(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6574413
(24)【登録日】2019年8月23日
(45)【発行日】2019年9月11日
(54)【発明の名称】フラッドコーティング電子回路アセンブリのための配合された樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
C09D 175/04 20060101AFI20190902BHJP
C08G 18/10 20060101ALI20190902BHJP
C08G 18/24 20060101ALI20190902BHJP
C09D 7/63 20180101ALI20190902BHJP
C09D 7/61 20180101ALI20190902BHJP
H05K 3/28 20060101ALI20190902BHJP
【FI】
C09D175/04
C08G18/10
C08G18/24
C09D7/63
C09D7/61
H05K3/28 G
【請求項の数】20
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-517071(P2016-517071)
(86)(22)【出願日】2014年5月31日
(65)【公表番号】特表2016-529333(P2016-529333A)
(43)【公表日】2016年9月23日
(86)【国際出願番号】US2014040421
(87)【国際公開番号】WO2014194303
(87)【国際公開日】20141204
【審査請求日】2017年4月26日
(31)【優先権主張番号】61/829,681
(32)【優先日】2013年5月31日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513284830
【氏名又は名称】エランタス ピー・ディー・ジー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ELANTAS PDG, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110000741
【氏名又は名称】特許業務法人小田島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジヨーダン,リチヤード・デービツド,ジユニア
(72)【発明者】
【氏名】スカンロン,トーマス・シー,ザ・フオース
【審査官】
仁科 努
(56)【参考文献】
【文献】
特開平10−001607(JP,A)
【文献】
米国特許第05863597(US,A)
【文献】
米国特許出願公開第2004/0012936(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2004/0198943(US,A1)
【文献】
米国特許第03747037(US,A)
【文献】
特開昭59−033605(JP,A)
【文献】
特開2005−161191(JP,A)
【文献】
特開2007−227981(JP,A)
【文献】
米国特許第04300184(US,A)
【文献】
米国特許第05871822(US,A)
【文献】
米国特許第08360390(US,B1)
【文献】
米国特許出願公開第2006/0076047(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 175/04
H05K 3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリウレタンフラッドコート組成物であって、
A部分としてポリイソシアネートプレポリマーを含み、かつ、B部分にポリオールと、B部分の合計重量を基準として2〜6重量%のレオロジー改質剤Cと触媒Dとを含み、
ポリイソシアネートプレポリマーAが、A部分の合計重量を基準として、50〜60重量%のポリマージフェニルメタンジイソシアネートA1と、40〜50重量%のポリプロピレングリコールA2とを含み、
B部分のポリオールがヒマシ油であり、
A部分とB部分とが混合されたとき、その混合物は、A部分及びB部分の混合部分の初期粘度が15,000〜18,000cpsであり、チキソトロピー指数が1〜5であり、ゲル化時間が5〜15分であり、かつ、硬化したときのショア―(Shore)硬度が15A〜90Aである
ことを特徴とする、前記ポリウレタンフラッドコート組成物。
【請求項2】
請求項1に記載のポリウレタンフラッドコート組成物であって、塩化ベンゾイルが安定化剤化合物としてA部分の合計重量を基準として0.03重量%で存在することを特徴とする、組成物。
【請求項3】
請求項1または2に前記のポリウレタンフラッドコート組成物であって、ポリイソシアネートプレポリマーAが、前記ポリイソシアネートの合計重量を基準として10〜12重量%のイソシアネート(N=C=O)基を含むことを特徴とする、組成物。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリウレタンフラッドコート組成物であって、前記レオロジー改質剤Cが、フュームドシリカを含むことを特徴とする、組成物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載のポリウレタンフラッドコート組成物であって、前記触媒Dが有機金属触媒であることを特徴とする、組成物。
