特許第6574414号(P6574414)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6574414
(24)【登録日】2019年8月23日
(45)【発行日】2019年9月11日
(54)【発明の名称】透析のための組成物、方法、および器具
(51)【国際特許分類】
   A61K 38/43 20060101AFI20190902BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20190902BHJP
   A61M 1/28 20060101ALI20190902BHJP
   A61K 47/60 20170101ALI20190902BHJP
   A61P 7/08 20060101ALI20190902BHJP
   A61P 39/02 20060101ALI20190902BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20190902BHJP
   A61P 19/08 20060101ALI20190902BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20190902BHJP
   A61P 1/00 20060101ALI20190902BHJP
   A61P 1/18 20060101ALI20190902BHJP
   A61P 3/12 20060101ALI20190902BHJP
   A61P 13/02 20060101ALI20190902BHJP
   A61P 19/06 20060101ALI20190902BHJP
   G01N 33/50 20060101ALI20190902BHJP
【FI】
   A61K38/43
   A61K9/08
   A61M1/28 100
   A61K47/60
   A61P7/08
   A61P39/02
   A61P13/12
   A61P19/08
   A61P1/16
   A61P1/00
   A61P1/18
   A61P3/12
   A61P13/02
   A61P19/06
   G01N33/50 Z
【請求項の数】19
【全頁数】36
(21)【出願番号】特願2016-518037(P2016-518037)
(86)(22)【出願日】2014年6月6日
(65)【公表番号】特表2016-527196(P2016-527196A)
(43)【公表日】2016年9月8日
(86)【国際出願番号】US2014041318
(87)【国際公開番号】WO2014197806
(87)【国際公開日】20141211
【審査請求日】2017年6月5日
(31)【優先権主張番号】61/832,235
(32)【優先日】2013年6月7日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515337729
【氏名又は名称】アレナ ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】マーゴリン, アレクシー
(72)【発明者】
【氏名】グルジック, ダニカ
(72)【発明者】
【氏名】ピエルジノフスキ, ステファン
【審査官】 菊池 美香
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−545622(JP,A)
【文献】 特表2009−501136(JP,A)
【文献】 特表2000−516836(JP,A)
【文献】 特開2006−305345(JP,A)
【文献】 特開2011−173904(JP,A)
【文献】 特開2007−077026(JP,A)
【文献】 特表2012−531186(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 38/43
A61K 9/08
A61K 47/60
A61M 1/28
A61P 1/00
A61P 1/16
A61P 1/18
A61P 3/12
A61P 7/08
A61P 13/02
A61P 13/12
A61P 19/06
A61P 19/08
A61P 39/02
G01N 33/50
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
腹膜透析溶液および少なくとも1つの代謝酵素またはその機能的フラグメントを含む組成物であって、前記少なくとも1つの代謝酵素またはその機能的フラグメントが、オキサレートデカルボキシラーゼを含む、組成物。
【請求項2】
前記少なくとも1つの代謝酵素またはその機能的フラグメントが、オキサレート分解酵素、尿酸分解酵素、尿素分解酵素、ビリルビン分解酵素、およびフェニルアラニン分解酵素から選択される追加の代謝酵素またはその機能的フラグメントをさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
(a)前記オキサレート分解酵素が、オキサレートオキシダーゼ、およびオキサリル−CoAデカルボキシラーゼから選択され、
(b)前記尿酸分解酵素が尿酸オキシダーゼ(ウリカーゼ)であり、
(c)前記尿素分解酵素がウレアーゼであり、
(d)前記ビリルビン分解酵素がビリルビンオキシダーゼであり、かつ
(e)前記フェニルアラニン分解酵素がフェニルアラニンヒドロキシラーゼまたはフェニルアラニンアンモニアリアーゼである、
請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記少なくとも1つの代謝酵素が共有結合修飾されている、請求項1から3のいずれかに記載の組成物。
【請求項5】
前記少なくとも1つの代謝酵素がペグ化されている、請求項4記載の組成物。
【請求項6】
前記追加の代謝酵素が可溶性または結晶性である、請求項2または3、あるいは請求項2または3を引用する場合の請求項4または5に記載の組成物。
【請求項7】
前記少なくとも1つの代謝酵素が架橋されている、または架橋されていない、請求項1から5のいずれかに記載の組成物。
【請求項8】
前記腹膜透析溶液が少なくとも1つの浸透圧剤、少なくとも1つの電解質、および少なくとも1つの有機酸塩を含む、請求項1から7のいずれかに記載の組成物。
【請求項9】
前記組成物が、
(a)哺乳動物の代謝産物濃度を減少させることができる、かつ/または
(b)尿、血液、血しょう、血清、腹膜液、眼球、骨随、腎臓、肝臓、心臓、および胃、近位小腸、遠位小腸、盲腸、結腸、および直腸の内容物から選択される生体試料の代謝産物濃度を減少させる、
請求項1から8のいずれかに記載の組成物。
【請求項10】
前記代謝産物がオキサレート、尿酸、尿素、ビリルビン、およびフェニルアラニンから選択される、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
哺乳動物の代謝産物濃度を減少させる方法における使用のための、請求項1から10のいずれかに記載の組成物。
【請求項12】
前記方法が、さらに前記哺乳動物の生体試料の前記代謝産物濃度を検出することを含む、請求項11に記載の使用のための組成物。
【請求項13】
前記生体試料が尿、血液、血しょう、血清、および腹膜液から選択される、または組織から採取される、請求項12に記載の使用のための組成物。
【請求項14】
前記方法により前記代謝産物濃度が少なくとも10%減少し、任意で前記減少が、尿、血液、血しょう、血清、および腹膜液、眼球、骨随、腎臓、肝臓、心臓、ならびに胃、近位小腸、遠位小腸、盲腸、結腸、および直腸の内容物から選択される生体試料で測定される、請求項11から13のいずれかに記載の使用のための組成物。
【請求項15】
哺乳動物の代謝産物濃度の上昇に関連した障害を治療する方法における使用のための、請求項1から10のいずれかに記載の組成物。
【請求項16】
前記障害が
(a)シュウ酸症、高シュウ酸血症、または腎臓障害、骨障害、肝臓障害、消化器障害、および膵臓障害から選択される疾患に対して二次的な高シュウ酸血症から選択されるか、
(b)シュウ酸症、高シュウ酸血症、一次高シュウ酸尿、腸内高シュウ酸尿、特発性高シュウ酸尿、ならびに末期腎障害、エチレングリコール中毒、嚢胞性肺線維症、炎症性腸疾患、尿路結石症、腎石、および慢性腎臓疾患から選択される疾患に対して二次的な高シュウ酸血症から選択されるか、または
(c)高尿酸血病、痛風、尿毒症、高ビリルビン血症、黄だん、高フェニルアラニン血症、およびフェノルケトン尿症(PKU)から選択される、
請求項15に記載の使用のための組成物。
【請求項17】
前記方法が、前記少なくとも1つの代謝酵素またはその機能的フラグメントを腹膜透析溶液に追加すること、および前記哺乳動物に前記追加された腹膜透析溶液を投与することを含む、請求項11から16のいずれかに記載の使用のための組成物。
【請求項18】
前記代謝産物がオキサレート、尿酸、尿素、ビリルビン、およびフェニルアラニンから選択される、請求項11から17のいずれかに記載の使用のための組成物。
【請求項19】
前記方法が血液透析と組み合わされる、請求項11から18のいずれかに記載の使用のための組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に用いられるセクションの表題は組織化する目的だけにあり、記載した内容を制限するものではない。
【0002】
本出願は、2013年6月7日に出願された米国特許仮出願第61/832,235号に対する優先権を主張するものであり、その内容全体が参照により組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
シュウ酸は、式HOC−COHのジカルボン酸である。シュウ酸は、主として生物有機体にオキサレートとして存在しており、シュウ酸の塩形態である。オキサレートは、食物、例えば、ホウレンソウ、ダイオウ、ストロベリー、クランベリー、ナッツ、ココア、チョコレート、ピーナッツバター、モロコシ、および茶にみられる。オキサレートは、ヒトおよび他の哺乳動物の代謝最終産物でもある。オキサレートは、腎臓により尿に排泄される。シュウ酸は、カルシウムと混合されると、不溶性生成物、腎臓結石にみられる最も一般的な化合物であるカルシウムオキサレートを生成する。
【0004】
哺乳動物はオキサレートを分解する酵素を合成しないため、個体のオキサレート濃度は通常、腎臓を介したろ過および排泄と消化管を通る食物のオキサレートの約5〜10%という少ない吸収量により調節される。オキサレート濃度が高いと、さまざまな病状、例えば、高シュウ酸血症、シュウ酸症、一次高シュウ酸尿、腸内高シュウ酸尿、特発性高シュウ酸尿、または末期腎障害(ESRD)を来す。例えば、Hoppe,Nat.Rev.Nephrol.8:467−75(2012)。オキサレートの増加は、食物からオキサレートの超過摂取、腸管からオキサレートの超過吸収および内生オキサレート生成の異常により生じる可能性がある。胆汁酸および脂肪代謝の疾患、回腸切除、および、例えば、セリアック病、膵臓外分泌不全、腸疾患、および肝疾患による脂肪性下痢により生じた超過吸収を含む、結腸および小腸でオキサレートの超過吸収により腸疾患を来す可能性がある。
【0005】
高シュウ酸血症または血液中オキサレートの上昇が、例えば、腎不全患者のオキサレート排泄が低下していることにより生じる可能性がある。高シュウ酸血症により身体組織または臓器にカルシウムオキサレートの沈殿が生じる可能性があり、シュウ酸症と称される。シュウ酸症により高シュウ酸尿を来すことが多く、腎臓組織(腎石灰化症)または尿路(例えば、腎臓結石、尿路結石症、および腎石)にカルシウムオキサレートの沈着を含む。カルシウムオキサレートが例えば、眼球、血管、関節、骨、筋肉、心臓および他の主な臓器に沈着し、これらを損傷する可能性もある。例えば、Leumann et al.,J.Am.Soc.Nephrol.12:1986 1993(2001)およびMonico et al.,Kidney International 62:392 400(2002)を参照。オキサレート濃度増加の影響は、さまざまな組織に現れる可能性がある。例えば、小血管に沈着すると治癒しない有痛性皮膚潰瘍を来し、骨髄に沈着すると貧血を来す、骨組織に沈着すると骨折するまたは小児の成長に影響し、心臓にカルシウムオキサレートが沈着すると心臓リズムの異常または心機能の不良を来す。高シュウ酸尿がカルシウムオキサレート石形成および/または髄質腎石灰化症に進行することが多い。その結果、このような経過により糸球体ろ過率の低下、血しょうのオキサレート濃度の上昇、および実質臓器例えば骨、関節、心臓、および網膜にカルシウムオキサレート結晶の沈着を来たし、全身性シュウ酸症と総称される。Hoppe et al.,Am.J.Nephrol.25:276−281(2005)。血しょうのオキサレート濃度を減少させると、シュウ酸症(オキサレートの組織沈着)、腎石灰化症(カルシウム−オキサレートの間質沈着)、および重症一次高シュウ酸尿(PH)患者、ならびに末期腎障害(ERSD)患者のカルシウムオキサレート腎臓結石の悪化を防ぐことができる。Hoppe,Nat.Rev.Nephrol.8:467−75(2012);Hoppe et al.,Kidney Int.56:268−74(1999)。
【0006】
オキサレート濃度の上昇を治療するための既存の方法が効果があるとは示されておらず、濃厚透析および臓器移植が多くの一次高シュウ酸尿、腸内高シュウ酸尿、またはESRDの患者に必要であると思われる。既存のさまざまな高シュウ酸尿の治療法としては、大量のピリドキシン、オルトリン酸塩、マグネシウム、鉄、アルミニウム、クエン酸カリウム、およびコレスチラミン治療、ならびに食事および水分摂取量の調節、透析、および外科的治療、例えば、腎臓および肝臓移植のための治療法が挙げられる。既存の腹膜透析の方法では、オキサレートの除去が過剰な体内生成のオキサレートを除去するのに十分ではない。すなわち、除去速度が生成速度より低い。Marangella et al.,Contrib.Nephrol.136:11−32(2001)。例えば、従来の腹膜透析は、十分な量のオキサレートを除去するには不十分であり、特にESRDを来した全身性シュウ酸症の患者には不十分である。Cochat et al.,Nephrol.Dial.Transplant.27:1279−36(2012)。このため、身体のオキサレート蓄積が濃厚透析でも急速に増加する。また、血しょうのオキサレート濃度に基づいた透析療法を調節するために患者には常時監視が必要である。実際、血液透析および腹膜透析を組み合わせても、身体のオキサレート濃度を減少させることは言うまでもなく高シュウ酸尿の体内で生成されたオキサレートに対応することができる透析の形態がないことが当技術分野で理解された。Hoppe et al.,Nephrol Dial Transplant.19:39−42(2004)。このため、患者は腎臓移植が実施されるまで5時間/週の5〜6セッションよる濃厚血液透析とさらに夜の腹膜透析に耐えなければならない。Hoppe et al.,(2004)。
【0007】
