特許第6574428号(P6574428)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6574428
(24)【登録日】2019年8月23日
(45)【発行日】2019年9月11日
(54)【発明の名称】電源ユニット
(51)【国際特許分類】
   A61L 2/08 20060101AFI20190902BHJP
   B65B 55/08 20060101ALI20190902BHJP
【FI】
   A61L2/08 108
   B65B55/08 B
【請求項の数】11
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-552895(P2016-552895)
(86)(22)【出願日】2015年1月21日
(65)【公表番号】特表2017-513538(P2017-513538A)
(43)【公表日】2017年6月1日
(86)【国際出願番号】EP2015051065
(87)【国際公開番号】WO2015124354
(87)【国際公開日】20150827
【審査請求日】2017年12月11日
(31)【優先権主張番号】1450195-1
(32)【優先日】2014年2月19日
(33)【優先権主張国】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】391053799
【氏名又は名称】テトラ ラバル ホールディングス アンド ファイナンス エス エイ
(74)【代理人】
【識別番号】100151105
【弁理士】
【氏名又は名称】井戸川 義信
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】イオーシフ・イズライリット
【審査官】 井上 能宏
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−185800(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0202111(US,A1)
【文献】 米国特許第03699394(US,A)
【文献】 実開昭60−166290(JP,U)
【文献】 特表平05−508298(JP,A)
【文献】 実開昭57−082890(JP,U)
【文献】 特開昭47−011705(JP,A)
【文献】 特開2013−093549(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0020463(US,A1)
【文献】 特表2010−512284(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0138243(US,A1)
【文献】 実公昭60−166290(JP,Y1)
【文献】 実公昭57−082890(JP,Y1)
【文献】 特公平05−508298(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 2/00− 2/28
B65B 53/00−55/24
G21K 1/00− 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装材料のための殺菌デバイスであって、
源ユニット(10)と、少なくとも一つの電子ビームエミッター(60)と、を備え、
前記電源ユニット(10)は、
ハウジング(13)と、
高電圧出力コネクター(14)と、
前記高電圧出力コネクターに出力電圧を供給するための、前記ハウジング(13)内に配置された少なくとも一つの電気コンポーネント(22)と、を備え、
前記電気コンポーネント(22)の少なくとも一つは、少なくとも部分的に、固体絶縁層(40)によって覆われており、前記固体絶縁層(40)は、前記ハウジング(13)と接触しておらず、前記固体絶縁層(40)は、絶縁媒体(70)によって冷却される、
殺菌デバイス
【請求項2】
前記少なくとも一つの電気コンポーネント(22)は、少なくとも、第1の電圧で動作するよう構成された第1の要素と、第2の電圧で動作するよう構成された第2の要素と、
を備え、前記第2の電圧は前記第1の電圧よりも低く、
前記少なくとも第1の要素を備えた前記少なくとも一つの電気コンポーネント(22)のゾーン(46)は前記固体絶縁層(40)によって覆われる、請求項1に記載の殺菌デバイス
【請求項3】
前記固体絶縁層(40)の絶縁値は前記第1の電圧に依存して調整される、請求項1または請求項2に記載の殺菌デバイス
【請求項4】
前記固体絶縁層(40)はエポキシを備える、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の殺菌デバイス