【請求項6】
請求項5に記載のポリウレタンフラッドコート組成物であって、前記有機金属触媒がジブチルスズアセテートであることを特徴とする、組成物。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載のポリウレタンフラッドコート組成物であって、前記ショア―硬度が40A〜60Aであることを特徴とする、組成物。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載のポリウレタンフラッドコート組成物であって、前記チキソトロピー指数が1.2〜3.5であることを特徴とする、組成物。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載のポリウレタンフラッドコート組成物であって、前記ゲル化時間が5〜12分であることを特徴とする、組成物。
【請求項10】
電子回路アセンブリであって、
基部支持材であって、前記電子回路アセンブリに取り付けられた前記基部支持材表面から外側に延び複数の電子回路要素を備え、前記電子回路部分に電気的に接続した、基部支持材と、
請求項1〜9のいずれか一項に記載のポリウレタンフラッドコート組成物とを含み、 前記ポリウレタンフラッドコート組成物は、硬化すると、前記基部支持材に対して水平方向の要素表面上の前記ポリウレタンフラッドコート組成物の厚みが20mil〜75milであり、前記基部支持材に対して鉛直方向の要素表面上の前記ポリウレタンフラッドコート組成物の厚みが4mil〜20milであるように、固定された塊として前記電子回路アセンブリを完全に覆うか、または包み込む、前記電子回路アセンブリ。
【請求項11】
請求項10に記載の電子回路アセンブリであって、前記基部支持材に対して鉛直方向の要素表面上の前記ポリウレタンフラッドコート組成物の厚みが4milより大きく、10mil未満であることを特徴とする、電子回路アセンブリ。
【請求項12】
請求項10または請求項11に記載の電子回路アセンブリであって、前記基部支持材に対して水平方向の要素表面上の前記ポリウレタンフラッドコート組成物の厚みが20milより大きく、70mil未満であることを特徴とする、電子回路アセンブリ。
【請求項13】
請求項10に記載の電子回路アセンブリであって、前記ポリウレタンフラッドコート組成物は、硬化したときのショア―硬度が40A〜60Aであることを特徴とする、電子回路アセンブリ。
【請求項14】
請求項11〜13のいずれか一項に記載の電子回路アセンブリであって、電子機器内にあることを特徴とする、電子回路アセンブリ。
【請求項15】
請求項14に記載の電子回路アセンブリであって、前記電子機器が、インバーター、コンバーター及び電源供給装置からなる群から選択されることを特徴とする、電子回路アセンブリ。
【請求項16】
電子回路アセンブリを包み込む方法であって、
不活性ガスを用い、請求項1〜9のいずれか一項に記載のポリウレタンフラッドコート組成物を所定の圧力で加圧するステップと、
前記所定の圧力で、完全な前記アセンブリに所定体積のポリウレタンフラッドコート組成物を塗布するステップと、
前記ポリウレタンフラッドコート組成物をゲル化するステップと、
前記コーティングされたアセンブリを、ショア―硬度が15A〜60Aになるのに十分な時間と温度で硬化するステップとを含む、前記方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法であって、前記圧力が30psiであることを特徴とする、方法。
【請求項18】
請求項16または17に記載の方法であって、前記不活性ガスが窒素であることを特徴とする、方法。
【請求項19】
請求項16〜18のいずれか一項に記載の方法であって、前記硬化する工程が25℃で5〜7日間であることを特徴とする、方法。
【請求項20】
極端な温度及び振動にさらされる電子回路アセンブリに対する機械的な支持及び環境からの保護を与える方法であって、
前記電子回路アセンブリに所定体積の請求項1〜9に記載のポリウレタンフラッドコート組成物を完全に塗布するステップと、
前記ポリウレタンフラッドコート組成物をゲル化するステップと、
硬化すると、前記アセンブリの前記基部支持材に対して水平方向の要素表面上の前記フラッドコート組成物の厚みが20mil〜75milであり、前記アセンブリの前記基部支持材に対して鉛直方向の要素表面上の前記ポリウレタンフラッドコート組成物ABCDの厚みが4mil〜20milであるような十分な時間及び十分な温度で、前記電子回路アセンブリ上で前記ポリウレタンフラッドコート組成物を固定された塊として硬化するステップとを含む、前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1.発明の分野
【0002】
本発明は、一般的に、配合された樹脂系、このような系でコーティングされた電子回路アセンブリ、及びこれを塗布するための方法に関する。
【0003】
さらに特定的には、本発明は、ユニット化された構築物の一部であり、極端な環境及び/または機械的な分解(例えば、振動による)に影響を受けやすい電子回路アセンブリ及び他の電子機器をフラッドコーティングするか、または包み込むための保護ポリマー膜、例えば、二成分ポリウレタン樹脂に関する。
