(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係る吊下げ治具及び添加液移送方法について好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照しながら説明する。
【0025】
本発明の各実施形態に係る吊下げ治具100A〜100C(
図5〜
図8参照)の構成を説明する前に、
図1に示す血液バッグシステム10について説明する。この血液バッグシステム10は、複数の成分を含有する血液を比重の異なる複数の成分(例えば、軽比重成分及び重比重成分の2つの成分)に遠心分離し、各成分を異なるバッグに分けて収容、保存するためのものである。
【0026】
本実施形態に係る血液バッグシステム10は、全血から白血球及び血小板を除去した残余の血液成分を血漿及び濃厚赤血球の2つの成分に遠心分離し、血漿及び濃厚赤血球を異なるバッグに分けて収容、保存するように構成されている。
図5〜
図8に示す吊下げ治具100A〜100Cは、血液バッグシステム10の一部(後述する分離処理部16)を吊り下げるために使用される。
【0027】
図1に示すように、血液バッグシステム10は、ドナーから血液(全血)を採取する血液採取部12と、全血から所定の血液成分を除去する前処理部14と、所定成分が除去された残余の血液成分を遠心分離して複数の血液成分に分けるとともに各成分を異なるバッグに収容(貯留)する分離処理部16とを有する。
【0028】
まず、血液採取部12について説明する。血液採取部12は、採血バッグ18と、採血チューブ20、22と、採血針24と、分岐コネクタ26と、初流血バッグ28とを有する。
【0029】
採血バッグ18は、ドナーから採取した血液(全血)を収容(貯留)するためのバッグである。採血バッグ18内には、予め抗凝固剤が入れられていることが好ましい。この抗凝固剤は、通常液体であり、例えば、ACD−A液、CPD液、CPDA−1液、ヘパリンナトリウム液等が挙げられる。これらの抗凝固剤の量は、予定採血量に応じた適正な量とされる。
【0030】
採血バッグ18は、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリオレフィンのような軟質樹脂製の可撓性を有するシート材を重ね、その周縁のシール部において融着(熱融着、高周波融着)又は接着し、袋状に構成されたものである。なお、初流血バッグ28も同様に袋状に構成されたものである。
【0031】
また、採血バッグ18には、基端側の採血チューブ20の一端が接続される。採血チューブ20の途中部位には、採血チューブ20の流路を閉塞及び開放するクランプ30が設けられる。採血チューブ20の他端には、封止部材32の一端が接続される。封止部材32は、初期状態では流路が閉塞しているが、破断操作を行うことで流路が開通するように構成されたものである。
【0032】
封止部材32の他端には、分岐コネクタ26の第1ポート26aが接続される。分岐コネクタ26の第2ポート26bには、先端側の採血チューブ22の一端が接続され、採血チューブ22の他端には、採血針24が接続される。採血針24には、使用前まではキャップ24aが装着され、使用後はニードルガード24bが装着される。ニードルガード24bは、採血チューブ22に長手方向に沿って移動可能に配設されている。
【0033】
分岐コネクタ26の第3ポート26cには、分岐チューブ34の一端が接続される。分岐チューブ34の途中部位には、分岐チューブ34の流路を閉塞及び開放するクランプ36が設けられる。分岐チューブ34の他端には、初流血バッグ28が接続される。初流血バッグ28にはサンプリングポート38が接続される。なお、分岐コネクタ26の向きや配置は、
図1の構成に限られず、適宜変更可能である。
【0034】
前処理部14は、所定細胞を除去するフィルタ40と、一端が採血バッグ18に接続され他端がフィルタ40の入口に接続された入口側チューブ42と、一端がフィルタ40の出口に接続され他端が分離処理部16に接続された出口側チューブ44とを有する。
【0035】
本実施形態では、フィルタ40は、白血球除去フィルタとして構成されている。このような白血球除去フィルタとしては、軟質樹脂シートから形成された袋状のハウジング内に、一方の面から他方の面に連通する多数の微細な孔を有した通液性のある多孔質体を収容した構造のものを用いることができる。本実施形態では、フィルタ40は、血小板も補足できるように構成されている。
【0036】
入口側チューブ42は、ドナーから採取した血液を採血バッグ18からフィルタ40に移送するためのチューブであり、採血バッグ18の上部に接続されている。本実施形態では、入口側チューブ42の、採血バッグ18側の端部に封止部材46が設けられている。この封止部材46は、上述した封止部材32と同様の構成及び機能を有している。
【0037】
