム908は、導電性層908a及び非導電性高分子層908bを含み得あるいは、非導電性高分子層908bなしで導電性層908aを含み得る。図において、各遮蔽フィルムの導電性層908aは、絶縁導体906側を向いて示されているが、別の実施形態において、一方又は両方の遮蔽フィルムが、逆向きになっていてもよい。
【0087】
遮蔽フィルム908の少なくとも一方のカバー部分907は、導体セット904の対応する末端導体906を備えた実質的に同軸である同軸部分911を含む。ケーブル902の移行領域において、遮蔽フィルム908の移行部分934は、遮蔽フィルム908の同軸部分911と挟まれた部分909との間である。移行部分934は、導体セット904の両側に配置され、そのような部分それぞれに、断面移行面積934aが含まれる。断面移行面積934aの合計は好ましくは、導体906の長さに沿って実質的に同じである。例えば、断面積934aの合計は、1mの長さにわたって50%未満変化し得る。
【0088】
加えて、2つの断面移行面積934aは、実質的に同じであり、及び/又は実質的に同一であり得る。移行領域のこの構成は、所与の長さ(例えば1mなど)にわたってターゲットインピーダンス値の所望の範囲、例えば5〜10%以内に両方とも留まる、各導体906(単一端)のための特性インピーダンス、及び差動インピーダンスに貢献し得る。更に、移行領域のこの構成は、それらの長さの少なくとも一部分に沿って2本の導体906のスキューを最小限にすることができる。
【0089】
ケーブルが折り畳まれていない平面的形状の場合、遮蔽フィルムそれぞれは、ケーブル902の幅にわたって変化する曲率半径によって、横断面において特徴付けることができる。遮蔽フィルム908の最大曲率半径は、例えば、ケーブル902の挟まれた部分909で、又は
図9に示す複数導体ケーブルセット904のカバー部分907の中点近くで、生じ得る。これらの位置において、フィルムは実質的に平坦であり得、曲率半径は実質的に無限大であり得る。遮蔽フィルム908の最小曲率半径は例えば、遮蔽フィルム908の移行部分934で生じ得る。いくつかの実施形態において、ケーブルの幅を横切る遮蔽フィルムの曲率半径は、少なくとも約50マイクロメートルであり、すなわち曲率半径は、ケーブルの縁部の間で、ケーブルの幅に沿ったどの点でも、50マイクロメートルより小さい規模を有さない。いくつかの実施形態において、移行部分を含む遮蔽フィルムについて、遮蔽フィルムの移行部分の曲率半径は同様に、少なくとも約50マイクロメートルである。
【0090】
折り畳まれていない平面的な形状において、同軸部分と移行部分を含む遮蔽フィルムは、同軸部分の曲率半径R1、及び/又は移行部分の曲率半径r1によって特徴付けられる。これらのパラメーターは、
図9においてケーブル902について示されている。代表的な実施形態において、R1/r1は2〜15の範囲である。
【0091】
図10において、別の代表的な遮蔽電気ケーブル1002が示されており、これには2本の絶縁導体1006を有する導体セットが含まれている。この実施形態において、遮蔽フィルム1008は、非対称的な形状を有し、例えば
図9に示すより対称的な実施形態に比べて、移行部分の位置が変化している。
図10において、遮蔽電気ケーブル1002は、絶縁導体1006の対称面からわずかにずれた面内にある、遮蔽フィルム1008の挟まれた部分1009を有する。わずかなずれにもかかわらず、
図10のケーブル及びさまざまなエレメントは依然として、所与の面に沿って全体に延在し、かつ実質的に平面であると見なすことができる。移行領域1036は、他の図示された実施形態に比べて、ある程度ずれた位置及び形状を有する。しかしながら、2つの移行領域1036が、絶縁導体1006に対して実質的に対称的に(例えば、導体1006間の垂直面に対して)配置されていること、及び、移行領域1036の形状が、遮蔽電気ケーブル1002の長さに沿って綿密に制御されていることを確認することにより、遮蔽電気ケーブル1002は、依然として許容可能な電気的特性を提供するよう構成することができる。
【0092】
図11a及び11bにおいて、追加の代表的な遮蔽電気ケーブルが図示されている。これらの図は、ケーブルの挟まれた部分がどのようにして、遮蔽電気ケーブルの導体セットを電気的に分離するよう構成されているかを詳しく説明するのに使用される。導体セットは隣接する導体セットから、電気的に絶縁されてもよく(例えば、隣接する導体セット間のクロストークを最小限にするため)、又は遮蔽電気ケーブルの外部環境から電気的に絶縁されてもよい(例えば、遮蔽電気ケーブルから逃れる電磁放射を最小限にし、外部電源からの電磁干渉を最小限にするため)。両方のケースにおいて、挟まれた部分はさまざまな機械的構造体を含んで、電気的絶縁を実現させることができる。いくつかの例を挙げると、例には、遮蔽フィルムの近接性、遮蔽フィルム間の高誘電率材料、遮蔽フィルムの少なくとも1つと直接的若しくは間接的に電気接触をする接地導体、隣接する導体セット間の物理的破断、長手方向、横断方向のいずれか、又は両方で遮蔽フィルムを互いに直接的に断続的に接触させること、及び導電性接着剤が挙げられる。
【0093】
図11aの断面図で示されているのは、ケーブル1102(102)の幅にわたって離間され、ケーブルの長さに沿って長手方向に延在している、2つの導体セット1104a、1104b(104b)を含む遮蔽電気ケーブル1102である。各導体セット1104a、1104bは、2本の絶縁導体1106a、1106bを含む。2枚の遮蔽フィルム1108が、ケーブル1102の相対する面上に配置される。横断面において、遮蔽フィルム1108のカバー部分1107は、ケーブル1102のカバー領域1114において導体セット1104a、1104bを実質的に包囲する。ケーブルの挟まれた領域1118において、導体セット1104a、1104bの両側において、遮蔽フィルム1108には挟まれた部分1109が含まれる。遮蔽電気ケーブル1102において、遮蔽フィルム1108の挟まれた部分1109と、絶縁導体1106とは、ケーブル1102が平面及び/又は折り畳まれていない構成であるときに、概して単一面に配置される。導体セット1104a、1104b間に配置される挟まれた部分1109は、導体セット1104a、1104bを互いに電気的に分離するように構成される。概して平面的な折り畳まれていない構成に配置されるとき、
図11aに示すように、導体セット1104a内の第2絶縁導体1106bに対する導体セット1104a内の第1絶縁導体1106aの高周波電気的分離は、第2導体セット1104bに対する第1導体セットの高周波電気的分離よりも実質的に小さい。
【0094】
図11aの断面図に示されているように、ケーブル1102は、遮蔽フィルム1108のカバー部分1107の間には最大離間Dがあり、遮蔽フィルム1108のカバー部分1107の間には最小離間d2があり、遮蔽フィルム1108の挟まれた部分1109の間には最小離間d1があるものとして特徴付けられる。いくつかの実施形態において、d1/Dは0.25未満、又は0.1未満である。いくつかの実施形態において、d2/Dは0.33より大きい。