【背景技術】
【0004】
2.関連技術の記載
【0005】
電子回路アセンブリまたは他のこのような電子機器を注封し、及び/または包み込むための様々な種類の2成分の充填または未充填ポリマー樹脂系が存在する。これらの配合物の多くは、処理中及び/または硬化時に望ましい特性を達成するために、多くの同じベース原材料を用い、同様の技術に基づく。配合物は、通常は、アクリル、ポリウレタン、シリコーンまたはエポキシ合成樹脂のような材料で構成される。
【0006】
従来のポッティング材料の主な目的は、化学物質、高湿度、振動及び極端な温度への曝露を含む環境に感受性なエレクトロニクスの保護及び支持材を与えることである。これらの従来のポッティング材料もうまくいくが、このような電子アセンブリの重量及び費用を下げる必要がある。機器またはアセンブリを充填するために、ポッティング材料が従来から使用されており、従って、非常に厚い。この特徴は、ある特定の用途にとって欠点であると考えられ得る。注封された物体は、簡単に再び入れる(すなわち、充填された要素の点検及び/または修理のための除去の容易さのために切断するのに十分なほど柔らかい)ことができない。従って、低い硬度(柔らかい)、低弾性率(弾性)、振動を減衰するポリウレタン及びシリコーンを注封し、包み込む系は、このような極端な温度及びあるレベルの振動にさらされる表面に取り付けられたエレクトロニクスの環境からの保護及び機械的な支持を与えるための最も望ましい材料として特定されている。
【0007】
この目的のために、電子アセンブリの種々の製造業者は、環境からの保護障壁として誘電性コンフォーマルコーティングを使用することを選択している。このようなコンフォーマルコーティングは、典型的には、厚みが2mil(±1mil)である。この手法は、一定の環境が存在するある特定の用途ではうまくいくことがわかっているが、極端な温度及び振動にさらされる大きな要素の機械的な支持及び環境からの保護を必要とする用途は、長期間にわたる疲労による欠損に起因してうまくいかないことがわかっている。電子要素への無鉛ソルダの使用は、大きく重い電子要素のより大きな機械的な支持及び振動の減衰の必要性にも寄与する。
【0008】
以下の米国特許または公開出願は、上述の設計の問題のいくつかに対処する。第4,300,184号;第5,863,597号;第5,871,822号;第8,360,390号;及びUS2006/0076047。
【0009】
従って、厚く費用がかかる注封化合物とほとんど機械的完全性がない、薄い誘電性コンフォーマルコーティングとの間のギャップを埋める試みにおいて、振動を減衰し、従来の
注封されたアセンブリで使用される全体的な樹脂の重量及び費用を下げつつ、機械的な構造支持を与えることができる、低硬度、低弾性の配合された樹脂系は、当該技術分野における有用な進化になるであろうし、注封する及び/またはコンフォーマルコーティング系の使用が必要な産業における迅速な容認を見いだすことができるであろう。
【0010】
本明細書に記載される本発明の原理に従って、上の目的及びさらなる目的が達成され、一態様において、ポリイソシアネートプレポリマーAと、ポリオールBとを反応させることによって作られ、さらに、レオロジー剤/改質剤Cと、触媒Dとを含み、ある比率のA部分と、ある比率のB部分とを混合したとき、その混合物は、チキソトロピー指数が1〜5であり、ゲル化時間が5〜15分であり、硬化したときのShore硬度が15A〜60Aであることを特徴とする、ポリウレタンフラッドコート組成物ABCDを提供する。
【0011】
別の態様において、本発明は、電子回路アセンブリであって、該電子回路アセンブリに接続する基部支持材表面から外側に延び、該電子回路に電気的に接続する複数の電子回路要素を含む該基部支持材と、本明細書に詳細に定義され、記載されるポリウレタンフラッドコート組成物ABCDとを含み、該ポリウレタンフラッドコート組成物は、硬化すると、該基部支持材に対して平行な(すなわち、水平方向の)要素表面上の該フラッドコート組成物ABCDの厚みが20mil〜75mil、該基部支持材に対して鉛直方向の(すなわち、垂直方向の)要素表面上の該フラッドコート組成物ABCDの厚みが4mil〜20milであるように、固定された塊として該電子回路アセンブリを完全に覆うか、及び/または包み込む、該電子回路アセンブリを提供する。
【0012】
さらに別の態様において、本発明は、不活性ガスを用い、本明細書に詳細に定義され、記載されるフラッドコート組成物ABCDを所定の圧力で加圧することと、当該所定の圧力で、当該アセンブリに所定体積のフラッドコート組成物ABCDを完全に塗布することと、フラッドコート組成物ABCDをゲル化することと、コーティングされたアセンブリを、Shore硬度が15A〜60Aになるのに十分な時間と温度で硬化することによる、電子回路アセンブリを包み込む方法を提供する。
【0013】
本発明のこれらの目的、特徴及び利点及び他の目的、特徴及び利点は、添付の図面及び実施例と組み合わせて解釈する本発明の種々の態様の以下の詳細な記載から明らかになるだろう。
【0014】