【請求項5】
前記ハウジング(13)は、少なくとも一つの電気絶縁シールド(48)を備える、請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の殺菌デバイス
【請求項6】
前記固体絶縁層(40)は注封によって形成される、請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の殺菌デバイス
【請求項7】
前記固体絶縁層(40)は、電流伝導性添加物を備える、請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の殺菌デバイス
【請求項8】
前記固体絶縁層(40)は、熱伝導性添加物を備える、請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の殺菌デバイス
【請求項9】
前記固体絶縁層(40)は、熱吸収ユニットに接続される、請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の殺菌デバイス
【請求項10】
前記少なくとも一つの電気コンポーネント(22)は電圧倍増器(26)であり、かつ、
前記電圧倍増器(26)は二つの回路基板(26’,26’’)を備える、請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載の殺菌デバイス
【請求項11】
前記ハウジング(13)は、第1チャンバー(11)と第2チャンバー(12)を備え、
前記電気コンポーネント(22)は、前記第1チャンバー(11)内に配置され、
制御システムコンポーネントは、前記第2チャンバー(12)内に配置され、
前記第1チャンバー(11)及び前記第2チャンバー(12)は、絶縁媒体(70)で満たされる、
請求項1ないし請求項10のいずれか1項に記載の殺菌デバイス
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に殺菌デバイス用の電源ユニットに、特に包装材料のための殺菌デバイスに、そして電気コンポーネント、特に上記電源ユニットのための電圧増倍器に関する。
【背景技術】
【0002】
電子ビーム照射は、そのために過酸化水素を含む湿式化学反応が従来の技術プラットフォームであった殺菌目的のための有望な代替手段と考えられてきた。電子ビーム照射は例えば包装材料の十分な殺菌をもたらし、例えば包装機械内の湿式化学反応の負の影響を排除する。このコンテクストにおいて、電源ユニットが、一つ以上の電子ビームエミッターを作動させるために使用される高電圧を提供するために必要である。だが、高電圧の発生は、例えば、電源ユニットのハウジング内で、コロナおよびアークが生じる問題を伴う。特に、電源ユニット内部の電気システムの電気コンポーネントまたは部品をそれぞれ電気的に絶縁するための解決策が見出されなければならない。既知の絶縁技術は、一般的に重く、あるいは過度に多くの原材料および消耗品を必要とする。このコンテクストでは、特に、電源ユニットが可動機構に配置されるという状況によっては、電源ユニットの重量を考慮しなければならない。さらに、公知の絶縁技術は、多くの場合、包装産業の要求に適合させられない。例えば、有害物質を含むか、食品、液体または薬品の包装材料といった殺菌されなければならない材料を損傷または汚染し得る絶縁技術は、そうした環境に適していない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、改良された電気絶縁特性と共に小さな重量および高いコスト効果を有する、特に殺菌デバイス用の電源ユニット、特に包装材料のための殺菌デバイス、そして電気コンポーネント、特に電圧倍増器を提供することが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本願は、請求項1に記載の電源ユニットと、請求項12に記載の殺菌デバイスと、請求項13に記載の電気コンポーネントとを提供し、その全ては改善された電気絶縁特性と共により少ない重量をもたらす。本発明の実施形態の追加の利点および特徴は従属請求項において規定される。
【0005】
本発明によれば、特に殺菌デバイスのための電源ユニットは少なくとも一つの電気コンポーネントを備え、電気コンポーネントの少なくとも一つは少なくとも部分的に固体絶縁層によって覆われ、固体絶縁層は電気的絶縁をもたらすよう構成されることを特徴とする。一般に、電源ユニットは、高電圧を提供するよう構成された電気システムを備え、電気システムは複数の電気コンポーネントを備え、電気コンポーネントの少なくとも一つが少なくとも部分的に固体絶縁層で覆われる。便宜的に、電気システムは、パワー電子コンポーネント、高電圧コンポーネントおよび制御システムコンポーネントを備える。