出口側チューブ44は、フィルタ40で所定細胞(本実施形態では、白血球及び血小板)が除去された残余の血液成分を分離処理部16(具体的には、後述する親バッグ50)に移送するためのチューブである。この出口側チューブ44の途中部位には、出口側チューブ44の流路を閉塞及び開放するクランプ48が設けられている。このクランプ48は、上述したクランプ30と同様のものを用いることができる。
【0038】
次に、分離処理部16について説明する。分離処理部16は、フィルタ40で所定細胞が除去された残余の血液成分を収容(貯留)する親バッグ50(第1バッグ)と、親バッグ50内の血液成分を遠心分離して得られた上清成分を収容及び保存する子バッグ52(第3バッグ)と、赤血球保存液M(添加液)を収容する薬液バッグ54(第2バッグ)と、親バッグ50、子バッグ52及び薬液バッグ54に接続された移送ライン55とを有する。
【0039】
親バッグ50、子バッグ52及び薬液バッグ54は、採血バッグ18と同様に、ポリ塩化ビニル、ポリオレフィンのような軟質樹脂製の可撓性を有するシート材を重ね、その周縁のシール部において融着(熱融着、高周波融着)又は接着し、袋状に構成されたものである。親バッグ50、子バッグ52及び薬液バッグ54の各下部には、各バッグの上部を下側にした状態で吊下げ可能なようにスリット63〜65が設けられる。
【0040】
親バッグ50は、フィルタ40で所定細胞が除去された残余の血液成分を収容(貯留)するためのバッグと、当該血液成分を遠心分離して得られた沈降成分(濃厚赤血球)を保存するためのバッグとを兼ねている。
【0041】
移送ライン55は、親バッグ50と子バッグ52とを接続し、且つ親バッグ50と薬液バッグ54とを接続する手段である。図示例の移送ライン55は、親バッグ50に接続された第1チューブ56(第1バッグ側チューブ)と、子バッグ52に接続された第2チューブ58と、薬液バッグ54に接続された第3チューブ60(第2バッグ側チューブ)と、第1〜第3チューブ56、58、60に接続された分岐コネクタ62(分岐部)とを有する。
【0042】
第1チューブ56の一端部(親バッグ50側の端部)には、破断可能な封止部材66が設けられており、破断操作が行われるまで、親バッグ50内の血液成分が他のバッグに移行することを防止する。この封止部材66は、上述した封止部材32と同様の構成及び機能を有している。
【0043】
第1チューブ56の他端部は、分岐コネクタ62の第1ポート62aと接続している。分岐コネクタ62の第2ポート62bには、第2チューブ58の一端が接続されている。分岐コネクタ62の第3ポート62cには、第3チューブ60の一端が接続されている。分岐コネクタ62は、第1〜第3チューブ56、
58、60よりも硬質の材料により構成される。
【0044】
薬液バッグ54に収容される赤血球保存液Mとしては、MAP液、SAGM液、OPTISOL
(登録商標)等が使用される。第3チューブ60の薬液バッグ54側の端部には、破断可能な封止部材68が設けられており、薬液バッグ54内の赤血球保存液Mが他のバッグに移行することを防止している。この封止部材68は、上述した封止部材32と同様の構成及び機能を有している。
【0045】
血液バッグシステム10における各チューブは、透明で可撓性を有する樹脂製のチューブである。クランプ30、36、48は従来から用いられている標準品でよい。またクランプ30、36、48は、使用箇所や使用用途によって色分けしておくとよい。血液バッグシステム10の滅菌時及び使用前の保管時には、クランプ30、36、48は開放状態となっており、各バッグの内部は連通して均一な滅菌状態となっている。
【0046】
血液バッグシステム10は、例えば、
図2に示す遠心分離移送装置70に装着して使用され得る。この遠心分離移送装置70は、親バッグ50内に収容した血液成分を遠心分離して、血漿及び濃厚赤血球の2層に分け、血漿を子バッグ52に移送し、濃厚赤血球を親バッグ50に残すために用いられる。
【0047】
遠心分離移送装置70は箱形状であって、装置本体71と、開閉可能な上面の蓋72と、内部の遠心ドラム74と、該遠心ドラム74内で等角度(60°)間隔に6つ設けられたユニット挿入孔76と、各ユニット挿入孔76に対して挿入及び離脱が可能な6つのインサートユニット78と、中心部に設けられ、各インサートユニット78に対して回転径方向に進退可能な6つの押子80(
図3等参照)とを有する。遠心分離移送装置70は、正面に設けられた操作部82の操作に基づいて動作し、図示しないマイクロコンピュータで制御される。
【0048】
基本的に遠心分離移送装置70には6つのインサートユニット78を装着するが、バランスが取れていれば5つ以下(好ましくは、等間隔角度に3つ又は2つ)でもよい。
【0049】
全血をフィルタ40で濾過して残余の血液成分を親バッグ50に移送して収容した後、血液バッグシステム10を遠心分離移送装置70に装着する前に、出口側チューブ44は、チューブシーラー等によって溶着し、漏れの無いように封止した上で切断される。このため、インサートユニット78に装着されるのは、血液バッグシステム10のうち、分離処理部16と、出口側チューブ44の一部のみである。