上に引用された本発明の特徴をより詳細に理解することができる様式のために、本発明のより特定の記載は、実施形態を参照してなされてもよく、これらの実施形態のいくつかを添付の図面に示すか、または取り込んでいる。しかし、添付の図面は、本発明の単なる典型的な実施形態を表し、本発明が他の同等に有効な実施形態を認め得るため、その範囲を限定すると考えるべきではないことを注記しておくべきである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、基部支持材表面から外側に延びる高さのある電子回路要素と、これに塗布された本明細書に記載されるフラッドコート組成物を有する電子回路基板アセンブリの断面斜視図を示す。
【
図2A-2B】
図2A〜2Bは共に、それぞれ、本明細書に記載される保護フラッドコート組成物が塗布され、電子回路アセンブリ及び電子回路を効果的に包み込む、実際の電子回路アセンブリの上面図及び側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
理解を容易にするために、可能な場合には、図面で共通する同一要素を示すために、同一の参照番号が使用される。図面は、縮尺通りに描かれず、または示されず、明確にする
ために単純化されていてもよい。さらに、一実施形態の要素及び特徴を、さらに引用することなく他の実施形態に有利に組み込んでもよいことが想定される。
【0017】
上にまとめたように、本発明は、化学物質、高湿度、振動及び極端な温度への曝露を含む過酷な環境にさらされる表面に取り付けられた電子機器のような電子機器を保護的にコーティングし、及び/または包み込むのに有用なある特定の性能特徴を有する配合された樹脂系の発見に関する。以下により完全に記載されるように、本願発明者らは、驚くべきことに、従来の注封された機器と比較して、低度から中程度の硬度及び低い弾性率を与え、全体的な樹脂の重量及び費用を下げ、同時に、同じ環境からの保護、機械的な支持及び振動の減衰を与えるデッドエラストマー(dead elastomer)/エネルギー吸収性化学骨格に基づくポリマー配合物を発見した。従来から、このような利点は、電子機器が収容される空間を完全に充填する従来のポッティング材料を用いなければ得ることができないと考えられていた。従って、本明細書に記載されるポリマー系の配合された樹脂の観点で、このような製品及びフラッドコートプロセスの使用を利用し、望ましい性能特性を達成しつつ、樹脂の体積に起因する重量及び全体的な費用が問題となるポッティング材料を置き換えることができる。
【0018】
従って、一態様において、本発明は、A部分と、B部分(A部分がプレポリマーを含み、B部分がポリオールを含む)と、レオロジー剤/改質剤C及び触媒Dとを混合することによって作られ、ある比率のA部分と、ある比率のB部分とを混合したとき、その混合物は、チキソトロピー指数が1〜5であり、ゲル化時間が5〜15分であり、硬化したときのShore硬度が15A〜90Aであることを特徴とする、ポリマーフラッドコート組成物ABCDを提供する。
【0019】
本明細書での使用のために想定される好ましい組成物はポリウレタンフラッドコート組成物であるが、当業者は、例えば、アクリル、シリコーン、ポリシロキサン及びエポキシ、及びこれらのハイブリッドを含め、任意の適切なポリマー樹脂を使用してもよいことを理解するだろう。ある特定の実施形態において、A部分のプレポリマーは、安定化剤としてポリプロピレングリコール及び塩化ベンゾイルと反応した、2,4’−MDI異性体含有量A1が向上した中程度の官能性ポリマージフェニルメタンジイソシアネート(pMDI)(例えば、Bayer Corp.から商標名MONDUR(登録商標)MRSとして市販されるか、または他の等価物)から合成されたポリイソシアネートを含有するプレポリマーである。
【0020】
ポリウレタン組成物のA部分のプレポリマーを調製するために使用される他の適切なポリイソシアネートは、少なくとも2つのイソシアネート部分を有する任意の化合物を含む。ジイソシアネートは、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4’−MDI)、4,4’−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、4,4’−ジベンジルジイソシアネート、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ブタン−1,4−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、ナフチレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、メチル−シクロヘキサンジイソシアネート、m−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、2,4,6−トリイソプロピルベンゼンジイソシアネート、イソプロピリデンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)及びこれらの混合物によって例示することができる。ジイソシアネートの例示的な混合物としては、4,4’−MDIと
2,4−MDIの混合物が挙げられる。
【0021】