【0095】
所望による接着層は、遮蔽フィルム1108の挟まれた領域1109の間に示されているように含まれ得る。接着層は、連続していても、又は不連続であってもよい。いくつかの実施形態において、接着層は、ケーブル1102のカバー領域1114に完全に又は部分的に延在していてよく、例えば、遮蔽フィルム1108のカバー部分1107と絶縁導体1106a、1106bとの間に延在していてよい。所望による接着層は、遮蔽フィルム1108のカバー部分1107に配置されていてよく、導体セット1104a、1104bの片側の遮蔽フィルム1108の挟まれた部分1109から、導体セット1104a、1104bの反対側での遮蔽フィルム1108の挟まれた部分1109まで、完全に又は部分的に延在していてよい。
【0096】
遮蔽フィルム1108は、ケーブル1102の幅を横切る曲率半径Rによって、及び/又は、遮蔽フィルムの移行部分1112の曲率半径r1によって、及び/又は、遮蔽フィルムの同軸部分1111の曲率半径r2によって、特徴付けることができる。
【0097】
移行領域1136において、遮蔽フィルム1108の移行部分1112は、遮蔽フィルム1108の同軸部分1111と、遮蔽フィルム1108の挟まれた部分1109との間に、漸進的移行を提供するよう構成することができる。遮蔽フィルム1108の移行部分1112は、第1移行点1121(これは遮蔽フィルム1108の変曲点であり、同軸部分1111の終了の目印である)から、第2移行点1122まで延在し、遮蔽フィルム間の離間は、挟まれた部分1109の最小離間d1を、所定の因子によって上回る。
【0098】
いくつかの実施形態において、ケーブル1102には、ケーブルの幅を横切る少なくとも約50マイクロメートルである曲率半径Rを有し、及び/又は、少なくとも約50マイクロメートルである遮蔽フィルム1102の移行部分1112の最小曲率半径r1を有する、少なくとも1枚の遮蔽フィルムが含まれる。いくつかの実施形態において、移行部分の最小曲率半径に対する同軸部分の最小曲率半径の比r2/r1は、2〜15の範囲である。
【0099】
図11bの断面図で示されているのは、ケーブルの幅を横切って互いに離間され、ケーブルの長さに沿って長手方向に延在している、2つの導体セット1204を含む遮蔽電気ケーブル1202である。各導体セット1204は、絶縁導体1206を1本だけ有し、2枚の遮蔽フィルム1208が、ケーブル1202の対向する側に配置されている。この横断面において、遮蔽フィルム1208のカバー部分1207は、組み合わせて、ケーブルのカバー領域1214の導体セット1204の絶縁導体1206を実質的に包囲している。ケーブルの挟まれた領域1218において、導体セット1204の両側において、遮蔽フィルム1208には挟まれた部分1209が含まれる。遮蔽電気ケーブル1202において、遮蔽フィルム1208の挟まれた部分1209と、絶縁導体1206とは、ケーブル1202が平面及び/又は折り畳まれていない構成であるときに、概して単一面に配置され得る。ケーブル1202の遮蔽フィルム1208及び/又は挟まれた領域1218のカバー部分1207は、それぞれから導体セット1204を電気的に分離するよう構成される。
【0100】
図に示されているように、ケーブル1202は、遮蔽フィルム1208のカバー部分1207間の最大離間Dと、遮蔽フィルム1208の挟まれた部分1209間の最小離間d1によって特徴付けることができる。代表的な実施形態において、d1/Dは0.25未満、又は0.1未満である。
【0101】
所望による接着層は、遮蔽フィルム1208の挟まれた領域1209の間に示されているように配置され得る。接着層は、連続していても、又は不連続であってもよい。いくつかの実施形態において、接着層は、ケーブルのカバー領域1214に完全に又は部分的に延在していてよく、例えば、遮蔽フィルム1208のカバー部分1207と絶縁導体1206との間に延在していてよい。この接着層は、遮蔽フィルム1208のカバー部分1207に配置されていてよく、導体セット1204の片側の遮蔽フィルム1208の挟まれた部分1209から、導体セット1204の反対側での遮蔽フィルム1208の挟まれた部分1209まで、完全に又は部分的に延在していてよい。
【0102】
遮蔽フィルム1208は、ケーブル1202の幅を横切る曲率半径Rによって、及び/又は、遮蔽フィルム1208の移行部分1212の最小曲率半径r1によって、及び/又は、遮蔽フィルム1208の同軸部分1211の最小曲率半径r2によって、特徴付けることができる。ケーブル1202の移行領域1236において、遮蔽フィルム1202の移行部分1212は、遮蔽フィルム1208の同軸部分1211と、遮蔽フィルム1208の挟まれた部分1209との間の漸進的な移行を提供するよう構成することができる。遮蔽フィルム1208の移行部分1212は、第1移行点1221(これは遮蔽フィルム1208の変曲点であり、同軸部分1211の終了の目印である)から、第2移行点1222まで延在し、遮蔽フィルム間の離間は、挟まれた部分1209の最小離間d1を、所定の因子によって上回る。
【0103】
いくつかの実施形態において、ケーブルの幅を横切る遮蔽フィルムの曲率半径Rは少なくとも約50マイクロメートルであり、及び/又は、遮蔽フィルムの移行部分の最小曲率半径は、少なくとも約50マイクロメートルである。
【0104】
いくつかの場合において、記述されている任意の遮蔽付きケーブルの挟まれた領域は、例えば少なくとも30°の角度αで横方向に曲げられるよう構成することができる。この挟まれた領域における横方向の柔軟性により、遮蔽ケーブルを任意の好適な形状(例えば、ラウンドケーブルで使用できる形状)に折り畳むことが可能になる。いくつかの場合において、挟まれた領域の横方向の柔軟性は、2枚以上の比較的薄い単独層を含んだ遮蔽フィルムによって可能になる。特に曲げ条件下では、これらの個々の層の一体性を保証するために、それらの間の接着は無傷のままであることが好ましい。挟まれた領域は、例えば約0.13mm未満の最小厚さを有し、個々の層の間の接着強度は、プロセス又は使用時の熱曝露後に少なくとも17.86g/mm(1ポンド/インチ)であってよい。
【0105】
ケーブルの挟まれた領域が、所与の導体セットの両側でほぼ同じ寸法と形状を有するようにすると、本開示の任意の遮蔽電気ケーブルの電気性能に利益となり得る。任意の寸法変化及び不均衡は、挟まれた領域の長さに沿って、キャパシタンス及びインダクタンスにおける不均衡を作る場合がある。これは次いで、挟まれた領域の長さに沿ったインピーダンスの差、及び隣接する導体セット間のインピーダンス不均衡を生じさせる場合がある。これらの理由に関して少なくとも、遮蔽フィルム間の間隔の制御が望ましい場合がある。いくつかの場合において、ケーブルの挟まれた領域における遮蔽フィルムの挟まれた部分(導体セットのそれぞれの側で)は、約0.05mm以下、互いに分離されていてよい。
【0106】