【0050】
図1に示す血液バッグシステム10を使用してドナーから血液を採取し、採取した血液から白血球及び血小板を除去し、残余の成分を血漿及び濃厚赤血球の2層に分離し、さらに、分離した成分ごとにバッグに分けて貯留する処理は、例えば、以下の手順によって行うことができる。
【0051】
まず、採血針24をドナーの皮膚に穿刺して、ドナーから血液を採取する採血工程を行う。採血工程では、採血バッグ18への血液の採取に先行して、ドナーからの血液の初流(採血初流)を所定量だけ初流血バッグ28に収容する。この場合、封止部材32を閉塞状態(初期状態)としたまま、クランプ36を開放状態とする。こうすることで、採血チューブ20側、すなわち採血バッグ18側への採血初流の流入が阻止される一方、採血チューブ22、分岐コネクタ26及び分岐チューブ34を経由して採血初流を初流血バッグ28に導入することができる。
【0052】
次に、サンプリングポート38に図示しない採血管を装着することにより、当該採血管に採血初流を採取する。採取した採血初流は、検査用血液として使用される。なお、用途によっては、分岐コネクタ26からサンプリングポート38までの部分は省略されてもよい。
【0053】
採血初流を採取し終えたら、クランプ36により分岐チューブ34を閉塞し、封止部材32に対して破断操作を行って、採血チューブ20の流路を開通させる。このとき、クランプ30を開放状態としておくと、ドナーからの血液は、採血チューブ22と採血チューブ20とを順に経由して採血バッグ18に流入する。
【0054】
所定量の血液を採血バッグ18に採取及び貯留したら、採血バッグ18内の血液が流出しないように、クランプ30により採血チューブ20を閉塞する。そして、チューブシーラー等によって採血チューブ20を溶着及び封止した後に採血チューブ20を封止した部分で切断する。
【0055】
次に、採血バッグ18を上方位置とし、親バッグ50を下方位置とし、その中間位置にフィルタ40を配置してから、入口側チューブ42の一端部に設けられた封止部材46に対して破断操作を行って、入口側チューブ42の流路を開通させる。これにより、採血バッグ18内の全血は、入口側チューブ42を介してフィルタ40に流入し、フィルタ40を通る過程で白血球及び血小板を除去され、出口側チューブ44を介して親バッグ50に流入し採取される。このとき、親バッグ50には、白血球及び血小板を除去された後の血液だけでなく、フィルタ40内に存在していたエアも流入する。
【0056】
その後、チューブシーラー等によって、出口側チューブ44をクランプ48より下流側の位置で溶着及び封止したうえで、出口側チューブ44を封止した部分で切断する。
【0057】
次に、親バッグ50に採取した血液成分を、血漿及び濃厚赤血球に分離し、それぞれ所定のバッグに貯留するために、血液バッグシステム10の分離処理部16を遠心分離移送装置70に装着する。この装着に際して、封止部材66に対して上述した破断操作を行って、封止部材66の流路を開通させる。封止部材66の破断操作は、親バッグ50を遠心分離移送装置70に装着する前でもよいし、装着した後でもよい。
【0058】
そして、血液バッグシステム10(具体的には、分離処理部16)をインサートユニット78に装着し、インサートユニット78をユニット挿入孔76に挿入し、
図3の模式図の状態とする。
図3において、双方向矢印で示すA方向は、遠心分離移送装置70の遠心ドラム74の半径方向であり、特に、A1方向は半径内方向であり、A2方向は半径外方向である。
【0059】
親バッグ50は、インサートユニット78に装着された状態で、縦向きに(上下方向に延在するように)保持され、バッグ本体部の厚さ方向がA方向となる向きで遠心分離移送装置70に収容される。従って、遠心分離移送装置70の遠心ドラム74の回転時、親バッグ50には、A2方向に遠心力がかかる。
【0060】
図3に示すように、遠心分離移送装置70は、第1チューブ56内を通過する液の種別を検知するセンサ90を備える。センサ90は、例えば、投光部及び受光部からなり、間を通過する液の光透過度合いに基づいてその液の種別を判定することができる。遠心分離移送装置70は、さらに、開閉動作可能であり開閉によって第2チューブ58の流路の開放及び閉塞を切り換えるクランプ92と、開閉動作可能であり開閉によって第3チューブ60の流路の開放及び閉塞を切り換えるクランプ94とを備える。
【0061】
なお、クランプ92、94は予め第2チューブ58及び第3チューブ60にそれぞれ装着され、遠心分離移送装置70には、クランプ92、94を開閉動作させる動作機構が設けられていてもよい。
【0062】
次に、遠心分離移送装置70の蓋72を閉じた後、操作部82を操作することによって遠心工程及び分離移送工程を自動的に行う。
