特許第6574441号(P6574441)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6574441電子ビーム放射源に高電圧を供給するための電力システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6574441
(24)【登録日】2019年8月23日
(45)【発行日】2019年9月11日
(54)【発明の名称】電子ビーム放射源に高電圧を供給するための電力システム
(51)【国際特許分類】
   B65B 55/08 20060101AFI20190902BHJP
   G21K 5/00 20060101ALI20190902BHJP
   A61L 2/08 20060101ALI20190902BHJP
   G21K 5/04 20060101ALI20190902BHJP
【FI】
   B65B55/08 B
   G21K5/00 S
   A61L2/08 108
   G21K5/04 M
【請求項の数】7
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-560697(P2016-560697)
(86)(22)【出願日】2015年1月21日
(65)【公表番号】特表2017-522234(P2017-522234A)
(43)【公表日】2017年8月10日
(86)【国際出願番号】EP2015051071
(87)【国際公開番号】WO2015149958
(87)【国際公開日】20151008
【審査請求日】2017年12月11日
(31)【優先権主張番号】1450414-6
(32)【優先日】2014年4月4日
(33)【優先権主張国】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】391053799
【氏名又は名称】テトラ ラバル ホールディングス アンド ファイナンス エス エイ
(74)【代理人】
【識別番号】100151105
【弁理士】
【氏名又は名称】井戸川 義信
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ドミニク・コルパトー
(72)【発明者】
【氏名】ヴィリー・ヴァントフルー
(72)【発明者】
【氏名】ロベルト・ストライト
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ・ヴュンシュ
(72)【発明者】
【氏名】ヴェルナー・ハーグ
【審査官】 矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−214125(JP,A)
【文献】 米国特許第04165749(US,A)
【文献】 特開2001−119809(JP,A)
【文献】 特開2011−009148(JP,A)
【文献】 特開2011−147305(JP,A)
【文献】 特開2001−356199(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 53/00−55/24
A61L 2/00− 2/28
A61L 11/00−12/14
G21K 1/00− 3/00
G21K 5/00− 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子ビームを照射することによって包装容器または包装材料を殺菌するように適合された電子ビーム放射源(80)に高電圧を供給するための電力システム(10)であって、
高電圧を生成するための電圧増倍器(24)と、
前記電圧増倍器(24)の出力電圧レベル(60)を測定して第1の測定電圧値(62)を供給するための第1の電圧測定デバイス(32)と、
前記第1の電圧測定デバイス(32)によって供給された前記第1の測定電圧値(62)に基づいて前記電圧増倍器(24)の前記出力電圧レベル(60)加減するためのアクチュエータと、
前記電圧増倍器(24)の前記出力電圧レベル(60)を独立して測定して第2の測定電圧値(64)を供給するように適合された第2の電圧測定デバイス(34)と、
前記第1の電圧測定デバイス(32)によって供給された前記第1の測定電圧値(62)と、前記第2の電圧測定デバイス(34)によって供給された前記第2の測定電圧値(64)の差が所定のしきい値を超えたとき停止信号(72、74)を供給するように適合された評価ユニット(40)と、