【0006】
高電圧コンポーネントとの用語は、高電圧あるいは(接地電位に関連する場合には)高電位を生み出すことができ、その状況で作動させられ、あるいはそれを扱う別個のあるいは一体化されたコンポーネントを意味する。パワー電子コンポーネントは、電力の制御および変換のための固体状態電子部品を含むコンポーネントを意味する。
【0007】
絶縁との用語は二つの要素間の伝導分離を意味する。絶縁体またはアイソレーターは、その仕様の範囲内で使用されるとき、導電性要素を互いに電気的に分離させることができる実質的に非導電性要素または材料である。絶縁層は非常に高い絶縁耐力を備えた材料からなるかあるいはそれを備え、これによってリークまたは迷走電流、コロナまたはアークのリスクを低減する。
【0008】
一つ以上の実施形態によれば、異なるコンポーネントがハウジングの異なるチャンバー内に配置される。これはハウジングが第1および少なくとも一つの第2のチャンバーを備えることを意味し、パワー電子コンポーネントおよび制御システムコンポーネントは例えば第2のチャンバー内に配置され、高電圧コンポーネントは、例えば第1のチャンバー内に配置される。これは、特に第1のチャンバーのハウジングの壁におけるかつ/またはその中での適切な絶縁シールドの特定の使用を可能にする。
【0009】
電源ユニットは、ハウジングに取り付けられた高電圧出力コネクターを介して電子ビームエミッターに対して、それぞれ接続可能でありまたは接続される。代替的にまた、一つ以上の電子ビームエミッターを一つの電源ユニットに接続することができる。電子ビームエミッター(または少なくとも一つ)と電源ユニットとの組み合わせは殺菌デバイスと呼ばれる。一般に、接続は形状および/または圧力嵌め接続である。電子ビームエミッターは、経路に沿って、電子などの電荷キャリアを放出するための電子発生器を備える。電子発生器は、一般に、密閉された真空チャンバー内に封入される。真空チャンバーは、一つ以上の実施形態によれば、電子出口ウィンドウを備える。さらに、電子発生器はカソードハウジングおよびフィラメントを備える。
【0010】
使用時、電子ビームはフィラメントを加熱することによって生成される。電流がフィラメントを通って設定される場合、フィラメントの電気抵抗によってフィラメントは2000℃のオーダーの温度まで加熱される。この加熱によってフィラメントは電子雲を放出する。電子は、カソードハウジングと電子出口ウィンドウとの間の高電位差によって、電子出射ウィンドウに向かって加速される。続いて、電子は電子出口ウィンドウを通過し、標的領域、例えば殺菌されなければならない包装材料の一部に向って移動し続ける。高電位差は電圧と呼ばれる。これは、高い出力電位を提供する電源ユニットにカソードハウジングおよびフィラメントを接続し、そして接地電位に真空チャンバーを接続することによって生み出される。
【0011】
もちろん、その他の電位も同様に使用することができ、電位間の差は、フィラメントによって放出される電子を加速する電圧を与える。特に明記しない限り、電圧との用語は、電源によって提供される電位と接地電位との差を意味する。この教示のために、電子は高い電位から低い電位に向って加速するものとする。
【0012】
電源ユニットによって提供される電圧は、一つ以上の実施形態によれば、約80ないし150kVの範囲にある。しかしながら、より高いか、より低い値も可能である。
【0013】
電子ビームエミッターは、先に説明したように、包装材料、食品、生物学的または医学的デバイス等の殺菌のために使用することができる。包装材料の内容物に関する制限はない。したがって、内容物は液体または固体であってもよい。それぞれ殺菌デバイスまたは電子ニームエミッター自体の使用に関する制限もない。したがって、電子ビームエミッターまたは殺菌装置はそれぞれ、包装容器等の、例えば包装材料の内部および/または外部殺菌のために使用することができる。
【0014】
電源ユニットと電子ビームエミッターとの間の電気的接続は、電源ユニットのハウジングにかつ/またはそのハウジング内に配置された高電圧出力コネクターによって実現される。特に、高電圧コンポーネントは便宜的に第1のチャンバー内に配置されるので、第1のチャンバーは、電子ビームエミッターに対して、あるいは電子ビームエミッター群に対して、それぞれ、高電圧出力コネクターを介して、それぞれ接続されるかあるいは接続可能である。高電圧出力コネクターは、電気システムに対して、あるいはハウジング内の少なくとも一つの電気コンポーネント/素子に対する接続をもたらす。一般に、電気システムは、電子ビームエミッターを動作させるために必要な高電圧を発生するよう構成される。
【0015】