図3に示すように、両クランプ92、94は遠心工程開始前に予め閉じられ、これにより第2及び第3チューブ58、60の各流路は閉塞される。親バッグ50内の上部には、エアが存在している。このエアは、フィルタ40内に存在していたエアがフィルタ40による血液の濾過時に親バッグ50内に流入したエアである。
【0063】
遠心分離移送装置70の自動動作では、まず遠心ドラム74を回転させることにより、親バッグ50に貯留された血液成分を血漿と濃厚赤血球とに分ける遠心工程を行う。遠心工程では、親バッグ50に貯留された血液成分が遠心力を受けることにより、重比重成分の濃厚赤血球が半径外方向(A2方向)に移り、軽比重成分の血漿が半径内方向(A1方向)に移り、2つの層に分離する。
【0064】
遠心分離移送装置70は、遠心工程の後にエア移送工程を実施する。エア移送工程では、遠心ドラム74の回転を維持したまま、クランプ94を開くことにより第3チューブ60の流路を開放状態にする。
【0065】
次に、
図4に示すように、押子80を半径外方向(A2方向)に変位させて親バッグ50を押圧する。親バッグ50は押子80と壁に挟まれて容積が減少するため、親バッグ50内からエアが吐出され、第1チューブ56、分岐コネクタ62、第3チューブ60を介して、エアが薬液バッグ54に流入する。
【0066】
遠心分離移送装置70は、エア移送工程の後に血漿の分離移送工程を実施する。具体的には、エアが親バッグ50から流出し終えたら、第1チューブ56は内径側に指向していることから、最も内径側に位置する血漿が親バッグ50から流出し始める。このとき、第1チューブ56に血漿が流れたことをセンサ90により検出したら、遠心ドラム74の回転を維持したまま、クランプ94を閉じることにより第3チューブ60を閉塞状態にするとともに、クランプ92を開くことにより第2チューブ58を開放状態にする。そうすると、親バッグ50から流出した血漿は、第1チューブ56、分岐コネクタ62及び第2チューブ58を介して子バッグ52に流入する。
【0067】
血漿が親バッグ50から流出し終えたら、濃厚赤血球が親バッグ50から流出し始める。このとき、第1チューブ56に赤血球が流れたことをセンサ90により検出したら、押子80を停止するとともに、クランプ92を閉じることにより第2チューブ58の流路を閉塞する。これにより、子バッグ52に赤血球が流入することが阻止される。
【0068】
以上の分離移送工程が終了したら、分離処理部16をインサートユニット78から取り出して、チューブシーラー等により第2チューブ58を溶着及び封止した後に切断することによって子バッグ52を切り離す。
【0069】
なお、チューブシーラー等による第2チューブ58の溶着、封止、そして切断は、クランプ92にチューブシール機能、切断機能を付加する等、遠心分離移送装置70内において、機械的な作動により行ってもよい。
【0070】
次に、赤血球保存液Mを濃厚赤血球に添加する添加工程を手作業で実施する。添加工程は、例えば、
図5に示す第1実施形態に係る吊下げ治具100Aを用いて実施することができる。この吊下げ治具100Aは、親バッグ50内の濃厚赤血球に赤血球保存液Mを添加するために、親バッグ50と薬液バッグ54の高低差を利用して薬液バッグ54から親バッグ50へ赤血球保存液Mを移送する際に使用される。
【0071】
吊下げ治具100Aは、設置面S上に置かれる基部102と、基部102に支持され上下方向に延在する支柱104と、上下方向に間隔を置いて支柱104に支持された2つの吊下げ部106、108(第2バッグ吊下げ部、支持機構)とを備える。基部102は、図示例では、複数の脚部103を有するが、このような構成に限られず、水平方向に広がりを有するプレート状に構成されてもよい。
【0072】
2つの吊下げ部106、108のうち、相対的に上側に設けられた吊下げ部106(以下、「上側吊下げ部106」と称する)は、薬液バッグ54の口部54aが下方を向く状態で(すなわち、逆さにして)薬液バッグ54を吊下げ可能に構成される。具体的には、上側吊下げ部106は、支柱104に対して交差する方向(図示例では、水平方向)に突出した棒形状に構成される。上側吊下げ部106の自由端部側には、湾曲したフック部107が設けられる。薬液バッグ54の下部に設けられたスリット65にフック部107を挿入することにより、薬液バッグ54を逆さの状態にして吊り下げることができる。
【0073】
2つの吊下げ部106、108のうち、相対的に下側に設けられた吊下げ部108(以下、「下側吊下げ部108」と称する)は、上側吊下げ部106によって吊り下げられる薬液バッグ54よりも低い位置で、親バッグ50の口部50aが下方を向く状態で(すなわち、逆さにして)親バッグ50を吊下げ可能に構成される。
【0074】
具体的には、下側吊下げ部108は、支柱104に対して交差する方向(図示例では、水平方向)に突出した棒形状に構成される。下側吊下げ部108の自由端部側には、湾曲したフック部109が設けられる。親バッグ50の下部に設けられたスリット63にフック部109を挿入することにより、親バッグ50を逆さの状態にして吊り下げることができる。
【0075】