前記評価ユニット(40)によって供給された前記停止信号(72、74)に基づいて前記電圧増倍器(24)への電力を遮断するように適合された安全停止ユニット(12)と、
を備える、
電力システム(10)。
【請求項2】
前記評価ユニット(40)が、前記電圧測定デバイス(32、34)のうち少なくとも1つの前記測定電圧値(62、64)が所定のしきい値を超えたとき停止信号(72、74)を生成するように適合されていることを特徴とする請求項1に記載の電力システム(10)。
【請求項3】
前記評価ユニット(40)が、停止状態を個々に判断するように適合された少なくとも2つの個別の評価デバイス(42、44)を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の電力システム(10)。
【請求項4】
第1の評価デバイス(42)が、前記第1の電圧測定デバイス(32)によって供給された前記第1の測定電圧値(62)を入力値として使用し、第2の評価デバイス(44)が、前記第2の電圧測定デバイス(34)よって供給された前記第2の測定電圧値(64)を入力値として使用することを特徴とする請求項3に記載の電力システム(10)。
【請求項5】
前記評価ユニット(40)によって供給された前記停止信号(72、74)に応答してそれぞれ動作することができる少なくとも2つの停止スイッチ(14)が設けられ、前記停止スイッチ(14)のうち少なくとも1つが開くと、前記電圧増倍器(24)に供給される前記電力が遮断されることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の電力システム(10)。
【請求項6】
前記電圧測定デバイス(32、34)のうち少なくとも1つを含む閉ループ制御回路(20)を備える電力システム(10)であって、前記閉ループ制御回路(20)が、前記電圧増倍器(24)の前記出力電圧レベル(60)を制御するように適合されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の電力システム(10)。
【請求項7】
前記少なくとも2つの個別の電圧測定デバイス(32、34)が異なる構成とされていることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の電力システム(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子ビームを照射することによって包装容器または包装材料を殺菌するように適合された電子ビーム放射源に高電圧を供給するための電力システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
液体および部分的に液体の製品を含む食品および医薬品を包装容器の中にパックするのは一般的な慣例である。そのような包装容器は、たとえば巻取り紙形の包装材料から製造され得る。包装材料は、少なくとも1つの紙または板紙の層と、たとえばアルミ箔および/またはポリエチレン層などの高分子材料といった1つまたは複数の障壁層とを備える積層物である場合がある。
【0003】
具体的には、医療産業および食品産業では、包装容器は、製品が充填される前に殺菌される。それによって、包装容器の表面に存在し得るバクテリア、菌類、ウィルスおよび胞子などの微生物が除去される。
【0004】
包装容器を殺菌する既知の方法は、具体的には電子ビームである電荷担体による放射を介するものである。たとえば、包装容器の内部を殺菌するために包装容器の中へ下げることができる電子ビーム放射源がある。さらに、包装容器の外表面を殺菌するための電子ビーム放射源がある。さらに、包装材料の巻取り紙を殺菌するための電子ビーム放射源があり、この包装材料は殺菌後にパッケージに形成されることになる。
【0005】
電子ビーム放射源を作動させるためには、約70kVまたは80kV〜150kV程度の高電圧を供給する必要がある。高電圧を使用して、電子ビーム放射源の内部の電子発生器(フィラメント)から電子ビーム放射源のハウジングの一部分を形成する電子射出窓に向けて電子を加速する。
【0006】