ESRDを発症する患者では、患者が腎臓移植を待つ間、精力的な(1週当たり6または7回)毎日の血液透析(補足的な腹膜透析あり、またはなし)による治療は、一時的な治療にすぎない。しかし、肝臓が一次高シュウ酸尿の個体での過剰オキサレート生成の主な原因であるため、腎臓移植だけを受けている患者は、新しい腎臓でのオキサレート沈着物の進行のため、結局は腎不全が再発しやすい。腎臓移植と肝臓移植の組み合わせまたは先取り肝臓移植だけが、PH患者を治療する治療法と説明されている。Hoppe et al.,Pediatr.Nephrol.18:986−91(2003)。しかし、これらの方法はそれ自身およびそれだけで患者に有意なリスクとなっている。遺伝的治療または臓器移植に関与しない治療が特定されるまで、PHの治療に役立つ新しい治療法の発見が、この患者集団の罹病率および死亡率を制限するのに大きく役立つであろう。
こうして、患者のオキサレートまたは他の代謝産物の濃度をさらに効果的に減少させる治療方法が必要となる。さらに詳細には、血液透析および臓器移植より負担が少ない、血しょうのオキサレートまたは他の代謝産物の蓄積の治療方法が緊急に必要となる。このような腹膜透析方法の有効性および調節パラメーターを評価するためのin vitroおよびin vivoモデルがさらに必要となる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Hoppe,Nat.Rev.Nephrol.8:467−75(2012)
【非特許文献2】Leumann et al.,J.Am.Soc.Nephrol.12:1986 1993(2001)
【非特許文献3】Monico et al.,Kidney International 62:392 400(2002)
【非特許文献4】Hoppe et al.,Am.J.Nephrol.25:276−281(2005)
【非特許文献5】Hoppe et al.,Kidney Int.56:268−74(1999)
【非特許文献6】Marangella et al.,Contrib.Nephrol.136:11−32(2001)
【非特許文献7】Cochat et al.,Nephrol.Dial.Transplant.27:1279−36(2012)
【非特許文献8】Hoppe et al.,Nephrol Dial Transplant.19:39−42(2004)
【非特許文献9】Hoppe et al.,Pediatr.Nephrol.18:986−91(2003)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本公開は、例えば、オキサレート関連障害、例えば、シュウ酸症および高シュウ酸血症を含む、代謝産物の濃度の上昇に病理的に関連する障害を治療するための腹膜透析溶液および代謝酵素の組成物およびその使用に関する。いくつかの実施形態では、例えば、腹膜透析により代謝酵素を追加した腹膜透析溶液を哺乳動物に投与して、哺乳動物の血行中のオキサレート濃度を効果的に減少させることができる、および/またはオキサレート沈着物による損傷を減少させることができる。本発明の組成物および方法は、容易におよび便利よく実施することができる。
【0010】
代謝酵素を追加した腹膜透析溶液またはその機能的フラグメントは、透析を受けている患者の血しょうから有害な代謝産物の除去を向上させることができる。例えば、オキサレート分解酵素を追加した腹膜透析溶液は、シュウ酸症および腎臓不全の患者の腹膜透析の有効性を有意に改善することができる。本発明は、最初に代謝産物、例えば、オキサレートの高速分解を可能にし、腹膜透析溶液に入れる腹膜腔の血液からの除去を可能にし、時間経過に伴って患者の血行および腹膜透析溶液の間の代謝産物の勾配を維持するまたは増大させる。このような勾配がさらに血行からの好ましくない代謝産物の除去を向上させ、血しょうの代謝産物濃度を有意に減少させ、組織、例えば、眼球、腎臓または肝臓の代謝産物の濃度を結果的に減少させる。患者の腹膜腔に腹膜透析溶液を投与すると、溶液中の代謝酵素は、腹膜腔中の有害な代謝産物、例えば、オキサレートを分解する。こうして、本明細書に記載した腹膜透析組成物および方法は、既存の透析方法より有意な改善をもたらすことができる。本明細書に記載した組成物および方法は、既存の腹膜透析方法より急速におよび効果的に血行から有害な代謝産物を除去することができ、その結果、患者に与えられる腹膜透析のセッションを短くおよび/または少なくすることが可能となる。さらに、血液透析と腹膜透析を組み合わせた治療では、本明細書に記載した組成物および方法は、腹膜透析の有効性を改善することができ、その結果、必要な血液透析セッションの数および持続時間を減少させ、このため、透析治療を受けている患者の身体的および経済的負担を減少させることができる。本明細書に記載した組成物を用いる腹膜透析は、体外で体液をろ過するために代謝酵素を用いる他の体外循環機器より有意な有利も示す。体外循環機器に限定される代謝酵素と比べて、当該代謝酵素は、本発明の組成物および方法を用いて投与され、身体のさまざまなコンパートメントの間で有害な代謝産物の勾配を作り、代謝産物の除去を促進し増加させることができる。
【0011】
第1の態様では、本公開は、腹膜透析溶液および少なくとも1つの代謝酵素またはその機能的フラグメントを含む組成物を提供する。いくつかの実施形態では、代謝酵素は、例えば、オキサレート分解酵素(例えば、オキサレートオキシダーゼ、オキサレートデカルボキシラーゼ、オキサリル−CoAデカルボキシラーゼ、およびホルミルCoAトランスフェラーゼ)、尿酸分解酵素(例えば、尿酸オキシダーゼ(ウリカーゼ))、尿素分解酵素(例えば、ウレアーゼ)、ビリルビン分解酵素(例えば、ビリルビンオキシダーゼ)、およびフェニルアラニン分解酵素(例えば、フェニルアラニンヒドロキシラーゼ、フェニルアラニンアンモニアリアーゼ)から選択することができる。いくつかの実施形態では、代謝酵素はオキサレートデカルボキシラーゼである。いくつかの実施形態では、代謝酵素(例えば、オキサレート分解酵素)は共有結合修飾、例えば、ペグ化とすることができる。いくつかの実施形態では、代謝酵素は可溶性または結晶性とすることができる。いくつかの実施形態では、代謝酵素は架橋または非架橋とすることができる。いくつかの実施形態では、代謝酵素は天然源、例えば植物、細菌、または真菌類にみられる酵素配列と同一または実質的に同一の配列を含むことができる。いくつかの実施形態では、代謝酵素は遺伝的組み換えで生成することができる。
【0012】
いくつかの実施形態では、腹膜透析溶液は少なくとも1つの浸透圧剤、少なくとも1つの電解質、および少なくとも1つの有機酸塩を含むことができる。特定の実施形態では、本明細書に記載した組成物は、哺乳動物のオキサレート濃度、例えば、尿、血液、血しょう、血清、および腹膜液から選択される体液中のオキサレート濃度を減少させることができる。
【0013】
本公開は、さらに哺乳動物の代謝産物、例えば、オキサレート濃度を減少させる方法を提供する。いくつかの実施形態では、当該方法は、哺乳動物に本明細書に記載した腹膜透析溶液を投与することを含むことができる。いくつかの実施形態では、当該方法は少なくとも1つの代謝酵素を含む腹膜透析溶液を調製すること、および哺乳動物に酵素追加腹膜透析溶液を投与することを含むことができる。いくつかの実施形態では、代謝酵素は、例えば、オキサレート分解酵素(例えば、オキサレートオキシダーゼ、オキサレートデカルボキシラーゼ、オキサリル−CoAデカルボキシラーゼ、およびホルミルCoAトランスフェラーゼ)、尿酸分解酵素(例えば、尿酸オキシダーゼ(ウリカーゼ))、尿素分解酵素(例えば、ウレアーゼ)、ビリルビン分解酵素(例えば、ビリルビンオキシダーゼ)、およびフェニルアラニン分解酵素(例えば、フェニルアラニンヒドロキシラーゼ、フェニルアラニンアンモニアリアーゼ)、およびこれらのうちいずれか1つの酵素の機能的フラグメントから選択することができる。いくつかの実施形態では、代謝産物はオキサレート、尿酸、尿素、ビリルビン、およびフェニルアラニンから選択される。いくつかの実施形態では、代謝産物はオキサレートである。いくつかの実施形態では、代謝酵素はオキサレートデカルボキシラーゼである。1つ以上の代謝酵素を含む腹膜透析溶液によって透析を実施すると、オキサレート除去の有効性を増大させ、代謝酵素を含有する体外循環機器を含む既存の透析方法と比べて代謝産物濃度の上昇に関連した病状の治療を改善することができる。いくつかの実施形態では、当該方法は、さらに哺乳動物の生体試料、例えば、代謝産物.濃度の病理的な上昇を患っている疑いがある患者の尿、血液、血しょう、血清、または腹膜液中の代謝産物、例えば、オキサレートの濃度を検出することを含むことができる。いくつかの実施形態では、本発明の組成物および方法を用いる腹膜透析によって代謝産物、例えば、オキサレートの少なくとも10%、例えば、少なくとも20%、少なくとも30%、または少なくとも40%以上の濃度を減少させることができる。このような濃度の減少は、例えば、尿、血液、血しょう、血清、および腹膜液から選択される生体試料中で測定することができる。特定の実施形態では、本明細書に記載した当該方法は哺乳動物の代謝産物濃度を減少させる他の方法、例えば、血液透析と組み合わせることができる。
【0014】
もう1つの態様では、本公開は哺乳動物に本発明の腹膜透析溶液を投与することによって哺乳動物の代謝産物濃度の上昇に関連した障害の進行を治療する、防ぐ、および/または遅らせる方法を提供する。いくつかの実施形態では、当該方法は腹膜透析溶液に少なくとも1つの代謝酵素を追加すること、および哺乳動物に当該追加した腹膜透析溶液を投与することを含むことができる。いくつかの実施形態では、代謝酵素は、例えば、オキサレート分解酵素(例えば、オキサレートオキシダーゼ、オキサレートデカルボキシラーゼ、オキサリル−CoAデカルボキシラーゼ、およびホルミルCoAトランスフェラーゼ)、尿酸分解酵素(例えば、尿酸オキシダーゼ(ウリカーゼ))、尿素分解酵素(例えば、ウレアーゼ)、ビリルビン分解酵素(例えば、ビリルビンオキシダーゼ)、およびフェニルアラニン分解酵素(例えば、フェニルアラニンヒドロキシラーゼ、フェニルアラニンアンモニアリアーゼ)から選択することができる。いくつかの実施形態では、代謝酵素はオキサレートデカルボキシラーゼである。いくつかの実施形態では、代謝産物はオキサレート、尿酸、尿素、ビリルビン、およびフェニルアラニンから選択される。いくつかの実施形態では、代謝産物はオキサレートである。いくつかの実施形態では、障害は、シュウ酸症、高シュウ酸血症、ならびに腎臓障害、骨障害、肝臓障害、消化器障害、および膵臓障害から選択される疾患に対して二次的な高シュウ酸血症から選択することができる。例えば、障害は、シュウ酸症、高シュウ酸血症、一次高シュウ酸尿、腸内高シュウ酸尿、特発性高シュウ酸尿、ならびに末期腎障害、エチレングリコール中毒、嚢胞性肺線維症、炎症性腸疾患、尿路結石症、腎石、および慢性腎臓疾患から選択される疾患に対して二次的な高シュウ酸血症から選択することができる。いくつかの実施形態では、障害は尿酸、尿素、ビリルビン、またはフェニルアラニン、例えば、例えば、高尿酸血病、痛風、尿毒症、高ビリルビン血症、黄だん、高フェニルアラニン血症、およびフェノルケトン尿症(PKU)の濃度の上昇と関係している。特定の実施形態では、本明細書に記載した当該方法は、代謝産物濃度の上昇の他の治療方法、例えば、血液透析と組み合わせることができる。
【0015】
さらに高シュウ酸血症の動物モデルが提供される。本明細書に記載した動物モデルは、一次高シュウ酸尿(PH)疾患および/または末期腎障害(ESRD)の患者の状態に類似していると思われる。いくつかの実施形態では、当該モデルはオキサレートが持続注入で投与される非ヒト哺乳動物、例えば、ブタを含むことができる。機能レベルでは、ヒトとブタ種には消化管および尿路生殖器構造に多くの類似性がある。げっ歯類とは異なり、ヒトとブタには多錐体の腎臓があり、最大尿中濃度、糸球体ろ過率、および総腎血流量が類似している特性がある。Mendel et al.,J Urol.171:1301−03(2004);Kaplon et al.,J.Endourol.24:355−59(2010)。持続注入でオキサレートを投与するために第1の器具を哺乳動物に挿入することができる。いくつかの実施形態では、第1の器具は、例えば、カテーテルまたは胸膜トロカールとすることができる。カテーテルは、外科手術により、または外科手術なしで経皮的に挿入することができる。いくつかの実施形態では、カテーテルは末梢静脈カテーテル、例えばVENFLON(商標)またはCATHLON(商標)とすることができる。いくつかの実施形態では、血液採取のために第2の器具、例えば、カテーテルを哺乳動物に挿入することができる。動物モデルを用いて本明細書に記載した当該方法を実施することができる。実施例に示したように、本明細書に記載した動物モデルの1つの実施形態で実施した腹膜透析(PD)により、通常PDの1つのサイクルである約4〜6時間の治療の間に血しょうのオキサレートの約20%〜30%を除去することができる。
本発明の実施形態において、例えば以下の項目が提供される。
(項目1)
腹膜透析溶液および少なくとも1つの代謝酵素またはその機能的フラグメントを含む組成物。
(項目2)
少なくとも1つの代謝酵素がオキサレート分解酵素、尿酸分解酵素、尿素分解酵素、ビリルビン分解酵素、およびフェニルアラニン分解酵素から選択される、項目1に記載の組成物。
(項目3)
前記オキサレート分解酵素がオキサレートオキシダーゼ、オキサレートデカルボキシラーゼ、オキサリル−CoAデカルボキシラーゼ、およびホルミルCoAトランスフェラーゼから選択される、項目2に記載の組成物。
(項目4)
前記オキサレート分解酵素がオキサレートデカルボキシラーゼである、項目3に記載の組成物。
(項目5)
前記尿酸分解酵素が尿酸オキシダーゼ(ウリカーゼ)である、項目2に記載の組成物。
(項目6)
前記尿素分解酵素がウレアーゼである、項目2に記載の組成物。
(項目7)
前記ビリルビン分解酵素がビリルビンオキシダーゼである、項目2に記載の組成物。
(項目8)
前記フェニルアラニン分解酵素がフェニルアラニンヒドロキシラーゼまたはフェニルアラニンアンモニアリアーゼである、項目2に記載の組成物。
(項目9)
前記少なくとも1つの代謝酵素が共有結合修飾されている、項目1から8のいずれかに記載の組成物。
(項目10)
前記少なくとも1つの代謝酵素がペグ化されている、項目9記載の組成物。
(項目11)
前記少なくとも1つの代謝酵素が可溶性または結晶性である、項目1から10のいずれかに記載の組成物。
(項目12)
前記少なくとも1つの代謝酵素が架橋されている、または架橋されていない、項目1から10のいずれかに記載の組成物。
(項目13)
前記腹膜透析溶液が少なくとも1つの浸透圧剤、少なくとも1つの電解質、および少なくとも1つの有機酸塩を含む、項目1から12のいずれかに記載の組成物。
(項目14)
前記組成物が哺乳動物の代謝産物濃度を減少させる、項目1から13のいずれかに記載の組成物。
(項目15)
前記代謝産物がオキサレート、尿酸、尿素、ビリルビン、およびフェニルアラニンから選択される、項目14に記載の組成物。
(項目16)
