(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1〜4のいずれか1項に記載の固体分散体、及び増量剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤及び界面活性剤からなる群から選択される1つ以上の医薬賦形剤を含む医薬組成物であって、前記医薬組成物はダパグリフロジンを唯一の医薬活性成分として含む前記医薬組成物。
前記ステップc)における蒸発ステップが、流動層乾燥、噴霧乾燥、フリーズドライ(凍結乾燥)、真空乾燥、トレー乾燥、マイクロ波乾燥、または溶媒を蒸発させる他の方法により実施される、請求項6に記載の方法。
【背景技術】
【0002】
糖尿病は、膵臓が十分なインスリンを産生しないために及び/または細胞が産生されるインスリンに応答しないためにヒトが高い血糖を有している代謝性疾患の群である。この高い血糖により、多尿(頻尿)、多飲(強い喉の渇き)及び多食(強い空腹感)の一般的症状が生ずる。現在、1型糖尿病(1型)、2型糖尿病(2型)及び妊娠糖尿病の3つの型の糖尿病がある。妊娠糖尿病は高い血糖値を呈している妊婦で起こる。1型糖尿病は、身体がインスリンを産生できないために生じ、よってインスリンの注射が必要である。最後に、2型糖尿病の場合、身体はインスリンの作用に抵抗するか、または正常な血糖値を維持するのに十分なインスリンを産生しない。これら3つの型の糖尿病のうち、2型糖尿病が最も一般的な形の糖尿病であり、世界中で1億7100万人を超える人がこの病気を患っている。
【0003】
ナトリウム・グルコース共輸送体のサブタイプ2(SGLT2)が主に腎近位尿細管で発現することは公知である。更に、これらのタンパク質は腎におけるグルコース再吸収の少なくとも90%に関与している主輸送体であると考えられる。
【0004】
原薬(API)ダパグリフロジンはSGLT2を阻害すると報告されている。Bristol−Myers Squibb(BMS)及びAstraZenecaが開発し、経口的に活性なナトリウム・グルコース共輸送体2型(SGLT−2)阻害剤のダパグリフロジンプロパンジオール(ForxigaまたはBMS−512148とも呼ばれている)を発売している。この製品は、インスリンを含めた他の血糖降下薬と一緒に食事及び運動に対する補助薬として、またはメトホルミン不耐患者における単独療法として2型糖尿病の1日1回投与薬として欧州で適応されている。他の適応症(例えば、1型糖尿病及び高血糖をもたらす他の状態)に対する開発も進行中である。
【0005】
化合物は、以下
【0006】
【化1】
に示す“(2S,3R,4R,5S,6R)−2−[4−クロロ−3−[(4−エトキシフェニル)メチル]フェニル]−6−(ヒドロキシメチル)オキサン−3,4,5−トリオール”または“(2S,3R,4R,5S,6R)−2−[4−クロロ−3−(4−エトキシベンジル)フェニル]−6−(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3,4,5−トリオール”とも呼ばれていた。
【0007】
過去、ダパグリフロジンを合成し、その医薬製剤を製造するために各種試みがなされている。例えば、ダパグリフロジンの合成はWO 03/099836 A1に記載されている。
【0008】
WO 2008/002824は、(1S)−1,5−アンヒドロ−1−C−(3−((フェニル)メチル)フェニル)−D−グルシトール誘導体の結晶形態及び溶媒和物、及びそのアミノ酸との複合体に関する。特に、ダパグリフロジンの遊離酸多形結晶構造、例えばプロピレングリコール水和物の形態を開示している。WO 2008/116179は、結晶質ダパグリフロジンプロピレングリコール水和物を含む医薬製剤に関する。WO 2012/163546は、ダパグリフロジン及びシクロデキストリンを含む封入体の形態の医薬組成物を開示している。結晶質ダパグリフロジン水和物及びその製造方法はWO 2013/079501に開示されている。
【0009】
Bristol−Myers Squibb(BMS)及びAstraZenecaは、2型糖尿病用のダパグリフロジンとメトホルミンの固定用量配合剤も開発している。例えは、WO 2011/060256は、ダパグリフロジン及びメトホルミンを含有している二層錠剤を開示している。WO 2011/060290は、ダパグリフロジンとメトホルミンの組合せを含む即時放出型製剤の製造方法を開示している。
【0010】
WO 03/000238は、溶媒を急速に蒸発させることにより形成した難溶性薬物の吸着体に関する。WO 2009/080698は、難溶性APIと医薬的に許容され得る固体支持体の組合せに関する。US 2012/0088774(WO 2010/115886として公開もされている)は、粒状及び/または多孔質基体と会合させた水に実質的に溶解しない原薬(API)に関し、APIは固体支持体上に吸着されている。
【0011】
ダパグリフロジンの幾つかの固体形態が当業界で公知であるが、特に化合物が多くの多形体を形成している場合には、バイオアベイラビリティー、患者間の差異及び安全性に関して良好乃至最適の形態が依然としてかなりの課題である。ダパグリフロジンのすべての固体形態が安定性、流動性、圧縮性、溶出速度に関して等しく適当でない。例えば、非晶形は結晶化を回避するように熱エネルギーまたは溶媒を除去することにより固体化された液体と考えられ得る。非晶形は、薬学者により利用され得る異なる溶解度、安定性及び機械的挙動を有し得る。しかしながら、非晶形はときには結晶形よりも良好に溶解するが、しばしば水分活性及び/または安定性の理由のために好ましい形態ではない。
【0012】
従って、バイオアベイラビリティー、患者間の差異及び安全性に関して良好乃至最適の形態を見つけることのみならず、良好乃至最適の製剤を提供することは依然としてかなりの課題である。よって、ダパグリフロジンを含有している製剤の上記した方法及び製造があるにもかかわらず、原薬(API)を含有する、特に改善された溶出プロフィール、改善された含量均一性、及び/または改善された加工性に関して改善された組成物に対する要望があり、よってそのような組成物が本発明の目的である。更に、満足な(保存)安定性を示すAPIを含む医薬組成物が要望されており、同時に例えば製造のために必要な(機械的)装置または必要な遊離体に関して、例えば時間または努力の点で改善されている該組成物の製造方法が要望されている。よって、前記製剤を作成するための改善された方法も要望されている。
【0013】
本発明の目的は、保存時に改善された化学的安定性を示すダパグリフロジンを含む医薬組成物を見つけることであった。本発明の更なる目的は、特に製剤化プロセス中に生ずる他の固体形態への望ましくない変換を避けながら、APIに関する規定された固体状態特性を有するダパグリフロジンを含む医薬組成物を見つけることであった。本発明の更なる目的は、特に熱帯国に典型的な条件下で長期間保存した後改善された崩壊特性を有するダパグリフロジンを含む医薬組成物を見つけることであった。本発明の更なる目的は、高い水蒸気透過率を有する包装材料中に保存するのに適しているダパグリフロジンを含む医薬組成物を見つけることであった。
【0014】
これらの目的、及び本発明の以下の記載から明らかになるであろう他の目的は独立クレームの主題により達成される。本発明の好ましい実施形態の幾つかは従属クレームの主題により規定される。
【発明の概要】
【0016】
本発明は、それぞれ単独でまたは組み合わせて本発明の目的の解決に寄与する以下の態様、主題及び好ましい実施形態を提供する。
【0017】
本発明は、以下の項目に関する:
(1)少なくとも1つの適当なポリマー及び式1
【0018】
【化2】
のダパグリフロジン((2S,3R,4R,5S,6R)−2−[4−クロロ−3−(4−エトキシベンジル)フェニル]−6−(ヒドロキシメチル)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3,4,5−トリオール)
の非晶質固体分散体。
【0019】
本発明によれば、用語「適当なポリマー」は、ダパグリフロジンと非晶質固体分散体を形成するのに適しているポリマーを意味する。
【0020】
好ましい実施形態では、前記固体分散体は固溶体である。
【0021】
(2)前記固体分散体が実質的に均質である項目1に記載の固体分散体。
【0022】
(3)前記した少なくとも1つのポリマーがポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリアクリル酸(PAA)、ポリ(エチレングリコール)(PEG)、ポリ(エチレンオキシド)(PEO)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、コポビドン、ヒプロメロースアセテートスクシネート(AQOAT)、ポリアクリレート及びその混合物からなる群から選択される項目1または2に従う固体分散体。
【0023】
好ましい実施形態では、前記した少なくとも1つのポリマーは好ましくはPVP、PVA、HPC及びHPMCからなる群から選択される。
【0024】
更により好ましい実施形態では、前記した少なくとも1つのポリマーはポリビニルピロリドン(PVP)及びポリビニルアルコール(PVA)からなる群から選択される。
【0026】
【化3】
のダパグリフロジン((2S,3R,4R,5S,6R)−2−[4−クロロ−3−(4−エトキシベンジル)フェニル]−6−(ヒドロキシメチル)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3,4,5−トリオール)、及びポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリアクリル酸(PAA)、ポリ(エチレングリコール)(PEG)、ポリ(エチレンオキシド)(PEO)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、コポビドン、ヒプロメロースアセテートスクシネート(AQOAT)、ポリアクリレート及びその混合物からなる群から選択される少なくとも1つのポリマーの非晶質固体分散体に関する。
【0027】
(4)ダパグリフロジンと前記した少なくとも1つのポリマーの重量比が1:10〜10:1、好ましくは1:1〜1:10である項目1〜3のいずれか1項に記載の固体分散体。