電子ビーム放射源は望ましくない光線、具体的にはX線を生成し、これは有害であるため、電子ビーム放射源を遮蔽する必要がある。電子ビーム放射源によって生成される放射線量は、電子を加速するために放射源に印加されるエネルギー、具体的には電圧に依拠する。
【0007】
通常、電子ビーム放射源は遮蔽された殺菌室などの遮蔽された環境において作動される。放射線遮蔽物は、遮蔽された環境の外部の放射線が許容値未満に安全にとどまることを保証するように適合される。安全上の理由で、遮蔽物の寸法取りは、電力システムまたは電子ビーム放射源の不具合を考慮に入れる必要がある。たとえば、高電圧の設定値を大幅に超過することにより、通常動作中よりも高い放射線を生成する可能性があることを考慮する必要がある。放射線遮蔽物のこの安全マージンにより、電子ビーム放射源にコストおよび重量が追加される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、電子ビーム放射源を費用効率の高いやり方で遮蔽することを可能にする、電子ビーム放射源に高電圧を供給するための電力システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は、本発明により、請求項1に記載の電力システムを用いて解決される。本発明の好ましい実施形態は従属クレームにおいて定義され、特に添付図面とともに考慮される以下の記述においてさらに説明される。
【0010】
本発明による電力システムは、高電圧を生成するための電圧増倍器と、電圧増倍器の出力電圧レベルを測定して第1の測定電圧値を供給するための第1の電圧測定デバイスと、第1の電圧測定デバイスによって供給された第1の測定電圧値に基づいて電圧増倍器の出力電圧レベルを変更するためのアクチュエータとを備える。電力システムは、電圧増倍器の出力電圧レベルを独立して測定して第2の測定電圧値を供給するように適合された第2の電圧測定デバイスをさらに備える。
【0011】
本発明は、電子ビーム放射源によって生成される放射線が所与の強度未満に安全にとどまることが保証されると、遮蔽のサイズを低減することができるという発見に基づくものである。これは、電子ビーム放射源に印加される電圧が所与のしきい値を超えないようにする高信頼性システムを提供することによって達成され得る。したがって、本発明の基本的な考え方は、電子ビーム放射源に給電する、すなわち電子ビーム放射源に高電圧を供給するための電源デバイスであって、供給される電圧レベルが所定のしきい値未満に安全にとどまるように特に高い信頼性を有する電源デバイスを提供することである。
【0012】
電圧増倍器の出力電圧レベルを安全に決定するために、電力システムは、電圧増倍器の出力電圧レベルを独立して測定する少なくとも2つの個別の電圧測定デバイスを備える。したがって、電圧測定デバイスのうちの1つが障害を起こすかまたは不具合を有するときも、電圧増倍器の出力電圧レベルは、依然として他方の電圧測定デバイスによって求められ得る。さらなる電圧測定デバイスを用いると、電圧測定の信頼性をさらに向上することができる。したがって、3つ以上の独立した電圧測定デバイスが設けられことさえある。
【0013】
電圧増倍器は当技術分野において一般に知られており、一般的には、交流電力(たとえばAC230V)をより高い直流電圧に変換するものである。この場合、電子ビーム放射源に給電するための電圧増倍器は、DC70kV〜DC150kV程度、具体的にはDC80kV〜DC110kVの出力電圧を供給する。電圧増倍器は、出力トランスと、ダイオードおよびコンデンサなどのパワー電子デバイスを有する電圧増倍回路とを備える。
【0014】
独立した電圧測定デバイスは電圧レベルを測定するように適合されており、一般的には複数の抵抗器、とりわけ高電圧抵抗器を含み、コンデンサを含み得る。高電圧を測定するための測定原理は当技術分野において知られており、したがってこれ以上は説明しない。
【0015】
出力電圧レベルを加減するためのアクチュエータは、電圧増倍器の上流にある、または電圧増倍器の中に実装された、インバータなどのパワー電子デバイスを備え得る。たとえば、アクチュエータにおいて、インバータのデューティサイクルを加減することにより、電圧増倍器への入力を変化させることができ、それによって電圧増倍器の出力電圧を間接的に加減する。この場合、アクチュエータにおけるインバータの出力が、電圧増倍器への入力を形成する。言い換えれば、アクチュエータは、電圧増倍器への入力(電圧および/または電流)を加減することによって電圧増倍器の出力電圧レベルを加減するように適合され得る。アクチュエータ自体が電圧を増大するように構成されてもよい。