図12において、従来型電気ケーブルの2つの隣接する導体セット間の遠端クロストーク(FEXT)分離(導体セットは完全に分離されている、すなわち共通接地がない(サンプル1))と、及び、
図11aに図示されている遮蔽電気ケーブル1102の2つの隣接する導体セット間の遠端クロストーク(FEXT)分離(遮蔽フィルム1108が約0.025mm離間される(サンプル2))とが示されており、ここで両方とも、約3mのケーブル長さを有する。このデータを作成するテスト方法は当該技術において周知である。データはAgilent8720ES 50MHz〜20GHz S−ParameterNetwork Analyzerを使用して生成された。遠端クロストークプロットを比較することによって、従来の電気ケーブル及び遮蔽電気ケーブル1102が同様な遠端クロストーク性能を提供するということが分かる。とりわけ、約−35dB未満の遠端クロストークが大半の用途に好適であるということが一般に認められている。試験された構成に関して、従来の電気ケーブル及び遮蔽電気ケーブル1102の両方が満足のいく電気的絶縁性能を提供するということが
図12から容易に分かる。遮蔽フィルムを離間する能力による、挟まれた部分の増加した強度と組み合わせて、この満足のいく電気的絶縁性能は、従来の電気ケーブルをしのぐ、本開示の遮蔽電気ケーブルのうち少なくとも一部の利点である。
【0107】
上述の代表的な実施形態において、遮蔽電気ケーブルには、ケーブルの対向する側に配置された2枚の遮蔽フィルムが含まれ、これにより、横断面において、遮蔽フィルムのカバー部分は、組み合わせて、所与の導体セットを実質的に包囲し、離間した導体セットを個別に包囲する。しかしながらいくつかの実施形態において、遮蔽電気ケーブルは、唯一の遮蔽フィルムを含んでよく、これはケーブルの片側のみに配置される。2枚の遮蔽フィルムを有する遮蔽付きケーブルに比べて、遮蔽付きケーブルに単一の遮蔽フィルムのみを含める利点としては、材料のコストの低下、及び機械的柔軟性の増大、製造可能性の増大、並びにストリッピングと終末処理の容易さが挙げられる。単一の遮蔽フィルムは、所与の用途において、許容可能なレベルの電磁干渉(EMI)分離をもたらすことができ、かつ近接効果を低減することができ、これによって信号減衰を減少させる。
図13は、遮蔽フィルム1枚のみを含むそのような遮蔽電気ケーブルの一例を示す。
【0108】
図13において、遮蔽フィルム1308を1枚のみ有する遮蔽電気ケーブル1302が図示されている。絶縁導体1306は、2つの導体セット1304内に配置され、それぞれが絶縁導体1ペアのみを有する。ただし、本明細書で議論されているように、他の数の絶縁導体を有する導体セットも想到される。遮蔽電気ケーブル1302は、さまざまな代表的ロケーションにおいて、接地導体1312を含んで示されているが、これらの任意のもの又はすべてが、望むならば削除することができ、また、追加の接地導体を含めることもできる。接地導体1312は、導体セット1304の絶縁導体1306と実質的に同じ方向に延在し、遮蔽フィルム1308と、遮蔽フィルムとしては機能しないキャリアフィルム1346との間に配置される。1本の接地導体1312は、遮蔽フィルム1308の挟まれた部分1309に含まれ、3本の接地導体1312は、導体セット1304のうちいずれか1つに含まれる。これら3本の接地導体1312のうち1本は、絶縁導体1306と遮蔽フィルム1308との間に配置され、3本の接地導体1312のうち2本は、導体セットの絶縁導体1306と共に概して同一平面上にあるよう配置される。
【0109】
信号線、ドレイン線、接地線に加えて、本開示のケーブルの任意のものに、1つ又は複数の線を加えることもでき、これらは、ユーザーによって定義された任意の目的のために、通常、絶縁されている。これらの追加線は、例えば電力伝送又は低速通信(例えば1若しくは0.5Gbps未満、又は1若しくは0.5GHz未満、又は1MHz未満の場合)のために適切である可能性があるが、(例えば1Gpbs又は1GHzより速い)高速通信用ではなく、これらの追加線は、側波帯として総じて参照することができる。側波帯は、電力信号、参照信号、及びその他の関心のある信号を伝送して使用することができる。側波帯内の線は典型的に、直接的にも間接的にも互いに電気接触しないが、少なくとも一部の場合で、互いに遮蔽されていないことがある。側波帯には、例えば2本以上、又は3本以上、又は5本以上の線数を含めることができる。
【0110】
セクション2:遮蔽電気ケーブルの曲げ特性
上述の本開示のケーブル構成において、遮蔽はラップ構造ではないが、絶縁線の外側に2層で配置されたものである。この遮蔽構造は、らせん状にラップされた構造に害を与える共鳴を除去することができ、またらせん状にラップされた構造よりも剛性が低い曲げ性質を呈することがあり、かつ、急角度の曲げの後に、電気的性能の優れた保持力を有している。これらの特性は、特に、重ね合わせたフィルム及び追加でラップを重ねたフィルムではなく、単プライの薄い遮蔽フィルムの使用によって実現される。この構成体の利点の1つは、例えばサーバ、ルータ、その他閉鎖されたコンピュータシステムなどの中の制約されたスペース内にケーブルをより効果的に配線するため、ケーブルを急角度で曲げることができることである。
【0111】
ここで
図14を参照して、例示の実施形態による、遮蔽付き高速の電気リボンケーブル1402の用途が、斜視図で示されている。ケーブル1402には、
図1、2a〜f、及び4a〜c、8a〜b、9、10、11a〜b、及び13に示されている特徴の任意の組み合わせが含まれ得るが、少なくとも
図2bに示されている機能を含む。リボンケーブル1402は、シャーシ1404又は他の物品内に信号を伝送するのに使用される。多くの場合において、ケーブル1402をシャーシ1404の側面に沿って配線するのが望ましい。例えば、そのような経路では、冷却空気がシャーシ1404内をより自由に流れることが可能になり、メンテナンスのアクセスが容易になり、コンポーネントの間隔を蜜にすることができ、概観を改善することができる等が挙げられる。したがって、ケーブル1402は、例えば1406及び1408のような角の曲げなど、急角度の曲げを行う必要が生じる場合があり、これによりシャーシ1404及び/又はその中に収納されるコンポーネントの構造的特性にぴったり沿うことができる。これらの曲げ1406、1408は、直角(90°)の曲げとして示されているが、一部の用途ではケーブルは、より急角度又はより緩い角度で曲げてもよい。
【0112】
別の用途において、ほぼ180°の曲げ1410を使用して、実質的に平面のスペースでケーブル1402が転回を行うことを可能にできる。そのような場合において、ケーブル1402は、ケーブルの長手方向縁部に対して垂直角度である折り目に沿って折られる。図示の折り目1410において、折り目は縁部等に対して約45°であり、ケーブル1402が90°転回している。他の折り角度を使用して、必要に応じて他の転回角度を形成することができる。全般にケーブル1402は、平面的表面(例えば、シャーシ1404の側面)に平らに付着される折り目1410の前後にある近接領域1412、1414に対して所与の転回角度となるよう構成することができ、又は、表面に付着されることなしに、平面に対して同様に形成され得る。