【0028】
更に好ましい実施形態では、ダパグリフロジンと前記した少なくとも1つのポリマーの重量比は約1:1、1:2、1:3、1:4、または1:5である。更に好ましい実施形態では、ダパグリフロジンと前記した少なくとも1つのポリマーの重量比は約1:2である。
【0029】
(5)ダパグリフロジンは保存時、場合により例えば40℃及び湿度75%のストレス条件下での保存時に非晶質状態で安定である項目1〜4の少なくとも1項に記載の固体分散体。
【0030】
(6)ダパグリフロジン及び前記ポリマーは包接体を形成せず、特に前記ポリマーはシクロデキストリンでも、置換シクロデキストリンのようなシクロデキストリン誘導体でなく、特にダパグリフロジン及び前記ポリマーはダパグリフロジン−シクロデキストリン包接体またはダパグリフロジン−シクロデキストリン誘導体包接体を形成しない項目1〜5の少なくとも1項に記載の固体分散体。
【0031】
(7)前記ポリマーは10個以上、100個以上、または1,000個以上のモノマー単位を有するポリマー鎖を含む項目1〜6の少なくとも1項に記載の固体分散体。
【0032】
(8)前記ポリマーは環状ポリマーではなく、及び/または線状または分岐状ポリマーである項目1〜7の少なくとも1項に記載の固体分散体。好ましくは、前記ポリマーは環状ポリマーでない。前記ポリマーが線状ポリマーであることも好ましい。前記ポリマーが分岐状ポリマーであることも好ましい。
【0033】
(9)ダパグリフロジンがその遊離形態で存在し、特にダパグリフロジンは溶媒和物、水和物または塩の形態で存在していない項目1〜6の少なくとも1項に記載の固体分散体。本発明の意味の範囲内の用語「遊離形態」は、ダパグリフロジンがその純粋な形態で存在すること、例えばダパグリフロジンの溶媒和物または水和物が存在しないことを示す。好ましくは、ダパグリフロジンはそのプロピレングリコール水和物の形態で存在しない(特に、(S)−PG(SC−3形態)IaはWO 2008/002824の表1に記載されている)。
【0034】
(10)前記固体分散体がダパグリフロジンの結晶質部分を含有せず、特に結晶質ダパグリフロジン部分はX線粉末回折測定により検出できない項目1〜9の少なくとも1項に記載の固体分散体。好ましくは、前記固体分散体はWO 2008/002824に規定されている結晶構造を含めたダパグリフロジンの結晶構造を含有していない。
【0035】
(11)顆粒の形態の項目1〜10のいずれかに従う固体分散体。換言すると、前記顆粒は固体分散体からなる。
【0036】
本発明によれば、用語「顆粒」は、(例えば、粉末形態を含めた)物質の小さい緻密な粒子を意味する。
【0037】
(12)前記顆粒が担体を含む項目11に従う固体分散体。換言すると、前記顆粒は固体分散体を有する担体粒子を含むかまたはこれらから構成され、前記固体分散体は担体粒子の表面上に及び担体粒子間に存在し得る。
【0038】
(13)前記担体が水不溶性ポリマー;無機塩;糖、例えばラクトース;セルロース及びセルロース誘導体;デンプン;糖アルコール;無機酸化物からなる群から選択され、好ましくはセルロース、例えばアビセル(R)のような結晶セルロース、及び糖、例えばラクトース(一水和物または無水物)からなる群から選択される項目12に従う固体分散体。
【0039】
前記担体は当業者に公知であり、幾つかは本明細書中に詳細に記載されている。
【0040】
(14)粉末の形態である項目1〜10のいずれかに従う固体分散体。
【0041】
好ましい粒度分布は本明細書中に以下に記載されている。
【0042】
(15)前記粉末が担体粒子を含まず、好ましくは前記粉末は項目13に規定されている担体粒子を含んでいない項目14に従う固体分散体。
【0043】
(16)項目1〜15のいずれか1項に記載の固体分散体及び1つ以上の医薬賦形剤を含み、前記賦形剤は増量剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、流動促進剤,界面活性剤、湿潤剤、フィルム形成材及びコーティング材、甘味料、着香料、及び顔料のような着色料からなる群から選択される医薬組成物。
【0044】
(17)a)ダパグリフロジン及び少なくとも1つの適当なポリマーを適当な溶媒または溶媒の混合物中に含む溶液を用意し、前記溶媒または溶媒の混合物は好ましくは水、ハロゲン化炭化水素、C1−C4アルコール、C3−C6ケトン、有機エーテル、有機エステルまたはその混合物からなる群から選択され、より好ましくはエタノール、水、アセトン、イソプロパノールまたはその混合物からなる群から選択され;
b)場合により、好ましくは低剪断、高剪断または流動層顆粒化プロセス中に、ステップ(a)の前記溶液を項目13に規定されている担体粒子に対して噴霧または分散させて顆粒を形成し;
c)前記溶媒を蒸発させ、前記蒸発ステップは好ましくは流動層乾燥、噴霧乾燥、フリーズドライ(凍結乾燥)、真空乾燥、トレー乾燥、マイクロ波乾燥、または溶媒を蒸発させるための当業者に公知の他の方法により実施して、固体分散体を形成する;
ことを含む項目1〜15のいずれかに規定されている固体分散体の製造方法。
【0045】
本明細書中で使用されている用語「適当な溶媒」は、ダパグリフロジン及び少なくとも1つの適当なポリマーを(実質的に完全に)溶解させることができるが、前記担体粒子を溶解させないかまたは少なくとも完全には溶解させない溶媒または溶媒の混合物を指す。
【0046】
好ましくは、前記の適当なポリマーは線状水溶性ポリマーであり、及び/または前記溶媒または溶媒の混合物は水、ハロゲン化炭化水素、C1−C4アルコール、C3−C6ケトン、有機エーテル、有機エステルまたはその混合物からなる群から選択され、より好ましくはエタノール、水、アセトン、イソプロパノールまたはその混合物からなる群から選択される。
【0048】
【化4】
のダパグリフロジン及び場合により少なくとも1つの適当なポリマーを適当な溶媒または溶媒の混合物中に含む溶液を用意し、前記の少なくとも1つのポリマーは好ましくは項目17に規定されており;
b)場合により、好ましくは低剪断、高剪断または流動層顆粒化プロセス中に、ステップ(a)の前記溶液を項目13に規定されている担体粒子に対して噴霧または分散させて顆粒を形成し;
c)前記溶媒を蒸発させ、前記蒸発ステップは好ましくは流動層乾燥、噴霧、フリーズドライ(凍結乾燥)、真空乾燥、トレー乾燥、マイクロ波乾燥、または溶媒を蒸発させるための当業者に公知の他の適当な方法により実施し;
d)ステップb)またはc)の得られた組成物を1つ以上の医薬的に許容され得る賦形剤と混合する;
ことを含むダパグリフロジンが医薬組成物中に非晶質ダパグリフロジンとしてのみ存在している医薬組成物の製造方法。
【0049】
前記の溶媒または溶媒の混合物は、水、ハロゲン化炭化水素、C1−C4アルコール、C3−C6ケトン、有機エーテル、有機エステルまたはその混合物からなる群から選択され得、より好ましくは水、エタノール、アセトン、イソプロパノールまたはその混合物からなる群から選択される。
【0050】
(19)a)項目17〜18の1つに規定されているステップを適用することにより本発明の固体分散体を製造するステップ;及び
b)ステップ(a)の前記固体分散体を1つ以上の医薬的に許容され得る賦形剤と混合するステップ;
を含む医薬組成物の製造方法。
【0051】
次いで、前記医薬組成物は、例えばステップ(b)の前記混合物を錠剤コアに圧縮し、場合により前記錠剤コアをコーティングすることにより剤形を作成するために使用され得る。
【0052】
(20)項目17〜19に従う方法により得られ得るかまたは得られる固溶体、医薬組成物または顆粒。
【0053】
(21)前記APIダパグリフロジンが存在する唯一のAPIである項目1〜15のいずれかに従う固体分散体または項目16に従う医薬組成物。
【0054】
(22)基体の表面上に吸着されている式1
【0055】
【化5】
のダパグリフロジン((2S,3R,4R,5S,6R)−2−[4−クロロ−3−(4−エトキシベンジル)フェニル]−6−(ヒドロキシメチル)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3,4,5−トリオール)を含む吸着体であって、ダパグリフロジンは実質的に非晶質であり、前記基体は
(a)無機酸化物、
(b)水不溶性無機塩、
(c)水不溶性ポリマー、及び
(d)活性炭
からなる群から選択される。
【0056】
(23)(i)前記無機酸化物はSiO
2、TiO
2、ZnO
2、ZnO、Al
2O
3及びゼオライトからなる群から選択され、好ましくは無機酸化物はSiO
2、及びCaCO
3、Ca
2(PO
4)
2であり;
(ii)前記水不溶性ポリマーは架橋ポリビニルピロリジノン、架橋酢酸フタル酸セルロース、架橋酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、結晶セルロース、ポリエチレン/ポリビニルアルコールコポリマー、ポリエチレン/ポリビニルピロリジノンコポリマー、架橋カルボキシメチルセルロース、デンプングリコール酸ナトリウム及び架橋スチレンジビニルベンゼンからなる群から選択され、好ましくは水不溶性ポリマーは結晶セルロースであり;及び/または
(iii)前記活性炭はポリイミド、ポリアクリロニトリル、フェノール樹脂、酢酸セルロース、再生セルロース及びレーヨンからなる群から選択される;
項目22に従う吸着体。
【0057】
(24)基体が二酸化ケイ素、例えばコロイド状またはヒュームド二酸化ケイ素、または多孔質シリカ、及びセルロースからなる群から選択され、好ましくは結晶セルロースである項目22または23に従う吸着体。
【0058】
(25)ダパグリフロジンが粒子の形態でない項目22または24に従う吸着体。
【0059】
ダパグリフロジン粒子の存在(または、不在)は当業者に公知の適当な方法により、例えばラマンイメージングにより評価され得る。
【0060】
(26)ダパグリフロジンが基体と会合している項目22〜25のいずれかに従う吸着体。
【0061】
本発明の基体は粒状及び/または多孔質基体であり得、これはこの基体がAPIを吸着し得る外表面及び/または内表面を有していることを意味する。このことは、基体が多孔質ならばこれらの孔がダパグリフロジンで満たされていることを意味する。更に、本発明の基体はAPIの吸着中及びその後にその形態を変化させず、少なくとも本質的に変化させない。すなわち、吸着体の物理的形状及び表面構造は、基体単独の物理的形状及び表面構造に対応し、少なくとも本質的に対応している。