別な実施形態では、電源ユニットおよび特に全ての配線と接続部を含む電源ユニットとエミッターとの間の接続部が適切にシールされ、そして電源ユニットの内部が絶縁ガスによって洗浄される場合、特殊な高電圧出力コネクターは省略することができる。絶縁耐力をさらに改善するために、約20ないし50mmの範囲の、そして特に30mmよりも大きい十分なスペースが、エミッターに給電すると共に高電圧で機能するケーブルとハウジングとの間に維持されるべきである。気密シールが、エミッターおよび加圧ハウジング内の真空を維持するためにエミッターとハウジングとの間に配置される。
【0016】
だが、高電圧が発生する場合、電気絶縁性が問題である。特に、コロナは回避されなければならない。コロナ放電は、電気的に活性化された導体を取り囲む媒体のイオン化によってもたらされる放電である。コロナ放電は、それによって、電極の周囲にプラズマ領域を形成するように電子が電極から高い電位を伴って容易にイオン化する中性流体へと流れるプロセスである。発生したイオンは、最終的に、低電位の近くの領域に電荷を渡す。放電は、導体の周りの強度(電界の電位勾配)が導電性領域を形成するために十分に高いが、電気的ブレークダウンあるいは付近の物体へのアーチングを引き起こすほどには高くないときに発生する。
【0017】
だが、本コンテクストにおいても、電気アークまたはアーク放電は、それらが電源ユニットおよびそのコンポーネントに損傷を与えることがあるので回避しなければならない。電気コンポーネントに関しても、表面漏れは回避されなければならない。このコンテクストにおいて、特に、殺菌デバイスと共に働く人々は保護されなければならない。したがって、電気コンポーネントの少なくとも一つは、少なくとも部分的に、固体絶縁層で覆われる。固体絶縁層の使用は、絶縁層、すなわち絶縁媒体は漏れ出して、殺菌されなければならない材料を汚染し得ないという利点を有する。
【0018】
既に述べたように、電源ユニットは、電子ビームエミッターに、それぞれ接続されるかまたは接続可能である。例えばオイルが電気システムの電気的絶縁のために、または電気システムの一部のために使用される場合(これは電力供給のための従来デバイスにおいて実施されていた)、殺菌デバイスのメインテンスはかなり困難である。例えば、電子ビームエミッターが電源ユニットから取り外される場合、絶縁オイルが電源ユニットのハウジングから漏れ出して、殺菌機械または殺菌しなければならない包装材料を汚染し得ないことを完全に確実にしなければならない。
【0019】
したがって、全ての絶縁オイルが殺菌デバイスを取り外す前に抽出されなければならない。しかしながら、これにはコストおよび時間がかかる。したがって、絶縁層が、電気コンポーネントに対して直接、あるいは電気的に絶縁されなければならない電気コンポーネントのゾーンに対して、それぞれ、形成され、接続され、配置され、あるいは取り付けられることは大きな利点である。さらなる利点は、絶縁層が固体絶縁層であることである。これは、絶縁層が例えば硬質でなければならないことを意味しない。「固体」との用語は、単に、絶縁層が液体または気体ではないことを意味する。したがって、絶縁層はまた、柔軟でかつフレキシブルであってもよい。一般に、非常に正確な絶縁技術が提供される。これは、電気システムまたは電気コンポーネントのこれらの部分のみが、電気絶縁性を必要としない固体絶縁層で被覆されることを意味する。この部分的な絶縁は電源ユニット全体の重量を低減するのに著しく役立ち得ることは言うまでもない。
【0020】
既に述べたように、電気システムは複数の電気コンポーネントを備える。電気コンポーネントのそれぞれは複数の電気要素を備えることができ、電気要素の少なくともいくつかは固体絶縁層によって少なくとも部分的に覆うことができる。例として、電気要素は例えば回路基板であり、回路基板に配置されたコンデンサおよびダイオードもまた電気要素である。電気要素は、したがって個別のコンパートメントを含んでいるが、それはまた、固体状態の電子部品および/または集積回路を含んでもよい。
【0021】
一つ以上の実施形態によれば、少なくとも一つの電気コンポーネントは、作動中に少なくとも一つの電圧分布を備え、(少なくとも)第1の電圧閾値を上回る一つの電気コンポーネントのゾーンは絶縁層で覆われる。これは、電気コンポーネントのこれらの部分のみあるいはこれらの電気要素のみが電気的に絶縁され、閾値を上回る電圧範囲で作動するという利点を有する。本発明のある態様によれば、異なる電圧閾値を規定することができる。異なる電圧閾値に関して、異なる絶縁層または絶縁レベルをそれぞれ提供することができる。電気コンポーネントまたは電気コンポーネントの少なくとも一部は、異なる電圧または電圧レベル(異なる電位のレベル)を有するように適合されるが、これは、それらが例えば異なる電圧で作動させられることを意味し、あるいは、それは、それらが段階的にあるいは連続的に異なる電圧を生じることを意味する。