【0016】
本発明の一実施形態では、電力システムは、所定の測定条件が満たされたとき停止信号を供給するように適合された評価ユニットを備え、評価ユニットは、第1の電圧測定デバイスによって供給された第1の測定電圧値と、第2の電圧測定デバイスによって供給された第2の測定電圧値とを入力値として使用する。評価ユニットは、出力電圧レベルがしきい値を超えるリスクがあるかどうか判断し、そのようなリスクがあると判断された場合、電力システム、具体的には電圧増倍器を停止させる停止信号を送る。測定条件は、電圧測定デバイスの測定電圧値に関連する所定の状態である。電圧測定デバイスのうちの1つに不具合があって、測定電圧値が電圧増倍器の出力電圧レベルと等しくないという可能性を考慮に入れる必要がある。測定条件は、出力電圧レベルが所定のしきい値を超えても電圧増倍器が停止されないというリスクを可能な限り小さくするように設定される。停止信号を生成するためのしきい値は、80kV〜85kVの範囲にあり得る。
【0017】
一実施形態では、電力システムは、評価ユニットによって供給された停止信号に基づいて電圧増倍器への電力を遮断するよう適合された安全停止ユニットを備える。停止ユニットは、たとえば電力システムの主電源を停止する(オフにする、スイッチを切る)スイッチであってよい。
【0018】
特に信頼できるシステムを提供する目的で、評価ユニットは、好ましくは電圧測定デバイスのうち少なくとも1つの測定電圧値が所定のしきい値を超えたとき停止信号を生成するように適合される。したがって、たとえば測定デバイスのうちの1つが正確に動作しておらず、供給する測定電圧値が低すぎる場合、電力システムは、それでもなお、他の電圧測定デバイスのしきい値を超える測定電圧値によって安全に停止される。
【0019】
本発明の一実施形態では、評価ユニットは、各電圧測定デバイスの測定電圧値の間の差が所定のしきい値を超えたとき停止信号を生成するように適合される。第1の電圧測定デバイスの測定電圧値と第2の電圧測定デバイスの測定電圧値の間に大きな差があるのは、電圧測定デバイスのうち少なくとも1つが正確に動作していないことの指標である。したがって、この場合、電力システムは停止される。
【0020】
別の好ましい実施形態では、評価ユニットは、停止状態を個々に判断するように適合された少なくとも2つの個別の評価デバイスを備える。これによって、停止状態の判断の信頼性を向上させることができる。
【0021】
本発明の別の実施形態では、第1の評価デバイスが、第1の電圧測定デバイスによって供給された第1の測定電圧値を入力値として使用し、第2の評価デバイスが、第2の電圧測定デバイスによって供給された第2の測定電圧値を入力値として使用する。たとえば、第1の評価デバイスが第1の電圧測定デバイスに動作可能に接続されており、第2の評価デバイスが第2の電圧測定デバイスに動作可能に接続されている。第1の評価デバイスが第1の電圧測定デバイスから第1の測定電圧値を受け取り、第2の評価デバイスが第2の電圧測定デバイスから第2の測定電圧値を受け取る。受け取った測定電圧値が所定のしきい値を超えていると、それぞれの評価デバイスが停止状態を判断して、停止信号を生成する。加えて、評価デバイスの各々が、他の評価デバイスの(他の電圧測定デバイスによって供給された)測定電圧値を受け取って、他の評価デバイスを点検するように適合されてよい。評価デバイスのうちの1つが、各電圧測定デバイスの測定電圧値の間の差が所定のしきい値を超えていると判断した場合、このデバイスは停止状態を判断して停止信号を生成する。
【0022】
本発明の別の実施形態によれば、評価ユニットによって供給された停止信号に応答してそれぞれ動作することができる少なくとも2つの停止スイッチが設けられ、停止スイッチのうち少なくとも1つが開くと、電圧増倍器に供給される電力が遮断される。したがって、1つの停止スイッチが正確に動作しなくても、電圧増倍器は、それでもなお、1つまたは複数の他の停止スイッチによって停止される。
【0023】