【0062】
好ましい吸着体、及び好ましい粒状及び/または多孔質基体は本明細書中に記載されている。多孔度はDIN EN 623−2に従って測定され得、多孔度が少なくとも20%、30%、40%、50%、または60%であることが好ましい。多孔度が10〜70%、更に好ましくは20〜70%、より更に好ましくは30〜70%、または40〜70%の範囲であることも好ましい。
【0063】
(27)ダパグリフロジンがその遊離形態で存在しており、特にダパグリフロジンが溶媒和物、水和物または塩の形態で存在していない項目22〜26のいずれかに従う吸着体。
【0064】
(28)前記吸着体が例えばX線粉末回折測定で測定され得るダパグリフロジンの結晶部分を相当量含有せず、好ましくは顕著な量含有していない項目22〜27に従う吸着体。
【0065】
(29)前記吸着体中のダパグリフロジンの量が0.01〜40重量%の範囲、好ましくは0.1〜30重量%の範囲、より好ましくは1〜30重量%の範囲、更により好ましくは10〜30重量%の範囲(それぞれ、全吸着体に対する重量%)である項目22〜28に従う吸着体。
【0067】
【化6】
のダパグリフロジンを溶媒または溶媒の混合物中に含む溶液を基体と組合せ、前記溶媒または溶媒の混合物は場合によりハロゲン化炭化水素、C5−C9炭化水素、C1−C4アルコール、C3−C6ケトン、有機エーテル、有機エステル及びその混合物からなる群から選択され;
b)前記溶媒または溶媒の混合物を減圧下で除去(または、蒸発)して吸着体を形成する;
ことを含む項目22〜29のいずれか1項に記載の吸着体の製造方法。
【0068】
溶媒を素早く蒸発させると、例えばAPIの共沈物が形成され、これは基体に吸着されないであろう。
【0069】
(31)a)項目30の方法により製造した吸着体及び少なくとも1つの医薬的に許容され得る賦形剤の混合物を用意し;
b)場合により、ステップa)で得た前記混合物を微粉砕及び/またはふるい分けし;
c)ステップa)またはb)の前記混合物を乾式製剤化により医薬組成物に製剤化する;
ことを含む項目22〜29のいずれか1項に記載の吸着体を含む医薬組成物の製造方法。
【0070】
(32)項目22〜29のいずれか1項に記載のかまたは項目30の方法により得られ得る吸着体、及び例えば増量剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤及び界面活性剤からなる群から選択される1つ以上の医薬賦形剤を含む医薬組成物。
【0071】
(33)前記医薬組成物中の吸着体の量が1〜95重量%の範囲、好ましくは5〜90重量%の範囲、より好ましくは10〜70重量%の範囲、更により好ましくは20〜50重量%の範囲(それぞれ、全医薬組成物に対する重量%)である項目32に従う医薬組成物。
【0072】
(34)前記医薬組成物は剤形、好ましくは圧縮剤形、より好ましくは錠剤、更により好ましくは即時放出型錠剤であり、及び/またはダパグリフロジンは医薬組成物中に非晶質ダパグリフロジンとしてのみ存在している項目1〜33のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【0073】
(35)前記医薬組成物はケッペンの気候区分に従ってAfまたはAm気候、好ましくはAf気候のエリアを有する国の患者に投与される項目1〜34のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【0074】
(36)前記医薬組成物は規格DIN 53122−1に従って測定して少なくとも0.4g/m
2/dの水蒸気透過率を有する包装材料中に包装されており、前記包装材料は好ましくはポリプロピレン、ポリ塩化ビニリデン及び/またはポリ塩化ビニルから作られるかまたはAl−Alプッシュスルー型包装ブリスターである項目1〜35のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【0075】
(37)N個の錠剤を収容しているブリスターのような包装材料中に包装されている前記医薬組成物の、好ましくは表2の説明文に規定されている合格判定値(AV)に換算して示される含量均一性は15以下、好ましくは10以下である項目1〜36のいずれかに従う医薬組成物。
【0076】
(38)溶出試験を実施したとき、5分の時点でダパグリフロジンの80%以上、好ましくは85%以上が溶出し、前記溶出試験は以下のパラメーター:500mlの溶出媒体0.1M HCl、50rpmで装置2、ピークベッセル、37℃を適用することにより実施する項目1〜37のいずれかに従う医薬組成物。
【0077】
(39)場合によりケッペンの気候区分に従ってAfまたはAm気候のエリアを有する国の患者の低血糖に関連する疾患、好ましくはII型糖尿病の治療において使用するための項目1〜38のいずれか1項に記載の固溶体、吸着体または医薬組成物。
【0078】
定義
用語「含む(comprising)」が本明細書及び特許請求の範囲中で使用されている場合、この用語は他の要素またはステップを排除しない。本発明の目的で、用語「から構成される(consisting of)」は用語「含む(comprising)」の好ましい実施形態と見なされる。以後、グループが少なくともいくらかの実施形態を含むと規定されているならば、これは場合によりこれらの実施形態のみから構成されるグループを開示しているとも理解されるべきである。
【0079】
単数名詞を指すときに不定冠詞または定冠詞、例えば“a”または“an”、“the”が使用されている場合、特に示されていない限り単数名詞は複数名詞を含む。
【0080】
本発明の関係において、用語「約」または「実質的に」は、当業者が当該特徴の技術的効果をなお確保すると理解している精度区間を示す。この用語は、典型的には指定されている数値から±10%、好ましくは±5%の偏差を指す。
【0081】
更に、明細書及び特許請求の範囲中の用語第1、第2、第3等は類似の要素間を区別するために使用されているが、必ずしも順序または入力順を記載するために使用されていない。このように使用されている用語は適切な状況下で互換可能であり、本明細書中に記載されている本発明の実施形態は本明細書中に記載乃至説明されている以外の順序で実施可能であることを理解すべきである。
【0082】
本明細書中で使用されている用語「経口固体剤形」は、各々が1回量の1つ以上の活性物質を含有している経口投与用固体製剤(例えば、錠剤)を示す。
【0083】
本発明の関係において、用語「溶出速度」は、ダパグリフロジン含有組成物をピークベッセルにおいて50rpmの撹拌子速度を有するUSP 2装置、37℃の試験温度、500mlの0.1M HCl溶液の溶出媒体を用いて溶出条件にかけたときに、規定の数分後に溶出した医薬組成物中のダパグリフロジンのパーセンテージ(重量%)を指す。或いは、指定されている場合には、500mlのリン酸緩衝液(pH6.8)の溶出媒体を用いた。
【0084】
本発明の関係において、用語「非晶質ダパグリフロジン」は、ダパグリフロジンが本発明の組成物(例えば、固体分散体、吸着体、または医薬組成物)中に実質的に非晶質状態で存在していることを指す。「実質的に」非晶質は、固溶体中、吸着体上、または医薬組成物中に存在しているダパグリフロジンの90%、好ましくは95%または97%、より好ましくはすべてが非晶質であることを示す。換言すると、「非晶質」ダパグリフロジン組成物は、例えばX線粉末回折分析で測定して、ダパグリフロジンの結晶部分を相当量含有していない、好ましくは顕著な量含有していないダパグリフロジン含有組成物を示す。本発明のダパグリフロジン含有組成物が非晶質ダパグリフロジンのみを含んでいるかを評価するために、ダパグリフロジン含有組成物のX線粉末回折パターンをプラセボ組成物、すなわちダパグリフロジンを含有していない組成物のX線粉末回折パターンと比較する。ダパグリフロジン含有組成物及びプラセボ組成物のそれぞれのパターンは相互に対応しているならば、ダパグリフロジンは非晶形でのみ存在している。
【0085】
本発明の意味の範囲内で、用語「固体分散体」(または、「固溶体」)は、殆どのダパグリフロジン、好ましくは固体分散体のダパグリフロジンの90%、95%、またはすべてが固体ポリマーマトリックス中に均質に分子的に分散している状態を示す。APIダパグリロジはポリマーとAPIの包接体の形態で存在していない。よって、マトリックスに適当であり且つマトリックスのために使用されるポリマーは、ダパグリフロジンを捕捉する分子キャビティを与えないポリマーである。これは、分子キャビティを与えるポリマーの該キャビティにAPIが捕捉または介在されているAPI−ポリマー複合体とは対照的である。
【0086】
よって、本発明の関係において、用語「固体分散体」、好ましくは固溶体は、API(原薬)及びポリマー分子が均一に、ただし非秩序に不規則に分散している分子分散体に関する。換言すると、固体分散体において2つの成分(ポリマー及びAPI)は固体分散体中のAPIの粒度がその分子サイズに減少している均質な1相系を形成する。好ましい実施形態では、本発明の固体分散体中にAPIとポリマー間の化学的結合が検出できない。そのような固体分散体、好ましくは固溶体を得るために、相当量のAPI(本発明の関係において、APIはダパグリフロジンである)が固体分散体の製造中に少なくとも一時適当な溶媒中に溶解されていなければならない。この要件が満たされている場合のみ、本発明の意味の範囲内の固体分散体が形成され得る。APIの「相当量」は、APIの少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%が適当な溶媒中に溶解していることを意味する。更に好ましい実施形態では、固体分散体を作成するときに全APIが溶解している。
【0087】
固体分散体の物理的特性を特徴づけるために、熱分析(例えば、冷却曲線、解凍・溶融、熱顕微鏡法及びDTA方法)、X線回折、顕微鏡法、分光法、溶出速度及び熱力学的方法のような技術を使用し得る。必要ならば、固体分散体系の全体像を得るために上記に挙げた方法の2つ(または、それ以上)を使用することも可能である。
【0088】
