【課題を解決するための手段】
【0010】
第1態様において、本発明は、容器がマシン内に配置されるときに、容器の側壁の外面と接触するように構成された熱交換接触面を有する熱交換要素を含む、本質的にカップ形状の容器を収容するための受容座部と、熱交換要素を冷却するように構成された冷却ユニットと、撹拌部材と接続可能であり、運動の組合せに従って撹拌部材を駆動するように構成された、撹拌ユニットとを含む、低温食品を調製するためのマシンであって、運動の組合せの少なくとも1つが、容器が受容座部内に配置されるときにその内部に向けられる成分を有する、マシンを提示する。
【0011】
本発明により、運動のこの組合せは、容器内の液体若しくは液体−気泡混合物、又は部分的に結晶化した液体若しくは液体−気泡混合製品の周辺部から内部に向けた、加えて内部から容器周辺部に向けた、循環をもたらす。「内部」とは、本明細書においては、容器の側壁、又はその付近を指し示す「周辺」とは逆に、容器の中央又はその付近を指し示すものとする。よって調製中に、容器中において、撹拌されないままの液体製品が実質的に存在しない。結果的に、容器中において、熱交換要素と、製品との間で推進される対流による熱交換の向上がもたらされる。特に、容器の内面における、冷凍製品の、硬質の結晶クラスト、又はスキンの形成が防止される。したがって、容器の内部における製品への、及び製品からの熱伝達の効率の断絶及び低減が防止される。製品の空気混入もまた改善され、したがって熱処理されたものなど、いくつかの常温保存可能な開始製品の発泡可能性の低減を補う。
【0012】
本発明によるマシンは、好ましくは、マシンの撹拌ユニットと選択的に、又は取り外し可能に接続可能であるように設計された、撹拌部材を含む。撹拌部材は、マシンの一部とし設けられてもよく、又は代替的に、容器自体の内部に設けられてもよい。したがって、撹拌部材は好ましくは、内部冷凍面などの容器の内面と相互作用するように成形されている。撹拌部材は、加工用撹拌手段(すなわち、製品の調製のための撹拌部材)、加えて、生じた菓子製品を消費するためのスプーンとして使用されるように構成されてもよい。
【0013】
好ましい様式において、容器の内部に向けられた構成要素は、撹拌部材のその長手方向軸線を中心とした第1回転運動である。
【0014】
マシンの撹拌ユニットに接続される際の撹拌部材は好ましくは、容器及び/又はマシンの受容座部に対し、その長手方向軸線が受容座部の中央長手方向軸線から、及び/又は容器の中央長手方向軸線からオフセットするようにして構成される。撹拌部材は、受容座部の中央長手方向軸線、及び/又は容器の中央長手方向軸線に対して平行であるか、又は僅かに傾いていることがある。
【0015】
撹拌部材は好ましくは、その長手方向軸線が、熱交換要素を含む受容座部の中心軸線、及び/又は容器の中心軸線から一定の水平距離だけオフセットするように構成される。撹拌ユニットはまた、撹拌部材の長手方向軸線、受容座部の中央長手方向軸線、及び/又は容器の中央長手方向軸線の間の水平距離を変えるように設計されてもよい。
【0016】
別の可能な様式において、容器の内部に受けられた成分は、容器又は座部に対する撹拌部材の径方向を往復する並進運動によって得られる。
【0017】
より一般的に、撹拌部材の運動の組合せは更に、容器又は座部の中央長手方向軸線を中心とした撹拌部材の閉ループ運動を含む。閉ループ運動はしたがって、撹拌部材の第1回転運動又は撹拌部材の径方向往復並進運動へと組み合わされ得る。
【0018】
好ましい様式において、閉ループ運動(第2)運動は、容器の中央長手方向軸線を中心とした、撹拌部材の軌道回転運動である。
【0019】
容器の中央長手方向軸線を中心とした撹拌部材の軌道回転運動(以降、「第2回転運動」と称される)は、撹拌部材のそれ自体の軸線を中心とした第1回転運動に対して同じ方向、又は反対の方向であり得る。
【0020】
換言すると、撹拌部材は、容器(又は受容座部)の中心軸線に対して周転円回転するように構成され、一方で撹拌部材、又は容器は、容器の中央を中心とした軌道構成で回転するように構成されている。
【0021】
撹拌部材の第1及び第2回転運動の速度は、製造すべき冷却菓子の種類(例えば、それが冷凍デザートであるか、又は泡立てた冷蔵乳製品であるか)によって設定され、好ましくは互いに異なる。これらのばらつきは、開始時の菓子製品の粘度の違いを考慮するために必要である。特に、はねるのを防止するために、より粘度の低い液体においては、より遅い速度が必要とされ得る。また、最終的な冷却された菓子のオーバーランは、所望の菓子の種類によって異なるレベルを満たさなくてはならない。
【0022】
第2回転運動の角速度ω2は、攪拌器の第1回転運動の角速度ω1よりも低い場合がある。これは、例えば、アイスクリーム製品の場合に妥当し得る。したがって、角速度ω2は好ましくは、角速度ω1の35%未満、より好ましくは25%未満、更により好ましくは15%未満である。