このように構成された下側吊下げ部108は、親バッグ50と薬液バッグ54の高低差を利用して薬液バッグ54から親バッグ50へ赤血球保存液Mを移送する際に薬液バッグ54からのエアが移送ライン55の途中で停止するように、親バッグ50を所定状態に支持する支持機構として機能する。
【0076】
なお、薬液バッグ54又は親バッグ50を逆さに吊り下げるための手段としては、上述したフック部107、109に代えて、例えば、バネの弾性力によって挟持力を発揮する一対の把持部を有するクリップが採用されてもよい。このようなクリップで薬液バッグ54又は親バッグ50の下部を挟んで保持することにより、薬液バッグ54又は親バッグ50を逆さに吊り下げることができる。
【0077】
図5において、上側吊下げ部106と下側吊下げ部108とは長さが互いに異なっているが、同じ長さでもよい。
【0078】
図5に示すように、吊下げ治具100Aは、さらに、下側吊下げ部108による吊下げ高さを調整する高さ調整機構110を備えてもよい。図示例の場合、高さ調整機構110は、支柱104に対して上下方向にスライド可能であり、且つ調整した高さ位置を保持可能に構成される。なお、高さ調整機構110の変形例として、下側吊下げ部108が支柱104に対して角度変更可能であることにより、吊下げ高さを調整できる構成が採用されてもよい。
【0079】
上記のように構成された吊下げ治具100Aを用いて添加工程を行う場合、血液バッグシステム10(分離処理部16)を
図5のように吊下げ治具100Aにセットする。具体的には、下側吊下げ部108のフック部109にスリット63の箇所で親バッグ50を引っ掛けることにより、親バッグ50の口部50aが下方を向くように親バッグ50を吊り下げる。次に、上側吊下げ部106のフック部107にスリット65の箇所で薬液バッグ54を引っ掛けることにより、薬液バッグ54の口部54aが下方を向くように薬液バッグ54を吊り下げる。
【0080】
この場合、後述するしごき作業を容易にするため、
図5のように、親バッグ50内の液面Lv1を分岐コネクタ62よりも低い位置に配置するのがよい。吊下げ治具100Aの場合、高さ調整機構110によって親バッグ50の吊下げ高さを調整することができるため、親バッグ50内の液面Lv1を分岐コネクタ62よりも低い位置に容易に設定することができる。
【0081】
なお、吊下げ治具100Aに高さ調整機構110が設けられない場合は、薬液バッグ54及び親バッグ50が上側吊下げ部106及び下側吊下げ部108にそれぞれ吊り下げられた状態で、親バッグ50内の液面Lv1が分岐コネクタ62よりも低い位置になるように、下側吊下げ部108の位置が予め設定されているとよい。
【0082】
このように、赤血球保存液Mが収容された薬液バッグ54が逆さ状態で相対的に高い位置に配置され、濃厚赤血球が収容された親バッグ50が逆さ状態で相対的に低い位置に配置されると、薬液バッグ54内の赤血球保存液Mは、薬液バッグ54と親バッグ50の落差によって自重で下方へと移動を始める。この場合、薬液バッグ54内の上部、すなわち赤血球保存液Mの上方にエアが存在する。
【0083】
このため、薬液バッグ54からの赤血球保存液Mの流出が終わると、次に、薬液バッグ54内に存在していたエアが第3チューブ60へと流出し始めるが、薬液バッグ54からのエアは、移送ライン55内を親バッグ50内の液面Lv1(あるいはその付近)まで移動したところで停止する。すなわち、逆さに吊り下げられた親バッグ50内の液面Lv1は、移送ライン55の途中の高さにあり、当該液面Lv1(あるいはその付近)で移送ライン55内の赤血球保存液Mの液面とバランスするため、赤血球保存液Mの移動が停止するとともにエアの移動も停止する。よって、薬液バッグ54からのエアが親バッグ50に混入することはない。
【0084】
なお、添加工程の開始前の時点で、第3チューブ60内にはエアが存在しており、当該エアは添加工程の初期に親バッグ50内に流入する。しかし、第3チューブ60内のエア量は薬液バッグ54内のエア量と比べてかなり少量であるため、添加工程時に親バッグ50内に流入するエア量も少量である。従って、添加工程の終了時において、エア抜き作業が必要な程度の量のエアは親バッグ50内に存在しない。
【0085】
赤血球保存液M及びエアの移動が停止したら、次に、親バッグ50側に向かって移送ライン55をしごくことによって、移送ライン55の流路内に残った赤血球保存液Mを親バッグ50に移動させる作業(しごき作業)を実施する。この場合、
図5の状態と異なり、仮に、親バッグ50内の液面Lv1が分岐コネクタ62と同じ高さ又は分岐コネクタ62よりも高い位置にあると、薬液バッグ54からのエアが分岐コネクタ62と同じ高さ又は分岐コネクタ62よりも高い位置で停止する。そうすると、分岐コネクタ62が邪魔になり、しごき作業をしにくいだけでなく、第3チューブ60を封止及び切断した後に、さらに第1チューブ56を封止及び切断しなければならず、作業が煩雑である。
【0086】
これに対し、