本発明の好ましい実施形態では、固体分散体は固溶体である。
【0089】
本発明の固体分散体とは対照的に、用語「包接体」は、環状ポリマーキャビティの内側のAPI分子の規則配置を示す。包接体では、環状ポリマー:API分子が本質的に1:1の比で存在し、API分子と環状ポリマー間には検出可能な化学結合がある。これは、ポリマーの量がAPIの量よりもかなり多い本発明の固体分散体と対照的である。
【0090】
本明細書中で使用されている表現「吸着体」は、APIが粒状基体の内表面及び/または外表面上に好ましくは均一に、好ましくは均質に分布されていることを特定する。担体または基体の表面上での(例えば、結晶セルロース内の)APIの分布は、例えばラマンイメージングにより分析され得る。本発明のAPIが担体(例えば、結晶セルロース)を有する複合体内に層状に均質に分布していることが好ましく、この層は好ましくは約1μm〜50μm、例えば結晶セルロースの場合には約5μm〜15μmの厚さを有している。
【0091】
本発明の意味の範囲内で、表現「基体の表面上に吸着している」は、API(ここでは、ダパグリフロジン)が適当な基体の内表面及び/または外表面上に堆積していることを示し、APIはその遊離形態であり、API粒子は基体上に形成されていない。更に、APIは溶媒和物、水和物または塩の形態で存在しない。
【0092】
本発明の意味の範囲内で、用語「基体」は、ダパグリフロジン溶液を適用し得る固体支持体を指す。前記適用は、好ましくは溶媒または溶媒の混合物をゆっくり除去及び/または蒸発させることにより実施され得る。
【0093】
本発明の関係において、用語「化学的安定性」は、規定の条件下で保存した後、ダパグリフロジンに由来するすべての分解産物の合計がダパグリフロジンの全量の2%以下、好ましくは0.5%以下であることを意味する。分解産物の分析及び検出はHPLCにより実施される。用語「化学的安定性」は「多形安定性」をも意味し得る。本発明の関係において、用語「多形安定性」は、XRPDにより調べてダパグリフロジンが結晶形に変換しないことを意味する。
【0094】
ダパグリフロジンまたは非晶質ダパグリフロジンの他の多形体の検出はXRPD測定によりなされ得る。
【0095】
本発明の関係において、非晶質ダパグリフロジンの存在はXRPDにより調べられる。所与のサンプルの(または、サンプル中の)結晶質粒子の不在は、サンプルをXRDにかけ、そのサンプルをプラセボと比較することにより調べられ得る。
【0096】
本発明の関係において、用語「ストレス条件下での保存」は、サンプルを開放雰囲気において40℃の高温及び相対湿度65%の高湿条件に21日間(最長1ヶ月または3ヶ月)曝したことを意味する。安定性を調べるために、初期状態と比較したストレス条件下での保存時の分解産物の増加を評価した。
【0097】
本発明の関係において、用語「促進条件下での保存」は、ICHガイダンスに従ってサンプルを非透過性容器において40℃の高温及び相対湿度75%の高湿条件に最長3ヶ月間曝したことを意味する。安定性を調べるために、初期状態と比較した促進条件下での保存時の分解産物の増加を評価した。
【0098】
ケッペンの気候区分は最も広く使用されている気候区分システムの1つである。エリアにおける年及び月平均気温及び降雨量、並びに降雨量の季節性が組み合わされている。Af気候のエリアを有する国の例は、ほんの数例を挙げればブラジル、インドネシア、メキシコ、プエルトリコ、ザイールである。Am気候のエリアを有する国の例は、ほんの数例を挙げればブラジル、インドネシア、メキシコ、キューバ、米国、ザイール、インド、中国、ビルマである。
【0099】
粒度分布は、分位点、例えばD5%、D10%、D50%、D90%、D95%、及びD98%を用いて記載され得る。本明細書中で使用されている「粒度分布」は、(例えば、マルバーンマスターサイザーを用いて)レーザー回折方法により測定した球相当径の累積体積サイズ分布を意味する。粒度分布の測定方法は当業者に公知である。例えば、(混合または超音波を用いて)非溶媒中に測定する材料を分散させることを含む方法である。
【0100】
本発明の関係において、「難吸湿性」は、ヨーロッパ薬局方7.0の5.11.に従う環境条件を用いて吸湿性アッセイにより試験したとき、多くとも2%、ただし少なくとも0.2%の質量増加を示すことを意味する。
【0101】
本発明の関係において、「非吸湿性」は、ヨーロッパ薬局方7.0の5.11.に従う環境条件を用いて吸湿性アッセイにより試験したとき、被験物質が多くとも0.2%の質量増加しか示さないことを意味する。
【0102】
本発明の関係において、本発明の意味の範囲内の「担体」は、本明細書中で「担体の粒子」または「担体粒子」とも称されている。
【発明を実施するための形態】
【0105】
ここで、本発明を好ましい実施形態及び実施例によりより詳細に説明する。しかしながら、これらは例示の目的のみで提示されており、本発明の範囲を決して限定すると解釈されない。
【0106】
純粋な非晶質ダパグリフロジンは低いガラス転移温度(約40℃)を有している。更に、純粋な非晶質ダパグリフロジンは吸湿性であり、これは相対湿度(RH)80%で約6%の水を吸収することを意味する。第1サイクル中の吸脱着はヒステリシスを示す。脱着は不完全であり、約3%の水が第1サイクル中に不可逆的に吸収され、その結果粉末から半固体へのコンシステンスの変化が生ずる。これらの特性、すなわち低いガラス転移温度及び吸湿性はダパグリフロジンの加工性に対してマイナス効果を有し、含量均一性、保存安定性または溶出プロフィールのような所望の治療効果に寄与するダパグリフロジンを含む医薬組成物の重要な特性に対するマイナスの影響も伴っている。他の形態のダパグリフロジン、例えばダパグリフロジンプロピレングリコール水和物は80% RHで約0.8%の水しか吸収しないので難吸湿性である。
【0107】
実施例1から分かるように、ダパグリフロジンをその遊離形態で含有しており、非常に良好な溶出プロフィールを有している剤形の提供は、例えばWO 2008/002824またはWO 2008/116179に開示されているプロピレングリコール溶媒和物の形態のようなダパグリフロジン溶媒和物を用いたときよりもより厳しい要求である。
【0108】
驚くことに、本発明の医薬製剤、特に本発明の固体分散体または吸着体を含む医薬組成物中にダパグリフロジンが非晶形で存在すると、従来の製造技術により得た製品と比較したとき例えば加工性、含量均一性、(保存)安定性及び/または溶出プロフィールの点で全体的に改善された性能が与えられ得ることが知見された。
【0109】
加えて、驚くことに、ダパグリフロジンを適当なポリマーと一緒に溶媒中に溶解し、得られた溶液を流動層装置中の循環している粉末に対して噴霧すると、特に非活性賦形剤担体(すなわち、活性物質を含んでいない)を使用したときには、溶出が従来技術の製造技術と比較して驚くほど改善されたことが知見された。驚くことに、ダパグリフロジンを不活性基体上に吸着体として製造した後賦形剤と混合すると、溶出が驚くほど改善され、高い粉末取り扱い特性が得られたことも知見された。
【0110】
従って、1つの態様で、本発明は、少なくとも1つの適当なポリマー及び式1
【0111】
【化7】
のダパグリフロジン((2S,3R,4R,5S,6R)−2−[4−クロロ−3−(4−エトキシベンジル)フェニル]−6−(ヒドロキシメチル)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3,4,5−トリオール)を含む非晶質固体分散体、好ましくは固溶体に関する。
【0112】
APIダパグリフロジンはマトリックスポリマーとAPIの包接体の形態で存在しない。よって、マトリックス用に使用されるポリマーは、ダパグリフロジンを捕捉する分子キャビティーを与えないポリマーである。これは、分子キャビティーを与えるポリマーの該キャビティーにAPIが捕捉または介在しているAPI−ポリマー複合体と対照的である。
【0113】
適当なポリマーを同定するために当業者に公知の適当な方法が使用され得る。
【0114】
好ましい実施形態では、本発明の固体分散体は実質的に均質である。
【0115】
固体分散体中に存在している少なくとも1つの適当なポリマーは、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリアクリル酸(PAA)、ポリ(エチレングリコール)(PEG)、ポリ(エチレンオキシド)(PEO)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、コポビドン、ヒプロメロースアセテートスクシネート(AQOAT)、ポリアクリレート及びその混合物からなる群から選択され得る。
【0116】
好ましい実施形態では、少なくとも1つのポリマーは好ましくはPVP、PVA、HPC及びHPMCからなる群から選択される。
【0117】
更により好ましい実施形態では、少なくとも1つのポリマーはポリビニルピロリドン(PVP)及びポリビニルアルコール(PVA)からなる群から選択される。
【0118】
本発明の固体分散体の更なる実施形態では、ダパグリフロジンと少なくとも1つのポリマーの重量比は1:10〜10:1、好ましくは1:1〜1:10であり得る。好ましい実施形態では、ダパグリフロジンと少なくとも1つのポリマーの重量比は約1:2である。2つの成分の重量比は剤形の最終サイズに依存している。
【0119】
好ましくは、上記した固体分散体中に含まれるダパグリフロジンは、保存時、場合によりストレス及び促進条件下、例えば40℃及び湿度75%での1ヶ月間、2ヶ月間、または3ヶ月間保存時に非晶質状態で安定であり、HPLCにより測定される不純物の合計量は0.10以下、さらには0.05以下である。
【0120】
本発明の固体分散体中でダパグリフロジン及び上記した適当なポリマーが包接体を形成しないことが更に好ましい。好ましい実施形態では、ポリマーはシクロデキストリンまたはシクロデキストリン誘導体、例えば置換シクロデキストリンではなく、好ましくはダパグリフロジン及びポリマーはダパグリフロジン−シクロデキストリン包接体またはダパグリフロジン−シクロデキストリン誘導体包接体を形成しない。
【0121】