前記組成物が尿、血液、血しょう、血清、腹膜液、眼球、骨随、腎臓、肝臓、心臓、および胃、近位小腸、遠位小腸、盲腸、結腸、および直腸の内容物から選択される生体試料の代謝産物濃度を減少させる、項目14または15に記載の組成物。
(項目17)
哺乳動物に少なくとも1つの代謝酵素またはその機能的フラグメントを含む追加された腹膜透析溶液を投与することを含む、哺乳動物の代謝産物濃度を減少させる方法。
(項目18)
前記方法が腹膜透析溶液に前記少なくとも1つの代謝酵素またはその機能的フラグメントを追加すること、および前記哺乳動物に前記追加された腹膜透析溶液を投与することを含む、項目17に記載の方法。
(項目19)
前記少なくとも1つの代謝酵素がオキサレート分解酵素、尿酸分解酵素、尿素分解酵素、ビリルビン分解酵素、およびフェニルアラニン分解酵素から選択される、項目17または18に記載の方法。
(項目20)
前記オキサレート分解酵素がオキサレートオキシダーゼ、オキサレートデカルボキシラーゼ、オキサリル−CoAデカルボキシラーゼ、およびホルミルCoAトランスフェラーゼから選択される、項目19に記載の方法。
(項目21)
前記オキサレート分解酵素がオキサレートデカルボキシラーゼである、項目20に記載の方法。
(項目22)
前記尿酸分解酵素が尿酸オキシダーゼ(ウリカーゼ)である、項目19に記載の方法。
(項目23)
前記尿素分解酵素がウレアーゼである、項目19に記載の方法。
(項目24)
前記ビリルビン分解酵素がビリルビンオキシダーゼである、項目19に記載の方法。
(項目25)
前記フェニルアラニン分解酵素がフェニルアラニンヒドロキシラーゼまたはフェニルアラニンアンモニアリアーゼである、項目19に記載の方法。
(項目26)
前記少なくとも1つの代謝酵素が共有結合修飾されている、項目19から25のいずれかに記載の方法。
(項目27)
前記少なくとも1つの代謝酵素がペグ化されている、項目26記載の方法。
(項目28)
前記少なくとも1つの代謝酵素が可溶性または結晶性である、項目19から27のいずれかに記載の方法。
(項目29)
前記少なくとも1つの代謝酵素が架橋されている、または架橋されていない、項目19から28のいずれかに記載の方法。
(項目30)
前記腹膜透析溶液が少なくとも1つの浸透圧剤、少なくとも1つの電解質、および少なくとも1つの有機酸塩を含む、項目19から29のいずれかに記載の方法。
(項目31)
前記代謝産物がオキサレート、尿酸、尿素、ビリルビン、およびフェニルアラニンから選択される、項目19から30のいずれかに記載の方法。
(項目32)
さらに前記哺乳動物の生体試料の代謝産物濃度を検出することを含む、項目19から31のいずれかに記載の方法。
(項目33)
前記生体試料が尿、血液、血しょう、血清、および腹膜液から選択される、または組織から採取される、項目32に記載の方法。
(項目34)
前記の投与により代謝産物濃度が少なくとも10%減少する、項目19から33のいずれかに記載の方法。
(項目35)
前記減少が、尿、血液、血しょう、血清、および腹膜液、眼球、骨随、腎臓、肝臓、心臓、ならびに胃、近位小腸、遠位小腸、盲腸、結腸、および直腸の内容物から選択される生体試料で測定される、項目34に記載の組成物。
(項目36)
前記方法が血液透析と組み合わされる、項目19から35のいずれかに記載の方法。
(項目37)
哺乳動物の代謝産物濃度の上昇に関連した障害を治療する方法であって、治療有効量で前記哺乳動物に少なくとも1つの代謝酵素またはその機能的フラグメントを含む追加された腹膜透析溶液を投与することを含む前記方法。
(項目38)
前記方法が腹膜透析溶液に前記少なくとも1つの代謝酵素またはその機能的フラグメントを追加すること、および前記哺乳動物に前記追加された腹膜透析溶液を投与することを含む、項目38に記載の方法。
(項目39)
前記少なくとも1つの代謝酵素がオキサレート分解酵素、尿酸分解酵素、尿素分解酵素、ビリルビン分解酵素、およびフェニルアラニン分解酵素から選択される、項目37または38に記載の方法。
(項目40)
前記オキサレート分解酵素がオキサレートオキシダーゼ、オキサレートデカルボキシラーゼ、オキサリル−CoAデカルボキシラーゼ、およびホルミルCoAトランスフェラーゼから選択される、項目39に記載の方法。
(項目41)
前記オキサレート分解酵素がオキサレートデカルボキシラーゼである、項目40に記載の方法。
(項目42)
前記尿酸分解酵素が尿酸オキシダーゼ(ウリカーゼ)である、項目39に記載の方法。
(項目43)
前記尿素分解酵素がウレアーゼである、項目39に記載の方法。
(項目44)
前記ビリルビン分解酵素がビリルビンオキシダーゼである、項目39に記載の方法。
(項目45)
前記フェニルアラニン分解酵素がフェニルアラニンヒドロキシラーゼまたはフェニルアラニンアンモニアリアーゼである、項目39に記載の方法。
(項目46)
前記少なくとも1つの代謝酵素が共有結合修飾されている、項目39から45のいずれかに記載の方法。
(項目47)
前記少なくとも1つの代謝酵素がペグ化されている、項目46記載の方法。
(項目48)
前記少なくとも1つの代謝酵素が可溶性または結晶性である、項目39から47のいずれかに記載の方法。
(項目49)
前記少なくとも1つの代謝酵素が架橋されている、または架橋されていない、項目39から48のいずれかに記載の方法。
(項目50)
前記腹膜透析溶液が少なくとも1つの浸透圧剤、少なくとも1つの電解質、および少なくとも1つの有機酸塩を含む、項目39から49のいずれかに記載の方法。
(項目51)
前記代謝産物がオキサレート、尿酸、尿素、ビリルビン、およびフェニルアラニンから選択される、項目39から50のいずれかに記載の方法。
(項目52)
前記障害がシュウ酸症、高シュウ酸血症、または腎臓障害、骨障害、肝臓障害、消化器障害、および膵臓障害から選択される疾患に対して二次的な高シュウ酸血症である、項目39または40に記載の方法。
(項目53)
前記障害がシュウ酸症、高シュウ酸血症、一次高シュウ酸尿、腸内高シュウ酸尿、特発性高シュウ酸尿、ならびに末期腎障害、エチレングリコール中毒、嚢胞性肺線維症、炎症性腸疾患、尿路結石症、腎石、および慢性腎臓疾患から選択される疾患に対して二次的な高シュウ酸血症である、項目54に記載の方法。
(項目54)
前記障害が高尿酸血病、痛風、尿毒症、高ビリルビン血症、黄だん、高フェニルアラニン血症、およびフェノルケトン尿症(PKU)から選択される、項目39または40に記載の方法。
(項目55)
前記方法が血液透析と組み合わされる、項目39から54のいずれかに記載の方法。
(項目56)
オキサレートが持続注入で投与されたブタを含む、高シュウ酸血症のブタモデル。
(項目57)
持続注入でオキサレートを投与するために前記ブタに第1の器具が挿入される、項目56に記載のブタモデル。
(項目58)
前記第1の器具がカテーテルである、項目57に記載のブタモデル。
(項目59)
血液採取のために前記ブタに第2の器具が挿入される、項目57または58に記載のブタモデル。
(項目60)
高シュウ酸血症のブタモデルを生成する方法であって、持続注入でブタにオキサレートを投与することを含む前記方法。
(項目61)
前記腹膜腔に少なくとも1つの代謝酵素またはその機能的フラグメントを含む追加された腹膜透析溶液を導入すること、および項目56から59のいずれかに記載のブタモデルに前記追加された腹膜透析溶液を投与することを含む、腹膜透析の方法。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本公開の1つ以上の実施形態の詳細は、添付の図面および以下の説明に示されている。
図1a】さまざまな濃度のオキサレートを注入したブタからの血清および腹膜透析物質(PD)試料中のオキサレート濃度を示す(図1aおよび1b)。
図1b】さまざまな濃度のオキサレートを注入したブタからの血清および腹膜透析物質(PD)試料中のオキサレート濃度を示す(図1aおよび1b)。
図2】オキサレートを注入し、PD(対照)またはPD+OXDCを投与したブタからの血清および腹膜透析物質試料中のオキサレート濃度を示す。
図3】PD 溶液 GAMBROSOL TRIO(商標) 10±OXDCを用いるin vitro透析モデルのダイヤグラムを示す。
図4】GAMBROSOL TRIO(商標) 10±OXDCを用いる in vitro透析モデルのオキサレート 濃度を示す。
図5】血清およびPD 溶液 GAMBROSOL TRIO(商標) 10±OXDCを用いるin vitro透析モデルのダイヤグラムを示す。
図6】血清およびGAMBROSOL TRIO(商標) 10±OXDCを用いるin vitro透析モデルのオキサレート濃度を示す。
図7】in vitro血清のオキサレート濃度のOXDC用量−依存の減少を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本公開は、部分的に、腹膜透析溶液および代謝酵素の組成物に基づいている。また、代謝産物の濃度を減少させ、1つ以上の代謝産物の濃度の上昇に関連した状態、例えば、オキサレート関連障害を治療するために当該組成物を投与する方法が本明細書に記載されている。さらに高シュウ酸血症および腹膜透析の動物モデルが本明細書に記載されている。
【0018】
定義
さらに容易に本公開を理解することができるように、最初に特定の用語を定義する。当業者が理解するように本公開の残りを考慮して、これらの定義を読まなければならない。特に定義しない限り、本明細書に用いられる全専門および科学用語は、当業者によって一般的に理解される意味と同じである。詳細説明全体を通して追加の定義を示す。
【0019】
冠詞「a」および「an」は、本明細書に用いる場合、明らかに反対の指示がない限り「少なくとも1つの」を意味すると理解しなければならない。
【0020】
語句「および/または」は、本明細書に用いる場合、要素の「いずれかまたは両者」を意味し、要素が結合されて、すなわち、一部の場合では要素が結合的に存在し、他の場合では離接的に存在すると理解しなければならない。明らかに反対の指示がない限り、明確に特定した要素と関連しているか、関連していないに関わらず、「および/または」項によって明確に特定した要素以外の他の要素が任意で存在することができる。その結果、非限定例として、オープンエンドの用語、例えば、「含む」と関連して用いられる場合に「Aおよび/またはB」に言及すると、1つの実施形態では、BなしでA(任意でB以外の要素を含む)、もう1つの実施形態では、AなしでB(任意でA以外の要素を含む)、さらにもう1つの実施形態では、AおよびBの両者(任意で他の要素を含む)を意味することができる。
【0021】
一般的に、用語「または」は、本明細書に用いる場合、例えば、「いずれか」、「うちの1つ」、「うちの1つだけ」または「うちの厳密に1つだけ」という排他性の用語が先行する場合、排他的二者択一だけを示すと解釈しなければならない(すなわち「一方または他方であり、両者ではない」)。
【0022】
「から実質的になる」は、請求項に用いる場合、特許法の分野に用いられる通常の意味を持つものとしなければならない。
【0023】
本明細書に用いる場合、1つ以上の要素リストに関連した語句「少なくとも1つの」は、要素リストの1つ以上の任意の要素から選択される少なくとも1つの要素を意味するが、要素リスト内に明確に列挙した各要素の少なくとも1つおよびどの要素を必ずしも含む必要はなく、要素リストの要素の任意の組み合わせを除外するものではないと理解しなければならない。本定義では、明確に特定した要素と関連しているか、関連していないに関わらず、語句「少なくとも1つの」が指す要素リスト内で明確に特定した要素以外の要素が任意で存在することができることも許可する。
【0024】
その結果、非限定例として、「AおよびBのうち少なくとも1つ」(または、同じ意味で、「AまたはBのうち少なくとも1つ」または、同じ意味で「Aおよび/またはBのうち少なくとも1つ」)が、1つの実施形態では、少なくとも1つの、任意で1つ以上の、Aを含み、Bは存在しない(および任意でB以外の要素を含む);もう1つの実施形態では、少なくとも1つの、任意で1つ以上のBを含み、Aは存在しない(および任意でA以外の要素を含む);さらにもう1つの実施形態では、少なくとも1つの、任意で1つ以上のA、および少なくとも1つの、任意で1つ以上のBを含む(および任意で他の要素を含む)こと等を意味することができる。
【0025】
本明細書に用いる場合、全移行句、例えば「含む(comprising)」、「含む(including)」、「保持する(carrying)」、「有する(having)」、「含有する(containing)」、「内包する(involving)」、「保有する(holding)」などはオープンエンドと理解される、すなわち、含むが限定するものではないことを意味する。本明細書に記載した組成物および溶液はいずれも、これらの用語のうちの任意の用語によって変わると考えるものとする。
【0026】
移行句「からなる(consisting of)」および「から実質的になる(consisting essentially of)」だけは、米国特許庁審査手順書に示されているようにそれぞれクローズドまたはセミクローズドの移行句としなければならない。「からなる(consisting of)」は、明示していない要素、ステップ、または材料をいずれも除外する。「から実質的になる(consisting essentially of)」は明示した要素、ステップ、および材料ならびに本明細書に記載した組成物および溶液の基本的で新しい特性に実質的に影響を及ぼさないものだけを含む。本明細書に記載した組成物および溶液はいずれも、これらの用語のうちのいずれかの用語または両者によって変わると考えるものとする。
【0027】
「生体試料」とは、例えば、分析対象物質を検出するために細胞、組織、臓器、または生体から採取した生物材料である。典型的な生体試料としては体液、細胞、または組織試料が挙げられる。体液としては、例えば、血清、血液、血しょう、唾液、尿、汗、または腹膜液が挙げられる。細胞または組織試料としては組織生検、組織、細胞懸濁液、または他の検体および試料、例えば臨床試料が挙げられる。
【0028】
「結晶」とは、物質の固体状態の1つの形態であり、三次元に周期的に反復するパターンに配置した原子を含む(例えば、Barret,Structure of 25 Metals,2nd ed.,McGraw−Hill,NewYork(1952)を参照)。ポリペプチドの結晶形態は、例えば、第2の形態−非晶質固体状態と異なる。結晶は、形状、格子構造、パーセント溶媒、および光学的性質、例えば、屈折率を含む特性を示す。結晶は、架橋または非架橋形態とすることができる。
【0029】
オキサレート分解酵素の「機能的フラグメント」とは、1つ以上の酵素の生物活性、例えば、オキサレートの脱炭酸または酸化に触媒作用を及ぼす能力を保持するオキサレート分解酵素ポリペプチドの一部を意味する。本明細書に用いる場合、機能的フラグメントは、特に指示がない限り、1つの末端または両末端の末端切断を含むことができる。例えば、機能的フラグメントがオキサレート分解酵素ポリペプチドのアミノおよび/またはカルボキシル末端から除外した1、2、4、5、6、8、10、12、15、または20以上の残基を有することができる。いくつかの実施形態では、切断は、1つの末端または両末端から20以下のアミノ酸である。機能的フラグメントが任意で1つ以上の異種配列に結合することができる。