図5のように、親バッグ50内の液面Lv1が分岐コネクタ62よりも低い位置にある場合、第1チューブ56のみをしごけばよく、分岐コネクタ62が邪魔にならないため、しごき作業を円滑に行うことができる。また、第1チューブ56のみを封止及び切断すればよいため、作業が簡易である。
【0087】
以上の処理を行うことにより、全血から白血球及び血小板を除去し、残余の血液成分を血漿及び濃厚赤血球の2つの成分に分離し、血漿及び濃厚赤血球を異なるバッグ(親バッグ50と子バッグ52)に分けて収容、保存することができる。
【0088】
以上説明したように、本実施形態に係る吊下げ治具100Aによれば、親バッグ50内の濃厚赤血球に赤血球保存液Mを添加するために、親バッグ50と薬液バッグ54の高低差を利用して薬液バッグ54から親バッグ50へ赤血球保存液Mを移送する際、薬液バッグ54からのエアは、移送ライン55の途中で停止する。これにより、薬液バッグ54からのエアが親バッグ50に混入することを防止することができる。従って、濃厚赤血球への赤血球保存液Mの添加後において、親バッグ50内にはエア抜き作業が必要な程度の量のエアは存在しない。よって、赤血球保存液Mの添加後のエア抜き作業をなくすことができる。
【0089】
本実施形態の場合、親バッグ50を逆さに吊り下げることにより、薬液バッグ54から親バッグ50へ添加液を移送する際、親バッグ50内の液面Lv1が親バッグ50の口部50aよりも高い位置になるため、薬液バッグ54からのエアは、移送ライン55内を親バッグ50内の液面Lv1の位置まで移動したところで停止する。よって、簡易な構成で、薬液バッグ54からのエアが親バッグ50に混入することを好適に防止することができる。
【0090】
なお、上述した吊下げ治具100Aでは、共通のスタンド(基部102及び支柱104)に上側吊下げ部106と下側吊下げ部108が設けられた構成であるが、上側吊下げ部106と下側吊下げ部108とが別々のスタンド又は構造物にそれぞれ設けられてもよい。
【0091】
上述した添加工程において、下側吊下げ部108に親バッグ50を逆さに吊り下げることに代えて、分岐コネクタ62の第2ポート62bにスリット63の箇所で親バッグ50を引っ掛けることにより、親バッグ50を逆さに吊り下げてもよい。このようにしても、薬液バッグ54からのエアは、移送ライン55内を親バッグ50内の液面Lv1の位置まで移動したところで停止するので、
図5の添加工程と同様に、薬液バッグ54からのエアが親バッグ50に混入することを好適に防止することができる。あるいは、スリット63の箇所で親バッグ50を引っ掛けることが可能な突出部(例えば、さらに別のポート)を分岐コネクタ62に設けておき、当該突出部に親バッグ50を逆さに吊り下げてもよい。なお、分岐コネクタ62に親バッグ50を吊下げる場合、下側吊下げ部108はなくてもよい。
【0092】
上述した添加工程は、
図6に示す第2実施形態に係る吊下げ治具100Bを用いて実施することもできる。なお、吊下げ治具100Bにおいて、吊下げ治具100Aと共通する構成要素には同一の参照符号を付している。吊下げ治具100Bは、上述した吊下げ治具100Aにおける下側吊下げ部108に代えて、親バッグ50を載置するためのバッグ載置部112を備える。
【0093】
バッグ載置部112は、上側吊下げ部106の下方に設けられ、上側吊下げ部106によって吊り下げられる薬液バッグ54よりも低い位置で、親バッグ50の口部50a側に向かうに従って低くなるように親バッグ50を水平に対して斜めに支持することが可能である。
【0094】
バッグ載置部112は、例えば、
図6のように、支柱104に支持されて水平方向に延在する基台114と、基台114上に設けられた傾斜台116とを有する。傾斜台116の上面を形成する斜めの載置面116aに、口部50aを下側にして親バッグ50を載置することにより、親バッグ50の口部50aが相対的に低く、親バッグ50の下部が相対的に高い状態で親バッグ50を斜めに支持することができる。
【0095】
バッグ載置部112と上側吊下げ部106との相対位置関係は、上側吊下げ部106に薬液バッグ54が吊り下げられるとともにバッグ載置部112に親バッグ50が載置された状態で、親バッグ50内の液面Lv1が分岐コネクタ62よりも低い位置になるように設定されるとよい。バッグ載置部112は、支柱104に対する高さを調整可能に構成されてもよい。
【0096】
上記のように構成されたバッグ載置部112は、親バッグ50と薬液バッグ54の高低差を利用して薬液バッグ54から親バッグ50へ赤血球保存液Mを移送する際に薬液バッグ54からのエアが移送ライン55の途中で停止するように、親バッグ50を所定状態に支持する支持機構として機能する。
【0097】
上記のように構成された吊下げ治具100Bを用いて添加工程を行う場合、血液バッグシステム10(分離処理部16)を