例えば本発明の固体分散体でないダパグリフロジンを含む包接体または他の溶液の形成を避けるよりも、むしろ本発明の固体分散体を適用することにより、例えば時間及びコストの点で改善された方法が得られ得る。これは、さもなければ必要とされる賦形剤及び/または方法技術を必要としないからである。更に、従来通りに製造した医薬剤形と比較して改善された溶解性、含量均一性及び適切な保存性、例えば安定性を示す医薬組成物、例えば錠剤またはカプセル剤のような剤形が製造され得る。
【0122】
本発明の固体分散体を製造するために使用されるポリマーは10個以上、100個以上、または1,000個以上のモノマー単位を有するポリマー鎖を含み得る。更に、ポリマーは50,000個以下のモノマー単位を有し、及び/または少なくとも1,000または少なくとも10,000ダルトンであるが、3.000.000ダルトン以下の平均分子量を有していることが好ましい。好ましくは、ポリマーは環状ポリマーではなく、及び/または線状または分岐状ポリマーである。好ましい実施形態では、本発明の固体分散体を製造するために使用されるポリマーは10、100、または1,000個のモノマー単位〜50,000個のモノマー単位を有するポリマー鎖を含む。更に好ましい実施形態では、本発明の固体分散体を製造するために使用されるポリマーは100個のモノマー単位〜10,000、25,000、または50,000個のモノマー単位を有するポリマー鎖を含む。更に好ましい実施形態では、本発明の固体分散体を製造するために使用されるポリマーは1,000、10,000、または100,000ダルトン〜3,000.000ダルトンの平均分子量を有する。更に好ましい実施形態では、本発明の固体分散体を製造するために使用されるポリマーは10,000ダルトン〜250,000、500,000、1,000,000、2,000,000、または3,000,000ダルトンの平均分子量を有する。
【0123】
本発明によれば、ダパグリフロジンは固体分散体中に、好ましくはその遊離形態で存在している。特に、ダパグリフロジンは溶媒和物、水和物または塩の形態で存在していない。好ましくは、ダパグリフロジンは本発明の固体分散体を製造するためにその遊離形態でも使用される。ダパグリフロジンをその遊離(純粋)形態で含有しておらず、例えばダパグリフロジン及びプロピレングリコール水和物を含有している従来技術の製剤とは対照的に、本明細書中には純粋なダパグリフロジン製剤が開示されている。ダパグリフロジンをその遊離形態で使用すると、例えば製造ステップの数を減らすことにより製造時間、製造収率及びコストの点で製造方法が改善され得る。例えば、本発明の方法はダパグリフロジンプロピレングリコール溶媒和物水和物の製造を必要としない。
【0124】
固体分散体が結晶質ダパグリフロジンと会合し得る結晶質部分を含有していないことが更に好ましく、特に結晶質部分はX線粉末回折測定により検出できない。すなわち、結晶質ダパグリフロジンに割り当てられ得るピークが観察されない。ダパグリフロジンの結晶形態及びその特徴的XRPDピークは例えばWO 2008/002824から当業者に公知である。
【0125】
更なる実施形態では、固体分散体を本明細書中で「担体の粒子」または「担体粒子」とも称されている担体に適用することも可能である。担体は、例えば不溶性ポリマー;無機塩;糖;セルロース及びセルロース誘導体;デンプン;糖アルコール;無機酸化物からなる群から選択され得る。好ましくはセルロース、例えばアビセル(R)のような結晶セルロース;及び糖、例えば例えばラクトース(一水和物または無水物)からなる群から選択され得る。好ましくは、担体は水不溶性である。固体分散体を担体粒子に適用すると顆粒が形成され得る。粒子の好ましい粒度分布は本明細書の他のところに記載されている。ダパグリフロジン及び少なくとも1つの適当なポリマーを本明細書中に記載されている適当な溶媒または溶媒の混合物中に含む溶液を担体粒子に対して噴霧または分散させることにより、固体分散体を担体粒子に適用することが好ましい。溶液を噴霧または分散させることにより、顆粒化方法を実施する。この顆粒化方法は好ましくは低剪断、高剪断または流動層顆粒化方法である。
【0126】
よって、本発明は、
a)ダパグリフロジン及び少なくとも1つの適当なポリマーを適当な溶媒または溶媒の混合物中に含む溶液を用意し、前記溶媒または溶媒の混合物は好ましくは水、ハロゲン化炭化水素、C1−C4アルコール、C3−C6ケトン、有機エーテル、有機エステルまたはその混合物からなる群から選択され、より好ましくはエタノール、水、アセトン、イソプロパノールまたはその混合物からなる群から選択され;
b)場合により、好ましくは低剪断、高剪断または流動層顆粒化プロセス中に、ステップ(a)の溶液を項目13に規定されている担体粒子に対して噴霧または分散させて顆粒を形成し;
c)溶媒を蒸発または除去させ、蒸発ステップは好ましくは流動層乾燥、噴霧乾燥、フリーズドライ(凍結乾燥)、真空乾燥、トレー乾燥、マイクロ波乾燥、または溶媒を蒸発させるための当業者に公知の他の方法により実施し、これにより固体分散体を形成する:
ことを含む本発明の固体分散体の製造方法にも関する。
【0127】
上記したように、ステップb)を実施すると、顆粒が得られる。ステップb)を実施しない場合、すなわち固体分散体を担体粒子に対して適用しない場合には、溶媒を除去(または、蒸発)すると粉末が生ずる。
【0129】
【化8】
のダパグリフロジン及び場合により少なくとも1つの適当なポリマーを適当な溶媒または溶媒の混合物中に含む溶液を用意し、少なくとも1つのポリマーは本明細書中に記載されているように選択され;
b)場合により、好ましくは低剪断、高剪断または流動層顆粒化プロセス中に、ステップ(a)の溶液を項目13に規定されている担体粒子に対して噴霧または分散させて顆粒を形成し;
c)溶媒を蒸発または除去させ、蒸発または除去ステップは好ましくは流動層乾燥、噴霧乾燥、フリーズドライ(凍結乾燥)、真空乾燥、トレー乾燥、マイクロ波乾燥、または溶媒を蒸発させるための当業者に公知の他の適当な方法により実施し;
d)ステップb)またはc)の得られた組成物を1つ以上の医薬的に許容され得る賦形剤と混合する;
を含む医薬組成物中にダパグリフロジンが非晶質ダパグリフロジンとしてのみ存在している医薬組成物の製造方法にも関する。
【0130】
好ましい実施形態では、溶媒蒸発または除去ステップは流動層乾燥器において当業者に公知の適当な条件を用いて実施する。
【0131】
溶媒の蒸発は、溶液の賦形剤に対する噴霧/分散と同時に(流動層乾燥器)、または逐次(まず、高剪断下で溶液を賦形剤に対して分散させ、その後溶媒を流動層、真空、トレー乾燥器、マイクロ波で除去−乾燥させる)実施し得る。
【0132】
本明細書中で言及されている流動層乾燥、噴霧、凍結乾燥、真空乾燥、トレー乾燥、マイクロ波乾燥及び混合方法は当業者に公知の方法であり、よって適当なガイドラインに従って当業者により実施され得る。
【0133】
噴霧乾燥方法は例えばトップスプレー造粒機または噴霧乾燥機のような流動層造粒機において実施され得る。高剪断顆粒化は例えばGral 10のような高剪断造粒機において実施され得、流動層顆粒化は例えばGlatt GPCG流動層造粒機において適当な条件を用いて実施され得る。例えば、流動層顆粒化は入口空気温度:30〜80℃、噴霧速度:5〜50g/分の条件を用いて実施され得る。高剪断混合は混合速度:200〜500RPM、混合時間:1〜10分間の条件を用いて実施され得る。
【0134】
ダパグリフロジン及び少なくとも1つのポリマーを適当な溶媒中に含む溶液を用意するために(ステップa))、当業者に公知の適当な方法を使用し得る。例えば、ポリマーを適当な溶媒または溶媒の混合物中に溶解し得、この溶媒または溶媒の混合物中にダパグリフロジンも溶解させる。これらのステップの順序を逆転させてもよい。
【0135】
溶媒または溶媒の混合物は水、ハロゲン化炭化水素、C1−C4アルコール、C3−C6ケトン、有機エーテル、有機エステルまたはその混合物からなる群から選択され得、より好ましくはエタノール、水、アセトン、イソプロパノールまたはその混合物からなる群から選択される。
【0136】
適当なポリマーは線状水溶性ポリマーであり得、及び/または溶媒または溶媒の混合物は好ましくは水、ハロゲン化炭化水素、C1−C4アルコール、C3−C6ケトン、有機エーテル、有機エステルまたはその混合物からなる群から選択され、より好ましくはエタノール、水、アセトン、イソプロパノールまたはその混合物からなる群から選択される。
【0137】
噴霧乾燥、乾燥及び混合方法は当業者に公知の方法であり、“Encyclopedia of pharmaceutical technology”のような適当な公知のガイドラインに従って当業者により実施され得る。
【0138】
更なる実施形態では、固体分散体を得るために当業者に公知の適当なホットメルト手順(ホットメルト押し出し)を適用し得る。ダパグリフロジン及び少なくとも1つのポリマーを一緒に加熱し、混合する。ホットメルト手順は当業者に公知であり、例えばホットメルト押出機において以下のプロトコルに従って実施する:ポリマー及びAPIを予混合し、押出機に供給する。この押出機において、材料を軟化まで加熱した後、マトリックスを介して押出す。その後、得られた押出物を冷却し、切断または粉砕する。ステップa)におけるこのホットメルト押出し方法は顆粒を製造するときだけでなく、例えば本明細書の他のところに記載されている固体分散体または医薬組成物を製造するときにも実施され得ることに注目しなければならない。
【0139】
本発明は、
a)上に規定したステップを適用することにより本発明の固体分散体を用意するステップ;及び
b)ステップ(a)の固体分散体を1つ以上の医薬的に許容され得る賦形剤と混合するステップ;
を含む医薬組成物の製造方法にも関する。
【0140】
次いで、医薬組成物は、例えばステップ(b)の混合物を錠剤コアに圧縮し、場合により錠剤コアをコーティングすることにより剤形を作成するために使用され得る。
【0141】
本発明は、本明細書中に記載されている方法により得られ得る固体分散体、顆粒または医薬組成物にも関する。好ましくは、II型糖尿病を治療するために使用されることが公知のAPIが更に存在していない。更に好ましい実施形態では、ダパグリフロジンが本明細書中に記載されている固体分散体、顆粒または医薬組成物中に存在する唯一のAPIである。よって、上記した方法のステップb)は、II型糖尿病の治療に使用されることが公知の追加の医薬活性成分、例えばメトホルミンの非存在下で実施することが好ましく、ステップb)を追加のAPIの非存在下で実施することがより好ましい。換言すると、好ましい実施形態では、ダパグリフロジンが本発明の固体分散体、顆粒、吸着体及び/または医薬組成物中に存在する唯一のAPIである。