【0023】
好ましい例において、角速度ω1は好ましくは100〜2000rpmであり、より好ましくは300〜1600rpmである。また角速度ω2は、好ましくは10〜300rpm、より好ましくは20〜90rpmである。
【0024】
他の可能な様式において、第2回転運動の角速度ω2は、攪拌器の第1回転運動の角速度ω1と同等以上であり得る。
【0025】
撹拌部材の複数の運動はまた更に、撹拌部材の並進運動を含み得る。撹拌部材の並進運動は好ましくは、撹拌部材の第1又は第2回転運動とは異なる平面上の方向である。
【0026】
撹拌部材の並進運動は好ましくは、容器の内側冷凍面などの内面(好ましくは側壁面)と平行な方向の、線形運動である。これにより、並進運動は好ましくは、容器の回転軸線、及び/又は座部の中心軸線に対して角度を成すように構成された方向軸線に沿っている。
【0027】
撹拌部材の軌道運動の方向経路と、容器又は座部の対応する回転軸線とは、5〜60°、より好ましくは10〜50°、更により好ましくは15〜45°の鋭角を成す。
【0028】
撹拌ユニットは、また、容器の回転軸線と本質的に平行な方向の撹拌部材の線形運動をもたらすように設計されてもよい。
【0029】
好ましい実施形態において、マシンの撹拌ユニットは、撹拌ユニットに接続可能な撹拌部材を、容器内の、互いに異なる少なくとも2つの回転軸線を中心に回転させるように設計されている。加えて、撹拌ユニットは、容器の内側冷凍面などの、容器の内面と平行な方向に、撹拌部材を運動させるように設計されている。
【0030】
この増井実施形態において、マシンは、少なくともマシンの撹拌ユニットに接続された制御ユニットを含む。制御ユニットは好ましくは、撹拌ユニットに接続された撹拌部材の複数の運動の、少なくとも方向及び対応する速度量を制御するように設計されている。速度は、特に所望の気体混入、結晶化、又はクリーミーな質感を得るために、調製される製品の種類に関連して、正確に調製され得る。
【0031】
マシンの制御ユニットは更に、それぞれ所望の方向で、対応する軸線を中心とした、撹拌部材の連続的及び/又は非連続的運動をもたらすように設計されてもよい。
【0032】
マシンの制御ユニットは好ましくは、マシンの熱交換要素を制御及び調節するように設計されている。特に、オン/オフ状態、加えて冷却力が制御され得る。
【0033】
マシンは更に、撹拌ユニット、及び/又は制御ユニットに接続されたトルク感知手段を更に含み得る。トルク感知手段は、電流と比例するトルクを感知してもよい。したがって、制御ユニットは好ましくは、トルク感知手段によってもたらされる情報に応答して、少なくとも撹拌部材の回転速度を制御するように設計されている。トルク感知手段によって感知される製品の速度は、レシピを終了させてもよい(製品は、標的速度に到達している)。このため、速度の閾値に応答して、制御ユニットは、攪拌器の回転運動を停止させ、かつ任意によりまた、冷却ユニットへの電力を停止するか、又は低減させる。
【0034】
したがって、トルク感地手段により感知される製品の速度により、制御ユニットは、撹拌ユニットに接続された撹拌部材の複数の運動の方向、及び/又は速度を調節してもよい。
【0035】
マシンは、容器内の食品の温度に関する情報を提供するための、温度感知手段を備える。温度感知手段は、マシンの制御ユニットに接続され、これによって、容器内の食品の温度に応答して、撹拌ユニットに接続された撹拌部材の複数の運動の方向及び/又は速度を調節することができる。温度感知手段によって感知される、製品が到達した温度もまたレシピを終了させることがある(製品が標的温度に到達している)このため、温度の閾値に応答して、制御ユニットは、攪拌器の回転運動を停止させ、かつ任意によりまた、冷却ユニットへの電力を停止するか、又は低減させる。
【0036】
レシピの終了の制御はまた、感知される粘稠度及び製品温度の組合せであり得る。
【0037】
マシンの熱交換要素は好ましくはマシン内に容器を収容するための受容座部と共に一体的に形成される。熱交換要素は好ましくは、マシンの冷却回路に接続された、蒸発器である。したがって、熱交換要素は好ましくは、受容座部の一部を形成する本質的に環状の要素であり、専用容器の外側周辺壁部と接触するように設計されている。
【0038】
マシンは更に、容器のマシンからの取り外しを促進するための解凍システムを含み得る。
【0039】
更なる態様において、本発明は、上記のマシンを含み、所定量の原材料を保持するための容器を更に含む、システムに関する。
【0040】
容器は好ましくは、単回使用の容器であり、これは、所定量の原材料のための初期包装容器を提供する。包装容器は好ましくは、長期にわたり(例えば、数週間)周囲条件で保存され、かつ常温保存できる、菓子原材料を含む。菓子原材料は好ましくは液状である。更に、容器はまた、加工用容器として(すなわち、内部で冷凍菓子を調製するための容器として)使用され、加えて盛り付け容器(すなわち、消費者が生じた冷凍菓子をそこから直接消費することができる容器)として設計される。