【0113】
ケーブル1402を図示のように形成するために、曲げ1406、1408及び折り目1410の内径は、比較的小さい必要があり得る。
図15及び16の側面図では、例示的な実施例に従って、ケーブル1402の曲げ/折りが示されている。
図15においては90°曲げが示され、
図16においては180°曲げが示されている。両方の場合において、内側曲げ半径1502は、ケーブルの柔軟性を判定し、かつそのような曲げが性能にどのように影響し得るかを判定する際に、制限因子となり得る。曲げ半径1502は、中心線1504に対して測定することができ、これはケーブル1402の折り目1506に平行でありこれからずれている。線1504及び1506の両方とも、この例においてページに対して直交して突出するが、90°ではない折り目角度については別の角度で突出する。
【0114】
本明細書に記述されている、アメリカンワイヤーゲージ(AWG)でワイヤー直径が24(0.511mm)以下の導体を備えた構成体のケーブルについて、内側半径1502は、電気的性能(例えば特性インピーダンス、スキュー、減衰損失、挿入損失など)に顕著な影響をもたらすことなく、5mm〜1mmの範囲(場合によってはこれより低い値)であり得る。他に記述のない限り、AWGに関して表現される絶縁導体の直径は、カバーリング絶縁の直径ではなく、絶縁導体のワイヤー部分を参照することを意図している。
【0115】
表1は、24AWG(0.511mm)以下のワイヤー直径を有する生産ケーブルのこれらの特性について、見込まれている一部の最大偏差を示す。これらの特性は、伝導度の差動ペア用に測定される。ケーブルは、表1に例示したものよりも、良い性能を呈することがあり得るが、これらの値は、製造及び/又は配備環境における性能を見積もるためにシステムデザイナーが使用できる、少なくとも保守的なベースラインを提示し得るものであり、かつ依然として、同様の環境において一般的に使用されているラップされたtwinaxケーブルに比較して、顕著な改善を示し得る。
【表1】
【0116】
概して、本明細書で検討されている実施形態によるリボンケーブルは、高速データ伝送用に設計された従来型の(例えばラップされた)twinaxケーブルよりも、柔軟性が高い可能性がある。この柔軟性は、所与の導体/ワイヤー直径の最小曲げ半径1502の定義、ケーブルをたわませるのに必要な力の量の定義、及び/又は所与の曲げパラメータセットに関する電気的特性への影響を含む、数多くの方法で測定され得る。これら及び他の特性は、下記に詳しく記述される。
【0117】
ここで
図17を参照して、ブロック図には、例示的実施形態によるケーブル1402の力対たわみを測定するための試験セットアップ1700が示されている。このセットアップにおいて、ケーブル1402は最初に、点線で示されたローラータイプの支持1702に交差して平らに置かれている。この支持1702は下向きの動きを阻害するが、それ以外は左右方向にケーブルが自由に動くことができる。これは、例えば一方の端にヒンジ接続され、もう一方の端がローラー接続されている(ただしケーブルの場合には、ヒンジが提供し得る左右方向の拘束は必要ない)ような、単純支持梁の拘束を模したものであり得る。
【0118】
この試験セットアップの支持1702には、直径2.0インチ(5.08cm)の円柱が含まれ、この円柱の上側面(
図17に示されているように、横から見たときに12時の方向)の間が5.0インチ(12.7cm)の一定距離1704、離れている。支持1704の間の等距離点で、力作動装置1710を介して力1706がケーブル1402に適用され、たわみ1708が測定される。力作動装置1710は、直径0.375インチ(0.95cm)の円柱であり、クロスヘッド速度が毎分5.0インチ(0.002m/s)で駆動される。
【0119】
実施形態によるケーブルについて、セットアップ1700を使用した第1試験の結果を、
図18のグラフ1800に示す。曲線1802は、2本のソリッド30AWG(0.255mm)導体、ソリッドのポリオレフィン絶縁、及び2本の32AWG(0.202mm)ドレイン線を備えたリボンケーブル(例えば
図2cの構成102cに類似のもの)についての力−たわみの結果を示す。最大力は約0.025lbf(0.111N)であり、これはたわみが約1.2インチ(3.05cm)で起こっている。大まかな比較のため、2本の30AWG(0.255mm)線及び2本の30AWG(0.255mm)ドレイン線を有するラップされたtwinaxケーブルについて、曲線1804が測定された。この曲線は、1.2インチ(3.05cm)のたわみで最大力約0.048lbsを有する。他の条件が同じなら、twinaxケーブルは、使用されているドレイン線がより太い(30AWG(0.255mm)対32AWG(0.202mm))ために、わずかに剛性が高いことが予測されるが、曲線1802と1804との間の有意差を完全に説明するものとはならない。概して、支持点間の中間点で曲線1802によって表わされるケーブル上の0.03lbf(0.13N)の力の適用は、少なくとも1インチ(2.54cm)での力の方向にたわみをもたらすと期待される。曲線1804で表わされるケーブルは、同じ0.03lbf(0.13N)の力に対して、その約半分のたわみを呈することが明らかである。
【0120】
図19のグラフ1900は、
図17の力−たわみセットアップを使用して、例示的実施形態によるケーブルの以降の試験結果を示す。4種のワイヤーゲージ(24、26、30、及び32AWG(0.511mm、0.405mm、0.255mm及び0.202mm))のそれぞれについて、それぞれのゲージのソリッドワイヤー導体2本を有する4本のケーブルの試験を行った。ケーブルには、導体上にポリプロピレン絶縁があり、ケーブルの両面に遮蔽フィルムがあり、ドレイン線は含まれなかった。たわみ0.2インチ(0.51cm)ごとに力が測定された。下記の表2は、最大力点1902、1904、1906、1908での結果をまとめたものである。これらは、それぞれのワイヤーゲージサイズ24、26、30、及び32AWG(0.511mm、0.405mm、0.255mm及び0.202mm)のケーブルセットの結果に対応している。表2の第5列及び第6列は、各ゲージグループ内で試験された4種のケーブルの最大値の、それぞれ最高値及び最低値に対応している。
【表2】
【0121】
表2のデータについて、最大たわみ力の対数に対するワイヤー直径の対数について、y=mx+bの形式の線形回帰を実行することが可能である。
図20のグラフ2000で、表2の第3列における力の自然対数(ln)が、対応する直径の自然対数に対してプロットされている。24、26、30、及び32AWG(0.511mm、0.405mm、0.255mm及び0.202mm)のワイヤー直径はそれぞれ0.0201、0.0159、0.010、及び0.008である。グラフ2000の曲線の最小二乗法線形回帰により、次の式の曲線フィットが得られた:ln(Fmax)=2.96