【0142】
本発明の方法に従って得られるかまたは得られ得る顆粒、医薬組成物及び固体分散体は、従来方法に従って製造した顆粒、医薬組成物及び固体分散体のそれぞれの特性(例えば、含量均一性)と比較したとき、改善された特性、例えば改善された含量均一性を示す。含量均一性は、例えばヨーロッパ薬局方(Ph.Eur.)2.9.40に従って当業者に公知の適当な方法に従って測定され得る。
【0143】
本発明は、基体の表面上に吸着されている式1
【0144】
【化9】
のダパグリフロジン((2S,3R,4R,5S,6R)−2−[4−クロロ−3−(4−エトキシベンジル)フェニル]−6−(ヒドロキシメチル)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3,4,5−トリオール)を含む吸着体にも関し、ダパグリフロジンは実質的に非晶質であり、基体は
(a)無機酸化物、
(b)水不溶性無機塩、
(c)水不溶性ポリマー、及び
(d)活性炭
からなる群から選択され、(a)、(b)及び(c)が好ましい。
【0145】
驚くことに、吸着体の形態の場合には良好な水溶性(約1mg/ml)を有するAPIダパグリフロジンが良好な加工性を示すために本発明の吸着体を提供することが知見された。
【0146】
好ましくは、吸着体中においてダパグリフロジンは粒子の形態で存在していない。
【0147】
無機酸化物はSiO
2、TiO
2、ZnO
2、ZnO、Al
2O
3及びゼオライトからなる群から選択され得、及び/または水不溶性ポリマーは架橋ポリビニルピロリジノン、架橋酢酸フタル酸セルロース、架橋酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、結晶セルロース、ポリエチレン/ポリビニルアルコールコポリマー、ポリエチレン/ポリビニルピロリジノンコポリマー、架橋カルボキシメチルセルロース、デンプングリコール酸ナトリウム及び架橋スチレンジビニルベンゼンからなる群から選択され得、及び/または活性炭はポリイミド、ポリアクリロニトリル、フェノール樹脂、酢酸セルロース、再生セルロース及びレーヨンからなる群から選択される。好ましくは、基体は二酸化ケイ素、例えばコロイド状またはヒュームド二酸化ケイ素、または多孔質シリカ;コポリマー、例えばポリエチレン/ポリビニルアルコールコポリマー、ポリエチレン/ポリビニルピロリジノンコポリマー;及びセルロース、好ましくは結晶セルロースからなる群から選択される。
【0148】
好ましくは、ダパグリフロジンは保存時、場合によりストレス条件下での保存時に非晶質状態で安定である。安定性を調べるための適当な試験は本発明の固体分散体に関して本明細書中の他のところに記載されている。
【0149】
吸着体においてダパグリフロジンは基体と会合され得、本質的に全API、好ましくはすべてのAPIが非晶形で存在している。
【0150】
基体が高いBET表面積を有していることも好ましい。当業者は、BET表面積がそれぞれ各基体が有し得るBET表面積に基づいて「高い」ものを知っている。例えば、BET表面積は少なくとも1m
2/g、好ましくは1〜1000m
2/gの範囲である。基体のBET表面積の測定は文献:J.Am.Chem.Soc.,60,309(1938)に記載されている方法に従って実施され得る。加えて、規定されているBET表面積を有する基体は以下に規定されている多孔度を有し得る。例えば、基体の多孔度は少なくとも20%、30%、40%、50%、または60%であり得る。また、多孔度は10〜70%の範囲、20〜70%の範囲、30〜70%の範囲、または40〜70%の範囲であり得る。本明細書中で使用されている用語「多孔度」は、上記方法を用いて測定され得るオープンポア多孔度を指す。基体のオープンポアは典型的には吸着体の製造方法中にAPIを含有している溶媒に接近し得る。
【0151】
本発明に従って得られる吸着体は、例えばSEM(倍率、例えば100倍〜10000倍)またはラマンイメージングにより分析され得る。
【0152】
好ましい実施形態では、本質的にすべてのダパグリフロジンが吸着体中に非晶形で存在している。
【0153】
本発明の基体は粒状及び/または多孔質基体であり得、これはこの基体がその上にAPIが吸着され得る外表面及び/または内表面を有していることを意味する。更に、本発明の基体はAPIの吸着中にその形態を本質的に変化させない。
【0154】
多孔度はDIN EN 623−2に従って測定され得、多孔度は少なくとも20%、30%、40%、50%、または60%であり得る。また、多孔度は10〜70%の範囲、20〜70%の範囲、30〜70%の範囲、または40〜70%の範囲であり得る。
【0155】
固体分散体中と同様に、吸着体中のダパグリフロジンは好ましくはその遊離形態で存在しており、特にダパグリフロジンは溶媒和物、水和物、または塩の形態で存在していない。
【0156】
好ましくは、吸着体は結晶質部分を含有せず、特に結晶質部分はX線粉末回折測定により検出できない。
【0157】
吸着体中のダパグリフロジンの量は0.01〜40重量%の範囲、好ましくは0.1〜30重量%の範囲、より好ましくは1〜30重量%の範囲、更により好ましくは1〜20重量%の範囲(それぞれ、全吸着体に対する重量%)であり得る。
【0159】
【化10】
のダパグリフロジンを溶媒または溶媒の混合物中に含む溶液を基体と組合せ、前記溶媒または溶媒の混合物は場合によりハロゲン化炭化水素、C5−C9炭化水素、C1−C4アルコール、C3−C6ケトン、有機エーテル、有機エステル及びその混合物からなる群から選択され;
b)溶媒または溶媒の混合物を減圧下で除去(または、蒸発)して吸着体を形成する;
ことを含む本明細書中に記載されている吸着体の製造方法にも関する。
【0160】
溶媒を公知方法により除去し得る。好ましくは溶媒を濾過または蒸発により、または蒸発と濾過の組合せにより除去し、より好ましくは溶媒を蒸発により除去する。適当には少なくとも30分間、更に好ましい少なくとも50または60分間の期間(蒸発期間)中溶媒をゆっくり蒸発させるか、または蒸発及び濾過するように蒸発、または蒸発及び濾過を実施することも好ましい。最長の溶媒除去時間は2時間である。本発明の関係において、「蒸発期間」は、溶媒の少なくとも80%、更に好ましくは少なくとも90%、更に好ましくは少なくとも95%を蒸発させるのに必要な時間に相当する。換言すると、蒸発期間は例えば溶媒の少なくとも80%が蒸発する時間を測定することにより決定される。溶媒をゆっくり除去することは、急速除去するためには必要である不経済で、複雑かつ面倒な方法ステップを必要としない利点を有する。加えて、溶媒をゆっくり除去すると、例えばAPIの安定性及び溶解度の点で改善された特性を有する安定な吸着体が形成される。すなわち、開示されている方法によりAPI物質と基体材料の表面間に会合力が平衡して形成されて高いAPI安定性が与えられ、その後に水溶液に投入すると上記した力が大きく、比較的急速に解離し得る。溶媒の蒸発/除去を余りに急速に実施すると、例えばAPIの共沈物が形成し、APIは基体上に吸着されないであろう。
【0161】
本発明は、
a)本明細書の他のところに記載されているように製造した吸着体及び少なくとも1つの医薬的に許容され得る賦形剤の混合物を用意し;
b)場合により、ステップa)で得た混合物を微粉砕及び/またはふるい分けし;
c)ステップa)またはb)の混合物を乾式製剤化により医薬組成物に製剤化する;
ことを含む本明細書中に記載されている吸着体を含む医薬組成物の製造方法にも関する。
【0162】
微粉砕及びふるい分けは当業者に公知の方法である。適当な微粉砕またはふるい分け方法を使用し得る。
【0163】
同じことが、混合物の医薬組成物への乾式製剤化にも当てはまる。
【0164】
本発明は、本明細書中に記載されているかまたは本明細書中に記載されている方法により得られ得る吸着体、及び例えば増量剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤及び界面活性剤からなる群から選択される1つ以上の医薬賦形剤を含む医薬組成物にも関する。
【0165】
医薬組成物中の吸着体の量は1〜95重量%の範囲、好ましくは5〜90重量%の範囲、より好ましくは10〜70重量%の範囲、更により好ましくは20〜50重量%の範囲(それぞれ、全医薬組成物に対する重量%)であり得る。
【0166】
本発明の医薬組成物、好ましくは本発明の即時放出型錠剤は少なくとも1つの賦形剤を含む。経口固体剤形中に含まれる賦形剤または賦形剤の混合物が医薬的に許容され得るならば、通常これらの賦形剤の化学的種類に関して特別の限定はない。医薬的に許容され得る賦形剤は、賦形剤に起因する副作用が非晶質ダパグリフロジンの有益作用を損なわないように非晶質ダパグリフロジンの有効活性と調和する濃度で患者に対して比較的非毒性であり、無害の賦形剤である。従って、本発明によれば、賦形剤は例えば崩壊剤、結合剤、滑沢剤、増量剤、可塑剤、界面活性剤及び湿潤剤、フィルム形成剤及びコーティング材、甘味料、着香料、及び顔料のような着色料である。医薬組成物の分野で公知の他の賦形剤も使用し得る。
【0167】
増量剤は各種グレードのデンプン、例えばトウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、コメデンプン、小麦デンプン、アルファデンプン、完全アルファデンプン;セルロース誘導体、例えば結晶セルロースまたはケイ酸化結晶セルロース;糖アルコール、例えばマンニトール、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール;単糖類、例えばグルコース;オリゴ糖類、例えばスクロース、及びラクトース、例えばラクトース一水和物、無水ラクトース、噴霧乾燥クトースまたは無水ラクトース;カルシウム塩、例えばリン酸水素カルシウムからなる群から選択され得る。特に好ましくは、増量剤は結晶セルロース、ケイ酸化結晶セルロース、ラクトース一水和物、噴霧乾燥ラクトース及び無水ラクトースからなる群から選択される。