A部分のプレポリマーを調製するために使用されるポリイソシアネートは、例えば、ジイソシアネートと、ジイソシアネート反応性化合物、例えば、ポリオール(例えば、ジオール)またはポリアミン(例えば、ジアミン)とを反応させることによって調製されるポリイソシアネートであってもよい。A部分のプレポリマーを調製するために使用される例示的なポリイソシアネートとしては、MDIのポリマー形態が挙げられる。A部分のプレポリマーを調製するために使用されるポリイソシアネートは、カルボジイミド修飾されたジイソシアネート、例えば、カルボジイミド修飾されたMDIであってもよい。A部分のプレポリマーを調製するために使用されるポリイソシアネートは、ASTM D2572によって測定される場合、イソシアネート(NCO)含有量は、15%〜40%(質量パーセント)の間で変動し、好ましくは、10%〜20%で変動する。
【0022】
A部分のプレポリマーをポリオールと反応させる。一般的に、A部分のポリオールは、イソシアネート基と反応可能な任意のポリオール(すなわち、付加された1個より多いヒドロキシル基を有する化合物)であってもよい。さらに特定的には、ポリオールは、好ましくは、分子量が約600未満のポリオール群から選択される。一例において、ポリオールは、平均分子量が約300〜約600ダルトンのポリオール群から選択される。ポリオールの例としては、グリコール、すなわち、1,2ジヒドロキシ基を含むジオール、例えば、エチレングリコールまたはプロピレングリコール及びこれらの誘導体、及びグリセロールまたはグリセリン及びこれらの誘導体が挙げられる。ポリオールの例としては、ポリプロピレングリコール及びポリテトラメチレンエーテルグリコールが挙げられる。ある実施形態において、ポリオールは、3〜20個の炭素原子、さらに好ましくは、4〜12個の炭素原子、最も好ましくは、5〜10個の炭素原子を含む非対称ジオールである。このような非対称ジオールの例としては、限定されないが、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール;1,2−プロパンジオール;1,3−ブタンジオール;2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,12−オクタデカンジオール;1,2−ヘキサンジオール;1,2−オクタンジオール;及び1,2−デカンジオールが挙げられる。ポリオールのさらなる例としては、テトロール(例えば、ペンタエリスリトール)が挙げられる。ポリオールは、エチレンオキシド及び/またはプロピレンオキシドのいずれかを、場合により別のポリオール(例えば、グリコールまたはグリセロール)と反応させて調製されたポリエーテルポリオールであってもよい。
【0023】
ポリプロピレングリコール(例えば、Lonza Corp.から商標名POLY−G(登録商標)20−56で市販される)は、ポリウレタン骨格を合成するときにA部分に使用するのに好ましいポリオールであり、当業者は、他のポリオールも適していることを認識するだろう。このような他のポリオールとしては、例えば、ポリブタジエンポリオールが挙げられる。ポリブタジエンポリオールの例としては、限定されないが、POLY bd(登録商標)R−45HTLO及びPOLY bd(登録商標)R−20LMの名称で販売される(両方ともCray Valley USA,LLC、エクストン、PA、USAから市販される)及びCVC Thermoset Specialties、ムアズタウン、NJ、USAから市販されるHypro(商標)2800X95 HTBといった、液体の末端がヒドロキシルのブタジエンポリマーが挙げられる。
【0024】
ある特定の実施形態において、A部分のポリウレタン骨格を合成するために使用されるポリマーMDI及びポリプロピレングリコールの割合は、A部分の合計重量%を基準として、40〜60重量%であり、安定化剤は、約0.03重量%の量で存在する。特定の実施形態において、存在するポリマーMDIの割合は、A部分の合計重量%を基準として、約40重量%であり、存在するポリプロピレングリコールの割合は、約60重量%である。
【0025】
同じ実施形態または他の実施形態において、ポリマー樹脂系のB部分は、B部分の合計重量%を基準として、93〜98重量%の量で存在するポリオールを含んでいてもよい。ある実施形態において、ポリオールは、0.03重量%未満の水を含む。同じ実施形態または他の実施形態において、ヒマシ油は、本発明と共に使用するのに適した好ましいポリオールである。ヒマシ油(すなわち、リシノール酸トリグリセリド)は、再生可能な原材料であり、広く市販されている。本発明は、ヒマシ油誘導体が、ヒマシ油から誘導される任意のポリオールを含み、加水分解生成物、エトキシル化生成物、エステル交換された生成物、またはエステル化された生成物、またはポリアミド生成物を含むことも想定する。他の適切なポリオールは、当業者に知られているが、B部分での使用に適しているポリオールが、A部分について上に記載されるポリオールも含むことが想定され、ポリオールは、同じであってもよく、または異なっていてもよい。
【0026】