【0022】
便宜的に、絶縁層は絶縁耐力を提供し、この絶縁耐力の値および/または高さは電圧閾値によって調整され、あるいは絶縁耐力は電圧閾値に依存する。これは、絶縁耐力、すなわち絶縁レベルが高ければ高いほど電気コンポーネントの電圧が高いことを意味する。 一つ以上の実施形態によれば、プラスチック、金属および/または高分子化合物のような複数の材料を含む原料化合物を使用することができる。例としては、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン、ポリプロピレン、そして液体有機ケイ素ゴムを挙げることができ、これはまた、作動中のそうしたコンポーネントのより高い温度に耐えることができる。特にコロナ防止のために、少量の導電性添加物を含む高分子化合物が使用されるべきである。添加物は、チタン酸バリウム、カーボン、マイクロフィラー等を含むナノコンポジット等のような熱安定化添加物または導電性添加物を含み得る。代替的に、絶縁層の絶縁耐力は、絶縁層の厚さを適合させることにより増大させることができる。
【0023】
本発明の一態様によれば、絶縁層はエポキシを備える。代替的に少なくとも一つの絶縁層がエポキシ樹脂からなる。エポキシは非常に良好な絶縁性を有し、電磁場の下での作動時間が比較的短い場合には非常に良好なコロナ抑制を実現する。だが、エポキシは、比較的低い電場/電磁場および低い熱放散を伴う用途で使用することしかできない。したがって、エポキシは、作動中に上記要件および/または条件を満たす、これらの電気コンポーネント/要素のために使用されるに過ぎない。結果として、一つ以上の実施形態によれば、電源ユニットは、電気システムを冷却するために、かつ/または電場および/または電磁場を最小限にするように構成される。
【0024】
このコンテクストでは、電源ユニットのハウジングは、一つ以上の実施態様によれば、少なくとも一つの電気絶縁シールドを備えることに言及する必要がある。少なくとも一つの電気絶縁シールドは、例えばポリプロピレンから形成することができ、少なくとも一つの絶縁シールドは、それぞれ、電源ユニットのハウジング内にかつ/またはそこに、あるいはハウジングの壁内にかつ/またはそこに配置することができる。既に述べたように、少なくとも一つの絶縁体シールドの使用は、絶縁体層のための材料としてエポキシの使用を可能にする。少なくとも第1の電圧閾値を超え、かつ、電気的に絶縁する必要がある電気コンポーネントが絶縁シールドによって取り囲まれる場合、電界を低減することができる。その結果、エポキシを絶縁層のための材料として使用することができる。絶縁シールドはハウジング内にかつ/または底に配置される必要はない。絶縁シールドは、電界がこの領域において低減されるような方法で電気コンポーネントを取り囲むだけでよい。
【0025】
一つ以上の実施形態によれば、ハウジングまたは第1および第2のチャンバーは、それぞれ、絶縁媒体、特に、窒素、二酸化炭素、ハロゲンといった絶縁ガスまたは真空で満たされる。窒素は、放電を防止あるいは迅速に消滅させるのに適した絶縁ガスである。絶縁媒体は、化学的に不活性で、電気コンポーネントの腐食を引き起こすべきではない。ハウジング内の絶縁ガスは、電源ユニットまたはその部品の、特に既に絶縁された電気コンポーネントの改善された絶縁耐力をもたらす。したがって、絶縁ガスは固体絶縁層をサポートする。窒素等の絶縁ガスの使用の別の利点は、例えば絶縁オイルの使用とは対照的に、ガスが漏れ出して、例えば殺菌しなければならない材料を損傷または汚染し得ないことである。絶縁体はまたハウジング内で加圧されてもよい。
【0026】
別の利点は、油等の液体絶縁材料の密度とは対照的なガスの低い密度である。既に述べたように、殺菌デバイスは、一般に、カルーセル等に配置される。これらのカルーセルは非常に高速で動作し、例えば持ち上げられる必要がある。殺菌デバイスの重量は、したがって最小化されなければならない。この重量低減は、有利なことには、窒素等の絶縁ガスの使用によって実現することができる。窒素等の絶縁ガスの絶縁および冷却特性を高めるために、絶縁ガスは、一つ以上の実施形態によれば、乾燥されかつ/または加圧される。圧力は、好ましくは、大気圧よりも約2ないし3バール高い範囲内に、特に、大気圧よりも約2.5ないし3バール高い範囲にある。
【0027】