【0030】
用語「患者」、「個体」または「被検体」は、任意の哺乳動物を意味し、これらに限定されないが、ヒト、非ヒト霊長動物、霊長動物、ヒヒ、チンパンジー、サル、げっ歯類(例えば、マウス、ラット)、ウサギ、ネコ、イヌ、ウマ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ブタ等に分類される動物が挙げられる。
【0031】
用語「単離した」は、実質的にその自然環境から離れている分子を意味する。例えば、単離したタンパク質は実質的に細胞材料または由来する細胞または組織源の他のタンパク質から離れている。当該用語は、単離したタンパク質が治療組成物として投与するのに十分に純粋または少なくとも70%〜80%(w/w)純粋、さらに好ましくは、少なくとも80%〜90%(w/w)純粋、なおさらに好ましくは、90〜95%純粋;および、最も好ましくは、少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.8%または100%(w/w)純粋である調製を意味する。
【0032】
単位投与量は、37℃で1分間当たり1ミクログラムの基質を分解する酵素の量として定義される。例えば、オキサレートデカルボキシラーゼの単位投与量は、37℃で1分間当たり1ミクログラムのオキサレートを分解するオキサレートデカルボキシラーゼの量である。
【0033】
代謝産物の濃度の上昇に関連した状態としては、これらに限定されないが、オキサレート関連障害、尿酸関連障害、尿素関連障害、ビリルビン関連障害、およびフェニルアラニン関連障害が挙げられる。このような状態および障害は、任意で急性または慢性となる可能性がある。
【0034】
本明細書に用いる場合、「オキサレート関連障害」は、シュウ酸またはオキサレートの病的濃度に関連した疾患または障害を意味し、これらに限定されないが、シュウ酸症、高シュウ酸血症、高シュウ酸尿、一次高シュウ酸尿、腸内高シュウ酸尿、特発性高シュウ酸尿、末期腎障害、エチレングリコール(オキサレート)中毒、特発性尿路結石疾患、腎不全(進行性、慢性、または末期腎不全を含む)、皮脂漏、吸収不全、回腸疾患、外陰痛、心伝導障害、炎症性腸疾患、嚢胞性肺線維症、膵臓外分泌不全、クローン病、潰瘍性大腸炎、腎石灰化症、尿路結石症、および腎石が挙げられる。このような状態および障害は、任意で急性または慢性となる可能性がある。腎臓、骨、肝臓、消化管、およびすい臓に関連したオキサレート関連障害が当技術分野で知られている。さらに、カルシウムオキサレートが、これらに限定されないが、眼球、血管、関節、骨、筋肉、心臓および他の主な臓器が挙げられる、多種多様な組織に沈着し多くのオキサレート関連障害を来す可能性があることがよく知られている。
【0035】
「シュウ酸」は、主として、尿および腸液のpH(pKa1=1.23、pKa2=4.19)でその塩形態、オキサレート(対応する共役塩基の塩として)で存在する。Earnest,Adv.Internal Medicine 24:407 427(1979)。用語「シュウ酸」および「オキサレート」は、本公開全体を通じて交換可能に用いられる。リチウム、ナトリウム、カリウム、および鉄(II)を含むオキサレート塩は、可溶性とすることができるが、カルシウムオキサレートは水溶性が極めて低い可能性がある(例えば、18℃で約0.58mg/100mlだけ溶解するEarnest、Adv.Internal Medicine24:407 427(1979))食物からのシュウ酸が食品オキサレートを意味する可能性もある。代謝プロセスによって生成されるオキサレートが、内生オキサレートを意味する可能性がある。循環オキサレートが、循環体液、例えば、血液に存在するオキサレートである可能性がある。
【0036】
用語「治療有効用量」または「治療有効量」は血液中の代謝産物の濃度を減少させるおよび予防、症状の発症の遅延、または状態、例えば、これらに限定されないが、シュウ酸症、高シュウ酸血症、および高シュウ酸尿、例えば一次高シュウ酸尿または腸内高シュウ酸尿が挙げられるオキサレート関連状態の症状の改善を含むことができる代謝酵素またはその機能的フラグメントの量を意味する。治療有効量では、例えば、オキサレート濃度の上昇に関連した障害を治療する、当該障害を予防する、当該障害の重症度を低下させる、当該障害の発症を遅延させる、および/または当該障害の1つ以上の症状の発症リスクを減少させることができる。
【0037】
透析溶液
用語「透析溶液」、「透析液」および「透析物質」は本明細書で交換可能に用いられる。透析溶液は、腹膜透析用に適切な濃度で適切な溶質を有する水性液を意味する。腹膜透析としては、例えば、持続的携帯型腹膜透析(CAPD)、間欠的腹膜透析(IPD)、持続的周期的腹膜透析(CCPD)、自動的腹膜透析(APD)、持続的フロー腹膜透析(CFPD)、再生腹膜透析(RPD)、および持続的フロー再生腹膜透析(CFRPD)を挙げることができる。
【0038】
いくつかの実施形態では、腹膜透析に用いられる透析溶液は、少なくとも1つの浸透圧剤、少なくとも1つの電解質、および少なくとも1つの有機酸塩を含む水溶液を含むことができる。いくつかの実施形態では、浸透圧剤は、例えば、グルコース、イコデキストリン、およびアミノ酸から選択することができる。いくつかの実施形態では、電解質は、例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、およびマグネシウムから選択することができる。いくつかの実施形態では、有機酸塩は、例えば、ラクテート、炭酸水素塩、および乳酸塩から選択することができる。本明細書に記載した腹膜透析溶液のpHは、5〜8の範囲とすることができる。いくつかの実施形態では、pHの範囲は5.2〜7.4、例えば、6.0〜7.4、および7.0〜7.4に変えることができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載した腹膜透析溶液にはこのほか、オキサレート濃度を減少させる、または代謝酵素の活性もしくは有効性を増大させる生物活性剤を含むことができる。本明細書に記載した腹膜透析溶液の成分は、電解質の濃度または酸塩基平衡を制御する、廃材料を除去する、有効に限外ろ過を実施する、および/または本明細書に記載した代謝酵素の活性を操作するために選択することができる。
【0039】
本明細書に記載した腹膜透析溶液は、シングルチャンバーおよびマルチチャンバー透析溶液から選択することができる。マルチチャンバー透析溶液は、例えば、WO99/27885に記載されたものが当技術分野で知られている。その結果、とりわけ、最終調整溶液中の活性成分の濃度を調節するためにセパレートコンパートメントにさまざまな溶質を保持することができる。腹膜透析溶液は、商業供給業者、例えば、Baxter(例えば、PHYSIONEAL(商標)、DIANEAL(商標)、EXTRANEAL(商標)、またはNUTRINEAL(商標))、Gambro(例えば、GAMBROSOLTRIO(商標))、およびFresenius(例えば、BALANCE(商標)、またはBICAVERA(商標))から購入することができる。さまざまな種類の腹膜透析溶液およびその調製方法が当技術分野で知られている。例えば、de Vin et al.,Perit.Dial.Int.29:5−15(2009);Schmitt et al.,Pediatr.Nephrol.26:1137−47(2011);Garcia−Lopez et al.,Nat.Rev.Nephrol.8:224−33(2012)を参照。
【0040】
いくつかの実施形態では、腹膜透析溶液はこのほか、腹膜透析を促進するための薬剤、例えば、表面活性剤または湿潤剤を含むことができる(例えば、Penzotti et al.,J Pharm Sci.57(7):1192−95(1968)を参照)。いくつかの実施形態では、湿潤剤は、陰イオン性、陽イオン性、または非イオン性とすることができる。特定の実施形態では、湿潤剤はジオクチルスルホコハク酸ナトリウムである。いくつかの他の実施形態では、腹膜透析を促進するための薬剤は、カテコールアミン、例えば、ノルエピネフリンおよびドーパミンから選択される1つである(例えば、Hirszel et al.,J Lab Clin Med.94(5):747−54(1979)を参照)。特定の実施形態では、当該薬剤はドーパミンである。
【0041】
本明細書に用いる場合、代謝酵素は、ヒトまたは動物の代謝による生成物と反応することができる酵素を意味し、例えば、尿酸、尿素、またはオキサレートを分解することができる酵素が挙げられる。
【0042】
尿酸オキシダーゼ(ウリカーゼ)
用語「尿酸オキシダーゼ」および「ウリカーゼ」は、本明細書で交換可能に用いられる。尿酸オキシダーゼ(ウリカーゼ;E.C.1.7.3.3)は、尿酸オキシダーゼ酵素を意味する。尿酸オキシダーゼとしては、尿酸が酸化して、より可溶性の生成物、アラントイン、さらに容易に排泄されるプリン代謝産物になるように触媒作用を及ぼすことができる明確に定義された一群の酵素が挙げられる。
【0043】
尿酸+O+HO→5−ヒドロキシイソ尿酸+H→アラントイン+CO
【0044】
血液中の尿酸濃度の上昇により、高尿酸血病および痛風を来す可能性がある。尿酸オキシダーゼのアイソフォーム、およびこれらのアイソフォームのグリコフォームが、本定義に含まれる。植物、細菌および真菌類からの尿酸オキシダーゼが、当該用語に包含され、細菌および真菌類からの真性尿酸オキシダーゼ、例えば、黄色アスペルギルスが挙げられる。特定の環境では、尿酸オキシダーゼは、可溶性または不溶性の四量体タンパク質とすることができる。本タンパク質をコードするcDNAは、大腸菌(Legoux et al.,J.Biol.Chem.,267:8565−8570(1992))、黄色アスペルギルス(Chevalet et al.,Curr.Genet.21:447−453(1992))、およびサッカロミセスセレビシエ(Leplatois et al.,Gene122,139−145(1992))でクローン化および発現される。遺伝子組み換え尿酸オキシダーゼとしては、遺伝子組み換え微生物によって生成した尿酸オキシダーゼが挙げられ、例えば、前記記載の大腸菌およびサッカロミセスセレビシエの遺伝子組み換え菌株から得ることができる。ラスブリカーゼは、アスペルギルスの菌株からのcDNAでクローン化したサッカロミセスセレビシエ黄色の遺伝子組み換え菌株から生成した遺伝子組み換え尿酸オキシダーゼ酵素を意味する(Oldfield et al.,Drugs 66(4):529−545(2006),Leplatois et al.,Gene 122:139−145(1992))。ラスブリカーゼとしては、天然黄色アスペルギルス尿酸オキシダーゼとほぼ同じ、同一サブユニットの各分子質量が約34kDaである四量体タンパク質が挙げられる(Bayol et al.,Biotechnol.Appl.Biochem.36:21−31(2002)。
【0045】
ウレアーゼ
ウレアーゼ(EC 3.5.1.5)は、ウレアーゼ酵素を意味する。ウレアーゼとしては、尿素が加水分解して二酸化炭素およびアンモニアになるように触媒作用を及ぼすことができる明確に定義された一群の酵素が挙げられる。
【0046】
(NHCO+HO→CO+2NH
尿素の濃度が高いと尿毒症を来たし、腎臓不全を伴うことが多い。ウレアーゼのアイソフォーム、およびこれらのアイソフォームのグリコフォームが、本定義に含まれる。植物、細菌および真菌類からのウレアーゼが当該用語に包含され、細菌および真菌類からの真性ウレアーゼ、例えば、Ureaplasma urealyticum、Actinomyces naeslundii、Yersinia pestis、Filobasidiella neoformans、Coccidioides immitis、Bordetella bronchiseptica、Streptococcus salivarius、Mycobacterium tuberculosis、Actinobacillus pleuropneumoniae、好熱性Bacillus、Ureaplasma urealyticum、Ureaplasma urealyticum、Yersinia pseudotuberculosis、Canavalia ensiformis、Bacillus pasteurii、Heliobacter heilmannii、Yersinia enterocolitica、Pmirabilis、Kiebsiella aerogenes、Kiebsiella pneumonia、Helicobacter pylori、およびEscherichia coliが挙げられる。
【0047】
本明細書に用いる場合、オキサレート分解酵素は、オキサレートの分解に触媒作用を及ぼすことができる酵素を意味する。いくつかの実施形態では、オキサレート分解酵素は、例えば、オキサレートオキシダーゼ、オキサレートデカルボキシラーゼ、オキサリル−CoAデカルボキシラーゼ、およびホルミルCoAトランスフェラーゼを挙げることができる。例えば、Svedruzic et al.,Arch Biochem.Biophys.433:176−92(2005)。
【0048】
オキサレートオキシダーゼ
本明細書に用いる場合、オキサレートオキシダーゼ(OXO)(EC1.2.3.4)は、オキサレート:酸素オキシドレダクダーゼ酵素を意味する。オキサレートオキシダーゼとしては、オキサレートが分子酸素(O)依存酸化して以下の反応に従って二酸化炭素および過酸化水素になるように触媒作用を及ぼすことができる明確に定義された一群の酵素が挙げられる。
【0049】
HOC−COH+O→2CO+H
オキサレートオキシダーゼのアイソフォーム、およびこれらのアイソフォームのグリコフォームが、本定義に含まれる。植物、細菌および真菌類からのOXOが当該用語に包含され、真性穀類OXO、例えば、小麦、大麦、トウモロコシ、オート麦、コメ、およびライ麦が挙げられる。これらの酵素は、小麦オキサレートオキシダーゼもジャーミンとして知られているため、ジャーミン−型OXO(G−OXO)と同定することができる。ジャーミン−様タンパク質(GLP)には、特定の構造的特徴を共有する大分類のタンパク質が含まれる。他のOXO源としては、スギゴケ、ビート、ホウレンソウ、モロコシ、およびバナナが挙げられる。OXO、例えばG−OXOは、例えば、六量体糖タンパク質のように活性のあるものとすることができる。任意で、OXOはさらにスーパーオキシドディスムターゼ活性のあるもの、例えば、大麦OXOとすることができる。特定の環境では、OXOは可溶性六量体タンパク質とすることができ、OXO糖タンパク質ニ量体の三量体が挙げられる。
【0050】
オキサレートデカルボキシラーゼ
本明細書に用いる場合、オキサレートデカルボキシラーゼ(OXDC)(EC4.1.1.2)は、オキサレートカルボキシラーゼ酵素を意味する。オキサレートデカルボキシラーゼとしては、オキサレートが分子酸素(O)非依存酸化して、以下の反応に従って二酸化炭素およびホルメートになるように触媒作用を及ぼすことができる当技術分野で知られた一群の酵素が挙げられる。