B部分のポリオールを、さらに、レオロジー剤C及び触媒Dと配合する。レオロジー剤は、末端が一級アミンのポリエーテル化合物と共に、BYK Additives/Elements Specialties(ウォリングフォード、CT、USA)製の任意の合成及び天然の垂れ防止添加剤を含む。末端が一級アミンのポリエーテル化合物としては、限定されないが、重量平均分子量が約110Daまたは200Daから、好ましくは約500Daまでであり(しかし、約2000Daまでの分子量も適している)、アミン官能基が約2〜3、好ましくは約2のポリオキシプロピレンアミンが挙げられる。このような末端が一級アミンのポリエーテルは、Huntsman Corporation(ソルトレークシティー、UT)からJeffamineの名称で製造販売される。特に好ましいのはJeffamineD−230であり、末端に一級アミンを有し、アミン官能基が2であり、分子量が約230のポリオキシプロピレングリコールである。接着剤組成物中での架橋は、ヒドロキシルを含有する三級アミン、例えば、QUADROL(登録商標)としてBASF Corp.(ドイツ)によって市販されるジイソプロパノールアミンを加えることによってさらに促進することができる。A部分とB部分をこのようなアミン存在下で混合すると、チキソトロピーは、すばやく成長する。レオロジー剤(またはチキソトロピー剤)としては、限定されないが、無機添加剤も挙げられ、例えば、フュームドシリカ、アモルファス二酸化ケイ素、クレイ、ベントナイト、タルクなど、及びこれらの組合せも挙げられる。
【0027】
ポリウレタン組成物のB部分のウレタン触媒Dは、任意のウレタン触媒であってもよい。ウレタン触媒の例としては、スズ触媒、例えば、ジアルキルスズジアルカノエート、例えば、FOMREZ(登録商標)触媒UL−28(ジメチルスズジネオデカノエート)が挙げられ、ゲル化時間及び不粘着時間が非常に短く、ポリウレタン系において良好な溶解度を与える。ウレタン触媒の他の例としては、限定されないが、DABCO(登録商標)T−9としてAir Products(アレンタウン、PA、USA)から市販されるオクタン酸第一スズ;DABCO(登録商標)131としてAir Products(アレンタウン、PA、USA)から市販される有機スズ;DABCO(登録商標)結晶性触媒としてAir Products(アレンタウン、PA、USA)から市販される1,4−ジアザビシクロオクタン;DABCO(登録商標)B−16としてAir Products(アレンタウン、PA、USA)から市販されるn−セチル−n,n−ジメチルアミン;DABCO(登録商標)T−12としてAir Products(アレンタウン、PA、USA)から市販されるジブチルスズジラウレート;METACURE(商標)T−1触媒としてAir Products(アレンタウン、PA、USA)から市販されるジブチルスズジアセテート;BiCAT(登録商標)8としてShepherd
Chemical Company(ノーウッド、OH、USA)から市販される、亜鉛ネオデカノエート、ビスマスデカノエート及びネオデカン酸のブレンド;AMSPEC(登録商標)GCR−56としてAmspec Chemical Corporati
on(ベア、DE、USA)から市販される鉄アセチルアセトネート;オレイン酸105としてAcme−Hardesty Company(ブルーベル、PA、USA)から市販されるオレイン酸が挙げられる。
【0028】
ある特定の実施形態において、レオロジー剤Cは、部分Bの合計重量%を基準として、2〜6重量%のフュームドシリカ(例えば、Cabot Corp.からCAB−O−SIL(登録商標)M−5の商標名で市販されるもの)を含み、触媒Dは、0.2重量%〜0.5重量%(部分Bの合計重量を基準とする)の有機金属触媒、例えば、ジブチルスズアセテートを含む。これらは好ましい実施形態であると理解されるが、上述の他の適切な薬剤及び触媒を使用することができるため、特定のレオロジー剤/改質剤及び/または触媒は重要ではない。むしろ、重要なのは、フラッドコート組成物の硬化時に望ましい機械的な支持を与えるのに十分な水平方向の蓄積を達成するほど十分に流動性でありつつ、環境からの保護にとって望ましい垂直方向の蓄積を達成するために、(すなわち、回路基板または他のこのような電子機器の基部から外側に突出する長く延びた回路要素に対して)近いゲル化時間とレオロジーを有することである。
【0029】
従って、ある特定の実施形態において、チキソトロピー指数は、1〜5、好ましくは1.20〜3.50、さらに好ましくは1.22〜1.23であってもよい。本明細書で使用される場合、用語「チキソトロピー指数」は、ある混合比の部分Aと部分Bの2.5RPMで測定される粘度を20RPMで測定される粘度で割ったものを指し、適切な重量の部分Aと部分Bを25℃で1〜2分間手で混合し、混合物の粘度を、Brookfield粘度計を用い、7番のスピンドルを用い、2.5RPMで、次いで20RPMで決定する。
【0030】
同じ実施形態または他の実施形態において、ゲル化時間は、5〜15分、好ましくは5〜12である。同じ実施形態または他の実施形態において、混合比のA部分とB部分の初期粘度は、15,000〜18,000cp、好ましくは15,000〜16,500cpである。さらに引用することなく、一実施形態の要素及び特徴を、他の実施形態に有利に組み込んでもよいことが想定される。さらに、部分Aと部分Bを任意の比率または量で混合してもよいことが想定される。
【0031】