*ln(dia)+10.0。Fmaxを解き、有効数字2桁に四捨五入することにより、次の経験的結果が得られた:
Fmax=M
*dia
3、式中、M=22,000lbf/in
3[1]
【0122】
式[1]により、2本の28AWG(0.321mm)導体(直径=0.0126)を用いて製作された同様のケーブルが、最大力22,000
*0.01263=0.044lbf又は0.196Nで曲がるであろうことが推定される。そのような結果は、
図19に示すその他のゲージについての結果を見ても、妥当である。更に、式[1]は、次のように単独絶縁導体についての個々の最大力(F
max−single)を表わすため、次のように改変される:
F
max−single=M
*dia
3、式中M=11,000lbf/in
3[2]
【0123】
各絶縁導体(及びドレイン線又はその他の非絶縁導体)について、[2]から計算された個々の力を足し合わせて、所与のケーブルの全体の最大曲げ力を得ることができる。例えば、2本の30AWG(0.255mm)及び2本の32AWG(0.202mm)ワイヤーの組み合わせは、最大曲げ抵抗力が0.0261+0.014=0.0301lbf又は0.134Nとなることが予測され得る。これは、30AWG(0.255mm)絶縁線及び32AWG(0.202mm)ドレイン線の組み合わせを有した試験ケーブルについて
図18の曲線1802に見られる値0.025lbf(0.111N)よりも高い。しかしながら、そのような差は予測され得る。試験ケーブルのドレイン線は絶縁されていないため、理論事例よりも試験ケーブルのほうがより柔軟になる。概して、式[1]及び[2]の結果は、曲げ力の上限値を返すと期待され、これも、従来型のラップされたケーブルよりも依然柔軟であり得る。比較のため、4本の30AWG(0.255mm)ワイヤーについて式[2]を使用し、最大力は4
*11,000
*0.01=0.044lbf又は0.196Nとなる。これは
図18の従来型のラップされたケーブルの試験曲線1804に見られる値よりも低い。ラップされたケーブル内のドレイン線が絶縁されている場合(この試験では違っていたが)、曲線1804は、更に高い最大力を呈することが予測される。
【0124】
数多くの他の要因も式[1]及び[2]によって予測される結果を変える可能性があり、これには、ワイヤー絶縁のタイプ(ポリエチレン及び発泡絶縁は剛性が低い傾向があり、フルオロポリマー絶縁は剛性が高くなる傾向がある)、ワイヤーのタイプ(標準ワイヤーは剛性が低い傾向がある)などが挙げられる。それにもかかわらず、式[1]及び[2]は、所与のケーブルアセンブリについて最大曲げ力の妥当な見積りを提供することができ、同等のラップされた構造よりも顕著に柔軟性が高い特性を呈するようなリボンケーブル構成体を提示し得る。
【0125】
また、これらのケーブルについて所望されるのは、ケーブル1402が、ケーブルの電気的特性(例えばインピーダンス、クロストーク)に顕著な影響を与えることなく、曲げ/折り畳み(
図15及び16を参照)できるような、半径1506の最小寸法である。これらの特性は、局所的に、及び/又はケーブル全体にわたって測定することができる。ここで
図21を参照し、グラフ2100は、例示的実施形態によるケーブルの曲げ性能を示す。グラフ2100は、立ち上がり時間35psの時間領域反射率計(TDR)を用いて測定された代表的なケーブルの特徴的なインピーダンス測定を表わす。エリア2102は、
図2cに示すケーブル構成体102cに類似の構成を備えた100オーム、ソリッド導体、差動ペア、30AWG(0.255mm)のリボンケーブルについて、差動インピーダンス測定値の包絡面を示す。ケーブルのインピーダンスは、1.0mm曲げ半径で180°角度でケーブルを1回曲げたときの、初回、曲げを延ばした状態、再度曲げた状態で測定された。曲げ−ケーブルインピーダンス測定は、ケーブルを同じ角度及び半径で10回曲げた後に再び行われた。縦の点線で示される時間領域2104は、この曲げに概して隣接する位置に対応する。
【0126】
包絡面2102は、上述の試験すべてにおける測定されたインピーダンス曲線の極値の輪郭を示す。この包絡面2102には、曲げによるインピーダンス変動/不連続性2106が含まれる。変動2106は、約0.5オームと見積もられる(この場所2104での曲げていない構成体において、ピークインピーダンス95.9オーム対公称96.4オーム)。この変動2106は、初回の曲げの後に見られるが、10回曲げた後では見られず、包絡面2102の有意な偏差は観察されなかった。比較のため、包絡面2108で表わされる同様の試験が、従来型のらせん状にラップされた30AWG(0.255mm)twinaxケーブルで実施された。この測定値2108は、約1.6オームの局所的なインピーダンス変動2110を示している。変動2110は、変動2106より度合いが大きいだけでなく、時間幅も大きいため、ケーブルのより広い領域に影響を与える。この偏差2110はまた、従来型ケーブルの初回曲げと10回目の曲げの測定の両方に見られる。
【0127】
同様のインピーダンス測定セットが、
図2cに示すケーブル構成体102cに類似の構成で、ただしドレイン線112cなしで、ソリッドの26AWG(0.405mm)及び24AWG(0.511mm)100オームケーブル用に行われた。26AWG(0.405mm)及び24AWG(0.511mm)ケーブルは、1.0mm曲げ半径で180°に曲げた。結果として得られた平均変動は、26AWG(0.405mm)ケーブルでは0.71オーム、24AWG(0.511mm)ケーブルでは2.4オームであった。更に、24AWG(0.511mm)を2.0mm半径で180°曲げると、平均変動は1.7オームであった。よって、この構成体のケーブルは、24AWG(0.511mm)以下の導体線直径が2.0mm近くで、2オーム以下の固有インピーダンス変動(又は100オーム公称インピーダンスの2%)を呈するはずである。更に、この構成体のケーブルは、26AWG(0.405mm)以下の導体線直径が1.0mm近くで、1オーム以下の特性インピーダンス変動(又は100オーム公称インピーダンスの2%)を呈するはずである。
【0128】
グラフ2100に示されている測定値は、公称100オームの特性インピーダンスを有するケーブルの差動インピーダンス測定であるが、偏差/不連続性2106は、他のケーブルインピーダンス及び測定技法について線形的に縮尺されると予測される。例えば、50オームの単一端インピーダンス測定(例えば差動ペアの一方のワイヤーだけを測定)では、24AWG(0.511mm)以下の直径の導体ワイヤーの曲げ近くで、変動が2%(1オーム)以下であることが予測され、26AWG(0.405mm)以下の直径の導体ワイヤーでは、変動が1%(0.5オーム)以下であることが予測される。例えば75オーム特性差動インピーダンス対100オームなど、異なる公称値について、同様の縮尺が観察され得る。
【0129】