【0051】
HOC−COH→1CO+HCOOH
オキサレートデカルボキシラーゼのアイソフォーム、およびこれらのアイソフォームのグリコフォームが、本定義に含まれる。植物、細菌および真菌類からのOXDCが当該用語に包含され、菌および真菌類からの真性オキサレートデカルボキシラーゼ、例えば、Bacillus subtilis、Collybia velutipes または Flammulina velutipes、Aspergillus niger、Pseudomonas sp.、Synechocystis sp.、Streptococcus mutans、Trametes hirsute、Sclerotinia sclerotiorum、T.versicolor、Postia placenta、Myrothecium verrucaria、Agaricus bisporus、Methylobacterium extorquens、Pseudomonas oxalaticus、Ralstonia eutropha、Cupriavidus oxalaticus、Wautersia sp.、Oxalicibacterium flavum、Ammoniiphilus oxalaticus、Vibrio oxalaticus、A.oxalativorans、Variovorax paradoxus、Xanthobacter autotrophicus、Aspergillus sp.、Penicillium sp.、および Mucor speciesが挙げられる任意で、OXDCはさらに補酵素Aに依存しているものであり、例えば、腸管の生体からのOXDCである。特定の環境では、OXDCは可溶性または不溶性の六量体タンパク質とすることができる。
【0052】
オキサリル−CoAデカルボキシラーゼおよびホルミルCoAトランスフェラーゼ
本明細書に用いる場合、オキサリル−CoAデカルボキシラーゼ(OXC)(EC4.1.1.8)は、オキサリル−CoAデカルボキシラーゼ酵素を意味する。ホルミル−CoAトランスフェラーゼ(FRT)(EC2.8.3.16)は、ホルミル−CoAトランスフェラーゼ酵素を意味する。オキサリル−CoAデカルボキシラーゼとしては、オキサリル−CoAが変換してホルミル−CoAおよび二酸化炭素になるように触媒作用を及ぼすことができる当技術分野で知られた一群の酵素が挙げられる。
【0053】
【化1】
ホルミル−CoAトランスフェラーゼとしては、CoAでホルメートおよびオキサレートを交換することができる当技術分野で知られた一群の酵素が挙げられる。
【0054】
【化2】
その結果、オキサリル−CoAデカルボキシラーゼおよびホルミル−CoAトランスフェラーゼの結合作用によりオキサレートをホルメートおよび二酸化炭素に転換することができる。OXCおよびFRCのアイソフォーム、およびこれらのアイソフォームのグリコフォームが、本定義に含まれる。植物、細菌および真菌類からのOXCおよびFRCが当該用語に包含され、細菌および真菌類からの酵素、例えば、Pseudomonas oxalaticusおよびOxalobacter formigenesが挙げられる。特定の環境では、OXCは可溶性または不溶性の四量体タンパク質とすることができる。
【0055】
ビリルビンオキシダーゼ
ビリルビンオキシダーゼ(BO)(EC1.3.3.5)は、ビリルビンを酸化してビリベルジンとする反応に触媒作用を及ぼす酵素を意味するおよびマルチ銅オキシダーゼ(活性中心に複数の銅イオンを有する酵素の一般用語)の部類に入る一種の酵素である。当該酵素は、当該化学反応に触媒作用を及ぼす。
【0056】
【化3】
当該酵素はこのほか、ポルフィリンおよびクロロフィルの物質代謝に関与するビリルビンオキシダーゼM−1が挙げられる。Tanaka et al.Agric.Biol.Chem.49:843−844(1985)。血液中のビリルビンの濃度が正常より高いと高ビリルビン血症を来たし、黄だんにも関連する。BOのアイソフォーム、およびこれらのアイソフォームのグリコフォームが、本定義に含まれる。植物細菌および真菌類からのBOが当該用語に包含され、例えば、Myrothecium verrucariaからの酵素である。Mizutani et al.,Acta Cryst.F66(7):765−770(2010);Cracknell et al.,Dalton Trans.40(25):765−770(2011)。
【0057】
フェニルアラニンヒドロキシラーゼ
フェニルアラニンヒドロキシラーゼ(PAH、PheOH、またはPheH)(EC1.14.16.1)は、Pheの異化作用の律速段階である、フェニルアラニンの芳香族側鎖を水酸化してチロシンを生成するように触媒作用を及ぼす酵素を意味する。脳はPheの濃度に対して感受性が高く、PAH酵素が不足するとPheの濃度が過剰になるか、または高フェニルアラニン血症を来す可能性がある。PAH酵素活性が不足すると、古典的フェノルケトン尿症(PKU)および重度中枢神経系機能障害(知的発達障害)の可能性から、臨床結果が知られていない血しょうPheの中等度上昇の範囲に及ぶ可能性がある。PAH酵素活性の不足が高フェニルアラニン血症の最も一般的な原因である。ヒトのPAH遺伝子スパン90kbは、13エキソンからなり、染色体12q24.1に局在化している。Lidsky et al.,Proc Natl Acad Sci USA,82:6221−6225(1985);DiLella et al.,Biochemistry,25:743−749(1986)。ヒトのPAHの構造および機能が研究されている。Hufton et al.,Biochem J,311:353−366(1995);Waters et al.,Hum Mutat.11:4−17(1998)。PAHのアイソフォーム、およびこれらのアイソフォームのグリコフォームが、本定義に含まれる。他の源からのPAHが当該用語に包含される。
【0058】
フェニルアラニンアンモニアリアーゼ
フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL;EC4.3.1.5.)は、L−フェニルアラニンをアンモニアおよびtrans−ケイ皮酸に転換する反応に触媒作用を及ぼす酵素を意味する。当該酵素にはフェノルケトン尿症(PKU)の治療および診断に役割を果たす可能性がある。Ambrus et al.,Science,201:837−839(1978)。PALは、微生物、特に真菌類、例えば、Rhodotorula sp.、Rhodos−oridium sp.、Sporobolus sp.、Geotrichum sp.、Moniliella sp.、Pellicularia sp、Gonatobotryum sp.、Syncerhalastrum sp.、Endomyces sp.、Aspergillus sp.、Saccharomvcopsis sp.、Eurotium sp.、Glomerella sp.、Cladosporium sp.また Trichosporon sp から誘導することができる可能性がある、また 植物、例えば、Pisum sativum、ジャガイモ、サツマイモまたは大豆から誘導することができる可能性がある。
【0059】
単離した代謝酵素
本発明の腹膜透析溶液を調製するために用いられる代謝酵素は、例えば、天然源から単離することができる、または天然源から誘導することができる。本明細書に用いる場合、用語「から誘導した」は、自然に源に現れるアミノ酸または核酸配列を有することを意味する。例えば、大麦から誘導したオキサレートオキシダーゼは、大麦オキサレートオキシダーゼタンパク質の一次配列を含むことができる、またはオキサレートオキシダーゼまたはその変質物をコードする大麦にみられる配列を含む核酸によってコードすることができる。Bacillus subtilisから誘導したオキサレートデカルボキシラーゼは、Bacillus subtilisオキサレートデカルボキシラーゼタンパク質の一次配列を含むことができる、またはオキサレートデカルボキシラーゼまたはその変質物をコードするBacillus subtilisにみられる配列を含む核酸によってコードすることができる。Oxalobacter formigenesから誘導したオキサリル−CoAデカルボキシラーゼまたはホルミルCoAトランスフェラーゼは、Oxalobacter formigenesオキサリル−CoAデカルボキシラーゼまたはホルミルCoAトランスフェラーゼタンパク質の一次配列を含むことができる、またはオキサリル−CoAデカルボキシラーゼまたはホルミルCoAトランスフェラーゼ、もしくはその変質物をコードするOxalobacter formigenesにみられる配列を含む核酸によってコードすることができる。源から誘導したタンパク質または核酸が、当該源から単離された分子、遺伝的組み換えで生成された分子、および/または化学的に合成または変性した分子を包含する。本明細書に提供した組成物は、代謝酵素のアミノ酸配列またはオキサレート分解活性を保持する酵素の機能的フラグメントからのアミノ酸配列を含むポリペプチドを含むことができる。いくつかの実施形態では、酵素は、少なくとも1つの自然酵素の機能的特性、例えば、オキサレートの分解に触媒作用を及ぼす能力、多量体化する能力、イオン(例えば、マンガン)要求性、および/または他の触媒能力(例えば、スーパーオキシドディスムターゼ活性)を保持することができる。
【0060】
オキサレートオキシダーゼは、事前に単離され、その結果、大麦の実生、根、および葉、ビート茎、ビート葉、バクガ、モロコシ葉、およびバナナピールを含む多くの源から入手可能である。OXOは商業供給業者、例えば、Sigmaから購入することもできる。天然源からOXOを単離する方法が、以前に、例えば、以下の参考文献に記載されている:Liu et al.,Zhi Wu Sheng Li Yu Fen Zi Sheng Wu Xue Xue Bao 30:393−8(2004)(Engl.Abst.at PMID 15627687);Rodriguiez−Lopez et al.,FEBS Lett.9:44−48(2001);Pundir et al.,Chin.J.Biotechnol.15:129−138(1999);およびAguilar et al.,Arch.Biochem.Biophys.366:275−82(1999)。これらの単離したオキサレートオキシダーゼを用いて本明細書に記載した組成物を形成することができる。
【0061】
オキサレートデカルボキシラーゼは、事前に単離され、その結果、Bacillus subtilis、Collybia velutipesまたはFlammulina velutipes、Aspergillus niger、Pseudomonas sp、Synechocystis sp、Streptococcus mutans、Trametes hirsute、Sclerotinia sclerotiorum、T versicolor、Postia placenta、Myrothecium verrucaria、Agaricus bisporus、Methylobacterium extorquens、Pseudomonas oxalaticus、Ralstonia eutropha、Cupriavidus oxalaticus、Wautersia sp、Oxalicibacterium flavum、Ammoniiphilus oxalaticus、Vibrio oxalaticus、A oxalativorans、Variovorax paradoxus、Xanthobacter autotrophicus、Aspergillus sp.、Penicillium sp.、および Mucor speciesを含む多くの源から入手可能である。OXDCは、商業供給業者、例えば、Sigmaから購入することもできる。天然源からOXDCを単離する方法が以前に、例えば、以下の参考文献に記載されている:Tanner et al.,The Journal of Biological Chemistry.47:43627−43634.(2001);Dashek et al.,Methods in plant biochemistry and molecular biology.Boca Raton,FL:CRC Press.5:49−71.(1997);Magro et al.,FEMS Microbiology Letters.49:49−52.(1988);Anand et al.,Biochemistry.41:7659−7669.(2002);および Tanner および Bornemann,Journal of Bacteriology.182:5271−5273(2000)。これらの単離したオキサレートデカルボキシラーゼを用いて本明細書に記載した組成物を形成することができる。
【0062】
オキサリル−CoAデカルボキシラーゼおよびホルミルCoAトランスフェラーゼは、事前に単離され、その結果、オキサレート分解細菌、土に存在するPseudomonas oxalaticus(Qyayle et al.,Biochem.J.78:611−615(1961))および脊椎動物の消化管に存在しているOxalobacter formigenes、ヒト(Allison et al.,Arch.Microbiol.141:47(1985))を含む、多くの源から入手可能である。OXCおよびFRTは商業供給業者、例えば、Sigmaから購入することもできる。このほか、オキサレートホルメート交換のための酵素ならびに膜輸送体が、ともに精製され、特性が明らかになっている(BaetzおよびAllison,J.Bact.171:2605−2608(1989);BaetzおよびAllison,J.Bact.172:3537−3540(1990);Ruan et al.,J.Biol.Chem.267:10537−19543(1992))。これらの単離したオキサリル−CoAデカルボキシラーゼおよび/またはホルミルCoAトランスフェラーゼを用いて本明細書に記載した組成物を形成することができる。
【0063】
遺伝子組み換え代謝酵素
あるいは、遺伝子組み換え代謝酵素を用いて本明細書に提供した組成物を形成することができる。いくつかの実施形態では、遺伝子組み換え代謝酵素が自然酵素配列からの配列を包含するまたは自然酵素配列からの配列によってコードすることができる。さらに、代謝酵素が本明細書に記載した自然配列に相同しているアミノ酸配列、または実質的に同一であるアミノ酸配列を含む。また、自然酵素をコードする核酸に相同している核酸または実質的に同一である核酸によってコードした代謝酵素を提供し、本明細書に記載したように用いることができる。
【0064】
本明細書で「遺伝子組み換え」と称されるポリペプチドとしては、遺伝子組み換えDNA方法によって生成されたポリペプチドが挙げられ、人為的組み替えの方法、例えば合成酵素連鎖反応(PCR)および/または制限酵素を用いるベクターへのクローン化に依存する方法によって生成されるポリペプチドが含まれる。「遺伝子組み換え」ポリペプチドには、発現が変化しているポリペプチド、例えば細胞、例えば、宿主細胞で遺伝的組み換えで発現が修飾された自然ポリペプチドも含まれる。