本発明で想定されるフラッドコート組成物のA部分及び/またはB部分は、他の適切なフィラーまたは添加剤を含有していてもよい。A部分及びB部分の片方または両方は、消泡剤も含んでいてもよい。一実施形態において、消泡剤を、A部分に対して約0.01〜約0.1重量%の量で加える。別の実施形態において、消泡剤を、B部分に対して約0.01〜約0.1重量%の量で加える。さらなる実施形態において、消泡剤を、A部分に対して約0.005〜約0.05重量%の量で、B部分に対して約0.005〜約0.05重量%の量で加える。A部分及びB部分の片方または両方で利用される消泡剤は、当該技術分野で知られている任意の消泡剤であってもよい。一例において、消泡剤は、シリコーン系消泡剤、例えば、アルキルアリールシリコーンポリマー系消泡添加剤であり、SF8843としてMomentive Performance Materials Holdings LLC(コロンバス、OH、USA)から市販される。別の実施形態において、消泡剤は、シリコーンを含まない消泡剤、例えば、イソパラフィン系消泡剤であり、例えば、BYK USA,Inc.(ウォリングフォード、CT、USA)から入手可能なBYK 054である。
【0032】
フィラーは、限定されないが、タルク、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化マグネシウム、クレイ、マイカ、二酸化チタン、またはこれら上述の任意の組合せを含め、当該技術分野で知られている任意の適切なフィラーであってもよい。
【0033】
別の態様において、
図1を参照すると、本発明は、電子回路アセンブリであって、該電子回路アセンブリに接続する基部支持材10の表面から外側に延び、該電子回路(図示せず)に電気的に接続する複数の電子回路要素20を含む該基部支持材10と、本明細書に詳細に定義され、記載されるポリウレタンフラッドコート組成物ABCDとを含み、該フラッドコート組成物は、硬化すると、該基部支持材に対して平行な(すなわち、水平方向の)要素表面30上の該フラッドコート組成物ABCDの厚みが20mil〜500mil、該基部支持材に対して鉛直方向の(すなわち、垂直方向の)要素表面40上の該フラッドコート組成物ABCDの厚みが4mil〜20milであるように、固定された塊として電子回路アセンブリを完全に覆うか、及び/または包み込む。当業者が理解し得るように、「mil」という単位は、本明細書で使用される場合(「thou」としても知られる)、インペリアル長さ単位を指し、インチの1/1000に等しい。
【0034】
ある特定の実施形態において、基部支持材に対して鉛直方向の要素表面上のフラッドコート組成物の厚みは、4milより大きく、20mil未満であり、好ましくは、10mil未満である。同じ実施形態または他の実施形態において、基部支持材に対して水平方向の要素表面上のフラッドコート組成物の厚みは、20milより大きく、75mil未満であり、好ましくは、40milより大きく、60mil未満である。一実施形態の要素及び特徴を、さらに引用することなく他の実施形態に有利に組み込んでもよいことが想定される。
【0035】
ここでも再び、反応性(すなわちゲル化時間)及びレオロジーを制御することによって、この樹脂系を手動で、または自動化(すなわち、樹脂をリボン状またはカーテン状の形態で分注することができるフラッドコートプロセス)によって塗布することができるように、これらの鍵となる特徴を得て、すべての垂直表面に4mil〜10milの蓄積を維持しつつ、垂直表面を下に流れてすべての要素を覆うことができる。
【0036】
垂直表面を下に流れつつ、樹脂は、水平表面に対して20mil〜500milの厚みで蓄積し、それによって、同様に大きな要素の機械的な支持が得られる。
【0037】
本明細書に記載する配合されたフラッドコート樹脂系は、任意の電子回路アセンブリに使用するのに適しているが、例示的なデバイスとしては、限定されないが、PCで使用される電子回路基板、インバーター(例えば、マイクロソーラーインバーター)、コンバーター、電源供給装置などが挙げられる。参照は、
図2A〜2Bに与えられる。
【0038】
さらに別の態様において、本発明は、不活性ガスを用い、本明細書に詳細に定義され、記載されるフラッドコート樹脂系組成物ABCDを所定の圧力で加圧し、当該所定の圧力で、当該アセンブリに所定体積のフラッドコート組成物ABCDを完全に塗布し、フラッドコート組成物ABCDをゲル化させ、コーティングされたアセンブリを、Shore硬度15A〜90Aを与えるのに十分な時間と温度で硬化させることによる、電子回路アセンブリを包み込むか、またはフラッドコーティングする方法を提供する。
【0039】
ある特定の実施形態において、塗布される圧力は、30psiであり、不活性ガスは、乾燥窒素である。同じ実施形態または他の実施形態において、硬化工程は、25℃の温度で5〜7日間である。
【0040】
すでに記載されるように、フラッドコート組成物は、時間がたつとアセンブリの疲労による欠陥が生じる極端な温度及び振動にさらされることに起因して、機械的な支持及び環境からの保護を必要とする用途において電子アセンブリ及び構成要素と共に使用するのに適している。従って、別の態様において、本発明は、本明細書に記載され、想定されるような所定体積のポリウレタンフラッドコート組成物を電子回路アセンブリに完全に塗布し
、フラッドコート組成物をゲル化し、該アセンブリの基部支持材に対して水平方向の要素表面上の該フラッドコート組成物の厚みが20mil〜75mil、基部支持材に対して鉛直方向の要素表面上の該フラッドコート組成物の厚みが4mil〜20milであるように、電子回路アセンブリ上でフラッドコート組成物を固定された塊として硬化することによって、極端な温度(すなわち、温度の迅速な上昇または低下、及び/または極端な冷たさ及び/または熱さに長期間さらされること)及び振動にさらされることに起因する電子回路アセンブリの欠陥を予防する方法を提供する。または、本発明のこの態様は、極端な温度及び振動にさらされる電子回路アセンブリに機械的な支持及び環境からの保護を提供するものとして記載することができる。