図6のように吊下げ治具100Bにセットする。具体的には、バッグ載置部112の傾斜台116に口部50aを下側にして親バッグ50を載せることにより、親バッグ50内の液面Lv1が相対的に高く口部50aが相対的に低くなるように親バッグ50を斜めに支持する。次に、上側吊下げ部106のフック部107にスリット65の箇所で薬液バッグ54を引っ掛けることにより、薬液バッグ54の口部54aが下方を向くように薬液バッグ54を吊り下げる。この結果、親バッグ50内の液面Lv1が分岐コネクタ62よりも低い位置となる。
【0098】
このように、赤血球保存液Mが収容された薬液バッグ54が逆さ状態で相対的に高い位置に配置され、濃厚赤血球が収容された親バッグ50が相対的に低い位置に配置されると、薬液バッグ54内の赤血球保存液Mは、薬液バッグ54と親バッグ50の落差によって自重で下方へと移動を始める。この場合、薬液バッグ54内の上部、すなわち赤血球保存液Mの上方にエアが存在する。
【0099】
このため、薬液バッグ54からの赤血球保存液Mの流出が終わると、次に、薬液バッグ54内に存在していたエアが第3チューブ60へと流出し始めるが、薬液バッグ54からのエアは、移送ライン55内を親バッグ50内の液面Lv1(あるいはその付近)まで移動したところで停止する。よって、薬液バッグ54からのエアが親バッグ50に混入することはない。
【0100】
赤血球保存液M及びエアの移動が停止したら、吊下げ治具100Aの場合と同様に、しごき作業を実施する。吊下げ治具100Bの場合も、移送ライン55内に残った赤血球保存液Mが分岐コネクタ62よりも低い位置にあるため、第1チューブ56のみをしごけばよい。よって、分岐コネクタ62が邪魔にならないため、しごき作業を円滑に行うことができる。
【0101】
以上説明したように、吊下げ治具100Bによっても、薬液バッグ54からのエアが親バッグ50に混入することを防止することができるため、赤血球保存液Mの添加後のエア抜き作業をなくすことができる。
【0102】
また、吊下げ治具100Bの場合、口部50aを下側にして親バッグ50を斜めに置くことにより、薬液バッグ54から親バッグ50へ赤血球保存液Mを移送する際、親バッグ50内の液面が親バッグ50の口部50aよりも高い位置になるため、薬液バッグ54からのエアは、移送ライン55内を親バッグ50内の液面Lv1の位置まで移動したところで停止する。よって、簡易な構成で、薬液バッグ54からのエアが親バッグ50に混入することを好適に防止することができる。
【0103】
なお、上述した吊下げ治具100Bでは、共通のスタンド(基部102及び支柱104)に上側吊下げ部106とバッグ載置部112が設けられた構成であるが、上側吊下げ部106とバッグ載置部112とが別々のスタンド又は構造物にそれぞれ設けられてもよい。
【0104】
上述した添加工程は、
図7に示す第3実施形態に係る吊下げ治具100Cを用いて実施することもできる。なお、吊下げ治具100Cにおいて、吊下げ治具100Aと共通する構成要素には同一の参照符号を付している。吊下げ治具100Cは、上述した吊下げ治具100Aにおける下側吊下げ部108に代えて、親バッグ50を載置するためのバッグ載置部118と、移送ライン55の一部を支持するチューブ支持部120とを備える。
【0105】
バッグ載置部118は、上側吊下げ部106の下方に設けられ、上側吊下げ部106によって吊り下げられる薬液バッグ54よりも低い位置で、親バッグ50を横向きの状態で支持することが可能である。
【0106】
チューブ支持部120は、上側吊下げ部106とバッグ載置部118との間の高さで支柱104に支持される。チューブ支持部120は、移送ライン55において、親バッグ50内の液面Lv1よりも高い位置にある高部位P1と、高部位P1の流路上の両側で高部位P1よりも低い位置にある低部位P2、P3とが形成されるように、移送ライン55を支持する。
図7では、第1チューブ56にループ57が形成されており、当該ループ57の内側にチューブ支持部120が通される格好で、チューブ支持部120が第1チューブ56を支持している。
【0107】
図7において、チューブ支持部120は、
図5における高さ調整機構110と同様の高さ調整機構110を介して支柱104に支持される。高さ調整機構110により、チューブ支持部120の高さを調整できるようになっている。
【0108】
上側吊下げ部106、バッグ載置部118及びチューブ支持部120の相対位置関係は、上側吊下げ部106に薬液バッグ54が吊り下げられ、バッグ載置部118に親バッグ50が載置され、移送ライン55の一部がチューブ支持部120に支持された状態で、高部位P1が分岐コネクタ62よりも低い位置になるように設定されるとよい。
【0109】
上記のように構成されたバッグ載置部118及びチューブ支持部120は、親バッグ50と薬液バッグ54の高低差を利用して薬液バッグ54から親バッグ50へ赤血球保存液Mを移送する際に薬液バッグ54からのエアが移送ライン55の途中で停止するように、親バッグ50を所定状態に支持する支持機構として機能する。
【0110】
上記のように構成された吊下げ治具100Cを用いて添加工程を行う場合、血液バッグシステム10(分離処理部16)を