ラップされたケーブルの特性2108に比べ、代表的なリボンケーブルのインピーダンス特性2102における改善の理由として1つ挙げられるのは、ラップされたケーブルにおいてその外側層がいかにして形成されるかである。ラップされた構成体(例えば個々の層が重なり合い、より多くの層の被覆が生じる)があると、ラップの剛性が増大する傾向がある。これは、単層を有するリボンケーブルよりも、曲げの局所部分においてケーブルの挟まれや「詰まり」を起こしやすい。よって、他の条件が同じなら、リボンケーブルは、従来型ケーブルよりも、インピーダンスに対する影響を少なく抑えて、より急角度で曲げることができる。これらのインピーダンス不連続性の影響は同じケーブル内で蓄積されるため、リボンケーブルは、従来型のラップされたケーブルに比べ、より多くの数の曲げを含めることができ、許容できる機能を依然として維持することができる。この改善された曲げ性能は、導体セットが単独(別個)であっても、また他の導体セットと共にリボンケーブル内にある場合でも、存在し得る。
【0130】
リボンケーブルタイプ構成体の利点の中で、ケーブル終端処理に関わる労力とコストの低減が特に挙げられる。高速接続のために選ばれるコネクターの1つが、プリント基板(PCB)スタイルの「パドルカード」であり、これは基板の片側又は両側にあるスタンプされた接触に接続する。このタイプの終端処理を促進するため、リボンケーブルの接地面は、コアから容易にストリッピング可能なように製作することができ、またコアはワイヤーから容易にストリッピング可能なように製作することができる。レーザー、工具、及び機械的切断を採用して、このプロセスを繰り返し可能かつ迅速にすることができる。
【0131】
ケーブルの接地面に対するPCBの接続は、導電性接着剤、導電性テープ、ハンダ付け、ろう付け、超音波、機械的クランピング等の、任意の数の方法によって達成することができる。同様に、PCBに対する導体の接続は、ハンダ付け、ろう付け、超音波、及びその他のプロセスを使用して達成することができ、最も効率良くすべてを一括で行うことができる(ギャングボンディング)。これらの構成の多くにおいて、PCBは両面にワイヤー接続があるため、その1本又は2本をリボンケーブルが使用でき(各面につき1本)、ケーブル内で互いに積み重ねることができる。
【0132】
リボンケーブルを使ってパドルカード終端処理を行う際に見られる時間節約に加え、終端部位において、インピーダンス不連続性又はスキューの程度及び長さを低減させることができる。ケーブル終端処理に使用されるアプローチの1つは、インピーダンス制御されていない終端での導体の長さを制限することである。これは、コネクターとほぼ同じ形式の接続にワイヤーを合わせることで達成でき、これには、PCBのパッドでのトレースの線形配列が含まれ得る。ケーブルのピッチは、PCBのピッチに一致させることができるため、これにより、ピッチの合わないケーブルに必要となるような、不均一で長い露出ワイヤーをなくすことができる。また、このピッチは基板ピッチに合わせて製作できるため、ケーブルからコネクターに伸びる放置された余分なワイヤー長さを最小限に抑えることができる。
【0133】
終端処理に関して呈し得る、本明細書に記述されているケーブルのもう1つの利点は、そのようなケーブルの折り畳み部分を、コネクター内に収容できるということである。これは、安価なアングルコネクターの形成を容易に促進できる。例示的実施形態によるコネクターのさまざまな例を、
図22〜27に示す。
図22は、コネクターアセンブリ2200が、前述の遮蔽付きリボンケーブル構成体1402の2層のケーブルを終端処理している。ケーブル1402の一部又はすべての導体が、上と下の終端エリア2204、2206で、パドルカードに電気的に連結されている。ケーブル1402には、パドルカードに対して直角なケーブル1402配線を促進する、領域2208での曲げが含まれている。成形物2210は、少なくとも曲げ領域2208を包含し、パドルカード2202の少なくとも一部分(例えば終端エリア2204、2206の近く)を包含し得る。
【0134】
図23では、コネクターアセンブリ2300は、2200に類似の構成要素を含み得るが、ただし単一の遮蔽付きリボンケーブル1402が使用されている。アセンブリ2300は、同様の成形物2210を含み得、この例では曲げ領域2302及び終端エリア2204を包含している。
図24及び25は、2300及び1400に類似のコネクターアセンブリ2400及び2500をそれぞれ含み、ただし、対応する成形物2402は、約45°の曲げを有する曲げ領域2404、2502を包含している。
【0135】
コネクター2200、2300、2400、2500はすべて、終端コネクターとして(例えば、ケーブルアセンブリの終端に配置するものとして)図示されている。いくつかの状況において、コネクターはケーブルアセンブリの中間部分にあることが望ましいことがあり、これには、アセンブリを構成する1本以上のケーブル1402の任意の非終端部分が含まれ得る。中間部分コネクター2600及び2700の実施例を、
図26及び27に示す。
図26において、対応するケーブル1402の一部分が、リボンから分岐して、曲げエリア2602で曲がり、終端エリア2204、2206で終端処理され得る。成形物2604は、少なくとも曲げエリア2602を包含し、また出口領域2606(例えばストレインリリーフのため)も含み、リボンケーブル1402の曲げられていない部分がそのまま伸びる。ケーブル2700は、ケーブル2600と同様であり、ただしリボンケーブル1402の一方が、領域2702で曲げられ、全体がエリア2204で終端処理されている。もう一方のケーブル1402は、曲げも終端処理も行われず、領域2606から出る。
【0136】
当業者には、
図22〜27に示される特徴が、実例目的のために提供されているものであり、制限目的ではないことが理解されよう。こまた、
図22〜27に開示されているさまざまな特徴を組み合わせた数多くのバリエーションが存在し得ることも理解されよう。例えば、領域2208、2302、2404、及び2502における曲げは、ケーブル1402及び同等物について本明細書で記述された任意の角度及び曲げ半径であってよい。別の例において、図解されているコネクター2200、2300、2400、2500、2600、及び2700はすべてパドルカード2206を使用して示されているが、これらの実施形態の発明範囲から逸脱することなく、他の終端構造(例えばクリンプピン/ソケット、絶縁変位接続、はんだカップなど)を同様の目的で使用することができる。更に別の実施例において、コネクター2200、2300、2400、2500、2600、及び2700は、成形物の代わりに別の筐体/カバーを使用することができ、例えばマルチピース、機械的に取り付けられたハウジング、シュリンクラップ構造、固着/接着剤取り付けの被覆などが使用できる。
【0137】
例示的実施形態の前述の説明は、例証及び説明の目的で提示されてきた。説明文は網羅的なものでもなく、開示された厳密な形態に本発明を限定するものでもない。以上の教示を考慮すれば、多くの修正形態及び変形形態が可能である。本発明の範囲は、この詳細な説明によって限定されるのではなく、むしろ本明細書に添付された特許請求の範囲によって限定されことが意図されている。