【0042】
以下の実施例は、当業者が本発明のある特定の実施形態をさらに理解するのに役立つように与えられる。これらの実施例は、説明の目的のためであることを意図しており、本発明の種々の実施形態の範囲を限定するものと解釈すべきではない。
【0044】
二成分ポリウレタン樹脂系を以下のように調製する。A部分において、(A部分の合計重量を基準として)41.10重量部の2,4’−MDI異性体含有量が向上し、(ジイソシアネートの合計重量を基準として)イソシアネート基(N=C=O)が31〜32重量%である中程度の官能性ポリマージフェニルメタンジイソシアネート(pMDI)(例えば、Bayer Corp.から入手可能なMONDUR(登録商標)MRSまたは等価物)を、(A部分の合計重量を基準として)58.87重量部のポリプロピレングリコール(例えば、Lonza Corporationから入手可能なPolyG−20−56または等価物)及び安定化剤として(A部分の合計重量を基準として)0.03重量部の塩化ベンゾイルと反応させ、(ジイソシアネートの合計重量を基準として)N=C=O含有量範囲が10〜12重量%(境界値を含む)のMDIプレポリマーを作成する。この反応を27”Hgを超える減圧状態で、80〜85℃の温度で4時間行う。
【0045】
B部分において、0.03重量%未満の含水量を得るために、93.57重量部のヒマシ油を、27”Hgを超える減圧状態で、100〜110℃の温度で1〜2時間加熱することによって乾燥させる。(B部分の合計重量を基準として)6重量部のチキソトロピー剤、例えば、フュームドシリカ(CAB−O−SIL(登録商標)M−5としてCabot Corporationから入手可能)を乾燥器中、130℃で24時間乾燥させる。次いで、望ましいレオロジーを得るために、チキソトロピー剤を、高速(3000rpm)剪断下で45分間、乾燥ヒマシ油と混合する(チキソトロピー指数1.22)。A部分とB部分を混合するとき、(B部分の合計重量を基準として)0.41重量部の金属触媒、例えば、スズ系ジブチルスズジアセテート(METACURE(登録商標)T−1としてAir Productsから入手可能)を加えてゲル化時間を制御する。A部分とB部分を、A部分が44.25重量%、B部分が55.75重量%の比率で混合する。
【0046】
配合物の特徴を以下の表1に与える。
【表1】
【0047】
(実施例2−電子アセンブリのフラッドコーティング)
【0048】
四角型の400mlカートリッジ、30要素のスタティックミキサーに1インチのスペード型/平坦チップを取り付け、実施例1に従って調製したもののようなポリマー樹脂系で充填する。30psiの乾燥窒素を樹脂に適用する。1,853.00グラムの重さのソーラーマイクロインバーターが提供され、基板表面に対して約45°の角度に保持した分注銃によってポリマー樹脂を塗布する。ポリマー樹脂は、リボン状またはカーテン状の形態で分注され、レオロジー及び反応制御に起因して、すべての垂直表面に4mil〜5milの蓄積を維持しつつ、すべての構成要素を垂直表面を下に流れながら覆いつつ、電子回路基板及び構成要素を「フラッドコーティング」する。垂直表面を下に流れつつ、樹脂は、水平表面に20milの厚みで蓄積し、それによって、大きな要素の機械的な支持が得られる。開始から終了までのコーティング時間または充填時間は、約5分である。ゲル化時間は、約10〜12分であり、完全硬化時間は、25℃で約7日間である。フラッドコーティング後のソーラーマイクロインバーターの重量は、2,200.00グラムである(すなわち、347.96グラムのポリマー樹脂材料を使用する)。
【0049】
従って、本明細書に記載するポリマーフラッドコート樹脂組成物及びプロセスを用い、従来の注封されたデバイスで使用される全体的な重量及び樹脂の費用を50%より多く下げつつ、従来の注封した樹脂によって与えられるのと同じ環境からの保護及び機械的な支持が達成される。
【0050】
種々の特許及び/または科学参考文献が、本出願全体で参照されている。これらの刊行物の開示は、その全体が、本明細書に記載されているかのように参照により本明細書に組み込まれる。矛盾する用語の場合には、この文書の用語が優先する。上の記載及び実施例の観点で、当業者は、過度な実験を行うことなく、請求項に記載されている本発明を実施することができるだろう。
【0051】
上の記載は、本発明の教示の基本的な新規特徴を示し、記載し、指摘しているが、特定の用途のための実際の必要性及び要求が様々であろうことに起因して、本教示の範囲から逸脱することなく、示されるような組成物及び装置及びその使用の詳細な形態において、当業者による種々の省略、置き換え、変更を行ってもよいことが理解されるだろう。結果
として、本教示の範囲は、上の記載に限定されるべきではなく、添付の特許請求の範囲によって定義されるべきである。請求項は、別の請求項に単独で依存して書かれてもよいが、本明細書に想定されるような発明は、その請求項が多重に依存もするように書かれているかのように、すべてのこのような実施形態を含む。