【0065】
いくつかの実施形態では、OXOは大麦OXO核酸配列、に相同している核酸から遺伝的組み換えで生成することができ、時には、例えば、異種宿主で遺伝子組み換え生成を増加させる、または最適化するために修飾することができる。このような修飾した配列の例としては、大麦OXOのオープンリーディングフレームの核酸配列が挙げられる。OXO配列はそのGC含量を減少させるために修飾することができ、接合因子分泌シグナル配列に結合しており、組み換え制限エンドヌクレアーゼ開裂部位で接している。いくつかの実施形態では、OXOは、GenBank AccessionNo:L15737で入手可能な非修飾大麦核酸配列から遺伝的組み換えで生成することができる。
【0066】
いくつかの実施形態では、OXDCは、Bacillus subtilisまたはCollybia velutipesのOXDC核酸配列に相同している核酸から遺伝的組み換えで生成することができ、時には、例えば、異種宿主で遺伝子組み換え生成を増加させる、または最適化するために修飾することができる。このような修飾した配列の例としては、Candida boidiniiでの発現のため、Collybia velutipesのOXDCのオープンリーディングフレームの核酸配列が挙げられる。OXDC配列はそのGC含量を減少させるために修飾することができ、接合因子分泌シグナル配列に結合しており、組み換え制限エンドヌクレアーゼ開裂部位で接している。いくつかの実施形態では、OXDCは、GenBank AccessionNo:Z99120で入手可能な非修飾Bacillus subtilisのOXDC核酸配列から遺伝的組み換えで生成することができる。
【0067】
いくつかの実施形態では、OXCまたはFRTは、Pseudomonas oxalaticusまたはOxalobacter formigenesのOXCまたはFRTの核酸配列に相同している核酸から遺伝的組み換えで生成することができ、時には、例えば、異種宿主で遺伝子組み換え生成を増加させる、または最適化するために修飾することができる。いくつかの実施形態では、OXCはOxalobacter formigenesのOXC核酸配列から遺伝的組み換えで生成することができる。いくつかの実施形態では、FRTはOxalobacter formigenesのFRT核酸配列から遺伝的組み換えで生成することができる。
【0068】
また、全3種のタンパク質の遺伝子は、生物学的活性遺伝子組み換えタンパク質としてクローン化し、配列し、発現する(Abe et al.,J.Biol.Chem.271:6789−6793(1996);Lung et al.,J.Bact.179:3378−3381(1994);Sidhu et al.,J.Bact.179:3378−3381(1997))。
【0069】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載した組成物を形成するのに有用な代謝酵素は、宿主細胞、例えば、代謝酵素ポリペプチドまたはその機能的フラグメントのためのコード配列を含む核酸構成を含む宿主細胞に発現することができる。当該酵素の発現のための好適な宿主細胞としては、例えば、酵母菌、細菌、真菌類、昆虫、植物、または哺乳動物細胞、またはトランスジェニック植物、トランスジェニック動物、または無細胞系を挙げることができる。いくつかの実施形態では、宿主細胞は必要な場合には酵素ポリペプチドをグリコシル化することができるもの、ジスルフィド結合ができるもの、酵素を分泌することができるもの、および/または酵素ポリペプチドの多量化を助けることができるものとすることができる。典型的な宿主細胞としては、これらに限定されないが、E.coli(E.coli Origami BおよびE.coli BL21を含む)、Hansenula polymorpha、Pichia pastoris、Saccharomyces cerevisiae、Schizosaccharomyces pombe、Bacillus subtilis、Aspergillus、Sf9細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)、293細胞(ヒトの胎児の腎臓)、および他のヒトの細胞が挙げられる。また、ブタ、ウシ、ヒツジ、ウマ、ニワトリ、およびウサギを含む、トランスジェニック植物、トランスジェニック動物は、本明細書に記載した酵素の生成のための好適な宿主とすることができる
【0070】
代謝酵素の遺伝子組み換え生成には、宿主または宿主細胞が代謝酵素またはその機能的フラグメントをコードする少なくとも1つの核酸を含む、プラスミド、ベクター、ファージミド、または転写もしくは発現カセットの形態の構成を含むことができる。単一コピーまたは複数コピーに維持される構成、または宿主細胞染色体に統合される構成を含む、さまざまな構成が入手可能である。遺伝子組み換え発現のための多くの遺伝子組み換え発現系、成分、および試薬が、例えば、Invitrogen Corporation(Carlsbad、CA);U.S. Biological(Swampscott、MA);BD Biosciences Pharmingen(San Diego、CA);Novagen(Madison、WI);Stratagene(La Jolla、CA);およびDeutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH(DSMZ)、(Braunschweig、Germany)から市販されている。
【0071】
いくつかの実施形態では、代謝酵素の遺伝子組み換え発現が、任意で構成性プロモーターおよび/または誘導性プロモーターを含む、異種プロモーターによって制御することができる。例えば、T7、アルコールオキシダーゼ(AOX)プロモーター、ジヒドロキシアセトンシンターゼ(DAS)プロモーター、Gal1、10プロモーター、ホスホグリセリン酸キナーゼプロモーター、グリセルアルデヒド−3−ホスフェートデヒドロゲナーゼプロモーター、アルコールデヒドロゲナーゼプロモーター、銅メタロチオネイン(CUP1)プロモーター、酸性ホスファターゼプロモーター、CMVおよびプロモーターポリヘドリンなどのプロモーターも、好ましいものとすることができる。特定のプロモーターは、宿主または宿主細胞に基づいて選択することができる。また、例えば、メタノール、硫酸銅、ガラクトース、低リン酸、アルコール、例えば、エタノールによって誘導することができるプロモーターを用いることができ、当技術分野でよく知られている。
【0072】
いくつかの実施形態では、代謝酵素をコードする核酸が任意で異種配列を含むことができる。いくつかの実施形態では、例えば、分泌配列は、酵素ポリペプチドのN−末端に含むことができる。接合因子、BGL2、酵母酸性ホスファターゼ(PHO)、キシラナーゼ、αアミラーゼからのシグナル配列、他の酵母分泌タンパク質からのシグナル配列、および宿主細胞からの分泌を誘導することができる他の種から誘導した分泌シグナルペプチドなどのシグナル配列が有用であると思われる。同様に、他の異種配列、例えば、リンカー(例えば、開裂または制限エンドヌクレアーゼ部位を含む)および1つ以上の発現制御要素、エンハンサー、ターミネーター、リーダー配列、および1つ以上の翻訳シグナルが本説明の範囲内である。これらの配列は、任意で構成に含む、および/または酵素をコードする核酸に結合することができる。特に指示がない限り、「結合した」配列は、直接的または間接的に互いに結合することができる。
【0073】
同様に、エピトープまたはアフィニティタグ、例えば、ヒスチジン、HA(ヘマグルチニンペプチド)、マルトース結合タンパク質、AviTag(登録商標)、FLAG、またはグルタチオン−S−トランスフェラーゼを、任意で酵素ポリペプチドに結合することができる。タグは、生成後または精製後に、任意で酵素から開裂可能とすることができる。当業者は、好適な異種配列、例えば、適合する宿主細胞、構成、プロモーター、および/または分泌シグナル配列を容易に選択することができる。
【0074】
酵素同族体または変異体は、酵素参照配列とは1つ以上の残基で異なる可能性がある。例えば、いくつかの特定のアミノ酸の代わりに構造的にほぼ同じアミノ酸を用いることができる。構造的にほぼ同じアミノ酸としては、例えば、(I、LおよびV);(FおよびY);(KおよびR);(QおよびN);(DおよびE);および(GおよびA)が挙げられる。アミノ酸の欠失、付加、または置換も本明細書に記載した酵素同族体に包含される。このような同族体および変異体としては、例えば、(i)多形性変異体および自然または人工変異株、(ii)1つ以上の残基が修飾されている修飾ポリペプチド、および(iii)1つ以上の修飾した残基を含む変異株が挙げられる。
【0075】
酵素ポリペプチドまたは核酸が参照配列と少なくとも40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%、または100%同一である場合、「相同している」(または「同族体」である)。同族体が参照配列と同一ではない場合、「変異体」となる。同族体のヌクレオチドまたはアミノ酸配列が参照配列(例えば、切断、欠失、置換または付加によって)とはわずかに1、2、3、4、5、8、10、20、または50残基だけ異なる場合、および酵素的基質の分解に触媒作用を及ぼす能力を保持する(またはこの能力を保持するポリペプチドをコードする)場合、同族体は、参照酵素配列と「実質的に同一」である。変異体および/または実質的に同一の配列を含む、代謝酵素のフラグメントは、同族体とすることができる。例としては、同族体は酵素のさまざまな源から誘導することができる、または同族体は切断、欠失、置換、または付加変異によって参照配列から誘導することができる、または参照配列に関係させることができる。2つのヌクレオチドまたはアミノ酸配列の間のパーセント同一性は、標準アライメントアルゴリズム、例えば、Altschul et al.,J Mol.Biol.,215:403 410(1990),the algorithm of Needleman et al.,J.Mol.Biol.,48:444 453(1970),または the algorithm of Meyers et al.,Comput.Appl.Biosci.4:11 17(1988)に記載されたBasic Local Alignment Tool(BLAST)によって明らかにすることができる。このようなアルゴリズムは、BLASTN、BLASTPおよび「BLAST 2 配列」プログラムに組み込まれている(reviewed in McGinnis and Madden,Nucleic Acids Res.32:W20−W25,2004)。このようなプログラムを利用する場合、デフォルトパラメーターを用いることができる例えば、ヌクレオチド配列では、「BLAST2配列」に以下の設定を用いることができる:プログラムBLASTN、reward for match 2、penalty for mismatch 2、open gapおよびextension gap penaltiesがそれぞれ5および2、gap x_dropoff 50、expect 10、word size 11、filter ON。アミノ酸配列では、「BLAST2配列」に以下の設定を用いることができる:プログラムBLASTP、matrix BLOSUM62、open gapおよびextension gap penaltiesがそれぞれ11および1、gap x_dropoff50、expect 10、word size 3、filter ON。本明細書に記載した組成物を形成するのに好適な代謝酵素のアミノ酸および核酸配列としては、相同している、変異体、または実質的に同一の配列を挙げることができる。いくつかの実施形態では、酵素同族体は、参照配列に対して少なくとも40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%、または100%活性を保持することができる。
【0076】
代謝酵素の精製
本明細書に記載した酵素のタンパク質またはポリペプチドは、源、例えば、自然または遺伝子組み換え源から精製することができる本明細書で「単離した」と称されるポリペプチドは、実質的にその自然環境、例えば、
そのオリジンの源のタンパク質、脂質、および/または核酸(例えば、細胞、組織(例えば、植物組織)、または液または培地(分泌ポリペプチドの場合))から離れているポリペプチドである。単離したポリペプチドとしては、本明細書に記載した方法または他の好適な方法によって得られるものが挙げられ、実質的に純粋または本質的に純粋であるポリペプチド、および化学合成、遺伝子組み換え生成、または生物学的および化学的方法の組み合わせによって精製されるポリペプチドが挙げられる。任意で、単離したタンパク質は、その生成工程、例えば、精製工程後にさらにプロセッシングを受けることができる。
【0077】
いくつかの実施形態では、精製には、緩衝液交換およびクロマトグラフィ工程を含むことができる。任意で、濃縮工程、例えば、透析、クロマトフォーカシングクロマトグラフィによる工程および/または緩衝液交換を伴う工程、を用いることができる。特定の実施形態では、精製にQ−セファロース、DEAEセファロース、DE52、スルホプロピルセファロースクロマトグラフィまたはCM52もしくは同様な陽イオン交換カラムを含む陽イオンまたは陰イオン交換クロマトグラフィを用いることができる。緩衝液交換は、任意でクロマトグラフィ分離に先だって実施され、タンジェンシャルフローろ過、例えば、ダイアフィルトレーションによって実施することができる。
【0078】
特定の調製では、代謝酵素は、少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.7%、または99.9%純粋とすることができる。
【0079】
いくつかの実施形態では、グラムスケールで実施する精製が代謝酵素の調製には好ましい可能性があり、方法は、効率的で安価な製造規模の酵素精製のために最適化することができる。精製方法では、例えば、少なくとも0.5、1、2、5、10、20、50、100、500、または1000グラム以上の代謝酵素の精製が提供される。1つの典型的な方法では、少なくとも10L、50L、100L、500L、1000L以上の出発試料のタンジェンシャルフローろ過が提供され、緩衝液交換および汚染タンパク質の沈殿が可能となる。本明細書に記載した酵素の精製には、任意でシングルQ−セファロースカラムを用いることができる。
【0080】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載した代謝酵素、例えば、オキサレート分解酵素は、可溶性または結晶性とすることができる。酵素の結晶は、当技術分野で知られた方法を用いて調製するおよび/または乾燥させることができる(例えば、WO2006/135926およびWO2008/105911を参照)。いくつかの実施形態では、酵素は、結晶化しないことができる。いくつかの実施形態では、酵素を共有結合修飾する、例えば、ペグ化することができる。ペグ化の方法には、例えば、US Patent No.6,783,965を参照。いくつかの実施形態では、酵素は架橋とすることができる。いくつかの他の実施形態では、酵素は架橋ではないものとすることができる。いくつかの実施形態では、酵素は架橋結晶とすることができる(例えば、US Patent No.6,004,768を参照)。