【0138】
以下の項目は、本発明の態様による遮蔽電気ケーブルの代表的な実施形態である。
【0139】
項目1は、遮蔽電気ケーブルであって、遮蔽電気ケーブルが、ケーブルの長さに沿って延在し、ケーブルの幅に沿って互いに間隔を置いて配置されている複数の導体セットであって、各導体セットに1つ以上の絶縁導体が含まれている、複数の導体セットと、ケーブルの対向する側に配置されている第1及び第2遮蔽フィルムであって、第1及び第2フィルムには、カバー部分及び挟まれた部分が含まれ、これらは横断面において、第1及び第2フィルムのカバー部分が一緒に各前記導体セットを実質的に包囲し、かつ、第1及び第2フィルムの挟まれた部分が一緒に各導体セットのそれぞれの側でケーブルの挟まれた部分を形成するように配置されている、第1及び第2遮蔽フィルムと、ケーブルの前記挟まれた部分で、第1遮蔽フィルムを第2遮蔽フィルムに接着する第1接着層と、を含み、複数の導体セットは、隣り合う第1及び第2の絶縁導体を含み、かつ第1及び第2遮蔽フィルムの対応する第1カバー部分と、第1及び第2遮蔽フィルムの対応する第1挟まれた部分とを有し、これらが第1導体セットの一方の側に第1挟まれたケーブル部分を形成する、第1の導体セットを含み、この絶縁導体のうち選択された1本が、24AWG(アメリカンワイヤーゲージ)(0.511mm)以下の直径のワイヤーを有し、内側半径が最大2mmで180°以下の、ケーブル位置1か所でのケーブル横断曲げにより、ケーブル位置近くでの選択された前記絶縁導体のケーブルインピーダンスが、曲げていない形状のときにケーブル位置で測定した初期ケーブルインピーダンスからの変化を2パーセント以下に抑える、遮蔽電気ケーブル、を含む。
【0140】
項目2は、選択された絶縁導体の前記ワイヤー直径が、26AWG(0.405mm)以下であり、内側半径が最大1mmで180°以下の、ケーブル位置1か所でのケーブル横断曲げにより、ケーブル位置近くでの選択された絶縁導体のケーブルインピーダンスにもたらされる、初期ケーブルインピーダンスからの変化が、1パーセント以下である、項目1に記載のケーブルである。
【0141】
項目3は、選択された絶縁導体が、導体セットのうち選択された1つの一部であり、導体セットには、直径が24AWG(0.511mm)以下で公称差動インピーダンスが100オームであるワイヤーをそれぞれ有する少なくとも2本の絶縁導体が含まれ、ケーブルの横断曲げにより、ケーブル位置近くでの選択された導体セットの差動ケーブルインピーダンスが、曲げていない形状のときにケーブル位置で測定した初期差動ケーブルインピーダンスからの変化を2オーム以下に抑える、項目1に記載のケーブルである。
【0142】
項目4は、少なくとも2本の絶縁導体のワイヤー直径が、26AWG(0.405mm)以下であり、内側半径が最大1mmで180°以下の、ケーブル位置のケーブル横断曲げにより、そのケーブル位置近くでの選択された導体セットの差動ケーブルインピーダンスにもたらされる、初期差動ケーブルインピーダンスからの変化が、1オーム以下である、項目3に記載のケーブルである。
【0143】
項目5は、選択された絶縁導体が、公称ケーブルインピーダンス50オームを有し、そのケーブル位置近くでの選択された絶縁導体のケーブルインピーダンスは、初期ケーブルインピーダンスからの変化が、1オーム以下である、項目1又は2に記載のケーブルである。
【0144】
項目6は、ケーブルは更に、ケーブルの幅を横切って延在する折り目の周りで内側半径が最大で5mmの、少なくとも45°のケーブルの曲げを更に含む、項目1〜5のいずれか一項に記載のケーブルである。
【0145】
項目7は、曲げは少なくとも90°であり、かつ、ケーブルを封入する構造形状に適合する、項目6に記載のケーブルである。
【0146】
項目8は、曲げは少なくとも180°であり、かつ折り目はケーブルの長手方向縁部に対して、ある折り角度であり、これによって、平面に対する曲げの前後の近接領域を平らにすることに対応して、ケーブルがある転回角度で転回する、項目6又は7に記載のケーブルである。
【0147】
項目9は、折り角度は45°であり、転回角度は90°である、項目8に記載のケーブルである。
【0148】
項目10は、遮蔽電気ケーブルであって、遮蔽電気ケーブルが、ケーブルの長さに沿って延在し、ケーブルの幅に沿って互いに間隔を置いて配置されている複数の導体セットであって、各導体セットに1つ以上の絶縁導体が含まれている、複数の導体セットと、ケーブルの対向する側に配置されている第1及び第2遮蔽フィルムであって、第1及び第2フィルムには、カバー部分及び挟まれた部分が含まれ、これらは横断面において、第1及び第2フィルムのカバー部分が一緒に各導体セットを実質的に包囲し、かつ、第1及び第2フィルムの挟まれた部分が一緒に各導体セットのそれぞれの側でケーブルの挟まれた部分を形成するように配置されている、第1及び第2遮蔽フィルムと、ケーブルの挟まれた部分で、第1遮蔽フィルムを第2遮蔽フィルムに接着する第1接着層と、を含み、複数の導体セットは、隣り合う第1及び第2の絶縁導体を含み、かつ第1及び第2遮蔽フィルムの対応する第1カバー部分と、第1及び第2遮蔽フィルムの対応する第1挟まれた部分とを有し、これらが第1導体セットの一方の側に第1挟まれたケーブル部分を形成する、第1の導体セットを含み、絶縁導体のうち選択された1本が、24AWG(アメリカンワイヤーゲージ)(0.511mm)以下の直径のワイヤーを有し、内側半径が最大5mmで180°以下の、ケーブル位置1か所でのケーブル横断曲げにより、ケーブル位置近くでの選択された絶縁導体のケーブルインピーダンスが、曲げていない形状のときにケーブル位置で測定した初期ケーブルインピーダンスからの変化を2パーセント以下に抑える、遮蔽電気ケーブルである。
【0149】
項目11は、ケーブルが更に、ケーブルの幅を横切って延在する折り目の周りで内側半径が最大で5mmの、少なくとも45°のケーブルの曲げを更に含む、項目10に記載のケーブルである。
【0150】
項目12は、曲げは少なくとも90°であり、かつ、ケーブルを封入する構造形状に適合する、項目11に記載のケーブルである。
【0151】
項目13は、曲げは少なくとも180°であり、かつ折り目はケーブルの長手方向縁部に対して、ある折り角度であり、これによって、平面に対する曲げの前後の近接領域を平らにすることに対応して、ケーブルがある転回角度で転回する、項目11に記載のケーブルである。
【0152】
項目14は、折り角度は45°であり、転回角度は90°である、項目13に記載のケーブルである。
【0153】