本発明の一態様によれば、ハウジングまたは第1および第2のチャンバーはそれぞれ、ファンなどの少なくとも一つの輸送デバイスを備える。ファンは、便宜的に、循環ガス流を生成するために使用される。特に、循環絶縁媒体の流れが生成される。換言すれば、窒素の流れが、便宜的に、電気システムを冷却するために使用される。これにより、電気システムまたは電気コンポーネントおよびその要素の温度をそれぞれ低下させることができる。そうした冷却は、電気コンポーネント自体のためだけでなく固体絶縁層のためにも有用である。なぜなら、過剰な熱は固体絶縁層の絶縁耐力を著しく低下させることがあるからである。付加的な絶縁ガスの使用は熱交換要素への熱伝達をサポートし、そして、強い電場が発生する領域においてコロナ効果または迷走電子をさらに低減する。この結果、エポキシまたはその他の熱に敏感な材料を絶縁層のために用いることができる。
【0028】
一つ以上の実施形態によれば、少なくとも一つの絶縁層が注封によって設けられる。注封は、固体またはゼラチン状化合物によって完全な電子アセンブリを満たす工程である。既に述べたように、好ましくはエポキシ樹脂が使用される。有利なことには、電気コンポーネントの一部のみが注封される。
【0029】
代替的に、少なくとも一つの電気コンポーネントが電気的に絶縁保護コーティングによって絶縁される。絶縁保護コーティングの利点は電源ユニットの重量のさらなる低減である。というのは、絶縁層の厚身を、この技術を用いて非常に薄くすることができるからである。
【0030】
一つ以上の実施形態によれば、絶縁層は電流伝導性添加物を備える。少量の電流伝導性添加物は、付加的に、コロナおよびアークのリスクを最小限に抑える。例えば、導電性カーボン添加物またはカーボンまたはステンレススチール繊維が電流伝導性添加物として使用できる。有利なことには、固体絶縁層内の電圧および/または電流分布を平滑化することができる。これはコロナおよびアークのリスクを最小限に抑える。
【0031】
一つ以上の実施形態によれば、絶縁層は熱伝導性添加物を備える。この結果、絶縁層は、それぞれ、電気コンポーネントまたは電気コンポーネントの一部を冷却するために使用することができる。さらに、絶縁層内の熱分布を均一化することができる。一つ以上の実施形態によれば、金属粒子またはパウダーが熱伝導性添加物として使用される。
【0032】
一つ以上の実施形態によれば、絶縁層は熱吸収ユニットに接続される。熱吸収ユニットは、熱伝導性要素であってもよく、特に、それぞれ電気コンポーネントまたは絶縁層の熱を吸収して移送するように構成された冷却式熱伝導性要素であってもよい。便宜的に、熱伝導性要素は水等の冷却媒体で冷却される。一つ以上の実施形態によれば、熱伝導性要素は、例えば、ハウジング内に配置される少なくとも一つのプレートであり、プレートは、便宜的に、アルミニウムあるいは銅などの金属から形成される。プレート材料は高い導電性を備えるべきである。電気システムまたは電気システムの少なくとも一部はプレートに配置することができる。
【0033】
一つ以上の実施形態によれば、少なくとも一つの電気コンポーネントは電圧倍増器であり、電圧倍増器は、好ましくは、少なくとも二つの回路基板を含み、かつ、少なくとも二つの回路基板は互いに分離される。回路基板のそれぞれは、有利なことには、少なくとも一つの倍増器段を備える。好ましい実施形態によれば、第1の回路基板は五つの段を備え、かつ、第2の回路基板は二つの段を備える。各段は、電圧増倍を可能にするために適切なダイオードおよびコンデンサを備える。第1の回路基板は80ないし90kVまで入力電圧を倍増するよう構成される。第2の回路基板は、110または120kVまで(また150kVまで)、第1の回路基板の出力電圧を倍増するように構成される。二つの回路基板は相互接続基板を介して接続され、相互接続基板と第2の回路基板との間にはスパーク電流リミッターが配置される。
【0034】
好ましくは、スパーク電流リミッターならびに第2の回路基板は少なくとも一つの絶縁層で覆われる。既に述べたように、電磁場の下での作動時間が比較的短い場合、エポキシ樹脂を絶縁層のための材料として使用することができる。これはスパーク電流リミッターにも当てはまる。第2の回路基板の最終段の非常に低い電力散逸のために、エポキシを絶縁層のための材料として使用することができる。
【0035】
便宜的に、ステージの倍増器電流は約7ないし10mAの範囲内にあり、ステージの倍増器電流は約20mAの範囲内にある。比較のため、第1の段の倍増器電流は約70mAの範囲内にある。これは約10倍以上の熱放散を引き起こす。エポキシ樹脂の使用は不可能であろう。本発明の一態様によれば、第2の回路基板ならびにスパーク電流リミッターはさらに、少なくとも第2の回路基板の流体またはゾーンの範囲内で、電源ユニットのハウジングにかつ/またはその中に配置された絶縁シールドによって電気的に絶縁される。これにより、当該領域またはゾーン内で電気/電磁界を低下あるいは低減することができ、これは絶縁層のための材料としてエポキシの使用を可能にする。電圧倍増器はまた、ただ一つの回路基板または二つよりも多い回路基板を備えることができることは言うまでもない。一般に、電圧増倍器の最後の段は、有利なことには絶縁層のための材料としてエポキシの使用を可能にする非常に低い電力放散しか生じない。