電力システムは、各電圧測定デバイスのうち少なくとも1つを含む閉ループ制御回路を備えてよく、閉ループ制御回路は電圧増倍器の出力電圧レベルを制御するように適合されている。したがって、それぞれの電圧測定デバイスは、以下の2重機能を有する。第1に、電圧測定デバイスの測定電圧値は、電圧増倍器の出力電圧レベルを調節するように、閉ループ制御回路における帰還値として使用される。第2に、測定電圧値は、測定電圧値がしきい値を超えているかどうか判断するために評価ユニットに供給され、超えていれば、電力システム、具体的には電圧増倍器の電源を切る必要がある。
【0024】
共通原因故障を回避するために、少なくとも2つの個別の電圧測定デバイスが、異なる構成とされる、すなわち異なるやり方で構成されるのが好ましい。言い換えれば、2つの異なる電圧測定デバイス(異なる構成要素および/または異なる測定原理を含む)が使用される。たとえば、各電圧測定デバイスが、異なるタイプの抵抗器を有してよい。
【0025】
以下で、本発明を、添付図面に関連してさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明による安全システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は、本発明による電力システム10の例示的実施形態を示す。電力システム10は、AC230Vを供給し得る幹線54に対して電気的に接続されている。幹線54への電気的接続は、1つまたは複数の停止スイッチ14を備える安全停止デバイス12によって中断されることがある。幹線の電力(power mains)が、入力電圧56としてアクチュエータ22に供給される。アクチュエータ22は、入力電圧56を、一般に入力電圧56よりも高い中間電圧58に変換する。アクチュエータ22は、インバータと、フィルタと、入力整流器または力率ユニットとを備える。アクチュエータ22は、IGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)、MOSFET(金属酸化物半導体電界効果トランジスタ)、ダイオードおよびコンデンサなどのパワーエレクトロニクスを備える。一実施形態では、アクチュエータ22は、入力電圧56をたとえばDCの約360Vといった直流(DC)に変換するための力率制御ユニットと、力率制御ユニットの下流のインバータとを含む。インバータは、力率制御ユニットからの直流を、たとえば数100V(中間電圧58)といった交流(AC)へと再び変換してよい。
【0028】
中間電圧58をたとえばDCの約80kVといった出力電圧レベル60に変換する電圧増倍器24に対して、中間電圧58が供給される。電圧増倍器24は、出力トランスおよび電圧増倍回路を備える。その出力電圧は、包装容器などの対象物を殺菌するために使用される電子ビームを生成するための電子ビーム放射源80に供給される。対象物を殺菌するための電子ビーム放射源80は、当技術分野において知られており、したがって、ここではこれ以上説明しない。
【0029】
電力システム10は、電圧増倍器24の出力電圧レベル60を制御するための制御回路20を含む。制御回路20は、出力電圧レベル60を測定するように適合された第1の電圧測定デバイス32を含む。第1の電圧測定デバイス32は、第1の測定電圧値62である測定値を生成する。第1の測定電圧値62は、フィードバック電圧値66としてコントローラ46に供給される。コントローラ46が生成する制御値70が、アクチュエータ22に供給される。アクチュエータ22内のインバータは、制御値70に基づいて、電圧増倍器24に対する入力、すなわち中間電圧58を調節する。
【0030】
コントローラ46は、制御ユニット48から設定値68を受け取る。制御ユニット48(マイクロプロセッサ)は、設定値を入力するためのフィールドバスまたはシリアルリンクなどの入力デバイスを含み得る。コントローラ46は、制御ユニット48にも情報を供給することができる。たとえば、第1の測定電圧値62が制御ユニット48に供給されてよい。制御回路20は、設定値68のための出力電圧レベル60を維持するかまたは設定するように構成されている。
【0031】
第1の測定電圧値62は、電圧増倍器24への電力を断つべきかどうか評価するための評価ユニット40にも供給される。評価ユニット40が備える第1の評価デバイス42には、第1の測定電圧値62が供給される。第1の評価デバイス42は、第1の測定電圧値62が所定のしきい値を超えているかどうか判断し、超えている場合には停止信号72を生成し、これによって安全停止デバイス12が開き、電圧増倍器24が幹線54から遮断される。