【0168】
崩壊剤はカルメロースカルシウム、カルボキシメチルデンプンナトリウム、クロスカルメロースナトリウム(セルロースカルボキシメチルエーテルナトリウム塩、架橋)、デンプン、化工デンプン、例えばアルファデンプン、デンプン誘導体、例えばデンプングリコール酸ナトリウム、架橋ポリビニルピロリドン(クロスポビドン)及び低置換ヒドロキシプロピルセルロース、及び崩壊助剤、例えばメタケイ酸アルミン酸マグネシウム、及びイオン交換樹脂、例えばポラクリリンカリウムからなる群から選択され得る。特に好ましくは、崩壊剤はデンプングリコール酸ナトリウム、クロスカルメロースナトリウム及びクロスポビドンからなる群から選択される。
【0169】
滑沢剤はステアリン酸、タルク、ベヘン酸グリセリル、フマル酸ステアリルナトリウム及びステアリン酸マグネシウムからなる群から選択され得る。特に好ましくは、滑沢剤はステアリン酸マグネシウム及びフマル酸ステアリルナトリウムである。
【0170】
結合剤はポリビニルピロリドン(ポビドン)、ポリビニルアルコール、ビニルピロリドンと他のビニル誘導体のコポリマー(コポビドン)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、アラビアゴム末、ゼラチン、グアーガム、カルボマー、例えばカルボポール、ポリメタクリレート及びアルファデンプンからなる群から選択され得る。
【0171】
希釈剤は上にリストした増量剤に相当し得る。
【0172】
流動促進剤はコロイド状シリカ、疎水性コロイド状シリカ及び三ケイ酸マグネシウム、例えばタルクからなる群から選択され得る。特に好ましくは、流動促進剤はコロイド状シリカ及び疎水性コロイド状シリカからなる群から選択される。
【0173】
適当な甘味料はアスパルテーム、サッカリンナトリウム、グリセルリチン酸ジカリウム、アスパルテーム、ステビア、ソーマチン等からなる群から選択され得る。
【0174】
好ましくは、賦形剤は結晶セルロース、ケイ酸化結晶セルロース、無水ラクトース、ラクトース一水和物、噴霧乾燥ラクトース、クロスカルメロースナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、低置換ヒドロキシプロピルセルロース、クロスポビドン、ステアリン酸マグネシウム及びフマル酸ステアリルナトリウムである。
【0175】
本発明の適当なフィルム形成剤及びコーティング材には、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロース、HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、シェラック、液体グルコース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドンと酢酸ビニルのコポリマー、例えばコリドン(R)VA64 BASF、アクリル酸及び/またはメタアクリル酸エステルとメチルアクリル酸トリメチルアンモニウムのコポリマー、ジメチルアミノメタクリル酸と中性メタクリル酸エステルのコポリマー、メタクリル酸またはメタクリル酸エステルのポリマー、アクリル酸エチルエステルとメタクリル酸メチルステルのコポリマー、及びアクリル酸とアクリル酸メチルエステルのコポリマーが含まれるが、これらに限定されない。
【0176】
本発明の適当な可塑剤には、ポリエチレングリコール、フタル酸ジエル及びグリセロールが含まれるが、これらに限定されない。ポリエチレングリコールが好ましい。
【0177】
本発明の適当な着色料には、顔料、無機顔料、FD&C 赤色3号、FD&C 赤色20号、FD&C 黄色6号、FD&C 青色2号、D&C 緑色5号、D&C 橙色5号、D&C 赤色8号、カルメラ、赤色酸化鉄、黄色酸化鉄及び二酸化チタンが含まれるが、これらに限定されない。
【0178】
本発明に従って使用され得る適当な更によく使用されている賦形剤には、酸性化剤、例えば酢酸、クエン酸、フマル酸、塩酸及び硝酸;アルカリ化剤、例えばアンモニア水、炭酸アンモニウム、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、水酸化カリウム、ホウ酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、トリエタノールアミン及びトロラミン;吸着剤、例えば粉末セルロース及び活性炭;安定化剤及び抗酸化剤、例えばアスコルビン酸、パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、次亜リン酸、モノチオグリセロール、没食子酸プロピル、アスコルビン酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、ホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム及びピロ亜硫酸ナトリウム;結合剤、例えばブロックポリマー、天然及び合成ゴム、ポリアクリレート、ポリウレタン、シリコーン、ポリシロキサン及びスチレン−ブタジエンコポリマー;緩衝剤、例えばメタリン酸カリウム、リン酸ジカリウム、酢酸ナトリウム、無水クエン酸ナトリウム及びクエン酸ナトリウム水和物;カプセル化剤、例えばゼラチン、デンプン及びセルロース誘導体;フレーバー、マスキング剤及び香料、例えばアニス油、ケイ皮油、ココア、メントール、オレンジ油、ヘパーミント油及びバニリン;保湿剤、例えばグリセロール、プロピレングリコール及びソルビトール;甘味料、例えばアスパルテーム、デキストロース、グリセロール、マンニトール、プロピレングリコール、サッカリンナトリウム、ソルビトール及びスクロース;抗付着剤、例えばステアリン酸マグネシウム及びタルク;直接圧縮賦形剤、例えば第二リン酸カルシウム、ラクトース及び結晶セルロース;錠剤研磨剤、例えばカルナバワックス及びホワイトワックスが含まれるが、これらに限定されない。
【0179】
当業者は、製剤の内容物及び濃度に応じて特定の賦形剤が各種機能、時には異なる機能を満足し得ることを認めている。例えば、結晶セルロースは、製剤の内容物及び濃度に応じて錠剤製造中に増量剤、結合剤及び/または崩壊材として使用され得る特に加水分解されているセルロースである。医薬賦形剤及び医薬製剤に関する文献、例えばFiedler Encyclopedia of Excipients for Pharmaceuticals,Cosmetics and Related Areas.Wissenschaftliche Verlagsgesellschaft Stuttgart,2013,Bauer,Fromming and Fuhrer,“Lehrbuch der Pharmazeutischen Technologie”,Wissenschaftliche Verlagsgesellschaft Stuttgart,9.Auflage(2012)、または特に錠剤製造に着目してAugsburger and Stephen,Pharmaceutical Dosage Forms:Tablets,第3版,Volume 2.Informa Healthcare(2008)を参照されたい。従って、当業者は、「崩壊剤」、「結合剤」、「滑沢剤」、「増量剤」、「可塑剤」、「界面活性剤」、「湿潤剤」、「フィルム形成剤」、「コーティング材」、「甘味料」、「着香料」及び「着色剤」のような用語は主に機能的定義であり、上記されている構造特徴は適当な賦形剤をより容易に同定できるように挙げられている。
【0180】
本発明の経口固体剤形は好ましくは圧縮または非圧縮剤形である。好ましくは、本発明の経口固体剤形は顆粒剤、カプセル剤、例えば顆粒が充填されているカプセル剤、サッシェ剤、ペレット剤、糖衣錠、薬用ドロップ、トローチ剤、香剤、または錠剤、例えば非コーティング錠剤、コーティング錠剤、沸騰錠剤、可溶性錠剤、分散性錠剤、口内分散性錠剤、口腔に使用するための錠剤、チュアブル錠剤または押出物である。好ましくは、楕円形または丸形錠剤、またはカプセルの最長寸法は多くとも約35mmである。
【0181】
本発明の好ましい実施形態によれば、医薬組成物は圧縮剤形である。より好ましくは、医薬組成物は錠剤である。錠剤は、好ましくは顆粒化方法により製造される均一容量の粒子または粒子凝集物を圧縮することにより作成され得る。この錠剤の作成において、取り扱いまたはその後の化工時の崩壊または破断を避けるために錠剤が適当な機械的強度を有していることを確保するための手段を取る。錠剤を作成する方法は当業者に公知である。最も好ましくは、医薬組成物は即時放出型錠剤である。最も好ましくは、ダパグリフロジンは医薬組成物中に純粋な非晶形で存在する。
【0182】
この実施形態によれば、本発明の剤形、好ましくは錠剤が増量剤、崩壊剤、滑沢剤及び界面活性剤からなる群から選択される少なくとも1つの賦形剤を含むことが好ましい。より好ましくは、本発明の剤形は少なくとも1つの増量剤、少なくとも1つの崩壊剤、少なくとも1つの滑沢剤、及び少なくとも1つの界面活性剤を含む。更により好ましくは、錠剤は、いずれも錠剤の全重量に対して、40〜95重量%の量の少なくとも1つの増量剤、好ましくは結晶セルロース、2〜10重量%の量の少なくとも1つの崩壊剤、好ましくはクロスカルメロースナトリウム、少なくとも1つの結合剤、好ましくはポビドン、0.5〜5重量%の量の少なくとも1つの滑沢剤、好ましくはステアリン酸マグネシウム、及び少なくとも1つの界面活性剤、例えばNaLSを含む。
【0183】
本発明の錠剤は通常医薬組成物の全重量に基づいて約1〜約10重量%のダパグリフロジンを含有している。より好ましくは、各含量は4〜約8%である。
【0184】
本発明のこの実施形態によれば錠剤の好ましい溶出速度は15分間で少なくとも50%である。溶出速度は、好ましくは50分間で少なくとも90%;より好ましくは15分間で少なくとも50%、50分間で少なくとも90%;特に好ましくは15分間で少なくとも80%、40分間で少なくとも90%である。
【0185】
特に好ましい実施形態によれば、本発明は、実施例1、2、3または4に特定されている錠剤に関する。本発明のこの特に好ましい実施形態に関して、この錠剤が例えば従来技術の錠剤に比して改善された含量均一性及び/または改善された溶出特性を示すことが知見された。
【0186】