【0036】
一つ以上の実施形態によれば絶縁層は内面および外面を備え、外面により形成される最小半径は約3mmよりも大きい。コロナはまた導体の曲率半径の関数であるので、外面の形状もまた関心事である。したがって、注封または絶縁保護コーティングが使用されるかどうかに関係なく、絶縁層の外面の形状は鋭いエッジまたは小さ過ぎる半径を持つべきではない。
【0037】
本発明によれば、特に包装材料のための殺菌デバイスは電源ユニットおよび少なくとも一つの電子ビームエミッターを備え、電源ユニットは少なくとも一つの電気コンポーネントを備え、電気コンポーネントの少なくとも一つは固体絶縁層によって少なくとも部分的に覆われることを特徴とする。
【0038】
本発明によれば、電気コンポーネント、特に電圧倍増器は少なくとも一つの電圧分布を備え、第1の電圧閾値を上回る電気コンポーネントのゾーンは固体絶縁層によって覆われ、固体絶縁層はゾーンを電気的に絶縁するように構成されることを特徴とする。
【0039】
本発明に係る電源ユニットは、本発明に係る殺菌デバイスの、そして本発明に係る電気コンポーネントの特徴および利点を含むことができ、逆の場合も同じである。
【0040】
本発明の追加の態様および特徴は、添付図面を参照した本発明の好適な実施形態の以下の説明に示されている。各実施形態の単一の特徴または特性は本発明の範囲内で組み合わされることが明確に許容される。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1a】絶縁層を伴わない電気コンポーネントを示す図である。
図1b】一つ以上の実施形態に基づく、注封によって電気的に絶縁された電気コンポーネントを示す図である。
図1c】一つ以上の実施形態に基づく、絶縁保護コーティングによって電気的に絶縁された電気コンポーネントを示す図である。
図2】一つ以上の実施形態に基づく、電気システムを備えた電源ユニットを示す図である。
図3】電源ユニットのさらなる実施形態を示す図である。
図4a】電圧倍増器の一実施形態を示す図である。
図4b】軸線Aに沿って見た、図4aの実施形態を示す図である。
図5】電子ビームエミッターの一実施形態を示す図である。
図6】電子ビームエミッターのさらなる実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
ここで図1aを参照すると電気コンポーネント22が示されている。電気コンポーネント22は複数の電気要素24を備える。
【0043】
図1bは、電気コンポーネント22の上に部分的に配置された絶縁層46を示す。電気要素24(これは、少なくとも第1の電圧閾値を上回る電位あるいは電圧で作動し、それを作り出し、あるいはそれを扱う)は固体絶縁層40によって覆われる。固体絶縁層40は注封(ポッティング)により提供される。固体絶縁層40は、実質的に平坦な外面44と、内面とを備える。固体絶縁層40の内面には、少なくとも部分的に、電気コンポーネント22と接触状態である。電気コンポーネント22の上部領域は絶縁層46によって覆われていない。なぜなら、当該領域に配置されるコンポーネントは、第1の電圧閾値を上回る電圧で作動したり、それを生み出したり、使用したり、あるいはそれを扱ったりしなういからである。この場合、追加の固体絶縁層は不要である。
【0044】
図1cは、既に図1aおよび図1bから知られている電気コンポーネント22を示している。第1の電圧閾値を超えるゾーン46は固体絶縁層40によって覆われており、固体絶縁層40は絶縁保護コーティングによってもたらされている。その結果、コーティングは、基板上に配置された電気要素24の形状に従う。
【0045】
図2は、一実施形態に係る電源ユニット10を示している。電源ユニット10はハウジング13を備え、ハウジング13は第1のチャンバー11および第2のチャンバー12へと分離させられる。両方のチャンバー11,12は、ハウジング内に配置された電気システム20を冷却するよう構成されたファン15を備える。便宜的に、チャンバー11,12は、絶縁媒体70、特に窒素のような絶縁ガスで満たされている。絶縁媒体70はまた、例えばファン15を用いて、電気システム20の冷却のために使用される。電気システム20の固体絶縁層40は媒体70によって冷却される。
【0046】