【0032】
第2の電圧測定デバイス34によって出力電圧レベル60も測定され、第2の電圧測定デバイス34は、第1の電圧測定デバイス32とともに電圧測定ユニット30を形成する。第2の電圧測定デバイス34が生成する第2の測定電圧値64が、評価ユニット40の第2の評価デバイス44に供給される。第2の評価デバイス44は、第2の測定電圧値64が所定のしきい値を超えているかどうか評価し、超えていれば、安全停止デバイスに停止信号74を供給する。すると、停止スイッチ14が開かれ、その結果、電圧増倍器24が幹線54から遮断される。
【0033】
第1の評価デバイス42と第2の評価デバイス44は通信の相互リンク65を有し、この相互リンクを通じて互いに通信する。たとえば、デバイス42が他のデバイスに測定電圧値62を供給してよく、デバイス44が他のデバイスに測定電圧値64を供給してよい。評価ユニット40は、好ましくは、以下の条件のうち少なくとも1つが当てはまる場合、停止信号72、74を生成するように適合される。
1. 測定電圧値62、64が所定のしきい値を超えるか、または
2. 第1の測定電圧値62と第2の測定電圧値64の間の差が所定のしきい値を超える。
【0034】
一実施形態では、第1の評価デバイス42および第2の評価デバイス44は、上記の条件に従って停止信号72、74を個々に生成するように適合される。
【0035】
本発明の一実施形態では、電力システム10の要素、具体的には制御回路20、追加の第2の電圧測定デバイス34、評価ユニット40は、共通ハウジングの中に配置される。共通ハウジングは、好ましくは電子ビーム放射源80に結合されるように適合されている。電力システム10および電子ビーム放射源80は、移動可能な回転コンベアを用いて同時に移動される包装容器を殺菌するために、回転コンベアの上に再配置され得る。
【0036】
安全停止デバイス12は、直列に配置された複数の停止スイッチ14を含み得る。停止信号72、74は、直列に配置された複数の停止スイッチ14を同時に開くように適合されてよい。したがって、停止スイッチのうちの1つが開くと、電圧増倍器24への電源が遮られる。
【0037】
第1の測定電圧値62と第2の測定電圧値64の間の差のしきい値は、2kV〜5kVの範囲にあり得る。たとえば、第1の測定電圧値62と第2の測定電圧値64の間の差が3kVを超えたとき、停止信号72、74が生成されてよい。安全停止デバイス12は、電力システム10のハウジングの中に組み込まれてよい。あるいは、安全停止デバイス12は、電力システム10のハウジングから遠隔の別個の安全システムでもよい。一旦安全停止デバイス12が開かれると、電圧増倍器24がオフとオンを繰り返すまで、誤り状態が維持されるのが好ましい。誤り状態、すなわち停止状態は、第1の報告値76および第2の報告値78として制御ユニット48に通信される。
【0038】
本発明は、電子ビーム放射源80に高電圧を供給するための電力システム10の出力電圧レベル60の冗長な測定を提供し、それによって、電力システム10が所定のしきい値を超える電圧レベルを生成するリスクを最小限にするものである。したがって、本発明による電力システム10は特に安全である。異なる電圧測定デバイス32、34を使用することにより、共通原因故障が回避される。加えて、電圧増倍器24への電力を遮るべきかどうか評価するための評価デバイス42、44が、非常に安全なやり方で高電圧を監視することができるように互いを制御することができる。
【符号の説明】
【0039】
10 電力システム
12 停止デバイス
14 停止スイッチ
20 制御回路
22 アクチュエータ
24 電圧増倍器
30 電圧測定ユニット
32 第1の電圧測定デバイス
34 第2の電圧測定デバイス
40 評価ユニット
42 第1の評価デバイス
44 第2の評価デバイス
46 コントローラ
48 制御ユニット
54 幹線
56 入力電圧
58 中間電圧
60 出力電圧レベル
62 第1の測定電圧値
64 第2の測定電圧値
65 通信の相互リンク
66 フィードバック電圧値
68 設定値
70 制御値
72 停止信号
74 停止信号
76 報告値
78 報告値
80 電子ビーム放射源
図1