医薬組成物は、ケッペンの気候区分に従ってAfまたはAm気候、好ましくはAf気候のエリアを有する国の患者に投与され得る。
【0187】
ケッペンの気候区分は最も広く使用されている気候区分システムの1つである。エリアにおける年及び月平均気温及び降雨量、並びに降雨量の季節性を組み合わせている。Af気候のエリアを有する国の例は、ほんの数例を挙げればブラジル、インドネシア、メキシコ、プエルトリコ、ザイールである。Am気候のエリアを有する国の例は、ほんの数例を挙げればブラジル、インドネシア、メキシコ、キューバ、米国、ザイール、インド、中国、ビルマである。
【0188】
従って、本発明は、II型糖尿病の治療に使用するための本発明の医薬組成物、例えば錠剤のような経口固体剤形にも関し、前記した医薬組成物、例えば錠剤のような経口固体剤形はケッペンの気候区分に従ってAfまたはAm気候、好ましくはAf気候のエリアを有する国の患者に対して投与される。更に、本発明は、II型糖尿病の治療に使用するための本発明の医薬組成物、例えば錠剤のような経口固体剤形に関し、前記した医薬組成物、例えば錠剤のような経口固体剤形はケッペンの気候区分に従ってAfまたはAm気候、好ましくはAf気候のエリアを有する国の患者に対して投与され、前記した経口剤形のような医薬組成物は規格DIN 53122−1に従って測定して少なくとも0.4g/m
2/d、好ましくは少なくとも1g/m
2/d、より好ましくは少なくとも2g/m
2/dの水蒸気透過率を有する包装材料中に包装される。
【0189】
本発明は、低血糖に関連する疾患、例えばII型糖尿病の治療に使用するための非晶質ダパグリフロジンにも関し、前記した医薬組成物、例えば錠剤のような経口剤形は場合によりケッペンの気候区分に従ってAfまたはAm気候、好ましくはAf気候のエリアを有する国の患者に投与される。本発明は、医薬組成物、例えば剤形を作成するための非晶質ダパグリフロジンにも関し、前記した医薬組成物、例えば剤形は規格DIN 53122−1に従って測定して少なくとも0.4g/m
2/d、好ましくは少なくとも1g/m
2/d、より好ましくは少なくとも2g/m
2/dの水蒸気透過率を有する包装材料中に包装される。この実施形態の好ましい剤形は錠剤のような経口固体剤形である。
【0190】
更に、本発明は、ダパグリフロジンS−プロピレングリコール水和物の代わりに非晶質ダパグリフロジンを含む医薬組成物、例えば経口固体剤形を同様に包装し、保存した場合と比較して、ポリプロピレンフィルム中に包装し、40℃及び75%の相対湿度の暗所に少なくとも14日間の保存した後に高い化学的安定性を有する医薬組成物、例えば錠剤のような経口固体剤形を製造するための非晶質ダパグリフロジンの使用に関する。
【0191】
この後、医薬組成物は規格DIN 53122−1に従って測定して少なくとも0.4g/m
2/dの水蒸気透過率を有する包装材料中に包装され得、この包装材料は好ましくはポリプロピレン、ポリ塩化ビニリデン及び/またはポリ塩化ビニルから作られている。
【0192】
更に、本発明は、場合によりケッペンの気候区分に従ってAfまたはAm気候のエリアを有する国の患者のII型糖尿病の治療に使用するための本明細書中に記載されている固体分散体、吸着体、顆粒または医薬組成物にも関する。
【実施例】
【0193】
非晶質ダパグリフロジンをWO 2004/063209に記載されている方法に従って製造した。
【0194】
【表1】
【0195】
上表では、ダパグリフロジンとダパグリフロジンプロピレングリコール溶媒和物水和物の特性を比較している。この表から推論され得るように、ダパグリフロジンプロピレングリコール溶媒和物水和物は優れた溶解性を有し、よって剤形を製剤化するためのより適した形態のダパグリフロジンに相当すると見られる。換言すると、非晶質ダパグリフロジンを含有しており、非常に良好な溶出プロフィールを有する剤形を提供することはより厳しい要求である。
【0196】
更に、純粋な非晶質ダパグリフロジンは低いガラス転移温度(約40℃)を有している。更に、純粋な非晶質ダパグリフロジンは吸湿性であり、これは相対湿度80%(RH)で約6%の水を吸収することを意味する。第1サイクル中の吸脱着はヒステリシスを呈する。脱着は不完全であり、約3%の水が第1サイクル中に不可逆的に吸収され、その結果粉末から半固体へのコンシステンスの変化が生ずる。これらの特性、すなわち低いガラス転移温度及び吸湿性はダパグリフロジンの加工性に対してマイナス効果を有し、含量均一性、保存安定性または溶出プロフィールのような所望の治療効果に寄与するダパグリフロジンを含む医薬組成物の重要な特性に対するマイナスの影響も伴っている。他の形態のダパグリフロジン、例えばダパグリフロジンプロピレングリコール水和物は、80% RHで約0.8%の水しか吸収しないので難吸湿性である。
【0197】
[実施例1]
錠剤組成物:
【0198】
【表2】
【0199】
製造手順:
ダパグリフロジンを適量のエタノール中に溶解させる。結晶セルロース、ヒプロメロース及びクロスカルメロースナトリウムを高剪断造粒機中で予混合する。混合中に粉末混合物に対してダパグリフロジン溶液を噴霧して、湿った顆粒を得る。この顆粒を流動層プロセッサー中で乾燥し、ふるい分けし、ステアリン酸マグネシウムと混合し、錠剤に圧縮する。
【0200】
[実施例2]
錠剤組成物:
【0201】
【表3】
【0202】
製造手順:
ポリビニルアルコールを適量のエタノール/アセトン/水中に溶解させる。ダパグリフロジンをポリビニルアルコールエタノール溶液中に溶解させる。調製した溶液を流動層装置中で結晶セルロース及びクロスカルメロースナトリウムに対して噴霧する。噴霧完了後、粉末を乾燥し、ふるい分けする。得られた固体分散体を含有する粉末をステアリン酸マグネシウムと混合し、錠剤に圧縮する。
【0203】
[実施例3]
錠剤組成物:
【0204】
【表4】
【0205】
製造手順:
ポビドンを適量のエタノール/アセトン/水中に溶解させる。このポビドン溶液中にダパグリフロジンを溶解させる。調製した溶液を流動層装置中で結晶セルロース及びクロスカルメロースナトリウムに対して噴霧する。噴霧完了後、粉末を乾燥し、ふるい分けする。得られた固体分散体を含有する粉末をステアリン酸マグネシウムと混合し、錠剤に圧縮する。
【0206】
[実施例4]
吸着体組成物:
【0207】
【表5】
【0208】
製造手順:
ダパグリフロジン(5g)をtert−ブチルメチルエーテル(200ml)、クロロホルム(400ml)及びヘキサン(400ml)の混合物中に溶解させた。溶液にアビセルPH 101(532g)を添加し、撹拌した。溶媒を減圧下で1時間かけてゆっくり除去した。溶媒を更に50℃及び10mbarで8時間除去した。
【0209】
錠剤組成物:
【0210】
【表6】
【0211】
製造手順:
ダパグリフロジン吸着体、結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウムを混合し、ふるい分けする。ステアリン酸マグネシウムを添加し、混合物を混合する。製造した最終混合物を錠剤に圧縮する。
【0212】
[比較例1]
錠剤組成物:
【0213】
【表7】
【0214】
製造手順:
ダパグリフロジン、結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウムを混合し、ふるい分けする。ステアリン酸マグネシウムを添加し、混合物を混合する。調製した最終混合物を錠剤に圧縮する。
【0215】
[比較例2]
錠剤組成物:
【0216】
【表8】
【0217】
製造手順:
ダパグリフロジン、結晶セルロース、ヒプロメロース及びクロスカルメロースナトリウムを高剪断造粒機中で予混合する。エタノールを混合中に粉末混合物に対して噴霧して、湿った顆粒を得る。
【0218】
顆粒を流動層プロセッサー中で乾燥し、ふるい分けし、ステアリン酸マグネシウムと混合し、錠剤に圧縮する。
【0219】
[比較例3]
錠剤組成物:
【0220】
【表9】
【0221】
製造手順:
ダパグリフロジン、結晶セルロース、ラクトース一水和物、クロスポビドン及びコロイド状無水シリカを混合し、ふるい分けする。ステアリン酸マグネシウムを添加し、混合物を混合する。調製した最終混合物を錠剤に圧縮する。
【0222】
【表10】
【0223】
10を超える(好ましくは、15を超える)合格判定値(AV)は、許容できない含量均一性を示すと見なされる。表2に示されているように、実施例1〜4は比較例1及び2と比較して(上記したように計算して)優れた含量均一性を示した。
【0224】
【表11】
【0225】
安定性試験の結果を表3に示す。サンプルをストレス及び促進条件下での保存に曝し、その後HPLC法で分析した。表3から推論され得るように、実施例1〜4に記載されているサンプルはストレス及び促進条件下での保存時に安定したままであり、特に比較例1及び2と比較して高い分解傾向は観察されなかったかまたはより小さかった。
【0226】
ダパグリフロジン錠剤に対する溶出試験を以下のパラメーターを用いて実施した:500mlの溶出媒体0.1M HCl、50rpmで装置2、ピークベッセル、37℃。幾つかの試験はpH6.8のリン酸緩衝液中でも行った。
【0227】
実施例1、2及び3、並びに比較例1、2、3及び4の溶出プロフィールを
図1に示す。実施例1、2、3及び4ではダパグリフロジンが迅速且つ完全に溶出し、物質の殆どが最初の5分以内に溶出する。比較例1及び3のダパグリフロジンの溶出はよりゆっくりで、30〜45分間でダパグリフロジンが完全放出する。比較例2は、50rpmで撹拌したとき錠剤からダパグリフロジンを完全放出しない。比較例2からの放出を完全とするためには試験終了時に回転速度を150rpmに5分間上昇させることが必要である。
【0228】
図1に示した溶出プロフィールから、実施例1、2、3及び4は比較例1、2及び3と比較して優れた溶出を有していると結論づけられ得る。比較例2の溶出は不適切であることが知見された。
【0229】
図2には、比較例2から得た3セットの溶出プロフィールを示す。比較例2の予期せぬくらい低いプロフィールが繰り返され、更にさらに2つの結果セットを得た。結果セット間の大きい変動が検出された。錠剤からの物質の放出がインビボ性能を示しているので、溶出プロフィールの変化は許容できない。この溶出結果の変動は他のサンプル(実施例1、2、3、4、並びに比較例1及び3)の場合検出されなかった。