だが、電気システム20は、通常、制御システムコンポーネント、電力コンポーネント、そして高電圧コンポーネントを備え、制御システムコンポーネントおよび制御コンポーネントは、便宜的に、第2のチャンバー12内に配置され、そして例えば電圧倍増器のような高電圧コンポーネントは、便宜的に、第1のチャンバー11内に配置される。電圧倍増器22は、電子ビームエミッター(図示せず)への接続のために適合された高電圧出力コネクター14に接続される。図2に示すように電圧増倍器22は第1の回路基板26’を備える。少なくとも第1の電圧閾値を超える電圧倍増器22のゾーン46は固体絶縁層40(図示せず)によって覆われる。便宜的に、また、スパーク電流リミッター28は、絶縁層(図示せず)によって覆われる。一つ以上の実施形態によれば、閾値は約80ないし90kVの範囲内にある。電圧倍増器20の出力電圧は、一つ以上の実施形態によれば、約110ないし120kV(また150kVまで)の範囲内にある。
【0047】
図3は電源ユニット10のさらなる実施形態を示している。この実施形態は図2に示すものと類似している。だが、電圧倍増器22は、第1の回路基板26’と、第2の回路基板26’’とを備える。二つの基盤26’および26’’は、相互接続基板29を介して接続される。相互接続基板29と第2の回路基板26’’との間にはスパーク電流リミッター28が配置される。回路基盤26’および26’’のそれぞれは、有利なことには、少なくとも一つの倍増器段を備える。一つ以上の実施形態によれば、第1の回路基板26’は五つの段を備え、第2の回路基板26’’は二つの段を備える。
【0048】
各段は、電圧倍増を可能にするために適切なダイオードおよびコンデンサー(図示せず)を備える。第1の回路基板26’は、80ないし90kVまで入力電圧を倍増するように構成される。第2の回路基板26’’は、110または120kVまで(また150kVまで)第1の回路基板の出力電圧を倍増するように構成される。図3は、第2の回路基板26’’およびスパーク電流リミッター28が、絶縁シールド48によって、付加的に電気的に絶縁されていることが示されている。絶縁シールド48は、ハウジング13の壁にかつ/またはその中に配置されかつ/または取り付けられる。一つ以上の実施形態によれば、絶縁シールド48はポリエチレンからなる。絶縁シールド48は、第2の回路基板26’’の領域における電界を低くできるという利点を有する。これは、固体絶縁層のための材料のためにエポキシの使用を可能とする。残りの特徴は、図2に示しかつ説明されたものと同じである。
【0049】
図4aは、図3に示されるような電源ユニットにおいて使用される電圧倍増器の実施形態を示している。図4aから分かるように、相互接続基板29、スパーク電流リミッター28、そして第2の回路基板26’’は、固体絶縁層40によって電気的に絶縁される。注封が固体絶縁層40を形成するために使用できる。代替的にあるいは少なくとも部分的に絶縁保護コーティングを使用することもできる。一つ以上の実施形態によれば、固体絶縁層40のために使用される材料はエポキシである。
【0050】
図4bは、軸線Aに沿って見て、図4aの実施形態を示している。正確には、スパーク電流リミッター28および電圧倍増器26の下部(特に第2の回路基板26’’)を上から見ることができるように断面が示されている。したがって、電圧増倍器26に関連するスパーク電流リミッター28の位置を認識することができる。電圧倍増器26は、(図4bに示されていない)高電圧出力コネクター14を配置するよう構成された孔を備える。スパーク電流リミッター28および電圧倍増器は固体絶縁層40によって覆われる。
【0051】
図5は、電源ユニット10および電子ビームエミッター60を含む殺菌デバイスの実施形態の原理スキームを示している。電子ビームエミッター60は電子出口ウィンドウ64を備え、電子雲62が殺菌中に形成される。電子雲62は、例えば、右側に認識できるような包装材料80の、特に包装容器80(例えばカートン包装容器)の内部殺菌のために使用される。
【0052】
図6は電子出口ウィンドウ64を備えた電子ビームエミッター60の別の実施形態をっ示す。電子ビームエミッター60は、図6に示すように、例えば、包装材料の、特に包装容器の外部殺菌のために、または平坦かつ/または平面的な材料またはデバイスの殺菌のために使用される。
【符号の説明】
【0053】
10 電源ユニット
11 第1のチャンバー
12 第2のチャンバー
13 ハウジング
14 高電圧出力コネクター
15 ファン
20 電気システム
22 電気コンポーネント
24 電気要素
26 電圧増倍器
26’第1の回路基板
26’’ 第2の回路基板
28 スパーク電流リミッター
29 相互接続基板
40 固体絶縁層
44 外面
46 第1の電圧閾値を超えるゾーン
48 絶縁シールド
60 電子ビームエミッター
62 電子雲
64 電子出口ウィンドウ
70 絶縁媒体
80 包装材料
図1a
図1b
図1c
図2
図3
図4a
図4b
図5
図6