【0081】
代謝産物関連障害を治療する方法
本発明の当該方法には、高濃度の代謝産物、例えば、オキサレートに関連した状態の発症リスクを治療する、予防する、または減少させるために、哺乳動物の被験体に治療有効量で本明細書に記載した腹膜透析溶液を投与することを含むことができるいくつかの実施形態では、当該方法は少なくとも1つの代謝酵素を含む追加腹膜透析溶液を調製すること、および哺乳動物の被験体に追加腹膜透析溶液を投与することを含むことができる。代謝産物、例えば、オキサレートの濃度の上昇は、例えば、尿、血液、血清、血しょう、または腹膜液を含む、体液などの被験体からの生体試料で検出することができる。特定の実施形態では、尿または血清オキサレート濃度を検出することができる。いくつかの実施形態では、代謝産物はオキサレート、尿酸、尿素、ビリルビン、およびフェニルアラニンから選択される。いくつかの実施形態では、代謝産物はオキサレートである。
【0082】
いくつかの実施形態では、例えば、シュウ酸症、高シュウ酸血症、一次高シュウ酸尿、腸内高シュウ酸尿、(例えば、外科的治療によって来した高シュウ酸尿を含む)、特発性高シュウ酸尿の個体を治療する方法が提供される。他の例では、本明細書に開示した方法により、シュウ酸症および/または腎臓(例えば、末期腎障害を含む)、骨、肝臓消化管およびすい臓のオキサレート上昇に関連した障害に対して二次的な高シュウ酸血症を治療しやすい可能性がある。さらに本明細書に提供した方法により治療される障害または疾患としては、これらに限定されないが、シュウ酸症および/または、以下の状態:エチレングリコール(オキサレート)中毒、特発性尿路結石疾患、腎不全(進行性、慢性、または末期腎不全を含む)、皮脂漏、吸収不全、回腸疾患、外陰痛、炎症性腸疾患、嚢胞性肺線維症、膵臓外分泌不全、クローン病、潰瘍性大腸炎、腎石灰化症、骨粗しょう症、尿路結石症、および腎石に対して二次的な高シュウ酸血症を挙げることができる。このような状態および障害は、任意で急性または慢性とすることができる。いくつかの実施形態では、障害は、尿酸、尿素、ビリルビン、またはフェニルアラニンの濃度の上昇に関連している。いくつかの実施形態では、障害は、高尿酸血病、痛風、尿毒症、高ビリルビン血症、黄だん、高フェニルアラニン血症、およびフェノルケトン尿症(PKU)から選択される。特定の実施形態では、本明細書に記載した当該方法は哺乳動物の代謝産物濃度を減少させる他の方法、例えば、血液透析と組み合わせることができる。
【0083】
いくつかの実施形態では、本発明の方法により、被検体の代謝産物、例えば、オキサレートの濃度を、非治療または対照被検体の濃度に比べて、少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%以上減少させることができる。いくつかの実施形態では、組成物の投与前と投与後で被検体の代謝産物の濃度を比較して減少が測定される。いくつかの実施形態では、本公開は代謝産物に関連した状態または障害を治療または改善して、少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%以上、状態または障害の1つ以上の症状を改善する方法を提供する。特定の実施形態では、当該方法により、内生オキサレートの濃度および/または食品オキサレートの吸収を減少させることができる。
【0084】
いくつかの実施形態では、高オキサレート濃度に関連した遺伝子型を持つ個体、例えば、アラニン、グリオキサル酸アミノトランスフェラーゼ、グリオキサル酸レダクターゼ/ヒドロキシピルビン酸レダクターゼ、肝性グリコール酸オキシダーゼ、ジヒドロジピコリン酸シンターゼ、またはオキサレート物質代謝に関与したもう1つの酵素もしくは高シュウ酸尿に関連したもう1つの酵素の活性を減少させる変異の同型接合体またはヘテロ接合体の個体を治療する方法が提供される。他の実施形態では、Oxalobacter formigenesの腸内定着が減少または不足した個体を治療する方法が提供される。例えば、Hoppe et al.,Kidney Int.70:1305−11(2006);Hoppe et al.,Am.J.Kidney Dis.58:453−55(2011)を参照。
【0085】
開示した方法には、オキサレート濃度の上昇に関連した状態になりやすい、または苦しむリスクがある哺乳動物の被検体を治療することを含むことができる。本公開の方法によって治療される個体群としては、これらに限定されないが、オキサレート関連障害、例えば、シュウ酸症、高シュウ酸血症、一次高シュウ酸尿、または腸内高シュウ酸尿を患っている、または発症するリスクがある被検体を挙げることができる
【0086】
本発明の方法に従って治療される被検体としては、これらに限定されないが、ヒト、非ヒト霊長動物、霊長動物、ヒヒ、チンパンジー、サル、げっ歯類(例えば、マウス、ラット)、ウサギ、ネコ、イヌ、ウマ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ブタ等を含む哺乳動物を挙げることができる。
【0087】
発症または進行オキサレート関連障害またはオキサレート濃度の上昇に関連した状態を評価するために多くの方法を用いることができる。このような障害としては、これらに限定されないが、前記に定義したような状態、疾患、または障害を挙げることができる。オキサレート関連障害の発症または進行は、例えば、尿オキサレート、血しょうオキサレートの測定、腎臓または肝臓機能の測定、またはカルシウムオキサレート沈着物の検出によって、評価することができる。
【0088】
例えば、尿試料または他の生体試料または液体のオキサレート濃度を検出すること、または測定することによって、状態、疾患、または障害を特定することができる。血液試料のオキサレート濃度を検出すること、または測定することによって、例えば、高シュウ酸血症を特定することができる。高シュウ酸尿の初期症状としては、例えば、シュウ酸症、による腎臓結石を挙げることができ、重度または突発性の腹痛または側腹痛、血尿、頻尿、排尿時痛、または熱および悪寒を伴う可能性がある。腎臓結石は、徴候性または非徴候性となる可能性があり、例えば、X線、超音波、またはコンピュータートモグラフィ(CT)スキャンにより腹部を画像化することによって視覚化することができる。高シュウ酸尿が抑制されない場合、腎臓は損傷し、腎臓機能が損なわれている。腎臓不全となる可能性さえある。
【0089】
尿量の減少、または不足(糸球体ろ過率の減少)、一般的な病感疲労、および著しい倦怠感、吐き気、嘔吐、貧血、および/または小児の正常な発達および成長の不全によって、腎臓不全(および腎臓機能の不良)を特定することができる。
【0090】
直接視覚化(例えば、眼球の)、X線、超音波、CT、心エコー、または組織生検(例えば、骨、肝臓、または腎臓)を含む方法によって、他の組織および臓器のカルシウムオキサレート沈着物も検出することができる。技術分野で認められた直接および間接的分析法を用いて、腎臓および肝臓機能、ならびにオキサレート濃度も評価することができる。よく知られた技術によって尿、血液または他の生体試料の化学的含量も試験することができる。例えば、オキサレート、グリコレート、およびグリセレート濃度を測定することができる。肝臓および腎臓機能の分析法、例えば、肝臓組織の酵素不足の分析および腎臓組織のオキサレート沈着物の分析がよく知られている。
【0091】
さまざまな種類の一次高シュウ酸尿を引き起こすと知られているDNAの変化についても試料を試験することができる。
【0092】
他の治療の適用には、これらに限定されないが、前記および以下のセクションに記載したものを含む、1つ以上のリスク因子の存在を挙げることができる。1つ以上のこのようなリスク因子、診断的、または予診的指標の存在または不存在を確認することによって、状態、疾患、または障害を発症する、またはこれらになりやすいリスクがある被検体、または本明細書に記載した組成物による治療に受容性がある可能性がある被検体を特定することができる。同様に、1つ以上の遺伝または表現マーカーを分析することによって、オキサレート関連障害を発症するリスクがある個体を特定することができる。
【0093】
いくつかの実施形態では、開示した方法は、24時間当たりの尿のオキサレート濃度が少なくとも30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、または300mg以上である被検体に有用である可能性がある。特定の実施形態では、オキサレート濃度は、1つ以上の症状または病状に関連する可能性がある。例えば、血液、血清、血しょう、または尿を含む体液などの生体試料でオキサレート濃度を測定することができる。任意で、オキサレートは、標準タンパク質または物質、例えば、尿中のクレアチニンに換算することができる。いくつかの実施形態では、当該方法は、非検出濃度、または被検体の治療前のオキサレート濃度の1%、2%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、または80%未満まで被検体の循環オキサレート濃度を減少させるための本明細書に記載した組成物の投与を含むことができる。
【0094】
高シュウ酸血症および/またはシュウ酸症は、さまざまな種類の高シュウ酸尿に関係していることが多い。ヒトの高シュウ酸尿は、40mg(約440μmol)を超える尿のオキサレートの排泄によって特性を表すことができる。典型的な臨床カットオフ濃度は、例えば、男性では43mg/日(約475μmol)、女性では32mg/日(約350μmol)である。高シュウ酸尿は、尿クレアチニンが1日当たり1グラム当たり30mgを超える尿オキサレートの排泄と定義することもできる。軽度高シュウ酸尿の人は、1日当たり約30〜60(約342〜684μmol)または約40〜60(約456〜684μmol)mgのオキサレートを排泄する可能性がある。例えば、腸内高シュウ酸尿の人は1日当たり約45〜80mg(約513〜912μmol)の尿オキサレートを排泄する可能性があり、一次高シュウ酸尿の人は1日当たり少なくとも80mg(約912μmol)の尿オキサレートを排泄する可能性がある。Borowski et al.,Exp.Opinion Pharmacother.7:1887−96(2006);Hoppe,Nat.Rev.Nephrol.8:467−75(2012)。
【0095】
哺乳動物の代謝産物、例えば、オキサレート濃度の上昇に関連した障害を治療する方法が提供される。当該方法は、治療有効量で哺乳動物に代謝酵素、例えば、本明細書に記載した代謝酵素またはその機能的フラグメントを含む腹膜溶液を投与することを含むことができる。いくつかの実施形態では、当該方法は、少なくとも1つの代謝酵素またはその機能的フラグメントを有する腹膜透析溶液を調製すること、および治療有効量で哺乳動物に酵素追加腹膜透析溶液を投与することを含むことができる。いくつかの実施形態では、腹膜透析溶液は腹膜透析器具、例えば、カテーテルにより投与することができる。特定の場合では、腹膜透析溶液を投与して内生または外生の代謝産物レベルおよび/または濃度を減少させる。いくつかの実施形態では、腹膜透析溶液により哺乳動物の腹膜腔の代謝産物レベルおよび/または濃度が減少する。いくつかの実施形態では、代謝産物はオキサレートである。他の実施形態では、代謝産物は、尿酸、尿素、ビリルビン、およびフェニルアラニンから選択される。いくつかの実施形態では、障害は、高尿酸血病、痛風、尿毒症、高ビリルビン血症、黄だん、高フェニルアラニン血症、およびフェノルケトン尿症(PKU)から選択される。特定の実施形態では、本明細書に記載した当該方法は、代謝産物濃度の上昇の他の治療方法、例えば、血液透析と組み合わせることができる。
【0096】
唯一の活性化合物として、またはもう1つの活性化合物または組成物と組み合わせて代謝酵素を用いて腹膜透析溶液を補うことができる。酵素の用量および腹膜透析の持続時間は、症状の重症度および疾患の進行に基づいて選択することができる。代謝酵素の適切な治療有効用量は、治療する臨床医が選択することができる。さらに、実施例に示した、または当技術分野で知られた特定の用量(例えば、Physicians’ Desk Reference(PDR) 2003,57th ed.,Medical Economics Company,2002)を用いることができる。
【0097】
いくつかの実施形態では、代謝酵素の用量は、腹膜透析溶液100ml当たり約50、約100、約150、または約200単位投与量とすることができる。いくつかの実施形態では、用量は腹膜透析溶液100ml当たり約150単位投与量の酵素とすることができる。いくつかの実施形態では、代謝酵素の用量は、腹膜透析溶液100ml当たり約0.5、約1.0、約1.5、または約2.0gとすることができる。いくつかの実施形態では、用量は、腹膜透析溶液100ml当たり酵素約1.5gとすることができる。いくつかの実施形態では、1サイクル当たり、哺乳動物、例えば、ヒトに、体重1kg当たり約10ml、20ml、30ml、40ml、50ml、または60mlの腹膜透析溶液を投与することができる。腹膜透析の各サイクルの持続時間は、約2〜約12時間、例えば、約4〜約12時間、または約2〜約8時間の範囲とすることができる。いくつかの実施形態では、腹膜透析の各サイクルの持続時間はことができる約4〜約6時間の範囲とする。複数のサイクル、例えば、数週間または数ヵ月までの腹膜透析を実施することができる。
【0098】
腹膜透析前、腹膜透析中、および腹膜透析後に、例えば、血液、血清、血しょう、尿、または腹膜液を含む体液などの生体試料で、哺乳動物中の代謝産物、例えば、オキサレート濃度を測定することができる。血行の腹膜透析溶液で代謝産物濃度を測定することもできる。いくつかの実施形態では、代謝産物濃度は、他の生体試料、例えば、組織、例えば、眼球、骨髄、腎臓、肝臓、または心臓から採取した試料、または胃、近位小腸、遠位小腸、盲腸、結腸、または直腸の内容物のうちの1つ以上から採取した試料で測定することができる。本明細書に記載した方法、例えば本明細書に記載した腹膜透析の方法により、哺乳動物の代謝産物、例えば、オキサレート濃度を減少させることができる。
【0099】
動物モデル