【0041】
用語「単回使用の容器」とは、本発明において使用されるとき、単一ポーションの低温製品を調製するために使用された後に廃棄されるために好適な、あらゆる容器を包含する。これにより、容器は好ましくは少なくとも部分的に再使用可能である。
【0042】
本出願における、用語「低温食品」は、様々な種類の、冷却され、冷蔵され、又は少なくとも部分的に冷凍された菓子製品を指す。非限定的な例は、ホイップヨーグルト、ミルクスムージー、アイスクリーム、ソルベ、シャーベット、水氷、フローズンヨーグルト、凍らせた乳製品、ソフトクリーム、グラニテ、メロリン(Mellorine)、フローズンカスタード、乳成分を含まない冷凍菓子、ミルクアイス、アイスローリー、ジェラート若しくはフローズンゼリー、又は冷蔵デザート、例えば、ムーズ、カフェラテ、若しくはミルクシェークである。
【0043】
容器は更に、原材料のための空洞を含む、単層部材である本体を含む。容器の本体は好ましくは、少なくとも部分的に、アルミニウム若しくはスチールなどの金属、及び/又はプラスチック材料から作製されている。加えて本体は、厚紙、デンプン−PLAなど、生分解性材料から、少なくとも部分的に作製されてもよい。
【0044】
好ましくは、本体の厚さは、効果的な熱伝導、及び結果的に、5分未満など短時間における製品の冷却を確実にするために十分に小さい。特に、本体の厚さは、0.03mm〜5mm、好ましくは、0.05〜2mmである。
【0045】
好ましい実施形態において、容器の本体は、反転させた円錐、又は湾曲した形状を有する。容器は好ましくは、容器の中央長手方向軸線を中心に回転対称である。
【0046】
容器は、好ましくは、容器の本体と一体的に形成された、熱交換部分を含み得る。熱交換部分は好ましくは、例えば、アルミニウム又はスチールなどの金属などの、より高い伝熱性を有する材料から作製されている。熱交換部分は好ましくは、例えば、容器座部に適合されたときに、マシンの熱交換接触面と重なるように構成されている。熱伝達部分は好ましくは、一定の高さh1の環状部分である。
【0047】
容器は好ましくは、システムの撹拌部材と相互作用するように成形された、内側冷凍面を含む。内側冷凍面は好ましくは、即断面図において線形である。内側冷凍面は好ましくは、好ましくは一定の高さを有する、容器本体の環状の内面である。
【0048】
内側冷凍面は、容器の熱交換部分の内側面により形成され得る。したがって、専用のマシンによる内側面の効果的な冷凍が可能となる。
【0049】
好ましい実施形態において、撹拌部材は例えば、マシンに接続されるとき、内側冷凍面と、撹拌部材の外側環状掻寄面との間に掻寄領域を画定するために、容器の内側冷凍面に隣接するように構成されている。
【0050】
好ましくは、容器内の掻寄領域の垂直方向の広がりh2は、マシンの熱交換接触面の垂直方向の広がりh3と同等以上である。
【0051】
特定の容器内で調製される得られる食品により、容器は、例えば、僅かに気体混入したデザートでは150mL、アイスクリーム製品では200mL、ミルクシェークでは300mLの専用容積を含み得る。
【0052】
製品は、その初期体積の5%〜300%の比率で、マシン内においてオーバーランし得る。したがって、容器は、調製プロセスの終了時において空気混入した製品の体積の増加を予測するために、十分な自由体積(すなわち、初期製品によって充填されていない)を備えるような大きさであるべきである。いくつかのレシピにおいて、製品はオーバーランしない。
【0053】
更なる態様として、本発明は、
所定量の原材料を含む、本質的にカップ状の容器を、マシンの受容座部内に配置する工程と、
容器の側壁の外面と接触するマシンの熱交換要素によって容器を冷却する工程と、
上記運動の組合せに従って容器内で、撹拌ユニットによって撹拌部材を駆動することによって撹拌部材を運動させる工程とを含む、上記のマシン内で低温食品を調製する方法に関する。
【0054】
好ましくは、撹拌部材の運動(方向、速度)は、調製される製品の種類(例えば、冷凍、又は冷蔵菓子)と関連して異なる方法で、制御ユニットにより調節される。特に、撹拌部材の運動(方向、速度)は、調製される製品の種類(例えば、冷凍、又は冷蔵菓子)によって、調製中に代えられる。好ましくは、冷却ユニットの冷却力は、調製される製品の種類によって調製中に変えられる(例えば、低減される)。したがって、適切な質感(例えば、泡立てた、又は空気混入した)、及び適切な提供温度を備える、冷凍又は冷蔵菓子製品を、オンデマンドで調製することが可能である。
【0055】
以下の、本発明の実施形態の詳細な説明を、同封される図面と併せて読むと、本発明の更なる特徴、利益、及び目的が、当業者には明らかになる。