図7のように吊下げ治具100Cにセットする。具体的には、バッグ載置部118に親バッグ50を横向きにして載せる。次に、移送ライン55(図示例では、第1チューブ56)の途中にループ57を形成し、当該ループ57をチューブ支持部120に引っ掛けることにより、チューブ支持部120で移送ライン55を支持する。
【0111】
次に、上側吊下げ部106のフック部107にスリット65の箇所で薬液バッグ54を引っ掛けることにより、薬液バッグ54の口部54aが下方を向くように薬液バッグ54を吊り下げる。この結果、移送ライン55において親バッグ50内の液面Lv1よりも高い位置に高部位P1が形成されるとともに、高部位P1の液面Lv2が分岐コネクタ62よりも低い位置となる。
【0112】
このように、赤血球保存液Mが収容された薬液バッグ54が逆さ状態で相対的に高い位置に配置され、濃厚赤血球が収容された親バッグ50が相対的に低い位置に配置されると、薬液バッグ54内の赤血球保存液Mは、薬液バッグ54と親バッグ50の落差によって自重で下方へと移動を始める。この場合、薬液バッグ54内の上部、すなわち赤血球保存液Mの上方にエアが存在する。
【0113】
このため、薬液バッグ54からの赤血球保存液Mの流出が終わると、次に、薬液バッグ54内に存在していたエアが第3チューブ60へと流出し始めるが、薬液バッグ54からのエアは、移送ライン55内を高部位P1の液面Lv2(あるいはその付近)まで移動したところで停止する。よって、薬液バッグ54からのエアが親バッグ50に混入することはない。
【0114】
赤血球保存液M及びエアの移動が停止したら、吊下げ治具100Aの場合と同様に、しごき作業を実施する。吊下げ治具100Cを使用する場合も、移送ライン55内に残った赤血球保存液Mが分岐コネクタ62よりも低い位置にあるため、第1チューブ56のみをしごけばよい。よって、分岐コネクタ62が邪魔にならないため、しごき作業を円滑に行うことができる。
【0115】
以上説明したように、吊下げ治具100Cによっても、薬液バッグ54からのエアが親バッグ50に混入することを防止することができるため、赤血球保存液Mの添加後のエア抜き作業をなくすことができる。
【0116】
また、吊下げ治具100Cの場合、薬液バッグ54から親バッグ50へ赤血球保存液Mを移送する際、薬液バッグ54からのエアは、移送ライン55内を高部位P1の液面Lv2(あるいはその付近)まで移動したところで停止する。よって、簡易な構成で、薬液バッグ54からのエアが親バッグ50に混入することを好適に防止することができる。
【0117】
なお、吊下げ治具100Cを用いて添加工程を行う場合、
図8のように、血液バッグシステム10(分離処理部16)をセットしてもよい。この場合、移送ライン55の途中部分(図示例では、第1チューブ56)を上下に蛇行させた状態で、移送ライン55をチューブ支持部120で支持する。これにより、移送ライン55において、親バッグ50内の液面Lv1よりも高い位置にある高部位P1と、高部位P1の流路上の両側で高部位P1よりも低い位置にある低部位P2、P3とが形成される。
【0118】
図8のように血液バッグシステム10(分離処理部16)を吊下げ治具100Cにセットして添加工程を行う場合も、薬液バッグ54からのエアは、移送ライン55内を高部位P1の液面Lv2(あるいはその付近)まで移動したところで停止する。よって、薬液バッグ54からのエアが親バッグ50に混入することを防止することができる。
【0119】
なお、上述した吊下げ治具100Cでは、共通のスタンド(基部102及び支柱104)に上側吊下げ部106、バッグ載置部118及びチューブ支持部120が設けられた構成であるが、上側吊下げ部106、バッグ載置部118及びチューブ支持部120が別々のスタンド又は構造物にそれぞれ設けられてもよい。
【0120】
吊下げ治具100Cを用いて行う添加工程において、移送ライン55の途中部分(第1チューブ56)をチューブ支持部120に引っ掛けることに代えて、分岐コネクタ62の第2ポート62bに移送ライン55の途中部分(第1チューブ56)を引っ掛けてもよい。これにより、移送ライン55において親バッグ50内の液面Lv1よりも高い位置にある高部位P1と、高部位P1の流路上の両側で高部位P1よりも低い位置にある低部位P2、P3とが形成される。従って、
図6及び
図7の添加工程と同様に、薬液バッグ54からのエアが親バッグ50に混入することを好適に防止することができる。あるいは、移送ライン55の途中部分を引っ掛けることが可能な突出部(例えば、さらに別のポート)を分岐コネクタ62に設けておき、当該突出部に移送ライン55の途中部分を引っ掛けてもよい。なお、分岐コネクタ62に移送ライン55の途中部分を引っ掛ける場合、チューブ支持部120はなくてもよい。
【0121】
上記において、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改変が可能なことは言うまでもない。