項目15は、遮蔽電気ケーブルであって、遮蔽電気ケーブルが、ケーブルの長さに沿って延在し、ケーブルの幅に沿って互いに間隔を置いて配置されている複数の導体セットであって、各導体セットに1つ以上の絶縁導体が含まれている、複数の導体セットと、ケーブルの対向する側に配置されている第1及び第2遮蔽フィルムであって、第1及び第2フィルムには、カバー部分及び挟まれた部分が含まれ、これらは横断面において、第1及び第2フィルムのカバー部分が一緒に各導体セットを実質的に包囲し、かつ、第1及び第2フィルムの挟まれた部分が一緒に各導体セットのそれぞれの側でケーブルの挟まれた部分を形成するように配置されている、第1及び第2遮蔽フィルムと、ケーブルの挟まれた部分で、第1遮蔽フィルムを第2遮蔽フィルムに接着する第1接着層と、を含み、複数の導体セットは、隣り合う第1及び第2の絶縁導体を含み、かつ第1及び第2遮蔽フィルムの対応する第1カバー部分と、第1及び第2遮蔽フィルムの対応する第1挟まれた部分とを有し、これらが第1導体セットの一方の側に第1挟まれたケーブル部分を形成する、第1の導体セットを含み、3.0インチ(7.62cm)離れた2つの支持点に単純に支えられているこのケーブルに対し、その支持点の中間点に力を適用することによって、少なくとも1インチ(2.54cm)の、力方向へのたわみが生じ、この重量ポンドで測定される力は、絶縁導体それぞれの個々の力の合計を超えることはなく、個々の力は、ワイヤー直径をインチで表わした場合に、それぞれの絶縁導体のワイヤ直径の3乗に11000を掛けた値に等しい。
【0154】
項目16は、ワイヤー直径は、24AWG(アメリカンワイヤーゲージ)(0.511mm)以下である、項目15に記載のケーブルである。
【0155】
項目17は、たわみが1インチ〜1.5インチ(2.54cm〜3.81cm)の間の時に、最大力が起こる、項目15又は16に記載のケーブルである。
【0156】
項目18は、ケーブルは、ケーブルの幅を横切って延在する折り目の周りで内側半径が最大で5mmの、少なくとも45°のケーブルの曲げを更に含む、項目15〜17のいずれか一項に記載のケーブルである。
【0157】
項目19は、曲げは少なくとも90°であり、かつ、ケーブルを封入する構造形状に適合する、項目18に記載のケーブルである。
【0158】
項目20は、曲げは少なくとも180°であり、かつ折り目はケーブルの長手方向縁部に対して、ある折り角度であり、これによって、平面に対する曲げの前後の近接領域を平らにすることに対応して、ケーブルがある転回角度で転回する、項目18に記載のケーブルである。
【0159】
項目21は、折り角度は45°であり、転回角度は90°である、項目20に記載のケーブルである。
【0160】
項目22は、ケーブルアセンブリであって、ケーブルの長さに沿って延在し、ケーブルの幅に沿って互いに間隔を置いて配置されている複数の導体セットであって、各導体セットに1つ以上の絶縁導体が含まれている、複数の導体セットと、ケーブルの対向する側に配置されている第1及び第2遮蔽フィルムであって、この第1及び第2フィルムには、カバー部分及び挟まれた部分が含まれ、これらは横断面において、第1及び第2フィルムのカバー部分が組み合わせて各導体セットを実質的に包囲し、かつ、第1及び第2フィルムの挟まれた部分が組み合わせて各導体セットのそれぞれの側でケーブルの挟まれた部分を形成するように配置されている、第1及び第2遮蔽フィルムと、ケーブルの挟まれた部分で、第1遮蔽フィルムを第2遮蔽フィルムに接着する第1接着層と、ケーブルの幅を横切って延在する折り目の周りで内側半径が最大で5mmの、少なくとも45°のケーブルの曲げを更に含む、遮蔽電気ケーブルであって、複数の導体セットは、隣り合う第1及び第2の絶縁導体を含み、かつ第1及び第2遮蔽フィルムの対応する第1カバー部分と、第1及び第2遮蔽フィルムの対応する第1挟まれた部分とを有し、これらが第1導体セットの一方の側に第1挟まれたケーブル部分を形成する、第1の導体セットを含み、ケーブル内の少なくとも曲げを包含する電気コネクターであって、絶縁導体のうち少なくとも1本が、電気コネクターの少なくとも1つの接触に電気的に連結される、電気コネクターと、を含むケーブルアセンブリである。
【0161】
項目23は、電気コネクターは、ケーブル上に形成された成形物を包含する、項目22に記載のケーブルアセンブリである。
【0162】
項目24は、電気コネクターは、マルチピースのハウジングを含む、項目22〜23のいずれか一項に記載のケーブルアセンブリである。
【0163】
項目25は、コネクターは、パドルカードコネクターを含む、項目22〜24のいずれか一項に記載のケーブルアセンブリである。
【0164】
項目26は、曲げは、折り目に沿って少なくとも90°である、項目22〜24のいずれか一項に記載のケーブルアセンブリである。
【0165】
項目27は、曲げの内側半径は最大1mmである、項目26に記載のケーブルアセンブリである。
【0166】
項目28は、曲げの内側半径は最大1mmである、項目22〜25のいずれか一項に記載のケーブルアセンブリである。
【0167】
項目29は、コネクターは、ケーブルの端部に配置される、項目22〜28のいずれか一項に記載のケーブルアセンブリである。
【0168】
項目30は、コネクターは、ケーブルの中間部分に配置される、項目22〜28のいずれか一項に記載のケーブルアセンブリである。
【0169】
項目31は、絶縁導体は、24AWG(アメリカンワイヤーゲージ)(0.511mm)以下のワイヤー直径を有する、項目22〜30のいずれか一項に記載のケーブルアセンブリである。
【0170】
項目32は、ケーブルは更に、電気コネクターによって包含されない第2の曲げを含み、この第2の曲げは、ケーブルの幅を横切って延在する第2の折り目に沿い、少なくとも45°であり、最大5mmの内側半径を有する、項目22〜31のいずれか一項に記載のケーブルアセンブリである。
【0171】
項目33は、第2の曲げは少なくとも90°であり、かつ、ケーブルアセンブリを封入する構造形状に適合する、項目32に記載のケーブルアセンブリである。
【0172】
項目34は、第2の曲げは少なくとも180°であり、かつ第2の折り目はケーブルの長手方向縁部に対して、ある折り角度であり、これによって、平面に対する第2の曲げの前後の近接領域を平らにすることに対応して、ケーブルがある転回角度で転回する、項目32に記載のケーブルアセンブリである。
【0173】
項目35は、第2の折り角度は45°であり、転回角度は90°である、項目34に記載のケーブルアセンブリである。
【0174】
項目36は、少なくとも1つの導体セットが、少なくとも1Gb/sの最大データ伝送速度のために適合される、項目22〜35のいずれか一項に記載のケーブルアセンブリである。
【0175】
以上、好適な実施形態の説明を目的として特定の実施形態を本明細書に図示、説明したが、同様の目的を達成することが予想される広範な代替的かつ/又は同等の実施の態様を、本発明の範囲を逸脱することなく、図示及び説明された特定の実施形態に置き換えることができる点は当業者には認識されるであろう。機械的、電気機械的、及び電気的分野における当業者であれば、本発明が広範な実施形態で実施し得る点は直ちに認識されるであろう。本出願は、本明細書で考察した好適な実施形態のあらゆる適合形態又は変形例を含むものである。したがって、本発明が特許請求の範囲及びその均等物によってのみ限定される点を明示するものである。