高シュウ酸血症および/または腹膜透析の動物モデルも提供される。いくつかの実施形態では、非ヒト動物モデルとして、哺乳動物を挙げることができる。いくつかの実施形態では、哺乳動物はブタとすることができる。オキサレートの持続注入で動物に投与することができる。当技術分野で知られた方法を用いて、投与を実施することができる。例えば、持続注入でオキサレートを投与するために第1の器具を動物に挿入することができる。いくつかの実施形態では、第1の器具は、カテーテルまたは胸膜トロカールから選択することができる。カテーテルは、外科手術により、または外科手術なしで経皮的に挿入することができる。いくつかの実施形態では、カテーテルは末梢静脈カテーテル、例えばVENFLON(商標)またはCATHLON(商標)とすることができる。いくつかの実施形態では、注入ポンプも用いることができる。投与する溶液のオキサレート濃度は、約0.1%〜約10%(w/w)とすることができる。いくつかの実施形態では、オキサレート濃度は1%とすることができる。例えば、投与する溶液には、1%ナトリウムオキサレートおよび0.9%NaCl(生理食塩水)を含むことができる。注入の速度、容量、および持続時間は、動物の所望の血液中のオキサレート濃度に基づいて選択することができる。例えば、注入の速度は、約0.05〜約2mL/分とすることができる。いくつかの実施形態では、注入の速度は、約0.15〜約0.40mL/分、例えば、約0.17mL/分、0.20mL/分、0.27mL/分、または0.35mL/分とすることができる。注入の容量は、約1〜約8mL/kg体重とすることができる。いくつかの実施形態では、注入の容量は、約3〜約5mL/kg体重、例えば、約4mL/kg体重とすることができる。注入の持続時間は、約1〜約72時間とすることができる。いくつかの実施形態では、注入の持続時間は、約4〜約6時間、例えば5時間とすることができる。いくつかの実施形態では、注入は、最長数週間で実施することができる。いくつかの実施形態では、ポンプなしでボーラス注入を実施することができる。例えば、時間間隔をおいてボーラス注入を実施することができる。いくつかの実施形態では、時間間隔は、10、20、30、40、50、または60分毎とすることができる。
【0100】
注入または腹膜透析の前、途中、および後に、例えば、血液、血清、血しょう、尿、または腹膜液を含む体液など生体試料で、動物モデルのオキサレート濃度を測定することができる。腹膜透析溶液でオキサレート濃度を測定することもできる。いくつかの実施形態では、オキサレート濃度は、他の生体試料、例えば、組織、例えば、眼球、骨髄、腎臓、肝臓、または心臓から採取した試料、または胃、近位小腸、遠位小腸、盲腸、結腸、または直腸の内容物のうちの1つ以上から採取した試料で測定することができる。本明細書に記載した方法、例えば、本明細書に記載した腹膜透析の方法により、動物のオキサレート濃度を減少させることができる。
【0101】
以下の実施例は、本公開の例示的な実施態様を提供する。当業者は、本公開の精神または範囲を変えることなく多くの修正および変更を実施することができると認識するであろう。このような修正および変更は、本公開の範囲内に包含される。実施例は、本公開をなんら制限するものではない。本公開に記載した特許および非特許の全文献の内容は、全体が参照により組み込まれる。
【実施例】
【0102】
以下に記載した実施例は、単に本発明の例示であることを意図しており、本発明をなんら制限するものではない。実施例は、以下の実験が実施した実験のすべてであること、または唯一であることを表すことを意図していない。用いられる数(例えば、量、温度等)に関して正確さを確保するために努力がなされてきたが、いくつかの実験誤差および偏差の責任を負わなければならない。特に指示がないかぎり、部は重量部であり、分子量は重量平均分子量であり、温度は摂氏度であり、圧力は大気圧または近大気圧である。
【0103】
実施例1
動物の取り扱いおよび外科手術
それぞれの体重が約20±2kgであるブタ(n=4〜6)で試験を実施した。12時間の昼夜サイクルに、06.00〜18.00(6am〜6pm)の明期および18.00〜06.00(6pm〜6am)の暗期で、動物を維持した。乾燥試料桶、飲水ニップルおよび持続加熱ランプ(150W)の備わった檻にブタを個別に収容した。ブタは檻内で自由に移動可能であり、実験ではない時は、互いに視認していた。
【0104】
一晩、ブタを絶食させ、その後、移送およびさらに取り扱う前にアザペロンを前投与した(Stresnil、Janssen Pharmaceutical、Belgium、4.0mg/kg IM)。外科手術では、2%空気を混合したイソフルレン(Forene 100%、Abbot Scandinavia AB、Solna、Sweden)でブタに麻酔をかけ、閉鎖循環方式系(Komesaroff Medical Developments、Melbourne、Australia)を用いて医療用酸素(0.5L/分)を補った。
【0105】
ブタの右外頸静脈に2つのカテーテル(Standards Silicone Tubing、Helix Medical Carpinteria、CA、USA)を挿入した。深さ6cmに血液採取のための1つのカテーテルを挿入し、8cm深さにナトリウムオキサレートの持続注入のためのもう1つのカテーテルを挿入し、カテーテルのサイズはともに30cm長であった(I.D.1.02mmおよびO.D.2.16mm)。気管接合および下顎軸の間の頸部に4cm長の切開からカテーテルを挿入した。
【0106】
試験開始からそれぞれの動物の健康記録をつけた。健康記録は、次の除外の基準となった。1日に2回(粉末飼料当たり身体質量の2%)、若い成長期のブタ(53908 VAXTILL 320 P BK、Lantmannen、Sweden)すべてに穀物系飼料を給餌した。この量は、ほぼ同じ状態で制限なく与えた場合に消費される食物の量と同等である。
【0107】
腹膜透析(PD)を実施するために、1cm幅の皮膚および筋裂切開で腹腔に、チューブ長の30cm(id3.8mmおよびod4.4mm)内の末端および2〜3ヶ所に穴をあけた長さ30cmのチューブを挿入した。皮膚の「穴」をふさぐために、さらにカテーテルの安定のために周囲の組織にグロメット切開を縫合した。5分内にブタ体重(20〜40mL/kg)に基づいたPD溶液を注入し、同じチューブを用いて溶質を排出した。
【0108】
実施例2
高シュウ酸血症のブタモデルおよびPDの確立
イソフルレンによる全知覚鈍麻のブタに注入ポンプ(KD Scientific Syringe Pump Legato 100、KD Scientific Inc.Holliston、Ma、USA)により0.20または0.35mL/分の定速度で頸静脈を通じて持続的に1%溶液(0.9%NaCl(生理食塩水)中に1%ナトリウムオキサレート、Sigma−Aldrich Chemicals;またはオキサレートの量は、一日あたりの総食物摂取の1%(w/w)、例えば、一日あたりの総食物摂取1kg当たりオキサレート10gであった)としてナトリウムオキサレートを注入した。滴定濃度が血しょうオキサレート濃度100〜200μmol/Lになるように、注入の4〜6時間の間に0.20または0.35mL/分の速度で注入を実施した。同時にオキサレート注入としてブタ体重の40mL/kgのPD容量でPDを開始した。血液容量が2Lである20kgのブタには、PD溶液800mL(GAMBROSOL TRIO(商標) 10、グルコース H、3.9%、pH6.3)を投与した。PDの開始後5〜10分でPDのpHは7.4であった。図1aおよび1bに示したように、注入速度0.2mL/分および0.35mL/分では、それぞれ4時間の間に約60〜100μmol/Lおよび約120〜180μmol/Lで高シュウ酸血症を来した。平均注入時間は約4時間であった。
【0109】
注入および腹膜透析の間の30分の測定時、および治療前測定のため注入の開始直前に血液試料を採取した。各血液試料を速やかに血しょうおよび/または血清採取のためのチューブに移動し、4℃で遠心分離器にかけるまで氷上に維持した。さらにイオンクロマトグラフィを用いてオキサレート測定を分析するまで−20℃で採取した試料を保存した。ミリポア水で血清試料を1/10に希釈し、分画分子量(MWCO)3kDaの遠心ろ過機(VWR International)を用いてろ過した。PPバイアルにろ液0.5mLを移動し、ICS−900(Thermo Scientific)上での分析のためにオートサンプラーに入れた。
【0110】
PDの透析物質としてGAMBROSOL TRIO(商標)10(Gambro AB、Lund、Sweden)を用いた。すでにPDで満たされた(体重の40mL/kg)腹膜腔に注入する前に、100mLのPDに1.5g(65単位投与量)の粉末OXDC(Bacillus subtilisからのオキサレートデカルボキシラーゼ、噴霧乾燥クリスタリン、Lot:44#3、総乾燥重量当たりの活性10.9u/mg最適pH4で)を混合した。陰性対照には、GAMBROSOL TRIO(商標) 10だけを注入した。
【0111】
30分毎に血液試料と同時にPD試料を採取した。さらに分析するまで−20℃で採取した試料を保存した。ミリポア水でPD試料を1/10に希釈し、分画分子量(MWCO)3kDaの遠心ろ過機(VWR International)を用いてろ過した。PPバイアルにろ液0.5mLを移動し、イオンクロマトグラフィ(ICS−900)を用いる分析のためにオートサンプラーに入れた。実験の終わりに、腹膜腔から排液し、採取した透析物質の容量を記録した。
【0112】
数回、ブタを再使用した。最終実験の終わりに、ペントバルビタール(Allfatal vet.Omnidea AB、Sweden)の過剰投与によりブタを殺処分した。胃、近位小腸、遠位小腸、盲腸、結腸および直腸からの糜汁試料を採取し、容量を記録した。オキサレート含量を分析するまで−20℃で試料を維持した。
【0113】
オキサレート含量を測定するために糜汁試料の重量を測定し、その後、240mMHClの9体積と混合し、オキサレート結晶の完全溶解を確実にするために1時間60℃でインキュベートした。その後、0.4Mホウ酸でPD試料を1/100に希釈し、分画分子量(MWCO)3kDaの遠心ろ過機(VWR International)を用いて、30分間、14000gで遠心分離にかけた。PPバイアルにろ液0.5mLを移動し、オキサーレート測定のためにイオンクロマトグラフィ(ICS−900)のオートサンプラーに入れた。オキサレート含量を分析するまで−20℃で試料を維持した。
【0114】
AS−DVオートサンプラー付きのICS−900(ともにThermo Scientific)でイオンクロマトグラフィ(IC)法を用いて試料中のオキサレート濃度を分析した。ICS−900は、IonPack AG4A−SC(2x50 mm)ガードカラム、IonPack AS4A−SC(2x250 mm)分析カラム、 Displacement Chemical Regeneration Mode(DCR)のAnion Micro Membrane Suppressor(AMMS 300)、および10μL試料ループ(すべてThermo Scientificから)を備えている。移動相は、流速0.5mL/分で1.8mM NaCO/1.7mM NaHCOであった。
【0115】
AMMS300のための再生剤は、75mN HSOであった。スチューデントのt検定またはANOVAまたはプリズム6グラフを用いて、統計的分析を実施した。p<0.05の場合、差が有意であるとみなした。
【0116】
6時間、ブタに定速度のナトリウムオキサレートの(0.17mL/分、0.9%塩化ナトリウム中の1%ナトリウムオキサレート)を注入した。PD透析前にGAMBROSOL TRIO(商標)10と粉末結晶質のOXDC1.5gを混合した。オキサレート注入の開始と同時に40mL/kg体重(約2L血液/800mLのPD)でPD+1.5gOXDC(約65U)を開始した。
【0117】
【表1】
【0118】
オキサレート注入と同時に開始したOXDCによる腹膜透析によって、血行から総血清オキサレートを平均約20〜40%除去することができた。従来のPDによるヒトでの結果と同様に、除去率はオキサレートの血しょう濃度および透析の持続時間に依存していた。例えば、Illies et al.,Kidney Int.70:1642−48(2006))を参照。本実験の結果(図2および表1)に、OXDCが血清などの体液中のオキサレートを分解したことと高シュウ酸血症のブタからのPDを示した。これらの体液中のオキサレート濃度は、OXDC活性に依存していた。
【0119】
実施例3
In Vitro PD系の開発
図3および5に示したin vitro試験からの試料を採取し、前記に記載したIC法を用いてオキサレート測定のためにさらに分析する前に−20℃で保存した。スチューデントのt検定またはANOVAまたはプリズム6グラフを用いて、統計的分析を実施した。p<0.05の場合、差が有意であるとみなした。
【0120】
図3に示したように、血液コンパートメントによく似た50mM TrisCL pH7.4を含有するビーカーおよび透析溶液で満たした腹膜腔によく似た透析バッグを用いて透析を実施し、ビーカーの中に最終濃度100μmol/Lのオキサレートを入れた。透析バッグ(10kDa 孔、 Fisher)は、GAMBROSOL TRIO(商標)10(Gambro、Renal Products、Lund.Sweden)、グルコース High±1.5g結晶質OXDC(約15mg/mL、またはpH7.4の計約64単位投与量のOXDC)(TrisCL:GAMBROSOL TRIO(商標)10の比=2.5:1、ヒトで実施した透析の比とほぼ同じ)を含有した。透析の5分後のバッグのpHは7.0であった。オキサレート測定のために0分、30分、60分、240分および一昼夜経過時にバッグおよびビーカーから試料を採取した(図4)。
【0121】
図5に示したように、最終濃度100μmol/Lのナトリウムオキサレートを加えたブタ血清を含有するビーカー(高シュウ酸血症のブタからの血清とよく似た)およびGAMBROSOL TRIO(商標)10(Gambro、Renal Products、Lund.Sweden)、グルコースH±70mgの結晶質OXDC(約30mg/mL、またはpH7.4の計約3単位投与量のOXDC)(血清:GAMBROSOL TRIO(商標)10比=2.5:1、ヒトで実施した透析の比とほぼ同じ)を含有する透析バッグ(10kDa 穴、Fisher)を用いて透析を実施した。オキサレート測定のために0分、30分、60分、240分および一昼夜経過時にバッグおよびビーカーから試料を採取した。図6に示した結果は、GAMBROSOL TRIO(商標) 10±OXDC(「腹膜透析物質」を表す)を有するバッグ中のオキサレート濃度が透析の1時間後に総基礎血清オキサレートの約17.4%に減少し、6時間経過時の透析の終わりまでその範囲内にとどまったことを示した。
【0122】
血清オキサレート濃度を有意に減少させることができるOXDCの最少投与量を明らかにするために、振とう定速度130rpmで、37℃で、最長6時間、GAMBROSOL TRIO(商標)10中のさまざまな濃度のOXDC(約30、20、15、10、5および1mg/mL)およびオキサレート血清の開始濃度100μmol/L(前記に記載したようにナトリウムオキサレートを加えた血清)で、前記に記載したin vitro 試験を実施した。オキサレート測定のために0分、30分、60分、240分および360分経過時にビーカーから試料を採取した。
【0123】
図7に示した結果は、10mg/mLのOXDCで6時間のインキュベーション後に、血清オキサレート濃度が35%減少したことを示した。その結果、pH7.4(血清および体液のpH)で実験に用いたOXDCには、0.1単位投与量/mg基質未満の効力があった。
図1a
図1b
図2
図3
図4
図5
図6
図7